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特許7143285ジアミンとダイマー酸とラクタムとのコポリアミドを含むポリマーフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】ジアミンとダイマー酸とラクタムとのコポリアミドを含むポリマーフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/34 20060101AFI20220920BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20220920BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20220920BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
C08G69/34
C08J5/18 CFG
B32B27/34
B32B27/32 D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019514097
(86)(22)【出願日】2017-09-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2017072225
(87)【国際公開番号】W WO2018050487
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-09-04
(31)【優先権主張番号】16188753.4
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ミンクヴィッツ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター ゲッツ
(72)【発明者】
【氏名】フランク ライル
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン リヒター
【審査官】平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-014997(JP,A)
【文献】特開平09-118750(JP,A)
【文献】特開昭48-067393(JP,A)
【文献】特開平02-053823(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0232962(US,A1)
【文献】特表2016-508081(JP,A)
【文献】特開2014-061634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G69/00~69/50
C08L77/00~77/12
C08J 5/18
B32B27/00~27/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分
(A)少なくとも1つのラクタム15~84質量%、
(B)成分
(B1)少なくとも1つのC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1つのC4~C12-脂肪族ジアミン
からなるモノマー混合物(M)16~85質量
重合により製造され、
ここで、成分(A)および(B)の質量パーセントはそれぞれ、成分(A)と(B)との質量パーセントの合計を基準とし、
前記成分(B)は、前記成分(B)の全体量を基準としてそれぞれ、成分(B1)を45~55mol%の範囲内で、および成分(B2)を45~55mol%の範囲内で含む、少なくとも1つのコポリアミドを含むポリマーフィルム(P)。
【請求項2】
前記成分(A)は、3-アミノプロパン酸ラクタム、4-アミノブタン酸ラクタム、5-アミノペンタン酸ラクタム、6-アミノヘキサン酸ラクタム、7-アミノヘプタン酸ラクタム、8-アミノオクタン酸ラクタム、9-アミノノナン酸ラクタム、10-アミノデカン酸ラクタム、11-アミノウンデカン酸ラクタムおよび12-アミノドデカン酸ラクタムからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1記載のポリマーフィルム(P)。
【請求項3】
前記成分(B2)は、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミンおよびドデカメチレンジアミンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリマーフィルム(P)。
【請求項4】
前記成分(B1)は、不飽和C16-脂肪酸、不飽和C18-脂肪酸および不飽和C20-脂肪酸からなる群から選択される不飽和脂肪酸から出発して製造されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコポリアミドは、質量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼンからなる混合物中の前記少なくとも1つのコポリアミドの0.5質量%の溶液中で決定して、150~300ml/gの範囲内の粘度数(VZ(C))を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのコポリアミドは、ガラス転移温度(TG(C))を有し、前記ガラス転移温度(TG(C))は、20~50℃の範囲内にあることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのコポリアミドは、溶融温度(TM(C))を有し、前記溶融温度(TM(C))は、150~210℃の範囲内にあることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)。
【請求項8】
前記ポリマーフィルム(P)は、前記少なくとも1つのコポリアミドを含む少なくとも1つの第一の層を含み、かつ前記ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つの他の層を含み、ここで、前記少なくとも1つの他の層は、ポリオレフィン、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(エチレンビニルアセタート)、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニリデンおよび無水マレイン酸でグラフトされたポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1つの他のポリマー(wP)を含むことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)。
【請求項9】
前記ポリマーフィルム(P)は、キャスティング法、インフレート法、二軸配向ポリアミドフィルム法またはマルチインフレート法で製造されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)。
【請求項10】
前記ポリマーフィルム(P)は、0.1μm~1mmの範囲内の厚みを有することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのコポリアミドは、統計コポリマーであることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)。
【請求項12】
工程
i)成分
(A)少なくとも1つのラクタム15~84質量%、
(B)成分
(B1)少なくとも1つのC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1つのC4~C12-脂肪族ジアミン
からなるモノマー混合物(M)16~85質量
重合により製造され、ここで、成分(A)および(B)の質量パーセントはそれぞれ、成分(A)と(B)との質量パーセントの合計を基準とし、第一の押出機中で溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを準備すること、
ii)工程i)で準備された溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを前記第一の押出機からダイを通して押し出して溶融した形の前記少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを得ること、
iii)工程ii)で得られた溶融した形の前記少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを冷却し、ここで、前記少なくとも1つのコポリアミドを凝固させて前記ポリマーフィルム(P)を得ること
を有する、請求項1から11までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)の製造方法。
【請求項13】
請求項1から11までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)の包装用フィルムとしての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのコポリアミドを含み、このコポリアミドは、少なくとも1つのラクタム(A)とモノマー混合物(M)との重合により製造されている、ポリマーフィルムに関する。さらに、本発明は、ポリマーフィルム(P)の製造方法、およびこのポリマーフィルム(P)の包装用フィルムとしての使用に関する。
【0002】
ポリアミドは、工業的に特に重要である、というのもこのポリアミドは極めて良好な機械特性を特徴とし、ことにこのポリアミドは高い強度および靭性、良好な耐薬品性、ならびに高い耐摩耗性を有するためである。このポリアミドは、例えば釣り糸、登山用ザイルおよびフロアカーペットの製造のために使用される。さらに、ポリアミドは包装用フィルムおよび包装用カバーの製造のために使用される。
【0003】
包装用フィルムおよび包装用カバーとしての使用ならびにその製造に関する概要は、例えばEncyclopedia of Polymer Science and Engineering 2nd Ed., Vol. 7, pp. 73-127, Vol. 10, pp. 684-695(John Wiley & Sons, Inc., 1987)に記載されている。しかしながらそこに記載されたポリアミドフィルムは極めて剛性であり、低い引裂強さおよび高い密度を有する。
【0004】
したがって、包装用フィルムおよび包装用カバーのために、頻繁に、多様なポリアミドの好ましい特性を統合したコポリアミドが使用される。先行技術において、多様なコポリアミドが記載されている。
【0005】
欧州特許出願公開第0352562号明細書(EP 0 352 562)は、コポリアミドからなるシートを記載し、ここでこのコポリアミドは、ε-カプロラクタムと好ましくは1~10質量部のダイマー酸とジアミンとから製造されている。このコポリアミドは、次いで、フラットシートまたはインフレートシートの製造のために使用することができる。同様に、これは、複合シートの製造のためにも適している。
【0006】
欧州特許出願公開第0352562号明細書(EP 0 352 562)に記載されたコポリアミドからなるシートの場合の欠点は、比較的低い引裂強さ、高い弾性率および低いパンクチャーエネルギーを有することである。
【0007】
独国特許出願公開第2846596号明細書(DE 28 46 596)は、カプロラクタムと脂肪酸ダイマーとヘキサメチレンジアミンとからなるコポリアミドからなる成形体を記載している。しかしながら、記載された熱可塑性樹脂は、フィルムに押し出すことができない。
【0008】
本発明の基礎をなす課題は、ポリアミドを含みかつ先行技術において記載されたポリマーフィルムの欠点を有しないかまたはわずかな程度で有するだけのポリマーフィルムを提供することにあった。このポリマーフィルムは、さらにできる限り簡単でかつ低コストで製造可能であることが好ましい。
【0009】
この課題は、成分
(A)少なくとも1つのラクタム15~84質量%、
(B)成分
(B1)少なくとも1つのC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1つのC4~C12-ジアミン
を含むモノマー混合物(M)16~85質量%
の重合により製造され、ここで、成分(A)および(B)の質量パーセントは、それぞれ、成分(A)および(B)の質量パーセントの合計を基準とする、
少なくとも1つのコポリアミドを含むポリマーフィルム(P)により解決される。
【0010】
意外にも、本発明によるポリマーフィルム(P)は、押出方向でも、押出方向に対して垂直の方向でも高い引裂強さを有することが見出された。これは、本発明によるポリマーフィルム(P)が包装用フィルムとして使用される場合に特に有利である。
【0011】
さらに、本発明によるポリマーフィルム(P)は、高い透明度、ならびに高い低温靱性を有する。さらに、本発明によるポリマーフィルム(P)は、先行技術に記載された、ポリアミドまたはコポリアミドを含むポリマーフィルム(P)よりも剛性がわずかであることも有利である。さらに、本発明によるポリマーフィルム(P)は、乾燥状態で低い弾性率および高いパンクチャー抵抗を有する。高いパンクチャー抵抗は、同様に、ポリマーフィルム(P)が包装用フィルムとして使用される場合にことに重要である。
【0012】
次に、本発明を詳細に説明する。
【0013】
ポリマーフィルム(P)
本発明の場合に、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのコポリアミドを含む。
【0014】
「少なくとも1つのコポリアミド」とは、本発明の範囲内で、正確に1つのコポリアミドであるとも、2つ以上のコポリアミドの混合物であるとも解釈される。
【0015】
ポリマーフィルム(P)は、例えば、0.1μm~1mmの範囲内の厚み、好ましくは5~500μmの範囲内の厚み、ことに好ましくは20~100μmの範囲内の厚みを有する。
【0016】
したがって、本発明の主題は、ポリマーフィルム(P)が0.1μm~1mmの範囲内の厚みを有するポリマーフィルム(P)でもある。
【0017】
ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのコポリアミドに加えて、少なくとも1つの他のポリマー(wP)を含んでよい。
【0018】
「少なくとも1つの他のポリマー(wP)」とは、本発明の範囲内で、正確に1つの他のポリマー(wP)も、2つ以上の他のポリマー(wP)の混合物も意味する。
【0019】
少なくとも1つの他のポリマー(wP)は、当業者に公知の全てのポリマーが適している。少なくとも1つの他のポリマー(wP)は、少なくとも1つのコポリアミドとは異なることは自明である。
【0020】
ポリオレフィン、ポリ(エチルビニルアルコール)、ポリ(エチルビニルアセタート)、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニリデン、無水マレイン酸でグラフトされたポリオレフィン、ポリエステルおよびイオノマーからなる群から選択される少なくとも1つの他のポリマー(wP)が好ましい。特に、ポリオレフィン、ポリ(エチルビニルアルコール)、ポリ(エチルビニルアセタート)、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニリデンおよび無水マレイン酸でグラフトされたポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1つの他のポリマー(wP)が好ましい。ポリオレフィン、無水マレイン酸でグラフトされたポリオレフィンおよびエチルビニルアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの他のポリマー(wP)が最も好ましい。
【0021】
少なくとも1つの他のポリマー(wP)が、ポリオレフィンからなる群から選択される場合、さらに無水マレイン酸でグラフトされたポリオレフィンが、少なくとも1つの他のポリマー(wP)として使用されることが好ましい。この場合、少なくとも1つの他のポリマー(wP)として、ポリオレフィンと、無水マレイン酸でグラフトされたポリオレフィンとの混合物を使用することも可能である。同様に、ポリマーフィルム(P)は、下記の多層フィルムである場合、このポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つの他のポリマー(wP)の少なくとも1つの第一の他の層を含み、この第一の他の層の少なくとも1つの他のポリマー(wP)は、無水マレイン酸でグラフトされたポリオレフィンからなる群から選択され、かつポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つの他のポリマー(wP)の少なくとも1つの第二の他の層を含み、この第二の他の層の少なくとも1つの他のポリマー(wP)は、ポリオレフィンからなる群から選択される。ポリマーフィルム(P)は、好ましくは、少なくとも1つのコポリアミドを含む第一の層と第二の他の層との間に第一の他の層を含む。
【0022】
ポリオレフィン自体は当業者に公知である。好ましいポリオレフィンは、ポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)および超低密度ポリエチレン(VLDPE)である。
【0023】
線状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、エチレンと少なくとも1つのC4~C8-α-オレフィンとからなるコポリマーである。線状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、短い側鎖を有する長いポリマー鎖により特徴付けられる。線状低密度ポリエチレン(LLDPE)中の側鎖の長さは、通常では低密度ポリエチレン(LDPE)および中密度ポリエチレン(MDPE)中の側鎖よりも短い。線状低密度ポリエチレン(LLDPE)の融点は、好ましくは110~130℃の範囲内であり、その密度は、0.91~0.93g/cm3の範囲内にある。
【0024】
超低密度ポリエチレン(VLDPE)は、エチレンと少なくとも1つのC4~C8-α-オレフィンとからなるコポリマーである。これは、通常では110~130℃の範囲内の融点および0.86~<0.91g/cm3の範囲内の密度を有する。VLDPE中のC4~C8-α-オレフィンの割合は、原則としてLLDPE中のその割合よりも高い。
【0025】
「C4~C8-α-オレフィン」とは、本発明の範囲内で、α位が不飽和である、つまりα位にC-C二重結合を有する、4~8の炭素原子を有する線状のおよび分枝した、好ましくは線状のアルキレンであると解釈される。この例は、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテンおよび1-オクテンである。1-ブテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンが好ましい。
【0026】
ポリ(エチレンビニルアセタート)として、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマーが好ましい。例えば、製造のために、エチレンは82~99.9質量%の範囲内でかつ酢酸ビニルは0.1~18質量%の範囲内で、好ましくはエチレンは88~99.9質量%の範囲内でかつ酢酸ビニルは0.1~12質量%の範囲内で使用される。
【0027】
好ましいポリ(エチレンビニルアルコール)は、上述のポリ(エチレンビニルアセタート)の完全なまたは部分的なけん化によって得られる。例えば、ポリ(エチレンビニルアルコール)は、ポリ(エチレンビニルアルコール)の全体量を基準として、エチレンを50~75mol%の範囲内でかつビニルアルコールを、25~50mol%の範囲内で含む。
【0028】
ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つの他のポリマー(wP)を、少なくとも1つのコポリアミドとのブレンド(混合物)として含んでよい。
【0029】
さらに、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのコポリアミドを含む少なくとも1つの第一の層を含み、かつポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つの他のポリマー(wP)を含む少なくとも1つの他の層を含むことが可能でありかつ本発明の場合に好ましい。
【0030】
この実施形態の場合に、少なくとも1つのコポリアミドを含む少なくとも1つの第一の層は、他のポリマー(wP)を含まないことが好ましい。
【0031】
「少なくとも1つの第一の層」は、本発明の範囲内で、正確に1つの第一の層も、2つ以上の第一の層も意味する。
【0032】
「少なくとも1つの他の層」は、本発明の範囲内で、正確に1つの他の層も、2つ以上の他の層も意味する。2つ以上の他の層が好ましい。
【0033】
つまり、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのコポリアミドを含む少なくとも1つの第一の層を含み、かつポリマーフィルム(P)は、さらに少なくとも1つの他の層を含み、ここで、少なくとも1つの他の層は、ポリオレフィン、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(エチレンビニルアセタート)、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニリデンおよび無水マレイン酸でグラフトされたポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1つの他のポリマー(wP)を含むことが好ましい。
【0034】
したがって、本発明の主題は、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのコポリアミドを含む少なくとも1つの第一の層を含み、かつポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つの他の層を含み、ここで、少なくとも1つの他の層は、ポリオレフィン、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(エチレンビニルアセタート)、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニリデンおよび無水マレイン酸でグラフトされたポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1つの他のポリマー(wP)を含むポリマーフィルム(P)でもある。
【0035】
ポリマーフィルム(P)が少なくとも1つの第一の層の他に別の層を含まない場合、ポリマーフィルム(P)は単層フィルムともいわれる。ポリマーフィルム(P)が単層フィルムである場合、このフィルムは正確に1つの第一の層を含みかつ他の層は含まなくてよく、同様に2つ以上の第一の層を含みかつ他の層は含まないことが可能である。ポリマーフィルム(P)が、2つ以上の第一の層を含み、かつこのフィルムが単層フィルムである場合、2つ以上の第一の層は全て同じ組成を有する。
【0036】
ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのコポリアミドを含む少なくとも1つの第一の層と、少なくとも1つの他のポリマー(wP)を含む少なくとも1つの他の層を含む場合、ポリマーフィルムは多層フィルムともいわれる。
【0037】
例えば、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのコポリアミドを含む1~11の第一の層を含み、かつ少なくとも1つの他のポリマー(wP)を含む1~13の他の層を含む。好ましくは、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのコポリアミドを含む1~5つの第一の層と、少なくとも1つの他のポリマー(wP)を含む1~11の他の層を含む。ことに好ましくは、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのコポリアミドを含む1~3つの第一の層と、少なくとも1つの他のポリマー(wP)を含む1~7つの他の層を含む。
【0038】
本発明の好ましい実施形態の場合に、少なくとも1つの第一の層は、少なくとも1つのコポリアミドからなる。同様に、少なくとも1つの他の層は、少なくとも1つの他のポリマー(wP)からなることが好ましい。
【0039】
「ポリマーフィルム(P)」の概念は、本発明の範囲内で、単層フィルムも多層フィルムも含む。
【0040】
したがって、本発明の主題は、ポリマーフィルム(P)が単層フィルムまたは多層フィルムであるポリマーフィルム(P)でもある。
【0041】
上述のように、ポリマーフィルム(P)は、通常では、0.1μm~1mmの範囲内、好ましくは5~500μmの範囲内、ことに好ましくは10~100μmの範囲内の厚みを有する。
【0042】
ポリマーフィルム(P)が単層フィルムであり、かつ正確に1つの第一の層を含む場合、この第一の層は、ポリマーフィルム(P)と同じ厚みを有する、つまり、例えば0.1μm~1mmの範囲内、好ましくは5~500μmの範囲内、ことに好ましくは10~100μmの範囲内の厚みを有する。ポリマーフィルム(P)が単層フィルムであり、かつ2つ以上の第一の層を含む場合、各第一の層の厚みは、通常ではポリマーフィルム(P)の厚みよりも小さい。個々の第一の層の厚みの合計が、一般にポリマーフィルム(P)の厚みに一致する。例えば、少なくとも1つのコポリアミドを含む少なくとも1つの第一の層は、0.1~100μmの範囲内、好ましくは0.5~50μmの範囲内、ことに好ましくは0.5~15μmの範囲内の厚みを有する。
【0043】
ポリマーフィルム(P)が多層フィルムである場合、ポリマーフィルム(P)の個々の層の厚み、つまり少なくとも1つのコポリアミドを含む少なくとも1つの第一の層の厚みと、少なくとも1つの他のポリマー(wP)を含む少なくとも1つの他の層の厚みとは、通常ではポリマーフィルム(P)の厚みよりも小さい。個々の層の厚みの合計は、一般にポリマーフィルム(P)の厚みに一致する。
【0044】
例えば、少なくとも1つのコポリアミドを含む少なくとも1つの第一の層は、0.1~100μmの範囲内、好ましくは0.5~50μmの範囲内、ことに好ましくは0.5~15μmの範囲内の厚みを有する。
【0045】
少なくとも1つの他のポリマー(wP)を含む少なくとも1つの他の層は、例えば0.1~100μmの範囲内、好ましくは0.5~50μmの範囲内、ことに好ましくは0.5~15μmの範囲内の厚みを有する。
【0046】
ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つの定着剤を含んでよい。この実施形態は、ポリマーフィルム(P)が多層フィルムである場合が好ましい。
【0047】
「少なくとも1つの定着剤」は、本発明の範囲内で、正確に1つの定着剤も、2つ以上の定着剤の混合物も意味する。
【0048】
ポリマーフィルム(P)が多層フィルムである場合、少なくとも1つの定着剤は、少なくとも1つのコポリアミドと一緒に、少なくとも1つの第一の層中に含まれていてよい。同様に、少なくとも1つの定着剤は、少なくとも1つの他のポリマー(wP)と一緒に、少なくとも1つの他の層中に含まれていることも可能である。さらに、少なくとも1つの定着剤は、少なくとも1つの付加的な層として、ポリマーフィルム(P)中に含まれていることも可能である。この実施形態が好ましい。
【0049】
少なくとも1つの定着剤が少なくとも1つの付加的な層としてポリマーフィルム(P)中に含まれている場合、この少なくとも1つの付加的な層は、好ましくは、少なくとも1つの他のポリマー(wP)を含む少なくとも1つの他の層と、少なくとも1つのコポリアミドを含む少なくとも1つの第一の層との間に配置されている。定着剤の少なくとも1つの層は、例えば0.1~100μm、好ましくは0.5~50μmの範囲内、ことに好ましくは0.5~15μmの範囲内の厚みを有する。
【0050】
適切な定着剤は、当業者にそれ自体公知である。定着剤として、エチレンと無水マレイン酸とのコポリマー、またはエチレンと酢酸ビニルとのコポリマーが好ましい。線状低密度ポリエチレン(LLDPE)と無水マレイン酸とのコポリマー、またはエチレンと酢酸ビニルとのコポリマーが好ましく、この場合、コポリマーの製造のために酢酸ビニル>18質量%およびエチレン<82質量%が使用される。これらのコポリマーは、例えば、DuPont社のBynel 4105またはExxon社のEscorene FL00119の商品名のもとで、市場で入手可能である。
【0051】
好ましくは、定着剤として使用される、エチレンと無水マレイン酸とのコポリマーは、無水マレイン酸でグラフトされたポリマーまたはエチレンからなるコポリマーである。
【0052】
ポリマーフィルム(P)は、さらに添加剤を含んでよい。この種の添加剤は当業者に公知であり、例えば安定剤、着色剤、帯電防止剤、粘着付与剤、粘着防止剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、UV吸収剤、滑剤および核生成助剤からなる群から選択される。
【0053】
着色剤として、有機または無機の顔料、例えばサイズ剤を含む二酸化チタンが適している。粘着付与剤として、例えばポリイソブチレン(PIB)またはエチルビニルアセタート(EVA)が適している。適切な粘着防止剤は、例えば二酸化ケイ素粒子または炭酸カルシウム粒子である。適切な光安定剤は、例えばいわゆるHALS(ヒンダードアミン光安定剤)である。加工助剤または滑剤として、例えばエチレンビスステアルアミド(EBS)ワックスが使用されてよい。核生成助剤は、例えば全ての種類の有機または無機の結晶核生成剤、例えばタルクであってよい。
【0054】
添加剤は、少なくとも1つの第一の層中にも、少なくとも1つの他の層中にも含まれていてよい。これらの添加剤は、これらの層の一方にだけ含まれていてもよく、同様にこれらの添加剤は、これらの層のいずれにも含まれていることも可能である。
【0055】
コポリアミド
本発明の場合に、ポリマーフィルム(P)は、成分
(A)少なくとも1つのラクタム15~84質量%、
(B)成分
(B1)少なくとも1つのC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1つのC4~C12-ジアミン
を含むモノマー混合物(M)16~85質量%
の重合により製造された少なくとも1つのコポリアミドを含み、
ここで、成分(A)および(B)の質量パーセントは、それぞれ、成分(A)および(B)の質量パーセントの合計を基準とする。
【0056】
「成分(A)」と「少なくとも1つのラクタム」との概念は、本発明の範囲内で同義に用いられ、したがって同じ意味を有する。
【0057】
同様のことが「成分(B)」と「モノマー混合物(M)」との概念にも当てはまる。これらの概念は、本発明の範囲内で同様に同義に用いられ、したがって同じ意味を有する。
【0058】
「少なくとも1つのラクタム」は、本発明の範囲内で、正確に1つのラクタムも、2つ以上のラクタムの混合物も意味する。正確に1つのラクタムが好ましい。
【0059】
本発明の場合に、少なくとも1つのコポリアミドは、成分(A)15~84質量%と成分(B)16~85質量%との重合により製造され、好ましくは、このコポリアミドは、成分(A)40~83質量%と成分(B)17~60質量%との重合により製造され、ことに好ましくは、少なくとも1つのコポリアミドは、成分(A)60~80質量%と成分(B)20~40質量%の重合により製造され、ここで、成分(A)および(B)の質量パーセントはそれぞれ、成分(A)と(B)との質量パーセントの合計を基準とする。
【0060】
好ましくは、成分(A)と(B)との質量パーセントの合計は100質量%である。
【0061】
成分(A)および(B)の質量パーセントは、重合前の、つまり成分(A)と(B)とがまだ互いに反応していない場合の成分(A)および(B)の質量パーセントに関することは自明である。重合の間に、成分(A)と(B)との質量比は場合により変化することがある。
【0062】
本発明の場合に、コポリアミドは、成分(A)と(B)との重合により製造される。成分(A)と(B)との重合は当業者に公知である。通常では、成分(A)と(B)との重合は縮合反応である。縮合反応の間に、成分(A)は、成分(B)中に含まれる成分(B1)および(B2)ならびに場合により、同様に成分(B)中に含まれていてよい下記の他の成分(B3)と反応する。この場合、個々の成分の間にアミド結合が形成される。通常では、成分(A)は、重合の間に、少なくとも部分的に開鎖して、つまりアミノ酸として存在する。
【0063】
成分(A)と(B)との重合は、触媒の存在で行われてよい。触媒として、成分(A)と(B)との重合に触媒作用する当業者に公知の全ての触媒が適している。この種の触媒は当業者に公知である。好ましい触媒は、例えば次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸、トリフェニルホスフィンまたはトリフェニルホスファイトのようなリン化合物である。
【0064】
成分(A)と(B)との重合の際に、したがって、成分(A)から誘導されている構成単位と、成分(B)から誘導されている構成単位とを含むコポリアミドが形成される。成分(B)から誘導されている構成単位は、成分(B1)および(B2)ならびに場合により成分(B3)から誘導されている構成単位を含む。
【0065】
成分(A)と(B)との重合の際に、コポリマーとしてコポリアミドが形成される。このコポリマーは、統計コポリマーであってよく、同様にブロックコポリマーであることも可能である。
【0066】
ブロックコポリマー中に、成分(B)から誘導されている単位のブロックと、成分(A)から誘導されている単位のブロックとが形成される。これらは交互に現れている。統計ポリマーの場合に、成分(A)から誘導されている構成単位と、成分(B)から誘導されている構成単位とは交互に現れる。この交互の出現は統計的に行われ、例えば成分(B)から誘導される2つの構成単位に、成分(A)から誘導される1つの構成単位が続き、これにまた成分(B)から誘導される1つの構成単位が続き、次いでこれに成分(A)から誘導される3つの構成単位を含む構成単位が続いてよい。
【0067】
好ましくは、この少なくとも1つのコポリアミドは統計コポリマーである。
【0068】
したがって、本発明の主題は、少なくとも1つのコポリアミドが統計コポリマーであるポリマーフィルムでもある。
【0069】
少なくとも1つのコポリアミドの製造は、好ましくは次の工程を含む:
a)成分(A)と(B)とを重合して少なくとも1つの第一のコポリアミドを得ること、
b)工程a)で得られた少なくとも1つの第一のコポリアミドをペレット化して少なくとも1つのペレット化されたコポリアミドを得ること、
c)工程b)で得られた少なくとも1つのペレット化されたコポリアミドを水で抽出して少なくとも1つの抽出されたコポリアミドを得ること、
d)工程c)で得られた少なくとも1つの抽出されたコポリアミドを温度(TT)で乾燥して少なくとも1つのコポリアミドを得ること。
【0070】
したがって、本発明の主題は、コポリアミドが、次の工程:
a)成分(A)と(B)とを重合して少なくとも1つの第一のコポリアミドを得ること、
b)工程a)で得られた少なくとも1つの第一のコポリアミドをペレット化して少なくとも1つのペレット化されたコポリアミドを得ること、
c)工程b)で得られた少なくとも1つのペレット化されたコポリアミドを水で抽出して少なくとも1つの抽出されたコポリアミドを得ること、
d)工程c)で得られた少なくとも1つの抽出されたコポリアミドを温度(TT)で乾燥して少なくとも1つのコポリアミドを得ること
を含む方法で製造されるポリマーフィルム(P)でもある。
【0071】
工程a)における重合は、当業者に公知の全ての反応器中で行うことができる。攪拌槽型反応器が好ましい。この反応の実施を改善するために、付加的に当業者に公知の助剤、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)のような消泡剤を使用してよい。
【0072】
工程b)において、工程a)で得られた少なくとも1つの第一のコポリアミドを、当業者に公知の全ての方法により、例えばストランド式ペレット化または水中式ペレット化によりペレット化することができる。
【0073】
工程c)における抽出は、当業者に公知の全ての方法により行うことができる。
【0074】
工程c)における抽出の間に、通常では、工程a)における成分(A)と(B)との重合の間に形成される副生成物が、少なくとも1つのペレット化されたコポリアミドから抽出される。
【0075】
工程d)において、工程c)で得られた少なくとも1つの抽出されたコポリアミドを乾燥する。乾燥のための方法は当業者に公知である。本発明の場合に、少なくとも1つの抽出されたコポリアミドを温度(TT)で乾燥する。温度(TT)は、好ましくは、少なくとも1つのコポリアミドのガラス転移温度(TG(C))より高く、かつ少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))より低い。
【0076】
工程d)における乾燥は、通常では、1~100時間の範囲内、好ましくは2~50時間の範囲内、ことに好ましくは3~40時間の範囲内の期間行われる。
【0077】
工程d)における乾燥により、少なくとも1つのコポリアミドの分子量はさらに高められると考えられる。
【0078】
少なくとも1つのコポリアミドは、通常では、ガラス転移温度(TG(C))を有する。ガラス転移温度(TG(C))は、ISO 11357-2: 2014に従って決定されて、例えば20~50℃の範囲内、好ましくは23~47℃の範囲内、ことに好ましくは25~45℃の範囲内にある。
【0079】
したがって、本発明の主題は、少なくとも1つのコポリアミドが、ガラス転移温度(TG(C))を有し、このガラス転移温度(TG(C))は、20~50℃の範囲内にあるポリマーフィルム(P)でもある。
【0080】
少なくとも1つのコポリアミドのガラス転移温度(TG(C))は、本発明の範囲内で、ISO 11357-2: 2014による、乾燥したコポリアミドのガラス転移温度(TG(C))に関する。
【0081】
「乾燥」は、本発明の範囲内で、少なくとも1つのコポリアミドが、少なくとも1つのコポリアミドの全質量を基準として、水を1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、ことに好ましくは0.1質量%未満含むことを意味する。より好ましくは、「乾燥」は、少なくとも1つのコポリアミドが水を含まないことを、最も好ましくは、少なくとも1つのコポリアミドが溶媒を含まないことを意味する。
【0082】
さらに、少なくとも1つのコポリアミドは、通常では、溶融温度(TM(C))を有する。少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))は、ISO 11357-3: 2014に従って決定されて、例えば150~210℃の範囲内、好ましくは160~205℃の範囲内、ことに好ましくは160~200℃の範囲内にある。
【0083】
したがって、本発明の主題は、少なくとも1つのコポリアミドが、溶融温度(TM(C))を有し、この溶融温度(TM(C))は、150~210℃の範囲内にあるポリマーフィルム(P)でもある。
【0084】
少なくとも1つのコポリアミドは、一般に、質量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼンからなる混合物中の少なくとも1つのコポリアミドの0.5質量%の溶液中で決定して、150~300ml/gの範囲内の粘度数(VZ(C))を有する。
【0085】
好ましくは、少なくとも1つのコポリアミドの粘度数(VZ(C))は、質量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼンからなる混合物中の少なくとも1つのコポリアミドの0.5質量%の溶液中で決定して、160~290ml/gの範囲内、特に好ましくは170~280ml/gの範囲内にある。
【0086】
したがって、本発明の主題は、少なくとも1つのコポリアミドが、質量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼンからなる混合物中の少なくとも1つのコポリアミドの0.5質量%の溶液中で決定して、150~300ml/gの範囲内の粘度数(VZ(C))を有するポリマーフィルム(P)でもある。
【0087】
成分(A)
成分(A)は、少なくとも1つのラクタムである。
【0088】
ラクタムは、当業者にそれ自体公知である。本発明の場合には、4~12の炭素原子を有するラクタムが好ましい。
【0089】
ラクタムとは、本発明の範囲内で、環中に好ましくは4~12、特に好ましくは5~8つの炭素原子を有する環状アミドであると解釈される。
【0090】
適切なラクタムは、例えば、3-アミノプロパン酸ラクタム(プロピオ-3-ラクタム;β-ラクタム;β-プロピオラクタム)、4-アミノブタン酸ラクタム(ブチロ-4-ラクタム;γ-ラクタム;γ-ブチロラクタム)、5-アミノペンタン酸ラクタム(2-ピペリジノン;δ-ラクタム;δ-バレロラクタム)、6-アミノヘキサン酸ラクタム(ヘキサノ-6-ラクタム:ε-ラクタム;ε-カプロラクタム)、7-アミノヘプタン酸ラクタム(ヘプタノ-7-ラクタム;ζ-ラクタム;ζ-ヘプタノラクタム)、8-アミノオクタン酸ラクタム(オクタノ-8-ラクタム;η-ラクタム;η-オクタノラクタム)、9-アミノノナン酸ラクタム(ノナノ-9-ラクタム;θ-ラクタム;θ-ノナノラクタム)、10-アミノデカン酸ラクタム(デカノ-10-ラクタム;ω-デカノラクタム)、11-アミノウンデカン酸ラクタム(ウンデカノ-11-ラクタム;ω-ウンデカノラクタム)および12-アミノドデカン酸ラクタム(ドデカノ-12-ラクタム;ω-ドデカノラクタム)からなる群から選択される。
【0091】
したがって、本発明の主題は、成分(A)が、3-アミノプロパン酸ラクタム、4-アミノブタン酸ラクタム、5-アミノペンタン酸ラクタム、6-アミノヘキサン酸ラクタム、7-アミノヘプタン酸ラクタム、8-アミノオクタン酸ラクタム、9-アミノノナン酸ラクタム、10-アミノデカン酸ラクタム、11-アミノウンデカン酸ラクタムおよび12-アミノドデカン酸ラクタムからなる群から選択される、ポリマーフィルム(P)でもある。
【0092】
ラクタムは、非置換であるかまたは少なくとも一置換されていてよい。少なくとも一置換されたラクタムを使用する場合には、これは、環の窒素原子および/または炭素原子に、1つまたは2つ以上の置換基を有してよく、この置換基は互いに無関係に、C1~C10-アルキル、C5~C6-シクロアルキルおよびC5~C10-アリールからなる群から選択される。
【0093】
1~C10-アルキル置換基として、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルが適している。適切なC5~C6-シクロアルキル置換基は、例えばシクロヘキシルである。好ましいC5~C10-アリール置換基は、フェニルおよびアントラニルである。
【0094】
非置換のラクタムを使用することが好ましく、ここで、γ-ラクタム(γ-ブチロラクタム)、δ-ラクタム(δ-バレロラクタム)およびε-ラクタム(ε-カプロラクタム)が好ましい。特に、δ-ラクタム(δ-バレロラクタム)およびε-ラクタム(ε-カプロラクタム)が好ましく、ここでε-カプロラクタムことに好ましい。
【0095】
モノマー混合物(M)
本発明の場合に、成分(B)は、モノマー混合物(M)である。モノマー混合物(M)は、成分(B1)少なくとも1つのC32~C40-ダイマー酸と、(B2)少なくとも1つのC4~C12-ジアミンとを含む。
【0096】
モノマー混合物(M)とは、本発明の範囲内で、モノマー混合物(M)中に少なくとも成分(B1)および(B2)を含む2つ以上のモノマーからなる混合物であると解釈される。
【0097】
「成分(B1)」と「少なくとも1つのC32~C40-ダイマー酸」との概念は、本発明の範囲内で同義に用いられ、したがって同じ意味を有する。「成分(B2)」と「少なくとも1つのC4~C12-ジアミン」との概念についても同様のことが当てはまる。
【0098】
これらの概念は、本発明の範囲内で同様に同義に用いられ、したがって同じ意味を有する。
【0099】
モノマー混合物(M)は、成分(B1)および(B2)のモルパーセントの合計を基準として、好ましくは成分(B)の全体量を基準としてそれぞれ、例えば成分(B1)を45~55mol%の範囲内で、および成分(B2)を45~55mol%の量で含む。
【0100】
好ましくは、成分(B)は、成分(B1)および(B2)のモルパーセントの合計を基準として、好ましくは成分(B)の全体量を基準としてそれぞれ、成分(B1)を47~53mol%の範囲内で、および成分(B2)を47~53mol%の範囲内で含む。
【0101】
特に好ましくは、成分(B)は、成分(B1)および(B2)のモルパーセントの合計を基準として、好ましくは成分(B)の全体量を基準としてそれぞれ、成分(B1)を49~51mol%の範囲内で、および成分(B2)を49~51mol%の範囲内で含む。
【0102】
したがって、本発明の主題は、成分(B)が、成分(B)の全体量を基準としてそれぞれ、成分(B1)を45~55mol%の範囲内で、および成分(B2)を45~55mol%の範囲内で含むポリマーフィルム(P)でもある。
【0103】
成分(B)中に含まれる成分(B1)および(B2)のモルパーセントの合計は、通常では100mol%である。
【0104】
成分(B)は、さらに付加的に、成分(B3)少なくとも1つのC4~C20-二酸を含んでよい。
【0105】
したがって、本発明の主題は、成分(B)が、付加的に成分(B3)少なくとも1つのC4~C20-二酸を含む、ポリマーフィルム(P)でもある。
【0106】
「成分(B3)」と「少なくとも1つのC4~C20-二酸」との概念は、本発明の範囲内で同義で用いられ、したがって同じ意味を有する。
【0107】
成分(B)が付加的に成分(B3)を含む場合、成分(B)は、成分(B)の全体量を基準としてそれぞれ、成分(B1)を25~54.9mol%の範囲内で、成分(B2)を45~55mol%の範囲内で、成分(B3)を0.1~25mol%の範囲内で含むことが好ましい。
【0108】
特に好ましくは、成分(B)は、成分(B)の全体量を基準としてそれぞれ、成分(B1)を13~52.9mol%の範囲内で、成分(B2)を47~53mol%の範囲内で、成分(B3)を0.1~13mol%の範囲内で含む。
【0109】
最も好ましくは、成分(B)は、成分(B)の全体量を基準としてそれぞれ、成分(B1)を7~50.9mol%の範囲内で、成分(B2)を49~51mol%の範囲内で、成分(B3)を0.1~7mol%の範囲内で含む。
【0110】
成分(B)が付加的に成分(B3)を含む場合、成分(B1)、(B2)および(B3)のモルパーセントは、通常では、合計で100モルパーセントになる。
【0111】
モノマー混合物(M)は、さらに水を含んでいてよい。
【0112】
成分(B)の成分(B1)および(B2)ならびに場合により(B3)は互いに反応してアミドを得ることができる。この反応は、当業者にそれ自体公知である。したがって、成分(B)は、成分(B1)および(B2)ならびに場合により(B3)を、完全に反応した形で、部分的に反応した形で、または未反応の形で含んでいてよい。好ましくは、成分(B)は、成分(B1)および(B2)ならびに場合により(B3)を、未反応の形で含む。
【0113】
「未反応の形で」とは、本発明の範囲内で、成分(B1)が少なくとも1つのC32~C40-ダイマー酸として存在し、かつ成分(B2)が少なくとも1つのC4~C12-ジアミンとして存在し、ならびに場合により成分(B3)が少なくとも1つのC4~C20-二酸として存在することを意味する。
【0114】
成分(B1)および(B2)ならびに場合により(B3)は、互いに少なくとも部分的に反応している場合、成分(B1)および(B2)ならびに場合により(B3)は、少なくとも部分的にアミドとして存在する。
【0115】
成分(B1)
成分(B1)は、本発明の場合に、少なくとも1つのC32~C40-ダイマー酸である。
【0116】
「少なくとも1つのC32~C40-ダイマー酸」とは、本発明の範囲内で、正確に1つのC32~C40-ダイマー酸も、2つ以上のC32~C40-ダイマー酸の混合物も意味する。
【0117】
ダイマー酸は、ダイマー脂肪酸ともいわれる。C32~C40-ダイマー酸は、当業者にそれ自体公知であり、通常では、不飽和脂肪酸の二量化により製造される。この二量化は、例えばアルミナによって触媒作用されてよい。
【0118】
少なくとも1つのC32~C40-ダイマー酸を製造するための適切な不飽和脂肪酸は当業者に公知であり、例えば不飽和C16-脂肪酸、不飽和C18-脂肪酸および不飽和C20-脂肪酸である。
【0119】
したがって、好ましくは、成分(B1)は、不飽和C16-脂肪酸、不飽和C18-脂肪酸および不飽和C20-脂肪酸からなる群から選択される不飽和脂肪酸から出発して製造され、ここで、不飽和C18-脂肪酸が特に好ましい。
【0120】
したがって、本発明の主題は、成分(B1)が、不飽和C16-脂肪酸、不飽和C18-脂肪酸および不飽和C20-脂肪酸からなる群から選択される不飽和脂肪酸から出発して製造される、ポリマーフィルム(P)でもある。
【0121】
適切な不飽和C16-脂肪酸は、例えばパルミトレイン酸((9Z)-ヘキサデカ-9-エン酸)である。
【0122】
適切な不飽和C18-脂肪酸は、例えばペトロセリン酸((6Z)-オクタデカ-6-エン酸)、オレイン酸((9Z)-オクタデカ-9-エン酸)、エライジン酸((9E)-オクタデカ-9-エン酸)、バクセン酸((11E)-オクタデカ-11-エン酸)、リノール酸((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸)、アルファ-リノレン酸((9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエン酸)、ガンマ-リノレン酸((6Z,9Z,12Z)-オクタデカ-6,9,12-トリエン酸)、カレンド酸((8E,10E,12Z)-オクタデカ-8,10,12-トリエン酸)、プニカ酸((9Z,11E,13Z)-オクタデカ-9,11,13-トリエン酸)、アルファ-エレオステアリン酸((9Z,11E,13E)-オクタデカ-9,11,13-トリエン酸)およびベータ-エレオステアリン酸((9E,11E,13E)-オクタデカ-9,11,13-トリエン酸)からなる群から選択される。特に好ましくは、不飽和C18-脂肪酸は、ペトロセリン酸((6Z)-オクタデカ-6-エン酸)、オレイン酸((9Z)-オクタデカ-9-エン酸)、エライジン酸((9E)-オクタデカ-9-エン酸)、バクセン酸((11E)-オクタデカ-11-エン酸)、リノール酸((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸)からなる群から選択される。
【0123】
適切な不飽和C20-脂肪酸は、例えば、ガドレイン酸((9Z)-エイコサ-9-エン酸)、エイコセン酸((11Z)-エイコサ-11-エン酸)、アラキドン酸((5Z,8Z,11Z,14Z)-エイコサ-5,8,11,14-テトラエン酸)およびチムノドン酸((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-エイコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン酸)からなる群から選択される。
【0124】
成分(B1)は、ことに好ましくは少なくとも1つのC36-ダイマー酸である。
【0125】
少なくとも1つのC36-ダイマー酸は、好ましくは不飽和C18-脂肪酸から出発して製造される。特に好ましくは、C36-ダイマー酸は、ペトロセリン酸((6Z)-オクタデカ-6-エン酸)、オレイン酸((9Z)-オクタデカ-9-エン酸)、エライジン酸((9E)-オクタデカ-9-エン酸)、バクセン酸((11E)-オクタデカ-11-エン酸)およびリノール酸((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸)からなる群から選択されるC18-脂肪酸から出発して製造される。
【0126】
不飽和脂肪酸からの成分(B1)の製造の際に、さらにトリマー酸が形成されてよく、さらに未反応の不飽和脂肪酸の残りが残留してよい。
【0127】
トリマー酸の形成は、当業者に公知である。
【0128】
本発明の場合に、好ましくは、成分(B1)は、成分(B1)の全質量を基準としてそれぞれ、未反応不飽和脂肪酸を最大0.5質量%およびトリマー酸を最大0.5質量%、特に好ましくは未反応不飽和脂肪酸を最大0.2質量%およびトリマー酸を最大0.2質量%含む。
【0129】
一般にかつことに、本発明の範囲内で、したがって不飽和脂肪酸のオリゴマー化により製造される混合物が、ダイマー酸(二量化された脂肪酸またはダイマー脂肪酸としても公知)といわれる。このダイマー酸は、例えば植物性の不飽和脂肪酸の接触二量化により製造可能であり、ここで、出発物質として、ことに不飽和C16~C20-脂肪酸が使用される。この結合は、主にディールス・アルダー型により進行し、かつダイマー酸の製造のために使用される脂肪酸の二重結合の数および状態に応じて、カルボキシル基の間に脂環式、線状脂肪族、分枝脂肪族、およびC6-芳香族の炭化水素基を有する、主にダイマーの生成物からなる混合物が生じる。メカニズムおよび/または場合により後からの水素化に応じて、脂肪族基は、飽和または不飽和であってよく、芳香族基の割合も変化してよい。カルボン酸基の間の基は、例えば32~40の炭素原子を含む。好ましくは製造のために18の炭素原子を有する脂肪酸が使用されるため、ダイマーの生成物はつまり36の炭素原子を有する。好ましくは、ダイマー酸のカルボキシル基が結合する基は、不飽和結合も、芳香族炭化水素基も有しない。
【0130】
本発明の主旨で、したがって、製造の際に、好ましくはC18-脂肪酸が使用される。特に好ましくはリノレン酸、リノール酸および/またはオレイン酸が使用される。
【0131】
反応の実施に依存して、上述のオリゴマー化の際に、主にダイマーの分子、しかしながらトリマーの分子も、ならびにモノマーの分子およびその他の副生成物も含まれる混合物が生じる。通常では蒸留により精製される。市販のダイマー酸は、一般に、ダイマーの分子を少なくとも80質量%、トリマーの分子を19質量%まで、モノマーの分子およびその他の副生成物を最大1質量%含む。
【0132】
少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%、全く特に好ましくは少なくとも98質量%がダイマーの脂肪酸分子からなるダイマー酸を使用することが好ましい。
【0133】
ダイマー酸中のモノマーの、ダイマーのおよびトリマーの分子、ならびにその他の副生成物の割合の決定は、例えばガスクロマトグラフィー(GC)によって行うことができる。この場合、ダイマー酸は、GC分析の前に、三フッ化ホウ素法によって相応するメチル基に反応させ(DIN EN ISO 5509参照)、次いでGCで分析される。
【0134】
「ダイマー酸」についての基本的な特徴として、本発明の範囲内で、この製造が不飽和脂肪酸のオリゴマー化を含むことが当てはまる。このオリゴマー化の際に、ダイマーの生成物が、主に、つまり好ましくは少なくとも80質量%、特に好ましくは少なくとも90質量%、全く特に好ましくは少なくとも95質量%、ことに少なくとも98質量%生じる。オリゴマー化の際に、正確に2つの脂肪酸分子を含むダイマーの生成物が主に生じるという事実は、いずれにせよ一般的な命名法を正当化する。関連する概念「ダイマー酸」についての別の表現は、「二量化された脂肪酸を含む混合物」でもある。
【0135】
使用されるべきダイマー酸は、市販品として得られる。例えば、Oleon社のRadiacid 0970、Radiacid 0971、Radiacid 0972、Radiacid 0975、Radiacid 0976およびRadiacid 0977、Croda社のPripol 1006、Pripol 1009、Pripol 1012およびPripol 1013、BASF SE社のEmpol 1008、Empol 1012、Empol 1061およびEmpol 1062ならびにArizona Chemical社のUnidyme 10およびUnidyme Tlが挙げられる。
【0136】
成分(B1)は、例えば、190~200mg KOH/gの範囲内の酸価を有する。
【0137】
成分(B2)
成分(B2)は、本発明の場合に少なくとも1つのC4~C12-ジアミンである。
【0138】
「少なくとも1つのC4~C12-ジアミン」は、本発明の範囲内で、正確に1つのC4~C12-ジアミンも、2つ以上のC4~C12-ジアミンからなる混合物も意味する。
【0139】
「C4~C12-ジアミン」とは、本発明の範囲内で、4~12の炭素原子を有しかつ2つのアミノ基(-NH2-基)を有する脂肪族および/または芳香族化合物であると解釈される。脂肪族および/または芳香族化合物は、非置換であるか、または付加的に少なくとも一置換されていてもよい。脂肪族および/または芳香族化合物が付加的に少なくとも一置換されている場合、これは、成分(A)および(B)の重合に関与しない1つまたは2つ以上の置換基を有してよい。この種の置換基は、例えばアルキル置換基またはシクロアルキル置換基である。これらは、当業者にそれ自体公知である。好ましくは、少なくとも1つのC4~C12-ジアミンは非置換である。
【0140】
適切な成分(B2)は、例えば1,4-ジアミノブタン(ブタン-1,4-ジアミン;テトラメチレンジアミン;プトレッシン)、1,5-ジアミノペンタン(ペンタメチレンジアミン;ペンタン-1,5-ジアミン;カダベリン)、1,6-ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン;ヘキサン-1,6-ジアミン)、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン(デカメチレンジアミン)、1,11-ジアミノウンデカン(ウンデカメチレンジアミン)および1,12-ジアミノドデカン(ドデカメチレンジアミン)からなる群から選択される。
【0141】
好ましくは、成分(B2)は、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミンおよびドデカメチレンジアミンからなる群から選択される。
【0142】
したがって、本発明の主題は、成分(B2)がテトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミンおよびドデカメチレンジアミンからなる群から選択される、ポリマーフィルムでもある。
【0143】
成分(B3)
場合により成分(B)中に含まれる成分(B3)は、本発明の場合に少なくとも1つのC4~C20-二酸である。
【0144】
「少なくとも1つのC4~C20-二酸」は、本発明の範囲内で、正確に1つのC4~C20-二酸も、2つ以上のC4~C20-二酸からなる混合物も意味する。
【0145】
「C4~C20-二酸」とは、本発明の範囲内で、4~20の炭素原子および2つのカルボキシ基(-COOH-基)を有する脂肪族および/または芳香族化合物であると解釈される。脂肪族および/または芳香族化合物は、非置換であるか、または付加的に少なくとも一置換されていてもよい。脂肪族および/または芳香族化合物が付加的に少なくとも一置換されている場合、これは、成分(A)および(B)の重合に関与しない1つまたは2つ以上の置換基を有してよい。この種の置換基は、例えばアルキル置換基またはシクロアルキル置換基である。これらは、当業者に公知である。好ましくは、少なくとも1つのC4~C20-二酸は非置換である。
【0146】
適切な成分(B3)は、例えば、ブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸(ピメリン酸)、オクタン二酸(コルク酸、スベリン酸)、ノナン二酸(アゼライン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸およびヘキサデカン二酸からなる群から選択される。
【0147】
好ましくは、成分(B3)は、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、デカン二酸(セバシン酸)およびドデカン二酸からなる群から選択される。
【0148】
ポリマーフィルム(P)の製造
本発明によるポリマーフィルム(P)は、好ましくは、次の工程
i)成分
(A)少なくとも1つのラクタム15~84質量%、
(B)成分
(B1)少なくとも1つのC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1つのC4~C12-ジアミン
を含むモノマー混合物(M)16~85質量%
の重合により製造され、ここで、成分(A)および(B)の質量パーセントはそれぞれ、成分(A)と(B)との質量パーセントの合計を基準とし、第一の押出機中で溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを準備すること、
ii)工程i)で準備された溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを第一の押出機からダイを通して押し出して溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを得ること、
iii)工程ii)で得られた溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを冷却し、ここで、少なくとも1つのコポリアミドを凝固させてポリマーフィルム(P)を得ること
を含む方法で製造される。
【0149】
したがって、本発明の主題は、工程
i)成分
(A)少なくとも1つのラクタム15~84質量%、
(B)成分
(B1)少なくとも1つのC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1つのC4~C12-ジアミン
を含むモノマー混合物(M)16~85質量%
の重合により製造され、ここで、成分(A)および(B)の質量パーセントはそれぞれ、成分(A)と(B)との質量パーセントの合計を基準とし、第一の押出機中で溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを準備すること、
ii)工程i)で準備された、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを第一の押出機からダイを通して押し出して溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを得ること、
iii)工程ii)で得られた溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを冷却し、ここで、少なくとも1つのコポリアミドを凝固させてポリマーフィルム(P)を得ること
を含む、本発明によるポリマーフィルム(P)の製造方法でもある。
【0150】
工程i)において、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドは、第一の押出機中で準備される。
【0151】
「第一の押出機」は、本発明の範囲内で、正確に1つの第一の押出機も、2つ以上の第一の押出機も意味する。通常では、ポリマーフィルム(P)中に含まれているべき、少なくとも1つのコポリアミドを含む第一の層の数と同じ数の第一の押出機が使用される。
【0152】
ポリマーフィルム(P)が例えば、少なくとも1つのコポリアミドを含む正確に1つの第一の層を含むべき場合、正確に1つの第一の押出機が使用される。ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つのコポリアミドを含む正確に2つの第一の層を含むべき場合、正確に2つの第一の押出機が使用される。ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つのコポリアミドを含む正確に5つの第一の層を含むべき場合、正確に5つの第一の押出機が使用される。
【0153】
例えば、1~11の第一の押出機、好ましくは1~5つの第一の押出機、特に好ましくは1~3つの第一の押出機が使用される。
【0154】
工程i)で準備される少なくとも1つのコポリアミドについて、ポリマーフィルム(P)中に含まれる少なくとも1つのコポリアミドについての上述の実施態様および好ましい態様が相応して当てはまる。
【0155】
本発明の場合に、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドが準備される。「溶融した形」は、本発明の範囲内で、少なくとも1つのコポリアミドが、少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))を越える温度で準備されることを意味する。「溶融した形」は、したがって、少なくとも1つのコポリアミドが、少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))を越える温度を有することを意味する。溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドが存在する場合、少なくとも1つのコポリアミドは流動性である。
【0156】
「流動性」は、少なくとも1つのコポリアミドを第一の押出機中に供給することができ、かつ少なくとも1つのコポリアミドを第一の押出機から押し出すことができることを意味する。
【0157】
例えば、少なくとも1つのコポリアミドは、工程i)において、それぞれ少なくとも1つのコポリアミドが準備される温度が、少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))を越えることが前提条件で、170~300℃の範囲内、好ましくは200~290℃の範囲内、ことに好ましくは230~280℃の範囲内の温度で準備される。
【0158】
少なくとも1つのコポリアミドは、当業者に公知の全ての方法により、溶融した形で第一の押出機中で準備されてよい。
【0159】
例えば、少なくとも1つのコポリアミドは、溶融した形でまたは固体の形で第一の押出機に供給されてよい。少なくとも1つのコポリアミドを第一の押出機に固体の形で供給する場合、これは、第一の押出機に、例えばペレットとしておよび/または粉末として供給されてよい。少なくとも1つのコポリアミドは、次いで、第一の押出機中で溶融され、こうして第一の押出機中で溶融した形で準備される。この実施形態が好ましい。
【0160】
さらに、成分(A)と(B)とを直接第一の押出機中で重合させ、こうして溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを第一の押出機中で準備することも可能である。このための方法は、当業者に公知である。
【0161】
工程ii)において、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを、第一の押出機からダイを通して押し出して、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを得る。
【0162】
「ダイ」は、本発明の範囲内で、正確に1つのダイも、2つ以上のダイも意味する。本発明の場合に、正確に1つのダイが好ましい。
【0163】
ダイとして、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドからなるフィルムを押し出すことを可能にする当業者に公知の全てのダイが適している。この種のダイは、例えばリングダイまたはスロットダイである。
【0164】
適切なリングダイおよびスロットダイは、当業者にそれ自体公知である。
【0165】
例えば、さらに下記の工程i1)を実施する場合、工程ii)において第一の押出機からの溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを、他の押出機からの溶融した形の少なくとも1つの他のポリマー(wP)と、ダイ中で、例えばリングダイ中でまたはスロットダイ中で合流させることが好ましい。
【0166】
ことに、工程ii)において、第一の押出機からの溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを、他の押出機からの溶融した形の少なくとも1つの他のポリマー(wP)と、ダイ中で、工程ii)において得られた、それぞれ溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムと少なくとも1つの他のポリマー(wP)のフィルムとが、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを含む少なくとも1つの第一の層を含み、かつ溶融した形の少なくとも1つの他のポリマー(wP)を含む少なくとも1つの他の層を含むように合流させる。
【0167】
例えば、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムの厚みは、0.1μm~1mmの範囲内、好ましくは5~500μmの範囲内、ことに好ましくは20~100μmの範囲内にある。
【0168】
溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムは、例えばフラットフィルムまたはチューブフィルムであってよい。チューブフィルムは、通常では、ダイとしてリングダイを使用する場合に得られ、フラットフィルムは、ダイとしてスロットダイを使用する場合に得られる。
【0169】
工程iii)において、工程ii)で得られた、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを冷却する。それにより、少なくとも1つのコポリアミドは凝固して、ポリマーフィルム(P)が得られる。
【0170】
溶融した形の少なくとも1つのコポリミドのフィルムの冷却のために、当業者に公知の全ての方法が適している。例えば、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムは、空冷もしくは水冷により、または冷たい表面との接触により冷却されてよい。
【0171】
溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムは、工程iii)において、例えば、少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))より低い温度に冷却されて、ポリマーフィルム(P)が得られる。好ましくは、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムは、工程iii)において、少なくとも1つのコポリアミドのガラス転移温度(TG(C))より低い温度に冷却される。
【0172】
例えば、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムは、0~100℃の範囲内、好ましくは10~80℃の範囲内、ことに好ましくは15~50℃の範囲内の温度に冷却され、ここで、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムが冷却される温度は、少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))より低く、好ましくはガラス転移温度(TG(C))より低い。
【0173】
したがって、本発明の主題は、工程iii)において、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを、少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))より低い温度に冷却する、ポリマーフィルム(P)の製造方法でもある。
【0174】
工程iii)で得られたポリマーフィルム(P)について、本発明によるポリマーフィルム(P)についての上述の実施態様および好ましい態様が相応して当てはまる。
【0175】
工程ii)とiii)とは、互いに連続してまたは同時に実施されてよい。
【0176】
好ましくは、付加的に、他の押出機中で溶融した形の少なくとも1つの他のポリマー(wP)を準備する工程i1)が実施される。
【0177】
ポリマーフィルム(P)の製造方法は、次の工程:
i)成分
(A)少なくとも1つのラクタム15~84質量%、
(B)成分
(B1)少なくとも1つのC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1つのC4~C12-ジアミン
を含むモノマー混合物(M)16~85質量%
の重合により製造され、ここで、成分(A)および(B)の質量パーセントはそれぞれ、成分(A)と(B)との質量パーセントの合計を基準とし、第一の押出機中で溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを準備すること、
i1)他の押出機中で溶融した形の少なくとも1つの他のポリマー(wP)を準備すること、
ii)工程i)で準備された溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを第一の押出機からダイを通して押し出し、かつ工程i1)で準備された溶融した形の少なくとも1つの他のポリマー(wP)を他の押出機からダイを介して押し出して、それぞれ溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムと、少なくとも1つの他のポリマー(wP)のフィルムとを得ること、
iii)工程ii)で得られたそれぞれ溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムと少なくとも1つの他のポリマー(wP)のフィルムとを冷却し、ここで、少なくとも1つのコポリアミドおよび/または少なくとも1つの他のポリマー(wP)を凝固させて、ポリマーフィルム(P)を得ること
を含む。
【0178】
工程i1)において、溶融した形の少なくとも1つの他のポリマー(wP)は、他の押出機中で準備される。
【0179】
「他の押出機」は、本発明の範囲内で、正確に1つの他の押出機も、2つ以上の他の押出機も意味する。2つ以上の他の押出機が好ましい。
【0180】
好ましくは、ポリマーフィルム(P)中に含まれているべき、少なくとも1つの他のポリマー(wP)を含む他の層の数と同じ数の他の押出機が使用される。例えば、1~13の他の押出機、好ましくは1~11の他の押出機、特に好ましくは1~7つの他の押出機が使用される。
【0181】
ポリマーフィルム(P)が例えば、少なくとも1つの他のポリマー(wP)を含む正確に1つの他の層を含むべき場合、正確に1つの他の押出機が使用される。ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つの他のポリマー(wP)を含む正確に2つの他の層を含むべき場合、正確に2つの他の押出機が使用される。ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つの他のポリマー(wP)を含む正確に5つの他の層を含むべき場合、正確に5つの他の押出機が使用される。
【0182】
他の押出機について、第一の押出機についての上述の実施態様および好ましい態様が相応して当てはまる。
【0183】
少なくとも1つの他のポリマー(wP)について、場合によりポリマーフィルム(P)中に含まれる少なくとも1つの他のポリマー(wP)についての上述の実施態様および好ましい態様が相応して当てはまる。
【0184】
本発明の場合に、工程i1)において溶融した形で少なくとも1つの他のポリマー(wP)が準備される。「溶融した形」は、少なくとも1つの他のポリマー(wP)が、少なくとも1つの他のポリマー(wP)の溶融温度(TM(wP))を越える温度で準備されることを意味する。「溶融した形」は、したがって、少なくとも1つの他のポリマー(wP)が、少なくとも1つの他のポリマー(wP)の溶融温度(TM(wP))を越える温度を有することを意味する。溶融した形の少なくとも1つの他のポリマー(wP)が存在する場合、少なくとも1つの他のポリマー(wP)は流動性である。
【0185】
「流動性」は、少なくとも1つの他のポリマー(wP)を他の押出機中に供給することができ、かつ少なくとも1つの他のポリマー(wP)を他の押出機から押し出すことができることを意味する。
【0186】
例えば、少なくとも1つの他のポリマー(wP)は、工程i1)において、それぞれ少なくとも1つの他のポリマー(wP)が準備される温度が、少なくとも1つの他のポリマー(wP)の溶融温度(TM(wP))を越えることが前提条件で、120~350℃の範囲内、好ましくは130~300℃の範囲内、ことに好ましくは140~250℃の範囲内の温度で準備される。
【0187】
少なくとも1つの他のポリマー(wP)は、当業者に公知の全ての方法により、溶融した形で他の押出機中で準備されてよい。
【0188】
例えば、少なくとも1つの他のポリマー(wP)は、溶融した形でまたは固体の形で他の押出機に供給されてよい。少なくとも1つの他のポリマー(wP)を他の押出機に固体の形で供給する場合、これは、他の押出機に、例えばペレットとしておよび/または粉末として供給されてよい。少なくとも1つの他のポリマー(wP)は、次いで、他の押出機中で溶融され、こうして他の押出機中で溶融した形で準備される。
【0189】
工程i1)は、通常では工程i)と同時に実施される。
【0190】
工程i)、ii)およびiii)について、工程i)、ii)およびiii)についての上述の実施態様および有利な態様が当てはまる。
【0191】
工程ii)で得られた、それぞれ溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムと少なくとも1つの他のポリマー(wP)のフィルムとは、少なくとも1つの第一の層中に少なくとも1つのコポリアミドと、少なくとも1つの他の層中に少なくとも1つの他のポリマー(wP)とを含む。通常では、工程ii)で得られたフィルムは、工程i)で使用された第一の押出機の数と同じ数の、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを含む第一の層と、工程i1)で使用された他の押出機の数と同じ数の、溶融した形の少なくとも1つの他のポリマー(wP)を含む他の層とを含む。
【0192】
工程i1)が実施される場合、工程iii)で得られるポリマーフィルム(P)は多層フィルムであることは自明である。
【0193】
好ましくは、ポリマーフィルム(P)は延伸されている。ポリマーフィルム(P)は、工程iii)に引き続き延伸されてよく、同様に、ポリマーフィルム(P)を、工程iii)の間に、つまり少なくとも1つのコポリアミドのフィルム、ならびに場合により少なくとも1つの他のポリマー(wP)のフィルムの冷却の間に延伸することも可能である。
【0194】
したがって、本発明の主題は、付加的に、次の工程:
iv)ポリマーフィルム(P)を延伸して、延伸されたポリマーフィルム(vP)を得ること
を実施する方法でもある。
【0195】
工程iii)とiv)とは、互いに連続してまたは同時に実施されてよい。
【0196】
ポリマーフィルム(P)の延伸の際に、少なくとも1つのコポリアミドのポリマー鎖を整列させ、かつ少なくとも1つのコポリアミドの結晶化度を高めることができる。
【0197】
さらに、場合によりポリマーフィルム(P)中に含まれる少なくとも1つの他のポリマー(wP)のポリマー鎖をこの延伸の際に整列させることも可能である。それにより、少なくとも1つの他のポリマー(wP)の結晶化度も高めることができる。
【0198】
延伸は、当業者に公知の全ての方法により行うことができる。
【0199】
例えば、ポリマーフィルム(P)は、ポリマーフィルム(P)を少なくとも1つのロール、好ましくはロールシステムを通過するように案内するか、またはポリマーフィルム(P)をその幅の方向に引き延ばすことにより延伸されてよい。ポリマーフィルム(P)がチューブとして得られる場合、空気をポリマーフィルム(P)のチューブ内に吹き込み、それによりポリマーフィルム(P)を延伸することにより、ポリマーフィルム(P)を延伸することも同様に可能である。もちろん、これらの方法の組合せも可能である。
【0200】
ポリマーフィルム(P)を少なくとも1つのロール、好ましくはロールシステムを通過するように案内する場合、このポリマーフィルム(P)は、押出方向に、つまり縦方向に延伸される。それに対して、ポリマーフィルム(P)がその幅の方向に引き延ばされる場合、ポリマーフィルムは押出方向に対して垂直方向に延伸される。
【0201】
ポリマーフィルム(P)を延伸のために少なくとも1つのロール、好ましくはロールシステムを通過するように案内する場合、少なくとも1つのコポリアミドのポリマー鎖、ならびに場合により少なくとも1つの他のポリマー(wP)のポリマー鎖は、延伸される方向に対して平行に整列する。得られた延伸されたポリマーフィルム(vP)は、一軸配向されている。同様に、得られた延伸されたポリマーフィルム(vP)は、ポリマーフィルム(P)が延伸のためにその幅方向に引き延ばされる場合に、一軸配向されている。また、少なくとも1つのコポリアミドのポリマー鎖、ならびに場合により少なくとも1つの他のポリマー(wP)のポリマー鎖は、延伸される方向に対して平行に整列される。
【0202】
「一軸配向される」は、ポリマー鎖がほぼ一つの方向に整列されていることを意味する。
【0203】
ポリマーフィルム(P)を延伸のためにロールシステムを通過するように案内し、かつ付加的にその幅方向に引き延ばす場合、少なくとも1つのコポリアミドのポリマー鎖、ならびに場合により少なくとも1つの他のポリマー(wP)のポリマー鎖は、延伸される両方の方向に対して平行に整列される。得られた延伸されたポリマーフィルム(vP)は、二軸配向されている。
【0204】
「二軸配向される」は、ポリマー鎖がほぼ2つの異なる、好ましくは互いに垂直の方向に整列されていることを意味する。
【0205】
ポリマーフィルム(P)がチューブとして得られ、かつ空気をポリマーフィルム(P)のチューブ内に吹き込むことによりポリマーフィルム(P)が延伸される場合、得られた延伸されたポリマーフィルムは一軸配向されている。
【0206】
上述の方法をポリマーフィルム(P)の延伸のために組み合わせる場合、ポリマーフィルム(P)は例えばチューブとして得られ、かつ空気をポリマーフィルム(P)のチューブ内に吹き込み、かつ同時にロールを通過するように案内しかつこの際に同様に延伸されることによりポリマーフィルム(P)が延伸されるので、得られた延伸されたポリマーフィルム(vP)は二軸配向されている。
【0207】
ポリマーフィルム(P)は、通常では、少なくとも1つのコポリアミドのガラス転移温度(TG(C))より高く、かつ少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))より低い温度で延伸される。ポリマーフィルム(P)が多層フィルムである場合、さらに、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つの他のポリマー(wP)の溶融温度(TM(wP))より低い温度で、ことに好ましくは最も低い温度で溶融する少なくとも1つの他のポリマー(wP)の溶融温度より低い温度で延伸されることが好ましい。
【0208】
本発明によるポリマーフィルム(P)は、例えばキャスティング法、インフレート法、二軸配向ポリアミドフィルム法(BOPA法)またはマルチインフレート法で製造することができる。
【0209】
したがって、本発明の主題は、キャスティング法、インフレート法、二軸配向ポリアミドフィルム法またはマルチインフレート法で製造されたポリマーフィルム(P)でもある。
【0210】
キャスティング法、インフレート法、二軸配向ポリアミドフィルム法およびマルチインフレート法は、当業者にそれ自体公知である。通常では、ポリマーフィルム(P)は、これらの方法で延伸されて、延伸されたポリマーフィルム(P)が得られる。
【0211】
ポリマーフィルム(P)の製造のためのキャスティング法は、好ましくは次の工程i-c)~iv-c)を含む:
i-c)成分
(A)少なくとも1つのラクタム15~84質量%、
(B)成分
(B1)少なくとも1つのC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1つのC4~C12-ジアミン
を含むモノマー混合物(M)16~85質量%
の重合により製造され、ここで、成分(A)および(B)の質量パーセントはそれぞれ、成分(A)と(B)との質量パーセントの合計を基準とし、第一の押出機中で溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを準備すること、
ii-c)工程i-c)で準備された、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを第一の押出機からダイを通して押し出して溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを得ること、
iii-c)工程ii-c)で得られた溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを冷却し、ここで、少なくとも1つのコポリアミドを凝固させてポリマーフィルム(P)を得ること、
iv-c)工程iii-c)で得られたポリマーフィルム(P)を、少なくとも1つのロール、好ましくはロールシステムを通過するように案内することにより、ポリマーフィルム(P)を延伸して、延伸されたポリマーフィルム(vP)を得ること。
【0212】
キャスティング法の工程i-c)~iii-c)について、ポリマーフィルム(P)の製造方法の工程i)~iii)について上述された実施態様および有利な態様が相応して当てはまる。
【0213】
キャスティング法の場合に工程ii-c)で使用されたダイは、通常ではスロットダイである。したがって、工程ii-c)で得られた、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムは、好ましくはフラットフィルムであるので、工程iii-c)で得られたポリマーフィルム(P)ならびに工程iv-c)で得られた延伸されたポリマーフィルム(vP)は、好ましくはフラットフィルムである。
【0214】
キャスティング法の場合、工程iii-c)とiv-c)とは、互いに連続してまたは同時に実施されてよい。好ましくは、キャスティング法の場合、工程iii-c)とiv-c)とは同時に実施され、ことに好ましくは工程iii-c)とiv-c)とは同時に、かつ工程ii-c)の直後に実施される。
【0215】
さらに、キャスティング法の場合、工程iv-c)で使用された少なくとも1つのロール、好ましくはロールシステムは、工程iv-c)の間に、冷却されることが好ましい。
【0216】
ポリマーフィルム(P)を製造するためのインフレート法は、好ましくは次の工程i-b)~iv-b)を含む:
i-b)成分
(A)少なくとも1つのラクタム15~84質量%、
(B)成分
(B1)少なくとも1つのC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1つのC4~C12-ジアミン
を含むモノマー混合物(M)16~85質量%
の重合により製造され、ここで、成分(A)および(B)の質量パーセントはそれぞれ、成分(A)と(B)との質量パーセントの合計を基準とし、第一の押出機中で溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを準備すること、
ii-b)工程i-b)で準備された、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを第一の押出機から、リングダイであるダイを通して押し出して溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのチューブフィルムを得ること、
iii-b)工程ii-b)で得られた溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのチューブフィルムを冷却し、ここで、少なくとも1つのコポリアミドを凝固させてポリマーフィルム(P)を得ること、
iv-b)工程iii-b)で得られたポリマーフィルム(P)を、ポリマーフィルム(P)のチューブ内に空気を吹き込むことにより延伸して、延伸されたポリマーフィルム(vP)を得ること。
【0217】
インフレート法の工程i-b)~iii-b)について、ポリマーフィルム(P)の製造方法の工程i)~iii)について上述された実施態様および有利な態様が相応して当てはまる。
【0218】
インフレート法の工程ii-b)におけるダイとして、好ましくはスタックダイ、螺旋分配器型ダイまたはこれらの混合型が使用される。これらのダイは当業者に公知であり、例えばKirk Cantor, 「Blown Film Extrusion」, 2nd Edition, Carl Hanser Verlag, Munich 2011に記載されている。
【0219】
工程iii-b)とiv-b)とは、インフレート法の場合に同時にまたは互いに連続して実施されてよい。好ましくは、インフレート法の場合に工程iii-b)とiv-b)とは同時に実施される。
【0220】
工程iii-b)とiv-b)とが、インフレート法で同時に実施される場合、工程iii-b)において、工程ii-b)で得られた、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのチューブフィルムを、チューブフィルム内に空気を吹き込むことにより冷却しかつ同時に延伸して、延伸されたポリマーフィルム(vP)を得ることは自明である。
【0221】
ポリマーフィルム(P)の製造のための二軸配向ポリアミドフィルム法は、次の工程i-o)~iv-o)を含む:
i-o)成分
(A)少なくとも1つのラクタム15~84質量%、
(B)成分
(B1)少なくとも1つのC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1つのC4~C12-ジアミン
を含むモノマー混合物(M)16~85質量%
の重合により製造され、ここで、成分(A)および(B)の質量パーセントはそれぞれ、成分(A)と(B)との質量パーセントの合計を基準とし、第一の押出機中で溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを準備すること、
ii-o)工程i-o)で準備された、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを第一の押出機からダイを通して押し出して溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを得ること、
iii-o)工程ii-o)で得られた溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムを冷却し、ここで、少なくとも1つのコポリアミドを凝固させてポリマーフィルム(P)を得ること、
iv-o)工程iii-o)で得られたポリマーフィルム(P)を、少なくとも1つのロール、好ましくはロールシステムを通過するように案内し、かつその幅の方向に引き延ばすことにより、ポリマーフィルム(P)を延伸して、延伸されたポリマーフィルム(vP)を得ること。
【0222】
二軸配向ポリアミドフィルム法の工程i-o)~iii-o)について、ポリマーフィルム(P)の製造方法の工程i)~iii)について上述された実施態様および有利な態様が相応して当てはまる。
【0223】
二軸配向ポリアミドフィルム法の場合に工程ii-o)で使用されたダイは、通常ではスロットダイである。したがって、工程ii-o)で得られた、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムは、好ましくはフラットフィルムであるので、工程iii-o)で得られたポリマーフィルム(P)ならびに工程iv-o)で得られた延伸されたポリマーフィルム(vP)は、好ましくはフラットフィルムである。
【0224】
二軸配向ポリアミドフィルム法の場合に、工程iii-o)とiv-o)とは、互いに連続してまたは同時に実施されてよく、好ましくは、工程iii-o)とiv-o)とは互いに連続して実施される。ことに好ましくは、二軸配向ポリアミドフィルム法の場合に、工程iii-o)とiv-o)とは互いに連続して実施され、かつ工程iii-o)で得られたポリマーフィルム(P)は、工程iv-o)の前に加熱される。この場合、ポリマーフィルム(P)は、工程iv-o)の前に、ポリマーフィルム(P)中に含まれる少なくとも1つのコポリアミドのガラス転移温度(TG(C))より高く、かつポリマーフィルム(P)中に含まれる少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))より低い温度に加熱されることが好ましい。次いで、ポリマーフィルム(P)は、好ましくは、工程iv-o)中で、工程iv-o)の前に加熱された温度で延伸される。
【0225】
ポリマーフィルム(P)を製造するためのマルチインフレート法は、好ましくは次の工程i-m)~iv-m)を含む:
i-m)成分
(A)少なくとも1つのラクタム15~84質量%、
(B)成分
(B1)少なくとも1つのC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1つのC4~C12-ジアミン
を含むモノマー混合物(M)16~85質量%
の重合により製造され、ここで、成分(A)および(B)の質量パーセントはそれぞれ、成分(A)と(B)との質量パーセントの合計を基準とし、第一の押出機中で溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを準備すること、
ii-m)工程i-m)で準備された、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドを第一の押出機から、リングダイであるダイを通して押し出して溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのチューブフィルムを得ること、
iii-m)工程ii-m)で得られた溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのチューブフィルムを冷却し、ここで、少なくとも1つのコポリアミドを凝固させてポリマーフィルム(P)を得ること、
iv-m)工程iii-m)で得られたポリマーフィルム(P)を、ポリマーフィルム(P)のチューブ内に空気を吹き込みかつ同時にポリマーフィルム(P)を少なくとも1つのロール、好ましくはロールシステムを通過するように案内することにより、ポリマーフィルムを延伸して、延伸されたポリマーフィルム(vP)を得ること。
【0226】
マルチインフレート法の工程i-m)~iii-m)について、ポリマーフィルム(P)の製造方法の工程i)~iii)について上述された実施態様および有利な態様が相応して当てはまる。
【0227】
好ましくは、溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのチューブフィルムは、工程iii-m)において、水浴中で冷却される。
【0228】
マルチインフレート法の場合に、工程iii-m)とiv-m)とは同時にまたは互いに連続して実施されてよく、好ましくは工程iii-m)とiv-m)とは互いに連続して実施される。ことに好ましくは、工程iii-m)とiv-m)とは、互いに連続して実施され、工程iii-m)で得られたポリマーフィルム(P)は、工程iv-m)の前に加熱される。この場合、ポリマーフィルム(P)は、工程iv-m)の前に、ポリマーフィルム(P)中に含まれる少なくとも1つのコポリアミドのガラス転移温度(TG(C))より高い温度で、かつポリマーフィルム(P)中に含まれる少なくとも1つのコポリアミドの溶融温度(TM(C))より低い温度に加熱されることが好ましい。次いで、ポリマーフィルム(P)は、好ましくは、工程iv-m)中で、工程iv-m)の前に加熱された温度で延伸される。
【0229】
キャスティング法において、インフレート法において、二軸配向ポリアミドフィルム法においておよびマルチインフレート法において、場合により同様に、他の押出機中で溶融した形の少なくとも1つの他のポリマー(wP)を準備する工程i1)を実施することができ、かつ次いで、ポリマーフィルム(P)の製造方法の工程ii)により、工程ii-c)において、工程ii-b)において、工程ii-o)において、および工程ii-m)において、それぞれ溶融した形の少なくとも1つのコポリアミドのフィルムと少なくとも1つの他のポリマー(wP)のフィルムとを得て、これらを、ポリマーフィルム(P)の製造方法の工程iii)により、工程iii-c)において、工程iii-b)において、工程iii-o)において、および工程iii-m)において冷却することは自明である。
【0230】
場合により実施された工程i1)について、ポリマーフィルム(P)の製造方法の場合により実施された工程i1)について上述された実施態様および有利な態様が相応して当てはまる。
【0231】
好ましくは、二軸配向ポリアミドフィルム法の場合、工程i1)は実施されない。したがって、好ましくは、二軸配向ポリアミドフィルム法の場合、他の押出機中で他のポリマー(wP)は準備されない。
【0232】
得られた延伸されたポリマーフィルム(vP)は、この製造に引き続き例えば巻き取られてよい。このための方法は、当業者に公知である。延伸されたポリマーフィルム(vP)が、例えばインフレート法およびマルチインフレート法の場合のようにチューブとして得られる場合、巻き取る前にさらにこのチューブに切れ目を入れてもよい。切れ目を入れたフィルムは、1つ以上のロールに巻き取ってよい。
【0233】
ポリマーフィルムの使用
本発明によるポリマーフィルム(P)は、好ましくは包装用フィルムとして使用される。
【0234】
したがって、本発明の主題は、本発明によるポリマーフィルム(P)の包装用フィルムとしての使用でもある。
【0235】
例えば、本発明によるポリマーフィルム(P)は、管状の袋包装として、サイドシールされた袋包装として、熱成形された包装として、シール可能な袋のためのおよび/またはクッション包装として使用されてよい。
【0236】
次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。
【0237】
実施例
ポリマーフィルム(P)の特性を次のように決定した。
【0238】
32~C40-ダイマー酸から誘導される単位を含むコポリアミドの粘度数は、質量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼンの0.5質量%の溶液中で25℃で決定された。
【0239】
32~C40-ダイマー酸から誘導される単位を含まないコポリアミドおよびポリアミドの粘度数は、EN ISO 307:2007 + Amd 1: 2013に従って、96質量%の硫酸中の0.5質量%の溶液中で25℃で決定された。
【0240】
ガラス転移温度および溶融温度は、ISO 11357-1: 2009, ISO 11357-2: 2013およびISO 11357-3: 2011に従って決定された。このために、2回の加熱過程が実施され、かつガラス転移温度および溶融温度は2回目の加熱過程に基づいて決定された。
【0241】
ポリアミドの密度は、EN ISO 1183-3: 1999に従ってガス-ピクノメーター法によって決定された。
【0242】
コポリアミド中のポリアミド6.36の割合の決定のために、コポリアミドを希塩酸(20%)中で加水分解した。この場合、ヘキサメチレンジアミンから誘導された単位をプロトン化し、ここで塩酸の塩化物イオンが対イオンを形成する。イオン交換体を用いて、この塩化物イオンを水酸化物イオンに交換して、ヘキサメチレンジアミンを遊離させた。次いで、0.1モルの塩酸を用いた滴定により、ヘキサメチレンジアミン濃度を決定し、この濃度から、コポリアミド中のポリアミド6.36の割合を決定することができる。
【0243】
引裂強さは、エルメンドルフ、DIN ISO 6383-2: 2004に従って、押出方向(MD)および押出方向に対して垂直方向(TD)で決定される。シートを、DIN EN ISO 291: 2008に従って非熱帯地域用の標準環境で調節した。
【0244】
弾性率は、ISO 527-3: 1995に従って決定される。
【0245】
ポリマーフィルム(P)の衝撃強さは、DIN ISO 7765-2: 1994に従って、0%の相対空気湿度で5つの試験体を用いて決定され、この場合に、ここではパンクチャー仕事量が示される。
【0246】
次のポリマーが使用された。
【0247】
ポリアミド
P-1 250ml/gの粘度数、57℃のガラス転移温度、220℃の溶融温度、および1.153g/mlの密度を有する、商品名Ultramid B40Lで販売されているBASF SE(登録商標)社のポリアミド6
【0248】
P-2 195ml/gの粘度数、56℃のガラス転移温度、220℃の溶融温度、および1.145g/mlの密度を有する、商品名Ultramid B33Lで販売されているBASF SE(登録商標)社のポリアミド6
【0249】
P-3 250ml/gの粘度数、53℃のガラス転移温度、190℃の溶融温度、および1.143g/mlの密度を有する、商品名Ultramid C40Lで販売されているBASF SE(登録商標)社のポリアミド6とポリアミド6.6とのコポリマー(PA6/6.6)
【0250】
P-4 195ml/gの粘度数、55℃のガラス転移温度、196℃の溶融温度、および1.144g/mlの密度を有する、商品名Ultramid C33Lで販売されているBASF SE(登録商標)社のポリアミド6とポリアミド6.6とのコポリマー(PA6/6.6)
【0251】
ダイマー酸を有するコポリアミド
C-1 次の方法により製造されたポリアミド6とポリアミド6.36とのコポリアミド:
カプロラクタム(成分(A))900kg、Croda社のPripol 1009(C36-ダイマー酸、水素化されている、成分(B1))83.5kg、水中の85質量%のヘキサメチレンジアミン溶液(成分(B2))19.9kg、Polystell do Brazil社のポリメチルシロキサンからなる消泡試薬Polyapp 2557-CTW 100g、および水100kgを、1930リットルの槽中で混合し、窒素で覆った。槽の外側温度を290℃に加熱し、槽中に含まれる混合物をこの温度で11時間攪拌した。最初の7hでは加圧で攪拌し、次の4時間では真空で攪拌し、その間に生成された水を留去した。こうして得られたコポリアミドを、引き続き槽から取り出し、押し出し、ペレット化した。コポリアミドの得られたペレットを、95℃の熱水で4×6時間抽出した後、コポリアミドを90~140℃で窒素流中で10時間乾燥した。粘度数は246ml/gであり、ガラス転移温度は49℃であり、溶融温度は211℃であった。コポリアミドの全質量を基準として、コポリアミド中のポリアミド6.36の割合は、10.5質量%であり、密度は1.116g/mlであった。
【0252】
C-2 次の方法により製造されたポリアミド6とポリアミド6.36とのコポリアミド:
カプロラクタム(成分(A))1039kg、Croda社のPripol 1009(C36-ダイマー酸、水素化されている、成分(B1))216kg、水中の85質量%のヘキサメチレンジアミン溶液(成分(B2))51.7kg、Polystell do Brazil社の消泡試薬Polyapp 2557-CTW 100g、および水142kgを、1930リットルの槽中で混合し、窒素で覆った。槽の外側温度を290℃に加熱し、混合物をこの温度で11時間攪拌した。最初の7hでは加圧で攪拌し、次の4時間では真空で攪拌し、同時に生成された水を留去した。こうして得られたコポリアミドを、槽から取り出し、押し出し、ペレット化した。コポリアミドの得られたペレットを、95℃の熱水で4×6時間抽出し、引き続き90~140℃で窒素流中で10時間乾燥した。得られたコポリアミドは、244ml/gの粘度数、44℃のガラス転移温度、および203℃の溶融温度を有していた。コポリアミドの全質量を基準として、コポリアミド中のポリアミド6.36の割合は、20.8質量%であり、密度は1.095g/mlであった。
【0253】
C-3 次の方法により製造されたポリアミド6とポリアミド6.36とのコポリアミド:
カプロラクタム(成分(A))932kg、Croda社のPripol 1009(C36-ダイマー酸、水素化されている、成分(B1))323.2kg、水中の85質量%のヘキサメチレンジアミン溶液(成分(B2))77.84kg、および水153kgを、1930リットルの槽中で混合し、窒素で覆った。槽の外側温度を290℃に加熱し、混合物をこの温度で11時間攪拌した。最初の7hでは加圧で攪拌し、次の4時間では真空で攪拌し、同時に生成された水を留去した。こうして得られたコポリアミドを、槽から取り出し、押し出し、ペレット化した。コポリアミドの得られたペレットを、95℃の熱水で4×6時間抽出し、引き続き90~140℃で窒素流中で10時間乾燥した。得られたコポリアミドは、259ml/gの粘度数、38℃のガラス転移温度、および188℃の溶融温度を有していた。コポリアミドの全質量を基準として、コポリアミド中のポリアミド6.36の割合は、30.3質量%であり、密度は1.076g/mlであった。
【0254】
C-4 次の方法により製造されたポリアミド6とポリアミド6.36とのコポリアミド:
カプロラクタム(成分(A))932kg、BASF SE社のEmpol 1061(C36-ダイマー酸、水素化されている、成分(B1))322kg、水中の85質量%のヘキサメチレンジアミン溶液(成分(B2))77.84kg、および水153kgを、1930リットルの槽中で混合し、窒素で覆った。槽の外側温度を290℃に加熱し、混合物をこの温度で11時間攪拌した。最初の7hでは加圧で攪拌し、次の4時間では真空で攪拌し、同時に生成された水を留去した。こうして得られたコポリアミドを、槽から取り出し、押し出し、ペレット化した。コポリアミドの得られたペレットを、95℃の熱水で4×6時間抽出し、引き続き90~140℃で窒素流中で10時間乾燥した。得られたコポリアミドは、212ml/gの粘度数、38℃のガラス転移温度、および187℃の溶融温度を有していた。コポリアミドの全質量を基準として、コポリアミド中のポリアミド6.36の割合は、28.9質量%であり、密度は1.076g/mlであった。
【0255】
他のポリマー(wP)
wP-1 0.75g/10minのMFR(Melt Flow Rate、メルトフローレート)(190℃/2.16kg)を有する、商品名Lupolen 2420 Fで販売されているLyondellBasell(登録商標)社の低密度ポリエチレン(LDPE)
【0256】
wP-2 4g/10minのMFR(Melt Flow Rate、メルトフローレート)(190℃/2.16kg)を有する、商品名Lupolen 3020 Kで販売されているLyondellBasell(登録商標)社の低密度ポリエチレン(LDPE)
【0257】
wP-3 1.1g/10minのMFR(Melt Flow Rate、メルトフローレート)(190℃/2.16kg)を有する、商品名Bynel 4104で販売されているDuPont(登録商標)社の無水物変性された線状低密度ポリエチレン(LLDPE)
【0258】
wP-4 4g/10minのMFR(Melt Flow Rate、メルトフローレート)(190℃/2.16kg)を有する、商品名Bynel 4105で販売されているDuPont(登録商標)社の無水物変性された線状低密度ポリエチレン(LLDPE)
【0259】
wP-5 1.8g/10minのMFR(Melt Flow Rate、メルトフローレート)(210℃/2.16kg)および32Mol%のエチレン割合を有する、商品名EVAL F171Bで販売されているKuraray(登録商標)社のポリ(エチルビニルアルコール)(EVOH)
【0260】
wP-6 4g/10minのMFR(Melt Flow Rate、メルトフローレート)(210℃/2.16kg)および27Mol%のエチレン割合を有する、商品名EVAL L171Bで販売されているKuraray(登録商標)社のポリ(エチルビニルアルコール)(EVOH)
【0261】
キャスティング法による単層フィルムの製造
単層フィルムの製造のために、800mmのダイヘッド幅を有するCollin(登録商標)社の7層キャストシート装置を使用した。つまり7つの押出機を使用した。押出機の6つは、30mmの直径(押出機B、C、D、E、F、G)を有し、1つの押出機は、45mmの直径(押出機A)を有していた。7つの押出機の全てに同じ成分を装填した。押出機Aの溶融液は、キャスティングロールと接触し、押出機Gの溶融液は、キャスティングロールから最も離れていた。層の順序は、A、B、C、D、E、F、Gであった。製造されたポリマーフィルムは、100μmの厚みを有し、かつこれらの層は、15/14/14/14/14/14/15μmの層の厚みを有していた。使用された成分、ならびに引裂強さ、弾性率、パンクチャー抵抗の測定結果は表1に示されている。表1に示された成分(B)の質量%とは、コポリアミドの全質量を基準とした、コポリアミド中の成分(B)から誘導された単位(ポリアミド6.36単位)の質量%であると解釈される。
【0262】
表1:
【表1】
【0263】
キャスティング法による多層フィルムの製造
3つの異なるポリマーを有する多層フィルムを、上述のCollin(登録商標)社の7層キャストシート装置で製造した。得られた多層フィルムは、100μmの厚みを有し、かつこれらの層は、15/14/14/14/14/14/15μmの層の厚みを有していた。キャストシート装置の押出機に、表2に示された多層フィルムの構造に相応して成分を供給した。表2に示された成分(B)の質量%とは、コポリアミドの全質量を基準とした、コポリアミド中の成分(B)から誘導された単位(ポリアミド6.36単位)の質量%であると解釈される。表2にはさらに、製造された多層フィルムの特性が示されている。
【0264】
表2:
【表2】
【0265】
キャスティング法による多層フィルムの製造
5つの異なるポリマーを有する多層フィルムを、上述のCollin(登録商標)社の7層キャストシート装置で製造した。得られた多層フィルムは、100μmの厚みを有し、かつこれらの層は、15/14/14/14/14/14/15μmの層の厚みを有していた。キャストシート装置の押出機には、表3に示された多層フィルムの構造に相応して成分を供給した。表3に示された成分(B)の質量%とは、コポリアミドの全質量を基準とした、コポリアミド中の成分(B)から誘導された単位(ポリアミド6.36単位)の質量%であると解釈される。表3にはさらに、製造された多層フィルムの特性が示されている。
【0266】
表3:
【表3】
【0267】
インフレート法での単層フィルムの製造
単層フィルムは、180mmのダイヘッド直径を有するCollin(登録商標)社の7層インフレートシート装置で製造した。押出機の7つのうちの6つは、30mmの直径(押出機B、C、D、E、F、G)を有し、1つは、45mmの直径(押出機A)を有していた。押出機の溶融液は、チューブの内側にあり、押出機Gの溶融液は、外側に存在した。層の順序は、内側から外側に向かって、A、B、C、D、E、F、Gであった。製造された単層フィルムは、100μmの厚みを有し、かつこれらの層は、単層フィルム中で15/14/14/14/14/14/15μmの層の厚みを有していた。全ての押出機に同じ成分を装填した。巻き取る前に、フィルムに切れ目を入れた。
【0268】
使用された成分および単一材料フィルムの特性は、表4に示されている。表4に示された成分(B)の質量%とは、コポリアミドの全質量を基準とした、コポリアミド中の成分(B)から誘導された単位(ポリアミド6.36単位)の質量%であると解釈される。
【0269】
表4:
【表4】
【0270】
インフレート法での多層フィルムの製造
3つの異なる材料を有する多層フィルムは、180mmのダイヘッド直径を有するCollin(登録商標)社の7層インフレートシート装置で製造した。押出機の7つのうちの6つは、30mmの直径を有し、1つは、45mmの直径を有していた。得られた多層フィルムは、100μmの厚みを有し、かつこれらの層は、15/14/14/14/14/15μmの層の厚みを有していた。インフレートシート装置の押出機には、表5に示された多層フィルムの構造に相応して成分を供給した。表5にはさらに、製造された多層フィルムの特性が示されている。表5に示された成分(B)の質量%とは、コポリアミドの全質量を基準とした、コポリアミド中の成分(B)から誘導された単位(ポリアミド6.36単位)の質量%であると解釈される。
【0271】
表5:
【表5】
【0272】
インフレート法での多層フィルムの製造
5つの異なるポリマーを有する多層フィルムは、180mmのダイヘッド直径を有するCollin(登録商標)社の7層インフレートシート装置で製造した。押出機の7つのうちの6つは、30mmの直径を有し、1つは、45mmの直径を有していた。得られた多層フィルムは、100μmの厚みを有し、かつこれらの層は、15/14/14/14/14/15μmの層の厚みを有していた。インフレートシート装置の押出機には、表6に示された多層フィルムの構造に相応して成分を供給した。表6にはさらに、製造された多層フィルムの特性が示されている。表6に示された成分(B)の質量%とは、コポリアミドの全質量を基準とした、コポリアミド中の成分(B)から誘導された単位(ポリアミド6.36単位)の質量%であると解釈される。
【0273】
表6:
【表6】
【0274】
インフレート法での単層フィルムの製造
単層フィルムは、180mmのダイヘッド直径を有するCollin(登録商標)社の7層インフレートシート装置で製造した。押出機の7つのうちの6つは、30mmの直径を有し、1つは、45mmの直径を有していた。製造された単一材料フィルムは、100μmの厚みを有し、かつこれらの層は、15/14/14/14/14/14/15μmの層の厚みを有していた。全ての押出機に同じ成分を装填した。
【0275】
使用された成分および単層フィルムの特性は、表7に示されている。表7に示された成分(B)の質量%とは、コポリアミドの全質量を基準とした、コポリアミド中の成分(B)から誘導された単位(ポリアミド6.36単位)の質量%であると解釈される。
【0276】
表7:
【表7】
【0277】
インフレート法での多層フィルムの製造
多層フィルムは、180mmのダイヘッド直径を有するCollin(登録商標)社の7層インフレートシート装置で製造した。押出機の7つのうちの6つは、30mmの直径を有し、1つは、45mmの直径を有していた。製造された単一材料フィルムは、100μmの厚みを有し、かつこれらの層は、15/14/14/14/14/14/15μmの層の厚みを有していた。全ての押出機に同じ成分を装填した。
【0278】
使用された成分および多層材料フィルムの特性は、表8に示されている。表8に示された成分(B)の質量%とは、コポリアミドの全質量を基準とした、コポリアミド中の成分(B)から誘導された単位(ポリアミド6.36単位)の質量%であると解釈される。
【0279】
表8:
【表8】
【0280】
上述の実施例は、本発明によるコポリアミドにより、ポリマーフィルム(P)の引裂強さが、押出方向に沿っても、押出方向に対して垂直方向でも明らかに高めることができることを示す。本発明によるポリマーフィルム(P)の弾性率およびパンクチャー抵抗も、実際の用途にとって許容可能な範囲内にあるので、本発明によるポリマーフィルム(P)は、全体として、ことに包装用フィルムとして好ましい特性を有する。