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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】治具、及び治具を用いた設置方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20220921BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
H01L21/68 P
H01L21/304 622J
H01L21/304 622Q
H01L21/304 621B
H01L21/304 644B
H01L21/304 644C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018128355
(22)【出願日】2018-07-05
(65)【公開番号】P2020009856
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】鄭 廉穎
(72)【発明者】
【氏名】今村 聴
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 充
(72)【発明者】
【氏名】國澤 淳次
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-221668(JP,A)
【文献】特表2004-519096(JP,A)
【文献】特開2015-009340(JP,A)
【文献】特開2009-119592(JP,A)
【文献】特表2004-515377(JP,A)
【文献】特開2001-083476(JP,A)
【文献】特開2004-090106(JP,A)
【文献】特開2004-001160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空吸着ステージのステージ面に弾性パッドを設置するのに用いられる治具であって、
前記ステージ面には、真空源に接続可能に構成される真空孔が形成されており、
前記弾性パッドには、前記真空孔に対応した孔が形成されており、
前記治具は、
前記真空吸着ステージの前記真空孔に挿入可能な第1凸部と、
前記第1凸部が前記真空孔に挿入された状態で前記ステージ面に接触する支持部と、
前記支持部に対して前記第1凸部と反対側に突出し、前記弾性パッドの前記孔に挿入可能な第2凸部と、
を備える、治具。
【請求項2】
前記真空吸着ステージの周縁部には、凹部が形成されており、
前記治具は、前記凹部に対応する第3凸部を更に備える、請求項1に記載の治具。
【請求項3】
前記治具は、前記第1凸部および前記第2凸部を2つ以上有する、請求項1又は2に記載の治具。
【請求項4】
前記第2凸部は、先端部から離れるほど大きくなるテーパ状である、請求項1から3の何れか1項に記載の治具。
【請求項5】
前記第2凸部は、前記弾性パッドの孔より大きい寸法まで大きくなる前記テーパ状である、請求項4に記載の治具。
【請求項6】
真空吸着ステージのステージ面に弾性パッドを設置する設置方法であって、
請求項1から5の何れか1項に記載の治具を用意するステップと、
前記真空吸着ステージのステージ面に形成されている真空孔に前記治具の前記第1凸部を挿入するステップと、
前記弾性パッドにおける前記真空孔に対応する孔に前記治具の前記第2凸部を挿入するステップと、
を含む設置方法。
【請求項7】
前記弾性パッドの一方の面が接着面となっていると共に、当該接着面にはセパレートフィルムが取り付けられており、
前記設置方法は、
前記接着面における一部の領域であって前記治具の前記第2凸部が挿入された孔を含まない領域である第1領域から前記セパレートフィルムを取り外すステップと、
前記接着面における前記第1領域の少なくとも一部を前記真空吸着ステージの前記ステージ面に接着させるステップと、
を更に含む請求項6に記載の設置方法。
【請求項8】
前記弾性パッドを押圧して前記弾性パッドと前記真空吸着ステージとの間の空気を抜くステップを更に含む請求項6又は7に記載の設置方法。
【請求項9】
少なくとも一方の面に前記弾性パッドよりも伸縮性が低い保護シートが取り付けられている前記弾性パッドを用意するステップを更に含む、請求項6から8の何れか1項に記載の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治具、及び治具を用いた設置方法に関し、詳しくは、真空吸着ステージのステージ面に弾性パッドを設置するのに用いられる治具、及び当該治具を用いた弾性パッドの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体ウェハなどの基板に対して各種処理を行うために基板処理装置が用いられている。基板処理装置の一例としては、基板の研磨処理を行うためのCMP(Chemical Mechanical Polishing)装置が挙げられる。
【0003】
CMP装置は、基板の研磨処理を行うための研磨ユニット、基板の洗浄処理及び乾燥処理を行うための洗浄ユニット、及び、研磨ユニットへ基板を受け渡すとともに洗浄ユニットによって洗浄処理及び乾燥処理された基板を受け取るロード/アンロードユニット、などを備える。また、CMP装置は、研磨ユニット、洗浄ユニット、及びロード/アンロードユニット内で基板の搬送を行う搬送機構を備えている。CMP装置は、搬送機構によって基板を搬送しながら研磨、洗浄、及び乾燥の各種処理を順次行う。洗浄ユニットとしては、半導体基板に洗浄部材を当接させてスクラブ洗浄し、洗浄後の洗浄部材を表面が粗い修正部材15の平面に擦り付けて自己洗浄するものが開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、基板処理装置は、バフ処理装置を備える場合がある。このバフ処理装置は、基板に対してバフ研磨処理とバフ洗浄処理の少なくとも一方を施すものである。バフ研磨処理とは、ウェハに対してバフパッドを接触させながら、ウェハとバフパッドを相対運動させ、ウェハとバフパッドとの間にスラリーを介在させることによりウェハの処理面を研磨除去する処理である。一方、バフ洗浄処理とは、ウェハに対してバフパッドを接触させながら、ウェハとバフパッドを相対運動させ、ウェハとバフパッドとの間に洗浄処理液(薬液、又は、薬液と純水)を介在させることによりウェハ表面の汚染物を除去したり、処理面を改質したりする処理である。
【0005】
バフ処理装置では、基板は真空吸着によってバフステージに支持される。吸着力を向上させるためバフステージには弾性パッドが貼られており、この弾性パッドは消耗品として取り扱われて定期的に貼り替えが行われる。弾性パッドをバフステージへ貼り付ける際には、裏面が粘着面になっている弾性パッドを作業員が人手でバフステージへ貼り付けるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平9-92633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
真空吸着によって基板を支持する真空吸着ステージでは、真空源に接続される真空孔がステージ面に形成されている。また、弾性パッドには、真空孔に対応するように孔が形成されている。そして、弾性パッドを真空吸着ステージに貼り付ける際には、真空吸着ステージの真空孔と弾性パッドの孔との位置が一致しないと、基板に真空を作用させることができず、基板を吸着することができない。しかし、弾性パッドと真空吸着ステージとの位置がずれた場合に真空吸着ステージから弾性パッドを剥がすと、再度位置合わせをして設
置をしても弾性パッドと真空吸着ステージとの接着力が低下する。このため、真空吸着ステージへ弾性パッドを設置する際には、可能な限り一度で複数の真空孔と弾性パッドの複数の孔との位置を一致させることが求められるが、こうした位置合わせは作業員ごとにバラツキが生じる。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、真空吸着ステージのステージ面に弾性パッドを容易に設置することを可能にする治具、及びこうした治具を用いた弾性パッドの真空吸着ステージへの設置方法を提案することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、真空吸着ステージのステージ面に弾性パッドを設置するのに用いられる治具が提案される。ここで、前記ステージ面には、真空源に接続可能に構成される真空孔が形成されており、前記弾性パッドには、前記真空孔に対応した孔が形成されている。そして、前記治具は、前記真空吸着ステージの前記真空孔に挿入可能な第1凸部と、前記第1凸部が前記真空孔に挿入された状態で前記ステージ面に接触する支持部と、前記支持部に対して前記第1凸部と反対側に突出し、前記弾性パッドの前記孔に挿入可能な第2凸部と、を備える。
こうした治具によれば、真空吸着ステージの真空孔に第1凸部を挿入すると共に、弾性パッドの孔に第2凸部を挿入することができ、これにより、真空吸着ステージと弾性パッドとの位置合わせを容易に行うことができる。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、真空吸着ステージのステージ面に弾性パッドを設置する設置方法が提案される。前記方法は、上記した一実施形態による治具を用意するステップと、前記真空吸着ステージのステージ面に形成されている真空孔に前記治具の前記第1凸部を挿入するステップと、前記弾性パッドにおける前記真空孔に対応する孔に前記治具の前記第2凸部を挿入するステップと、を含む。
こうした設置方法によれば、真空吸着ステージと弾性パッドとの位置合わせを行うことができ、真空吸着ステージのステージ面に弾性パッドを容易に設置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態によるバフ処理装置の概略構成を示す図である。
図2】バフ処理装置の概略断面図の一例を示す図である。
図3】バフステージを拡大して示す斜視図である。
図4図2中の一点鎖線で囲んだ領域を拡大して示す図である。
図5】弾性パッドの一例を示す図である。
図6】バフステージに貼られる前の弾性パッドの一例を示す断面図である。
図7】本実施形態における治具の下面の一例を示す斜視図である。
図8】本実施形態における治具の上面の一例を示す斜視図である。
図9】本実施形態の弾性パッドの設置方法の一例を示すフローチャートである。
図10】治具をバフステージに配置する工程の一例を示す図である
図11】治具を用いて弾性パッドの位置合わせを行う工程の一例を示す図である。
図12】本実施形態における治具によって弾性パッドがバフステージ上に位置合わせされている状態の断面図を示す。
図13】弾性パッドの貼り付け工程の一例を示す図である。
図14】治具を取り除いて弾性パッドを貼り付ける工程の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る治具、及び当該治具を用いた設置方法の実施形態を添付図面とともに説明する。以下では説明の都合上、まず真空吸着ステージの一例として
のバフステージを備えたバフ処理装置について説明し、続いて、バフステージに弾性パッドを設置するための治具、および当該治具を用いた設置方法について説明をする。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0013】
図1は、一実施形態によるバフ処理装置の概略構成を示す図である。図1に示すバフ処理装置は、半導体ウェハなどの基板(処理対象物)の研磨処理を行うCMP装置の一部またはCMP装置内の1ユニットとして構成することができる。一例として、バフ処理装置は、研磨ユニット、洗浄ユニット、基板の搬送機構、を有するCMP装置、たとえば特開2010-504365号公報に開示されているCMP装置に組み込むことができる。バフ処理装置は、CMP装置内でのメイン研磨の後に仕上げ処理に用いることができる。
【0014】
本明細書において、バフ処理とは、バフ研磨処理とバフ洗浄処理の少なくとも一方を含むものである。
バフ研磨処理とは、基板に対してバフパッドを接触させながら、基板とバフパッドを相対運動させ、基板とバフパッドとの間にスラリーを介在させることにより基板の処理面を研磨除去する処理である。バフ研磨処理は、スポンジ材(たとえばPVAスポンジ材)などを用いて基板を物理的作用により洗浄する場合に基板に加えられる物理的作用力よりも強い物理的作用力を基板に対して加えることができる処理である。そのため、バフパッドとしては、たとえば発泡ポリウレタンと不織布を積層したパッド、具体的には市場で入手できるIC1000(商標)/SUBA(登録商標)系や、スウェード状の多孔性ポリウレタン非繊維質パッド、具体的には、市場で入手できるPOLITEX(登録商標)などを用いることができる。バフ研磨処理によって、スクラッチ等のダメージ又は汚染物が付着した表層部の除去、メイン研磨ユニットにおける主研磨で除去できなかった箇所の追加除去、又はメイン研磨後の、微小領域の凹凸や基板全体に渡る膜厚分布といったモフォロジーの改善、を実現することができる。
【0015】
バフ洗浄処理とは、基板に対してバフパッドを接触させながら、基板とバフパッドを相対運動させ、基板とバフパッドとの間に洗浄処理液(薬液、又は、薬液と純水)を介在させることにより基板表面の汚染物を除去したり、処理面を改質したりする処理である。バフ洗浄処理は、スポンジ材などを用いて基板を物理的作用により洗浄する場合に基板に加えられる物理的作用力よりも強い物理的作用力を基板に対して加えることができる処理である。そのため、バフパッドとしては、上述のIC1000(商標)/SUBA(登録商標)系やPOLITEX(登録商標)などが用いられる。さらに、本発明におけるバフ処理装置において、バフパッドとしてPVAスポンジを用いることも可能である。
【0016】
図1は、一実施形態による、ウェハWf(基板)が取り付けられた状態のバフ処理装置300の構成を概略的に示す図である。バフ処理装置300は、上述したバフ研磨処理および/またはバフ洗浄処理を行うことができる。図1に示すように、一実施形態によるバフ処理装置300は、バフステージ(真空吸着ステージ)400、バフヘッド500、バフアーム600、液供給系統700、及びコンディショニング部800を備える。
【0017】
バフステージ(真空吸着ステージ)400は、ウェハWfを真空吸着して支持するために設けられている。バフステージ400は、図示しない駆動機構によって回転軸AAの周りに回転できるようになっている。本実施形態では、バフステージ400は、ウェハWfの処理面が水平上向きとなるようにウェハWfを支持する。なお、詳しくは後述するが、バフステージ400のステージ面402には、弾性パッド450が取り付けられており、バフステージ400は、弾性パッド450を介してウェハWfを支持する。ただし、説明
を簡単にするため、本明細書では、弾性パッド450におけるウェハWfを支持する支持面452を、バフステージ400の「支持面」とも言う。
【0018】
バフヘッド500は、バフステージ400に設置されたウェハWfにバフ処理を行うために設けられている。バフヘッド500は、バフステージ400に対して上昇下降できるように構成されている。バフヘッド500のウェハWfに対向する面には、バフパッド502が取り付けられる。バフパッド502は、バフヘッド500の下降により、バフステージ400のステージ面402に保持されたウェハWfに押し付けられる。
【0019】
図示の実施形態において、バフパッド502は、バフステージ400およびバフ処理されるウェハWfの直径よりも小さなサイズである。バフ処理されるウェハWfよりも小さなサイズのバフパッドを使用してバフ処理することで、ウェハWfに局所的に生じた凹凸を平坦化したり、ウェハWfの特定の部分だけをバフ研磨したり、ウェハWfの位置に応じて研磨量を調整したりしやすくなる。ただし、バフヘッド500は、こうした例に限定されず、洗浄用のブラシまたはスポンジ材が用いられてもよい。
【0020】
バフアーム600は、バフヘッド500を保持する。バフアーム600は、バフヘッド500を回転軸BB周りに回転させるとともに、バフヘッド500を矢印CCに示すようにウェハWfの径方向に揺動できるようになっている。また、バフアーム600は、図2に示すように、バフパッド502がコンディショニング部800に対向する位置までバフヘッド500を移動させることができるようになっている。
【0021】
液供給系統700は、ウェハWfの処理面、又はバフステージ400(弾性パッド450)に各種処理液を供給するために設けられている。本実施形態では、液供給系統700は、純水(DIW)を供給するための純水ノズル710と、薬液(Chemi)を供給するための薬液ノズル720とを備える。純水ノズル710は、純水配管712を介して純水供給源714に接続される。純水配管712には、純水配管712を開閉することができる開閉弁716が設けられる。薬液ノズル720は、薬液配管722を介して薬液供給源724に接続される。薬液配管722には、薬液配管722を開閉することができる開閉弁726が設けられる。
【0022】
図1の実施形態によるバフ処理装置300は、バフアーム600、バフヘッド500、及びバフパッド502を介してウェハWfの処理面またはバフステージ400の支持面に純水、薬液、又はスラリーを選択的に供給できるようになっている。
【0023】
すなわち、純水配管712における純水供給源714と開閉弁716との間からは分岐純水配管712aが分岐する。また、薬液配管722における薬液供給源724と開閉弁726との間からは分岐薬液配管722aが分岐する。分岐純水配管712a、分岐薬液配管722a、及び、スラリー供給源734に接続されたスラリー配管732は、液供給配管740に合流する。分岐純水配管712aには、分岐純水配管712aを開閉することができる開閉弁718が設けられる。分岐薬液配管722aには、分岐薬液配管722aを開閉することができる開閉弁728が設けられる。スラリー配管732には、スラリー配管732を開閉することができる開閉弁736が設けられる。
【0024】
液供給配管740の第1端部は、分岐純水配管712a、分岐薬液配管722a、及び、スラリー配管732、の3系統の配管に接続される。液供給配管740は、バフアーム600の内部、バフヘッド500の中央、及び、バフパッド502の中央を通って延伸する。液供給配管740の第2端部は、ウェハWfの処理面またはバフステージ400のウェハWfを支持するための支持面に向けて開口する。図示しない制御装置は、開閉弁718、開閉弁728、及び、開閉弁736、の開閉を制御することにより、任意のタイミン
グで、ウェハWfの被処理面またはバフステージ400のウェハWfを支持するための支持面に純水、薬液、スラリーのいずれか1つ、又はこれらの任意の組み合わせの混合液を供給することができる。
【0025】
図示の実施形態によるバフ処理装置300は、液供給配管740を介してウェハWfに処理液を供給するとともにバフステージ400を回転軸AA周りに回転させ、バフパッド502をウェハWfの処理面に押圧し、バフパッド502を回転軸BB周りに回転させながら矢印CC方向に揺動することによって、ウェハWfにバフ処理を行うことができる。
【0026】
こうしたバフ処理装置300では、ウェハWfがバフステージ400に支持された状態で、液供給系統700によってウェハWfに処理液を供給するとともにバフステージ400を回転軸AA周りに回転させる。また、バフ処理装置300は、バフパッド502をウェハWfの処理面に押圧し、バフパッド502を回転軸BB周りに回転させながら矢印CC方向に揺動することによって、ウェハWfにバフ処理を行うことができる。
【0027】
コンディショニング部800は、バフパッド502の表面をコンディショニングするために設けられている。コンディショニング部800は、ドレステーブル810と、ドレステーブル810に設置されたドレッサ820と、を備える。ドレステーブル810は、図示していない駆動機構によって回転軸DD周りに回転できるようになっている。ドレッサ820は、ダイヤモンドドレッサ、ブラシドレッサ、又はこれらの組み合わせで形成される。
【0028】
バフ処理装置300は、バフパッド502のコンディショニングを行う際には、バフパッド502がドレッサ820に対向する位置になるまでバフアーム600を旋回させる(図2参照)。バフ処理装置300は、ドレステーブル810を回転軸DD周りに回転させるとともにバフヘッド500を回転させ、バフパッド502をドレッサ820に押し付けることによって、バフパッド502のコンディショニングを行う。
【0029】
また、バフステージ400上にウェハWfがないときには、バフステージ400の洗浄が行われてもよい。バフステージ400を洗浄は、支持面452に対して、薬液ノズル720から薬液を吹き付けて支持面452を洗浄する。薬液を使用することにより、支持面452に付着した砥粒や研磨生成物をより効果的に洗浄することができる。その後、純水ノズル710から純水を支持面452に供給して、さらに支持面452を洗浄する。
【0030】
続いて、ウェハWfを真空吸着するために設けられているバフステージ400について更に詳細に説明する。図2は、バフ処理装置の概略断面図の一例を示す図であり、図3は、バフステージを拡大して示す斜視図である。図2及び図3に示すように、バフステージ400のステージ面402には、ウェハWfをステージ面402に真空吸着させるための複数の第1開口部(真空孔)404が形成されている。また、バフステージ400は、バフステージ400の内部に、第1開口部404まで延びる第1流体通路410を備える。第1流体通路410は真空源746に接続される。さらに、第1流体通路410は、ウェハWfをステージ面402から脱着させるときに使用することができる純水供給源714および窒素源744に接続される。また、第1流体通路410は、第1流体通路410内を大気開放する大気開放弁(図示せず)を備えてもよい。たとえば、ウェハWfを脱着するときは、第1流体通路410の真空を解放し、所定時間だけ第1流体通路410に純水を供給し、その後、所定時間だけ窒素を供給するようにすることができる。バフステージ400の第1流体通路410に純水、窒素ガスを供給する配管、および第1流体通路410を真空引きする配管には、それぞれ開閉弁750、754、756が設けられる。図示しない制御装置を用いて開閉弁750、754、756の開閉を制御することにより、任意のタイミングでバフステージ400の第1流体通路410を通じて支持面に純水、およ
び窒素ガスを供給でき、また任意のタイミングで第1流体通路410を真空引きすることができる。
【0031】
また、図2に示すように、バフステージ400は、搬送機構として、図示しない搬送ロボットにより搬送されるウェハWfを受け取り、バフステージ400のウェハWfを載置するためのリフトピン480を有する。リフトピン480は、バフステージ400の外周に沿って複数(例えば4つ)配置され、図示しない機構によりリフトピン480が伸縮するようになっている。リフトピン480は、リフトピン480が突出した状態でウェハWfの外周部を支持して受け取り、その後、リフトピン480が後退してウェハWfをバフステージ400の支持面に載置する。バフ処理が終わった後、リフトピン480が突出してウェハWfの外周部を支持して持ち上げ、搬送ロボットがウェハWfを下から掬い上げるようになっている。
【0032】
図3に示すように、バフステージ400の周縁部には、凹部426が形成されている。凹部426は、リフトピン480に対応して設けられており、この凹部426に沿ってリフトピン480が伸縮する。また、バフステージ400の周縁部には、ステージ面402の周縁に沿った溝424が形成されている。換言すれば、溝424は、第1開口部404が配置される領域を少なくとも部分的に囲っている。本実施形態では、溝424は、凹部426付近を除いてステージ面402の周縁に沿って形成されている。
【0033】
図4は、図2中の一点鎖線で囲んだ領域を拡大して示す図である。上記したように、本実施形態では、バフステージ400の複数の第1開口部404に第1流体通路410が接続されている。この第1流体通路410は、基本的にステージ面402に対して垂直に延びて第1開口部404に接続される(図2参照)。一方、本実施形態では、図4に示すように、複数の第1開口部404のうち最も外周側に位置する第1開口部404(404a)の下方には、締結具412が位置している。このため、最も外周側に位置する第1開口部404aに接続される第1流体通路410はステージ面402に対して傾斜している(図2では省略されている)。また、図4に示すように、バフステージ400の外周付近には、第2開口部425(図2図3では省略されている)が形成されている。第2開口部425は、溝424内に形成されており、第2流体通路420を介してバフステージ400の外部に開放される。つまり、溝424は、複数の第2開口部425をステージ面402において接続する。こうした溝424及び第2開口部425によって、ウェハWfとバフステージ400の支持面との間に処理液が吸い込まれることを抑制することができる。
【0034】
また、特に図3に示すように、バフステージ400のステージ面402には弾性パッド450が取り付けられており、バフステージ400は、弾性パッド450を介してウェハWfを支持する。バフステージ400に取り付けられる弾性パッド450は、たとえば弾性を有する発泡ポリウレタンから形成することができる。弾性パッド450は、バフステージ400とウェハWfとの間の緩衝材として、ウェハWfに傷がつくことを防いだり、バフステージ400の表面の凹凸のバフ処理への影響を緩和したりすることができる。弾性パッド450は、一方の面に設けられた粘着層458(図4図6参照)によりバフステージ400のステージ面402に取り付けられる。弾性パッド450は、バフステージ400の第1開口部404に対応する位置に孔(貫通孔)454が設けられているものを使用することができる(図3参照)。
【0035】
図5は、弾性パッドの一例を示す図である。弾性パッド450は、バフステージ400のステージ面402に形成されている複数の第1開口部404に応じた複数の孔454を有する。また、弾性パッド450には、バフステージ400に形成されている凹部426に対応した切り欠き476が形成されていると共に、バフステージ400に形成されている溝424に対応した溝474が形成されている。ここで、弾性パッド450に形成され
ている複数の孔454、切り欠き476、及び溝474のそれぞれは、バフステージ400に形成されている複数の第1開口部404、凹部426、及び溝424のそれぞれよりも若干大きい寸法とされることが好ましい。こうすることにより、弾性パッド450とバフステージ400との位置合わせに余裕を持たせることができる。これにより、弾性パッド450がバフステージ400に貼られたときに、弾性パッド450によってバフステージ400に形成されている開口が塞がれてしまうことを防止することができる。
【0036】
図6は、バフステージに貼られる前の弾性パッドの一例を示す断面図である。本実施形態では、弾性パッド450の一方の面に粘着層458が設けられており、当該一方の面には持ち運びの容易等のためにセパレートフィルム460が取り付けられている。セパレートフィルム460は、粘着層458から剥離することができ、弾性パッド450をバフステージ400に設置する際には弾性パッド450から剥離される。また、弾性パッド450における粘着層458が設けられた面とは反対側の面には、弾性パッド450よりも伸縮性が低い材料(例えば、PET等)で形成された保護シート470が貼られている。保護シート470は、弾性パッド450の持ち運び及び設置等の際に弾性パッド450を保護し、バフステージ400に設置された後は弾性パッド450から剥離される。なお、本実施形態では、セパレートフィルム460及び保護シート470には、弾性パッド450の複数の開口(孔454、切り欠き476、及び溝474)と同じように開口が形成されている(不図示)。こうした保護シート470によって、後述するように弾性パッド450をバフステージ400に設置するときに弾性パッド450が伸縮するのを抑制することができ、弾性パッド450とバフステージ400との位置合わせを容易にすることができる。ただし、こうした例に限定されず、セパレートフィルム460と保護シート470との少なくとも一方には、開口が形成されなくてもよい。また、弾性パッド450には、保護シート470が貼られていなくてもよい。
【0037】
次に、弾性パッド450をバフステージ400に設置するのに用いる治具について説明する。図7は、本実施形態における治具の下面の一例を示す斜視図であり、図8は、本実施形態における治具の上面の一例を示す斜視図である。図示するように、本実施形態の治具40は、下面42(図7参照)と上面45(図8参照)とを有する板状部41を備え、この板状部41に複数の凸部が設けられた形状となっている。こうした治具40は、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)等の合成樹脂を射出成形することによって形成することができる。ただし、こうした例に限定されず、治具40は、例えばアルミニウム等の金属によって形成されてもよい。
【0038】
治具40の下面42は、少なくとも1つ(図7の例では2つ)の第1凸部43と、第3凸部44とを有する。第1凸部43は、バフステージ400の複数の第1開口部404の径よりも若干小さい寸法である。また、第1凸部43が複数ある場合には、複数の第1凸部43の位置が、複数の第1開口部404の位置に対応するように設けられる。つまり、治具40の第1凸部43は、バフステージ400の第1開口部404に挿入可能である。また、第3凸部44は、バフステージ400の周縁部に形成されている凹部426に対応するように構成されている。そして、第3凸部44をバフステージ400の凹部426に位置合わせすると共に、第1凸部43をバフステージ400の第1開口部404に挿入することによって、治具40の下面42がバフステージ400のステージ面402に接触し、治具40がバフステージ400に設置される。ここで、本実施形態では、第1凸部43が第1開口部404に挿入された状態でステージ面402に接触する下面42が「支持部」を構成する。
【0039】
なお、本実施形態では、第1凸部43は、第3凸部44がバフステージ400の凹部426に位置合わせされたときに、バフステージ400における外周側から2番目の第1開口部404(404b)に対応するように設けられている。上記したように、本実施形態
ではバフステージ400における最も外周側の第1開口部404aは第1流体通路410が傾斜しており(図4参照)、治具40を嵌めることが難しい。このため、本実施形態では、治具40は、外周側から2番目の第1開口部404bを利用するように構成されている。ただし、こうした例に限定されるものではなく、治具40の第1凸部43は、最も外周側の第1開口部404に対応するように設けられてもよい。
【0040】
治具40の上面45は、少なくとも1つ(図8の例では2つ)の第2凸部46と、第4凸部47とを有する。第2凸部46は、第1凸部43とは反対側に突出し、好ましくは板状部41における第1凸部43に対応する位置に設けられる。ただし、こうした例に限定されず、第2凸部46は、第1凸部43と異なる数が設けられてもよいし、第1凸部43に対応しない第1凸部43とは異なる位置に設けられてもよい。第2凸部46は、先端部46aが弾性パッド450の孔454よりも小さい寸法であると共に、先端部46aから離れるほど拡径するテーパ状となっている。また、本実施形態では、第2凸部46は、基部46bが弾性パッド450の孔454よりも大きい寸法となっている。さらに、第2凸部46が複数ある場合には、複数の第2凸部46の位置が、弾性パッド450の複数の孔454の位置に対応するように設けられている。こうした治具40の第2凸部46は、弾性パッド450の孔454に少なくとも一部が挿入可能である。また、第4凸部47は、弾性パッド450の周縁部に形成されている切り欠き476に対応するように構成されている。そして、第4凸部47を弾性パッド450の切り欠き476に位置合わせすると共に、第2凸部46を弾性パッド450の孔454に挿入することによって、治具40と弾性パッド450との取り付けがなされる。
【0041】
次に、こうした治具40を用いた弾性パッド450の設置方法について説明する。図9は、本実施形態の弾性パッドの設置方法の一例を示すフローチャートである。弾性パッド450をバフステージ400に設置する際には、まず弾性パッド450を用意すると共に治具40を用意する(S10)。いまは、弾性パッド450として、粘着層458を有する面にセパレートフィルム460が取り付けられると共に反対側の面に保護シート470が取り付けられている、上記した図6に示すような弾性パッドが用意されるものとする。また、セパレートフィルム460及び保護シート470には、弾性パッド450の開口(孔454、切り欠き476、及び溝474)と同じように開口が形成されているものとする。さらに、治具40としては、上記した図7及び図8に示すような治具40が用意されるものとする。なお、本実施形態では、2つの治具40を用いるものとするが、こうした例には限定されない。
【0042】
続いて、用意した治具40をバフステージ400に配置する(S12)。図10は、治具40をバフステージ400に配置する工程の一例を示す図である。図10に示すように、治具40の第1凸部43をバフステージ400の第1開口部404(外周側から2番目の第1開口部404b)に挿入して治具40の下面42(支持部)をステージ面402に接触させることにより、治具40をバフステージ400に設置することができる。また、本実施形態では、治具40には、バフステージ400の周縁部の凹部426に対応した第3凸部44が形成されている。このため、作業者は、治具40の第3凸部44をバフステージ400の凹部426に位置合わせして治具40をバフステージ400に配置することとなり、作業者ごとの設置方法のバラツキを抑制できる。なお、図10に示す例では、バフステージ400における90°離れた周縁部に2つの治具40が配置されているが、こうした例に限定されず、任意の場所に任意の数の治具40が配置されればよい。
【0043】
次に、弾性パッド450から一部のセパレートフィルム460を取り外すと共に(S14)、バフステージ400上の治具40を用いて弾性パッド450の位置合わせを行う(S16)。図11は、治具40を用いて弾性パッド450の位置合わせを行う工程の一例を示す図である。図11では、弾性パッド450におけるセパレートフィルム460が取
り外されている領域にハッチングを付している。図11に示す例では、弾性パッド450における一部の領域(第1領域)として、全体の半分の領域のセパレートフィルム460が取り外されている。そして、セパレートフィルム460が取り外されていない領域において、弾性パッド450の孔454(本実施形態では、外周側から2番目の孔454b)及び切り欠き476に、治具40の第2凸部46及び第4凸部47が挿入されるように、弾性パッド450を位置合わせする。本実施形態では、弾性パッド450に取り付けられているセパレートフィルム460及び保護シート470に弾性パッド450と同様に開口が形成されている。このため、セパレートフィルム460及び保護シート470を取り付けたままの状態で、治具40を使用して弾性パッド450をバフステージ400上に位置合わせすることができる。
【0044】
図12は、本実施形態における治具40によって弾性パッド450がバフステージ400上に位置合わせされている状態の断面図を示す。本実施形態の治具40の第2凸部46は、先端部46aが細いテーパ状となっているので、第2凸部46が弾性パッド450の孔454に挿入させる作業を容易に行うことができる。また、本実施形態では、第2凸部46の基部46bが、弾性パッド450の孔454よりも大きくなっているので、治具40の上面45と弾性パッド450を接触させないで、弾性パッド450を支持することができる。これにより、治具40及びバフステージ400から弾性パッド450を持ち上げる作業を容易に行うことができる。なお、本実施形態では、セパレートフィルム460を弾性パッド450に取り付けたままで位置合わせをするものとしたが、セパレートフィルム460を取り外した状態で、治具40を使用して弾性パッド450の位置合わせをしてもよい。こうした場合においても、本実施形態の治具40によれば、治具40の上面45と弾性パッド450の粘着層458とを接触させないで弾性パッド450の位置合わせをおこなうことができる。なお、図9に示すフローチャートでは、弾性パッド450の第1領域からセパレートフィルム460を取り外した後に、治具40を用いて弾性パッド450の位置合わせを行うものとしたが、こうした例に限定されず、治具40を用いて弾性パッド450の位置合わせをした後に、弾性パッド450の少なくとも一部の領域からセパレートフィルム460を取り外すものとしてもよい。
【0045】
続いて、弾性パッド450の一部の領域をバフステージ400に貼り付ける(S18)。図13は、弾性パッド450の貼り付け工程の一例を示す図である。いまは、治具40によって弾性パッド450とバフステージ400との位置合わせがなされているため、弾性パッド450とバフステージ400とを位置合わせした状態で貼り付けることができる。本実施形態では、セパレートフィルム460が取り外されている領域(図中、斜線によるハッチングを付した領域)のうちの一部の領域(図中、網掛けによるハッチングを付した領域)において、弾性パッド450をバフステージ400に貼り付けるものとしている。一例として、セパレートフィルム460が残されている領域から所定距離未満の領域についてはバフステージ400に貼り付けられないように、例えば全体の3分の1の領域について弾性パッド450とステージ面402との貼り付けを行うことが好ましい。こうすれば、残されているセパレートフィルム460を弾性パッド450から剥離するのを容易にすることができる。また、図13に示す例では、平坦な底面を有する第2の治具50を用いて弾性パッド450を押圧することにより、弾性パッド450とステージ面402との間の空気を抜いている。なお、治具50による空気の排除は、図13中の太線矢印に示すように弾性パッド450の端部から中央に向けて弾性パッド450を押圧することが好ましい。ここで、上記したように本実施形態の弾性パッド450には、弾性パッド450よりも伸縮性の低い保護シート470が弾性パッド450に取り付けられている。このため、弾性パッド450をバフステージ400に貼り付ける際に、弾性パッド450が伸縮して孔454とバフステージ400の第1開口部404との位置がずれてしまうことを抑制できる。
【0046】
弾性パッド450の一部の領域をバフステージ400に貼り付けたら、治具40をバフステージ400及び弾性パッド450から取外し(S22)、弾性パッド450の残りをバフステージ400に貼り付ける(S24)。図14は、治具を取り除いて弾性パッドを貼り付ける工程の一例を示す図である。治具40の取外しは、弾性パッド450を撓ませながら行うとよい。既に弾性パッド450とバフステージ400とが位置合わせされた状態で弾性パッド450の一部がバフステージ400に既に貼り付けられているため、治具40を取り除いても、弾性パッド450とバフステージ400とは位置合わせされた状態を維持する。そして、弾性パッド450の残りの領域をバフステージ400に貼り付けることにより、弾性パッド450を容易にバフステージ400に貼り付けることができる。このときには、図14に示すように、平坦な底面を有する第2の治具50を用いて弾性パッド450を押圧することにより、弾性パッド450とステージ面402との間の空気を抜くことが好ましい。弾性パッド450には保護シート470が取り付けられているため、S18と同様に、空気抜きの工程において弾性パッド450の孔454とバフステージ400の第1開口部404との位置がずれてしまうことを抑制できる。そして、保護シート470を弾性パッド450から取り外すことにより(S26)、治具40を用いた弾性パッド450の設置が完了する。
【0047】
以上説明した本実施形態の治具40は、バフステージ400の第1開口部404に挿入可能な第1凸部43と、第1凸部43が第1開口部404に挿入された状態でステージ面402に接触する下面42と、第1凸部43と反対側に突出し、弾性パッド450の孔454に挿入可能な第2凸部46とを有する。こうした治具40によれば、治具40の第1凸部43をバフステージ400の第1開口部404に挿入すると共に、第2凸部46を弾性パッド450の孔454に挿入することにより、バフステージ400と弾性パッド450との位置合わせを容易に行うことができる。
【0048】
上記した実施形態の治具40は、2つの第1凸部43を有するものとしたが、こうした例に限定されず、1つ、又は3つ以上の第1凸部43を有してもよい。また、治具40は、バフステージ400の凹部426に対応した第3凸部44を有するものとしたが、こうした例に限定されず、例えば第3凸部44を有さなくてもよい。また、治具40は、2つの第2凸部46を有するものとしたが、こうした例に限定されず1つ、又は3つ以上の第2凸部46を有してもよい。また、第2凸部46は、基部46bが弾性パッド450の孔454より大きいテーパ状であるものとしたが、こうした例に限定されず、基部46bにおいて弾性パッド450の孔以下であるテーパ状であってもよいし、テーパ状でなくてもよい。さらに、治具40は、弾性パッド450の切り欠き476に対応する第4凸部47を有するものとしたが、こうした例に限定されず、例えば第4凸部47を有さなくてもよい。
【0049】
本発明は、以下の形態としても記載することができる。
[形態1]形態1によれば、真空吸着ステージのステージ面に弾性パッドを設置するのに用いられる治具が提案され、前記ステージ面には、真空源に接続可能に構成される真空孔が形成されており、前記弾性パッドには、前記真空孔に対応した孔が形成されており、前記治具は、前記真空吸着ステージの前記真空孔に挿入可能な第1凸部と、前記第1凸部が前記真空孔に挿入された状態で前記ステージ面に接触する支持部と、前記支持部に対して前記第1凸部と反対側に突出し、前記弾性パッドの前記孔に挿入可能な第2凸部と、を備える。形態1によれば、真空吸着ステージの真空孔に第1凸部を挿入すると共に、弾性パッドの孔に第2凸部を挿入することができ、これにより、真空吸着ステージと弾性パッドとの位置合わせを容易に行うことができる。
【0050】
[形態2]形態2によれば、形態1の治具において、前記真空吸着ステージの周縁部には、凹部が形成されており、前記治具は、前記凹部に対応する第3凸部を更に備える。形態
2によれば、治具の第3凸部を真空吸着ステージの周縁部に嵌合させることができ、作業者による真空吸着ステージと弾性パッドとの取り付けのバラツキを抑制することができる。
【0051】
[形態3]形態3によれば、形態1又は2の治具において、前記治具は、前記第1凸部および前記第2凸部を2つ以上有する。形態3によれば、真空吸着ステージと弾性パッドとの位置合わせをより正確に行うことができる。
【0052】
[形態4]形態4によれば、形態1から3の治具において、前記第2凸部は、先端部から離れるほど大きくなるテーパ形状である。形態4によれば、治具の第2凸部を弾性パッドの孔に容易に挿入することができる。
【0053】
[形態5]形態5によれば、形態4の治具において、前記第2凸部は、前記弾性パッドの孔より大きい寸法まで大きくなる前記テーパ状である。形態4によれば、治具によって弾性パッドと真空吸着ステージとの間に隙間ができ、弾性パッドの接着面が真空吸着ステージの接着面に接触しない状態で、弾性パッドと真空吸着ステージとの位置合わせを行うことができる。
【0054】
[形態6]形態6によれば、真空吸着ステージのステージ面に弾性パッドを設置する設置方法が提案される。前記設置方法は、形態1から5の治具を用意するステップと、前記真空吸着ステージのステージ面に形成されている真空孔に前記治具の前記第1凸部を挿入するステップと、前記弾性パッドにおける前記真空孔に対応する孔に前記治具の前記第2凸部を挿入するステップと、を含む。形態6によれば、真空吸着ステージと弾性パッドとの位置合わせを行うことができ、真空吸着ステージのステージ面に弾性パッドを容易に設置することが可能となる。
【0055】
[形態7]形態7によれば、形態6の設置方法において、前記弾性パッドの一方の面が接着面となっていると共に、当該接着面にはセパレートフィルムが取り付けられており、前記設置方法は、前記接着面における一部の領域であって前記治具の前記第2凸部が挿入された孔を含まない領域である第1領域から前記セパレートフィルムを取り外すステップと、前記接着面における前記第1領域の少なくとも一部を前記真空吸着ステージの前記ステージ面に接着させるステップと、を更に含む。形態7によれば、治具によって弾性パッドと真空吸着ステージとを位置合わせした状態で、弾性パッドの第1領域の少なくとも一部を真空吸着ステージに接着させることができる。
【0056】
[形態8]形態8によれば、形態6又は7の設置方法において、前記弾性パッドを押圧して前記弾性パッドと前記真空吸着ステージとの間の空気を抜くステップを更に含む。形態8によれば、真空吸着ステージと弾性パッドとの間に空気が残ることを抑制できる。
【0057】
[形態9]形態9によれば、形態6から8の設置方法において、少なくとも一方の面に前記弾性パッドよりも伸縮性が低い保護シートが取り付けられている前記弾性パッドを用意するステップを更に含む。形態9によれば、弾性パッドを設置するときに弾性パッドが伸縮してしまうことを抑制できる。
【0058】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、実施形態および変形例の任意の組み合わせが可能であり、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組
み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0059】
40…治具
41…板状部
42…下面
43…第1凸部
44…第3凸部
45…上面
46…第2凸部
46a…先端部
46b…基部
47…第4凸部
50…第2の治具
300…バフ処理装置
400…バフステージ
402…ステージ面
404…第1開口部
424…溝
426…凹部
450…弾性パッド
452…支持面
454…孔
458…粘着層
460…セパレートフィルム
470…保護シート
474…溝
476…切り欠き
500…バフヘッド
600…バフアーム
700…液供給系統
800…コンディショニング部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14