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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】半導体封止成形用仮保護フィルム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20220921BHJP
   H01L 23/50 20060101ALI20220921BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20220921BHJP
   C09J 7/25 20180101ALI20220921BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20220921BHJP
【FI】
H01L21/56 R
H01L23/50 Y
H01L23/50 R
C09J133/00
C09J7/25
C09J7/38
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019516890
(86)(22)【出願日】2018-01-25
(86)【国際出願番号】 JP2018002313
(87)【国際公開番号】W WO2018207408
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2017094157
(32)【優先日】2017-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】昭和電工マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100211100
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】友利 直己
(72)【発明者】
【氏名】名児耶 友宏
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-131006(JP,A)
【文献】特開2009-044010(JP,A)
【文献】特開2005-116919(JP,A)
【文献】特開2003-086614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
H01L 23/50
B32B 7/02
B32B 7/12
B32B 25/08
B32B 27/00
B32B 27/30
B32B 27/34
C09J 133/00
C09J 7/25
C09J 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フィルムと、前記支持フィルム上に設けられ、アクリルゴムを含有する接着層と、を備える、半導体封止成形用仮保護フィルムであって、
前記仮保護フィルムの200℃における固体せん断弾性率が、5.0MPa以上である、半導体封止成形用仮保護フィルム。
【請求項2】
前記接着層が、剥離性付与剤を更に含有する、請求項1に記載の半導体封止成形用仮保護フィルム。
【請求項3】
前記剥離性付与剤の含有量が、前記アクリルゴム100質量部に対して6質量部以上60質量部未満である、請求項2に記載の半導体封止成形用仮保護フィルム。
【請求項4】
前記接着層の厚さが、1μm以上5μm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体封止成形用仮保護フィルム。
【請求項5】
前記支持フィルムが、ポリイミドフィルムである、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体封止成形用仮保護フィルム。
【請求項6】
前記アクリルゴムが、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル及び(メタ)アクリル酸グリシジルからなる群より選択される少なくとも1種の単量体単位を含む共重合体である、請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体封止成形用仮保護フィルム。
【請求項7】
前記アクリルゴムの重量平均分子量が、450000以上900000以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体封止成形用仮保護フィルム。
【請求項8】
前記接着層が、24℃において感圧接着性を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体封止成形用仮保護フィルム。
【請求項9】
前記仮保護フィルムの5%重量減少温度が、350℃以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載の半導体封止成形用仮保護フィルム。
【請求項10】
前記接着層の前記支持フィルムが設けられた面とは反対側の面上に設けられたカバーフィルムを更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体封止成形用仮保護フィルム。
【請求項11】
ダイパッド及びインナーリードを有するリードフレームと、
請求項1~10のいずれか一項に記載の半導体封止成形用仮保護フィルムと、
を備え、
前記仮保護フィルムが、その接着層が前記リードフレームの片面に接するように前記リードフレームに貼り付けられている、仮保護フィルム付きリードフレーム。
【請求項12】
ダイパッド及びインナーリードを有するリードフレームと、
前記ダイパッドに搭載された半導体素子と、
前記半導体素子と前記インナーリードとを接続するワイヤと、
前記半導体素子及び前記ワイヤを封止している封止層と、
請求項1~10のいずれか一項に記載の半導体封止成形用仮保護フィルムと、
を備え、
前記仮保護フィルムが、その接着層が前記リードフレームの前記半導体素子が搭載されている面とは反対側の面に貼り付けられている、仮保護フィルム付き封止成形体。
【請求項13】
ダイパッド及びインナーリードを有するリードフレームの片面に、請求項1~10のいずれか一項に記載の半導体封止成形用仮保護フィルムを、その接着層が前記リードフレームに接する向きで貼り付ける工程と、
前記ダイパッドの前記仮保護フィルムとは反対側の面上に半導体素子を搭載する工程と、
前記半導体素子と前記インナーリードとを接続するワイヤを設ける工程と、
前記半導体素子及び前記ワイヤを封止する封止層を形成して、前記リードフレーム、前記半導体素子及び前記封止層を有する封止成形体を得る工程と、
前記封止成形体から前記仮保護フィルムを剥離する工程と、
をこの順に備える、半導体装置を製造する方法。
【請求項14】
前記リードフレームが複数の前記ダイパッドを有し、前記複数のダイパッドの各々に前記半導体素子が搭載され、
当該方法が、前記仮保護フィルムを前記封止成形体から剥離する前又は後に前記封止成形体を分割して、1個の前記ダイパッド及び前記半導体素子を有する半導体装置を得る工程を更に備える、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体封止成形用仮保護フィルムに関する。本発明は、仮保護フィルム付きリードフレーム、仮保護フィルム付き封止成形体及び半導体装置の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダイパッド上に銀ペースト等の接着剤により半導体素子を接着し、これとリードフレームをワイヤで接合した後に、外部接続用のアウターリードを残して全体を封止する構造の半導体パッケージが用いられてきた。しかし、近年の半導体パッケージの高密度化、小面積化、薄型化等の要求の高まりに伴い、様々な構造の半導体パッケージが提案されている。このような半導体パッケージとして、パッケージの片面(半導体素子側)のみを封止し、裏面がむき出したリードフレームを外部接続用に用いる構造の半導体パッケージが開発されている(例えば、QFN(QuadFlat Non-leaded)パッケージ)。この構造の半導体パッケージでは、リードフレームが封止樹脂から突出していないため、小面積化及び薄型化が図れる。しかし、封止成形時にリードフレーム裏面に封止樹脂がまわり込む等の不具合が起きる場合がある。
【0003】
このような不具合を防ぐ方法として、リードフレーム裏面に半導体用接着フィルムを仮保護フィルムとして貼り付けてリードフレーム裏面を保護し、リードフレーム表面側に搭載された半導体素子を封止成形した後に、仮保護フィルムを引き剥がす方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2001/035460号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体封止成形に用いられる仮保護フィルムは、リードフレームに対して常温条件のような低温で貼り付けが可能で、かつ、封止後に簡易に剥離することが望ましい。しかし、例えば、特許文献1の半導体用接着フィルムは、リードフレームの裏面に貼り付けるために高温・高圧条件(例えば、200~250℃、3~8MPa)を必要とし、常温条件(温度を意図的にかけない条件、例えば、24℃)下での貼り付けは困難である。
また、特許文献1の半導体用接着フィルムは、封止後の剥離のために加熱処理を行うことが好ましい。一方、常温での貼り付け性が比較的良好なフィルムの場合、封止後のリードフレーム及び封止材からの剥離の際、リードフレーム側に糊残りが発生する場合がある等、封止成形後の剥離性の点で改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、リードフレームに常温で貼り付けできるとともに、封止成形後にリードフレーム及び封止層から糊残りを抑制しながら容易に剥離できる、半導体封止成形用仮保護フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の接着層を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の一側面は、支持フィルムと、上記支持フィルム上に設けられ、アクリルゴムを含有する接着層と、を備える、半導体封止成形用仮保護フィルムであって、上記仮保護フィルムの200℃における固体せん断弾性率が、5.0MPa以上である、半導体封止成形用仮保護フィルムに関する。
【0009】
上記接着層は、剥離性付与剤を更に含有してもよい。上記剥離性付与剤の含有量は、上記アクリルゴム100質量部に対して10質量部以上60質量部未満であってもよい。
【0010】
上記接着層の厚さが、1μm以上5μm以下であってもよい。
【0011】
上記支持フィルムは、ポリイミドフィルムであってもよい。
【0012】
上記アクリルゴムは、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、及び(メタ)アクリル酸グリシジルからなる群より選択される少なくとも1種の単量体単位を含む共重合体であってもよい。上記アクリルゴムの重量平均分子量は、450000以上900000以下であってもよい。
【0013】
上記接着層は、24℃において感圧接着性を有していてよい。上記仮保護フィルムの5%重量減少温度は、350℃以上であってもよい。
【0014】
上記半導体封止成形用仮保護フィルムは、上記接着層の上記支持フィルムが設けられた面とは反対側の面上に設けられたカバーフィルムを更に備える、半導体封止成形用仮保護フィルムであってもよい。
【0015】
また本発明の一側面は、ダイパッド及びインナーリードを有するリードフレームと、上記半導体封止成形用仮保護フィルムと、を備え、仮保護フィルムが、その接着層がリードフレームの片面に接するようにリードフレームに貼り付けられている、仮保護フィルム付きリードフレームに関する。
【0016】
また本発明の一側面は、ダイパッド及びインナーリードを有するリードフレームと、ダイパッドに搭載された半導体素子と、半導体素子とインナーリードとを接続するワイヤと、半導体素子及びワイヤを封止している封止層と、上記半導体封止成形用仮保護フィルムと、を備え、仮保護フィルムが、その接着層がリードフレームの半導体素子が搭載されている面とは反対側の面に貼り付けられている、仮保護フィルム付き封止成形体に関する。
【0017】
また本発明の一側面は、ダイパッド及びインナーリードを有するリードフレームの片面に、上記半導体封止成形用仮保護フィルムを、その接着層がリードフレームに接する向きで貼り付ける工程と、ダイパッドの仮保護フィルムとは反対側の面上に半導体素子を搭載する工程と、半導体素子とインナーリードとを接続するワイヤを設ける工程と、半導体素子及びワイヤを封止する封止層を形成して、リードフレーム、半導体素子及び封止層を有する封止成形体を得る工程と、封止成形体から仮保護フィルムを剥離する工程と、をこの順に備える、半導体装置を製造する方法に関する。
【0018】
リードフレームが複数のダイパッドを有し、複数のダイパッドの各々に半導体素子が搭載される場合、上記半導体装置を製造する方法は、仮保護フィルムを封止成形体から剥離する前又は後に封止成形体を分割して、1個のダイパッド及び半導体素子を有する半導体装置を得る工程を更に備えていてよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、リードフレームに常温で貼り付けできるとともに、封止成形後のリードフレーム及び封止材から剥離する際に糊残りを抑制しながら容易に剥離できる半導体封止成形用仮保護フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】仮保護フィルムの一実施形態を示す断面図である。
図2】仮保護フィルムの一実施形態を示す断面図である。
図3】半導体装置の製造方法の一実施形態を説明する断面図である。
図4】半導体装置の一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本明細書に記載される数値範囲の上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。実施例に記載される数値も、数値範囲の上限値又は下限値として用いることができる。
【0022】
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」を意味する。
【0023】
<仮保護フィルム>
図1は、一実施形態に係る仮保護フィルムを示す断面図である。図1に示す仮保護フィルム10は、支持フィルム1と、支持フィルム1の片面上に設けられた接着層2と、から構成される。支持フィルム1の両面上に接着層が形成されていてもよい。図2も、一実施形態に係る仮保護フィルムを示す断面図である。図2の仮保護フィルム10’は、支持フィルム1と、支持フィルム1の一方の主面上に設けられた接着層2と、支持フィルム1の他方の主面上に設けられた、実質的に接着性を有しない樹脂層(非接着層3)とを有する。これらの仮保護フィルムは、リードフレームに搭載された半導体素子を封止する封止層を形成する封止成形の工程において、リードフレームの裏面(半導体素子が搭載される面とは反対側の面)に貼り付けることで、リードフレームを封止成形の間、仮保護するための半導体封止成形用仮保護フィルムとして用いることができる。
【0024】
<接着層>
接着層は、アクリルゴムを含有する。アクリルゴムは、一般に、(メタ)アクリル酸エステルを単量体単位として含む共重合体である。アクリルゴムは、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物等の他の単量体とを含む単量体混合物の重合反応により得られる共重合体である。
【0025】
アクリルゴムを構成する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル(例えば、(メタ)アクリル酸n-ブチル)、(メタ)アクリル酸エチル、及び(メタ)アクリル酸メチルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、及び(メタ)アクリル酸グリシジルのような、反応性の官能基を有する化合物であってもよい。ただし、アクリルゴムは、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸メチルからなる群から選択される少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルを単量体単位の主成分として含む共重合体であってよい。この場合、アクリルゴムの側鎖に官能基が少ないため、熱処理による被着体表面との反応が抑制され、被着体からの接着層の剥離性がより良好なものとなる。また、直鎖の炭化水素基を有する単量体を単量体単位として含むアクリルゴムを用いると、接着層の被着体への濡れ広がり性が良好となる傾向がある。ここで、「主成分」とは、共重合体の全体質量に対して50質量%以上を占める単量体単位をいう。
【0026】
アクリルゴムを構成する他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、及びアクリロニトリルが挙げられる。
【0027】
アクリルゴムが、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルからなる群より選択される少なくとも1種を単量体単位として含む場合、アクリルゴムは、カルボキシ基及び/又はヒドロキシ基を有してもよい。このカルボキシ基及び/又はヒドロキシ基を、後述の剥離性付与剤との反応に利用することができる。
【0028】
アクリルゴムのガラス転移温度(Tg)は、接着層の常温での貼り付け性を維持する観点から、-50~40℃、-40℃~30℃、又は-30℃~20℃であってよい。アクリルゴムのガラス転移温度が-50℃以上である場合、熱処理により濡れ性が小さくなるため剥離性の低下が相対的に抑制される傾向がある。アクリルゴムのガラス転移温度が20℃以下である場合は常温での貼り付け性の低減が相対的に抑制される傾向がある。ここで、アクリルゴムのガラス転移温度は、特に限定されないが、一般に示差走査熱量測定、示差熱測定、動的粘弾性測定、又は熱機械分析により測定される値を意味する。
【0029】
アクリルゴムが(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸メチルからなる群から選択される少なくとも1種の単量体単位を主成分とする共重合体であり、かつ、アクリルゴムのガラス転移温度が-30℃~20℃であってもよい。この場合、被着体への濡れ広がり性が良好になるとともに、接着性及び剥離性を特に高いレベルで両立することができる。
【0030】
アクリルゴムの重量平均分子量は、低アウトガス性及び凝集力保持の観点から、400000以上、450000以上、又は700000以上であってよい。アクリルゴムの重量平均分子量は、特に制限されないが、900000以下であってもよい。ここでのアクリルゴムの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される値(標準ポリスチレンによる換算値)を意味する。
【0031】
アクリルゴムは、市販品として入手したものを用いてもよい。アクリルゴムの市販品としては、例えば、HTR-280 DR(ナガセケムテックス株式会社製、重量平均分子量80万~90万)、WS-023 EK30(ナガセケムテックス株式会社製、重量平均分子量45万~50万)が挙げられる。これらのアクリルゴムは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
接着層におけるアクリルゴムの含有量は、接着層の質量を基準として、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、又は80質量%以上であってもよく、100質量%以下であってもよい。
【0033】
アクリルゴムを含有する接着層は、常温での良好な貼り付け性を有することができる。言い換えると、接着層は、温度を意図的にかけず、例えば、24℃において感圧接着性を有することができる。「24℃において感圧接着性を有する」とは、温度を意図的にかけず、例えば、温度24℃の条件下、20Nの荷重で接着層(40mm×160mmサイズ)とリードフレーム(50mm×157mmサイズ)とを圧着した場合に、接着層のリードフレームに対する接着力が5N/m以上であることを意味する。なお、当該接着力は、後述の実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
【0034】
仮保護フィルムの200℃における固体せん断弾性率(以下、単に「固体せん断弾性率」ともいう。)は、5.0MPa以上である。仮保護フィルムの200℃における固体せん断弾性率は、6MPa以上、8MPa以上、又は10MPa以上であってもよく、25MPa以下、又は20MPa以下であってもよい。仮保護フィルムの固体せん断弾性率がこれらの範囲内であることにより、封止成形後のリードフレーム及び封止層に対する糊残りがより一層抑制される。
【0035】
ここでの固体せん断弾性率は、5mm×8mmサイズを有する仮保護フィルムの試験片を固体せん断測定ジグにセットし、動的粘弾性測定装置(例えば、株式会社ユービーエム製、Rheogel-E4000)を用いて、正弦波、30~250℃、昇温速度5℃/min、周波数400Hzの条件で測定される値を意味する。試験片として、支持フィルム及び接着層からなる積層体が用いられる。
【0036】
ここで、半導体装置の製造において、ワイヤボンド工程は、例えば、200~270℃で3~60分加熱しながら超音波と押し付け圧力とを利用する条件で行われる。このような条件のワイヤボンド工程において、接着層が軟らかくなるために、ワイヤが正確に配置できないという不具合が生じる場合がある。また、接着層の熱分解により生じるアウトガスが半導体素子及びインナーリード面を汚染するという不具合が生じることもある。仮保護フィルムの固体せん断弾性率が上述の範囲内である場合、ワイヤボンド工程におけるこれらの不具合もより一層抑制される。
【0037】
接着層の厚さ(膜厚)が薄いほど、固体せん断弾性率が高くなる傾向がある。例えば、アクリルゴムを含有する接着層に関して、厚さを1~5μmの範囲で調節することによって、仮保護フィルムの200℃における固体せん断弾性率を容易に5.0MPa以上とすることができる。
【0038】
接着層の厚さは、ワイヤボンディング時の不具合(例えば、ワイヤの未接着、ワイヤ切れ、ワイヤの接着強度不足)を抑制又は防止する観点から、5μm以下、又は3μm以下であってよい。同様の観点から、接着層の厚さ(膜厚)は、1μm以上であってよく、2μm以上であってもよい。
【0039】
接着層は、剥離性付与剤を更に含有してもよい。剥離性付与剤とは、封止成形後の接着層のリードフレーム及び/又は封止層に対する接着力を、接着層がそれを含有しない場合と比較して低下させる成分である。
【0040】
剥離性付与剤としては、脂肪族化合物を用いることができる。脂肪族化合物とは、直鎖状、分岐状、又は脂環式の炭化水素基を有する化合物である。脂肪族化合物は、エポキシ基及びヒドロキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有していてもよく、エポキシ基を有していてもよい。言い変えると、剥離性付与剤は、脂肪族エポキシ樹脂であってもよい。また、脂肪族化合物は、水溶性であってもよい。以上の観点から、剥離性付与剤は、側鎖(枝分かれ)を有していてもよい炭素数2以上の主鎖を含む炭化水素基と、主鎖の末端に結合したエポキシ基と、を有する脂肪族エポキシ樹脂を含んでいてもよい。具体的には、剥離性付与剤は、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル及びグリセロールポリグリシジルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の脂肪族化合物(又は脂肪族エポキシ樹脂)を含んでいてもよい。これらの脂肪族化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、糊残りをより抑制する観点からは、2種以上を併用してよい。
【0041】
アクリルゴムが単量体単位として(メタ)アクリル酸及びアクリル酸2-ヒドロキシエチルからなる群より選択される少なくとも1種を含み、かつ剥離性付与剤としてエポキシ基を有する脂肪族化合物を用いた場合、リードフレーム及び封止層からの剥離性がより一層良好なものになるとともに、接着層がリードフレーム及び封止層上に残留した場合の洗浄処理がより一層効率的になる。これは、剥離性付与剤のエポキシ基と、アクリルゴムの側鎖のヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基との反応により、アクリルゴムに比べ元々は低分子量体であり、かつ溶解性のある剥離性付与剤をきっかけにして洗浄性が増すことによるものと推測される。
【0042】
剥離性付与剤の含有量は、アクリルゴム100質量部に対して、6質量部以上、又は10質量部以上であってもよく、60質量部未満、50質量部以下、又は30質量部以下であってもよい。剥離性付与剤の含有量が60質量部未満である場合、接着層と、支持フィルムとの密着性の低下が抑制され、接着層が剥離しにくくなる傾向がある。剥離性付与剤の含有量が、6質量部以上である場合、十分な剥離性及び洗浄性の確保がより容易になる傾向がある。
【0043】
接着層は、必要に応じて、他の成分を更に含有してもよい。他の成分としては、例えば、アミノアルキド樹脂、脂肪酸が挙げられる。
【0044】
接着層のリードフレーム及び封止層に対する接着力は、封止成形後に450N/m以下であってもよく、300N/m以下であってもよい。封止成形後のリードフレーム及び封止層に対する接着力は、後述の実施例の記載の方法に準じて測定することができる。
【0045】
仮保護フィルムの5%重量減少温度は350℃以上であってもよい。これにより、アウトガス量が減少し、ワイヤボンド性がより一層良好なものとなる。仮保護フィルムの5%重量減少温度は500℃以下であってよく、450℃以下であってもよい。5%重量減少温度は、示差熱天秤(例えば、セイコーインスツル株式会社製、SSC5200型)を用いて、昇温速度10℃/分、空気雰囲気下の条件で測定することができる。
【0046】
<支持フィルム>
支持フィルムは、特に制限されないが、耐熱性樹脂フィルムであってもよい。支持フィルムとして耐熱性樹脂フィルムを用いる場合、高温条件(例えば、200℃以上)であっても、支持フィルムが軟化せず、作業性がより一層優れたものとなる。具体的には、支持フィルムのガラス転移温度(Tg)が、耐熱性向上の観点から、200℃以上、又は250℃以上であってもよい。
【0047】
支持フィルムを構成する耐熱性樹脂としては、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリスルホン、芳香族ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、芳香族ポリエーテルケトン、ポリアリレート、芳香族ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0048】
支持フィルムは、耐熱性を有し、かつ接着層に対する密着性をより向上することができる点から、ポリイミドフィルムであってもよい。支持フィルムとしてポリイミドフィルムを用いる場合、ポリイミドフィルムは、プラズマ処理、コロナ処理、プライマー処理等の高密着処理されていてもよい。支持フィルムの接着層に対する密着性が低い場合、リードフレーム及び封止層から仮保護フィルムを引き剥がした際、接着層と支持フィルムとの界面で剥離が生じて、リードフレーム及び封止層側に接着層が残留しやすい。よって、支持フィルムは、接着層に対する密着性が十分に高いことが好ましい。
【0049】
支持フィルムの厚さ(膜厚)は、特に制限されないが、仮保護フィルムをリードフレームに貼り付けた後のリードフレームの反り等に関わる残存応力を低減する観点から、100μm以下、50μm以下、又は25μm以下であってもよい。支持フィルムの厚さは、5μm以上、又は10μm以上であってもよい。
【0050】
一実施形態に係る仮保護フィルムにおいて、支持フィルムの厚さは、5μm以上50μm以下であり、接着層の厚さが、1μm以上5μm以下であってもよい。
【0051】
<カバーフィルム>
上記半導体封止成形用仮保護フィルムは、上記接着層の上記支持フィルムが設けられた面とは反対側の面上に設けられたカバーフィルムを備えていてよい。つまり、上記半導体封止成形用仮保護フィルムは、カバーフィルム付き半導体封止成形用仮保護フィルムの形態であってもよい。上記カバーフィルムは、特に制限はないが、ポリエチレンテレタレートフィルムであってもよく、剥離層を設けたポリエチレンテレフタレートフィルムであってもよい。
【0052】
上記カバーフィルムの厚さは、10μm以上100μm以下、又は20μm以上100μm以下であってもよい。
【0053】
図2の実施形態に係る仮保護フィルム10’が有する非接着層3は、リードフレームに対する接着性(又は感圧接着性)を0~270℃において実質的に有しない樹脂層である。例えば、高いガラス転移温度を有する樹脂層が、非接着層として機能することができる。具体的には、非接着層は、例えば、ポリアミドイミドを含む樹脂層であってもよい。非接着層の厚さは、特に制限されないが、例えば、1~10μmであってもよい。
【0054】
<仮保護フィルムの製造方法>
一実施形態に係る仮保護フィルムは、例えば、以下の方法により製造することができる。まず、アクリルゴムと、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等の溶剤と、必要に応じて剥離性付与剤等の他の成分と、を混合し、ワニスを作製する。作製したワニスを支持フィルムの片面に塗布した後、加熱処理により塗膜から溶剤を除去して、支持フィルム上に接着層を形成する。これにより、二層構造の仮保護フィルムを得ることができる。
【0055】
ワニスを支持フィルムの片面に塗布する方法としては、特に制限されないが、例えば、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート、コンマコート、ダイコート、減圧ダイコートを用いることができる。
【0056】
<半導体装置の製造方法>
一実施形態に係る仮保護フィルムを用いた半導体素子の封止成形工程を含む方法によって、半導体装置を製造することができる。製造される半導体装置は、例えば、リードフレーム及びこれに搭載された半導体素子と、リードフレームの半導体素子側で半導体素子を封止する封止層とを有し、リードフレームの裏面が外部接続用に露出している、Non Lead Type Packageであってもよい。その具体例としては、QFN(QuadFlat Non-leaded Package)、SON(Small Outline Non-leaded Package)が挙げられる。
【0057】
図3は、一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。図4は、図3の製造方法によって得られる半導体装置の一実施形態を示す断面図である。以下、必要に応じて各図面を参照して、各工程を説明する。
【0058】
図3の実施形態に係る半導体装置の製造方法は、ダイパッド11a及びインナーリード11bを有するリードフレーム11の片面(裏面)に仮保護フィルム10を、その接着層がリードフレームに接する向きで貼り付ける工程と、ダイパッド11aの仮保護フィルム10とは反対側の面上に半導体素子14を搭載(接着)する工程と、半導体素子14とインナーリード11bとを接続するワイヤ12を設ける工程と、半導体素子14及びワイヤ12を封止する封止層13を形成して、リードフレーム11、半導体素子14及び封止層13を有する封止成形体20を得る工程と、封止成形体20から仮保護フィルム10を剥離する工程と、をこの順に備える。
【0059】
リードフレーム11への仮保護フィルム10の貼り付けは、常温(例えば、5~35℃)で行うことができる。貼り付けの方法は、特に制限されないが、例えば、ロールラミネート法であってもよい。
【0060】
一実施形態に係る仮保護フィルム付きリードフレームは、ダイパッド11a及びインナーリード11bを有するリードフレーム11と、仮保護フィルム10と、を備え、仮保護フィルム10が、その接着層2がリードフレーム11の片面に接するようにリードフレーム11に貼り付けられている。
【0061】
リードフレーム11の材質は、特に制限されないが、例えば、42アロイ等の鉄系合金、銅、又は銅系合金であってもよい。銅及び銅系合金のリードフレームを用いる場合、リードフレームの表面に、パラジウム、金、銀等の被覆処理を施してもよい。封止材との密着力を向上させるため、リードフレーム表面を、物理的に粗化処理してもよい。銀ペーストのブリードアウトを防止するエポキシブリードアウト(EBO)防止処理等の化学的処理をリードフレーム表面に施してもよい。
【0062】
半導体素子14は、通常、接着剤(例えば、銀ペースト)を介してダイパッド11aに搭載(接着)される。加熱処理(例えば、140~200℃、30分~2時間)によって、接着剤を硬化させてもよい。
【0063】
ワイヤ12は、特に制限されないが、例えば、金線、銅線、又はパラジウム被覆銅線であってもよい。例えば、200~270℃で3~60分加熱して超音波と押し付け圧力を利用して、半導体素子及びインナーリードをワイヤ12と接合してもよい。
【0064】
ワイヤ12によるワイヤボンディングの後、封止成形体20を得る(封止層13を形成する)封止成形の工程の前に、リードフレーム11にプラズマ処理を施してもよい。プラズマ処理により、封止層とリードフレームとの密着性をより高め、半導体装置の信頼性をより向上させることができる。プラズマ処理としては、例えば、減圧条件(例えば、9.33Pa以下)で、アルゴン、窒素、酸素等のガスを所定のガス流量で注入して、プラズマ照射する方法が挙げられる。プラズマ処理におけるプラズマの照射出力は、例えば、10~500Wであってもよい。また、プラズマ処理の時間は、例えば、5~50秒間であってもよい。プラズマ処理におけるガス流量は、5~50sccmであってもよい。
【0065】
封止成形の工程では、封止材を用いて封止層13が形成される。封止成形によって、複数の半導体素子14及びそれらを一括して封止する封止層13を有する封止成形体20が得られる。封止成形の間、仮保護フィルム10が設けられていることにより、封止材がリードフレーム11の裏面側に回り込むことが抑制される。
【0066】
一実施形態に係る仮保護フィルム付き封止成形体は、ダイパッド11a及びインナーリード11bを有するリードフレーム11と、ダイパッド11aに搭載された半導体素子14と、半導体素子14とインナーリード11bとを接続するワイヤ12と、半導体素子14及びワイヤ12を封止している封止層13と、仮保護フィルム10と、を備え、仮保護フィルム10が、その接着層2がリードフレーム11の半導体素子14が搭載されている面とは反対側の面に貼り付けられている。
【0067】
封止層を形成する間の温度(封止温度)は、140~200℃であってもよく、160~180℃であってもよい。封止層を形成する間の圧力(封止圧力)は、6~15MPaであってもよく、7~10MPaであってもよい。封止成形における加熱時間(封止時間)は、1~5分であってもよく、2~3分であってもよい。
【0068】
形成された封止層13を必要に応じて加熱硬化させてもよい。封止層の硬化のための加熱温度(封止硬化温度)は、150~200℃であってもよく、160~180℃であってもよい。封止層の硬化のための加熱時間(封止硬化時間)は、4~7時間であってもよく、5~6時間であってもよい。
【0069】
封止材の材質は特に制限されないが、例えば、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニルジエポキシ樹脂、ナフトールノボラックエポキシ樹脂等のエポキシ樹脂が挙げられる。封止材には、例えば、フィラー、ブロム化合物等の難燃性物質、ワックス成分等の添加材が添加されていてもよい。
【0070】
封止層13の形成(封止成形)の後、得られた封止成形体20のリードフレーム11及び封止層13から、仮保護フィルム10が剥離される。封止層を硬化する場合、仮保護フィルム10を、封止層の硬化の前又は後のいずれの時点で剥離してもよい。
【0071】
仮保護フィルムを剥離する際の温度は、特に制限されないが、常温(例えば、5~35℃)であってもよい。この温度は、接着層のガラス転移温度以上であってもよい。この場合、仮保護フィルムの、リードフレーム及び封止材に対する剥離性がより一層良好なものとなる。接着層中のアクリルゴムのTgが例えば、5℃以下、又は0℃以下であると、接着層のTgが常温と同等以下になって、常温での良好な剥離性が得られ易い。
【0072】
半導体装置の製造方法は、必要に応じて、剥離工程後にリードフレーム11及び封止層13上に残留した接着層(糊残り)を除去する工程を更に含んでいてもよい。この場合、例えば、溶剤を用いて残留した接着層を除去することができる。溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、水を用いることができる。溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。溶剤に界面活性剤が添加されていてもよい。溶剤が水を含有する場合、溶剤は、アルカリ性に調整された溶液(アルカリ性溶液)であってよい。アルカリ性溶液のpHは、10以上、又は12以上であってよい。溶剤による除去とともに、必要に応じて、機械的ブラッシングを行ってもよい。また、封止層のバリ及び酸化膜を除去してもよい。
【0073】
リードフレームがダイパッド及びインナーリードを有する複数のパターンを含む場合、必要に応じて、封止成形体20を分割して、それぞれ1個の半導体素子を有する図4の半導体装置100を複数得ることができる。
【0074】
すなわち、リードフレーム11が複数のダイパッド11aを有し、複数のダイパッド11aの各々に半導体素子14が搭載される場合、一実施形態に係る製造方法は、仮保護フィルム10を封止成形体20から剥離する前又は後に封止成形体20を分割して、1個のダイパッド11a及び半導体素子14を有する半導体装置100を得る工程を更に備えていてよい。
【0075】
一実施形態に係る仮保護フィルムを用いて製造される半導体装置は、高密度化、小面積化、薄型化等の点で優れており、例えば、携帯電話、スマートフォン、パソコン、タブレット等の電子機器に好適に利用することができる。
【実施例
【0076】
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0077】
<実施例1~15及び比較例1~4の仮保護フィルムの製造>
(塗工用ワニスの作製)
表1又は表2に示す組成(単位:質量部)を有する樹脂組成物に、溶剤としてシクロヘキサノンを加えて攪拌混合し、不揮発分12質量%のワニスA~Oを得た。表に示すアクリルゴム及び剥離性付与剤の詳細は以下のとおりである。
アクリルゴム
・アクリルゴムAi(ナガセケムテックス株式会社製、商品名:WS-023 EK30、重量平均分子量:50万)
・アクリルゴムAii(ナガセケムテックス株式会社製、商品名:HTR-280 DR、重量平均分子量:90万)
・剥離性付与剤Bi(ナガセケムテックス株式会社製、商品名:EX-614B、ソルビトールポリグリシジルエーテル、エポキシ当量:174)
・剥離性付与剤Bii(ナガセケムテックス株式会社製、商品名:EX-810、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ当量:113)
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
(仮保護フィルムの作製)
実施例1~13
得られたワニスA~Mをそれぞれ支持フィルム(ポリイミドフィルム、宇部興産株式会社製、商品名:UPILEX25SGA、膜厚:25μm)上に塗布した。塗膜を90℃で2分間、及び150℃で2分間加熱することによって乾燥し、支持フィルム上に厚さ2μmの接着層を形成し、実施例1~13の仮保護フィルムを得た。実施例1~13の各仮保護フィルムにおいて、200℃における固体せん断弾性率を下記の方法で測定した。結果を表3に示した。
【0081】
固体せん断弾性率の測定方法
仮保護フィルムを5mm×8mmサイズに切って得た試験片を固体せん断測定ジグにセットし、動的粘弾性測定装置(株式会社ユービーエム製、Rheogel-E4000)を用いて、正弦波、30~250℃、昇温速度5℃/min、周波数400Hzの条件で固体せん断弾性率を測定した。なお、入力厚みは0.1mmで固定し、歪み制御1.95μm、1.95%とした。測定結果から、200℃における固体せん断弾性率を読み取った。
【0082】
実施例14
接着層の厚さを1μmとすること以外は実施例1と同様にして、実施例14の仮保護フィルムを得た。仮保護フィルムの200℃における固体せん断弾性率は8.2MPaであった。
【0083】
実施例15
接着層の厚さを5μmとすること以外は実施例1と同様にして、実施例15の仮保護フィルムを得た。仮保護フィルムの200℃における固体せん断弾性率は5.7MPaであった。
【0084】
比較例1
接着層の厚さを6μmとすること以外は実施例1と同様にして、比較例1の仮保護フィルムを得た。仮保護フィルムの200℃における固体せん断弾性率は4.0MPaであった。
【0085】
比較例2
接着層の厚さを8μmとすること以外は実施例1と同様にして、比較例2の仮保護フィルムを得た。仮保護フィルムの200℃における固体せん断弾性率は3.1MPaであった。
【0086】
比較例3
接着層の厚さを10μmとすること以外は実施例1と同様にして、比較例3の仮保護フィルムを得た。仮保護フィルムの200℃における固体せん断弾性率は1.8MPaであった。
【0087】
比較例4
ワニスOを支持フィルム(東レ・デュポン株式会社製、商品名:カプトン100EN、膜厚:25μm)上に塗布した。塗膜を90℃で2分間、及び150℃で2分間加熱することによって乾燥し、支持フィルム上に厚さ5μmの接着層を形成し、比較例4の仮保護フィルムを得た。仮保護フィルムの200℃における固体せん断弾性率は3.2MPaであった。
【0088】
<比較例5の仮保護フィルムの製造>
(塗工用ワニスの作製)
温度計、撹拌機、窒素導入管及び分留塔をとりつけた5リットルの4つ口フラスコに窒素雰囲気下、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン270.9g(0.66モル)、1,3-ビス(3-アミノプロピル)-テトラメチルジシロキサン8.7g(0.035 モル)を入れ、これらをN-メチル-2-ピロリドン1950gに溶解した。さらにこの溶液を0℃に冷却し、この温度で無水トリメリット酸クロライド149.5g(0.71モル)を添加した。無水トリメリット酸クロライドが溶解した後、トリエチルアミン100gを添加した。室温で2時間撹拌を続けた後、180℃に昇温して5時間の反応によりイミド化を完結させた。反応液をメタノール中に投入して重合体を単離した。これを乾燥した後、N-メチル-2-ピロリドンに溶解しメタノール中に投入して再度重合体を単離した。単離した重合体を減圧乾燥して精製された粉末状のポリエーテルアミドイミドを得た。このポリエーテルアミドイミド120gとシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:SH6040)3.6gをN-メチル-2-ピロリドン360gに溶解し、接着層形成用のワニスPを得た。
【0089】
温度計、撹拌機、窒素導入管及び分留塔をとりつけた5リットルの4つ口フラスコに窒素雰囲気下、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン172.4g(0.42モル)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジイソプロピルアニリン)153.7g(0.42モル)を入れ、これらをN-メチル-2-ピロリドン1550gに溶解した。さらにこの溶液を0℃ に冷却し、この温度で無水トリメリット酸クロライド174.7g(0.83モル)を添加した。無水トリメリット酸クロライドが溶解した後、トリエチルアミン130gを添加した。室温で2時間撹拌を続けた後、180℃に昇温して5時間の反応によりイミド化を完結させた。反応液をメタノール中に投入して重合体を単離した。これを乾燥した後、N-メチル-2-ピロリドンに溶解しメタノール中に投入して再度重合体を単離した。単離した重合体を減圧乾燥して精製された粉末状のポリエーテルアミドイミドを得た。このポリエーテルアミドイミド120gとシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:SH6040)6gをN-メチル-2-ピロリドン360gに溶解し、非接着層形成用のワニスQを得た。
【0090】
(仮保護フィルムの作製)
ワニスPを支持フィルム(ポリイミドフィルム、宇部興産株式会社製、商品名:UPILEX25SGA、膜厚:25μm)上に塗布し、100℃、10分間及び300℃、10分間の加熱により乾燥して、膜厚が8μmの接着層を形成した。次に接着剤ワニスを塗布した支持フィルムの裏面にワニスQを塗布し、100℃、10分間及び300℃、10分間の加熱により乾燥して、膜厚が6μmの非接着層を形成した。これにより、接着層及び非接着層を有する比較例5の仮保護フィルムを得た。仮保護フィルムの固体せん断弾性率は21.0MPaであった。
【0091】
<評価>
(接着層の接着力)
(1)常温貼り付け後(常温での貼り付け性)
リードフレームとして、CDA194フレーム(Cu、新光電気工業株式会社製)、及びCDA194パラジウムメッキフレーム(PPF、新光電気工業株式会社製)を準備した。これらリードフレーム(50mm×157mmサイズ)に、ハンドローラーを用いて、実施例及び比較例の各仮保護フィルムを、接着層(40mm×160mmサイズ)がリードフレームに接する向きで、常温(24℃)、荷重20Nの条件で貼り付けた。その後、フォースゲージにて180°方向に50mm/分の速度で各仮保護フィルムを引き剥がし、そのときの荷重の最大値を接着力として記録した。これにより、各仮保護フィルムの常温での貼り付け性(感圧接着性)を評価した。
ただし、比較例5の仮保護フィルムの場合、接着層の常温での貼り付け性が弱かったため、230℃に加熱されたプレス機を用いて、テープにかかる圧力を6MPaとし、10秒間加圧することで接着層をリードフレームに貼り付けた(以下の接着力測定でも同様)。
【0092】
(2)加熱処理後(加熱処理後の剥離性評価)
リードフレームとして、CDA194フレーム(Cu、新光電気工業株式会社製)、及びCDA194パラジウムメッキフレーム(PPF、新光電気工業株式会社製)を準備した。これらリードフレーム(50mm×157mmサイズ)に、ハンドローラーを用いて、実施例及び比較例の各仮保護フィルムを、接着層(40mm×160mmサイズ)がリードフレームに接する向きで、常温(24℃)、荷重20Nの条件で貼り付けた。その後、リードフレーム及び仮保護フィルムを、空気雰囲気下、オーブン内で、180℃で60分間、200℃で60分間、175℃で2分間の順で条件を変更しながら加熱した。その後、フォースゲージにて180°方向に50mm/分の速度で各仮保護フィルムを引き剥がし、そのときの荷重の最大値を接着力として記録した。これにより、各仮保護フィルムの、封止成形に相当する条件における加熱処理後のリードフレームからの剥離性を評価した。
【0093】
(3)封止成形後(封止成形後の剥離性評価)
リードフレームとして、CDA194フレーム(Cu、新光電気工業株式会社製)を準備した。上記リードフレーム(50mm×157mmサイズ)に、ハンドローラーを用いて、実施例及び比較例の各仮保護フィルムを、接着層(40mm×160mmサイズ)がリードフレームに接する向きで、常温(24℃)、荷重20Nの条件で貼り付けた。その後、リードフレーム及び仮保護フィルムを、空気雰囲気下、オーブン内で、180℃で60分間、200℃で60分間の順で条件を変えながら加熱した。
次いで、リードフレームの仮保護フィルムとは反対側の面上にプラズマ処理をアルゴンガス雰囲気下(流量:20sccm)、150W、15秒の条件で行った。その後、モールド成形機(アピックヤマダ株式会社製)を用いて175℃、6.8MPa、2分間の条件で封止成形を行い、リードフレームの仮保護フィルムとは反対側の面上に封止材(商品名:GE-7470L-A、日立化成株式会社製)により封止層を形成した。
その後フォースゲージにて180°方向に50mm/分の速度で各仮保護フィルムを引き剥がし、接着層が封止層から引き剥がされるときの荷重の最大値を、封止成形後の封止層に対する接着力として記録した。これにより、各仮保護フィルムの封止成形後の封止層からの剥離性を評価した。
【0094】
(4)封止層硬化後(封止層硬化後の剥離性評価)
リードフレームとして、CDA194フレーム(Cu、新光電気工業株式会社製)、及びCDA194パラジウムメッキフレーム(PPF、新光電気工業株式会社製)を準備した。これらリードフレーム(50mm×157mmサイズ)に、ハンドローラーを用いて、実施例及び比較例の各仮保護フィルムを、接着層(40mm×160mmサイズ)がリードフレームに接する向きで、常温(24℃)、荷重20Nの条件で貼り付けた。その後、リードフレーム及び仮保護フィルムを空気雰囲気下、オーブン内で、180℃で60分間、200℃で60分間の順で条件を変えながら加熱した。リードフレームの仮保護フィルムとは反対側の面上に、プラズマ処理をアルゴンガス雰囲気下(流量:20sccm)、150W、15秒の条件で行った。次いで、モールド成形機(アピックヤマダ株式会社製)を用いて、175℃、6.8MPa、2分間の条件で封止成形を行い、リードフレームの仮保護フィルムとは反対側の面上に封止材(商品名:GE-7470L-A、日立化成株式会社製)により封止層を形成した。さらに、オーブン中、空気雰囲気下で180℃、5時間の加熱により、封止層を硬化させた。加熱後、フォースゲージにて180°方向に50mm/分の速度で各仮保護フィルムを引き剥がし、接着層がリードフレーム又は封止層から引き剥がされるときの荷重の最大値を、封止成形後のリードフレーム又は封止層に対する接着力としてそれぞれ記録した。これにより、各仮保護フィルムの封止層硬化後の剥離性を評価した。
【0095】
(5)糊残り
CDA194フレーム(リードフレーム、新光電気工業株式会社製)に、実施例及び比較例の仮保護フィルムを、接着層がリードフレームに接する向きで、常温(24℃)、荷重20Nの条件で貼りつけた。リードフレーム及び仮保護フィルムを、空気雰囲気下、オーブン内で、180℃で60分間、200℃で60分の順で条件を変更しながら加熱した。リードフレームの仮保護フィルムとは反対側の面上にプラズマ処理をアルゴンガス雰囲気下(流量:20sccm)、150W、15秒の条件で行った。
モールド成形機(アピックヤマダ株式会社製)を用いて、175℃、6.8MPa、2分間の条件で封止成形を行い、リードフレームの仮保護フィルムとは反対側の面上に封止材(商品名:GE-7470L-A、日立化成株式会社製)により封止層を形成した。
その後180°方向に50mm/分の速度で各仮保護フィルムを引き剥がし、引き剥がした後の封止層及びリードフレーム上の糊残りの状態を確認した。封止層及びリードフレームの表面を合わせた全体の面積に対する、糊残りがあった部分の面積割合に基づいて、以下の基準で6段階で糊残りを評価した。
5:60~100%(残っている接着層が全般に比較的厚い)
4:60~100%(残っている接着層が全般に比較的薄い)
3:30%以上60%未満
2:10%以上30%未満
1:0%超10%未満
0:0%
【0096】
(6)5%重量減少温度
実施例及び比較例の各仮保護フィルムの5%重量減少温度を、示差熱天秤(セイコーインスツル株式会社製、SSC5200型)を用いて、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
【0097】
以上の評価結果を表3及び表4に示す。各実施例の仮保護フィルムは、リードフレームに常温で貼り付けが可能であり、かつ、封止成形後、糊残りを抑制しながらリードフレーム及び封止層から容易に剥離することができた。
【0098】
【表3】
【0099】
【表4】
【符号の説明】
【0100】
1…支持フィルム、2…接着層、3…非接着層、10,10’…仮保護フィルム、11…リードフレーム、11a…ダイパッド、11b…インナーリード、12…ワイヤ、13…封止層、14…半導体素子、20…封止成形体、100…半導体装置。
図1
図2
図3
図4