(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】食用油脂組成物の製造方法及び食材の不快な風味のマスキング方法
(51)【国際特許分類】
A23D 9/02 20060101AFI20220920BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20220920BHJP
A23D 9/00 20060101ALI20220920BHJP
A23L 13/00 20160101ALI20220920BHJP
A23L 17/00 20160101ALI20220920BHJP
【FI】
A23D9/02
A23L27/00 Z
A23D9/00 518
A23L13/00 A
A23L17/00 A
(21)【出願番号】P 2019511219
(86)(22)【出願日】2018-04-02
(86)【国際出願番号】 JP2018014060
(87)【国際公開番号】W WO2018186326
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-03-05
(31)【優先権主張番号】P 2017073586
(32)【優先日】2017-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J-オイルミルズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関口 竹彦
(72)【発明者】
【氏名】今義 潤
【審査官】楠 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-066392(JP,A)
【文献】特開2011-055750(JP,A)
【文献】特開2003-158999(JP,A)
【文献】特開昭58-089145(JP,A)
【文献】特開昭58-175446(JP,A)
【文献】特開昭58-060953(JP,A)
【文献】特開2006-204266(JP,A)
【文献】特開2015-186446(JP,A)
【文献】特開平05-140583(JP,A)
【文献】特開2007-236206(JP,A)
【文献】特開2004-018578(JP,A)
【文献】米国特許第06201142(US,B1)
【文献】特開平08-100190(JP,A)
【文献】特開2014-080528(JP,A)
【文献】特開2010-081886(JP,A)
【文献】特開平02-189394(JP,A)
【文献】国際公開第2009/028483(WO,A1)
【文献】菊池一徳,コーン製品の知識,初版第1刷,1993年01月20日,pp.100-105,136-141,174-183
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーンウエットジャームを粉砕することなく、焙煎し、搾油することによって得られた焙煎油
であって、前記コーンウエットジャームの焙煎の条件が、以下の式(1)で計算される値が52以上230以下を満たす該焙煎油を、食用油脂に0.05質量%以上13質量%以下添加する食用油脂組成物の製造方法であって、前記食用油脂組成物は、魚介類、及び植物性タンパク質から選ばれる1種又は2種である食材の不快な風味のマスキングのためのものである、食用油脂組成物の製造方法。
(T-100)×t
0.2
(1)
(ただし、上記式(1)において、T:焙煎温度(℃)、t:焙煎時間(分)である。)
【請求項2】
食材を、コーンウエットジャームを粉砕することなく、焙煎し、搾油することによって得られた焙煎油
であって、前記コーンウエットジャームの焙煎の条件が、以下の式(1)で計算される値が52以上230以下を満たす該焙煎油を、食用油脂に0.05質量%以上13質量%以下添加してなる食用油脂組成物で調理する食材の不快な風味のマスキング方法であって、前記食材が魚介類、及び植物性タンパク質から選ばれる1種又は2種である、食材の不快な風味のマスキング方法。
(T-100)×t
0.2
(1)
(ただし、上記式(1)において、T:焙煎温度(℃)、t:焙煎時間(分)である。)
【請求項3】
前記調理が油ちょうである、請求項
2に記載の食材の不快な風味のマスキング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用油脂組成物の製造方法及び魚介類、又は植物性タンパク質などの食材の不快な風味のマスキング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コーン油は、ドライミリング工程によって分離された胚芽を乾燥させたドライジャーム、又はウエットミリング工程によって分離された胚芽を乾燥させたウエットジャームを油糧原料として、これを搾油することによって得られる。
【0003】
一方、焙煎油は、油糧原料を焙煎することによって、香ばしい風味が付与され、大豆油、菜種油、コーン油、紅花油、ひまわり油、パーム油等の食用油脂と混合して、これらの食用油脂の風味を高めたり、各種食品の風味付け等に利用されたりしている。
【0004】
例えば特許文献1には、油糧原料としてドライジャームを用いて、これを焙煎した後、圧搾法にて採油することによって得られる、香ばしい、良好な風味を持つ焙煎油の製造方法が記載されている。
【0005】
また、食品には、その食材を原因とする不快なにおいを発するものがあり、その不快なにおいをマスキングするための食品用組成物が開発されている。
【0006】
例えば特許文献2には、油脂と酵母エキスを混合し加熱する工程、および加熱後固形分を除去する工程で製造される香味油が、ラードや牛脂などに代表される動物脂の臭気をマスキングする効果を有することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平5-140583号公報
【文献】特開2010-81886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ドライジャームを搾油して得られる油分の回収率は約20%であり、回収効率が高いとは言えなかった。一方、ウエットジャームの油分の回収率は約50%と、回収効率は低くはないものの、ウエットジャームから得られた油分は焙煎すると強い不快な風味が生じる傾向にあった。
【0009】
一方、特許文献2に示されるように、特定の香味油が動物脂の臭気をマスキングする効果を有することが知られているが、魚介類や植物性タンパク質などの食材の不快な風味をより効果的にマスキングできる組成物が求められている。
【0010】
よって、本発明の目的は、食材の不快な風味をマスキングするのに有効な食用油脂組成物の製造方法、及び該製造方法によって得られた食用油脂組成物を用いる食材の不快な風味のマスキング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、コーンウエットジャームを、焙煎し、搾油することによって焙煎油を得、それを食用油脂に所定量添加することで得られた食用油脂組成物が、魚介類や植物性タンパク質などの食材の不快な風味をマスキングすることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
即ち、本発明の第1は、コーンウエットジャームを粉砕することなく、焙煎し、搾油することによって得られた焙煎油を、食用油脂に0.05質量%以上13質量%以下添加することを特徴とする食用油脂組成物の製造方法を提供するものである。
【0013】
本発明の食用油脂組成物の製造方法によれば、魚介類や植物性タンパク質などの食材の不快な風味をマスキングすることのできる食用油脂組成物を得ることができる。
【0014】
上記発明においては、コーンウエットジャームの焙煎の条件は、以下の式(1)で計算される値が52以上230以下を満たすことが好ましい。
(T-100)×t0.2 (1)
(ただし、上記式(1)において、T:焙煎温度(℃)、t:焙煎時間(分)である。)
【0015】
これによれば、風味や食材の不快な風味のマスキング効果を更に高めることができる。
【0016】
また、本発明の第2は、食材に、上記発明の食用油脂組成物で調理することを特徴とする食材の不快な風味のマスキング方法を提供するものである。本発明のマスキング方法によれば、魚介類や植物性タンパク質などの食材の不快な風味を効果的にマスキングして、食材の風味改善を図ることができる。
【0017】
上記発明においては、食材が魚介類及び植物性タンパク質から選ばれる1種または2種であることが好ましい。本発明は、特に上記のような食材の不快な風味のマスキングに効果的である。
【0018】
また、上記調理は油ちょうであることが好ましい。本発明は、上記食材を油ちょうした場合に発生する食材の不快な風味を効果的にマスキングすることができる。
【0019】
また、本発明の第3は、上記発明の食用油脂組成物で調理された食品を提供するものである。これによれば、食材の不快な風味を効果的にマスキングされた食品を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の食用油脂組成物の製造方法によれば、魚介類や植物性タンパク質などの食材の不快な風味をマスキングすることのできる食用油脂組成物を得ることができる。また、本発明のマスキング方法によれば、魚介類や植物性タンパク質などの食材の不快な風味を効果的にマスキングして、食材の風味改善を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に用いられる焙煎油は、コーンウエットジャームを粉砕することなく、焙煎し、搾油することによって得られる。
【0022】
コーンウエットジャームは、トウモロコシ粒からウェットミリングと呼ばれる工程で分別され得られる。この工程の一例としては、まず、希薄な亜硫酸溶液にトウモロコシ粒を約48時間浸積させ、トウモロコシ粒を膨潤させる。この浸積により、胚乳は水分を含み下部に沈降し、油分を多く含む胚芽は上部に集まる。そして、比重差により、上部に集まった胚芽を回収する。回収した胚芽を乾燥させることでコーンウェットジャームが得られる。
【0023】
上記のようにして得られたコーンウエットジャームは、粉砕することなく焙煎する。焙煎方法は特に制限はなく、外部より電熱、熱風、バーナー、マイクロ波などを介してコーンウエットジャームを加熱することにより行うことができる。
【0024】
焙煎条件は、下記の式(1)
(T-100)×t0.2 (1)
(ただし、上記式(1)において、T:焙煎温度(℃)、t:焙煎時間(分)である。)
で計算される値が、52以上230以下を満たすことが好ましく、52以上180以下を満たすことがより好ましく、80以上115以下を満たすことがさらに好ましい。ここで、本発明における焙煎時間は、105℃以上200℃以下に達した状態の時間を意味する。焙煎時間中における温度は、上記範囲に含まれていればよく、一定に保つ必要はない。また、本発明における焙煎温度は、105℃以上200℃以下に達した状態での平均温度を意味する。焙煎温度は110℃以上200℃以下が好ましく、140℃以上200℃以下がより好ましく、140℃以上170℃以下がさらに好ましい。焙煎時間は3分以上100分以下が好ましく、10分以上100分以下がより好ましく、10分以上45分以下がさらに好ましい。上記焙煎条件で油糧原料を焙煎処理することで、魚介類や植物性タンパク質などの食材の不快な風味をマスキングすることのできる食用油脂組成物を製造できる。
【0025】
次に、上記のようにして焙煎されたコーンウエットジャームを搾油し、焙煎油を得る。搾油方法は特に限定はなく、例えば円筒状に形成されたケーシングとその内部に回転自在に設けられたスクリューよりなるエキスペラー式圧搾機等を用いて行うことができる。
【0026】
搾油して得られた焙煎油は、そのまま使用してもよいし、必要に応じて通常の精製工程である脱ガム工程、脱酸工程、脱色工程、脱臭工程を経てもよい。
【0027】
ここで、脱ガム工程、脱酸工程、脱色固定、及び脱臭工程は一般的な方法が採用される。これらの方法の一例をあげると、脱ガム工程は、油分中に含まれるリン脂質を主成分とするガム質を水和除去する工程であり、脱酸工程は、アルカリ水で処理することにより、油分中に含まれる遊離脂肪酸をセッケン分として除去する工程であり、脱色工程は、油分中に含まれる色素を活性白土等に吸着させて除去する工程であり、脱臭固定は、減圧下で水蒸気蒸留することによって油分中に含まれる揮発性有臭成分を除去する工程である。
【0028】
このようにして得られた焙煎油を食用油脂に添加して、食用油脂組成物を製造する。焙煎油は、食用油脂に、0.05質量%以上13質量%以下添加することが好ましく、0.05質量%以上7質量%以下添加することがより好ましく、0.2質量%以上4質量%以下添加することがさらに好ましく、0.2質量%以上0.8質量%以下添加することが最も好ましい。添加量が0.05質量%未満であると、食材の不快な風味が十分にマスキングできない傾向にあり、13質量%よりも多いと、穀物臭や焦げ臭が強くなる傾向にある。
【0029】
食用油脂は、特に限定されないが、動植物油脂全般から選択することができ、例えば、菜種油、大豆油、コーン油、紅花油、ひまわり油、パーム油、米油、ごま油、オリーブ油、えごま油、落花生油、牛脂、豚脂などや、それらに水素添加、分別、エステル交換等の加工を行った食用精製加工油脂などが挙げられる。特に風味等の点で菜種油、大豆油及びパーム油、パームオレインから選択して用いることが好ましい。また、これらの食用油脂は、その1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。ここで言うパームオレインとはパーム油を分別した低融点部のことを意味しており、2回以上分別して得られた低融点部も含む。
【0030】
本発明における食用油脂組成物には、本発明の作用効果を損なわない範囲であれば、上記焙煎油、食用油脂以外にも、他の添加物を添加してもよい。例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、有機酸モノグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどの乳化剤や、調味料、香料、香辛料、着色料、酸化防止剤、シリコーンなどを添加することができる。
【0031】
このようにして得られた食用油脂組成物は、魚介類や植物性タンパク質などの食材の不快な風味を効果的にマスキングして、食品の風味改善を図ることができる。また、食用油脂組成物は、フライ油、ドレッシング、仕上げ油などの形態で食材を調理することにより、食材の不快な風味を効果的にマスキングして、食品の風味改善を図ることができる。本発明における調理とは、油ちょうすることや食材にかけることなどを意味する。
【0032】
なお、魚介類としては特に限定されるものではなく、例えば、スケソウダラ、メルルーサ、イトヨリ、鮭などの白身魚;鮪、カツオなどの赤身魚;アジ、イワシ、サンマ、サバなどの青魚;エビ、カニ、シャコなどの甲殻類;タコ、イカなどの頭足類;ホタテ貝、サザエ、赤貝、カキ、アサリ、シジミ、ハマグリ、ミル貝などの貝類などが挙げられる。魚介類を用いた食品としては、例えば、白身魚フライ、アジフライ、カキフライ、海老カツ、海鮮サラダ、マリネ等が挙げられる。また、植物性タンパク質として特に限定されないが、例えば、大豆タンパク質などが挙げられる。
【0033】
植物性タンパク質を用いた食品としては、例えば、肉団子、メンチカツ、コロッケ、から揚げ、さつま揚げ等が挙げられる。
【0034】
また、本発明による食用油脂組成物は、食材の不快な風味を効果的にマスキングすることができるので、フライ油として好適に用いられる。
【実施例】
【0035】
以下に実施例及び比較例を示して本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
<1.油糧原料、焙煎条件の検討>
(1)焙煎コーン油の製造
コーンウエットジャーム(以下、ウェットジャームとも言う)又はコーンドライジャーム(以下、ドライジャームとも言う)を、予め表1の焙煎開始温度に加熱した攪拌機つき加熱機に投入し、表1の焙煎温度、焙煎時間で焙煎処理した。
【0037】
焙煎処理したウエットジャーム又はドライジャームをエキスペラー(小型圧搾機エキスペラV―01、スエヒロEPM社製)にて圧搾処理して油分を回収した。回収した油分はろ過処理後、脱ガム処理を行い、焙煎コーン油を製造した。または、ウエットジャーム又はドライジャームをそのままエキスペラーにて圧搾処理して油分を回収して、ろ過処理後、脱ガム処理を行い、未焙煎コーン油を製造した。
【0038】
(2)試験油脂
菜種油(AJINOMOTO さらさらキャノーラ油、株式会社J-オイルミルズ)に各焙煎コーン油又は未焙煎コーン油を0.3質量%となるように添加して、試験油脂とした。何も添加しない菜種油を対照として用いた。
【0039】
(3)試験方法
・植物タンパク入り肉団子による評価
豚ひき肉200g、植物タンパク質(4倍加水)20g、塩4gをボウルに入れて、スプーンで混合した。なお、植物タンパク質(4倍加水)は、植物タンパク質(RESPONSE4400、ダニスコ社製、大豆由来)4gに、4倍量の水16gを加え、1時間吸水させたものである。上記混合物をミキサー(スピードカッターMK-K45、松下電工株式会社製)に入れて、30秒間混ぜ合わせることにより、植物タンパク入り肉団子原料を得た。
【0040】
上記植物タンパク入り肉団子原料200gをバットに広げて、冷凍庫(温度:約-20℃)に入れた。2時間後に冷凍された植物タンパク入り肉団子原料を冷凍庫から取り出し、12等分に切断した。切断した冷凍植物タンパク入り肉団子原料を150℃に加熱した試験油脂で5分間揚げて、植物タンパク入り肉団子を作製した。
【0041】
植物タンパク入り肉団子は、網の上で油切りをし、約10分後に専門パネラー2名で試食し、合議の上で評価した。穀物臭もしくは焦げ臭については、「まったく感じない」を◎、「ごくわずかに感じる」を〇、「やや感じる」を△、「強く感じる」を×とした。植物タンパク風味については、「強くマスキングしている」を◎、「少しマスキングしている」を〇、「わずかにマスキングしている」を△、「マスキング効果なし」を×とした。
【0042】
・白身魚フライによる評価
冷凍白身魚(白身フライ、株式会社八千代商事社製)を冷凍のまま、175℃に加熱した試験油脂で4分間揚げて、白身魚フライを作製した。白身魚フライは、網の上で油切りをし、約10分後に専門パネラー2名で試食し、合議の上で評価した。穀物臭もしくは焦げ臭については上記同様に、魚の臭みについては、「強くマスキングしている」を◎、「少しマスキングしている」を〇、「わずかにマスキングしている」を△、「マスキング効果なし」を×とした。
【0043】
(4)結果
・植物タンパク入り肉団子による評価
植物タンパク入り肉団子による評価を表1に示す。ウエットジャームを油糧原料として得られた焙煎油を0.3質量%添加した試験油脂では、植物タンパク風味のマスキング効果が見られた(実施例1~11)。ただし、式(1)の値が193以上であるとマスキング効果はあるものの、焦げ臭が気になった(実施例10,11)。ドライジャームを油糧原料とした試験油脂では、植物タンパク風味のマスキング効果は十分には得られなかった(比較例2,3)。
【0044】
【0045】
・白身魚フライによる評価
白身魚フライによる評価を表2に示す。ウエットジャームを油糧原料として得られた焙煎油を0.3質量%添加した試験油脂では、魚の臭みのマスキング効果が見られた(実施例12~16)。ドライジャームを油糧原料とした試験油脂では、魚の臭みのマスキング効果は十分には得られなかった(比較例6,7)。
【0046】
【0047】
<2.焙煎コーン油の検討>
(1)焙煎コーン油の製造
ウエットジャームを150℃の焙煎開始温度に加熱した攪拌機つき加熱機に投入し、155℃で30分間焙煎処理をした(式(1)の値は109)。その後、ウエットジャームをエキスペラーにて圧搾処理して油分を回収した。回収した油分はろ過処理後、脱ガム処理を行い、焙煎コーン油を製造した。
【0048】
(2)試験油脂
上記焙煎コーン油を表3に示す割合で菜種油に添加して、試験油脂とした。
【0049】
(3)試験方法
植物タンパク入り肉団子による評価と白身魚フライによる評価は、上記「1.油糧原料、焙煎条件の検討」と同じ方法で行った。
【0050】
(4)結果
・植物タンパク入り肉団子による評価
植物タンパク入り肉団子による評価を表3に示す。焙煎コーン油を0.1~10質量%添加した試験油脂では、植物タンパク風味の十分なマスキング効果が得られ(実施例17~23)、特に、0.3~10質量%添加した試験油脂では、強いマスキング効果が得られた(実施例18~23)。しかし、10質量%添加した試験油脂ではマスキング効果はあるものの、焦げ臭が気になった(実施例23)。
【0051】
【0052】
・白身魚フライによる評価
白身魚フライによる評価を表4に示す。焙煎コーン油を0.1~10質量%添加した試験油脂では、魚の臭みの十分なマスキング効果が得られ(実施例24~30)、特に、0.3~10質量%添加した試験油脂では、強いマスキング効果が得られた(実施例25~30)。しかし、10質量%添加した試験油脂ではマスキング効果はあるものの、焦げ臭が気になった(実施例30)。
【0053】
【0054】
<3.精製焙煎コーン油の検討>
(1)精製焙煎コーン油の製造
ウエットジャームを150℃の焙煎開始温度に加熱した攪拌機つき加熱機に投入し、155℃で30分間焙煎処理をした(式(1)の値は109)。その後、ウエットジャームをエキスペラーにて圧搾処理して油分を回収した。回収した油分はろ過処理後、脱ガム処理、脱酸処理、脱色処理及び脱臭処理を行い、精製焙煎コーン油を製造した。
【0055】
(2)試験油脂
上記精製焙煎コーン油を表5に示す割合で菜種油に添加して、試験油脂とした。
【0056】
(3)試験方法
植物タンパク入り肉団子による評価と白身魚フライによる評価は、上記「1.油糧原料、焙煎条件の検討」と同じ方法で行った。
【0057】
(4)結果
・植物タンパク入り肉団子による評価
植物タンパク入り肉団子による評価を表5に示す。精製焙煎コーン油を0.1~10質量%添加した試験油脂では、植物タンパク風味の十分なマスキング効果が得られ(実施例31~37)、特に、0.3~10質量%添加した試験油脂では、強いマスキング効果が得られた(実施例32~37)。
【0058】
【0059】
・白身魚フライによる評価
白身魚フライによる評価を表6に示す。精製焙煎コーン油を0.1~10質量%添加した試験油脂では、魚の臭みの十分なマスキング効果が得られ(実施例38~44)、特に、0.3~10質量%添加した試験油脂では、強いマスキング効果が得られた(実施例39~44)。
【0060】