(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】金属及びポリアミド組成物を含有する積層体
(51)【国際特許分類】
B32B 15/088 20060101AFI20220920BHJP
B29C 65/46 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
B32B15/088
B29C65/46
(21)【出願番号】P 2019552257
(86)(22)【出願日】2018-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2018056073
(87)【国際公開番号】W WO2018172123
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-11
(32)【優先日】2017-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】デボア,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ヴュンシュ,ヨーゼフ エル
【審査官】千葉 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-068236(JP,A)
【文献】特開2016-190411(JP,A)
【文献】特開平06-182922(JP,A)
【文献】特開平06-218875(JP,A)
【文献】特開昭52-121776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
C08G69/00-69/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第一の金属の少なくとも1つの第一の層と、ポリアミド組成物(PC)の少なくとも1つのさらなる層とを含み、前記ポリアミド組成物(PC)は、以下の成分、
(A)カプロラクタム、
(B)少なくとも1つのC
4~C
40-二酸、及び
(C)少なくとも1つのC
4~C
20-ジアミン、
の重合によって製造されるコポリアミドを含み、
前記コポリアミドが、アミド基3.5~7個/1000g/モルの範囲のアミド官能基濃度を
有し、及び
前記コポリアミドが180℃~215℃の範囲の溶解温度(T
M(C)
)を有することを特徴とする、積層体。
【請求項2】
少なくとも1つの第二の金属の少なくとも1つの第二の層をさらに含み、前記少なくとも1つの第一の層が、前記少なくとも1つの第二の層に、前記少なくとも1つのさらなる層を介して接合される、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
成分(A)、(B)及び(C)の質量%の合計に基づいて、20%~80質量%の成分(A)の重合によって前記コポリアミドが製造される、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記ポリアミド組成物(PC)が20~60J/gの範囲の溶解エンタルピーΔH2
(PC)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項5】
前記コポリアミドがアミド基4~6.5個/1000g/モルの範囲のアミド官能基濃度を有する、請求項1から
4のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項6】
前記ポリアミド組成物(PC)が、ポリエチレン、ならびにエチレン、イソブチレン、プロピレン、オクテン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリル酸及び無水マレイン酸からなる群から選択される少なくとも2つのモノマーのコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのさらなるポリマーをさらに含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項7】
前記ポリアミド組成物(PC)が無機充填剤、有機充填剤及び天然充填剤からなる群から選択される少なくとも1つの充填剤をさらに含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第一の金属が、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル及びマグネシウム、及びそれらの合金からなる群から選択される、請求項1から
7のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第一の層が、0.1mm~0.6mmの範囲の厚さを有する、及び/又は前記少なくとも1つのさらなる層が、0.02mm~1.5mmの範囲の厚さを有する、請求項1から
8のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項10】
前記ポリアミド組成物(PC)が、安定剤、染料、帯電防止剤、充填剤油、表面改良剤、乾燥剤、離型剤、離剤、酸化防止剤、光安定剤、PVC安定剤、滑剤、難燃剤、発泡剤、衝撃改質剤、接着促進剤、カップリング剤、核剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項1から
9のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれか一項に記載の積層体を製造する方法であって、
以下の工程、
a)以下の成分、
(A)カプロラクタム、
(B)少なくとも1つのC
4~C
40-二酸、及び
(C)少なくとも1つのC
4~C
20-ジアミン、
の重合によって製造されるコポリアミドを含むポリアミド組成物(PC)のフィルムを提供する工程であって、
前記コポリアミドがアミド基3.5~7個/1000g/モルの範囲のアミド官能基濃度を有
し、及び前記コポリアミドが180℃~215℃の範囲の溶解温度(T
M(C)
)を有する、提供する工程、
b)少なくとも1つの第一の金属の第一のシートを加熱する工程、
c)工程b)の前記加熱された第一のシートを、工程a)で提供された前記フィルムと共にプレスして、積層体を得る工程、
を含む、方法。
【請求項12】
工程b)が、前記第一のシートを150℃~350℃の範囲の温度に加熱することを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
工程b)における前記第一のシートの前記加熱が誘導手段によって行われる、請求項
11又は
12に記載の方法。
【請求項14】
工程a)が押出法によって前記フィルムを提供することを含む、請求項
11から
13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの第一の金属の少なくとも1つの第一の層と、ポリアミド組成物(PC)の少なくとも1つのさらなる層とを含む、積層体に関する。 本発明はさらに、本発明による積層体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで使用されてきた材料よりも軽い、特に航空機の建造、自動車の製造及び造船のための、新規材料の提供は、近年しばしば追求される目的である。同時に、これらの新規材料は、既知の材料と同じ機械的特性、特に強度、剛性、安定性を有するべきであり、又はこれらを改善すべきでさえある。新規材料はさらに、既知の方法、例えば深絞り、圧延、曲げ、スタンピング又はシーミングによって成形可能でなければならない。
【0003】
WO2005/014278は、2つの外側金属層の間に接着性ポリマー層を含む積層体を記載している。このポリマー層は、ポリアミド6、ポリアミド6.6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド4.6、ポリアミド6.10又はポリアミド6.12、及びエチレンと不飽和カルボン酸及び/又はカルボン酸誘導体とのコポリマー、及び反応性コポリマーを含む。
【0004】
WO2005/014278に記載されている積層体の欠点は、湿度の高い環境での貯蔵後に特に、それら積層体が不十分な引張強さしか保持しないことである。さらに、ポリマー層は、しばしば様々な接着特性を有する。
【0005】
US2011/0200816は、2つの金属層と挿入されたポリマー層とを含む積層体を記載している。ポリマー層は、例えばポリアミド6/66コポリマーを含む。
【0006】
DE102011084519は、第一の外側層、中間層、及び第二の外側層を含む太陽電池用の封止層を記載している。層は、ポリアミド、例えばポリアミド6又はポリアミド66などを含み得る。
【0007】
US2011/0200816に記載されている積層体は、特に湿度の高い環境での貯蔵後に、不十分な引張強さしか示さないか、又は大気湿度により使用できなくなるまで破壊されさえする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】WO2005/014278
【文献】US2011/0200816
【文献】DE102011084519
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
よって本発明は、先行技術に記載された積層体の欠点を、たとえあったとしても低減された程度でしか示さない積層体、及びその製造方法を提供することを目的とする。特に、積層体は、比較的高い大気湿度で長時間貯蔵した後でさえ、高い引張強さを示し続ける。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、少なくとも1つの第一の金属の少なくとも1つの第一の層と、ポリアミド組成物(PC)の少なくとも1つのさらなる層とを含む積層体によって達成され、そのポリアミド組成物(PC)は、以下の成分、
(A)カプロラクタム、
(B)少なくとも1つのC4~C40-二酸、及び
(C)少なくとも1つのC4~C20-ジアミン、
の重合によって製造されるコポリアミドを含み、
そのコポリアミドは、アミド基3.5~7個/1000g/モルの範囲のアミド官能基濃度を有する。
【0011】
本発明はさらに、少なくとも1つの第一の金属の少なくとも1つの第一の層と、ポリアミド組成物(PC)の少なくとも1つのさらなる層とを含み、そのポリアミド組成物(PC)は、以下の成分、
(A)カプロラクタム、
(B)少なくとも1つのC4~C40-二酸、及び
(C)少なくとも1つのC4~C20-ジアミン、
の重合によって製造されるコポリアミドを含む、積層体を提供する。
【0012】
驚くべきことに、本発明による積層体は、その製造直後と、比較的高い大気湿度、例えば70℃及び62%の相対大気湿度で14日間の長期貯蔵後の両方で、良好な引張強さを示すことが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明をより詳細に説明する。
【0014】
本発明によれば、積層体は、少なくとも1つの第一の金属の少なくとも1つの第一の層と、ポリアミド組成物(PC)の少なくとも1つのさらなる層とを含む。
【0015】
本発明において、「少なくとも1つの第一の層」とは、厳密に1つの第一の層、又は2つ以上の第一の層のどちらかを意味すると理解されるべきである。
【0016】
本発明において、「少なくとも1つの第一の金属」とは、厳密に1つの第一の金属、又は2つ以上の第一の金属の混合物のどちらかを意味すると理解されるべきである。
【0017】
本発明において、「少なくとも1つのさらなる層」とは、厳密に1つのさらなる層、又は2つ以上のさらなる層のどちらかを意味すると理解されるべきである。
【0018】
積層体が少なくとも1つの第二の金属の少なくとも1つの第二の層をさらに含み、少なくとも1つの第一の金属の少なくとも1つの第一の層が、少なくとも1つの第二の金属の少なくとも1つの第二の層に、ポリアミド組成物(PC)の少なくとも1つのさらなる層を介して接合されることが好ましい。よってこのような積層体では、少なくとも1つの第一の層の後に、少なくとも1つのさらなる層が続き、次に少なくとも1つの第二の層が続く。
【0019】
少なくとも1つの第一の層、少なくとも1つのさらなる層、及び少なくとも1つの第二の層を含むそのような積層体は、サンドイッチ材料としても知られている。
【0020】
よって本発明はまた、少なくとも1つの第二の金属の少なくとも1つの第二の層をさらに含み、少なくとも1つの第一の層が、少なくとも1つの第二の層に、少なくとも1つのさらなる層を介して接合される、積層体を提供する。
【0021】
少なくとも1つの第一の層の少なくとも1つの第一の金属は、少なくとも1つの第二の層の少なくとも1つの第二の金属と、同一又は異なり得る。少なくとも1つの第一の層の少なくとも1つの第一の金属は、少なくとも1つの第二の層の少なくとも1つの第二の金属と同一であることが好ましい。
【0022】
積層体は、少なくとも1つの第一の金属の少なくとも1つの第一の層を含む。言い換えれば、積層体は、少なくとも1つの第一の金属でできている少なくとも1つの第一の層を含む。
【0023】
少なくとも1つの第一の金属の少なくとも1つの第一の層は、例えば0.1~0.6mmの範囲の、好ましくは0.15~0.4mmの範囲の、特に好ましくは0.18~0.3mmの範囲の厚さを有する。
【0024】
よって本発明はまた、少なくとも1つの第一の層が、0.1~0.6mmの範囲の厚さを有する積層体を提供する。
【0025】
積層体は、好ましくは、少なくとも1つの第二の金属の少なくとも1つの第二の層をさらに含む。言い換えれば、積層体は、好ましくは、少なくとも1つの第二の金属でできている少なくとも1つの第二の層をさらに含む。
【0026】
少なくとも1つの第二の金属の少なくとも1つの第二の層は、例えば0.1~0.6mmの範囲の、好ましくは0.15~0.4mmの範囲の、特に好ましくは0.18~0.3mmの範囲の厚さを有する。
【0027】
よって本発明はまた、少なくとも1つの第二の金属の少なくとも1つの第二の層をさらに含み、少なくとも1つの第二の層が0.1~0.6mmの範囲の厚さを有する、積層体を提供する。
【0028】
少なくとも1つの第二の層の厚さは、少なくとも1つの第一の層の厚さと同一又は異なり得る。 少なくとも1つの第二の層の厚さは、少なくとも1つの第一の層の厚さと同一であることが好ましい。
【0029】
少なくとも1つの第一の層の少なくとも1つの第一の金属として適しているのは、積層体の製造温度及び使用温度で固体である、当業者に既知の任意の金属及び金属合金である。少なくとも1つの第一の層の少なくとも1つの第一の金属は、好ましくは、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル及びマグネシウム、及びそれらの合金からなる群から選択される。少なくとも1つの第一の金属は、特に好ましくは鉄の合金であり、少なくとも1つの第一の金属は、特に好ましくは鋼である。
【0030】
よって本発明はまた、少なくとも1つの第一の層の少なくとも1つの第一の金属が、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル及びマグネシウム、及びそれらの合金からなる群から選択される積層体を提供する。
【0031】
よって本発明はまた、少なくとも1つの第一の金属が、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル及びマグネシウム、及びそれらの合金からなる群から選択される、積層体を提供する。
【0032】
鋼は当業者に既知である。本発明において、「鋼」とは、主構成成分として鉄を含む合金を意味すると理解されるべきである。これは、DIN EN 10020:2000-07に準拠した鋼の定義に対応している。
【0033】
少なくとも1つの第一の金属は、コーティングされてもコーティングされなくてもよい。少なくとも1つの第一の金属は、好ましくはコーティングされる。少なくとも1つの第一の金属のための適したコーティングは、それ自体当業者に既知であり、例えば、接着促進剤層、塗料又は亜鉛又はマグネシウムコーティングである。
【0034】
少なくとも1つの金属は、好ましくは亜鉛コーティングされる。「亜鉛コーティングされる」とは、少なくとも1つの第一の金属がさらなる金属、特に亜鉛又は亜鉛の合金でコーティングされることを意味すると理解されるべきである。
【0035】
従って、少なくとも1つの第一の金属が、亜鉛コーティングされる鋼である場合が特に好ましい。
【0036】
少なくとも1つの第一の金属の亜鉛コーティングは、当業者に既知の方法、例えば、溶融亜鉛コーティング又はガルバニック亜鉛コーティング(galvanic zinc coating)によって実行し得る。
【0037】
少なくとも1つの第一の金属が亜鉛コーティングされる場合、それは、さらなるコーティング、例えば接着促進剤層及び/又は塗料をさらに含み得る。これは当業者に既知である。
【0038】
少なくとも1つの第一の金属のコーティングは、当業者に既知の任意の方法によって実行し得、例えば、コーティングは、水溶液又は分散液から行い得る。
【0039】
少なくとも1つの第一の層の少なくとも1つの第一の金属に関する上記の説明及び好ましいものは、少なくとも1つの第二の層の少なくとも1つの第二の金属に対応して適用される。
【0040】
よって本発明はまた、少なくとも1つの第二の金属の少なくとも1つの第二の層をさらに含み、少なくとも1つの第二の層の少なくとも1つの第二の金属が、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、マグネシウム及びそれらの合金からなる群から選択される、積層体を提供する。
【0041】
積層体は、ポリアミド組成物(PC)の少なくとも1つのさらなる層を含む。言い換えればこれは、少なくとも1つのさらなる層がポリアミド組成物(PC)でできていることを意味する。
【0042】
ポリアミド組成物(PC)の少なくとも1つのさらなる層は、例えば0.02~1.5mmの範囲の、好ましくは0.05~1mmの範囲の、特に好ましくは0.1~0.5mmの範囲の厚さを有する。
【0043】
よって本発明はまた、少なくとも1つのさらなる層が、0.02~1.5mmの範囲の厚さを有する積層体を提供する。
【0044】
よって、本発明はまた、少なくとも1つの第一の層が、0.1mm~0.6mmの範囲の厚さを有する、及び/又は少なくとも1つのさらなる層が、0.02mm~1.5mmの範囲の厚さを有する積層体を提供する。
【0045】
ポリアミド組成物(PC)
本発明によれば、ポリアミド組成物(PC)は、成分(A)カプロラクタム、成分(B)少なくとも1つのC4~C40-二酸、及び成分(C)少なくとも1つのC4~C20-ジアミンの重合によって製造されるコポリアミドを含む。
【0046】
本発明において、「コポリアミド」とは、厳密に1つのコポリアミド又は2つ以上のコポリアミドの混合物(ブレンド)のどちらかを意味する。
【0047】
加えて、ポリアミド組成物(PC)は、少なくとも1つのさらなるポリマーをさらに含み得る。
【0048】
本発明において、「少なくとも1つのさらなるポリマー」とは、厳密に1つのさらなるポリマー又は2つ以上のさらなるポリマーの混合物(ブレンド)のどちらかを意味する。
【0049】
少なくとも1つのさらなるポリマーとして適したポリマーには、当業者に既知のさらなるポリマーが含まれる。少なくとも1つのさらなるポリマーが、コポリアミドとは異なることが理解されるであろう。
【0050】
少なくとも1つのさらなるポリマーが、ポリエチレン、及びエチレン、アクリル酸、無水マレイン酸、イソブチレン、プロピレン、オクテン、アルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも2つのモノマーのコポリマーからなる群から選択される場合が好ましい。
【0051】
よって本発明はまた、ポリアミド組成物(PC)が、ポリエチレン、ならびにエチレン、イソブチレン、プロピレン、オクテン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリル酸及び無水マレイン酸からなる群から選択される少なくとも2つのモノマーのコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのさらなるポリマーをさらに含む積層体を提供する。
【0052】
アルキルアクリレートは当業者に既知であり、アクリル酸アルキルエステルとも称される。アルキルアクリレートは、アクリル酸とアルキルアルコールとの反応によって形成される。本発明による好ましいアルキルアクリレートは、n-ブチルアクリレートである。
【0053】
アルキルメタクリレートも同様に当業者に既知であり、メタクリル酸アルキルエステルとも称される。アルキルメタクリレートは、メタクリル酸とアルキルアルコールとの反応により形成される。本発明による好ましいアルキルメタクリレートはメチルメタクリレートである。
【0054】
加えて、積層体は、少なくとも1つの充填剤をさらに含み得る。
【0055】
積層体は、好ましくは、ポリアミド組成物(PC)中に追加の少なくとも1つの充填剤を含む。よってポリアミド組成物(PC)は、少なくとも1つの充填剤をさらに含み得る。
【0056】
本発明において、「少なくとも1つの充填剤」とは、厳密に1つの充填剤か、あるいは2つ以上の充填剤の混合物を意味すると理解されるべきである。
【0057】
適した充填剤には、コポリアミド及び任意にポリアミド組成物(PC)の少なくとも1つのさらなるポリマーと混合し得る、当業者に既知の任意の充填剤が含まれる。
【0058】
少なくとも1つの充填剤が、無機充填剤、有機充填剤及び天然充填剤からなる群から選択される場合が好ましい。
【0059】
少なくとも1つの充填剤は、繊維材料、又は例えば球体の形態であってよい。少なくとも1つの充填剤が、繊維材料である場合が好ましい。
【0060】
本発明において、「繊維材料」とは、繊維、例えば個々の繊維、繊維束(ロービング)、不織布、非クリンプ織物、織布又はニットなどを含む任意の材料を意味すると理解されるべきである。
【0061】
よって少なくとも1つの充填剤は、例えば、ホウ素繊維材料、ガラス繊維材料、炭素繊維材料、シリカ繊維材料、セラミック繊維材料、玄武岩繊維材料、金属繊維材料、アラミド繊維材料、ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール)繊維材料、ポリエステル繊維材料、ナイロン繊維材料、ポリエチレン繊維材料、木質繊維材料、亜麻繊維材料、麻繊維材料、及びサイザル繊維材料からなる群から選択される。
【0062】
少なくとも1つの充填剤が、ガラス繊維材料、炭素繊維材料、アラミド繊維材料、ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール)繊維材料、ホウ素繊維材料、金属繊維材料、及びカリウムチタネート繊維材料からなる群から選択される場合が特に好ましい。少なくとも1つの充填剤が、ガラス繊維材料である場合が特に好ましい。
【0063】
よって本発明はまた、ポリアミド組成物(PC)が無機充填剤、有機充填剤及び天然充填剤からなる群から選択される少なくとも1つの充填剤をさらに含む積層体を提供する。
【0064】
ポリアミド組成物(PC)は、例えば、30質量%~99.9質量%の範囲の、好ましくは40質量%~99.5質量%の範囲の、特に好ましくは50質量%~99質量%の範囲のコポリアミドを含む(各場合とも、コポリアミド、少なくとも1つのさらなるポリマー、及び少なくとも1つの充填剤の質量%の合計に基づき、好ましくはポリアミド組成物(PC)の総質量に基づく)。
【0065】
ポリアミド組成物(PC)は、例えば、0質量%~50質量%の範囲の、好ましくは5質量%~40質量%の範囲の、特に好ましくは10質量%~30質量%の範囲の少なくとも1つのさらなるポリマーを含む(各場合とも、コポリアミド、少なくとも1つのさらなるポリマー、及び少なくとも1つの充填剤の質量%の合計に基づき、好ましくはポリアミド組成物(PC)の総質量に基づく)。
【0066】
ポリアミド組成物(PC)は、例えば、0.1質量%~70質量%の範囲の少なくとも1つの充填剤、好ましくは0.5質量%~60質量%の範囲の、特に好ましくは1質量%~50質量%の範囲の少なくとも1つの充填剤を含む(各場合とも、コポリアミド、少なくとも1つのさらなるポリマー、及び少なくとも1つの充填剤の質量%の合計に基づき、好ましくはポリアミド組成物(PC)の総質量に基づく)。
【0067】
コポリアミド、少なくとも1つのさらなるポリマー、及び少なくとも1つの充填剤の質量%の合計は、通常は100質量%である。
【0068】
加えて、ポリアミド組成物(PC)は、当業者に既知の添加剤を含み得る。ポリアミド組成物(PC)中に存在し得る添加剤は、例えば、安定剤、染料、帯電防止剤、充填剤油、表面改良剤、乾燥剤、離型剤、離剤、酸化防止剤、光安定剤、PVC安定剤、滑剤、難燃剤、発泡剤、耐衝撃性改良剤、接着促進剤、カップリング剤及び核剤からなる群から選択される。
【0069】
よって本発明はまた、ポリアミド組成物(PC)が、安定剤、染料、帯電防止剤、充填剤油、表面改良剤、乾燥剤、離型剤、離剤、酸化防止剤、光安定剤、PVC安定剤、滑剤、難燃剤、発泡剤、衝撃改質剤、接着促進剤、カップリング剤、核剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む積層体を提供する。
【0070】
添加剤はそれ自体当業者に既知である。カップリング剤は、架橋剤としても既知である。本発明において、「接着促進剤」とは、少なくとも1つのさらなる層のポリアミド組成物(PC)の、少なくとも1つの第一の層への、及び任意に少なくとも1つの第二の層への接着をさらに改善する添加剤を意味すると理解されるべきである。
【0071】
ポリアミド組成物(PC)は、ISO11357-4:2014に準拠して示差走査熱量測定法(DSC)により決定して、20~60J/gの範囲の、好ましくは25~55J/gの範囲の、特に好ましくは30~50J/gの範囲の溶解エンタルピーΔH2(PC)を有することが好ましい。
【0072】
よって本発明はまた、ポリアミド組成物(PC)が20~60J/gの範囲の溶解エンタルピーΔH2(PC)を有する積層体を提供する。
【0073】
溶解エンタルピーΔH2(PC)は結晶化度の尺度である。ポリアミド組成物がコポリアミドからなる場合、100%の結晶化度は、ISO11357-4:2014に準拠して示差走査熱量測定(DSC)により決定して、230J/gの溶解エンタルピーΔH2(PC)に相当する。
【0074】
コポリアミド
本発明によれば、ポリアミド組成物(PC)中に存在するコポリアミドは、成分(A)カプロラクタム、成分(B)少なくとも1つのC4~C40-二酸、及び成分(C)少なくとも1つのC4~C20-ジアミンの重合により製造される。
【0075】
本発明において、「成分(A)」及び「カプロラクタム」という用語は、同義的に使用され、従って同じ意味を有する。
【0076】
本発明において、「成分(B)」及び「少なくとも1つのC4~C40二酸」という用語は、同様に同義的に使用され、従って同じ意味を有する。
【0077】
本発明において、「成分(C)」及び「少なくとも1つのC4~C20ジアミン」という用語は、同様に同義的に使用され、従って同じ意味を有する。
【0078】
コポリアミドは、成分(A)、(B)及び(C)の任意の所望の量の重合によって製造され得る。
【0079】
コポリアミドが、20質量%~80質量%の、特に好ましくは35質量%~75質量%の範囲の、特に好ましくは50質量%~70質量%の範囲の成分(A)の重合によって製造される場合が好ましい(各場合とも、成分(A)、(B)及び(C)の質量パーセンテージの合計に基づく)。
【0080】
よって本発明はまた、成分(A)、(B)及び(C)の質量%の合計に基づいて20%~80質量%の成分(A)の重合によって、コポリアミドが製造される積層体を提供する。
【0081】
重合では、成分(B)及び(C)は、成分(A)、(B)及び(C)の質量パーセンテージの合計に基づいて、あわせて20質量%~80質量%までの、好ましくは25質量%~65質量%の、特に好ましくは30質量%~50質量%の量で用いられることが好ましい。
【0082】
よって本発明はまた、成分(A)、(B)及び(C)の質量%の合計に基づいて20質量%~80質量%の成分(B)及び(C)の重合によって、コポリアミドが製造される積層体を提供する。
【0083】
成分(A)、(B)及び(C)の質量パーセンテージは、重合前、すなわち、成分(A)、(B)及び(C)がまだ互いに反応していないときの、成分(A)、(B)及び(C)の質量パーセンテージに基づいていることが理解されよう。成分(A)、(B)及び(C)の重合中に、成分(A)、(B)及び(C)の質量比は、変化し得る。
【0084】
各場合とも成分(B)及び(C)のモル%の合計に基づいて、45~55モル%の範囲の成分(B)、及び45~55モル%の範囲の成分(C)を重合させる場合が好ましい。
【0085】
各場合とも成分(B)及び(C)のモル%の合計に基づいて、47~53モル%の範囲の成分(B)、及び47~53モル%の範囲の成分(C)を重合させる場合が特に好ましい。
【0086】
各場合とも成分(B)及び(C)のモル%の合計に基づいて、49~51モル%の範囲の成分(B)、及び49~51モル%の範囲の成分(C)を重合させる場合が最も好ましい。
【0087】
よって、成分(B)及び(C)を、互いに1:1のモル比で重合させる場合が最も好ましい。
【0088】
成分(B)及び(C)のモル%は、これらが互いに反応する前の成分(B)及び(C)のモル%に基づいていることが理解されよう。成分(A)、(B)及び(C)の重合中に、成分(B)及び(C)の互いに対するモル質量比が変化し得る。
【0089】
コポリアミドを製造するために、少なくとも1つの追加のラクタムである成分(A1)を、成分(A)に加えて重合させてよい。少なくとも1つの追加のラクタムは、カプロラクタムとは異なることが理解されよう。
【0090】
本発明において、「成分(A1)」及び「少なくとも1つの追加のラクタム」という用語は、同義的に使用され、従って同じ意味を有する。
【0091】
本発明において、「少なくとも1つの追加のラクタム」とは、厳密に1つの追加のラクタムか、又は2つ以上の追加のラクタムの混合物を意味する。
【0092】
適した追加のラクタムは、当業者に既知である。本発明によれば、少なくとも1つの追加のラクタムとして、4~12個の炭素原子を有するラクタムが好ましい。
【0093】
本発明において、「ラクタム」とは、好ましくは4~12個の炭素原子、特に好ましくは5~8個の炭素原子を環内に有する環状アミドを意味すると理解されるべきである。
【0094】
適した追加のラクタムは、例えば、3-アミノプロパノラクタム(プロピオ-3-ラクタム;β-ラクタム;β-プロピオラクタム)、4-アミノブタノラクタム(ブチロ-4-ラクタム;γ-ラクタム;γ-ブチロラクタム)、5-アミノペンタノラクタム(2-ピペリジノン;δ-ラクタム;δ-バレロラクタム)、7-アミノヘプタノラクタム(ヘプタノ-7-ラクタム;ζ-ラクタム;ζ-ヘプタノラクタム)、8-アミノオクタノラクタム(オクタノ-8-ラクタム;η-オクタノラクタム)、9-アミノノナノラクタム(ノナノ-9-ラクタム;θ-ラクタム;θ-ノナノラクタム)、10-アミノデカノラクタム(デカノ-10-ラクタム;ω-デカノラクタム)、11-アミノウンデカノラクタム(ウンデカノ-11-ラクタム;ω-ウンデカノラクタム)及び12-アミノドデカノラクタム(ドデカノ-12-ラクタム;ω-ドデカノラクタム)からなる群から選択される。
【0095】
コポリアミドを製造するために成分(A1)が重合されない場合が好ましい。
【0096】
本発明によれば、コポリアミドは、成分(A)、(B)及び(C)及び任意に(A1)の重合により製造される。成分(A)、(B)及び(C)及び任意に(A1)の重合は、当業者に既知である。成分(A)及び任意に(A1)と、成分(B)及び(C)との重合は、通常は縮合反応である。縮合反応中に、成分(A)及び任意に(A1)は、成分(B)及び(C)と反応する。これにより、個々の成分間にアミド結合が形成される。成分(A)は、通常は、重合中に少なくとも部分的に開鎖形態、すなわちε-アミノカプロン酸の形態である。
【0097】
成分(A)、(B)及び(C)及び任意に(A1)の重合は、触媒の存在下で実行され得る。適した触媒には、成分(A)、(B)及び(C)及び任意に(A1)の重合を触媒する当業者に既知の任意の触媒が含まれる。そのような触媒は当業者に既知である。好ましい触媒は、リン化合物、例えば次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸、トリフェニルホスフィン又はトリフェニルホスファイトである。
【0098】
成分(A)、(B)及び(C)及び任意に(A1)の重合により、成分(A)から誘導される単位、成分(B)から誘導される単位、及び成分(C)から誘導される単位及び任意に成分(A1)から誘導される単位を含むコポリアミドが形成される。
【0099】
成分(A)、(B)及び(C)及び任意に(A1)の重合により、コポリマーとしてコポリアミドが形成される。コポリマーはランダムコポリマーであり得るが、同様にブロックコポリマーであり得る。
【0100】
ブロックコポリマーでは、成分(B)及び(C)から誘導される単位のブロック、及び成分(A)から誘導される単位のブロックが形成される。これらは交互に連続して現れる。
【0101】
ランダムコポリマーでは、成分(A)から誘導される単位は、成分(B)及び(C)から誘導される単位と交互に連続して現れる。これは無作為に交互である。例えば、成分(B)及び(C)から誘導される2つの単位の後に、成分(A)から誘導される単位が続き、次に成分(B)及び(C)から誘導される単位が続き、次に成分(A)から誘導される3つの単位が続く。
【0102】
コポリアミドの製造は、好ましくは以下の工程を含む:
i)成分(A)、(B)及び(C)を重合させて、第一のコポリアミドを得る工程、
ii)工程i)で得られた第一のコポリアミドをペレット化して、ペレット化したコポリアミドを得る工程、
iii)工程ii)で得られたペレット化したコポリアミドを水で抽出して、抽出したコポリアミドを得る工程、
iv)工程iii)で得られた抽出したコポリアミドを温度(TT)で乾燥させて、コポリアミドを得る工程。
【0103】
工程i)における重合は、当業者に既知の任意の反応器、好ましくは撹拌タンク反応器で実行し得る。反応管理を改善するための当業者に既知の補助剤、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などの消泡剤も添加してよい。
【0104】
工程ii)において、工程i)で得られた第一のコポリアミドは、当業者に既知の任意の方法、例えばストランドペレット化又は水中ペレット化によってペレット化され得る。
【0105】
工程iii)における抽出は、当業者に既知の任意の方法によって行ってよい。工程iii)の抽出中に、工程i)の成分(A)、(B)及び(C)の重合中に通常形成される副生成物は、ペレット化したコポリアミドから抽出される。
【0106】
工程iv)では、工程iii)で得られた抽出したコポリアミドを乾燥させる。乾燥の方法は当業者に既知である。本発明によれば、抽出したコポリアミドを温度(TT)で乾燥させる。温度(TT)は、好ましくは、コポリアミドのガラス転移温度(TG(C))を超え、コポリアミドの溶解温度(TM(C))未満である。
【0107】
温度(TT)が120℃を超え、コポリアミドの溶解温度(TM(C))未満である場合が好ましい。
【0108】
工程iv)の乾燥は、通常は1~100時間の範囲の、好ましくは2~50時間の範囲の、特に好ましくは3~40時間の範囲の期間にわたって実行される。
【0109】
工程iv)での乾燥は、コポリアミドの分子量をさらに増加させると考えられる。
【0110】
コポリアミドは通常、ガラス転移温度(TG(C))を有する。ガラス転移温度(TG(C))は、例えばISO 11357-2:2014に準拠して決定して、10℃~90℃の範囲、好ましくは20℃~70℃の範囲、特に好ましくは25℃~50℃の範囲である。
【0111】
よって本発明はまた、コポリアミドがガラス転移温度(TG(C))を有し、ガラス転移温度(TG(C))が10℃~90℃の範囲にある積層体を提供する。
【0112】
本発明において、コポリアミドのガラス転移温度(TG(C))は、ISO 11357-2:2014による乾燥コポリアミドのガラス転移温度(TG(C))に関連する。
【0113】
本発明において、「乾燥」とは、コポリアミドが、コポリアミドの総質量に基づいて、1質量%未満の、好ましくは0.5質量%未満の、特に好ましくは0.1質量%未満の水を含むことを意味すると理解されるべきである。「乾燥」という用語は、より好ましくは、コポリアミドが水を含まないことを意味すると理解されるべきであり、最も好ましくは、コポリアミドが溶媒を含まないことを意味すると理解されるべきである。
【0114】
コポリアミドは通常、溶解温度(TM(C))も有する。コポリアミドの溶解温度(TM(C))は、例えばISO11357-3:2014に準拠して決定して、180℃~215℃の範囲、好ましくは170℃~210℃の範囲、特に好ましくは180℃~200℃の範囲である。
【0115】
よって本発明はまた、コポリアミドが180℃~215℃の範囲の溶解温度(TM(C))を有する積層体を提供する。
【0116】
コポリアミドは一般に、質量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼンの混合物中のコポリアミドの0.5質量%溶液で測定して、100~300ml/gの範囲の粘度数(VN(C))を有する。
【0117】
コポリアミドの粘度数(VN(C))は、質量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼンの混合物中のコポリアミドの0.5質量%溶液で測定して、好ましくは160~290ml/gの範囲であり、特に好ましくは170~280ml/gの範囲である。
【0118】
コポリアミドは、好ましくはアミド基3.5~7個/1000g/モルの範囲の、特に好ましくはアミド基4~6.5個/1000g/モルの範囲の、特に好ましくはアミド基4.5~6個/1000g/モルの範囲のアミド官能基濃度を有する。
【0119】
よって本発明はまた、コポリアミドが、アミド基3.5~7個/1000g/モルの範囲のアミド官能基濃度を有する積層体を提供する。
【0120】
アミド官能基濃度は、算術的に決定される。これは、コポリアミドの個々の単位の分子量の平均を取ることを含む。1000を平均分子量で割ると、アミド官能基濃度が得られる。
【0121】
例えば、ポリアミド6(PA6)の個々の単位の平均分子量は、113g/モルである。そしてアミド官能基濃度は、1000/113g/モル=アミド基8.85個/1000g/モルである。
【0122】
例えば、ポリアミド6.36(PA6.36)の個々の単位の平均分子量は、323g/モルである。そしてアミド官能基濃度は、1000/323g/モル=アミド基3.10個/1000g/モルである。
【0123】
例えば、40質量%の6.36単位を含むポリアミド6/6.36(PA6/6.36)の個々の単位の平均分子量は、0.6*PA6+0.4*PA6.36=0.6*113g/モル+0.4*323g/モル=197g/モルである。そしてアミド官能基濃度は、1000/197g/モル=アミド基5.08個/1000g/モルである。
【0124】
例えば、ポリアミド66(PA66)の平均分子量は、113g/モルである。そしてこれによって、PA6単位及びPA66単位の割合に関係なく、ポリアミド6/66について、1000/g/モル=アミド基8.85個/1000g/モルのアミド官能基濃度が得られる。
【0125】
本発明によるコポリアミドは、70℃及び62%の相対大気湿度で14日間貯蔵した後、各場合とも70℃及び62%の相対大気湿度で14日間貯蔵した後のコポリアミドの総質量に基づいて、好ましくは1.0質量%~2.7質量%の範囲の、特に好ましくは1.3質量%~2.5質量%の範囲の、最も好ましくは1.5質量%~2.3質量%の範囲の含水量を、さらに含む。
【0126】
成分(A)
本発明によれば、成分(A)はカプロラクタムである。カプロラクタムは当業者に既知であり、ε-カプロラクタム、ε-ラクタム、ヘキサノ-6-ラクタム、又はヘキサヒドロ-2H-アゼピン-2-オンと称される。カプロラクタムは、ε-アミノカプロン酸の環状アミドであり、CAS番号105-60-2を有する。
【0127】
成分(B)
本発明によれば、成分(B)は少なくとも1つのC4~C40二酸である。
【0128】
本発明において、「少なくとも1つのC4~C40-二酸」とは、厳密に1つのC4~C40-二酸、又は2つ以上のC4~C40-二酸の混合物を意味すると理解されるべきである。
【0129】
本発明において、「C4~C40-二酸」とは、飽和又は不飽和であり、2~38個の炭素原子及び2つのカルボキシル基(-COOH基)を有する脂肪族及び/又は芳香族化合物を意味すると理解されるべきである。2~38個の炭素原子は、主鎖又は側鎖に存在し得る。C4~C40-二酸はまた、分岐又は非分岐又は脂環式であり得る。
【0130】
少なくとも1つのC4~C40-二酸は、例えば、ブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸(ピメリン酸)、オクタン二酸(スベリン酸)、ノナン二酸(アゼライン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸又はヘキサデカン二酸である。
【0131】
成分(B)が、ヘキサン二酸、デカン二酸及びドデカン二酸からなる群から選択される場合が好ましい。
【0132】
成分(B)が、少なくとも1つのC32~C40-二酸である場合がさらに好ましい。
【0133】
よって、成分が、ヘキサン二酸、デカン二酸、ドデカン二酸及びC32~C40-二酸からなる群から選択される場合が好ましい。
【0134】
「C32~C40-二酸」とは、「C32~C40-二量体酸」又は「C32~C40-二量体脂肪酸」とも称される。本発明において、用語「C32~C40-二酸」、「C32~C40-二量体酸」及び「C32~C40-二量体脂肪酸」は同義的に使用され、従って同じ意味を有する。
【0135】
C32~C40-二量体酸は、それ自体当業者に既知であり、通常は不飽和脂肪酸の二量化によって製造される。この二量化は、例えば粘土質の土によって触媒され得る。
【0136】
少なくとも1つのC32~C40二量体酸を製造するのに適した不飽和脂肪酸は、当業者に既知であり、例えば不飽和C16-脂肪酸、不飽和C18-脂肪酸及び不飽和C20-脂肪酸である。
【0137】
よって成分(B)は、好ましくは、不飽和C16-脂肪酸、不飽和C18-脂肪酸及び不飽和C20-脂肪酸からなる群から選択される不飽和脂肪酸から製造され、不飽和C18-脂肪酸が特に好ましい。
【0138】
よって本発明はまた、成分(B)が不飽和C16-脂肪酸、不飽和C18-脂肪酸及び不飽和C20-脂肪酸からなる群から選択される、不飽和脂肪酸から選択される積層体を提供する。
【0139】
適した不飽和C16-脂肪酸は、例えばパルミトレイン酸((9Z)-ヘキサデカ-9-エン酸)である。
【0140】
適した不飽和C18-脂肪酸は、例えば、ペトロセリン酸((6Z)-オクタデカ-6-エン酸)、オレイン酸((9Z)-オクタデカ-9-エン酸)、エライジン酸((9E)-オクタデカ-9-エン酸)、バクセン酸((11E)-オクタデカ-11-エン酸)、リノール酸((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸)、α-リノレン酸((9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエン酸)、γ-リノレン酸((6Z,9Z,12Z)-オクタデカ-6,9,12-トリエン酸)、カレンデュル酸((8E,10E,12Z)-オクタデカ-8,10,12-トリエン酸)、プニカ酸((9Z,11E,13Z)-オクタデカ-9,11,13-トリエン酸)、α-エレオステアリン酸((9Z,11E,13E)-オクタデカ-9,11,13-トリエン酸)及びβ-エレオステアリン酸((9E,11E,13E)-オクタデカ-9,11,13-トリエン酸)からなる群から選択される。ペトロセリン酸((6Z)-オクタデカ-6-エン酸)、オレイン酸((9Z)-オクタデカ-9-エン酸)、エライジン酸((9E)-オクタデカ-9-エン酸)、バクセン酸((11E)-オクタデカ-11-エン酸)、リノール酸((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸)からなる群から選択される不飽和C18-脂肪酸が特に好ましい。
【0141】
適した不飽和C20-脂肪酸は、例えば、ガドール酸((9Z)-エイコサ-9-エン酸)、エイコセン酸((11Z)-エイコサ-11-エン酸)、アラキドン酸((5Z,8Z,11Z,14Z)-エイコサ-5,8,11,14-テトラエン酸)及びチノドン酸((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-エイコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン酸酸)からなる群から選択される。
【0142】
成分(B)は、特に好ましくは、少なくとも1つのC36-二量体酸である。
【0143】
少なくとも1つのC36-二量体酸は、好ましくは不飽和C18-脂肪酸から製造される。C36-二量体酸が、ペトロセリン酸((6Z)-オクタデカ-6-エン酸)、オレイン酸((9Z)-オクタデカ-9-エン酸)、エライジン酸((9E)-オクタデカ-9-エン酸)、バクセン酸((11E)-オクタデカ-11-エン酸)及びリノール酸((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸)からなる群から選択されるC18-脂肪酸から生成される場合が、特に好ましい。
【0144】
不飽和脂肪酸からの成分(B)の製造中に三量体酸が形成され得、未反応の不飽和脂肪酸の残留物が残留し得る。
【0145】
三量体酸の形成は、当業者に既知である。
【0146】
本発明によれば、成分(B)が、各場合とも成分(B)の総質量に基づいて、最大で0.5質量%の未反応の不飽和脂肪酸、及び最大で0.5質量%の三量体酸、特に好ましくは最大で0.2質量%の未反応の不飽和脂肪酸、及び最大で0.2質量%の三量体酸を含む場合が好ましい。
【0147】
二量体酸(二量体化脂肪酸又は二量体脂肪酸としても知られる)は、一般に、及び特に本発明において、不飽和脂肪酸のオリゴマー化により製造される混合物を意味すると理解されるべきである。それらは、例えば、植物由来の不飽和脂肪酸の触媒二量化により製造可能であり、使用される出発物質は、特に不飽和C16~C20脂肪酸である。反応は主にディールス・アルダー機構によって進行し、結果として、二量体酸の製造に使用される脂肪酸の二重結合の数と位置に応じて、脂環式、直鎖脂肪族、分岐脂肪族、及びC6-芳香族の炭化水素基をカルボキシル基間に有する主に二量体生成物の混合物となる。機構及び/又はその後の水素化に応じて、脂肪族ラジカルは飽和又は不飽和であり得、芳香族基の割合も変化し得る。そしてカルボン酸基間のラジカルは、例えば32~40個の炭素原子を含む。製造は、二量体生成物が36個の炭素原子を有するように、18個の炭素原子を有する脂肪酸を使用することが好ましい。二量体脂肪酸のカルボキシル基を結合させるラジカルは、不飽和結合も芳香族炭化水素ラジカルも含まないことが好ましい。
【0148】
本発明において、製造には、好ましくはC18-脂肪酸を使用する。リノレン酸、リノール酸及び/又はオレイン酸を使用することが特に好ましい。
【0149】
反応管理に依存して、上記のオリゴマー化は、主に二量体だけでなく、三量体、分子及びモノマー分子及び他の副生成物を含む混合物をもたらす。蒸留による精製が慣例である。商業的な二量体酸は一般に、少なくとも80質量%の二量体分子、最大で19%質量までの三量体分子、及び最大で1質量%のモノマー分子及び他の副生成物を含む。
【0150】
少なくとも98質量%程度まで、好ましくは少なくとも95質量%程度まで、非常に特に好ましくは少なくとも98質量%程度までの二量体脂肪酸分子からなる二量体酸を使用することが好ましい。
【0151】
単量体、二量体、及び三量体分子の割合、及び二量体酸中の他の副生成物の割合は、例えばガスクロマトグラフィー(GC)によって決定し得る。二量体酸は、GC分析の前に三フッ化ホウ素法(DIN EN ISO5509参照)によって対応するメチルエステルに変換され、次いでGCで分析される。
【0152】
よって本発明における「C32~C40-二量体酸」の基本的な特徴は、その製造が不飽和脂肪酸のオリゴマー化を含むことである。このオリゴマー化は、主に、すなわち、好ましくは少なくとも80質量%程度まで、特に好ましくは少なくとも90%程度まで、非常に特に好ましくは少なくとも95質量%程度まで、特に少なくとも98質量%程度まで二量体生成物を形成する。オリゴマー化が、厳密に2つの脂肪酸分子を含む主として二量体の生成物を形成するという事実は、いずれにしても一般的であるこの指定を正当化する。よって、関連する用語「二量体酸」の代替表現は「二量体化脂肪酸を含む混合物」である。
【0153】
使用する二量体酸は、市販品として得ることができる。例として、Oleon社からのRadiacid0970、Radiacid0971、Radiacid0972、Radiacid0975、Radiacid0976及びRadiacid0977、Croda社からのPripol1006、Pripol1009、Pripol1012及びPripol1013、BASF SE社からのEmpol1008、Empol1012、Empol1061及びEmpol1062、及びArizona Chemical社からのUnidyme10及びUnidyme Tlが含まれる。
【0154】
成分(B)は、例えば190~200mgKOH/gの範囲の酸価を有する。
【0155】
成分(C)
本発明によれば、成分(C)は少なくとも1つのC4~C20ジアミンである。
【0156】
本発明において、「少なくとも1つのC4~C20-ジアミン」とは、厳密に1つのC4~C20-ジアミンか、又は2つ以上のC4~C20ジアミンの混合物を意味すると理解されるべきである。
【0157】
成分(C)が少なくとも1つのC4~C12ジアミンである場合が好ましい。
【0158】
本発明において、「C4~C20-ジアミン」とは、4~20個の炭素原子及び2個のアミノ基(NH2基)を有する脂肪族及び/又は芳香族化合物を意味すると理解されるべきである。脂肪族及び/又は芳香族化合物は、非置換、又はさらに少なくとも一置換され得る。脂肪族及び/又は芳香族化合物がさらに少なくとも一置換される場合、それらは成分(A)、(B)及び(C)の重合に関与しない1つ、2つ又はそれ以上の置換基を有し得る。そのような置換基は、例えばアルキル又はシクロアルキル置換基である。これらはそれ自体当業者に既知である。少なくとも1つのC4~C20-ジアミンは、好ましくは非置換である。同じことがC4~C12-ジアミンにも適用される。
【0159】
適した成分(C)は、例えば、1,4-ジアミノブタン(ブタン-1,4-ジアミン;テトラメチレンジアミン;プトレシン)、1,5-ジアミノペンタン(ペンタメチレンジアミン;ペンタン-1,5-ジアミン;カダベリン)、1,6-ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン;ヘキサン-1,6-ジアミン)、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン(デカメチレンジアミン)、1,11-ジアミノウンデカン(ウンデカメチレンジアミン)及び1,12-ジアミノドデカン(ドデカメチレンジアミン)からなる群から選択される。
【0160】
成分(C)は、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン及びドデカメチレンジアミンからなる群から選択されることが好ましい。
【0161】
よって本発明はまた、成分(C)がテトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン及びドデカメチレンジアミンからなる群から選択される積層体を提供する。
【0162】
製造
本発明による積層体は、当業者に既知の任意の方法によって製造し得る。
【0163】
積層体が連続プロセスで製造される場合が好ましい。
【0164】
本発明による積層体は、好ましくは以下の工程:
a)以下の成分、
(A)カプロラクタム、
(B)少なくとも1つのC4~C40-二酸、及び
(C)少なくとも1つのC4~C20-ジアミン、
の重合によって製造されるコポリアミドを含むポリアミド組成物(PC)のフィルムを提供する工程、
b)少なくとも1つの第一の金属の第一のシートを加熱する工程、
c)工程b)の加熱された第一のシートを、工程a)で提供されたフィルムと共にプレスして、積層体を得る工程、
を含む方法で製造される。
【0165】
よって本発明はまた、以下の工程、
a)以下の成分、
(A)カプロラクタム、
(B)少なくとも1つのC4~C40-二酸、及び
(C)少なくとも1つのC4~C20-ジアミン、
の重合によって製造されるコポリアミドを含むポリアミド組成物(PC)のフィルムを提供する工程、
b)少なくとも1つの第一の金属の第一のシートを加熱する工程、
c)工程b)の加熱された第一のシートを、工程a)で提供されたフィルムと共にプレスして、積層体を得る工程、
を含む、本発明による積層体を製造する方法を提供する。
【0166】
積層体のポリアミド組成物(PC)に関する上記の説明及び好ましいものは、本発明による方法におけるポリアミド組成物(PC)に対応して適用される。積層体のコポリアミドに関する上記の説明及び好ましいものは、本発明の方法におけるコポリアミドにも同様に適用される。積層体の少なくとも1つの第一の金属に関する上記の説明及び好ましいものも同様に、本発明による方法における少なくとも1つの第一の金属に対応して適用される。
【0167】
本発明による積層体は、さらに好ましくは、以下の工程、
a)以下の成分、
(A)カプロラクタム、
(B)少なくとも1つのC4~C40-二酸、及び
(C)少なくとも1つのC4~C20-ジアミン、
の重合によって製造されるコポリアミドを含むポリアミド組成物(PC)のフィルムを提供する工程であって、
そのコポリアミドがアミド基3.5~7個/1000g/モルの範囲のアミド官能基濃度を有する工程、
b)少なくとも1つの第一の金属の第一のシートを加熱する工程、
c)工程b)からの加熱された第一のシートを、工程a)で提供されたフィルムと共にプレスして、積層体を得る工程、
を含む方法で製造される。
【0168】
よって本発明はまた、以下の工程、
a)以下の成分、
(A)カプロラクタム、
(B)少なくとも1つのC4~C40-二酸、及び
(C)少なくとも1つのC4~C20-ジアミン、
の重合によって製造されるコポリアミドを含むポリアミド組成物(PC)のフィルムを提供する工程であって、
そのコポリアミドがアミド基3.5~7個/1000g/モルの範囲のアミド官能基濃度を有する工程、
b)少なくとも1つの第一の金属の第一のシートを加熱する工程、
c)工程b)の加熱された第一のシートを、工程a)で提供されたフィルムと共にプレスして、積層体を得る工程、
を含む、本発明による積層体を製造する方法を提供する。
【0169】
工程a)は、コポリアミド組成物(PC)のフィルムを提供することを含む。工程a)で提供されるフィルムは、ポリアミド組成物(PC)でできている。
【0170】
ポリアミド組成物(PC)のフィルムを提供する方法は、それ自体当業者に既知である。工程a)は、好ましくは押出法によってフィルムを提供することを含む。
【0171】
よって本発明はまた、工程a)が押出法によってフィルムを提供することを含む方法を提供する。
【0172】
ポリアミド組成物(PC)のフィルムを提供するのに適した押出法は、当業者に既知であり、例えば、鋳造プロセス、カレンダープロセス、吹き込みプロセス又はマルチ発泡プロセスが含まれる。
【0173】
工程a)で提供されるポリアミド組成物(PC)のフィルムは、任意の所望の厚さを有し得る。工程a)で提供されるポリアミド組成物(PC)のフィルムは、通常、製造される積層体の少なくとも1つのさらなる層よりも1%~20%大きい範囲の、好ましくは製造される積層体の少なくとも1つのさらなる層よりも2%~15%大きい範囲の、特に好ましくは製造される積層体の少なくとも1つのさらなる層よりも4%~10%大きい範囲の厚さを有する。
【0174】
工程b)は、少なくとも1つの第一の金属の第一のシートを加熱することを含む。第一のシートは、少なくとも1つの第一の金属でできている。第一のシートの加熱は、当業者に既知の任意の方法によって行い得る。工程b)は、好ましくは、誘導手段により第一のシートを加熱することを含む。
【0175】
よって本発明はまた、工程b)における第一のシートの加熱が誘導手段によって行われる方法を提供する。
【0176】
工程b)は、第一のシートを任意の所望の温度に加熱することを含み得る。工程b)は、好ましくは、第一のシートを、ポリアミド組成物(PC)中に存在するコポリアミドの溶解温度(TM(C))を超え、分解温度未満の温度に加熱することを含む。
【0177】
工程b)は、好ましくは、第一のシートを150℃~350℃の範囲の、特に好ましくは210℃~280℃の範囲の、特に好ましくは220℃~250℃の範囲の温度に加熱することを含む。
【0178】
従って本発明はまた、工程b)が第一のシートを150℃~350℃の範囲の温度に加熱することを含む方法を提供する。
【0179】
工程c)は、工程b)からの加熱された第一のシートを工程a)で提供されたフィルムと共にプレスして、積層体を得る工程を含む。これにより、フィルムが第一のシートに接合される。これにより、フィルムの厚さは低減し得る。
【0180】
工程c)において工程b)からの加熱された第一のシートを工程a)で提供されたフィルムと共にプレスする方法は、それ自体当業者に既知である。
【0181】
工程b)及びc)は、同時に又は連続して行ってよい。工程b)及びc)を同時に行うことが好ましい。この場合、工程a)で提供されたフィルムと共にプレスしている間に第一のシートを加熱する。
【0182】
工程c)で得られた積層体は、通常は冷却される。冷却は、当業者に既知の任意の方法、例えば圧縮空気を積層体に吹き付けることによって、実行し得る。積層体は、好ましくは、プレス圧力を維持したまま冷却する。
【0183】
得られた積層体において、加熱された第一のシートは少なくとも1つの第一の金属の第一の層であり、フィルムはポリアミド組成物(PC)の少なくとも1つのさらなる層である。
【0184】
積層体が少なくとも1つの第二の層を含む場合、少なくとも1つの第二の金属の第二のシートを加熱することを含む、追加の工程b1)が行われる。工程b)における第一のシートの加熱に関する上記の説明及び好ましいものは、工程b1)における第二のシートの加熱に対応して適用される。
【0185】
そして工程c)は、加熱された第一のシートを、工程b1)からの加熱された第二のシートと共にプレスする一方、工程a)で提供されたフィルムが2つのシートの間に配置されていることを含む。
【0186】
そして、本発明による積層体を製造する方法は、通常、以下の工程:
a)以下の成分、
(A)カプロラクタム、
(B)少なくとも1つのC4~C40-二酸、及び
(C)少なくとも1つのC4~C20-ジアミン、
の重合によって製造されるコポリアミドを含むポリアミド組成物(PC)のフィルムを提供する工程、
b)少なくとも1つの第一の金属の第一のシートを加熱する工程、
b1)少なくとも1つの第二の金属の第二のシートを加熱する工程、
c)工程a)で提供されたフィルムを、工程b)で加熱された第一のシートと工程b1)で加熱された第二のシートの間に配置し、工程b)で加熱された第一のシートと工程b1)で加熱された第二のシートを、工程a)で提供されたフィルムと共にプレスし、積層体を得る工程、
を含む。
【0187】
よって本発明はまた、少なくとも1つの第二の金属の少なくとも1つの第二の層をさらに含み、少なくとも1つの第一の層が、少なくとも1つの第二の層に、少なくとも1つのさらなる層を介して接合される、本発明による積層体を製造する方法であって、以下の工程:
a)以下の成分、
(A)カプロラクタム、
(B)少なくとも1つのC4~C40-二酸、及び
(C)少なくとも1つのC4~C20-ジアミン、
の重合によって製造されるコポリアミドを含むポリアミド組成物(PC)のフィルムを提供する工程、
b)少なくとも1つの第一の金属の第一のシートを加熱する工程、
b1)少なくとも1つの第二の金属の第二のシートを加熱する工程、
c)工程a)で提供されたフィルムを、工程b)で加熱された第一のシートと工程b1)で加熱された第二のシートの間に配置し、工程b)で加熱された第一のシートと工程b1)で加熱された第二のシートを、工程a)で提供されたフィルムと共にプレスし、積層体を得る工程、
を含む方法を提供する。
【0188】
加えて、本発明はこのように、少なくとも1つの第二の金属の少なくとも1つの第二の層をさらに含み、少なくとも1つの第一の層が、少なくとも1つの第二の層に、少なくとも1つのさらなる層を介して接合される、本発明による積層体を製造する方法であって、以下の工程:
a)以下の成分、
(A)カプロラクタム、
(B)少なくとも1つのC4~C40-二酸、及び
(C)少なくとも1つのC4~C20-ジアミン、
の重合によって製造されるコポリアミドを含むポリアミド組成物(PC)のフィルムを提供する工程であって、
そのコポリアミドがアミド基3.5~7個/1000g/モルの範囲のアミド官能基濃度を有する工程、
b)少なくとも1つの第一の金属の第一のシートを加熱する工程、
b1)少なくとも1つの第二の金属の第二のシートを加熱する工程、
c)工程a)で提供されたフィルムを、工程b)で加熱された第一のシートと工程b1)で加熱された第二のシートの間に配置し、工程b)で加熱された第一のシートと工程b1)で加熱された第二のシートを、工程a)で提供されたフィルムと共にプレスし、積層体を得る工程、
を含む方法を提供する。
【0189】
少なくとも1つの第二の層の少なくとも1つの第二の金属に関する上記の説明及び好ましいものは、本方法における第二のシートの少なくとも1つの第二の金属に対応して適用される。
【0190】
第一のシート及び第一のシートの加熱に関する上記の説明及び好ましいものは、第二のシート及び第二のシートの加熱に対応して適用される。
【0191】
工程c)に関する上記の説明及び好ましいものは、同様に、第二のシートが追加的に配置される工程c)に対応して適用される。
【0192】
以下、実施例を参照して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0193】
次の成分を使用した。
【0194】
ポリアミド/コポリアミド
P1:ポリアミド6(BASF SE社からのUltramid B27E);アミド官能基濃度:8.85/1000g/モル
P2:ポリアミド6.6(BASF SE社からのUltramid A27);アミド官能基濃度:8.85/1000g/モル
P3:ポリアミド6/66/13.6(BASF SE社からのUltramid 1C);アミド官能基濃度9.1/1000g/モル
P4:ポリアミド6.36;アミド官能基濃度:3.10/1000g/モル
P5:ポリアミド6.10(BASF SE社からのUltramid S);アミド官能基濃度:7.09/1000g/モル
C1:30質量%のポリアミド6.36単位を含むポリアミド6/6.36;下記のとおり製造;アミド官能基濃度:5.68/1000g/モル
C2:ポリアミド6.36単位を40質量%含むポリアミド6/6.36;下記のとおり製造;アミド官能基濃度:5.08/1000g/モル
C3:ポリアミド6/6.6(BASF SE社からのUltramid C31);アミド官能基濃度:8.85/1000g/モル
さらなるポリマー
wP1:BASF SE社からのLupolen KR1270
wP2:EP-MSA(エチレン/プロピレン/MSAコポリマー)
wP3:EO-MSA(エチレン/オクチレン/MSAコポリマー)
wP4:BASF SE社からのLupolen KR1270
wP5:EBS(エチレンビスステレアミド(ethylene bisstereamide))
第一及び第二の金属
鋼:HX260LADZ100MBOシート
ポリアミド6/6.36の製造
カプロラクタム、C36-二量体酸(水素化、Croda社からのPripol1009)、ヘキサメチレンジアミンの85質量%水溶液及び水を、最初に窒素で覆い、陽圧及び270℃の温度で7時間反応させ、その後水をさらに4時間真空下で留去して、ポリアミド6/6.36を製造した。得られたポリアミドを排出し、押し出してペレット化し、その後続いて熱水で抽出して、最後に乾燥させた。出発化合物は、得られるポリアミドが、30質量%又は40質量%のポリアミド6/6.36単位を含むような量で使用した。
【0195】
ポリアミド組成物の製造
Haake CTW100押出機で、表1に報告するポリマーを、表1に報告する量で250℃で配合し、直径3mmの丸形ダイを通し1時間あたり2kgのスループットで押し出して、ポリアミド組成物をペレット化形態で得た。表1に報告する量はすべて質量%である。
【0196】
【0197】
ポリアミド組成物のフィルムの製造
ポリアミド組成物のフィルムを製造するために、上記のようにして得られたペレット化ポリアミド組成物を、Haake CTW100で、幅100mmのスロットダイを通し、215℃~235℃で0.5~1.0kg/hのスループットで押し出し、厚さ200μmのポリアミド組成物のフィルムを得た。
【0198】
積層体の製造
製造前に、ポリアミド組成物のフィルムと、鋼の第一のシートと第二のシートの両方を、80℃で7日間貯蔵した。積層体の製造前に、フィルムと鋼の両方を、接着表面領域でn-ヘプタンで洗浄した。
【0199】
積層体を製造するために、鋼の第一のシートと鋼の第二のシートを装置に入れた。ポリアミド組成物のフィルムを、第一のシートと第二のシートの間に置いた。シートを6kgのクランプ力であわせてプレスし、加熱後に0.1mmのフィルム厚さを達成した。
【0200】
第一のシート及び第二のシートを、それぞれプレス中に誘導加熱により3秒以内に240℃の温度まで加熱し、この温度でさらに7秒間保持して、積層体を得た。その後続いて、積層体を圧縮空気で20秒間冷却し、室温までさらに冷却する間にプレス力を解放した。
【0201】
得られた積層体は、製造直後、及び70℃及び62%の相対大気湿度で14日間貯蔵した後、DIN 1465に準拠して、以下の引張せん断試験にかけた。各場合とも5つの試料を試験した。
【0202】
i)試料を室温(25℃)で1時間貯蔵。
ii)試験片保護機能を備えたInstron 10KN/Instron 150KN試験機でのクランプ及び10mm/分の速度で破損するまでの引張力の適用。最大力は、当業者に既知の方法によって被着体表面に関する引張せん断力を決定するために使用する。
iii)被着部をホルダーから取り外し、破壊パターンを文書化する。
【0203】
70℃及び62%の相対大気湿度で14日間貯蔵した後の含水量は、質量測定で決定した。
【0204】
測定結果を表2にまとめる。
【0205】