IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ギガフォトン株式会社の特許一覧

特許7143439極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法
<>
  • 特許-極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法 図1
  • 特許-極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法 図2
  • 特許-極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法 図3
  • 特許-極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法 図4
  • 特許-極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法 図5
  • 特許-極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法 図6
  • 特許-極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法 図7
  • 特許-極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法 図8
  • 特許-極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20220920BHJP
   H05G 2/00 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
G03F7/20 503
H05G2/00 K
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020556542
(86)(22)【出願日】2018-11-15
(86)【国際出願番号】 JP2018042360
(87)【国際公開番号】W WO2020100269
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】300073919
【氏名又は名称】ギガフォトン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】植田 篤
(72)【発明者】
【氏名】永井 伸治
【審査官】牧 隆志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/098193(WO,A1)
【文献】特開2017-097382(JP,A)
【文献】国際公開第2016/175031(WO,A1)
【文献】特開2008-277481(JP,A)
【文献】特開2013-251381(JP,A)
【文献】国際公開第2017/077641(WO,A1)
【文献】特表2014-523640(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0173117(US,A1)
【文献】溝口計 他3名,半導体製造用短波長光源:エキシマレーザーからLPP-EUV光源への挑戦,KOMATSU TECHNICAL REPORT,2016年,Vol.62, No.169,p.27-37
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H05H 1/00 - 1/54
H05G 2/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間のプラズマ生成領域に照射されるレーザ光によりターゲット物質がプラズマ化されるチャンバと、
前記ターゲット物質のプラズマ化により生じる極端紫外光を集光させる集光ミラーと、
前記チャンバ内にガスを供給するガス供給部と、
前記極端紫外光の光路を横切る磁場軸を含む磁場を発生させる磁場発生部と、
前記チャンバにおける前記磁場軸が通る位置に設けられる第1排気口と、
前記第1排気口を通り前記集光ミラーの光軸に垂直な面を基準として前記チャンバにおける前記集光ミラー側と反対側の位置に設けられる第2排気口と、
前記第1排気口から排気される第1排ガスの排気量と前記第2排気口から排気される第2排ガスの排気量との比を調節するガス排気量調節部と、
前記ガス排気量調節部を制御し、前記チャンバ内に供給される前記ガスの量に基づいて前記比を調節する制御部と、
を備える極端紫外光生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第1排気口を一対備え、
一対の前記第1排気口は、前記チャンバにおける前記磁場軸に沿って対向する位置に設けられる極端紫外光生成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ガス排気量調節部は、前記第1排気口から前記第1排ガスを排気させる第1排気ポンプと前記第1排気口との間の第1排気経路に設けられる第1バルブと、前記第2排気口から前記第2排ガスを排気させる第2排気ポンプと前記第2排気口との間の第2排気経路に設けられる第2バルブと、を含む極端紫外光生成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ガス排気量調節部は、前記第1排気口から前記第1排ガスを排気させ前記第2排気口から前記第2排ガスを排気させる排気ポンプと前記第1排気口との間の前記第1排ガスが流れかつ前記第2排ガスの流れが抑制される第1排気経路に設けられる第1バルブと、前記排気ポンプと前記第2排気口との間の前記第2排ガスが流れかつ前記第1排ガスの流れが抑制される第2排気経路に設けられる第2バルブと、を含む極端紫外光生成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ガス排気量調節部は、前記第1排気口から前記第1排ガスを排気させ前記第2排気口から前記第2排ガスを排気させる排気ポンプと前記第2排気口との間の前記第2排ガスが流れかつ前記第1排ガスの流れが抑制される第2排気経路に設けられる第2バルブを含み、
前記排気ポンプと前記第1排気口との間の前記第1排ガスが流れかつ前記第2排ガスの流れが抑制される第1排気経路にはバルブが非配置である極端紫外光生成装置。
【請求項6】
請求項に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ガス供給部から供給される前記ガスの流量を調節する供給ガス流量調節部を更に備え、
前記制御部は、前記供給ガス流量調節部を制御し、前記レーザ光の強度に基づいて前記チャンバ内に供給される前記ガスの量を調節する極端紫外光生成装置。
【請求項7】
請求項に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ガス供給部は、前記集光ミラーの外周部から前記集光ミラーの反射面に沿って前記ガスを供給する第1ガス供給部と、前記集光ミラーに形成された貫通孔から前記ガスを供給する第2ガス供給部とを含み、
前記制御部は、前記供給ガス流量調節部を制御し、前記第2ガス供給部から供給される前記ガスの量を調節する極端紫外光生成装置。
【請求項8】
請求項に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記第2ガス供給部は、前記集光ミラーから離れる方向に向かって前記ガスを供給する極端紫外光生成装置。
【請求項9】
請求項1に記載の極端紫外光生成装置であって、
前記ターゲット物質はスズであり、前記ガスは水素を含有する極端紫外光生成装置。
【請求項10】
極端紫外光生成装置によって極端紫外光を生成し、
前記極端紫外光を露光装置に出力し、
電子デバイスを製造するために、前記露光装置内で感光基板上に前記極端紫外光を露光し、
前記極端紫外光生成装置は、
内部空間のプラズマ生成領域に照射されるレーザ光によりターゲット物質がプラズマ化されるチャンバと、
前記ターゲット物質のプラズマ化により生じる前記極端紫外光を集光させる集光ミラーと、
前記チャンバ内にガスを供給するガス供給部と、
前記極端紫外光の光路を横切る磁場軸を含む磁場を発生させる磁場発生部と、
前記チャンバにおける前記磁場軸が通る位置に設けられる第1排気口と、
前記第1排気口を通り前記集光ミラーの光軸に垂直な面を基準として前記チャンバにおける前記集光ミラー側と反対側の位置に設けられる第2排気口と、
前記第1排気口から排気される第1排ガスの排気量と前記第2排気口から排気される第2排ガスの排気量との比を調節するガス排気量調節部と、
前記ガス排気量調節部を制御し、前記チャンバ内に供給される前記ガスの量に基づいて前記比を調節する制御部と、
を備える電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、20nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、波長13nm程度の極端紫外(EUV:extreme ultraviolet)光を生成するための装置と縮小投影反射光学系(reduced projection reflective optics)とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
極端紫外光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することによって生成されるプラズマが用いられるLPP(Laser Produced Plasma)式の装置と、放電によって生成されるプラズマが用いられるDPP(Discharge Produced Plasma)式の装置と、軌道放射光が用いられるSR(Synchrotron Radiation)式の装置との3種類の装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2018/0224748号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0161540号明細書
【概要】
【0005】
本開示の一態様による極端紫外光生成装置は、内部空間のプラズマ生成領域に照射されるレーザ光によりターゲット物質がプラズマ化されるチャンバと、ターゲット物質のプラズマ化により生じる極端紫外光を集光させる集光ミラーと、チャンバ内にガスを供給するガス供給部と、極端紫外光の光路を横切る磁場軸を含む磁場を発生させる磁場発生部と、チャンバにおける磁場軸が通る位置に設けられる第1排気口と、第1排気口を通り集光ミラーの光軸に垂直な面を基準としてチャンバにおける集光ミラー側と反対側の位置に設けられる第2排気口と、第1排気口から排気される第1排ガスの排気量と第2排気口から排気される第2排ガスの排気量との比を調節するガス排気量調節部と、を備えてもよい。
【0006】
また、本開示の一態様による電子デバイスの製造方法は、極端紫外光生成装置によって極端紫外光を生成し、極端紫外光を露光装置に出力し、電子デバイスを製造するために、露光装置内で感光基板上に極端紫外光を露光し、極端紫外光生成装置は、内部空間のプラズマ生成領域に照射されるレーザ光によりターゲット物質がプラズマ化されるチャンバと、ターゲット物質のプラズマ化により生じる極端紫外光を集光させる集光ミラーと、チャンバ内にガスを供給するガス供給部と、極端紫外光の光路を横切る磁場軸を含む磁場を発生させる磁場発生部と、チャンバにおける磁場軸が通る位置に設けられる第1排気口と、第1排気口を通り集光ミラーの光軸に垂直な面を基準としてチャンバにおける集光ミラー側と反対側の位置に設けられる第2排気口と、第1排気口から排気される第1排ガスの排気量と第2排気口から排気される第2排ガスの排気量との比を調節するガス排気量調節部と、を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1図1は、電子デバイスの製造装置の全体の概略構成例を示す模式図である。
図2図2は、極端紫外光生成装置の全体の概略構成例を示す模式図である。
図3図3は、比較例におけるEUV光生成装置におけるチャンバを含む一部の概略構成を示す模式図である。
図4図4は、実施形態1におけるEUV光生成装置におけるチャンバを含む一部の概略構成を示す模式図である。
図5図5は、初期状態からEUV光生成装置がEUV光を出射するまでの制御部の動作を示すフローチャートである。
図6図6は、EUV光生成装置からEUV光が出射している状態での制御部の動作を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態2におけるEUV光生成装置におけるチャンバを含む一部の概略構成を示す模式図である。
図8図8は、実施形態3におけるEUV光生成装置におけるチャンバを含む一部の概略構成を示す模式図である。
図9図9は、実施形態4におけるEUV光生成装置におけるチャンバを含む一部の概略構成を示す模式図である。
【実施形態】
【0008】
1.概要
2.電子デバイスの製造装置の説明
3.比較例の極端紫外光生成装置の説明
3.1 構成
3.2 動作
3.3 課題
4.実施形態1の極端紫外光生成装置の説明
4.1 構成
4.2 動作
4.3 作用・効果
5.実施形態2の極端紫外光生成装置の説明
5.1 構成
5.2 動作
5.3 作用・効果
6.実施形態3の極端紫外光生成装置の説明
6.1 構成
6.2 動作
6.3 作用・効果
7.実施形態4の極端紫外光生成装置の説明
7.1 構成
7.2 動作
7.3 作用・効果
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
1.概要
本開示の実施形態は、極端紫外(EUV:Extreme UltraViolet)と呼ばれる波長の光を生成する極端紫外光生成装置及び電子デバイスの製造装置に関するものである。なお、以下本明細書では、極端紫外光をEUV光という場合がある。
【0011】
2.電子デバイスの製造装置の説明
図1に示すように、電子デバイス製造装置は、EUV光生成装置100及び露光装置200を含む。露光装置200は、複数のミラー211,212を含むマスク照射部210と、複数のミラー221,222を含むワークピース照射部220とを含む。マスク照射部210は、EUV光生成装置100から入射したEUV光101によって、反射光学系を介してマスクテーブルMTのマスクパターンを照明する。ワークピース照射部220は、マスクテーブルMTによって反射されたEUV光101を、反射光学系を介してワークピーステーブルWT上に配置された図示しないワークピース上に結像させる。ワークピースはフォトレジストが塗布された半導体ウエハ等の感光基板である。露光装置200は、マスクテーブルMTとワークピーステーブルWTとを同期して平行移動させることにより、マスクパターンを反映したEUV光101をワークピースに露光する。以上のような露光工程によって半導体ウエハにデバイスパターンを転写することで半導体デバイスを製造することができる。
【0012】
3.比較例の極端紫外光生成装置の説明
3.1 構成
比較例の極端紫外光生成装置について説明する。図2は、本例の極端紫外光生成装置の全体の概略構成例を示す模式図である。図2に示すように、本実施形態のEUV光生成装置100には、レーザ装置30が接続されている。本実施形態のEUV光生成装置100は、チャンバ10、制御部20、及びレーザ光デリバリ光学系35を含む。
【0013】
チャンバ10は、密閉可能な容器である。チャンバ10にはサブチャンバ15が連設されており、サブチャンバ15にターゲット供給部40が設けられている。ターゲット供給部40は、タンク41と、ノズル42とを含む。ターゲット供給部40は、ドロップレットDLをチャンバ10の内部空間に供給するよう構成され、例えば、サブチャンバ15の壁を貫通するように取り付けられている。ドロップレットDLは、ターゲットとも呼ばれ、ターゲット供給部40から供給される。
【0014】
タンク41は、その内部にドロップレットDLとなるターゲット物質を貯蔵する。ターゲット物質は、スズ、テルビウム、ガドリニウム、リチウム、キセノンのいずれか、または、それらの内のいずれか2つ以上の組合せを含んでもよいが、これらに限定されない。また、タンク41の内部は、ガス圧を調節する圧力調節器43と配管を介して連通している。また、タンク41にはヒータ44が取り付けられている。ヒータ44は、ヒータ電源45から供給される電流により、タンク41を加熱する。この加熱により、タンク41内のターゲット物質は溶融する。圧力調節器43及びヒータ電源45は、制御部20に接続されている。
【0015】
ノズル42は、タンク41に取り付けられ、ターゲット物質を吐出する。ノズル42には、ピエゾ素子46が取り付けられている。ピエゾ素子46は、ピエゾ電源47に接続されており、ピエゾ電源47から印加される電圧で駆動する。ピエゾ電源47は、制御部20に接続されている。このピエゾ素子46の動作により、ノズル42から突出されるターゲット物質はドロップレットDLにされる。
【0016】
また、チャンバ10には、ターゲット回収部14が設けられている。ターゲット回収部14は不要なドロップレットDLを回収する。
【0017】
チャンバ10の壁には、少なくとも1つの貫通孔が設けられている。その貫通孔は、ウィンドウ12によって塞がれ、ウィンドウ12をレーザ装置30から出射されるパルス状のレーザ光301が透過する。
【0018】
また、チャンバ10内には、レーザ集光光学系13が配置されている。レーザ集光光学系13は、レーザ光集光ミラー13Aおよび高反射ミラー13Bを有する。レーザ光集光ミラー13Aは、ウィンドウ12を透過するレーザ光301を反射して集光する。高反射ミラー13Bは、レーザ光集光ミラー13Aが集光する光を反射する。これらレーザ光集光ミラー13Aおよび高反射ミラー13Bの位置は、レーザ光マニュピレータ13Cにより、チャンバ10内でのレーザ集光位置が制御部20から指定された位置になるように調節される。
【0019】
チャンバ10の内部には、例えば、回転楕円面形状の反射面を有するEUV光集光ミラー50が配置される。EUV光集光ミラー50は、第1及び第2の焦点を有する。EUV光集光ミラー50は、例えば、その第1の焦点がプラズマ生成領域ARに位置し、その第2の焦点が中間集光点IFに位置するように配置されてもよい。EUV光集光ミラー50の中央部には貫通孔が設けられ、貫通孔を上記のパルス状のレーザ光301が通過する。
【0020】
また、EUV光生成装置100は、チャンバ10の内部空間と露光装置200の内部空間とを連通させる接続部19を含む。接続部19内部には、アパーチャが形成された壁が設けられる。この壁は、アパーチャがEUV光集光ミラー50の第2の焦点位置に位置するように配置されることが好ましい。
【0021】
また、EUV光生成装置100は、圧力センサ26を含む。圧力センサ26は、チャンバ10の内部空間の圧力を計測する。また、EUV光生成装置100は、チャンバ10に取り付けられるターゲットセンサ27を含む。ターゲットセンサ27は、例えば撮像機能を有し、ドロップレットDLの存在、軌跡、位置、速度等を検出するよう構成される。圧力センサ26及びターゲットセンサ27は、制御部20に接続されている。
【0022】
レーザ装置30は、バースト動作する光源であるマスターオシレータを含む。マスターオシレータは、バーストオンでパルス状のレーザ光301を出射する。マスターオシレータは、例えば、ヘリウムや窒素等が炭酸ガス中に混合された気体を放電によって励起することで、レーザ光を出射するレーザ装置である。あるいは、マスターオシレータは、量子カスケードレーザ装置でもよい。また、マスターオシレータは、Qスイッチ方式により、パルス状のレーザ光301を出射する。なお、マスターオシレータは、光スイッチや偏光子等を有してもよい。なお、バースト動作とは、バーストオン時に連続したパルス状のレーザ光を所定の繰り返し周波数で出射し、バーストオフ時にレーザ光301の出射が抑制される動作を意味する。
【0023】
レーザ装置30から出射するレーザ光301は、レーザ光デリバリ光学系35で進行方向が調節される。レーザ光デリバリ光学系35は、レーザ光301の進行方向を調節するための複数のミラー35A,35Bを含み、これらミラー35A,35Bの少なくとも一部が不図示のアクチュエータで位置が調節される。このようにミラー35A,35Bの少なくとも一部の位置が調節されることで、レーザ光301がウィンドウ12から適切にチャンバ10内に伝搬し得る。
【0024】
制御部20は、CPU(中央処理装置)等を有するコンピュータから成る。この制御部20は、EUV光生成装置100全体を制御するよう構成され、さらにレーザ装置30をも制御する。制御部20には、圧力センサ26で計測されたチャンバ10の内部空間の圧力に係る信号や、ターゲットセンサ27によって撮像されたドロップレットDLのイメージデータに係る信号や、露光装置200からのバースト信号等が入力する。制御部20は、上記イメージデータ等を処理するよう構成され、例えば、ドロップレットDLが出力されるタイミング、ドロップレットDLの出力方向等を制御するよう構成される。上述の様々な制御は単なる例示に過ぎず、後述のように他の制御が追加される。
【0025】
次に、チャンバ10の構成についてより詳細に説明する。
【0026】
図3は、比較例におけるEUV光生成装置100におけるチャンバ10を含む一部の概略構成を示す模式図である。なお、図3では、レーザ集光光学系13が省略されている。図2図3に示すように、チャンバ10には、エッチングガスをチャンバ10の内部空間に供給する第1ガス供給部72及び第2ガス供給部73が配置されている。第1ガス供給部72及び第2ガス供給部73は、配管を介してエッチングガスを供給するガス供給タンク74に接続されている。ターゲット物質がスズである場合、エッチングガスは、例えば水素ガス濃度が3%程度のバランスガスである。バランスガスには、窒素(N)ガスやアルゴン(Ar)ガスが含まれてもよい。以下、ターゲット物質がスズであり、エッチングガスが水素を含有するものとして説明をする。
【0027】
第1ガス供給部72は、チャンバ10内に供給するエッチングガスがEUV光集光ミラー50の外周部から反射面に沿って流れるように調節されている。また、第2ガス供給部73は、円錐台状の筒形状をしており、コーンと呼ばれる場合がある。第2ガス供給部73のガス供給口はEUV光集光ミラー50に形成された貫通孔に挿入され、第2ガス供給部73は当該貫通孔からエッチングガスをEUV光集光ミラー50から離れる方向に供給する。また、レーザ光301は、第2ガス供給部73を介して、上記のようにEUV光集光ミラー50の貫通孔を通過する。したがって、第2ガス供給部73のウィンドウ12側はレーザ光301が透過可能な構成である。
【0028】
ドロップレットDLを構成するターゲット物質がプラズマ生成領域ARでプラズマ化するとスズ微粒子及びスズイオンが生じる。第1ガス供給部72及び第2ガス供給部73から供給されるエッチングガスは、これらスズ微粒子及びスズイオンと反応する水素を含む。具体的には、スズ微粒子及びスズイオンが水素と反応すると常温で気体のスタンナン(SnH)になる。なお、第1ガス供給部72及びと第2ガス供給部73の少なくとも一方とガス供給タンク74との間の配管には、不図示の供給ガス流量調節部が設けられてもよい。
【0029】
また、チャンバ10には、一対の排気部81が設けられている。排気部81は、チャンバ10内の残留ガスを排気する構成である。図3に示すように、それぞれの排気部81の排気口81Eは、例えばチャンバ10の壁の互いに対向する位置に形成されている。残留ガスは、ターゲット物質のプラズマ化により生じた微粒子及び荷電粒子と、それらがエッチングガスと反応した生成物と、未反応のエッチングガスとを含む。なお、荷電粒子の一部はチャンバ10内で中性化するが、この中性化した荷電粒子も残留ガスに含まれる。この残留ガスが排気される排気部81は排気管81Pに接続されている。排気管81Pは、排気ポンプ85に接続されており、排気口81Eから排気される残留ガスは、排気管81Pを介して排気ポンプ85に流入し、排気ポンプ85で所定の排気処理が施される。
【0030】
また、EUV光生成装置100は、磁場発生部65を含む。磁場発生部65は、プラズマ生成領域ARで生じる荷電粒子が排気口81Eに収束するための磁場MLを発生する構成である。磁場発生部65は、例えば、互いに対向するチャンバ10の壁を挟むように配置した一対の電磁石65Mにより構成し得る。一対の電磁石65Mは、それぞれの電磁石65Mの中間にプラズマ生成領域ARが位置するように配置される。一方の電磁石65Mの超電導コイルを流れる電流の方向と、他方の電磁石65Mの超電導コイルを流れる電流の方向とは互いに同じ方向である。このような電流が一対の超電導コイルに印加されると、それぞれの電磁石65Mの近傍で磁束密度が最も高く、プラズマ生成領域ARに向かうほど磁束密度が低くなる磁場MLが発生する。この磁場MLの磁場軸MAは、EUV光集光ミラー50の反射光路を横切り、プラズマ生成領域ARを通ることが好ましい。この磁場MLはミラー磁場と呼ばれることもある。
【0031】
なお、磁場発生部65は、一方の電磁石65M側からプラズマ生成領域ARを介して他方の電磁石65M側に荷電粒子が収束するための磁場を発生するようにしてもよい。また、磁場発生部65は、一対の電磁石65Mにより構成されたが、一対の永久磁石により構成されてもよい。また、磁場を発生するための磁石である電磁石65Mもしくは永久磁石がチャンバ10の内部にあってもよい。
【0032】
また、上記のように、本比較例では、排気口81Eがチャンバ10の壁の互いに対向する位置に設けられ、これら排気口81Eから荷電粒子を排気させる。このため、一対の排気口81Eは、図3に示す例では磁場軸MAに沿って対向し、チャンバ10における磁場軸MAが通る位置に設けられている。
【0033】
また、一対の排気部81の少なくとも一方に、微粒子をトラップするヒータ等のトラップ機構が設けられてもよい。
【0034】
3.2 動作
次に、比較例のEUV光生成装置100の動作について説明する。EUV光生成装置100では、例えば、新規導入時やメンテナンス時等において、チャンバ10内の大気が排気される。その際、大気成分の排気のために、チャンバ10内のパージと排気とを繰り返してもよい。パージガスには、例えば、窒素(N)やアルゴン(Ar)などの不活性ガスが用いられることが好ましい。その後、チャンバ10内の圧力が所定の圧力以下になると、制御部20は、第1ガス供給部72及び第2ガス供給部73からチャンバ10内へのエッチングガスの導入を開始する。このとき制御部20は、チャンバ10の内部空間の圧力が所定の圧力に維持されるように、不図示の供給ガス流量調節部や排気ポンプ85を制御してもよい。その後、制御部20は、エッチングガスの導入開始から所定時間が経過するまで待機する。
【0035】
また、制御部20は、磁場発生部65の電磁石65Mを駆動し、磁場MLを発生させる。また、制御部20は、排気部81から排気ポンプ85にチャンバ10の内部空間内の気体を排気させ、圧力センサ26で計測されたチャンバ10の内部空間の圧力の信号に基づいて、チャンバ10の内部空間内の圧力を略一定に保つ。このときのチャンバ10の内部空間内の圧力は、例えば10Pa~160Paの範囲内である。
【0036】
また、制御部20は、タンク41内のターゲット物質を融点以上の所定温度に加熱および維持するために、ヒータ電源45から電流を供給してヒータ44を昇温する。このとき、不図示の温度センサからの出力に基づいて、ヒータ電源45からヒータ44へ供給する電流量を調節し、ターゲット物質の温度を所定温度に制御する。なお、所定温度は、ターゲット物質にスズを用いた場合、例えば250℃~290℃の範囲内の温度である。
【0037】
また、制御部20は、ノズル42のノズル孔から溶融したターゲット物質が所定の速度で出力するように、圧力調節器43によってタンク41内の圧力を制御する。ノズル42の孔から吐出するターゲット物質はジェットの形態をとってもよい。このとき、制御部20は、ドロップレットDLを生成するために、ピエゾ電源47を介してピエゾ素子46に所定波形の電圧を印加する。ピエゾ素子46の振動は、ノズル42を経由してノズルの孔から出力されるターゲット物質のジェットへと伝搬し得る。ターゲット物質のジェットは、この振動により所定周期で分断され、ターゲット物質から液滴のドロップレットDLが生成される。
【0038】
また、制御部20は、発光トリガをレーザ装置30に出力する。発光トリガが入力されると、レーザ装置30は、パルス状のレーザ光301を出射する。出射されたレーザ光301は、レーザ光デリバリ光学系35とウィンドウ12とを経由して、レーザ集光光学系13に入射される。このとき、制御部20は、レーザ光301がプラズマ生成領域ARで集光するように、レーザ集光光学系13のレーザ光マニュピレータ13Cを制御する。また、制御部20は、ドロップレットDLにレーザ光301が照射されるように、ターゲットセンサ27からの信号に基づいて、レーザ装置30からレーザ光301を出射させる。このため、レーザ光集光ミラー13Aで収束されるレーザ光301は、プラズマ生成領域ARでドロップレットDLに照射される。この照射により生成されたプラズマから、EUV光を含む光が放射される。
【0039】
プラズマ生成領域ARで発生したEUV光を含む光のうち、EUV光101は、EUV光集光ミラー50によって中間集光点IFで集光された後、接続部19から露光装置200に入射される。従って、接続部19は、EUV光生成装置100におけるEUV光の出射口であると理解し得る。
【0040】
ところで、ターゲット物質がプラズマ化する際、上記のように荷電粒子が生じる。荷電粒子は、磁場MLからローレンツ力を受けることで磁力線に垂直な面内で回転する軌道を描いて運動する。このように運動する荷電粒子が排気口81Eの方向に速度成分を有している場合、荷電粒子は磁力線に沿って螺旋軌道を描いて収束しながらチャンバ10の壁に向かう。従って、荷電粒子の多くは、磁場MLの収束部付近のチャンバ10の壁に設けられた排気口81Eに誘導され、排気口81Eに流入する。排気口81Eから排気管81P内に達した荷電粒子は排ガスの気流に乗って排気ポンプ85に流入する。
【0041】
また、ターゲット物質がプラズマ化する際、上記荷電粒子の他に電気的に中性な微粒子が生じる。この微粒子は、磁場発生部65により発生される磁場MLの影響を受けないためチャンバ10内に拡散する。チャンバ10内に拡散した微粒子の一部はEUV光集光ミラー50の反射面に付着する。反射面に付着した微粒子は、第1ガス供給部72及び第2ガス供給部73から供給されるエッチングガスと反応し、この反応により所定の生成物となる。上記のようにターゲット物質がスズであり、エッチングガスが水素を含むガスである場合、生成物は常温で気体のスタンナンである。エッチングガスとの反応により得られた生成物の多くは、未反応のエッチングガスの流れにのって、排気部81の排気口81Eから排気管81Pに流入する。また、磁場MLによって排気口81Eに収束しなかった荷電粒子、及び、EUV光集光ミラー50の反射面に付着しなかった微粒子の少なくとも一部は、チャンバ10内を流れる未反応のエッチングガスの一部と反応し得る。この反応により得られる生成物の多くは、未反応のエッチングガスの流れにのって、排気口81Eから排気管81Pに流入する。また、未反応のエッチングガスの少なくとも一部は、排気口81Eから排気管81Pに流入する。
【0042】
排気部81の排気口81Eに流入した未反応のエッチングガス、微粒子、荷電粒子、中性化した荷電粒子、及び上記の生成物等は、排ガスとして排気管81Pから排気ポンプ85に流入し無害化等の所定の排気処理が施される。
【0043】
3.3 課題
ドロップレットDLのプラズマ化により生じた荷電粒子、微粒子の多くは、上記のように排気口81Eから排出される。しかし、チャンバ10内の一部の荷電粒子や微粒子は、排気口81Eから排出されずにチャンバ10内に残留する場合がある。チャンバ10内に荷電粒子が滞留すると、当該荷電粒子は中性化し易くなる。また、チャンバ10内に滞留する荷電粒子がチャンバ10内の微粒子と衝突して新たな微粒子を生じさせ得る。チャンバ10内に微粒子が残留すると、EUV光集光ミラー50の反射面55に微粒子が堆積する傾向が強くなる。その結果、EUV光集光ミラー50の反射率が低下するという不具合が生じ得る。EUV光集光ミラー50の反射率が低下すると、EUV光生成装置100からのEUV光の出力が低下するという懸念がある。
【0044】
そこで、以下の実施形態では、EUV光の反射率の低下を抑制し得る極端紫外光生成装置が例示される。
【0045】
4.実施形態1の極端紫外光生成装置の説明
次に、実施形態1の極端紫外光生成装置の構成を説明する。なお、上記において説明した構成と同様の構成については同一の符号を付し、特に説明する場合を除き、重複する説明は省略する。
【0046】
4.1 構成
図4は、本実施形態におけるEUV光生成装置100におけるチャンバ10を含む一部の概略構成を示す模式図である。なお、図3と同様に図4では、レーザ集光光学系13が省略されている。本実施形態のチャンバ10は、第2排気部83が設けられている点において比較例のチャンバ10と主に異なる。なお、以下の説明では、比較例で説明した排気部81を第1排気部81と呼び、排気口81Eを第1排気口81Eと呼び、排気管81Pを第1排気管81Pと呼ぶ。本実施形態では、第1排気部81及び第2排気部83が設けられるため、チャンバ10内の残留ガスは、第1排気部81から第1排ガスとして排気され、第2排気部83から第2排ガスとして排気される。
【0047】
図4に示すように、第2排気部83は第2排気口83Eを含む。第2排気口83Eは、第1排気口81Eを通りEUV光集光ミラー50の光軸に垂直な面を基準としてチャンバ10におけるEUV光集光ミラー50側と反対側の位置に設けられている。上記のように一対の第1排気口81Eは、チャンバ10における磁場軸MAが通る位置に設けられている。従って、この磁場軸MAが、プラズマ生成領域ARを通ってEUV光集光ミラー50の反射光路を横切るのであれば、第2排気口83Eは、プラズマ生成領域ARよりもEUV光の出射口である接続部19側に設けられている。
【0048】
第2排気口83Eは、第2排気管83Pに接続されている。第2排気管83Pは、ガス排気量調節部86に接続されている。また、本実施形態では、第1排気管81Pも、第2排気管83Pと同様に、ガス排気量調節部86に接続されている。ガス排気量調節部86は、排気管87に接続されている。排気管87は排気ポンプ85に接続されている。
【0049】
ガス排気量調節部86は、第1排気管81Pから排気管87に排気される第1排ガスと第2排気管83Pから排気管87に排気される第2排ガスとの比を調節する。上記のように、第1排気管81Pは第1排気口81Eに接続され、第2排気管83Pは第2排気口83Eに接続されている。このため、ガス排気量調節部86は、第1排気口81Eから排気される第1排ガスと第2排気口83Eから排気される第2排ガスとの比を調節する。
【0050】
本実施形態では、第1排ガスが流れかつ第2排ガスの流れが抑制される経路を第1排気経路とすると、第1排気口81Eからガス排気量調節部86までが第1排気経路となる。また、第2排ガスが流れかつ第1排ガスの流れが抑制される経路を第2排気経路とすると、第2排気口83Eからガス排気量調節部86までが第2排気経路となる。
【0051】
排気ポンプ85は、排気管87からガスを排気させるポンプである。従って、排気ポンプ85は、排気管87及びガス排気量調節部86を介して、チャンバ10内の残留ガスの一部を第1排ガスとして第1排気口81Eから第1排気管81Pに排気させ、当該残留ガスの他の一部を第2排ガスとして第2排気口83Eから第2排気管83Pに排気させる。
【0052】
また、本実施形態では、ガス供給タンク74と第1ガス供給部72との間の配管、及び、ガス供給タンク74と第2ガス供給部73との間の配管に供給ガス流量調節部76が設けられている。供給ガス流量調節部76は、ガス供給タンク74から第1ガス供給部72に流れるエッチングガスの流量、ガス供給タンク74から第2ガス供給部73に流れるエッチングガスの流量をそれぞれ調節する。
【0053】
また、本実施形態では、チャンバ10にEUV光計測部28が設けられている。EUV光計測部28は、プラズマ生成領域ARで発生した光のうち、プラズマ生成領域ARから放射される一部のEUV光の強度を検知して、この強度に応じた信号を出力する。
【0054】
また、本実施形態では、EUV光計測部28、ガス排気量調節部86、及び供給ガス流量調節部76は制御部20に接続されている。本実施形態では、制御部20は、比較例の動作に加えて、ガス排気量調節部86及び供給ガス流量調節部76を制御する。
【0055】
制御部20には、メモリ25が接続されている。メモリ25には、第1ガス供給部72から供給されるエッチングガスの量と第2ガス供給部73から供給されるエッチングガスの量とが関連つけられたテーブルが記憶されている。このエッチングガスの量は、レーザ装置30から出射されるレーザ光301の強度に基づいて定められている。このため、メモリ25には、さらに、レーザ光301の強度とチャンバ10内に供給されるエッチングガスの量とが関連つけられたテーブルが記憶されている。本実施形態では、レーザ光301の強度が高い程、チャンバ10内に供給されるエッチングガスの量が多くなる。なお、本実施形態では、第1ガス供給部72から供給されるエッチングガスの量がレーザ光301の強度によらず一定である。このため、メモリ25に記憶されているテーブルには、レーザ光301の強度に応じた第2ガス供給部73から供給されるエッチングガスの量のみが記憶されていてもよい。なお、本実施形態と異なり、第1ガス供給部72から供給されるエッチングガスの量がレーザ光301の強度に応じて変動してもよい。
【0056】
また、メモリ25には、第1排気部81から排気される第1排ガスの量と第2排気部83から排気される第2排ガスの量との比が記憶されている。この比は、チャンバ10内に供給されるエッチングガスの量に基づいて定められている。従って、メモリ25には、エッチングガスの量と上記比とが関連つけられたテーブルが記憶されている。例えば、第1排ガスの量:第2排ガスの量が70%:30%から30%:70%と定められる。
【0057】
4.2 動作
次に、本実施形態のEUV光生成装置100の動作について説明する。図5は、初期状態からEUV光生成装置100がEUV光を出射するまでの制御部20の動作を示すフローチャートである。
【0058】
(ステップSP11)
比較例と同様に、例えば、新規導入時やメンテナンス時等では、ステップSP11において、チャンバ10内の大気が排気され、チャンバ10内は減圧される。
【0059】
(ステップSP12)
チャンバ10内の圧力が初期状態として規定された所定の圧力以下になると、本ステップでは、制御部20は、第1ガス供給部72及び第2ガス供給部73からチャンバ10内へのエッチングガスの供給を開始する。この段階では、レーザ装置30からはレーザ光301が出射していない。ただし、本実施形態では、後述のステップSP17においてレーザ装置30からレーザ光301が所定の強度で出射される場合におけるエッチングガスの量となるように、制御部20はメモリ25を参照して供給ガス流量調節部76を制御する。また、このとき、第1ガス供給部72から供給されるエッチングガスの量と第2ガス供給部73から供給されるエッチングガスの量とが所定の比となるように、制御部20はメモリ25を参照して供給ガス流量調節部76を制御する。供給ガス流量調節部76は、制御部20からの制御信号に基づいて、第1ガス供給部72から供給されるエッチングガスの量及び第2ガス供給部73から供給されるエッチングガスの量を調節する。
【0060】
(ステップSP13)
本ステップでは、制御部20は、チャンバ10内に供給されるエッチングガスの量と同量のガスが排気されるようガス排気量調節部86を制御する。このとき、制御部20は、メモリ25に記憶されたテーブルを参照し、第1排ガスの量と第2排ガスの量との比が所定の比となるように、ガス排気量調節部86を制御する。上記のように第1排ガスの量と第2排ガスの量との比は、チャンバ10内に供給されるエッチングガスの量に基づいて定められている。従って、このときの所定の比は、後述のステップSP17においてレーザ装置30からレーザ光301が所定の強度で出射される場合においてチャンバ10内に供給されるエッチングガスの量での比である。
【0061】
(ステップSP14)
本ステップでは、制御部20は、圧力センサ26からの信号に基づき、チャンバ10内の圧力が所定の圧力の範囲内である場合にはステップSP15に進み、チャンバ10内の圧力が所定の圧力の範囲内にない場合にはステップSP12に戻る。このときのチャンバ10の内部空間内の圧力は、例えば10Pa~160Paの範囲内である。
【0062】
(ステップSP15)
本ステップでは、制御部20は、比較例と同様に、磁場発生部65の電磁石65Mを駆動し、磁場MLを発生させる。
【0063】
(ステップSP16)
本ステップでは、制御部20は、比較例と同様に、ノズル42のノズル孔から溶融したターゲット物質が所定の速度で出力するように、圧力調節器43によってタンク41内の圧力を制御する。
【0064】
(ステップSP17)
本ステップでは、制御部20は、比較例と同様に、発光トリガをレーザ装置30に出力する。発光トリガが入力されると、レーザ装置30は、所定の強度のパルス状のレーザ光301を出射する。出射されたレーザ光301は、比較例と同様に、プラズマ生成領域ARで集光されて、ドロップレットDLにレーザ光301が照射される。なお、このとき、第1ガス供給部72から供給されるエッチングガスの量、及び、第2ガス供給部73から供給されるエッチングガスの量は、ステップSP12において供給されるエッチングガスの量のままである。
【0065】
(ステップSP18)
本ステップでは、ステップSP17におけるドロップレットDLへのレーザ光301の照射により生成されたプラズマから、EUV光を含む光が放射される。比較例と同様にして、プラズマ生成領域ARで発生したEUV光を含む光のうち、EUV光101は、接続部19から露光装置200に入射される。
【0066】
次に、EUV光生成装置100からEUV光101が出射している状態でのEUV光生成装置100の動作について説明する。図6は、EUV光生成装置100からEUV光101が出射している状態での制御部20の動作を示すフローチャートである。
【0067】
(ステップSP21)
図5のステップSP18でEUV光生成装置100からEUV光101が出射している状態が図6に示すスタートの状態である。本ステップでは、EUV光生成装置100から出射しているEUV光101の強度が計測される。具体的には、EUV光計測部28が、プラズマ生成領域ARで発生した光のうち、プラズマ生成領域ARから放射される一部のEUV光の強度を検知して、この強度に応じた信号を出力する。出力された信号は、制御部20に入力する。EUV光計測部28で計測されるEUV光の強度は、EUV光生成装置100の接続部19から出射するEUV光101の強度とは異なる。しかし、プラズマ生成領域ARから放射されEUV光計測部28で検知されるEUV光の強度は、EUV光生成装置100の接続部19から出射するEUV光101の強度と相関する。従って、本実施形態では、プラズマ生成領域ARから放射されEUV光計測部28で検知されるEUV光の強度を用いて、EUV光生成装置100の接続部19から出射するEUV光101の強度を計測している。
【0068】
(ステップSP22)
本ステップでは、制御部20は、EUV光計測部28から入力する信号を用いて、接続部19から出射するEUV光101の強度が所定の範囲内にあるか否かを判断する。制御部20は、EUV光計測部28から入力する信号を用いて、EUV光生成装置100の接続部19から出射するEUV光101の強度を算出して上記判断をしてもよい。或いは、制御部20は、EUV光計測部28で検知されるEUV光の強度が所定の範囲内にあるか否かを判断し、この判断を接続部19から出射するEUV光101の強度が所定の範囲内にあるか否かの判断とする。EUV光101の強度が所定の範囲内であれば、EUV光生成装置100の接続部19から出射するEUV光101を変化させる必要がない。従って、レーザ装置30から出射されるレーザ光301を変化させる必要がない。この場合、制御部20は、ステップSP21に戻り、EUV光計測部28から出力する信号を受ける。一方、制御部20が、EUV光101の強度が所定の範囲内にないと判断する場合、ステップSP23に進む。
【0069】
(ステップSP23)
本ステップでは、制御部20は、レーザ装置30からレーザ光301の出射を中止するか否かを判断する。まず、制御部20は、ステップSP22において、接続部19から出射するEUV光101の強度と上記の所定の範囲との差が一定の強度以上であるか否かを判断する。EUV光101の強度と上記の所定の範囲との差が一定の強度以上である場合、つまり接続部19から出射するEUV光101の強度が想定された範囲と大きく異なる場合、EUV光生成装置100に何らかの故障が生じている可能性がある。従って、この場合、制御部20は、レーザ装置30を制御し、レーザ装置30からのレーザ光301の出射を停止させ、ステップSP28に進む。ステップSP28において、EUV光生成装置100は停止する。一方、制御部20は、EUV光101の強度と上記の所定の範囲との差が一定の強度未満と判断する場合、ステップSP24に進む。
【0070】
(ステップSP24)
本ステップでは、制御部20は、EUV光101の強度が所定の範囲内となるために必要なレーザ装置30から出射されるレーザ光301の強度を算出する。例えば、上記のように、ターゲット物質がプラズマ化する際、荷電粒子や電気的に中性な微粒子等の粒子が生じ、これらの微粒子の一部はEUV光集光ミラー50の反射面に付着する場合がある。すると、EUV光集光ミラー50反射率が低下して、接続部19から出射するEUV光101の強度が上記の所定の範囲よりも低下する場合がある。このようにEUV光101の強度が上記の所定の範囲よりも低下する場合、制御部20は、レーザ光301の強度が高くなるように上記算出をする。逆に、EUV光101の強度が上記の所定の範囲よりも高くなる場合、制御部20は、レーザ光301の強度が低くなるように上記算出をする。こうして、EUV光101の強度が所定の範囲内となるためのレーザ光301の強度が求められる。
【0071】
(ステップSP25)
本ステップでは、ステップSP24で算出されたレーザ光301の強度に基づいて、供給されるエッチングガスの量が求められる。レーザ光301の強度が高くなる場合、レーザ光301がターゲット物質に照射されると、より多くの荷電粒子や電気的に中性な微粒子等が放出される傾向がある。このため、レーザ光301の強度が高くなる場合、第2ガス供給部73から供給されるエッチングガスの量は増やされ、レーザ光301の強度が低くなる場合、第2ガス供給部73から供給されるエッチングガスの量は減らされる。上記のように、本実施形態では、第1ガス供給部72から供給されるガスの量はレーザ光301の強度にかかわらず一定である。従って、本ステップでは、メモリ25に記憶されたテーブルに基づいて、第2ガス供給部73から供給されるエッチングガスの量が求められる。このため、本ステップでは、必然的に、第1ガス供給部72から供給されるガスの量と、第2ガス供給部73から供給されるエッチングガスの量との比が求められる。
【0072】
(ステップSP26)
本ステップでは、ステップSP25で求められたエッチングガスの量に基づいて、第1排気部81から排気される第1排ガスの量と第2排気部83から排気される第2排ガスの量との比が求められる。制御部20は、メモリ25におけるエッチングガスの量とこの比とが関連つけられたテーブルから読み出すことで、この比を求める。なお、メモリ25がこのようなテーブルを記憶していない場合、制御部20は、所定のアルゴリズムに基づいて、エッチングガスの量から上記比を算出してもよい。
【0073】
(ステップSP27)
本ステップでは、制御部20は、ステップSP24で算出された強度のレーザ光301がレーザ装置30から出射されるようにレーザ装置30を制御する。従って、レーザ装置30は、ステップSP24で算出された強度のパルス状のレーザ光301を出射する。この新たな強度のレーザ光301が、プラズマ生成領域ARで集光されて、ターゲット物質に照射される。このため、上記の所定の範囲内の強度のEUV光101が接続部19から出射する。例えば、EUV光集光ミラー50反射率が低下している場合、新たな強度のレーザ光301の強度はそれまでのレーザ光301の強度よりも高くされ、プラズマ生成領域ARから放射されるEUV光の総量が増加される。このため、EUV光集光ミラー50反射率が低下しても所定の範囲内の強度のEUV光101が接続部19から出射し得る。
【0074】
また、本ステップでは、制御部20は、ステップSP25で求められた第2ガス供給部73から供給されるエッチングガスの量が第2ガス供給部73から供給されるように、供給ガス流量調節部76を制御する。供給ガス流量調節部76は、制御部20の制御に基づいて、第2ガス供給部73からエッチングガスを供給する。たとえば、新たな強度のレーザ光301の強度がそれまでのレーザ光301の強度よりも高い場合、第2ガス供給部73から供給されるエッチングガスの量は、それまで第2ガス供給部73から供給されるエッチングガスの量よりも多くされる。
【0075】
また、本ステップでは、制御部20は、第1排気部81から排気される第1排ガスの量及び第2排気部83から排気される第2排ガスの量が、ステップSP26で求めた比となるようにガス排気量調節部86を制御する。従って、第1排気部81と第2排気部83とからは、第1排ガスと第2排ガスとがステップSP26で求められた比で排気される。排気された第1排ガスと第2排ガスとは、排気管87を介して排気ポンプ85に排気される。なお、上記のように第1排ガスの量と第2排ガスの量の総量が、第1ガス供給部72及び第2ガス供給部73から供給されるエッチングガスの総量に等しくなるように、制御部20はガス排気量調節部86を制御する。従って、チャンバ10内が概ね一定の圧力を保つ。
【0076】
次に再びステップSP21に戻り、制御部20には、EUV光計測部28で計測されたEUV光の強度が入力される。
【0077】
4.3 作用・効果
本実施形態では、チャンバ10における磁場軸MAが通る位置に第1排気口81Eが設けられる。また、第1排気口81Eを通りEUV光集光ミラー50の光軸に垂直な面を基準としてチャンバ10におけるEUV光集光ミラー50側と反対側の位置に第2排気口83Eが設けられる。さらに、EUV光生成装置100は、第1排気口81Eから排気される第1排ガスの排気量と第2排気口83Eから排気される第2排ガスの排気量との比を調節するガス排気量調節部86を備える。
【0078】
従って、比較例のEUV光生成装置100のように、チャンバ10に第1排気口81Eが設けられ第2排気口83Eが設けられない場合と比べて、チャンバ10内の残留ガスをEUV光集光ミラー50側と反対側に流れやすくし得る。さらに、ガス排気量調節部86により、第1排気口81Eから排気される第1排ガスの排気量と第2排気口83Eから排気される第2排ガスの排気量との比が調節される。このため、チャンバ10内の残留ガスがEUV光集光ミラー50側と反対側に流れる量を調節し得る。このため、比較例のEUV光生成装置100と比べて、EUV光集光ミラー50がEUV光発生の際に生じる微粒子で汚染されることを抑制し得、EUV光の反射率の低下を抑制し得る。
【0079】
また、本実施形態のEUV光生成装置100では、一対の第1排気口81Eが、チャンバ10における磁場軸MAに沿って対向する位置に設けられている。このため、磁力線に沿って螺旋軌道を描いて収束しながらチャンバ10の壁に向かう荷電粒子を効果的に第1排気口81Eから排気し得る。なお、本実施形態では、第1排気口81Eが一対の場合を例示したが、例えば、チャンバ10に第1排気口81Eが1つ設けられてもよい。
【0080】
また、本実施形態のEUV光生成装置100では、制御部20は、ガス排気量調節部86を制御し、チャンバ10内に供給されるエッチングガスの量に基づいて、第1排ガスの排気量と第2排ガスの排気量との比を調節する。チャンバ10内に供給されるエッチングガスの量が異なる場合、チャンバ10内におけるガスの流れが変化する。そこで、制御部20がガス排気量調節部86を制御してチャンバ10内に供給されるエッチングガスの量に基づいて上記比を調節することで、チャンバ10内の残留ガスがEUV光集光ミラー50側と反対側に流れる量をより適切に調節し得る。
【0081】
また、本実施形態のEUV光生成装置100では、制御部20は、供給ガス流量調節部76を制御し、レーザ光301の強度に基づいてチャンバ10内に供給されるエッチングガスの量を調節する。レーザ光301の強度が高い場合、レーザ光301の強度が低い場合よりも、レーザ光301が照射されるターゲット物質から微粒子が飛散し易くなる。従って、レーザ光301の強度に基づいてチャンバ10内に供給されるエッチングガスの量が調節されることで、飛散した微粒子を含む残留ガスをより効果的にチャンバ10から排出し得る。
【0082】
さらに本実施形態のEUV光生成装置100では、制御部20は、供給ガス流量調節部76を制御し、第2ガス供給部73から供給されるエッチングガスの量を調節する。この第2ガス供給部73は、EUV光集光ミラー50から離れる方向に向かってエッチングガスを供給する。従って、第2ガス供給部73から供給されるエッチングガスの量が調節されることで、ターゲット物質からEUV光集光ミラー50側に向かって飛散する微粒子の量を適切に低減し得る。なお、第2ガス供給部73はエッチングガスをEUV光集光ミラー50から離れる方向以外に供給してもよい。
【0083】
なお、上記説明では、エッチングガスを例に説明をしたが、第1ガス供給部72、第2ガス供給部73から供給されるガスはエッチングガスに限らず、例えば、不活性ガスやエッチングガスと不活性ガスとの混合ガス等であってもよい。
【0084】
5.実施形態2の極端紫外光生成装置の説明
次に、実施形態2の極端紫外光生成装置について説明する。なお、上記において説明した構成と同様の構成については同一の符号を付し、特に説明する場合を除き、重複する説明は省略する。
【0085】
5.1 構成
図7は、本実施形態におけるEUV光生成装置100におけるチャンバ10を含む一部の概略構成を図4と同様の方法で示す模式図である。図7に示すように本実施形態のEUV光生成装置100は、第1排気口81Eから第1排ガスを排気させる第1排気ポンプ85Aが第1排気管81Pに接続され、第1排気管81Pに第1バルブ81Vが設けられている。さらに、本実施形態のEUV光生成装置100は、第2排気口83Eから第2排ガスを排気させる第2排気ポンプ85Bが第2排気管83Pに接続され、第2排気管83Pに第2バルブ83Vが設けられている。ここで、実施形態1の説明のように、第1排ガスが流れかつ第2排ガスの流れが抑制される経路を第1排気経路とし、第2排ガスが流れかつ第1排ガスの流れが抑制される経路を第2排気経路とする。本実施形態では、第1排気口81Eから第1排気ポンプ85Aに至る経路が第1排気経路であり、第2排気口83Eから第2排気ポンプ85Bに至る経路が第2排気経路である。従って、第1バルブ81Vは第1排気経路に設けられ、第2バルブ83Vは第2排気経路に設けられている。また、本実施形態では、ガス排気量調節部86は、第1バルブ81V及び第2バルブ83Vを含む。このため、第1バルブ81Vの開度及び第2バルブ83Vの開度は、制御部20により制御される。
【0086】
5.2 動作
本実施形態のEUV光生成装置100は、図5及び図6を用いて説明した実施形態1のEUV光生成装置100と同様の動作をする。ただし、本実施形態では、ステップSP13及びステップSP27における第1排ガスと第2排ガスとの比は、制御部20で開度が制御される第1バルブ81Vと第2バルブ83Vとにより調節される。
【0087】
5.3 作用・効果
本実施形態のEUV光生成装置100は、第1バルブ81Vの開度と第2バルブ83Vの開度とにより、第1排気口81Eから排気される第1排ガスの量と第2排気口83Eから排気される第2排ガスの量との比を調節することができる。したがって、当該比の微調整をし得る。また、第1排気管81Pに第1排気ポンプ85Aが接続され、第2排気管83Pに第2排気管83Pが接続されている。つまり、第1排気経路と第2排気経路とが独立して、排気ポンプに接続されている。このため、第1排ガスの量を調節する場合に第2排ガスの量に影響が及ぶことを抑制し得、第2排ガスの量を調節する場合に第1排ガスの量に影響が及ぶことを抑制し得る。
【0088】
6.実施形態3の極端紫外光生成装置の説明
次に、実施形態3の極端紫外光生成装置について説明する。なお、上記において説明した構成と同様の構成については同一の符号を付し、特に説明する場合を除き、重複する説明は省略する。
【0089】
6.1 構成
図8は、本実施形態におけるEUV光生成装置100におけるチャンバ10を含む一部の概略構成を図4と同様の方法で示す模式図である。図8に示すように、本実施形態のEUV光生成装置100は、第1排気口81Eに接続される第1排気管81P及び第2排気口83Eに接続される第2排気管83Pがそれぞれ排気管87の一端に接続され、排気管87の他端が排気ポンプ85に接続されている。ここで、実施形態1の説明のように、第1排ガスが流れかつ第2排ガスの流れが抑制される経路を第1排気経路とし、第2排ガスが流れかつ第1排ガスの流れが抑制される経路を第2排気経路とする。この場合、本実施形態では、第1排気口81Eから排気管87の手前に至る経路が第1排気経路であり、第2排気口83Eから排気管87の手前に至る経路が第2排気経路である。また、第1排気管81P及び第2排気管83Pには、実施形態2と同様に、第1バルブ81Vと第2バルブ83Vが設けられている。従って、本実施形態においても、第1バルブ81Vは第1排気経路に設けられ、第2バルブ83Vは第2排気経路に設けられている。また、本実施形態においても実施形態2と同様に、ガス排気量調節部86は、第1バルブ81V及び第2バルブ83Vを含む。このため、第1バルブ81Vの開度及び第2バルブ83Vの開度は、制御部20により制御される。
【0090】
6.2 動作
本実施形態のEUV光生成装置100は、実施形態2と同様に、図5及び図6を用いて説明した実施形態1のEUV光生成装置100と同様の動作をする。ただし、本実施形態では、排気ポンプ85により、第1排気口81Eからの第1排ガス及び第2排気口83Eからの第2排ガスが排気される。
【0091】
6.3 作用・効果
本実施形態のEUV光生成装置100は、実施形態2と同様に、第1バルブ81Vの開度と第2バルブ83Vの開度とにより、第1排気口81Eから排気される第1排ガスの量と第2排気口83Eから排気される第2排ガスの量との比を調節することができる。したがって、当該比の微調整をし得る。また、第1排ガスと第2排ガスとを共通の排気ポンプ85で排気している。従って、実施形態2のEUV光生成装置100と比べて、構成を簡易にし得る。
【0092】
7.実施形態4の極端紫外光生成装置の説明
次に、実施形態4の極端紫外光生成装置について説明する。なお、上記において説明した構成と同様の構成については同一の符号を付し、特に説明する場合を除き、重複する説明は省略する。
【0093】
7.1 構成
図9は、本実施形態におけるEUV光生成装置100におけるチャンバ10を含む一部の概略構成を図4と同様の方法で示す模式図である。図9に示すように、本実施形態のEUV光生成装置100は、実施形態3のEUV光生成装置100と同様に、第1排気口81Eに接続される第1排気管81P及び第2排気口83Eに接続される第2排気管83Pがそれぞれ排気管87の一端に接続されている。ここで、実施形態1の説明のように、第1排ガスが流れ第2排ガスの流れが抑制される経路を第1排気経路とし、第2排ガスが流れ第1排ガスの流れが抑制される経路を第2排気経路とする。、本実施形態では、第1排気口81Eから排気管87の手前に至る経路が第1排気経路であり、第2排気口83Eから排気管87の手前に至る経路が第2排気経路である。また、排気管87の他端が排気ポンプ85に接続されている。また、第2排気管83Pには、実施形態2、3と同様に、第2バルブ83Vが設けられている。従って、本実施形態では、第2排気経路に第2バルブ83Vは設けられている。ただし、本実施形態では、第1排気管81Pにはバルブが非配置である。従って、第1排気経路にはバルブが非配置である。また、本実施形態では、ガス排気量調節部86は、第2バルブ83Vを含む。このため、第2バルブ83Vの開度は、制御部20により制御される。
【0094】
7.2 動作
本実施形態のEUV光生成装置100は、実施形態2と同様に、図5及び図6を用いて説明した実施形態1のEUV光生成装置100と同様の動作をする。ただし、本実施形態では、ステップSP13及びステップSP27において、第1排気口81Eから排気される第1排ガスと第2排気口83Eから排気される第2排ガスとの比は、制御部20で開度が制御される第2バルブ83Vにより調節される。第1排気口81Eから排気される第1排ガスの量は、第1排気経路にバルブが非配置であるため、概ね一定である。
【0095】
7.3 作用・効果
本実施形態のEUV光生成装置100は、第1排ガスと第2排ガスとを共通の排気ポンプ85で排気している。従って、実施形態3のEUV光生成装置100と同様に、構成を簡易にし得る。また、本実施形態では、第2排気経路に第2バルブ83Vが設けられているが、第1排気経路にバルブが非配置であるため、EUV光生成装置100をより簡易な構成とし得る。
【0096】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態や変形例に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0097】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図している。従って、特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかである。また、本開示の実施形態を組み合わせて使用することも当業者には明らかである。
本明細書及び特許請求の範囲全体で使用される用語は、明記が無い限り「限定的でない」用語と解釈されるべきである。たとえば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、不定冠詞「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。また、「A、B及びCの少なくとも1つ」という用語は、「A」「B」「C」「A+B」「A+C」「B+C」又は「A+B+C」と解釈されるべきである。さらに、それらと「A」「B」「C」以外のものとの組み合わせも含むと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0098】
10・・・チャンバ、20・・・制御部、30・・・レーザ装置、40・・・ターゲット供給部、50・・・EUV光集光ミラー、76・・・供給ガス流量調節部、81・・・第1排気部、81E・・・第1排気口、83・・・第2排気部、83E・・・第2排気口、86・・・ガス排気量調節部、100・・・極端紫外光生成装置、101・・・EUV光、200・・・露光装置、301・・・レーザ光、ML・・・磁場、MA・・・磁場軸

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9