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特許7143005メタルフィルターの洗浄装置及び洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】メタルフィルターの洗浄装置及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20220920BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20220920BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20220920BHJP
   B01D 41/04 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
B08B3/02 A
B08B3/02 B
B08B3/02 D
B08B5/02 Z
B08B3/04 A
B01D41/04
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020566901
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 KR2019011892
(87)【国際公開番号】W WO2021049691
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・ウク・キム
(72)【発明者】
【氏名】サン・ソ・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ス・パク
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ペ・キム
(72)【発明者】
【氏名】イ・ラン・リム
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ワン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ヒ・キム
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1033143(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0142469(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0093375(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-0773757(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0031348(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/00 - 3/14
B08B 5/02
B01D 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側に開口部が設けられた筒状に形成され、側面には通孔が形成され、異物が含有された流体が開口部に流入されると通孔で異物が濾過され、流体のみ通孔に排出されるメタルフィルターの洗浄方法であって、
洗浄槽で上下に昇降可能であり左右に摺動可能な治具に、開口部が下方を向くようにメタルフィルターを装着する段階と;
開口部の内部へ洗浄槽に設けられたノズルが進入するように治具を下降させる段階と;
前記洗浄槽に前記メタルフィルターが浸漬するように予め定められた量だけの水と洗浄液を投入する段階と;
前記メタルフィルターが水と洗浄液に浸漬された状態でノズルを介して圧縮空気を噴射して前記メタルフィルターの内部面に向けてバブルを噴出する段階と;
前記洗浄槽を排水する段階と;
前記洗浄槽内でノズルを介して水を噴射して洗浄液を洗い落とす段階と;
前記洗浄槽内でノズルを介して圧縮空気を噴射してメタルフィルターを乾燥させる段階と;を含む、メタルフィルターの洗浄方法。
【請求項2】
前記ノズルは、圧縮空気が噴射されるエアノズルと水が噴射されるウォーターノズルが前記洗浄槽で分離して設けられ、圧縮空気又は水の噴射がなされる前に、前記治具は、メタルフィルターの下方から開口部の内部にエアノズル又はウォーターノズルが進入するように昇降及び摺動することを含む、請求項1に記載のメタルフィルターの洗浄方法。
【請求項3】
前記メタルフィルターで濾過される異物は金属酸化物であり、洗浄液と水は1から2の範囲のpH濃度を有するように混合されることを特徴とする、請求項2に記載のメタルフィルターの洗浄方法。
【請求項4】
前記メタルフィルターが乾燥されるとき、圧縮空気は100から150℃に加熱された状態で噴射されることを特徴とする、請求項2または3に記載のメタルフィルターの洗浄方法。
【請求項5】
前記メタルフィルターの内部面に圧縮空気又は水が噴射されるとき、前記治具は上昇/下降を繰り返すことを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載のメタルフィルターの洗浄方法。
【請求項6】
前記メタルフィルターの内部面に圧縮空気又は水が噴射されるとき、前記メタルフィルターは軸回転することを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載のメタルフィルターの洗浄方法。
【請求項7】
前記メタルフィルターは、パイプ状を有して多数個の通孔が形成された外筒と、前記外筒の内周面に嵌合されてパイプ状を有し、ただし、外筒の通孔よりさらに小さなサイズを有する通孔が形成された内筒とを含むことを特徴とする、請求項2から6のいずれか一項に記載のメタルフィルターの洗浄方法。
【請求項8】
一定のサイズの容量を有して洗浄液タンクと連結された洗浄槽;
前記洗浄槽内で上下に昇降可能であり左右に摺動可能であり、メタルフィルターが固定可能な治具;
前記洗浄槽内で噴出口が上方を向くように装着され、外部から供給される圧縮空気又は水を洗浄槽の内部に噴射するノズル;
前記洗浄液タンクから洗浄液を洗浄槽に供給及び遮断することを調節し、前記ノズルに圧縮空気又は水を供給及び遮断することを調節し、前記治具の動きを制御し、洗浄槽の注水又は排水の可否を制御する制御部;を含み、
前記メタルフィルターの開口部が下に向かうように治具に装着された状態で、前記制御部は開口部を介してノズルがメタルフィルター内部に進入するように治具の動きを制御し、水と洗浄液及び圧縮空気を選択的に供給と遮断及び洗浄槽の排水を予め定められたロジックにより制御し、前記洗浄槽を離脱することなく前記洗浄槽内でメタルフィルターの洗浄と乾燥が順次になされる、メタルフィルターの洗浄装置。
【請求項9】
前記ノズルは、圧縮空気が噴射されるエアノズル、及び前記エアノズルと離隔されて設けられ、水が噴射されるウォーターノズルを含むことを特徴とする、請求項8に記載のメタルフィルターの洗浄装置。
【請求項10】
前記エアノズルは、圧縮空気が貯蔵されたエアタンクと連結され、前記ウォーターノズルは水が貯蔵されたウォータータンクと連結され、ただし、前記エアノズルとエアタンクの間に設けられたバルブと、前記ウォーターノズルとウォータータンクの間に設けられたバルブとは、制御部により開閉が調節されることを特徴とする、請求項9に記載のメタルフィルターの洗浄装置。
【請求項11】
前記エアノズルは、洗浄槽に水が溜まった状態で圧縮空気を噴射するとき、水中でバブルを形成し、この際、前記バブルはエアノズルで形成される地点よりメタルフィルターの内部面に接触するようになる地点がさらに高いところに位置するように噴射されることを特徴とする、請求項9または10に記載のメタルフィルターの洗浄装置。
【請求項12】
前記メタルフィルター内にノズルが進入された状態で前記メタルフィルターは、上端に結合されたグリッパーの回転により回転可能であることを特徴とする、請求項8から11のいずれか一項に記載のメタルフィルターの洗浄装置。
【請求項13】
前記洗浄槽は、上側が開口された形状を有し、上側を覆うカバーにより開閉がなされることを特徴とする、請求項8から12のいずれか一項に記載のメタルフィルターの洗浄装置。
【請求項14】
前記洗浄槽は、前記カバーが前記洗浄槽を閉鎖した状態で洗浄がなされ、内部圧力が上昇すると空気又は液体を排出させるリリースバルブを含むことを特徴とする、請求項13に記載のメタルフィルターの洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタルフィルターの洗浄装置及び洗浄方法に関し、さらに詳細には、1つの洗浄槽内で洗浄、すすぎ及び乾燥がなされて従来の洗浄方式に比べて空間活用度が高く、洗浄時間を短縮することができ、洗浄効率が増大したメタルフィルターの洗浄装置及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池用正極活物質は、リチウム原料と前駆体が混合して製造され、前記前駆体は、主に化学反応器内で固体状態で沈澱される沈澱法を介して製造される。前記前駆体は、化学反応器内で金属混合溶液、苛性ソーダ、アンモニアなどと共沈反応して沈澱がなされる。このとき、液体状態の物質は、フィルターを介して反応物(前駆体)のみ前記化学反応槽に残るようになり、濾液(反応物以外の液体)は化学反応槽の外に排出される。
【0003】
様々な種類のフィルターが用いられもするが、大規模の生産施設では高温高圧に対する耐久性及び経済性などを理由にメタルフィルターが用いられる。
【0004】
前記メタルフィルターは、鋼線がメッシュ(網)状をなすように組織されたメッシュフィルター、メッシュフィルターの形状を有する外筒と、前記外筒内に挿入され、ただし、外筒の通孔よりさらに目が細かく小さな直径を有する通孔が形成される内筒と、を含むメタルファイバーフィルター、金属粉末を高温高圧下で焼結してパイプ状に製造されるメタル焼結フィルターなどに分類され得る。
【0005】
前記メタルフィルターは、液体内に含有されたサイズの大きい異物を濾過する方式、すなわち、通孔を介して液体は通過させるが、異物は通孔を通過することができずに濾過される方式で用いられるので、異物が通孔に濾過された状態では液体の通過が漸次困難となるため、周期的な洗浄が要求される。
【0006】
前駆体の製造工程中に用いられていたメタルフィルターは、超音波洗浄方式を介して洗浄がなされた。前記超音波洗浄方式は、NaOHが添加された洗浄液を超音波洗浄機に入れ、使用中のメタルフィルターを1~3時間ほど浸した後、前記洗浄液に超音波を加えて洗浄がなされる方式である。超音波洗浄後、メタルフィルターは上水が噴射されるすすぎ槽に移動されてすすがれた後、乾燥して洗浄が完了した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の超音波洗浄方式に比べて設置面積をさらに小さく占め、洗浄効率が向上され、洗浄時間が短縮されるメタルフィルターの洗浄装置及び洗浄方法を提供することに主な目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述のような目的を達成するための本発明は、一側に開口部が設けられた筒状に形成され、側面には通孔が形成され、異物が含有された流体が開口部に流入されると通孔で異物が濾過され、流体のみ通孔に排出されるメタルフィルターの洗浄方法を提供する。本発明の洗浄方法は、洗浄槽で上下に昇降可能であり左右に摺動可能な治具に、開口部が下方を向くようにメタルフィルターを装着する段階と;開口部の内部へ洗浄槽に設けられたノズルが進入するように治具を下降させる段階と;前記洗浄槽に前記メタルフィルターが浸漬するように予め定められた量だけの水と洗浄液を投入する段階と;ノズルを介して圧縮空気を噴射して前記メタルフィルターの内部面に向けてバブルを噴出する段階と;前記洗浄槽を排水する段階と;ノズルを介して水を噴射して洗浄液を洗い落とす段階と;ノズルを介して圧縮空気を噴射してメタルフィルターを乾燥させる段階と;を含む。
【0009】
前記ノズルは、圧縮空気が噴射されるエアノズルと水が噴射されるウォーターノズルが前記洗浄槽で分離して設けられ、圧縮空気又は水の噴射がなされる前に、前記治具は、メタルフィルターの下方から開口部の内部にエアノズル又はウォーターノズルが進入するように昇降及び摺動するようになされる。
【0010】
前記メタルフィルターで濾過される異物は金属酸化物であり、洗浄液と水は1から2の範囲のpH濃度を有するように混合される。
【0011】
前記メタルフィルターが乾燥されるとき、圧縮空気は100から150℃に加熱された状態で噴射されてよい。
【0012】
前記メタルフィルターの内部面に圧縮空気又は水が噴射されるとき、前記治具は上昇/下降を繰り返すことができ、二者択一的にまたは同時に、前記メタルフィルターは軸回転することもできる。
【0013】
本発明の実施形態で洗浄される前記メタルフィルターは、パイプ状を有して多数個の通孔が形成された外筒と、前記外筒の内周面に嵌合されてパイプ状を有し、ただし、外筒の通孔よりさらに小さなサイズを有する通孔が形成された内筒と、を含む。
【0014】
併せて、本発明は、メタルフィルターの洗浄装置を他の実施形態として追加で提供する。本発明による洗浄装置は、一定のサイズの容量を有して洗浄液タンクと連結された洗浄槽;前記洗浄槽内で上下に昇降可能であり左右に摺動可能であり、メタルフィルターが固定可能な治具;前記洗浄槽内で噴出口が上方を向くように装着され、外部から供給される圧縮空気又は水を洗浄槽の内部に噴射するノズル;前記洗浄液タンクから洗浄液を洗浄槽に供給及び遮断することを調節し、前記ノズルに圧縮空気又は水を供給及び遮断することを調節し、前記治具の動きを制御し、洗浄槽の注水又は排水の可否を制御する制御部;を含み、前記メタルフィルターの開口部が下に向かうように治具に装着された状態で、前記制御部は、開口部を介してノズルがメタルフィルター内部に進入するように治具の動きを制御し、水と洗浄液及び圧縮空気を選択的に供給と遮断及び洗浄槽の排水を予め定められたロジックにより制御し、前記洗浄槽内でメタルフィルターの洗浄と乾燥が順次なされることを特徴とする。
【0015】
前記ノズルは、圧縮空気が噴射されるエアノズル、及び前記エアノズルと離隔されて設けられ、水が噴射されるウォーターノズルを含む。
【0016】
前記エアノズルは、圧縮空気が貯蔵されたエアタンクと連結され、前記ウォーターノズルは水が貯蔵されたウォータータンクと連結され、ただし、前記エアノズルとエアタンクの間に設けられたバルブと、前記ウォーターノズルとウォータータンクの間に設けられたバルブとは、制御部により開閉が調節される。
【0017】
前記エアノズルは、洗浄槽に水が溜まった状態で圧縮空気を噴射するとき、水中でバブルを形成し、この際、前記バブルはエアノズルで形成される地点よりメタルフィルターの内部面に接触するようになる地点がさらに高いところに位置するように噴射される。
【0018】
前記メタルフィルター内にノズルが進入された状態で、前記メタルフィルターは上端に結合されたグリッパーの回転により回転されてよい。
【0019】
そして、前記洗浄槽は、上側が開口された形状を有し、上側を覆うカバーにより開閉がなされ、前記洗浄槽は、前記カバーが洗浄槽を閉鎖した状態で洗浄がなされ、内部圧力が上昇すると空気又は液体を排出させるリリースバルブを含む。
【発明の効果】
【0020】
前記のような構成を有する本発明は、水と洗浄液及び圧縮空気が予め定められたロジックにより自動的供給及び排出がなされ、1つの洗浄槽内でメタルフィルターの洗浄と乾燥が順次になされるので、従来の設備に比べて設置空間を縮小することができ、消耗される水の量を減らすことができるという効果を有する。
【0021】
本発明で、エアノズルは、洗浄槽に水が溜まった状態で圧縮空気を噴射するとき、水中でバブルを形成するので、前記バブルにより洗浄の効果を増大させることができる。
【0022】
そして、前記メタルフィルターは、洗浄がなされるか乾燥がなされるとき、選択的に昇降するか回転して遠心力及び/又は慣性により水気及び異物を払い落とすことができるので、洗浄及び乾燥の効率がさらに増大し得る。
【0023】
併せて、前記洗浄槽は、カバーにより閉鎖された状態で洗浄がなされるので、外部に水が飛ぶ現象を防止することができ、圧縮空気の注入により上昇する内部圧力はリリースバルブにより解消され得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態による洗浄装置の全体的な様子が単純化され示された図である。
図2】洗浄槽内に設けられたエアノズルとウォーターノズルの平面図である。
図3】洗浄槽内で治具に装着されたメタルフィルターにノズル(エアノズル、ウォーターノズル)が挿入される様子、及び前記メタルフィルターが回転する様子が示された正面図である。
図4】本発明の実施形態による洗浄方法のフローチャートである。
図5】従来の超音波方式で洗浄されたメタルフィルターの表面状態(a)と、本発明の実施形態による方法により酸性を有する洗浄液で洗浄されたメタルフィルターの表面状態(b)とが撮影された写真である。
図6】本発明の実施形態による洗浄方法でメタルフィルターを洗浄し、ただし、洗浄液が用いられずに水のみで洗浄されたメタルフィルターの表面状態(c)と、水酸化ナトリウム(NaOH)洗浄液が用いられて洗浄されたメタルフィルターの表面状態(d)、及び本発明の実施形態による方法により酸性を有する洗浄液で洗浄されたメタルフィルターの表面状態(b)が撮影された写真である。
図7】内筒の通孔のサイズが3マイクロメートル(μm)と5マイクロメートルであるとき、洗浄前と、本発明による洗浄方法で洗浄した後との回復率[%:100-(重量増加分/本来のメタルフィルターの材料重量)×100]が示されたグラフ;及び、洗浄前と、本発明による洗浄方法で洗浄した後との重量の増加が示されたグラフ;が示された図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図に基づき、本発明について本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は多様に異なる形態に具現されてよく、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0026】
本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素に対しては同一の参照符号を付す。
【0027】
また、本明細書及び特許請求の範囲で用いられた用語や単語は、通常的かつ辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最良の方法で説明するために、用語の概念を適宜定義することができるとの原則に即し、本発明の技術的思想に適合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0028】
本発明は、一側端(上端又は下端)に開口部が設けられた円筒状で形成され、側面(外周面)には内外部を開通させる通孔が形成され、異物が含有された流体が開口部に流入されると内部壁面で異物が濾過され、流体のみ通孔を介して外部に排出されるメタルフィルターの洗浄装置を実施例1として提供し、洗浄方法を実施例2として提供する。以下、図を参照しつつ、本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
【0029】
実施例1
本発明は、メタルフィルターの洗浄装置を実施例1として提供する。図1は、本発明の実施形態による洗浄装置の全体的な構成要素が単純化され示された図である。図1に示されたとおり、本発明の洗浄装置は、一つの洗浄槽10、前記洗浄槽10内で上昇/下降及び左右摺動が可能な治具20、エアノズル30とウォーターノズル40を含むノズル、及び前記ノズルと治具20の作動を制御する制御部50を含む。
【0030】
前記洗浄槽10は、一定のサイズの容量を有し、外部に配置された洗浄液タンク60と連結されて選択的に洗浄液が内部に流入できるようになされ、開口された上部はカバー21が覆われて内部が閉鎖され得る。前記洗浄槽10は、洗浄液タンク60のみならず、圧縮空気が内蔵されたエアタンク31及び水が内蔵されたウォータータンク41とも連結され、制御部50により開閉が調節されるバルブ32、33により流入と排出が制御される。
【0031】
前記治具20は、洗浄槽10内で上下に昇降可能であり左右に摺動可能であるようになされ、好ましくは、カバー21に結合されて移動可能になされる。例えば、前記カバー21には、治具が摺動可能な専用レールや摺動溝などが設けられてよく、前記治具20は、油圧又はモーターの力で作動する移動駆動部22により摺動してよい。または、前記専用レールや摺動溝で動きが固定された状態で、メタルフィルター1が搭載された部分のみ上昇/下降が可能であるようになされてよい。
【0032】
前記治具20は、複数個のメタルフィルター1が同時に装着できるようになされ、ただし、前記治具20の下部からノズル30、40が進入して圧縮空気及び水が噴射できるようになされる。そして、前記治具20の内部には、メタルフィルター1の上端が挟まれるか固定されるグリッパー23が配置され、前記グリッパー23は、メタルフィルター1の上端を固定した状態で選択的に回転可能になされてもよい。
【0033】
前記ノズル30、40は、洗浄槽10の内部に装着され、ただし、噴出口は上方を向くように装着され(または、一部分は洗浄槽の外部に位置するとしても、少なくとも噴出口は洗浄槽内で上方を向くように装着され)、外部から供給される圧縮空気又は水を洗浄槽10の内部へ下方から上方に向けて噴射するようになされる。
【0034】
前記ノズルは、圧縮空気が噴射されるエアノズル30、及び前記エアノズル30と離隔されて設けられ、水が噴射されるウォーターノズル40を含む。前記エアノズル30は圧縮空気が貯蔵されたエアタンク31と連結され、前記ウォーターノズル40は水が貯蔵されたウォータータンク41と連結され、ただし、圧縮空気が供給される経路上に設けられたバルブ32と、水が供給される経路上に設けられたバルブ33とは、制御部50により開閉が調節される。
【0035】
図1図2で、前記エアノズル30とウォーターノズル40が分離して設けられたものとして示されたが、水と圧縮空気を選択的に分配する分配管(図示省略)が追加されるならば、前記ウォーターノズル40とエアノズル30は統合されてもよいはずである。すなわち、前記分配管の入口側は、ウォータータンク41及びエアタンク31で連結され、分配管の出口側がエアノズル30及びウォーターノズル40で連結された状態で前記分配管の入口側を制御すれば、出口側ノズルから圧縮空気や水が選択的に噴射されるようになすことができるものである。
【0036】
このように、ノズルから圧縮空気や水が選択的に噴射されれば(治具の移動を短縮させることができるので)、洗浄槽10のサイズを縮小して洗浄時間を短縮することもできるはずであるが、エアノズル30とウォーターノズル40が独立して設けられた構成よりは許容可能な水と圧縮空気の噴射圧力が低下し得るので、エアノズル30とウォーターノズル40を図2に示されたとおりに分離するか、又は統合するかの可否は、要求される設計仕様により選択され得るであろう。
【0037】
併せて、前記メタルフィルター1の内周面に付着している異物がよく落ちるように、前記エアノズル30とウォーターノズル40のそれぞれは、圧縮空気と水を噴射するとき、下方から上方に噴射するようになされる。すなわち、図3に示されたとおり、ノズル30、40の上端に位置して水または圧縮空気が吐出される噴射口は、噴射が始まる高さより、メタルフィルター1の内周面に噴射された圧縮空気又は噴射された水が接触する地点の高さがさらに高いところに位置するようになされる。これにより、洗浄槽10に水が溜まった状態でエアノズル30が圧縮空気を噴射するとき、水中でバブルが形成され、この際、前記バブルはエアノズル30で形成される地点よりメタルフィルター1の内部面に接触することになる地点がさらに高いところに位置するように噴射される(図3の矢印参照)。
【0038】
一方、前述のとおり、前記洗浄槽10は、上側が開口された形状を有し、上側を覆うカバー21により開閉がなされる。前記カバー21は、洗浄槽10の上側全てを覆うことができる十分なサイズを有し、洗浄槽10と接触する部分には漏水が防止されるようにシーリングが設けられることが好ましい。よって、前記カバー21が閉じた状態で洗浄がなされるとき、洗浄槽10内部に圧縮空気又は水が供給されれば、内部圧力が上昇するようになる。
【0039】
このとき、内部圧力を下げることができるように、前記洗浄槽10には内部圧力が一定の水準以上に上昇すると、空気又は液体を排出させるリリースバルブ11が装着されてよい。前記リリースバルブ11は、制御部50で開閉が調節されてもよく、制御部50とは別に内部圧力に反応して自動的に開閉がなされるような構成を有してよい。
【0040】
本発明の制御部50は、洗浄液タンク60と洗浄槽10を連結するパイプに設けられたバルブ、エアノズルと連結されるパイプに設けられたバルブ32、ウォーターノズルと連結されるパイプに設けられたバルブ33などのように、洗浄装置に設けられた制御可能な全てのバルブの開閉を制御し、治具20の動きを制御することにより、前記洗浄装置の作動を制御する。すなわち、前記制御部50は、洗浄液を洗浄液タンク60から洗浄槽10に供給及び遮断することを調節し、前記ノズル30、40に圧縮空気又は水を供給及び遮断することを調節し、前記治具20の動きを制御し、洗浄槽10の注水又は排水の可否を制御する。前記制御部50は、公知の制御機器や制御方法のうち選択的に採用可能であるが、予め定められたロジックにより各構成要素の動作を制御するようにプログラミングされたPLC制御機(Programmable Logic Controller)が選択されることが好ましく、前記で言及されたバルブ32、33は、電気的信号により開閉が制御可能なソレノイドバルブからなるのが好ましい。
【0041】
前記のような構成を有する本発明の洗浄装置は、メタルフィルター1の開口部が下に向かうように治具20に装着された状態で、前記制御部50は、開口部を介してノズル30、40がメタルフィルター1の内部に進入するように治具20の動きを制御し、水と洗浄液及び圧縮空気を選択的に供給と遮断し、洗浄槽10の排水を予め定められたロジックにより制御し、前記洗浄槽10内でメタルフィルター1の洗浄と乾燥が順次になされる。
【0042】
実施例2
本発明は、メタルフィルターの洗浄方法を実施例2として提供する。本発明の洗浄方法は、図4に示された順序によりなされる。
【0043】
フィルター装着段階では、メタルフィルター1を洗浄槽10で上下に昇降可能であり左右に摺動可能な治具20に装着する。このとき、前記メタルフィルター1の開口部が下方を向くように装着され、前記治具20は、下方からノズル30、40が進入できるように、開口部が位置する部分にホール(hole)が打孔された形状を有する。
【0044】
前記メタルフィルター1が装着された状態で、図3に示されたとおり、開口部の内部へ洗浄槽10に設けられたノズル30、40が進入するように治具20を下降させる。このとき、前記メタルフィルター1が下降して内部に進入される一番目のノズルはエアノズル30である。
【0045】
前記メタルフィルター1内にエアノズル30が進入された状態で、前記洗浄槽10にメタルフィルター1が浸漬するように予め定められた量だけの水と洗浄液が投入される。水はウォーターノズル40を介して(または別途の給水管を介して)供給され、洗浄液は洗浄液タンク60から供給される。このとき、二次電池の前駆体の製造に用いられていたメタルフィルター1の内部に固着された異物は、ほとんど金属酸化物である。よって、前記金属酸化物の溶解がさらに容易に行われるように、洗浄液と水は1から2の範囲のpH濃度を有する。すなわち、pH濃度が2を超過する場合には洗浄の効率が低下することがあり、1未満の場合にはメタルフィルター1の化学的変化がなされ得るため、1から2の範囲のpH濃度を有するように適正量が供給される。
【0046】
そして、水と洗浄液により前記メタルフィルター1が浸漬すると、前記エアノズル30ではメタルフィルター1の内部壁面に向けて圧縮空気を噴射する。前記圧縮空気は、液体内でバブルを形成し、前記バブルはメタルフィルター1の内部壁面に衝突するようになる。前記バブルは吸着されていた異物をメタルフィルター1の内部壁面で分離させて洗浄の効果を増大させる。
【0047】
併せて、前記で説明したとおり、エアノズル30から圧縮空気が吐出される噴射口は、噴射が始まる高さより、メタルフィルター1の内周面に噴射されるバブルが接触する地点の高さがさらに高いところに位置するようになされる(図3で拡大された部分参照)。このような構造を有することにより、バブルによって分離された異物は重力により落下してメタルフィルター1の開口部の下に排出されるが、前記バブルはメタルフィルター1の特定部分のみ衝突するしかない。このような問題を解消できるように、本発明では、前記メタルフィルター1の内部面に圧縮空気が噴射されるとき、前記治具20は上昇/下降を繰り返すことができる。そして、前記治具20が上昇/下降するとき、又は上昇/下降した後で停止したとき、前記治具20内でメタルフィルター1の上端を把持しているグリッパー23が回転して前記メタルフィルター1は軸回転することもできる。このような治具20の上昇/下降により、前記メタルフィルター1の内部壁面は高いところと低いところ全てバブルの衝突を受けることができ、グリッパー23の回転により、エアノズル30の噴射口の位置に係わりなく全周囲に沿ってバブルが衝突され得る。併せて、メタルフィルター1が回転されるうちに、遠心力によりメタルフィルター1の外周面に固着された異物が落ちる効果も期待することができる。このように治具20が上昇/下降してグリッパー23が回転する動作は、メタルフィルター1にエアノズル30が進入した場合のみならず、ウォーターノズル40が進入して(メタルフィルターの内部壁面に)水が噴射される場合にも同様に適用され得る。
【0048】
バブルの噴射が完了すれば、洗浄槽10に注水された水と洗浄液の排水がなされる。洗浄槽10の排水がなされる間、又は洗浄槽の排水がなされた後に治具20は上昇し、エアノズル30を離脱してウォーターノズル40に移動した後、前記ウォーターノズル40がメタルフィルター1の内部に進入するよう、図3に示されたとおりに下降する。
【0049】
洗浄液と水の排水が完了してウォーターノズル40がメタルフィルター1の内部に進入された状態で、前記ウォーターノズル40は、水を噴射してメタルフィルター1の表面に残留する洗浄液及び異物のカスなどを洗い落とす(すすぐ)。このとき、メタルフィルター1の内部壁面が全体的に洗浄されるように、前記治具20の上昇/下降及びグリッパー23の回転が選択的になされてよい。前記メタルフィルター1の外周面は洗浄槽10に満ちる水により洗浄可能であり、前記洗浄槽10が満ちる間、エアノズル30では選択的に圧縮空気を噴射して洗浄槽10に注水された水で渦流を発生させることができる。このような渦流は、注水された水の流れを発生させてメタルフィルター1のすすぎの効率をさらに増大させることができる。
【0050】
一方、前記メタルフィルター1は、開口部を介して液体が流入されると通孔で異物が濾過される構造を有するので、内部壁面には異物が固着される一方、外周面には異物の固着がよくなされない。このような場合(外周面がきれいな場合)には、メタルフィルター1の外周面まで洗浄する必要がないので、ウォーターノズル40から水が噴射されるとき、洗浄槽10を排水させて前記洗浄槽10内に水が満ちないようにする構成を有することもできる。このような場合には、洗浄槽10の排水段階が省略されるので、洗浄時間を短縮させることができる。
【0051】
水洗浄が完了すれば、前記治具20は再び上昇した後に移動し、エアノズル30がメタルフィルター1の内部に進入するように下降する。下降が完了した状態で、前記エアノズル30では圧縮空気を噴射してメタルフィルター1を乾燥させる。前記メタルフィルター1が乾燥されるとき供給される圧縮空気は、100から150℃に加熱された状態で噴射されてよい。
【0052】
前記圧縮空気は、エアタンク31内で、またはエアタンク31に連結されるパイプを通る経路中に加熱されてよく、湿気はできる限り除去された乾燥した状態で噴射がなされる。乾燥がなされるときも、選択的に前記治具20は昇降が可能であり、グリッパー23は回転がなされてよい。
【0053】
乾燥が完了すれば、前記治具20は(メタルフィルターが装着されるときの)元の位置に復帰してメタルフィルター1は脱去される。
【0054】
参考として、前記治具20はカバー21で摺動及び昇降可能に装着され、グリッパー23は治具20で回転可能に装着され、ただし、前記治具20はカバー21で摺動のみ可能になされ、カバー21の上昇/下降により上昇/下降が行われるようになされてよい。そして、前記グリッパー23は、メタルフィルター1の上端に装着されるものとして示されたが、下端に装着されるようになされてもよいものである。
【0055】
一方、本発明の実施形態で洗浄される前記メタルフィルター1は、パイプ状を有して格子状の多数個の通孔が形成されたメッシュ構造を有する外筒(β)と、前記外筒(β)の内周面に嵌合されてパイプ状を有し、ただし、外筒(β)の通孔よりさらに小さなサイズの通孔を有して糸束状を有する内筒(α)と、を含むメタルファイバーフィルターである。前記メタルファイバーフィルターは、外筒は内筒を支持する機能を行い、内筒の通孔のサイズにより濾過される異物の粒子のサイズが決定される。例えば、内筒の通孔のサイズが小さければ小さいほどより小さな粒子まで濾過することができるが、これに比例して洗浄されなければならない異物の量は増加するであろう。
【0056】
[試験例1]
超音波洗浄と本発明の実施例2による洗浄の方法の洗浄状態の比較
超音波洗浄(比較例1)
水酸化ナトリウム基盤の洗浄液が一定量添加された水を超音波洗浄機に入れ、異物が内部に固着されたメタルフィルターを注水させた後、前記フィルターを3時間の間洗浄した(超音波振動数は40kHz)。そして、超音波洗浄機からメタルフィルターを抜き取った後、水を噴射してすすぐ作業を1時間の間行った後に乾燥した。
【0057】
本発明の実施例2による洗浄
塩化水素(HCl)成分の洗浄液と水を適正な濃度(HCl 0.05~0.1mol/L)で混合した混合液にメタルフィルターが浸漬した状態でバブルの噴射が進められた。このとき、洗浄前のメタルフィルターは、超音波洗浄に用いられたメタルフィルターとほぼ類似した程度に異物が内部に固着された状態である。前記混合液は温度が50℃であり、pHは1.0~2.0である。洗浄槽で洗浄液が排出された後、前記で説明された方法のように水ですすいで乾燥がなされ、この際、乾燥時に加えられる圧縮空気の温度は100~150℃である。
【0058】
図5は、比較例1の超音波方式で洗浄されたメタルフィルターの表面状態(a)と、本発明の実施例2による方法により酸性を有する洗浄液で洗浄されたメタルフィルターの表面状態(b)とが撮影された写真である。図示されたとおり、従来の超音波方式は、内筒(α)の通孔に固着された異物が残っている一方、バブルの噴射とともに1から2の範囲のpH濃度で酸洗が進められた後、水洗が追加で進められた本発明の洗浄方法では、化学的、物理的に固着された異物を溶かしながら洗浄がなされるので、さらに効率的に洗浄がなされたことを視覚的に確認することができる。
【0059】
[試験例2]
洗浄液による洗浄状態の比較
水のみ用いた洗浄(比較例2)
本発明の実施例2による洗浄方法でメタルフィルターの洗浄及び乾燥がなされ、ただし、洗浄液の投入が省略された状態で洗浄がなされた。メタルフィルターが水に浸漬した状態でバブルの噴射は同様に進められた。この際、水温は50℃であり、pHは6.5~7.5の範囲である。別途のすすぎ過程は省略される代わりに、すすぎの時間ほど洗浄時間を増加させて進めており、乾燥時に加えられる圧縮空気の温度は100~150℃である。
【0060】
塩基性洗浄液が投入された洗浄(比較例3)
本発明の実施例2による洗浄方法でメタルフィルターの洗浄、すすぎ、乾燥がなされ、ただし、酸成分の洗浄液の代わりに、塩基性成分の水酸化ナトリウム(NaOH)が洗浄液として投入されて洗浄がなされた。メタルフィルターが水に浸漬した状態でバブルの噴射は同様に進められた。このとき、水温は50℃であり、pHは10から11の範囲である。洗浄槽で洗浄液が排出された後、前記で説明された方法のように水ですすいで乾燥がなされた。乾燥時に加えられる圧縮空気の温度は100~150℃である。
【0061】
本発明の実施例2による洗浄
塩化水素(HCl)成分の洗浄液と水を適正な濃度(HCl 0.05~0.1mol/L)で混合した混合液にメタルフィルターが浸漬した状態でバブルの噴射が進められた。このとき、洗浄前のメタルフィルターは、超音波洗浄に用いられたメタルフィルターとほぼ類似した程度に異物が内部に固着された状態である。前記混合液は温度が50℃であり、pHは1.0~2.0である。洗浄槽で洗浄液が排出された後、前記で説明された方法のように水ですすいで乾燥がなされ、この際、乾燥時に加えられる圧縮空気の温度は100~150℃である。
【0062】
図6は、比較例2の洗浄液が用いられずに水のみで洗浄されたメタルフィルターの表面状態(c)と、比較例3の水酸化ナトリウム(NaOH)洗浄液が用いられて洗浄されたメタルフィルターの表面状態(d)、及び本発明の実施例2による方法により酸性を有する洗浄液で洗浄されたメタルフィルターの表面状態(b)が撮影された写真である。図6では、洗浄液の有無と特性に応じて洗浄の状態を確認することができる。図示されたとおり、塩基性洗浄液を用いる場合(d)も、水のみ用いられる場合(c)よりは洗浄の効果が良好であることを確認することができる。しかし、酸性洗浄液を用いる場合(b)が塩基性洗浄液を用いる場合(d)より内筒の元の状態を維持し(元の表面光沢の維持)、内筒の内部まで洗浄の効果に優れることを確認することができる。
【0063】
[試験例3]
内筒の通孔のサイズに応じた洗浄効率の比較
図7は、内筒の通孔のサイズが3マイクロメートル(μm)と5マイクロメートルであるとき、洗浄前と、本発明による洗浄方法で洗浄した後との回復率(%:100-(重量増加分/本来のメタルフィルターの重量))が示されたグラフ、及び、洗浄前と、本発明による洗浄方法で洗浄した後との重量の増加が示されたグラフが示された図である。
【0064】
すなわち、回復率が100%に近いという表示は、洗浄後に元の状態と近いという意味であり、洗浄後の重量の増加がほとんどないという表示は、メタルフィルターに固着して残っている異物がほとんど洗浄されて除去されたという意味である。
【0065】
したがって、回復率が100%にさらに近く、重量の増加がさらに小さく表れた図7から、内筒の通孔のサイズが3マイクロメートルの場合より、5マイクロメートルを有するメタルフィルターの洗浄効率がさらに良好であることを確認することができる。すなわち、内筒の通孔が微細な場合より、通孔の直径が大きくなれば洗浄の効率が増加し得ることを確認することができる。
【0066】
[試験例4]
洗浄液の成分による洗浄効率の比較
併せて、下記表1は、洗浄液として塩化水素(HCl)を用いる場合と硫酸を用いる場合とを比べた表である。
【0067】
【表1】
【0068】
前記表1に示されたとおり、同一の酸濃度(0.06M)であるとき、硫酸より塩化水素の溶解度が若干高いという結果が出た。すなわち、同一の量が投入されるとき、異物を溶解させる効果は塩化水素がさらに高いが、投入量を増大させれば、これに比例して溶解度が増加するので、価格対比の効果を考慮すると、相対的にさらに安価な硫酸を洗浄液として用いるのが好ましいであろう。
【0069】
前記のような構成を有する本発明は、水と洗浄液及び圧縮空気が予め定められたロジックにより自動的供給及び排出がなされ、1つの洗浄槽10内でメタルフィルター1の洗浄と乾燥が順次になされるので、従来の設備に比べ設置空間を縮小することができ、消耗される水の量を減らすことができるという効果を有する。
【0070】
本発明で、エアノズル30は、洗浄槽に水が溜まった状態で圧縮空気を噴射するとき、水中でバブルを形成するので、前記バブルにより洗浄効果を増大させることができる。
【0071】
そして、前記メタルフィルター1は、洗浄がなされるか乾燥がなされるとき、選択的に昇降するか回転して遠心力及び/又は慣性により水気及び異物を払い落とすことができるので、洗浄及び乾燥の効率がさらに増大し得る。
【0072】
併せて、前記洗浄槽10は、カバー21により閉鎖された状態で洗浄がなされるので、外部に水が飛ぶ現象を防止することができ、圧縮空気の注入により上昇する内部圧力はリリースバルブ11により解消され得る。
【0073】
以上で、本発明はたとえ限定された実施形態と図により説明されたが、本発明はこれにより限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者により、本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な実施が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7