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特許7144569パターン形成方法、積層体、及び、タッチパネル製造方法
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  • 特許-パターン形成方法、積層体、及び、タッチパネル製造方法 図1
  • 特許-パターン形成方法、積層体、及び、タッチパネル製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】パターン形成方法、積層体、及び、タッチパネル製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20220921BHJP
   G03F 7/09 20060101ALI20220921BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20220921BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20220921BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220921BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20220921BHJP
【FI】
G03F7/004 512
G03F7/09 501
G03F7/004 506
G03F7/027
G06F3/041 660
G06F3/041 400
B32B27/00 B
B32B7/023
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021069067
(22)【出願日】2021-04-15
(62)【分割の表示】P 2019532648の分割
【原出願日】2018-07-24
(65)【公開番号】P2021120743
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】P 2017147152
(32)【優先日】2017-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】漢那 慎一
(72)【発明者】
【氏名】有冨 隆志
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-138028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G03F 7/09
G03F 7/027
G06F 3/041
B32B 27/00
B32B 7/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長365nmに対して透明である基材と、
前記基材の両面にそれぞれ配置された、波長365nmに対して透明な2つの被エッチング層と、
前記2つの被エッチング層上にそれぞれ配置された、波長365nmに対する光学濃度が0.50以上2.50以下である2つの感光性樹脂層と、を含み、
前記感光性樹脂層がネガ型の感光性樹脂層である
積層体。
【請求項2】
波長405nmに対して透明である基材と、
前記基材の両面にそれぞれ配置された、波長405nmに対して透明な2つの被エッチング層と、
前記2つの被エッチング層上にそれぞれ配置された、波長405nmに対する光学濃度が0.50以上2.50以下である2つの感光性樹脂層と、を含み、
前記感光性樹脂層がネガ型の感光性樹脂層である
積層体。
【請求項3】
前記感光性樹脂層の膜厚が8.0μm以下である、請求項1又は請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記被エッチング層が導電層である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項5】
前記感光性樹脂層が、重合性化合物、及び、重合開始剤を含む、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項6】
前記感光性樹脂層が、紫外線吸収材料を含む、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項7】
前記紫外線吸収材料が、カーボンブラックを含む、請求項6に記載の積層体。
【請求項8】
両面同時露光用積層体である、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項9】
タッチパネル用積層体である、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パターン形成方法、積層体、及び、タッチパネル製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基材上の被エッチング層をフォトエッチング法によりパターン加工するパターン形成方法が知られている。
ここで、近年、基材の両面に形成された被エッチング層を、それぞれ独立なパターンとしてパターン加工する場合がある。
例えば、タッチパネルの分野においては、タッチセンサ用配線の製造のため、基材のある面にはX軸方向の位置検出用電極をパターン加工し、かつ、基材の別の面にはY軸方向の位置検出用電極をパターン加工する、等の加工が行われる場合がある。
基材の両面に異なる形状のパターンを形成する方法としては、特許文献1~特許文献3に記載の方法が知られている。
【0003】
特許文献1には、「UVカット性能を有する基材フィルムの両面に遮光性金属層、上記遮光性金属層上に各々第1感光性樹脂層を形成する工程と、上記遮光性金属層上の上記第1感光性樹脂層に、両面で異なるパターンマスクを介して、UV光を照射する露光工程と、露光した上記第1感光性樹脂層を現像することによりレジストパターンを形成する工程と、上記レジストパターンで被覆されていない部分の上記遮光性金属層を除去することにより引き回し回路パターンを形成するエッチング工程と、上記引き回し回路パターンを覆う上記第1感光性樹脂層を少なくとも接続部で剥離除去する工程と、支持フィルムと、上記支持フィルム上に設けられ導電性繊維を含有する導電層と、上記導電層上に設けられた第2感光性樹脂層とを備える感光性導電フィルムを、上記基材フィルムの上記引き回し回路パターンが形成された両面に上記第2感光性樹脂層が密着するようにラミネートする工程と、上記基材フィルムの両面にラミネートされた上記感光性導電フィルムの上記第2感光性樹脂層に、両面で異なるパターンマスクを介して、UV光を照射する露光工程と、露光した上記第2感光性樹脂層を現像することにより、上記第2感光性樹脂層の除去される部分に積層された上記導電層も一緒に除去し、上記引き回し回路パターンと電気的に接続された電極パターンを形成する現像工程と、を備える、タッチセンサの形成方法。」が記載されている。
【0004】
特許文献2には、「タッチパネルセンサを製造する方法において、透明な基材フィルムと、上記基材フィルムの一方の側の面上に設けられた第1透明導電層と、上記基材フィルムの他方の側の面上に設けられた第2透明導電層と、上記第1透明導電層上に設けられ、遮光性および導電性を有する被覆導電層と、を有する積層体を準備する工程と、上記被覆導電層上に、所定パターンを有する第1感光層を露光および現像処理により形成するとともに、上記第2透明導電層上に、上記第1感光層とは異なるパターンを有する第2感光層を露光および現像処理により形成する工程と、上記第1感光層をマスクとして上記被覆導電層をエッチングして、上記被覆導電層をパターニングする工程と、上記第1感光層および上記被覆導電層をマスクとして上記第1透明導電層をエッチングするとともに、上記第2感光層をマスクとして上記第2透明導電層をエッチングして、上記第1透明導電層および上記第2透明導電層をパターニングする工程と、上記被覆導電層の一部分上にのみ配置される第3感光層を露光および現像処理により形成する工程と、上記第3感光層をマスクとして上記被覆導電層をエッチングして、被覆導電層のうち上記一部分以外の被覆導電層を除去し、これによって、パターニングされた上記第1透明導電層と電気的に接続された第1取出導電体を形成する工程と、上記基材フィルムの他方の側の面上に、パターニングされた上記第2透明導電層と電気的に接続された第2取出導電体を形成する工程と、を備え、上記第2取出導電体は、スクリーン印刷法により形成されることを特徴とするタッチパネルセンサの製造方法。」が記載されている。
【0005】
特許文献3には、「透明基材の表裏両面に設けられた透明金属膜のパターン形成において、上記透明金属膜の少なくとも一方の透明金属膜上に露光光を遮光する不透明層を形成し、上記透明基材の表裏両面にフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜を形成することを特徴とする透明基材両面へのパターン形成方法。」が記載されている。
【0006】
特許文献1:特開2016-224735号公報
特許文献2:特開2011-197754号公報
特許文献3:特開2011-154080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2に記載の方法においては、被エッチング層を両面に有する基材の両面に、感光性樹脂層を用いたエッチングレジストを形成し、両面にそれぞれパターンを形成している。
特許文献1又は2に記載の方法においては、被エッチング層に遮光性の金属層が含まれるため、基材の一方からのパターン露光光が、反対側の感光性樹脂層に到達しないため、両面にそれぞれ独立なパターンを形成することが可能となっていると思われる。
しかし、タッチパネル表示装置等の分野においては、表示画像の画質等の観点から、両面に配置された、透明な被エッチング層のパターンを形成することが要求される場合がある。
本発明者らは、基材及び被エッチング層が透明である場合に、特許文献1又は2に記載の方法によりパターンの形成を行うと、一方の面にエッチングレジストを形成するための一方の面に対する露光光により、別の一方の面の感光性樹脂層も露光されてしまい、一方の面と別の一方の面とで独立したパターンの形成が困難であるという課題が存在することを見出した。
本開示において、このような、一方の面に対する露光光が、別の一方の面の感光性樹脂層をも露光してしまう現象を、別の一方の面に露光かぶりが発生する、とも称する。
上記露光かぶりが抑制されることにより、一方の面と、別の一方の面における感光性樹脂層に対し、それぞれ別の露光パターンによる露光を行うことが可能となり、一方の面と別の一方の面とで独立した別のレジストパターンを形成することが可能となる。その結果、一方の面と他方の面とで独立した別の被エッチング層のパターン形成が可能となる。
また、特許文献3には、基材の少なくとも一方に、露光光を遮光する不透明層を形成し、その後にエッチングレジストを形成して、被エッチング層のパターン形成が行われている。
本発明者らは、特許文献3に記載の方法には、不透明層を別に形成するという工程が必要となるため、パターン形成方法における工程数が増加し、生産性が低下するという課題があることを見出した。
【0008】
本開示に係る実施形態が解決する課題は、得られるエッチングレジストのパターン形状に優れ、かつ、一方の面に対する露光光による別の一方の面の露光かぶりが抑制されたパターン形成方法又はタッチパネル製造方法を提供することである。
また、本開示に係る別の実施形態が解決する課題は、得られるエッチングレジストのパターン形状に優れ、かつ、一方の面に対する露光光による別の一方の面の露光かぶりが抑制された積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 露光波長に対して透明な被エッチング層を両面に有する、露光波長に対して透明な基材を準備する工程と、上記基材の両面の上記被エッチング層上に、露光波長に対する光学濃度が0.50以上2.50以下である感光性樹脂層を、それぞれ形成する工程と、上記感光性樹脂層をパターン露光する工程と、上記感光性樹脂層を現像することにより、両面にレジストパターンを形成する工程と、上記レジストパターンで被覆されていない部分の上記被エッチング層を除去する工程と、上記レジストパターンを剥離する工程と、をこの順に有するパターン形成方法。
<2> 上記露光する工程における露光量が、10(n-0.5)mJ/cm以上10(n+1.5)mJ/cm以下である、上記<1>に記載のパターン形成方法。
n:上記感光性樹脂層の露光波長に対する光学濃度
<3> 上記露光する工程における露光量が、10mJ/cm以上10(n+1.0)mJ/cm以下である、上記<1>に記載のパターン形成方法。
n:上記感光性樹脂層の露光波長に対する光学濃度
<4> 上記感光性樹脂層の膜厚が8.0μm以下である、上記<1>~<3>のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
<5> 上記露光する工程における露光光が波長365nmに極大波長を有する、上記<1>~<4>のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
<6> 上記感光性樹脂層を形成する工程が、仮支持体と、上記仮支持体上に光学濃度が0.50以上2.50以下である感光性樹脂層と、を有する転写フィルムを、上記被エッチング層にラミネートする工程である、上記<1>~<5>のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
<7> 上記ラミネートする工程における、ラミネートされた転写フィルム全体の光学濃度が、0.50以上2.50以下である、上記<6>に記載のパターン形成方法。
<8> 上記感光性樹脂層を形成する工程における、形成された上記感光性樹脂層の光学濃度が、1.00以上2.00以下である、上記<1>~<7>のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
<9> 上記露光する工程において、両面の上記感光性樹脂層を同時に露光する、上記<1>~<8>のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
<10> 上記被エッチング層が導電層である、上記<1>~<9>のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
<11> 上記感光性樹脂層が、重合性化合物、及び、重合開始剤を含む、上記<1>~<10>のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
<12> 上記感光性樹脂層が、紫外線吸収材料を含む、上記<1>~<11>のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
<13> 上記紫外線吸収材料が、カーボンブラックを含む、上記<12>に記載のパターン形成方法。
<14> 露光波長に対して透明である基材と、
上記基材の両面にそれぞれ配置された、露光波長に対して透明な2つの被エッチング層と、
上記2つの被エッチング層上にそれぞれ配置された、露光波長に対する光学濃度が0.50以上2.50以下である2つの感光性樹脂層と、を含む
積層体。
<15> 上記<1>~<13>に係るパターン形成方法を含む、タッチパネルの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る実施形態によれば、得られるエッチングレジストのパターン形状に優れ、かつ、一方の面に対する露光光による別の一方の面の露光かぶりが抑制されたパターン形成方法又はタッチパネル製造方法を提供することができる。
また、本開示に係る別の実施形態によれば、得られるエッチングレジストのパターン形状に優れ、かつ、一方の面に対する露光光による別の一方の面の露光かぶりが抑制された積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示において用いられる転写フィルムの一例を示す概略図である。
図2】本開示に係る積層体の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本開示において、感光性樹脂層等の層中の各成分の量は、層中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、層中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
本開示において、重合体中の構成単位の割合は特に断わりが無い限り、モル比である。
【0013】
(パターン形成方法)
本開示に係るパターン形成方法は、露光波長に対して透明な被エッチング層を両面に有する、露光波長に対して透明な基材を準備する工程と、上記基材の両面の上記被エッチング層上に、露光波長に対する光学濃度が0.50以上2.50以下である感光性樹脂層を、それぞれ形成する工程(感光性樹脂層を形成する工程)と、上記感光性樹脂層をパターン露光する工程と、上記感光性樹脂層を現像することにより、両面にレジストパターンを形成する工程と、上記レジストパターンで被覆されていない部分の上記被エッチング層を除去する工程と、上記レジストパターンを剥離する工程と、をこの順に有する。
【0014】
本開示に係るパターン形成方法によれば、得られるエッチングレジストのパターン形状に優れ、かつ、一方の面に対する露光光による別の一方の面の露光かぶりが抑制される。
詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように推測している。
感光性樹脂層自体の露光波長に対する光学濃度が0.50以上であることにより、一方の面に対する露光光が別の一方の面に存在する感光性樹脂層を露光してしまうことが抑制され、別の一方の面の露光かぶりが抑制されると考えられる。
また、感光性樹脂層の露光波長に対する光学濃度が2.50以下であることにより、露光された面において、露光光が感光性樹脂層の深部まで到達することにより、得られるエッチングレジストのパターン形状に優れると考えられる。
更に、本開示に係るパターン形成方法によれば、感光性樹脂層自体の光学濃度を特定の値とすることにより、別の一方の面の露光かぶりを抑制することができるため、特許文献3に記載のような不透明層を別に形成する工程を含まない場合であっても、露光かぶりが抑制されると考えられる。
すなわち、生産性にも優れたパターン形成方法が提供されると考えられる。
以下、本開示に係るパターン形成方法における各工程について詳細を説明する。
【0015】
<準備する工程>
本開示に係るパターン形成方法は、露光波長に対して透明な被エッチング層を両面に有する、露光波長に対して透明な基材を準備する工程を含む。
基材を準備する工程は、被エッチング層を両面に有する基材の状態で入手したものを使用する工程であってもよいし、被エッチング層を基材上に形成して製造する工程であってもよい。
【0016】
〔基材〕
基材としては、特に限定されないが、少なくとも2つの面を有する基材が用いられ、フィルム状又はシート状等の板状の基材であることが好ましい。
また、基材としては、露光波長に対して透明な基材が用いられる。
露光波長に対して透明な基材とは、露光波長における透過率が、50%以上である基材をいい、60%以上である基材が好ましく、80%以上である基材がより好ましい。
上記透過率の上限は特に限定されず、100%以下であればよい。
上記露光波長における透過率は、市販の透過率測定器(例えば、日本分光社製V-700series)により測定される。
また、本開示において、露光波長とは、露光光に含まれる光の中で、最も強度が大きい波長をいう。
【0017】
基材の材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンレフタレートなどのポリエステル系樹脂、或いは、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル系樹脂、シクロポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などを用いた樹脂材料、或いはガラス、石英などの無機材料を用いた基材などを使用することができる。
本開示において用いられる基材は、上記樹脂材料を含む基材であることが好ましく、樹脂フィルムであることがより好ましい。
【0018】
被エッチング層が、後述する導電性を有する層である場合、基材は絶縁性を有する基材であることが好ましい。
本開示において、導電性とは、導電性を有する層の表面抵抗値が、好ましくは0.1Ω/□~1000Ω/□であることを言う。絶縁性とは、表面抵抗値が0.1Ω/□未満であることを言う。
上記体積抵抗率は、市販の抵抗率測定器(例えば、三菱ケミカルアナリティック社製ロレスターGX MCP-T700)により測定される。
また、基材がタッチパネルにおけるタッチセンサの製造に用いられる場合、基材の厚さとしては、10μm~300μmであることが好ましく、30μm~150μmであることがより好ましい。
【0019】
-被エッチング層-
本開示における基材は、両面に被エッチング層を有する。
被エッチング層としては、導電性を有することが好ましい。被エッチング層が導電性を有することを、被エッチング層が導電層であるとも称する。
すなわち、本開示に係るパターン形成方法は、導電性パターン形成方法であることが好ましく、導電性配線パターンの形成方法であることがより好ましい。
また、上記導電性パターン形成方法は、タッチパネルセンサ用パターン形成方法であることが好ましい。
被エッチング層は、特に限定されないが、導電性を有する観点からは、In、SnO、ITO(Indium Tin Oxide)などの金属酸化物を含むことができ、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)などを含んでもよい。
また、被エッチング層としては、タッチパネル分野において公知の金属メッシュや金属ナノワイヤ層も好適に用いることができる。金属としては、銀、銅等が挙げられる。
被エッチング層は、特に限定されず、公知の方法により製造することが可能であり、例えば、PVD(物理的気相法)、CVD(化学的気相法)、塗布等により基材上に形成することができる。
2つの被エッチング層の材質は、異なっていてもよいし、同一であってもよいが、後述の被エッチング層を除去する工程を両面で一度に行うことが好ましい観点からは、2つの被エッチング層の材質が同一であることが好ましい。
【0020】
また、被エッチング層としては、露光波長に対して透明な被エッチング層が用いられる。
露光波長に対して透明な被エッチング層とは、露光波長における透過率が、50%以上である被エッチング層をいい、60%以上である被エッチング層が好ましく、80%以上である被エッチング層がより好ましい。
上記透過率の上限は特に限定されず、100%以下であればよい。
上記露光波長における透過率は、基材と同様の方法により測定される。
また、被エッチング層の厚さとしては、特に限定されないが、5nm~1000nmであることが好ましく、10nm~300nmであることがより好ましい。
【0021】
<感光性樹脂層を形成する工程>
本開示に係るパターン形成方法は、上記基材の両面の上記被エッチング層上に、露光波長に対する光学濃度が0.50以上2.50以下である感光性樹脂層を、それぞれ形成する工程を含む。
2つの被エッチング層上に形成される2つの感光性樹脂層は、同一の組成であっても異なる組成であってもよいが、後述の現像を同時に行う観点からは、同一の組成であることが好ましい。
【0022】
〔感光性樹脂層〕
本開示における感光性樹脂層は、現像における除去性が露光により低下する、いわゆるネガ型の感光性樹脂層であってもよいし、現像における除去性が露光により増加する、いわゆるポジ型の感光性樹脂層であってもよいが、ネガ型の感光性樹脂層であることが好ましい。
【0023】
-光学濃度(OD値)-
本開示における感光性樹脂層は、露光波長に対する光学濃度が0.50以上2.50以下である。
また、上記光学濃度は、パターン形状に優れたレジストパターンを得る観点からは、2.30以下であることが好ましく、2.00以下であることがより好ましい。
感光性樹脂層が、ネガ型の感光性樹脂層である場合、光学濃度が上記範囲であれば、レジストパターンにおけるいわゆるアンダーカットの発生が抑制される。
上記光学濃度は、露光かぶりを抑制する観点、及び、レジストパターンの剥離性の観点からは、0.70以上が好ましく、1.00以上がより好ましい。
本開示において、上記光学濃度は、分光光度計(V-7000、日本分光(株)製)を用いて測定される。
【0024】
-厚さ-
本開示における感光性樹脂層の厚さは、アンダーカットの抑制の観点からは、15.0μm以下であることが好ましく、8.0μm以下であることがより好ましい。また、露光かぶり防止の観点からは、1.0μm以上であることが好ましく、2.0μm以上であることがより好ましい。
【0025】
-感光性樹脂層の組成-
本開示における感光性樹脂層は、重合性化合物、及び、重合開始剤を含むことが好ましい。
また、本開示における感光性樹脂層は、光学濃度を上記範囲に調整しやすい観点から、紫外線吸収材料を含むことが好ましい。
以下、本開示における感光性樹脂層に含まれる各成分の詳細について説明するが、本開示においては、以下に示す各成分に限定されず、例えばタッチパネルの製造において用いられる公知の感光性樹脂層に対し、後述の紫外線吸収材料を添加して光学濃度を上記範囲に調整したものを、特に限定なく使用することが可能である。
【0026】
<<重合性化合物>>
重合性化合物としては、特に限定されないが、ラジカル重合性化合物が好ましく、エチレン性不飽和化合物が好ましい。
エチレン性不飽和化合物としては、単官能であっても多官能であってもよいが、パターン形状に優れたレジストパターンを得る観点から2官能以上のエチレン性不飽和化合物が好ましい。
また、エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリレート化合物が好ましく、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。
【0027】
重合性化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシドにプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレートを挙げることができる。
また、ウレタン(メタ)アクリレート化合物などのウレタン系モノマーも好ましく用いることができる
【0028】
さらに特公昭48-41708号公報、特公昭50-6034号公報及び特開昭51-37193号公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48-64183号公報、特公昭49-43191号公報及び特公昭52-30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレートやメタクリレートが挙げられる。
【0029】
重合性化合物は上市されている市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP、新中村化学工業(株)製、2官能、分子量304)、トリシクロデカンジメナノールジメタクリレート(DCP、新中村化学工業(株)製、2官能、分子量332)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(A-NOD-N、新中村化学工業(株)製、2官能、分子量268)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(A-HD-N、新中村化学工業(株)製、2官能、分子量226)、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(A-BPEF、新中村化学工業(株)製、2官能、分子量546)、ウレタンアクリレート(UA-160TM、新中村化学工業(株)製、2官能、分子量1600)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(V#230、大阪有機化学工業(株)製、2官能、分子量226)、1,3-アダマンチルジアクリレート(ADDA、三菱ガス化学(株)製、2官能、分子量276)、トリメチロールプロパントリアクリレート(A-TMPT、新中村化学工業(株)製、3官能、分子量296)、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド(EO)変性(n≒1)トリアクリレート(M-350、東亞合成(株)製、3官能)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(A-TMMT、新中村化学工業(株)製、4官能、分子量352)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(A-DPH、新中村化学工業(株)製、6官能、分子量578)、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(UA-306H、共栄社化学(株)製、6官能)、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー(UA306T、共栄社化学(株)製、6官能)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製、6官能、分子量579)、ウレタン(メタ)アクリレート(UA-32P、新中村化学工業(株)製、9官能)、ウレタン(メタ)アクリレート(8UX-015A、大成ファインケミカル(株)製、15官能)などが好ましく挙げられる。
【0030】
重合性化合物は、分子量が3000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましく、1000以下あることがさらに好ましく、500以下であることが特に好ましい。
分子量の下限は特に限定されないが、100以上であることが好ましい。
【0031】
重合性化合物の分子量は、質量分析(例えば、液体クロマトグラフ(LC/MS)分析、ガスクロマトグラフ(GC/MS)分析、高速原子衝突クロマトグラフ(FAB/MS分析)など)により分子構造を同定し、分子式から求めることができる。
【0032】
感光性樹脂層に含まれる重合性化合物の含有量は、感光性樹脂層の全固形分量に対して、5質量%~70質量%が好ましく、10質量%~40質量%がより好ましく、10質量%~30質量%がさらに好ましい。
本開示において、感光性樹脂層の全固形分量とは、感光性樹脂層から溶剤等の揮発性成分を除いた質量をいう。
【0033】
重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、重合性化合物を2種以上組み合わせて用いることが、パターン形成の際の感度がより向上するという観点から好ましい。また、残渣の抑制及び膜強度の観点から、2官能の重合性化合物と2官能以外の重合性化合物とを併用することが好ましい。
【0034】
2官能の重合性化合物と2官能以外の重合性化合物を併用する場合、重合性化合物の全質量(2官能の重合性化合物と2官能以外の重合性化合物との総量)に対する2官能の重合性化合物の質量の比率(2官能の重合性化合物/重合性化合物全質量)が、50質量%以上であることが好ましい。
(2官能の重合性化合物/重合性化合物全質量)が50質量%以上であると、弱アルカリ現像液(例えば、炭酸ナトリウム水溶液)による現像残渣の抑制及び膜強度の点で有利である。
【0035】
<<重合開始剤>>
感光性樹脂層は、重合開始剤の少なくとも1種を含有することが好ましい。
重合開始剤としては、特開2011-95716号公報の段落0031~段落0042に記載の重合開始剤、特開2015-014783号公報の段落0064~段落0081に記載のオキシム系重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤は、上市されている市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、1,2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)](商品名:IRGACURE OXE-01、BASF社)、エタン-1-オン,[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(0-アセチルオキシム)商品名:IRGACURE OXE-02、BASF社)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(商品名:IRGACURE 379EG、BASF社)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(商品名:IRGACURE 907、BASF社)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(商品名:IRGACURE 127、BASF社)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(商品名:IRGACURE 369、BASF社)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(商品名:IRGACURE 1173、BASF社)、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(商品名:IRGACURE 184、BASF社)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(商品名:IRGACURE 651、BASF社)、オキシムエステル系重合開始剤の商品名:Lunar 6(DKSHジャパン(株))、2,4-ジエチルチオキサントン(商品名:カヤキュアDETX-S、日本化薬(株))、フルオレンオキシム系重合開始剤であるDFI-091、DFI-020(ともにダイトーケミックス社)などが好ましく挙げられる。
【0036】
中でも、感度を高める観点からα-アミノアルキルフェノン系化合物、α-ヒドロキシアルキルフェノン系化合物、オキシムエステル系化合物などのオキシム系重合開始剤が好ましく、オキシム系重合開始剤を含むことがより好ましい。
【0037】
本開示における感光性樹脂層は、重合開始剤を1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
感光性樹脂層に含まれる重合開始剤の含有量は、感光性樹脂層の全固形分量に対して、0.01質量%~5質量%が好ましく、0.05質量%~3質量%がより好ましい。
【0038】
感光性樹脂層における上述の重合性化合物の含有質量に対する重合開始剤の含有質量の比(重合開始剤/重合性化合物)は、現像残渣がより抑制され、感光性樹脂層からの重合開始剤の析出が効果的に抑制されるという観点から、0.05~0.60であることが好ましく、0.05~0.50であることがより好ましく、0.07~0.30であることが更に好ましい。
【0039】
<<紫外線吸収材料>>
本開示における感光性樹脂層は、感光性樹脂層の露光波長に対する光学濃度を上述の範囲に調整する観点から、紫外線吸収材料を含むことが好ましい。
紫外線吸収材料としては、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾエート化合物、サリシレート化合物、トリアジン化合物、シアノアクリルレート化合物などの紫外線吸収材料が挙げられる。具体的には、例えばベンゾトリアゾール化合物としては、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-[5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールなどやこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体などが挙げられる。また、例えばトリアジン化合物としては、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-イソオクチルオキシフェニル)-s-トリアジンなどやこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また、複数を混合して使用してもよい。
また、本開示に係る感光性樹脂層は、紫外線吸収材料として、カーボンブラックを含有することが好ましい。カーボンブラックとしては、光学濃度を上述の範囲とする限り、特に制限なく公知のカーボンブラックを使用することが可能であり、市販品を用いてもよい。
【0040】
本開示に係る感光性樹脂層は、紫外線吸収材料を、1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
紫外線吸収材料の含有量は、特に限定されず、感光性樹脂層の光学濃度を所望の値とする量として、適宜設定すればよい。
【0041】
<<アルカリ可溶性樹脂>>
本開示に係る感光性樹脂層は、アルカリ可溶性樹脂を含有することが好ましい。
「アルカリ可溶性樹脂」としては、後述するレジストパターンを形成する工程において使用される現像液に溶解又は分散する樹脂であれば、特に制限なく使用することが可能である。
【0042】
アルカリ可溶性樹脂としては、バインダーの具体的な例としては、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸のランダム共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸のランダム共重合体、シクロヘキシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、シクロヘキシル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸の共重合体のグリシジル(メタ)アクリレート付加物、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸の共重合体のグリシジル(メタ)アクリレート付加物、アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸の共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体などが挙げられる。
【0043】
その他、アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、特開2011-95716号公報の段落0025、特開2010-237589号公報の段落0033~段落0052に記載された樹脂が使用可能である。
【0044】
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量としては、8000~100,000が好ましい。
本開示において、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)により測定される。検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F-40」、「F-20」、「F-4」、「F-1」、「A-5000」、「A-2500」、「A-1000」、「n-プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
【0045】
<条件>
・GPC:HLC(登録商標)-8020GPC(東ソー(株)製)
・カラム:TSKgel(登録商標)、Super MultiporeHZ-H(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本
・溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
・試料濃度:0.45質量%
・流速:0.35mL/min
・サンプル注入量:10μL
・測定温度:40℃
・検出器:示差屈折計(RI)
【0046】
本開示における感光性樹脂層は、アルカリ可溶性樹脂を、1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
アルカリ可溶性樹脂の含有量は、感光性樹脂層の全固形分量に対し、10質量%~70質量%が好ましく、15質量%~60質量%がより好ましく、20質量%~50質量%が更に好ましい。
【0047】
<<その他の成分>>
本開示における感光性樹脂層は、その他の成分として、増感剤、界面活性剤等を含有してもよい。
【0048】
-増感剤-
増感剤としては、例えば、公知の増感色素、染料、又は顔料、チオール化合物、アミノ酸化合物等が挙げられる。増感剤は、1種単独であってよく、又は2種以上であってもよい。
【0049】
増感色素としては、例えば、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、クマリン化合物、キサントン化合物、チオキサントン化合物、オキサゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、トリアゾール化合物(例えば、1,2,4-トリアゾール)、スチルベン化合物、トリアジン化合物、チオフェン化合物、ナフタルイミド化合物、トリアリールアミン化合物、及びアミノアクリジン化合物が挙げられる。
【0050】
染料又は顔料としては、例えばフクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、カルコキシドグリーンS,パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン(保土ヶ谷化学株式会社製、アイゼン(登録商標) MALACHITE GREEN)、ベイシックブルー20、ダイアモンドグリーン(保土ヶ谷化学株式会社製、アイゼン(登録商標) DIAMOND GREEN GH)などが挙げられる。
【0051】
染料としては、発色系染料を用いることができる。発色系染料とは、光照射によって発色する機能を有する化合物である。例えばロイコ染料及びフルオラン染料が挙げられる。これらのうちロイコ染料が好ましい。具体的には、例えばトリス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、トリス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)メタン[ロイコマラカイトグリーン]などが挙げられる。
【0052】
ロイコ染料は、ハロゲン化合物と組み合わせて用いることが好ましい。このハロゲン化合物としては、例えば臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルホン、四臭化炭素、トリス(2、3-ジブロモプロピル)ホスフェ-ト、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1、1、1-トリクロロ-2、2-ビス(p-クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン、ハロゲン化トリアジン化合物などが挙げられる。ハロゲン化トリアジン化合物としては、例えば2、4、6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4、6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジンが挙げられる。中でも、トリブロモメチルフェニルスルホン、トリアジン化合物等が有用である。
【0053】
また、増感剤の別の例として、チオール化合物が好ましく挙げられる。チオール化合物は、光重合開始剤の光源に対する感度を一層向上させる、酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制するなどの作用を有する。
チオール化合物としては、例えば、エチレングリコールビスチオプロピオネート(EGTP)、ブタンジオールビスチオプロピオネート(BDTP)、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート(TMTP)、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート(PETP)などの多官能チオール化合物、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプト-4(3H)-キナゾリン、βメルカプトナフタレン、N-フェニル-メルカプトベンズイミダゾールなどの単官能チオール化合物が挙げられる。
増感剤は、市販品であってもよく、例えば多官能チオール(商品名:カレンズMT(登録商標)BD1 昭和電工製)が挙げられる。
【0054】
また、増感剤の別の例としては、アミノ酸化合物(例、N-フェニルグリシンなど)、特公昭48-42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテートなど)、特公昭55-34414号公報記載の水素供与体、特開平6-308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアンなど)などが挙げられる。
【0055】
増感剤の含有量は、感光性樹脂層の全質量に対し、0.01質量%~5質量%が好ましく、0.05質量%~1質量%がより好ましい。
【0056】
-界面活性剤-
本開示における感光性樹脂層は、界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤としては、例えばシリコーン系界面活性剤、又はフッ素系界面活性剤が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合を有する界面活性剤が挙げられる。具体的には、例えば、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同29SHPA、同SH30PA、ポリエーテル変性シリコンオイルSH8400(商品名:トーレシリコーン株式会社製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341、KF6001、KF6002、KF6003、X22-160AS(信越シリコーン製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF-4446、TSF4452、TSF4460(ジーイー東芝シリコーン株式会社製)などが挙げられる。
【0057】
また、フッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤が挙げられる。具体的には、何れも商品名で、例えば、フロリナートFC430、フロリナートFC431(以上、住友スリーエム株式会社製);メガファックF142D、メガファックF171、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF177、メガファックF780F、メガファックF781F、メガファックF479、メガファックF482、メガファックF551A、メガファックF553、メガファックF554、メガファックF486、メガファックF478、メガファックF480、メガファックF484、メガファックF470、メガファックF471、メガファックF483、メガファックF489、メガファックF487、メガファックF444、メガファックF183、メガファックR30(以上、DIC株式会社製);エフトップEF301、エフトップEF303、エフトップEF351、エフトップEF352(以上、新秋田化成株式会社製);サーフロンS381、サーフロンS382、サーフロンSC101、サーフロンSC105(以上、旭硝子株式会社製);E5844(株式会社ダイキンファインケミカル研究所製);BM-1000、BM-1100(BM Chemie社製)などが挙げられる。
【0058】
更に、シロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有するフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤が挙げられる。具体的には、何れも商品名で、例えば、メガファックR08、メガファックBL20、メガファックF475、メガファックF477、メガファックF443(以上、DIC株式会社製)などが挙げられる。
これらの他の界面活性剤は、1種単独であってよく、又は2種以上であってもよい。
【0059】
〔感光性樹脂層の形成方法〕
本開示における感光性樹脂層の形成方法としては、特に限定されないが、転写フィルムを用いる方法、上述の感光性樹脂層に含まれる各成分を溶剤に溶解し、感光性樹脂組成物を調製して上述の被エッチング層上に塗布、乾燥する方法、等が挙げられるが、転写フィルムを用いる方法が好ましい。
転写フィルムを用いる場合、感光性樹脂層を形成する工程は、仮支持体と、上記仮支持体上に光学濃度が0.50以上2.50以下である感光性樹脂層と、を有する転写フィルムを、上記被エッチング層にラミネートする工程であることが好ましい。
以下、転写フィルムの詳細について説明する。
【0060】
-転写フィルム-
本開示において用いられる転写フィルムは、仮支持体と、感光性樹脂層とを有することが好ましい。
図1は、本発明の一実施形態の転写フィルムの構成の一例を示す概略断面図である。
図1に示す転写フィルム10は、仮支持体12、感光性樹脂層14及び保護フィルム(保護剥離層)16をこの順で有する。図1では、仮支持体12、感光性樹脂層14及び保護フィルム16が互いに隣接して積層された態様を示すが、本発明はこれに限定されず、後述するように、仮支持体12と、感光性樹脂層14との間に、さらに機能層(図示せず)を有していてもよく、感光性樹脂層14と、任意に設けられる機能層との間に、さらに熱可塑性樹脂層(図示せず)を有する態様をとることができる。
転写フィルムが機能層、熱可塑性樹脂層等を有する場合、本開示における感光性樹脂層を形成する工程において、感光性樹脂層以外に、機能層、熱可塑性樹脂層等も形成されることになる。
【0061】
<<転写フィルムにおける感光性樹脂層>>
本開示において用いられる転写フィルムにおける感光性樹脂層は、上述の、本開示における被エッチング層上に形成される感光性樹脂層と同様の層であり、好ましい態様も同様である。
本開示において用いられる転写フィルムにおける感光性樹脂層を、被エッチング層上にラミネートすることにより、感光性樹脂層が形成されるためである。
【0062】
<<仮支持体>>
転写フィルムは、仮支持体を有する。
仮支持体の形成には、可撓性を有する材料を用いることができる。
転写フィルムに用いうる仮支持体の例として、シクロオレフィンコポリマーフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等の樹脂フィルムが挙げられ、なかでも、PETフィルムがハンドリングの観点から特に好ましい。仮支持体は、基材である樹脂フィルムと被覆層との積層構造を有していてもよい。
仮支持体は透明でもよいし、酸化ケイ素、アルミナゾル、クロム塩、ジルコニウム塩などを含有して着色されていてもよい。
仮支持体には、特開2005-221726号公報に記載の方法などにより、導電性を付与することができ、導電性を付与した仮支持体も、本実施形態の転写フィルムに好適に用いられる。
【0063】
<<保護フィルム>>
転写フィルムは、保管の際のゴミ等の不純物による汚染や損傷から保護する目的で、既述の感光性樹脂層の表面に、更に保護フィルム(カバーフィルム)などを設けることが好ましい。保護フィルムは、感光性樹脂層から容易に剥離し得るものを用いることができ、仮支持体と同一又は類似の材料のフィルムから好適に選択することができる。保護フィルムとしては、例えば、ポリオレフィンフィルム(例えば、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルムなど)、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、シリコン紙、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等が好ましく用いられる。
また、特開2006-259138号公報の段落〔0083〕~〔0087〕及び〔0093〕に記載の保護フィルムを適宜使用することができる。
【0064】
<<機能層>>
転写フィルムは、仮支持体と感光性樹脂層との間に機能層を有することが好ましい。機能層としては、例えば、特許4502784号公報の段落〔0027〕に記載の酸素遮断機能のある酸素遮断膜が挙げられる。
酸素遮断膜としては、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましく、公知のものの中から適宜選択することができる。中でもポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの組み合わせが好ましい。
機能層の乾燥厚さは、0.2μm~5μmが好ましく、0.5μm~3μmがより好ましく、1μm~2.5μmが更に好ましい。
【0065】
<<熱可塑性樹脂層>>
転写フィルムは、仮支持体と感光性樹脂層との間に、更に特許第4502784号公報の段落〔0026〕に記載の熱可塑性樹脂層を有していてもよい。
熱可塑性樹脂層に用いる成分としては、特開平5-72724号公報に記載されている有機高分子物質が好ましい。
転写フィルムが、熱可塑性樹脂層を有すると、転写フィルムにクッション性を付与することができ、被転写面に凹凸を有する場合等に関わらず、転写性を高めることができる。
熱可塑性樹脂層の乾燥厚さは、2μm~30μmが好ましく、5μm~20μmがより好ましく、7μm~16μmが更に好ましい。
【0066】
<<転写フィルムの製造方法>>
転写フィルムは、特開2006-259138号公報の段落0094~段落0098に記載の硬化性転写材料の作製方法に準じて作製することができる。
即ち、転写フィルムの製造方法は、仮支持体上に、感光性樹脂層を形成する工程を含む。さらに、仮支持体上に上述の感光性樹脂層を形成する前に、さらに機能層を形成する工程及び熱可塑性樹脂層を形成する工程の少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0067】
転写フィルムの製造方法は、転写フィルムが熱可塑性樹脂層を有する場合、上述の熱可塑性樹脂層を形成する工程の後に、熱可塑性樹脂層と感光性樹脂層との間に機能層を形成する工程を含むことが好ましい。
機能層を有する転写フィルムを形成する場合には、仮支持体上に、熱可塑性の有機高分子と、所望により併用する添加剤と、を溶解した溶解液(熱可塑性樹脂層用塗布液)を塗布し、乾燥させて熱可塑性樹脂層を設けた後、設けられた熱可塑性樹脂層上に熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤に樹脂および添加剤を加えて調製した機能層用塗布液を塗布し、乾燥させて機能層を積層し、積層された機能層上に、さらに、機能層を溶解しない溶剤を用いて調製した感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて感光性樹脂層を形成することにより作製することができる。
なお、感光性樹脂組成物に含まれる成分は、既述のとおりである。
【0068】
-ラミネート-
ラミネートする工程では、転写フィルムを被エッチング層上にラミネートし、感光性樹脂層を基材に転写することで感光性樹脂層が形成される。ラミネートは、真空ラミネーター、オートカットラミネーター等の公知のラミネーターを用いて行うことができる。
【0069】
ラミネートの条件としては、一般的な条件を適用することができる。
ラミネート温度としては、80℃以上150℃以下が好ましく、90℃以上150℃以下がより好ましく、100℃以上150℃以下が特に好ましい。
ラミネート温度は、例えばゴムローラを備えたラミネーターを用いる場合、ゴムローラの温度を指す。
【0070】
<<光学濃度>>
本開示に係るパターン形成方法において、上述のラミネートする工程を含む場合、ラミネートされた転写フィルム全体の露光波長に対する光学濃度が、0.50以上2.50以下であることが好ましい。
上記光学濃度は、パターン形状に優れたレジストパターンを得る観点からは、2.30以下であることが好ましく、2.00以下であることがより好ましい。
感光性樹脂層が、ネガ型の感光性樹脂層である場合、光学濃度が上記範囲であれば、レジストパターンにおけるいわゆるアンダーカットの発生が抑制される。
上記光学濃度は、露光かぶりを抑制する観点、及び、レジストパターンの剥離性の観点からは、0.70以上が好ましく、1.00以上がより好ましい。
ラミネートされた転写フィルム全体の光学濃度は、パターン露光する工程における露光時に存在する転写フィルム全体の光学濃度である。
例えば、転写フィルムから保護フィルムを剥離してラミネートを行い、露光を行う場合には、転写フィルムから保護フィルムを剥離したものの光学濃度として、分光光度計(V-7000、日本分光(株)製)を用いて測定される。
また、転写フィルムから保護フィルムを剥離してラミネートを行い、仮支持体を剥離して露光を行う場合には、転写フィルムから仮支持体及び保護フィルムを剥離したものの光学濃度として、同様の方法により測定される。
【0071】
<パターン露光する工程>
本開示に係るパターン形成方法は、感光性樹脂層をパターン露光する工程を含む。
パターン露光する工程においては、基材の両面上の2つの被エッチング層に形成された2つの感光性樹脂層(両面の感光性樹脂層ともいう。)がそれぞれ露光される。
パターン露光する工程においては、両面の感光性樹脂層を同時に露光することが好ましい。
ここで、「同時に露光する」とは、両面の感光性樹脂層に同時に露光光が照射されることを要せず、一つの工程において両面が一度に露光されればよい。例えば、両面露光用の装置を用いて両面の露光を行う、片面露光用の装置を用いて、一方の面と他の一方の面を連続して露光する、といった態様が挙げられる。
【0072】
本開示に係るパターン形成方法によれば、両面の感光性樹脂に対して異なる露光パターンにより露光することが可能となる。異なる露光パターンとは、基材の法線方向から基材を観察した場合に、基材の両面で完全に重なる露光パターン以外の露光パターンをいう。
例えば、基材の両面を同じラインアンドスペースパターンのマスクで露光する場合であっても、基材の両面でマスクのライン方向を直交させて露光する、基材の両面でライン方向を平行にしてラインの位置をずらして露光する、といった露光が可能となる。
【0073】
露光する方法としては、露光光源と感光性樹脂層の間に予め定められたパターンが形成されたマスクを配置して露光する方法や、マスクを使用せずに露光装置によりパターン状に露光する方法等が挙げられる。
本開示における感光性樹脂層を形成する工程が、転写フィルムをラミネートする工程である場合、仮支持体を剥離せずに、仮支持体を介して露光してもよいし、仮支持体を剥離して感光性樹脂層に露光してもよいが、仮支持体を介して露光することが好ましい。
【0074】
〔露光光源〕
露光光源は、感光性樹脂層を感光しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射可能なものであれば、特に制限なく公知のものを用いることができる。
本開示において用いられる露光光は、波長365nmの光を含むことが好ましい。
また、本開示において用いられる露光光は、波長365nmに極大波長を有することが好ましい。
露光光源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV-LED)、紫外線レーザーダイオード(UV-LD)等が挙げられる。
【0075】
〔露光量〕
露光する工程における露光量は、感光性樹脂層の露光波長に対する光学濃度をnとした場合に、10(n-0.5)mJ/cm以上10(n+1.5)mJ/cm以下であることが好ましく、10mJ/cm以上10(n+1.0)mJ/cm以下であることがより好ましい。
また、露光する工程においては、2つの感光性樹脂層の露光量がいずれも上記範囲内であることが好ましい。
更に、露光する工程における露光量は、得られるレジストパターンのパターン欠陥(欠け、突起、太り等)防止の観点から、10mJ/cm以上500mJ/cm以下が好ましく、30mJ/cm以上300mJ/cm以下がより好ましい。
露光光が複数の波長の光を含む場合、露光量は、露光光に含まれる光の中で、最も露光強度が大きい波長における露光光の露光量として算出する。また、複数回に分けて露光を行う場合、露光量は、複数回の露光における露光量の合計値とする。
【0076】
<レジストパターンを形成する工程>
本開示に係るパターン形成方法は、上記感光性樹脂層を現像することにより、両面にレジストパターンを形成する工程を含む。
現像方法としては、特に限定されず、公知の方法により現像すればよく、例えば、現像液を用いた現像方法が挙げられる。
【0077】
現像液としては、特に制限されず、特開平5-72724号公報に記載の現像液など、公知の現像液を用いることができる。
また、現像液としては、アルカリ性水溶液を用いることが好ましい。
アルカリ性水溶液に含有され得るアルカリ性化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリン(2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)、などが挙げられる。
アルカリ性水溶液の25℃におけるpHとしては、pH7を超えpH14以下が好ましく、pH8~pH13がより好ましく、pH9~pH12が更により好ましく、pH10~pH12が特に好ましい。
アルカリ性水溶液中におけるアルカリ性化合物の含有量は、アルカリ性水溶液全量に対し、0.1質量%~5質量%が好ましく、0.1質量%~3質量%がより好ましい。
【0078】
現像液は、公知の有機溶剤を含んでもよい。
有機溶剤としては、水と混和又は水に溶解するものが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール、1-プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε-カプロラクトン、γ-ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε-カプロラクタム、及び、N-メチルピロリドンを挙げることができる。
有機溶剤の濃度は、現像液の全質量に対し、0.1質量%~30質量%が好ましい。
【0079】
現像液は、公知の界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤の濃度は、現像液の全質量に対し、0.01質量%~10質量%が好ましい。
現像液の液温度は、20℃~40℃が好ましい。
【0080】
現像の方式としては、例えば、パドル現像、シャワー現像、シャワー及びスピン現像、ディップ現像などの方式が挙げられる。
シャワー現像を行う場合、パターン露光後の感光性樹脂層に現像液をシャワー状に吹き付けることにより、感光性樹脂層の非露光部を除去する。
また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付けつつブラシなどで擦ることにより、現像残渣を除去することが好ましい。
現像は、10秒~60秒行うことが好ましい。
【0081】
現像する工程において、2つの感光性樹脂層を、それぞれ別々に現像してもよいが、生産性の観点からは、2つの感光性樹脂層を一度に現像することが好ましい。
2つの感光性樹脂層を一度に現像する方法としては、特に限定されないが、例えば、両面に現像液をシャワー状に吹き付ける方法、2つの感光性樹脂層を有する基材ごと現像液に浸漬する方法、等が挙げられる。
特に、搬送する基材シートの両面に設けた複数のノズルから、現像液を吹き付けることにより、現像液をシートに供給する方法が好ましい。
【0082】
<加熱する工程>
本開示に係るパターン形成方法は、現像後に、レジストパターンを加熱(ポストベーク)する工程をさらに含んでもよい。
上記加熱する工程においては、2つの感光性樹脂層により形成された2つのレジストパターン(両面のレジストパターン)を、一度に加熱することが好ましい。
基板が樹脂基板である場合には、ポストベークの温度は、100℃~160℃が好ましく、130℃~160℃がより好ましい。
ポストベークにより、レジストパターンの強度が向上し、また、被エッチング層である透明電極パターンの抵抗値を調整することもできる。
【0083】
<レジストパターン形成後に露光する工程>
本開示に係るパターン形成方法は、現像する工程の後に、レジストパターンを露光(ポスト露光)する工程をさらに含んでもよい。
本開示に係るパターン形成方法が、ポストベークする工程と、ポスト露光する工程の両方を含む場合、ポスト露光する工程後にポストベークする工程を含むことが好ましい。
ポスト露光の方法としては、特に限定されず、例えば、露光する工程において用いた露光装置を用いて露光すればよい。
【0084】
<その他の工程>
その他、本開示に係るパターン形成方法は、現像する工程の後に、例えばレジストパターンを洗浄する工程等の、公知の他の工程を更に含んでもよい。
【0085】
<被エッチング層を除去する工程>
本開示に係るパターン形成方法は、上記レジストパターンで被覆されていない部分の上記被エッチング層を除去する工程を含む。
被エッチング層を除去する方法としては、特に限定されず、特開2010-152155号公報の段落0048~段落0054等に記載の方法など、公知のエッチング方法を用いることが可能である。
例えば、エッチングの方法としては、一般的に行われている、エッチング液に浸漬するウェットエッチング法が挙げられる。ウェットエッチングに用いられるエッチング液は、エッチングの対象に合わせて酸性タイプ又はアルカリ性タイプのエッチング液を使用される被エッチング層の材質や厚さに応じて、適宜選択すればよい。
酸性タイプのエッチング液としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、フッ酸、シュウ酸、又は、リン酸等の酸性成分単独の水溶液、酸性成分と塩化第2鉄、フッ化アンモニウム、又は、過マンガン酸カリウム等の塩の混合水溶液などが例示される。酸性成分は、複数の酸性成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
アルカリ性タイプのエッチング液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、又は、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドのような有機アミンの塩等のアルカリ成分単独の水溶液、アルカリ成分と過マンガン酸カリウム等の塩の混合水溶液等が例示される。アルカリ成分は、複数のアルカリ成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
【0086】
エッチング液の温度は特に限定されないが、45℃以下であることが好ましい。本開示において、エッチングマスク(エッチングパターン)として使用されるレジストパターンは、45℃以下の温度域における酸性及びアルカリ性のエッチング液に対して特に優れた耐性を発揮することが好ましい。
【0087】
<洗浄する工程等>
エッチングする工程の後、工程ラインの汚染を防ぐために、必要に応じて、金属基板を洗浄する工程(洗浄工程)及び金属基板を乾燥する工程(乾燥工程)を含んでもよい。
洗浄工程については、例えば常温(10℃~35℃)で純水により10秒~300秒間基板を洗浄することが挙げられる。
乾燥工程については、例えばエアブローを使用し、エアブロー圧(0.1kg/cm~5kg/cm程度)を適宜調整して乾燥を行えばよい。
【0088】
被エッチング層を除去する工程において、基材の両面に存在する2つの被エッチング層を、それぞれ別々に除去してもよいが、生産性の観点からは、上記2つの被エッチング層を一度に除去することが好ましい。
2つの感光性樹脂層を一度に現像する方法としては、特に限定されず、両面にエッチング液を供給する方法により行うことが可能である。
【0089】
<剥離する工程>
本開示に係るパターン形成方法は、上記レジストパターンを剥離する工程を含む。
剥離する方法としては、特に限定されず、公知の剥離液を用いることが好ましい。
剥離液としては、例えば、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム等の無機アルカリ成分、又は、第三級アミン若しくは第四級アンモニウム塩等の有機アルカリ成分を、水、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、又は、これらの混合溶液に溶解させた剥離液などが挙げられる。
剥離液を使用して、スプレー法、シャワー法、又はパドル法などにより剥離することができる。
【0090】
剥離する工程において、基材の両面の被エッチング層上に存在する2つのレジストパターンを、それぞれ別々に除去してもよいが、生産性の観点からは、上記2つのレジストパターンを一度に剥離することが好ましい。
2つの感光性樹脂層を一度に現像する方法としては、特に限定されず、両面に剥離液を供給する方法により行うことが可能である。
【0091】
<その他の工程>
本開示に係るパターン形成方法は、剥離工程後に、洗浄工程等の公知の他の工程を更に含んでもよい。
【0092】
(タッチパネル、及び、タッチパネル表示装置並びにこれらの製造方法)
本開示におけるタッチパネルは、本開示に係るパターン形成方法により製造されたパターンをセンサ用電極パターンとして少なくとも有するタッチパネルである。
本開示におけるタッチパネル表示装置は、本開示に係るパターン形成方法により製造されたパターンをセンサ用電極パターンとして少なくとも有するタッチパネル表示装置であり、本開示に係るタッチパネルを有するタッチパネル表示装置であることが好ましい。
本開示に係るタッチパネル又はタッチパネル表示装置の製造方法は、本開示に係るパターン形成方法を含むことが好ましい。
本開示に係るタッチパネル及び本開示に係るタッチパネル表示装置のおける検出方法としては、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、電磁誘導方式、及び、光学方式など公知の方式いずれでもよいが、静電容量方式が好ましい。
具体的には、本開示に係るタッチパネル製造方法によれば、基材の一方の面に形成されたパターンがX軸方向の位置検出用電極であり、かつ、基材の別の一方の面に形成されたパターンがY軸方向の位置検出用電極であるタッチパネルを製造することが可能となる。
【0093】
(積層体)
本開示に係る積層体は、露光波長に対して透明である基材と、上記基材の両面にそれぞれ配置された、露光波長に対して透明な2つの被エッチング層と、上記2つの被エッチング層上にそれぞれ配置された、露光波長に対する光学濃度が0.50以上2.50以下である2つの感光性樹脂層と、を含む。
【0094】
本開示に係る積層体について、図2を参照して説明する。
図2は、本開示に係る積層体の一例を示す概略図である。
露光波長に対して透明である基材20の両側に、露光波長に対して透明な2つの被エッチング層18が配置されており、上記2つの被エッチング層上に、露光波長に対する光学濃度が0.50以上2.50以下である2つの感光性樹脂層14がそれぞれ配置されている。
本開示に係る積層体は、例えば、本開示に係るパターン形成方法における、基材を準備する工程、及び、感光性樹脂層を形成する工程を含む方法により製造することが可能である。特に、本開示に係る積層体は、感光性樹脂層を形成する工程が、上述の転写フィルムをラミネートする工程であることが好ましい。
上記ラミネートする工程を含む方法により、本開示に係る積層体を製造することにより、図2に示した仮支持体12を含む積層体を作製することが可能である。本開示に係る積層体は、仮支持体12を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0095】
本開示に係る積層体における基材、被エッチング層、感光性樹脂層、及び、仮支持体は、上述の本開示において説明した基材、被エッチング層、感光性樹脂層、及び、仮支持体と同様であり、好ましい態様も同様である。
また、本開示に係る積層体は、任意の層として、上述の機能層、又は、熱可塑性樹脂層を更に含んでもよい。これらの層は、本開示に係る積層体を、上述の転写フィルムをラミネートする工程を含む工程において、これらの層を含む転写フィルムを使用することにより製造することが可能である。層構成(層の位置)及び層に含まれる各成分については、上述の転写フィルムの説明における各層の層構成及び各成分と同様である。
【0096】
本開示に係る積層体を用い、上述した工程である、露光する工程、レジストパターンを形成する工程、被エッチング層を除去する工程、及び、レジストパターンを剥離する工程をこの順で行うことにより、両面で異なる被エッチング層のパターンを有する基材を作製することが可能となる。
【実施例
【0097】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0098】
(被エッチング層を両面に有する基材の作製)
<基材1(Agナノワイヤ含有層を有する基材)の作製>
〔銀ナノワイヤ分散液の作製〕
容器内に、常温(25℃)でエチレングリコール60質量部とポリビニルピロリドン(PVP)2.5質量部とを入れ、500rpm(rotation per minute)で撹拌しながら10分かけて135℃まで昇温した。その後も135℃に維持した状態で撹拌を継続した。また、135℃に到達した時点から10分経過後、予め別の容器にてエチレングリコール0.6質量部に塩化ナトリウム0.006質量部(0.1mmol部)を溶解させて得た塩化ナトリウム溶液を添加した。塩化ナトリウム溶液を添加した時点から3分経過後に、予め別の容器にてエチレングリコール7.65質量部に硝酸銀0.85質量部(5.0mmol部)を溶解させた硝酸銀溶液を添加した。硝酸銀溶液を添加した後、撹拌速度を100rpmに変更し、135℃で3.0時間保持して加熱を終了し、そのまま室温(25℃)になるまで自然冷却した。
容器内の溶液温度が室温(25℃)になった後、反応後のスラリーを遠心管に分取し、蒸留水を添加して洗浄し、3,000rpmで5分間、遠心分離を行った。遠心分離後の上澄みを除去した後、残った沈殿物にメタノールを添加してスラリーとし、2500rpmで5分間、遠心分離を施した。遠心分離後の上澄みを除去した後、残った沈殿物に再びメタノールを添加してスラリーとし、1500rpmで10分間の遠心分離を施した。遠心分離後の上澄みを除去した後、残った沈殿物を水に加えて500rpmで10分撹拌して銀ナノワイヤ分散液を得た。
【0099】
得られた銀ナノワイヤの平均長軸長及び平均短軸長を以下の方法で測定したところ、平均長軸長が10μmであり、平均短軸長(平均直径)が70nmであり、平均アスペクト比が140であった。
【0100】
-金属ナノワイヤの平均長軸長及び平均短軸長の測定-
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM-2000FX)を用い、拡大観察された金属ナノワイヤのうち、ランダムに300個の金属ナノワイヤを選択し、選択した金属ナノワイヤの長軸長さと短軸長さ(直径)を測定し、それぞれの算術平均値を金属ナノワイヤの平均長軸長及び平均短軸長(平均直径)とした。
【0101】
〔基材1の作製〕
得られた銀ナノワイヤ分散液をポリエチレンテレフタレート基材(膜厚40μm)の一方の面に塗布し、80℃で2分間乾燥させて、上記基材上に銀ナノワイヤを含有する厚み200nmの透明導電層を形成した。
他方の面にも同様に銀ナノワイヤを含有する厚み200nmの透明導電層を形成し、両面に銀ナノワイヤを含有する層(被エッチング層)を有する透明基材を作製した。
ここで、上記のポリエチレンテレフタレート基材の波長360nm~410nmでの透過率が80%以上であることを確認した。また、基材及び上記で形成した厚み200nmの透明導電層の波長360nm~410nmでの透過率がいずれも80%以上であることを確認した。
【0102】
<基材2(ITO(酸化インジウムすず)層を有する基材)の作製>
膜厚38μm、屈折率1.53のシクロオレフィン樹脂フィルム(基材)を、高周波発振機を用いて、出力電圧100%、出力250Wで、直径1.2mmのワイヤー電極で、電極長240mm、ワーク電極間1.5mmの条件で3秒間コロナ放電処理を行い、表面改質を行った。
次に、表1中に示す材料を、スリット状ノズルを用いて、表面改質済みのシクロオレフィン樹脂フィルム基板の両面に塗工した後、紫外線照射(積算光量300mJ/cm)し、約110℃で乾燥することにより、屈折率1.60、膜厚80nmの透明膜を製膜した。後述する実施例における露光波長である波長365nm及び405nmにおける基材及び透明膜の透過率が、いずれも80%以上であることを確認した
【0103】
【表1】
【0104】
【化1】
【0105】
上記ポリマーP-25を表す構造式中、x、l、y及びzはモル比を表す。また、Meはメチル基を表す。
【0106】
【化2】
【0107】
上記ポリマーP-25を表す構造式中、各構成単位の添え字はモル比を表す。
【0108】
上記にて得られた、透明膜を有するシクロオレフィン樹脂フィルムを、真空チャンバー内に導入し、SnO含有率が10質量%のITOターゲット(インジウム:錫=95:5(モル比))を用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、厚さ40nm、屈折率1.82のITO薄膜を基板の両面に形成し、透明フィルム基板の両面に透明膜と透明導電層(被エッチング層)を形成したフィルムを得た。DCマグネトロンスパッタリング条件は、透明フィルム基板の温度150℃、アルゴン圧0.13Pa、酸素圧0.01Paとした。ITO薄膜の表面抵抗は80Ω/□(Ω毎スクエア)であった。
ここで、上記の透明膜を有するシクロオレフィン樹脂フィルムの波長360nm~410nmでの透過率が80%以上であることを確認した。また、上記で形成した厚み40nmの透明導電層の波長360nm~410nmでの透過率が80%以上であることを確認した。
【0109】
(転写フィルムの作製)
各実施例及び比較例において、仮支持体(厚さ16μm、ヘイズ0.12%のポリエチレンテレフタレートフィルム)上に、表3に示す材料をスリット状ノズルを用いて塗布し、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、表2中に示す厚みの層を製膜し、更に、カバーフィルム(厚さ12μm、ヘイズ0.2%のポリプロピレンフィルム)を貼り合わせて転写フィルムを作製した。表2中の材料A-1~A-14の組成については、表3に記載した。表3中の数値は、各成分の含有量(固形分質量)を示している。
表2中、「感光性樹脂層」の「O.D.」の記載は、転写フィルムにおける感光性樹脂層の光学濃度を、「材料」の欄の記載は、転写フィルムに含まれる感光性樹脂層の形成に用いられた材料を、「膜厚(μm)」の記載は、転写フィルムにおける感光性樹脂層の膜厚(μm)を、それぞれ示している。なお、光学濃度の測定は、V-7000の測定モードをAbsにして、感光性樹脂層の光学濃度を測定した。
【0110】
(パターン形成)
各実施例及び比較例において、作製した転写フィルムを用いて、パターン形成が可能であることを確認した。
各実施例及び比較例において、作製した転写フィルムを50cm角にカットし、カバーフィルムを剥がして、ロール温度90℃、線圧0.8MPa、線速度3.0m/分のラミネート条件で、作製した基材1又は基材2の両面にラミネートした。表2中、「使用した基材」の欄に「1」と記載されている例は基材1を使用した例であり、「2」と記載された例は基材2を使用した例である。
形成された感光性樹脂層の光学濃度及び膜厚は、表2中に記載された転写フィルムにおける感光性樹脂層の光学濃度及び膜厚と同じ値であった。
本開示の実施例における、上記ラミネートにより形成されたものが、本開示に係る積層体である。
その後、仮支持体を剥離せずに線幅15μmのラインアンドスペースパターンを有するガラスマスク(Duty比 1:1)をフィルムに密着させ、感光性樹脂層の両面を同時に露光した。両面露光の際、表裏でラインパターンが直交するようにマスクを配置した。露光量は、表2に記載の値とした。表2中の露光量の値は、実施例1~20においては365nmにおける露光量を、実施例21においては405nmにおける露光量を、それぞれ記載した。
実施例1~20においては、露光光源として、波長365nmの光を含む超高圧水銀灯を用いた。
実施例21においては、露光光源として、波長365nmの光を含む超高圧水銀灯を用いたが、水銀露光用バンドバスフィルター(中心波長405nm、旭分光社製)を介してマスク露光を行った。
【0111】
露光後1時間放置した後に仮支持体を剥離して現像し、表裏で直交するラインパターンを有するレジストパターンを形成した。現像は28℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液(現像液)を用い、シャワー現像で30秒行った。また、現像は基材の両面に対して同時に現像液を供給することにより、両面を一度に行った。
次いで、上記レジストパターンを有する基材を、1%HNO、1%NaNO、および5ppmのKMnOを含む、酸性エッチング液で、被エッチング層をエッチングした。エッチングは基材の両面に対して同時に酸性エッチング液を供給することにより、両面を一度に行った。エッチングは35℃、45秒間行い、その後、水ですすぎ、N流動下、乾燥させた。
更に、剥離液(ナガセケムテックス株式会社製「N-322」)を用いてレジストパターンを除去した。
以上の工程を経た後に表裏のパターンを観察し、欠陥の無い被エッチング層のラインアンドスペースパターンが両面で形成されていること、表面と裏面とでラインアンドスペースパターンの方向が直交していること、を確認した。
【0112】
<アンダーカット量の評価>
各実施例又は比較例において、表2に記載の基材1又は基材2を準備した。
次に、各実施例又は比較例における転写フィルムを50cm角にカットし、カバーフィルムを剥がして、ロール温度90℃、線圧0.8MPa、線速度3.0m/分のラミネート条件で基板にラミネートした。
その後、仮支持体を剥離せずに線幅20μmのラインアンドスペースパターンマスク(Duty比 1:1)を介して感光性樹脂層を露光した。露光量は表2に記載の通りとした。
実施例1~20においては、露光光源として、波長365nmの光を含む超高圧水銀灯を用いた。
実施例21においては、露光光源として、波長365nmの光を含む超高圧水銀灯を用いたが、水銀露光用バンドバスフィルター(中心波長405nm、旭分光社製)を介してマスク露光を行った。
露光後、1時間放置した後に仮支持体を剥離して現像し、レジストパターンを得た。現像は28℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液(現像液)を用い、シャワー現像で30秒行った。また、現像は基材の両面に対して同時に現像液を供給することにより、両面を一度に行った。
【0113】
走査型電子顕微鏡を用いて20μmラインパターン(レジストパターン)の垂直方向の断面の形状を観察した。断面においてレジストパターンの頭部(最外層側)と底部(被エッチング層側)の寸法差をアンダーカット量として定義し、下記の評価基準により評価した。評価結果は表2に記載した。アンダーカット量が小さいほど、得られるレジストパターンのパターン形状に優れるといえる。
アンダーカット量が小さいほど、得られるエッチングレジストのパターン形状に優れるといえる。
A:アンダーカット量が1.0μm未満である
B:アンダーカット量が1.0μm以上2.0μm未満である
C:アンダーカット量が2.0μm以上3.0μm未満である
D:アンダーカット量が3.0μm以上である
【0114】
<露光かぶり評価>
次に、各実施例又は比較例において、作製した転写フィルムを50cm角にカットし、カバーフィルムを剥がして、ロール温度90℃、線圧0.8MPa、線速度3.0m/分にて表2に記載の基材両面にラミネートした。
実施例1~20において、仮支持体を剥離せずに線幅20μmのラインアンドスペースパターンマスク(Duty比 1:1)を介して超高圧水銀灯で感光性樹脂層を片面露光後(露光量表2に記載の露光量)、1時間放置した後に仮支持体を剥離して両面を現像した。
実施例21については、水銀露光用バンドバスフィルター(中心波長405nm、旭分光社製)を介して片面露光(露光量100mJ/cm、405nmで測定)を行った点を除き、同様の処理を実施した。
現像は28℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液(現像液)を用い、シャワー現像で30秒行った。また、現像は基材の両面に対して同時に現像液を供給することにより、両面を一度に行った。
【0115】
基材の露光をしていない側を観察して、露光かぶりを以下のように評価した。
露光していない側に残渣が認められる場合、一方の面に対する露光光が他方の面をも露光してしまう、すなわち、露光かぶりが生じていることを示している。
【0116】
A:倍率50倍の光学顕微鏡で観察しても、肉眼で観察しても残渣が認められない。
B:倍率50倍の光学顕微鏡で観察すると僅かに残渣が認められ、肉眼で観察すると残渣が認められない。
C:倍率50倍の光学顕微鏡で観察しても、肉眼で観察しても残渣が認められる。
【0117】
【表2】
【0118】
【表3】
【0119】
比較例1~4においては、基材として基材1を使用したが、基材2を使用した場合であってもアンダーカット量及び露光かぶりの評価結果は同様であった
【0120】
表3中、「化合物A」は下記構造式により表される化合物である。下記構造式中、括弧の添字は各構成単位の含有量(モル比)を表している。
【0121】
【化3】
【0122】
また、表3中、OXE-01及びOXE-02はそれぞれ、下記構造の化合物である。
【0123】
【化4】
【0124】
以上のように、本開示における実施例に係るパターン形成方法によれば、得られるエッチングレジストのパターン形状に優れ、かつ、一方の面に対する露光光による別の一方の面の露光かぶりが抑制された。
【0125】
2017年7月28日に出願された日本国特許出願第2017-147152号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び、技術規格は、個々の文献、特許出願、及び、技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0126】
10 転写フィルム
12 仮支持体
14 感光性樹脂層
16 保護フィルム(保護剥離層)
18 被エッチング層
20 基材
図1
図2