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特許7143214準化学量論的なアルコキシル化ポリエーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】準化学量論的なアルコキシル化ポリエーテル
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/48 20060101AFI20220920BHJP
   C08G 65/34 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
C08G65/48
C08G65/34
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2018532058
(86)(22)【出願日】2016-12-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2016080305
(87)【国際公開番号】W WO2017102556
(87)【国際公開日】2017-06-22
【審査請求日】2019-12-05
(31)【優先権主張番号】15201042.7
(32)【優先日】2015-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ,ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】マース,シュテッフェン
(72)【発明者】
【氏名】エベルト,ゾフィア
(72)【発明者】
【氏名】デルプランケ,パトリク
(72)【発明者】
【氏名】ヒュールスケッター,フランク
【審査官】吉田 早希
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-057421(JP,A)
【文献】特表2011-503281(JP,A)
【文献】特表2011-503284(JP,A)
【文献】特表2012-512957(JP,A)
【文献】特表2011-503295(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0139716(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/00 - 67/04
C08G 73/00 - 73/26
C11D 1/00 - 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程a)及びb):
a)以下のように定義される少なくとも1つの成分a1)、任意に少なくとも1つの成分a2)及び/又は任意に少なくとも1つの成分a3)を縮合する工程:
a1)は、式(I.a)及び/又は(I.b)のN‐(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1つの化合物であり
【化8】
(式中、
Aは、独立してC~C‐アルキレンから選択され、
、R1*、R、R2*、R、R3*、R、R4*、R、R5*及びRは、互いに独立して水素、アルキル、シクロアルキル又はアリールから選択され、前記の最後の3つのラジカルは任意に置換されてもよい)、及び、
a2)は、式Y(OH)のポリオールから選択される少なくとも1つの化合物であり
(式中、
nは、2~4の整数であり、
Yは、2~10個の炭素原子を有する二価、三価又は四価の脂肪族、脂環式又は芳香族ラジカルを示す)、及び、
a3)は、式Y’(NHRのポリアミンから選択される少なくとも1つの化合物であり
(式中、
mは、2~4の整数であり、
Y’は、2~10個の炭素原子を有する二価、三価又は四価の脂肪族、脂環式又は芳香族ラジカルを示し、及び
は、Rに与えられた意味のうちの1つを有するか、又は2つのラジカルRは一緒になってC~C‐アルキレン基を形成してよい)、
成分a1)、a2)及びa3)の総量は、残りのヒドロキシル基及び任意に残りの第二級アミノ基を有するポリエーテルを得るために、工程a)による縮合に用いられる全てのモノマーの総量に対して70質量%を超える工程、
b)工程a)で得られたポリエーテルの残りのヒドロキシ基の一部及び任意に残りの第二級アミノ基の一部を、少なくとも1種のアルキレンオキシドと反応させる工程であって、このi)前記アルキレンオキシド対ii)前記残りのヒドロキシル基及び任意に前記残りの第二級アミノ基の総量の比が、>0:1から<1:1[mol/mol]である工程、
を含む方法によって得ることができ、且つ
工程b)で、前記少なくとも1種のアルキレンオキシドが、エポキシエタン、エポキシプロパン、1,2‐エポキシブタン、(ブチレンオキシド)2,3‐エポキシブタン、1,2‐エポキシ‐2‐メチルプロパン、1,2‐エポキシペンタン、2,3‐エポキシペンタン、1,2‐エポキシ‐2‐メチルブタン、2,3‐エポキシ‐2‐メチルブタン、1,2‐エポキシヘキサン、2,3‐エポキシヘキサン、3,4‐エポキシヘキサン、1,2‐エポキシエチレンベンゼン、1,2‐エポキシデカン(デセンオキシド)、1,2‐エポキシドデカン(ドデセンオキシド)、1,2‐エポキシテトラデカン及び/又は1,2‐エポキシヘキサデカンから選択される、ポリマー。
【請求項2】
工程b)で、前記残りのヒドロキシル基及び任意に前記残りの第二級アミノ基と前記少なくとも1種のアルキレンオキシドとの反応を、塩基である触媒の存在下で実施する方法によって得ることができる、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
式(I.a)及び/又は(I.b)の成分a1)で、
i)Aは、非置換のメチレン基であるか、又はC~C‐アルキルから選択される1個の置換基を有するメチレン基であり、及び/又は
ii)R、R1*、R、R2*、R、R3*、R、R4*、R、R5*及びRは、互いに独立して水素及びC~C‐アルキルから選択される、請求項1又は2に記載のポリマー。
【請求項4】
i)成分a2)で、前記ポリオールは脂肪族ポリオール、脂環式ポリオール若しくはアリール脂肪族ポリオールであり、及び/又は、
ii)成分a3)で、前記ポリアミンはエチレンジアミン、N,N’‐ジメチルエチレンジアミン、N,N’‐ジエチルエチレンジアミン、1,2‐ジアミノプロパン、1,3‐ジアミノプロパン、1,2‐ジアミノシクロヘキサン、1,3‐ジアミノシクロヘキサン、1,4‐ジアミノシクロヘキサン若しくはピペラジンから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項5】
成分a1)、a2)及びa3)の総量が、工程a)による縮合に用いられる全てのモノマーの総量に対して90%を超える、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項6】
工程a)の全てのモノマーの総量に対して、
i)50~100質量%の成分a1)、
ii)0~50質量%の成分a2)、及び
iii)0~50質量%の成分a3)
が用いられる、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
工程a)で用いられる全てのモノマーの少なくとも95質量%が成分a1)から選択され、成分a1)は、式(Ia)による少なくとも1つの化合物から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項8】
工程b)で、i)前記アルキレンオキシド対ii)前記残りのヒドロキシ基及び任意に前記残りの第二級アミノ基の総量の比は、0.1:1~0.7:1[mol/mol]である、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項9】
工程b)で、i)前記アルキレンオキシド対ii)前記残りのヒドロキシ基及び任意に残りの第二級アミノ基の総量の比が、0.4:1~0.7:1[mol/mol]であり、前記アルキレンオキシドはブチレンオキシドである、請求項1から8のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項10】
工程b)で、i)前記アルキレンオキシド対ii)前記残りのヒドロキシ基及び任意に前記残りの第二級アミノ基の総量の比は、0.1:1~0.7:1[mol/mol]であり、前記アルキレンオキシドはドデセンオキシドである、請求項1から8のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項11】
工程b)で、
i)前記ポリマーが、500~100000g/molの範囲の数平均分子量を有し、前記ポリマーの数平均分子量が、溶離液としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたサイズ排除クロマトグラフィーによって測定したものであり、及び/又は
ii)アルコキシル化の程度の平均が、>0~<1の範囲である、請求項1から10のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項12】
請求項1に記載のポリマーの製造方法であって、工程a)及びb):
a)以下のように定義される少なくとも1つの成分a1)、任意に少なくとも1つの成分a2)及び/又は任意に少なくとも1つの成分a3)を縮合する工程:
a1)は、式(I.a)及び/又は(I.b)のN‐(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1つの化合物であり
【化9】
(式中、
Aは、独立してC~C‐アルキレンから選択され、
、R1*、R、R2*、R、R3*、R、R4*、R、R5*及びRは、互いに独立して水素、アルキル、シクロアルキル又はアリールから選択され、前記の最後の3つのラジカルは任意に置換されてもよい)、及び
a2)は、式Y(OH)のポリオールから選択される少なくとも1つの化合物であり
(式中、
nは、2~4の整数であり、及び
Yは、2~10個の炭素原子を有する、二価、三価又は四価の脂肪族、脂環式又は芳香族ラジカルを示す)、及び
a3)は、式Y’(NHRのポリアミンから選択される少なくとも1つの化合物であり
(式中、
mは、2~4の整数であり、
Y’は、2~10個の炭素原子を有する、二価、三価又は四価の脂肪族、脂環式又は芳香族ラジカルを示し、及び
は、Rに与えられた意味のうちの1つを有するか、又は2つのラジカルRは一緒になってC~C‐アルキレン基を形成してよい)、
成分a1)、a2)及びa3)の総量は、残りのヒドロキシル基及び任意に残りの第二級アミノ基を有するポリエーテルを得るために、工程a)による縮合に用いられる全てのモノマーの総量に対して70質量%を超え、
b)工程a)で得られたポリエーテルの残りのヒドロキシ基の一部及び任意に残りの第二級アミノ基の一部を、少なくとも1種のアルキレンオキシドと反応させる工程であって、i)前記アルキレンオキシド対ii)前記残りのヒドロキシル基及び任意に前記残りの第二級アミノ基の総量の比が、>0:1から<1:1[mol/mol]である工程、
を含み、且つ
工程b)で、前記少なくとも1種のアルキレンオキシドが、エポキシエタン、エポキシプロパン、1,2‐エポキシブタン、(ブチレンオキシド)2,3‐エポキシブタン、1,2‐エポキシ‐2‐メチルプロパン、1,2‐エポキシペンタン、2,3‐エポキシペンタン、1,2‐エポキシ‐2‐メチルブタン、2,3‐エポキシ‐2‐メチルブタン、1,2‐エポキシヘキサン、2,3‐エポキシヘキサン、3,4‐エポキシヘキサン、1,2‐エポキシエチレンベンゼン、1,2‐エポキシデカン(デセンオキシド)、1,2‐エポキシドデカン(ドデセンオキシド)、1,2‐エポキシテトラデカン及び/又は1,2‐エポキシヘキサデカンから選択される、方法。
【請求項13】
前記ポリマーの四級化、プロトン化、硫酸化及び/又はリン酸化によって得ることができる請求項1に記載のポリマーの誘導体。
【請求項14】
工程b)で得られたポリマーを、工程c)で四級化、プロトン化、硫酸化及び/又はリン酸化に供する請求項13に記載の誘導体を製造する方法。
【請求項15】
式(Ia)による前記化合物は、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン及びトリブタン‐2‐オールアミンから選択され、及び/又は式(Ib)による前記化合物は、N‐メチルジエタノールアミン、N,N‐ビス‐(2‐ヒドロキシプロピル)‐N‐メチルアミン、N,N‐ビス(2‐ヒドロキシブチル)‐N‐メチルアミン、N‐イソプロピルジエタノールアミン、N‐n‐ブチルジエタノールアミン、N‐sec‐ブチルジエタノールアミン、N‐シクロヘキシルジエタノールアミン、N‐ベンジルジエタノールアミン、N‐4‐トリルジエタノールアミン及びN,N‐ビス‐(2‐ヒドロキシエチル)‐アニリンから選択される、請求項3に記載のポリマー。
【請求項16】
成分a2)で、前記ポリオールはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、トリ(ヒドロキシメチル)エタン、トリ(ヒドロキシメチル)プロパン又はペンタエリトリット(pentaerythrit)、1,4‐ジヒドロキシシクロヘキサン若しくは1,4‐ビス‐(ヒドロキシメチル)ベンゼンである請求項4に記載のポリマー。
【請求項17】
成分a1)、a2)及びa3)の総量が、工程a)による縮合に用いられる全てのモノマーの総量に対して95%を超える、請求項5に記載のポリマー。
【請求項18】
工程a)の全てのモノマーの総量に対して、
i)75~100質量%の成分a1)、
ii)0~25質量%の成分a2)、及び
iii)0~25質量%の成分a3)
が用いられる、請求項6に記載のポリマー。
【請求項19】
工程a)で用いられる全てのモノマーの100質量%が成分a1)から選択され、成分a1)は、式(I.a)による少なくとも1つの化合物から選択される、請求項7に記載のポリマー。
【請求項20】
工程b)で、前記少なくとも1種のアルキレンオキシドが、エポキシエタン及び/又はエポキシプロパンから選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項21】
工程b)で、i)前記アルキレンオキシド対ii)前記残りのヒドロキシ基及び任意に前記残りの第二級アミノ基の総量の比は、0.15:1~0.65:1[mol/mol]である、請求項8に記載のポリマー。
【請求項22】
工程b)で、i)前記アルキレンオキシド対ii)前記残りのヒドロキシ基及び任意に残りの第二級アミノ基の総量の比が、0.5:1~0.65:1[mol/mol]であり、前記アルキレンオキシドはブチレンオキシドである、請求項9に記載のポリマー。
【請求項23】
工程b)で、i)前記アルキレンオキシド対ii)前記残りのヒドロキシ基及び任意に前記残りの第二級アミノ基の総量の比は、0.15:1~0.25:1[mol/mol]であり、前記アルキレンオキシドはドデセンオキシドである、請求項10に記載のポリマー。
【請求項24】
工程b)で、アルコキシル化の程度の平均が、0.1~0.7の範囲である、請求項11に記載のポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工程a)及びb)を含む方法によって得ることができるポリマーに関する。工程a)で、少なくとも1つの成分a1)を縮合させて、残りのヒドロキシル基及び任意に残りの第二級アミノ基を有するポリエーテルを得る。成分a1)は、以下に定義する式(Ia)及び/又は(Ib)によるN‐(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1つの成分である。成分a1)の他に、さらなる成分が縮合工程a)に存在し得る。工程b)では、工程a)で得られたポリエーテルの残りのヒドロキシル基の一部及び任意に残りの第二級アミノ基の一部を、少なくとも1種のアルキレンオキシドと反応させる。工程b)によるアルコキシル化は、準化学量論的な手段で実施するが、これは、i)アルキレンオキシド対ii)残りのヒドロキシル基及び任意に残りの第二級アミノ基の総量の比が、>0:1から<1:1[mol/mol]であることを意味する。本発明はさらに、このようなポリマーを製造する方法、及びまた、四級化、プロトン化、硫酸化及び/又はリン酸化によって得ることができる前述のポリマーの誘導体にも関する。
【背景技術】
【0002】
WO2009/060060は、N‐(ヒドロキシ‐アルキル)アミンを縮合させ、縮合生成物の残りのヒドロキシ基及び/又は二級アミノ基をアルキレンオキシドと反応させることで得ることができるポリマー、及び前述のポリマーの四級化、プロトン化、硫酸化及び/又はリン酸化によって得ることができる誘導体、及びまた前述のポリマーの製造方法並びに前述の誘導体の製造方法に関する。WO2009/060060によるポリマーを得るための縮合生成物のアルコキシル化は、少なくとも等モルの、好ましくは、過剰量のアルキレンオキシドを各ポリエーテルの残りのヒドロキシル基に対し用いて実施する。WO2009/060060によるポリマー及び/又は各誘導体は、両親媒性を呈する。それらのポリマー及び/又は誘導体は、親水性及び疎水性構造要素のバランスのとれた比を有し、良好な水溶性を示す。
【0003】
EP‐A0352776は、特定のアミノ置換s‐トリアジン、ホルムアルデヒド及びアルカノールアミンの縮合物に関する。これらの縮合物は、アルコキシル化の有無にかかわらず、所望の燃焼特性を有するポリウレタンの形成に使用することができる。メラミン及び特定のメラミン誘導体とは異なり、有効な難燃性を付与するために、本縮合物は少量しか必要とされない。
【0004】
EP‐A0074618は、式(I)のトリエタノールアミン縮合生成物と式(II)のビスグリシジルエーテルとの反応によって得られる付加生成物に関する。このビスグリシジルエーテルは少なくとも1つのビスフェノールジエーテル部分を含む。EP‐A0074618による付加生成物は、油-水-エマルジョンの解乳化剤として、滑剤として及び紙添加剤として使用することができる。
【0005】
WO2014/012812は、少なくとも1種のトリアルカノールアミンの重縮合生成物を基礎とする、100~600(APHA)の範囲のヘーゼン色数(DIN ISO 6271に従って測定)を有する分岐状ポリエーテルアミンポリオールに関する。WO2014/012812による分岐状ポリエーテルアミンポリオールは、少なくとも1種の顔料及び水を有する顔料分散剤に使用することができる。このような顔料分散体はその結果、塗料又はラッカーに使用することができる。
【0006】
WO2011/032640は、アルコキシル化トリアルカノールアミン縮合物を油エマルジョンから水を分離するために使用する方法に関し、前述の縮合物は、アルカリ触媒作用によるトリアルカノールアミンの縮合、及び少なくとも1つのC~Cアルキレンオキシドによる後続のアルコキシル化によって得られ、500~500,00g/molの数平均分子量を有し、2~250の間のトリアルカノールアミン単位を含み、平均アルコキシル化度は遊離OH基あたり1~200の間のアルキレンオキシド単位によるものであって、分離するエマルジョンの油含有量に対して0.0001~5質量%の量で使用する。
【0007】
洗浄組成物の分野では、様々な種類のポリマーが、そのような洗浄剤内の成分として十分に確立されている。意図する用途に応じて、異なる種類のポリマーを用いることができる。洗浄組成物の分野におけるよく知られた問題/課題は、以下の通りである。
【0008】
調理汚れ、焼き付き汚れ及び焦げ付き汚れは、表面から除去すべき汚れの中で最もひどい種類に入る。従来、調理器具及び食卓用器具から調理汚れ、焼き付き汚れ及び焦げ付き汚れを除去するには、機械的な作用に先立ち汚れた対象物を液体に浸す必要がある。手作業の食器洗浄方法は、調理汚れ、焼き付き汚れ及び焦げ付き汚れを除去するためにとてつもないこすり落とす労力が必要であり、これは調理器具/食卓用器具の安全性及び状態に有害であり得る。
【0009】
手作業の食器洗浄で直面する別の問題は、油脂(グリース)除去、特にプラスチック製品などの疎水性基材からの油脂除去である。油脂の除去はまた、ハンバーガー及び/又は他の肉の調製/調理から得られる残渣などの通常の脂肪分残渣の除去も含む。
【0010】
使用者からは、良好な洗浄性が要求されるだけでなく、洗浄した物品が触っても快適で、すすぎ中及びすすぎ後に触っても油脂残りが感じられないことも期待されている。
【0011】
手洗い食器洗浄の動向は変化している。従来、洗いものは、シンクを水で満たし、希釈した洗剤をその中に入れて行っていた。今日では、スポンジなどの洗浄器具が使用される傾向である。洗浄組成物は、スポンジが濡れる前又は濡れた後にスポンジ上に投与され、汚れた物品は次に拭かれ、続いて流水下ですすがれる。この新しい手洗い食器洗浄手段は直接施与と呼ばれることがあり、この手段により洗浄組成物は、組成物の設計をするとき考慮する必要がある新しい環境に置かれる。直接施与の使用という新たな好みによって、新しい使用条件下で、特に、調理汚れ、焼き付き汚れ及び焦げ付き汚れから生じるような重合油脂の除去のために、良好に機能する洗浄組成物を提供する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】WO2009/060060
【文献】EP‐A0352776
【文献】EP‐A0074618
【文献】WO2014/012812
【文献】WO2011/032640
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、N‐(ヒドロキシアルキル)アミンに基づく少なくとも1つの化合物を縮合する方法によって得ることができる新規ポリマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、次の工程a)及びb)を含む方法によって得ることができるポリマーによって達成される。
【0015】
a)以下のように定義される、少なくとも1つの成分a1)、任意に少なくとも1つの成分a2)及び/又は任意に少なくとも1つの成分a3)を縮合する工程:
a1)は、式(I.a)及び/又は(I.b)のN‐(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1つの化合物であり
【化3】
(式中、
Aは、独立してC~C‐アルキレンから選択され、
、R1*、R、R2*、R、R3*、R、R4*、R、R5*及びRは、互いに独立して水素、アルキル、シクロアルキル又はアリールから選択され、前述の最後の3つのラジカルは任意に置換されてもよい)、及び、
a2)は、式Y’(OH)のポリオールから選択される少なくとも1つの化合物であり
(式中、
nは、2~4の整数であり、
Yは、2~10個の炭素原子を有する二価、三価又は四価の脂肪族、脂環式又は芳香族ラジカルを示す)、及び、
a3)は、式Y’(NHRのポリアミンから選択される少なくとも1つの化合物であり
(式中、
mは、2~4の整数であり、
Y’は、2~10個の炭素原子を有する二価、三価又は四価の脂肪族、脂環式又は芳香族ラジカルを示し、及び
は、Rに与えられた意味のうちの1つを有するか、又は2つのラジカルRは一緒になってC~C‐アルキレン基を形成してもよい)、
成分a1)、a2)及びa3)の総量は、残りのヒドロキシル基及び任意に残りの第二級アミノ基を有するポリエーテルを得るために、工程a)による縮合に用いられる全てのモノマーの総量に対して70質量%を超える。
【0016】
b)工程a)で得られたポリエーテルの残りのヒドロキシ基の一部及び任意に残りの第二級アミノ基の一部を、少なくとも1種のアルキレンオキシドと反応させる工程であって、このi)アルキレンオキシド対ii)残りのヒドロキシル基及び任意に残りの第二級アミノ基の総量の比が、>0:1から<1:1[mol/mol]である工程。
【0017】
本発明によるポリマーは有利な特性を有し、機械洗い及び/又は手洗い洗浄組成物などの洗浄組成物の分野で首尾よく使用することができる。本発明によるポリマーに基づいた組成物は、良好な洗浄特性、特に良好な油脂洗浄特性をもたらし、特に調理汚れ、焼き付き汚れ及び焦げ付き汚れの除去によく適している。本発明によるポリマーと同じ有利な特性は、本発明によるポリマーの誘導体にもあてはまる。
【0018】
本発明によるポリマー(及びまた対応する誘導体)は、低温での脂肪分除去の分野においても改善された性能を有する。結果として、本発明によるポリマーは、洗浄組成物、特に手作業食器洗浄の洗浄組成物に首尾よく用いることができる。本発明によるポリマー(及びまたその誘導体)に基づいたそれぞれの洗浄組成物は、調理汚れ、焼き付き汚れ及び焦げ付き汚れの他に、プラスチック製品などの疎水性基材から油脂を除去するための手作業の食器洗浄組成物にも用いることができる。
【0019】
本発明を更に詳細に以下のとおり特定する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、工程a)及びb)を含む方法によって得ることができるポリマーに関する。
【0021】
工程a)では、少なくとも1つの成分a1)、任意に少なくとも1つの化合物a2)及び/又は任意に少なくとも1つの化合物a3)を縮合させる。
【0022】
a1)は、式(I.a)及び/又は(I.b)のN‐(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1つの化合物であり、
【0023】
【化2】
式中、
Aは、独立してC~C‐アルキレンから選択され、
、R1*、R、R2*、R、R3*、R、R4*、R、R5*及びRは、互いに独立して水素、アルキル、シクロアルキル又はアリールから選択され、前述の最後の3つのラジカルは任意に置換されてもよい。
【0024】
ここで使用され、かつアルコキシという用語で使用される用語「アルキル」は、飽和の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素ラジカルを指す。C~C‐アルキルは、1~4個の炭素原子を有する飽和の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素ラジカル、例えばメチル、エチル、プロピル、1‐メチルエチル、ブチル、1‐メチルプロピル、2‐メチルプロピル及び1,1‐ジメチルエチルを指す。任意に置換されたアルキルは、アルキルラジカルであって、非置換であるか、又は一部の若しくは全ての水素原子がヒドロキシ、ハロゲン、シアノ若しくはC~C‐アルコキシによって置き換えられているラジカルを指す。好ましくは、アルキルは非置換である。
【0025】
ここで使用される用語「シクロアルキル」は、飽和若しくは部分的に不飽和の単環式若しくは二環式の炭化水素ラジカルを指す。好ましくは、シクロアルキルという用語は、3~8個の、特に3~6個の炭素原子を有する単環式の炭化水素ラジカル(C~C‐シクロアルキル、C~C‐シクロアルキル)に関する。かかる好ましいシクロアルキルラジカルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルである。任意に置換されたシクロアルキルは、シクロアルキルラジカルであって、非置換であるか、又は一部の若しくは全ての水素原子がヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、C~C‐アルキル若しくはC~C‐アルコキシによって置き換えられているラジカルを指す。好ましくは、シクロアルキルは、非置換であるか、又は1、2若しくは3個のC~C‐アルキルラジカルを有する。
【0026】
ここで使用される用語「C~C-アルキレン」は、1、2、3、4、5又は6個の炭素基の飽和の、二価の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素鎖、例えばメチレン、エタン‐1,2‐ジイル、プロパン‐1,3‐ジイル、プロパン‐1,2‐ジイル、2‐メチルプロパン‐1,2‐ジイル、2,2‐ジメチルプロパン‐1,3‐ジイル、ブタン‐1,4‐ジイル、ブタン‐1,3‐ジイル(=1‐メチルプロパン‐1,3‐ジイル)、ブタン‐1,2‐ジイル、ブタン‐2,3‐ジイル、2‐メチル‐ブタン‐1,3‐ジイル、3‐メチル‐ブタン‐1,3‐ジイル(=1,1‐ジメチルプロパン‐1,3‐ジイル)、ペンタン‐1,4‐ジイル、ペンタン‐1,5‐ジイル、ペンタン‐2,5‐ジイル、2‐メチルペンタン‐2,5‐ジイル(=1,1‐ジメチルブタン‐1,3‐ジイル)及びヘキサン‐1,6‐ジイルを指す。
【0027】
ここで使用される用語「アリール」は、フェニル又はナフチル、好ましくはフェニルを指す。任意に置換されたアリールは、アリールラジカルであって、非置換であるか、又は一部の若しくは全ての水素原子がヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、C~C‐アルキル若しくはC~C‐アルコキシによって置き換えられているラジカルを指す。好ましくは、アリールは、非置換であるか、又は1、2若しくは3個のC~C‐アルキルラジカルを有する。
【0028】
好ましくは、式(I.a)及び/又は(I.b)の成分a1)で、
i)Aは、非置換のメチレン基であるか、又はC~C‐アルキルから選択される1個の置換基を有するメチレン基であり、及び/又は
ii)R、R1*、R、R2*、R、R3*、R、R4*、R、R5*及びRは、互いに独立して水素及びC~C‐アルキルからから選択される。
【0029】
より好ましくは、式(I.a)による化合物は、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン及びトリブタン‐2‐オールアミン(tributan-2-olamine)から選択され、及び/又は式(I.b)による化合物は、N‐メチルジエタノールアミン、N,N‐ビス‐(2‐ヒドロキシプロピル)‐N‐メチルアミン、N,N‐ビス‐(2‐ヒドロキシブチル)‐N‐メチルアミン、N‐イソプロピルジエタノールアミン、N‐n‐ブチルジエタノールアミン、N‐sec‐ブチルジエタノールアミン、N‐シクロヘキシルジエタノールアミン、N‐ベンジルジエタノールアミン、N‐4‐トリルジエタノールアミン及びN,N‐ビス‐(2‐ヒドロキシエチル)‐アニリンから選択される。
【0030】
存在する場合、任意の成分a2)は、式Y’(OH)のポリオールから選択される少なくとも1つの化合物であり、
式中、
nは、2~4の整数であり、及び
Yは、2~10個の炭素原子を有する、二価、三価又は四価の脂肪族、脂環式又は芳香族ラジカルを示す。
【0031】
好ましくは、成分a2)に関して、ポリオールは脂肪族ポリオール、脂環式ポリオール又はアリール脂肪族ポリオールである。
【0032】
より好ましくは、成分a2)に関して、ポリオールはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、トリ(ヒドロキシメチル)エタン、トリ(ヒドロキシメチル)プロパン又はペンタエリトリット(pentaerythrit)、1,4‐ジヒドロキシシクロヘキサン又は1,4‐ビス‐(ヒドロキシメチル)ベンゼンである。
【0033】
存在する場合、任意の成分a3)は、式Y’(NHRのポリアミンから選択される少なくとも1つの化合物であり、
式中、
mは、2~4の整数であり、
Y’は、2~10個の炭素原子を有する、二価、三価又は四価の脂肪族、脂環式又は芳香族ラジカルを示し、及び
は、Rに与えられた意味のうちの1つを有するか、又は2つのラジカルRは一緒になってC~C‐アルキレン基を形成してもよい。
【0034】
好ましくは成分a3)に関して、ポリアミンはエチレンジアミン、N,N’‐ジメチルエチレンジアミン、N,N’‐ジエチルエチレンジアミン、1,2‐ジアミノプロパン、1,3‐ジアミノプロパン、1,2‐ジアミノシクロヘキサン、1,3‐ジアミノシクロヘキサン、1,4‐ジアミノシクロヘキサン又はピペラジンから選択される。
【0035】
成分a1)、a2)及びa3)の総量は、残りのヒドロキシル基及び任意に残りの第二級アミノ基を有するポリエーテルを得るために、工程a)による縮合に用いられる全てのモノマーの総量に対して70質量%を超える。完全を期すために、成分a1)、a2)及びa3)を本発明の工程a)による縮合中のモノマーとして用いることが示唆される。
【0036】
本発明の一実施形態では、成分a1)、a2)及びa3)の総量は、工程a)による縮合に用いられる全てのモノマーの総量に対して90%を超え、より好ましくは95%を超え、さらにより好ましくは99.5%を超え、最も好ましくは100%である。
【0037】
本発明の別の実施形態では、工程a)の全てのモノマーの総量に対して、
i)50~100質量%、好ましくは75~100質量%、最も好ましくは95~100質量%の成分a1)、
ii)0~50質量%、好ましくは0~25質量%、最も好ましくは0~5質量%の成分a2)、及び
iii)0~50質量%、好ましくは0~25質量%、最も好ましくは0~5質量%の成分a3)
が用いられる。
【0038】
本発明の更なる実施形態では、工程a)で用いられる全てのモノマーの少なくとも95質量%が成分a1)から選択され、成分a1)は好ましくは式(I.a)による少なくとも1つの化合物から選択される。
【0039】
より好ましくは、工程a)で用いられる全てのモノマーの少なくとも99質量%が成分a1)から選択され、成分a1)は好ましくは式(I.a)による少なくとも1つの化合物から選択される。
【0040】
最も好ましくは、工程a)で用いられる全てのモノマーの100質量%が成分a1)から選択され、成分a1)は好ましくは式(I.a)による少なくとも1つの化合物から選択される。
【0041】
少なくとも1つの成分a1)及び任意にさらなるモノマー、例えば成分a2)及び/又はa3)の縮合、好ましくは式(I.a)及び/又は(I.b)の少なくとも1つのN‐(ヒドロキシアルキル)アミンの縮合は、例えばEP0441198又はUS5,393,463又はWO2014/012812に記載されている条件で実施することができる。
【0042】
ここで使用する「縮合」という用語は、2つの対応する官能基間の共有結合が、水などの小分子の形式的損失とともに形成される化学反応を指す。本発明の工程a)による縮合は、当業者に知られている。好ましくは、縮合という用語は、脱水反応と共にエーテル化を指す。
【0043】
N‐(ヒドロキシアルキル)アミンポリエーテルは、通常、式(I.a)及び/又は式(I.b)のN‐(ヒドロキシアルキル)アミンを酸の存在下で、好ましくは亜リン酸(HPO)及び/又は次亜リン酸(HPO)の存在下で縮合させることにより調製する。酸、特に、亜リン酸及び/又は次亜リン酸は、縮合させるN‐(ヒドロキシアルキル)アミンの0.05~2質量%(100%酸として計算)の量で、及び好ましくは0.1~1.0質量%の量で使用することが好ましい。
【0044】
通常、縮合(反応)は、反応水を留去するなど、当業者によく知られた水取り出し条件を用いて行う。
【0045】
通常、縮合に用いる温度は、120~280℃の範囲、好ましくは150~260℃、及びより好ましくは180~240℃である。反応は通常、1~16時間、及び好ましくは2~8時間の期間をかけて実施する。有利には、縮合の程度は、反応の温度及び時間を変動させることにより制御する。
【0046】
結果として生じる縮合生成物の粘度は、通常、1000~50000mPa.sの範囲、好ましくは2000~20000mPa.s、及びより好ましくは3000~10000mPa.sである(すべての場合で、未希釈生成物を20℃で測定する)。
【0047】
結果として生じる縮合生成物の数平均分子量は、通常250~50000g/molの範囲、好ましくは500~25000g/mol、及びより好ましくは1000~15000g/molである。
【0048】
結果として生じる縮合生成物のヒドロキシル価は、通常200~1500mg(KOH)/gの範囲、及び好ましくは300~1000g/molである。
【0049】
N‐(ヒドロキシアルキル)アミンの縮合はまた、式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物、及び上記に定義した酸を、有効量のさらなる触媒、例えば、US4,505,839に記載されているように、ハロゲン化亜鉛又はアルミニウムサルフェート又はハロゲン化亜鉛/カルボン酸又はAl(SO/カルボン酸の存在下で加熱することで行うことができる。好ましいさらなる触媒は、ZnCl/酢酸及びAl(SO/酢酸である。一般に、追加の触媒は、存在する場合、縮合されるN‐(ヒドロキシアルキル)アミンを基準として0.01~5.0質量%の量で、好ましくは約0.01~1.25質量%の量で使用する。
【0050】
本発明の一実施形態では、縮合工程a)でのモノマーとしてのホルムアルデヒド及び/又はトリアジンの添加は排除される。特に、この実施形態では、工程a)でのモノマーとしてのメラミンは排除される。
【0051】
本発明の一実施形態では、工程a)で、式(I.a)のN‐(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1つの成分a1)を縮合させる。
【0052】
本発明の別の実施形態では、工程a)で、式(I.a)のN‐(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1つの成分a1)及び少なくとも1つの成分a2)を縮合させる。
【0053】
本発明のさらなる実施形態では、工程a)で、式(I.a)のN‐(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1つの成分a1)及び少なくとも1つの成分a3)を縮合させる。
【0054】
本発明のさらなる実施形態では、工程a)で、式(I.a)のN‐(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1つの成分a1)、少なくとも1つの成分a2)及び少なくとも1つの成分a3)を縮合させる。
【0055】
本発明の一実施形態では、工程a)で、式(I.b)のN‐(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1つの成分a1)を縮合させる。
【0056】
本発明の別の実施形態では、工程a)で、式(I.b)のN‐(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1つの成分a1)及び少なくとも1つの成分a2)を縮合させる。
【0057】
本発明のさらなる実施形態では、工程a)で、式(I.b)のN‐(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1つの成分a1)及び少なくとも1つの成分a3)を縮合させる。
【0058】
本発明のさらなる実施形態では、工程a)で、式(I.b)のN‐(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1つの成分a1)、少なくとも1つの成分a2)及び少なくとも1つの成分a3)を縮合させる。
【0059】
本発明の一実施形態では、工程a)で、式中のRが水素である、式(I.b)のN‐(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1つの成分a1)を縮合させる。
【0060】
本発明の別の実施形態では、工程a)で、式中のRが水素である、式(I.b)のN‐(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1つの成分a1)及び少なくとも1つの成分a2)を縮合させる。
【0061】
本発明のさらなる実施形態では、工程a)で、式中のRが水素である、式(I.b)のN‐(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1つの成分a1)及び少なくとも1つの成分a3)を縮合させる。
【0062】
本発明のさらなる実施形態では、工程a)で、式中のRが水素である、式(I.b)のN‐(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1つの成分a1)、少なくとも1つの成分a2)及び少なくとも1つの成分a3)を縮合させる。
【0063】
本発明の工程b)によると、工程a)で得られたポリエーテルの残りのヒドロキシ基の一部及び任意に残りの第二級アミノ基の一部を、少なくとも1種のアルキレンオキシドと反応させる。この反応で、i)アルキレンオキシド対ii)残りのヒドロキシル基及び任意に残りの第二級アミノ基の総量の比は、>0:1から<1:1[mol/mol]である。
【0064】
工程b)で、少なくとも1種のアルキレンオキシドは、好ましくはエポキシエタン、エポキシプロパン、1,2‐エポキシブタン、(ブチレンオキシド)、2,3‐エポキシブタン、1,2‐エポキシ‐2‐メチルプロパン、1,2‐エポキシペンタン、2,3‐エポキシペンタン、1,2‐エポキシ‐2‐メチルブタン、2,3‐エポキシ‐2‐メチルブタン、1,2‐エポキシヘキサン、2,3‐エポキシヘキサン、3,4‐エポキシヘキサン、1,2‐エポキシエチレンベンゼン、1,2‐エポキシデカン(デセンオキシド)、1,2‐エポキシドデカン(ドデセンオキシド)、1,2‐エポキシテトラデカン及び/又は1,2‐エポキシヘキサデカンから選択される。
【0065】
より好ましくは、少なくとも1種のアルキレンオキシドは、エポキシエタン及び/又はエポキシプロパンから選択される。
【0066】
好ましくは、さらなるアルキレンオキシドは、上記の少なくとも1種のアルキレンオキシドと同じ群から選択される。
【0067】
ここで使用する用語「アルキレンオキシド」は、アルキル化合物又はアルキルアリール化合物であって、少なくとも1個、好ましくは1個又は2個、特に1個のエポキシ基を、該化合物のアルキル部分に有する化合物に関する。1個のエポキシ基を有するアルキル化合物の例は、エポキシエタン(=エチレンオキシド)、エポキシプロパン(=プロピレンオキシド)、1,2‐エポキシブタン(=アルファブチレンオキシド)、2,3‐エポキシブタン(=ベータブチレンオキシド)、1,2‐エポキシ‐2‐メチル‐プロパン(=イソブチレンオキシド)、1,2‐エポキシペンタン、2,3‐エポキシペンタン、1,2‐エポキシ‐2‐メチルブタン、2,3‐エポキシ‐2‐メチルブタン、1,2‐エポキシヘキサン、2,3‐エポキシヘキサン、3,4‐エポキシヘキサン、1,2‐エポキシデカン、1,2‐エポキシドデカン、1,2‐エポキシテトラデカン、及び/又は1,2‐エポキシヘキサデカンである。1個のエポキシ基を有するアルキルアリール化合物の例は、任意に置換された(1,2‐エポキシエチレン)ベンゼン(=スチレンオキシド)化合物である。
【0068】
工程b)で、i)アルキレンオキシド対ii)残りのヒドロキシ基及び任意に残りの第二級アミノ基の総量の比は、好ましくは0.1:1~0.7:1[mol/mol]であり、より好ましくは0.15:1~0.65:1[mol/mol]、最も好ましくは0.5:1~0.62:1[mol/mol]である。
【0069】
本発明の別の実施形態では、工程b)で、
i)アルキレンオキシド対
ii)残りのヒドロキシ基及び任意に残りの第二級アミノ基の総量の比は、0.4:1~0.7:1[mol/mol]であり、より好ましくは0.5:1~0.65:1[mol/mol]、最も好ましくは0.58:1~0.62:1[mol/mol]であり、アルキレンオキシドはブチレンオキシドである。
【0070】
本発明のさらなる実施形態では、工程b)で、i)アルキレンオキシド対ii)残りのヒドロキシ基及び任意に残りの第二級アミノ基の総量の比は、0.1:1~0.7:1[mol/mol]であり、より好ましくは0.15:1~0.25:1[mol/mol]、最も好ましくは0.18:1~0.22:1[mol/mol]であり、アルキレンオキシドはドデセンオキシドである。
【0071】
工程b)で、ポリマーは、好ましくは500~100000g/molの範囲の数平均分子量を有する。
【0072】
本発明による方法の工程a)で得られた縮合生成物と少なくとも1種のアルキレンオキシドとの反応は、当該分野で知られている一般的なアルコキシル化手順に従って行うことができる。
【0073】
好ましくは、工程b)で、残りのヒドロキシ基及び任意に残りの第二級アミノ基と少なくとも1種のアルキレンオキシドとの反応は、触媒の存在下で実施する。
【0074】
より好ましくは、本発明による方法の工程b)は、塩基、酸及び/又はルイス酸から選択される触媒の存在下で実施する。
【0075】
最も好ましくは、本発明による方法の工程b)は、塩基(塩基性触媒)である触媒の存在下で実施する。好適な塩基は、例えば、アルカリ酸化物、アルカリ土類酸化物、アルカリ水酸化物、アルカリ土類水酸化物、アルカリ炭酸塩、アルカリ土類炭酸塩、アルカリ炭酸水素塩、アルカリ土類炭酸水素塩、及びまたそれらの混合物である。好ましい塩基は、アルカリ水酸化物及びアルカリ土類水酸化物、例えばNaOH、KOH又はCa(OH)である。
【0076】
塩基は通常、工程a)で得られた縮合生成物の残りのヒドロキシル基の量を基準として5~30質量%の量で使用する。
【0077】
本発明による方法の工程b)からの結果として生じるポリマーのアルコキシル化の程度は、使用する少なくとも1種のアルキレンオキシドの量に依存する。
【0078】
アルコキシル化の程度の平均は、好ましくは>0~<1の範囲であり、より好ましくは0.1~0.7の範囲、最も好ましくは0.15~0.65の範囲であり、特に0.5~0.62の範囲である。
【0079】
本発明の文脈では、アルコキシル化の程度の平均とは、(工程a)で提供される)ポリエーテルの残りのヒドロキシ基及び任意に残りの第二級アミノ基に、本発明の工程b)におけるポリエーテルとアルキレンオキシドとの反応によって結合したアルキレンオキシド単位の(平均)数を意味する。
【0080】
通常、工程b)の反応は、高温で実施し、好ましくは40℃~250℃の温度で、より好ましくは80℃~200℃、特に100℃~150℃の温度で行う。
【0081】
本発明による方法の工程b)で1つを超えるアルキレンオキシドを使用する場合、結果として生じるポリマーのアルキレンオキシ単位は、あらゆる順序で互いに結合することができる。従って、統計的コポリマー、勾配コポリマー、交互コポリマー又はブロックコポリマーを得ることができる。
【0082】
本発明によるポリマーは、好ましくは数平均分子量を500~100000g/molの範囲で、より好ましくは1000~80000g/molの範囲、特に2000~50000g/molの範囲で有する。
【0083】
本発明によるポリマーは、好ましくは1~10の範囲の、及び特に1~5の範囲の多分散度(Mw/Mn)を有する。
【0084】
本発明の別の態様は、上記の本発明のポリマーの製造方法であって、次の工程a)及びb)を含む方法である。
【0085】
a)以下のように定義される、少なくとも1つの成分a1)、任意に少なくとも1つの成分a2)及び/又は任意に少なくとも1つの成分a3)を縮合する工程:
a1)は、式(I.a)及び/又は(I.b)のN‐(ヒドロキシアルキル)アミンから選択される少なくとも1つの化合物であり
【化5】
(式中、
Aは、独立してC~C‐アルキレンから選択され、
、R1*、R、R2*、R、R3*、R、R4*、R、R5*及びRは、互いに独立して水素、アルキル、シクロアルキル又はアリールから選択され、前述の最後の3つのラジカルは任意に置換されてもよい)、
a2)は、式Y(OH)のポリオールから選択される少なくとも1つの化合物であり
(式中、
nは、2~4の整数であり、
Yは、2~10個の炭素原子を有する二価、三価又は四価の脂肪族、脂環式又は芳香族ラジカルを示す)、
a3)は、式Y’(NHRのポリアミンから選択される少なくとも1つの化合物である
(式中、
mは、2~4の整数であり、
Y’は、2~10個の炭素原子を有する二価、三価又は四価の脂肪族、脂環式又は芳香族ラジカルを示し、及び
は、Rに与えられた意味のうちの1つを有するか、又は2つの基Rは一緒になってC~C‐アルキレン基を形成してよい)。



【0086】
成分a1)、a2)及びa3)の総量は、残りのヒドロキシル基及び任意に残りの第二級アミノ基を有するポリエーテルを得るために、工程a)による縮合に用いられる全てのモノマーの総量に対して70質量%を超える。
【0087】
b)工程a)で得られたポリエーテルの残りのヒドロキシ基の一部及び任意に残りの第二級アミノ基の一部を、少なくとも1種のアルキレンオキシドと反応させ、この
i)アルキレンオキシド対
ii)残りのヒドロキシル基及び任意に残りの第二級アミノ基の総量
の比が、>0:1から<1:1[mol/mol]である工程。
【0088】
本発明のさらなる態様は、本発明によるポリマーの四級化、プロトン化、硫酸化及び/又はリン酸化によって得ることができる誘導体に関する。本発明による方法の工程b)で得られたポリマーを誘導体化に供するか、又はこうして得られた誘導体をさらに誘導体化に供することができる。誘導体化させる好ましいポリマーに関しては、上記の好ましい実施形態を参照する。
【0089】
従って、本発明のさらなる態様は、前述の誘導体を製造する方法に関し、該方法は、上記に概説した方法の工程a)及びb)で製造したポリマーを、(後続の)工程c)で四級化、プロトン化、硫酸化及び/又はリン酸化に供することを含む。
【0090】
第四級アンモニウム基、すなわち荷電カチオン基を含有する本発明によるポリマーの誘導体は、アミン窒素原子から、アルキル化剤による四級化で製造することができる。これらアルキル化剤にはC~Cアルキルハロゲン化物又はサルフェート、例えば塩化エチル、臭化エチル、塩化メチル、臭化メチル、ジメチルサルフェート及びジエチルサルフェートが含まれる。好ましい四級化剤は、ジメチルサルフェートである。
【0091】
荷電カチオン基(第四級アンモニウム基とは異なる)を含有する本発明によるポリマーの誘導体はまた、アミン窒素原子から、酸によるプロトン化で製造することができる。好適な酸は、例えば、カルボン酸、例えば乳酸、又は鉱酸、例えばリン酸、硫酸及び塩酸である。
【0092】
本発明によるポリマーの硫酸化は、硫酸との反応又は硫酸誘導体との反応によって行うことができる。このようにして、酸性のアルキルエーテルサルフェートが得られる。
【0093】
好適な硫酸化剤は、例えば硫酸(好ましくは75~100%の濃度、より好ましくは85~98%の濃度)、発煙硫酸、SO、クロロ硫酸、塩化スルフリル、アミド硫酸及びその他同種類のものである。塩化スルフリルが硫酸化剤として使用される場合、残りの塩素は、硫酸化後の加水分解によって置き換えられる。
【0094】
硫酸化剤は、しばしば、本発明によるポリマー中に存在するOH基1モル当たり等モルで、又は当モル量で、又は過剰量で、例えば1~1.5モルで使用される。しかし、硫酸化剤は、等モルより少ない量で使用することもできる。
【0095】
硫酸化は、溶媒又はエントレイナー(entrainer)の存在下で行うことができる。好適な溶媒又はエントレイナーは、例えば、トルエンである。
【0096】
硫酸化後、反応混合物は一般に中和し、慣用の様式で後処理をする。
【0097】
本発明によるポリマーのリン酸化は、リン酸との反応又はリン酸誘導体との反応によって行うことができる。このようにして、酸性のアルキルエーテルホスフェートが得られる。
【0098】
本発明によるポリマーのリン酸化は、一般に、前記の硫酸化と同様の手段で行う。好適なリン酸化剤は、例えば、リン酸、ポリリン酸、五酸化リン、POCl及びその他同種類のものである。POClを硫酸化剤として使用する場合、残りの塩素は、硫酸化後の加水分解によって置き換えられる。
【0099】
本発明によるポリマー(及びまたそのあらゆる誘導体)は、洗浄組成物内で用いることができる。本発明によるポリマーは、この組成物全体量を基準として、一般に0.05~10質量%の量で、好ましくは0.1~5質量%、及びより好ましくは0.15~2.5質量%の量で、洗浄組成物に添加することができる。
【0100】
このような洗浄組成物は、当業者に知られている。このような洗浄組成物は、1つ以上の界面活性剤(界面活性剤系)を含むことができる。洗浄組成物の具体例又はこのような洗浄組成物の成分は、それぞれ以下の通りである。
【0101】
界面活性剤
界面活性剤は本発明の洗浄組成物の洗浄性能に寄与するので、ここでは界面活性剤が所望され得る。好適な界面活性剤は、非イオン性界面活性剤又はその混合物;アニオン性界面活性剤又はその混合物;両性界面活性剤又はその混合物;双性イオン界面活性剤又はその混合物;カチオン性界面活性剤又はその混合物;及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0102】
組成物が硬質表面洗浄組成物である好ましい実施形態では、組成物は、組成物全体の約1質量%~約30質量%の、好ましくは約3質量%~約20質量%の、及びより好ましくは約5質量%~約15質量%の界面活性剤を含む。
【0103】
組成物が手洗い食器洗浄用の洗浄組成物である好ましい実施形態では、組成物は、組成物全体の約5質量%~約80質量%の、好ましくは約10質量%~約60質量%の、より好ましくは約12質量%~約45質量%の界面活性剤を含む。好ましい実施形態では、ここでの界面活性剤は、アルキル鎖の平均分岐を界面活性剤全体の約10質量%を超え、好ましくは約20質量%を超え、より好ましくは約30質量%を超え、及びさらにより好ましくは約40質量%を超えて有する。
【0104】
非イオン性界面活性剤
好ましい一実施形態では、洗浄組成物は、非イオン性界面活性剤を含む。好適な非イオン性界面活性剤は、アルコキシル化アルコール非イオン性界面活性剤でよく、これは当該技術分野でよく知られている縮合方法によって容易に作製することができる。しかし、多種多様のこのようなアルコキシル化アルコール、特にエトキシル化アルコール及び/又はプロポキシル化アルコールが市販されている。非イオン性のものを含む多くのこのような界面活性剤を列挙した界面活性剤カタログが利用可能である。
【0105】
従って、ここで使用するのに好ましいアルコキシル化アルコールは、式
O(E)(P)H 式(II)
による非イオン性界面活性剤である。
【0106】
式中、Rは、約2~約24個の炭素原子の炭化水素鎖であり、Eは、エチレンオキシドであり、Pは、プロピレンオキシドであり、かつ、e及びpはそれぞれエトキシル化度及びプロポキシル化度の平均を表し、約0~約24(e+pの合計は少なくとも1である)である。好ましくは、非イオン性化合物の疎水性部分は、約8個~約24個の炭素原子を有する第一級又は第二級の直鎖又は分岐状アルコールであり得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、好ましい非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと、約6~約22個の、好ましくは約9~約15個の炭素原子を有する直鎖又は分岐状のアルキル鎖を有するアルコールとの縮合生成物であり、アルコキシル化(エトキシル化及び/又はプロポキシル化)の程度は、アルコール1モル当たりアルキレンオキシドが約1~約25モル、好ましくは約2~約18モル、及びより好ましくは約5~約12モルである。アルコール1モル当たり約5~約12モルのエチレンオキシドを含有する界面活性剤が特に好ましい。このような好適な非イオン性界面活性剤は、例えば、Shell社から商品名Neodol(登録商標)で、又はBASF社から商品名Lutensol(登録商標)で市販されている。
【0108】
好ましくは、非イオン性界面活性剤は、液体洗浄組成物の約2質量%~約40質量%の、好ましくは約3質量%~約30質量%の典型的な量で、及び好ましくは、組成物全体の約3質量%~約20質量%の典型的な量で含まれる。
【0109】
また、式
O(C2nO)(グリコシル) 式(III)
を有するアルキルポリグリコシドも好適である。
【0110】
ここで、式(III)のRは、アルキル又はその混合物、アルキル‐フェニル又はその混合物、ヒドロキシアルキル又はその混合物、ヒドロキシアルキルフェニル又はその混合物、及びそれらの混合物からなる群から選択され、このアルキル基は約10個~約18個の、好ましくは約12個~約14個の炭素原子を含有する。式(III)のnは、約2又は約3、好ましくは約2であり、式(III)のtは約0~約10、好ましくは約0であり、式(III)のzは、約1.3~約10、好ましくは約1.3~約3、最も好ましくは約1.3~約2.7である。グリコシルは、好ましくはグルコースに由来する。また、アルキルグリセロールエーテル及びソルビタンエステルも好適である。
【0111】
また、式(IV)
【化4】
を有する脂肪酸アミド界面活性剤も好適である。
【0112】
ここで、式(IV)のRは、約7個~約21個、好ましくは約9個~約17個の炭素原子を含有するアルキル基であり、式(IV)の各Rは、水素、C~Cアルキル若しくはその混合物、C~Cヒドロキシアルキル若しくはその混合物、及び‐(CO)H若しくはその混合物からなる群から選択され、この式(IV)のyは、約1~約3で変化する。好ましいアミドは、C~C20アンモニアアミド、モノエタノールアミド、ジエタノールアミド及びイソプロパノールアミドであることが可能である。
【0113】
液体洗浄組成物に使用するための他の好ましい非イオン性界面活性剤は、ノニル(C)、デシル(C10)ウンデシル(C11)アルコールの混合物でよく、これらのアルコールは平均して約5個のエチレンオキシド(EO)単位で修飾されており、例えば市販のNeodol 91‐5(登録商標)、又は平均で約8個のEO単位で修飾されたNeodol 91‐8(登録商標)などがある。また、より長いアルキル鎖のエトキシル化非イオン性物質も好適であり、例えば5個のEOで修飾したC12又はC13(Neodol 23‐5(登録商標))なども好適である。Neodol(登録商標)はShell社の商品名である。また、7個のEOを有するC12又はC14アルキル鎖も好適であり、Novel 1412‐7(登録商標)(Sasol社製)又はLutensol A 7 N(BASF社製)の商品名で市販されている。
【0114】
好ましい分岐非イオン性界面活性剤は、5個のEOを有するGuerbet C10アルコールエトキシレート、例えばEthylan 1005、Lutensol XP 50(登録商標)及びGuerbet C10アルコールアルコキシル化非イオン性物質(EO及びPO(プロピレンオキシド)で変性されている)、例えば市販のLutensol XL(登録商標)シリーズ(Xl50、XL70など)である。他の分岐としては、オキソ分岐非イオン性界面活性剤、例えばLutensol ON 50(登録商標)(EO5個)及びLutensol ON 70(登録商標)(EO7個)が含まれる。他の好適な分岐非イオン性の界面活性剤は、イソトリデシルアルコールに由来しエチレンオキシドで修飾されたものであり、例えばBASF社製のLutensol TO7(登録商標)(EO7個)及びSasol社製のMarlipal O13/70(登録商標)(EO7個)である。また、最大で約50%の分岐(約40%のメチル(モノ又はビ)、約10%のシクロヘキシル)を含む、フィッシャー・トロプシュ反応から生じるエトキシル化脂肪族アルコール、例えばSasol社製のSafol(登録商標)アルコールから生成されるもの等、アルコールの少なくとも50質量%がC異性体(メチルからペンチル)である、オキソ反応から生じるエトキシル化脂肪族アルコール、例えばSasol社製のIsalchem(登録商標)アルコール又はLial(登録商標)アルコールから生成されるもの等、アルコールの少なくとも約15%がC異性体(メチルからペンチル)である、変性オキソ反応から生じるエトキシル化脂肪族アルコール、例えばShell社製のNeodol(登録商標)から生成されるもの等も、好適である。
【0115】
好ましい一実施形態では、界面活性剤全体対非イオン性界面活性剤の質量比は、約2~約10、好ましくは約2~約7.5、より好ましくは約2~約6である。
【0116】
アニオン性界面活性剤
アニオン性界面活性剤には、(これらに限定されるものではないが、)その分子構造中に一般に8~22個の炭素原子又は一般に8~18個の炭素原子を含有する有機疎水性基、並びに水溶性化合物が形成されるように好ましくはスルホネート、サルフェート及びカルボキシレートから選択される少なくとも1つの水可溶化基を含有する界面活性化合物が含まれる。通常、疎水性基はC8~C22アルキル又はアシル基を含む。このような界面活性剤は水溶性塩の形態で用いられ、塩形成カチオンは通常、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、マグネシウム及びモノ-、ジ-又はトリ-C2~C3アルカノールアンモニウムから選択されるが、ナトリウム、カチオンが通常選択されるものである。
【0117】
洗浄組成物に使用するのに好適なアニオン性界面活性剤は、サルフェート、スルホスクシネート、スルホアセテート及び/又はスルホネートであり、好ましくはアルキルサルフェート及び/又はアルキルエトキシサルフェートであり、より好ましくは、合わせて約5未満、好ましくは約3未満、より好ましくは約2未満のエトキシル化度を有するアルキルサルフェート及び/又はアルキルエトキシサルフェートの組み合わせである。
【0118】
サルフェート又はスルホネート界面活性剤は、典型的には洗浄組成物の少なくとも約5質量%のレベルで、好ましくは約5質量%~約40質量%、及びより好ましくは約15質量%~約30質量%、及びさらにより好ましくは約15質量%~約25質量%のレベルで存在する。
【0119】
洗浄組成物に使用するのに好適なサルフェート又はスルホネート界面活性剤には、C~C14アルキル又はヒドロキシアルキルの水溶性塩又は酸、サルフェート又はスルホネートが含まれる。好適な対イオンには、水素、アルカリ金属カチオン又はアンモニウム又は置換アンモニウムが含まれるが、好ましくはナトリウムである。ヒドロカルビル鎖が分岐鎖である場合、C1~4アルキル分岐単位を含むことが好ましい。サルフェート又はスルホネート界面活性剤の分岐の平均百分率は、好ましくはヒドロカルビル鎖全体の約30%を超え、より好ましくは約35%~約80%、及び最も好ましくは約40%~約60%である。1つの特に好適な直鎖アルキルスルホネートには、Witco社から市販されているWitconate NAS 8(登録商標)のようなCスルホネートが含まれる。
【0120】
サルフェート又はスルホネート界面活性剤は、C11~C18アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、C~C20一級分岐鎖状及びランダムアルキルサルフェート(AS)、C10~C18二級(2,3)アルキルサルフェート、好ましくはxが1~30であるC10~C18アルキルアルコキシサルフェート(AES)、好ましくは約1~5個のエトキシ単位を含むC10~C18アルキルアルコキシカルボキシレート、US6,020,303及びUS6,060,443で論じられる中鎖分岐アルキルサルフェート、US6,008,181及びUS6,020,303で論じられる中鎖分岐アルキルアルコキシサルフェート、WO99/05243、WO99/05242、WO99/05244、WO99/05082、WO99/05084、WO99/05241、WO99/07656、WO00/23549、及びWO00/23548で論じられる変性アルキルベンゼンスルホネート(MLAS)、メチルエステルスルホネート(MES)、並びにアルファ-オレフィンスルホネート(AOS)から選択してよい。
【0121】
パラフィンスルホネートは、モノスルホネート又はジスルホネートであってよく、通常は、それらの混合物であり、約10個~約20個の炭素原子のパラフィンをスルホン化することによって得られる。好ましいスルホネートはC12~18炭素原子鎖のスルホネートであり、より好ましくはC14~17鎖のものである。パラフィン鎖に沿って分布するスルホネート基を有するパラフィンスルホネートは、US2,503,280、US2,507,088、US3,260,744及びUS3,372 188に記載されている。
【0122】
また、Procter&Gamble社の特許出願WO06/014740に記載されているアルキルグリセリルスルホネート界面活性剤及び/又はアルキルグリセリルサルフェート界面活性剤も好適である。これは、オリゴマーのアルキルグリセリルスルホネート及び/又はサルフェート界面活性剤の混合物であり、二量体又はその混合物、三量体又はその混合物、四量体又はその混合物、五量体又はその混合物、六量体又はその混合物、七量体又はその混合物、及びそれらの混合物から選択され、ここで、アルキルグリセリルスルホネート及び/又はサルフェート界面活性剤混合物は、約0質量%~約60質量%のモノマーを含む。
【0123】
他の好適なアニオン性界面活性剤は、アルキル、好ましくはジアルキルスルホスクシネート及び/又はスルホアセテートである。ジアルキルスルホスクシネートは、C6~15直鎖又は分岐状のジアルキルスルホスクシネートであってもよい。アルキル部分は、対称(すなわち、同じアルキル部分)又は非対称(すなわち、異なるアルキル部分)であってよい。好ましくは、アルキル部分は対称である。
【0124】
最も一般的な分岐状アニオン性アルキルエーテルサルフェートは、分岐状アルコールと分岐状アルコールエトキシレートとの混合物の硫酸化で得られる。また、最大で約50%の分岐(約40%のメチル(モノ又はビ)、約10%のシクロヘキシル)を含む、フィッシャー・トロプシュ反応から生じる硫酸化脂肪族アルコール、例えばSasol社製のsafolアルコールから生成されるもの等、アルコールの少なくとも約50質量%がC異性体(メチルからペンチル)である、オキソ反応から生じる硫酸化脂肪族アルコール、例えばSasol社製のIsalchem(登録商標)アルコール又はLial(登録商標)アルコールから生成されるもの等、アルコールの少なくとも約15%がC異性体(メチルからペンチル)である、変性オキソ反応から生じる硫酸化脂肪族アルコール、例えばShell社製のNeodol(登録商標)アルコールから生成されるもの等も、好適である。
【0125】
双性イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤
洗浄組成物で使用するための双性イオン性及び両性界面活性剤は、洗浄組成物の約0.01質量%~約20質量%のレベルで、好ましくは約0.2質量%~約15質量%、より好ましくは約0.5質量%~約10質量%で含まれる。
【0126】
好ましい実施形態では、好適な双性イオン性界面活性剤は塩基性基及び酸性基の両方を含有し、これらの基は、比較的広いpH範囲で同じ分子上にカチオン性及びアニオン性の親水基の両方をもたらす分子内塩を形成する。典型的なカチオン性基は第四級アンモニウム基であるが、ホスホニウム基、イミダゾリウム基及びスルホニウム基のような他の正に荷電した基も使用することができる。典型的なアニオン性親水性基は、カルボキシレート及びスルホネートであるが、サルフェート、ホスホネート及びその他同種類のものなどの他の基も使用することができる。
【0127】
洗浄組成物は、好ましくはさらにアミンオキシド及び/又はベタインを含む。最も好ましいアミンオキシドは、ココナッツジメチルアミンオキシド又はココナッツアミドプロピルジメチルアミンオキシドである。アミンオキシドは、直鎖又は中分岐状のアルキル部分を有してよい。典型的な直鎖アミンオキシドには、1つのR8~18アルキル部分、並びにC1~3アルキル基及びその混合物、及びC1~3ヒドロキシアルキル基及びその混合物からなる群から選択される2つのR及びR部分を含有する水溶性アミンオキシドが含まれる。好ましくは、アミンオキシドは、式R‐N(R)(R)→Oで特徴づけられ、式中、RはC8~18アルキルであり、R及びRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2‐ヒドロキシエチル、2‐ヒドロキシプロピル及び3‐ヒドロキシプロピルからなる群から選択される。直鎖アミンオキシド界面活性剤には、特に、直鎖C10~C18アルキルジメチルアミンオキシド及び直鎖C~C12アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドが含まれる。好ましいアミンオキシドには、直鎖C10、直鎖C10~C12、及び直鎖C12~C14アルキルジメチルアミンオキシドが含まれる。
【0128】
ここで使用する「中分岐状」とは、アミンオキシドが、nの炭素原子を有する1つのアルキル部分を有し、そのアルキル部分上の1つのアルキル分岐が、nの炭素原子を有することを意味する。アルキル分岐は、アルキル部分における窒素からαの炭素上に位置する。アミンオキシドのこの種類の分岐は、内部アミンオキシドとしても当該技術分野において知られている。nとnの総合計は、約10~約24個の炭素原子、好ましくは約12~約20個、及びより好ましくは約10~約16個である。1つのアルキル部分に対する炭素原子の数(n)は、1つのアルキル分岐(n)とおよそ同数の炭素原子であって、その1つのアルキル部分と1つのアルキル分岐とが対称となるようにされるべきである。ここで使用するとき、「対称」は、ここで使用される中分岐状アミンオキシドの少なくとも約50質量%、より好ましくは少なくとも約75質量%~約100質量%中で、|n-n|が約5個以下、好ましくは約4個、最も好ましくは約0~約4個の炭素原子であることを意味する。
【0129】
アミンオキシドは、C1~3アルキル、C1~3ヒドロキシアルキル基、又は平均で約1~約3個のエチレンオキシド基を含有するポリエチレンオキシド基から独立して選択される2つの部分をさらに含む。好ましくは、2つの部分はC1~3アルキルから選択され、より好ましくは両方がCアルキルとして選択される。
【0130】
他の好適な界面活性剤には、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミダゾリニウムベタイン、スルホベタイン(INCIスルタイン)、及びまたホスホベタインなどのベタインが含まれ、好ましくは式Vを満たす:
1’-[CO-X(CH-N(R2’)(R3’)-(CH-[CH(OH)-CH-Y- (V)
式中、
1’は、飽和又は不飽和のC6~22アルキル残基、好ましくはC8~18アルキル残基、特に飽和C10~16アルキル残基、例えば飽和C12~14アルキル残基であり;
Xは、NH、NR4’(R4’はC1~4アルキル残基)、O又はSであり、
jは、約1~約10、好ましくは約2~約5、特に約3の数字であり、
gは、約0又は約1、好ましくは約1であり、
2’、R3’は、独立してC1~4アルキル残基であり、ヒドロキシエチルのようにヒドロキシ置換されることもあり得るが、好ましくはメチルであり、
fは、約1~約4、特に約1、2、又は3の数字であり、
hは、約0又は1であり、及び
Yは、COO、SO、OPO(OR5’)O又はP(O)(OR5’)Oから選択され、式中、R5’は、水素原子H又はC1~4アルキル残基である。
【0131】
好ましいベタインは、式(V)のアルキルベタイン、式(V)のアルキルアミドベタイン、式(V)のスルホベタイン、及び式(V)のアミドスルホベタインである;
1’-N(CH-CHCOO (V
1’-CO-NH(CH-N(CH-CHCOO (V
1’-N(CH-CHCH(OH)CHSO- (V
1’-CO-NH-(CH-N(CH-CHCH(OH)CHSO (V
(式中、R1’は、式Vにおける意味と同じ意味を有する)。特に好ましいベタインは、カルボベタインであり(式中、Yは[COO]である)、特に式(V)及び(V)のカルボベタイン、より好ましくは式(V)のアルキルアミドベタインである。
【0132】
好適なベタイン及びスルホベタインの例は、以下のとおりである(INCIに従った表記):アーモンドアミドプロピルベタイン、アプリコットアミドプロピルベタイン、アボカドアミドプロピルベタイン、ババスアミドプロピルベタイン、ベヘナミドプロピルベタイン、ベヘニルベタイン、ベタイン、キャノーラミドプロピルベタイン、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、カルニチン、セチルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココベタイン、ココヒドロキシスルタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、ココスルタイン、デシルベタイン、ジヒドロキシエチルオレイルグリシナート、ジヒドロキシエチルソイグリシナート、ジヒドロキシエチルステアリルグリシナート、ジヒドロキシエチルタロウグリシナート、ジメチコンプロピルPGベタイン、ドルカミドプロピルヒドロキシスルタイン、水添タロウベタイン、イソステアラミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウリルスルタイン、乳脂脂肪酸アミドプロピルベタイン、乳脂脂肪酸アミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、オレアミドプロピルベタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレイルベタイン、オリーブアミドプロピルベタイン、パームアミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、パルミチン酸カルニチン、パーム核脂肪酸アミドプロピルベタイン、ポリテトラフルオロエチレンアセトキシプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、セサミドプロピルベタイン、ソイアミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、タロウアミドプロピルベタイン、タロウアミドプロピルヒドロキシスルタイン、タロウベタイン、タロウジヒドロキシエチルベタイン、ウンデシレナミドプロピルベタイン、及びコムギ胚芽アミドプロピルベタイン。好ましいベタインは、例えば、ココアミドプロピルベタインである。
【0133】
例えば、ココナッツジメチルベタインは、Seppic社から商品名Amonyl265(登録商標)として市販されている。ラウリルベタインは、Albright&Wilson社から商品名Empigen BB/L(登録商標)として市販されている。ベタインのさらなる例は、Rhodia社から商品名Mirataine H2C‐HA(登録商標)として市販されているラウリルイミノジプロピオネートである。
【0134】
組成物が硬質表面洗浄組成物である好ましい実施形態で使用するための1つの特に好ましい双性イオン性界面活性剤は、スルホベタイン界面活性剤である。なぜならば、最適な石鹸カス洗浄という利点をもたらすからである。
【0135】
特に好適なスルホベタイン界面活性剤の例には、タロウビス(ヒドロキシエチル)スルホベタイン及びココアミドプロピルヒドロキシスルホベタインが含まれ、それぞれRhodia&Witco社から商品名Mirataine CBS(登録商標)及びRewoteric AM CAS 15(登録商標)として市販されている。
【0136】
カチオン性界面活性剤
好ましい一実施形態では、洗浄組成物は、存在するカチオン性界面活性剤を有効量で、より好ましくは液体洗浄組成物の約0.1質量%~約20質量%で含むことができる。好適なカチオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム界面活性剤である。好適な第四級アンモニウム界面活性剤は、モノC~C16、好ましくはC~C10N‐アルキル又はアルケニルアンモニウム界面活性剤又はそれらの混合物からなる群から選択され、残りのN位はメチル、ヒドロキシエチル又はヒドロキシプロピル基によって置換される。別の好ましいカチオン性界面活性剤は、第四級塩素エステルなどの第四級アンモニウムアルコールのC~C18アルキル又はアルケニルエステルである。より好ましくは、カチオン性界面活性剤は、式(VI)を有する。
【0137】
【化5】
【0138】
式中、式(V)のRは、C~C18ヒドロカルビル又はその混合物、好ましくはC8~14アルキル、より好ましくはC、C10又はC12のアルキルであり、式(V)のZはアニオン、好ましくは塩化物イオン又は臭化物イオンである。
【0139】
任意の成分
本発明による洗浄組成物は、目的とする技術的利点及び処理する表面に応じて、様々な任意成分を含んでよい。
【0140】
ここで使用するのに好適な任意成分には、アルカリ性物質又はその混合物;無機若しくは有機酸及びその塩又はそれらの混合物;緩衝剤又はその混合物;表面改質ポリマー又はその混合物;洗浄ポリマー又はその混合物;過酸素漂白剤又はその混合物;ラジカル捕捉剤又はその混合物;キレート剤又はその混合物;香料又はその混合物;染料又はその混合物;ハイドロトロープ又はその混合物;高分子泡安定剤又はその混合物;ジアミン又はその混合物;及びそれらの混合物が含まれる。
【0141】
溶媒
溶媒は一般に、溶解、濃さ及び美観といった好ましい製品品質を確実にし、より良い処理を確実にするために使用される。本発明の洗浄用組成物は、溶媒又はその混合物を、任意成分としてさらに含んでもよい。典型的には、組成物が硬質表面洗浄組成物である好ましい実施形態では、組成物は、組成物全体の約0.1質量%~約10質量%、好ましくは約0.5質量%~約5質量%、及びより好ましくは約1質量%~約3質量%の溶媒又はその混合物を含んでよい。組成物が手洗い食器洗浄用洗剤組成物である好ましい実施形態では、組成物は、約0.01質量%~約20質量%の、好ましくは約0.5質量%~約20質量%の、より好ましくは約1質量%~約10質量%の溶媒を含有する。
【0142】
ここでの好適な溶媒には、式R10-OHによるC~Cアルコールが含まれる。式中、R10は約1個~約5個の、好ましくは約2個~約4個の炭素原子の飽和アルキル基である。好適なアルコールはエタノール、プロパノール、イソプロパノール又はそれらの混合物である。他の好適なアルコールは、式R11-(A)-OHによるアルコキシル化C1~8アルコールである。式中、R11は約1個~約8個の、好ましくは約3個~約6個の炭素原子のアルキル基であり、かつ式中、Aはアルコキシ基であり、好ましくはプロポキシ及び/又はエトキシであり、qは1~5、好ましくは1~2の整数である。好適なアルコールは、ブトキシプロポキシプロパノール(n‐BPP)、ブトキシプロパノール(n‐BP)、ブトキシエタノール、又はそれらの混合物である。ここで使用される好適なアルコキシル化芳香族アルコールは、式R12-(B)-OHによるものである。式中、R12は約1個~約20個の炭素原子、好ましくは約2個~約15個の、及びより好ましくは約2~約10の炭素原子のアルキル置換又は非アルキル置換アリール基であり、式中、Bはアルコキシ基であり、好ましくはブトキシ基、プロポキシ基及び/又はエトキシ基であり、rは1~5、好ましくは1~2の整数である。ここで使用される好適な芳香族アルコールは、ベンジルアルコールである。好適なアルコキシル化芳香族アルコールは、ベンジルエタノール及び又はベンジルプロパノールである。他の好適な溶媒には、ブチルジグリコールエーテル、ベンジルアルコール、プロポキシプロポキシプロパノール(EP0859044)エーテル及びジエーテル、グリコール、アルコキシル化グリコール、C~C16グリコールエーテル、アルコキシル化芳香族アルコール、芳香族アルコール、脂肪族分岐状アルコール、アルコキシル化脂肪族分岐状アルコール、アルコキシル化直鎖C~Cアルコール、直鎖C~Cアルコール、アミン、C~C14アルキル及びシクロアルキル炭化水素及びハロ炭化水素、及びそれらの混合物が含まれる。
【0143】
香料
本発明の洗浄組成物は、香料成分又はその混合物を、組成物全体の約5.0質量%までの量で、好ましくは約0.1質量%~約1.5質量%の量で含んでよい。ここで使用するのに好適な香料化合物及び組成物は、例えば、EP-A-0957156で、13ページの「香料」と題する段落に記載されている。
【0144】
染料
本発明による洗浄組成物は着色されていてもよい。よって、洗浄組成物は染料又はその混合物を含んでよい。ここで使用するのに好適な染料は、ここでの組成物のpHで化学的及び物理的に安定である。
【0145】
pH調整剤
アルカリ性物質
好ましくは、本発明による組成物のpHを調整及び/又はpHを維持するために、アルカリ性物質が存在してもよい。アルカリ性物質の量は、組成物の約0.001質量%~約20質量%、好ましくは約0.01質量%~約10質量%、及びより好ましくは約0.05質量%~約3質量%である。
【0146】
アルカリ性物質の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び/若しくは水酸化リチウム、並びに/又はアルカリ金属オキシド、例えばナトリウムオキシド及び/若しくはカリウムオキシド、又はそれらの混合物である。好ましくは、アルカリ源は水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0147】

本発明の洗浄組成物は、酸を含んでよい。当業者に知られているあらゆる酸がここで使用できる。典型的には、ここでの組成物は、組成物全体に対し最大で約20質量%までの、好ましくは約0.1質量%~約10質量%、より好ましくは約0.1質量%~約5質量%、さらにより好ましくは約0.1質量%~約3質量%の酸を含んでよい。
【0148】
好適な酸は、モノカルボン酸及びポリカルボン酸又はそれらの混合物;過カルボン酸又はその混合物;置換カルボン酸又はその混合物;並びにそれらの混合物からなる群から選択される。ここで有用なカルボン酸には、C1~6直鎖又は少なくとも約3個の炭素含有の環状酸が含まれる。カルボン酸の直鎖状又は環状の炭素含有鎖は、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、約1個~約6個、より好ましくは約1個~約4個の炭素原子を有する脂肪族基、及びそれらの混合物からなる群から選択される置換基で置換されてもよい。
【0149】
好適なモノカルボン酸及びポリカルボン酸は、クエン酸、乳酸、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、酒石酸、ギ酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、プロピオン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0150】
好適な過カルボン酸は、過酢酸、過炭酸、過ホウ酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0151】
好適な置換カルボン酸は、アミノ酸又はその混合物、ハロゲン化カルボン酸又はその混合物、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0152】
ここでの使用に好ましい酸は、乳酸、クエン酸、及びアスコルビン酸並びにそれらの混合物からなる群から選択される。ここでの使用により好ましい酸は、乳酸及びクエン酸並びにそれらの混合物からなる群から選択される。ここでの使用にさらにより好ましい酸は、乳酸である。
【0153】
好適な酸は、JBL社、T&L社、又はSigma社から市販されている。乳酸は、Sigma社及びPurac社から市販されている。
【0154】

好ましい実施形態では、本発明の洗浄組成物は、pH緩衝剤として他の塩も含む。塩は一般に、組成物の約0.01質量%~約5質量%の活性レベルで、好ましくは約0.015質量%~約3質量%、より好ましくは約0.025質量%~約2.0質量%のレベルで存在する。
【0155】
塩が含まれる場合、イオンは、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム及び/又はマグネシウムから、好ましくはナトリウム及びマグネシウムから選択することができ、水酸化物、塩化物、酢酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酸化物又は硝酸塩として本発明の組成物に添加する。
【0156】
キレート剤
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、組成物全体の約0.1質量%~約20質量%のレベルで、好ましくは約0.2質量%~約5質量%、より好ましくは約0.2質量%~約3質量%のレベルでキレート剤を含んでよい。
【0157】
好適なキレート剤は、アミノカルボキシレート又はその混合物;アミノホスホネート又はその混合物;多官能性置換芳香族キレート剤又はその混合物;及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0158】
ここでの使用に好ましいキレート剤は、アミノ酸ベースのキレート剤、及び好ましくはグルタミン‐N,N‐二酢酸(GLDA)及びその誘導体、及び/又はホスホネートベースのキレート剤、及び好ましくはジエチレントリアミンペンタメチルホスホン酸である。GLDA(その塩及び誘導体)は、本発明によれば特に好ましく、その四ナトリウム塩が特に好ましい。
【0159】
また、エチレンジアミンテトラアセテート、N‐ヒドロキシエチルエチレンジアミントリアセテート、ニトリロトリアセテート、エチレンジアミンテトラプロピオネート、トリエチレンテトラアミンヘキサアセテート、ジエチレントリアミンペンタアセテート、エタノールジグリシンを含むアミノカルボキシレート;及びそれらのアルカリ金属、アンモニウム及び置換アンモニウム塩;及びそれらの混合物;及びまたMGDA(メチル‐グリシン‐ジ酢酸)、並びにそれらの塩及び誘導体も好ましい。
【0160】
他のキレート剤には、ポリカルボン酸のホモポリマー及びコポリマー、及びそれらの部分的に若しくは完全に中和された塩、モノマーポリカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸及びそれらの塩が含まれる。上記化合物の好ましい塩は、アンモニウム塩及び/又はアルカリ金属塩、すなわちリチウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩であり、特に好ましい塩はナトリウム塩である。
【0161】
好適なポリカルボン酸は、非環式、脂環式、複素環式及び芳香族カルボン酸であり、その場合それらカルボン酸は、いずれの場合も互いに、好ましくは約2個を超えない炭素原子で分離される少なくとも約2個のカルボキシル基を含有する。2個のカルボキシル基を含むポリカルボキシレートには、例えば、マロン酸、(エチルエネジオキシ(ethyl enedioxy))ジ酢酸、マレイン酸、ジグリコール酸、酒石酸、タルトロン酸及びフマル酸の水溶性塩が含まれる。3個のカルボキシル基を含むポリカルボキシレートには、例えば、水溶性クエン酸が含まれる。対応して、好適なヒドロキシカルボン酸は、例えば、クエン酸である。別の好適なポリカルボン酸は、アクリル酸のホモポリマーである。好ましいのは、末端がスルホネートでキャップされたポリカルボキシレートである。
【0162】
ここで使用するためのさらに好適なポリカルボキシレートキレート剤には、酢酸、コハク酸、ギ酸が含まれ、それらは全て好ましくは水溶性塩の形態である。他の好適なポリカルボキシレートは、オキソジスクシネート、カルボキシメチルオキシスクシネート、及びUS4,663,071に記載されているような酒石酸モノコハク酸と酒石酸ジコハク酸の混合物である。
【0163】
また、アミノホスホネートもキレート剤としての使用に適しており、DEQUESTとしてエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)を含む。好ましくは、これらのアミノホスホネートは、約6個を超える炭素原子を有するアルキル基又はアルケニル基を含有しない。
【0164】
多官能性置換芳香族キレート剤も、US3,812,044に記載されているようにここでの組成物において有用である。酸形態でのこの種類の好ましい化合物は、ジヒドロキシジスルホベンゼン、例えば1,2‐ジヒドロキシ‐3,5‐ジスルホベンゼンである。
【0165】
ハイドロトロープ
本発明の洗浄組成物は、組成物が水中で適切に親和するように、任意にハイドロトロープを有効量で含んでもよい。本発明の組成物は、典型的には、ハイドロトロープ又はその混合物を、組成物全体の約0質量%~約15質量%、好ましくは約1質量%~約10質量%、最も好ましくは約3質量%~約6質量%含む。ここでの使用に好適なハイドロトロープには、アニオン型のハイドロトロープ、特にキシレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸カリウム及びキシレンスルホン酸アンモニウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸カリウム及びトルエンスルホン酸アンモニウム、クメンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸カリウム及びクメンスルホン酸アンモニウム、及びこれらの混合物、並びに米国特許第3,915,903号に開示されている関連する化合物が含まれる。
【実施例
【0166】
以下の実施例は、本発明の範囲を限定することなく本発明をさらに例示するものである。
【0167】
I.分析方法
アミン価は、DIN 16945-5.6(1989年)に従い、酢酸中のポリマー溶液の過塩素酸による滴定で測定した。
【0168】
ヒドロキシ価は、DIN53240-1(2013年)に従い、ピリジン中の試料を無水酢酸及び酢酸と共に加熱し、続いて水酸化カリウムで滴定することによって測定した。
【0169】
分子量(Mn)は、溶離液としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたサイズ排除クロマトグラフィーにより、測定した。
【0170】
純粋なポリマーの粘度は、回転粘度計(Haake)を用いて20℃で測定した。
【0171】
II.調製実施例
以下の実施例において、「/mol OH」は、ポリマー(以下の実施例ではポリトリエタノールアミン)中の遊離OH基1モルあたりの量を意味する。
【0172】
実施例1:ポリトリエタノールアミン+0.3molブチレンオキシド/mol OH
1a)ポリトリエタノールアミン(工程a)による縮合)
撹拌機、蒸留橋、ガス導入管及び内部温度計を備えた4つ口フラスコに、1500gのトリエタノールアミン及び20gのHPOの50質量%水溶液を充填する。混合物を窒素下で200℃に加熱する。反応混合物を15.5時間にわたって200℃で撹拌し、その間に、反応で形成された凝縮物を、蒸留橋を介したストリッピングガスとしての中程度のN流により除去する。記した反応時間の終わりにかけて、温度を140℃に下げる。残留する低分子量生成物を100mbarの圧力下で除去する。次いで、反応混合物を周囲温度まで冷却すると、ポリトリエタノールアミン(OH価:585mgKOH/g、アミン価:423mgKOH/g、60℃での動粘度:431mPas、Mn=4450g/mol、Mw=8200g/mol)が得られる。
【0173】
1b)0.3molブチレンオキシド/mol OHとの反応(工程b)によるアルコキシル化)
1リットルのオートクレーブ中で、実施例1a)で得られた206.3gのポリトリエタノールアミン及び1.0gの水酸化カリウム(50%水溶液)を混合し、真空下(<10mbar)120℃で2時間撹拌する。オートクレーブを窒素でパージし、140℃に加熱する。46.5gのブチレンオキシドを0.5時間以内に添加する。反応を完結させるために、混合物を140℃でさらに10時間、後反応させる。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃で真空除去する。252.0gの褐色液体が得られる(ヒドロキシル価:495.6mgKOH/g、アミン価:357.9mgKOH/g)。
【0174】
実施例2:ポリトリエタノールアミン+0.6molブチレンオキシド/mol OH
1リットルのオートクレーブ中で、実施例1a)で得られた153.6gのポリトリエタノールアミン及び0.9gの水酸化カリウム(50%水溶液)を混合し、真空下(<10mbar)120℃で2時間撹拌する。オートクレーブを窒素でパージし、140℃に加熱する。69.2gのブチレンオキシドを1時間以内に添加する。反応を完結させるために、混合物を140℃でさらに10時間、後反応させる。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃で真空除去する。223.0gの褐色液体が得られる(ヒドロキシル価:444.9mgKOH/g、アミン価:304.1mgKOH/g)。
【0175】
実施例3:ポリトリエタノールアミン+0.5molドデセンオキシド/mol OH
2リットルのオートクレーブ中で、実施例1a)で得られた197.8gのポリトリエタノールアミン及び0.8gの水酸化カリウム(50%水溶液)を混合し、真空下(<10mbar)120℃で2時間撹拌する。オートクレーブを窒素でパージし、140℃に加熱する。189.6gのドデセンオキシドを2時間以内に添加する。反応を完結させるために、混合物を140℃でさらに20時間、後反応させる。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃で真空除去する。390.0gの褐色液体が得られる。
【0176】
実施例4:ポリトリエタノールアミン+0.3molドデセンオキシド/mol OH
2リットルのオートクレーブ中で、実施例1a)で得られた197.8gのポリトリエタノールアミン及び0.6gの水酸化カリウム(50%水溶液)を混合し、真空下(<10mbar)120℃で2時間撹拌する。オートクレーブを窒素でパージし、140℃に加熱する。113.7gのドデセンオキシドを1時間以内に添加する。反応を完結させるために、混合物を140℃でさらに20時間、後反応させる。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃で真空除去する。299.0gの褐色液体が得られる(ヒドロキシル価:411.3mgKOH/g、アミン価:277.2mgKOH/g)。
【0177】
実施例5:ポリトリエタノールアミン+0.2molドデセンオキシド/mol OH
2リットルのオートクレーブ中で、実施例1a)で得られた229.5gのポリトリエタノールアミン及び0.6gの水酸化カリウム(50%水溶液)を混合し、真空下(<10mbar)120℃で2時間撹拌する。オートクレーブを窒素でパージし、140℃に加熱する。88.1gのドデセンオキシドを0.5時間以内に添加する。反応を完結させるために、混合物を140℃でさらに24時間、後反応させる。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃で真空除去する。315.0gの褐色液体が得られる(ヒドロキシル価:426.5mgKOH/g)。
【0178】
実施例6:ポリトリエタノールアミン+0.1molのドデセンオキシド/mol OH
2リットルのオートクレーブ中で、実施例1a)で得られた242.2gのポリトリエタノールアミン及び0.6gの水酸化カリウム(50%水溶液)を混合し、真空下(<10mbar)120℃で2時間撹拌する。オートクレーブを窒素でパージし、140℃に加熱する。46.5gのドデセンオキシドを0.5時間以内に添加する。反応を完結させるために、混合物を140℃でさらに24時間、後反応させる。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃で真空除去する。287.9gの褐色液体が得られる。
【0179】
比較例7:ポリトリエタノールアミン+20molエチレンオキシド/mol OH
2リットルのオートクレーブ中で、実施例1a)で得られた66.0gのポリトリエタノールアミン及び2.7gの水酸化カリウム(50%水溶液)を混合し、真空下(<10mbar)120℃で2時間撹拌する。オートクレーブを窒素でパージし、140℃に加熱する。605.6gのエチレンオキシドを6時間以内に添加する。反応を完結させるために、混合物を140℃でさらに10時間、後反応させる。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃で真空除去する。653.6gの淡褐色固体が得られる(ヒドロキシル価:65.4mgKOH/g)。
【0180】
実施例8:ポリトリエタノールアミン+0.2molドデセンオキシド/mol OH
2リットルのオートクレーブ中で、実施例1a)に記載したようにして得られた167.1gのポリトリエタノールアミン(ヒドロキシル価:448,1mgKOH/g)及び0.4gのカリウムtertブトキシドを混合し、真空下(<10mbar)120℃で0.5時間撹拌する。オートクレーブを窒素でパージし、140℃に加熱する。49.1gのドデセンオキシドを0.5時間以内に添加する。反応を完結させるために、混合物を140℃でさらに20時間、後反応させる。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃で真空除去する。216.6gの褐色液体が得られる。
【0181】
比較例9:ポリトリエタノールアミン+1.5molのドデセンオキシド/mol OH
5リットルのオートクレーブ中で、実施例1a)に記載したようにして得られた400.0gのポリトリエタノールアミン(ヒドロキシル価:584.6mgKOH/g)及び7.8gのカリウムtertブトキシドを混合し、真空下(<10mbar)120℃で0.5時間撹拌する。オートクレーブを窒素でパージし、140℃に加熱する。1150.0gのドデセンオキシドを6時間以内に添加する。反応を完結させるために、混合物を140℃でさらに80時間、後反応させる。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃で真空除去する。1558.0gの黄色液体が得られる。ドデセンエポキシドの転化率(99%)をエポキシド滴定によって測定する(エポキシ価113.3mgKOH/g、アミン価:110.5mgKOH/g)。エポキシ価は、DIN1877(2000年7月)に従い測定する。
【0182】
実施例10:洗浄性能の評価
焦げ付き油脂の調製:
市販の植物油をアルブミン(Sigma Aldrich社から市販されている)と80:20(w/w)の比で混合し、耐熱性赤色染料を添加する。混合物をエナメルプレート上に均一に分配し、プレートを165℃で2.5~3時間焼く。
【0183】
試験手順:
調製したエナメルプレートを湿式磨耗スクラブ試験機(Sheen Instruments)に入れる。4つのスポンジをスクラブ試験機に入れ、以下の表1に詳述した10%w/wの洗剤組成物と90%w/wの水との試験溶液25mlで処理する。試験溶液の硬度は2.5mMのCa2+/Mg2+(比3:1)に調整し、pHは9.0に調整する。拭き取り後に毎回写真を撮影する。エナメルプレート上の残留油脂の量は、写真の画像解析によって定量化する。
【0184】
以下の手洗い食器洗浄用洗剤組成物を作製する(表1)。
【0185】
【表1】
【0186】
AES:平均エトキシル化度0.6のC1315エトキシル化サルフェート。
非イオン性界面活性剤は、C~C11 EO8個である。
PPG2000:ポリプロピレングリコール(分子量2000)
PEIポリマー:約14,000g/molの数平均分子量を有するアルコキシル化ポリエチレンイミンポリマー
【0187】
添加剤を有する溶液(表1に定義する組成物B)の洗浄性能を、10回の拭き取り後に、添加剤なしの溶液(表1に定義する参照組成物A)について観察した洗浄に対する百分率で報告する。結果を表2及び3に示す。同じ洗浄試験内の結果のみを比較する。
【0188】
【表2】
【0189】
【表3】
【0190】
【表4】
【0191】
添加剤として比較例9を使用したところ、濁った試験溶液が得られたのに対して、実施例5では透明な溶液が得られた。
【0192】
結果は、表2、表3及び表4に示すとおり、本発明による実施例1~6及び8の添加剤を含む食器洗浄組成物の洗浄試験における性能が、添加物を含まない食器洗浄組成物(組成物A)よりも優れていることを証明している。さらに、添加剤として本発明によらないポリマーを含む食器洗浄組成物(表2、3及び4の比較例7及び9)は、同じ試験において劣った結果を示す。このことは、本発明のポリマーを添加剤として使用する場合、その選択した化学構造の特性が、観察された食器洗浄組成物の洗浄性能を改善させる原因となることを示している。