(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】ルミネッセンス採光装置
(51)【国際特許分類】
H01J 37/20 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
H01J37/20 Z
H01J37/20 E
(21)【出願番号】P 2018132685
(22)【出願日】2018-07-12
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2017191654
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】樋口 誠司
(72)【発明者】
【氏名】秋山 久
(72)【発明者】
【氏名】大森 治男
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-046265(JP,A)
【文献】特開平06-076777(JP,A)
【文献】特開平07-029537(JP,A)
【文献】特表2013-534692(JP,A)
【文献】特表2015-503198(JP,A)
【文献】国際公開第2011/030156(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に電子線を照射して発せられるカソードルミネッセンスを採光するものであって、
試料が載置される試料ホルダが形成されたホルダ形成部材と、
試料から出る前記カソードルミネッセンスを反射し、所定の採光面に導くための反射鏡が形成された反射鏡形成部材と、
前記ホルダ形成部材と前記反射鏡形成部材との間に設けられ、前記ホルダ形成部材に設けられた当たり面及び反射鏡形成部材に設けられた当たり面を
備えており、それら当たり面同士を当接させることによって、前記反射鏡の前記試料ホルダに対する相対位置を予め定められた唯一の所定位置に設定する位置決め機構とを具備していることを特徴とするルミネッセンス採光装置。
【請求項2】
前記ホルダ形成部材の先端部に試料ホルダが突出するように設けられており、該試料ホルダの突出方向が電子線照射方向と直交するように設置されるとともに、前記反射鏡形成部材が、ホルダ形成部材の先端側に嵌合して取り付けられるように構成したものであって、
前記位置決め機構が、
前
記ホルダ形成部材及び反射鏡形成部材のそれぞれに、前記突出方向と直交するように設けられた対向面である第1当たり面と、
前
記ホルダ形成部材又は反射鏡形成部材のいずれか一方に、前記突出方向に延びるように設けられた凸部と、
前
記ホルダ形成部材又は反射鏡形成部材の他方に、前記突出方向に凹むように設けられた凹部とを具備し、
前記第1当たり面同士の当接によって前記突出方向の位置決めがなされるとともに、前記凸部及び凹部の側周面である第2当たり面同士の当接によって、前記突出方向と直交する方向の位置決めがなされるように構成してある請求項1記載のルミネッセンス採光装置。
【請求項3】
前記突出方向及び電子線照射方向に直交する方向を左右方向としたときに、前記凸部及び凹部が、前記反射鏡の左右いずれか又は両方に設けられている請求項2記載のルミネッセンス採光装置。
【請求項4】
前記反射鏡形成部材をホルダ形成部材に対して前記所定位置で固定する固定機構をさらに備え、該固定機構が、前記反射鏡の左右いずれか又は両方に設けられている請求項1乃至3いずれか記載のルミネッセンス採光装置。
【請求項5】
前記試料ホルダを冷却する冷却機構をさらに備え、該冷却機構が試料ホルダを収容する真空チャンバの外部に、熱伝導体を介して試料ホルダの熱を伝達するものである請求項1乃至4いずれか記載のルミネッセンス採光装置。
【請求項6】
前記試料ホルダに設けられた貫通孔に、透光性を有するシートが貼設されており、該シート上に試料を載置するように構成されたものであって、
前記シートが、前記反射鏡形成部材によって前記試料ホルダに固定されている請求項1乃至5いずれか記載のルミネッセンス採光装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか記載のルミネッセンス採光装置と、間を電子線が通過する一対のポールピースとを有し、前記ルミネッセンス採光装置が、ポールピース間に挿入されていることを特徴とする電子顕微鏡。
【請求項8】
試料に電子線を照射して発せられるカソードルミネッセンスを採光すべく、試料が載置される試料ホルダが形成されたホルダ形成部材と、試料から出る前記カソードルミネッセンスを反射し、所定の採光面に導くための反射鏡が形成された反射鏡形成部材との間に設けられるものであって、
前記ホルダ形成部材に設けられた当たり面及び反射鏡形成部材に設けられた当たり面を備えており、それら当たり面同士を当接させることによって、前記反射鏡の前記試料ホルダに対する相対位置を予め定められた唯一の所定位置に設定するものであることを特徴とする位置決め機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料に電子線を照射した際に発されるカソードルミネッセンスを採光する採光装置等に関し、特に電子顕微鏡に好適に用いられるものに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のルミネッセンス採光装置は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)のポールピース間に挿入されて使用されるものであり、試料から出るカソードルミネッセンスを反射し、分光器を有する検出器へ直接的、又は、光ファイバなどのライトガイドを介して導くための反射鏡を有している。
【0003】
ところで、特許文献1に記載されているように、ポールピース間の距離は、分解能等の装置性能を向上させるうえでは、短い方がよいため、その間に挿入されるルミネッセンス採光装置の厚みも極力小さくすることが望まれている。
【0004】
しかしながら、例えば、反射鏡を試料の上下いずれかにのみ設けるなどして厚み寸法を制限すると、そもそも微弱なカソードルミネッセンスの採光効率が低下し、SN比が悪くなるなどの不具合が生じ得る。
【0005】
しかも、従来のルミネッセンス採光装置は、反射鏡の位置を調整するためのスライド調整機構などを有しているため、その機構によって厚み方向寸法を一定以上小さくすることが難しいといった問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した問題に鑑みてなされたものであり、カソードルミネッセンスを効率よく採光でき、しかも、厚みを従来の装置と比較して飛躍的に小さくできるルミネッセンス採光装置を提供することをその主たる所期課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係るルミネッセンス採光装置は、試料に電子線を照射して発せられるカソードルミネッセンスを採光するものであって、試料が載置される試料ホルダが形成されたホルダ形成部材と、試料から出る前記カソードルミネッセンスを反射し、所定の採光面に導くための反射鏡が形成された反射鏡形成部材と、前記ホルダ形成部材に設けられた当たり面及び反射鏡形成部材に設けられた当たり面を当接させることによって、前記反射鏡の前記試料ホルダに対する相対位置を予め定められた唯一の所定位置に設定する位置決め機構とを具備していることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、機械的な当接だけで位置決めがなされ、反射鏡の位置調整機構等が不要となるので、構造が簡素になり、薄型化が可能となって、例えば電子顕微鏡のポールピース間寸法の小さい電子顕微鏡にも対応できるようになる。
【0010】
より具体的な実施態様としては、前記ホルダ形成部材の先端部に試料ホルダが突出するように設けられており、該試料ホルダの突出方向が電子線照射方向と直交するように設置されるとともに、前記反射鏡形成部材が、ホルダ形成部材の先端側に嵌合して取り付けられるように構成したものであって、前記位置決め機構が、前記試料ホルダ形成部材及び反射鏡形成部材のそれぞれに、前記突出方向と直交するように設けられた対向面である第1当たり面と、前記試料ホルダ形成部材又は反射鏡形成部材のいずれか一方に、前記突出方向に延びるように設けられた凸部と、前記試料ホルダ形成部材又は反射鏡形成部材の他方に、前記突出方向に凹むように設けられた凹部とを具備し、前記第1当たり面同士の当接によって前記突出方向の位置決めがなされるとともに、前記凸部及び凹部の側周面である第2当たり面同士の当接によって、前記突出方向と直交する方向の位置決めがなされるように構成してあるものを挙げることができる。
【0011】
厚みを可及的に小さくするには、前記突出方向及び電子線照射方向に直交する方向を左右方向としたときに、前記凸部及び凹部が、前記反射鏡の左右いずれか又は両方に設けられているものが好ましい。このようなものであれば、採光装置の厚み方向寸法を、反射鏡の厚み方向寸法とほとんど変わらない程度にまでして薄型化を図ることができる。
【0012】
また、その結果、試料を上下(厚み方向の両側)から覆うような反射鏡として、該反射鏡の厚み方向寸法を大きくし、採光効率を重要視しても、既存の電子顕微鏡のポールピース間に十分挿入できるような厚みに留めることができるようになる。
【0013】
前記反射鏡形成部材をホルダ形成部材に対して前記所定位置で固定する固定機構をさらに備え、該固定機構が、前記反射鏡の左右いずれか又は両方に設けられているものであれば、薄型化に資することができる。
【発明の効果】
【0014】
このように本発明によれば、機械的な当接だけで位置決めがなされ、反射鏡の位置調整機構等が不要となるので、構造が簡素になり、薄型化が可能となって、例えば電子顕微鏡のポールピース間寸法の小さい電子顕微鏡にも対応できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るルミネッセンス採光装置をポールピース間に配置した状態を示し、厚み方向に沿って切った縦断面図。
【
図2】同実施形態におけるルミネッセンス採光装置の分解斜視図。
【
図3】同実施形態におけるルミネッセンス採光装置を左右方向に沿って切った縦断面図。
【
図4】同実施形態におけるルミネッセンス採光装置を左右方向に沿って切った分解縦断面図。
【
図5】本発明の他の実施形態における冷却機構を占める模式図。
【
図6】本発明のさらに他の実施形態におけるルミネッセンス採光装置の厚み方向に沿って切った縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る採光装置100を、図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態に係る採光装置100は、
図1に示すように、試料を保持して電子顕微鏡のポールピースP間に挿入されるとともに、電子線を照射された試料から出るカソードルミネッセンスを採光して図示しない受光素子に導く機能を果たすものである。
【0018】
より具体的に説明すると、この採光装置100は、
図2、
図3、
図4等に示すように、試料が載置される試料ホルダ11が形成されたホルダ形成部材1と、当該試料から出るカソードルミネッセンスを反射し、所定の採光面Sに導くための反射鏡21が形成された反射鏡形成部材22と、前記反射鏡形成部材2を前記ホルダ形成部材1の所定位置に位置決めする位置決め機構3と、位置決めされた反射鏡形成部材2をホルダ形成部材1に固定する固定機構4とを備えている。
【0019】
各部を説明する。
【0020】
前記ホルダ形成部材1は、扁平な矩形板状をなす基体12と、この基体12の先端面から一体的に突出する矩形板状をなす試料ホルダ11とからなるものである。なお、以下では、試料ホルダ11の突出方向を前後方向、基体12(及び試料ホルダ11)の平面方向を厚み方向、これら前後方向及び厚み方向と直交する方向を左右方向ともいう。
【0021】
この基体12には、平面視、その先端面12aの中央から後方に向かって延びる一定幅の切り欠き12bが形成されているとともにおり、当該基体12の後側から挿入された光ファイバFの先端面が前記切り欠きの底面に露出するように構成されている。この光ファイバ先端面が前記採光面Sとなる。なお、この採光面S前記底面より突出しているが、凹んだ位置に設定されていてもよい。
【0022】
前記試料ホルダ11は、前記基体12よりもさらに厚みが薄く、左右方向寸法も採光体より小さい矩形板状をなすものであり、厚み方向及び左右方向の中心線を合致させて基体12の先端面から一体的に延出させてある。また、この試料ホルダ11の先端寄りの中央には、厚み方向に貫通する貫通孔12cが設けてあり、この貫通孔12cの厚み方向中央には、
図1に示すようにメッシュ状のシート111が貼設されている。試料はこのシート111の中央部に載置されて保持される。すなわち、このシート貼設領域の中央部が、当該試料ホルダ11における試料保持領域となる。
【0023】
前記反射鏡形成部材2は、前記ホルダ形成部材1の基体12と同一又はやや大きい厚みを有する扁平な矩形板状をなすものであり、その後端面2aの中央には、表面が前記反射鏡21となる部分楕円球状をなす凹部が設けられている。この凹部、すなわち反射鏡の開口直径は、反射鏡形成部材2における後端面2aの厚み方向寸法と同一又はやや小さい程度(割合でいえば80%~95%)に設定してある。
【0024】
また、同後端面2aには、厚み方向の中心に沿って左右方向に延びるホルダ挿入溝2bが形成されている。このホルダ挿入溝2bの厚みは前記試料ホルダ11の厚みと等しく設定してあり、ホルダ挿入溝2bに試料ホルダ11が厚み方向にガタなく嵌合するように構成してある。そして、この反射鏡形成部材2をホルダ形成部材1の先端部所定位置に取り付けると、試料ホルダ11の先端部が前記ホルダ挿入溝2bの中に挿入され、前記反射鏡21が当該試料ホルダ11における試料保持領域を先端側から覆うように構成されている。なお、反射鏡21の焦点位置の上下、すなわち厚み方向には、電子線を通過させるためのビーム貫通孔2cが設けられている。
【0025】
前記位置決め機構3は、ホルダ形成部材1に及び反射鏡形成部材2にそれぞれ設けられた当たり面同士を当接させることによって、前記反射鏡21の前記試料ホルダ11に対する相対位置を予め定められた前記所定位置、すなわち、前記反射鏡21の一方の楕円焦点が試料保持領域の中心に唯一の位置に合致させるものである。なお、反射鏡21の他方の楕円焦点は、前記採光面Sに位置づけられる。
【0026】
この位置決め機構3について詳述すれば、このものは、ホルダ形成部材1における基体12の先端面12a及び反射鏡形成部材2の後端面2aの当接によって前後方向の位置決めをし、ホルダ形成部材1及び反射鏡形成部材2に設けた凹凸構造のガタのない嵌合(凹凸の側周面同士の当接)によって左右方向及び厚み方向の位置決めをするものである。
【0027】
凹凸構造は、この実施形態では、基体12の先端面12aにおける試料ホルダ11の左右方向両脇から突出方向に突出する一対の等径円柱状をなすピン部材31と、反射鏡形成部材2の後端面2aにおける前記ピン部材31に対応する位置に、前後方向に貫通するように設けられた一対の嵌合孔32とからなるものである。
【0028】
位置決めにあたっては、ホルダ形成部材1の先端側に反射鏡形成部材2の後端面2aを近づけ、各嵌合孔32に各ピン部材31を嵌合させるとともに、ホルダ形成部材1における基体12の先端面12aに反射鏡形成部材2の後端面2aを当接させる。
【0029】
前記固定機構4は、
図3、
図4に示すように、ピン部材31の先端に開口する雌ネジ穴41と、これに螺合するネジ42とからなるものであり、嵌合孔32の先端開口から、ネジ42を挿入し、嵌合孔32の内部にあるピン部材31の雌ネジ穴41に螺着することによって、ネジ42の頭部が反射鏡形成部材2の先端面12aを押さえつけ、前記所定位置にある反射鏡形成部材2をホルダ形成部材1から抜けないように固定する。なお、ネジ42の頭部の外径は、反射鏡形成部材2の厚み寸法よりも小さく設定してあり、ネジ42を取り付けた状態では、頭部は反射鏡形成部材2の厚み内に位置づけられる。
【0030】
このようにしてホルダ形成部材1の先端部に反射鏡形成部材2を嵌め込んで構成した採光装置100は、その厚み方向を電子線の照射方向に合致させてポールピースP間に挿入され、ビーム貫通孔2cを電子線が通過する位置に配置される。
【0031】
そして、電子線を射出すると、該電子線は、ビーム貫通孔2cを通って内部の試料に照射され、その照射部位からカソードルミネッセンスが発生する。このカソードルミネッセンスは、反射鏡21で反射され、他方の焦点位置にある採光面Sに集光され、光ファイバ内に導入されて、図示しない受光素子に導かれる。
【0032】
しかして、このように構成した採光装置100によれば、機械的な当たり面だけで反射鏡21を唯一の所定位置に位置決めする位置決め機構3を採用しており、調整機構等が不要なので、構造が簡素であるうえに、この位置決め機構3及び固定機構4が、実質的に反射鏡21の左右方向のみに設けられて該反射鏡21の厚み内に配置されているので、採光装置100の厚み方向寸法が、反射鏡21の厚み方向寸法とほとんど等しい。
【0033】
したがって、反射鏡21を、試料の上下を覆うようなものにしてカソードルミネッセンスの採光効率を向上させながらも、採光装置100の厚み寸法は極めて小さく維持でき、ポールピースP間寸法の小さい電子顕微鏡にも十分対応できる。
【0034】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。例えば、凹凸構造は、反射鏡形成部材にピン部材を設け、ホルダ形成部材に嵌合孔を設けた構造でもよいし、さらに言えば、ピン部材と嵌合孔とに限られるものではない。
【0035】
さらに、この採光装置は電子顕微鏡におけるカソードルミネッセンスを採光するためのみならず、他の分析装置などで用いられているカソードルミネッセンスを採光するために用いてもよいし、フォトルミネッセンスの採光にも適用可能である。
【0036】
図5に示すように、試料ホルダ11を冷却するための冷却機構Mを設けてもよい。試料分析の際に、熱ノイズが測定精度上の問題になることがあるが、このような冷却機構Mによって熱ノイズの影響を抑制できる。
【0037】
冷却機構Mは、例えば、ホルダ形成部材1の先端部から真空チャンバ(図示しない)の外壁を貫通して外部に達する熱伝導体M1と、真空チャンバの外部に設けられて熱伝導体M1と接続される冷却部材M2と具備するものである。
【0038】
前記熱伝導体M1としては、例えば、ヒートパイプ部材を採用している。このヒートパイプ部材M1は、ここでは試料ホルダ11を支持する基体12に埋設されており、より具体的には、光ファイバFに沿ってその両隣に一対が埋設されている。そして、このヒートパイプ部材M1の外部先端に、熱交換器などの冷却部材M2を接続することにより、該ヒートパイプ部材M1を介して試料ホルダ11の熱を奪うように構成してある。
【0039】
なお、基体12そのものを熱伝導体としてもよいし、あるいは、前記基体12の内部に熱媒体循環経路を設け、循環する熱媒体によって冷凍サイクルを形成するなどして、試料ホルダ11を冷却するようにしてもよい。
【0040】
さらに、
図6に示すように、前記試料ホルダ11の貫通孔12cに貼設されたシート1111が、前記反射鏡形成部材2をホルダ形成部材1に取り付けた状態において、該反射鏡形成部材2と試料ホルダ11とによって挟み込まれ、該試料ホルダ11上に固定されるようにしてもよい。このようなものであれば、シート111を試料ホルダ11に格段に容易に取り付けられるようになる。なお、シート111はメッシュ(グリッド)状のシートであったが、カソードルミネッセンスを透過するのであれば、膜状の透明シートでも構わない。
【0041】
その他本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
100・・・ルミネッセンス採光装置
11・・・試料ホルダ
1・・・ホルダ形成部材
S・・・採光面
21・・・反射鏡
2・・・反射鏡形成部材
3・・・位置決め機構
2a・・・第1当たり面(反射鏡形成部材の後端面)
12a・・・第1当たり面(先端面)
31・・・凸部(ピン部材)
32・・・凹部(嵌合孔)
4・・・固定機構
P・・・ポールピース