(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】研磨装置、及び研磨方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20220914BHJP
B24B 37/013 20120101ALI20220914BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
H01L21/304 622S
H01L21/304 622E
B24B37/013
B24B49/12
(21)【出願番号】P 2017202620
(22)【出願日】2017-10-19
【審査請求日】2020-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100117411
【氏名又は名称】串田 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】杉山 光徳
(72)【発明者】
【氏名】高橋 太郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋一
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-284300(JP,A)
【文献】特表2008-503356(JP,A)
【文献】特開2010-253627(JP,A)
【文献】特表2006-526292(JP,A)
【文献】国際公開第2008/044786(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/013
B24B 49/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨パッドと、前記研磨パッドに対向して配置される研磨物との間で研磨を行うための研磨装置であって、
前記研磨パッドを保持するための、回転可能な研磨テーブルと、
前記研磨物を保持するための、回転可能な保持部と、
前記保持部を保持するための揺動アームと、
前記研磨時に、前記揺動アーム上の揺動中心のまわりに前記揺動アームを
回転させて揺動するためのアーム駆動部と、
前記研磨テーブルに配置されて、前記研磨物の膜厚の変化に応じて変化可能な前記研磨物の物理量を測定するための測定部と、
前記研磨物が前記揺動アーム上の揺動中心のまわりに
回転して揺動し、かつ前記保持部により回転するときに、前記研磨物が前記保持部により回転するときの回転軸から、前記測定部による測定時における前記測定部までの距離を決定するための距離決定手段と、
前記揺動アーム上の揺動中心のまわりに前記揺動アームが回転して揺動しているときに前記測定部が測定した前記物理量と、前記決定された距離とに基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出するための終点検出部と、を有することを特徴とする研磨装置。
【請求項2】
前記距離決定手段は、前記測定部が前記研磨テーブルの回転中心の周りを回転するときの基準となる回転位置からの、前記測定時における前記測定部の回転角度と、前記揺動アームが前記揺動中心のまわりに
回転して揺動するときの基準となる揺動位置からの、前記測定時における前記揺動アームの揺動角度とに基づいて、前記距離を決定することを特徴とする請求項1記載の研磨装置。
【請求項3】
前記距離決定手段は、前記測定部が前記研磨テーブルの回転中心の周りを回転するときの基準となる回転位置から、前記測定時における回転位置まで前記測定部が回転するために要した時間と、前記揺動アームが前記揺動中心のまわりに
回転して揺動するときの基準となる揺動位置から、前記測定時における揺動位置まで前記揺動アームが揺動するために要した時間とに基づいて、前記距離を決定することを特徴とする請求項1記載の研磨装置。
【請求項4】
前記測定部は、前記研磨テーブルから前記研磨物に測定光を投光し、前記研磨物から反射光を受光するための投受光装置と、
前記研磨テーブルの投受光箇所に設けられる流体室へ、流体を供給するための流体供給部と、
前記流体室への前記流体の供給を制御するための流体供給制御装置と、を有し、
前記流体供給制御装置は、前記決定された距離が所定の範囲内にあるときに、前記流体を供給することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記決定された距離が前記所定の範囲内にあるときとは、前記決定された距離が、前記研磨物の半径と所定の長さとを加算した長さ以下であるときであることを特徴とする請求項4記載の研磨装置。
【請求項6】
前記流体供給制御装置は、前記決定された距離が前記所定の範囲内に入って、前記流体の供給を開始した時から、所定の期間は、第1の供給量で前記流体を供給し、前記所定の期間が経過した後は、第1の供給量より少ない第2の供給量で前記流体を供給することを特徴とする請求項4または
5記載の研磨装置。
【請求項7】
研磨パッドと、前記研磨パッドに対向して配置される研磨物との間で研磨を行うための研磨方法であって、
前記研磨パッドを研磨テーブルに保持しつつ、前記研磨テーブルを回転させるステップと、
前記研磨物を保持部に保持しつつ、前記保持部を回転させるステップと、
揺動アームにより前記保持部を保持して、前記研磨時に、前記揺動アーム上の回転中心のまわりに前記揺動アームを
回転して揺動させるステップと、
前記研磨テーブルに配置された測定部によって、前記研磨物の膜厚の変化に応じて変化可能な前記研磨物の物理量を測定するステップと、
前記研磨物が前記揺動アーム上の揺動中心のまわりに
回転して揺動し、かつ前記保持部により回転するときに、前記研磨物が前記保持部により回転するときの回転軸から、前記測定部による測定時における前記測定部までの距離を決定するステップと、
前記揺動アーム上の揺動中心のまわりに前記揺動アームが回転して揺動しているときに測定した前記物理量と、決定された前記距離とに基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出するステップと、を有することを特徴とする研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨対象物の表面を研磨する研磨装置、及び該装置を用いて研磨を行う研磨方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの高集積化が進むにつれて回路の配線が微細化し、配線間距離もより狭くなりつつある。そこで、研磨対象物である半導体ウェハの表面を平坦化することが必要となるが、この平坦化法の一手段として化学的機械的研磨(CMP)装置により研磨することが行われている。
【0003】
研磨装置は、研磨対象物を研磨するための研磨パッドを保持するための研磨テーブルと、研磨対象物を保持して研磨パッドに押圧するためのトップリングを備える。研磨テーブルとトップリングはそれぞれ、駆動部(例えばモータ)によって回転駆動される。研磨剤を含む液体(スラリー)を研磨パッド上に流し、そこにトップリングに保持された研磨対象物を押し当てることにより、研磨対象物は研磨される。トップリングは揺動アームの端部に保持される。揺動アームは、揺動アーム上の揺動中心のまわりに揺動可能である。
【0004】
研磨装置では、研磨対象物の研磨が不十分であると、回路間の絶縁がとれず、ショートするおそれが生じ、また、過研磨となった場合は、配線の断面積が減ることによる抵抗値の上昇、又は配線自体が完全に除去され、回路自体が形成されないなどの問題が生じる。また、表面全体にわたって精度よく平坦にする必要がある。このため、研磨装置では、最適な研磨終点を検出することや、表面全体にわたって精度よく研磨量を検出することが求められる。
【0005】
このような技術としては、特表2006-526292号に記載の光学式終点検知センサ(以下では、「光学式センサ」と呼ぶ。)や、特開2012-135865号に記載の渦電流式終点検知センサ(以下では、「渦電流センサ」と呼ぶ。)等を用いた終点検出装置がある。
【0006】
研磨装置の終点検出装置では、研磨テーブルに配置したセンサによりテーブルの上部を通過するウェハの状態を測定する。センサを研磨テーブルに取り付ける時には、ウェハの中心をセンサが通るようにセンサを配置する。ウェハの下をセンサが通過する毎にウェハの状態(金属膜内の渦電流や、膜の表面特性)を測定して、状態の変化を検出し、研磨の停止や研磨条件の変更を行う。また、光学式センサのタイプによっては、測定時に純水等の液体を、研磨テーブルの投受光箇所に設けられる流体室に供給する。
【0007】
揺動アームは、研磨時に揺動させる場合と、揺動させない場合がある。揺動させない場合は、ウェハの中心をセンサが通る位置で、揺動アームを停止させて、研磨を行う。この場合、ウェハ上のセンサの軌跡は、ウェハの中心を通る、同一形状の曲線となる。この曲線上の各点をセンサが通過する時刻は、曲線の一端から時刻を計測した時に、曲線の一端からの曲線の長さと、一対一に対応する。すなわち、曲線の一端から時刻を計測すると、センサが測定している場所の、ウェハの中心からの半径は、一意的に決定される。ウェハの状態の変化は、同一の半径での測定値同士を比較することにより検出される。
【0008】
揺動アームを研磨時に揺動させる場合、以下の問題がある。トップリングが水平方向に揺動すると、ウェハの下を通過するセンサの軌跡は、前記の曲線とは異なるウェハの中心以外の点も通るさまざまな大きさの曲線となる。このため、これらの曲線の一端から時刻
を計測すると、センサが測定している場所の、ウェハの中心からの半径は、一意的に決定することができない。同一時刻であっても、曲線によって、ウェハの中心からの半径は異なる。
【0009】
ウェハの状態の変化は、同一の半径での測定値同士を比較するため、ウェハの状態変化を測定することが困難になる。また、液体を流体室に供給するセンサの場合、供給は、センサがウェハの下に入る直前に開始して、センサがウェハの下から出る直後に停止することが好ましい。揺動アームを研磨時に揺動させない場合、センサがウェハの下にいる期間は、テーブルの回転角度で表現した時に、常に一定の角度の時に開始し、常に一定の角度の時に終了する。このため、液体の供給の開始時刻を容易に検知することができ、かつ容易に、供給を停止することができる。
【0010】
しかし、揺動アームを研磨時に揺動させる場合、センサがウェハの下にいる期間は、テーブルの回転角度で表現した時に、さまざまな角度の時に開始し、さまざまな角度の時に終了する。従って、液体の供給開始時刻が変化し、かつ供給期間が変化し、供給終了時刻が変化する。このため、液体の供給をセンサがウェハの下に入る直前に開始して、センサがウェハの下から出る直後に停止することが容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特表2006-526292号
【文献】特開2012-135865号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の一形態は、このような問題点を解消すべくなされたもので、その目的は、揺動アームを研磨時に揺動させる場合に、センサが測定している場所の、ウェハの中心からの半径を決定できる研磨装置及び研磨方法を提供することである。
【0013】
また、本発明の他の一形態の目的は、揺動アームを研磨時に揺動させる場合に、流体室への液体の供給タイミングを適切に設定できる研磨装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、第1の形態では、研磨パッドと、前記研磨パッドに対向して配置される研磨物との間で研磨を行うための研磨装置であって、前記研磨パッドを保持するための、回転可能な研磨テーブルと、前記研磨物を保持するための、回転可能な保持部と、前記保持部を保持するための揺動アームと、前記研磨時に、前記揺動アーム上の揺動中心のまわりに前記揺動アームを揺動するためのアーム駆動部と、前記研磨テーブルに配置されて、前記研磨物の膜厚の変化に応じて変化可能な前記研磨物の物理量を測定するための測定部と、前記研磨物が前記揺動アーム上の揺動中心のまわりに揺動し、かつ前記保持部により回転するときに、前記研磨物が前記保持部により回転するときの回転軸から、前記測定部による測定時における前記測定部までの距離を決定するための距離決定手段と、前記測定部が測定した前記物理量と、前記決定された距離とに基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出するための終点検出部と、を有することを特徴とする研磨装置という構成を採っている。
【0015】
本実施形態では、研磨物が保持部により回転するときの回転軸から、測定部による測定時における測定部までの距離を決定するための距離決定手段を設けたため、揺動アームを研磨時に揺動させる場合に、センサが測定している場所の、研磨物(例えば、ウェハ)の回転中心からの半径を決定できる。ここで、回転軸から測定部までの距離とは、測定部か
ら回転軸に下ろした垂線の長さである。
【0016】
終点検出部が、測定部が測定した物理量と、決定された距離とに基づいて、研磨の終了を示す研磨終点を検出する方法は種々ある。例えば、決定された距離が同一である所もしくは、同一であると考えられる範囲内(近傍)にある所で測定された物理量の時間的な変化から研磨終点を検出することができる。ここで、決定された距離が同一であるということは、研磨物の回転中心から同一の半径にあることを意味する。従って、このような研磨終点を検出する方法は、同一の半径を有する、すなわち同一の円上の点を、個々には区別しないで、研磨終点を検出することを意味する。
【0017】
測定部が測定した物理量と、決定された距離とに基づいて、研磨の終了を示す研磨終点を検出する他の方法としては、研磨テーブルが1回転するごとに、研磨物の回転中心から同一の半径にある複数の測定点での過去のある期間にわたる物理量を平均して、すなわち、時間的な平均値の時間的な変化から研磨終点を検出する方法がある。
【0018】
また、決定された距離が同一と考えられる範囲内(近傍)又は、所定の範囲内にある所で測定された物理量を平均して、すなわち空間的な平均値の時間的な変化から研磨終点を検出してもよい。さらに、空間的な平均値と時間的な平均値を組み合わせてもよい。
【0019】
研磨終点の判定方法としては、例えば、所定の基準値と、測定値の大小関係、または所定の基準値と、測定値の時間変化量(例えば微分値)の大小関係から研磨終点を判定することができる。
【0020】
なお、保持部による研磨物の回転角度を検出して、研磨物の回転角度を決定すると、同一の半径を有する、すなわち同一の円上にある複数の点を個々に区別することができる。この場合、研磨物の個々の点の研磨状況を、さらに詳細に考慮して、研磨終点を検出することができる。
【0021】
第2の形態では、前記距離決定手段は、前記測定部が前記研磨テーブルの回転中心の周りを回転するときの基準となる回転位置からの、前記測定時における前記測定部の回転角度と、前記揺動アームが前記揺動中心のまわりに揺動するときの基準となる揺動位置からの、前記測定時における前記揺動アームの揺動角度とに基づいて、前記距離を決定することを特徴とする第1の形態の研磨装置という構成を採っている。
【0022】
第3の形態では、前記距離決定手段は、前記測定部が前記研磨テーブルの回転中心の周りを回転するときの基準となる回転位置から、前記測定時における回転位置まで前記測定部が回転するために要した時間と、前記揺動アームが前記揺動中心のまわりに揺動するときの基準となる揺動位置から、前記測定時における揺動位置まで前記揺動アームが揺動するために要した時間とに基づいて、前記距離を決定することを特徴とする第1の形態の研磨装置という構成を採っている。
【0023】
第4の形態では、前記測定部は、前記研磨テーブルから前記研磨物に測定光を投光し、前記研磨物から反射光を受光するための投受光装置と、前記研磨テーブルの投受光箇所に設けられる流体室へ、流体を供給するための流体供給部と、前記流体室への前記流体の供給を制御するための流体供給制御装置と、を有し、前記流体供給制御装置は、前記決定された距離が所定の範囲内にあるときに、前記流体を供給することを特徴とする、第1の形態ないし第3の形態のいずれかの研磨装置という構成を採っている。
【0024】
第5の形態では、前記決定された距離が前記所定の範囲内にあるときとは、前記決定された距離が、前記研磨物の半径と所定の長さとを加算した長さ以下であるときであること
を特徴とする第4の形態の研磨装置という構成を採っている。
【0025】
第6の形態では、前記流体供給制御装置は、前記決定された距離が前記所定の範囲内に入って、前記流体の供給を開始した時から、所定の期間は、第1の供給量で前記流体を供給し、前記所定の期間が経過した後は、第1の供給量より少ない第2の供給量で前記流体を供給することを特徴とする第4の形態または第5の形態の研磨装置という構成を採っている。
【0026】
第7の形態では、研磨パッドと、前記研磨パッドに対向して配置される研磨物との間で研磨を行うための研磨方法であって、前記研磨パッドを研磨テーブルに保持しつつ、前記研磨テーブルを回転させるステップと、前記研磨物を保持部に保持しつつ、前記保持部を回転させるステップと、揺動アームにより前記保持部を保持して、前記研磨時に、前記揺動アーム上の回転中心のまわりに前記揺動アームを揺動させるステップと、前記研磨テーブルに配置された測定部によって、前記研磨物の膜厚の変化に応じて変化可能な前記研磨物の物理量を測定するステップと、前記研磨物が前記揺動アーム上の揺動中心のまわりに揺動し、かつ前記保持部により回転するときに、前記研磨物が前記保持部により回転するときの回転軸から、前記測定部による測定時における前記測定部までの距離を決定するステップと、測定した前記物理量と、決定された前記距離とに基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出するステップと、を有することを特徴とする研磨方法という構成を採っている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る研磨装置の全体構成を示す概略図である。
【
図3】
図3は、揺動アームの揺動角度を検知する方法を説明するブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る研磨装置を示す図である。
【
図5】
図5は、
図4の研磨装置に備えられるセンサ本体の構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、揺動アームを研磨時に揺動させる場合の揺動アームの動きを示す図である。
【
図7】
図7は、揺動アームを研磨時に揺動させる場合の半導体ウェハ上の光学式センサの軌跡を示す図である。
【
図8】
図8は、研磨テーブルと、揺動アームと,半導体ウェハを、第1研磨ユニットの上方から見た平面図である。
【
図9】
図9は、揺動アームを研磨時に揺動させる場合の半導体ウェハ上の光学式センサの軌跡を示す図である。
【
図10】
図10は、光学式センサに流体を供給するタイミングを示す図である。
【
図11】
図11は、光学式センサによるデータ収集と、得られたデータの解析の手順を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、光学式センサによるデータ収集と、得られたデータの解析の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同一または相当する部材には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0029】
図1は本発明の一実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
図1に示すように、この基板処理装置は、略矩形状のハウジング61を備えている。ハウジング61の内部は隔壁1a,1bによってロード/アンロード部62と研磨部63と洗浄部6
4とに区画されている。これらのロード/アンロード部62、研磨部63、および洗浄部64は、それぞれ独立に組み立てられ、独立に排気される。また、基板処理装置は、基板処理動作を制御する制御部65を有している。
【0030】
ロード/アンロード部62は、多数のウェハ(基板)をストックするウェハカセットが載置される2つ以上(本実施形態では4つ)のフロントロード部20を備えている。これらのフロントロード部20はハウジング61に隣接して配置され、基板処理装置の幅方向(長手方向に垂直な方向)に沿って配列されている。フロントロード部20には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、またはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができるようになっている。ここで、SMIF、FOUPは、内部にウェハカセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
【0031】
また、ロード/アンロード部62には、フロントロード部20の並びに沿って走行機構21が敷設されている。走行機構21上にウェハカセットの配列方向に沿って移動可能な2台の搬送ロボット(ローダー)22が設置されている。搬送ロボット22は走行機構21上を移動することによってフロントロード部20に搭載されたウェハカセットにアクセスできるようになっている。各搬送ロボット22は上下に2つのハンドを備えている。上側のハンドは、処理されたウェハをウェハカセットに戻すときに使用される。下側のハンドは、処理前のウェハをウェハカセットから取り出すときに使用される。このように、上下のハンドは使い分けられる。さらに、搬送ロボット22の下側のハンドは、その軸心周りに回転することで、ウェハを反転させることができる。
【0032】
ロード/アンロード部62は最もクリーンな状態を保つ必要がある領域である。そのため、ロード/アンロード部62の内部は、基板処理装置外部、研磨部63、および洗浄部64のいずれよりも高い圧力に常時維持されている。研磨部63は研磨液としてスラリーを用いるため最もダーティな領域である。したがって、研磨部63の内部には負圧が形成され、その圧力は洗浄部64の内部圧力よりも低く維持されている。ロード/アンロード部62には、HEPAフィルタ、ULPAフィルタ、またはケミカルフィルタなどのクリーンエアフィルタを有するフィルタファンユニット(図示せず)が設けられている。フィルタファンユニットからはパーティクルや有毒蒸気、有毒ガスが除去されたクリーンエアが常時吹き出している。
【0033】
研磨部63は、ウェハの研磨(平坦化)が行われる領域であり、第1研磨ユニット3A、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、第4研磨ユニット3Dを備えている。第1研磨ユニット3A、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、および第4研磨ユニット3Dは、
図1に示すように、基板処理装置の長手方向に沿って配列されている。
【0034】
図1に示すように、第1研磨ユニット3Aは、研磨テーブル30Aと、トップリング31Aと、研磨液供給ノズル32Aと、ドレッサ33Aと、アトマイザ34Aとを備えている。研磨テーブル30Aには、研磨面を有する研磨パッド10が取り付けられている。トップリング(保持部)31Aは、ウェハを保持し、かつウェハを研磨テーブル30A上の研磨パッド10に押圧しながら研磨する。研磨液供給ノズル32Aは、研磨パッド10に研磨液やドレッシング液(例えば、純水)を供給する。ドレッサ33Aは、研磨パッド10の研磨面のドレッシングを行う。アトマイザ34Aは、液体(例えば純水)と気体(例えば窒素ガス)の混合流体または液体(例えば純水)を霧状にして研磨面に噴射する。
【0035】
同様に、第2研磨ユニット3Bは、研磨パッド10が取り付けられた研磨テーブル30Bと、トップリング31Bと、研磨液供給ノズル32Bと、ドレッサ33Bと、アトマイザ34Bとを備えている。第3研磨ユニット3Cは、研磨パッド10が取り付けられた研
磨テーブル30Cと、トップリング31Cと、研磨液供給ノズル32Cと、ドレッサ33Cと、アトマイザ34Cとを備えている。第4研磨ユニット3Dは、研磨パッド10が取り付けられた研磨テーブル30Dと、トップリング31Dと、研磨液供給ノズル32Dと、ドレッサ33Dと、アトマイザ34Dとを備えている。
【0036】
第1研磨ユニット3A、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、および第4研磨ユニット3Dは、互いに同一の構成を有しているので、研磨ユニットの詳細に関しては、以下では、第1研磨ユニット3Aを対象として説明する。
【0037】
次に、基板を搬送するための搬送機構について説明する。搬送機構は、リフタ11と、第1リニアトランスポータ66と、スイングトランスポータ12と、第2リニアトランスポータ67と、仮置き台180と、を備える。
【0038】
リフタ11は、搬送ロボット22から基板を受け取る。第1リニアトランスポータ66は、リフタ11から受け取った基板を、第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、及び、第4搬送位置TP4、の間で搬送する。第1研磨ユニット3A及び第2研磨ユニット3Bは、第1リニアトランスポータ66から基板を受け取って研磨する。第1研磨ユニット3A及び第2研磨ユニット3Bは、研磨した基板を第1リニアトランスポータ66へ渡す。
【0039】
スイングトランスポータ12は、第1リニアトランスポータ66と第2リニアトランスポータ67との間で基板の受け渡しを行う。第2リニアトランスポータ67は、スイングトランスポータ12から受け取った基板を、第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6、及び、第7搬送位置TP7、の間で搬送する。第3研磨ユニット3C及び第4研磨ユニット3Dは、第2リニアトランスポータ67から基板を受け取って研磨する。第3研磨ユニット3C及び第4研磨ユニット3Dは、研磨した基板を第2リニアトランスポータ67へ渡す。研磨ユニット3によって研磨処理が行われた基板は、スイングトランスポータ12によって仮置き台180へ置かれる。
【0040】
洗浄ユニット4は、研磨ユニット3によって研磨処理が行われた基板の洗浄処理及び乾燥処理を行うためのユニットである。洗浄ユニット4は、第1洗浄室190と、第1搬送室191と、第2洗浄室192と、第2搬送室193と、乾燥室194と、を備える。
【0041】
仮置き台180へ置かれた基板は、第1搬送室191を介して第1洗浄室190又は第2洗浄室192へ搬送される。基板は、第1洗浄室190又は第2洗浄室192において洗浄処理される。第1洗浄室190又は第2洗浄室192において洗浄処理された基板は、第2搬送室193を介して乾燥室194へ搬送される。基板は、乾燥室194において乾燥処理される。乾燥処理された基板は、搬送ロボット22によって乾燥室194から取り出されてカセットへ戻される。
【0042】
図2は、本発明に係る研磨ユニット(研磨装置)の全体構成を示す概略図である。
図2に示すように、研磨装置は、研磨テーブル30Aと、研磨物である半導体ウェハ等の基板を保持して研磨テーブル上の研磨面に押圧するトップリング31Aとを備えている。
【0043】
第1研磨ユニット3Aは、研磨パッド10と、研磨パッド10に対向して配置される半導体ウェハ16との間で研磨を行うための研磨ユニットである。第1研磨ユニット3Aは、研磨パッド10を保持するための研磨テーブル30Aと、半導体ウェハ16を保持するためのトップリング31Aを有する。第1研磨ユニット3Aは、トップリング31Aを保持するための揺動アーム110と、揺動アーム110を揺動するための揺動軸モータ14(アーム駆動部)と、揺動軸モータ14に、駆動電力を供給するドライバ18を有する。
【0044】
さらに第1研磨ユニット3Aは、流体供給制御装置27と、終点検出部28とを有する。流体供給制御装置27は、揺動軸モータ14に内蔵して取り付けられたエンコーダ36(アーム位置検知部)から、揺動アームシャフト117の回転角度36aを入力される。流体供給制御装置27は、研磨テーブル30Aの投受光箇所に設けられる貫通孔268(流体室:
図5を参照)へ流体を供給するための流体供給部を制御して、貫通孔268への流体の供給を制御する。流体供給制御装置27は、近接センサ222から研磨テーブル30Aの回転位置に関する情報222aを得る。流体供給制御装置27は、回転角度36aと情報222aから貫通孔268への流体の供給を制御する。
【0045】
流体供給制御装置27は、半導体ウェハ16がトップリング31Aにより回転するときの回転軸108から、光学式センサ50による測定時における光学式センサ50までの距離を決定する距離決定手段である。
【0046】
流体供給制御装置27は、さらに、情報222aを終点検出部28に出力する。近接センサ222、流体供給制御装置27、および距離決定手段の詳細については後述する。終点検出部28は、回転角度36aと情報222aとに基づいて、研磨の終了を示す研磨終点を検出する。
【0047】
図1の実施形態では、保持部と揺動アームとアーム駆動部とトルク検知部は、組を構成し、同一の構成を有する組が、第1研磨ユニット3A、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、第4研磨ユニット3Dのそれぞれに設けられている。
【0048】
研磨テーブル30Aは、テーブル軸102を介してその下方に配置される駆動部であるモータ(図示せず)に連結されており、そのテーブル軸102周りに回転可能になっている。研磨テーブル30Aの上面には研磨パッド10が貼付されており、研磨パッド10の表面101が半導体ウェハ16を研磨する研磨面を構成している。研磨テーブル30Aの上方には研磨液供給ノズル(図示しない)が設置されており、研磨液供給ノズルによって研磨テーブル30A上の研磨パッド10に研磨液が供給される。
図2に示すように、研磨テーブル30Aの内部には、光学式センサ50が埋設されていてもよい。
【0049】
トップリング31Aは、半導体ウェハ16を研磨面101に対して押圧するトップリング本体24と、半導体ウェハ16の外周縁を保持して半導体ウェハ16がトップリングから飛び出さないようにするリテーナリング23とから構成されている。
【0050】
トップリング31Aは、トップリングシャフト111に接続されている。トップリングシャフト111は、図示しない上下動機構により揺動アーム110に対して上下動する。トップリングシャフト111の上下動により、揺動アーム110に対してトップリング31Aの全体を昇降させ位置決めする。
【0051】
また、トップリングシャフト111はキー(図示せず)を介して回転筒112に連結されている。この回転筒112はその外周部にタイミングプーリ113を備えている。揺動アーム110にはトップリング用モータ114が固定されている。上記タイミングプーリ113は、タイミングベルト115を介してトップリング用モータ114に設けられたタイミングプーリ116に接続されている。トップリング用モータ114が回転すると、タイミングプーリ116、タイミングベルト115、およびタイミングプーリ113を介して回転筒112およびトップリングシャフト111が一体に回転し、トップリング31Aが回転する。
【0052】
揺動アーム110は、揺動軸モータ14の回転軸108に接続されている。揺動軸モー
タ14は揺動アームシャフト117に固定されている。従って、揺動アーム110は、揺動アームシャフト117に対して回転可能に支持されている。
【0053】
トップリング31Aは、その下面に半導体ウェハ16などの基板を保持できる。揺動アーム110は、揺動アームシャフト117の回転軸108を中心として、旋回可能である。下面に半導体ウェハ16を保持したトップリング31Aは、揺動アーム110の旋回により、半導体ウェハ16の受取位置から研磨テーブル30Aの上方に移動される。そして、トップリング31Aを下降させて、半導体ウェハ16を研磨パッド10の表面(研磨面)101に押圧する。このとき、トップリング31Aおよび研磨テーブル30Aをそれぞれ回転させる。半導体ウェハ16は、トップリングシャフト111の回転中心118の周りに回転する。すなわち、回転中心118は、半導体ウェハ16の回転中心である。
【0054】
研磨テーブル30Aの上方に設けられた研磨液供給ノズルから研磨パッド10上に研磨液を供給する。このように、半導体ウェハ16を研磨パッド10の研磨面101に摺接させて、半導体ウェハ16の表面を研磨する。揺動アームは、研磨時に揺動させる場合と、揺動させない場合がある。本実施形態では、揺動アームは、研磨時に揺動させる。
【0055】
第1研磨ユニット3Aは、研磨テーブル30Aを回転駆動するテーブル駆動部(図示しない)を有する。第1研磨ユニット3Aは、研磨テーブル30Aに加わるテーブルトルクを検知するテーブルトルク検知部(図示しない)を有してもよい。テーブルトルク検知部は、回転モータであるテーブル駆動部の電流からテーブルトルクを検知することができる。終点検出部28は、光学式センサ50が検知した光学特性のみから研磨の終了を示す研磨終点を検出してもよいし、テーブルトルク検知部が検知したテーブルトルクも考慮して、研磨の終了を示す研磨終点を検出してもよい。
【0056】
図2において、アーム駆動部は、揺動アーム110を回転させる揺動軸モータ(回転モータ)14である。ドライバ18から揺動軸モータ14に、電流値18bを有する電流が供給される。
【0057】
ドライバ18を
図3により説明する。ドライバ18は、制御部65から、揺動アーム110の位置に関する位置指令65aを入力される。位置指令65aは、揺動アームシャフト117に対する揺動アーム110の回転角度に相当するデータである。ドライバ18は、また、揺動軸モータ14に内蔵して取り付けられたエンコーダ36から、揺動アームシャフト117の回転角度36aを入力される。
【0058】
エンコーダ36は、揺動軸モータ14の回転軸の回転角度36a、すなわち揺動アームシャフト117の回転角度36aを検知することができるものである。回転角度36aが、既述の情報222aである。
図3では、揺動軸モータ14とエンコーダ36は、独立に図示されているが、実際は、揺動軸モータ14とエンコーダ36は、一体化している。このような一体型モータの一例として、フィードバックエンコーダ付き同期型ACサーボモータがある。
【0059】
ドライバ18は、偏差回路38と、電流生成回路40と、PWM回路42とを有する。偏差回路38は、位置指令65aと回転角度36aから、位置指令65aと回転角度36aの偏差38aを求める。偏差38aと、電流値18bは、電流生成回路40に入力される。電流生成回路40は、偏差38aと、現在の電流値18bから、偏差38aに応じた電流指令18aを生成する。PWM回路42は、電流指令18aを入力されて、PWM(Pulse Width Modulation)制御により、電流値18bを生成する。電流値18bは、揺動軸モータ14を駆動できる3相(U相、V相、W相)の電流である。電流値18bは揺動軸モータ14に供給される。ドライバ18は、回転角度36aを終点検出部28に
出力する。
【0060】
図4により、光学式センサ50(測定部)と、貫通孔268へ流体を供給するための流体供給部250を説明する。光学式センサ50は、研磨テーブル30Aに配置されて、半導体ウェハ16の膜厚の変化に応じて変化可能な半導体ウェハ16の物理量を測定する。測定対象の膜は、例えば酸化シリコン膜である。光学式センサ50は、研磨テーブル30Aに内蔵される。さらに、光学式センサ50は、研磨テーブル30Aの内部に取り付けられた光源ユニット230及びフォトメータユニット232を有する。
【0061】
光源ユニット230はセンサ本体226に測定光を供給し、測定光はセンサ本体226により半導体ウェハ16に照射される。センサ本体226は、半導体ウェハ16からの反射光を受光し、フォトメータユニット232に送る。測定光及び反射光の伝達部材は共に光ファイバである。フォトメータユニット232では、光信号が電気信号に変換される。この電気信号が終点検出部28で処理される。研磨テーブル30Aから半導体ウェハ16に測定光を投光し、半導体ウェハ16から反射光を受光するための投受光装置は、センサ本体226内の後述する投光用光ファイバ270および受光用光ファイバ272と、光源ユニット230と、フォトメータユニット232とを含む。
【0062】
フォトメータユニット232は、ロータリーコネクタ234を介して終点検出部28に接続されている。終点検出部28で膜厚、反射強度、スペクトル等の光学的指標が計算される。さらに、終点検出部28は、膜厚等の光学的指標の判定を行うことにより、膜厚が所定の値に達したか否かの終点検知を行う。判定結果は、第1研磨ユニット3Aの全体を制御する研磨制御部(図示しない)に送られる。
【0063】
光学式センサ50は、さらに、貫通孔268に測定用流体を供給するための供給路242と、貫通孔268から測定用流体を排出するための排出路244を有する。供給路242は、ロータリージョイント246を介して、タンク(図示せず)に接続されている。また、排出路244は、測定室(流体室)内の流体を排出するポンプ248に接続されている。ポンプ248により測定用流体が排出され、また、測定室に流入するスラリ等の研磨液も排出される。供給路242と排出路244とタンクとポンプ248は、貫通孔268へ流体を供給するための流体供給部を構成する。
【0064】
本実施形態では、測定用流体は純水であり、純水は、基板研磨装置が備えられる工場等の施設に備えられるタンクから供給されてよい。また、供給路242及び排出路244は適当な配管等で構成される。例えば、配管をポリエーテルエーテルケトン(PEEK材)等の樹脂等(非金属部材)でコーティングすることにより、基板への金属汚染を防止することができる。供給制御弁256は、電磁弁ユニット(図示せず)を有する電磁弁である。
【0065】
図5は、センサ本体226の構成例を示している。既に説明したように、研磨テーブル30Aに研磨パッド10が載せられており、研磨パッド10に半導体ウェハ16が接触する。研磨テーブル30Aには、供給路242及び排出路244が並んで設けられている。そして、供給路242の供給口264及び排出路244の排出口266が、研磨テーブル30Aの上面に位置している。研磨パッド10は貫通孔268を有しており、これにより、供給口264及び排出口266が露出する。
【0066】
供給路242には、投光用光ファイバ270及び受光用光ファイバ272が並んで配置されている。投光用光ファイバ270及び受光用光ファイバ272は、光源ユニット230及びフォトメータユニット232(
図4)に接続されている。そして、投光用光ファイバ270は、光源ユニット230から供給された測定光を半導体ウェハ16に照射する。
受光用光ファイバ272は、半導体ウェハ16からの反射光を受光し、反射光をフォトメータユニット232へ伝える。投光用光ファイバ270と受光用光ファイバ272と光源ユニット230とフォトメータユニット232は、投受光装置を構成する。
【0067】
上記の貫通孔268では、純水等の測定用流体が、供給口264から供給され、排出口266から排出されている。貫通孔268の内部が純水等で満たされ、研磨用のスラリの貫通孔268への侵入が制限される。これにより、貫通孔268の内部が透明に保たれるので、測定光を使った膜測定が良好に行える。
【0068】
次に、近接センサ222について説明する。第1研磨ユニット3Aは、研磨テーブル30Aに配置されたドグ224と、研磨テーブル30Aの外側に配置された近接センサ222とを含むトリガセンサ220を備える。トリガセンサ220の測定方式としては、電磁誘導により検出対象となる金属体に発生する渦電流を利用する方式、検出体の接近による電気的な容量の変化を捉える方式等が可能である。
【0069】
ドグ224は、研磨テーブル30Aの下部(研磨パッド10が貼り付けられていない下部)に貼り付けられている。ドグ224は、近接センサ222によって検出される。近接センサ222は、研磨テーブル30Aの外側に配置されている。トリガセンサ220は、近接センサ222とドグ224との位置関係に基づいて研磨テーブル30Aが1回転したことを示すトリガ信号を出力する。具体的には、トリガセンサ220は、近接センサ222とドグ224とが最も接近した状態でトリガ信号を出力する、具体的には、近接センサ222がトリガ信号を出力する。
【0070】
光学式センサ50は、トリガセンサ220から出力されたトリガ信号と、揺動アーム110の回転角度36aに基づいて、測定開始タイミング及び測定終了タイミングが決定される。すなわち、流体供給制御装置27(距離決定手段)は、半導体ウェハ16がトップリング31Aにより回転するときの回転軸から、光学式センサ50による測定時における光学式センサ50までの距離を、トリガ信号と、揺動アーム110の回転角度36aに基づいて決定する。流体供給制御装置27は、この距離を用いて、測定開始タイミング及び測定終了タイミングを決定する。
【0071】
流体供給制御装置27は、光学式センサ50が研磨テーブル30Aの回転中心の周りを回転するときの基準となる回転位置からの、測定時における光学式センサ50の回転角度と、揺動アーム110が揺動中心のまわりに揺動するときの基準となる揺動位置からの、測定時における揺動アーム110の揺動角度とに基づいて、距離を決定する。詳細は後述する。
【0072】
貫通孔268への流体の供給を制御するための流体供給制御装置27は、決定された距離が所定の範囲内にあるときに、流体を供給する。なお、流体供給制御装置27は、光学式センサ50が研磨テーブル30Aの回転中心の周りを回転するときの基準となる回転位置から、測定時における回転位置まで光学式センサ50が回転するために要した時間と、揺動アーム110が揺動中心のまわりに揺動するときの基準となる揺動位置から、測定時における揺動位置まで揺動アーム110が揺動するために要した時間とに基づいて、距離を決定することもできる。
【0073】
例えば、研磨テーブル30Aの回転速度を制御(又は計測)することにより、測定時における回転位置まで光学式センサ50が回転するために要した時間から測定時における光学式センサ50の回転角度を算出することができるからである。また、揺動アーム110の揺動速度を制御(又は計測)することにより、測定時における揺動アーム110の揺動角度を算出することができるからである。回転速度と揺動速度は一定である必要はない。
これらの速度が、所定の速度プロファイルに従って制御されるならば、角度を算出することができるからである。
【0074】
次に、流体供給制御装置27が、半導体ウェハ16がトップリング31Aにより回転するときの回転軸から、光学式センサ50による測定時における光学式センサ50までの距離を、トリガ信号と、揺動アーム110の回転角度36aに基づいて決定する方法の詳細を説明する。
【0075】
最初に、揺動アーム110を研磨時に揺動させる場合の半導体ウェハ16上の光学式センサ50の軌跡を
図6,
図7により説明する。
図6は、揺動アームを研磨時に揺動させる場合の揺動アームの動きを示す図である。光学式センサ50は、研磨テーブル30Aの回転中心70の周りを回転し、研磨テーブル30A上の一定の半径の円72上を移動している。揺動アーム110は、回転軸108(すなわち揺動中心)のまわりに揺動する。半導体ウェハ16は、揺動アーム110の旋回により、半導体ウェハ16の受取位置から研磨テーブル30Aの上方に移動される。半導体ウェハ16aは、受取位置にある半導体ウェハ16aを示す。半導体ウェハ16bは、半導体ウェハ16の中心を光学式センサ50が通るときの半導体ウェハ16を示す。半導体ウェハ16cは、半導体ウェハ16の中心を光学式センサ50が通らないときの半導体ウェハ16を示す。
【0076】
図6の半導体ウェハ16を、
図7に拡大して示す。
図7は、揺動アーム110を研磨時に揺動させる場合の半導体ウェハ16上の光学式センサ50の軌跡を示す図である。半導体ウェハ16bは、半導体ウェハ16の中心を光学式センサ50が通るときの半導体ウェハ16を示す。半導体ウェハ16dは、半導体ウェハ16の中心を光学式センサ50が通らないときの半導体ウェハ16を示す。
図6,7からわかるように、トップリング31Aが水平方向に揺動すると、半導体ウェハ16の下を通過する光学式センサ50の軌跡は、半導体ウェハ16の回転中心118中心以外の点も通るさまざまな大きさの曲線となる。
【0077】
次に、半導体ウェハ16がトップリング31Aにより回転するときのトップリングシャフト111から、光学式センサ50による測定時における光学式センサ50までの距離を距離決定手段が決定する方法について
図8により説明する。
図8は、研磨テーブル30Aと、揺動アーム110と,半導体ウェハ16を、第1研磨ユニット3Aの上方から見た平面図である。研磨テーブル30Aの回転中心70を座標系の原点(0、0)とする。
【0078】
距離決定手段は、光学式センサ50が研磨テーブル30Aの回転中心70の周りを回転するときの基準となる回転位置122からの、測定時における光学式センサ50の回転角度θsと、揺動アーム110が揺動中心108のまわりに揺動するときの基準となる揺動位置120からの、測定時における揺動アーム110の揺動角度θwとに基づいて、距離を決定する。距離決定手段は、この距離決定を研磨中に、すなわち、半導体ウェハ16が揺動アーム110上の揺動中心108のまわりに揺動し、かつトップリング31Aにより回転するときに実行する。基準となる回転位置122は、回転中心70から近接センサ222を見た方向である。本実施形態では、回転位置122は、X軸の負の方向と一致させている。基準となる揺動位置120は、揺動アーム110が半導体ウェハ16を受け取る位置である。基準となる回転位置122と揺動位置120は、任意に設定できる。
【0079】
距離を決定する方法で用いられるパラメータを以下に説明する:
・ 光学式センサ50の回転半径Rs [mm]
回転半径Rsは、研磨テーブル30Aの回転中心70から光学式センサ50までの距離である。
・ 回転角度θs[deg]は、近接センサ222がトリガ信号を出力した時から時間を計測し、研磨テーブル30Aの回転角速度と時間の積から算出した光学式センサ50の回
転角度である。研磨テーブル30Aの回転角速度は、通常、一定値である。一定でないときは、回転角速度と時間との積を加算(または回転角速度を時間で積分)することにより算出できる。なお、基準となる回転位置122は、回転中心70から近接センサ222を見た方向であるため、これに合わせて、ドグ224は、回転中心70と光学式センサ50とを結ぶ半径上にある。なお、ドグ224は任意の位置に設けることができる。ドグ224が、回転中心70と光学式センサ50とを結ぶ半径上にない場合は、回転中心70と光学式センサ50とを結ぶ半径と、回転中心70とドグ224とを結ぶ半径とのなす角度を、上述の研磨テーブル30Aの回転角速度と時間の積から算出した光学式センサ50の回転角度に、加算又は減算すればよい。
・ 揺動アーム110の回転軸108のX座標Xc [mm]
・ 揺動アーム110の回転軸108のY座標Yc [mm]
・ 揺動アーム110の揺動軸の回転半径Rw [mm]
回転半径Rwは、揺動アーム110の回転軸108から、半導体ウェハ16の回転中心118までの距離である。
・ 揺動アーム110の、基準位置から計測した揺動角度θw [deg]
揺動角度θwは、測定時の揺動アーム110に対応する既述の回転角度36aから、基準となる揺動位置120に対応する回転角度36aを減算することにより得られる。
【0080】
このようにパラメータを設定すると、光学式センサ50のX座標Xs[mm]、Y座標Ys[mm]は、以下のように算出される。:
Xs= Rs*cos(θs)
Ys= Rs*sin(θs)
半導体ウェハ16の回転中心118のX座標Xw[mm]、Y座標Yw[mm]は、以下のように算出される。:
Xw=Xc+Rw*cos(θw)
Yw=Yc+Rw*sin(θw)
なお、本実施形態では、揺動位置120は、X軸の正の方向と一致するとしている。X軸の正の方向と一致していない場合は、揺動位置120とX軸の正の方向との間の角度を、揺動角度θwに加算もしくは減算すればよい。
【0081】
光学式センサ50と、半導体ウェハ16の回転中心118との距離Dsは以下のように計算される。:
Ds= √{(Xs-Xw)^2+(Ys-Yw)^2}
上記では、流体供給制御装置27が距離Dsを計算するとしたが、終点検出部28が距離Dsを計算してもよい。流体供給制御装置27と終点検出部28のいずれかが距離Dsを計算する場合は、距離Dsを計算した装置は、計算結果を他の装置に送ることができる。さらに、流体供給制御装置27と終点検出部28の両方が並行して距離Dsを計算してもよい。この場合、一方の装置の計算速度が、他方の装置の計算速度より速い時に、当該一方の装置は、他方の装置で計算が終わるのを待たずに、距離Dsがわかるので、処理が早まる。
【0082】
上記の距離Dsの算出方法では、研磨テーブル30Aの回転角度θsと、揺動アーム110の回転角度θwを用いているが、距離Dsの算出方法は、種々可能である。例えば、光学式センサ50が研磨テーブル30Aの回転中心70の周りを回転するときの基準となる回転位置122から、測定時における回転位置まで光学式センサ50が回転するために要した時間と、揺動アーム110が揺動中心108のまわりに揺動するときの基準となる揺動位置120から、測定時における揺動位置まで揺動アーム110が揺動するために要した時間とに基づいて、距離を決定することができる。
【0083】
次に、距離Dsを用いた流体供給制御装置27による流体制御方法について、
図9、図
10により説明する。
図9は、揺動アーム110を研磨時に揺動させる場合の半導体ウェハ16上の光学式センサ50の軌跡を示す図である。軌跡74は、半導体ウェハ16の中心を光学式センサ50が通るときの光学式センサ50の移動経路を示す。軌跡76は、半導体ウェハ16の中心を光学式センサ50が通らないときの光学式センサ50の移動経路を示す。
図9には、トリガセンサ220が、トリガ信号を出力するタイミング78が、軌跡74と軌跡76のどこにあるかも示す。
【0084】
貫通孔268への流体の供給を制御するための流体供給制御装置27は、決定された距離Dsが所定の範囲内にあるときに、流体を供給することが好ましい。流体を貫通孔268に供給する場合、供給は、光学式センサ50が半導体ウェハ16の下に入る直前に開始して、光学式センサ50が半導体ウェハ16の下から出る直後に停止することが好ましい。
【0085】
すなわち、計算した半導体ウェハ16の回転中心118と光学式センサ50との距離Dsが、
図9に示すように、半導体ウェハ16の半径Rwf+設定値α(所定の長さ) 以下(すなわち、所定の範囲内)であるときに、光学式センサ50に必要な流体を供給する。設定値αを調整することで供給タイミングを調整することができる。
図10に、光学式センサ50に必要な流体を供給するタイミングを示す。
図10の各図において、横軸は時間、縦軸は、例えば、「0」、「1」の2値である。
【0086】
図10(a)は、揺動アーム110の揺動方向を示す。「1」と「0」により、揺動方向が逆方向であることを示す。「1」である期間80と「0」である期間82の長さは同じであってもよいし、異なってもよい。
図10(b)は、トリガセンサ220が、トリガ信号を出力するタイミング78を示す。「1」であるときに、トリガ信号を出力する。
図10(c)は、光学式センサ50が半導体ウェハ16の下にあるタイミング84を示す。「1」であるときに、光学式センサ50が半導体ウェハ16の下にある
【0087】
図10(d)は、光学式センサ50に必要な流体を供給するタイミング86を示す。「1」であるときに、光学式センサ50に必要な流体を供給する。タイミング86は、タイミング84より早く開始する。早い期間が、設定値αに対応する。
図10(e)は、光学式センサ50によるデータ収集を行う期間88を示す。「1」であるときに、光学式センサ50によるデータ収集を行う。期間88は、タイミング84およびタイミング86よりも、設定値βだけ、広く設定される。確実にデータ収集を行うためである。
【0088】
なお、光学式センサ50に必要な流体を供給するタイミング86を制御すること以外に、常時計算している光学式センサ50の半径位置に基づいて、半導体ウェハ16の中心とエッジ側で流量を変える制御を行ってもよい。正確に光学式センサ50によって測定をするためには、貫通孔268を十分な量の流体で満たす必要がある。そのため、例えば半導体ウェハ16の外部から半導体ウェハ16の下に光学式センサ50が入った時に、最初は流量を多めに設定してスラリを排除する。半導体ウェハ16の中心付近では、流量を少なめに設定することで、流体による研磨への影響を減らす効果が生じる。すなわち、流体供給制御装置27は、決定された距離Dsが所定の範囲内(半導体ウェハ16の半径Rwfと設定値αとの加算値以下)に入って、流体の供給を開始した時から、所定の期間は、第1の供給量(リットル/分)で流体を供給する。所定の期間が経過した後は、第1の供給量より少ない第2の供給量(リットル/分)で流体を供給する。
【0089】
次に、本実施形態における光学式センサ50のデータ収集とデータ解析の手順について、
図11のフローチャートにより説明する。この手順では、データ解析を、データが得られるごとに行う。研磨が開始すると、近接センサ222からトリガ信号が出力されたか(基準トリガがONしたか)どうかを判定する(S10)。出力されない場合は、出力される
まで、この判定を繰り返す。出力された場合は、基準トリガがONした時からの時間を計測する(S12)。この時間を使用して、既述のように半導体ウェハ16の回転中心118から光学式センサ50までの距離Dsを算出する(S14)。
【0090】
次に、距離Dsが半導体ウェハ16の半径(Rwf)+αより小さいかどうかを判定する(S16)。小さい時(Yes)は、流体供給制御装置27は、供給制御弁256を開にして、液体を供給する(S18)。大きい時(No)は、流体供給制御装置27は、供給制御弁256を閉にして、液体を供給しない(S20)。次に、距離Dsが半導体ウェハ16の半径(Rwf)+βより小さいかどうかを判定する(S22)。大きい時(No)は、光学式センサ50による測定は行わない。小さい時(Yes)は、光学式センサ50による測定を行う(S24)。得られたデータにより終点検出部28は、終点検知をおこなう(S26)。終点検知の結果より、研磨が終了したかどうかを判定する(S28)。研磨が終了したと判定した場合(Yes)は、研磨は終了する。研磨が終了していないと判定した場合(No)は、ステップS10に戻り、研磨を続行する。
【0091】
次に、本実施形態における光学式センサ50のデータ収集とデータ解析の別の手順について、
図12のフローチャートにより説明する。この手順では、研磨テーブル30Aが1回転する間に得られるデータをすべて得たのちに、データ解析を行う。データ収集中はデータ解析を行わない。データが得られるごとにデータ解析を行う場合よりも処理時間に余裕がある。
【0092】
本手順においては、ステップS10からステップS20までは、
図11に示す手順と同じであるから、ステップS20以降について説明する。ステップS18またはステップS20が終了すると、次に、距離Dsが半導体ウェハ16の半径(Rwf)+βより小さいかどうかを判定する(S22)。大きい時(No)は、光学式センサ50による測定は行わない。研磨テーブル30Aが1回転する間に得られた最新のデータをすべて得ているので、これらのデータに関して終点検出部28は、終点検知をおこなう(S30)。小さい時(Yes)は、光学式センサ50による測定を行い、得られたデータを保存する(S32)。次に、終点検知の結果より、研磨が終了したかどうかを判定する(S28)。研磨が終了したと判定した場合(Yes)は、研磨は終了する。研磨が終了していないと判定した場合(No)は、ステップS10に戻り、研磨を続行する。
【0093】
なお、上述の実施形態では、回転角度36aを用いて、揺動アーム110の位置を求めたが、他の方法も可能である。例えば、揺動アーム110の動きが所定のプロフィールに従っているときは、揺動アーム110が揺動方向を変えるタイミングがわかれば、揺動方向を変えた後の経過時間を計測することにより、計算により、揺動アーム110の位置を求めることができる。揺動アーム110が揺動方向を変えるタイミングは、揺動アーム110の駆動を制御する制御部から得ることができる。また、揺動アーム110の揺動端にトリガセンサ220を設けることにより、揺動アーム110が揺動方向を変えるタイミングを直接検知することができる。
【0094】
以上、本発明の実施形態の例について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明には、その均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
以上説明したように、本発明は以下の形態を有する。
形態1
研磨パッドと、前記研磨パッドに対向して配置される研磨物との間で研磨を行うための研磨装置であって、
前記研磨パッドを保持するための、回転可能な研磨テーブルと、
前記研磨物を保持するための、回転可能な保持部と、
前記保持部を保持するための揺動アームと、
前記研磨時に、前記揺動アーム上の揺動中心のまわりに前記揺動アームを揺動するためのアーム駆動部と、
前記研磨テーブルに配置されて、前記研磨物の膜厚の変化に応じて変化可能な前記研磨物の物理量を測定するための測定部と、
前記研磨物が前記揺動アーム上の揺動中心のまわりに揺動し、かつ前記保持部により回転するときに、前記研磨物が前記保持部により回転するときの回転軸から、前記測定部による測定時における前記測定部までの距離を決定するための距離決定手段と、
前記測定部が測定した前記物理量と、前記決定された距離とに基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出するための終点検出部と、を有することを特徴とする研磨装置。形態2
前記距離決定手段は、前記測定部が前記研磨テーブルの回転中心の周りを回転するときの基準となる回転位置からの、前記測定時における前記測定部の回転角度と、前記揺動アームが前記揺動中心のまわりに揺動するときの基準となる揺動位置からの、前記測定時における前記揺動アームの揺動角度とに基づいて、前記距離を決定することを特徴とする形態1記載の研磨装置。
形態3
前記距離決定手段は、前記測定部が前記研磨テーブルの回転中心の周りを回転するときの基準となる回転位置から、前記測定時における回転位置まで前記測定部が回転するために要した時間と、前記揺動アームが前記揺動中心のまわりに揺動するときの基準となる揺動位置から、前記測定時における揺動位置まで前記揺動アームが揺動するために要した時間とに基づいて、前記距離を決定することを特徴とする形態1記載の研磨装置。
形態4
前記測定部は、前記研磨テーブルから前記研磨物に測定光を投光し、前記研磨物から反射光を受光するための投受光装置と、
前記研磨テーブルの投受光箇所に設けられる流体室へ、流体を供給するための流体供給部と、
前記流体室への前記流体の供給を制御するための流体供給制御装置と、を有し、
前記流体供給制御装置は、前記決定された距離が所定の範囲内にあるときに、前記流体を供給することを特徴とする形態1ないし3のいずれか1項に記載の研磨装置。
形態5
前記決定された距離が前記所定の範囲内にあるときとは、前記決定された距離が、前記研磨物の半径と所定の長さとを加算した長さ以下であるときであることを特徴とする形態4記載の研磨装置。
形態6
前記流体供給制御装置は、前記決定された距離が前記所定の範囲内に入って、前記流体の供給を開始した時から、所定の期間は、第1の供給量で前記流体を供給し、前記所定の期間が経過した後は、第1の供給量より少ない第2の供給量で前記流体を供給することを特徴とする形態4または6記載の研磨装置。
形態7
研磨パッドと、前記研磨パッドに対向して配置される研磨物との間で研磨を行うための研磨方法であって、
前記研磨パッドを研磨テーブルに保持しつつ、前記研磨テーブルを回転させるステップと、
前記研磨物を保持部に保持しつつ、前記保持部を回転させるステップと、
揺動アームにより前記保持部を保持して、前記研磨時に、前記揺動アーム上の回転中心
のまわりに前記揺動アームを揺動させるステップと、
前記研磨テーブルに配置された測定部によって、前記研磨物の膜厚の変化に応じて変化可能な前記研磨物の物理量を測定するステップと、
前記研磨物が前記揺動アーム上の揺動中心のまわりに揺動し、かつ前記保持部により回転するときに、前記研磨物が前記保持部により回転するときの回転軸から、前記測定部による測定時における前記測定部までの距離を決定するステップと、
測定した前記物理量と、決定された前記距離とに基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出するステップと、を有することを特徴とする研磨方法。
【符号の説明】
【0095】
14…揺動軸モータ
16…半導体ウェハ
18a…電流指令
18b…電流値
27…流体供給制御装置
28…終点検出部
30A…研磨テーブル
36a…回転角度
50…光学式センサ
70…回転中心
108…揺動中心
222…近接センサ
224…ドグ
242…供給路
244…排出路
250…流体供給部
256…供給制御弁
268…貫通孔
270…投光用光ファイバ
272…受光用光ファイバ