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特許7144454光学部品を移送成形または射出成形するための液体シリコーン組成物、それから作製される光学部品、およびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】光学部品を移送成形または射出成形するための液体シリコーン組成物、それから作製される光学部品、およびその方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20220921BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20220921BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
C08L83/07
C08L83/05
G02B1/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019567685
(86)(22)【出願日】2018-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 KR2018006910
(87)【国際公開番号】W WO2018236127
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】10-2017-0077478
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】719000328
【氏名又は名称】ダウ・東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】パク、チョンチャン
(72)【発明者】
【氏名】クォン、ミンヒ
(72)【発明者】
【氏名】岡 裕
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-159671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/04-83/16
G02B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部品を移送成形または射出成形するための液体シリコーン組成物であって、
(A)分子中に少なくとも2つのケイ素結合C2-10アルケニル基および少なくとも1つのケイ素結合C6-20アリール基を有する線状オルガノポリシロキサンと、
(B)以下の平均単位式で表されるオルガノポリシロキサン樹脂であって、
(RSiO3/2(R SiO2/2(R SiO1/2(SiO4/2(XO1/2
式中、各Rは、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、またはC6-20アリール基であり、Rの0.1~40モル%がアルケニル基であり、Rの少なくとも10モル%がアリール基であり、Xは、水素原子またはC1-4アルキル基であり、「a」は、正の数、「b」は、0または正の数、「c」は、0または正の数、「d」は、0または正の数、「e」は、0または正の数、「b/a」は、0~10の数、「c/a」は、0~0.5の数、「d/(a+b+c+d)」は、0~0.3の数、「e/(a+b+c+d)」は、0~0.4の数である、オルガノポリシロキサン樹脂と、
(C)成分(A)および成分(B)中の全アルケニル基1モル当たり0.1~10モルのケイ素結合水素原子をこの成分において提供する量で、分子中に少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンと、
(D)ヒドロシリル化反応触媒と、
(E)ヒドロシリル化反応抑制剤と、を含み、
成分(C)が以下の成分(C-1)および成分(C-2):
(C-1)以下の平均組成式で示されるオルガノポリシロキサンであって、
(HR SiO 1/2 (R SiO 1/2 (R SiO 2/2 (R SiO 3/2 (SiO 4/2 (XO 1/2
式中、各R は、C 1-10 アルキル基またはC 6-20 アリール基であり、Xは、水素原子またはC 1-4 アルキル基であり、「f」、「g」、「h」、「i」、「j」、および「k」は、以下の条件:0.4≦f≦0.7、0≦g≦0.2、0≦h≦0.05、0≦i≦0.5、0≦j≦0.6、0≦k≦0.05、およびf+g+h+i+j=1を満たす数である、オルガノポリシロキサン、
(C-2)以下の平均分子式で表されるオルガノポリシロキサンであって、
HR SiO(R SiO) SiR
式中、各R は、C 1-10 アルキル基またはC 6-20 アリール基であり、「m」は、1~100の範囲の数である、オルガノポリシロキサン、
を含み、かつ
成分(C-1)対成分(C-2)の重量比(C-1)/(C-2)が、0.3~0.7であり、
前記組成物の25℃での粘度が、25,000~50,000mPa・sであり、120℃でムービングダイレオメータ(MDR)により測定されるスコーチ時間[ts1]が、10~50秒である、液体シリコーン組成物。
【請求項2】
成分(A)対成分(B)の重量比(A/B)が0.1~0.6である、請求項1に記載の液体シリコーン組成物。
【請求項3】
前記組成物が硬化して、30~70のASTM D2240で指定されているタイプDデュロメータ硬度および30~50%の伸びを有するシリコーン硬化製品を形成する、請求項1又は2に記載の液体シリコーン組成物。
【請求項4】
請求項1~のいずれか一項に記載の液体シリコーン組成物のヒドロシリル化反応を行うことにより得られる移送成形または射出成形光学部品。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載の液体シリコーン組成物を使用することを特徴とする、光学部品を移送成形または射出成形する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品を移送成形または射出成形するための液体シリコーン組成物、それから作製される移送成形または射出成形光学部品、およびこの組成物を使用して光学部品を移送成形または射出成形する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン組成物は、耐熱性および耐寒性、電気絶縁性、耐候性、撥水性、透明性などの優れた特性で知られている。これらの特性により、この組成物は、様々な産業で幅広い用途を見出す。シリコーン組成物は、移送成形、射出成形などの様々な成形方法によって成形される。さらに、シリコーン組成物は、色の変化や物性の劣化に関して他の有機材料よりも優れているため、そのような組成物は、光学部品の材料としての使用を見出すことが予期される。
【0003】
例えば、特許第4883270号、特開平4-55471号、および特開昭59-232146号などには、成形用シリコーン組成物が開示されている。しかし、これらの参考文献に開示されているシリコーン組成物によって成形されたシリコーン製品は、半導体分野または不透明シリコーンに関するものであり、したがって、レンズなどの光学部品の材料として組成物を使用する例の開示はない。
【0004】
さらに、これらの参考文献に開示されている低屈折率のシリコーン組成物には、シリコーン製品の耐擦傷性が低いという問題がある。一方、これらの参考文献に開示されている高屈折率のシリコーン組成物には、シリコーン製品がボイドなどの欠陥を引き起こす傾向があるという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、光学部品を移送成形または射出成形するための液体シリコーン組成物を提供することである。さらに、本発明の別の目的は、液体シリコーン組成物を使用して、高屈折率および低欠陥製品率を有する移送成形または射出成形光学部品を提供することである。加えて、本発明の別の目的は、液体シリコーン組成物を使用して光学部品を移送成形または射出成形する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
移送成形または射出成形光学部品を調製するための本発明の液体シリコーン組成物は、
(A)分子中に少なくとも2つのケイ素結合C2-10アルケニル基および少なくとも1つのケイ素結合C6-20アリール基を有する線状オルガノポリシロキサンと、
(B)以下の平均単位式で表されるオルガノポリシロキサン樹脂であって、
(RSiO3/2(R SiO2/2(R SiO1/2(SiO4/2(XO1/2
式中、各Rは、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、またはC6-20アリール基であり、Rの0.1~40モル%がアルケニル基であり、Rの少なくとも10モル%がアリール基であり、Xは、水素原子またはC1-4アルキル基であり、「a」は、正の数、「b」は、0または正の数、「c」は、0または正の数、「d」は、0または正の数、「e」は、0または正の数、「b/a」は、0~10の数、「c/a」は0~0.5の数、「d/(a+b+c+d)」は、0~0.3の数、「e/(a+b+c+d)」は、0~0.4の数である、オルガノポリシロキサン樹脂と、
(C)成分(A)および成分(B)中の全アルケニル基1モル当たり0.1~10モルのケイ素結合水素原子をこの成分において提供する量で、分子中に少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンと、
(D)ヒドロシリル化反応触媒と、
(E)ヒドロシリル化反応抑制剤と、を含み、
この組成物の25℃での粘度が、25,000~50,000mPa・sであり、120℃でムービングダイレオメータ(MDR)により測定されるスコーチ時間[ts1]が、10~50秒である。
【0007】
本発明の移送成形または射出成形光学部品は、液体シリコーン組成物のヒドロシリル化反応を行うことにより提供される。
【0008】
本発明の光学部品の移送成形または射出成形方法では、液体シリコーン組成物が使用される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液体シリコーン組成物は、ヒドロシリル化反応を行うことにより、移送成形または射出成形光学部品を生産することができる。本発明の移送成形または射出成形光学部品は、高屈折率および低欠陥製品率という特性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の液体シリコーン組成物を開示する。
【0011】
成分(A)は、分子中に少なくとも2つのケイ素結合C2-10アルケニル基および少なくとも1つのケイ素結合C6-20アリール基を有する線状オルガノポリシロキサンである。
【0012】
成分(A)に含有されるアルケニル基は、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、およびヘキセニル基で表され得る。最も好ましいのは、ビニル基である。成分(A)に含有されるアリール基は、フェニル、トリル、キシリル、およびナフチル基で表され得る。最も好ましいのは、フェニル基である。ケイ素結合し、成分(A)で使用され得るアルケニルおよびアリール基以外の有機基には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、または同様のアルキル基などの置換もしくは非置換一価炭化水素、ベンジル、フェネチル、または同様のアラルキル基、クロロメチル、3-クロロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、または同様のハロゲン化アルキル基が含まれ、中でもメチル基が最も好ましい。
【0013】
本発明の組成物から得られた硬化体で起こり得る回折、反射、散乱などの現象の影響下での光の減衰を低減するために、成分(A)に含有されるケイ素結合有機基のうち、ケイ素結合アリールの量が40モル%以上、好ましくは45モル%以上であることが推奨される。25℃での成分(A)の粘度に関して特別な制限はないが、粘度が、10~1,000,000mPa・s、好ましくは100~50,000mPa・sであることが推奨される。粘度が推奨される下限以上の範囲である場合、得られる硬化製品は、高い機械的強度を示し、粘度が推奨される上限以下の範囲である場合、得られる硬化製品の取り扱い性は、良好である。
【0014】
成分(A)としては、以下の式1のオルガノポリシロキサンが好ましく、
[式1]
【化1】
式中、各Rは、置換または非置換一価炭化水素基であり、その具体例には、前述のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、およびハロゲン化アルキル基が含まれるが、ただし分子中の少なくとも2つのRが前述のアルケニル基であり、分子中の少なくとも1つのRが前述のアリール基の1つである。また、式1において、「n」は、5~1000の整数であり、好ましくは本発明のオルガノポリシロキサンが10~1,000,000mPa・s、特に好ましくは100~50,000mPa・sの範囲の粘度を有することを可能にする整数である。
【0015】
成分(A)の含有量は、組成物の全質量に基づいて10~30質量%、好ましくは15~20質量%の範囲である。成分(A)の含有量が推奨範囲内である場合、硬化体は、適切な機械的強度、および金型から離型される際の優れた離型性を有する。
【0016】
成分(B)は、本発明の組成物を硬化させて得られる硬化製品に機械的強度および高い耐擦傷性を付与するために使用される成分である。成分(B)は、以下の平均単位式で表されるオルガノポリシロキサン樹脂であり、
(RSiO3/2(R SiO2/2(R SiO1/2(SiO4/2(XO1/2
式中、各Rは、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、またはC6-20アリール基であり、Rの0.1~40モル%がアルケニル基であり、Rの少なくとも10モル%がアリール基である。アルケニル基の含有量が推奨範囲の下限以上および上限以下の量である場合、成分(C)との良好な反応性が示される。また、組成物を硬化させて得られる硬化製品において、回折、屈折、散乱などによる、組成物の硬化体を通過する光の損失を低減するためには、全体のRの少なくとも10モル%がアリール基である必要があり、特に式RSiO3/2で表されるシロキサン単位では、Rの少なくとも30モル%がアリール基であるべきであり、アルケニル基およびアリール基以外のRは、好ましくはメチル基である。
【0017】
Xは、水素原子またはC1-4アルキル基であり、最も好ましくはメチル基である。
【0018】
「a」は、正の数、「b」は、0または正の数、「c」は、0または正の数、「d」は、0または正の数、「e」は、0または正の数、「b/a」は、0~10の数、「c/a」は、0~0.5の数、「d/(a+b+c+d)」は、0~0.3の数、「e/(a+b+c+d)」は、0~0.4の数である。
【0019】
成分(B)の分子量に関する制限はないが、標準ポリスチレンに変換される場合、その重量平均分子量(Mw)は、好ましくは500~10,000、特に好ましくは700~3,000の範囲であるべきである。
【0020】
成分(B)の含有量は、組成物の全質量に基づいて40~85質量%、好ましくは50~75質量%の範囲である。成分(B)の含有量が推奨範囲内である場合、硬化体は、適切な機械的強度、および金型から離型される際の優れた離型性を有する。
【0021】
さらに、成分(A)対成分(B)の重量比(A/B)は、好ましくは0.1~0.6であり、より好ましくは0.2~0.4である。成分(A)対成分(B)の重量比が推奨範囲にある場合、硬化体は適切な機械的強度と優れた離型性を有し、金型から離型される。
【0022】
成分(C)は、分子中に少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンであり、成分(A)および成分(B)におけるアルケニル基のヒドロシリル化反応を誘発する架橋剤として機能する。
【0023】
成分(C)の有機ケイ素結合基は、前述のアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、およびアルケニル基以外の同様の置換または非置換一価炭化水素基である。中でも、アルキル基およびアリール基、特にメチル基およびフェニル基が好ましい。成分(C)の相に関して特別な制限はないが、25℃で液体または固体状態で存在することが好ましい。最も好ましい状態は、粘度が0.1~1,000,000,000mPa・sの液体である。
【0024】
成分(C)の分子構造は、直鎖、部分分岐鎖、分岐鎖、または網状構造を有してもよい。より良好な機械的強度および耐擦傷性を硬化製品に付与するために、分岐鎖構造が好ましい。
【0025】
成分(C)は、以下の成分(C-1)および成分(C-2)を含むことが好ましい。
【0026】
成分(C-1)は、以下の平均組成式で表されるオルガノポリシロキサンであり、
(HR SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(XO1/2
式中、Rは、それぞれ独立して、C1-10アルキル基またはC6-20アリール基である。
【0027】
Xは、水素原子またはC1-4アルキル基である。
【0028】
「f」、「g」、「h」、「i」、「j」、および「k」は、次の条件:0.4≦f≦0.7、0≦g≦0.2、0≦h≦0.05、0≦i≦0.5、0≦j≦0.6、0≦k≦0.05、およびf+g+h+i+j=1を満たす数値である。
【0029】
また、成分(C-2)は、以下の平均分子式で表されるオルガノポリシロキサンであり、
HR SiO(R SiO)SiR
式中、Rは、それぞれ独立して、C1-10アルキル基またはC6-20アリール基である。
【0030】
「m」は、1~100の範囲の数である。
【0031】
成分(C)が成分(C-1)および成分(C-2)を含む場合、成分(C-1)対成分(C-2)の重量比(C-1/C-2)は、好ましくは0.01~1.00、より好ましくは0.3~0.7である。成分(C-1)対成分(C-2)の重量比が推奨範囲内である場合、本発明の液体シリコーン組成物は、硬化して、30~70のASTM D2240で指定されているタイプDデュロメータ硬度および30~50%の伸びを有するシリコーン硬化製品を形成する。硬化製品の硬度が推奨範囲である場合、本発明の液体シリコーン組成物から調製された光学部品の金型への接着などの欠陥率を低減することが可能である。さらに、硬化製品の伸びが推奨範囲にある場合、本発明の液体シリコーン組成物から調製された光学部品のチップアウト、フラッシュなどの欠陥率を低減することが可能である。
【0032】
成分(C)の分子量に関する制限はないが、標準ポリスチレンに変換される場合、その重量平均分子量(Mw)は、好ましくは300~10,000、特に好ましくは700~3,000の範囲にあるべきである。
【0033】
成分(C)は、成分(A)と成分(B)の合計の100重量部に基づいて1~200重量部の量で使用され得る。成分(C)の量が推奨される下限以上である場合、組成物の十分な硬化を提供することが可能である。成分(C)が推奨される上限以下の量で使用される場合、硬化製品は、十分な耐熱性を有する。
【0034】
そのような理由で、組成物中の成分(C)の量は、成分(A)および成分(B)中の全アルケニル基1モル当たり0.1~10モル、より好ましくは0.1~5モル、さらにより好ましくは0.5~5モルのケイ素結合水素原子をこの成分において提供する。
【0035】
成分(D)は、成分(C)のケイ素結合水素原子と成分(A)および成分(B)に含まれるアルケニル基との間のヒドロシリル化反応を促進するために使用されるヒドロシリル化触媒である。成分(D)は、白金ベースの触媒、ロジウムベースの触媒、またはパラジウムベースの触媒を含んでもよい。白金系触媒は、組成物の硬化を著しく促進するため好ましい。白金系触媒としては、白金微粉末、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金-アルケニルシロキサン錯体、白金-オレフィン錯体、白金-カルボニル錯体が例示でき、中でも白金-アルケニルシロキサン錯体が好ましい。そのようなアルケニルシロキサンとしては、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、メチル基の一部がエチル基およびフェニル基で置換された前述のアルケニルシロキサンである置換アルケニルシロキサン、またはビニル基の一部がアリール、ヘキセニル、もしくは同様の基で置換された前述のアルケニルシロキサンが例示できる。白金-アルケニルシロキサン錯体のより良い安定性の観点から、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの使用が好ましい。
【0036】
安定性をさらに向上させるために、前述のアルケニルシロキサン錯体は、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジアリル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラフェニルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、もしくは同様のアルケニルシロキサン、ジメチルシロキサンオリゴマー、または他のオルガノシロキサンオリゴマーと組み合わされ得る。アルケニルシロキサンが最も好ましい。
【0037】
成分(D)は、組成物を硬化させるのに十分な量で添加される。より具体的には、質量成分の観点から、上記成分は、組成物の質量当たり、この成分の金属原子の0.01~500ppm、好ましくは0.01~100ppm、最も好ましくは0.01~50ppmの量で添加される。成分(D)が推奨される下限以上の量である場合、組成物は、十分な程度まで反応し得る。一方、成分(D)が推奨される上限以下の量である場合、組成物の硬化製品の着色を防ぐことが可能である。
【0038】
ヒドロシリル化反応阻害剤である成分(E)には、例えば、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、2-フェニル-3-ブチン-2-オール、または同様のアルキニルアルコール、3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン、または同様のエニン化合物、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、ベンゾトリアゾール、または同様の材料が含まれてもよい。成分(E)の量に関して特別な制限はないが、組成物の合計の100質量部当たり0.0001~5質量部の量で成分(E)を添加することが推奨される。
【0039】
さらに、成分(E)対成分(D)の重量比(E/D)は、好ましくは1~30、より好ましくは5~15であり、成分(D)の重量は、金属原子の量に基づくのではなく、成分(D)の全重量に基づく。成分(E)対成分(D)の重量比が推奨範囲内にある場合、所望の反応速度で成形時の欠陥率を低減することが可能である。
【0040】
必要に応じて、本液体シリコーン組成物は、本発明による組成物によって調製された製品の波長変換のために含まれる蛍光体などの任意の成分を含んでもよい。蛍光体の種類は特に限定されないが、当技術分野で知られているもののいずれかを含んでもよい。一実施形態では、蛍光体は、ホスト材料および活性化剤、例えば、銅活性化硫化亜鉛および銀活性化硫化亜鉛から作製される。適切なホスト材料には、これらに限定されないが、酸化物、窒化物、および酸窒化物、亜鉛の硫化物、セレン化物、ハロゲン化物、もしくはケイ酸塩、カドミウム、マンガン、アルミニウム、シリコン、または様々な希土類金属が含まれる。追加の適切な蛍光体には、ZnSiO:Mn(ウィレマイト);ZnS:Ag+(Zn,Cd)S:Ag;ZnS:Ag+ZnS:Cu+YS:Eu;ZnO:Zn;KCl;ZnS:Ag,ClまたはZnS:Zn;(KF,MgF):Mn;(Zn,Cd)S:Agまたは(Zn,Cd)S:Cu;YS:Eu+Fe,ZnS:Cu,Al;ZnS:Ag+Co-on-Al;(KF,MgF):Mn;(Zn,Cd)S:Cu,Cl;ZnS:CuまたはZnS:Cu,Ag;MgF:Mn;(Zn,Mg)F:Mn;ZnSiO:Mn,As;ZnS:Ag+(Zn,Cd)S:Cu;GdS:Tb;YS:Tb;YAl12:Ce;YSiO:Ce;YAl12:Tb;ZnS:Ag,Al;ZnS:Ag;ZnS:Cu,AlまたはZnS:Cu,Au,Al;(Zn,Cd)S:Cu,Cl+(Zn,Cd)S:Ag,Cl;YSiO:Tb;YOS:Tb;Y(Al,Ga)12:Ce;Y(Al,Ga)12:Tb;InBO:Tb;InBO:Eu;InBO:Tb+InBO:Eu;InBO:Tb+InBO:Eu+ZnS:Ag;(Ba,Eu)MgAl1627;(Ce,Tb)MgAl1119;BaMgAl1017:Eu,Mn;BaMgAl1627:Eu(II);BaMgAl1017:Eu,Mn;BaMgAl1627:Eu(II),Mn(II);Ce0.67Tb0.33MgAl1119:Ce,Tb;ZnSiO:Mn,Sb;CaSiO:Pb,Mn;CaWO(シーライト);CaWO:Pb;MgWO;(Sr,Eu,Ba,Ca)(POCl;SrCl(PO:Eu(II);(Ca,Sr,Ba)(POCl:Eu;(Sr,Ca,Ba)10(POCl:Eu;Sr:Sn(II);SrBO20:Eu;CaF(PO:Sb;(Ba,Ti):Ti;3Sr(PO.SrF:Sb,Mn;SrF(PO:Sb,Mn;SrF(PO:Sb,Mn;LaPO:Ce,Tb;(La,Ce,Tb)PO;(La,Ce,Tb)PO:Ce,Tb;Ca(PO.CaF:Ce,Mn;(Ca,Zn,Mg)(PO:Sn;(Zn,Sr)(PO:Mn;(Sr,Mg)(PO:Sn;(Sr,Mg)(PO:Sn(II);CaF(PO:Sb,Mn;Ca(F,Cl)(PO:Sb,Mn;(Y,Eu);Y:Eu(III);Mg(F)GeO:Mn;Mg(F)(Ge,Sn)O:Mn;Y(P,V)O:Eu;YVO:Eu;YS:Eu;3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn;MgAs11:Mn;SrAl:Pb;LaMgAl1119:Ce;LaPO:Ce;SrAl1219:Ce;BaSi:Pb;SrFB:Eu(II);SrB:Eu;SrMgSi:Pb;MgGa:Mn(II);GdS:Tb;GdS:Eu;GdS:Pr;GdS:Pr,Ce,F;YS:Tb;YS:Eu;YS:Pr;Zn(0.5)Cd(0.4)S:Ag;Zn(0.4)Cd(0.6)S:Ag;CdWO;CaWO;MgWO;YSiO:Ce;YAlO:Ce;YAl12:Ce;Y(Al,Ga)12:Ce;CdS:In;ZnO:Ga;ZnO:Zn;(Zn,Cd)S:Cu,Al;ZnS:Cu,Al,Au;ZnCdS:Ag,Cu;ZnS:Ag;アントラセン,EJ-212,ZnSiO:Mn;ZnS:Cu;NaI:Tl;CsI:Tl;LiF/ZnS:Ag;LiF/ZnSCu,Al,Au、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
組成物に添加され得る蛍光体または蛍光材料の量に関して特別な制限はないが、成分(A)~成分(E)の合計の100質量部当たり10~400質量部の量でこの成分を添加することが好ましい。蛍光体または蛍光体の量が推奨される下限以上の範囲である場合、波長変換効果を得ることが可能である。
【0042】
本発明の目的と矛盾しない範囲内で、本発明の液体シリコーン組成物は、シリカ、ガラス、アルミナ、酸化亜鉛、または他の無機充填剤、粉末ポリメタクリレート樹脂、またはその他の有機樹脂微粉末、および耐熱剤、染料、顔料、難燃剤、離型剤などを含んでもよい。
【0043】
本発明の液体シリコーン組成物は、室温または加熱により反応する。ただし、硬化プロセスを加速するには、加熱が推奨される。加熱温度は、50~200℃、好ましくは100~150℃の範囲である。
【0044】
さらに、本発明の液体シリコーン組成物は、25℃で25,000~50,000mPa・sの粘度を有する。粘度の推奨範囲内で、本発明の液体シリコーン組成物から生産される光学部品における漏れ、ボイド、ショートショットなどの欠陥率を低減することが可能である。
【0045】
さらに、本発明の液体シリコーン組成物は、120℃でムービングダイレオメータ(MDR)により測定される10~50秒、好ましくは10~45秒、15~50秒、15~45秒、または15~40秒のスコーチ時間(ts1)を有する。スコーチ時間が推奨範囲内である場合、本発明の液体シリコーン組成物から調製された光学部品のボイドなどの欠陥率を低減することが可能である。
【0046】
スコーチ時間は、120℃の成形温度でムービングダイレオメータ(MDR)によって測定される。ここで、スコーチ時間とは、ASTM D5289-12「ゴム特性の標準試験方法-ロータレスキュアメータを用いた加硫」に準拠したMDRでの測定によって得られる値であり、初期トルク値は、加硫直後に得られるトルク値である。
【0047】
スコーチ時間の制御方法は、限定されていないが、成分(D)または成分(E)の含有量の調整、成分(E)対成分(D)の重量比(E/D)の調整、および成分の選択(C)が例示される。
【0048】
移送成形または射出成形光学部品は、液体シリコーン組成物のヒドロシリル化反応を行うことにより得られる。
【0049】
光学部品の代表例には、レンズが含まれてもよいが、これに限定されない。
【0050】
本発明の液体シリコーン組成物を使用することにより生産される光学部品は、従来技術の組成物を使用する場合よりも高い屈折率、すなわち1.5以上、好ましくは1.53以上、より好ましくは1.54以上を有することができ、欠陥製品率を低くすることができる。
【0051】
故障モードには、漏れ、ボイド、ショートショット、チップアウト、フラッシュ、金型への接着、成形品の剥離、未硬化状態などが含まれる。
【0052】
レンズなどの光学部品の成形時に発生する故障モードでの漏れは、液体シリコーン組成物の粘度に関連している。ボイドは、液体シリコーン組成物の粘度と硬化速度に関連している。ショートショットは、液体シリコーン組成物の粘度に関連している。チップアウトおよびフラッシュは、シリコーン硬化製品の伸びに関連している。金型への接着は、シリコーン硬化製品の硬度と関連している。欠陥製品率は、液体シリコーン組成物の粘度および硬化速度、ならびにシリコーン硬化製品の伸びおよび硬度を最適化することにより低下させ得る。
【0053】
さらに、本発明による光学部品の移送成形または射出成形方法は、液体シリコーン組成物を含む。
【0054】
移送成形および射出成形する方法では、本発明の液体シリコーン組成物を含むことを除いて、先行技術で使用されるすべての方法が適用可能である。
【0055】
成形方法のうち、移送成形は、主な成形方法であり、射出成形は、副次的な成形方法である。移送成形は、バッチプロセスに対応し、熱硬化性プラスチックおよび主に小型製品に適用される。移送成形には、成形型の空洞サイズに制限があり、大きな損失を被るという欠点がある。一方、射出成形は、連続プロセスに対応し、熱可塑性プラスチックおよび主に大型製品に適用される。射出成形では、成形型の空洞数に制限があるが、損失は、移送成形よりも小さい。
【実施例
【0056】
本発明の液体シリコーン組成物、それから生産される光学部品、および成形方法を、実施例および比較例を参照してさらに詳細に説明する。実施例で使用される粘度は、25℃で測定する。硬化性液体シリコーン組成物および光学部品の特性は、以下に説明される方法により測定する。
【0057】
硬化性液体シリコーン組成物のMDR測定
測定デバイス(レオメトリー、MDR2000P、Alpha Technologies製)の温度を120℃の測定温度に設定した。試験片が金型に接触するのを防ぐために、試験片を上下から挟むように薄膜(東レ株式会社製ルミラー、25μm)を作製した。固定された下型と昇降する上型で構成される型の円盤状の中空部に6gの試験片を置いた。上型と下型を密閉し、密閉した直後のトルク値(硬化時間0秒)を、周波数1.66Hz、振動角1°の条件下での初期トルク値として記録した。
【0058】
硬化体の硬度
熱風循環炉内で硬化性液体シリコーン組成物を150℃で1時間加熱することにより硬化体を得る。硬化体の硬度を、ASTMD 2240で指定されているタイプDデュロメータにより測定する。
【0059】
引張り強度
JIS K6251に準拠したダンベル型試験片3番の形状を有する硬化体を、硬化性液体シリコーン組成物を熱風循環炉内で、150℃で1時間加熱することにより得る。硬化体の引張り強度を、JIS K6251で指定されている手順で測定する。
【0060】
耐擦傷性
硬化性液体シリコーン組成物を1mm厚の層を形成するようにアルミニウム板(直径55mm)上に注ぎ、プレートの内容物を、熱風循環炉内で1時間、150℃で加熱することにより硬化させる。その結果、板状の硬化体が形成される。このプレートの表面を釘で10回引っ掻き、その後、表面の損傷の程度を評価する。評価基準には以下の記号:○-10回後に無傷、Δ-2~10回後の傷、X-1回後の傷を使用する。さらに、サンプルの外観を、熱風循環炉内で150℃にて100時間処理した後に観察する。
【0061】
硬化性液体シリコーン組成物および硬化体の屈折率
25℃での硬化性液体シリコーン組成物の屈折率を、アッベ屈折計で測定する。測定は、可視光(589nm)で実行する。続いて、硬化性液体シリコーン組成物を、その後、熱風循環炉内で150℃にて1時間加熱することにより硬化させ、得られた硬化体を通過する光の25℃での屈折率を、組成物と同じ方法で測定する。
【0062】
硬化性液体シリコーン組成物および硬化体の可視光透過性
25℃で硬化性液体シリコーン組成物(光路長2.0mm)の可視光透過性を測定する。測定は、波長420nmの可視光で実行する。次いで、硬化性液体シリコーン組成物を、熱風循環炉内で、150℃で1時間加熱することにより硬化させ、25℃(光路長2.0mm)で硬化体を通る光の透過性を測定する。
【0063】
実施例1
以下を均一に混合することにより、液体シリコーン組成物を調製した。
【0064】
硬化性液体シリコーン組成物100重量部に対して、
両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされた直鎖メチルフェニルポリシロキサン18.69重量部、
平均単位式:(CSiO3/20.75[(CH=CH)(CHSiO1/20.25を有する分岐鎖オルガノポリシロキサン68.47重量部、
平均単位式:(CSiO3/20.60[(CHHSiO1/20.40を有するオルガノポリシロキサン4.20重量部、
式:H(CHSiO[(CSiO]Si(CHHを有するオルガノポリシロキサン7.79重量部、
白金と1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンとの錯体で、金属白金の重量単位で10ppmが含まれる量、および
2-フェニル-3-ブチン-2-オール0.85重量部。
【0065】
硬化性液体シリコーン組成物および硬化体の特性を測定した。測定結果を表1に示した。さらに、上記液体シリコーン組成物を使用することによりレンズを製造した。
【0066】
実施例2
以下を均一に混合することにより、液体シリコーン組成物を調製した。
【0067】
硬化性液体シリコーン組成物100重量部に対して、
両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされた直鎖メチルフェニルポリシロキサン18.69重量部、
平均単位式:(CSiO3/20.75[(CH=CH)(CHSiO1/20.25を有する分岐鎖オルガノポリシロキサン68.47重量部、
平均単位式:(CSiO3/20.60[(CHHSiO1/20.40を有するオルガノポリシロキサン4.20重量部、
式:H(CHSiO[(CSiO]Si(CHHを有するオルガノポリシロキサン7.79重量部、
白金と1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンとの錯体で、金属白金の重量単位で32ppmが含まれる量、および
2-フェニル-3-ブチン-2-オール0.85重量部。
【0068】
硬化性液体シリコーン組成物および硬化体の特性を測定した。測定結果を表1に示す。さらに、上記液体シリコーン組成物を使用することによりレンズを製造した。
【0069】
参考例
以下を均一に混合することにより、液体シリコーン組成物を調製した。
【0070】
硬化性液体シリコーン組成物100重量部に対して、
両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされた直鎖メチルフェニルポリシロキサン22.45重量部、
平均単位式:(CSiO3/20.75[(CH=CH)(CHSiO1/20.25を有する分岐鎖オルガノポリシロキサン64.71重量部、
平均単位式:(CSiO3/20.60[(CHHSiO1/20.40を有するオルガノポリシロキサン4.20重量部、
式:H(CHSiO[(CSiO]Si(CHHを有するオルガノポリシロキサン7.79重量部、
白金と1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンとの錯体で、金属白金の重量単位で32ppmが含まれる量、および
2-フェニル-3-ブチン-2-オール0.85重量部。
【0071】
硬化性液体シリコーン組成物および硬化体の特性を測定した。測定結果を表1に示す。さらに、上記液体シリコーン組成物を使用することによりレンズを製造した。
【0072】
比較例1
以下を均一に混合することにより組成物を調製した。
【0073】
硬化性液体シリコーン組成物100重量部に対して、
両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされた直鎖ジメチルポリシロキサン63重量部、
平均単位式:(SiO4/40.55[(CH=CH)(CHSiO1/20.45を有する分岐鎖オルガノポリシロキサン30重量部、
21mm/秒の動粘度および1.57質量%のケイ素結合水素原子含有量を有する、トリメチルシロキシ基によって両方の分子鎖末端でエンドブロックされたポリメチルハイドロジェンシロキサン5重量部、
白金と1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンとの錯体で、金属白金の重量単位で32ppmが含まれる量、および
2-フェニル-3-ブチン-2-オール0.85重量部。
【0074】
硬化性液体シリコーン組成物および硬化体の特性を測定した。測定結果を表1に示す。さらに、上記液体シリコーン組成物を使用することによりレンズを製造した。
【0075】
比較例2
以下を均一に混合することにより、液体シリコーン組成物を調製した。
【0076】
硬化性液体シリコーン組成物100重量部に対して、
両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされた直鎖メチルフェニルポリシロキサン20.39重量部、
平均単位式:(CSiO3/20.75[(CH=CH)(CHSiO1/20.25を有する分岐鎖オルガノポリシロキサン66.77重量部、
平均単位式:(CSiO3/20.60[(CHHSiO1/20.40を有するオルガノポリシロキサン4.20重量部、
式:H(CHSiO[(CSiO]Si(CHHを有するオルガノポリシロキサン7.79重量部、
白金と1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンとの錯体で、金属白金の重量単位で6ppmが含まれる量、および
2-フェニル-3-ブチン-2-オール0.85重量部。
【0077】
硬化性液体シリコーン組成物および硬化体の特性を測定した。測定結果を表1に示す。さらに、上記液体シリコーン組成物を使用することによりレンズを製造した。
【0078】
比較例3
以下を均一に混合することにより、液体シリコーン組成物を調製した。
【0079】
硬化性液体シリコーン組成物100重量部に対して、
両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされた直鎖メチルフェニルポリシロキサン20.39重量部、
平均単位式:(CSiO3/20.75[(CH=CH)(CHSiO1/20.25を有する分岐鎖オルガノポリシロキサン66.77重量部、
平均単位式:(CSiO3/20.60[(CHHSiO1/20.40を有するオルガノポリシロキサン4.20重量部、
式:H(CHSiO[(CSiO]Si(CHHを有するオルガノポリシロキサン7.79重量部、
白金と1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンとの錯体で、金属白金の重量単位で46ppmが含まれる量、および
0.85重量部の2-フェニル-3-ブチン-2-オール。
【0080】
硬化性液体シリコーン組成物および硬化体の特性を測定した。結果を表1に示す。さらに、上記液体シリコーン組成物を使用することによりレンズを製造した。
【0081】
[レンズの調製例]
レンズを従来の移送成形方法の手段により作製した。
【0082】
高温により液体状態のシリコーン組成物を、ポートを備えた上部型および下部型を有する成形型の空洞に、成形型のランナーを通して一定の温度および圧力を加えながら注入し、それを硬化させることによりレンズを調製した。
【0083】
加えられた圧力は、1.5バールであり、温度は、120℃であった。
【0084】
移送成形結果を表1に示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の硬化性液体シリコーン組成物は、レンズなどの光学部品を生産するための材料として適切である。組成物から調製された光学部品は、高い屈折率を示し、調製プロセス中の欠陥製品率を下げることができるという利点を有する。