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特許7143251ダンパー制御システムおよびダンパー制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】ダンパー制御システムおよびダンパー制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220920BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
H01L21/304 622Z
H01L21/304 648L
F24F7/007 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019101611
(22)【出願日】2019-05-30
(65)【公開番号】P2020198324
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】今村 聴
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 充
(72)【発明者】
【氏名】國澤 淳次
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-286219(JP,A)
【文献】特開2009-36425(JP,A)
【文献】特開2006-78086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
F24F 7/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理モジュールの隔壁に取り付けられた排気ダクトに接続され、かつ全開と全閉との間で開度を調整可能な排気ダンパーと、
前記隔壁の内部空間に配置された第1圧力センサと、
前記排気ダクトに配置された第2圧力センサと、
前記第1圧力センサによって測定された圧力に基づいて、前記排気ダンパーの開度を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記隔壁に形成された開口を開閉するシャッターが開かれていることを条件として、前記排気ダンパーの開度を全開よりも小さな開度に切り替え
前記制御装置は、
前記シャッターが閉じられていることを条件として、前記第1圧力センサによって測定された圧力に基づいて、前記排気ダンパーの開度を制御し、
前記シャッターが開かれていることを条件として、監視対象を前記第1圧力センサから前記第2圧力センサに切り替える、システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記シャッターが閉じられていることを条件として、前記第1圧力センサによって測定された圧力に基づいて、前記排気ダンパーの開度を制御し、
前記シャッターが開かれていることを条件として、前記排気ダンパーの開度を所定の開度に固定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記シャッターが開かれた後、閉じられる直前に前記第2圧力センサによって測定された圧力に基づいて、前記排気ダンパーの開度を制御する、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
処理モジュールの隔壁に取り付けられた排気ダクトに接続された排気ダンパーの制御方法であって、
前記隔壁の内部空間に配置された第1圧力センサによって測定された圧力に基づいて、前記排気ダンパーの開度を制御し、
前記隔壁に形成された開口を開閉するシャッターが開かれていることを条件として、前記排気ダンパーの開度を全開よりも小さな開度に切り替え
前記シャッターが閉じられていることを条件として、前記第1圧力センサによって測定された圧力に基づいて、前記排気ダンパーの開度を制御し、
前記シャッターが開かれていることを条件として、監視対象を前記第1圧力センサから前記排気ダクトに配置された第2圧力センサに切り替える、方法。
【請求項5】
前記シャッターが閉じられていることを条件として、前記第1圧力センサによって測定された圧力に基づいて、前記排気ダンパーの開度を制御し、
前記シャッターが開かれていることを条件として、前記排気ダンパーの開度を所定の開度に固定する、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記シャッターが開かれた後、閉じられる直前に前記第2圧力センサによって測定された圧力に基づいて、前記排気ダンパーの開度を制御する、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ダクトに接続された排気ダンパーの開度を制御するダンパー制御システムおよびダンパー制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
陽圧に維持された空間(陽圧室)と陰圧に維持された空間(陰圧室)との間に設けられた隔壁を備える構造物が知られている。隔壁に設けられたシャッターが開かれると、搬送対象物は陽圧室から陰圧室に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-50436号公報
【文献】特開平11-307499号公報
【文献】特開平11-290793号公報
【文献】特開2000-286219号公報
【文献】特開平6-163494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図8は、陰圧室の圧力変動に伴う問題を説明するための図である。図8に示すように、シャッターが開かれると、陽圧室の気体が陰圧室に流れ込む。すると、陰圧室の圧力が大きくなる。陰圧室を排気するために、排気ダクトに接続された排気ダンパーの開度は全開となる。
【0005】
その後、シャッターが閉じられると、陽圧室からの気体の流入が遮断される。しかしながら、シャッターが閉じられた直後では、排気ダンパーの開度は全開であるため、陰圧室の圧力は急激に下がってしまう。結果として、アンダーシュート現象と呼ばれる圧力変動が発生してしまい、陰圧室の圧力が所定の圧力に戻るまでに、多くの時間がかかってしまう。
【0006】
搬送対象物は、所定の圧力に維持された陰圧室でプロセスされる場合がある。アンダーシュート現象が発生すると、陰圧室の圧力が所定の圧力に到達するまでの間、搬送対象物のプロセスを実行することができない。結果として、プロセス全体のスループットが低下してしまう。
【0007】
そこで、本発明は、アンダーシュート現象の発生を防止することができるダンパー制御システムおよびダンパー制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、処理モジュールの隔壁に取り付けられた排気ダクトに接続され、かつ全開と全閉との間で開度を調整可能な排気ダンパーと、前記隔壁の内部空間に配置された第1圧力センサと、前記第1圧力センサによって測定された圧力に基づいて、前記排気ダンパーの開度を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記隔壁に形成された開口を開閉するシャッターが開かれていることを条件として、前記排気ダンパーの開度を全開よりも小さな開度に切り替える、システムが提供される。
【0009】
一態様では、前記制御装置は、前記シャッターが閉じられていることを条件として、前記第1圧力センサによって測定された圧力に基づいて、前記排気ダンパーの開度を制御し、前記シャッターが開かれていることを条件として、前記排気ダンパーの開度を所定の開度に固定する。
一態様では、前記ダンパー制御システムは、前記排気ダクトに配置された第2圧力センサをさらに備えており、前記制御装置は、前記シャッターが閉じられていることを条件として、前記第1圧力センサによって測定された圧力に基づいて、前記排気ダンパーの開度を制御し、前記シャッターが開かれていることを条件として、監視対象を前記第1圧力センサから前記第2圧力センサに切り替える。
一態様では、前記制御装置は、前記シャッターが開かれた後、閉じられる直前に前記第2圧力センサによって測定された圧力に基づいて、前記排気ダンパーの開度を制御する。
【0010】
一態様では、処理モジュールの隔壁に取り付けられた排気ダクトに接続された排気ダンパーの制御方法であって、前記隔壁の内部空間に配置された第1圧力センサによって測定された圧力に基づいて、前記排気ダンパーの開度を制御し、前記隔壁に形成された開口を開閉するシャッターが開かれていることを条件として、前記排気ダンパーの開度を全開よりも小さな開度に切り替える、方法が提供される。
【0011】
一態様では、前記シャッターが閉じられていることを条件として、前記第1圧力センサによって測定された圧力に基づいて、前記排気ダンパーの開度を制御し、前記シャッターが開かれていることを条件として、前記排気ダンパーの開度を所定の開度に固定する。
一態様では、前記シャッターが閉じられていることを条件として、前記第1圧力センサによって測定された圧力に基づいて、前記排気ダンパーの開度を制御し、前記シャッターが開かれていることを条件として、監視対象を前記第1圧力センサから前記排気ダクトに配置された第2圧力センサに切り替える。
一態様では、前記シャッターが開かれた後、閉じられる直前に前記第2圧力センサによって測定された圧力に基づいて、前記排気ダンパーの開度を制御する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シャッターが開かれた後にシャッターが閉じられても、処理モジュールの内部空間の圧力は、急激には下がらず、アンダーシュート現象は発生しない。したがって、処理モジュールは、搬送対象物(例えば、ウェハ)が処理モジュールに搬送された直後から、搬送対象物の処理を実行することができる。結果として、ダンパー制御システムは、プロセス全体のスループットを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】半導体製造装置の一実施形態を示す平面図である。
図2図2(a)は洗浄ユニットを示す平面図であり、図2(b)は洗浄ユニットを示す側面図である。
図3】ダンパー制御システムの一実施形態を示す図である。
図4】制御装置の動作シーケンスの一実施形態を示す図である。
図5図4に示すダンパー制御方法の効果を示す図である。
図6】制御装置の動作シーケンスの他の実施形態を示す図である。
図7図6に示すダンパー制御方法の効果を示す図である。
図8】陰圧室の圧力変動に伴う問題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下で説明する図面において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0015】
図1は、半導体製造装置の一実施形態を示す平面図である。図1に示すように、半導体製造装置は、略矩形状のハウジング1を備えており、ハウジング1の内部は隔壁1a,1bによってロード/アンロードユニット2と研磨ユニット3と洗浄ユニット4とに区画されている。ロード/アンロードユニット2、研磨ユニット3、および洗浄ユニット4は、それぞれ独立に組み立てられ、独立に排気される。また、半導体製造装置は、基板処理動作を制御する制御装置5を備えている。
【0016】
ロード/アンロードユニット2は、多数のウェハ(基板)をストックするウェハカセットが載置される2つ以上(本実施形態では4つ)のフロントロード部20を備えている。これらのフロントロード部20はハウジング1に隣接して配置され、半導体製造装置の幅方向(長手方向と垂直な方向)に沿って配列されている。フロントロード部20には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、またはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができるようになっている。
【0017】
また、ロード/アンロードユニット2には、フロントロード部20の並びに沿って走行機構21が敷設されており、この走行機構21上にウェハカセットの配列方向に沿って移動可能な2台の搬送ロボット(ローダー、搬送機構)22が設置されている。搬送ロボット22は走行機構21上を移動することによってフロントロード部20に搭載されたウェハカセットにアクセスできるようになっている。
【0018】
研磨ユニット3は、ウェハの研磨(平坦化)が行われる領域であり、第1研磨ユニット3A、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、および第4研磨ユニット3Dを備えている。これらの第1研磨ユニット3A、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、および第4研磨ユニット3Dは、図1に示すように、半導体製造装置の長手方向に沿って配列されている。
【0019】
図1に示すように、第1研磨ユニット3Aは、研磨面を有する研磨パッド10が取り付けられた研磨テーブル30Aと、ウェハを保持しかつウェハを研磨テーブル30A上の研磨パッド10に押圧しながら研磨するためのトップリング31Aと、研磨パッド10に研磨液やドレッシング液(例えば、純水)を供給するための研磨液供給ノズル32Aと、研磨パッド10の研磨面のドレッシングを行うためのドレッサ33Aと、液体(例えば純水)と気体(例えば窒素ガス)の混合流体または液体(例えば純水)を霧状にして研磨面に噴射するアトマイザ34Aと、を備えている。
【0020】
同様に、第2研磨ユニット3Bは、研磨テーブル30Bと、トップリング31Bと、研磨液供給ノズル32Bと、ドレッサ33Bと、アトマイザ34Bと、を備えている。第3研磨ユニット3Cは、研磨テーブル30Cと、トップリング31Cと、研磨液供給ノズル32Cと、ドレッサ33Cと、アトマイザ34Cと、を備えている。第4研磨ユニット3Dは、研磨テーブル30Dと、トップリング31Dと、研磨液供給ノズル32Dと、ドレッサ33Dと、アトマイザ34Dと、を備えている。
【0021】
次に、ウェハを搬送するための搬送機構について説明する。図1に示すように、第1研磨ユニット3Aおよび第2研磨ユニット3Bに隣接して、第1リニアトランスポータ6が配置されている。この第1リニアトランスポータ6は、研磨ユニット3A,3Bが配列する方向に沿った4つの搬送位置(ロード/アンロードユニット側から順番に第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4とする)の間でウェハを搬送する機構である。
【0022】
また、第3研磨ユニット3Cおよび第4研磨ユニット3Dに隣接して、第2リニアトランスポータ7が配置されている。この第2リニアトランスポータ7は、研磨ユニット3C,3Dが配列する方向に沿った3つの搬送位置(ロード/アンロードユニット側から順番に第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6、第7搬送位置TP7とする)の間でウェハを搬送する機構である。
【0023】
ウェハは、第1リニアトランスポータ6によって研磨ユニット3A,3Bに搬送される。第1研磨ユニット3Aのトップリング31Aは、トップリングヘッドのスイング動作により研磨位置と第2搬送位置TP2との間を移動する。したがって、トップリング31Aへのウェハの受け渡しは第2搬送位置TP2で行われる。
【0024】
同様に、第2研磨ユニット3Bのトップリング31Bは研磨位置と第3搬送位置TP3との間を移動し、トップリング31Bへのウェハの受け渡しは第3搬送位置TP3で行われる。第3研磨ユニット3Cのトップリング31Cは研磨位置と第6搬送位置TP6との間を移動し、トップリング31Cへのウェハの受け渡しは第6搬送位置TP6で行われる。第4研磨ユニット3Dのトップリング31Dは研磨位置と第7搬送位置TP7との間を移動し、トップリング31Dへのウェハの受け渡しは第7搬送位置TP7で行われる。
【0025】
第1搬送位置TP1には、搬送ロボット22からウェハを受け取るためのリフタ11が配置されている。ウェハはこのリフタ11を介して搬送ロボット22から第1リニアトランスポータ6に渡される。リフタ11と搬送ロボット22との間に位置して、シャッター(図示せず)が隔壁1aに設けられており、ウェハの搬送時にはシャッターが開かれて搬送ロボット22からリフタ11にウェハが渡されるようになっている。
【0026】
第1リニアトランスポータ6と、第2リニアトランスポータ7と、洗浄ユニット4との間にはスイングトランスポータ12が配置されている。このスイングトランスポータ12は、第4搬送位置TP4と第5搬送位置TP5との間を移動可能なハンドを有しており、第1リニアトランスポータ6から第2リニアトランスポータ7へのウェハの受け渡しは、スイングトランスポータ12によって行われる。ウェハは、第2リニアトランスポータ7によって第3研磨ユニット3Cおよび/または第4研磨ユニット3Dに搬送される。また、研磨ユニット3で研磨されたウェハはスイングトランスポータ12を経由して洗浄ユニット4に搬送される。
【0027】
図2(a)は洗浄ユニット4を示す平面図であり、図2(b)は洗浄ユニット4を示す側面図である。図2(a)および図2(b)に示すように、洗浄ユニット4は、第1洗浄室190と、第1搬送室191と、第2洗浄室192と、第2搬送室193と、乾燥室194とに区画されている。
【0028】
第1洗浄室190内には、縦方向に沿って配列された上側一次洗浄モジュール201Aおよび下側一次洗浄モジュール201Bが配置されている。上側一次洗浄モジュール201Aは下側一次洗浄モジュール201Bの上方に配置されている。同様に、第2洗浄室192内には、縦方向に沿って配列された上側二次洗浄モジュール202Aおよび下側二次洗浄モジュール202Bが配置されている。上側二次洗浄モジュール202Aは下側二次洗浄モジュール202Bの上方に配置されている。
【0029】
一次および二次洗浄モジュール201A,201B,202A,202Bは、洗浄液を用いてウェハを洗浄する洗浄機である。これらの一次および二次洗浄モジュール201A,201B,202A,202Bは垂直方向に沿って配列されているので、フットプリント面積が小さいという利点が得られる。
【0030】
上側二次洗浄モジュール202Aと下側二次洗浄モジュール202Bとの間には、ウェハの仮置き台203が設けられている。乾燥室194内には、縦方向に沿って配列された上側乾燥モジュール205Aおよび下側乾燥モジュール205Bが配置されている。これら上側乾燥モジュール205Aおよび下側乾燥モジュール205Bは互いに隔離されている。
【0031】
上側乾燥モジュール205Aおよび下側乾燥モジュール205Bの上部には、清浄な空気を乾燥モジュール205A,205B内にそれぞれ供給するファンフィルタユニット(FFU)207,207が設けられている。
【0032】
第1搬送室191には、上下動可能な第1搬送ロボット(搬送機構)209が配置され、第2搬送室193には、上下動可能な第2搬送ロボット210が配置されている。第1搬送ロボット209および第2搬送ロボット210は、縦方向に延びる支持軸211,212にそれぞれ移動自在に支持されている。
【0033】
第1搬送ロボット209および第2搬送ロボット210は、その内部にモータなどの駆動機構を有しており、支持軸211,212に沿って上下に移動自在となっている。第1搬送ロボット209は、搬送ロボット22と同様に、上下二段のハンドを有している。第1搬送ロボット209は、その下側のハンドが上述した仮置き台180にアクセス可能な位置に配置されている(図2(a)の点線参照)。
【0034】
第1搬送ロボット209は、仮置き台180、上側一次洗浄モジュール201A、下側一次洗浄モジュール201B、仮置き台203、上側二次洗浄モジュール202A、下側二次洗浄モジュール202Bの間でウェハWを搬送するように動作する。
【0035】
第2搬送ロボット210は、上側二次洗浄モジュール202A、下側二次洗浄モジュール202B、仮置き台203、上側乾燥モジュール205A、下側乾燥モジュール205Bの間でウェハWを搬送するように動作する。
【0036】
図1に示す搬送ロボット22は、その上側のハンドを用いて上側乾燥モジュール205Aまたは下側乾燥モジュール205Bからウェハを取り出し、そのウェハをウェハカセットに戻す。
【0037】
以下、本明細書において、洗浄モジュール201A,201B,202A,202Bおよび乾燥モジュール205A,205Bを区別せずに処理モジュールと呼ぶことがある。図3は、ダンパー制御システム300の一実施形態を示す図である。図3に示すように、半導体製造装置の洗浄ユニット4は、処理モジュール内の圧力を制御するダンパー制御システム300を備えている。
【0038】
以下、処理モジュールとしての各乾燥モジュール205A,205B内の圧力を制御するダンパー制御システム300の構成について、図面を参照して説明する。ダンパー制御システム300は、処理モジュールとしての各洗浄モジュール201A,201B,202A,202B内の圧力を制御するように構成されてもよい。
【0039】
図3に示すように、処理モジュール(図3に示す実施形態では、乾燥モジュール205A,205Bのそれぞれ)は、開口215が形成された隔壁216と、開口215を開閉するシャッター217と、を備えている。隔壁216は、ウェハWを処理するために必要な構成要素を格納している。開口215は、ウェハWが通過可能なサイズを有している。シャッター217が開かれると、搬送ロボット210は、開口215を通じて、ウェハWを上記構成要素にアクセスさせる。
【0040】
搬送ロボット210が配置された搬送室193の圧力は、隔壁216内の圧力よりも大きい。搬送室193の上部には、清浄な空気を搬送室193に供給するファンフィルタユニット(FFU)220が設けられている。ファンフィルタユニット220が駆動されると、搬送室193には、清浄な空気が流れ込み、搬送室193の圧力は陽圧となる。
【0041】
隔壁216には、隔壁216の内部空間を排気するための排気ダクト305が接続されている。排気ダクト305は、ハウジング1の外部に配置された排気口305aを備えている。排気ダクト305は、半導体製造装置の外部に配置された吸引源に接続されている。したがって、隔壁216の内部空間は、排気ダクト305を通じて排気され、隔壁216内の圧力は陰圧となる。
【0042】
図3に示すように、ファンフィルタユニット207,207には、吸気管306が接続されている。ファンフィルタユニット207,207のそれぞれに設けられたファン207aが回転すると、ハウジング1の外部の空気が吸気管306を通じてファンフィルタユニット207に吸い込まれる。ファンフィルタユニット207を通過した清浄な空気は、隔壁216の内部空間に送られる。通常、ファン207aの回転速度は、隔壁216内の圧力が陰圧になるように、一定に維持されている。
【0043】
ダンパー制御システム300は、排気ダクト305に接続され、かつ全開と全閉との間で開度を調整可能な排気ダンパー310と、隔壁216の内部空間に配置された第1圧力センサ311と、第1圧力センサ311によって測定された圧力に基づいて、排気ダンパー310の開度を制御する制御装置315と、を備えている。
【0044】
本実施形態では、排気ダンパー310は、ハウジング1の外部に配置されている。排気ダンパー310は、その内部に仕切板310aを有している。仕切板310aは、排気ダクト305の流路の大きさを調整可能なサイズを有しており、仕切板310aを動作させるモータ310bに接続されている。
【0045】
排気ダンパー310は、制御装置315に電気的に接続されている。排気ダンパー310は、制御装置315によって制御可能なオートダンパーであり、制御装置315からの指令に基づいて、モータ310bを介して仕切板310aを操作し、排気ダクト305の流路の大きさを調整する。このようにして、制御装置315は、排気ダンパー310の開度を制御する。
【0046】
処理モジュールには、シャッター217の開閉を検出する開閉センサ316が設けられている。開閉センサ316は、制御装置315に電気的に接続されている。制御装置315は、開閉センサ316から送られる信号に基づいて、シャッター217の開閉を判断する。
【0047】
制御装置315は、排気ダンパー310の開度を制御するプログラムを格納した記憶装置315aと、上記プログラムに従って演算を実行する処理装置315bと、を備えている。なお、制御装置315は、上述した制御装置5と同一であってもよい。
【0048】
隔壁216の内部空間は陰圧状態に維持されているため、シャッター217が開かれると、搬送室193の気体が処理モジュールに流れ込む。上述したように、排気ダンパー310の開度が全開である状態で、シャッター217が閉じられると、隔壁216の内部空間は一気に排気されてしまう。結果として、アンダーシュート現象が発生してしまう(図8参照)。そこで、本実施形態では、制御装置315は、シャッター217の開閉の切り替えを条件として、排気ダンパー310の開度を全開よりも小さな開度に切り替えるように構成されている。
【0049】
言い換えれば、上記プログラムは、シャッター217の開閉の切り替えを条件として、排気ダンパー310の開度を全開よりも小さな開度に切り替える指令を含んでいる。さらに、言い換えれば、上記プログラムは、シャッター217の開閉の切り替えを条件として、排気ダンパー310の開度を全開よりも小さな開度に切り替える動作を排気ダンパー310に実行させる。
【0050】
図4は、制御装置315の動作シーケンスの一実施形態を示す図である。図4のステップS101に示すように、シャッター217が閉じられているとき、制御装置315は、第1圧力センサ311によって測定された、隔壁216内の圧力P1に基づいて、排気ダンパー310の開度を制御する。
【0051】
本実施形態では、制御装置315は、所定の設定圧力と圧力P1との差分を算出し、この差分に基づいて、排気ダンパー310の開度をフィードバック制御(より具体的には、PID制御)する。制御装置315は、排気ダンパー310の開度を大きくすることにより、隔壁216の内部空間の排気量を大きくする。したがって、隔壁216の内部空間への吸気量が一定である条件下では、隔壁216内の圧力は小さくなる。
【0052】
制御装置315は、排気ダンパー310の開度を小さくすることにより、隔壁216の内部空間の排気量を小さくする。したがって、隔壁216の内部空間への吸気量が一定である条件下では、隔壁216内の圧力は大きくなる。
【0053】
図4のステップS102に示すように、シャッター217が開かれると、開閉センサ316は、シャッター217が開かれたことを示す信号を制御装置315に送る。制御装置315は、開閉センサ316からの信号を受けると、排気ダンパー310の開度を所定の開度に切り替える。所定の開度は、全開よりも小さな開度である。
【0054】
図4に示す実施形態では、制御装置315は、シャッター217が開かれていることを条件として、排気ダンパー310の開度を所定の開度に固定する。この状態で、搬送ロボット210は、開口215を通じてウェハWを処理モジュールに搬送する。
【0055】
ウェハWの搬送後、シャッター217が閉じられると、制御装置315は、圧力P1の監視に戻り、圧力P1に基づいて、排気ダンパー310の開度を再び制御する(ステップS103参照)。このように、制御装置315は、シャッター217が開かれると、排気ダンパー310のフィードバック制御を解除し、シャッター217が閉じられると、排気ダンパー310のフィードバック制御を開始する。
【0056】
図5は、図4に示すダンパー制御方法の効果を示す図である。本実施形態によれば、シャッター217が開かれて、隔壁216の内部空間の圧力が急激に大きくなっても、制御装置315は、排気ダンパー310の開度を全開にすることなく、全開よりも小さな開度に維持する。
【0057】
したがって、シャッター217が再び閉じられても、隔壁216内の圧力は、急激には下がらず、アンダーシュート現象は発生しない。結果として、隔壁216内の圧力が設定圧力に到達するまでの時間は短くなり、処理モジュールは、ウェハWの搬送直後(より具体的には、シャッター217が閉じられた直後)から、ウェハWの処理を実行することができる。このように、ダンパー制御システム300は、プロセス全体のスループットを向上することができる。
【0058】
図4に戻り、処理モジュールがウェハWを処理しているとき、制御装置315は、圧力P1に基づいて、排気ダンパー310の開度を継続的に制御する(ステップS104参照)。ウェハWの処理後、シャッター217が再び開かれると、制御装置315は、ステップS102と同様の動作を実行する(ステップS105参照)。この状態で、搬送ロボット210は、開口215を通じてウェハWを処理モジュールから取り出す。シャッター217が閉じられると、制御装置315は、ステップS103と同様の動作を実行する(ステップS106参照)。
【0059】
図3に示すように、ダンパー制御システム300は、排気ダクト305の内部に配置された第2圧力センサ312および第3圧力センサ313を備えてもよい。これら圧力センサ312,313は、制御装置315に電気的に接続されている。第2圧力センサ312は、排気ダンパー310に隣接して配置されており、第3圧力センサ313は、隔壁216に隣接して配置されている。
【0060】
上述した実施形態では、制御装置315は、圧力P1に基づいて、排気ダンパー310の開度を制御するように構成されている。一実施形態では、制御装置315は、第2圧力センサ312によって測定された圧力P2に基づいて、排気ダンパー310の開度を制御してもよい。一実施形態では、制御装置315は、第3圧力センサ313によって測定された圧力P3に基づいて、排気ダンパー310の開度を制御してもよい。
【0061】
上述した実施形態では、制御装置315は、排気ダンパー310の開度を制御するように構成されている。一実施形態では、制御装置315は、圧力P1,P2,P3のうちのいずれかに基づいて、ファンフィルタユニット207のファン207aの回転速度を制御するように構成されてもよい。
【0062】
ファンフィルタユニット207は、制御装置315に電気的に接続されている。ファン207aの回転速度が大きくなれば、隔壁216内に流入する気体の流量が増加する。したがって、隔壁216の内部空間の排気量が一定である条件下では、隔壁216内の圧力は大きくなる。ファン207aの回転速度が小さくなれば、隔壁216内に流入する気体の流量が低下する。したがって、隔壁216の内部空間の排気量が一定である条件下では、隔壁216内の圧力は小さくなる。
【0063】
このように、隔壁216内の圧力とファン207aの回転速度と排気ダンパー310の開度との間には、相関関係が存在する。この相関関係を示すデータは、制御装置315の記憶装置315aに格納されている。制御装置315は、上記データに基づいて、ファン207aの回転速度および排気ダンパー310の開度のうちの少なくとも1つを制御してもよい。
【0064】
図6は、制御装置315の動作シーケンスの他の実施形態を示す図である。図6のステップS201に示すように、シャッター217が閉じられているとき、制御装置315は、図4のステップS101と同様に、圧力P1に基づいて、排気ダンパー310の開度を制御する。
【0065】
図6のステップS202に示すように、シャッター217が開かれた後、制御装置315は、圧力P1に基づいて、排気ダンパー310の開度を、一定時間、継続的に制御する。制御装置315は、シャッター217が開かれていることを条件として、圧力制御の監視対象を第1圧力センサ311から第2圧力センサ312(図3参照)に切り替える。一実施形態では、この切り替え動作は、シャッター217が開かれた後、シャッター217が閉じられる直前に実行される。
【0066】
このような切り替え動作の実行により、シャッター217が閉じられる前に、制御装置315は、第2圧力センサ312によって測定された圧力P2に基づいて、排気ダンパー310の開度を制御する。したがって、隔壁216内の圧力が大きくなっても、制御装置315は、隔壁216内の圧力変動の影響を受けることなく、排気ダンパー310の開度を制御することができる。
【0067】
図7は、図6に示すダンパー制御方法の効果を示す図である。第2圧力センサ312は、排気ダクト305において、吸引源に最も近い位置に配置されている。第2圧力センサ312によって測定された圧力P2は、圧力P1とは異なり、隔壁216内の圧力変動の影響を受けない。したがって、制御装置315が圧力制御の監視対象を第2圧力センサ312に切り替えると、排気ダンパー310の開度は全開にはならず、全開よりも小さな開度になる。
【0068】
本実施形態によれば、制御装置315は、排気ダンパー310の開度を全開にすることなく、全開よりも小さな開度に切り替える。したがって、シャッター217が再び閉じられても、隔壁216内の圧力は、急激には下がらず、アンダーシュート現象は発生しない。
【0069】
図6に戻り、制御装置315は、シャッター217が閉じられると、圧力P1の監視に戻り、図4のステップS103と同様の動作を実行する(ステップS203参照)。その後、制御装置315は、図4のステップS104と同様の動作を実行する(ステップS204参照)。シャッター217が開かれた後、シャッター217が閉じられる直前に、圧力制御の監視対象を第1圧力センサ311から第2圧力センサ312に切り替える(ステップS205参照)。シャッター217が閉じられると、制御装置315は、圧力制御の監視対象を第2圧力センサ312から第1圧力センサ311に切り替える(ステップS206参照)。
【0070】
具体的な説明を省略するが、図6に示す実施形態においても、制御装置315は、可能な限り、図4に示す実施形態における制御と同様の制御を実行してもよい。例えば、制御装置315は、ファンフィルタユニット207のファン207aの回転速度を制御するように構成されてもよい。
【0071】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0072】
1 ハウジング
1a,1b 隔壁
2 ロード/アンロードユニット
3 研磨ユニット
4 洗浄ユニット
6 第1リニアトランスポータ
7 第2リニアトランスポータ
10 研磨パッド
11 リフタ
12 スイングトランスポータ
20 フロントロード部
21 走行機構
22 搬送ロボット
30A,30B,30C,30D 研磨テーブル
31A,31B,31C,31D トップリング
32A,32B,32C,32D 研磨液供給ノズル
33A,33B,33C,33D ドレッサ
34A,34B,34C,34D アトマイザ
180 仮置き台
190 第1洗浄室
191 第1搬送室
192 第2洗浄室
193 第2搬送室
194 乾燥室
201A 上側一次洗浄モジュール
201B 下側一次洗浄モジュール
202A 上側二次洗浄モジュール
202B 下側二次洗浄モジュール
203 仮置き台
205A 上側乾燥モジュール
205B 下側乾燥モジュール
207 ファンフィルタユニット
207a ファン
209 第1搬送ロボット
210 第2搬送ロボット
211,212 支持軸
215 開口
216 隔壁
217 シャッター
220 ファンフィルタユニット
300 ダンパー制御システム
305 排気ダクト
305a 排気口
310 排気ダンパー
310a 仕切板
310b モータ
311 第1圧力センサ
312 第2圧力センサ
313 第3圧力センサ
315 制御装置
315a 記憶装置
315b 処理装置
316 開閉センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8