(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】(ジアリールアミノ)カルバゾールの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 209/88 20060101AFI20220916BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20220916BHJP
【FI】
C07D209/88
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2018019123
(22)【出願日】2018-02-06
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000173762
【氏名又は名称】公益財団法人相模中央化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】井上 宗宣
(72)【発明者】
【氏名】貴志 礼文
(72)【発明者】
【氏名】山川 哲
(72)【発明者】
【氏名】大塚 雄紀
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 高則
(72)【発明者】
【氏名】萩原 秀樹
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107652225(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107325037(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106986814(CN,A)
【文献】米国特許第07230107(US,B1)
【文献】特表2016-534096(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0301868(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0039622(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 209/88
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1-ブロモカルバゾールを、パラジウム化合物、一般式(4)
【化1】
(式中、Rは、炭素数1から6のアルキル基;1-メチル-2,2-ジフェニルシクロプロピル基;1,1-ジフェニル-1-プロペン-2-イル基;又は炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、若しくはジ(炭素数1から3のアルキル)アミノ基で置換されていてもよい炭素数6から16の芳香族炭化水素基を表す。)
で表されるホスフィン化合物、反応溶媒及び塩基存在下に、一般式(2)
【化2】
(式中、Ar
1及びAr
2は各々独立に炭素数1から6のアルキル基で置換されて
いる炭素数6から16の芳香族炭化水素基又は炭素数1から6のアルコキシ基で置換されて
いる炭素数6から16の芳香族炭化水素基を表す。)
で表されるジアリールアミンと反応させることを特徴とする、一般式(3)
【化3】
(式中、Ar
1、Ar
2は前記と同じ意味を表す。)
で表される(ジアリールアミノ)カルバゾールの製造方法。
【請求項2】
塩基がナトリウムtert-ブトキシド又はリチウムビス(トリメチルシリル)アミドである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
反応溶媒がテトラヒドロフランである、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
反応温度が50℃から70℃の範囲から適宜選ばれた温度である、請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
一般式(2)で表されるジアリールアミンが
炭素数1から6のアルキル基もしくは炭素数1から6のアルコキシ基で置換されているジフェニルアミン又は
炭素数1から6のアルキル基もしくは炭素数1から6のアルコキシ基で置換されているジ(4-ビフェニリル)アミンである、請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
塩基の使用量が1-ブロモカルバゾールに対して(n+1)モル等量以上6×(n+1)モル等量以下である、請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
Rがtert-ブチル基又は2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル-2-イル基である、請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
反応溶媒がトルエンである、請求項1、2、4から7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
反応温度が100℃から120℃の範囲から適宜選ばれた温度である、請求項1から3、5から8のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL材料の製造中間体として有用な(ジアリールアミノ)カルバゾールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(ジアリールアミノ)カルバゾールは、有機EL素子を構成する正孔輸送材料として有用なN-アリール(ジアリールアミノ)カルバゾールなど種々の機能材料の有用な製造中間体である。
【0003】
(ジアリールアミノ)カルバゾールは、ハロカルバゾールとジアリールアミンとのパラジウム触媒を用いた一般的なアミノ化反応では、原料のハロカルバゾールが自己重合を起こすため製造困難であった。そのため、この自己重合を防ぐために、あらかじめハロカルバゾールの窒素原子を保護した後に、ジアリールアミンとパラジウム触媒存在下で反応させ、脱保護を行う方法で該(ジアリールアミノ)カルバゾールが製造されている。その保護基としてはtert-ブトキシカルボニル基(例えば、特許文献1)、ベンジル基(例えば、非特許文献1)を用いる方法が報告されているが、これらの方法は、保護工程、アミノ化工程、脱保護工程の3段階の工程を要し、それぞれの反応段階において再結晶又はカラムクロマトグラフィー等の方法による分離精製を必要としているため、(ジアリールアミノ)カルバゾールの収率も40-60%程度と低く、工業的な生産に適さない。
【0004】
非特許文献2には、無保護のハロカルバゾールと、イミノジベンジル又はイミノスチルベンとを、ジシクロヘキシル(2’,6’-ジイソプロポキシビフェニル-2-イル)ホスフィン(RuPhos)をホスフィン配位子とするパラジウム触媒存在下に反応させ、(イミノジベンジル)カルバゾール又は(イミノスチルベン)カルバゾールが得られる旨、開示されている。しかしながら、無保護のハロカルバゾールとジアリールアミンとを反応させ、(ジアリールアミノ)カルバゾールを製造する方法についての記載はなく、非特許文献2に記載のアミノ化条件をハロカルバゾールとジアリールアミンとの反応に適用したところ、所望の(ジアリールアミノ)カルバゾールは得られなかった(比較例1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Angewandte Chemie,International Edition,54巻,15231-15235ページ,2015年
【文献】Chemistry-A European Journal,22巻,14186-14189ページ,2016年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ハロカルバゾールとジアリールアミンから(ジアリールアミノ)カルバゾールを一段階で、高選択的且つ高効率に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を鑑み鋭意検討を重ねた結果、ハロカルバゾールを、パラジウム化合物、ホスフィン化合物、反応溶媒及び塩基存在下に、ジアリールアミンと反応させることにより、(ジアリールアミノ)カルバゾールを簡便に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、一般式(1)
【0010】
【0011】
(式中、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。nは1から4の整数を表す。nが2以上の整数の場合、複数のXは同一又は相異なっていてもよい。)
で表されるハロカルバゾールを、パラジウム化合物、一般式(4)
【0012】
【0013】
(式中、Rは炭素数1から6のアルキル基;1-メチル-2,2-ジフェニルシクロプロピル基;1,1-ジフェニル-1-プロペン-2-イル基;又は炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、若しくはジ(炭素数1から3のアルキル)アミノ基で置換されていてもよい炭素数6から16の芳香族炭化水素基を表す。)
で表されるホスフィン化合物、反応溶媒及び塩基存在下に、一般式(2)
【0014】
【0015】
(式中、Ar1及びAr2は各々独立に炭素数1から6のアルキル基で置換されていてもよい炭素数6から16の芳香族炭化水素基又は炭素数1から6のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数6から16の芳香族炭化水素基を表す。)
で表されるジアリールアミンと反応させることを特徴とする、一般式(3)
【0016】
【0017】
(式中、Ar1、Ar2及びnは前記と同じ意味を表す。)
で表される(ジアリールアミノ)カルバゾールの製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の製造方法により、ハロカルバゾール(1)を、パラジウム化合物、ホスフィン化合物(4)、反応溶媒及び塩基存在下に、ジアリールアミン(2)と反応させることにより、(ジアリールアミノ)カルバゾール(3)を一段階で製造できる。また、好ましい態様として、ハロカルバゾール(1)として2-ブロモカルバゾール、3-ブロモカルバゾール、4-ブロモカルバゾール、2,7-ジブロモカルバゾール又は3,6-ジブロモカルバゾールを用いる場合、ホスフィン化合物(4)としてトリ-tert-ブチルホスフィン、塩基として水素化リチウム又はリチウムビス(トリメチルシリル)アミド、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、50℃から70℃の範囲から適宜選ばれた温度で反応することにより、(ジアリールアミノ)カルバゾール(3)を収率よく得ることができる。また、別の好ましい態様として、ハロカルバゾール(1)として1-ブロモカルバゾールを用いる場合、ホスフィン化合物(4)としてトリ-tert-ブチルホスフィン又はtBuXPhos、塩基としてナトリウムtert-ブトキシド又はリチウムビス(トリメチルシリル)アミド、溶媒としてトルエンを用い、100℃から120℃の範囲から適宜選択された温度で反応することにより、(ジアリールアミノ)カルバゾール(3)を効率的に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の製造方法について説明する。本発明の(ジアリールアミノ)カルバゾール(3)の製造方法は、下記反応式に示す通りである。
【0020】
【0021】
(式中、Ar1、Ar2、R、X及びnは前記と同じ意味を表す。)
本発明の製造方法は、ハロカルバゾール(1)を、パラジウム化合物、ホスフィン化合物(4)、反応溶媒及び塩基存在下に、ジアリールアミン(2)と反応させて、(ジアリールアミノ)カルバゾール(3)を製造する方法である。
【0022】
本発明の製造方法に用いるハロカルバゾール(1)について説明する。ハロカルバゾール(1)の具体例としては、1-ブロモカルバゾール、2-ブロモカルバゾール、3-ブロモカルバゾール、4-ブロモカルバゾール、2,7-ジブロモカルバゾール、3,6-ジブロモカルバゾール、1,3,6-トリブロモカルバゾール、1,3,6,8-テトラブロモカルバゾール、1-ヨードカルバゾール、2-ヨードカルバゾール、3-ヨードカルバゾール、4-ヨードカルバゾール、3,6-ジヨードカルバゾール、1-クロロカルバゾール、2-クロロカルバゾール、3-クロロカルバゾール、4-クロロカルバゾール、1-ブロモ-3,6-ジクロロカルバゾール及び1,8-ジブロモ-3,6-ジクロロカルバゾール等を例示することができる。これらハロカルバゾールの一部は市販されているが、文献記載の方法(Journal of Heterocyclic Chemistry,38巻,11-23ページ,2001年)を参考に調製することができる。収率が良い点で、ハロカルバゾール(1)のXは臭素原子が好ましく、nは1又は2が好ましく、具体的には、1-ブロモカルバゾール、2-ブロモカルバゾール、3-ブロモカルバゾール、4-ブロモカルバゾール、2,7-ジブロモカルバゾール又は3,6-ジブロモカルバゾールを用いることが好ましい。
【0023】
本発明の製造方法に用いるジアリールアミン(2)について説明する。
【0024】
Ar1及びAr2で表される炭素数1から6のアルキル基で置換されていてもよい炭素数6から16の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ビフェニリル基、3-ビフェニリル基、4-ビフェニリル基、9-フェナントリル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、メシチル基、4-エチルフェニル基、4-プロピルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基及び4-へキシルフェニル基等を例示することができる。
【0025】
Ar1及びAr2で表される炭素数1から6のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数6から16の芳香族炭化水素基としては、2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-プロポキシフェニル基、2,6-ジメトキシビフェニル基等を例示することができる。
【0026】
ジアリールアミン(2)の具体例としては、ジフェニルアミン、ジ(m-トリル)アミン、ジ(p-トリル)アミン、(m-トリル)p-トリルアミン、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミン、ビス(3-メトキシフェニル)アミン、ビス(4-メトキシフェニル)アミン、ビス(3,5-ジメチルフェニル)アミン、ジ(4-ビフェニリル)アミン、ジ(1-ナフチル)アミン、ジ(2-ナフチル)アミン、1-ナフチル(フェニル)アミン、2-ナフチル(フェニル)アミン、4-ビフェニリル(フェニル)アミン、3-ビフェニリル(フェニル)アミン及び2-ビフェニリル(フェニル)アミン等を例示することができる。これらジアリールアミンの一部は市販されているが、文献記載の方法(Chemistry-A European Journal,18巻,145-151ページ,2012年)を参考に調製することができる。収率が良い点で、ジアリールアミン(2)としては、ジフェニルアミン、ジ(4-ビフェニリル)アミン、1-ナフチル(フェニル)アミン、2-ナフチル(フェニル)アミン、4-ビフェニリル(フェニル)アミン、3-ビフェニリル(フェニル)アミン又は2-ビフェニリル(フェニル)アミンを用いることが好ましく、更に、ジフェニルアミン又はジ(4-ビフェニリル)アミンを用いることがより好ましい。
【0027】
本発明の製造方法に用いるパラジウム化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体等の0価パラジウム化合物や塩化パラジウム、臭化パラジウム、酢酸パラジウム、π-アリルパラジウムクロリドダイマー、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム等の二価パラジウム化合物を例示することができる。収率が良い点で、0価パラジウム化合物を用いることが好ましい。
【0028】
本発明の製造方法に用いるホスフィン化合物(4)について説明する。
【0029】
Rで表される炭素数1から6のアルキル基としては、直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基及びネオペンチル基等を例示することができる。収率が良い点で、tert-ブチル基を用いることが好ましい。
【0030】
Rで表される炭素数6から16の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ビフェニリル基、3-ビフェニリル基、4-ビフェニリル基、9-フェナントリル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基等を例示できる。これらの炭素数6から16の芳香族炭化水素基は、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、又はジ(炭素数1から3のアルキル)アミノ基で置換されていてもよく、特に限定するものではないが、例えば、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、メシチル基、2’-メチルビフェニル-2-イル基、3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル-2-イル基、2’,4’,6’-トリメチルビフェニル-2-イル基、2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル-2-イル基、4-メトキシフェニル基、2’,6’-ジメトキシビフェニル-2-イル基、2’,6’-ジイソプロポキシビフェニル-2-イル基、3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル-2-イル基、3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル-2-イル基、3-メトキシ-6-メチル-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル-2-イル基、4-(ジメチルアミノ)フェニル基、4-(ジエチルアミノ)フェニル基及び2’-(ジメチルアミノ)ビフェニル-2-イル基等を例示することができる。
【0031】
当該Rについては、収率に優れる点で、tert-ブチル基又は2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル-2-イル基が好ましい。
【0032】
ホスフィン化合物(4)の具体例としては、トリ-tert-ブチルホスフィン、ジ-tert-ブチルメチルホスフィン、ジ-tert-ブチルネオペンチルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、(2-ビフェニリル)ジ-tert-ブチルホスフィン(JohnPhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-2’-メチルビフェニル(tBuMePhos)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’-(ジメチルアミノ)ビフェニル(tBuDavePhos)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(tBuXPhos)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(tBuSPhos)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,6’-ジイソプロポキシビフェニル(tBuRuPhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(tBuBrettPhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(Me4tBuXPhos)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-3-メトキシ-6-メチル-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(RockPhos)、ジ-tert-ブチル(1-メチル-2,2-ジフェニルシクロプロピル)ホスフィン(cBRIDP)、ジ-tert-ブチル(1,1-ジフェニル-1-プロペン-2-イル)ホスフィン(vBRIDP)及び[4-(ジメチルアミノ)フェニル]ジ-tert-ブチルホスフィン(APhos)等を例示することができる。また、ホスフィン化合物(4)は、それらの化学的に許容される塩から反応系内でホスフィン化合物(4)を発生させてもよい。ホスフィン化合物(4)の化学的に許容される塩としては、トリ-tert-ブチルホスホニウム=テトラフルオロボラート等のホスホニウム塩を例示することができる。収率が良い点で、ハロカルバゾール(1)として2-ブロモカルバゾール、3-ブロモカルバゾール、4-ブロモカルバゾール、2,7-ジブロモカルバゾール又は3,6-ジブロモカルバゾールを用いる場合、トリ-tert-ブチルホスフィンを用いることが好ましく、ハロカルバゾール(1)として1-ブロモカルバゾールを用いる場合、トリ-tert-ブチルホスフィン又はtBuXPhosを用いることが好ましい。
【0033】
本発明の製造方法に用いる塩基としては、特に限定するものではないが、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属アミド、アルカリ金属水素化物、又はアルキル(又はアリール)リチウム化合物が挙げられ、より具体的には、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウム2,2,6,6-テトラメチルピペリジド等のアルカリ金属アミド、メチルリチウム、n-ブチルリチウム、フェニルリチウム等のアルキル(又はアリール)リチウム化合物、水素化リチウム等のアルカリ金属水素化物、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド等を例示することができる。なお、当該アルカリ金属については、特に限定するものではないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、又はセシウム等が挙げられる。当該塩基については、これらのうち、収率が良い点で、ナトリウムtert-ブトキシド、水素化リチウム、又はリチウムビス(トリメチルシリル)アミドが好ましく、更に収率が良い点で、ハロカルバゾール(1)として2-ブロモカルバゾール、3-ブロモカルバゾール、4-ブロモカルバゾール、2,7-ジブロモカルバゾール又は3,6-ジブロモカルバゾールを用いる場合、水素化リチウム又はリチウムビス(トリメチルシリル)アミドを用いることが好ましく、ハロカルバゾール(1)として1-ブロモカルバゾールを用いる場合、ナトリウムtert-ブトキシド又はリチウムビス(トリメチルシリル)アミドを用いることが好ましい。また、コストメリットが高い点では、ハロカルバゾール(1)として2-ブロモカルバゾール、3-ブロモカルバゾール、4-ブロモカルバゾール、2,7-ジブロモカルバゾール又は3,6-ジブロモカルバゾールを用いる場合、水素化リチウムを用いることが、ハロカルバゾール(1)として1-ブロモカルバゾールを用いる場合、ナトリウムtert-ブトキシドを用いることがとりわけ好ましい。
【0034】
本発明の製造方法で用いる反応溶媒としては、具体的には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、o-キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒を例示することができ、これらの溶媒の中から2種類以上を混合して用いてもよい。反応溶媒の使用量は特に制限はない。収率が良い点で、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、トルエン、又はo-キシレンを用いることが好ましく、収率がより良い点で、ハロカルバゾール(1)として2-ブロモカルバゾール、3-ブロモカルバゾール、4-ブロモカルバゾール、2,7-ジブロモカルバゾール又は3,6-ジブロモカルバゾールを用いる場合、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、トルエン、o-キシレンを用いることが好ましく、さらにはテトラヒドロフランを用いることがより好ましい。ハロカルバゾール(1)として1-ブロモカルバゾールを用いる場合、トルエンを用いることが好ましい。
【0035】
本発明の製造方法は、-20℃~200℃から適宜選択された温度にて実施することができる。また、マイクロ波照射下で加熱してもよい。収率が良い点で、50℃から120℃の範囲から適宜選ばれた温度で実施することが好ましく、収率がより良い点で、ハロカルバゾール(1)として2-ブロモカルバゾール、3-ブロモカルバゾール、4-ブロモカルバゾール、2,7-ジブロモカルバゾール又は3,6-ジブロモカルバゾールを用いる場合は、50℃から70℃の範囲から適宜選ばれた温度で実施することが好ましい。ハロカルバゾール(1)として1-ブロモカルバゾールを用いる場合は、100℃から120℃の範囲から適宜選択された温度で実施することが好ましい。
【0036】
本発明の製造方法に用いるハロカルバゾール(1)とジアリールアミン(2)とのモル比は、ハロカルバゾール(1)の置換ハロゲン数(n)に応じて、1:nから1:20nの範囲が好ましく、中でも収率が良い点で1:nから1:10nがさらに好ましい。
【0037】
本発明の製造方法に用いるパラジウム化合物の添加量は触媒量でよく、ハロカルバゾール(1)に対して0.1~20モル%程度用いればよい。
【0038】
本発明の製造方法に用いるパラジウム化合物とホスフィン化合物(4)とのモル比は、1:1から1:10の範囲が好ましく、中でも収率が良い点で1:1から1:5がさらに好ましい。
【0039】
本発明の製造方法に用いるハロカルバゾール(1)と塩基とのモル比は、ハロカルバゾール(1)の置換ハロゲン数(n)に応じて、1:nから1:20nの範囲が好ましく、中でも収率が良い点で1:n+1から1:6×(n+1)の範囲がさらに好ましい。
【0040】
本発明の製造方法で得られる(ジアリールアミノ)カルバゾール(3)は、反応終了後、必要に応じて精製することができる。精製する方法には特に限定は無いが、溶媒抽出、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、薄層分取クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶又は昇華等の当業者が用いるアリールアミン精製法として通常用いる方法で、(ジアリールアミノ)カルバゾール(3)を精製することができる。
【実施例】
【0041】
次に本発明を実施例及び参考例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
なお、実施例に記載の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析は、以下の方法で行った。
装置:Waters 2690 Separations Module Up grade
カラム:Agilent Technologies社製ZORBAX Eclipse
XDB-C18 4.6×250mm,5μm
溶離液:メタノール/テトラヒドロフラン=9/1(体積比)
温度:室温
検出器:254nm
目的物のHPLC収率は、9-(p-トリル)カルバゾールを内部標準物質として用い、内部標準法により算出した。
【0043】
実施例-1
【0044】
【0045】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.00mmol)、ジフェニルアミン(387mg,2.28mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(11mg,11μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(15mg,50μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(6mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,4.4mL,4.4mmol)を加え、65℃で10時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的の3-(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(653mg,1.95mmol,収率98%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ6.93(t,J=7.2Hz,2H),6.98(t,J=8.0Hz,4H),7.10(dd,J=7.6,8.0Hz,1H),7.17(dd,J=2.0,8.8Hz,1H),7.24(dd,J=7.2,8.0Hz,4H),7.37(dd,J=8.0,7.6Hz,1H),7.44-7.53(m,2H),7.91(d,J=2.0Hz,1H),8.04(d,J=7.6Hz,1H),11.30(s,1H)。
【0046】
実施例-2
【0047】
【0048】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.00mmol)、ジフェニルアミン(376mg,2.22mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(12mg,11μmol)とJohnPhos(16mg,53μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(6mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,4.4mL,4.4mmol)を加え、65℃で48時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的の3-(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(220mg,0.658mmol,収率33%)。
【0049】
実施例-3
【0050】
【0051】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.00mmol)、ジフェニルアミン(376mg,2.22mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(10mg,10μmol)とtBuMePhos(16mg,52μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(6mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,4.4mL,4.4mmol)を加え、65℃で48時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的の3-(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(349mg,1.04mmol,収率52%)。
【0052】
実施例-4
【0053】
【0054】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(493mg,2.00mmol)、ジフェニルアミン(376mg,2.22mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(11mg,10μmol)とtBuDavePhos(18mg,53μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(6mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,4.4mL,4.4mmol)を加え、65℃で24時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的の3-(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(100mg,0.298mmol,収率15%)。
【0055】
実施例-5
【0056】
【0057】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(246mg,1.00mmol)、ジフェニルアミン(203mg,1.2mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(9.2mg,10μmol)とcBRIDP(14.1mg,40μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(1mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,2.2mL,2.2mmol)を加え、65℃で19時間撹拌した。室温に冷却後、水25mLを加えて反応を停止させた。さらに酢酸エチル20mLと内部標準物質として9-(p-トリル)カルバゾールを加え、酢酸エチル層が均一になるまで撹拌した。酢酸エチル層0.1mLを採取し、テトラヒドロフラン3mLで希釈後、HPLC分析により目的の3-(ジフェニルアミノ)カルバゾールが3-ブロモカルバゾールに対して88%生成していることを確認した。
【0058】
実施例-6
【0059】
【0060】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(246mg,1.00mmol)、ジフェニルアミン(203mg,1.2mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(9.2mg,10μmol)とvBRIDP(13.5mg,40μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(1mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,2.2mL,2.2mmol)を加え、65℃で19時間撹拌した。室温に冷却後、水25mLを加えて反応を停止させた。さらに酢酸エチル20mLと内部標準物質として9-(p-トリル)カルバゾールを加え、酢酸エチル層が均一になるまで撹拌した。酢酸エチル層0.1mLを採取し、テトラヒドロフラン3mLで希釈後、HPLC分析により目的の3-(ジフェニルアミノ)カルバゾールが3-ブロモカルバゾールに対して37%生成していることを確認した。
【0061】
実施例-7
【0062】
【0063】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(493mg,2.00mmol)、ジフェニルアミン(378mg,2.23mmol)、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(747mg,4.46mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(11mg,11μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(15mg,53μmol)の混合物に1,4-ジオキサン(10mL)を加え、80℃で3時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的の3-(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(634mg,1.90mmol,収率95%)。
【0064】
実施例-8
【0065】
【0066】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.00mmol)、ジフェニルアミン(378mg,2.23mmol)、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(740mg,4.42mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(10mg,10μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(15mg,53μmol)の混合物にトルエン(10mL)を加え、100℃で10時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的の3-(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(596mg,1.64mmol,収率82%)。
【0067】
実施例-9
【0068】
【0069】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.00mmol)、ジフェニルアミン(377mg,2.23mmol)、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(735mg,4.39mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(11mg,11μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(14mg,50μmol)の混合物にo-キシレン(10mL)を加え、140℃で14時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的の3-(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(574mg,1.60mmol,収率80%)。
【0070】
実施例-10
【0071】
【0072】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(123mg,0.501mmol)、ジフェニルアミン(104mg,0.613mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(3mg,3μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(4mg,14μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(1.5mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,1.1mL,1.1mmol)を加え、120℃で20分撹拌しながらマイクロ波を照射した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的の3-(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(166mg,0.497mmol,収率99%)。
【0073】
実施例-11
【0074】
【0075】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.00mmol)、ジフェニルアミン(375mg,2.22mmol)とトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(11mg,10μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(6mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,4.4mL,4.4mmol)とトリ-tert-ブチルホスフィン(1.47Mo-キシレン溶液,33μL,49μmol)を加え、65℃で24時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的の3-(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(532mg,1.59mmol,収率80%)。
【0076】
実施例-12
【0077】
【0078】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.00mmol)、ジフェニルアミン(378mg,2.23mmol)と酢酸パラジウム(5mg,21μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(6mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,4.4mL,4.4mmol)とトリ-tert-ブチルホスフィン(1.47Mo-キシレン溶液,33μL,49μmol)を加え、65℃で24時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的の3-(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(477mg,1.43mmol,収率71%)。
【0079】
実施例-13
【0080】
【0081】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.00mmol)、ジフェニルアミン(377mg,2.23mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(12mg,12μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(15mg,50μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(10mL)を加えた。得られた混合物にブチルリチウム(2.65Mヘキサン溶液,1.7mL,4.4mmol)を加え、65℃で3.5時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的の3-(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(596mg,1.78mmol,収率89%)。
【0082】
実施例-14
【0083】
【0084】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.00mmol)、ジフェニルアミン(373mg,2.20mmol)、リチウムテトラメチルピペリジド(651mg,4.42mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(11mg,10μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(15mg,50μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(10mL)を加え、65℃で6時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的の3-(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(592mg,1.77mmol,収率89%)。
【0085】
実施例-15
【0086】
【0087】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.00mmol)とジフェニルアミン(374mg,2.21mmol)、の混合物にテトラヒドロフラン(10mL)を加え、この溶液を0℃に冷却した。そこにリチウムジイソプロピルアミド(2Mテトラヒドロフラン/ヘプタン/エチルベンゼン溶液,2.2mL,4.4mmol)を加え、0℃で30分撹拌した。得られた混合物にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(11mg,10μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(14mg,48μmol)を加え、65℃で6時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的の3-(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(565mg,1.69mmol,収率84%)。
【0088】
実施例-16
【0089】
【0090】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.00mmol)とジフェニルアミン(374mg,2.21mmol)、水素化リチウム(79mg,9.9mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(11mg,10μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(14mg,50μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(10mL)を加え、65℃で24時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的の3-(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(534mg,1.78mmol,収率89%)。
【0091】
実施例-17
【0092】
【0093】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.00mmol)とジフェニルアミン(373mg,2.21mmol)、水素化リチウム(164mg,20.6mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(12mg,11μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(14mg,49μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(10mL)を加え、65℃で14時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的の3-(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(661mg,1.98mmol,収率99%)。
【0094】
実施例-18
【0095】
【0096】
アルゴン雰囲気下、2-ブロモカルバゾール(492mg,2.00mmol)、ジフェニルアミン(379mg,2.24mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(11mg,11μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(15mg,51μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(6mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,4.4mL,4.4mmol)を加え、65℃で12時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=9/1)で精製し、目的の2-(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(664mg,1.99mmol,収率99%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ6.85(dd,J=2.0,8.4Hz,1H),6.99-7.07(m,7H),7.13(dd,J=8.0,8.4Hz,1H),7.26-7.35(m,5H),7.41(d,J=8.4Hz,1H),7.99-8.03(m,2H),11.05(s,1H)。
【0097】
実施例-19
【0098】
【0099】
アルゴン雰囲気下、4-ブロモカルバゾール(492mg,2.00mmol)、ジフェニルアミン(373mg,2.20mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(11mg,11μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(14mg,50μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(6mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,4.4mL,4.4mmol)を加え、65℃で12時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=9/1)で精製し、目的の4-(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(664mg,1.99mmol,収率99%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ6.82-6.89(m,2H),6.92(d,J=7.2Hz,2H),6.95-7.01(d,J=8.4Hz,4H),7.21(dd,J=7.2,8.4Hz,4H),7.29(m,1H),7.41-7.45(m,2H),7.45(d,J=8.0Hz,1H),7.57(d,J=7.6Hz,1H),11.48(s,1H)。
【0100】
実施例-20
【0101】
【0102】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.20mmol)、ジ(4-ビフェニリル)アミン(708mg,2.20mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(26mg,25μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(36mg,0.12mmol)の混合物にテトラヒドロフラン(6mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,4.4mL,4.4mmol)を加え、65℃で10時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的の3-[ジ(4-ビフェニリル)アミノ]カルバゾールを薄黄色固体として得た(942mg,1.94mmol,収率97%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.08-7.15(m,5H),7.25(dd,J=8.4,2.0Hz,1H),7.28-7.34(m,2H),7.35-7.46(m,5H),7.50(d,J=8.0Hz,1H),7.55(d,J=8.4Hz,1H),7.57-7.66(m,8H),8.03(d,J=2.0Hz,1H),8.09(d,J=8.0Hz,1H),11.35(s,1H)。
【0103】
実施例-21
【0104】
【0105】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.20mmol)、1-ナフチル(フェニル)アミン(487mg,2.22mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(11mg,10μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(15mg,50μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(6mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,4.4mL,4.4mmol)を加え、65℃で24時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的の3-[1-ナフチル(フェニル)アミノ]カルバゾールを薄黄色固体として得た(249mg,0.647mmol,収率32%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ6.68(dd,J=8.4,0.8Hz,2H),6.79(m,1H),7.07(m,1H),7.14(dd,J=8.0,7.2Hz,2H),7.23(dd,J=8.4,2.0Hz,2H),7.35(m,1H),7.39(m,1H),7.41-7.47(m,3H),7.51(m,1H),7.55(dd,J=8.0,7.6Hz,1H),7.85(d,J=8.4Hz,1H),7.94(d,J=2.0Hz,1H),7.99(d,J=8.0Hz,1H),8.03(d,J=8.4Hz,1H),11.25(s,1H)。
【0106】
実施例-22
【0107】
【0108】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.20mmol)、2-ナフチル(フェニル)アミン(483mg,2.20mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(11mg,11μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(15mg,52μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(6mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,4.4mL,4.4mmol)を加え、65℃で12時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的の3-[2-ナフチル(フェニル)アミノ]カルバゾールを薄黄色固体として得た(581mg,1.51mmol,収率76%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ6.99(m,1H),7.04-7.12(m,4H),7.21(d,J=2.0Hz,1H),7.23(m,1H),7.25-7.34(m,4H),7.34-7.40(m,2H),7.52(d,J=8.4Hz,1H),7.61(d,J=8.0Hz,1H),7.79(d,J=8.8Hz,2H),7.96(d,J=2.4Hz,1H),8.04(d,J=7.6Hz,1H),11.33(s,1H)。
【0109】
実施例-23
【0110】
【0111】
アルゴン雰囲気下、3,6-ジブロモカルバゾール(325mg,1.00mmol)、ジフェニルアミン(374mg,2.21mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(11mg,10μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(15mg,51μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(2mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,3.3mL,3.3mmol)を加え、65℃で10時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=9/1)で精製し、目的の3,6-ビス(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(482mg,0.962mmol,収率96%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ6.86(dd,J=8.4,2.0Hz,2H),6.98-7.06(m,14H),7.29(dd,J=8.4,7.2Hz,8H),7.92(d,J=8.4Hz,2H),10.88(s,1H)。
【0112】
実施例-24
【0113】
【0114】
アルゴン雰囲気下、2,7-ジブロモカルバゾール(325mg,1.00mmol)、ジフェニルアミン(373mg,2.20mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(10mg,10μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(14mg,50μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(2mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,3.3mL,3.3mmol)を加え、65℃で10時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=19/1)で精製し、目的の2,7-ビス(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(491mg,0.980mmol,収率98%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ6.87-6.98(m,12H),7.17(dd,J=8.4,2.0Hz,2H)7.21(dd,J=8.4,7.2Hz,8H),7.50(d,J=8.4Hz,2H),7.88(d,J=2.0Hz,2H),11.37(s,1H)。
【0115】
実施例-25
【0116】
【0117】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.00mmol)、ジ(p-トリル)アミン(435mg,2.20mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(11mg,10μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(14mg,50μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(6mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,4.4mL,4.4mmol)を加え、65℃で16時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=9/1)で精製し、目的の3-[ビス(4-メチルフェニリル)アミノ]カルバゾールを薄黄色固体として得た(718mg,1.98mmol,収率99%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ2.23(s,6H),6.86(d,J=8.0Hz,4H),7.04(d,J=8.0Hz,4H),7.06-7.13(m,2H),7.36(m,1H),7.43-7.49(m,2H),7.83(d,J=2.0Hz,1H),8.01(d,J=8.0Hz,1H),11.25(s,1H)。
【0118】
実施例-26
【0119】
【0120】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.00mmol)、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミン(620mg,2.20mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(10mg,10μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(15mg,53μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(6mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,4.4mL,4.4mmol)を加え、65℃で16時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=9/1)で精製し、目的の3-[ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミノ]カルバゾールを白色固体として得た(853mg,1.90mmol,収率95%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ1.25(s,18H),6.89(d,J=8.8Hz,4H),7.09(m,1H),7.13(dd,J=8.4,2.0Hz,1H),7.24(d,J=8.8Hz,4H),7.36(m,1H),7.44-7.50(m,2H),7.89(d,J=2.0Hz,1H),8.04(d,J=7.6Hz,1H),11.27(s,1H)。
【0121】
実施例-27
【0122】
【0123】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.00mmol)、ビス(4-メトキシフェニル)アミン(506mg,2.21mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(11mg,11μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(15mg,51μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(6mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,4.4mL,4.4mmol)を加え、65℃で16時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=9/1)で精製し、目的の3-[ビス(4-メトキシフェニル)アミノ]カルバゾールを薄黄色固体として得た(778mg,1.97mmol,収率99%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ3.71(s,6H),6.80-6.93(m,8H),7.04-7.11(m,2H),7.34(m,1H), 7.41-7.47(m,2H),7.76(d,J=2.0Hz,1H),7.98(d,J=8.0Hz,1H),11.19(s,1H)。
【0124】
実施例-28
【0125】
【0126】
アルゴン雰囲気下、1-ブロモカルバゾール(1.025g,4.165mmol)、ジフェニルアミン(756mg,4.47mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(3.902g,40.60mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(210mg,203μmol)とtBuXPhos(414mg,974μmol)の混合物にトルエン(50mL)を加え、110℃で23時間撹拌した。室温に冷却後、1M-HCl水溶液(10mL)を加え、室温で5分間撹拌後、酢酸エチルで有機層を抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/トリエチルアミン=9/1)で精製し、目的の1-(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(792mg,2.37mmol,収率57%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ6.90-7.04(m,5H),7.17(dd,J=6.8,1.2Hz,1H),7.20-7.29(m,6H),7.36(dd,J=6.8,1.2Hz,1H),7.45(m,1H),7.69(m,1H),8.07(m,1H),8.13(d,J=8.0Hz,1H),10.91(s,1H)。
【0127】
実施例-29
【0128】
【0129】
アルゴン雰囲気下、1-ブロモカルバゾール(0.125g,0.507mmol)、ジフェニルアミン(92mg,0.54mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(0.481g,5.00mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(26mg,25μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(40mg,0.14mmol)の混合物にトルエン(6mL)を加え、110℃で17時間撹拌した。室温に冷却後、1M-HCl水溶液(10mL)を加え、室温で5分間撹拌後、酢酸エチルで有機層を抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮することで得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/トリエチルアミン=9/1)で精製し、目的の1-(ジフェニルアミノ)カルバゾールを薄黄色固体として得た(86mg,0.26mmol,収率51%)。
【0130】
実施例-30
【0131】
【0132】
アルゴン雰囲気下、1-ブロモカルバゾール(125mg,0.508mmol)、ジ(4-ビフェニリル)アミン(178mg,0.556)mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(484mg,5.03mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(28mg,27μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(39mg,0.13mmol)の混合物にトルエン(5mL)を加え、110℃で17時間撹拌した。室温に冷却後、1M-HCl水溶液(10mL)を加え、室温で5分間撹拌後、酢酸エチルで有機層を抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/トリエチルアミン=9/1)で精製し、目的の1-[ジ(4-ビフェニリル)アミノ]カルバゾールを薄黄色固体として得た(171mg,0.352mmol,収率69%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.13(d,J=8.8Hz,4H),7.18(dd,J=7.2,0.8Hz,1H),7.23-7.34(m,4H),7.34-7.49(m,6H),7.57-7.65(m,8H),8.12(dd,J=7.6,7.6Hz,1H),8.16(d,J=8.0Hz,1H),11.03(s,1H)。
【0133】
実施例-31
【0134】
【0135】
アルゴン雰囲気下、1-ブロモカルバゾール(125mg,0.508mmol)、2-ナフチル(フェニル)アミン(128mg,0.582mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(482mg,5.02mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(27mg,26μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(36mg,0.13mmol)の混合物にトルエン(5mL)を加え、110℃で17時間撹拌した。室温に冷却後、1M-HCl水溶液(10mL)を加え、室温で5分間撹拌後、酢酸エチルで有機層を抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/トリエチルアミン=9/1)で精製し、目的の1-[2-ナフチル(フェニル)アミノ]カルバゾールを薄黄色固体として得た(146mg,0.380mmol,収率75%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.02(dd,J=6.8,1.2Hz,1H),7.09(d,J=7.6Hz,2H),7.17(dd,J=6.8,1.2Hz,1H),7.21-7.39(m,9H),7.43(d,J=8.0Hz,1H),7.60(d,J=8.0Hz,1H),7.76-7.83(m,2H),8.09(dd,J=5.6,2.8Hz,1H),8.14(d,J=5.6Hz,1H),10.89(s,1H)。
【0136】
実施例-32
【0137】
【0138】
アルゴン雰囲気下、1-ブロモカルバゾール(125mg,0.509mmol)、1-ナフチル(フェニル)アミン(557mg,2.54mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(483mg,5.03mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(28mg,27μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(39mg,0.13mmol)の混合物にトルエン(5mL)を加え、110℃で17時間撹拌した。室温に冷却後、1M-HCl水溶液(10mL)を加え、室温で5分間撹拌後、酢酸エチルで有機層を抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/トリエチルアミン=9/1)で精製した。得られた粗生成物をメタノールで洗浄後、減圧乾燥し、目的の1-[1-ナフチル(フェニル)アミノ]カルバゾールを薄黄色固体として得た(82mg,0.21mmol,収率42%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ6.54(d,J=7.6Hz,2H),6.83(m,1H),6.99(dd,J=7.6,1.2Hz,1H),7.06(t,J=7.6Hz,1H),7.11-7.21(m,3H),7.35-7.41(m,2H),7.45-7.59(m,4H),7.87(d,J=8.0Hz,1H),7.95-8.02(m,3H),8.13(d,J=7.6Hz,1H),10.92(s,1H)。
【0139】
実施例-33
【0140】
【0141】
アルゴン雰囲気下、1-ブロモカルバゾール(124mg,0.504mmol)、ジ(p-トリル)アミン(109mg,0.555mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(487mg,5.07mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(30mg,29μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(38mg,0.13mmol)の混合物にトルエン(5mL)を加え、110℃で17時間撹拌した。室温に冷却後、1M-HCl水溶液(10mL)を加え、室温で5分間撹拌後、酢酸エチルで有機層を抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/トリエチルアミン=9/1)で精製し、目的の1-[ビス(4-メチルフェニリル)アミノ]カルバゾールを薄黄色固体として得た(141mg,0.388mmol,収率77%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ2.23(s,6H),6.86(d,J=8.4Hz,4H),7.04(d,J=8.4Hz,4H),7.10-7.20(m,3H),7.35(m,1H),7.45(d,J=8.0Hz,1H),8.01(dd,J=7.6,0.8Hz,1H),8.11(d,J=7.6Hz,1H),10.71(s,1H)。
【0142】
実施例-34
【0143】
【0144】
アルゴン雰囲気下、1-ブロモカルバゾール(124mg,0.502mmol)、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミン(159mg,0.564mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(485mg,5.05mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(29mg,28μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(39mg,0.13mmol)の混合物にトルエン(5mL)を加え、110℃で17時間撹拌した。室温に冷却後、1M-HCl水溶液(10mL)を加え、室温で5分間撹拌後、酢酸エチルで有機層を抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/トリエチルアミン=9/1)で精製し、目的の1-[ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミノ]カルバゾールを白色固体として得た(186mg,0.417mmol,収率83%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ1.24(s,18H),6.91(d,J=8.8Hz,4H),7.16(m,1H),7.19-7.23(m,2H),7.25(d,J=8.4Hz,4H),7.36(m,1H),7.46(d,J=8.4Hz,1H),8.05(m,1H),8.12(d,J=8.0Hz,1H),10.92(s,1H)。
【0145】
実施例-35
【0146】
【0147】
アルゴン雰囲気下、1-ブロモカルバゾール(126mg,0.513mmol)、ビス(4-メトキシフェニル)アミン(128mg,0.557mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(482mg,5.02mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(28mg,27μmol)とトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(39mg,0.14mmol)の混合物にトルエン(5mL)を加え、110℃で17時間撹拌した。室温に冷却後、1M-HCl水溶液(10mL)を加え、室温で5分間撹拌後、酢酸エチルで有機層を抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)で精製し、目的の1-[ビス(4-メトキシフェニル)アミノ]カルバゾールを薄黄色固体として得た(146mg,0.371mmol,収率72%)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ3.70(s,6H),6.80-6.92(m,8H),7.08(dd,J=7.6,1.2Hz,1H),7.12-7.19(m,2H),7.35(m,1H),7.45(d,J=8.0Hz,1H),7.97(d,J=7.2Hz,1H),8.10(d,J=8.0Hz,1H),10.63(s,1H)。
【0148】
比較例-1
【0149】
【0150】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.00mmol)、ジフェニルアミン(379mg,2.24mmol)、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(736mg,4.40mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(11mg,10μmol)とRuPhos(23mg,51μmol)の混合物に1,4-ジオキサン(10mL)を加え、80℃で10時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗製生物の1H NMRを測定したところ、目的の3-(ジフェニルアミノ)カルバゾールの生成は確認されなかった。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製することで、原料の3-ブロモカルバゾールを回収した(436mg,1.77mmol,回収率89%)。
【0151】
比較例-2
【0152】
【0153】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモカルバゾール(492mg,2.00mmol)、ジフェニルアミン(373mg,2.21mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(11mg,11μmol)とRuPhos(23mg,49μmol)の混合物にテトラヒドロフラン(6mL)を加えた。得られた混合物にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,4.4mL,4.4mmol)を加え、65℃で10時間撹拌した。室温に冷却後、反応液をシリカゲルを用いてろ過し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた粗製生物の1H NMRを測定したところ、目的の3-(ジフェニルアミノ)カルバゾールの生成は確認されなかった。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製することで、原料の3-ブロモカルバゾールを回収した(471mg,1.91mmol,回収率96%)。