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特許7143097高速で周期的に合焦位置が変調される可変焦点距離レンズを含む撮像システムと共に用いられる変調監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】高速で周期的に合焦位置が変調される可変焦点距離レンズを含む撮像システムと共に用いられる変調監視システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20220920BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20220920BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20220920BHJP
【FI】
G01B11/00 H
G03B15/00 T
G02B7/28 H
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018050015
(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公開番号】P2018159704
(43)【公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】15/466,272
(32)【優先日】2017-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】スコット アレン ハーシラ
【審査官】飯村 悠斗
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-145415(JP,A)
【文献】特開2015-104136(JP,A)
【文献】特開2013-180120(JP,A)
【文献】特開2005-062155(JP,A)
【文献】特表2009-525493(JP,A)
【文献】特表2015-510150(JP,A)
【文献】米国特許第04861975(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G03B 15/00
G02B 19/00-21/00
G02B 21/06-21/36
G02B 7/28- 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的に合焦位置が変調される可変焦点距離(VFL)レンズを含む撮像システムと共に用いられる変調監視システムであって、
前記撮像システムは、
撮像光源によって発せられた光によって照射されたワークピース表面から発した光が入力されるように構成された対物レンズと、撮像光路に沿って前記対物レンズにより伝達された光を受光するように構成された前記VFLレンズと、前記撮像光路に沿って前記VFLレンズにより伝達された光を受光するように構成されたカメラと、
前記VFLレンズを制御してその光学パワーを周期的に変調させることにより、前記撮像システムの合焦位置が複数のZ高さにわたって周期的に変調されるように構成されたVFLレンズ制御部と、を備え、
前記変調監視システムは、
前記ワークピース表面を含まない変調監視光路であって、前記VFLレンズを通る変調監視光路に沿ってVFL透過光を発する、前記撮像光源とは異なる光源であるVFL透過光源と、
前記VFL透過光を受光し、且つ、前記VFLレンズの前記光学パワーに対応した少なくとも1つの光学検出器信号を出力するように構成された光学検出器を含む変調信号決定部と、を備え、
前記少なくとも1つの光学検出器信号に基づいて少なくとも1つの変調監視信号を出力する、変調監視システム。
【請求項2】
前記VFL透過光源は、(a)前記対物レンズに近い側である前記VFLレンズの前部、又は(b)前記対物レンズから遠い側である前記VFLレンズの後部のいずれか一方で前記VFL透過光が変調監視光路に沿って前記VFLレンズに入力されるように配置され、
前記光学検出器は、前記(a)又は前記(b)のいずれか他方で前記VFLレンズから出力された前記VFL透過光を前記変調監視光路に沿って受光するように配置されている、
請求項1に記載の変調監視システム。
【請求項3】
前記VFL透過光源は、前記(a)で前記VFL透過光が前記VFLレンズに入力されるように配置されている、
請求項2に記載の変調監視システム。
【請求項4】
前記VFL透過光源は、前記(b)で前記VFL透過光が前記VFLレンズに入力されるように配置されている、
請求項2に記載の変調監視システム。
【請求項5】
前記VFL透過光源は、(a)前記対物レンズに近い側である前記VFLレンズの前部、又は(b)前記対物レンズから遠い側である前記VFLレンズの後部のいずれか一方で前記VFL透過光が変調監視光路に沿って前記VFLレンズに入力されるように配置され、
波長依存リフレクタは、前記(a)又は前記(b)のいずれか他方で前記VFLレンズから出力された前記VFL透過光を反射させて前記変調監視光路に沿って戻すように配置され、
前記光学検出器は、前記(a)又は前記(b)のうち前記一方で反射された前記VFL透過光を前記変調監視光路に沿って受光するように配置されている、
請求項1に記載の変調監視システム。
【請求項6】
前記VFL透過光源は、前記(a)で前記VFL透過光が前記VFLレンズに入力されるように配置され、
前記波長依存リフレクタは、前記(b)で前記VFL透過光を反射させるように配置され、
前記光学検出器は、前記(a)で反射された前記VFL透過光を受光するように配置されている、
請求項5に記載の変調監視システム。
【請求項7】
前記VFL透過光源は、前記(b)で前記VFL透過光が前記VFLレンズに入力されるように配置され、
前記波長依存リフレクタは、前記(a)で前記VFL透過光を反射させるように配置され、
前記光学検出器は、前記(b)で反射された前記VFL透過光を受光するように配置されている、
請求項5に記載の変調監視システム。
【請求項8】
前記波長依存リフレクタが、狭帯域リフレクタである、
請求項5に記載の変調監視システム。
【請求項9】
前記波長依存リフレクタが、ダイクロイックリフレクタである、
請求項5に記載の変調監視システム。
【請求項10】
前記VFL透過光が、少なくとも700nmの波長を有する、
請求項1に記載の変調監視システム。
【請求項11】
前記光学検出器が、シャックハルトマン型センサを含む、
請求項1に記載の変調監視システム。
【請求項12】
前記光学検出器が、少なくとも1つの4セルフォトダイオードセンサを含む、
請求項11に記載の変調監視システム。
【請求項13】
前記光学検出器が、個別のフォトダイオードを含む、
請求項11に記載の変調監視システム。
【請求項14】
前記光学検出器が、少なくとも1つの位置感知型検出器を含む、
請求項11に記載の変調監視システム。
【請求項15】
前記VFLレンズが、可変音響式屈折率分布型レンズである、
請求項1に記載の変調監視システム。
【請求項16】
前記VFLレンズ制御部にフィードバックを与えて、前記VFLレンズの光学パワー又は周波数の少なくとも一方の変化を補償するように構成されている、
請求項1に記載の変調監視システム。
【請求項17】
前記変調監視光路は、撮像に用いられる前記VFLレンズの部分の外側で前記VFLレンズを通過する、
請求項1に記載の変調監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は精密計測に関し、より具体的には、可変焦点距離レンズを用いて合焦位置を周期的に変調することができるマシンビジョン検査システム及びその他の光学システムに関する。
【背景技術】
【0002】
精密マシンビジョン検査システム(又は略して「ビジョンシステム」)は、物体の精密な測定を行うと共に他の物体の特徴を検査するために使用できる。そのようなシステムは、コンピュータと、カメラと、光学システムと、ワークピースの走査を可能とするために移動するステージと、を含み得る。汎用の「オフライン」精密ビジョンシステムとして特徴付けられる1つの例示的なシステムは、イリノイ州オーロラに位置するMitutoyo America Corporation(MAC)から入手可能なQUICK VISION(登録商標)シリーズのPCベースのビジョンシステム及びQVPAK(登録商標)ソフトウェアである。QUICK VISION(登録商標)シリーズのビジョンシステム及びQVPAK(登録商標)ソフトウェアの機能及び動作については、概ね、例えば2003年1月に発表されたQVPAK 3D CNC画像測定機ユーザガイドに記載されている。これは援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。このタイプのシステムは、顕微鏡型の光学システムを利用し、小型又は大型のワークピースの検査画像を様々な倍率で提供するようにステージを移動させる。
【0003】
様々な用途において、固定検査システム又はノンストップ移動検査システムのいずれかで高いスループットを得るため、高速測定を実行することが望ましい。充分に合焦された検査画像及びZ高さ測定に関して(これは一般に「ベストフォーカス(best focus)」の高さ決定に基づいている)、検査画像取得レート及びZ高さ測定を実行できるレートは、Z高さ合焦位置調整レート又は移動速度によって制限され得る。従来のマシンビジョン検査システムでは、ある範囲のZ高さ位置にわたってカメラを移動させる必要がある様々なタイプの測定動作(例えばポイントフロムフォーカス(points-from-focus)動作等)が利用され得る。共焦点システムでは、同様に、ある範囲のZ高さ位置にわたる移動を必要とすることがある(例えば、最大の共焦点輝度が得られる位置を決定するため等)。そのようなシステムでは、Z高さ測定を実行できる速度は、そのZ高さ位置範囲を与えるシステムの1つ以上の物理構成要素の動きによって限定され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こういった移動の制約を克服するため、革新的で電子的に変形可能なレンズ及び/又は可変音響式屈折率分布型レンズ(tunable acoustic gradient lens、TAGレンズ)等の可変焦点距離(VFL:variable focus length)レンズは、極めて高いレートで周期的に合焦位置を変化させることができる(例えば、TAGレンズの場合は70kHz以上)。しかしながら、温度等の条件の変動によって、VFLレンズの光学パワー及び変調周波数の変化が生じることがある。補償が必要となり得るそのような性能の変化を識別する手段を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この概要は、以下で「発明を実施するための形態」において更に記載するいくつかの概念を簡略化した形態で紹介するために提示する。この概要は、特許請求の範囲の重要な特徴を識別することを意図しておらず、特許請求の範囲の決定に役立てるため用いることも意図していない。
【0006】
本明細書に、特に図3図6を参照して開示されるのは、高速で周期的に合焦位置が変調されるVFLレンズの変調特性を監視するために動作可能であるシステムの様々な実施例において、上記の問題を解決するために使用され得る要素、原理、及び動作の組み合わせである。開示される実施例は、TAGレンズと組み合わせて用いる際に特に有利である。
【0007】
具体的には、高速で周期的に合焦位置が変調される可変焦点距離(VFL)レンズを含む撮像システムと共に用いられる変調監視システムが開示される。撮像システムは、対物レンズ、VFLレンズ制御部、及びカメラを備えている。対物レンズは、ワークピース表面から発した光が入力されるように構成されている。VFLレンズは、撮像光路に沿って対物レンズにより伝達された光を受光するように構成されている。カメラは、撮像光路に沿ってVFLレンズにより伝達された光を受光するように構成されている。VFLレンズ制御部は、VFLレンズを制御してその光学パワーを高速で周期的に変調させることにより、撮像システムの合焦位置が複数のZ高さにわたって周期的に変調されるように構成されている。変調監視システムは、VFLレンズを通る変調監視光路に沿ってVFL透過光を発するVFL透過光源と、VFL透過光を受光し、且つ、VFLレンズの光学パワーに対応した少なくとも1つの光学検出器信号を出力するように構成された光学検出器を含む変調信号決定部と、を備えている。変調監視システムは、少なくとも1つの光学検出器信号に基づいて少なくとも1つの変調監視信号を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】汎用の精密マシンビジョン検査システムの種々の典型的な構成要素を示す図である。
図2図1のシステムと同様の、本明細書に開示する特徴を含むマシンビジョン検査システムの制御システム部及びビジョン構成要素部のブロック図である。
図3】高速で周期的に合焦位置が変調される可変焦点距離(VFL)レンズを含む撮像システムと共に用いられる変調監視システムの第1の実施例の概略図である。
図4】高速で周期的に合焦位置が変調される可変焦点距離(VFL)レンズを含む撮像システムと共に用いられる変調監視システムの第2の実施例の概略図である。
図5】高速で周期的に合焦位置が変調される可変焦点距離(VFL)レンズを含む撮像システムと共に用いられる変調監視システムの第3の実施例の概略図である。
図6A】光学検出器の様々な実施例において使用可能である「方向性(directional)」タイプの光学検出器の第1の実施例を示す。
図6B】光学検出器の様々な実施例において使用可能である「方向性」タイプの光学検出器の第2の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本明細書に開示する原理に従って使用可能である1つの例示的なマシンビジョン検査システム10のブロック図である。マシンビジョン検査システム10は画像測定機12を含み、これは、制御コンピュータシステム14と、更に、モニタ又はディスプレイ16、プリンタ18、ジョイスティック22、キーボード24、及びマウス26と、データ及び制御信号を交換するように動作可能に接続されている。モニタ又はディスプレイ16は、マシンビジョン検査システム10の制御及び/又はプログラミングに適したユーザインタフェースを表示することができる。様々な実施例では、タッチスクリーンタブレット等によって、制御コンピュータシステム14、ディスプレイ16、ジョイスティック22、キーボード24、及びマウス26のいずれか又は全ての機能の代用となること及び/又はこれらの機能を冗長的に与えることが可能である。
【0010】
より一般的には、制御コンピュータシステム14は、いかなるコンピューティングシステム又はデバイス、及び/又は分散型コンピューティング環境等も含むことができるか又はそれらから構成可能である。それらはいずれも、本明細書に記載する機能を実現するためにソフトウェアを実行する1つ以上のプロセッサを含み得る。プロセッサには、プログラマブル汎用又は特殊用途マイクロプロセッサ、プログラマブルコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)等、又はそのようなデバイスの組み合わせが含まれる。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、フラッシュメモリ等のメモリ、又はそのような構成要素の組み合わせに記憶することができる。また、ソフトウェアは、光学ベースのディスク、フラッシュメモリデバイス、又はデータを記憶するための他のいずれかのタイプの不揮発性記憶媒体のような1つ以上の記憶デバイスに記憶することができる。ソフトウェアは、特定のタスクを実行するか又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む1つ以上のプログラムモジュールを含み得る。分散型コンピューティング環境では、プログラムモジュールの機能性は、有線又は無線のいずれかの構成において、多数のコンピューティングシステム又はデバイスにわたるように組み合わせるか又は分散させ、サービスコールを介してアクセスすることができる。
【0011】
画像測定機12は、可動ワークピースステージ32と、ズームレンズ又は交換可能レンズを含み得る光学撮像システム34と、を含む。ズームレンズ又は交換可能レンズは一般に、光学撮像システム34によって得られる画像に様々な倍率(例えば0.5倍から100倍まで)を与える。同様のマシンビジョン検査システムが、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7,324,682号、第7,454,053号、第8,111,905号、及び8,111,938号にも記載されている。これらの各々は、援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。
【0012】
図2は、図1のマシンビジョン検査システムと同様の、本明細書に記載する特徴を含むマシンビジョン検査システム100の制御システム部120及びビジョン構成要素部200のブロック図である。以下で詳述するように、制御システム部120を用いてビジョン構成要素部200を制御する。ビジョン構成要素部200は、光学アセンブリ部205と、光源220、230、及び240と、中央の透明部212を有し得るワークピースステージ210と、を含む。ワークピースステージ210は、ワークピース20を位置決めすることができるステージの表面に対して概ね平行な面内にあるx軸及びy軸に沿って制御可能に移動させることができる。
【0013】
光学アセンブリ部205は、カメラ260、可変焦点距離(VFL)レンズ270を含み、更に、交換可能対物レンズ250、レンズ286と288を有するターレットレンズアセンブリ280も含む場合がある。ターレットレンズアセンブリの代わりに、固定もしくは手作業で交換可能な倍率可変レンズ(magnification-altering lens)、又はズームレンズ構成等を含んでもよい。様々な実施例において、これら様々なレンズは、光学アセンブリ部205の可変倍率レンズ部の一部として含まれ得る。様々な実施例において、交換可能対物レンズ250は、固定倍率対物レンズのセット(例えば0.5倍から100倍までの範囲のセット等)から選択することができる。
【0014】
様々な実施例において、光学アセンブリ部205は、制御可能モータ294を用いることで、x軸及びy軸に概ね直交したz軸に沿って制御可能に移動させることができる。制御可能モータ294はアクチュエータを駆動して、ワークピース20の画像の焦点を変えるために光学アセンブリ部205をz軸に沿って動かす。制御可能モータ294は信号ライン296を介して入出力インタフェース130に接続されている。以下で更に詳しく説明するように、VFLレンズ270も、合焦位置を周期的に変調するように動作させることができる。マシンビジョン検査システム100を用いて撮像されるワークピース20、又は複数のワークピース20を保持しているトレイもしくは固定具は、ワークピースステージ210上に配置されている。様々な実施例において、ワークピースステージ210は、光学アセンブリ部205に対して(例えばx軸及びy軸方向に)移動するように制御され、撮像されるエリア(例えば交換可能対物レンズ250によって撮像される)が、ワークピース20上の複数の位置間で及び/又は複数のワークピース20間で移動できるようになっている。
【0015】
透過照明光源220、落射照明光源230、及び斜め照明光源240(例えばリング光)の1つ以上が、それぞれ光源光222、232、及び/又は242を発して、ワークピース又は複数のワークピース20を照明することができる。落射照明光源230は、ミラー290を含む経路に沿うように光232を発することができる。光源光はワークピース光255として反射又は透過され、ワークピース光(例えば撮像のために用いられる)は、交換可能対物レンズ250、ターレットレンズアセンブリ280、及びVFLレンズ270を通過し、カメラ260に集光される。様々な実施例において、カメラ260はワークピース光が入力され、信号データ(例えばワークピース(複数のワークピース)20の1以上の画像)を制御システム部120への信号ライン262上に出力する。透過照明光源220、落射照明光源230、及び斜め照明光源240は、それぞれ信号ライン又はバス221、231、及び241を介して制御システム部120に接続することができる。制御システム部120は、画像の倍率を変調するため、ターレットレンズアセンブリ280を軸284に沿って回転させることで、信号ライン又はバス281を介してターレットレンズを1つ選択することができる。
【0016】
図2に示すように、種々の例示的な実施例において制御システム部120は、制御部125、入出力インタフェース130、メモリ140、ワークピースプログラム生成器及び実行器170、及び電源部190を含む。これらの構成要素及び以下で説明する追加の構成要素の各々は、1つ以上のデータ/制御バス及び/又はアプリケーションプログラミングインタフェースによって、又は様々な要素間の直接接続によって、相互接続することができる。入出力インタフェース130は、撮像制御インタフェース131、移動制御インタフェース132、及び照明制御インタフェース133を含む。移動制御インタフェース132は、位置制御要素132a、及び速度/加速度制御要素132bを含み得るが、これらの要素はマージされる及び/又は区別できない場合もある。照明制御インタフェース133は、照明制御要素133a、133n、及び133flを含むことができ、これらは、マシンビジョン検査システム100の様々な対応する光源について、例えば選択、パワー、オン/オフ切り換え、及びストロボパルスタイミングを適用可能な場合に制御する。
【0017】
本明細書に開示される原理に従って、入出力インタフェース130は更に、図3図6を参照して以下で詳述するように、レンズ制御部271を含み得る。簡潔に述べると、1つの実施において、レンズ制御部271は、レンズ合焦動作回路及び/又はルーチン等を含むレンズ制御部を含み得る。レンズ制御部271は、ユーザ及び/又は動作プログラムによって構成又は制御することができ、信号ライン271’を用いてVFLレンズ270を制御してその光学パワーを(例えば正弦波状に)周期的に変調させることで、Z高さ方向に沿った複数の合焦位置にわたって撮像システムの合焦位置を確定された動作周波数で周期的に変調することができる。
【0018】
様々な実施例において、撮像制御インタフェース131及び/又はレンズ制御部271は拡大被写界深度モードを更に含み得る。これについては、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された米国特許公報第2015/0145980号に詳述されている。これは援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。拡大被写界深度モードは、ユーザによって選択されると、単一の合焦位置で合焦する場合にビジョン構成要素部200が与え得るよりも大きい被写界深度でワークピースの少なくとも1枚の画像(例えば複合画像)を提供することができる。様々な実施例において、撮像制御インタフェース131及び/又はレンズ制御部271は倍率変調調整モードを更に含み得る。このモードは選択することができ、又は倍率変調が実行もしくは検出された場合に自動的に実施することができる。これについては、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された、「Adaptable Operating Frequency of a Variable Focal Length Lens in an Adjustable Magnification Optical System」と題する米国特許公報第2017/0013185号(「185号出願」とも称する)に詳述されている。この出願は援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。VFLレンズを含む他のシステム及び方法については、2015年8月31日に出願され、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された「Multi-Level Image Focus Using a Tunable Lens in a Machine Vision Inspection System」と題する米国特許出願第14/841,051号、及び、2015年9月15日に出願され、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された「Chromatic Aberration Correction in Imaging System Including Variable Focal Length Lens」と題する米国特許出願第14/854,624号に記載されている。これらの出願の各々は援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。
【0019】
メモリ140は、画像ファイルメモリ部141、エッジ検出メモリ部140ed、1つ以上のパートプログラム等を含み得るワークピースプログラムメモリ部142、及びビデオツール部143を含むことができる。ビデオツール部143は、対応する各ビデオツールのためのGUIや画像処理動作等を確定するビデオツール部143a及び他のビデオツール部(例えば143n)、並びに関心領域(ROI:region of interest)生成器143roiを含む。関心領域生成器143roiは、ビデオツール部143内に含まれる様々なビデオツールにおいて動作可能である様々なROIを規定する自動、半自動、及び/又は手動の動作をサポートする。ビデオツール部は、焦点高さ測定動作のためのGUIや画像処理動作等を確定する自動合焦ビデオツール143afも含む。自動合焦ビデオツール143afは更に、高速で焦点高さを測定するために利用できる高速焦点高さツールも含むことができる。これについては、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された米国特許公報第2014/0368726号に詳述されている。これは援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。
【0020】
本開示のコンテキストにおいて、当業者に既知であるように、「ビデオツール」という言葉は概ね、マシンビジョンユーザが、ビデオツールに含まれる動作の段階的シーケンスを生成することなく、また汎用のテキストベースのプログラミング言語等に頼ることもなく、比較的シンプルなユーザインタフェース(例えばグラフィカルユーザインタフェース、編集可能パラメータウィンドウ、メニュー等)を用いて実施可能である比較的複雑な自動又はプログラミングされた動作セットのことである。例えばビデオツールは、予めプログラミングされた複雑な画像処理動作及び計算セットを含み、これらの動作及び計算を規定する少数の変数又はパラメータを調整することによって特定のインスタンスでこれらを適用及びカスタム化することができる。ビデオツールは、基礎にある動作及び計算の他に、ビデオツールの特定のインスタンス向けにそれらのパラメータをユーザが調整することを可能とするユーザインタフェースも備えている。例えば、多くのマシンビジョンビデオツールによってユーザは、マウスを用いたシンプルな「ハンドルドラッグ」動作を行ってグラフィックの関心領域(ROI)インジケータを構成して、ビデオツールの特定のインスタンスの画像処理動作による解析対象となる画像サブセットの位置パラメータを定義することができる。場合によっては、目に見えるユーザインタフェース機能がビデオツールと称され、基礎にある動作は暗黙的に含まれることに留意すべきである。
【0021】
透過照明光源220、落射照明光源230、及び斜め照明光源240のそれぞれの信号ライン又はバス221、231、及び241は全て、入出力インタフェース130に接続されている。カメラ260からの信号ライン262、VFLレンズ270からの信号ライン271’、及び制御可能モータ294からの信号ライン296も、入出力インタフェース130に接続されている。信号ライン262は、画像データの伝達に加えて、特定のプロセス(例えば画像の取得、共焦点輝度の測定等)を開始する制御部125からの信号も伝達することができる。
【0022】
1つ以上のディスプレイデバイス136(例えば図1のディスプレイ16)及び1つ以上の入力デバイス138(例えば図1のジョイスティック22、キーボード24、及びマウス26)も、入出力インタフェース130に接続することができる。ディスプレイデバイス136及び入力デバイス138を用いて、様々なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)機能を含み得るユーザインタフェースを表示することができる。それらの機能を用いて、検査動作の実行、及び/又はパートプログラムの生成及び/又は修正、カメラ260によってキャプチャされた画像の閲覧、及び/又はビジョン構成要素部200の直接制御を行うことができる。ディスプレイデバイス136は、(例えば、レンズ制御部271に関連付けて)ユーザインタフェース機能を表示することができる。
【0023】
種々の例示的な実施例において、ユーザがマシンビジョン検査システム100を用いてワークピース20のためのパートプログラムを生成する場合、ユーザは、マシンビジョン検査システム100を学習モードで動作させて所望の画像取得訓練シーケンスを提供することによって、パートプログラム命令を発生させる。例えば訓練シーケンスは、代表的ワークピースの特定のワークピース要素を視野(FOV:Field of View)内に位置決めし、光レベルを設定し、合焦又は自動合焦を行い、画像を取得し、(例えばそのワークピース要素上でビデオツールの1つ以上のインスタンスを用いて)画像に適用される検査訓練シーケンスを提供することを含み得る。学習モードの動作では、このシーケンス(複数のシーケンス)がキャプチャ又は記録されて、対応するパートプログラム命令に変換されるようになっている。パートプログラムが実行された場合、これらの命令はマシンビジョン検査システムに訓練した画像取得を再現させると共に、検査動作を行って、パートプログラムの生成時に用いた代表的ワークピースに類似した、現在の1又は複数のワークピース(例えば実行モードのワークピース)上の特定のワークピース要素(すなわち対応位置の対応する要素)を自動的に検査させる。
【0024】
図3は、高速で周期的に合焦位置が変調される可変焦点距離(VFL)レンズ370を含む撮像システム310と共に用いられる変調監視(モニタリング)システム300の第1の実施例の概略図である。撮像システム310は、マシンビジョン検査システム100のようなマシンビジョン検査システムに適用可能である。撮像システム310は、光源330、チューブレンズ351、リレーレンズ352、対物レンズ350、VFLレンズ370、カメラ360、リレーレンズ386、及びVFLレンズ制御部371を含む。対物レンズ350は、ワークピース320の表面から発した画像光(ワークピース光)355が入力されるように構成されている。VFLレンズ370は、撮像光路334に沿って対物レンズにより伝達された画像光355を受光するように構成されている。カメラ360は、撮像光路334に沿ってVFLレンズ370により伝達された画像光355を受光するように構成されている。VFLレンズ制御部は、駆動信号生成器372及びタイミングクロック372’を備えている。VFLレンズ制御部371は、VFLレンズ370を制御してその光学パワーを高速で周期的に変調させ、これによって、Z高さ方向に沿った複数の撮像システム焦点Z高さにわたって撮像システム310の合焦位置FPを周期的に変調するように構成されている。
【0025】
様々な実施例において、光源330は、撮像システム310の視野内でワークピース320を(例えばストロボ又は連続波照明を用いて)照明するように構成可能である。様々な実施例において、光源330は、照明システムの一部として、第1、第2、第3等の照明源を含み得る。例えば光源330は、対応する照明源(例えば光源330の一部である照明源)を動作させることによって、ストロボ照明のインスタンスを与えるように動作することができる。様々な実施例において、適正な照明バランスを達成するため、光源330は、ストロボ照明の全てのインスタンス(例えば各々が光源330内の異なる照明源に対応する)の強度を別個に調整できるように制御可能であると共に、画像の全体的な輝度を制御するように同時に調整することができる。
【0026】
動作において、図3に示す実施例では、光源330は「落射照明(coaxial)」光源であり、ビームスプリッタ390を含む経路に沿って対物レンズ350を介してワークピース320の表面へと光源光332を発するように構成されている。対物レンズ350は、ワークピース320に隣接した合焦位置FPで集束するワークピース光(画像光)355を受光し、ワークピース光355をチューブレンズ351に出力する。他の実施例では、同様の光源によって視野を非同軸に照明することができる。例えば、リング光源が視野を照明することができる。様々な実施例において、対物レンズ350は交換可能対物レンズとすることができ、チューブレンズ351はターレットレンズアセンブリの一部として含めることができる(例えば、図2の交換可能対物レンズ250及びターレットレンズアセンブリ280と同様)。様々な実施例において、対物レンズ350、チューブレンズ351、又は本明細書で言及する他のレンズの任意のものは、個別のレンズ、複合レンズ等から形成するか、又はこれらのレンズと連携して動作することができる。チューブレンズ351はワークピース光355を受光し、これをリレーレンズ352に出力する。
【0027】
リレーレンズ352はワークピース光355を受光し、これをVFLレンズ370に出力する。VFLレンズ370はワークピース光355を受光し、これをリレーレンズ386に出力する。リレーレンズ386はワークピース光355を受光し、これをカメラ360に出力する。様々な実施例において、カメラ360は画像露光期間中にワークピース320の画像をキャプチャすることができ、この画像を制御システム部に提供することができる(例えば、図2において画像を制御システム部120に提供するためのカメラ260の動作と同様)。
【0028】
図3の例では、リレーレンズ352及び386並びにVFLレンズ370は4f光学構成に含まれるものとして示され、リレーレンズ352及びチューブレンズ351はケプラー式望遠鏡構成に含まれるものとして示され、チューブレンズ351及び対物レンズ350は顕微鏡構成に含まれるものとして示されている。ここに示す構成は全て例示に過ぎないので、本開示に対する限定でないことは理解されよう。ケプラー式望遠鏡構成の一部として、チューブレンズ351の焦点距離FTUBEは、リレーレンズ352の焦点距離fと同様、レンズ351と352との中点とほぼ等距離にあるものとして示されている。代替的な実施例では、チューブレンズ351の焦点距離FTUBEを、リレーレンズ352の焦点距離f(これは4f光学構成の4fの1つに対応する)とは異なるものにしてもよい。チューブレンズ351がターレットレンズアセンブリの一部として含まれ得る様々な実施例では、ターレットレンズアセンブリの他のチューブレンズが動作位置まで回転した場合、同じ位置に焦点を有する(すなわちリレーレンズ352の焦点と合致する)ことが望ましい場合がある。
【0029】
上述のように本願に含まれる185号出願に詳述されている通り、焦点距離fに対する焦点距離FTUBEの比を用いて、チューブレンズ351に入力するワークピース光355のコリメートビームに対してリレーレンズ352から出るワークピース光355のコリメートビームの直径を変えることができる。チューブレンズ351に入力するワークピース光355のコリメートビーム及びリレーレンズ352から出力するワークピース光355のコリメートビームに関して、様々な実施例では、そのようなコリメートビームがより長い経路長に拡張され得ること、及び/又は(例えば異なるカメラシステム等へ向けられた)追加の光路を与えるためにそのようなコリメートビームに対してビームスプリッタが使用され得ることは認められよう。
【0030】
様々な実施例において、図示する4f光学構成は、VFLレンズ370(例えば可変音響式屈折率分布型レンズのように開口数(NA)が小さいデバイスであり得る)を、対物レンズ350のフーリエ面に配置することを可能とする。この構成は、ワークピース320におけるテレセントリシティ(telecentricity)を維持すると共に、尺度変化及び画像歪みを最小限に抑えることができる(例えば、ワークピース320の各Z高及び/又は合焦位置FPで一定の倍率を与えることを含む)。ケプラー式望遠鏡構成(例えばチューブレンズ351及びリレーレンズ352を含む)は、顕微鏡構成と4f光学構成との間に含めることができ、画像収差等を最小限に抑えるように、VFLレンズの位置において対物レンズ有効径(clear aperture)の望ましいサイズの投射を与えるように構成可能である。
【0031】
様々な実施例において、いくつかのタイプの寸法測定では、回折限界に近いか又は回折限界の撮像が必要であり得ることは認められよう。図3に示す構成は、結像される対物レンズ350の瞳の軸外範囲をVFLレンズ370内に限定することによって収差を低減する。この構成では、半径方向の範囲は、その最低共振周波数fR,MINでのVFLレンズ370(例えば可変音響式屈折率分布型)の定在波の屈折率プロファイルにおいて一次ベッセルリング(1st Bessel ring)の半径方向の範囲よりも小さく維持することができる。これについては、上述のように本願に含まれる185号出願に詳述されている。このように、顕微鏡構成(すなわち対物レンズ350及びチューブレンズ351を含む)からの光は、VFLレンズ370の最大有効径CAVFL,MAXを超えない。この光が最大有効径を超える実施例では、光は、望ましくない屈折率を有し得るVFLレンズ370の定在波の領域と相互作用して収差を増大させ、寸法測定の精度を低減させる恐れがある。
【0032】
VFLレンズ370は、(例えば1回以上の画像露光中、共焦点輝度決定中等に)撮像システムの合焦位置FPを変えるよう電子的に制御可能である。合焦位置FPは、合焦位置FP1と合焦位置FP2によって画定される範囲R内で動かすことができる。様々な実施例において、範囲Rはユーザによって選択可能であるか、又は設計パラメータから与えられ得るか、又は他の方法で自動的に決定され得ることは認められよう。一般に図3の例に関して、図示した寸法のいくつかは一定の縮尺通りに描かれていない場合があることは認められよう。例えば、VFLレンズ370は図示するものと異なる比例的寸法を有し得る(例えば、所望の量の屈折力等を与えるため、いくつかの用途では幅がより狭く長さが50mm以上であり得る)。
【0033】
変調監視システム300は、VFL透過光源340、変調信号決定部380、ビームスプリッタ388、ビームスプリッタ389、及び波長依存リフレクタ346を備えている。VFL透過光源340は、VFLレンズ370を通る変調監視光路344に沿ってVFL透過光343を発するように構成された光生成器341を備えている。変調信号決定部380は光学検出器385を備え、これは、反射されたVFL透過光345を受光するように、更に、VFLレンズ370の変調された光学パワーに対応した少なくとも1つの光学検出器信号を出力するように構成されている。変調監視システム300は、この少なくとも1つの光学検出器信号に基づいて少なくとも1つの変調監視信号を出力する。
【0034】
様々な実施例において、レンズ制御部371及び変調信号決定部380の各々、並びに追加の構成要素は、1つ以上のデータ/制御バス(例えばシステム信号及び制御バス395)、及び/又はアプリケーションプログラミングインタフェースによって、又は様々な要素間の直接接続によって、相互接続することができる。
【0035】
図3に示す実施例において、VFL透過光源340は、変調監視光路344に沿ってVFL透過光343を発するように配置されている。変調監視光路344は、対物レンズ350から遠い側であるVFLレンズ370の後部370BでVFL透過光343がVFLレンズ370に入力される経路である。波長依存リフレクタ346は、対物レンズ350に近い側であるVFLレンズ370の前部370AでVFLレンズ370から透過光343が出力された後、これを反射させて変調監視光路344に沿って戻す(反射VFL透過光345と表記されている)ように配置されている。光学検出器385は、反射VFL透過光345が後部370BでVFLレンズ370から出力され、ビームスプリッタ388及びビームスプリッタ389で反射された後、これを変調監視光路344に沿って受光するように配置されている。
【0036】
いくつかの実施例において、波長依存リフレクタ346は、ダイクロイック又は狭帯域リフレクタとすることができ、ビームスプリッタ389は、ダイクロイック又は狭帯域リフレクタであるビーム分割表面を含むことができる。いくつかの実施例では、望ましくないVFL透過光343がカメラ360によって撮像されることを回避するため、光生成器341は、カメラ360が感知できる光スペクトルの外側のVFL透過光343を出力することが望ましい場合がある。例えば、VFL透過光は少なくとも700nmの波長を有し得る。このため、波長依存リフレクタ346及びビームスプリッタ389は、画像光355を透過すると共にVFL透過光343及び/又は反射VFL透過光345を反射するように構成することができる。
【0037】
図3に示す実施例において、VFL透過光源340は、光生成器341(例えば1つ以上のLED又はレーザダイオード)及びコリメートレンズ342を備えている。様々な実施例において、VFL透過光343は、変調監視光路344に沿って投影される際にコリメートすることができる。
【0038】
種々の代替的な実施例は、変調監視システム300に類似した光学構成要素を、VFLレンズ370及び対物レンズ350に対して異なる順序で組み込み得る。限定ではないが図4及び/又は図5を参照して以下で詳述するものを含むいくつかの実施例において、VFL透過光源340は、発したVFL透過光が、対物レンズ350に近い側であるVFLレンズ370の前部370Aで変調監視光路に沿ってVFLレンズ370に入力されるように配置できる。波長依存リフレクタは、対物レンズ350から遠い側であるVFLレンズ370の後部370BでVFLレンズ370からVFL透過光が出力された後、これを変調監視光路に沿って反射させるように配置できる。光学検出器は、反射VFL透過光が前部370AでVFLレンズ370から出力された後、これを変調監視光路に沿って受光するように配置できる。
【0039】
いくつかの実施例において、変調監視システム300は、VFLレンズ制御部371に対するフィードバックとして少なくとも1つの光学信号を出力して、温度又は他のファクタのような周囲条件の変化によって起こり得るVFLレンズ370の光学パワー又は周波数の少なくとも一方の変化を補償するように構成できる。例えば、駆動信号生成器372は、少なくとも1つの光学検出器信号に応答して、VFLレンズ370の変調を駆動する駆動信号を調整できる。いくつかの実施例において、変調監視システム300は、システム信号及び制御バス395を介して、又は図3に破線で示す直接接続を介して、フィードバックを与えることができる。
【0040】
いくつかの実施例において、VFL透過光源340は、ストロボパルスがVFLレンズ370の様々な変調位相に対応するようにVFL透過光343をストロボ発光させるよう構成できる。VFLレンズ370の変調は、この変調を特徴付ける振幅及び周波数のようなファクタを決定するため、光学検出器385によって所望のタイミングでサンプリングすることができる。
【0041】
図4は、高速で周期的に合焦位置が変調される可変焦点距離(VFL)レンズ470を含む撮像システム410と共に用いられる変調監視システム400の第2の実施例の概略図である。図4の変調監視システム400は、図3の変調監視システム300といくつかの特徴を共有し、大部分は、前述の記載に基づく類推によって理解され得ることは認められよう。図4のいくつかの付番された構成要素は、以下で他の記載のある場合を除いて、図3の同様に付番された構成要素に対応し得る及び/又はこれらの構成要素と同様の動作を有し得る。従って、そのような同様の構成要素及び共有の特徴については詳細に説明しない。以下の記載では、本明細書に前述した様々なシステムの実施例とは異なる変調監視システム400の動作のいくつかの要素及び態様を強調している。
【0042】
図4に示す実施例において、VFLレンズ透過光源440は、発したVFL透過光443が、対物レンズ450に近い側であるVFLレンズ470の前部470Aで変調監視光路444に沿ってVFLレンズ470に入力されるように配置されている。光学検出器485は、VFL透過光443が後部470BでVFLレンズ470から出力された後、これを変調監視光路444に沿って受光するように配置されている。
【0043】
図4に示す特定の実施例では、VFL透過光443を画像光455から分離するため、光生成器441は、ビームスプリッタ488によって反射されると共にビームスプリッタ489によって選択的に反射されるVFL透過光443を出力する。図3を参照して概説した動作及び設計に基づく類推により、様々な実施形態では、光生成器441は、カメラ460が感知できる光スペクトルの外側のVFL透過光443を出力することが望ましい場合があり、ビームスプリッタ488及びビームスプリッタ489は、画像光455の全て又は大部分を透過すると共にVFL透過光443の全て又は大部分を反射するダイクロイック又は狭帯域リフレクタである表面を含み得る。
【0044】
種々の代替的な実施例は、変調監視システム400に類似した光学構成要素を、VFLレンズ470及び対物レンズ450に対して異なる順序で組み込み得る。いくつかの実施例において、VFL透過光源は、発したVFL透過光が、対物レンズ450から遠い側であるVFLレンズ470の後部470Bで変調監視光路に沿ってVFLレンズに入力されるように配置できる。光学検出器は、VFL透過光が前部470AでVFLレンズ470から出力された後、これを変調監視光路に沿って受光するように配置できる。
【0045】
図5は、高速で周期的に合焦位置が変調される可変焦点距離(VFL)レンズ570を含む撮像システム510と共に用いられる変調監視システム500の第3の実施例の概略図である。簡略化のため、撮像システム510のVFLレンズ570のみが示されている。VFLレンズ570は、撮像システム410と同様の構成の撮像システム510内に配置することができる。図5のいくつかの付番された構成要素は、以下で他の記載のある場合を除いて、図4の同様に付番された構成要素に対応し得る及び/又はこれらの構成要素と同様の動作を有し得る。従って、そのような同様の構成要素及び共有の特徴については詳細に説明しない。変調監視システム500は、VFLレンズ570を通る変調監視光路544に沿ってVFL透過光543を発するように構成された光源541を含むVFL透過光源540と、VFL透過光543を受光するように、更に、VFLレンズ570の変調された光学パワーに対応した少なくとも1つの光学検出器信号を出力するように構成された光学検出器585を含む変調信号決定部580と、を備えている。変調監視システム500は、少なくとも1つの光学検出器信号に基づいて少なくとも1つの変調監視信号を出力する。図5に示す実施例において、変調監視光路544は、撮像に用いられるVFLレンズの部分571Aの外側でVFLレンズ570を通過する。更に具体的には、部分571Aは、撮像光555を検出器に伝達するための画像開口(image aperture)に相当すると理解できる。図3に関して前述したように、可変音響式屈折率分布型レンズであるVFLレンズ570では、部分571Aは、VFLレンズ570の定在波の屈折率プロファイルにおける一次ベッセルリングの半径方向の範囲よりも小さくあるべきである。変調監視システム500と同様のいくつかの実施例において、VFL透過光543は狭帯域レーザビームであり得る。VFL透過光543は、一次ベッセルリングの半径方向の範囲の外側に、例えば二次ベッセルリングの半径方向の範囲内に位置し得る。VFLレンズ570のそのような「二次ベッセルリング」領域は、収差のない撮像には適さない可能性があるが、VFL透過光543を偏向又は集束させて、変調信号決定部580(例えば波面又はビーム偏向センサ)がVFLレンズ570の変調の振幅及び/又は周波数及び/又は位相を監視するように動作するためには適切であり得る。
【0046】
図5に示す実施例において、変調監視システム500は、ビームスプリッタ488及びビームスプリッタ489と同様の目的を果たすリフレクタ588及びリフレクタ589を備えている。しかしながら、変調監視システム500は波長依存反射を必要としない。これは、変調監視光路544が、撮像に用いられるVFLレンズの部分571Aの外側でVFLレンズ570を通過し、従って撮像光555からVFL透過光543を分離する必要がないからである。変調監視システム500と同様のいくつかの実施例では、撮像システム510の特定の構成に応じて、リフレクタ588及びリフレクタ589も不必要となる場合がある。図5に示す構成は、VFLレンズ570の前部又は後部のうち一方でVFL透過光543が入力され、VFLレンズ570の前部又は後部の他方でVFL透過光543の変調を検知するように構成されてもよい。
【0047】
図6A及び図6Bは、光学検出器385、485、又は585のような光学検出器の様々な実施例において使用できる、「方向性」タイプの光学検出器685’及び685’’の第1及び第2の実施例を示す。
【0048】
光学検出器685’は、既知のタイプの波面曲率検出器を含む。一般に、波面センサという言葉を本明細書で用いる場合、これは、入力光ビームの波面に沿った対応する領域において少なくとも1つの局所光線角度のサンプリングを行って、サンプリングした局所光線角度に依存した少なくとも1つの対応する検出信号を与えることとして記載できる。一般に、入力光ビームの波面に沿って分離された2つの対応する領域において少なくとも2つの局所光線角度をサンプリングして、サンプリングした局所光線角度に依存した少なくとも2つの検出信号を与えることが望ましい。少なくとも2つの検出器信号を含む関係は、入力光645の波面曲率の度合いに対応し、(波面曲率に対して)波面傾斜の効果は、少なくとも2つの検出器信号の各々に存在する共通モード誤差として検出され阻止され得る。
【0049】
図示されている光学検出器685’は、シャックハルトマン型センサとして特徴付けることができ、レンズL1及びL2と、1又は複数の信号ライン及び制御ライン665を有する検出器662と、を含む。一実施形態において、レンズL1及びL2はマイクロレンズとすることができる。レンズL1及びL2は各々、入力光(例えば、図3を参照して上述した反射VFL透過光)を集束する。
【0050】
図6に示す例において、入力光645(例えばVFL透過光345、443、又は543)は、波面WFによって概略的に表される波面を有する。波面WFについて、レンズL1及びL2は、それぞれ検出スポットDS1及びDS2として現れる像を検出器662上に生成する。1つの実施例において、検出器662は少なくとも1つの4セルフォトダイオード(quad cell photodiode)を含み得る。これは例えば、Hamamatsu Photonics(日本国静岡県)により製造されたモデルS5980分割型シリコンタイプPINフォトダイオードである。複数の4セルフォトダイオードによって高解像度の波面サンプリングを与え得るが、いくつかの実施例では、変調監視光路の中心光軸から離れて搭載された単一の4セルフォトダイオードによって、VFLレンズの変調を監視するために充分なサンプリングを与え得る。他の実施例において、検出器662は、少なくとも2つの個別の光検出器又は少なくとも1つの位置感知型検出器(position sensitive detector)を含み得る。いずれの場合であっても、検出スポットDS1及びDS2は、それぞれ基準位置RPから検出器662の表面に沿った距離SN1及びSN2にある。距離SN1とSN2との差FDSは、変調監視信号MMSを表すと見なすことができる。距離SN1及びSN2を測定する起点である基準位置RPは、任意に選択すればよい。
【0051】
当技術分野において既知のように、「平坦な」波面WFは、コリメートされている入力光645に対応する。波面WFが平坦である場合、検出スポットDS1及びDS2は、対応する個々のレンズの光軸に整合したノミナル値の「null」位置に現れ、変調監視信号MMSは、ノミナル値又は「null」値を有する。
【0052】
VFLレンズの様々な変調位相において、波面WFは平坦でない。図6に示す例では、入力光645は、湾曲波面WF’によって概略的に表される波面を有する。波面WF’について、レンズL1及びL2は、それぞれ検出スポットDS1’及びDS2’として現れる像を検出器662上に生成する。図示されている波面曲率の極性では、検出スポットDS1’及びDS2’は、null位置に現れる検出スポットDS1及びDS2よりも遠くに離れた位置に現れ、変調監視信号MMS’は、そのノミナル値又は「null」値よりも大きい。これに対して、反対の極性の曲率を有する波面(WF’’)では、検出スポット(DS1’’及びDS2’’)は、null位置に現れる検出スポットDS1及びDS2よりも近い位置に現れ、変調監視信号MMS2’’は、そのノミナル値又は「null」値よりも小さい。
【0053】
図6Bは、既知のタイプの軸方向合焦位置センサを含む光学検出器685’’を示す。これは方向性タイプのセンサであり、レンズ610、ビームスプリッタ612、第1のピンホール開口620A及び第1の光検出器625A、並びに第2のピンホール開口620B及び第2の光検出器625Bを含み得る。動作において、レンズ610は、入力光645(例えばVFL透過光345、443、又は543)が入力され、これを集束光ビーム615としてビームスプリッタ612の方へ透過させ、ビームスプリッタ612は、これを第1及び第2の測定ビーム615A及び615Bに分割する。図6Bに示すように、第1の開口620Aは、レンズ610までの光路長がレンズ610のノミナル値の焦点距離よりもわずかに短い位置に配置することができ、第2の開口620Bは、これよりもわずかに長い光路長を有するように位置付けることができる。このため、図6Bに示すように、第2の測定ビーム615Bが第2の開口620Bで概ね集束する場合、第2の光検出器625Bは、第2の測定ビーム615B内のエネルギを全て受け取り、最大値を有する第2の検出器信号を信号ライン626B上に出力する。同時に、第1の測定ビーム615Aの焦点は、第1の開口620Aまでの光路長を超えた所にある。従って、第1の開口620Aは第1の測定ビーム615Aの一部を遮り、第1の光検出器625Aは、信号ライン626B上の第2の検出器信号よりも小さい値を有する第1の検出器信号を信号ライン626A上に出力する。一般に、これら2つの検出器信号の差は入力光645の軸方向合焦位置に応じて変動し、軸方向合焦位置は、波面曲率に関連した光線のノミナル値の収束又は発散に依存する。
【0054】
本明細書に示される実施例は、主として、マシンビジョン検査システムの一部である撮像システムと共に用いられる変調監視システムに関連していることは認められよう。そのような実施例は例示であり、限定ではない。本明細書に開示される原理に従った変調監視システムを、当業者によって理解され得る他の適用例において撮像システムと共に用いることも可能である。
【0055】
本開示の好適な実施例について図示及び記載したが、本開示に基づいて、図示及び記載した特徴の構成及び動作のシーケンスにおける多数の変形が当業者には明らかであろう。開示される要素及び/又は動作の種々の代替的な形態及び組み合わせを用いて本明細書に開示した原理を実施してもよい。上述の様々な実施例を組み合わせて別の実施例を提供することも可能である。本明細書において言及した米国特許及び米国特許出願は全て援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。これらの様々な特許及び出願の概念を用いて更に別の実施例を提供するために必要な場合は、上述の実施例の態様は変更可能である。
【0056】
前述の記載に照らして、実施例に対してこれら及び他の変更を行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、用いる用語は本明細書及び特許請求の範囲に開示される特定の実施例に特許請求の範囲を限定するものとして解釈されず、そのような特許請求の範囲の権利が与えられる均等物の全範囲に加えて全ての可能な実施例を包含するものとして解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0057】
10…マシンビジョン検査システム、12…画像測定機、14…制御コンピュータシステム、16…ディスプレイ、18…プリンタ、20…ワークピース、22…ジョイスティック、24…キーボード、26…マウス、32…可動ワークピースステージ、34…光学撮像システム、100…マシンビジョン検査システム、120…制御システム部、125…制御部、130…入出力インタフェース、131…撮像制御インタフェース、132…移動制御インタフェース、132a…位置制御要素、132b…速度/加速度制御要素、133…照明制御インタフェース、133a…照明制御要素、136…ディスプレイデバイス、138…入力デバイス、140…メモリ、140ed…エッジ検出メモリ部、141…画像ファイルメモリ部、142…ワークピースプログラムメモリ部、143…ビデオツール部、143a…ビデオツール部、143af…自動合焦ビデオツール、143roi…関心領域生成器、170…ワークピースプログラム生成器及び実行器、190…電源部、200…ビジョン構成要素部、205…光学アセンブリ部、210…ワークピースステージ、212…透明部、220…透過照明光源、221…バス、222,232,242…光源光、230…落射照明光源、240…斜め照明光源、250…交換可能対物レンズ、255…ワークピース光、260…カメラ、262…信号ライン、VFL270…レンズ、271…レンズ制御部、271’…信号ライン、280…ターレットレンズアセンブリ、281…バス、284…軸、286,288…レンズ、290…ミラー、294…制御可能モータ、296…信号ライン、300…変調監視システム、310…撮像システム、320…ワークピース表面、320…ワークピース、330…光源、334…撮像光路、340…VFL透過光源、341…光生成器、342…コリメートレンズ、343…VFL透過光、344…変調監視光路、345…反射VFL透過光、346…波長依存リフレクタ、350…対物レンズ、351…チューブレンズ、352…リレーレンズ、355…画像光(ワークピース光)、360…カメラ、370…VFLレンズ、370A…前部、370B…後部、371…レンズ制御部、372…駆動信号生成器、372…タイミングクロック、372…駆動信号生成器、380…変調信号決定部、385…光学検出器、386…リレーレンズ、388,389…ビームスプリッタ、390…部分ミラー、395…制御バス、400…変調監視システム、410…撮像システム、440…VFLレンズ透過光源、441…光生成器、443…VFL透過光、444…変調監視光路、450…対物レンズ、455…画像光、460…カメラ、470…VFLレンズ、470A…前部、470B…後部、485…光学検出器、488,489…ビームスプリッタ、500…変調監視システム、510…撮像システム、540…VFL透過光源、541…光源、543…VFL透過光、544…変調監視光路、555…撮像光、570…VFLレンズ、571A…部分、580…変調信号決定部、585…学検出器、588,589…リフレクタ、610…レンズ、612…ビームスプリッタ、615…集束光ビーム、615A,615B…測定ビーム、620A,620B…ピンホール開口、625A,625B…光検出器、626A,626B…信号ライン、645…入力光、662…検出器、665…制御ライン、685’’…光学検出器
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B