(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】アンテナ装置、車両用窓ガラス及び窓ガラス構造
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/40 20060101AFI20220913BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20220913BHJP
H01Q 5/378 20150101ALI20220913BHJP
H01Q 21/28 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
H01Q9/40
H01Q1/22 C
H01Q5/378
H01Q21/28
(21)【出願番号】P 2019569555
(86)(22)【出願日】2019-01-31
(86)【国際出願番号】 JP2019003416
(87)【国際公開番号】W WO2019151407
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】P 2018017048
(32)【優先日】2018-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018218345
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】東海林 英明
(72)【発明者】
【氏名】竹内 彰一
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-167680(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01091444(EP,A1)
【文献】特開2011-239094(JP,A)
【文献】特開2002-050924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/40
H01Q 1/22
H01Q 5/378
H01Q 21/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部と、前記第1の端部とは反対側の第2の端部とを有し、前記第1の端部と前記第2の端部との間に第1の給電部が設けられる第1の導体板と、
前記第1の給電部に接続される第3の端部と、前記第1の導体板から離れた箇所に位置する第4の端部と、前記第1の導体板に平行な方向の幅が前記第3の端部から前記第4の端部に向かうにつれて拡がる板面とを有する第2の導体板と、
前記第4の端部と容量結合する第5の端部と、前記第1の給電部に対して前記第1の端部の側で前記第1の導体板に接続される第6の端部と、前記板面と対向する対向部分とを有する第3の導体板とを備え
、
前記第2の導体板は、第1の動作周波数で共振し、前記第3の端部から前記第4の端部までの第1の電気長を有し、
前記第1の導体板と前記第3の導体板は、前記第1の動作周波数よりも低い第2の動作周波数で共振し、前記第5の端部から前記第6の端部を経由して前記第2の端部までの第2の電気長を有する、アンテナ装置。
【請求項2】
第1の端部と、前記第1の端部とは反対側の第2の端部とを有し、前記第1の端部と前記第2の端部との間に第1の給電部が設けられる第1の導体板と、
前記第1の給電部に接続される第3の端部と、前記第1の導体板から離れた箇所に位置する第4の端部と、前記第1の導体板に平行な方向の幅が前記第3の端部から前記第4の端部に向かうにつれて拡がる板面とを有する第2の導体板と、
前記第4の端部と容量結合する第5の端部と、前記第1の給電部に対して前記第1の端部の側で前記第1の導体板に接続される第6の端部と、前記板面と対向する対向部分とを有する第3の導体板とを備え
、
前記対向部分は、前記板面と平行である、アンテナ装置。
【請求項3】
前記第2の導体板は、第1の動作周波数で共振し、前記第3の端部から前記第4の端部までの第1の電気長を有し、
前記第1の導体板と前記第3の導体板は、前記第1の動作周波数よりも低い第2の動作周波数で共振し、前記第5の端部から前記第6の端部を経由して前記第2の端部までの第2の電気長を有する、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1の電気長は、前記第1の動作周波数の4分の1波長である、請求項
1又は3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第2の電気長は、前記第2の動作周波数の4分の1波長である、請求項
1,3,4のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記対向部分と前記板面とは、前記第1の動作周波数の4分の1波長の電気長離れている、請求項
1,3,4,5のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記対向部分は、開口部を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記開口部には、前記第1の給電部に接続される第1の給電ラインが通る、請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第3の導体板は、前記第1の導体板と向き合う第2の対向部分を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記第2の対向部分は、前記第1の導体板と平行である、請求項9に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記板面の形状は、前記第1の給電部を通る仮想線に関して線対称である、請求項1から10のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記板面は、半円形状を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記第2の導体板は、前記第4の端部が前記第5の端部に近接するように折れ曲がる、請求項1から12のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記第3の端部から前記第4の端部までの導体長は、100mm以下である、請求項1から13のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記第1の給電部は、前記板面に平行な方向において、前記第1の導体板の中央部に位置する、請求項1から14のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項16】
前記第1の給電部は、整合回路を介して同軸ケーブルに接続される、請求項1から15のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項17】
前記第1の給電部は、分波器を介して同軸ケーブルに接続される、請求項1から16のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項18】
前記板面に対して前記第2の端部の側に設けられるアンテナと、
前記第1の導体板に設けられ、前記アンテナに給電する第2の給電部とを備え、
前記第2の給電部は、前記第2の端部と前記第1の給電部との間に位置する、請求項1から17のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項19】
前記第2の端部から前記第
1の給電部までの最短距離をA、前記第2の端部から前記第2の給電部までの最短距離をBとするとき、
B/Aは、0.15以上0.40以下である、請求項18に記載のアンテナ装置。
【請求項20】
前記アンテナは、前記第1の導体板に平行な方向の幅が前記第1の導体板から離れるにつれて拡がる板面を有する、請求項18又は19に記載のアンテナ装置。
【請求項21】
前記第2の給電部に接続される第2の給電ラインは、前記第2の給電部と前記第1の端部との間の領域を通る、請求項18から20のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項22】
車両の窓用のガラス板と、前記ガラス板に少なくとも一つ取り付けられる請求項1から21のいずれか一項に記載のアンテナ装置とを備える、車両用窓ガラス。
【請求項23】
車両用のフロントガラスと、車両用のリアガラスと、前記フロントガラスと前記リアガラスとのそれぞれに少なくとも一つずつ取り付けられる請求項1から21のいずれか一項に記載のアンテナ装置とを備える、窓ガラス構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置、車両用窓ガラス及び窓ガラス構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、4G LTEから5G(sub6)への移行など、高速・大容量の通信インフラが拡大する動きが出てきており、従来の700MHz~3GHz帯域の利用に加え、さらに6GHz帯域まで、その使用帯域が広がる傾向にある。一方、4G LTEのグローバルで使用される周波数帯には、主に698~960MHz、1790~2690MHzが要求されている。したがって、4Gと5Gのどちらにも対応したアンテナとして、700MHzから6GHzまでの広帯域において受信可能なアンテナが要求されている。
【0003】
例えば、広帯域にわたって受信可能なUWB(Ultra Wide Band)アンテナとして、グランド板上に立設する扇形の放射素子を有するアンテナが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、グランド板上に立設する扇形の放射素子を有するUWBアンテナが受信可能な周波数は、その放射素子の外縁部分の長さによってほとんど決まってしまう。そのため、従来の技術では、受信可能な周波数の広帯域化を更に図ることは難しい。
【0006】
そこで、本開示は、受信可能な周波数の広帯域化が容易なアンテナ装置、並びに当該アンテナ装置を少なくとも一つ備える車両用窓ガラス及び窓ガラス構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、
第1の端部と、前記第1の端部とは反対側の第2の端部とを有し、前記第1の端部と前記第2の端部との間に第1の給電部が設けられる第1の導体板と、
前記第1の給電部に接続される第3の端部と、前記第1の導体板から離れた箇所に位置する第4の端部と、前記第1の導体板に平行な方向の幅が前記第3の端部から前記第4の端部に向かうにつれて拡がる板面とを有する第2の導体板と、
前記第4の端部と容量結合する第5の端部と、前記第1の給電部に対して前記第1の端部の側で前記第1の導体板に接続される第6の端部と、前記板面と対向する対向部分とを有する第3の導体板とを備え、
前記第2の導体板は、第1の動作周波数で共振し、前記第3の端部から前記第4の端部までの第1の電気長を有し、
前記第1の導体板と前記第3の導体板は、前記第1の動作周波数よりも低い第2の動作周波数で共振し、前記第5の端部から前記第6の端部を経由して前記第2の端部までの第2の電気長を有する、アンテナ装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、受信可能な周波数の広帯域化が容易なアンテナ装置、並びに当該アンテナ装置を少なくとも一つ備える車両用窓ガラス及び窓ガラス構造の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態おけるアンテナ装置の構成の一例を示す斜視図である。
【
図2】給電部に接続される給電ラインの第一例を示す図である。
【
図3】給電部に接続される給電ラインの第二例を示す図である。
【
図6】アンテナ装置付き車両用窓ガラスの構成の一例を模式的に示す断面図である。
【
図7】アンテナ装置の低周波数帯における垂直面での放射パターンの一例を示す。
【
図8】アンテナ装置の低周波数帯における水平面での放射パターンの一例を示す。
【
図9】アンテナ装置の高周波数帯における垂直面での放射パターンの一例を示す。
【
図10】アンテナ装置の高周波数帯における水平面での放射パターンの一例を示す。
【
図11】アンテナ装置のVSWR(定在波比)の周波数特性の一例を示す。
【
図12】水平面での平均化利得の周波数特性(699~7100MHz)の一例を示す。
【
図13】本実施形態におけるアンテナ装置の構成の第1の変形例を示す斜視図である。
【
図14】本実施形態におけるアンテナ装置の構成の第2の変形例を示す斜視図である。
【
図15】本実施形態におけるアンテナ装置の構成の第3の変形例を示す斜視図である。
【
図16】本実施形態におけるアンテナ装置の構成の第4の変形例を示す斜視図である。
【
図17】第1の変形例に係るアンテナ装置のVSWR(定在波比)の周波数特性の一例を示す。
【
図18】第1の変形例に係るアンテナ装置の水平面での放射パターンの一例を示す。
【
図19】第1の変形例に係るアンテナ装置の相関係数の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。なお、各形態において、平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右などの方向には、本発明の効果を損なわない程度のずれが許容される。また、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は、それぞれ、X軸に平行な方向、Y軸に平行な方向、Z軸に平行な方向を表す。X軸方向とY軸方向とZ軸方向は、互いに直交する。なお、アンテナ装置とアンテナは、同義である。
【0011】
図1は、本実施形態におけるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。
図1に示されるアンテナ装置101は、導体板10と、導体板20と、導体板30とを備える。
【0012】
導体板10は、第1の導体板の一例である。導体板10には、導体板10をグランド基準とする給電部3が設けられている。給電部3は、第1の給電部の一例であり、アンテナ装置101の給電点を表す。本実施形態では、導体板10は、端部13と、端部13とは反対側の端部14とを有する。端部13と端部14とは、X軸方向において互いに離れて位置する。給電部3は、端部13と端部14との間に設けられている。導体板10は、給電部3から端部13に向かって延在する第1の板面部12と、給電部3から端部14に向かって延在する第2の板面部11とを有する。
【0013】
導体板20は、第2の導体板の一例である。導体板20は、給電部3に接続される端部23と、導体板10から離れた箇所に位置する端部24とを有する。端部24は、端部23とは反対側に位置し、より具体的には、端部23に対して導体板10が存在する側とは反対側に位置する。端部23と端部24とは、Z軸方向において互いに離れて位置する。
【0014】
また、導体板20は、導体板10に平行な方向(
図1の場合、Y軸方向)の幅が端部23から端部24に向かうにつれて拡がる板面21を有する。ここで、導体板10に平行な方向とは、X軸方向でもよいが、Y軸方向に対して±90°未満の範囲で傾斜する方向が好ましい。とくに、導体板10に平行な方向は、Y軸方向に対して±45°の範囲が好ましく、±20°の範囲がより好ましく、±5°の範囲がさらに好ましく、Y軸方向と一致していれば最も好ましい。また、「導体板20が、端部23から端部24に向かうにつれて拡がる」とは、端部23から端部24に向かうにつれて拡がる部分があればよく、端部23から端部24に向かうにつれて、例えば幅が同じ状態が続く部分があったり、幅が狭くなる部分があったりしてもよい。なお、導体板20は、端部23から端部24に向かうにつれて、幅が狭くなる部分が無い方が好ましい。さらに、導体板20は、折り曲げのない平らな形状でもよいが、図示のように、折り曲げられた部分が存在する3次元形状でもよい。本実施形態における導体板20は、端部23を含む板面21と、端部24を含む板面22とを有する。板面22は、板面21に対して曲折部25で折り曲げられた部分である。折り曲げられた板面21が設けられることによって、折り曲げられていない形態に比べて、アンテナ装置101の低背化が可能である。ここで言う低背化とは、導体板10に対してZ軸方向の距離(高さ)を短くすることに相当する。
【0015】
導体板30は、第3の導体板の一例である。導体板30は、導体板20の端部24と容量結合する端部33と、給電部3に対して端部13の側で導体板10に接続される端部34とを有する。端部34は、端部33とは反対側に位置する。端部33と端部34とは、Z軸方向及びX軸方向において互いに離れて位置する。本実施形態では、端部33は、容量結合可能な間隔を持つギャップ2を介して、端部24と容量結合する。容量結合を形成するギャップ2の方向は、図示のようにX軸方向に限られず、Z軸方向又はY軸方向でもよく、例えば、板面22がX軸方向に対してφ°(0°<φ<90°)の角度をもつ方向でもよい。また、端部24と端部33との間の容量結合は、櫛形構造や誘電体装荷などの他の形式により実現されてもよい。
【0016】
また、本実施形態では、導体板30は、導体板20の板面21とX軸方向で対向する対向部分31と、導体板10の第1の板面部12とZ軸方向で対向する対向部分32とを有する。対向部分32は、対向部分31に対して曲折部35で折り曲げられた部分である。対向部分32は、端部33を含み、対向部分31は、端部34を含む。
【0017】
このように、本実施形態のアンテナ装置101では、導体板20は、導体板10をグランド基準とする給電部3に端部23で接続されており、板面21の幅は、導体板10から離れるにつれて拡がるように形成されている。したがって、導体板20が所望の周波数範囲で動作する電気長を有するように、板面21の外縁部分(例えば、端部23から拡がる曲線部分)の長さが設定されることによって、導体板20をUWBアンテナの放射素子として機能できる。
【0018】
一方、導体板20は、導体板10をグランド基準とする給電部3に端部23で接続されており、導体板20の端部24は、導体板30の端部33との間で容量結合する。したがって、導体板20は、導体板30に容量結合によって給電する給電素子としても機能する。そして、導体板30は、導体板10に端部34で接続されている。よって、導体板20が導体板30と容量結合することにより、導体板30と導体板10とを合わせた導体板10,30は、容量結合により導体板20により給電される一つの放射素子(本実施形態では、J字状の一つの放射素子)として励振する。したがって、導体板10,30が所望の周波数範囲で動作する電気長を有するように、導体板30及び導体板10の各導体長が設定されることによって、導体板10,30を、導体板20とは別の共振周波数で動作する放射素子として機能できる。
【0019】
このように、
図1に示されるアンテナ装置101は、導体板20が放射素子として動作する第1の動作モードで動作するだけでなく、導体板20が給電素子として動作し導体板10,30が放射素子として動作する第2の動作モードでも動作する第1のアンテナを備える。つまり、導体板20の共振周波数とは別の共振周波数で導体板10,30を共振できるので、アンテナ装置101の受信可能な周波数の広帯域化が容易になる。アンテナ装置101は、第1の動作モードでは、導体板20を流れる電流ib及び導体板30を流れる電流icで共振し、第2の動作モードでは、導体板10,30を流れる電流iaで共振する。
【0020】
例えば、導体板20は、第1の動作周波数f1で共振する第1の電気長Le1を有し、導体板10,30は、第1の動作周波数f1よりも低い第2の動作周波数f2で共振する第2の電気長Le2を有する。これにより、導体板10,30を、導体板20の最低次共振周波数よりも低い共振周波数で共振できる。
【0021】
例えば、第1の電気長Le1を第1の動作周波数f1の4分の1波長に設定させると、導体板20を小型化しつつ、第1の動作周波数f1で導体板20を共振できる。また、例えば、第2の電気長Le2を第2の動作周波数f2の4分の1波長に設定させると、導体板10,30を小型化しつつ、第2の動作周波数f2で導体板10,30を共振できる。
【0022】
第1の電気長Le1は、端部23から端部24までの導体板20に沿った最短導体長に、導体板20に接触又は近接する基材の誘電率や厚さなどが考慮されて得られる長さに相当する。第2の電気長Le2は、端部33から端部34を経由して端部14までの導体板10,30に沿った最短導体長に、導体板10,30に接触又は近接する基材の誘電率や厚さなどが考慮されて得られる長さに相当する。
【0023】
また、導体板30の対向部分31と導体板20の板面21とは、第1の動作周波数f1の4分の1波長の電気長離れていることが好ましい。これにより、アンテナ装置101は、電流ibが流れる板面21と、位相が電流ibと反転した電流icが流れる対向部分31とが、4分の1波長離して導体板10に接地された構成となる。これにより、アレーアンテナや八木アンテナのように、アンテナ装置101の指向性を、X軸方向のうちの端部14側へ向けられる。導体板30の対向部分31は、導体板20の板面21と平行であると、アンテナ装置101の指向性を、X軸方向のうちの端部14側へ向けられる点でより好ましい。
【0024】
また、導体板30は、導体板10の第1の板面部12と向き合う対向部分32を有する。対向部分32が設けられることにより、アンテナ装置101の指向性の調整が容易になる。対向部分32は、導体板10の第1の板面部12と平行であると、指向性の調整が容易になる点でより好ましい。また、導体板30が折り曲げられていることにより、折り曲げられていない形態に比べて、アンテナ装置101の低背化が可能である。
【0025】
導体板20の板面21の形状は、給電部3をZ軸方向に通る仮想線に関して線対称であると、アンテナ装置101の指向性をZ軸方向に関して対称に近づけられる点で好ましい。また、導体板20は、例えば、半円形状の板面21を有する。しかしながら、板面21の形状は、半円形状に限られず、逆三角形や半楕円などの他の形状でもよい。また、導体板20にスロットが形成されてもよい。
【0026】
導体板20は、図示のように、端部24が端部33に近接するように折れ曲がってもよく、これにより、アンテナ装置101の低背化が可能となる。端部23から端部24までの導体長は、100mm以下であると、アンテナ装置101の低背化実現の点で好ましく、70mm以下がより好ましい。
【0027】
板面21の底部に位置する端部23は、給電部3に接続されている。端部23は、給電部3に直接接触して接続されてもよいし、給電部3に容量結合等を介して接続されてもよい。
【0028】
給電部3は、板面21に平行な方向(
図1では、Y軸方向に相当する板面21の幅方向)において、導体板10の中央部に位置すると、アンテナ装置101の指向性を板面21の法線方向(
図1では、X軸方向)に関して対称に近づけられる点で好ましい。ここでいう中央部とは、導体板10の幅を基準にして、該幅の中心から±10%の範囲をいう。また、中央部は、該幅の±5%の範囲が好ましく、該幅の中心がより好ましい。
【0029】
給電部3には、同軸ケーブルの一端がはんだ等により直接的に、又はコネクタ等により間接的に、接続される。その同軸ケーブルの他端には、例えば、送信機能及び受信機能の少なくとも一方を備える機器が接続される。
【0030】
図2は、給電部に接続される給電ラインの第一例を示す図である。給電部3に接続される給電ライン6は、導体板10をグランドとして利用する伝送線路5と、伝送線路5の端部に接続される同軸ケーブル4とを含む。給電ライン6は、第1の給電ラインの一例である。同軸ケーブル4の芯線4aは、伝送線路5のストリップ導体5aに接続され、ストリップ導体5aを介して、給電部3に接続される。同軸ケーブル4の外部導体4bは、グランドとして機能する導体板10に接続される。
【0031】
伝送線路5の具体例として、マイクロストリップライン、ストリップライン、グランドプレーン付きコプレーナウェーブガイド(信号線の形成される導体面とは反対側の表面にグランドプレーンが配置されたコプレーナウェーブガイド)、コプレーナストリップラインなどが挙げられる。
【0032】
図3は、給電部に接続される給電ラインの第二例を示す図である。給電部3に接続される給電ライン6は、給電部3に接続される同軸ケーブル4を含む。同軸ケーブル4の芯線4aは、給電部3に接続される。同軸ケーブル4の外部導体4bは、グランドとして機能する導体板10に接続される。
【0033】
図1において、導体板30の対向部分31は、開口部36を有してもよい。開口部36を有することで、対向部分31の材料を削減でき、アンテナ装置101の重量が抑えられる。本実施形態では、対向部分31に開口部36が設けられることによって、対向部分31は、開口部36を囲む壁部31a,31b,31cを有する。壁部31a,31bは、開口部36の両側に位置し、壁部31aは、端部34aで導体板10の端部13に接続されており、壁部31bは、端部34bで導体板10の端部13に接続されている。また、壁部31cは、曲折部35と接続するとともに、壁部31aおよび壁部31bと接続される。
【0034】
また、開口部36には、給電部3に接続される給電ラインが通ってもよい。
図2,3は、それぞれ、給電ライン6が開口部36を貫通する例を示す。高周波電流は、仮に、対向部分31に開口部36が設置されない場合であっても、対向部分31の中央部には流れにくく、対向部分31の外縁に沿って流れやすい。したがって、対向部分31の中央部に開口部36が設けられていても、対向部分31の外縁に沿った高周波電流の流れは、開口部36により遮られにくい。よって、アンテナ装置101のインピーダンス特性及び放射特性は、開口部36の設置による影響を受けにくい。さらに、対向部分31の中央部に設けられる開口部36に給電ライン6を通せば、対向部分31の外縁に沿って流れる高周波電流と給電ライン6近傍の高周波電流との結合度合いは、抑制される。よって、アンテナ装置101のインピーダンス特性及び放射特性は、開口部36を通る給電ライン6近傍の高周波電流による影響を受けにくい。例えば、給電ライン6の同軸ケーブルが、開口部36をX軸方向に貫通せずに、導体板10のY軸方向に位置する側縁を横切ると、当該側縁に沿って流れる高周波電流が、同軸ケーブル周辺の高周波電流と強く結合しやすい。この結合は、インピーダンス特性及び放射特性を乱すおそれがある。
【0035】
給電部3は、整合回路(matching circuit)を介して同軸ケーブル4に接続されてもよい。これにより、アンテナ装置101がマッチング可能な周波数帯域をさらに拡張できる。
図4は、整合回路の構成の一例を示す図である。整合回路40は、給電部3とポート7との間に接続される。ポート7には、同軸ケーブルの一端が接続される。整合回路40は、キャパシタ41~45と、インダクタ46~49とを有する。整合回路40内の各素子の定数は、マッチングが要求される所望の周波数帯に応じて、適宜、設定すればよい。
【0036】
給電部3は、分波器を介して同軸ケーブル4に接続されてもよい。分波器が設けられると、使用周波数帯の異なる複数の通信装置に、一つのアンテナ装置101を共用できる。
図5は、分波器の構成の一例を示す図である。分波器50は、給電部3とポート8,9との間に接続される。ポート8は、アンテナ装置101が受信した低周波数側の電波を取り出すための端子であり、ポート9は、アンテナ装置101が受信した高周波数側の電波を取り出すための端子である。ポート8は、低周波数側の電波用の同軸ケーブルの一端に接続され、当該同軸ケーブルを介して、例えばLTE用の通信装置に接続される。ポート9は、高周波数側の電波用の同軸ケーブルの一端に接続され、当該同軸ケーブルを介して、例えば車車間通信や路車間通信用の通信装置に接続される。分波器50は、移相器57と、キャパシタ51~53と、インダクタ54~56とを有する。移相器57は、給電部3とインダクタ55との間に接続されている。分波器50内の各素子の定数は、マッチングが要求される所望の周波数帯に応じて、適宜、設定すればよい。
【0037】
また、
図1において、本実施形態のアンテナ装置101は、第2のアンテナ60が、導体板10の第2の板面部11に設けられる構成でもよい。第2のアンテナ60の給電部に接続される給電ライン61を、開口部36を貫通させることで、給電ライン61近傍の高周波電流が、アンテナ装置101のインピーダンス特性及び放射特性に与える影響を抑制することができる。導体板20の給電部3と第2のアンテナ60の給電部とに接続される分波器が設けられてもよい。第2のアンテナ60の具体例として、GPS等の衛星測位システム用のアンテナなどが挙げられる。
【0038】
図6は、アンテナ装置付き車両用窓ガラスの構成の一例を模式的に示す断面図であり、車幅方向に直角な平面での断面を示す。
図6では、Y軸方向は、車両80の車幅方向を表す。
図6は、ガラス板70がフロントガラスの場合を示す。ガラス板70は、水平面90に対して角度θで車両80の窓枠に取り付けられている。角度θは、0°よりも大きく90°以下の角度(例えば、30°)である。ガラス板70のY軸方向に長さを調整することによって、車種ごとに角度θが異なっていても、アンテナ装置101の指向性を車種ごとに調整できる。
【0039】
車両用窓ガラス100は、車両80の窓用のガラス板70と、ガラス板70に取り付けられるアンテナ装置101とを備える。アンテナ装置101は、不図示の取り付け部材によってガラス板70に取り付けられている。
【0040】
このとき、導体板20と導体板30との少なくとも一方が距離D1でガラス板70に近接させることで、誘電体であるガラス板70による短縮効果が得られ、アンテナ装置101の小型化ができる。また、導体板10が距離D2でガラス板70に近接させることで、誘電体であるガラス板70による短縮効果が得られ、アンテナ装置101の小型化ができる。
【0041】
なお、距離D1は、導体板20又は導体板30とガラス板70の車内側表面との間の最短距離(第1の距離の一例)を表す。距離D2は、導体板10とガラス板70の車内側表面との間の最短距離(第2の距離の一例)を表す。距離D1と距離D2とが相違することで、Z軸方向成分を持つエレメントを有する立体的なアンテナ装置101を形成できる。
【0042】
Z軸方向成分を有さない平面的なアンテナ装置の指向性は、ガラス板70の法線方向に強くなりやすい。これに対し、本実施形態に係るアンテナ装置101は、Z軸方向成分を持つエレメントを有するので、アンテナ装置101の指向性が強くなる方向は、ガラス板70の法線方向に対して水平面90に近づく方向に傾く。したがって、本実施形態に係るアンテナ装置101によれば、水平面90に平行な方向(水平方向)の指向性が向上するので、水平方向のアンテナ利得(動作利得)をより増大できる。
【0043】
また、本実施形態に係るアンテナ装置101は、折れ曲がり形状のエレメントを備える。同一のアンテナ長で比べると、曲折しないアンテナよりも、曲折箇所の多いエレメントの方が容易に低背化できる。エレメントが二箇所以上で折れ曲がることにより、所定のアンテナ長を確保しつつ高さ(D2-D1)を容易に低くできる。よって、ガラス板70の車内側の表面からの大きな突出を防ぐことができ、乗員にとって邪魔になり難くなる。
【0044】
本実施形態に係るアンテナ装置101では、導体板30の対向部分32と導体板10の第2の板面部11とが、Z軸方向成分を有する板面21が形成された導体板20によって、比較的強い容量結合を介して連結されている。このように連結されていることにより、対向部分32と第2の板面部11とは対向しない又は対向する導体部分が比較的小さい(狭い)ので、対向部分32と第2の板面部11との容量結合は強くなりにくい。したがって、本実施形態のアンテナ装置101によれば、良好なインピーダンスマッチングが得られる。
【0045】
また、水平方向の指向性を向上させる点で、
図6に示されるように、距離D1は、距離D2よりも短いことが好ましい。なお、距離D1はゼロでもよい。距離D1がゼロの場合、導体板20と導体板30との少なくとも一方は、ガラス板70の車内側表面に接している。
【0046】
図6に示される実施形態では、アンテナ装置101は、対向部分32及び導体板10がガラス板70の車内側の表面に平行になるように、ガラス板70に対して車内側上方に配置されている。また、角度αは、対向部分32と板面21とがなす角度を表し、角度βは、板面21と導体板10とがなす角度を表す。角度αは、0°よりも大きく180°よりも小さな角度(例えば、90°)であり、角度βも、0°よりも大きく180°よりも小さな角度(例えば、90°)である。角度αと角度βは、直角が好ましいが、直角以外の角度(例えば、45°)でもよい。
【0047】
対向部分32及び導体板10は、ガラス板70の車内側の表面に対して平行に配置される場合に限定されず、非平行に配置されてもよい。また、角度α及び角度βは、同じ角度でもあってもよく、異なる角度であってもよい。
【0048】
本実施形態に係るアンテナ装置は、UHF(Ultra High Frequency)帯及びSHF(Super High Frequency)の電波の送受に適している。例えば、アンテナ装置は、LTE(Long Term Evolution)に用いられる複数の周波数帯域のうち、3つの帯域(0.698GHz~0.96GHz、1.71GHz~2.17GHz、2.4GHz~2.69GHz)の電波の送受に適している。また、5G(sub6)の周波数帯の電波の送受に適している。
【0049】
さらに、本実施形態に係るアンテナ装置は、ISM(Industry Science Medical)帯の電波の送受にも適している。ISM帯は、0.863GHz~0.870GHz(欧州)、0.902GHz~0.928GHz(米国)、2.4GHz~2.5GHz(世界共通)を含む。ISM帯の一つである2.4GHz帯を使う通信規格として、IEEE802.11bに準拠するDSSS(Direct Sequence Spread Spectrum)方式の無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、一部のFWA(Fixed Wireless Access)システムなどがある。
【0050】
図7~10は、垂直偏波の電波に関して、
図6のようにフロントガラスに取り付けられたアンテナ装置101の指向性についてのシミュレーション結果の一例を示す図である。フロントガラスは水平面に対して30°傾斜している場合を想定した。
【0051】
図7は、水平面に垂直な垂直面内において、アンテナ装置101の低周波数帯の3つの周波数f(0.698GHz,0.829GHz,0.960GHz)で測定されたアンテナ利得を表す。
図8は、水平面内において、アンテナ装置101の
低周波数帯の3つの周波数f(0.698GHz,0.829GHz,0.960GHz)で測定されたアンテナ利得を表す。
図9は、水平面に垂直な垂直面内において、アンテナ装置101の高周波数帯の3つの周波数f(1.71GHz,2.40GHz,2.69Hz)で測定されたアンテナ利得を表す。
図10は、水平面内において、アンテナ装置101の高周波数帯の3つの周波数f(1.71GHz,2.40GHz,2.69GHz)で測定されたアンテナ利得を表す。
【0052】
図7,9に示される同心円について、右側、左側、上側、下側は、それぞれ、同心円の中心に位置するアンテナ装置を車幅方向から見たときの車両前方、車両後方、車両上方、車両下方を表す。
図8,10に示される同心円について、右側、左側、上側、下側は、それぞれ、同心円の中心に位置するアンテナ装置を天頂から見たときの車両前方、車両後方、車両左方、車両右方を表す。
【0053】
図7~10において、アンテナ利得の単位は、dBiである。
図7~10に示すように、低周波数帯域でも高周波数帯域でも、車両前方に指向性を持たせることが可能となる。
【0054】
なお、
図7~10に示されるアンテナ利得を測定した時において、
図1に示されるアンテナ装置101の各部の寸法は、単位をmmとすると、
L2:4
L11:95
L12:40
L21:19
L22:5
L31:20
L32:30
L33:40
である。
【0055】
図11は、アンテナ装置101の定在波比(VSWR)の周波数特性の一例を示す。アンテナの特性としては、VSWRは1にできるだけ近い方が好ましい。給電部3に整合回路40が接続されていない場合でも十分な広帯域化が図られているが、給電部3に整合回路40を接続することで、698MHzから960MHzまでのVSWRをさらに低減でき、更なる広帯域化が図られている。
【0056】
なお、
図11に示されるVSWRを測定した時において、
図1に示されるアンテナ装置101の各部の寸法は、
図7~10に示されるアンテナ利得を測定した時と同じである。
【0057】
図12は、水平偏波と垂直偏波のそれぞれに関して、アンテナ装置101の水平面での平均化利得の周波数特性(699~7100MHz)の一例を示す。
図12において、縦軸は、水平偏波(又は、垂直偏波)の電波の受信に関して、水平面に平行な0°~360°までの各水平方向のアンテナ利得(動作利得)を平均した値を表す。
図12に示されるように、アンテナ装置101の水平方向のアンテナ利得は、水平偏波に比べて、垂直偏波の電波を送受する点で十分高い値となる。また、アンテナ装置101の水平方向のアンテナ利得は、LTE用の周波数帯(0.698GHz~0.96GHz)から5G(sub)の周波数帯(6GHz)までの帯域において、垂直偏波の電波を送受する点で十分高い値となる。
【0058】
図13は、本実施形態におけるアンテナの構成の第1の変形例を示す斜視図である。
図13に示すアンテナ装置101Aは、アンテナ装置101の構成の第1の変形例である。アンテナ装置101Aは、第2のアンテナ60Aと、第2の給電部62とを備える。第2のアンテナ60Aは、上述の第2のアンテナ60の一例である。第1の変形例に係るアンテナ装置101Aの構成及び効果について、アンテナ装置101と同様の点については、上述の説明を援用することで、その説明を省略する。
【0059】
第2のアンテナ60Aは、板面21に対して端部14の側に設けられている。給電部62は、導体板10に設けられ、第2のアンテナ60Aに給電する給電点である。給電部62は、端部14と給電部3との間に位置する。アンテナ装置101Aは、このような構成を備えることで、導体板20が放射素子として動作する第1の動作モード、導体板10,30が放射素子として動作する第2の動作モード、及び、第2のアンテナ60Aが放射素子として動作する第3の動作モードで動作する。つまり、一つのアンテナ装置101Aで、3つの動作モードを実現できる。また、第2のアンテナ60Aは板面21に対して端部14の側に設けられているので、導体板10の第2の板面部11上の空間が有効活用されている。よって、複数の動作モードで動作するアンテナ装置101Aのコンパクト化が容易になる。
【0060】
また、アンテナ装置101Aは、異なる2つの給電部3,62にそれぞれ給電される複数の放射素子を備えるので、MIMO(Multiple Input and Multiple Output)アンテナ又はダイバーシティアンテナとして利用することが可能となる。
【0061】
また、給電部3により給電される放射素子(導体板10,20,30)と給電部62により給電される放射素子(第2のアンテナ60A)とを、互いに重複する周波数帯の電波を送受可能に形成することが可能である。
【0062】
次に、アンテナ装置101Aの構成について、より詳細に説明する。
【0063】
第2のアンテナ60Aは、例えば、所望の周波数帯の電波を送受可能に形成された導体板である。第2のアンテナ60Aは、例えば、LTE用と5G用の帯域を含む周波数帯(1.71~6GHz)の電波を送受可能に形成されるが、これ以外の周波数帯の電波を送受可能に形成されてもよい。
【0064】
第2のアンテナ60Aは、給電部62に接続される端部63と、導体板10から離れた箇所に位置する端部64とを有する。端部64は、端部63とは反対側に位置し、より具体的には、端部63に対して導体板10が存在する側とは反対側に位置する。端部63と端部64とは、Z軸方向において互いに離れて位置する。広帯域にわたる利得の確保と指向性の水平面対称性の確保の点から、給電部62は、導体板10の幅を基準にして、該幅の中心から±10%の範囲に設けるとよく、該幅の±5%の範囲に設けることが好ましく、該幅の中心に設けることがより好ましい。
【0065】
また、
図13の第2のアンテナ60Aは、導体板10に平行な方向(
図13の場合、X軸方向)の幅が端部63から端部64に向かうにつれて拡がる板面66を有する。第2のアンテナ60Aは、給電部62を導体板10上の固定位置としたとき、板面66がいずれの方向を向いてもよい。ここで、導体板10に平行な方向とは、
図13に示されるX軸方向に限られず、X軸方向に対して±90°未満の範囲で傾斜する方向でもよく、例えば、Y軸方向でもよい。また、「板面66が、端部63から端部64に向かうにつれて拡がる」とは、端部63から端部64に向かうにつれて拡がる部分があればよく、端部63から端部64に向かうにつれて、例えば幅が同じ状態が続く部分があったり、幅が狭くなる部分があったりしてもよい。なお、板面66は、端部63から端部64に向かうにつれて、幅が狭くなる部分が無い方が好ましい。さらに、第2のアンテナ60Aは、折り曲げのない平らな形状でもよいが、導体板20のように、折り曲げられた部分が存在する3次元形状でもよい。第2のアンテナ60Aに、折り曲げられた板面66が設けられることによって、折り曲げられていない形態に比べて、アンテナ装置101Aの低背化が可能である。ここで言う低背化とは、導体板10に対してZ軸方向の距離(高さ)を短くすることに相当する。
【0066】
このように、本実施形態のアンテナ装置101Aでは、第2のアンテナ60Aは、給電部62に端部63で接続されており、板面66の幅は、導体板10から離れるにつれて拡がるように形成されている。したがって、第2のアンテナ60Aが所望の周波数範囲で動作する電気長を有するように、板面66の外縁部分(例えば、端部63から拡がる曲線部分)の長さが設定されることによって、第2のアンテナ60AをUWBアンテナの放射素子として機能できる。
【0067】
第2のアンテナ60Aの板面66の形状は、給電部62をZ軸方向に通る仮想線に関して線対称であると、第2のアンテナ60Aの指向性をZ軸方向に関して対称に近づけられる点で好ましい。しかしながら、板面66の形状は、線対称でなくてもよい。また、第2のアンテナ60Aは、例えば、略半円状の板面66を有してもよく、逆三角形や半楕円などの他の形状を有してもよい。また、板面66にスロットが形成されてもよい。
【0068】
第2のアンテナ60Aは、導体板20のように、端部64が端部63に近接するように折れ曲がってもよく、これにより、アンテナ装置101Aの低背化が可能となる。端部63から端部64までの導体長は、100mm以下であると、アンテナ装置101Aの低背化実現の点で好ましく、70mm以下がより好ましい。
【0069】
板面66の底部に位置する端部63は、給電部62に接続されている。端部63は、給電部62に直接接触して接続されてもよいし、給電部62に容量結合等を介して接続されてもよい。
【0070】
給電部62は、例えば、導体板10をグランド基準とする。給電部62は、給電部3を通りX軸方向に平行な仮想直線上に位置してもよいし、当該仮想直線からY軸方向にずれていてもよい。
【0071】
次に、給電部62のX軸方向の位置について説明する。ここで、端部14から給電部3までの最短距離をA、端部14から給電部62までの最短距離をBとする。このとき、B/Aは、0.15以上0.40以下であることが、給電部3により給電される放射素子(導体板10,20,30)と給電部62により給電される放射素子(第2のアンテナ60A)との間の相関係数を下げる点で好ましい。相関係数を下げることで、放射素子間の干渉を低減できる。B/Aは、放射素子間の相関係数を下げる点で、0.20以上0.40以下が好ましく、0.22以上0.38以下がより好ましく、0.24以上0.36以下であることがさらに好ましい。B/Aが0.40を超えると、第2のアンテナ60Aが導体板20に近づきすぎるので、導体板10と第2のアンテナ60Aとの間の干渉が増大するおそれがある。B/Aが0.15未満であると、第2のアンテナ60Aが端部14に近づきすぎるので、端部14に沿った電流の流れが妨げられ、給電部3により給電される放射素子のアンテナ利得が低下するおそれがある。
【0072】
給電部62には、同軸ケーブルの一端がはんだ等により直接的に、又はコネクタ等により間接的に、接続される。その同軸ケーブルの他端には、例えば、送信機能及び受信機能の少なくとも一方を備える機器が接続される。給電部62に接続される第2の給電ライン61(
図1参照)は、給電部3に接続される給電ライン6(
図2,3参照)と同じ形態でも異なる形態でもよい。
【0073】
図13において、給電部62に接続される第2の給電ライン61(
図1参照)は、アンテナ装置101Aのアンテナ利得が向上する点で、給電部62と端部14との間の領域を通る形態よりも、給電部3と端部13との間の領域を通る形態の方が好ましい。第2の給電ライン61が、給電部62と端部14との間の領域を通ると、端部14に沿った電流の流れが第2の給電ライン61の存在により妨げられ、アンテナ装置101Aのアンテナ利得が低下するおそれがある。つまり、第2の給電ライン61は、給電部62と端部14との間の領域を通らないことが好ましい。
【0074】
第2の給電ライン61(
図1参照)は、例えば、端部13側から給電部3に向けて延伸し、給電部3のY軸方向における一方の脇を通って、給電部62に接続されている。第2の給電ライン61は、給電部3に接続される給電ライン6に沿って延在する部分を有してもよいが、有さなくてもよい。
【0075】
第2の給電ライン61(
図1参照)は、開口部36を通ってもよい。対向部分31の中央部に設けられる開口部36に第2の給電ライン61を通せば、対向部分31の外縁に沿って流れる高周波電流と第2の給電ライン61近傍の高周波電流との結合度合いは、抑制される。よって、アンテナ装置101Aのインピーダンス特性及び放射特性は、開口部36を通る第2の給電ライン61近傍の高周波電流による影響を受けにくい。例えば、第2の給電ライン61の同軸ケーブルが、開口部36をX軸方向に貫通せずに、導体板10のY軸方向に位置する側縁を横切ると、当該側縁に沿って流れる高周波電流が、同軸ケーブル周辺の高周波電流と強く結合しやすい。この結合は、インピーダンス特性及び放射特性を乱すおそれがある。
【0076】
給電部62は、整合回路を介して同軸ケーブルに接続されてもよい。これにより、第2のアンテナ60Aを含むアンテナ装置101Aがマッチング可能な周波数帯域をさらに拡張できる。給電部62に接続される整合回路は、給電部3に接続される整合回路40(
図4参照)と同じ形態でも異なる形態でもよい。
【0077】
給電部62は、分波器を介して同軸ケーブルに接続されてもよい。分波器が設けられると、使用周波数帯の異なる複数の通信装置に、一つのアンテナ装置101Aを共用できる。給電部62に接続される分波器は、給電部3に接続される分波器50(
図5参照)と同じ形態でも異なる形態でもよい。
【0078】
図14は、本実施形態におけるアンテナ装置の構成の第2の変形例を示す斜視図である。
図14に示すアンテナ装置101Bは、アンテナ装置101の構成の第2の変形例である。アンテナ装置101Bは、第2のアンテナ60Bと、第2の給電部62A,62Bとを備える。第2のアンテナ60Bは、上述の第2のアンテナ60の一例である。第2の変形例に係るアンテナ装置101Bの構成及び効果について、アンテナ装置101,101Aと同様の点については、上述の説明を援用することで、その説明を省略する。
【0079】
第2のアンテナ60Bは、板面21に対して端部14の側に設けられる複数のアンテナ素子から構成されてもよい。
図14の場合、第2のアンテナ60Bは、第1のアンテナ素子60Ba及び第2のアンテナ素子60Bbから構成されている。給電部62Aは、導体板10に設けられ、第1のアンテナ素子60Baに給電し、給電部62Bは、導体板10に設けられ、第2のアンテナ素子60Bbに給電する。給電部62A,62Bは、いずれも、端部14と給電部3との間に位置する。アンテナ装置101Bは、このような構成を備えることで、導体板20が放射素子として動作する第1の動作モード、導体板10,30が放射素子として動作する第2の動作モード、第1のアンテナ素子60Baが放射素子として動作する第3の動作モード、及び、第2のアンテナ素子60Bbが放射素子として動作する第4の動作モードで動作する。つまり、一つのアンテナ装置101Bで、4つの動作モードを実現できる。
【0080】
第1のアンテナ素子60Baは、給電部62Aに接続される端部63Aと、導体板10から離れた箇所に位置する端部64Aとを有する。第2のアンテナ素子60Bbは、給電部62Bに接続される端部63Bと、導体板10から離れた箇所に位置する端部64Bとを有する。
【0081】
第1のアンテナ素子60Baは、導体板10に平行な方向(
図14の場合、X軸方向)の幅が端部63Aから端部64Aに向かうにつれて拡がる板面66Aを有する。第2のアンテナ素子60Bbは、導体板10に平行な方向(
図14の場合、X軸方向)の幅が端部63Bから端部64Bに向かうにつれて拡がる板面66Bを有する。
【0082】
第1のアンテナ素子60Baは、略四分円状の板面66Aを有し、第2のアンテナ素子60Bbは、略四分円状の板面66Bを有する。しかしながら、板面66A,66Bの形状は、略四分円形状に限られず、半円や逆三角形や半楕円などの他の形状でもよい。また、板面66A,66Bにスロットが形成されてもよい。板面66A,66Bを、面積が半円に比べて狭い略四分円などの形状に形成することによって、板面66Aと板面66Bとの間に、衛星測位システム用などのアンテナをさらに搭載しても、アンテナ間の干渉を低減できる。
【0083】
次に、給電部62A,62BのX軸方向の位置について説明する。ここで、端部14から給電部3までの最短距離をA、端部14から給電部62Aまでの最短距離をBとする。このとき、B/Aは、0.15以上0.40以下であることが、給電部3により給電される放射素子(導体板10,20,30)と給電部62Aにより給電される放射素子(第1のアンテナ素子60Ba)との間の相関係数を下げる点で好ましい。端部14から給電部62Bまでの最短距離Bについても同様である。なお、端部14から給電部62Aまでの最短距離と、端部14から給電部62Bまでの最短距離とは、同じでも異なってもよい。
【0084】
図15は、本実施形態におけるアンテナ装置の構成の第3の変形例を示す斜視図である。
図15に示すアンテナ装置101Cは、アンテナ装置101の構成の第3の変形例である。アンテナ装置101Cは、第2のアンテナ60Cと、給電部62とを備える。第2のアンテナ60Cは、上述の第2のアンテナ60の一例である。第3の変形例に係るアンテナ装置101Cの構成及び効果について、アンテナ装置101,101A,101Bと同様の点については、上述の説明を援用することで、その説明を省略する。
【0085】
第2のアンテナ60Cでは、第1のアンテナ素子60Baと第2のアンテナ素子60Bbが共通の給電部62により給電される。例えば、給電部62は、導体65を介して第1のアンテナ素子60Baの端部63Aに接続され、導体65を介して第2のアンテナ素子60Bbの端部63Bに接続されている。第1のアンテナ素子60Baと第2のアンテナ素子60Bbが共通の給電部62により給電されることで、第2のアンテナ60Cの広帯域化が可能となる。
【0086】
図16は、本実施形態におけるアンテナ装置の構成の第4の変形例を示す斜視図である。
図16に示すアンテナ装置101Dは、アンテナ装置101の構成の第4の変形例である。アンテナ装置101Dは、第2のアンテナ60Dと、給電部62とを備える。第2のアンテナ60Dは、上述の第2のアンテナ60の一例である。第4の変形例に係るアンテナ装置101Dの構成及び効果について、アンテナ装置101,101A,101B,101Cと同様の点については、上述の説明を援用することで、その説明を省略する。
【0087】
第2のアンテナ60Dは、板面21に対して端部14の側に設けられるスロットアンテナである。給電部62は、導体板10に設けられ、第2のアンテナ60Dに給電する給電点である。給電部62は、端部14と給電部3との間に位置する。第2のアンテナ60Dは、導体板10に平行な方向(
図16の場合、Y軸方向)の幅が給電部62から端部14に向かうにつれて拡がるスロットを有する。当該スロットは、空隙でもよいし、誘電体が充填されてもよい。
【0088】
給電部3により給電される導体板20は、垂直偏波アンテナであるのに対し、第2のアンテナ60Dは、水平偏波アンテナであるので、両アンテナは相互に干渉する度合いが比較的小さい。よって、アンテナ装置101Dは、A/Bが0.40を超えても、アンテナ装置101Aに比べて、アンテナ利得が低減する度合いが小さいため、給電部62のX軸方向の位置は任意に決められる。また、広帯域にわたる利得の確保と指向性の水平面対称性の確保の点から、給電部62は、導体板10の幅を基準にして、該幅の中心から±10%の範囲に設けるとよく、該幅の±5%の範囲に設けることが好ましく、該幅の中心に設けることがより好ましい。さらに、スロットの幅は、導体板10の幅より小さく、かつ、スロットのY軸方向の両側に導体板10の端部14を有するように定める。これは、前述のように、高周波電流は、対向部分31の中央部には流れにくく、対向部分31の外縁に沿って流れやすいため、第2の動作モードで導体板10,30を流れる電流iaでの電気的動作を妨げないようにするためである。
【0089】
図17は、アンテナ装置101Aの定在波比(VSWR)の周波数特性の一例を示す。アンテナの特性としては、VSWRは1にできるだけ近い方が好ましい。
図17は、給電部3と給電部62にいずれも整合回路が接続されている場合を示す。
図17に示すように、LTEと5G用の周波数帯(1.7GHz以上6GHz以下)において、給電部3により給電される放射素子(導体板10,20,30)と給電部62により給電される放射素子(第2のアンテナ60A)とは、いずも広帯域化が図られている。
【0090】
図18は、水平面内において、車両のフロントガラス近傍に設置されたアンテナ装置101Aの5.9GHzで測定されたアンテナ利得を表す。
図18に示される同心円について、右側、左側、上側、下側は、それぞれ、同心円の中心に位置するアンテナ装置を天頂から見たときの車両前方、車両後方、車両左方、車両右方を表す。
【0091】
図18において、アンテナ利得の単位は、dBiである。
図18に示すように、アンテナ装置101Aを車両のフロントガラス近傍に設置することによって、指向性が車両前方に向く複数のモードの放射パターンの形成が可能となる。したがって、同じアンテナ装置101Aを車両のリアガラス近傍にも設置することによって、放射パターンを無指向性に近づけることができる。
【0092】
図19は、アンテナ装置101Aにおける相関係数を示す図である。
図19に示す相関係数は、給電部3により給電される放射素子(導体板10,20,30)と給電部62により給電される放射素子(第2のアンテナ60A)との間のエンベロープ相関係数(ECC)を表す。
図19に示すように、LTEと5G用の周波数帯(1.7GHz以上6GHz以下)において、両放射素子間の相関係数は略0.3以下であるので、両放射素子が相互に干渉する度合いは比較的小さい。したがって、アンテナ装置101AをMIMOアンテナとして利用することが可能である。
【0093】
なお、
図17~19に示すデータの測定時において、
図13に示されるアンテナ装置101Aの各部の寸法は、単位をmmとすると、
L2:4
L11:95
L12:40
L21:19
L22:5
L31:20
L32:30
L33:40
L60:15
L61:19
A:50
B:15
である。板面66における端部63から拡がる曲線部分の曲率半径は、8mmである。
【0094】
以上、アンテナ装置及び車両用窓ガラスを実施形態により説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
【0095】
本発明が適用可能な窓ガラスとして、例えば、車両の前部に取り付けられるフロントガラスが挙げられる。しかし、窓ガラスは、車両の後部に取り付けられるリアガラス又は車両の側部に取り付けられるサイドガラスでもよい。
【0096】
また、アンテナ装置が取り付けられる基材の一例として、上述の実施形態では、ガラス板が示されているが、基材は、ガラス板に限られず、他の部材でもよい。基材は、アンテナ装置を被覆してもよい。アンテナ装置は、基材を介して、ガラス板に取り付けられてもよい。基材の材質は、誘電体が好ましい。
【0097】
また、アンテナ導体を構成するセグメントの形態は、直線的に延在する形状に限られず、丸みを帯びて曲線的に延在する形状でもよい。アンテナ導体の角部の形状は、直角に限らず、弓状に丸みを帯びてもよい。
【0098】
また、導体板は、単純な平板に限られず、曲がっていてもよい。また、各導体板は、二以上の導体板が接続されて構成されてもよい。
【0099】
また、本実施形態に係るアンテナ装置は、フロントガラスの車幅方向中央部の上側領域に一つ取り付けられてもよいし、リアガラスの車幅方向中央部の上側領域に一つ取り付けられてもよい。
【0100】
また、本実施形態に係るアンテナ装置は、車幅方向に間隔を空けて、フロントガラス(好ましくは、フロントガラスの車幅方向の上側領域)に複数取り付けられてもよい。これにより、それぞれのアンテナ装置間の距離がある程度確保されることによりアンテナ装置間の相関が低くなるので、MIMO(Multiple Input and Multiple Output)に対応するアンテナシステムの提供が可能となる。また、ダイバーシティアンテナとして利用することも可能となる。本実施形態に係るアンテナ装置を、車幅方向に間隔を空けて、リアガラス(好ましくは、リアガラスの車幅方向の上側領域)に複数取り付けられる場合も同様である。
【0101】
また、本実施形態に係るアンテナ装置は、フロントガラスとリアガラスの両方に少なくとも一つずつ取り付けられてもよい。つまり、車両用のフロントガラスと、車両用のリアガラスと、フロントガラスとリアガラスとのそれぞれに少なくとも一つずつ取り付けられる本実施形態に係るアンテナ装置とを備える窓ガラス構造の提供が可能である。このような窓ガラス構造によれば、車両前後方向で指向性を補完でき、アンテナシステムとしての送受信性能を向上できる。また、それぞれのアンテナ装置間の距離をある程度確保できるので、アンテナ装置間の相関が低くなり、MIMO(例えば、4×4 MIMO(フォーバイフォーマイモ))に対応するアンテナシステムの提供が可能となる。
【0102】
さらには、フロントガラスに取り付けられる少なくとも一つの本実施形態に係るアンテナ装置と、当該アンテナ装置とは異なる種類の少なくとも一つのアンテナ装置とを備えるアンテナシステムの提供も可能である。この場合の異種のアンテナ装置の具体例として、シャークフィンアンテナ、スポイラー埋め込みアンテナ、リアトレイ部に設置したアンテナ、サイドミラーに埋め込んだアンテナ、サイドガラス部に形成したアンテナなどが挙げられる。
【0103】
同様に、リアガラスに取り付けられる少なくとも一つの本実施形態に係るアンテナ装置と、当該アンテナ装置とは異なる種類の少なくとも一つのアンテナ装置とを備えるアンテナシステムの提供も可能である。この場合の異種のアンテナ装置の具体例として、インストルメントパネル内に埋め込んだアンテナ、ダッシュボード内に埋め込んだアンテナ、サイドミラーに埋め込んだアンテナ、サイドガラス部に形成したアンテナなどが挙げられる。
【0104】
これらの異種のアンテナ装置のうちの少なくとも一つと、フロントガラス又はリアガラスに取り付けられる少なくとも一つの本実施形態に係るアンテナ装置との組み合わせによって、MIMO(例えば、4×4 MIMO)に対応するアンテナシステムの提供が可能となる。
【0105】
本国際出願は、2018年2月2日に出願した日本国特許出願第2018-017048号及び2018年11月21日に出願した日本国特許出願第2018-218345号に基づく優先権を主張するものであり、それらの出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0106】
3 給電部
4 同軸ケーブル
5 伝送線路
6 給電ライン
7~9 ポート
10 導体板(第1の導体板の一例)
13 端部(第1の端部の一例)
14 端部(第2の端部の一例)
20 導体板(第2の導体板の一例)
21 板面
23 端部(第3の端部の一例)
24 端部(第4の端部の一例)
30 導体板(第3の導体板の一例)
31 対向部分
32 対向部分(第2の対向部分の一例)
33 端部(第5の端部の一例)
34 端部(第6の端部の一例)
40 整合回路
50 分波器
60,60A,60B,60C,60D 第2のアンテナ
61 第2の給電ライン
62 給電部
66 板面
70 ガラス板
80 車両
90 水平面
100 車両用窓ガラス
101,101A,101B,101C,101D アンテナ装置