(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】有機ケイ素化合物、その製造方法および硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C07F 7/18 20060101AFI20220913BHJP
C09D 183/04 20060101ALI20220913BHJP
C09D 7/48 20180101ALI20220913BHJP
C09J 183/04 20060101ALI20220913BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20220913BHJP
C08K 5/544 20060101ALI20220913BHJP
C08G 77/388 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
C07F7/18 X
C09D183/04
C09D7/48
C09J183/04
C08L101/00
C08K5/544
C08G77/388
(21)【出願番号】P 2019031644
(22)【出願日】2019-02-25
【審査請求日】2021-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】廣神 宗直
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第04216923(DE,A1)
【文献】特開平04-222880(JP,A)
【文献】特開昭63-101389(JP,A)
【文献】特開2001-214121(JP,A)
【文献】特開2005-213517(JP,A)
【文献】特開2002-284787(JP,A)
【文献】国際公開第01/029127(WO,A1)
【文献】特開2008-274067(JP,A)
【文献】Friedrich, Holger et al.,Polymeric light stabilizers based on siloxanes,Polymer Degradation and Stability,1993年,(1993), 42(2), 127-44
【文献】Hetflejs, Jiri et al.,Novel stabilisers acting simultaneously as molecular-weight regulators in soluble elastomeric polyurethanes,Polymer Degradation and Stability,2010年,(2010), 95(4), 579-586
【文献】Barnes, K. et al.,Modification of silica gel, cellulose, and polyurethane with a sterically hindered N-halamine moiety to produce antimicrobial activity,Journal of Applied Polymer Science,2007年,(2007), 105(4), 2306-2313
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C09D
C09J
C08L
C08K
C08G
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(3)で表される有機ケイ素化合物。
【化1】
(式中、R
1は、それぞれ独立して、炭素原子数1~3のアルキル基を表し、R
2は、それぞれ独立して、炭素原子数1~3のアルキル基を表し、R
3は、水素原子、メトキシ基、エトキシ基または炭素原子数1~3のアルキル基を表し、R
4は、それぞれ独立して、メチル、n-プロピル、n-ヘキシルまたはn-オクチル基を表し、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、炭素原子数1~3のアルキル基を表し、A
1は、A
2に結合するものがトリメチレンまたはオクタメチレン基を表し、Si-A
1-Si構造部分のA
1がエチレンまたはオクタメチレン基を表し、A
2は、-O-または-NH-を表し、mは、1~3の数である。)
【請求項2】
前記R
1およびR
2が、メチルまたはエチル基を表し、前記R
3が、水素原子、メトキシ基またはメチル基を表し、前記R
4~R
6が、メチル基を表す請求項1記載の有機ケイ素化合物。
【請求項3】
構造式(5)
【化2】
(式中、R
3、R
4およびA
2は、前記と同じ意味を表し、A
1’は、メチレンまたはヘキサメチレン基を表す。)
で表されるアルケニル基を有するアミン化合物と、平均構造式(6)
【化3】
(式中、R
1、R
2、R
5、R
6、A
1およびmは、前記と同じ意味を表す。)
で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物とを、白金化合物含有触媒の存在下でヒドロシリル化反応させることを特徴とする請求項1または2記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項4】
請求項1または2記載の有機ケイ素化合物を含む光安定剤。
【請求項5】
請求項1または2記載の有機ケイ素化合物を含む硬化性組成物。
【請求項6】
請求項5記載の硬化性組成物からなるコーティング剤。
【請求項7】
請求項
5記載の硬化性組成物からなる接着剤。
【請求項8】
請求項
5記載の硬化性組成物が硬化してなる硬化物品。
【請求項9】
請求項6記載のコーティング剤が硬化してなる被覆層を有する硬化物品。
【請求項10】
請求項7記載の接着剤が硬化してなる接着層を有する硬化物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ケイ素化合物、その製造方法および硬化性組成物に関し、さらに詳述すると、分子中にオルガノシロキサン構造、加水分解性基およびヒンダードアミン骨格を有する有機ケイ素化合物、その製造方法、並びに当該有機ケイ素化合物を含む硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シランカップリング剤は、無機物に対する反応性を有する部分(Si原子に結合した加水分解性基)と、有機物に対する反応性、溶解性および耐候性等の各種機能を付与可能な部分とを1分子内に併せ持つ化合物であり、無機物と有機物との界面の接着助剤や、無機-有機複合材料への樹脂改質剤として作用するため、複合樹脂改質剤として広く利用されている。
【0003】
一方、樹脂材料は、紫外線等の光の作用によって経時劣化するという問題を有している。このような経時劣化は、樹脂の物理的特性や外観の悪化として、例えば可撓性の悪化や外観不良(硬化物のクラックや黄変、白化)といった現象として現れる。
上記の経時劣化の対応策として、ベンゾトリアゾールやベンゾフェノン等の紫外線吸収剤、ニッケル錯体等の安定化剤、ヒンダードフェノール系、特に2,6-ビス(tert-ブチル)-ヒドロキシトルエン等の酸化防止剤と共に、光安定化、特に耐候性付与に優れた効果を示すことが知られているヒンダードアミン系光安定剤の樹脂材料への配合が検討されている。
【0004】
このヒンダードアミン系光安定剤(HALS)は、樹脂、特に有機系樹脂に対して紫外線等の光の作用による経時劣化を抑制し、有機系樹脂へ耐候性や耐光性を付与可能な樹脂改質剤として広く利用されており、主に2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル基や、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジニル基を含む化合物が種々提案され、従来検討されてきている。
【0005】
しかし、近年では樹脂材料に要求される耐候特性は厳しくなってきており、長期間使用時におけるヒンダードアミン系光安定剤の揮散またはブリード・ブルーム現象による樹脂材料の表面汚染や、それに伴って添加した光安定剤が脱落することにより、安定化効果が充分に持続しないこと等が問題となっている。
これらの問題を解決するため、特許文献1では、樹脂材料または高分子化合物に直接ヒンダードアミン系光安定剤を結合させる方法が開示され、特許文献2では、1分子中に複数のヒンダードアミン系光安定剤を結合させ高分子量化する方法が開示されている。
しかし、これらのヒンダードアミン系光安定剤の耐候性は、未だ充分であるとは言えず、更なる改良が望まれている。
【0006】
一方、特許文献3では、ヒンダードアミン系光安定剤の耐候性を向上するために、ヒンダードアミン系光安定剤に加水分解性シリル基を導入したヒンダードアミン系光安定剤や、ヒンダードアミノ基を含有させたシリコーン重合体が開示されている。
特許文献3の加水分解性シリル基導入ヒンダードアミン系光安定剤は、樹脂と反応して一体化するため、既存のヒンダードアミン系光安定剤に比べて光安定剤のブリード・ブルーム現象は抑制できるものの、樹脂材料との相溶性が高すぎるため、樹脂材料の表面で紫外線劣化を抑制することは困難であった。
また、ヒンダードアミノ基を含有させたシリコーン重合体では、その製法上、最も樹脂材料との反応性が高いアルコキシシリル基が脱アルコール縮合反応で優先して消費されてしまうため、樹脂材料への固定化能力が低く、ブリード・ブルーム現象が生じ易いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-336118号公報
【文献】特開2005-112809号公報
【文献】特許第2961541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、樹脂、特にシリコーン系樹脂に添加するヒンダードアミン系光安定剤等として有効な有機ケイ素化合物およびその製造方法、並びに当該有機ケイ素化合物を含む硬化性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、分子中にオルガノシロキサン構造、加水分解性基およびヒンダードアミン骨格を有する所定の有機ケイ素化合物およびその製造方法を見出すとともに、この有機ケイ素化合物を光安定剤として含む組成物が、紫外線等の光の作用による経時劣化を抑制し、良好な耐候性、耐クラック性および耐ブリード性を発揮し得る硬化物を与えるため、高耐候性の硬化性組成物として好適であることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、
1. 平均構造式(1)で表されることを特徴とする有機ケイ素化合物、
【化1】
(式中、Zは、オルガノシロキサン構造を含む2~20価の基を表し、R
1は、それぞれ独立して、非置換もしくは置換の炭素原子数1~10のアルキル基、または非置換もしくは置換の炭素原子数6~10のアリール基を表し、R
2は、それぞれ独立して、非置換もしくは置換の炭素原子数1~10のアルキル基、または非置換もしくは置換の炭素原子数6~10のアリール基を表し、R
3は、それぞれ独立して、水素原子、非置換もしくは置換の炭素原子数1~20のアルキル基、非置換もしくは置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、またはO・(オキシラジカル)を表し、R
4は、それぞれ独立して、水素原子、または非置換もしくは置換の炭素原子数1~10のアルキル基を表し、A
1は、それぞれ独立して、単結合、またはヘテロ原子を含まない、非置換もしくは置換の炭素原子数1~20のアルキレン基を表し、A
2は、それぞれ独立して、単結合、またはヘテロ原子を含有する2価の連結基を表し、mは、1~3の数であり、pは、1~10の数、qは、1~10の数であり、かつ、p+qは、前記Zの価数に対応して2~20を満たす。)
2. 平均構造式(2)で表される1の有機ケイ素化合物、
【化2】
(式中、R
1~R
4、A
1、A
2およびmは、前記と同じ意味を表し、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、非置換もしくは置換の炭素原子数1~20のアルキル基、または炭素原子数6~10のアリール基を表し、nは、1以上の数を表す。)
3. 構造式(3)で表される1または2の有機ケイ素化合物、
【化3】
(式中、R
1~R
6、A
1、A
2およびmは、前記と同じ意味を表す。)
4. 平均構造式(4)で表される1または2の有機ケイ素化合物、
【化4】
(式中、R
1~R
6、A
1、A
2、mおよびnは、前記と同じ意味を表す。)
5. 構造式(5)
【化5】
(式中、R
3、R
4、A
1およびA
2は、前記と同じ意味を表す。)
で表されるアルケニル基を有するアミン化合物と、平均構造式(6)
【化6】
(式中、R
1、R
2、R
5、R
6、A
1、A
2、mおよびnは、前記と同じ意味を表す。)
で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物とを、白金化合物含有触媒の存在下でヒドロシリル化反応させることを特徴とする1~4のいずれかの有機ケイ素化合物の製造方法、
6. 1~4のいずれかの有機ケイ素化合物を含む光安定剤、
7. 1~4のいずれかの有機ケイ素化合物を含む硬化性組成物、
8. 7の硬化性組成物からなるコーティング剤、
9. 7の硬化性組成物からなる接着剤、
10. 7の硬化性組成物が硬化してなる硬化物品、
11. 8のコーティング剤が硬化してなる被覆層を有する硬化物品、
12. 9の接着剤が硬化してなる接着層を有する硬化物品
を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の有機ケイ素化合物は、分子中にオルガノシロキサン構造と高反応性の加水分解性基およびヒンダードアミン骨格とを有しており、従来のヒンダードアミン系光安定剤に比べ、耐候性、耐クラック性および耐ブリード性に優れるという特性を有している。
このような特性を有する本発明の有機ケイ素化合物を含む組成物は、硬化性組成物、特に、高耐候性の硬化性組成物として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係る有機ケイ素化合物は、平均構造式(1)で表される。
【0013】
【0014】
ここで、R1およびR2は、それぞれ独立して、非置換もしくは置換の炭素原子数1~10のアルキル基、または非置換もしくは置換の炭素原子数6~10のアリール基を表す。
R1およびR2は、耐候性、耐クラック性および耐ブリード性の観点から、好ましくは、炭素原子数1~3のアルキル基である。炭素原子数1~10のアルキル基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、好ましくは直鎖状のアルキル基である。
【0015】
炭素原子数1~10のアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル基等が挙げられるが、これらの中でも、メチル、n-プロピル、n-ヘキシル、n-オクチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
炭素原子数6~10のアリール基の具体例としては、フェニル、ナフチル基等が挙げられるが、フェニル基が好ましい。
【0016】
R3は、それぞれ独立して、水素原子、非置換もしくは置換の炭素原子数1~20のアルキル基、非置換もしくは置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、またはO・(オキシラジカル)を表す。
R3としては、耐候性、耐クラック性および耐ブリード性の観点から、好ましくは、水素原子、炭素原子数1~3のアルキル基である。炭素原子数1~20のアルキル基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、好ましくは直鎖状のアルキル基である。
炭素原子数1~20のアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、ウンデシル、ドデシル、イコシル基等が挙げられるが、これらの中でも、メチル基、n-プロピル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
炭素原子数1~20のアルコキシ基において、その中のアルキル基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよい。
炭素原子数1~20のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、n-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシ、n-ヘプトキシ、n-オクトキシ、n-ノニロキシ、n-デシロキシ、ウンデシロキシ、ドデシロキシ、イコシロキシ基等が挙げられるが、これらの中でも、メトキシ基、エトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
【0017】
R4は、それぞれ独立して、水素原子または非置換もしくは置換の炭素原子数1~10のアルキル基を表す。このアルキル基としては、上記R1で例示した基と同様のものが挙げられるが、中でも、メチル、n-プロピル、n-ヘキシル、n-オクチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
なお、これらR1~R4における、アルキル基、アリール基、アルコキシ基の水素原子の一部または全部は、炭素原子数1~10のアルキル基、F、Cl、Br等のハロゲン原子、シアノ基等で置換されていてもよく、そのような基の具体例としては、3-クロロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-シアノエチル、トリル、キシリル基等が挙げられ、耐候性、耐クラック性および耐ブリード性の観点から、3,3,3-トリフルオロプロピル基が好ましい。
【0018】
A1は、それぞれ独立して、単結合、またはヘテロ原子を含まない、非置換もしくは置換の炭素原子数1~20のアルキレン基を表す。
A1のヘテロ原子を含まない炭素原子数1~20のアルキレン基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、イソプロピレン、テトラメチレン、イソブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、トリデカメチレン、テトラデカメチレン、ペンタデカメチレン、ヘキサデカメチレン、へプタデカメチレン、オクタデカメチレン、ノナデカメチレン、エイコサデシレン基等のアルキレン基;シクロペンチレン、シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基などが挙げられる。
これらの中でも、A1は、単結合、エチレン、トリメチレン、オクタメチレン基が好ましく、単結合、エチレン、トリメチレン基がより好ましい。
なお、A1のアルキレン基の水素原子の一部または全部は、フェニル基等の炭素原子数6~20のアリール基等で置換されていてもよい。
【0019】
A2は、それぞれ独立して、単結合、またはヘテロ原子を含有する2価の連結基を表す。
A2のヘテロ原子を含有する2価の連結基の具体例としては、エーテル結合(-O-)、チオエーテル結合(-S-)、アミノ結合(-NH-)、スルホニル結合(-S(=O)2-)、ホスフィニル結合(-P(=O)OH-)、オキソ結合(-C(=O)-)、チオオキソ結合(-C(=S)-)、エステル結合(-C(=O)O-)、チオエステル結合(-C(=O)S-)、チオノエステル結合(-C(=S)O-)、ジチオエステル結合(-C(=S)S-)、炭酸エステル結合(-OC(=O)O-)、チオ炭酸エステル結合(-OC(=S)O-)、アミド結合(-C(=O)NH-)、チオアミド結合(-C(=S)NH-)、ウレタン結合(-OC(=O)NH-)、チオウレタン結合(-SC(=O)NH-)、チオノウレタン結合(-OC(=S)NH-)、ジチオウレタン結合(-SC(=S)NH-)、尿素結合(-NHC(=O)NH-)、チオ尿素結合(-NHC(=S)NH-)、ケイ素結合(-SiR5R6-、R5およびR6は、後述のR5およびR6と同じ意味を表す。)等が挙げられる。
これらの中でも、A2は、単結合、エーテル結合(-O-)、またはケイ素結合(-SiR5R6-)が好ましい。
なお、A1、A2およびZから形成される基において、酸素原子が連続する構造「-O-O-」となる組み合わせや、ケイ素原子が連続する構造「-Si-Si-」となる組み合わせはとらない。
【0020】
mは、1~3の数であるが、耐ブリード性の観点から2~3が好ましく、3がより好ましい。
pは、1~10の数、qは、1~10の数、かつ、p+qは、Zの価数に対応して2~20を満たす数を表す。
pは、耐候性、耐クラック性および耐ブリード性の観点から1~5が好ましく、1~2がより好ましく、1がより一層好ましい。
qは、耐候性、耐クラック性および耐ブリード性の観点から1~5が好ましく、1~2がより好ましく、1がより一層好ましい。
したがって、p+qは、耐候性、耐クラック性および耐ブリード性の観点から2~10が好ましく、2~4がより好ましく、2がより一層好ましい。
【0021】
Zは、オルガノシロキサン構造を含む2~20価、好ましくは2~10価、より好ましくは2~4価、さらに好ましくは2価の基を表す。
Zは、オルガノシロキサン構造を含む基であれば特に限定されるものではなく、その中に直鎖状構造、分岐状構造、または架橋構造を有していてもよい。
より具体的には、D単位(R1
2SiO2/2単位)、T単位(R1SiO3/2単位)および/またはQ単位(SiO4/2単位)からなるオルガノ(ポリ)シロキサン構造が挙げられる(R1は、上記と同じ意味を表す。)。
これらの単位は、それぞれ単独(D単位のみ、T単位のみ、またはQ単位のみ)でも、複数単位の組み合わせからなるものでもよい。
特に、耐候性、耐クラック性および耐ブリード性の観点から、D単位を含むオルガノポリシロキサン構造が好ましく、D単位単独の2価のオルガノポリシロキサン構造がより好ましい。
【0022】
したがって、本発明の有機ケイ素化合物としては、平均構造式が下記式(2)で表されるものが好ましく、このような化合物を用いることで、さらに良好な耐候性、耐クラック性および耐ブリード性が発揮される。
【0023】
【化8】
(式中、R
1~R
4、A
1、A
2およびmは、上記と同じ意味を表す。)
【0024】
式(2)において、R5およびR6は、それぞれ独立して、非置換もしくは置換の炭素原子数1~20のアルキル基、または炭素原子数6~10のアリール基を表し、これらアルキル基、アリール基としては、上記R3およびR1で例示した基と同様のものが挙げられる。
特に、R5およびR6は、耐候性、耐クラック性および耐ブリード性の観点から、好ましくは、炭素原子数1~3のアルキル基、より好ましくはメチル基である。
また、nは、1以上の数を表すが、耐候性、耐クラック性および耐ブリード性の観点から、1~1,000の数が好ましく、1~100の数がより好ましく、1~50の数がより一層好ましく、1~10の数がさらに好ましい。
【0025】
本発明の有機ケイ素化合物の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、当該化合物を含む硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物に、十分な耐候性、耐クラック性および耐ブリード性を付与することを考慮すると、重量平均分子量400~10万が好ましく、400~1万がより好ましく、400~5,000がより一層好ましく、400~1,000がさらに好ましい。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値である。
【0026】
特に本発明の有機ケイ素化合物としては、下記構造式(3)または(4)で表されるものが好ましく、このような有機ケイ素化合物を用いることで、耐候性、耐クラック性および耐ブリード性がさらに良好となる。
【0027】
【化9】
(式中、R
1~R
6、A
1、A
2、mおよびnは、上記と同じ意味を表す。)
【0028】
本発明の式(1)で表される有機ケイ素化合物は、従来公知の手法によって製造することができる。
例えば、上記式(2)で表される有機ケイ素化合物は、下記構造式(5)で表される、アルケニル基を有するアミン化合物と、平均構造式(6)で表される、オルガノシロキサン構造を有するシラン化合物とを反応させて得ることができる。
より具体的には、アルケニル基を有するアミン化合物(5)のアルケニル基と、オルガノシロキサン構造を有するシラン化合物(6)のヒドロシリル基(Si-H基)を、白金化合物含有触媒の存在下でヒドロシリル化反応を行い、アルケニル基にヒドロシリル基を付加させて炭素-ケイ素結合を形成する。
【0029】
【化10】
(式中、R
1~R
6、A
1、A
2、mおよびnは、上記と同じ意味を表す。)
【0030】
上記式(5)で表されるアルケニル基を有するアミン化合物の具体例としては、下記構造式で表されるもの等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
【0032】
上記式(6)で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物の具体例としては、下記構造式で表されるもの等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、括弧が付されたシロキサン単位の繰り返し数は平均の数を表し、また、複数の異なる種類のシロキサン単位から構成される場合において、括弧内の各シロキサン単位の配列順は任意である。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
上記ヒドロシリル化で用いられる白金化合物含有触媒は特に限定されるものではなく、その具体例としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のトルエンまたはキシレン溶液、テトラキストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビスアセトニトリル白金、ジクロロビスベンゾニトリル白金、ジクロロシクロオクタジエン白金、白金-炭素、白金-アルミナ、白金-シリカ等の担持触媒などが挙げられる。
これらの中でも、選択性の面から、0価の白金錯体が好ましく、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のトルエンまたはキシレン溶液がより好ましい。
【0039】
白金化合物含有触媒の使用量は特に限定されるものではないが、反応性、生産性の点から、式(5)で表されるアルケニル基を有するアミン化合物1molに対し、含有される白金原子が1×10-7~1×10-2molとなる量が好ましく、1×10-7~1×10-3molとなる量がより好ましい。
【0040】
また、ヒドロシリル化の反応性向上のため助触媒を使用してもよい。この助触媒としては、一般的にヒドロシリル化に用いられている助触媒を使用できるが、本発明では、無機酸のアンモニウム塩、酸アミド化合物、カルボン酸が好ましい。
無機酸のアンモニウム塩の具体例としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、アミド硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸二水素一アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ジ亜リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫化アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、ホウフッ化アンモニウム等が挙げられるが、中でも、pKaが2以上の無機酸のアンモニウム塩が好ましく、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムがより好ましい。
【0041】
酸アミド化合物の具体例としては、ホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、アクリルアミド、マロンアミド、スクシンアミド、マレアミド、フマルアミド、ベンズアミド、フタルアミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド等が挙げられ、これらの中でも、ホルムアミド、ステアリン酸アミドが好ましく、ホルムアミドがより好ましい。
カルボン酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、メトキシ酢酸、ペンタン酸、カプロン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、乳酸、グリコール酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸等が挙げられ、これらの中でも、ギ酸、酢酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、トリフルオロ酢酸が好ましく、酢酸、トリフルオロ酢酸がより好ましい。
【0042】
助触媒の使用量は特に限定されるものではないが、反応性、選択性、コスト等の観点から、式(5)で表されるアルケニル基を有するアミン化合物1molに対して1×10-5~1×10-1molが好ましく、1×10-4~5×10-1molがより好ましい。
【0043】
なお、上記ヒドロシリル化反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。
使用可能な溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒などが挙げられ、これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0044】
上記ヒドロシリル化反応における反応温度は特に限定されるものではなく、0℃から加熱下で行うことができるが、0~200℃が好ましい。
適度な反応速度を得るためには加熱下で反応させることが好ましく、このような観点から、反応温度は40~110℃がより好ましく、40~90℃がより一層好ましい。
また、反応時間も特に限定されるものではなく、通常、1~60時間程度であるが、1~30時間が好ましく、1~20時間がより好ましい。
【0045】
アルケニル基を有するアミン化合物(5)のアルケニル基と、オルガノシロキサン構造を有するシラン化合物(6)のヒドロシリル基との反応割合は、ヒドロシリル化反応時の副生物を抑制するとともに、得られる有機ケイ素化合物の保存安定性や特性を高めることを考慮すると、上記ヒドロシリル基1molに対し、上記アルケニル基が0.8~1.3molとなる割合が好ましく、0.9~1.2molとなる割合がより好ましい。
【0046】
本発明の光安定剤は、上述した平均構造式(1)で表される有機ケイ素化合物(以下、有機ケイ素化合物(1)という)を少なくとも1種含有するものである。
有機ケイ素化合物(1)は、それ単独で光安定剤として使用することもできるが、安定化剤等の添加剤、溶媒等の任意成分を適宜混合した組成物として使用することもできる。
この組成物において、有機ケイ素化合物(1)の含有量は特に限定されるものではないが、例えば、90質量%以上、70質量%以上、50質量%以上、30質量%以上、10質量%以上、5質量%以上、1質量%以上等で適宜設定できる。
【0047】
本発明の硬化性組成物、コーティング剤組成物および接着剤組成物(以下、まとめて組成物という場合もある)は、本発明の有機ケイ素化合物(1)を含む。
有機ケイ素化合物(1)は、当該有機ケイ素化合物の構造に由来し、従来の光安定剤に比べ、これを含有する組成物を用いて得られる硬化物の耐候性、耐クラック性および耐ブリード性を向上させる。
本発明の組成物において、有機ケイ素化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、組成物中に、0.1~10質量%程度が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。なお、光安定剤が溶剤を含む場合、上記含有量は、溶剤を除いた不揮発分を意味する。
【0048】
本発明の組成物は、主剤(ベース樹脂)として樹脂を含むものが好ましい。樹脂としては、有機系樹脂またはシリコーン系樹脂が挙げられる。
有機系樹脂としては、特に限定されるものではなく、その具体例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート類およびポリカーボネートブレンド、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-スチレン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、重合性反応基含有ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとのブレンド、セルロースアセテートブチレート、ポリエチレン樹脂等から用途等に応じて適宜選択すればよい。
この場合、用いる有機系樹脂に応じて適宜な硬化剤を配合してもよく、例えば、エポキシ樹脂を用いる場合にはイミダゾール化合物等の硬化剤を配合することができる。
また、使用目的に応じて、硬化触媒、接着性改良剤、紫外線吸収剤、光安定剤、保存安定性改良剤、可塑剤、充填剤、顔料、溶剤等の各種添加剤を添加してもよい。
【0049】
また、本発明の組成物は、主剤(ベース樹脂)としてシリコーン系樹脂を含むものが好ましい。シリコーン系樹脂としては、特に限定されるものではなく、市販品として入手可能なものでも良い。その具体例としては、信越化学工業(株)製 X-40-9250、X-40-9246、X-40-9225、KR-500、KR-515、KC-89S、KR-401N、X-40-9227、KR-510、KR-9218、KR-400、X-40-2327、KR-401等が挙げられる。
また、使用目的に応じて、硬化触媒、接着性改良剤、紫外線吸収剤、光安定剤、保存安定性改良剤、可塑剤、充填剤、顔料、溶剤等の各種添加剤を添加してもよい。
【0050】
上記シリコーン系樹脂を用いる場合、上記硬化触媒は、シリコーン系樹脂および本発明の有機ケイ素化合物に含まれる加水分解性基が空気中の水分で加水分解縮合される反応、またはシリコーン系樹脂および当該有機ケイ素化合物とシラノール基との脱アルコール反応を促進し、組成物の硬化を促進させる成分であり、効率的に硬化させるために添加される。
【0051】
硬化触媒としては、一般的な湿気縮合硬化型組成物の硬化に用いられる硬化触媒であれば特に限定されるものではなく、その具体例としては、ジブチル錫オキシド、ジオクチル錫オキシド等のアルキル錫化合物;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、ジオクチル錫ジオクトエート、ジオクチル錫ジバーサテート等のアルキル錫エステル化合物;テトライソプロポキシチタン、テトラn-ブトキシチタン、テトラt-ブトキシチタン、テトラキス(2-エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコール等のチタン酸エステル、およびチタンキレート化合物並びにそれらの部分加水分解物;ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛-2-エチルオクトエート、鉄-2-エチルヘキソエート、コバルト-2-エチルヘキソエート、マンガン-2-エチルヘキソエート、ナフテン酸コバルト、三水酸化アルミニウム、アルミニウムアルコラート、アルミニウムアシレート、アルミニウムアシレートの塩、アルミノシロキシ化合物、アルミニウムキレート化合物等の有機金属化合物;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、N,N′-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エタン-1,2-ジアミン、N,N′-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]エタン-1,2-ジアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノアルキル基置換アルコキシシラン;ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミン、テトラメチルグアニジン等のアミン化合物およびその塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の第4級アンモニウム塩;酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、シュウ酸リチウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩;ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のジアルキルヒドロキシルアミン;テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリエトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチルジエトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等のグアニジル基を含有するシランおよびシロキサン;N,N,N’,N’,N'',N''-ヘキサメチル-N'''-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-ホスホリミディックトリアミド等のホスファゼン塩基を含有するシランおよびシロキサン等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上の組み合わせて用いてもよい。
【0052】
これらの中でも、より反応性に優れることから、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、テトライソプロポキシチタン、テトラn-ブトキシチタン、テトラt-ブトキシチタン、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N′-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エタン-1,2-ジアミン、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシランが好ましく、組成物の硬化性の観点からテトライソプロポキシチタン、テトラn-ブトキシチタン、テトラt-ブトキシチタン、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)がより好ましく、テトラn-ブトキシチタン、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)がより一層好ましく、組成物の硬化性の観点からテトラn-ブトキシチタンが特に好ましい。
【0053】
硬化触媒の添加量は、特に限定されるものではないが、硬化速度を適切な範囲に調整して作業性を向上させることを考慮すると、主剤(ベース樹脂)成分100質量部に対して、0.01~15質量部が好ましく、0.1~5質量部がより好ましい。
【0054】
以上説明した本発明のコーティング組成物を固体基材の表面に塗布し、硬化させて被覆層を形成することで被覆固体基材が得られ、また、本発明の接着剤組成物を固体基材の表面に塗布し、さらにその上に他の固体基材を積層した後、組成物を硬化させて接着層を形成することで接着積層体が得られる。
各組成物の塗布方法は特に限定されず、その具体例としては、スプレーコート、スピンコート、ディップコート、ローラーコート、刷毛塗り、バーコート、フローコート等の公知の方法から適宜選択して用いることができる。
【0055】
固体基材としては特に限定されず、その具体例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート類およびポリカーボネートブレンド等のポリカーボネート樹脂、ポリ(メタクリル酸メチル)等のアクリル系樹脂、ポリ(エチレンテレフタレート)やポリ(ブチレンテレフタレート)、不飽和ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体樹脂、スチレン-アクリロニトリル-ブタジエン共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルのブレンド、セルロースアセテートブチレート、ポリエチレン樹脂等の有機樹脂基材;鉄板、銅板、鋼板等の金属基材;塗料塗布面;ガラス;セラミック;コンクリート;スレート板;テキスタイル;木材、石材、瓦、(中空)シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ等の無機フィラー;ガラス繊維をはじめとしたガラスクロス、ガラステープ、ガラスマット、ガラスペーパー等のガラス繊維製品などが挙げられ、基材の材質および形状については特に限定されるものではない。
【0056】
本発明の組成物は、雰囲気中の水分と接触することで、シリコーン系樹脂および本発明の有機ケイ素化合物の加水分解縮合反応、またはシリコーン系樹脂および当該有機ケイ素化合物とシラノール基との脱アルコール反応が進行する。雰囲気中の水分の指標としては10~100%RHの任意の湿度でよく、一般に、湿度が高い程早く加水分解が進行するため、所望により雰囲気中に水分を加えてもよい。
硬化反応温度および時間は、使用する基材、水分濃度、触媒濃度、および加水分解性基の種類等の因子に応じて適宜変更し得る。硬化反応温度は通常、作業性等の観点から25℃付近の常温であることが好ましいが、硬化反応を促進するために、使用する基材の耐熱温度を超えない範囲内に加熱して硬化させてもよい。硬化反応時間は通常、作業性等の観点から1分から1週間程度である。
【0057】
本発明の組成物は、常温でも良好に硬化が進行するため、特に、現場施工などで室温硬化が必須となる場合でも、数分から数時間で塗膜表面のベタツキ(タック)がなくなり、硬化性および作業性に優れているが、基材の耐熱温度を超えない範囲内に加熱処理を行っても構わない。
【実施例】
【0058】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、下記において、各生成物の粘度は、オストワルド粘度計による25℃における測定値であり、分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)測定により求めたポリスチレン換算の重量平均分子量である。また、各生成物のシリコーン平均組成は、日本電子(株)製300MHz-NMR測定装置を用いて、1H-NMRおよび29Si-NMRにおける検出スペクトルの積分値から算出した。
【0059】
[1]有機ケイ素化合物の合成
[実施例1-1]有機ケイ素化合物1の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた300mLセパラブルフラスコに、下記式(7)で表されるアルケニル基を有するアミン化合物65.0g、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液0.58g(アルケニル基を有するアミン化合物1molに対し白金原子として5.0×10-5mol)を納め、80℃に加熱した。その中に、下記式(8)で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物83.8gを滴下投入し、80℃にて2時間加熱撹拌した。1H-NMR測定により原料のアルケニル基およびヒドロシリル基由来のピークが完全に消失したことを確認し、反応終了とした。反応終了後の混合物について減圧留去(80℃、5mmHg)を1時間実施し、濾過することで、対応する有機ケイ素化合物1を148g得た。
得られた有機ケイ素化合物1は、淡黄色透明液体であり、粘度13mm2/s、重量平均分子量480、また下記式(9)で表されるものであった。
【0060】
【0061】
【0062】
[実施例1-2]有機ケイ素化合物2の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた300mLセパラブルフラスコに、下記式(10)で表されるアルケニル基を有するアミン化合物69.6g、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液0.58g(アルケニル基を有するアミン化合物1molに対し白金原子として5.0×10-5mol)を納め、80℃に加熱した。その中に、上記式(8)で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物83.8gを滴下投入し、80℃にて2時間加熱撹拌した。1H-NMR測定により原料のアルケニル基およびヒドロシリル基由来のピークが完全に消失したことを確認し、反応終了とした。反応終了後の混合物について減圧留去(80℃、5mmHg)を1時間実施し、濾過することで、対応する有機ケイ素化合物2を152g得た。
得られた有機ケイ素化合物2は、黄色透明液体であり、粘度15mm2/s、重量平均分子量490、また下記式(11)で表されるものであった。
【0063】
【0064】
【0065】
[実施例1-3]有機ケイ素化合物3の合成
上記式(7)で表されるアルケニル基を有するアミン化合物65.0gを、下記式(12)で表されるアルケニル基を有するアミン化合物74.9gに変更した以外は、実施例1-1と同様の手順で合成し、対応する有機ケイ素化合物3を156g得た。
得られた有機ケイ素化合物3は、黄色透明液体であり、粘度17mm2/s、重量平均分子量510、また下記式(13)で表されるものであった。
【0066】
【0067】
【0068】
[実施例1-4]有機ケイ素化合物4の合成
上記式(7)で表されるアルケニル基を有するアミン化合物65.0gを、下記式(14)で表されるアルケニル基を有するアミン化合物69.3gに変更した以外は、実施例1-1と同様の手順で合成し、対応する有機ケイ素化合物4を151g得た。
得られた有機ケイ素化合物4は、褐色透明液体であり、粘度25mm2/s、重量平均分子量490、また下記式(15)で表されるものであった。
【0069】
【0070】
【0071】
[実施例1-5]有機ケイ素化合物5の合成
上記式(7)で表されるアルケニル基を有するアミン化合物65.0gを、下記式(16)で表されるアルケニル基を有するアミン化合物92.8gに変更した以外は、実施例1-1と同様の手順で合成し、対応する有機ケイ素化合物5を175g得た。
得られた有機ケイ素化合物5は、淡黄色透明液体であり、粘度20mm2/s、重量平均分子量560、また下記式(17)で表されるものであった。
【0072】
【0073】
【0074】
[実施例1-6]有機ケイ素化合物6の合成
上記式(8)で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物83.8gを、下記式(18)で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物108.8gに変更した以外は、実施例1-2と同様の手順で合成し、対応する有機ケイ素化合物6を177g得た。
得られた有機ケイ素化合物6は、淡黄色透明液体であり、粘度18mm2/s、重量平均分子量580、また下記式(19)で表されるものであった。
【0075】
【0076】
【0077】
[実施例1-7]有機ケイ素化合物7の合成
上記式(8)で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物83.8gを、下記式(20)で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物96.3gに変更した以外は、実施例1-2と同様の手順で合成し、対応する有機ケイ素化合物7を164g得た。
得られた有機ケイ素化合物7は、黄色透明液体であり、粘度16mm2/s、重量平均分子量540、また下記式(21)で表されるものであった。
【0078】
【0079】
【0080】
[実施例1-8]有機ケイ素化合物8の合成
上記式(8)で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物83.8gを、下記式(22)で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物79.1gに変更した以外は、実施例1-2と同様の手順で合成し、対応する有機ケイ素化合物8を147g得た。
得られた有機ケイ素化合物8は、淡黄色透明液体であり、粘度13mm2/s、重量平均分子量480、また下記式(23)で表されるものであった。
【0081】
【0082】
【0083】
[実施例1-9]有機ケイ素化合物9の合成
上記式(8)で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物83.8gを、下記平均構造式(24)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有するシラン化合物124.2gに変更した以外は、実施例1-2と同様の手順で合成し、対応する有機ケイ素化合物9を192g得た。
得られた有機ケイ素化合物9は、淡黄色透明液体であり、粘度24mm2/s、重量平均分子量630、また下記平均構造式(25)で表されるものであった。
【0084】
【0085】
【0086】
[実施例1-10]有機ケイ素化合物10の合成
上記式(8)で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物83.8gを、下記平均構造式(26)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有するシラン化合物136.7gに変更した以外は、実施例1-2と同様の手順で合成し、対応する有機ケイ素化合物10を204g得た。
得られた有機ケイ素化合物10は、黄色透明液体であり、粘度26mm2/s、重量平均分子量670、また下記平均構造式(27)で表されるものであった。
【0087】
【0088】
【0089】
[実施例1-11]有機ケイ素化合物11の合成
上記式(8)で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物83.8gを、下記平均構造式(28)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有するシラン化合物119.5gに変更した以外は、実施例1-2と同様の手順で合成し、対応する有機ケイ素化合物11を187g得た。
得られた有機ケイ素化合物11は、黄色透明液体であり、粘度21mm2/s、重量平均分子量610、また下記平均構造式(29)で表されるものであった。
【0090】
【0091】
【0092】
[実施例1-12]有機ケイ素化合物12の合成
上記式(8)で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物83.8gを、下記平均構造式(30)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有するシラン化合物190.2gに変更した以外は、実施例1-2と同様の手順で合成し、対応する有機ケイ素化合物12を257g得た。
得られた有機ケイ素化合物12は、淡黄色透明液体であり、粘度33mm2/s、重量平均分子量850、また下記平均構造式(31)で表されるものであった。
【0093】
【0094】
【0095】
[実施例1-13]有機ケイ素化合物13の合成
上記式(8)で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物83.8gを、下記平均構造式(32)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有するシラン化合物256.1gに変更し、300mLセパラブルフラスコを500mLセパラブルフラスコに変更した以外は、実施例1-2と同様の手順で合成し、対応する有機ケイ素化合物13を323g得た。
得られた有機ケイ素化合物13は、淡黄色透明液体であり、粘度45mm2/s、重量平均分子量1,080、また下記平均構造式(33)で表されるものであった。
【0096】
【0097】
【0098】
[実施例1-14]有機ケイ素化合物14の合成
上記式(8)で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物83.8gを、下記平均構造式(34)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有するシラン化合物717.9gに変更し、300mLセパラブルフラスコを1Lセパラブルフラスコに変更した以外は、実施例1-2と同様の手順で合成し、対応する有機ケイ素化合物14を780g得た。
得られた有機ケイ素化合物14は、淡黄色透明液体であり、粘度150mm2/s、重量平均分子量2,630、また下記平均構造式(35)で表されるものであった。
【0099】
【0100】
【0101】
[実施例1-15]有機ケイ素化合物15の合成
上記式(8)で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物83.8gを、下記平均構造式(36)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有するシラン化合物2,235.3gに変更し、300mLセパラブルフラスコを3Lセパラブルフラスコに変更した以外は、実施例1-2と同様の手順で合成し、対応する有機ケイ素化合物15を2,282g得た。
得られた有機ケイ素化合物15は、淡黄色透明液体であり、粘度360mm2/s、重量平均分子量7,750、また下記平均構造式(37)で表されるものであった。
【0102】
【0103】
【0104】
[実施例1-16]有機ケイ素化合物16の合成
上記式(8)で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物83.8gを、下記平均構造式(38)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有するシラン化合物83.8gに変更した以外は、実施例1-2と同様の手順で合成し、対応する有機ケイ素化合物16を150g得た。
得られた有機ケイ素化合物16は、淡黄色透明液体であり、粘度36mm2/s、重量平均分子量990、また下記平均構造式(39)で表されるものであった。
【0105】
【化47】
(式中、シロキサン単位の配列順は不定である。)
【0106】
【化48】
(式中、シロキサン単位の配列順は不定である。)
【0107】
[実施例1-17]有機ケイ素化合物17の合成
上記式(8)で表されるオルガノシロキサン構造を有するシラン化合物83.8gを、下記平均構造式(40)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有するシラン化合物33.5gに変更した以外は、実施例1-2と同様の手順で合成し、対応する有機ケイ素化合物17を102g得た。
得られた有機ケイ素化合物17は、淡黄色透明液体であり、粘度95mm2/s、重量平均分子量2,270、また下記平均構造式(41)で表されるものであった。
【0108】
【化49】
(式中、シロキサン単位の配列順は不定である。)
【0109】
【化50】
(式中、シロキサン単位の配列順は不定である。)
【0110】
[2]コーティング用組成物および硬化被膜(硬化物品)の作製
[実施例2-1]
主剤(ベース樹脂)であるシリコーン系樹脂(信越化学工業(株)製,KR-500)100質量部、光安定剤である上記実施例1-1で得られた有機ケイ素化合物1 2質量部、硬化触媒であるテトラn-ブトキシチタン2質量部を、撹拌機を用いて均一に混合し、コーティング用組成物を調製した。
得られたコーティング用組成物を、25℃、50%RHの空気下でバーコーターNo.14を用いてガラス板に塗布し、25℃、50%RHの空気下で1週間硬化・乾燥させ、硬化被膜を作製した。
【0111】
[実施例2-2~2-17]
有機ケイ素化合物1を、上記実施例1-2~1-17で得られた有機ケイ素化合物2~17にそれぞれ変更した以外は、実施例2-1と同様にしてコーティング用組成物および硬化被膜を作製した。
【0112】
[実施例2-18]
シリコーン系樹脂(信越化学工業(株)製,KR-500)を、シリコーン系樹脂(信越化学工業(株)製,KR-401)に変更し、かつ硬化触媒であるテトラn-ブトキシチタンを用いなかった以外は、実施例2-2と同様にしてコーティング用組成物および硬化被膜を作製した。
【0113】
[実施例2-19]
有機ケイ素化合物2を、実施例1-9で得られた有機ケイ素化合物9に変更した以外は、実施例2-18と同様にしてコーティング用組成物および硬化被膜を作製した。
【0114】
[比較例2-1~2-2]
有機ケイ素化合物1を、下記式(42)または(43)で表される光安定剤にそれぞれ変更した以外は、実施例2-1と同様にしてコーティング用組成物および硬化被膜を作製した。
【0115】
【0116】
[比較例2-3]
有機ケイ素化合物1を用いなかった以外は、実施例2-1と同様にしてコーティング用組成物および硬化被膜を作製した。
【0117】
[比較例2-4]
有機ケイ素化合物2を用いなかった以外は、実施例2-18と同様にしてコーティング用組成物および硬化被膜を作製した。
【0118】
上記実施例2-1~2-19および比較例2-1~2-4で作製した硬化被膜について下記の評価を実施した。それらの結果を表1~3に併せて示す。
〔耐候性〕
上記塗布方法にてガラス板に硬化被膜を形成した試験片に対し、25℃、50%RHの空気下で殺菌灯を用いて2週間UV照射(積算照射量26,000mJ/cm3)を行った。その際の硬化被膜の黄変度合をJIS K 7373に基づき、色度計(日本電色工業(株)製、Z-300A)を用いてΔYI(黄変度=黄色度YIの変化幅)で評価した。値が小さいほど耐候性は良好であることを示す。
〔耐クラック性〕
上記塗布方法にてガラス板に硬化被膜を形成した試験片に対し、25℃、50%RHの空気下で殺菌灯を用いて2週間UV照射(積算照射量26,000mJ/cm3)を行った。その際の硬化被膜のクラック(ひび割れ)の有無を肉眼で観察した。
クラックが全く観測されなかった場合には、耐クラック性に優れるものとして「○」と評価した。クラックが1本観測された場合には「△」と評価した。クラックが2本以上観測された場合には「×」と評価した。
〔耐ブリード性〕
上記塗布方法にてガラス板に硬化被膜を形成した試験片に対し、25℃、50%RHの空気下で殺菌灯を用いて2週間UV照射(積算照射量26,000mJ/cm3)を行った。その際の硬化被膜に対し、ブリードアウト成分の有無を肉眼で観察した。
ブリードアウト成分が全く観測されなかった場合には、耐ブリード性に優れるものとして「○」と評価した。ブリードアウト成分が観測された場合には「×」と評価した。
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
表1~3に示されるように、実施例1-1~1-17で得られた有機ケイ素化合物1~17を光安定剤として用いた実施例2-1~2-19で作製した硬化被膜は、各比較例で作製した硬化被膜に比べ、耐候性、耐クラック性および耐ブリード性に優れていることがわかる。
一方、比較例2-1~2-4で作製した硬化被膜は、耐候性、耐クラック性および耐ブリード性において不十分な点がある。
【0123】
以上説明したとおり、本発明の有機ケイ素化合物を用いることにより、従来の光安定剤では達成困難であった、耐候性、耐クラック性および耐ブリード性に優れた硬化被膜を得ることができる。