IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社荏原製作所の特許一覧

特許7143187ポンプ装置の懸架方法、およびポンプ装置
<>
  • 特許-ポンプ装置の懸架方法、およびポンプ装置 図1
  • 特許-ポンプ装置の懸架方法、およびポンプ装置 図2
  • 特許-ポンプ装置の懸架方法、およびポンプ装置 図3
  • 特許-ポンプ装置の懸架方法、およびポンプ装置 図4
  • 特許-ポンプ装置の懸架方法、およびポンプ装置 図5
  • 特許-ポンプ装置の懸架方法、およびポンプ装置 図6
  • 特許-ポンプ装置の懸架方法、およびポンプ装置 図7
  • 特許-ポンプ装置の懸架方法、およびポンプ装置 図8
  • 特許-ポンプ装置の懸架方法、およびポンプ装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】ポンプ装置の懸架方法、およびポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 13/00 20060101AFI20220920BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
F04D13/00 Z
B64C39/02
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018212949
(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公開番号】P2020079579
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】能見 基彦
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/046973(WO,A2)
【文献】特開2006-233793(JP,A)
【文献】特開2018-131944(JP,A)
【文献】実開平05-078996(JP,U)
【文献】特開2001-115983(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107126651(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 27/00
B64C 27/08
B64C 39/02
F04D 1/00-13/16
F04D 17/00-19/02
F04D 21/00-25/16
F04D 29/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流れる導管の途中に配置されたポンプ装置の懸架方法であって、
前記液体の圧力を上昇させるための第1ポンプと、該第1ポンプの鏡像構造を有する第2ポンプとを有するポンプ装置を、前記導管の途中に配置し、
複数のドローンを前記導管に連結し、
前記複数のドローンを飛行させることにより、前記ポンプ装置を前記導管とともに懸架する工程を備え、
前記第1ポンプは、第1羽根車と、該第1羽根車を回転させる第1駆動機とを有しており、
前記第2ポンプは、第2羽根車と、該第2羽根車を回転させる第2駆動機とを有しており、
前記第1ポンプと前記第2ポンプは、前記導管の中心軸線に対して鏡面対称に配置されており、
前記第1駆動機の回転軸と前記第2駆動機の回転軸は、前記導管の中心軸線と平行に延びており、
前記第2ポンプの前記第2羽根車は、前記第1ポンプの前記第1羽根車とは逆向きに、該第1羽根車の回転速度と同一の回転速度で回転されることを特徴とする懸架方法。
【請求項2】
液体が流れる導管の途中に配置されたポンプ装置の懸架方法であって、
前記液体の圧力を上昇させるための第1ポンプと、該第1ポンプの鏡像構造を有する第2ポンプとを有するポンプ装置を、前記導管の途中に配置し、
複数のドローンを前記導管に連結し、
前記複数のドローンを飛行させることにより、前記ポンプ装置を前記導管とともに懸架する工程を備え、
前記第1ポンプは、第1羽根車と、該第1羽根車を回転させる第1駆動機とを有しており、
前記第2ポンプは、第2羽根車と、該第2羽根車を回転させる第2駆動機とを有しており、
前記第1ポンプと前記第2ポンプは、前記液体の流れ方向において、直列に配置されており、
前記第1駆動機の回転軸と前記第2駆動機の回転軸は、前記導管の中心軸線と平行に延びており、
前記第2ポンプの前記第2羽根車は、前記第1ポンプの前記第1羽根車とは逆向きに、該第1羽根車の回転速度と同一の回転速度で回転されることを特徴とする懸架方法。
【請求項3】
前記第2駆動機に接続される回転数調整器によって、前記第2羽根車の回転速度を調整することを特徴とする請求項1または2に記載の懸架方法。
【請求項4】
前記第2ポンプは、連結具を介して前記第1ポンプに連結されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の懸架方法。
【請求項5】
前記第1ポンプは、前記第1羽根車および前記第1駆動機を収容する第1ポンプケーシングをさらに有しており、
前記第2ポンプは、前記第2羽根車および前記第2駆動機を収容する第2ポンプケーシングをさらに有しており、
前記第2ポンプケーシングは、前記連結具を介して前記第1ポンプケーシングに連結されることを特徴とする請求項4に記載の懸架方法。
【請求項6】
前記第1ポンプは、前記第1羽根車および前記第1駆動機を収容する第1ポンプケーシングをさらに有しており、
前記第2ポンプは、前記第2羽根車および前記第2駆動機を収容する第2ポンプケーシングをさらに有しており、
前記第1ポンプケーシングおよび前記第2ポンプケーシングは、一つの統合ポンプケーシングとして一体化されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の懸架方法。
【請求項7】
前記第1ポンプは、前記第1羽根車を収容する第1ポンプケーシングを有しており、
前記第1駆動機は、前記第1ポンプケーシングの外部に配置されており、
前記第2ポンプは、前記第2羽根車を収容する第2ポンプケーシングを有しており、
前記第2駆動機は、前記第2ポンプケーシングの外部に配置されており、
前記第2駆動機は、前記連結具を介して前記第1駆動機に連結されていることを特徴とする請求項4に記載の懸架方法。
【請求項8】
前記第1駆動機および前記第2駆動機は、それぞれ、電動機であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の懸架方法。
【請求項9】
前記液体は消火液であり、前記導管は消火ホースであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の懸架方法。
【請求項10】
複数のドローンに連結される導管の途中に配置されるポンプ装置であって、
前記導管を流れる液体の圧力を上昇させるための第1ポンプと、該第1ポンプの鏡像構造を有する第2ポンプとを備え、
前記第1ポンプは、第1羽根車と、該第1羽根車を回転させる第1駆動機とを有しており、
前記第2ポンプは、第2羽根車と、該第2羽根車を回転させる第2駆動機とを有しており、
前記第1ポンプと前記第2ポンプは、前記導管の中心軸線に対して鏡面対称に配置されており、
前記第1駆動機の回転軸と前記第2駆動機の回転軸は、前記導管の中心軸線と平行に延びており、
前記第2ポンプの前記第2羽根車は、前記第1ポンプの前記第1羽根車とは逆向きに、該第1羽根車の回転速度と同一の回転速度で回転されることを特徴とするポンプ装置。
【請求項11】
複数のドローンに連結される導管の途中に配置されるポンプ装置であって、
前記導管を流れる液体の圧力を上昇させるための第1ポンプと、該第1ポンプの鏡像構造を有する第2ポンプとを備え、
前記第1ポンプは、第1羽根車と、該第1羽根車を回転させる第1駆動機とを有しており、
前記第2ポンプは、第2羽根車と、該第2羽根車を回転させる第2駆動機とを有しており、
前記第1ポンプと前記第2ポンプは、前記液体の流れ方向において、直列に配置されており、
前記第1駆動機の回転軸と前記第2駆動機の回転軸は、前記導管の中心軸線と平行に延びており、
前記第2ポンプの前記第2羽根車は、前記第1ポンプの前記第1羽根車とは逆向きに、該第1羽根車の回転速度と同一の回転速度で回転されることを特徴とするポンプ装置。
【請求項12】
前記第2ポンプは、前記第2駆動機に接続され、前記第2羽根車の回転速度を調整する回転数調整器をさらに備えることを特徴とする請求項10または11に記載のポンプ装置。
【請求項13】
前記第1ポンプと前記第2ポンプとを互いに連結する連結具をさらに備えることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項14】
前記第1ポンプは、前記第1羽根車および前記第1駆動機を収容する第1ポンプケーシングをさらに有しており、
前記第2ポンプは、前記第2羽根車および前記第2駆動機を収容する第2ポンプケーシングをさらに有しており、
前記連結具は、前記第1ポンプケーシングと前記第2ポンプケーシングとを互いに連結することを特徴とする請求項13に記載のポンプ装置。
【請求項15】
前記第1ポンプは、前記第1羽根車および前記第1駆動機を収容する第1ポンプケーシングをさらに有しており、
前記第2ポンプは、前記第2羽根車および前記第2駆動機を収容する第2ポンプケーシングをさらに有しており、
前記第1ポンプケーシングおよび前記第2ポンプケーシングは、一つの統合ポンプケーシングとして一体化されていることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項16】
前記第1ポンプは、前記第1羽根車を収容する第1ポンプケーシングを有しており、
前記第1駆動機は、前記第1ポンプケーシングの外部に配置されており、
前記第2ポンプは、前記第2羽根車を収容する第2ポンプケーシングを有しており、
前記第2駆動機は、前記第2ポンプケーシングの外部に配置されており、
前記第2駆動機は、前記連結具を介して前記第1駆動機に連結されていることを特徴とする請求項13に記載のポンプ装置。
【請求項17】
前記第1駆動機と前記第2駆動機は、それぞれ、電動機であることを特徴とする請求項10乃至16のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項18】
前記液体は消火液であり、前記導管は消火ホースであることを特徴とする請求項10乃至17のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のドローンに連結されたホースまたはチューブなどの導管の途中に配置されたポンプ装置の懸架方法に関する。さらに、本発明は、複数のドローンに連結された導管の途中に配置されるポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高層ビルなどの高層建築物の数が増加している。このような高層建築物で火災が発生すると、大きな人的被害および経済被害が発生するおそれがある。特に、はしご車で放水可能な高さ以上の高層フロアで火災が発生した際には、迅速な消火活動を行うことができずに、大きな人的被害および経済被害が発生するリスクが高い。
【0003】
ここで、空中または水中あるいはその両方の領域を移動する無人移動体として定義されるドローンは、撮影もしくは監視、点検もしくは検査、計測などの様々な分野で広く用いられている。ドローンは、あらかじめ設定された目的によって自律的に運動するか、無線(電波、可視光、あらゆる波長帯のレーザー光、音波、超音波のいずれか、あるいはこれらの複合)を用いて人間である操縦者によって操縦されるか、無線を通じた外部の制御装置(コンピュータを含む)によって制御される。
【0004】
そこで、高層フロアなどの高所で火災が発生した際に、消火ホースのノズルに連結されたトップドローンを含む複数のドローンによって消火ホースを懸架しつつ、消火ホースのノズルを火災発生箇所付近まで飛行させることが望まれている。消火ホースは、消火液が流れる導管である。無人移動体であるドローンによって、消火ホースのノズルを火災が発生している高層フロア付近まで搬送することができれば、安全かつ迅速に消火活動を行うことができる。
【0005】
さらに、巨大地震などの災害が発生すると、高層建築物に断水が発生することがある。この場合、高層建築物の住人(特に、高層フロアの住人)が十分な量の水を確保できないおそれがある。水は人間の生命活動を維持するために必要不可欠な物質である。そこで、ホースまたはチューブなどの導管を複数のドローンによって懸架し、該導管の先端に連結されるドローンを所望のフロアまで飛行させて、高層建築物の住人に導管を介して水を供給することが望まれている。
【0006】
このように、複数のドローンによって懸架される導管の先端を所望の場所まで搬送し、該導管を介して液体を所望の場所に供給する技術が注目されている。導管の末端は、地上に配置された送液装置(例えば、消防車、またはポンプ装置)に連結され、該送液装置を駆動することによって、液体が導管を通って所望の場所に搬送される。
【0007】
液体を所望の場所まで確実に搬送するために、送液装置から延びる導管の途中にポンプ装置を配置することがある。ポンプ装置は、導管内を流れる液体の圧力を上昇させるために用いられる。図9は、導管の途中に配置された従来のポンプ装置の一例を示す模式図である。図9に示される導管210は、複数のドローン206によって懸架されている。ポンプ装置240は、導管210の拡径部210aに挿入されており、複数の固定具(例えば、リブ)245によって導管210の内面に固定されている。ポンプ装置240の駆動機(例えば、電動機)241を駆動すると、羽根車242が回転し、導管210を流れる液体の圧力が上昇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第9,387,928号公報
【文献】特開2012-51545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ポンプ装置240の羽根車242を回転させると、導管210には羽根車242の回転方向(図9の矢印R’参照)とは逆方向のトルク(図9の矢印T’参照)がかかり、導管210がねじれてしまうという問題が発生する。導管210がねじれないように各ドローン206を飛行させるためには、各ドローン206に大きな推力発生装置を搭載する必要がある。その結果、導管210を懸架する各ドローン206が大型化してしまう。
【0010】
あるいは、導管210の外面(例えば、拡径部210aの外面)に板体を固定し、該板体の空気抵抗を利用して、導管210にかかるトルクを打ち消す方法も考えられる。しかしながら、この場合も、ポンプ装置240の出力に応じて、板体が大型化してしまうので、導管210を懸架する各ドローン206も大型化してしまう。
【0011】
そこで、本発明は、ポンプ装置が配置された導管がねじれてしまうことを防止できるポンプ装置の懸架方法を提供することを目的とする。また、本発明は、ドローンによって懸架される導管の途中に配置されるポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、液体が流れる導管の途中に配置されたポンプ装置の懸架方法であって、前記液体の圧力を上昇させるための第1ポンプと、該第1ポンプの鏡像構造を有する第2ポンプとを有するポンプ装置を、前記導管の途中に配置し、複数のドローンを前記導管に連結し、前記複数のドローンを飛行させることにより、前記ポンプ装置を前記導管とともに懸架する工程を備え、前記第1ポンプは、第1羽根車と、該第1羽根車を回転させる第1駆動機とを有しており、前記第2ポンプは、第2羽根車と、該第2羽根車を回転させる第2駆動機とを有しており、前記第1ポンプと前記第2ポンプは、前記導管の中心軸線に対して鏡面対称に配置されており、前記第1駆動機の回転軸と前記第2駆動機の回転軸は、前記導管の中心軸線と平行に延びており、前記第2ポンプの前記第2羽根車は、前記第1ポンプの前記第1羽根車とは逆向きに、該第1羽根車の回転速度と同一の回転速度で回転されることを特徴とする懸架方法である。
【0013】
本発明の他の態様は、液体が流れる導管の途中に配置されたポンプ装置の懸架方法であって、前記液体の圧力を上昇させるための第1ポンプと、該第1ポンプの鏡像構造を有する第2ポンプとを有するポンプ装置を、前記導管の途中に配置し、複数のドローンを前記導管に連結し、前記複数のドローンを飛行させることにより、前記ポンプ装置を前記導管とともに懸架する工程を備え、前記第1ポンプは、第1羽根車と、該第1羽根車を回転させる第1駆動機とを有しており、前記第2ポンプは、第2羽根車と、該第2羽根車を回転させる第2駆動機とを有しており、前記第1ポンプと前記第2ポンプは、前記液体の流れ方向において、直列に配置されており、前記第1駆動機の回転軸と前記第2駆動機の回転軸は、前記導管の中心軸線と平行に延びており、前記第2ポンプの前記第2羽根車は、前記第1ポンプの前記第1羽根車とは逆向きに、該第1羽根車の回転速度と同一の回転速度で回転されることを特徴とする懸架方法である。
【0014】
本発明の好ましい態様は、前記第2駆動機に接続される回転数調整器によって、前記第2羽根車の回転速度を調整することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第2ポンプは、連結具を介して前記第1ポンプに連結されることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第1ポンプは、前記第1羽根車および前記第1駆動機を収容する第1ポンプケーシングをさらに有しており、前記第2ポンプは、前記第2羽根車および前記第2駆動機を収容する第2ポンプケーシングをさらに有しており、前記第2ポンプケーシングは、前記連結具を介して前記第1ポンプケーシングに連結されることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第1ポンプは、前記第1羽根車および前記第1駆動機を収容する第1ポンプケーシングをさらに有しており、前記第2ポンプは、前記第2羽根車および前記第2駆動機を収容する第2ポンプケーシングをさらに有しており、前記第1ポンプケーシングおよび前記第2ポンプケーシングは、一つの統合ポンプケーシングとして一体化されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第1ポンプは、前記第1羽根車を収容する第1ポンプケーシングを有しており、前記第1駆動機は、前記第1ポンプケーシングの外部に配置されており、前記第2ポンプは、前記第2羽根車を収容する第2ポンプケーシングを有しており、前記第2駆動機は、前記第2ポンプケーシングの外部に配置されており、前記第2駆動機は、前記連結具を介して前記第1駆動機に連結されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の好ましい態様は、前記第1駆動機および前記第2駆動機は、それぞれ、電動機であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記液体は消火液であり、前記導管は消火ホースであることを特徴とする。
【0016】
本発明の他の態様は、複数のドローンに連結される導管の途中に配置されるポンプ装置であって、前記導管を流れる液体の圧力を上昇させるための第1ポンプと、該第1ポンプの鏡像構造を有する第2ポンプとを備え、前記第1ポンプは、第1羽根車と、該第1羽根車を回転させる第1駆動機とを有しており、前記第2ポンプは、第2羽根車と、該第2羽根車を回転させる第2駆動機とを有しており、前記第1ポンプと前記第2ポンプは、前記導管の中心軸線に対して鏡面対称に配置されており、前記第1駆動機の回転軸と前記第2駆動機の回転軸は、前記導管の中心軸線と平行に延びており、前記第2ポンプの前記第2羽根車は、前記第1ポンプの前記第1羽根車とは逆向きに、該第1羽根車の回転速度と同一の回転速度で回転されることを特徴とするポンプ装置である。
【0017】
本発明の他の態様は、複数のドローンに連結される導管の途中に配置されるポンプ装置であって、前記導管を流れる液体の圧力を上昇させるための第1ポンプと、該第1ポンプの鏡像構造を有する第2ポンプとを備え、前記第1ポンプは、第1羽根車と、該第1羽根車を回転させる第1駆動機とを有しており、前記第2ポンプは、第2羽根車と、該第2羽根車を回転させる第2駆動機とを有しており、前記第1ポンプと前記第2ポンプは、前記液体の流れ方向において、直列に配置されており、前記第1駆動機の回転軸と前記第2駆動機の回転軸は、前記導管の中心軸線と平行に延びており、前記第2ポンプの前記第2羽根車は、前記第1ポンプの前記第1羽根車とは逆向きに、該第1羽根車の回転速度と同一の回転速度で回転されることを特徴とするポンプ装置である。
【0018】
本発明の好ましい態様は、前記第2ポンプは、前記第2駆動機に接続され、前記第2羽根車の回転速度を調整する回転数調整器をさらに備えることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ポンプ装置は、前記第1ポンプと前記第2ポンプとを互いに連結する連結具をさらに備えることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第1ポンプは、前記第1羽根車および前記第1駆動機を収容する第1ポンプケーシングをさらに有しており、前記第2ポンプは、前記第2羽根車および前記第2駆動機を収容する第2ポンプケーシングをさらに有しており、前記連結具は、前記第1ポンプケーシングと前記第2ポンプケーシングとを互いに連結することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第1ポンプは、前記第1羽根車および前記第1駆動機を収容する第1ポンプケーシングをさらに有しており、前記第2ポンプは、前記第2羽根車および前記第2駆動機を収容する第2ポンプケーシングをさらに有しており、前記第1ポンプケーシングおよび前記第2ポンプケーシングは、一つの統合ポンプケーシングとして一体化されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第1ポンプは、前記第1羽根車を収容する第1ポンプケーシングを有しており、前記第1駆動機は、前記第1ポンプケーシングの外部に配置されており、前記第2ポンプは、前記第2羽根車を収容する第2ポンプケーシングを有しており、前記第2駆動機は、前記第2ポンプケーシングの外部に配置されており、前記第2駆動機は、前記連結具を介して前記第1駆動機に連結されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の好ましい態様は、前記第1駆動機と前記第2駆動機は、それぞれ、電動機であることを特徴とすることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記液体は消火液であり、前記導管は消火ホースであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、第1ポンプの第1羽根車が回転することにより導管に作用するトルクを、第2ポンプの第2羽根車が回転することにより導管に作用するトルクによって打ち消すことができる。その結果、ポンプ装置が配置された導管のねじれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、一実施形態に係るポンプ装置が配置された消火ホースを用いて高層ビルに発生した火災を消火している様子を示す模式図である。
図2図2は、図1に示すポンプ装置を拡大して示す模式図である。
図3図3は、図2に示すポンプ装置の変形例を示す模式図である。
図4図4は、図2に示すポンプ装置の他の変形例を示す模式図である。
図5図5は、図2に示すポンプ装置のさらに他の変形例を示し模式図である。
図6図6は、図1に示すポンプ装置の変形例を示す模式図である。
図7図7は、図6に示すポンプ装置の変形例を示す模式図である。
図8図8は、図6に示すポンプ装置の他の変形例を示す模式図である。
図9図9は、導管の途中に配置された従来のポンプ装置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1乃至図8において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、一実施形態に係るポンプ装置が配置された消火ホースを用いて高層ビルに発生した火災を消火している様子を示す模式図である。図1には、消火ホース10および消火ホース10の途中に配置されたポンプ装置40を含む消火システム100が描かれており、この消火システム100は、高層ビルなどの高層建築物105の火災を消火するために用いられる。
【0023】
図1に示すように、消火システム100は、消火液を噴射するノズル11を有する消火ホース(導管)10と、該消火ホース10に連結される消防車(送液装置)2と、有線ケーブル4によって直列に連結された複数のドローン1,6と、複数のドローン1,6を飛行させる動力または燃料を、有線ケーブル4を介して複数のドローン1,6に供給する動力供給装置3と、を含んでいる。本実施形態では、複数のドローンは、ノズル11に連結されるトップドローン1と、少なくとも1つの(図1では、3つの)中継ドローン6とを含んでいる。トップドローン1および中継ドローン6は、有線ケーブル4によって直列に連結されている。すなわち、トップドローン1および中継ドローン6は、複数の有線ケーブル4によって鎖状に接続されている。
【0024】
トップドローン1は、ワイヤなどの吊り具21を介して消火ホース10のノズル11に連結されている。さらに、トップドローン1は、回転翼1Rを有しており、回転翼1Rは、トップドローン1を飛行させる推力を発生する推力発生機構として機能する。一実施形態では、吊り具21を省略して、ノズル11を直接トップドローン1に接続してもよい。
【0025】
各中継ドローン6は、ワイヤなどの連結具17を介して消火ホース10の途中に連結される。各中継ドローン6も、回転翼6Rを有しており、回転翼6Rは、中継ドローン6を飛行させる推力を発生する推力発生機構として機能する。このように、消火液が流れる導管である消火ホース10は、複数のドローン(すなわち、トップドローン1と中継ドローン6)に連結されている。複数のドローン1,6を飛行させると、消火ホース10は、複数のドローン1,6に懸架される。
【0026】
図1に示される動力供給装置3は、電源12を含んでいる。この電源12の種類は任意であり、例えば、電池、蓄電池、コンデンサー、燃料電池等のあらゆる種類の電源を動力供給装置3に搭載することができる。図示した例では、動力供給装置3は、消防車2に収容されている。一実施形態では、商用電源(図示せず)を動力供給装置3に接続してもよい。この場合、商用電源から供給される電力が、動力供給装置3および有線ケーブル4を介してトップドローン1および各中継ドローン6に供給される。あるいは、発電装置(図示せず)を設置して、該発電装置から電力を動力供給装置3に供給してもよい。
【0027】
図示した例では、動力供給装置3は、消防車2に収容されているが、本実施形態は、この例に限定されない。すなわち、動力供給装置3を消防車2の外部(例えば、消防車2の近傍に)に配置してもよい。この場合、消防車2の近傍に配置された発電装置を、動力供給装置3として用いてもよい。
【0028】
さらに、消火システム100は、トップドローン1および各中継ドローン6の動作、および動力供給装置3の動作を制御する制御装置8を備えている。制御装置8は、例えば、人間である操縦者によって操作される操縦器であってもよいし、トップドローン1および各中継ドローン6の動作を制御するためのプログラムを格納するコンピュータであってもよい。トップドローン1および各中継ドローン6は、制御装置8から発信される制御信号に基づいて無線で動作する。一実施形態では、制御装置8は、有線ケーブル4を介して制御信号をトップドローン1および各中継ドローン6に送信してもよい。図示した例では、制御装置8も消防車2に収容されている。一実施形態では、制御装置8を、消防車2の外部(例えば、消防車2の近傍)に配置してもよい。
【0029】
図1に示される消防車2は、消火液を消火ホース10に供給する送液装置として機能する。消防車2は、消火液を圧送するためのポンプ(図示せず)を有している。消火液の例としては、水、化学消火剤などが挙げられる。本実施形態では、消火液は、貯水槽60に貯留された水である。消火液が水の場合は、消防車2は、水を貯留するタンクを有していてもよいし、消火栓(図示せず)に連結されてもよい。消火液が化学消火剤の場合は、消防車2は、化学消火剤を貯留するタンクを有する。
【0030】
図示はしないが、消火液を消火ホース10に供給する送液装置を、消防車2の外部(例えば、近傍)に配置し、該送液装置を消防車2に連結してもよい。このような送液装置は、例えば、貯水槽60に貯留された水を圧送可能なポンプ装置である。あるいは、消防車2を省略して、ポンプ装置などの送液装置を直接貯水槽60または消火栓に連結してもよい。消防車2が省略される場合、上記動力供給装置3および上記制御装置8は、送液装置の近傍に配置されるのが好ましい。
【0031】
図1に示される消火システム100によれば、消火ホース10は、無人移動体であるトップドローン1および各中継ドローン6によって懸架される。さらに、トップドローン1に連結された消火ホース10のノズル11を火災の発生箇所の付近に搬送することができる。したがって、安全かつ迅速に消火活動を実施することができる。さらに、トップドローン1および各中継ドローン6には、動力供給装置3から有線ケーブル4を介して常に電力が供給されるので、トップドローン1および各中継ドローン6に動力源を搭載する必要がない。したがって、トップドローン1および各中継ドローン6には、飛行時間に対する制約がないので、トップドローン1および各中継ドローン6を、火災が完全に消し止められるまで飛行させることができる。
【0032】
さらに、制御装置8は、トップドローン1の動作と各中継ドローン6の動作を互いに独立して制御する。したがって、制御装置8は、有線ケーブル4によって直列に連結されるトップドローン1および各中継ドローン6を、あたかも多関節の1つのロボットアームのように機能させることができる。その結果、消火ホース(導管)10および有線ケーブル4が天然の物体(例えば、木)や人工の物体(例えば、電線)に引っ掛かることなく、また絡まることがない。
【0033】
図1に示す消火システム100では、トップドローン1の推力発生機構は、回転翼1Rであるが、本実施形態は、この例に限定されない。例えば、トップドローン1は、回転翼1Rの代わりに、電力によって回転するロータ(図示せず)を有していてもよい。あるいは、トップドローン1は、回転翼1Rまたはロータを回転させる内燃機関(図示せず)を有していてもよい。この場合、動力供給装置3は、トップドローン1の内燃機関に燃料を供給するためのポンプ装置を含む。さらに、トップドローン1の推力発生機構は、ジェットエンジン、気体ロケットエンジン、固体ロケットエンジン、液体ロケットエンジンなどのエンジン(図示せず)であってもよいし、加圧流体(例えば、圧縮空気、加圧水など)を下向きに噴射する噴射ノズル(図示せず)であってもよい。トップドローン1の推力発生機構がエンジンの場合は、動力供給装置3は、トップドローン1に燃料を供給するためのポンプ装置を含み、トップドローン1の推力発生機構が噴射ノズルの場合は、動力供給装置3は、トップドローン1に加圧流体を供給するためのポンプ装置を含む。
【0034】
同様に、中継ドローン6の推力発生機構は、ロータであってもよいし、エンジンであってもよいし、噴射ノズルであってもよい。さらに、中継ドローン6の推力発生機構は、トップドローン1の推力発生機構と同一であってもよいし、異なっていてもよい。当然に、各中継ドローン6の推力発生機構は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0035】
一実施形態では、複数の有線ケーブル4および動力供給装置3を省略し、トップドローン1および各中継ドローン6に電源、または燃料タンクなどの動力源を搭載してもよい。この場合、消火活動が所定時間実施された後で、トップドローン1および各中継ドローン6を地上に回収し、動力源を載せ替える。あるいは、動力源が電源の場合は、電源に充電してもよい。動力源が燃料タンクの場合は、該燃料タンクに燃料を補給する。
【0036】
図1に示すように、消火ホース(導管)10の途中には、ポンプ装置(中継ポンプ装置)40が配置されている。ポンプ装置40は、消火液を確実に火災発生箇所に到達させるために、消火ホース10内を流れる消火液の圧力を上昇させるために用いられる。図示した例では、1つのポンプ装置40が消火ホース10の途中に配置されているが、複数のポンプ装置40を消火ホース10の途中に配置してもよい。上述したように、消火ホース10は、飛行する複数のドローン1,6によって懸架される。ポンプ装置40は、消火ホース10の途中に配置されているので、複数のドローン1,6を飛行させると、ポンプ装置40は、消火ホース10とともに複数のドローン1,6に懸架される。
【0037】
図2は、図1に示すポンプ装置40を拡大して示す模式図である。図2に示すように、ポンプ装置40は、第1ポンプ50と第2ポンプ70とを有する。消火ホース10は、該消火ホース10内の消火液(液体)の流れ方向において、ポンプ装置40の上流側で2つの分岐管BP1,BP2に分岐し、第1ポンプ50と第2ポンプ70とは、それぞれ、分岐管BP1,BP2に配置されている。分岐管BP1,BP2は、ポンプ装置40の下流側で合流する。本実施形態では、第1ポンプ50と第2ポンプ70は、消火ホース10内の消火液の流れ方向において、並列に配置されている。以下の説明では、分岐管BP1を「第1分岐管BP1」と称することがあり、分岐管BP2を「第2分岐管BP2」と称することがある。
【0038】
第1ポンプ50は、第1羽根車52と、該第1羽根車52を回転させる第1駆動機51と、を備える。図2に示す例では、第1駆動機51の回転軸の先端に第1羽根車52が固定されている。第1駆動機51を駆動すると、第1駆動機51の回転軸に固定された第1羽根車52が所定の回転方向(図2の矢印R1参照)に回転する。本実施形態では、第1駆動機51は電動機であり、第1駆動機51に電力を供給するための電力線(図示せず)が該第1駆動機51に接続されている。一実施形態では、第1駆動機51は、羽根車52を回転させる内燃機関であってもよいし、羽根車52を回転させるガスタービンであってもよい。第1駆動機51が内燃機関である場合は、第1駆動機51に燃料が供給される。第1駆動機51がガスタービンである場合は、第1駆動機51にガスが供給される。
【0039】
図示した例では、第1ポンプ50は、さらに、第1羽根車52および第1駆動機51を収容する第1ポンプケーシング57を備える。第1ポンプケーシング57は、第1分岐管BP1の途中に配置されている。
【0040】
第1ポンプケーシング57内を流れる消火液が第1駆動機51に到達しないように、第1駆動機51は、液密構造を有する第1駆動機ケーシング53に収容されている。本実施形態では、第1駆動機ケーシング53は、該第1駆動機ケーシング53の外面に取り付けられた複数の第1固定具(例えば、リブ)55によって、第1ポンプケーシング57の内面に固定される。
【0041】
第1駆動機51を駆動して、第1羽根車52を矢印R1の方向に回転させると、第1分岐管BP1を流れる液体の圧力が上昇する。一方で、第1羽根車52が回転すると、消火ホース10が矢印R1とは逆方向にねじれてしまう。そこで、ポンプ装置40は、第1羽根車52の回転により消火ホース10に作用するトルクを打ち消すために、分岐管BP2に配置され、かつ第1ポンプ50の鏡像構造を有する第2ポンプ70を有する。
【0042】
本明細書において、「鏡像構造」とは、完全に面対称をなす2つの物体間の関係を表す。すなわち、「第2ポンプ70が第1ポンプ50の鏡像構造を有する」との記載は、第2ポンプ70が第1ポンプ50の構造を平面鏡に反射させることにより得られる構造を有しており、言い換えれば、該平面鏡に対して第1ポンプ50の構造と完全に面対称な構造を有することを意味する。この場合、第2ポンプ70の各構成要素(例えば、後述する第2羽根車72、第2駆動機71、第2ポンプケーシング77など)は、第1ポンプ50の対応する構成要素(例えば、第1羽根車52、第1駆動機51、第1ポンプケーシング57など)と同一の大きさを有するが、完全に面対称である構造を有する。
【0043】
図2に示すように、第1ポンプ50と、該第1ポンプ50の鏡像構造を有する第2ポンプ70は、消火ホース(導管)10の中心軸線CLに対して鏡面対称に配置される。第1分岐管BP1と第2分岐管Bも、消火ホース(導管)10の中心軸線CLに対して鏡面対称の関係にある。
【0044】
第2ポンプ70は、第1羽根車52の鏡像構造を有する第2羽根車72と、第1駆動機71の鏡像構造を有し、第2羽根車72を回転させる第2駆動機71と、を備える。さらに、第2ポンプ70は、第1ポンプケーシング57と鏡像構造を有する第2ポンプケーシング77を備える。第2ポンプケーシング77は、第2分岐管BP2の途中に配置されており、第2羽根車72および第2駆動機71は、第2ポンプケーシング77に収容されている。第2羽根車72は、第2駆動機71の回転軸の先端に固定されており、第1羽根車52の回転方向R1と逆向き(図2の矢印R2参照)に、該第1羽根車の回転速度と同一の回転速度で回転する。第2駆動機71は電動機であり、第2駆動機71に電力を供給するための電力線(図示せず)が該第2駆動機71に接続される。なお、中心軸線CLから第1駆動機51の回転軸までの距離D1は、中心軸線CLから第2駆動機71の回転軸までの距離D2と等しい。第1電動機51と同様に、第2電動機71は、第2羽根車72を回転させる内燃機関であってもよいし、第2羽根車72を回転させるガスタービンであってもよい。
【0045】
さらに、第2ポンプケーシング77内を流れる消火液が第2駆動機71に到達しないように、第2駆動機71は、液密構造を有する第2駆動機ケーシング73に収容されている。第2駆動機ケーシング73も、第1ポンプ50の第1駆動機ケーシング53の鏡像構造を有する。本実施形態では、第2駆動機ケーシング73は、該第2駆動機ケーシング73の外面に取り付けられた複数の第2固定具(例えば、リブ)75によって、第2ポンプケーシング77の内面に固定されている。
【0046】
第2ポンプ70は、好ましくは、少なくとも一つの連結具47によって第1ポンプ50に連結される。本実施形態では、連結具47は、第2ポンプケーシング77の上面および下面から第1ポンプケーシング57の上面および下面までそれぞれ延びる2つの板上部材(例えば、フランジ)である。一実施形態では、連結具47は、第2ポンプケーシング77の側面から第1ポンプケーシング57の側面まで延びる棒状部材であってもよい。この場合、一本の棒状部材で第2ポンプケーシング77を第1ポンプケーシング57に連結してもよいし、複数の棒状部材で第2ポンプケーシング77を第1ポンプケーシング57に連結してもよい。
【0047】
第2駆動機71を駆動すると、第2羽根車72は矢印R2の方向に回転する。第2羽根車の回転方向R2は、第1羽根車52の回転方向R1の回転方向とは逆向きである。第2羽根車72を回転させることにより、第2分岐管BP2を流れる消火液の圧力が上昇する。
【0048】
第2羽根車72の回転速度は、第1羽根車52の回転速度と同一に設定される。そのため、第2ポンプ70の揚程は、第1ポンプ50の揚程と同一である。一実施形態では、第1駆動機51および第2駆動機71を制御装置8(図1参照)に接続してもよい。この場合、制御装置8は、第1羽根車52の回転速度と、第2羽根車72の回転速度とが互いに同一となるように、第1駆動機51および第2駆動機71の動作を制御する。
【0049】
本実施形態によれば、第2ポンプ70は、第1ポンプ50の鏡像構造を有し、第1ポンプ50および第2ポンプ70は、消火ホース10の中心軸線CLに対して鏡面対称に配置される。さらに、第2ポンプ70の第2羽根車72は、第1ポンプ50の第1羽根車52の回転方向とは逆向きに、第1羽根車52の回転速度と同一の回転速度で回転する。したがって、第2羽根車72が回転することにより生じるトルクは、第1羽根車52が回転することにより生じるトルクと同一の大きさで、該トルクと逆向きに消火ホース10に作用する。したがって、第1羽根車52の回転により消火ホース10に作用するトルクは、第2羽根車72の回転により消火ホース10に作用するトルクによって打ち消される。その結果、ポンプ装置40が配置された消火ホース(導管)10のねじれを防止することができる。
【0050】
図2に示すように、第2ポンプ70は、第2駆動機71に接続され、第2羽根車72の回転速度を調整する回転数調整器76を有していてもよい。さらに、第1ポンプ50は、第1駆動機51に接続され、第1羽根車52の回転速度を調整する回転数調整器56を有していてもよい。以下の説明では、回転数調整器56を、「第1回転数調整器56」と称することがあり、回転数調整器76を、「第2回転数調整器76」と称することがある。ポンプ装置40は、第1回転数調整器56および第2回転数調整器76の両方を有していてもよいし、これら回転数調整器56,76のいずれか一方を有していてもよい。図2に示す例では、第1回転数調整器56および第2回転数調整器76は、第1駆動機ケーシング53および第2駆動機ケーシング73内にそれぞれ配置されているが、第1回転数調整器56および/または第2回転数調整器76を制御装置8(図1参照)に配置してもよい。
【0051】
さらに、本明細書において、ポンプ装置40が回転数調整器56,76のいずれか一方を有している場合、「第2ポンプ70は第1ポンプ50の鏡像構造を有する」との記載は、「第2ポンプ70は、第2回転数調整器76を備えている(または、第1回転数調整器56に対応する回転数調整器を備えていない)ことを除いて、第1ポンプ50の鏡像構造を有する」と読み替えられる。
【0052】
本実施形態では、消火ホース10にねじれが発生することを防止するために、第1ポンプ50によって消火ホース10に作用するトルクを、第2ポンプ70によって消火ホース10に作用するトルクで打ち消すことが重要である。そのため、第2ポンプ70は、第1ポンプ50の鏡像構造を有しており、第1ポンプ50および第2ポンプ70を、消火ホース10の中心軸線CLに対して鏡面対称に配置させている。
【0053】
しかしながら、第1ポンプ50と第2ポンプ70との間に、製作誤差および組立誤差が生じることがある。そのため、第2ポンプの回転速度を第1ポンプの回転速度と同一に設定または制御しても、第2ポンプ70によって消火ホース10に作用するトルクの大きさが第1ポンプ50によって消火ホース10に作用するトルクの大きさと若干異なるおそれがある。したがって、第1回転数調整器56および/または第2回転数調整器76によって、第1ポンプ50および/または第2ポンプ70の回転速度を微調整することにより、消火ホース10にねじれが発生することを防止するのが好ましい。本明細書において、「第2ポンプ70の回転速度が第1ポンプ50の回転速度と同一である」との記載は、第1回転数調整器56および/または第2回転数調整器76によって、第1ポンプ50および/または第2ポンプ70の回転速度を微調整することも含む概念である。
【0054】
第1ポンプ50の第1固定具55は、第1羽根車52の回転により生じた消火液の旋回流を減速させる案内羽根の機能を有するのが好ましい。同様に、第2ポンプ70の第2固定具75は、第2羽根車72の回転により生じた消火液の旋回流を減速させる案内羽根の機能を有するのが好ましい。このような第1固定具55および第2固定具75によって、消火ホース10にかかるトルクの大きさを軽減することができる。
【0055】
図3は、図2に示すポンプ装置40の変形例を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図2に示すポンプ装置40の構成と同一であるため、その重複する説明を省略する。
【0056】
図3に示すポンプ装置40は、第1ポンプ50の第1ポンプケーシング57および第2ポンプ70の第2ポンプケーシング77が一体化された統合ポンプケーシング90を備えている。より具体的には、統合ポンプケーシング90は、該統合ポンプケーシング90を2つのチャンバに仕切る隔壁91を有しており、隔壁91によって仕切られた一方のチャンバが第1羽根車52と、第1羽根車52を回転させる第1駆動機51を収容する第1ポンプケーシング57を構成し、他方のチャンバが第2羽根車72と、第2羽根車72を回転させる第2駆動機71を収容する第2ポンプケーシング77を構成する。本実施形態では、隔壁91は、統合ポンプケーシング90の上壁から底壁まで延びており、2つのチャンバ(すなわち、第1ポンプケーシング57および第2ポンプケーシング77)は、消火ホース10内の消火液の流れ方向において並列に配置される。
【0057】
本実施形態でも、第2ポンプ70は、第1ポンプ50の鏡像構造を有し、第1ポンプ50および第2ポンプ70は、消火ホース10の中心軸線CLに対して鏡面対称に配置される。したがって、図3に示すように、複数のドローン1,6が、消火ホース10が鉛直方向に延びるように該消火ホース10を懸架すると、上記隔壁91は、中心軸線CL上に位置する。隔壁91(すなわち、中心軸線CL)から第1駆動機51の回転軸までの距離D1は、隔壁91(すなわち、中心軸線CL)から第2駆動機71の回転軸までの距離D2と等しい。さらに、第2ポンプ70の第2羽根車72は、第1ポンプ50の第1羽根車52の回転方向とは逆向きに、第1羽根車52の回転速度と同一の回転速度で回転する。
【0058】
このような構成のポンプ装置40でも、第1羽根車52の回転により消火ホース10にかかるトルクを、第2羽根車72の回転により消火ホース10にかかるトルクによって打ち消すことができる。その結果、ポンプ装置40が配置された消火ホース(導管)10のねじれを防止することができる。
【0059】
さらに、本実施形態でも、第1ポンプ50の第1固定具55は、第1羽根車52の回転により生じた消火液の旋回流を減速させる案内羽根の機能を有するのが好ましい。同様に、第2ポンプ70の第2固定具75は、第2羽根車72の回転により生じた消火液の旋回流を減速させる案内羽根の機能を有するのが好ましい。上述したように、このような第1固定具55および第2固定具75によって、消火ホース10にかかるトルクの大きさを軽減することができる。
【0060】
図4は、図2に示すポンプ装置40の他の変形例を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図2に示すポンプ装置40の構成と同一であるため、その重複する説明を省略する。
【0061】
図4に示すポンプ装置40では、上記第1ポンプケーシング57および上記第2ポンプケーシング77が省略され、第1ポンプ50と第2ポンプ70とは、それぞれ、分岐管BP1,BP2に挿入されている。より具体的には、第1ポンプ50は、第1羽根車52と、該第1羽根車52を回転させる第1駆動機51と、第1駆動機51を収容する第1駆動機ケーシング53とを備え、第1ポンプ50は、第1駆動機ケーシング53の外面に取り付けられた複数の固定具(例えば、リブ)55によって、第1分岐管BP1の内面に固定されている。同様に、第2ポンプ70は、第2羽根車72と、該第2羽根車72を回転させる第2駆動機71と、第2駆動機71を収容する第2駆動機ケーシング73とを備え、第2ポンプ70は、第2駆動機ケーシング73の外面に取り付けられた複数の固定具(例えば、リブ)75によって、第2分岐管BP2の内面に固定されている。
【0062】
本実施形態でも、第2ポンプ70は、第1ポンプ50の鏡像構造を有し、第1ポンプ50および第2ポンプ70は、消火ホース10の中心軸線CLに対して鏡面対称に配置される。したがって、中心軸線CLから第1駆動機51の回転軸までの距離D1は、中心軸線CLから第2駆動機71の回転軸までの距離D2と等しい。さらに、第2ポンプ70の第2羽根車72は、第1ポンプ50の第1羽根車52の回転方向とは逆向きに、第1羽根車52の回転速度と同一の回転速度で回転する。
【0063】
このような構成のポンプ装置40でも、第1羽根車52の回転により消火ホース10にかかるトルクを、第2羽根車72の回転により消火ホース10にかかるトルクによって打ち消すことができる。その結果、ポンプ装置40が配置された消火ホース(導管)10のねじれを防止することができる。さらに、本実施形態に係るポンプ装置40は、第1ポンプケーシング57および第2ポンプケーシング77を有していないので、複数のドローン1,6が負担する重量を軽減することができる。
【0064】
本実施形態でも、第2ポンプ70は、少なくとも一つの連結具47によって第1ポンプ50に連結されるのが好ましい。図4に示される連結具47は、第1駆動機ケーシング53、第1分岐管BP1、第2分岐管BP2、および第2駆動機ケーシング73を貫通して、第1駆動機51から第2駆動機71まで直線上に延びる棒状部材である。一実施形態では、連結具47は、第1分岐管BP1、および第2分岐管BP2を貫通して、第1駆動機ケーシング53から第2駆動機ケーシング73まで直線上に延びる棒状部材であってもよい。
【0065】
さらに、本実施形態でも、第1ポンプ50の第1固定具55は、第1羽根車52の回転により生じた消火液の旋回流を減速させる案内羽根の機能を有するのが好ましい。同様に、第2ポンプ70の第2固定具75は、第2羽根車72の回転により生じた消火液の旋回流を減速させる案内羽根の機能を有するのが好ましい。上述したように、このような第1固定具55および第2固定具75によって、消火ホース10にかかるトルクの大きさを軽減することができる。
【0066】
図5は、図2に示すポンプ装置40のさらに他の変形例を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図2に示すポンプ装置40の構成と同一であるため、その重複する説明を省略する。
【0067】
図5に示すポンプ装置40では、第1ポンプ50は、第1駆動機51の回転軸の方向に吸込口が設けられ、第1駆動機51の回転軸と垂直な方向に吐出口が設けられた遠心式ポンプである。同様に、第2ポンプ70も、第2駆動機71の回転軸の方向に吸込口が設けられ、第2駆動機71の回転軸と垂直な方向に吐出口が設けられた遠心式ポンプである。第1ポンプケーシング57は、その内部に第1羽根車52を収容し、第1駆動機51は、第1ポンプケーシング57の外部に配置されている。第1駆動機51の回転軸は、第1ポンプケーシング57の底壁を貫通して、該第1ポンプケーシング57内に配置された第1羽根車52まで延びており、第1駆動機51を駆動すると、第1羽根車52が回転する。同様に、第2ポンプケーシング77は、その内部に第2羽根車72を収容し、第2駆動機71は、第2ポンプケーシング77の外部に配置されている。第2駆動機77の回転軸は、第2ポンプケーシング77の底壁を貫通して、該第2ポンプケーシング77内に配置された第2羽根車72まで延びており、第2駆動機71を駆動すると、第2羽根車72が回転する。
【0068】
本実施形態でも、第2ポンプ70は、第1ポンプ50の鏡像構造を有する。さらに、第1ポンプ50および第2ポンプ70は、消火ホース10の中心軸線CLに対して鏡面対称に配置される。したがって、第1ポンプ50から吐出される消火液の方向と、第2ポンプ70から吐出される消火液の方向とは、中心軸線CLに対して正反対である。また、中心軸線CLから第1駆動機51の回転軸までの距離D1は、中心軸線CLから第2駆動機71の回転軸までの距離D2と等しい。さらに、第2ポンプ70の第2羽根車72は、第1ポンプ50の第1羽根車52の回転方向とは逆向きに、第1羽根車52の回転速度と同一の回転速度で回転する。第2ポンプ70は、少なくとも一つの連結具47によって第1ポンプ50に連結されるのが好ましい。
【0069】
第1ポンプ50の第1ポンプケーシング57は、好ましくは、第1羽根車52を収容する渦巻ケーシング(ボリュートケーシング)である。同様に、第2ポンプ70の第2ポンプケーシング77は、好ましくは、第2羽根車72を収容する渦巻ケーシング(ボリュートケーシング)である。上述したように、第2ポンプ70は、第1ポンプ50の鏡像構造を有するので、渦巻きケーシングである第2ポンプケーシング77は、渦巻ケーシングである第1ポンプケーシング57と同一の大きさを有するが、完全に面対称である構造を有する。さらに、第1ポンプ50と第2ポンプ70とは中心軸線CLに対して鏡面対称の関係にあるため、渦巻きケーシングである第1ポンプケーシング57から吐出される消火液の方向は、渦巻きケーシングである第2ポンプケーシング77から吐出される消火液の方向とは逆向きである。
【0070】
図5に示される連結具47は、第1駆動機51から第2駆動機71まで直線上に延びる1つの棒状部材である。一実施形態では、連結具47は、第1駆動機51から第2駆動機71まで直線上に延びる複数の棒状部材であってもよい。
【0071】
図示はしないが、ポンプ装置40は、第1駆動機51を収容する第1駆動機ケーシングと、第2駆動機を収容する第2駆動機ケーシングとを備えてもよい。この場合、少なくとも一つの連結具47は、第1駆動機ケーシングと第2駆動機ケーシングとを互いに連結してもよいし、第1駆動機ケーシングと第2駆動機ケーシングとを貫通して、第1駆動機51と第2駆動機71とを互いに連結してもよい。
【0072】
このような構成のポンプ装置40でも、第1羽根車52の回転により消火ホース10にかかるトルクを、第2羽根車72の回転により消火ホース10にかかるトルクによって打ち消すことができる。その結果、ポンプ装置40が配置された消火ホース(導管)10のねじれを防止することができる。
【0073】
図6は、図1に示すポンプ装置40の変形例を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図2に示すポンプ装置40の構成と同一であるため、その重複する説明を省略する。
【0074】
図6に示すポンプ装置40では、第1ポンプ50と、該第1ポンプ50の鏡像構造を有する第2ポンプ70とは、消火ホース10内の消火液の流れ方向において、直列に配置されている。第2ポンプ70は、第1ポンプ50の下流側に配置されている。本実施形態でも、第2ポンプ70は、少なくとも一つの連結具47によって第1ポンプ50に連結されるのが好ましい。図6に示す連結具47は、第2ポンプケーシング77の側面から第1ポンプケーシング57の側面までそれぞれ延びる2つの板上部材(例えば、フランジ)である。一実施形態では、連結具47は、第2ポンプケーシング77の下面から第1ポンプケーシング57の上面まで延びる棒状部材であってもよい。この場合、一本の棒状部材で第2ポンプケーシング77を第1ポンプケーシング57に連結してもよいし、複数の棒状部材で第2ポンプケーシング77を第1ポンプケーシング57に連結してもよい。
【0075】
本実施形態でも、第2ポンプ70は、第1ポンプ50の鏡像構造を有する。さらに、第2ポンプ70の第2羽根車72は、第1ポンプ50の第1羽根車52の回転方向とは逆向きに、第1羽根車52の回転速度と同一の回転速度で回転する。図2に示す実施形態と同様に、第1駆動機51および第2駆動機71を制御装置8(図1参照)に接続してもよい。この場合、制御装置8は、第1羽根車52の回転速度と、第2羽根車72の回転速度とが互いに同一となるように、第1駆動機51および第2駆動機71の動作を制御する。
【0076】
さらに、ポンプ装置40は、上述した第1回転数調整器56および第2回転数調整器76の両方を有していてもよいし、これら回転数調整器56,76のいずれか一方を有していてもよい。
【0077】
このような構成のポンプ装置40でも、第1羽根車52の回転により消火ホース10にかかるトルクを、第2羽根車72の回転により消火ホース10にかかるトルクによって打ち消すことができる。その結果、ポンプ装置40が配置された消火ホース(導管)10のねじれを防止することができる。
【0078】
さらに、本実施形態でも、第1ポンプ50の第1固定具55は、第1羽根車52の回転により生じた消火液の旋回流を減速させる案内羽根の機能を有するのが好ましい。同様に、第2ポンプ70の第2固定具75は、第2羽根車72の回転により生じた消火液の旋回流を減速させる案内羽根の機能を有するのが好ましい。上述したように、このような第1固定具55および第2固定具75によって、消火ホース10にかかるトルクの大きさを軽減することができる。
【0079】
図7は、図6に示すポンプ装置40の変形例を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図6に示すポンプ装置40の構成と同一であるため、その重複する説明を省略する。
【0080】
図7に示すポンプ装置40は、第1ポンプ50の第1ポンプケーシング57および第2ポンプ70の第2ポンプケーシング77が一体化された統合ポンプケーシング90を備えている。より具体的には、統合ポンプケーシング90は、該統合ポンプケーシング90を2つのチャンバに仕切る隔壁91を有しており、隔壁91によって仕切られた一方のチャンバが第1羽根車52と、第1羽根車52を回転させる第1駆動機51を収容する第1ポンプケーシング57を構成し、他方のチャンバが第2羽根車72と、第2羽根車72を回転させる第2駆動機71を収容する第2ポンプケーシング77を構成する。本実施形態では、隔壁91は、統合ポンプケーシング90の一方の側壁から他方の側壁まで延びており、2つのチャンバ(すなわち、第1ポンプケーシング57および第2ポンプケーシング77)は、消火ホース10内の消火液の流れ方向において直列に配置される。
【0081】
隔壁91は、第2ポンプケーシング77を構成するチャンバを、第1ポンプケーシング57を構成するチャンバに連通させる貫通穴(図示せず)を有している。第1ポンプ50の第1羽根車52によって昇圧された消火液は、隔壁91に形成された貫通穴を通って、第2ポンプケーシング77に流入する。そして、第2ポンプケーシング77に流入した消火液は、第2ポンプ70の第2羽根車72によって昇圧され、第2ポンプケーシング77から排出される。
【0082】
本実施形態でも、第2ポンプ70は、第1ポンプ50の鏡像構造を有する。さらに、第2ポンプ70の第2羽根車72は、第1ポンプ50の第1羽根車52の回転方向とは逆向きに、第1羽根車52の回転速度と同一の回転速度で回転する。
【0083】
このような構成のポンプ装置40でも、第1羽根車52の回転により消火ホース10にかかるトルクを、第2羽根車72の回転により消火ホース10にかかるトルクによって打ち消すことができる。その結果、ポンプ装置40が配置された消火ホース(導管)10のねじれを防止することができる。
【0084】
さらに、本実施形態でも、第1ポンプ50の第1固定具55は、第1羽根車52の回転により生じた消火液の旋回流を減速させる案内羽根の機能を有するのが好ましい。同様に、第2ポンプ70の第2固定具75は、第2羽根車72の回転により生じた消火液の旋回流を減速させる案内羽根の機能を有するのが好ましい。上述したように、このような第1固定具55および第2固定具75によって、消火ホース10にかかるトルクの大きさを軽減することができる。
【0085】
図8は、図6に示すポンプ装置40の他の変形例を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図6に示すポンプ装置40の構成と同一であるため、その重複する説明を省略する。
【0086】
図8に示すポンプ装置40では、上記第1ポンプケーシング57および上記第2ポンプケーシング77が省略され、第1ポンプ50と第2ポンプ70とは、それぞれ、消火ホース10に挿入されている。より具体的には、第1ポンプ50は、第1羽根車52と、該第1羽根車52を回転させる第1駆動機51と、第1駆動機51を収容する第1駆動機ケーシング53とを備え、第1ポンプ50は、第1駆動機ケーシング53の外面に取り付けられた複数の固定具(例えば、リブ)55によって、消火ホース10の内面に固定されている。第2ポンプ70は、消火ホース10内の消火液の流れ方向において、第1ポンプ50の下流側に配置されており、第2羽根車72と、該第2羽根車72を回転させる第2駆動機71と、第2駆動機71を収容する第2駆動機ケーシング73とを備える。第2ポンプ70は、第2駆動機ケーシング73の外面に取り付けられた複数の固定具(例えば、リブ)75によって、消火ホース10の内面に固定されている。
【0087】
本実施形態でも、第2ポンプ70は、少なくとも一つの連結具47によって第1ポンプ50に連結されるのが好ましい。図8に示される連結具47は、略C字状の縦断面形状を有し、第1駆動機51から第2駆動機71まで延びる棒状部材である。一実施形態では、連結具47は、略C字状の縦断面形状を有し、第1駆動機ケーシング53から第2駆動機ケーシング73まで延びる棒状部材であってもよい。
【0088】
本実施形態でも、第2ポンプ70は、第1ポンプ50の鏡像構造を有する。さらに、第2ポンプ70の第2羽根車72は、第1ポンプ50の第1羽根車52の回転方向とは逆向きに、第1羽根車52の回転速度と同一の回転速度で回転する。上述した実施形態と同様に、第1駆動機51および第2駆動機71を制御装置8(図1参照)に接続してもよい。この場合、制御装置8は、第1羽根車52の回転速度と、第2羽根車72の回転速度とが互いに同一となるように、第1駆動機51および第2駆動機71の動作を制御する。
【0089】
このような構成のポンプ装置40でも、第1羽根車52の回転により消火ホース10にかかるトルクを、第2羽根車72の回転により消火ホース10にかかるトルクによって打ち消すことができる。その結果、ポンプ装置40が配置された消火ホース(導管)10のねじれを防止することができる。
【0090】
さらに、本実施形態でも、第1ポンプ50の第1固定具55は、第1羽根車52の回転により生じた消火液の旋回流を減速させる案内羽根の機能を有するのが好ましい。同様に、第2ポンプ70の第2固定具75は、第2羽根車72の回転により生じた消火液の旋回流を減速させる案内羽根の機能を有するのが好ましい。上述したように、このような第1固定具55および第2固定具75によって、消火ホース10にかかるトルクの大きさを軽減することができる。
【0091】
さらに、上述した実施形態では、消火ホース10の途中に配置されるポンプ装置40を説明したが、ポンプ装置40は、複数のドローンに懸架される任意の導管の途中に配置することができる。例えば、ポンプ装置40は、高層建築物の所望のフロアに水を供給するための導管の途中に配置されていてもよい。あるいは、ポンプ装置40は、河川または海上に浮かぶ船に燃料または水などの液体を供給するための導管の途中に配置されていてもよい。いずれの場合も、ポンプ装置40は、導管とともに複数のドローンによって懸架される。
【0092】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0093】
1 トップドローン
2 消防車(送液装置)
3 動力供給装置
4 有線ケーブル
6 中継ドローン
8 制御装置
10 消火ホース(導管)
11 ノズル
12 電源
17 連結具(ワイヤ)
21 吊り具(ワイヤ)
40 ポンプ装置
47 連結具
50 第1ポンプ
51 第1駆動機
52 第1羽根車
56 (第1)回転数調整器
57 第1ポンプケーシング
70 第2ポンプ
71 第2駆動機
72 第2羽根車
76 (第2)回転数調整器
77 第2ポンプケーシング
90 統合ポンプケーシング
91 隔壁
100 消火システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9