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特許7141400ラテックス組成物及びその成形体並びに該成形体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】ラテックス組成物及びその成形体並びに該成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/10 20060101AFI20220914BHJP
   C08K 5/39 20060101ALI20220914BHJP
   C08K 5/31 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
C08L9/10
C08K5/39
C08K5/31
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019537612
(86)(22)【出願日】2018-08-20
(86)【国際出願番号】 JP2018030626
(87)【国際公開番号】W WO2019039424
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-05-19
(31)【優先権主張番号】P 2017158778
(32)【優先日】2017-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000195661
【氏名又は名称】住友精化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 晃平
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 泰暢
(72)【発明者】
【氏名】杉原 範洋
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-168728(JP,A)
【文献】特表2004-532752(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102718994(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102146171(CN,A)
【文献】特開2013-129761(JP,A)
【文献】特開2012-246334(JP,A)
【文献】特開2009-209229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
A41D 19/00
A41D 19/04
B29C 41/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソプレンを含むラテックス組成物において、
下記の(a)成分及び(b)成分
(a)エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛
(b)1-o-トリルビグアニド
を含み、
前記(a)成分の含有量が、ポリイソプレン100質量部に対して0.3~0.6質量部であり、
前記(b)成分の含有量が、ポリイソプレン100質量部に対して0.6~0.9質量部である、ラテックス組成物。
【請求項2】
前記(a)成分及び前記(b)成分の総含有量が、ポリイソプレン100質量部に対して0.9~1.5質量部である、請求項1に記載のラテックス組成物。
【請求項3】
前記(a)成分の含有量が、前記(b)成分100質量部に対して33~100質量部である、請求項1又は2に記載のラテックス組成物。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載のラテックス組成物の加硫物を含有する成形体。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載のラテックス組成物を加硫することで成形体を得る工程を含む、成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラテックス組成物及びその成形体並びに該成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイソプレンラテックスは、ポリイソプレンが媒体に乳化分散したゴムラテックスとして知られており、各種の用途に応用が展開されている。ポリイソプレンラテックスは、例えば、人工乳首、風船(バルーン)、手袋、指サック、フィルム等の成形体を製造するための原料として欠かすことのできない材料である。
【0003】
ポリイソプレンラテックスの成形体を得ようとする場合、成形体に強度及び弾性を付与する目的で、ポリイソプレンラテックスの加硫が行われることが一般的である。ポリイソプレンラテックスを加硫するにあたっては、添加剤として加硫剤の他、加硫促進剤及び/又は加硫促進助剤等の添加剤も用いられる。これらの添加剤は、ポリイソプレンラテックスの性能を損なわないようにするために、いずれも通常は少量だけ使用される。例えば、特許文献1には、合成ポリイソプレンラテックス、硫黄系加硫剤、酸化亜鉛及び加硫促進剤を含む合成ポリイソプレンラテックス組成物が開示されており、加硫促進剤であるジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛の含有量を少量とすることが開示されている。このような組成物は、安全性に優れ、成形体の引張強度も優れるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-209229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリイソプレンを含有するラテックス組成物を加硫して成形体を得る工程は、ポリイソプレンを含有するラテックス組成物を製造してから、例えば、組成物が1日程度輸送、保管された後に行われる。成形体を得る工程では、例えば、2週間程度組成物を継続して使用することがある。つまり、ラテックス組成物は製造してから1日~2週間程度経過した後に加硫して成形体を得ることがある。ラテックス組成物を製造してから1日間経過した後に加硫して得た成形体の引張強度は高いが、該組成物を製造してから1日よりも長い期間(例えば8日間以上)経過した後に得た成形体は、1日間経過した後に得た成形体に比べて引張強度が低下する問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、ラテックス組成物の製造から1日よりも長い期間が経過した場合においても、成形体の引張強度の低下が抑制されたラテックス組成物を提供することを目的とする。また、本発明は前記ラテックス組成物の成形体及びこの成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ラテックス組成物に特定の成分を含有することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の発明を包含する。
項1.ポリイソプレンを含むラテックス組成物において、
下記の(a)成分及び(b)成分
(a)エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛
(b)1-o-トリルビグアニド
を含む、ラテックス組成物。
項2.前記(a)成分の含有量が、ポリイソプレン100質量部に対して0.3~0.6質量部である、項1に記載のラテックス組成物。
項3.前記(b)成分の含有量が、ポリイソプレン100質量部に対して0.6~0.9質量部である、項1又は2に記載のラテックス組成物。
項4.前記(a)成分及び前記(b)成分の総含有量が、ポリイソプレン100質量部に対して0.9~1.5質量部である、項1~3のいずれか1項に記載のラテックス組成物。
項5.前記(a)成分の含有量が、前記(b)成分100質量部に対して33~100質量部である、項1~4のいずれか1項に記載のラテックス組成物。
項6.項1~5のいずれか1項に記載のラテックス組成物の加硫物を含有する成形体。
項7.項1~5のいずれか1項に記載のラテックス組成物を加硫することで成形体を得る工程を含む、成形体の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るラテックス組成物は、ラテックス組成物の製造から1日よりも長い期間が経過した後に成形した場合においても、該成形体の引張強度の低下が抑制される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
【0011】
本発明のポリイソプレンを含むラテックス組成物は、下記の(a)成分及び(b)成分(a)エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛
(b)1-o-トリルビグアニド
を含む。
【0012】
なお、以下の説明において、本発明のポリイソプレンを含むラテックス組成物を「ラテックス組成物」と表記する。
【0013】
ラテックス組成物に含まれるポリイソプレンは、例えば、イソプレンを重合して得られる合成イソプレン重合体である。合成イソプレン重合体の種類は、特に限定されない。
【0014】
合成イソプレン重合体は、イソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体を含む共重合体であってもよい。この場合、イソプレン単位の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。イソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体は、特に限定されず、公知の各種エチレン性不飽和単量体を広く採用できる。
【0015】
ポリイソプレンが合成イソプレン重合体である場合は、例えば、公知の合成イソプレン重合体ラテックスを本発明のラテックス組成物に適用することができる。つまり、ラテックス組成物は、公知の合成イソプレン重合体ラテックスを含むことができる。
【0016】
合成イソプレン重合体ラテックスの固形分濃度は、好ましくは40重量%以上、より好ましくは40~70重量%、さらに好ましくは50~70重量%とすることができる。
【0017】
合成イソプレン重合体ラテックスの分散媒としては特に限定されない。例えば、ポリイソプレンの分散性に優れるという点で水を分散媒として挙げることができる。また、ポリイソプレンの分散安定性が損なわない限りは、分散媒は、有機溶媒と水との混合溶媒であってもよい。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール等が挙げられる。有機溶媒は、1種単独でもよいし、2種以上の混合溶媒であってもよい。
【0018】
ポリイソプレンの形状は特に限定されず、例えば、粒子状であってもよい。ポリイソプレンが粒子状である場合、例えば、球状粒子、楕円球状粒子の他、不規則に歪んだ異形状粒子等が挙げられる。
【0019】
ポリイソプレンの平均粒子径は特に限定されず、好ましくは0.6~3.0μm、より好ましくは0.8~2.0μmである。
【0020】
ポリイソプレンの製造方法も特に限定されず、公知のポリイソプレンの製造方法を広く採用することができる。例えば、特開2016-160365号公報又は特開2016-160366号公報に記載の方法により合成イソプレン重合体ラテックスを製造することができる。
【0021】
前記(a)成分は、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛である。この(a)成分は、ラテックス組成物において、例えば、加硫促進剤としての作用を有する。
【0022】
(a)成分は、例えば、粒子状の形態を有する。(a)成分は、その他の形態であってもよい。(a)成分が粒子状である場合は、その形状は、球状、楕円球状、不規則に歪んだ異形状等、種々の形状を取り得る。
【0023】
(a)成分が球状である場合は、その体積平均粒子径は特に限定されず、例えば、0.01~10μmである。この場合、ラテックス組成物中に凝集物が発生しにくく、ラテックス組成物から得られる成形体の引張強度の低下が抑制されるという観点から、(a)成分の体積平均粒子径は、0.01~5μmであることがより好ましく、0.5~4μmであることがさらに好ましく、0.75~3.3μmであることがさらに好ましい。
【0024】
ラテックス組成物において(a)成分の含有量は、ポリイソプレン100質量部に対して0.3~0.6質量部であることが好ましく、0.3~0.4質量部であることがより好ましい。この場合、ラテックス組成物から得られる成形体は、優れた引張強度を有する。しかも、ラテックス組成物を製造してから1日よりも長い期間経過した後で得られる成形体においても、引張強度の低下が抑制される。
【0025】
前記(b)成分は、1-o-トリルビグアニドである。この(b)成分は、ラテックス組成物において、例えば、加硫促進剤としての作用を有する。
【0026】
(b)成分は、例えば、粒子状の形態を有する。(b)成分は、その他の形態であってもよい。(b)成分が粒子状である場合は、その形状は、球状、楕円球状、不規則に歪んだ異形状等、種々の形状を取り得る。
【0027】
(b)成分が球状である場合は、その体積平均粒子径は特に限定されず、例えば、0.01~10μmである。この場合、ラテックス組成物中に凝集物が発生しにくく、ラテックス組成物から得られる成形体の引張強度の低下が抑制されるという観点から、(b)成分の体積平均粒子径は、0.01~5μmであることがより好ましく、0.5~4μmであることがさらに好ましく、0.75~3.3μmであることがさらに好ましい。
【0028】
ラテックス組成物において(b)成分の含有量は、ポリイソプレン100質量部に対して0.6~0.9質量部であることが好ましく、0.8~0.9質量部であることがより好ましい。この場合、ラテックス組成物から得られる成形体は、優れた引張強度を有する。しかも、ラテックス組成物を製造してから1日よりも長い期間経過した後で得られる成形体においても、引張強度の低下が抑制される。
【0029】
ラテックス組成物において、(a)成分及び前記(b)成分の総含有量が、ポリイソプレン100質量部に対して0.9~1.5質量部であることが好ましく、1.1~1.3質量部であることがより好ましい。この場合、ラテックス組成物から得られる成形体は、優れた引張強度を有する。しかも、ラテックス組成物を製造してから1日よりも長い期間経過した後で得られる成形体においても、引張強度の低下が抑制される。
【0030】
特に、前記(a)成分及び前記(b)成分の総含有量が、ポリイソプレン100質量部に対して0.9~1.5質量部(好ましくは1.1~1.3質量部)であって、(a)成分の含有量が、ポリイソプレン100質量部に対して0.3~0.6質量部(好ましくは0.3~0.4質量部)、かつ、(b)成分の含有量が、ポリイソプレン100質量部に対して0.6~0.9質量部(好ましくは0.8~0.9質量部)であることが好ましい。この場合、ラテックス組成物を製造してから1日よりも長い期間経過した後で得られる成形体の引張強度の低下がさらに抑制される。
【0031】
別の観点において、前記(a)成分の含有量が、前記(b)成分100質量部に対して33~100質量部であることが好ましく、33~50質量部であることが特に好ましい。この場合、ラテックス組成物を製造してから1日よりも長い期間経過した後で得られる成形体の引張強度の低下がさらに抑制される。
【0032】
前記(a)成分の含有量が、前記(b)成分100質量部に対して33~100質量部である場合、前記(a)成分及び前記(b)成分の総含有量は、ポリイソプレン100質量部に対して0.9~1.5質量部(好ましくは1.1~1.3質量部)を満たすことも好ましい。また、前記(a)成分の含有量が、前記(b)成分100質量部に対して33~100質量部である場合、(a)成分の含有量が、ポリイソプレン100質量部に対して0.3~0.6質量部(好ましくは0.3~0.4質量部)、かつ、(b)成分の含有量が、ポリイソプレン100質量部に対して0.6~0.9質量部(好ましくは0.8~0.9質量部)を満たすことも好ましい。
【0033】
前記(a)成分及び前記(b)成分はいずれも公知の方法で製造することができる。また、本発明のラテックス組成物では、(a)成分及び前記(b)成分はいずれも市販品を使用することもできる。
【0034】
本発明のラテックス組成物において、分散媒としては特に限定されず、例えば、前述の合成イソプレン重合体ラテックスの分散媒と同様とすることができる。
【0035】
ラテックス組成物の固形分濃度は、特に限定されない。例えば、ラテックス組成物を長期保管した後のポリイソプレン粒子の分離及び凝集が起こりにくくなるという観点から、ラテックス組成物の固形分濃度は20~70質量%であることが好ましく、30~60質量%であることがより好ましい。
【0036】
ラテックス組成物は、ポリイソプレン、(a)成分及び(b)成分以外に、その他の添加剤を含むことができる。ラテックス組成物に含まれる添加剤としては、例えば、公知のイソプレンラテックスに含まれる添加剤を広く採用することができる。
【0037】
ラテックス組成物に含まれる添加剤としては、例えば、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、安定剤、pH調整剤、酸化防止剤等を挙げることができる。
【0038】
加硫剤としては、例えば、硫黄系加硫剤が挙げられる。硫黄系加硫剤としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、および不溶性硫黄等の硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリン-ジスルフィド、アルキルフェノール-ジスルフィド、N,N’-ジチオ-ビス(ヘキサヒドロ-2H-アゼピノンー2)、含りんポリスルフィド、高分子多硫化物、および2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール等の硫黄含有化合物;が挙げられる。加硫剤は、1種単独で又は2種以上を併用して使用することができる。これらの硫黄系加硫剤の中でも、好ましくは硫黄であり、より好ましくはコロイド硫黄である。
【0039】
加硫剤の分散性を向上させるために、オレイン酸カリウム及びβ-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム等の添加剤を加硫剤と共に併用することもできる。添加剤は、1種単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
【0040】
前記加硫剤の使用量は、ラテックス組成物の分散安定性を損なわず、優れた引張強度を有する成形体が得られるという観点から、ポリイソプレン(固形分)100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
【0041】
加硫促進剤は、前記(a)成分及び(b)成分の他、本発明の効果が阻害されない限りは、公知の加硫促進剤を広く採用できる。
【0042】
加硫促進助剤の種類は特に限定されず、酸化亜鉛等、公知の加硫促進助剤を広く採用することができる。加硫促進助剤として酸化亜鉛を使用する場合は、例えば、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム及びオレイン酸カリウム等の安定剤が含まれる酸化亜鉛分散液とすることができる。
【0043】
加硫促進助剤の使用量は、ラテックス組成物の分散安定性を損なわず、優れた引張強度を有する成形体が得られるという観点から、ポリイソプレン(固形分)100質量部に対して、好ましくは0.1~1質量部、より好ましくは0.1~0.5質量部とすることができる。
【0044】
pH調整剤は特に限定されず、例えば、公知の酸又はアルカリが挙げられ、ラテックス組成物の安定性が向上しやすいという観点から、アルカリが好ましい。アルカリは、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩;アンモニア;トリメチルアンモニウム、トリエタノールアミンなどの有機アミン化合物等を挙げることができる。ラテックス組成物がpH調整剤を含む場合、例えば、ラテックス組成物のpHが7以上、好ましくは8以上になる程度にpH調整剤を含むことが好ましい。
【0045】
安定剤としては、例えば、ミルクプロテインおよびその塩、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ならびにソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。ミルクプロテインの塩は、カゼインの金属塩が例示される。カゼインの金属塩における金属塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる他、塩となり得る金属を広く適用することができる。具体的なカゼインの金属塩として、カゼインナトリウム塩、カゼインカリウム塩、カゼインマンガン塩、カゼイン亜鉛等を挙げることができる。その他、安定剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)等も例示される。
【0046】
前記安定剤の使用量は、ラテックス組成物の分散安定性を損なわず、優れた引張強度を有する成形体が得られるという観点から、ポリイソプレン(固形分)100質量部に対して、好ましくは0.1~1質量部、より好ましくは0.2~0.7質量部とすることができる。
【0047】
酸化防止剤としては、例えば、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)等、公知の酸化防止剤を広く採用することができる。酸化防止剤の分散性を向上させるために、オレイン酸カリウム及びポリカルボン酸ナトリウム等の添加剤を酸化防止剤と共に併用することもできる。
【0048】
酸化防止剤の使用量は、ラテックス組成物の分散安定性を損なわず、優れた引張強度を有する成形体が得られるという観点から、ポリイソプレン(固形分)100質量部に対して、好ましくは0.5~4質量部、より好ましくは1~3質量部とすることができる。
【0049】
ラテックス組成物に含まれる前述の各添加剤はそれぞれ、1種のみを含むものであってもよいし、異なる2種以上を含むものであってもよい。
【0050】
ラテックス組成物の調製方法は特に限定されず、公知の調製方法を広く適用することができる。ラテックス組成物の調製方法は、例えば、ボールミル、ニーダー、ディスパー等の公知の混合機又は分散機を用いて、ポリイソプレンと、前記(a)成分と、前記(b)成分と、必要に応じて添加される添加剤とを、所定の割合で混合する方法が挙げられる。
【0051】
ラテックス組成物を調製するにあたり、ポリイソプレンの原料としては前記合成イソプレン重合体ラテックスを使用することができる。
【0052】
ラテックス組成物を調製するにあたり、前記(a)成分及び前記(b)成分は、分散液または溶液のいずれの形態であってもよい。前記(a)成分及び前記(b)成分が分散液又は溶液である場合、溶媒としては水が好ましい。また、前記(a)成分及び前記(b)成分が分散液である場合、分散液中には、(a)成分及び(b)成分の分散性を向上させるために、オレイン酸カリウム及びポリカルボン酸ナトリウム等の添加剤が分散液に含まれていてもよい。
【0053】
ラテックス組成物は、加硫することで加硫物を形成することができる。例えば、特定形状の型枠内等でラテックス組成物の加硫を行うことで、加硫物を含む成形体が得られる。
【0054】
ラテックス組成物の加硫物を含有する成形体は、前記ラテックス組成物で形成されるので、優れた引張強度を有する。特に、ラテックス組成物は、特定の成分を含有することで、ラテックス組成物を製造してから1日よりも長い期間経過した後に成形したとしても得られる成形体の引張強度の低下が抑制される。
【0055】
ラテックス組成物の保管条件は特に限定されず、例えば、25℃の環境下で静置保管することができる。ラテックス組成物の保管場所は、例えば、暗所であることが好ましい。
【0056】
成形体は、ラテックス組成物の加硫物を成形体の全質量に対して50質量%以上含み、80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、99質量%以上含むことが特に好ましい。また、成形体は、ラテックス組成物の加硫物のみで形成されていてもよい。
【0057】
成形体の製造方法は特に限定されず、例えば、本発明のラテックス組成物を加硫することで成形体を得る工程を含む製造方法を採用することができる。
【0058】
ラテックス組成物を加硫する方法は、公知の方法を広く採用することができる。ラテックス組成物を加硫する方法としては、例えば、陶器の板等を凝固剤溶液に浸漬して凝固剤を付着させた後、該陶器の板をポリイソプレンラテックス組成物に浸漬し、加熱する凝固浸漬法を挙げることができる。その他、ラテックス組成物を加硫する方法としては、例えば、ガラス製等の平滑な型枠に、ポリイソプレンラテックス組成物を流し込み、加熱する流延法等が挙げられる。
【0059】
凝固剤は特に限定されず、例えば、塩化バリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、等のハロゲン化金属;硝酸バリウム、硝酸カルシウム、等の硝酸塩;酢酸バリウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛など酢酸塩;炭酸カルシウム等の炭酸塩等が挙げられる。凝固剤は、例えば、水溶液又は水分散液等の形態で使用できる。凝固剤は、1種単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
【0060】
ラテックス組成物を加硫は、例えば、100~140℃で行うことができ、より好ましくは100~120℃で行うことができる。
【0061】
本発明の成形体の製造方法では、加硫により成形体が得られた後、例えば、適宜の方法で乾燥等を行う工程を備えることもできる。
【0062】
以上の製造方法により、所望の形状に成形されたラテックス組成物の成形体を得ることができる。
【0063】
成形体の形状は特に限定されない。例えば、成形体は、薄膜状、基板状、フィルム状、棒状、ブロック状、繊維状等の形状を取り得る。
【0064】
本発明のラテックス組成物及び成形体は、各種用途の適用することができ、特に、人工乳首、風船(バルーン)、手袋、指サック、フィルム等に好適である。
【実施例
【0065】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0066】
[評価方法]
各測定は、以下の方法で行った。
【0067】
(1)体積平均粒子径
体積平均粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置(島津製作所製、型式:SALD-2300)を用いて求めた。
【0068】
(2)成形体の引張強度
各実施例及び比較例に記載の条件で、ポリイソプレンを含むラテックス組成物を製造した。得られたラテックス組成物は25℃雰囲気で静置保管し、保管日数が1日間(製造後1日目に相当)、8日間(製造後8日目に相当)、14日間(製造後14日目に相当)の時点で、以下の処理により成形体を作成し、成形体の引張強度を測定した。ラテックス組成物の保管日数は、ラテックス組成物を製造した直後を保管0日目とし、これを基準として保管日数を管理した。なお、成形体の引張強度は、JIS K6251:2010に基づき測定を行った。
【0069】
陶器の板(200mm×80mm×5mm)を、蒸留水で洗浄し、内温を100℃に設定したオーブン(ESPEC社製、型式:PVH-231)内に5分間吊り、乾燥させた。その後、陶器の板をオーブンから取り出し、25℃まで冷却した。
【0070】
前記陶器の板を、硝酸カルシウム15.0質量%、炭酸カルシウム5.0質量%及び蒸留水80.0質量%からなる凝固剤溶液に30秒間浸漬した。その後、この板を取り出して20秒間吊った後、内温を100℃に設定したオーブン内に5分間吊り、陶器の板に凝固剤を付着させた。その後、凝固剤が付着した陶器の板をオーブンから取り出し、25℃に調整された室内で5分間吊った。
【0071】
前記凝固剤が付着した陶器の板を、所定期間保管させたラテックス組成物に30秒間浸漬した後、25℃に調整された室内で2分間吊り、陶器の板の表面にゲル状フィルムを形成させた。
【0072】
前記ゲル状フィルムが付いた陶器の板を、60℃に設定した温水中に5分間浸漬した後、25℃に調整された室内で1分間吊った。その後、前記ゲル状フィルムが付いた陶器の板を、100℃に設定したオーブン内に30分間吊り、加硫処理を行なった。次いで、前記フィルムが付いた陶器の板を、オーブンから取り出し、25℃まで冷却し、フィルムの両面にタルクを散布しながら、フィルムを陶器の板から外した。フィルムに付着した余分なタルクをエアブローガンで除去し、フィルム状の成形体を得た。
【0073】
得られた成形体をダンベル状3号形に打ち抜いて、試験片を作成した。得られた試験片は、引張試験機(島津製作所製、型式:オートグラフAGS-J)を用いて、引張速度500mm/minで引っ張り、破断直前の引張強度(単位:MPa)を測定した。なお、成形体の厚みは、いずれも0.25~0.30mmであった。
【0074】
[原料の調製]
実施例及び比較例のラテックス組成物を調製するために使用され得る原料を、以下に示す。
【0075】
原料(A)
水酸化カリウム1.0質量部と蒸留水99.0質量部とを混合し、1.0質量%水酸化カリウム水溶液を調製した。
【0076】
原料(B)
カゼインナトリウム(和光純薬工業社が販売する試薬)10.0質量部と蒸留水90.0質量部とを混合し、10.0質量%カゼインナトリウム水溶液を調製した。
【0077】
原料(C)
2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)(大内新興化学工業社製、商品名:ノクラックNS-6)23.8質量部、18.0質量%オレイン酸カリウム水溶液(日油社製、商品名:ノンサールOK-1)0.2質量部、25.0質量%高分子ポリカルボン酸ナトリウム水溶液(日油社製、商品名:ポリスターOM)4.8質量部、および蒸留水71.3質量部を、湿式ビーズミル(アイメックス社製、型式:RMB)を用いて混合し、23.8質量%2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)水分散液を調製した。
【0078】
原料(D)
酸化亜鉛(正同化学社製、商品名:酸化亜鉛2種)23.6質量部、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム(花王社製、商品名:デモールN)1.4質量部、18.0質量%オレイン酸カリウム水溶液(日油社製、商品名:ノンサールOK-1)0.2質量部、および蒸留水74.8質量部を、前記湿式ビーズミルを用いて混合し、23.6質量%酸化亜鉛水分散液を調製した。
【0079】
原料(E)
コロイド状硫黄(細井化学工業社製、商品名:コロイド硫黄)23.6質量部、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム(花王社製、商品名:デモールN)1.4質量部、18.0質量%オレイン酸カリウム水溶液(日油社製、商品名:ノンサールOK-1)0.2質量部、および蒸留水74.8質量部を、前記湿式ビーズミルを用いて混合し、23.6質量%コロイド状硫黄水分散液を調製した。
【0080】
原料(F)
(a)成分であるエチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興化学工業社製、商品名:ノクセラーPX)19.0質量部、18.0質量%オレイン酸カリウム水溶液(日油社製、商品名:ノンサールOK-1)0.2質量部、25.0質量%高分子ポリカルボン酸ナトリウム水溶液(日油社製、商品名:ポリスターOM)3.8質量部、および蒸留水77.0質量部を、前記湿式ビーズミルを用いて混合し、19質量%エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛水分散液を調製した。なお、水分散液中のエチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛の体積平均粒子径は0.75μmであった。
【0081】
原料(G)
(b)成分である1-o-トリルビグアニド(大内新興化学工業社製、商品名:ノクセラーBG)19.0質量部、18.0質量%オレイン酸カリウム水溶液(日油社製、商品名:ノンサールOK-1)0.2質量部、25.0質量%高分子ポリカルボン酸ナトリウム水溶液(日油社製、商品名:ポリスターOM)3.8質量部、および蒸留水77.0質量部を、前記湿式ビーズミルを用いて混合し、19質量%1-o-トリルビグアニド水分散液を調製した。なお、水分散液中の1-o-トリルビグアニドの体積平均粒子径は3.3μmであった。
【0082】
原料(H)
ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興化学工業社製、商品名:ノクセラーEZ)19.0質量部、18.0質量%オレイン酸カリウム水溶液(日油社製、商品名:ノンサールOK-1)0.2質量部、25.0質量%高分子ポリカルボン酸ナトリウム水溶液(日油社製、商品名:ポリスターOM)3.8質量部、および蒸留水77.0質量部を、前記湿式ビーズミルを用いて混合し、19質量%ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛水分散液を調製した。なお、水分散液中のジエチルジチオカルバミン酸亜鉛の体積平均粒子径は0.65μmであった。
【0083】
原料(I)
ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興化学工業社製、商品名:ノクセラーBZ)19.0質量部、18.0質量%オレイン酸カリウム水溶液(日油社製、商品名:ノンサールOK-1)0.2質量部、25.0質量%高分子ポリカルボン酸ナトリウム水溶液(日油社製、商品名:ポリスターOM)3.8質量部、および蒸留水77.0質量部を、前記湿式ビーズミルを用いて混合し、19質量%ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛水分散液を調製した。なお、水分散液中のジブチルジチオカルバミン酸亜鉛の体積平均粒子径は2.6μmであった。
【0084】
原料(J)
1,3-ジフェニルグアニジン(大内新興化学工業社製、商品名:ノクセラーD)19.0質量部、18.0質量%オレイン酸カリウム水溶液(日油社製、商品名:ノンサールOK-1)0.2質量部、25.0質量%高分子ポリカルボン酸ナトリウム水溶液(日油社製、商品名:ポリスターOM)3.8質量部、および蒸留水77.0質量部を、前記湿式ビーズミルを用いて混合し、19質量%1,3-ジフェニルグアニジン水分散液を調製した。なお、水分散液中の1,3-ジフェニルグアニジンの体積平均粒子径は0.55μmであった。
【0085】
原料(K)
1,3-ジ-o-トリルグアニジン(大内新興化学工業社製、商品名:ノクセラーDT)19.0質量部、18.0質量%オレイン酸カリウム水溶液(日油社製、商品名:ノンサールOK-1)0.2質量部、25.0質量%高分子ポリカルボン酸ナトリウム水溶液(日油社製、商品名:ポリスターOM)3.8質量部、および蒸留水77.0質量部を、前記湿式ビーズミルを用いて混合し、19質量%1,3-ジ-o-トリルグアニジン水分散液を調製した。なお、水分散液中の1,3-ジ-o-トリルグアニジンの体積平均粒子径は1.5μmであった。
【0086】
[実施例1]
1.0L容のポリプロピレン製ビーカーに、合成ポリイソプレンラテックス(平均粒子径:1.3μm、固形分濃度:65.0質量%、分散媒:水)を291.8質量部入れた。ポリプロピレン製ビーカーの内容物を、4枚羽根ピッチパドルを装着した攪拌機を用いて攪拌しながら、原料(A)である1.0質量%水酸化カリウム水溶液を19.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.10質量部)、原料(B)である10.0質量%カゼインナトリウム水溶液を8.4質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.44質量部)、原料(C)である23.8質量%2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)水分散液を16.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して2.00質量部)、原料(D)である23.6質量%酸化亜鉛水分散液を2.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.25質量部)、原料(E)である23.6質量%硫黄水分散液を9.7質量部(ポリイソプレン100質量部に対して1.20質量部)、原料(F)である19質量%エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛水分散液を4.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.40質量部)、原料(G)である19質量%1-o-トリルビグアニド水分散液を8.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.80質量部)、および蒸留水141.2質量部を、ポリプロピレン製ビーカーに添加し、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0087】
[実施例2]
実施例1において、原料(F)を3.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.30質量部)に、原料(G)を9.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.90質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0088】
[実施例3]
実施例1において、原料(F)を5.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.50質量部)に、原料(G)を7.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.70質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0089】
[実施例4]
実施例1において、原料(F)を6.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.60質量部)に、原料(G)を6.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.60質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0090】
[比較例1]
実施例1において、原料(F)を、原料(H)である19質量%ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛水分散液6.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.60質量部)に、原料(G)を6.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.60質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0091】
[比較例2]
実施例1において、原料(F)を、原料(I)である19質量%ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛水分散液6.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.60質量部)に、原料(G)を6.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.60質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0092】
[比較例3]
実施例1において、原料(F)を6.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.60質量部)に、原料(G)を、原料(J)である19質量%1,3-ジフェニルグアニジン水分散液6.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.6質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0093】
[比較例4]
実施例1において、原料(F)を6.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.60質量部)に、原料(G)を、原料(K)である19質量%1,3-ジ-o-トリルグアニジン水分散液6.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.60質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0094】
[比較例5]
実施例1において、原料(F)を原料(H)である19質量%ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛水分散液6.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.60質量部)に、原料(G)を原料(J)である19質量%1,3-ジフェニルグアニジン水分散液6.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.60質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0095】
[比較例6]
実施例1において、原料(F)を原料(H)である19質量%ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛水分散液6.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.60質量部)に、原料(G)を原料(K)である19質量%1,3-ジ-o-トリルグアニジン水分散液6.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.60質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0096】
[比較例7]
実施例1において、原料(F)を原料(I)である19質量%ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛水分散液6.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.60質量部)に、原料(G)を原料(J)である19質量%1,3-ジフェニルグアニジン水分散液6.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.60質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0097】
[比較例8]
実施例1において、原料(F)を原料(I)である19質量%ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛水分散液6.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.60質量部)に、原料(G)を原料(K)である19質量%1,3-ジ-o-トリルグアニジン水分散液6.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.60質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0098】
[比較例9]
実施例1において、原料(F)を原料(I)である19質量%ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛水分散液4.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.40質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0099】
[比較例10]
実施例1において、原料(G)を原料(J)である19質量%1,3-ジフェニルグアニジン水分散液8.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.8質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0100】
[比較例11]
実施例1において、原料(G)を原料(K)である19質量%1,3-ジ-o-トリルグアニジン水分散液8.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.80質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0101】
[比較例12]
実施例1において、原料(F)を原料(H)である19質量%ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛水分散液4.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.40質量部)に、原料(G)を原料(J)である19質量%1,3-ジフェニルグアニジン水分散液8.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.80質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0102】
[比較例13]
実施例1において、原料(F)を原料(H)である19質量%ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛水分散液4.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.40質量部)に、原料(G)を原料(K)である19質量%1,3-ジ-o-トリルグアニジン水分散液8.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.80質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0103】
[比較例14]
実施例1において、原料(F)を原料(I)である19質量%ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛水分散液4.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.40質量部)に、原料(G)を原料(J)である19質量%1,3-ジフェニルグアニジン水分散液8.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.80質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0104】
[比較例15]
実施例1において、原料(F)を原料(I)である19質量%ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛水分散液4.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.40質量部)に、原料(G)を原料(K)である19質量%1,3-ジ-o-トリルグアニジン水分散液8.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.80質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0105】
[参考例1]
実施例1において、原料(F)を2.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.20質量部)に、原料(G)を10.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して1.00質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0106】
[参考例2]
実施例1において、原料(F)を7.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.70質量部)に、原料(G)を5.0質量部(ポリイソプレン100質量部に対して0.50質量部)に変更した以外は、同様の操作を行い、固形分濃度が40.0質量%であるラテックス組成物を得た。
【0107】
[評価結果]
実施例および比較例で得られたポリイソプレンラテックス組成物により得られた成形体の引張強度を以下の表1に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
表1の結果から、各実施例で得たラテックス組成物は、保管開始から8日以上(例えば、11日以上)経過してから成形したとしても、その成形体の引張強度は、保管1日で成形された成形体の引張強度に対して大きな低下は見られなかった。これに対して、各比較例で得たラテックス組成物は、保管開始から8日経過してから成形すると、その成形体の引張強度は、保管1日で成形された成形体の引張強度に対して大きな低下が見られた。
【0110】
よって、(a)成分(エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛)及び(b)成分(1-o-トリルビグアニド)を必須の成分として含むラテックス組成物は、その成形体の引張強度が高く、しかも、ラテックス組成物を従来よりも長い期間保管した後でも成形体の引張強度の低下が抑制されていることが実証された。