(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】光ラインセンサユニット
(51)【国際特許分類】
G07D 7/121 20160101AFI20220914BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
G07D7/121
G01N21/64 Z
(21)【出願番号】P 2018145233
(22)【出願日】2018-08-01
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】510192019
【氏名又は名称】株式会社ヴィーネックス
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【氏名又は名称】吉本 力
(74)【代理人】
【識別番号】100152571
【氏名又は名称】新宅 将人
(72)【発明者】
【氏名】南 裕亮
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/159438(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/092947(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/045186(WO,A1)
【文献】特開2004-265208(JP,A)
【文献】特開2001-052232(JP,A)
【文献】特開2012-190253(JP,A)
【文献】特開2004-246714(JP,A)
【文献】特開2005-276204(JP,A)
【文献】特開2017-199333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16,
7/00-13/00
G07F 19/00
G01N 21/62-21/74
B42D 15/02,25/00-25/485
G06K 7/00- 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を副走査方向に沿って搬送される紙葉類に励起光を照射し、紙葉類からの蛍光又は燐光を検出する光ラインセンサユニットであって、
励起光を照射する光源と、
前記副走査方向に直交する主走査方向に並べて配置された複数の受光素子を有し、紙葉類からの蛍光又は燐光を前記複数の受光素子で受光する受光部と、
前記搬送路における前記受光部側の面を構成する第1搬送面と、
前記第1搬送面における各受光素子に対向する位置に設けられた複数の第1開口部と、
前記複数の第1開口部をそれぞれ覆い、紙葉類からの蛍光又は燐光を各受光素子に向けて透過させる複数の第1窓部材とを備え、
前記第1窓部材における前記搬送路側の面は、前記副走査方向の両端縁から中央部側に向かって前記搬送路側へと突出する傾斜面又は凸湾曲面を有し、
前記第1窓部材の前記副走査方向の両端縁が、前記搬送路に露出しないように前記第1開口部内に位置していることを特徴とする光ラインセンサユニット。
【請求項2】
前記複数の第1開口部は、それぞれの前記副走査方向の幅が前記主走査方向の幅よりも長い長孔により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項3】
前記第1窓部材における前記副走査方向の傾斜面又は凸湾曲面のテーパ角は、前記第1窓部材における前記主走査方向の傾斜面又は凸湾曲面のテーパ角よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項4】
前記複数の第1開口部は、それぞれ長円形状に形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項5】
前記複数の第1開口部は、曲率中心が互いに離間した円弧状の両端部と、それらを接続する直線部とを有することを特徴とする請求項4に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項6】
前記光源の光軸と前記受光素子の光軸が略一致していることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項7】
前記受光部は、紙葉類からの蛍光又は燐光を各受光素子に集光させる複数のレンズを有し、
前記複数の受光素子及び前記複数のレンズを保持する受光部ホルダをさらに備えることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項8】
前記主走査方向に並ぶ各受光素子の間にそれぞれ設けられ、各第1窓部材において拡散した蛍光又は燐光が、各第1窓部材に対向する受光素子以外の受光素子に入射するのを防止するための複数の遮蔽部をさらに備えることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項9】
紙葉類は前記搬送路を前記副走査方向に沿って双方向に搬送され、
前記第1開口部の前記主走査方向の幅をW
m、前記第1開口部の前記副走査方向の幅をW
s、蛍光又は燐光の減衰時間をt
de(秒)、紙葉類の搬送速度をV(m/秒)、前記減衰時間の間に紙葉類の任意の一点が前記副走査方向に移動する距離をW
v(m)としたときに、
W
v=t
de×V
W
m<W
s≦2W
v+W
m
を満たすことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項10】
紙葉類は前記搬送路を前記副走査方向に沿って一方向に搬送され、
前記第1開口部の前記主走査方向の幅をW
m、前記第1開口部の前記副走査方向の幅をW
s、蛍光又は燐光の減衰時間をt
de(秒)、前記光源からの励起光の照射時間をt
r(秒)、紙葉類の搬送速度をV(m/秒)、前記減衰時間の間に紙葉類の任意の一点が前記副走査方向に移動する距離をW
v(m)、前記照射時間の間に紙葉類の任意の一点が前記副走査方向に移動する距離をW
i(m)としたときに、
W
v=t
de×V
W
i=t
r×V
W
m<W
s≦W
v+W
i
を満たすことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項11】
前記光源からの励起光による紙葉類の照明領域は略円形であり、
前記照明領域の外径が、前記第1開口部の前記副走査方向の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項12】
前記複数の第1窓部材における前記搬送路側の面の算術平均粗さRaは、
0.1a≦Ra≦12.5a
を満たすことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項13】
前記第1窓部材は、前記副走査方向の両端縁から中央部側に向かって厚みが漸次増加するようなレンズ状に形成されていることを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項14】
搬送路を副走査方向に沿って搬送される紙葉類に励起光を照射し、紙葉類からの蛍光又は燐光を検出する光ラインセンサユニットであって、
前記副走査方向に直交する主走査方向に並べて配置された複数の発光素子を有し、前記複数の発光素子から励起光を照射する光源と、
前記主走査方向に並べて配置された複数の受光素子を有し、紙葉類からの蛍光又は燐光を前記複数の受光素子で受光する受光部と、
前記搬送路における前記光源側の面を構成する第2搬送面と、
前記第2搬送面における各発光素子に対向する位置に設けられた複数の第2開口部と、
前記複数の第2開口部をそれぞれ覆い、各発光素子からの光を透過させる複数の第2窓部材とを備え、
前記第2窓部材における前記搬送路側の面は、前記副走査方向の両端縁から中央部側に向かって前記搬送路側へと突出する傾斜面又は凸湾曲面を有し、
前記第2窓部材の前記副走査方向の両端縁が、前記搬送路に露出しないように前記第2開口部内に位置していることを特徴とする光ラインセンサユニット。
【請求項15】
前記複数の第2開口部は、それぞれの前記副走査方向の幅が前記主走査方向の幅よりも長い長孔により構成されていることを特徴とする請求項14に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項16】
前記複数の第2開口部は、それぞれ長円形状に形成されていることを特徴とする請求項15に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項17】
前記複数の第
2開口部は、曲率中心が互いに離間した円弧状の両端部と、それらを接続する直線部とを有することを特徴とする請求項16に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項18】
前記複数の発光素子を保持する光源ホルダをさらに備えることを特徴とする請求項14~17のいずれか一項に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項19】
前記複数の発光素子が、赤外LEDであることを特徴とする請求項14~18のいずれか一項に記載の光ラインセンサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路を副走査方向に沿って搬送される紙葉類に励起光を照射し、紙葉類からの蛍光又は燐光を検出する光ラインセンサユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の印刷技術や複写技術の目覚ましい性能向上に伴い、紙幣や有価証券等の紙葉類の偽造がますます精巧になってきている。そのため、これらの紙葉類の真偽を的確に判別して偽造を排除することが、社会秩序を維持するために重要である。このような紙葉類の真偽を判別する手法として、蛍光体又は燐光体を用いた手法がある。
【0003】
蛍光体又は燐光体などの発光体は、特定の波長の励起光が照射されることにより励起し、一定の波長の光を放出する特性を有している。従来、蛍光又は燐光の特性を有する物質を含む紙葉類に対して励起光を照射し、励起光照射中の蛍光の強度情報、又は、励起光照射停止後の燐光の強度情報に基づいて、紙葉類の種別及び真偽を判別する技術が知られている(例えば、下記特許文献1~3参照)。
【0004】
例えば特許文献1では、微弱な燐光信号を検出するため、励起光の照射中及び照射後の各期間中に、それぞれ2つのタイミングで信号強度が測定される。そして、各期間中の2つのタイミングで測定された信号強度が互いに減算されることにより、背景信号が取り除かれ、S/N比を向上することができる。
【0005】
特許文献2では、搬送路の上流側に設けられた第1の検出部で紙葉類からの蛍光が検出され、搬送路の下流側に設けられた第2の検出部で紙葉類からの燐光が検出される。また、第1の検出部に対して基準光を放射する第1の基準部材と、第2の検出部に対して基準光を放射する第2の基準部材とが備えられ、各基準光に基づいて各検出部の検出結果の補正が行われる。
【0006】
特許文献3では、搬送中の紙葉類に対して励起光が照射され、励起光の照射停止後に取得した紙葉類からの燐光の強度に基づいて、燐光の強度の減衰率が算出される。そして、算出された減衰率に基づいて生成される燐光減衰率パターンを用いて、紙葉類の真偽の判定が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第4048121号公報
【文献】特許第5367509号公報
【文献】国際公開第2015/159438号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
紙葉類から生じる蛍光や燐光は微弱であるため、紙葉類の真偽判定の精度を高めるためには、S/N比を向上することが重要である。しかしながら、紙葉類が汚れている場合などには、安定した蛍光又は燐光を検出することができず、十分なS/N比が得られない場合がある。また、複数の受光素子が主走査方向に並べられた構成においては、各受光素子間でクロストークが生じやすいという問題もある。
【0009】
さらに、上記のような従来の光ラインセンサユニットは、複雑な構造を有し、かつ高速で紙葉類を搬送するため、搬送路に紙葉類が詰まりやすいという問題がある。
【0010】
本願発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、搬送路に紙葉類が詰まりにくい光ラインセンサユニットを提供することを目的とする。また、本発明は、蛍光又は燐光を検出する際のS/N比を向上することができる光ラインセンサユニットを提供することを目的とする。また、本発明は、複数の受光素子間でのクロストークを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本願発明に係る光ラインセンサユニットは、搬送路を副走査方向に沿って搬送される紙葉類に励起光を照射し、紙葉類からの蛍光又は燐光を検出する光ラインセンサユニットであって、光源と、受光部と、第1搬送面と、複数の第1開口部と、複数の第1窓部材とを備える。前記光源は、励起光を照射する。前記受光部は、前記副走査方向に直交する主走査方向に並べて配置された複数の受光素子を有し、紙葉類からの蛍光又は燐光を前記複数の受光素子で受光する。前記第1搬送面は、前記搬送路における前記受光部側の面を構成する。前記複数の第1開口部は、前記第1搬送面における各受光素子に対向する位置に設けられている。前記複数の第1窓部材は、前記複数の第1開口部をそれぞれ覆い、紙葉類からの蛍光又は燐光を各受光素子に向けて透過させる。前記第1窓部材における前記搬送路側の面は、前記副走査方向の両端縁から中央部側に向かって前記搬送路側へと突出する傾斜面又は凸湾曲面を有する。前記第1窓部材の前記副走査方向の両端縁は、前記搬送路に露出しないように前記第1開口部内に位置している。
【0012】
このような構成によれば、各受光素子に対向する位置に設けられた各第1開口部を介して、紙葉類からの蛍光又は燐光を各受光素子で受光することができる。第1窓部材の副走査方向の両端縁が搬送路に露出せず、第1開口部内に位置しているため、搬送中の紙葉類が当該端縁に引っ掛かるのを防止することができる。また、第1窓部材の傾斜面又は凸湾曲面に沿って、搬送中の紙葉類の先端を円滑に搬送方向に導くことができる。したがって、搬送路に紙葉類が詰まりにくい。
【0013】
(2)前記複数の第1開口部は、それぞれの前記副走査方向の幅が前記主走査方向の幅よりも長い長孔により構成されていてもよい。
【0014】
このような構成によれば、各第1開口部が長孔により形成されており、その副走査方向の幅が主走査方向の幅よりも長いため、各受光素子への外乱光の入射を抑制しつつ、副走査方向に搬送される紙葉類からより多くの光を受光することができる。これにより、蛍光又は燐光を検出する際のS/N比を向上することができる。
【0015】
(3)前記第1窓部材における前記副走査方向の傾斜面又は凸湾曲面のテーパ角は、前記第1窓部材における前記主走査方向の傾斜面又は凸湾曲面のテーパ角よりも小さいことが好ましい。これにより、搬送路に紙葉類を詰まりにくくすることができる。
【0016】
(4)前記複数の第1開口部は、それぞれ長円形状に形成されていてもよい。これにより、搬送路に紙葉類がさらに詰まりにくくなる。
【0017】
(5)前記複数の第1開口部は、曲率中心が互いに離間した円弧状の両端部と、それらを接続する直線部とを有していてもよい。
【0018】
(6)前記光源の光軸と前記受光素子の光軸が略一致していてもよい。
【0019】
(7)前記受光部は、紙葉類からの蛍光又は燐光を各受光素子に集光させる複数のレンズを有していてもよい。この場合、前記光ラインセンサユニットは、前記複数の受光素子及び前記複数のレンズを保持する受光部ホルダをさらに備えていてもよい。
【0020】
(8)前記光ラインセンサユニットは、複数の遮蔽部をさらに備えていてもよい。前記複数の遮蔽部は、前記主走査方向に並ぶ各受光素子の間にそれぞれ設けられ、各第1窓部材において拡散した蛍光又は燐光が、各第1窓部材に対向する受光素子以外の受光素子に入射するのを防止する。
【0021】
このような構成によれば、主走査方向に並ぶ各受光素子の間にそれぞれ設けられた遮蔽部により、各受光素子に対して、対向する第1窓部材からの光のみを入射させることができる。これにより、複数の受光素子間でのクロストークを防止することができる。
【0022】
(9)紙葉類は前記搬送路を前記副走査方向に沿って双方向に搬送されてもよい。この場合、前記第1開口部の前記主走査方向の幅をWm、前記第1開口部の前記副走査方向の幅をWs、蛍光又は燐光の減衰時間をtde(秒)、紙葉類の搬送速度をV(m/秒)、前記減衰時間の間に紙葉類の任意の一点が前記副走査方向に移動する距離をWv(m)としたときに、
Wv=tde×V
Wm<Ws≦2Wv+Wm
を満たすことが好ましい。
【0023】
このような構成によれば、紙葉類が副走査方向に沿って双方向に搬送される構成において、長孔の形状を適切に設定することができるため、蛍光又は燐光を検出する際のS/N比を効果的に向上することができる。
【0024】
(10)紙葉類は前記搬送路を前記副走査方向に沿って一方向に搬送されてもよい。この場合、前記第1開口部の前記主走査方向の幅をWm、前記第1開口部の前記副走査方向の幅をWs、蛍光又は燐光の減衰時間をtde(秒)、前記光源からの励起光の照射時間をtr(秒)、紙葉類の搬送速度をV(m/秒)、前記減衰時間の間に紙葉類の任意の一点が前記副走査方向に移動する距離をWv(m)、前記照射時間の間に紙葉類の任意の一点が前記副走査方向に移動する距離をWi(m)としたときに、
Wv=tde×V
Wi=tr×V
Wm<Ws≦Wv+Wi
を満たすことが好ましい。
【0025】
このような構成によれば、紙葉類が副走査方向に沿って一方向に搬送される構成において、長孔の形状を適切に設定することができるため、蛍光又は燐光を検出する際のS/N比を効果的に向上することができる。
【0026】
(11)前記光源からの励起光による紙葉類の照明領域は略円形であってもよい。この場合、前記照明領域の外径が、前記第1開口部の前記副走査方向の幅よりも大きいことが好ましい。
【0027】
(12)前記複数の第1窓部材における前記搬送路側の面の算術平均粗さRaは、
0.1a≦Ra≦12.5a
を満たすことが好ましい。
【0028】
このような構成によれば、各第1窓部材における蛍光又は燐光の拡散を抑えることができる。したがって、蛍光又は燐光を検出する際のS/N比を向上することができるとともに、複数の受光素子間でのクロストークを防止することができる。
【0029】
(13)前記第1窓部材は、前記副走査方向の両端縁から中央部側に向かって厚みが漸次増加するようなレンズ状に形成されていてもよい。
【0030】
このような構成によれば、第1窓部材による集光効率が向上するため、蛍光又は燐光を検出する際のS/N比を向上することができるとともに、複数の受光素子間でのクロストークを防止することができる。また、第1窓部材の中央部が第1開口部から突出することにより、搬送中の紙葉類が第1開口部に引っ掛かるのを防止することができるため、搬送路に紙葉類が詰まりにくい。
【0031】
(14)本願発明に係る別の光ラインセンサユニットは、搬送路を副走査方向に沿って搬送される紙葉類に励起光を照射し、紙葉類からの蛍光又は燐光を検出する光ラインセンサユニットであって、光源と、受光部と、第2搬送面と、複数の第2開口部と、複数の第2窓部材とを備える。前記光源は、前記副走査方向に直交する主走査方向に並べて配置された複数の発光素子を有し、前記複数の発光素子から励起光を照射する。前記受光部は、前記主走査方向に並べて配置された複数の受光素子を有し、紙葉類からの蛍光又は燐光を前記複数の受光素子で受光する。前記第2搬送面は、前記搬送路における前記光源側の面を構成する。前記複数の第2開口部は、前記第2搬送面における各発光素子に対向する位置に設けられている。前記複数の第2窓部材は、前記複数の第2開口部をそれぞれ覆い、各発光素子からの光を透過させる。前記第2窓部材における前記搬送路側の面は、前記副走査方向の両端縁から中央部側に向かって前記搬送路側へと突出する傾斜面又は凸湾曲面を有する。前記第2窓部材の前記副走査方向の両端縁は、前記搬送路に露出しないように前記第2開口部内に位置している。
【0032】
このような構成によれば、各発光素子に対向する位置に設けられた各第2開口部を介して、紙葉類に光を照射することができる。各第2開口部が長孔により形成されており、その副走査方向の幅が主走査方向の幅よりも長いため、副走査方向に搬送される紙葉類により多くの光を照射することができる。これにより、蛍光又は燐光を検出する際のS/N比を向上することができる。
【0033】
(15)前記複数の第2開口部は、それぞれの前記副走査方向の幅が前記主走査方向の幅よりも長い長孔により構成されていてもよい。
【0034】
(16)前記複数の第2開口部は、それぞれ長円形状に形成されていてもよい。
【0035】
(17)前記複数の第1開口部は、曲率中心が互いに離間した円弧状の両端部と、それらを接続する直線部とを有していてもよい。
【0036】
(18)前記光ラインセンサユニットは、前記複数の発光素子を保持する光源ホルダをさらに備えていてもよい。
【0037】
(19)前記複数の発光素子が、赤外LEDであってもよい。
【発明の効果】
【0038】
本願発明によれば、第1窓部材の副走査方向の端縁に搬送中の紙葉類が引っ掛かるのを防止することができるとともに、第1窓部材の傾斜面又は凸湾曲面に沿って、搬送中の紙葉類の先端を円滑に搬送方向に導くことができるため、搬送路に紙葉類が詰まりにくい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の一実施形態に係る光ラインセンサユニットの構成例を示す概略断面図であり、副走査方向に沿った断面を示している。
【
図2】
図1の光ラインセンサユニットの主走査方向に沿った断面図である。
【
図3】
図1の光ラインセンサユニットの構成を詳細に示した断面図である。
【
図4】
図3の窓部材の変形例を示した概略断面図である。
【
図5】開口部の形状について説明するための図である。
【
図6】開口部の形状の変形例について説明するための図である。
【
図7】本発明の別実施形態に係る光ラインセンサユニットの主走査方向に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
<光ラインセンサユニット>
図1は、本発明の一実施形態に係る光ラインセンサユニットの構成例を示す概略断面図であり、副走査方向xに沿った断面を示している。
図2は、
図1の光ラインセンサユニットの主走査方向yに沿った断面図である。
【0041】
この光ラインセンサユニットは、搬送路1に沿って搬送される紙葉類Sに励起光を照射し、紙葉類Sからの蛍光又は燐光を検出するための装置である。紙葉類Sは、副走査方向xに沿って、一方向又は双方向に搬送される。
図1の光ラインセンサユニットには、搬送路1を挟んで互いに対向するように配置された光源ユニット2及び受光ユニット3が備えられている。
【0042】
光源ユニット2は、光源21、ドライバ基板22、筐体23及び窓部材(第2窓部材)24などを備えている。光源21は、搬送路1に沿って搬送される紙葉類Sに対して励起光を照射する。光源21から照射される励起光の光軸は、搬送路1に対して直交している。光源21は、励起光として、例えば紫外光を含む光を照射する。光源21から照射される光には、紫外光以外に、可視光又は赤外光などが含まれていてもよい。
【0043】
紙葉類Sには、真偽を判別するために蛍光体又は燐光体などの発光体が設けられている。搬送路1に沿って搬送される紙葉類Sに対して、光源21からの光が照射されると、発光体が励起されて一定の波長の光(蛍光又は燐光)を放出する。本実施形態に係る光ラインセンサユニットでは、紙葉類Sから放出される光を受光ユニット3で受光することにより、励起光照射中の発光の強度情報、及び、励起光照射停止後の発光(残光)の強度情報に基づいて、紙葉類Sの種別及び真偽を判別することができる。
【0044】
光源21は、ドライバ基板22に対して電気的に接続されている。光源21は、ドライバ基板22から電力が供給されることにより駆動される。光源21の外側は筐体23により覆われており、光源21からの光は、筐体23に形成された開口部(第2開口部)231を介して搬送路1に照射される。開口部231には、光源21からの光を透過可能な窓部材24が設けられている。
【0045】
本実施形態では、光源21が複数の発光素子211を備えている。各発光素子は、例えば砲弾型(樹脂モールド型)のLEDであってもよい。LEDは、赤外LEDであってもよい。各発光素子211は、副走査方向xに直交する主走査方向yに沿って一直線上に並べて配置されている。各発光素子211間の間隔は一定であり、各発光素子211から同一の強度で励起光が照射される。筐体23の搬送路1側の面は、搬送路1における光源21側の面(第2搬送面232)を構成している。第2搬送面232には、各発光素子211に対向する位置に開口部231が形成されている。これにより、第2搬送面232には主走査方向yに沿って複数の開口部231が設けられ、各開口部231が窓部材24により覆われている。
【0046】
窓部材24は、例えば樹脂又はガラスにより形成されている。ただし、窓部材24は、各発光素子211からの光を透過させて搬送路1に導くことができるような材料であれば、他の任意の材料で形成することができる。光源21から照射される光が、紫外光、可視光及び赤外光を含む場合には、これらの波長域の光を透過可能な材料で窓部材24を形成すればよい。
【0047】
受光ユニット3は、受光部31、センサ基板32、筐体33及び窓部材(第1窓部材)34などを備えている。受光部31は、紙葉類Sからの光(蛍光又は燐光)を受光する。受光部31は、主走査方向yに沿って一直線上に並べて配置された複数の受光素子311を備えている。各受光素子311間の間隔は一定であり、各発光素子211間の間隔と同一である。これにより、各受光素子311が、各発光素子211に対して搬送路1を挟んで対向するように配置されている。各受光素子311の光軸は、搬送路1に対して直交しており、対向する発光素子211の光軸と同軸である。各受光素子311の光軸と、各受光素子311に対向する各発光素子211の光軸は、同軸でなくてもよいが、略一致していることが好ましい。
【0048】
受光部31は、センサ基板32に対して電気的に接続されている。受光部31の各受光素子311からの信号は、センサ基板32を介して処理される。受光部31の外側は筐体33により覆われており、受光部31には、筐体33に形成された開口部(第1開口部)331を介して紙葉類Sからの光が入射する。開口部331には、紙葉類Sからの光を透過可能な窓部材34が設けられている。
【0049】
筐体33の搬送路1側の面は、搬送路1における受光部31側の面(第1搬送面332)を構成している。第1搬送面332には、各受光素子311に対向する位置に開口部331が形成されている。これにより、第1搬送面332には主走査方向yに沿って複数の開口部331が設けられ、各開口部331が窓部材34により覆われている。窓部材34は、例えば樹脂又はガラスにより形成されている。ただし、窓部材34は、紙葉類Sからの光を各受光素子311に向けて透過させることができるような材料であれば、他の任意の材料で形成することができる。
【0050】
図3は、
図1の光ラインセンサユニットの構成を詳細に示した断面図である。本実施形態では、光源21を保持するための光源ホルダ25が光源ユニット2に備えられ、受光部31を保持するための受光部ホルダ35が受光ユニット3に備えられている。
【0051】
複数の発光素子211は、1つの光源ホルダ25により一体的に保持されていてもよいし、それぞれ異なる光源ホルダ25により保持されていてもよい。受光部31は、上述した複数の受光素子311の他、各受光素子311に対向する複数のレンズ312を備えている。紙葉類Sからの光は、各レンズ312により集光され、各レンズ312に対向する各受光素子311の受光面に結像される。複数の受光素子311及び複数のレンズ312は、1つの受光部ホルダ35により一体的に保持されていてもよいし、それぞれ異なる受光部ホルダ35により保持されていてもよい。
【0052】
光源ユニット2における窓部材24は、光源ホルダ25と一体的に形成されている。この場合、窓部材24及び光源ホルダ25が、樹脂又はガラスなどの同一の材料により形成されていてもよい。窓部材24は、副走査方向xの両端縁から中央部側に向かって厚みが漸次増加するようなレンズ状に形成されている。具体的には、窓部材24における搬送路1側の面が、副走査方向xの両端縁から中央部側に向かって搬送路1側へと突出する滑らかな凸湾曲面を有している。
【0053】
窓部材24の副走査方向xの両端縁は、搬送路1に露出しないよう開口部231内に位置している。すなわち、窓部材24の副走査方向xの両端縁は、開口部231内から搬送路1側に突出していないが、窓部材24の副走査方向xの中央部は、開口部231内よりも搬送路1側に突出している。ただし、窓部材24の形状は、上記のような形状に限られるものではない。
【0054】
受光ユニット3における窓部材34は、受光部ホルダ35と一体的に形成されている。この場合、窓部材34及び受光部ホルダ35が、樹脂又はガラスなどの同一の材料により形成されていてもよい。窓部材34は、副走査方向xの両端縁から中央部側に向かって厚みが漸次増加するようなレンズ状に形成されている。具体的には、窓部材34における搬送路1側の面が、副走査方向xの両端縁から中央部側に向かって搬送路1側へと突出する凸湾曲面を有している。
【0055】
このような窓部材34によれば、集光効率が向上するため、蛍光又は燐光を検出する際のS/N比を向上することができるとともに、複数の受光素子311間でのクロストークを防止することができる。また、窓部材34の中央部が開口部331から突出することにより、搬送中の紙葉類Sが開口部331に引っ掛かるのを防止することができるため、搬送路1に紙葉類Sが詰まりにくい。このような効果は、上述した光源ユニット2の窓部材24においても同様に奏することができる。
【0056】
窓部材34の副走査方向xの両端縁は、搬送路1に露出しないよう開口部331内に位置している。すなわち、窓部材34の副走査方向xの両端縁は、開口部331内から搬送路1側に突出していないが、窓部材34の副走査方向xの中央部は、開口部331内よりも搬送路1側に突出している。ただし、窓部材34の形状は、上記のような形状に限られるものではない。
【0057】
このように、窓部材34の副走査方向xの両端縁が搬送路1に露出せず、開口部331内に位置しているため、搬送中の紙葉類Sが当該端縁に引っ掛かるのを防止することができる。また、窓部材34の凸湾曲面に沿って、搬送中の紙葉類Sの先端を円滑に搬送方向(副走査方向x)に導くことができる。したがって、搬送路1に紙葉類が詰まりにくい。このような効果は、上述した光源ユニット2の窓部材24においても同様に奏することができる。
【0058】
<窓部材の変形例>
図4は、
図3の窓部材34の変形例を示した概略断面図である。
図3では、受光ユニット3の窓部材34における搬送路1側の面が、凸湾曲面を有する構成について説明した。これに対して、
図4の例では、受光ユニット3の窓部材34における搬送路1側の面が、副走査方向xの両端縁から中央部側に向かって搬送路1側へと突出する傾斜面341を有している。各傾斜面341は、窓部材34の中央部側において、副走査方向xに沿って延びる平坦面342に接続されている。これにより、窓部材34における搬送路1側の面は、台形状に形成されている。
【0059】
窓部材34の副走査方向xの両端縁(各傾斜面341の両端縁)は、搬送路1に露出しないよう開口部331内に位置している。すなわち、窓部材34の副走査方向xの両端縁は、開口部331内から搬送路1側に突出していないが、窓部材34の副走査方向xの中央部(各傾斜面341の中央部側及び平坦面342)は、開口部331内よりも搬送路1側に突出している。窓部材34における副走査方向xの傾斜面341(
図4参照)又は凸湾曲面(
図3参照)のテーパ角が、窓部材34における主走査方向yの傾斜面又は凸湾曲面のテーパ角よりも小さければ、搬送路1に紙葉類を詰まりにくくすることができる。この場合、副走査方向xのテーパ角は概ね35°以下が好ましい。この例では、受光ユニット3の窓部材34の変形例について説明したが、光源ユニット2の窓部材24についても同様の形状を採用してもよい。
【0060】
<開口部の形状>
図5は、開口部331の形状について説明するための図である。
図5(a)は、開口部331の平面図を示している。
図5(b)は、光源21から励起光が照射されるタイミングと、受光部31における紙葉類Sからの光の受光強度との関係を示しており、各タイミングを開口部331の形状に対応付けて示している。
【0061】
図5(a)に示すように、開口部331は、副走査方向xの幅W
sが、主走査方向yの幅W
mよりも長い長孔により構成されている。具体的には、開口部331における副走査方向xの両端部331aが円弧状に形成されており、両端部331a同士が直線部331bにより接続されている。両端部331aの曲率中心は互いに離れており、これらの曲率中心間の距離が直線部331bの長さに相当する。
【0062】
本実施形態では、各受光素子311に対向する位置に設けられた各開口部331を介して、紙葉類Sからの蛍光又は燐光を各受光素子311で受光することができる。各開口部331が長孔により形成されており、その副走査方向xの幅Wsが主走査方向yの幅Wmよりも長いため、各受光素子311への外乱光の入射を抑制しつつ、副走査方向xに搬送される紙葉類Sからより多くの光を受光することができる。これにより、蛍光又は燐光を検出する際のS/N比を向上することができる。
【0063】
光源21からの励起光による紙葉類Sの照明領域は略円形である。この照明領域の外径は、開口部331の副走査方向xの幅Wsよりも大きいことが好ましい。すなわち、開口部331の副走査方向xの幅Ws全体に跨るように、紙葉類Sの照明領域が対向している。
【0064】
図5(b)に示すように、光源21から励起光が照射されている時間(照射時間t
r(秒))の間、受光部31における紙葉類Sからの光の受光強度は徐々に増加する。そして、光源21からの励起光の照射が停止されたときには、受光部31における受光強度が急激に減少するが、その後も残光による受光強度が検出され、残光による受光強度が減衰する時間(減衰時間t
de(秒))の間は受光強度が徐々に減少する。
【0065】
この例では、紙葉類Sが搬送路1を副走査方向xに沿って一方向に搬送される。この場合、紙葉類Sの搬送速度をV(m/秒)、減衰時間tdeの間に紙葉類Sの任意の一点が副走査方向xに移動する距離をWv(m)、照射時間trの間に紙葉類Sの任意の一点が副走査方向xに移動する距離をWi(m)としたときに、下記式(1)~(3)を満たすように各幅Ws,Wmが設定される。
Wv=tde×V ・・・(1)
Wi=tr×V ・・・(2)
Wm<Ws≦Wv+Wi ・・・(3)
【0066】
これにより、紙葉類Sが副走査方向xに沿って一方向に搬送される構成において、開口部331を構成する長孔の形状を適切に設定することができるため、蛍光又は燐光を検出する際のS/N比を効果的に向上することができる。
【0067】
受光ユニット3の窓部材34における搬送路1側の面の算術平均粗さRaは、下記式(4)を満たすことが好ましい。なお、下記式(4)における「a」は、「平均(average)」を意味しており、「0.1a」は平均の粗さが「0.1」であり、「12.5a」は平均の粗さが「12.5」である。
0.1a≦Ra≦12.5a ・・・(4)
【0068】
これにより、各窓部材34における蛍光又は燐光の拡散を抑えることができる。したがって、蛍光又は燐光を検出する際のS/N比を向上することができるとともに、複数の受光素子311間でのクロストークを防止することができる。
【0069】
本実施形態では、
図2に示すように、主走査方向yに並ぶ各受光素子311の間に、それぞれ遮蔽部36が設けられている。各遮蔽部36は、各窓部材34において拡散した蛍光又は燐光が、各窓部材34に対向する受光素子311以外の受光素子311に入射するために防止するためのものである。この例では、各遮蔽部36は、副走査方向x及び主走査方向yに直交する方向(受光部31の光軸方向)に沿って延びる板状部材により構成されている。各遮蔽部36は、その表面に入射する光を吸収又は反射させる。
【0070】
上記のような各遮蔽部36により、各受光素子311に対して、対向する窓部材34からの光のみを入射させることができる。これにより、複数の受光素子311間でのクロストークを防止することができる。各遮蔽部36は、隣接する受光素子311の間で光の出入りを完全に遮断することが好ましいが、多少の光を通過させるものであってもよい。各遮蔽部36は、受光部ホルダ35と一体的に形成されていてもよいし、受光部ホルダ35とは別部材により構成されていてもよい。また、各遮蔽部36は、受光部ホルダ35の外面又は内面に塗装を施したり、蒸着などにより膜を形成したり、2色成型などの製法を用いて形成されたりしてもよい。
【0071】
<開口部の変形例>
図6は、開口部331の形状の変形例について説明するための図である。
図6(a)は、開口部331の平面図を示している。
図6(b)は、光源21から励起光が照射されるタイミングと、受光部31における紙葉類Sからの光の受光強度との関係を示しており、各タイミングを開口部331の形状に対応付けて示している。
【0072】
この例では、紙葉類Sが搬送路1を副走査方向xに沿って双方向に搬送される。すなわち、紙葉類Sは、
図6における左側から右側に搬送される場合もあれば、右側から左側に搬送される場合もある。このように紙葉類Sが双方向に搬送される場合、開口部331の主走査方向yの幅W
mに対する副走査方向xの幅W
sの比率は、
図5のように一方向に搬送される場合と比較して大きい値となる。すなわち、開口部331が、副走査方向xに沿って、より細長い形状の長孔となる。
【0073】
具体的には、紙葉類Sの搬送速度をV(m/秒)、減衰時間tdeの間に紙葉類Sの任意の一点が副走査方向xに移動する距離をWv(m)としたときに、下記式(5)及び(6)を満たすように各幅Ws,Wmが設定される。
Wv=tde×V ・・・(5)
Wm<Ws≦2Wv+Wm ・・・(6)
【0074】
これにより、紙葉類Sが副走査方向xに沿って双方向に搬送される構成において、開口部331を構成する長孔の形状を適切に設定することができるため、蛍光又は燐光を検出する際のS/N比を効果的に向上することができる。
【0075】
<その他の変形例>
以上の実施形態では、受光ユニット3の開口部331の形状について説明したが、光源ユニット2の開口部231についても同様の形状を採用してもよい。すなわち、受光ユニット3の各開口部231は、それぞれの副走査方向xの幅が主走査方向yの幅よりも長い長孔により構成されていてもよい。
【0076】
この場合、各発光素子211に対向する位置に設けられた各開口部231を介して、紙葉類Sに光を照射することができる。各開口部231が長孔により形成されており、その副走査方向xの幅が主走査方向yの幅よりも長いため、副走査方向xに搬送される紙葉類Sにより多くの光を照射することができる。これにより、蛍光又は燐光を検出する際のS/N比を向上することができる。
【0077】
受光ユニット3の各開口部231の形状は、紙葉類Sが搬送路1を副走査方向xに沿って一方向に搬送される構成であれば、上述の式(1)~(3)を満たすことが好ましく、紙葉類Sが搬送路1を副走査方向xに沿って双方向に搬送される構成であれば、上述の式(5)及び(6)を満たすことが好ましい。また、光源ユニット2の窓部材24における搬送路1側の面の算術平均粗さRaが、上述の式(4)を満たしていてもよい。
【0078】
各開口部231,331は、曲率中心が互いに離間した円弧状の両端部と、それらを接続する直線部とを有する長円形状に限らず、例えば直線部を有しない楕円形状などで形成されてもよい。また、各開口部231,331の両端部は、円弧状に限らず、2字曲線状に形成されてもよいし、スプライン曲線を含む高次多項式で表される曲線状に形成されてもよい。
【0079】
光源21は、受光素子311と同数の発光素子211を有する構成に限らず、受光素子311よりも少ない数(例えば1つ)の発光素子から紙葉類Sに光が照射されるような構成であってもよい。
【0080】
光源21は、上記実施形態のように複数の発光素子211を備えた離散的な光源に限らず、例えばライン状の照明光源であってもよい。
図7は、本発明の別実施形態に係る光ラインセンサユニットの主走査方向に沿った断面図である。この実施形態では、光源ユニット200の構成のみが上記実施形態とは異なり、他の構成は上記実施形態と同様であるため、同様の構成については、図に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0081】
図7に示すように、光源ユニット200は、光源201、ドライバ基板202、導光体203、筐体204及び透光カバー205などを備えている。導光体203は、主走査方向yに沿って延びる透明な部材であり、光源201から入射する光(励起光)を拡散させ、その励起光を搬送路1に沿って搬送される紙葉類Sに照射する。
【0082】
光源201は、導光体203の端部に設けられ、導光体203の端面に対して主走査方向yに沿って励起光を出射する。この例では、導光体203の両端に光源201が設けられているが、いずれか一方の端面にのみ光源201が設けられた構成であってもよい。光源201は、励起光として、例えば紫外光を含む光を照射する。光源201から照射される光には、紫外光以外に、可視光又は赤外光などが含まれていてもよい。この例のように導光体203の両端に光源201が設けられた構成の場合には、一方の光源201から紫外光を含む光が照射され、他方の光源から可視光又は赤外光を含む光が照射されてもよい。
【0083】
光源201は、端子206を介してドライバ基板202に電気的に接続されている。光源201には発光素子211が備えられており、ドライバ基板202から電力が供給されることにより発光素子211が発光する。光源201及び導光体203の外側は筐体204により覆われており、導光体203からの光は、筐体204に形成された開口部207を介して搬送路1に照射される。開口部207には、導光体203からの光を透過可能な透光カバー205が設けられている。
【符号の説明】
【0084】
1 搬送路
2 光源ユニット
3 受光ユニット
21 光源
22 ドライバ基板
23 筐体
24 窓部材
25 光源ホルダ
31 受光部
32 センサ基板
33 筐体
34 窓部材
35 受光部ホルダ
36 遮蔽部
200 光源ユニット
201 光源
202 ドライバ基板
203 導光体
211 発光素子
231 開口部
232 第2搬送面
311 受光素子
312 レンズ
331 開口部
332 第1搬送面