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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/12 20060101AFI20220922BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20220922BHJP
   A61B 5/1172 20160101ALI20220922BHJP
   A61B 5/1171 20160101ALI20220922BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20220922BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20220922BHJP
   H01L 27/144 20060101ALI20220922BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20220922BHJP
   H01L 27/30 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
H01L31/12 E
H01L31/12 D
A61B5/02 310B
A61B5/1172
A61B5/1171 100
A61B5/1455
G06T1/00 400G
H01L27/144 K
H01L27/146 C
H01L27/30
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020562857
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(86)【国際出願番号】 JP2019042028
(87)【国際公開番号】W WO2020137129
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2018248177
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 博文
(72)【発明者】
【氏名】綱島 貴徳
(72)【発明者】
【氏名】内田 真
(72)【発明者】
【氏名】中村 卓
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】染谷 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】横田 知之
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-231336(JP,A)
【文献】特開2017-196319(JP,A)
【文献】国際公開第2015/119078(WO,A1)
【文献】特開2014-071882(JP,A)
【文献】特開2015-014909(JP,A)
【文献】特開2010-039659(JP,A)
【文献】特開2010-256971(JP,A)
【文献】特開2013-073965(JP,A)
【文献】特開平09-181883(JP,A)
【文献】特開2017-163477(JP,A)
【文献】特開2003-169191(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0337412(US,A1)
【文献】特開2015-176457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/12
A61B 5/02,5/117-5/1172
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ基材と、
前記センサ基材の検出領域に設けられ、それぞれに照射された光に応じた信号を出力する複数の光電変換素子と、
複数の前記光電変換素子のそれぞれに設けられた複数のスイッチング素子と、
複数の前記スイッチング素子のそれぞれに接続され、第1方向に延在する複数のゲート線と、
第1発光極大波長を有する第1光を出射する第1光源と、
第2発光極大波長を有する第2光を出射する第2光源と、を有し、
前記センサ基材は、複数の前記光電変換素子が設けられた第1曲面と、前記第1曲面と反対側の第2曲面とを有し、
複数の前記第1光源及び複数の前記第2光源を有し、
複数の前記第1光源は、前記第1曲面と対向し、前記第1曲面に沿って設けられ、それぞれ異なる方向に前記第1光を出射し、
複数の前記第2光源は、前記第2曲面と対向して設けられ、それぞれ異なる方向に前記第2光を出射する
検出装置。
【請求項2】
前記第1光は可視光であり、
前記第2光は赤外光である
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記第1光源及び前記第2光源の少なくとも一方が設けられる光源基材を有する
請求項1又は請求項2に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォトダイオード等の光電変換素子が半導体基板上に複数配列された光学式センサが記載されている。光学式センサは、照射される光量に応じて光電変換素子から出力される信号が変化することで、生体情報を検出できる。特許文献1の光学式センサは、細かいピッチで指の表面の凹凸を検出することができ、指紋センサとして用いられる。特許文献2には、赤外線を感知する複数のセンサを備えた表示装置が記載されている。特許文献2の表示装置は、赤外光の反射光に基づいて、指の位置や、指紋パターンや静脈パターンを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2018/0012069号明細書
【文献】特開2009-32005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学式センサは、指や掌等の被検出体の指紋の形状に限られず、被検出体の種々の生体情報を検出することが要求されている。特許文献1及び特許文献2では、同一のセンサで複数の異なる生体情報を検出することが困難となる場合がある。
【0005】
本発明は、同一のセンサで種々の生体情報を検出することが可能な検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の検出装置は、センサ基材と、前記センサ基材の検出領域に設けられ、それぞれに照射された光に応じた信号を出力する複数の光電変換素子と、複数の前記光電変換素子のそれぞれに設けられた複数のスイッチング素子と、複数の前記スイッチング素子のそれぞれに接続され、第1方向に延在する複数のゲート線と、第1発光極大波長を有する第1光を出射する第1光源と、第2発光極大波長を有する第2光を出射する第2光源と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る検出装置を示す平面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、検出装置を示す回路図である。
図4図4は、複数の部分検出領域を示す回路図である。
図5図5は、センサ部の概略断面構成を示す断面図である。
図6図6は、フォトダイオードに入射する光の波長と変換効率との関係を模式的に示すグラフである。
図7図7は、検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。
図8図8は、図7における読み出し期間の動作例を表すタイミング波形図である。
図9図9は、第1実施形態に係る検出装置における、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す平面図である。
図10図10は、第1実施形態に係る検出装置の、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す側面図である。
図11図11は、検出装置のセンサ部の駆動と、光源の点灯動作との関係を説明するための説明図である。
図12図12は、第1実施形態の第1変形例に係るセンサ部の駆動と、光源の点灯動作との関係を説明するための説明図である。
図13図13は、第1実施形態の第2変形例に係るセンサ部の駆動と、光源の点灯動作との関係を説明するための説明図である。
図14図14は、第2実施形態に係る検出装置の、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す平面図である。
図15図15は、第2実施形態に係る検出装置の、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す側面図である。
図16図16は、第2実施形態に係る検出装置のセンサ部の駆動と、光源の点灯動作との関係を説明するための説明図である。
図17図17は、第3実施形態に係る検出装置の、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す側面図である。
図18図18は、第4実施形態に係る検出装置の、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す平面図である。
図19図19は、第5実施形態に係る検出装置の、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す側面図である。
図20図20は、第5実施形態の第3変形例に係る検出装置の、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す側面図である。
図21図21は、第6実施形態に係る検出装置の、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す平面図である。
図22図22は、第6実施形態に係る検出装置の、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す側面図である。
図23図23は、第7実施形態に係る検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。
図24図24は、第8実施形態に係る検出装置の複数の部分検出領域を示す回路図である。
図25図25は、第8実施形態に係る検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。
図26図26は、第1光及び第2光の発光スペクトルの一例を示すグラフである。
図27図27は、第1光及び第2光の発光スペクトルの他の例を示すグラフである。
図28図28は、第2フィルタの透過特性の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る検出装置を示す平面図である。図1に示すように、検出装置1は、センサ基材21と、センサ部10と、ゲート線駆動回路15と、信号線選択回路16と、検出回路48と、制御回路122と、電源回路123と、第1光源基材51と、第2光源基材52と、第1光源61と、第2光源62と、を有する。
【0010】
センサ基材21には、フレキシブルプリント基板71を介して制御基板121が電気的に接続される。フレキシブルプリント基板71には、検出回路48が設けられている。制御基板121には、制御回路122及び電源回路123が設けられている。制御回路122は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)である。制御回路122は、センサ部10、ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16に制御信号を供給して、センサ部10の検出動作を制御する。また、制御回路122は、第1光源61及び第2光源62に制御信号を供給して、第1光源61及び第2光源62の点灯又は非点灯を制御する。電源回路123は、センサ電源信号VDDSNS(図4参照)等の電圧信号をセンサ部10、ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16に供給する。また、電源回路123は、電源電圧を第1光源61及び第2光源62に供給する。
【0011】
センサ基材21は、検出領域AAと、周辺領域GAとを有する。検出領域AAは、センサ部10が有する複数のフォトダイオードPD(図4参照)が設けられた領域である。周辺領域GAは、検出領域AAの外周と、センサ基材21の端部との間の領域であり、フォトダイオードPDと重ならない領域である。
【0012】
ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16は、周辺領域GAに設けられる。具体的には、ゲート線駆動回路15は、周辺領域GAのうち第2方向Dyに沿って延在する領域に設けられる。信号線選択回路16は、周辺領域GAのうち第1方向Dxに沿って延在する領域に設けられ、センサ部10と検出回路48との間に設けられる。
【0013】
なお、第1方向Dxは、センサ基材21と平行な面内の一方向である。第2方向Dyは、センサ基材21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。また、第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、センサ基材21の法線方向である。
【0014】
複数の第1光源61は、第1光源基材51に設けられ、第2方向Dyに沿って配列される。複数の第2光源62は、第2光源基材52に設けられ、第2方向Dyに沿って配列される。第1光源基材51及び第2光源基材52は、それぞれ、制御基板121に設けられた端子部124、125を介して、制御回路122及び電源回路123と電気的に接続される。
【0015】
複数の第1光源61及び複数の第2光源62は、例えば、無機LED(Light Emitting Diode)や、有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode)等が用いられる。複数の第1光源61及び複数の第2光源62は、それぞれ異なる波長の第1光L61及び第2光L62(図9参照)を出射する。すなわち、第1光L61は、第1発光極大波長MW1を有し、第2光L62は、第1発光極大波長MW1とは異なる第2発光極大波長を有する。発光極大波長とは、第1光L61及び第2光L62のそれぞれの波長と発光強度との関係を示す発光スペクトルにおいて、最大の発光強度を示す波長である。
【0016】
図26は、第1光及び第2光の発光スペクトルの一例を示すグラフである。図26に示すグラフ1は、横軸が波長であり、縦軸が発光強度である。図26に示すように、一例として、第1光L61は、520nm以上600nm以下、例えば560nm程度の第1発光極大波長MW1を有し、第2光L62は、600nm以上700nm以下、例えば660nm程度の第2発光極大波長MW2を有する。つまり、第2光L62の第2発光極大波長MW2は、第1光L61の第1発光極大波長MW1よりも長い。この場合、第1光L61及び第2光L62は、可視光である。第1光L61は青色又は緑色の光であり、第2光L62は赤色の光である。
【0017】
第1光源61から出射された第1光L61は、指Fg等の被検出体の表面で反射されセンサ部10に入射する。これにより、センサ部10は、指Fg等の表面の凹凸の形状を検出することで指紋を検出することができる。第2光源62から出射された第2光L62は、指Fg等の内部で反射し又は指Fg等を透過してセンサ部10に入射する。これにより、センサ部10は、指Fg等の内部の生体に関する情報を検出できる。生体に関する情報は、例えば、指Fgや掌の脈拍等である。
【0018】
第1光L61及び第2光L62の波長は、上述した例に限定されず適宜変更できる。図27は、第1光及び第2光の発光スペクトルの他の例を示すグラフである。図27のグラフ2に示すように、例えば、第1光L61は、520nm以上600nm以下、例えば560nm程度の第1発光極大波長MW1を有し、第2光L62は、780nm以上900nm以下、例えば850nm程度の第2発光極大波長MW2を有していてもよい。この場合、第1光L61は、青色又は緑色の可視光であり、第2光L62は、赤外光である。センサ部10は、第1光源61から出射された第1光L61に基づいて、指紋を検出することができる。第2光源62から出射された第2光L62は、指Fg等の被検出体の内部で反射し又は指Fg等を透過してセンサ部10に入射する。これにより、センサ部10は、指Fg等の内部の生体に関する情報として血管像(静脈パターン)を検出できる。
【0019】
又は、第1光L61は、600nm以上700nm以下、例えば660nm程度の第1発光極大波長MW1を有し、第2光L62は、780nm以上900nm以下、例えば850nm程度の第2発光極大波長MW2を有していてもよい。この場合、第1光源61から出射された第1光L61及び第2光源62から出射された第2光L62に基づいて、センサ部10は、生体に関する情報として、脈拍や血管像に加えて、血中酸素濃度を検出することができる。このように、検出装置1は、第1光源61及び複数の第2光源62を有しているので、第1光L61に基づいた検出と、第2光L62に基づいた検出とを行うことで、種々の生体に関する情報を検出することができる。
【0020】
なお、図1に示す第1光源61及び第2光源62の配置は、あくまで一例であり適宜変更することができる。例えば、第1光源基材51及び第2光源基材52のそれぞれに、複数の第1光源61及び複数の第2光源62が配置されていてもよい。この場合、複数の第1光源61を含むグループと、複数の第2光源62を含むグループとが、第2方向Dyに並んで配置されていてもよいし、第1光源61と第2光源62とが交互に第2方向Dyに配置されていてもよい。また、第1光源61及び第2光源62が設けられる光源基材は1つ又は3つ以上であってもよい。
【0021】
図2は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、検出装置1は、さらに検出制御部11と検出部40と、有する。検出制御部11の機能の一部又は全部は、制御回路122に含まれる。また、検出部40のうち、検出回路48以外の機能の一部又は全部は、制御回路122に含まれる。
【0022】
センサ部10は、光電変換素子であるフォトダイオードPDを有する光センサである。センサ部10が有するフォトダイオードPDは、照射される光に応じた電気信号を、検出信号Vdetとして信号線選択回路16に出力する。また、センサ部10は、ゲート線駆動回路15から供給されるゲート駆動信号Vgclにしたがって検出を行う。
【0023】
検出制御部11は、ゲート線駆動回路15、信号線選択回路16及び検出部40にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御部11は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号をゲート線駆動回路15に供給する。また、検出制御部11は、選択信号ASW等の各種制御信号を信号線選択回路16に供給する。また、検出制御部11は、各種制御信号を第1光源61及び第2光源62に供給して、それぞれの点灯及び非点灯を制御する。
【0024】
ゲート線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて複数のゲート線GCL(図3参照)を駆動する回路である。ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを順次又は同時に選択し、選択されたゲート線GCLにゲート駆動信号Vgclを供給する。これにより、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLに接続された複数のフォトダイオードPDを選択する。
【0025】
信号線選択回路16は、複数の信号線SGL(図3参照)を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路16は、例えばマルチプレクサである。信号線選択回路16は、検出制御部11から供給される選択信号ASWに基づいて、選択された信号線SGLと検出回路48とを接続する。これにより、信号線選択回路16は、フォトダイオードPDの検出信号Vdetを検出部40に出力する。
【0026】
検出部40は、検出回路48と、信号処理部44と、座標抽出部45と、記憶部46と、検出タイミング制御部47と、画像処理部49と、を備える。検出タイミング制御部47は、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、検出回路48と、信号処理部44と、座標抽出部45と、画像処理部49と、が同期して動作するように制御する。
【0027】
検出回路48は、例えばアナログフロントエンド回路(AFE、Analog Front End)である。検出回路48は、少なくとも検出信号増幅部42及びA/D変換部43の機能を有する信号処理回路である。検出信号増幅部42は、検出信号Vdetを増幅する。A/D変換部43は、検出信号増幅部42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0028】
信号処理部44は、検出回路48の出力信号に基づいて、センサ部10に入力された所定の物理量を検出する論理回路である。信号処理部44は、指Fgが検出面に接触又は近接した場合に、検出回路48からの信号に基づいて指Fgや掌の表面の凹凸を検出できる。また、信号処理部44は、検出回路48からの信号に基づいて生体に関する情報を検出できる。生体に関する情報は、例えば、指Fgや掌の血管像、脈波、脈拍、血中酸素濃度等である。
【0029】
また、信号処理部44は、複数のフォトダイオードPDにより同時に検出された検出信号Vdet(生体に関する情報)を取得し、これらを平均化する処理を実行してもよい。この場合、検出部40は、ノイズや、指Fg等の被検出体とセンサ部10との相対的な位置ずれに起因する測定誤差を抑制して、安定した検出が可能となる。
【0030】
記憶部46は、信号処理部44で演算された信号を一時的に保存する。記憶部46は、例えばRAM(Random Access Memory)、レジスタ回路等であってもよい。
【0031】
座標抽出部45は、信号処理部44において指の接触又は近接が検出されたときに、指等の表面の凹凸の検出座標を求める論理回路である。また、座標抽出部45は、指Fgや掌の血管の検出座標を求める論理回路である。画像処理部49は、センサ部10の各フォトダイオードPDから出力される検出信号Vdetを組み合わせて、指Fg等の表面の凹凸の形状を示す二次元情報及び指Fgや掌の血管の形状を示す二次元情報を生成する。なお、座標抽出部45は、検出座標を算出せずにセンサ出力Voとして検出信号Vdetを出力してもよい。また、座標抽出部45及び画像処理部49は、検出部40に含まれていない場合であってもよい。
【0032】
次に、検出装置1の回路構成例について説明する。図3は、検出装置を示す回路図である。図4は、複数の部分検出領域を示す回路図である。なお、図4では、検出回路48の回路構成も併せて示している。
【0033】
図3に示すように、センサ部10は、マトリクス状に配列された複数の部分検出領域PAAを有する。複数の部分検出領域PAAには、それぞれフォトダイオードPDが設けられている。
【0034】
ゲート線GCLは、第1方向Dxに延在し、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAと接続される。また、複数のゲート線GCL(1)、GCL(2)、…、GCL(8)は、第2方向Dyに配列され、それぞれゲート線駆動回路15に接続される。なお、以下の説明において、複数のゲート線GCL(1)、GCL(2)、…、GCL(8)を区別して説明する必要がない場合には、単にゲート線GCLと表す。また、図3では説明を分かりやすくするために、8本のゲート線GCLを示しているが、あくまで一例であり、ゲート線GCLは、M本(Mは8以上、例えばM=256)配列されていてもよい。
【0035】
信号線SGLは、第2方向Dyに延在し、第2方向Dyに配列された複数の部分検出領域PAAのフォトダイオードPDに接続される。また、複数の信号線SGL(1)、SGL(2)、…、SGL(12)は、第1方向Dxに配列されて、それぞれ信号線選択回路16及びリセット回路17に接続される。なお、以下の説明において、複数の信号線SGL(1)、SGL(2)、…、SGL(12)を区別して説明する必要がない場合には、単に信号線SGLと表す。
【0036】
また、説明を分かりやすくするために、12本の信号線SGLを示しているが、あくまで一例であり、信号線SGLは、N本(Nは12以上、例えばN=252)配列されていてもよい。また、図3では、信号線選択回路16とリセット回路17との間にセンサ部10が設けられている。これに限定されず、信号線選択回路16とリセット回路17とは、信号線SGLの同じ方向の端部にそれぞれ接続されていてもよい。また、1つのセンサの実質的な面積は例えば実質50×50umとされ、検出領域AAの解像度は例えば実質508ppiとされ、検出領域AAに配置されるセンサ数は例えば252セル×256セルとされ、検出領域AAの面積は例えば12.6×12.8mmとされる。
【0037】
ゲート線駆動回路15は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号を、制御回路122(図2参照)から受け取る。ゲート線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて、複数のゲート線GCL(1)、GCL(2)、…、GCL(8)を時分割的に順次選択する。ゲート線駆動回路15は、選択されたゲート線GCLにゲート駆動信号Vgclを供給する。これにより、ゲート線GCLに接続された複数の第1スイッチング素子Trにゲート駆動信号Vgclが供給され、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAが、検出対象として選択される。
【0038】
なお、ゲート線駆動回路15は、指紋の検出及び異なる複数の生体に関する情報(脈波、脈拍、血管像、血中酸素濃度等)のそれぞれの検出モードごとに、異なる駆動を実行してもよい。例えば、ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを束ねて駆動してもよい。
【0039】
具体的には、ゲート線駆動回路15は、制御信号に基づいて、ゲート線GCL(1)、GCL(2)、…、GCL(8)のうち、所定数のゲート線GCLを同時に選択する。例えば、ゲート線駆動回路15は、6本のゲート線GCL(1)からゲート線GCL(6)を同時に選択し、ゲート駆動信号Vgclを供給する。ゲート線駆動回路15は、選択された6本のゲート線GCLを介して、複数の第1スイッチング素子Trにゲート駆動信号Vgclを供給する。これにより、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列された複数の部分検出領域PAAを含む検出領域グループPAG1、PAG2が、それぞれ検出対象として選択される。ゲート線駆動回路15は、所定数のゲート線GCLを束ねて駆動し、所定数のゲート線GCLごとに順次ゲート駆動信号Vgclを供給する。
【0040】
信号線選択回路16は、複数の選択信号線Lselと、複数の出力信号線Loutと、第3スイッチング素子TrSと、を有する。複数の第3スイッチング素子TrSは、それぞれ複数の信号線SGLに対応して設けられている。6本の信号線SGL(1)、SGL(2)、…、SGL(6)は、共通の出力信号線Lout1に接続される。6本の信号線SGL(7)、SGL(8)、…、SGL(12)は、共通の出力信号線Lout2に接続される。出力信号線Lout1、Lout2は、それぞれ検出回路48に接続される。
【0041】
ここで、信号線SGL(1)、SGL(2)、…、SGL(6)を第1信号線ブロックとし、信号線SGL(7)、SGL(8)、…、SGL(12)を第2信号線ブロックとする。複数の選択信号線Lselは、1つの信号線ブロックに含まれる第3スイッチング素子TrSのゲートにそれぞれ接続される。また、1本の選択信号線Lselは、複数の信号線ブロックの第3スイッチング素子TrSのゲートに接続される。
【0042】
具体的には、選択信号線Lsel1、Lsel2、…、Lsel6は、それぞれ信号線SGL(1)、SGL(2)、…、SGL(6)に対応する第3スイッチング素子TrSと接続される。また、選択信号線Lsel1は、信号線SGL(1)に対応する第3スイッチング素子TrSと、信号線SGL(7)に対応する第3スイッチング素子TrSと、に接続される。選択信号線Lsel2は、信号線SGL(2)に対応する第3スイッチング素子TrSと、信号線SGL(8)に対応する第3スイッチング素子TrSと、に接続される。
【0043】
制御回路122(図1参照)は、選択信号ASWを順次選択信号線Lselに供給する。これにより、信号線選択回路16は、第3スイッチング素子TrSの動作により、1つの信号線ブロックにおいて信号線SGLを時分割的に順次選択する。また、信号線選択回路16は、複数の信号線ブロックでそれぞれ1本ずつ信号線SGLを選択する。このような構成により、検出装置1は、検出回路48を含むIC(Integrated Circuit)の数、又はICの端子数を少なくすることができる。
【0044】
なお、信号線選択回路16は、複数の信号線SGLを束ねて検出回路48に接続してもよい。具体的には、制御回路122(図1参照)は、選択信号ASWを同時に選択信号線Lselに供給する。これにより、信号線選択回路16は、第3スイッチング素子TrSの動作により、1つの信号線ブロックにおいて複数の信号線SGL(例えば6本の信号線SGL)を選択し、複数の信号線SGLと検出回路48とを接続する。これにより、検出領域グループPAG1、PAG2で検出された信号が検出回路48に出力される。この場合、検出領域グループPAG1、PAG2に含まれる複数の部分検出領域PAA(フォトダイオードPD)からの信号が統合されて検出回路48に出力される。
【0045】
ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16の動作により、検出領域グループPAG1、PAG2ごとに検出を行うことで、1回の検出で得られる検出信号Vdetの強度が向上するのでセンサ感度を向上させることができる。また、検出に要する時間を短縮することができる。このため、検出装置1は、検出を短時間で繰り返し実行することができるので、S/N比を向上させることができ、又、脈波等の生体に関する情報の時間的な変化を精度よく検出することができる。
【0046】
図3に示すように、リセット回路17は、基準信号線Lvr、リセット信号線Lrst及び第4スイッチング素子TrRを有する。第4スイッチング素子TrRは、複数の信号線SGLに対応して設けられている。基準信号線Lvrは、複数の第4スイッチング素子TrRのソース又はドレインの一方に接続される。リセット信号線Lrstは、複数の第4スイッチング素子TrRのゲートに接続される。
【0047】
制御回路122は、リセット信号RST2をリセット信号線Lrstに供給する。これにより、複数の第4スイッチング素子TrRがオンになり、複数の信号線SGLは基準信号線Lvrと電気的に接続される。電源回路123は、基準信号COMを基準信号線Lvrに供給する。これにより、複数の部分検出領域PAAに含まれる容量素子Ca(図4参照)に基準信号COMが供給される。
【0048】
図4に示すように、部分検出領域PAAは、フォトダイオードPDと、容量素子Caと、第1スイッチング素子Trとを含む。図4では、複数のゲート線GCLのうち、第2方向Dyに並ぶ2つのゲート線GCL(m)、GCL(m+1)を示す。また、複数の信号線SGLのうち、第1方向Dxに並ぶ2つの信号線SGL(n)、SGL(n+1)を示す。部分検出領域PAAは、ゲート線GCLと信号線SGLとで囲まれた領域である。第1スイッチング素子Trは、フォトダイオードPDに対応して設けられる。第1スイッチング素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFT(Thin Film Transistor)で構成されている。
【0049】
第1方向Dxに並ぶ複数の部分検出領域PAAに属する第1スイッチング素子Trのゲートは、ゲート線GCLに接続される。第2方向Dyに並ぶ複数の部分検出領域PAAに属する第1スイッチング素子Trのソースは、信号線SGLに接続される。第1スイッチング素子Trのドレインは、フォトダイオードPDのカソード及び容量素子Caに接続される。
【0050】
フォトダイオードPDのアノードには、電源回路123からセンサ電源信号VDDSNSが供給される。また、信号線SGL及び容量素子Caには、電源回路123から、信号線SGL及び容量素子Caの初期電位となる基準信号COMが供給される。
【0051】
部分検出領域PAAに光が照射されると、フォトダイオードPDには光量に応じた電流が流れ、これにより容量素子Caに電荷が蓄積される。第1スイッチング素子Trがオンになると、容量素子Caに蓄積された電荷に応じて、信号線SGLに電流が流れる。信号線SGLは、信号線選択回路16の第3スイッチング素子TrSを介して検出回路48に接続される。これにより、検出装置1は、部分検出領域PAAごとに、又は検出領域グループPAG1、PAG2ごとにフォトダイオードPDに照射される光の光量に応じた信号を検出できる。
【0052】
検出回路48は、読み出し期間Pdet(図7参照)にスイッチSSWがオンになり、信号線SGLと接続される。検出回路48の検出信号増幅部42は、信号線SGLから供給された電流の変動を電圧の変動に変換して増幅する。検出信号増幅部42の非反転入力部(+)には、固定された電位を有する基準電圧Vrefが入力され、反転入力端子(-)には、信号線SGLが接続される。本実施形態では、基準電圧Vrefとして基準信号COMと同じ信号が入力される。また、検出信号増幅部42は、容量素子Cb及びリセットスイッチRSWを有する。リセット期間Prst(図7参照)において、リセットスイッチRSWがオンになり、容量素子Cbの電荷がリセットされる。
【0053】
次に、フォトダイオードPDの構成について説明する。図5は、センサ部の概略断面構成を示す断面図である。
【0054】
図5に示すように、センサ部10は、センサ基材21と、TFT層22と、絶縁層23と、フォトダイオードPDと、保護膜24と、を備える。センサ基材21は、絶縁性の基材であり、例えば、ガラスや樹脂材料が用いられる。センサ基材21は、平板状に限定されず、曲面を有していてもよい。この場合、センサ基材21は、フィルム状の樹脂であってもよい。センサ基材21は、第1面S1と、第1面S1の反対側の第2面S2とを有する。第1面S1に、TFT層22、絶縁層23、フォトダイオードPD、保護膜24の順に積層される。
【0055】
TFT層22は、上述したゲート線駆動回路15や信号線選択回路16等の回路が設けられる。また、TFT層22には、第1スイッチング素子Tr等のTFT(Thin Film Transistor)や、ゲート線GCL、信号線SGL等の各種配線が設けられる。センサ基材21及びTFT層22は、所定の検出領域ごとにセンサを駆動する駆動回路基板であり、バックプレーンとも呼ばれる。
【0056】
絶縁層23は、無機絶縁層である。絶縁層23として、例えば、酸化シリコン(SiO)等の酸化物や、窒化シリコン(SiN)等の窒化物が用いられる。
【0057】
フォトダイオードPDは、絶縁層23の上に設けられる。フォトダイオードPDは、光電変換層31と、カソード電極35と、アノード電極34と、を有する。センサ基材21の第1面S1に垂直な方向において、カソード電極35、光電変換層31、アノード電極34の順に積層される。なお、フォトダイオードPDの積層順は、アノード電極34、光電変換層31、カソード電極35の順であってもよい。
【0058】
光電変換層31は、照射される光に応じて特性(例えば、電圧電流特性や抵抗値)が変化する。光電変換層31の材料として、有機材料が用いられる。具体的には、光電変換層31として、例えば、低分子有機材料であるC60(フラーレン)、PCBM(フェニルC61酪酸メチルエステル:Phenyl C61-butyric acid methyl ester)、CuPc(銅フタロシアニン:Copper phthalocyanine)、F16CuPc(フッ素化銅フタロシアニン)、rubrene(ルブレン:5,6,11,12-tetraphenyltetracene)、PDI(Perylene(ペリレン)の誘導体)等を用いることができる。
【0059】
光電変換層31は、これらの低分子有機材料を用いて蒸着型(Dry Process)で形成することができる。この場合、光電変換層31は、例えば、CuPcとF16CuPcとの積層膜、又はrubreneとC60との積層膜であってもよい。光電変換層31は、塗布型(Wet Process)で形成することもできる。この場合、光電変換層31は、上述した低分子有機材料と高分子有機材料とを組み合わせた材料が用いられる。高分子有機材料として、例えばP3HT(poly(3-hexylthiophene))、F8BT(F8-alt-benzothiadiazole)等を用いることができる。光電変換層31は、P3HTとPCBMとが混合した状態の膜、又はF8BTとPDIとが混合した状態の膜とすることができる。
【0060】
カソード電極35と、アノード電極34とは、光電変換層31を挟んで対向する。アノード電極34は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電性材料が用いられる。カソード電極35は、例えば、銀(Ag)やアルミニウム(Al)等の金属材料が用いられる。又は、カソード電極35は、これらの金属材料の少なくとも1以上を含む合金材料であってもよい。
【0061】
カソード電極35の膜厚を制御することで、カソード電極35を透光性を有する半透過型電極として形成できる。例えば、カソード電極35は、膜厚10nmのAg薄膜で形成することで、60%程度の透光性を有する。この場合、フォトダイオードPDは、センサ基材21の両面側から照射される光、例えば第1面S1側から照射される第1光L61及び第2面S2側から照射される第2光L62の両方を検出できる。
【0062】
保護膜24は、アノード電極34を覆って設けられる。保護膜24は、パッシベーション膜であり、フォトダイオードPDを保護するために設けられている。
【0063】
図6は、フォトダイオードに入射する光の波長と変換効率との関係を模式的に示すグラフである。図6に示すグラフの横軸は、フォトダイオードPDに入射する光の波長であり、縦軸は、フォトダイオードPDの外部量子効率である。外部量子効率は、例えば、フォトダイオードPDに入射する光の光量子数と、フォトダイオードPDから外部の検出回路48に流れる電流との比で表される。
【0064】
図6に示すように、フォトダイオードPDは、300nmから1000nm程度の波長帯で良好な効率を有する。すなわち、フォトダイオードPDは、第1光源61から出射される第1光L61及び第2光源62から出射される第2光L62の両方の波長に対して感度を有している。このため、1つのフォトダイオードPDで、異なる波長を有する複数の光を検出することができる。
【0065】
次に、検出装置1の動作例について説明する。図7は、検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。図8は、図7における読み出し期間の動作例を表すタイミング波形図である。
【0066】
図7に示すように、検出装置1は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetを有する。電源回路123は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetに亘って、センサ電源信号VDDSNSをフォトダイオードPDのアノードに供給する。センサ電源信号VDDSNSはフォトダイオードPDのアノード-カソード間に逆バイアスを印加する信号である。例えば、フォトダイオードPDのカソードには実質0.75Vの基準信号COMがされているが、アノードに実質-1.25Vのセンサ電源信号VDDSNSを印加することにより、アノード-カソード間は実質2.0Vで逆バイアスされる。また、850nmの波長を検出するとき、2Vの逆バイアスを印加することで、フォトダイオードPDは0.5A/W以上0.7A/W以下、好ましくは0.57A/W程度の高感度を得ることができる。また、フォトダイオードの特性は、2Vの逆バイアスを印加時に暗電流密度(dark current density)が1.0×10-7A/cmであり、出力が実質2.9mW/cmの850nmの波長の光を検出するときに光電流密度(photocurrent density)が1.2×10-3A/cmとなるものを使用する。また、850nmの波長の光を照射時、逆バイアス2V印加時に、外部量子効率(EQE)は約1.0になる。制御回路122は、リセット信号RST2を”H”とした後にゲート線駆動回路15にスタート信号STV及びクロック信号CKを供給し、リセット期間Prstが開始する。リセット期間Prstにおいて、制御回路122は、基準信号COMをリセット回路17に供給し、リセット信号RST2によってリセット電圧を供給するための第4スイッチングトランジスタTrRをオンさせる。これにより各信号線SGLにはリセット電圧として基準信号COMが供給される。基準信号COMは、例えば0.75Vとされる。
【0067】
リセット期間Prstにおいて、ゲート線駆動回路15は、スタート信号STV、クロック信号CK及びリセット信号RST1に基づいて、順次ゲート線GCLを選択する。ゲート線駆動回路15は、ゲート駆動信号Vgclをゲート線GCLに順次供給する。ゲート駆動信号Vgclは、高レベル電圧である電源電圧VDDと低レベル電圧である電源電圧VSSとを有するパルス状の波形を有する。図7では、M本(例えばM=256)のゲート線GCLが設けられており、各ゲート線GCLに、ゲート駆動信号Vgcl(1)、…、Vgcl(M)が順次供給される。
【0068】
これにより、リセット期間Prstでは、全ての部分検出領域PAAの容量素子Caは、順次信号線SGLと電気的に接続されて、基準信号COMが供給される。この結果、容量素子Caの容量に蓄積された電荷がリセットされる。
【0069】
ゲート駆動信号Vgcl(M)がゲート線GCLに供給された後に、露光期間Pexが開始する。なお、各ゲート線GCLに対応する部分検出領域PAAでの、実際の露光期間Pex(1)、…、Pex(M)は、開始のタイミング及び終了のタイミングが異なっている。露光期間Pex(1)、…、Pex(M)は、それぞれ、リセット期間Prstでゲート駆動信号Vgclが高レベル電圧の電源電圧VDDから低レベル電圧の電源電圧VSSに変化したタイミングで開始される。また、露光期間Pex(1)、…、Pex(M)は、それぞれ、読み出し期間Pdetでゲート駆動信号Vgclが電源電圧VSSから電源電圧VDDに変化したタイミングで終了する。露光期間Pex(1)、…、Pex(M)の露光時間の長さは等しい。
【0070】
露光期間Pexでは、各部分検出領域PAAで、フォトダイオードPDに照射された光に応じて電流が流れる。この結果、各容量素子Caに電荷が蓄積される。
【0071】
読み出し期間Pdetが開始する前のタイミングで、制御回路122は、リセット信号RST2を低レベル電圧にする。これにより、リセット回路17の動作が停止する。読み出し期間Pdetでは、リセット期間Prstと同様に、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLにゲート駆動信号Vgcl(1)、…、Vgcl(M)を順次供給する。
【0072】
具体的には、図8に示すように、ゲート線駆動回路15は、期間t(1)において、ゲート線GCL(1)に、高レベル電圧(電源電圧VDD)のゲート駆動信号Vgcl(1)を供給する。制御回路122は、ゲート駆動信号Vgcl(1)が高レベル電圧(電源電圧VDD)の期間に、選択信号ASW1、…、ASW6を、信号線選択回路16に順次供給する。これにより、ゲート駆動信号Vgcl(1)により選択された部分検出領域PAAの信号線SGLが順次、又は同時に検出回路48に接続される。この結果、検出信号Vdetが部分検出領域PAAごとに検出回路48に供給される。尚、ゲート駆動信号Vgcl(1)が高レベルになってから、最初の選択信号ASW1の供給が開始されるまでの時間は、一例として約20us(実質20us)とされ、各々の選択信号ASW1、…、ASW6が供給される時間は、一例として約60us(実質60us)とされる。このような高速応答性は、移動度が実質40cm/Vsの低温ポリシリコン(LTPS)を用いた薄膜トランジスタ(TFT)を用いることで実現可能となる。
【0073】
同様に、ゲート線駆動回路15は、期間t(2)、…、t(M-1)、t(M)において、ゲート線GCL(2)、…、GCL(M-1)、GCL(M)に、それぞれ高レベル電圧のゲート駆動信号Vgcl(2)、…、Vgcl(M-1)、Vgcl(M)を供給する。すなわち、ゲート線駆動回路15は、期間t(1)、t(2)、…、t(M-1)、t(M)ごとに、ゲート線GCLにゲート駆動信号Vgclを供給する。各ゲート駆動信号Vgclが高レベル電圧となる期間ごとに、信号線選択回路16は選択信号ASWに基づいて、順次信号線SGLを選択する。信号線選択回路16は、信号線SGLごとに順次、1つの検出回路48に接続する。これにより、読み出し期間Pdetで、検出装置1は、全ての部分検出領域PAAの検出信号Vdetを検出回路48に出力することができる。
【0074】
なお、図8では、ゲート線駆動回路15が期間tごとに1本のゲート線GCLを選択する例を示したが、これに限定されない。ゲート線駆動回路15は、2以上の所定数のゲート線GCLを同時に選択し、所定数のゲート線GCLごとに順次ゲート駆動信号Vgclを供給してもよい。また、信号線選択回路16も、2以上の所定数の信号線SGLを同時に1つの検出回路48に接続してもよい。更には、ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを間引いて走査してもよい。また、ダイナミックレンジは一例として、露光時間Pexが約4.3msのときに約10となる。また、フレームレートを約4.4fps(実質4.4fps)とすることで高解像度を実現することができる。
【0075】
次に、センサ部10、第1光源61及び第2光源62の配置の具体例及び動作例について説明する。図9は、第1実施形態に係る検出装置における、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す平面図である。図10は、第1実施形態に係る検出装置の、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す側面図である。図11は、検出装置のセンサ部の駆動と、光源の点灯動作との関係を説明するための説明図である。
【0076】
図9に示すように、センサ部10は、第1方向Dxに隣り合う第1検出領域R1と、第2検出領域R2とを有する。また、検出装置1は、第1フィルタ63及び第2フィルタ64を有する。第1フィルタ63は、第1検出領域R1と重なって配置され、センサ部10の第2方向Dyの両端部、及び第1方向Dxの一方の端部を覆う。第1フィルタ63は、少なくとも第1発光極大波長MW1を含む第1透過帯域を有する。つまり、第1フィルタ63は、第1光源61から出射された第1光L61を透過させ、第2光源62から出射された第2光L62を非透過とする透過帯域を有する。
【0077】
第2フィルタ64は、第2検出領域R2と重なって配置され、センサ部10の第2方向Dyの両端部、及び第1方向Dxの他方の端部を覆う。図28は、第2フィルタの透過特性の一例を示すグラフである。図28に示すグラフ3は、横軸が波長であり、縦軸が光の透過率である。図28に示すように、第2フィルタ64は、少なくとも第2発光極大波長MW2を含む第2透過帯域を有する。つまり、第2フィルタ64は、第2光源62から出射された第2光L62を透過させ、第1光源61から出射された第1光L61を非透過とする透過帯域を有する。第1フィルタ63及び第2フィルタ64は、それぞれ、バンドパスフィルタである。なお第2フィルタ64の透過特性は、第2光L62の発光スペクトル及び第2発光極大波長MW2に応じて、中心波長及び半値幅を適宜変更してもよい。図28に示すように、例えば、第2フィルタ64aは、第2透過帯域の中心波長が650nm程度であり、第2フィルタ64bは、第2透過帯域の中心波長が670nm程度である。また、図28では図示を省略しているが、第1フィルタ63の透過特性も、図28と同様の波形で、中心波長が第1発光極大波長MW1付近となる。
【0078】
第1フィルタ63及び第2フィルタ64は、それぞれ走査方向SCANにおいて、センサ部10の一端から他端まで重なっており、走査方向SCANと交差する方向(第1方向Dx)で隣接している。なお、走査方向SCANは、ゲート線駆動回路15がゲート線GCLを走査する方向である。つまり、1本のゲート線GCLは、第1検出領域R1及び第2検出領域R2に跨がって設けられ、第1検出領域R1及び第2検出領域R2に設けられた複数の部分検出領域PAAと接続される。また、1本の信号線SGLは、第1検出領域R1又は第2検出領域R2のいずれか一方に設けられ、第1検出領域R1の複数のフォトダイオードPD又は第2検出領域R2の複数のフォトダイオードPDと接続される。
【0079】
第1光源基材51と第2光源基材52とは、平面視で、センサ部10を挟んで第2方向Dyに対向する。第1光源基材51の、第2光源基材52と対向する面に複数の第1光源61及び複数の第2光源62が設けられている。また、第2光源基材52の、第1光源基材51と対向する面に複数の第1光源61及び複数の第2光源62が設けられている。なお、第1光源基材51及び第2光源基材52のそれぞれに、1つの第1光源61及び複数の第2光源62が設けられていてもよい。
【0080】
第1光源61及び第2光源62は、検出領域AA(第1検出領域R1及び第2検出領域R2)の外周に沿って第1方向Dxに並ぶ。第1光源61は、第1検出領域R1に対応する位置に設けられ、第2方向Dyと平行方向に第1光L61を出射する。また、複数の第1光源61は、第1検出領域R1を挟んで第2方向Dyに対向する。
【0081】
第2光源62は、第2検出領域R2に対応する位置に設けられ、第2方向Dyと平行方向に第2光L62を出射する。複数の第2光源62は、第2検出領域R2を挟んで第2方向Dyに対向する。
【0082】
言い換えると、第1検出領域R1は、第1フィルタ63が設けられた領域であり、第1光源61からの第1光L61を検出可能な領域である。第2検出領域R2は、第2フィルタ64が設けられた領域であり、第2光源62からの第2光L62を検出可能な領域である。
【0083】
図10は、検出装置1を第1方向Dxから見たときの側面図である。図10に示すように、指Fg等の被検出体は、第1フィルタ63及び第2フィルタ64の少なくとも一方(図10では第2フィルタ64は図示されない)を介してセンサ部10の上に接触又は近接する。第1光源61及び第2光源62(図10では第2光源62は図示されない)は、センサ部10及び第1フィルタ63よりも上方に配置され、第2方向Dyで指Fg等の被検出体を挟んで配置される。
【0084】
第1光源61から出射された第1光L61は、第2方向Dyと平行方向に進行し、指Fgに入射する。第1光L61は、指Fgの表面又は内部で反射される。指Fgで反射された反射光Ldの一部は、第3方向Dzに進行して、第1フィルタ63を通ってセンサ部10の第1検出領域R1に入射する。第1光L61及び反射光Ldは、第2フィルタ64を透過しないので、第2検出領域R2には入射しない。
【0085】
なお、図10では図示されないが、第2光源から出射された第2光L62も同様に、指Fgの表面又は内部で反射される。反射光Ldの一部は、第3方向Dzに進行して、第2フィルタ64を通ってセンサ部10の第2検出領域R2に入射する。第2光L62及び反射光Ldは、第1フィルタ63を透過しないので、第1検出領域R1には入射しない。これにより、第1光L61に基づいた検出信号Vdet(以下、第1検出信号と表す場合がある)と、第2光L62に基づいた検出信号Vdet(以下、第2検出信号と表す場合がある)とが重畳することを抑制できる。
【0086】
図11に示すように、期間t(1)から期間t(4)のそれぞれにおいて、検出装置1は、上述したリセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetを実行する。リセット期間Prst及び読み出し期間Pdetにおいて、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCL(1)からゲート線GCL(M)まで順次走査する。
【0087】
期間t(1)では、第2光源62が点灯し、第1光源61は非点灯となる。これにより、検出装置1は、第2光源62から出射された第2光L62に基づいて、第2検出領域R2で検出を行う。つまり、第2検出領域R2に属するフォトダイオードPDから信号線SGLを介して検出回路48に電流が流れる。また、期間t(2)では、第1光源61が点灯し、第2光源62は非点灯である。これにより、検出装置1は、第1光源61から出射された第1光L61に基づいて、第1検出領域R1で検出を行う。つまり、第1検出領域R1に属するフォトダイオードPDから信号線SGLを介して検出回路48に電流が流れる。同様に、期間t(3)で第2光源62が点灯し第1光源61が非点灯となり、期間t(4)で第1光源61が点灯し第2光源62が非点灯となる。
【0088】
このように、第1光源61及び第2光源62は、期間tごとに時分割的に点灯する。これにより、第1光L61に基づいてフォトダイオードPDで検出された第1検出信号と、第2光L62に基づいてフォトダイオードPDで検出された第2検出信号とが、時分割で検出回路48に出力される。したがって、第1検出信号と第2検出信号とが重畳して検出回路48に出力されることを抑制することができる。このため、検出装置1は、種々の生体に関する情報を良好に検出することができる。
【0089】
なお、第1光源61及び第2光源62の駆動方法は適宜変更することができる。例えば、図11では、第1光源61及び第2光源62は、期間tごとに交互に点灯しているが、これに限定されない。第1光源61が複数回の期間tで連続して点灯した後、第2光源62が複数回の期間tで連続して点灯してもよい。
【0090】
(第1実施形態の第1変形例)
図12は、第1実施形態の第1変形例に係るセンサ部の駆動と、光源の点灯動作との関係を説明するための説明図である。第1変形例では、第1光源61及び第2光源62は、同時に点灯する。この場合であっても、第1光源61からの第1光L61は、第2フィルタ64を透過しないので、第2検出領域R2には入射しない。同様に、第2光源62からの第2光L62は、第1フィルタ63を透過しないので、第1検出領域R1には入射しない。したがって、第1光L61に基づいて第1検出領域R1から出力される第1検出信号と、第2光L62に基づいて第2検出領域R2から出力される第2検出信号とが重畳することが抑制される。
【0091】
また、第1光源61及び第2光源62は、露光期間Pexで点灯し、リセット期間Prst及び読み出し期間Pdetでは非点灯である。これにより、検出装置1は、検出に要する消費電力を低減することができる。
【0092】
なお、図12に示す例に限定されず、第1光源61及び第2光源62は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetの全期間に亘って連続して点灯してもよい。また、露光期間Pexに第1光源61及び第2光源62のいずれか一方が点灯し、期間tごとに交互に点灯してもよい。
【0093】
(第1実施形態の第2変形例)
図13は、第1実施形態の第2変形例に係るセンサ部の駆動と、光源の点灯動作との関係を説明するための説明図である。図13に示すように、第2変形例において、ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLのうち、一部のゲート線GCLにゲート駆動信号Vgclを供給する。例えば、ゲート線駆動回路15は、リセット期間Prst及び読み出し期間Pdetで、4本のゲート線GCL(m)からゲート線GCL(m+3)に順次ゲート駆動信号Vgclを供給する。ゲート線GCL(1)からゲート線GCL(m-1)及びゲート線GCL(m+4)からゲート線GCL(M)は、駆動対象として選択されず、ゲート駆動信号Vgclが供給されない。
【0094】
これにより、ゲート線GCL(m)からゲート線GCL(m+3)に接続された複数の部分検出領域PAAから、それぞれ第1検出信号及び第2検出信号が出力される。非選択のゲート線GCLに接続された部分検出領域PAAからは検出信号が出力されない。
【0095】
本実施形態では、一部のゲート線GCLのみ走査されるため、検出に要する時間を短縮することができる。このため、迅速に検出を行うことで、例えば脈拍等の、被検出体の時間的な変化を良好に検出することができる。また、指Fgと重なる領域を選択して検出することができ、指Fgと重なる領域の検出を繰り返し実行することができる。このため、検出装置1は、検出におけるS/N比を高めることができる。
【0096】
なお、駆動対象のゲート線GCLの選択は、どのように行ってもよい。例えば、ゲート線駆動回路15が、ゲート線GCL(1)からゲート線GCL(M)を走査して検出領域AAの全体の検出を行い、検出部40が指Fgの有無及び位置を特定する。制御回路122は、指Fgの位置に基づいて、駆動対象のゲート線GCLを選択してもよい。又は、静電容量式のタッチパネルを備え、タッチパネルにより指Fgの位置を特定してもよい。
【0097】
また、図13では、露光期間Pexのみ第1光源61及び第2光源62のいずれか一方が点灯し、第1光源61及び第2光源62が期間tごと交互に点灯する。ただしこれに限定されず、第1光源61及び第2光源62が同時に点灯してもよいし、第1光源61及び第2光源62は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetの全期間に亘って連続して点灯してもよい。
【0098】
(第2実施形態)
図14は、第2実施形態に係る検出装置の、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す平面図である。図15は、第2実施形態に係る検出装置の、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す側面図である。図16は、第2実施形態に係る検出装置のセンサ部の駆動と、光源の点灯動作との関係を説明するための説明図である。なお、以下の説明において、上述した実施形態で説明した構成要素については、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0099】
図14に示すように、センサ部10の第1検出領域R1と、第2検出領域R2とは、第2方向Dyに隣り合って配置される。また、第1フィルタ63は、第1検出領域R1と重なって配置され、センサ部10の第1方向Dxの両端部、及び第2方向Dyの一方の端部を覆う。第2フィルタ64は、第2検出領域R2と重なって配置され、センサ部10の第1方向Dxの両端部、及び第2方向Dyの他方の端部を覆う。
【0100】
第1フィルタ63及び第2フィルタ64は、それぞれ第1方向Dxにおいて、センサ部10の一端から他端まで重なっており、第2方向Dyで隣接している。つまり、1本のゲート線GCLは、第1検出領域R1又は第2検出領域R2のいずれか一方に設けられ、第1検出領域R1の複数の部分検出領域PAA又は第2検出領域R2の複数の部分検出領域PAAのいずれかと接続される。また、1本の信号線SGLは、第1検出領域R1及び第2検出領域R2に跨がって設けられ、第1検出領域R1の複数のフォトダイオードPD及び第2検出領域R2の複数のフォトダイオードPDと接続される。
【0101】
第1光源基材51と第2光源基材52とは、平面視で、センサ部10を挟んで第1方向Dxに対向する。第1光源基材51の、第2光源基材52と対向する面に複数の第1光源61及び複数の第2光源62が設けられている。また、第2光源基材52の、第1光源基材51と対向する面に複数の第1光源61及び複数の第2光源62が設けられている。
【0102】
第1光源61及び第2光源62は、検出領域AA(第1検出領域R1及び第2検出領域R2)の外周に沿って第2方向Dyに並ぶ。第1光源61は、第1検出領域R1に対応する位置に設けられ、第1方向Dxと平行方向に第1光L61を出射する。また、複数の第1光源61は、第1検出領域R1を挟んで第1方向Dxに対向する。
【0103】
第2光源62は、第2検出領域R2に対応する位置に設けられ、第1方向Dxと平行方向に第2光L62を出射する。複数の第2光源62は、第2検出領域R2を挟んで第1方向Dxに対向する。
【0104】
図15は、検出装置1を第1方向Dxから見たときの側面図である。図15に示すように、指Fg等の被検出体は、第1フィルタ63及び第2フィルタ64の少なくとも一方を介してセンサ部10の上に配置される。第1光源61及び第2光源62は、センサ部10、第1フィルタ63及び第2フィルタ64よりも上方に配置され、第1方向Dxで指Fg等の被検出体を挟んで配置される。
【0105】
第1光源61から出射された第1光L61及び第2光源62から出射された第2光L62は、それぞれ第1方向Dxと平行方向に進行し、指Fgに入射する。第1光L61及び第2光L62は、指Fgの表面又は内部で反射及び散乱されて、反射光Ldの一部は、第3方向Dzに進行する。反射光Ldは、それぞれ、第1フィルタ63又は第2フィルタ64を通ってセンサ部10に入射する。
【0106】
上述したように、1本の信号線SGLは、第1検出領域R1及び第2検出領域R2に跨がって設けられているため、本実施形態では、第1検出領域R1と第2検出領域R2とを時分割的に実行する。具体的には、図16に示すように、ゲート線駆動回路15は、期間t(1)において、ゲート線GCL(1)からゲート線GCL(m)まで順次走査する。ゲート線GCL(1)からゲート線GCL(m)は、図14に示す第2検出領域R2に属するゲート線GCLである。ゲート線駆動回路15は、図14に示す第2走査方向SCAN2にしたがってゲート線GCLを走査する。
【0107】
一方、期間t(1)において、第1検出領域R1に属するゲート線GCL(ゲート線GCL(m+1)からゲート線GCL(M))には、ゲート駆動信号Vgclが供給されない。このため、第1検出領域R1の各フォトダイオードPDは、信号線SGLと非接続状態となる。
【0108】
これにより、検出装置1は、期間t(1)において、第2光源62から出射された第2光L62に基づいて、第2検出領域R2で検出を行う。つまり、第2検出領域R2に属する複数のフォトダイオードPDから信号線SGLを介して検出回路48に電流が流れる。なお、期間t(1)において第1光源61及び第2光源62の両方が点灯しているが、第1光源61からの第1光L61は、第2フィルタ64を透過しないので、第2検出領域R2には入射しない。したがって、検出装置1は、第2光L62に基づいた検出を良好に行うことができる。
【0109】
次に、期間t(2)において、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCL(M)からゲート線GCL(m+1)まで順次ゲート駆動信号Vgclを供給するする。ゲート線GCL(M)からゲート線GCL(m+1)は、図14に示す第1検出領域R1に属するゲート線GCLである。ゲート線駆動回路15は、図14に示す第1走査方向SCAN1にしたがってゲート線GCLを走査する。第1走査方向SCAN1は、第2走査方向SCAN2とは反対方向である。
【0110】
一方、期間t(2)において、第2検出領域R2に属するゲート線GCL(ゲート線GCL(1)からゲート線GCL(m))には、ゲート駆動信号Vgclが供給されない。このため、第2検出領域R2の各フォトダイオードPDは、信号線SGLと非接続状態となる。
【0111】
これにより、検出装置1は、期間t(2)において、第1光源61から出射された第1光L61に基づいて、第1検出領域R1で検出を行う。つまり、第1検出領域R1に属する複数のフォトダイオードPDから信号線SGLを介して検出回路48に電流が流れる。
【0112】
期間t(3)、t(4)において、それぞれ、期間t(1)、t(2)と同様の動作を繰り返し実行する。このように、ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLのうち、第1検出領域R1に設けられたゲート線GCL(ゲート線GCL(m+1)からゲート線GCL(M))に、第1走査方向SCAN1に順次ゲート駆動信号Vgclを供給する。また、ゲート線駆動回路15は、第1検出領域R1の検出期間とは異なる期間に、第2検出領域R2に設けられたゲート線GCL(ゲート線GCL(M)からゲート線GCL(m+1))に、第1走査方向SCAN1と反対方向の第2走査方向SCAN2に順次ゲート駆動信号Vgclを供給する。
【0113】
これにより、1本の信号線SGLが、第1検出領域R1及び第2検出領域R2に跨がって設けられた場合であっても、第1光L61に基づく第1検出領域R1からの第1検出信号と、第2光L62に基づく第2検出領域R2からの第2検出信号とが重畳することを抑制できる。
【0114】
なお、図16では、第1光源61及び第2光源62は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetに亘って連続して点灯しているが、これに限定されない。第2実施形態においても、上述した第1実施形態、第1変形例及び第2変形例に示した第1光源61及び第2光源62の動作を適用できる。
【0115】
すなわち、期間t(1)に第2光源62が点灯し、第1光源61が非点灯状態となり、期間t(2)に第1光源61が点灯し、第2光源62が非点灯状態であってもよい。このように、第1光源61と第2光源62とが交互に点灯してもよい。又は、第1光源61及び第2光源62は、露光期間Pexにのみ点灯してもよい。又は、ゲート線駆動回路15は、指Fgの位置に基づいて、第1検出領域R1に属するゲート線GCL又は第2検出領域R2に属するゲート線GCLの一部を駆動してもよい。
【0116】
(第3実施形態)
図17は、第3実施形態に係る検出装置の、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す側面図である。図17に示すように、第1フィルタ63は、センサ基材21の第1面S1側に設けられる。フォトダイオードPDは、第1フィルタ63と第1面S1との間に設けられる。第2フィルタ64は、センサ基材21の第2面S2側に設けられる。つまり、第3方向Dzにおいて、第1フィルタ63と第2フィルタ64との間に、センサ部10が設けられる。
【0117】
第1光源基材51と第2光源基材52とは、第3方向Dzにおいて、センサ部10を挟んで対向する。第1光源基材51は、センサ基材21の第1面S1と対向する。第1光源基材51の、第1面S1と対向する面に複数の第1光源61が設けられている。つまり、第1光源61は、第1面S1と垂直な方向で第1面S1と対向して設けられる。第1フィルタ63は、第1面S1と垂直な方向で、複数のフォトダイオードPDと第1光源61との間に設けられる。
【0118】
第2光源基材52は、センサ基材21の第2面S2と対向する。第2光源基材52の、第2面S2と対向する面に複数の第2光源62が設けられている。つまり、第2光源62は、第2面S2と垂直な方向で第2面S2と対向して設けられる。第2フィルタ64は、第2面S2と垂直な方向で、第2面S2と第2光源62との間に設けられる。
【0119】
第3実施形態では、センサ部10は2本の指Fg1、Fg2により挟まれた状態で、生体に関する情報を検出することができる。第1光源61から出射された第1光L61は、指Fg1及び第1フィルタ63を透過してセンサ部10に入射する。また、第2光源62から出射された第2光L62は、指Fg2、第2フィルタ64及びセンサ基材21を透過してセンサ部10に入射する。
【0120】
このような構成により、第3実施形態では、複数の指Fgについて種々の生体に関する情報を検出することができる。なお、第3実施形態の検出装置1の駆動方法は、図11と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0121】
(第4実施形態)
図18は、第4実施形態に係る検出装置の、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す平面図である。図18に示すように、第4実施形態において、第1光源61及び第2光源62は、センサ基材21の第1面S1に設けられている。
【0122】
具体的には、第1光源61及び第2光源62は、部分検出領域PAAごとに設けられ、信号線SGLと、ゲート線GCLとで囲まれた領域でフォトダイオードPDに隣り合って配置される。
【0123】
第1光源61から出射された第1光L61及び第2光源62から出射された第2光L62は、それぞれ第3方向Dzと平行方向に向かって進行し、指Fgの表面又は内部で反射されてフォトダイオードPDに入射する。
【0124】
第4実施形態においても、第1光L61及び第2光L62により、それぞれ異なる生体に関する情報を検出することができる。また、第4実施形態では、第1光源基材51及び第2光源基材52を設ける必要がないため、検出装置1の小型化が可能である。なお、第4実施形態の検出装置1の駆動方法は、図11と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、図18に示す第1光源61及び第2光源62の配置は、あくまで一例であり適宜変更できる。例えば、1つの部分検出領域PAAに第1光源61及び第2光源62のいずれか一方が設けられていてもよい。この場合、第1光源61が設けられた部分検出領域PAAと、第2光源62が設けられた部分検出領域PAAとが、交互に配列されていてもよい。
【0125】
(第5実施形態)
図19は、第5実施形態に係る検出装置の、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す側面図である。図19では、指Fgとセンサ部10との相対的な位置関係が異なる場合の動作例を示している。図19に示すように、センサ基材21は、第1曲面Sa1と、第1曲面Sa1と反対側の第2曲面Sa2とを有する。第1曲面Sa1は、第2曲面Sa2から第1曲面Sa1に向かう方向に凸状に湾曲している。第2曲面Sa2は、指Fgの表面に沿って凹状に湾曲している。第1曲面Sa1には、複数のフォトダイオードPDが設けられる。センサ基材21は、透光性を有するフィルム状の樹脂材料であってもよく、湾曲したガラス基板であってもよい。
【0126】
複数の第1光源61-1、61-2、61-3は、第1曲面Sa1に沿って設けられ、異なる方向に第1光L61を出射する。複数の第2光源62-1、62-2、62-3は、第2曲面Sa2と対向して設けられ、異なる方向に第2光L62を出射する。第1光源61-1と、第2光源62-3とは、指Fgを挟んで配置され、反対の向きに第1光L61及び第2光L62を出射する。同様に、第1光源61-2と、第2光源62-2とは、指Fgを挟んで配置され、反対の向きに第1光L61及び第2光L62を出射する。第1光源61-3と、第2光源62-1とは、指Fgを挟んで配置され、反対の向きに第1光L61及び第2光L62を出射する。
【0127】
なお、以下の説明において第1光源61-1、61-2、61-3を区別して説明する必要がない場合には、第1光源61と表す。また、第2光源62-1、62-2、62-3を区別して説明する必要がない場合には、第2光源62と表す。
【0128】
なお、図19では、第1光源基材51及び第2光源基材52を省略して示しているが、それぞれ、指Fgの表面に沿った湾曲形状を有している。或いは、1つの光源基材を、指Fgを囲むように環状に形成し、光源基材の内周面に第1光源61及び第2光源62が設けられていてもよい。
【0129】
第5実施形態では、第1光源61-1、61-2、61-3を点灯させて、指Fgの指紋を検出する。制御回路122は、指紋の情報に基づいて、指Fgの位置及び向きを検出する。
【0130】
図19左図に示すように、指Fgの腹がセンサ部10の底部と正対している場合には、制御回路122は、第1光源61-1、61-2、61-3及び第2光源62-1、62-2、62-3のうち、第1光源61-2と第2光源62-2を点灯させる。第1光源61-2から出射された第1光L61は、指Fgの表面又は内部で反射されて、フォトダイオードPDに入射する。また、第2光源62-2出射された第2光L62は、指Fgを透過してフォトダイオードPDに入射する。
【0131】
図19右図は、指Fgとセンサ部10との相対的な位置関係が異なる場合、例えば、指Fgが回転して、指Fgの腹がセンサ部10の底部とずれた位置に面して配置されている場合を示す。この場合、制御回路122は、第1光源61-1、61-2、61-3及び第2光源62-1、62-2、62-3のうち、第1光源61-3と第2光源62-1を点灯させる。
【0132】
このように、第5実施形態では、指Fgとセンサ部10との相対的な位置関係がずれた場合であっても、指Fgの指紋の位置情報に基づいて、複数の第1光源61及び複数の第2光源62のうち、指Fgの位置(回転角度)に応じた第1光源61及び第2光源62を選択する。これにより、指Fgに良好に第1光L1及び第2光L62を照射することができ、生体に関する情報を検出することができる。
【0133】
また、第1光源61-1、61-2、61-3及び第2光源62-1、62-2、62-3は、異なる位置及び角度で配置されている。このため、検出装置1は、第1光源61-1、61-2、61-3及び第2光源62-1、62-2、62-3を順次点灯させて、異なる角度から観察された生体に関する情報、例えば血管像を検出することができる。そして、これらの複数の血管像を画像処理することで、立体的な血管像が得られる。これにより、検出装置1を生体認証等に用いた場合に、個人認証の精度を向上させることができる。
【0134】
(第5実施形態の第3変形例)
図20は、第5実施形態の第3変形例に係る検出装置の、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す側面図である。図20に示すように、第3変形例では、第5実施形態と比べて、第2光源62-1、62-2がセンサ基材21に設けられている点が異なる。
【0135】
具体的には、第2光源62-1、62-2は、センサ基材21の第1曲面Sa1の外縁に設けられている。言い換えると、第2光源62-1、62-2は、それぞれ、フォトダイオードPDとセンサ基材21の端部との間に設けられ、第2光源62-1と、第2光源62-2との間にフォトダイオードPDが設けられる。第2光源62-1、62-2は、第1光源61-1、61-2、61-3とは、異なる位置及び角度で設けられており、第1光L61とは異なる角度で第2光L62を出射できる。
【0136】
第3変形例でも、指Fgとセンサ部10との相対的な位置関係がずれた場合であっても、適切な角度の第1光L61又は第2光L62を指Fgに照射することができる。また、第2光源基材52を省略することができるため、検出装置1の構成を簡易にできる。
【0137】
(第6実施形態)
図21は、第6実施形態に係る検出装置の、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す平面図である。図22は、第6実施形態に係る検出装置の、センサ部と、第1光源及び第2光源との関係を模式的に示す側面図である。
【0138】
図21に示すように、第1光源61及び第2光源62は、センサ基材21の周辺領域GAに設けられる。具体的には、センサ基材21は、第1方向Dxに対向する第1辺21s1と、第2辺21s2とを有する。第1光源61は、周辺領域GAのうち、第1辺21s1とセンサ部10の外周との間の領域に設けられる。第2光源62は、周辺領域GAのうち、第2辺21s2とセンサ部10の外周との間の領域に設けられる。第1光源61と第2光源62との間に検出領域AAが配置される。
【0139】
なお、図21では、第1光源61及び第2光源62を模式的に長方形状に記載している。ただし、第1光源61及び第2光源62は、上述したように複数の無機LEDが配列されていてもよいし、複数の有機ELが配列されていてもよい。
【0140】
図22に示すように、センサ基材21は、第5実施形態と同様に第1曲面Sa1と、第2曲面Sa2とを有する。第1光源61及び第2光源62は、第1曲面Sa1に設けられる。第1光源61と第2光源62との間にフォトダイオードPDが設けられる。第2曲面Sa2は、指Fgの腹の表面に沿った湾曲形状を有する。
【0141】
第1光源61から出射された第1光L61及び第2光源62から出射された第2光L62は、それぞれセンサ基材21を透過して指Fgに入射する。第1光L61及び第2光L62は、指Fgの表面又は内部で反射されて、センサ基材21を透過してフォトダイオードPDに入射する。
【0142】
第6実施形態では、第1光源基材51及び第2光源基材52を設ける必要がないため、検出装置1の小型化が可能である。また、第1光源61及び第2光源62が周辺領域GAに設けられているので、第4実施形態に比べて、部分検出領域PAAの回路構成を簡易にすることができる。
【0143】
(第7実施形態)
図23は、第7実施形態に係る検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。第7実施形態において、ゲート線駆動回路15は、期間ta(1)において、複数のゲート線GCLを含むゲート線ブロックBKG(1)に、高レベル電圧(電源電圧VDD)のゲート駆動信号Vgclを供給する。ゲート線ブロックBKG(1)は、例えば、図3に示す6本のゲート線GCL(1)からゲート線GCL(6)を含む。制御回路122は、ゲート駆動信号Vgclが高レベル電圧(電源電圧VDD)の期間に、選択信号ASW1、…、ASW6を、同時に信号線選択回路16に供給する。これにより、信号線選択回路16は、6本の信号線SGLを同時に検出回路48に接続する。この結果、図3に示す検出領域グループPAG1、PAG2の検出信号Vdetがそれぞれ検出回路48に供給される。
【0144】
同様に、ゲート線駆動回路15は、期間ta(2)、…、ta(s-1)、ta(s)において、ゲート線ブロックBKG(2)、…、BKG(s-1)、BKG(s)に、それぞれ高レベル電圧のゲート駆動信号Vgcl(2)、…、Vgcl(s-1)、Vgcl(s)を供給する。つまり、ゲート線駆動回路15は、期間taごとに、複数のゲート線GCLに同時にゲート駆動信号Vgclを供給する。
【0145】
これにより、読み出し期間Pdetで、検出装置1は、検出領域グループPAGごとに検出信号Vdetを検出回路48に出力することができる。検出装置1は、部分検出領域PAAごとに検出する場合に比べて、検出におけるS/N比を高めることができる。したがって、検出装置1は、血管像等の生体に関する情報を良好に検出することができる。また、第7実施形態では、検出領域AAの全領域の検出に要する時間を短縮して、迅速に検出することができるので、脈波等の血管像の時間的な変化を良好に検出することができる。
【0146】
図23では、ゲート線駆動回路15が6本のゲート線GCLを束ねて駆動する例を示したが、これに限定されない。ゲート線駆動回路15は5本以下のゲート線GCLを束ねて駆動してもよいし、7本以上のゲート線GCLを束ねて駆動してもよい。また、信号線選択回路16は、5本以下の複数の信号線SGLを同時に検出回路48に接続してもよいし、7本以上の複数の信号線SGLを同時に検出回路48に接続してもよい。
【0147】
また、検出装置1は、部分検出領域PAAごとに検出する期間と、検出領域グループPAGごとに検出する期間とを時分割的に実行してもよい。例えば、指紋検出等の高い解像度(小さい検出ピッチ)で検出を行う場合に、検出装置1は、部分検出領域PAAごとに検出する。また、脈波等の高い解像度で検出を行う必要がない場合に、検出装置1は、検出領域グループPAGごとに検出する。この場合、検出装置1は、部分検出領域PAAごとに検出する期間と、検出領域グループPAGごとに検出する期間とで、第1光源61の点灯と、第2光源62と点灯とを時分割的に切り換えて検出を行ってもよい。これにより、複数の生体に関する情報の違いに応じて、高精度な検出と、時間的な変化の検出とを両立できる。
【0148】
図3に示す検出領域グループPAG1、PAG2は、それぞれ6×6、計36個の部分検出領域PAA(フォトダイオードPD)を含む。ただし、検出領域グループPAG1、PAG2に含まれる部分検出領域PAA(フォトダイオードPD)の数は、35個以下でもよく、37個以上でもよい。また、第7実施形態において、ゲート線駆動回路15が選択するゲート線GCLの数と、信号線選択回路16が選択する信号線SGLの数とが異なっていてもよい。すなわち、検出領域グループPAG1、PAG2のそれぞれにおいて、第1方向Dxに並ぶ部分検出領域PAA(フォトダイオードPD)の数と、第2方向Dyに並ぶ部分検出領域PAA(フォトダイオードPD)の数とは異なっていてもよい。
【0149】
また、図3では第1方向Dxに隣り合う2つの検出領域グループPAG1、PAG2を示しているが、検出領域グループPAGは、第1方向Dxに3つ以上配列され、また、第2方向Dyにも複数配列される。すなわち、複数の検出領域グループPAGは、第1方向Dx及び第2方向Dyにマトリクス状に配置される。
【0150】
(第8実施形態)
図24は、第8実施形態に係る検出装置の複数の部分検出領域を示す回路図である。図25は、第8実施形態に係る検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。図24に示すように、第8実施形態では、部分検出領域PAAが容量素子Caを有していない。すなわち、第1スイッチング素子Trのソースは、信号線SGLに接続され、第1スイッチング素子Trのドレインは、フォトダイオードPDのカソードに接続される。
【0151】
第1スイッチング素子Trがオンの期間に、部分検出領域PAAに光が照射されると、フォトダイオードPDには光量に応じた電流が流れ、フォトダイオードPDから信号線SGLを介して検出回路48に電流が流れる。すなわち、第8実施形態では、容量素子Caに電荷を蓄積する時間を省略することができる。
【0152】
図25に示すように、リセット期間Prstにおいて、ゲート線GCL(M)にゲート駆動信号Vgcl(M)が供給された後、露光期間Pexを省略して、読み出し期間Pdetが開始する。読み出し期間Pdetにおいて、ゲート駆動信号Vgclが各ゲート線GCLに順次供給されると、第1スイッチング素子Trがオンになり、フォトダイオードPDが信号線SGLに接続される。第1スイッチング素子Trがオンの期間にフォトダイオードPDから検出回路48に電流が流れる。言い換えると、読み出し期間Pdetにおいて、高レベル電圧信号のゲート駆動信号Vgclが供給されている期間が、露光期間Pexである。
【0153】
第8実施形態では、検出領域AAの全領域の検出を迅速に行うことができるので、例えば、脈波等の血管像の時間的な変化を良好に検出することができる。
【0154】
なお、第1実施形態から第8実施形態において、ゲート線駆動回路15が、複数のゲート線GCLに順次ゲート駆動信号Vgclを供給する時分割選択駆動を行う場合を示したがこれに限定されない。センサ部10は、符号分割選択駆動(以下、CDM(Code Division Multiplexing)駆動と表す)により、検出を行ってもよい。CDM駆動及び駆動回路は、例えば特願2018-005178号公報に記載されているので、特願2018-005178号公報の記載を本実施形態に含め、記載を省略する。
【0155】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0156】
1 検出装置
10 センサ部
15 ゲート線駆動回路
16 信号線選択回路
17 リセット回路
21 センサ基材
22 TFT層
23 絶縁層
24 保護膜
31 光電変換層
34 アノード電極
35 カソード電極
48 検出回路
51 第1光源基材
52 第2光源基材
61 第1光源
62 第2光源
63 第1フィルタ
64 第2フィルタ
AA 検出領域
GA 周辺領域
GCL ゲート線
PAA 部分検出領域
PD フォトダイオード
R1 第1検出領域
R2 第2検出領域
S1 第1面
S2 第2面
SGL 信号線
ASW 選択信号
Vgcl ゲート駆動信号
Tr 第1スイッチング素子
図1
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