(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】製函機に用いられる包装箱の底部支持具、底部支持具を備えた製函機、及び、底部支持具を用いた包装箱の製函方法
(51)【国際特許分類】
B31B 50/36 20170101AFI20220920BHJP
【FI】
B31B50/36
(21)【出願番号】P 2017220371
(22)【出願日】2017-11-15
【審査請求日】2020-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J-オイルミルズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】袴田 亮平
(72)【発明者】
【氏名】中路 哲也
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】喜谷 匡史
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-128720(JP,U)
【文献】特開昭56-017242(JP,A)
【文献】実開昭51-049320(JP,U)
【文献】米国特許第5454776(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製函機において包装箱を搬送しながら
左右一対の外フラップ折込器具によって前記包装箱の左右一対の底側外フラップを折り込んで底組みする際に用いられる底部支持具であって、
包装箱の搬送方向に沿って延びていて搬送される包装箱を下方から支持する支持板を備え、
前記支持板は、
該支持板の前端縁
において該支持板の上端縁から所定距離をあけた位置から
該支持板の下端縁
に至るまで切り欠くことで形成される切欠部と、前記切欠部の後方に
位置する板状の部分と、を有
しており、
前記支持板は、左右非対称でありかつ一端部より他端部の幅が大きい左右一対の底側外フラップを備えた包装箱が前記支持板上を搬送された際に、前記切欠部に、前記左右一対の外フラップ折込器具によって折り込まれた前記左右一対の底側外フラップの一方の底側外フラップの幅広の端部が入り込むことが可能であり、かつ、前記切欠部の後方の板状の部分に、前記左右一対の外フラップ折込器具によって折り込まれた前記左右一対の底側外フラップの他方の底側外フラップの幅広の端部が突き当たることが可能であるように構成されている、底部支持具。
【請求項2】
前記支持板よりも前方に位置する受け具をさらに備える、請求項1に記載の底部支持具。
【請求項3】
前記支持板を支える基台をさらに備え、
前記受け具は前記基台に対して着脱可能である、請求項2に記載の底部支持具。
【請求項4】
包装箱を組み立てるための製函機であって、
包装箱を搬送する搬送手段と、
搬送される包装箱の左右一対の底側外フラップを折り込む左右一対の外フラップ折込器具と、
請求項1~3のいずれかに記載の底部支持具と、を少なくとも備える、製函機。
【請求項5】
左右非対称でありかつ一端部より他端部の幅が大きい左右一対の底側外フラップを備える包装箱を組み立てるための製函方法であって、
包装箱を底部支持具により支持しながら搬送するとともに、
左右一対の外フラップ折込器具によって前記左右一対の底側外フラップを折り込んで底組みする外フラップ折込工程を有し、
前記底部支持具は、包装箱の搬送方向に沿って延びていて搬送される包装箱を下方から支持する支持板を備え、
前記外フラップ折込工程では、
前記左右一対の外フラップ折込器具によって折り込まれた前記左右一対の底側外フラップの一方の底側外フラップにおける幅広の端部が前記支持板の前端縁
において該支持板の上端縁から所定距離をあけた位置から
該支持板の下端縁
に至るまで切り欠くことで形成される切欠部に入り込むことで折り込み可能になるのに対して、
前記左右一対の外フラップ折込器具によって折り込まれた前記左右一対の底側外フラップの他方の底側外フラップにおける幅広の端部が前記支持板の前記切欠部の後方に
位置する板状の部分に突き当たるとともに、包装箱が搬送されるにしたがい
前記他方の底側外フラップにおける幅広の端部が前記支持板の前記切欠部に入り込むことで折り込み可能になる、製函方法。
【請求項6】
前記支持板を通過した包装箱を、前記底部支持具の前記支持板の前方に位置する受け具で支持する、請求項5に記載の製函方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板状に折り畳まれた包装箱を自動的に箱状に組み立てる製函機に用いられる包装箱の底部支持具、該底部支持具を備えた製函機、及び、該底部支持具を用いて包装箱を組み立てる製函方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の内容品を収納して保管・搬送するための包装箱として、段ボール箱が広く用いられている。その中でも、0201形式は、最も汎用されており、段ボール箱を代表する形式である(例えば特許文献1を参照)。この0201形式の段ボール箱は、
図18に示すように、2本の横罫線114と4本の縦罫線115とによって区分される4つの面101~104、8つのフラップ105~112及び1つの継ぎしろ113を有するブランクシートにより形成される。4つの面101~104は、同じ大きさ及び形状の左右一対の側面部101,102と、同じ大きさ及び形状の前後一対の端面部103,104とで構成され、8つのフラップ105~112は、同じ大きさ及び形状の左右一対の蓋側外フラップ105,106及び左右一対の底側外フラップ107,108と、同じ大きさ及び形状の前後一対の蓋側内フラップ109,110及び前後一対の底側内フラップ111,112とで構成される。
【0003】
0201形式の段ボール箱を組み立てるには、まず、継ぎしろ113を端面部104の例えば内周面に接合して側面部101、端面部103、側面部102、端面部104がこの順で周壁をなす角筒状に形成する。そして、2つの蓋側内フラップ109,110及び2つの底側内フラップ111,112を内側に90度折り曲げた後、2つの蓋側外フラップ105,106及び2つの底側外フラップ107,108を内側に90度折り曲げて、2つの蓋側外フラップ105,106の先端縁同士及び2つの底側外フラップ107,108の先端縁同士を段ボール箱100の幅方向の略中央位置で突き合わせる。これにより、底組み及び封緘がなされて、
図19に示す段ボール箱100が組み立てられる。
【0004】
段ボール箱は、内容品を詰める前は、平板状に折り畳まれた状態で保管されるのが通常であり、内容品を詰める使用時に、段ボール箱を開いて組み立てられる。この使用時に段ボール箱を自動的に組み立てる装置として製函機(ケーサー)が従来から知られている。
【0005】
製函機は、主に水平組立式と垂直組立式とがあり、垂直組立式の製函機では、
図20に示すように、複数の平板状の段ボール箱100を垂直に立てた状態でストックし、先頭から1枚ずつ平板状の段ボール箱100を取り出して上述した角筒状に開く。そして、2つの底側内フラップ111,112を折り込んだ後、2つの底側外フラップ107,108を次第に折り込んで底組みすることで、段ボール箱100を組み立てていく方式のものである。
【0006】
製函機において、段ボール箱100の2つの底側外フラップ107,108を折り込む工程では、例えば
図21に示すような左右一対の外フラップ折込器具120,121が用いられる。2つの外フラップ折込器具120,121は、前後方向に延びる棒状部材で形成されており、側面視で後方側が前方側よりも低く傾斜しているとともに平面視で後方側が前方側よりも左右にハの字状に開くようにして配置されている。上述した角筒状の段ボール箱100が両外フラップ折込器具120,121上を後方側から前方側に搬送され、垂下した2つの底側外フラップ107,108が搬送されるにしたがってそれぞれ対応する外フラップ折込器具120,121に当たり、その上を摺動する。これにより、2つの底側外フラップ107,108が各外フラップ折込器具120,121により次第に折り込まれて、最終的に内側に90度折り曲げられる。
【0007】
2つの外フラップ折込器具120,121の間には、底部支持具122が設けられている。底部支持具122は、段ボール箱100が両外フラップ折込器具120,121上を搬送される際に、段ボール箱100を下方から支持するものである。底部支持具122は、段ボール箱100の搬送方向に延びて搬送される段ボール箱100の底部を支える支持板123を有している。支持板123は、搬送される段ボール箱100の幅方向中央に位置しており、段ボール箱100の2つの底側外フラップ107,108が折り込まれても、2つの底側外フラップ107,108は支持板123と干渉することなく折り込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した構成の製函機では、2つの底側外フラップが矩形状で左右対称であり、先端縁同士が幅方向の略中央位置で突き合わされる段ボール箱については、問題なく2つの底側外フラップを折り込んで底組みすることができる。しかし、2つの底側外フラップが矩形状でなく左右非対称であり、先端縁同士が幅方向の略中央位置で突き合わされない段ボール箱については、2つの底側外フラップをそれぞれ外フラップ折込器具によって折り込む際に、底部支持具が2つの底側外フラップの先端縁と干渉する。そのため、良好に2つの底側外フラップを折り込むことができず、底組みすることができないという課題がある。
【0010】
本発明は、上記した課題に着目してなされたものであり、左右非対称の底側外フラップを有する段ボール箱等の包装箱についても、製函機で良好に底組みすることができる底部支持具を提供することを目的とする。また、本発明は、上記底部支持具を備えた製函機、及び、上記底部支持具を用いた包装箱の製函方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決することができる本発明の底部支持具は、製函機において包装箱を搬送しながら左右一対の底側外フラップを折り込んで底組みする際に、搬送される包装箱を支持する器具であって、包装箱の搬送方向に沿って延びる支持板を備え、前記支持板は、前端縁から下端縁にわたって切り欠かれた切欠部を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の底部支持具の好ましい実施態様は、前記支持板よりも前方に位置する受け具をさらに備える。
【0013】
本発明の底部支持具の好ましい実施態様は、前記支持板を支える基台をさらに備え、前記受け具は前記基台に対して着脱可能である。
【0014】
上記課題を解決することができる本発明の製函機は、包装箱を組み立てるための装置であって、包装箱を搬送する搬送手段と、搬送される包装箱の左右一対の底側外フラップを折り込む左右一対の外フラップ折込器具と、上記構成の底部支持具と、を少なくとも備えることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決することができる本発明の製函方法は、左右非対称でありかつ一端部より他端部の幅が大きい左右一対の底側外フラップを備える包装箱を組み立てるための方法であって、包装箱を底部支持具により支持しながら搬送するとともに、2つの底側外フラップを折り込んで底組みする外フラップ折込工程を有し、前記底部支持具は、前端縁から下端縁にわたって切り欠かれた切欠部を有する支持板を備え、前記外フラップ折込工程では、一方の底側外フラップにおける幅広の端部が前記支持板の前記切欠部に入り込むことで折り込み可能になるとともに、包装箱が搬送されるにしたがい他方の底側外フラップにおける幅広の端部が前記支持板の前記切欠部に入り込むことで折り込み可能になることを特徴とする。
【0016】
本発明の製函方法の好ましい実施態様は、前記支持板を通過した包装箱を、前記底部支持具の前記支持板の前方に位置する受け具で支持する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、包装箱の2つの底側外フラップが、左右対称の矩形状ではなく、長さ方向の一方の端部が他方の端部よりも幅の大きな左右非対称の異形状であっても、2つの底側外フラップを、支持板と干渉することなく、それぞれ折り込むことができる。具体的には、支持板が切欠部を有しているため、包装箱が搬送されるにしたがい、2つの底側外フラップのそれぞれの幅広の端部が順次、切欠部に入り込む。これにより、2つの底側外フラップが支持板と干渉することなく折り込まれ、先端縁同士が突き合わされる。よって、良好に包装箱を底組みすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図10】取出工程における製函機の概略構成を示す平面図である。
【
図11】内フラップ折込工程における内フラップ折込手段の動作を説明するための概略断面図である。
【
図12】搬送工程における製函機の概略構成を示す平面図である。
【
図13】外フラップ折込工程における底側外フラップの折込動作を説明するための斜視図である。
【
図14】
図13に続いて、外フラップ折込工程における底側外フラップの折込動作を説明するための斜視図である。
【
図15】
図14に続いて、外フラップ折込工程における底側外フラップの折込動作を説明するための斜視図である。
【
図16】
図15に続いて、外フラップ折込工程における底側外フラップの折込動作を説明するための斜視図である。
【
図17】圧着工程における圧着手段の動作を説明するための概略断面図である。
【
図18】0201形式の段ボール箱の展開図である。
【
図19】0201形式の段ボール箱の斜視図である。
【
図20】垂直組立式の段ボール箱の組み立て方法である。
【
図21】0201形式の段ボール箱の2つの底側外フラップを折り込むのに用いられる器具である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態の包装箱の底部支持具、ならびに、包装箱の製函機及び製函方法について、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、包装箱として段ボール箱を例にして説明するが、包装箱は必ずしも段ボール箱に限定されるものではない。
【0020】
図1~
図3は、本実施形態の底部支持具1を示す。この底部支持具1は、詳細は後述するが、段ボール箱等の包装箱を自動的に組み立てる製函機に用いられるものである。具体的には、
図13~
図16に示すように、製函機において段ボール箱5の底組みを行う工程(後述する外フラップ折込工程)で、段ボール箱5を搬送しながら左右一対の底側外フラップ58,59を左右一対の外フラップ折込器具12A,12Bにより次第に折り込む際に、段ボール箱5を下方から支持するものである。
【0021】
底部支持具1は、支持板2と、支持板2を支える基台3と、支持板2よりも前方に位置する受け具4とを備えている。段ボール箱5は、底部支持具1上を、
図1のX方向に向けて搬送される。そのため、底部支持具1においては、
図1のX方向を「前」、Y方向を「後」とし、また、V方向を「左」、W方向を「右」、S方向を「上」、T方向を「下」としている。なお、
図9、
図10及び
図12においても同様である。
【0022】
支持板2は、段ボール箱5の搬送方向(前後方向)に沿って延びかつ所定の厚みを有する板状体であり、板面(主面)が左右を向く縦向きの状態で基台3に一体に設けられている。段ボール箱5は、支持板2上を通過する際に左右一対の底側外フラップ58,59が次第に折り込まれて底組みされる。支持板2は、その上を通過する段ボール箱5の底部を摺動可能に支えて、段ボール箱5が真っ直ぐ搬送されるようガイドする。
【0023】
支持板2は、前端縁から下端縁にわたって切り欠かれた切欠部20を有している。切欠部20は、例えば側面視で半U字状の溝よりなり、支持板2の上端縁から所定距離をあけて、前端縁を所定の溝幅かつ所定の溝深さで溝底がカーブを描くように下端縁に至るまで切り欠くことで形成される。なお、切欠部20の側面視の形状は、必ずしも半U字状である必要はなく、支持板2の前端縁から斜めに直線状に下端縁に至るまで切り欠いた三角形状、支持板2の前端縁からL字状に下端縁に至るまで切り欠いた矩形状等、種々の形状とすることができる。
【0024】
基台3は、段ボール箱5の搬送方向(前後方向)に沿って延びかつ支持板2よりも大きい厚みを有する板状体であり、板面(主面)が左右を向く縦向きの状態で製函機内に固定される。基台3には、1又は複数の貫通孔30が形成されている。この貫通孔30は、製函機内の取付部にボルト、ナット等の固定手段を用いて基台3を固定するためのものである。貫通孔30は、本実施形態では、上下方向に長い長孔に形成されている。
【0025】
基台3は、前端側に、受け具4を取り付けるための取付部31を一体に備えている。取付部31は、基台3の板面から左右に突き出る左右一対の連結板32と、各連結板32の先端縁に設けられた左右一対の筒状体33とを有する。
【0026】
受け具4は、支持板2の前方において、搬送される段ボール箱5を下方から支持する。支持板2を通過して底組みされた段ボール箱5は、製函機内の次工程への搬送路16(
図9等に示す)に受け渡されるが、この搬送路16に支持板2から段ボール箱5が乗り移るのを補助するように、支持板2の前端から所定間隔をあけて配置されている。
【0027】
受け具4は、上に凸の曲線状に湾曲した棒状体40を有する。棒状体40の先端は、支持板2の上端縁とほぼ同じ高さHに位置している。棒状体40は、支持板2の前方に位置し、支持板2を通過後の段ボール箱5の底面を摺動可能に支えて、搬送される段ボール箱5の姿勢を前方に傾くことなく直立に保持する。これにより、棒状体40の前方に位置する上記搬送路16に段ボール箱5を良好に乗り移すことができる。
【0028】
受け具4は、本実施形態では、基台3に対して着脱可能であり、棒状体40を基台3に取り付けるための連結部41を有している。連結部41は、棒状体40が外周面から上方に突き出る水平な棒状の基部42と、基部42の外周面から下方に突き出る左右一対の棒状の脚部43とからなる。受け具4は、連結部41の各脚部43を基台3の取付部31の各筒状体33に挿入することで、棒状体40を必要に応じて基台3に取り付けることができ、連結部41の各脚部43を基台3の取付部31の各筒状体33から引き抜くことで、基台3から棒状体40を取り外すことができる。
【0029】
次に、上述した底部支持具1を用いて、製函機により好適に組み立てることができる段ボール箱5について説明する。
図4は、段ボール箱5の展開図(ブランクシート)であり、
図5及び
図6は、段ボール箱5の斜視図及び底面図であり、
図7は開蓋状態の段ボール箱5の平面図である。
【0030】
本実施形態で示す段ボール箱5は、
図4に示すように、2つの同じ大きさ及び形状の側面部50,51と、2つの同じ大きさ及び形状の端面部52,53と、2つの同じ大きさ及び形状の蓋側外フラップ54,55と、2つの同じ大きさ及び形状の蓋側内フラップ56,57と、2つの同じ大きさ及び形状の底側外フラップ58,59と、2つの同じ大きさ及び形状の底側内フラップ60,61と、1つの継ぎしろ62とを備えている。2つの側面部50,51及び2つの端面部52,53は交互に連続して設けられ、2つの側面部50,51の一方側の側縁に蓋側外フラップ54,55が、他方側の側縁に底側外フラップ58,59が、それぞれ設けられ、2つの端面部52,53の一方側の側縁に蓋側内フラップ56,57が、他方側の側縁に底側内フラップ60,61が、それぞれ設けられている。2つの蓋側外フラップ54,55の先端縁及び2つの蓋側内フラップ56,57の先端縁は、同一直線状に位置しており、2つの底側外フラップ58,59の先端縁及び2つの底側内フラップ60,61の先端縁は、同一直線状に位置している。
【0031】
本実施形態で示す段ボール箱5は、従来の0201形式の段ボール箱100(
図18及び
図19に示す)と比較して、底側外フラップ58,59及び底側内フラップ60,61の形状、大きさが異なる点以外は、0201形式の段ボール箱100と共通する。つまり、本実施形態で示す段ボール箱5は、継ぎしろ62を端面部53の例えば内周面に接合して側面部50、端面部52、側面部51、端面部53がこの順で周壁をなす角筒状とした後、各蓋側内フラップ56,57及び各底側内フラップ60,61を内側に90度折り曲げ、そして、各蓋側外フラップ54,55及び各底側外フラップ58,59を内側に90度折り曲げて、2つの蓋側外フラップ54,55の先端縁同士及び2つの底側外フラップ58,59の先端縁同士を突き合わせることで、箱の蓋側及び底側が封緘され、段ボール箱5が組み立てられる。
【0032】
ここで、本実施形態で示す段ボール箱5では、まず、
図4に示すように、底側内フラップ60,61の幅d1が蓋側内フラップ56,57の幅d2よりも大きく、側面部50,51の長さ(箱の長さ)lの約半分(半分よりも僅かに小さい)となっており、この点で0201形式の段ボール箱と構成が異なっている。これにより、
図7に示すように、段ボール箱5を底組みした状態において、底側内フラップ60,61の先端縁同士が段ボール箱5の長さ方向の略中央位置で対向し、突き合わされる。なお、底側内フラップ60,61の先端縁同士は必ずしも接触する必要はなく、その間に多少の隙間が存在していてもよい。
【0033】
従来の0201形式の段ボール箱100は、
図18に示すように、各フラップ105~112の幅が全て同じ大きさであり、2つの底側内フラップ111,112の幅dを足し合わせても、側面部101,102の長さ(箱の長さ)lよりも大幅に短い。よって、段ボール箱100を底組みした状態では、底側内フラップ111,112の先端縁同士の間に隙間が存在し、この隙間の部分で箱の底面部の内面に段差が生じる。箱の底面部の内面に段差が生じると、段ボール箱100に瓶やボトル等を収納した場合に瓶やボトル等がこの段差でがたついて傾いたりするおそれがある。そのため、従来の0201形式の段ボール箱100では、この段差をなくすために埋め板が箱の底面部に取り付けられるが、通常、この埋め板の取り付けは手作業で行われるため、その分、段ボール箱100の組み立てに人手による労力を必要とし、生産性が低下する。
【0034】
これに対して、本実施形態で示す段ボール箱5では、2つの底側内フラップ60,61の先端縁同士が段ボール箱5の長さ方向の略中央位置で突き合わされるので、その間に隙間がほとんど存在せず、箱の底面部の内面に段差が生じない。よって、従来の0201形式の段ボール箱100のように、埋め板を箱の底面部に取り付ける必要がなく、その分の人員を削減することができるため、生産性を向上することができる。
【0035】
また、本実施形態で示す段ボール箱5では、
図4~
図6に示すように、2つの底側外フラップ58,59が長方形状とは異なる異形状をなし、底組みされた際に左右対称ではない点においても0201形式の段ボール箱100と構成が異なっている。具体的には、2つの底側外フラップ58,59は、底組みされる際に先端縁同士が対向して突き合わされるが、ともに一端部の幅より他端部の幅の方が大きく、底側外フラップ58では、一方の端面部53側の端部58Aが幅広であり、他方の端面部52側の端部58Bが幅狭であり、底側外フラップ59では、他方の端面部52側の端部59Aが幅広であり、一方の端面部53側の端部59Bが幅狭である。また、2つの底側外フラップ58,59ともに、
図4に示すように、幅広の端部58A,59Aの幅は各底側内フラップ60,61の幅d1と同じ大きさであり、2つの底側外フラップ58,59の先端縁は、段ボール箱5を底組みした状態では、
図6に示すように、段ボール箱5の幅方向の中央位置を越えている。一方で、2つの底側外フラップ58,59の幅狭の端部58B,59Bは、その先端縁が段ボール箱5の幅方向の中央位置まで達しておらず、幅広の端部58A,59Aとの間の中間部は、長さ方向に向かうに連れて幅が徐々に減少するよう先端縁が斜めに傾斜している。
【0036】
なお、本実施形態で示す段ボール箱5の2つの底側外フラップ58,59は、幅広の端部58A,59A及び幅狭の端部58B,59Bともに先端縁が所定の長さを有していて、底側外フラップ58,59の先端縁が全体として階段状となっているが、
図8に示すように、底側外フラップ58,59の先端縁が全体として斜めに延びる傾斜状となっていてもよい。
【0037】
次に、上述した段ボール箱5を組み立てる製函方法及び製函機について説明する。製函方法は、
図20で説明した垂直組立式の組み立て方法と同様に、平板状に折り畳まれかつ垂直に立てられた複数の段ボール箱5から1枚ずつ段ボール箱5を取り出して角筒状に開く取出工程と、角筒状に開いた段ボール箱5の2つの底側内フラップ60,61を折り込む内フラップ折込工程と、段ボール箱5を搬送しながら2つの底側外フラップ58,59を次第に折り込んで底組みする外フラップ折込工程とを有する。また、製函方法は、内フラップ折込工程と外フラップ折込工程との間に、搬送される段ボール箱5の折り込まれた2つの底側内フラップ60,61に接着剤を塗布する塗布工程と、外フラップ折込工程の後に、段ボール箱5の折り込まれた2つの底側内フラップ60,61を上方から2つの底側外フラップ58,59に圧着して両者を接着する圧着工程とをさらに有する。
【0038】
製函機10は、
図9に示すように、上述した各工程を実施するための処理手段を備えている。本実施形態では、複数の平板状の段ボール箱5を縦積みするマガジンストック部6と、マガジンストック部6から平板状の段ボール箱5を1枚ずつ取り出す取出手段7と、角筒状に開いた段ボール箱5の2つの底側内フラップ60,61を折り込む前後一対の内フラップ折込手段8A,8Bと、2つの底側内フラップ60,61が折り込まれた段ボール箱5を搬送する搬送手段9と、搬送される段ボール箱5の折り込まれた2つの底側内フラップ60,61に接着剤を塗布する1又は複数の塗布ノズル11と、搬送される段ボール箱5の2つの底側外フラップ58,59を次第に折り込む左右一対の外フラップ折込器具12A,12Bと、搬送される段ボール箱5を下方から支持する底部支持具1と、段ボール箱5の折り込まれた2つの底側内フラップ60,61を上方から2つの底側外フラップ58,59に圧着する前後一対の圧着手段13A,13Bとを備えている。
【0039】
マガジンストック部6は、継ぎしろ62を端面部53の例えば内周面に接合した状態で折り畳むことにより平板状とされた複数の段ボール箱5を、垂直に立てて板面同士が接触するように並べたひとかたまりの状態でストックする。
【0040】
このマガジンストック部6にストックされた平板状の段ボール箱5を、
図10に示すように、取出手段7により1枚ずつ取り出して角筒状に開く(取出工程)。
【0041】
取出手段7は、1又は複数の吸着パッド70を有する保持部材71と、保持部材71を支持するスライダ72とを有する。吸着パッド70は、図示しない真空ポンプ等の吸引手段に接続されている。スライダ72は、製函機10内に横架された上下2本の水平ガイド73に案内されて左右方向(
図10のVW方向)に往復動する。スライダ72は、図示は省略するが、モータ、シリンダー、リニアアクチュエータ等の公知の往復動駆動機構により往復動可能とされる。取出手段7は、マガジンストック部6にストックされた複数の平板状の段ボール箱5のうち、先頭の一枚を保持部材71の吸着パッド70で吸着保持しながらスライダ72が水平ガイド73に沿ってスライド移動することにより、マガジンストック部6より取り出す。このとき、平板状の段ボール5は自動的に開き、上下が開放した角筒状の段ボール箱5となる。この角筒状の段ボール箱5は、各蓋側外フラップ54,55及び各蓋側内フラップ56,57が起立し、各底側外フラップ58,59及び各底側内フラップ60,61が垂下している。また、このとき、一方のサイドガイド15に設けられたストッパー14が内側に90度回転することにより、段ボール箱5の前方側の端面部に当接し、段ボール箱5を所定位置に留めている。
【0042】
次に、角筒状に開いた段ボール箱5の2つの底側内フラップ60,61を、
図11に示すように、前後一対の内フラップ折込手段8A,8Bにより折り込む(内フラップ折込工程)。
【0043】
内フラップ折込手段8A,8Bは、製函機10内で回転可能に支持された回転軸80と、回転軸80と一体回転する折込部材81とを有する。折込部材81は断面視L字状の板材で構成され、常時は長辺部81Aが垂下しているが、回転軸80とともに回転して長辺部81Aが水平を向くことで、2つの底側内フラップ60,61を内側に90度折り曲げる。回転軸80は、図示は省略するが、公知の回転駆動機構により回転可能とされる。各内フラップ折込手段8A,8Bにより2つの底側内フラップ60,61が折り込まれると、吸着パッド70による段ボール箱5の吸着保持を解除するとともに、ストッパー14が外側に90度回転することにより、段ボール箱5の搬送を可能とする。
【0044】
次に、2つの底側内フラップ60,61が折り込まれた段ボール箱5を、
図12に示すように、搬送手段9により、前方、すなわち左右一対の外フラップ折込器具12A,12Bの方に向けて搬送する。
【0045】
搬送手段9は、製函機10内を前後方向(
図12のXY方向)に往復動可能な押出部材90を有する。押出部材90にはアーム91が回転可能に支持されており、アーム91が内側に90度回転することにより段ボール箱5の後方側の端面部に接触する。押出部材90は、図示は省略するが、モータ、シリンダー、リニアアクチュエータ等の公知の往復動駆動機構により所定の搬送路92を往復動可能とされる。搬送手段9は、アーム91で段ボール箱5を押圧しながら押出部材90が搬送路92に沿って前方に移動することにより、段ボール箱5を前方に位置する2つの外フラップ折込器具12A,12Bに向けて搬送する。製函機10内には左右一対のサイドガイド15が設けられている。両サイドガイド15は、その間に段ボール箱5を挟み込むことで、段ボール箱5が真っ直ぐ搬送されるようガイドする。
【0046】
次に、2つの底側内フラップ60,61が折り込まれた段ボール箱5の搬送中に、塗布ノズル11により、段ボール箱5の各底側内フラップ60,61に例えばホットメルト接着剤等の接着剤を塗布する(塗布工程)。塗布ノズル11は、図示しない接着剤供給手段に接続されており、上方を段ボール箱5が通過する際に接着剤を各底側内フラップ60,61の外面に塗布する。
【0047】
さらに、段ボール箱5の搬送中に、
図13~
図16に示すように、左右一対の外フラップ折込器具12A,12Bにより、2つの底側外フラップ58,59を次第に折り込んで底組みする(外フラップ折込工程)。
【0048】
外フラップ折込器具12A,12Bは、前後方向に延びる棒状部材で形成されており、側面視で後方側が前方側よりも低く傾斜しているとともに平面視で後方側が前方側よりも広い、左右にハの字状に開くようにして配置されている。
【0049】
2つの外フラップ折込器具12A,12Bの間には、上述した構成の底部支持具1が設けられており、段ボール箱5が2つの外フラップ折込器具12A,12B上を搬送される際に、段ボール箱5を下方から支持することで、段ボール箱5が真っ直ぐ搬送されるようガイドする。
【0050】
段ボール箱5は、
図13の矢印で示すように、2つの外フラップ折込器具12A,12B上を後方側から前方側に搬送される間に、垂下した2つの底側外フラップ58,59がそれぞれ対応する外フラップ折込器具12A,12Bに当たり、その後、各外フラップ折込器具12A,12B上を摺動する。これにより、2つの底側外フラップ58,59が各外フラップ折込器具12A,12Bにより折り込まれて、最終的に内側に90度折り曲げられる。
【0051】
ここで、本実施形態では、段ボール箱5の2つの底側外フラップ58,59が矩形状ではなく左右非対称であり、一方の底側外フラップ58は後方側の端部58Aが前方側の端部58Bよりも幅広であり、他方の底側外フラップ59は前方側の端部59Aが後方側の端部59Bよりも幅広である。そのため、一方の底側外フラップ58は後方側の幅広の端部58Aが外フラップ折込器具12Aに当たって折り込まれるが、後方側の幅広の端部58Aは幅が大きいため、折れ曲がりの当初は、
図14に示すように底部支持具1の支持板2に突き当たって、折れ曲がりが抑止されている。一方で、他方の底側外フラップ59は前方側の幅広の端部59Aが外フラップ折込器具12Bに当たって折り込まれるところ、前方側の幅広の端部59Aは幅が大きいが、支持板2に前端縁から下端縁にわたって切り欠かれた切欠部20が存在しているため、底側外フラップ59の折れ曲がりの際に支持板2の切欠部20に入り込む一方で、後方側の幅狭の端部59Bは幅が小さく支持板2に達しないことから、底側外フラップ59は支持板2と干渉することなく折り込まれる。
【0052】
段ボール箱5が搬送されるにしたがい前方に移動すると、
図15に示すように、他方の底側外フラップ59がよりいっそう折り込まれていくとともに、一方の底側外フラップ58についても、
後方側の幅広の端部
58Aが支持板2の切欠部20に入り込むことで、支持板2と干渉することなく折り込まれていく。これにより、
図16に示すように、段ボール箱5は、2つの底側外フラップ58,59が内側に90度折り曲げられて底組みされる。底組みされた段ボール箱5は、両外フラップ折込器具12A,12B及び底部支持具1の受け具4から次の圧着工程への搬送路16(
図9等に示す)に乗り移る。
【0053】
次に、底組みされた段ボール箱5に対して、
図17に示すように、前後一対の圧着手段13A,13Bにより、内側より2つの底側内フラップ60,61を2つの底側外フラップ58,59に圧着する(圧着工程)。
【0054】
圧着手段13A,13Bは、対応する底側内フラップ60,61の内面に接触するプッシャー130と、プッシャー130を上下方向に往復動させるシリンダー131とを有する。シリンダー131の駆動に伴いプッシャー130が下方に移動して、底側内フラップ60,61をそれぞれ下方に押圧することで、2つの底側内フラップ60,61が2つの底側外フラップ58,59に圧着される。
【0055】
その後、底組みされた段ボール箱5は、例えばローラコンベヤ等の移送手段17に載せられて、内容品を段ボール箱5内に挿入する工程、2つの蓋側内フラップ56,57及び2つの蓋側外フラップ54,55を順次折り込んで封緘する工程に送られる。
【0056】
以上、上記構成の底部支持具1を用いて段ボール箱5を組み立てると、支持板2が切欠部20を有していることにより、2つの底側外フラップ58,59が、左右対称の矩形状ではなく、一方の端部58A,59Aが他方の端部58B,59Bよりも幅の大きな左右非対称の異形状であっても、2つの底側外フラップ58,59を、支持板2と干渉することなく、それぞれ外フラップ折込器具12A,12Bによって折り込むことができ、先端縁同士を突き合わせることができる。よって、良好に段ボール箱5を底組みすることができる。
【0057】
また、受け具4が支持板2の前方に配置されていて、受け具4が支持板2を通過した段ボール箱5を下方より支持するので、支持板2を通過後の段ボール箱5の姿勢を前方に傾くことなく直立に保持することができる。これにより、底組み後の次工程の搬送路16に段ボール箱5を良好に乗り移すことができる。
【0058】
なお、底部支持具1は、組み立てる段ボール箱5のサイズ等の違いで受け具4がなくても問題なく底組み後の段ボール箱5を次工程の搬送路16に乗り移すことができる場合には、受け具4を基台3から取り外して使用してもよい。
【0059】
以上、底部支持具、ならびに、段ボール箱の製函機及び製函方法の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態では、底部支持具1の受け具4は基台3に着脱可能であるが、基台3に棒状体40だけが一体に設けられていてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、底部支持具1を、2つの底側外フラップ58,59が左右対称の矩形状ではない段ボール箱5の組み立てに用いているが、従来の0201形式の段ボール箱等についても底部支持具1を用いて組み立てることができる。
【0062】
また、製函機10についても上記実施形態のものに限定されるわけではなく、段ボール箱5を搬送しながら左右一対の底側外フラップ58,59を次第に折り込むとともに、底部支持具1により搬送される段ボール箱5を支持するものであれば、種々の形態のものが本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1 底部支持具
2 支持板
3 基台
4 受け具
5 段ボール箱
9 搬送手段
10 製函機
12A,12B 外フラップ折込器具
20 切欠部
58,59 底側外フラップ
58A,59A 幅広の端部