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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/10 20060101AFI20220922BHJP
【FI】
F04B49/10 311
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018103662
(22)【出願日】2018-05-30
(65)【公開番号】P2019060334
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2017183616
(32)【優先日】2017-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】原田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】石原 敏隆
(72)【発明者】
【氏名】金田 一宏
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-109220(JP,A)
【文献】特開2006-161791(JP,A)
【文献】特開2017-036669(JP,A)
【文献】特開平10-077971(JP,A)
【文献】特開2006-118217(JP,A)
【文献】特開2013-124484(JP,A)
【文献】特開2011-111983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受水槽に貯められた液をポンプにて加圧して給水先に供給する給水装置であって、
前記給水装置は、前記受水槽の水位を検出する複数の水位計のうち、少なくともひとつの水位計の水位信号に基づいた受水槽制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記複数の水位計のうちの少なくともひとつの水位計を、前記受水槽制御に用いる水位を検出するための制御用センサとし、
前記制御用センサで所定の異常を検出したら、当該異常を検出した水位計と異なる水位計である変更センサを用いて前記受水槽制御を行い、
前記給水装置は、止水弁が設けられた連通管によって連通する複数の受水槽が接続され、
前記制御部は、
前記制御用センサで前記異常を検出したら、他の受水槽に設けられた前記変更センサにて前記受水槽制御を行い、
前記制御部は、前記止水弁によって前記複数の受水槽が連通されているものとして前記受水槽制御をしているときに、前記複数の受水槽で所定量以上の水位差があると判断したら、前記制御用センサで前記異常を検出しても、前記変更センサへの変更を保留する、
給水装置。
【請求項2】
前記異常は、前記受水槽の水位が、前記ポンプを停止する水位以下である渇水状態であることを特徴とする、
請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記異常は、前記水位計にて検出される水位に矛盾が生じている状態であることを特徴とする、
請求項1または2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記水位計は複数の電極棒を備えた電極式レベルスイッチであって、
前記水位計にて検出される水位に矛盾が生じている状態は、前記複数の電極棒のうち少なくともひとつが水面より露出した状態を検出するのと同時に、該露出した電極棒よりも高い水位を検出する電極棒の一部が水没した状態を検出した状態である、
請求項3に記載の給水装置。
【請求項5】
前記異常は、前記水位計にて検出された水位変化の矛盾状態であることを特徴とする、
請求項1から4の何れか1項に記載の給水装置。
【請求項6】
前記ポンプの運転中に前記水位計にて検出された水位が、前記ポンプが運転する前の水位以上であれば、前記水位変化の矛盾状態とする、
請求項5に記載の給水装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記制御用センサで前記異常を検出しても、
前記変更センサで前記異常を検出していれば、
前記変更センサへの変更を保留する、
請求項1から6の何れか1項に記載の給水装置。
【請求項8】
前記受水槽制御を行う前記水位計が前記異常によって変更された後に、当該異常にて変更された前記水位計が復帰する条件は、当該異常にて変更された前記水位計での検出水位が渇水状態の水位より高いことが含まれる、
ことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の給水装置。
【請求項9】
前記給水装置は、前記止水弁によって前記複数の受水槽が連通された状態で前記制御用センサの水位信号に基づいた給水を行う受水槽共用モードを有する、請求項1から8の何れか1項に記載の給水装置。
【請求項10】
受水槽に貯められた液をポンプにて加圧して給水先に供給する給水装置であって、
前記給水装置は、前記受水槽の水位を検出する複数の水位計のうち、少なくともひとつの水位計の水位信号に基づいた受水槽制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記複数の水位計のうちの少なくともひとつの水位計を、前記受水槽制御に用いる水位を検出するための制御用センサとし、
前記制御用センサで所定の異常を検出したら、当該異常を検出した水位計と異なる水位計である変更センサを用いて前記受水槽制御を行い、
前記受水槽は、止水弁が設けられた連通管によって連通する第1受水槽および第2受水槽を含み、
前記複数の水位計は、前記第1受水槽の水位を検出する第1水位計および前記第2受水槽の水位を検出する第2水位計を含み、
前記制御部は、前記止水弁が閉じられた状態で前記第1受水槽を用いて給水を行っているときに前記第1水位計で前記異常を検出したら、前記止水弁を開いた状態にして前記変更センサとして前記第2水位計を用いて前記受水槽制御を行う、
給水装置。
【請求項11】
受水槽に貯められた液をポンプにて加圧して給水先に供給する給水装置であって、
前記給水装置は、前記受水槽の水位を検出する複数の水位計のうち、少なくともひとつの水位計の水位信号に基づいた受水槽制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記複数の水位計のうちの少なくともひとつの水位計を、前記受水槽制御に用いる水位
を検出するための制御用センサとし、
前記制御用センサで所定の異常を検出したら、当該異常を検出した水位計と異なる水位計である変更センサを用いて前記受水槽制御を行い、
前記制御部は、前記制御用センサの切り替え回数をカウントし、該カウントされた切り替え回数が所定のしきい値を超えたら、前記異常を検出した前記制御用センサで前記受水槽制御を行う、
水装置。
【請求項12】
受水槽に貯められた液をポンプにて加圧して給水先に供給する給水装置であって、
前記給水装置は、前記受水槽の水位を検出する複数の水位計のうち、少なくともひとつの水位計の水位信号に基づいた受水槽制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記複数の水位計のうちの少なくともひとつの水位計を、前記受水槽制御に用いる水位を検出するための制御用センサとし、
前記制御用センサで所定の異常を検出したら、当該異常を検出した水位計と異なる水位計である変更センサを用いて前記受水槽制御を行い、
前記受水槽は、止水弁が設けられた連通管によって連通する第1受水槽および第2受水槽を含み、
前記第1受水槽は、第1市水流入弁が設けられた第1流入管の下流に設置されており、前記第2受水槽は、第2市水流入弁が設けられた第2流入管の下流に設置されており、
前記複数の水位計は、前記第1受水槽の水位を検知する第1水位計と、前記第2受水槽の水位を検知する第2水位計と、を含み、
前記制御部は、前記止水弁によって前記複数の受水槽が連通されているものとして前記受水槽制御をしているときに、前記制御用センサである前記第1センサで前記異常を検出しても、前記第1市水流入弁が開かれていて且つ前記第2受水槽の水位が上昇しないとき、または、前記第1市水流入弁が閉じられていて且つ前記第2受水槽の水位が下降しないときには、前記第1水位計を用いて前記受水槽制御を行う、
給水装置。
【請求項13】
前記制御部が前記受水槽制御に用いる水位計は、外部入力によって選択されることを特徴とする、
請求項1から12の何れか1項に記載の給水装置。
【請求項14】
前記複数の水位計のうち前記受水槽制御に用いている水位計が表示される、
請求項1から13の何れか1項に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給水装置は、建物等の給水対象に水道水を供給するために広く使用されている。給水装置の給水方式としては、水道本管の水が貯留された受水槽の水を給水対象へポンプにて加圧する受水槽方式、及び、水道本管の本管圧を利用しポンプにて増圧することにより給水対象へ水を供給する直結給水方式などが知られている。
【0003】
受水槽方式には、ひとつの受水槽にて構成される受水槽一槽式と、仕切弁が設けられた連通管によって互いに連通する2つの受水槽にて構成される受水槽二槽式がある。受水槽二槽式の場合、通常時は仕切弁を開いて2つの受水槽が連通した状態とされ、2つの受水槽に溜められた水を給水装置のポンプによって給水対象に供給する。そして、仕切弁を閉じることにより、一方の水槽を用いて給水対象への給水を継続しながら他方の水槽の清掃等を行うことができる。このときには、運転パネルなどを通じてユーザが給水に使用する受水槽を選択する。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3798479号明細書
【文献】特開2006-161791
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
受水槽に水がない状態でポンプを運転するとポンプが壊れてしまうため、水位計の異常によって受水槽の渇水が検出されると、給水装置のポンプが強制停止されて断水してしまう。(特許文献2)しかしながら、給水対象への給水はライフラインであり、断水は極力避けなければならない。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、給水装置において、水位計に異常が生じたときにも給水を継続できる給水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(形態1)形態1によれば、止水弁が設けられた連通管によって連通する第1受水槽および第2受水槽に貯められた水をポンプにて加圧して供給する給水装置が提案される。かかる給水装置は、第1受水槽の水位を検知する第1水位計の水位信号および第2受水槽の水位を検知する第2水位計の水位信号の少なくとも一方の水位信号に基づいて受水槽制御を行う制御部を備える。そして、制御部は、第1水位計または第2水位計のどちらか一方に異常が発生した場合に、他方の水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行うことを特徴とする。形態1によれば、一方の水位計に異常が生じたときにも他方の水位計の水位信号に基づいて給水を継続できる。
【0008】
(形態2)形態2によれば、形態1の給水装置において、制御部は、第1受水槽を用いて給水を行う第1受水槽モード、第2受水槽を用いて給水を行う第2受水槽モード、または第1受水槽と前記第2受水槽の両方を用いて給水を行う受水槽共用モードのうち何れかのモードにて前記受水槽制御を行い、制御部は、受水槽共用モードのときに、第1水位計の水位信号および第2水位計の水位信号の少なくとも一方に基づいて受水槽制御を行い、且
つ、第1水位計または第2水位計のどちらか一方に異常が発生した場合に、他方の水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行うことを特徴とする。
【0009】
(形態3)形態3によれば、形態2の給水装置において、制御部は、受水槽共用モードのときに第1水位計に異常が発生するまでは第1水位計からの水位信号に基づいて受水槽制御を行い、第1水位計に異常が発生した後は第2水位計からの水位信号に基づいて受水槽制御を行うことを特徴とする。
【0010】
(形態4)形態4によれば、形態3の給水装置において、第1受水槽は、第1市水流入弁が設けられた第1流入管の下流に設置されており、第2受水槽は、第2市水流入弁が設けられた第2流入管の下流に設置されており、制御部は、受水槽共用モードのときに第1水位計に異常が生じているときであっても、第1市水流入弁が開かれていて且つ第2受水槽の水位が上昇しないとき、または、第1市水流入弁が閉じられていて且つ第2受水槽の水位が下降しないときには、第1水位計からの信号に基づいてポンプを制御する。形態4によれば、止水弁の異常、または止水弁の開け忘れなどの不具合が生じているおそれがある場合に、受水槽制御に用いられる水位計が切り替えられない。このため、給水装置が誤作動することを防止できる。
【0011】
(形態5)形態5によれば、形態3または4の給水装置において、第1受水槽は、第1市水流入弁が設けられた第1流入管の下流に設置されており、第2受水槽は、第2市水流入弁が設けられた第2流入管の下流に設置されており、制御部は、受水槽共用モードのときに第2水位計からの信号に基づいて受水槽制御をしているときには、第1水位計に生じていた異常が解消しても、第1受水槽の所定の渇水状態であるとき、第2市水流入弁が開かれていて且つ第1受水槽の水位が上昇しないとき、または、第2市水流入弁が閉じられていて且つ第1受水槽の水位が下降しないときには、第2水位センサからの信号に基づいて受水槽制御を行う。形態5によれば、第1水位計の異常が解消したときに、ポンプの制御に用いられる水位計が第1水位計に戻されたことで渇水状態にてポンプが停止してしまうことを防止できる。
【0012】
(形態6)形態6によれば、形態2から5の何れかの給水装置において、制御部は、受水槽共用モードのときに第1受水槽の水位と第2受水槽の水位とに所定量以上の差があると判断したときには、止水弁が閉じられていると判定する。形態6によれば、受水槽共用モードにもかかわらず、止水弁が閉じられていることを判定できる。
【0013】
(形態7)形態7によれば、形態2から6の何れかの給水装置において、制御部は、第1受水槽モードの場合には、第1水位計の検出水位にて受水槽制御を行い、第2受水槽モードの場合には、第2水位計の検出水位にて受水槽制御を行うことを特徴とする。
【0014】
(形態8)形態8によれば、形態1から7の何れかの給水装置において、制御部は、第1水位計に異常が生じているときであっても、第2水位計に異常が生じているとき、または、第2受水槽が渇水状態であるときには、第1水位計からの信号に基づいて受水槽制御を行う。形態8によれば、受水槽制御に用いられる水位計が第1水位計から第2水位計に切り替えることによってポンプが強制停止されてしまうことを防止できる。
【0015】
(形態9)形態9によれば、形態1から8の何れかの給水装置において、第1受水槽は、第1市水流入弁が設けられた第1流入管の下流に設置されており、第2受水槽は、第2市水流入弁が設けられた第2流入管の下流に設置されている。そして、第1水位計の異常の検出条件には、第1市水流入弁および第2市水流入弁の少なくとも一方の開水位以下を検出した後に第1受水槽の水位が上昇しないとき、または、第1市水流入弁および第2市水流入弁の両方が閉水位以上を検出した後に第1受水槽の水位が下降しないときが含まれる
。また、第2水位計の異常の検出条件には、第1市水流入弁および第2市水流入弁の少なくとも一方の開水位以下を検出した後に第2受水槽の水位が上昇しないとき、または、第1市水流入弁および第2市水流入弁の両方が閉水位以上を検出した後に第1受水槽の水位が下降しないときが含まれる。形態9によれば、第1水位計と第2水位計の状態を比較して水位計の異常を検知することで、誤検知を防止することができる。
【0016】
(形態10)形態10によれば、形態1から9の何れかの給水装置において、異常にて変更された第1水位計を受水槽制御に用いる水位計として復帰させるための復帰条件には、第1受水槽の水位が渇水状態の水位より高いことが含まれ、異常にて変更された第2水位計を受水槽制御に用いる水位計として復帰させるための復帰条件には、第2受水槽の水位が渇水状態の水位より高いことが含まれる。形態10によれば、異常により変更された水位計を再び受水槽制御に用いる水位計として復帰させるときにポンプが渇水状態で停止することを防止できる。
【0017】
(形態11)形態11によれば、形態1から10の何れかの給水装置において、第1水位計と第2水位計とのうち制御部が受水槽制御に用いている水位計を表示する表示部を更に備える。形態11によれば、ユーザなどが表示部を通じて、受水槽制御に用いられている水位計を確認することができる。
【0018】
(形態12)形態12によれば、受水槽に貯められた水をポンプにて加圧して供給する給水装置が提案される。かかる給水装置は、受水槽の水位を検知する第1水位計および第2水位計の少なくとも一方の水位信号に基づいて受水槽制御を行う制御部を備える。そして、制御部は、第1水位計または第2水位計のどちらか一方に異常が発生した場合に、他方の水位計の水位信号に基づいて前記受水槽制御を行うことを特徴する。形態12によれば、一方の水位計に異常が生じたときにも他方の水位計の水位信号に基づいて給水を継続できる。
【0019】
(形態13)形態13によれば、形態12の給水装置において、制御部は、第1水位計または第2水位計によって受水槽の渇水状態が検出されていると判断したときに、第1水位計または第2水位計に異常が発生したと判定する。形態13によれば、第1水位計の異常によってポンプが停止してしまうことを抑制できる。
【0020】
(形態14)形態14によれば、形態12または13の給水装置において、給水装置が、受水槽として、第1受水槽、及び止水弁が設けられた連通管によって第1受水槽と連通する第2受水槽を有し、第1水位計が、第1受水槽の水位を検知する水位計であり、第2水位計が、第2受水槽の水位を検知する水位計である。形態14によれば、第1受水槽の水位を検知する第1水位計と、第2受水槽の水位を検知する第2水位計と、に基づいて、一方の水位計に異常が生じたときにも他方の水位計の水位信号に基づいて給水を継続できる。
【0021】
(形態15)形態15によれば、形態14の給水装置において、制御部は、第1受水槽を用いて給水を行う第1受水槽モード、第2受水槽を用いて給水を行う第2受水槽モード、または第1受水槽と前記第2受水槽の両方を用いて給水を行う受水槽共用モードのうち何れかのモードにて前記受水槽制御を行い、制御部は、受水槽共用モードのときに、第1水位計の水位信号および第2水位計の水位信号の少なくとも一方に基づいて受水槽制御を行い、且つ、第1水位計または第2水位計のどちらか一方に異常が発生した場合に、他方の水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行うことを特徴とする。形態15によれば、受水槽共用モードのときに、第1受水槽の水位を検知する第1水位計と第2受水槽の水位を検知する第2水位計との一方の水位計に異常が生じたときにも、他方の水位計の水位信号に基づいて給水を継続できる。
【0022】
(形態16)形態16によれば、形態15の給水装置において、制御部は、受水槽共用モードのときに第1水位計に異常が発生するまでは第1水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行い、第1水位計に異常が発生した後は第2水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行うことを特徴とする。
【0023】
(形態17)形態17によれば、形態16の給水装置において、第1受水槽は、第1市水流入弁が設けられた第1流入管の下流に設置されており、第2受水槽は、第2市水流入弁が設けられた第2流入管の下流に設置されており、制御部は、受水槽共用モードのときに第1水位計に異常が生じているときであっても、第1市水流入弁が開かれていて且つ第2受水槽の水位が上昇しないとき、または、第1市水流入弁が閉じられていて且つ第2受水槽の水位が下降しないときには、第1水位計の水位信号に基づいてポンプを制御する。形態17によれば、止水弁の異常、または止水弁の開け忘れなどの不具合が生じているおそれがある場合に、受水槽制御に用いられる水位計が切り替えられない。このため、給水装置が誤作動することを防止できる。
【0024】
(形態18)形態18によれば、形態16または17の給水装置において、第1受水槽は、第1市水流入弁が設けられた第1流入管の下流に設置されており、第2受水槽は、第2市水流入弁が設けられた第2流入管の下流に設置されており、制御部は、受水槽共用モードのときに第2水位計の水位信号に基づいて受水槽制御をしているときには、第1水位計に生じていた異常が解消しても、第1受水槽の所定の渇水状態であるとき、第2市水流入弁が開かれていて且つ第1受水槽の水位が上昇しないとき、または、第2市水流入弁が閉じられていて且つ第1受水槽の水位が下降しないときには、第2水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行う。形態18によれば、第1水位計の異常が解消したときに、ポンプの制御に用いられる水位計が第1水位計に戻されたことで渇水状態にてポンプが停止してしまうことを防止できる。
【0025】
(形態19)形態19によれば、形態15から18の何れかの給水装置において、制御部は、受水槽共用モードのときに第1受水槽の水位と第2受水槽の水位とに所定量以上の差があると判断したときには、止水弁が閉じられていると判定する。形態19によれば、受水槽共用モードにもかかわらず、止水弁が閉じられていることを判定できる。
【0026】
(形態20)形態20によれば、形態15から19の何れかの給水装置において、制御部は、第1受水槽モードの場合には、第1水位計の検出水位にて受水槽制御を行い、第2受水槽モードの場合には、第2水位計の検出水位にて受水槽制御を行うことを特徴とする。形態20によれば、第1受水槽を用いて給水を行う第1受水槽モードの場合に、第1受水槽の水位を検知する第1水位計の検出水位にて受水槽制御が行われる。また、第2受水槽を用いて給水を行う第2受水槽モードの場合に、第2受水槽の水位を検知する第2水位計の検出水位にて受水槽制御が行われる。
【0027】
(形態21)形態21によれば、形態14から20の何れかの給水装置において、制御部は、第1水位計に異常が生じているときであっても、第2水位計に異常が生じているとき、または、第2受水槽が渇水状態であるときには、第1水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行う。形態21によれば、受水槽制御に用いられる水位計が第1水位計から第2水位計に切り替えることによってポンプが強制停止されてしまうことを防止できる。
【0028】
(形態22)形態22によれば、形態14から21何れかの給水装置において、第1受水槽は、第1市水流入弁が設けられた第1流入管の下流に設置されており、第2受水槽は、第2市水流入弁が設けられた第2流入管の下流に設置されている。そして、第1水位計の異常の検出条件には、第1市水流入弁および第2市水流入弁の少なくとも一方の開水位以
下を検出した後に第1受水槽の水位が上昇しないとき、または、第1市水流入弁および第2市水流入弁の両方の閉水位以上を検出した後に第1受水槽の水位が下降しないときが含まれる。また、第2水位計の異常の検出条件には、第1市水流入弁および第2市水流入弁の少なくとも一方の開水位以下を検出した後に第2受水槽の水位が上昇しないとき、または、第1市水流入弁および第2市水流入弁の両方の閉水位以上を検出した後に第1受水槽の水位が下降しないときが含まれる。形態22によれば、第1水位計と第2水位計の状態を比較して水位計の異常を検知することで、誤検知を防止することができる。
【0029】
(形態23)形態23によれば、形態14から22の何れかの給水装置において、異常にて変更された第1水位計を受水槽制御に用いる水位計として復帰させるための復帰条件には、第1受水槽の水位が渇水状態の水位より高いことが含まれ、異常にて変更された第2水位計を受水槽制御に用いる水位計として復帰させるための復帰条件には、第2受水槽の水位が渇水状態の水位より高いことが含まれる。形態23によれば、異常により変更された水位計を再び受水槽制御に用いる水位計として復帰させるときにポンプが渇水状態で停止することを防止できる。
【0030】
(形態24)形態24によれば、形態12から23の何れかの給水装置において、第1水位計と第2水位計とのうち制御部が受水槽制御に用いている水位計を表示する表示部を更に備える。形態24によれば、ユーザなどが表示部を通じて、受水槽制御に用いられている水位計を確認することができる。
【0031】
(形態25)形態25によれば、受水槽に貯められた水をポンプにて加圧して給水先に供給する給水装置が提案される。かかる給水装置は、受水槽の水位を検出する複数の水位計のうち、少なくともひとつの水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行う制御部を備え、制御部は、前記複数の水位計のうち、何れかひとつにて異常を検出した場合に、他の水位計の水位信号に基づいて前記受水槽制御を行うことを特徴する。形態25によれば、一方の水位計に異常が生じたときにも他方の水位計の水位信号に基づいて給水を継続できる。
【0032】
(形態26)形態26によれば、形態25の給水装置において、制御部は、複数の水位計のうちの何れかひとつを常用水位計とし、他の水位計を予備用水位計とし、常用水位計で異常を検出するまでは、常用水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行い、常用水位計に異常を検出した後は、予備用水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行うことを特徴とする。形態26によれば、常用水位計に異常が生じたときにも予備用水位計の水位信号に基づいて給水を継続できる。
【0033】
(形態27)形態27によれば、形態26の給水装置において、受水槽は、市水流入弁が設けられた流入管の下流に設置されており、制御部は、常用水位計に異常が生じているときであっても、市水流入弁が開かれていて且つ予備用水位計の検出水位が上昇しないとき、または、市水流入弁が閉じられていて且つ予備用水位計の検出水位が低下しないときに、常用水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行う。形態27は、市水流入弁が開かれていて且つ予備用水位計の検出水位が上昇しないとき、または、市水流入弁が閉じられていて且つ予備用水位計の検出水位が低下しないときには、予備用水位計に異常が生じている可能性があることに基づく。
【0034】
(形態28)形態28によれば、形態26または27の給水装置において、受水槽は、市水流入弁が設けられた流入管の下流に設置されており、制御部は、予備用水位計の水位信号に基づいて受水槽制御をしているときには、常用水位計の水位が渇水状態であるとき、市水流入弁が開かれていて且つ常用水位計の水位が上昇しないとき、または、市水流入弁が閉じられていて且つ常用水位計の水位が下降しないときには、予備用水位計の水位信号
に基づいて受水槽制御を行う。形態28は、常用水位計の水位が渇水状態であるとき、市水流入弁が開かれていて且つ常用水位計の検出水位が上昇しないとき、または、市水流入弁が閉じられていて且つ常用水位計の検出水位が低下しないときには、常用水位計の異常が解消していない可能性があることに基づく。
【0035】
(形態29)形態29によれば、形態26から28の何れかの給水装置において、複数の水位計は、少なくとも第1水位計と第2水位計を含み、常用水位計は、第1水位計であり、記予備用水位計は、第2水位計であり、制御部は、第1モードの場合には、常用水位計の検出水位にて受水槽制御を行い、第2モードの場合には、予備用水位計の検出水位にて受水槽制御を行うことを特徴とする。
【0036】
(形態30)形態30によれば、形態25から29の何れかの給水装置において、給水装置が、受水槽として、第1受水槽、及び止水弁が設けられた連通管によって第1受水槽と連通する第2受水槽を有し、複数の水位計は、少なくとも第1水位計と第2水位計の2つの水位計を含み、第1水位計が、第1受水槽の水位を検知する水位計であり、第2水位計が、第2受水槽の水位を検知する水位計である。形態30によれば、第1受水槽の水位を検知する第1水位計と、第2受水槽の水位を検知する第2水位計と、に基づいて、一方の水位計に異常が生じたときにも他方の水位計の水位信号に基づいて給水を継続できる。
【0037】
(形態31)形態31によれば、形態30の給水装置において、制御部は、第1受水槽を用いて給水を行う第1受水槽モード、第2受水槽を用いて給水を行う第2受水槽モード、または第1受水槽と第2受水槽の両方を用いて給水を行う受水槽共用モードのうち何れかのモードにて受水槽制御を行い、制御部は、第1受水槽モードのときには、第1水位計の検出水位にて受水槽制御を行い、第2受水槽モードのときは、第2水位計の検出水位にて受水槽制御を行い、受水槽共用モードのときには、第1水位計を常用水位計とし、第2水位計を予備用水位計とする。
【0038】
(形態32)形態32によれば、受水槽に貯められた液をポンプにて加圧して給水先に供給する給水装置が提案され、前記給水装置は、前記受水槽の水位を検出する複数の水位計のうち、少なくともひとつの水位計の水位信号に基づいた受水槽制御を行う制御部を備え、前記制御部は、前記複数の水位計のうちの少なくともひとつの水位計を、前記受水槽制御に用いる水位を検出するための制御用センサとし、前記制御用センサで所定の異常を検出したら、当該異常を検出した水位計と異なる水位計である変更センサを用いて前記受水槽制御を行うことを特徴とする。形態32によれば、制御用センサとした水位計に異常が生じたときにも他の水位計の水位信号に基づいて給水を継続できるため、水位計の異常による断水を減らすことができる。
【0039】
(形態33)形態33によれば、形態32の給水装置において、前記異常は、前記受水槽の水位が、前記ポンプを停止する水位以下である渇水状態であることを特徴とする。これにより、制御用センサの渇水検知による断水を減らすことができる。
【0040】
(形態34)形態34によれば、形態32または33の給水装置において、前記異常は、前記水位計にて検出される水位に矛盾が生じている状態であることを特徴とする。受水槽制御に用いる水位を、矛盾した水位を検出する水位計から他の水位計に切り替えることで正常な受水槽制御を継続できる。
【0041】
(形態35)形態35によれば、形態34の給水装置において、前記水位計は複数の電極棒を備えた電極式レベルスイッチであって、前記水位計にて検出される水位に矛盾が生じている状態は、前記複数の電極棒のうち少なくともひとつが水面より露出した状態を検出するのと同時に、該露出した電極棒よりも高い水位を検出する電極棒の一部が水没した状
態を検出した状態である。これにより、給水装置は、電極式レベルスイッチの異常を正確に検出できるとともに水位計の信号線の配線ミス等の検知ができる。
【0042】
(形態36)形態36によれば、形態32から35の給水装置において、前記異常は、前記水位計にて検出された水位変化の矛盾状態であることを特徴とする。受水槽制御に用いる水位が給水設備の各種状態と矛盾した水位を検出する水位計から他の水位計に切り替えられることで、給水装置は、正常な受水槽制御を継続できる。
【0043】
(形態37)形態37によれば、形態36の給水装置において、前記ポンプの運転中に前記水位計にて検出された水位が、前記ポンプが運転する前の水位以上であれば、前記水位変化の矛盾状態とする。受水槽制御に用いる水位計を、ポンプの運転状態と矛盾した水位を検出する水位計から他の水位計に切り替えることで、正常な受水槽制御を継続できる。
【0044】
(形態38)形態38によれば、形態32から37の給水装置において、前記制御部は、前記制御用センサで前記異常を検出しても、前記変更センサで前記異常を検出していれば、前記変更センサへの変更を保留する。これにより、異常が生じている水位計へ制御用センサが変更されることを防止し、更に、受水槽制御を行う水位計の変更で発生するインチングを防ぐことができ、給水装置は安定した受水槽制御を実行できる。
【0045】
(形態39)形態39によれば、形態32から38の給水装置において、前記受水槽制御を行う前記水位計が前記異常によって変更された後に、当該異常にて変更された前記水位計が復帰する条件は、当該異常にて変更された前記水位計での検出水位が渇水状態の水位より高いことが含まれる。これにより、全ての水位計における水位が渇水状態のときには水位計の変更を回避し、水位計変更のインチングを防止できる。
【0046】
(形態40)形態40によれば、形態32から39の給水装置において、前記給水装置は、止水弁が設けられた連通管によって連通する複数の受水槽が接続され、前記給水装置は、前記止水弁によって前記複数の受水槽が連通された状態で前記制御用センサの水位信号に基づいた給水を行う受水槽共用モードを有し、前記制御用センサで前記異常を検出したら、他の受水槽に設けられた前記変更センサにて前記受水槽制御を行うことを特徴とする。これにより、正常な水位計を用いて受水槽制御を継続できる。
【0047】
(形態41)形態41によれば、形態40の給水装置において、前記制御部は、前記受水槽共用モードのときに、前記第1受水槽の水位と前記第2受水槽の水位とに所定量以上の差があると判断したら、前記制御用センサで前記異常を検出しても、前記変更センサに変更することを保留する。これにより、連通管が閉塞していて使用できない受水槽の水位計が、受水槽制御に用いられることを防ぐことができる。
【0048】
(形態42)形態42によれば、形態32から41の給水装置において、前記制御部は、前記制御用センサの切り替え回数をカウントし、該カウントされた切り替え回数が所定のしきい値を超えたら、前記異常を検出した前記制御用センサで前記受水槽制御を行う。これにより、受水槽制御を行う水位計の変更の過度なインチングを防ぐことができ、給水装置は安定した受水槽制御を実行できる。
【0049】
(形態43)形態43によれば、形態32から42の給水装置において、前記制御部が前記受水槽制御に用いる水位計は、外部入力によって選択されることを特徴とする。
【0050】
(形態44)形態44によれば、形態32から43の給水装置において、前記複数の水位計のうち前記受水槽制御に用いている水位計が表示される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1A】本発明の実施形態に係る給水設備の一例を示す図である。
図1B】本実施形態に係る運転パネルの一例を示す図である。
図2】制御部により実行される受水槽の水位判定処理の一例を示すフローチャートである。
図3】制御部により実行されるセンサ変更判定処理の一例を示すフローチャートである。
図4】給水設備の別の一例を示す図である。
図5】変形例に係る給水設備の一例を示す図である。
図6】変形例の給水装置の制御部における水位計判定処理を示すフローチャートである。
図7】変形例の制御部により実行されるセンサ変更判定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0053】
図1Aは、本発明の実施形態に係る給水設備を示す図である。この給水設備は給水装置10と、受水槽110A(第1受水槽)と、受水槽110B(第2受水槽)と、を備え、主にマンション、オフィスビル、商業施設、又は、学校等の建物(給水対象)に水(搬送液)を供給するための設備である。図1Aに示すように、本実施形態では、給水装置10は、吸込側(上流側)に2つの受水槽110A,110Bが設置される受水槽方式(受水槽二槽式)で使用されている。給水装置10の吐出口には給水管107が接続されており、この給水管107は、図示しない各建物の給水栓(例えば蛇口)に連通する。給水装置10は、水供給源である図示しない水道本管から受水槽110A,110Bに貯められた水を加圧し、建物の各給水栓に水を供給する。給水装置10が給水に用いる受水槽は、受水槽選択として、受水槽110A、受水槽110B、または、受水槽110Aと受水槽110Bの両方である共用(受水槽共用)の何れかを選択可能である。
【0054】
なお、給水装置10は、受水槽110Aを用いて給水を行う第1受水槽モード、受水槽110Bを用いて給水を行う第2受水槽モード、後述する仕切弁118Bが解放された状態で受水槽110Aと受水槽110Bの両方を用いて給水を行う受水槽共用モードのうち何れかのモードを備える。本実施形態では、受水槽選択にて受水槽110Aが選択されたときに第1受水槽モード、受水槽110Bが選択されたときに第2受水槽モード、共用が選択されたときに受水槽共用モードとする。
【0055】
まず、受水槽二槽式について説明する。受水槽二槽式では、2つの受水槽110A,受水槽110Bが使用される。2つの受水槽110A,受水槽110Bには、水道本管に連通する導入管102より分岐した流入管130A(第1流入管),130B(第2流入管)によって、水供給源である水道本管(図示せず)からの水が貯められる。流入管130A,130Bのそれぞれには、市水流入弁132A(第1市水流入弁),132B(第2市水流入弁)が設けられている。市水流入弁132A,132Bは流入管130A,130Bの流路を遮蔽可能なバルブであって、例えば、電磁弁で構成されており、給水装置10のI/O部47からの出力信号によって制御される。受水槽110Aは、市水流入弁132Aが設けられた流入管130Aの下流に設置されており、市水流入弁132A,132Bが開けられることにより、導入管102の水が受水槽110Aへと流入し、受水槽110Bは、市水流入弁132Bが設けられた流入管130Bの下流に設置されており、市水流入弁132Bが開けられることにより、導入管102の水が受水槽110Bへと流入する。
【0056】
受水槽110A,110Bと給水装置10の吸込口とは、導入管116A,116Bによって接続されている。導入管116A,116Bのそれぞれには、手動で開閉可能な仕切弁118A,118Bが設けられている。仕切弁118Aが開けられることによって受水槽110Aと給水装置10とが連通し、仕切弁118Bが開けられることによって受水槽110Bと給水装置10とが連通して、受水槽110A,110Bの一方または両方に貯められた水が給水装置10に導入される。
【0057】
また、受水槽110A,110Bは、止水弁114が設けられた連通管112によって互いに接続されている。止水弁114は例えば仕切弁で構成され、受水槽110A,110Bの水位は、止水弁114が開かれているときには受水槽110A,110Bの水位は同じ水位となり、止水弁114が閉じられているときには互いに独立した水位となる。
【0058】
受水槽110A,110Bのそれぞれには、受水槽110A内の水位を検知する水位計である第1水位計、受水槽110B内の水位を検知する水位計である第2水位計が設けられている。具体的には、受水槽110A,110B内の水位を検知する水位計である電極式レベルスイッチ120A(第1水位計),電極式レベルスイッチ120B(第2水位計)が設けられている。受水槽110A,110B内の水位の状態は、ポンプ20を強制的に停止させる所定の水位以下が渇水状態であり、水が溢れる虞がある所定の水位以上が満水状態である。給水装置10のI/O部47は、電極式レベルスイッチ120A,120Bによる検出信号を入力する。電極式レベルスイッチ120A,120Bのそれぞれは、受水槽110A,110B内に配置される複数の電極棒121~125を備えている。複数の電極棒121~125は、水位検知器であって、コモン電極棒121、及び、低い水位を検出できる順に、渇水の検出のための電極棒122、市水流入弁132A,132Bを開放する開水位の検出のための電極棒123、市水流入弁132A,132Bを閉止する閉水位の検出のための電極棒124、満水の検出のための電極棒125となっている。なお、電極式レベルスイッチ120A,120Bは、5本の電極棒121~125を有するものに限られず、3本、4本、または6本以上の電極棒を有してもよい。その場合でも、最も低い水位を検出できる電極棒にて渇水を検出し、最も高い水位を検出できる電極棒にて満水を検出するとよい。また、市水流入弁132A,132Bを開放するための水位は、市水流入弁132A,132Bを閉止するための水位よりも低い水位とするとよい。
【0059】
ここで、電極式レベルスイッチ120A(第1水位計),電極式レベルスイッチ120B(第2水位計)においては、各電極棒121~125と最も長いコモン電極棒121との間の抵抗値の変化を検出することにより、水位が各電極棒電極棒122~125の下端よりも高い位置にあることを検出するようになっている。すなわち、電極式レベルスイッチ120A(第1水位計),電極式レベルスイッチ120B(第2水位計)の水位が各電極棒122~125の下端よりも高くなって電極棒122~125とコモン電極棒121の間が水により導通されたときに各水位の検出信号を後述するI/O部47へ出力する。
【0060】
受水槽110A,110Bのそれぞれには、電極式レベルスイッチ120A,120Bに代えて、もしくは加えて、受水槽110A,110B内の水位を検知する水位計であるフロートスイッチ140A,140Bが設けられていてもよい。フロートスイッチ140A,140Bによる検出信号は給水装置10の制御部40に送信される。なお、フロートスイッチ140A,140Bは、渇水の水位、市水流入弁132A,132Bの開水位、市水流入弁の閉水位、満水の水位を検出するために複数設けられてもよい。
【0061】
なお、市水流入弁132A,132Bの開閉は制御部40を介さずに行ってもよい。具体的は上述した水位計に市水流入弁132A,132Bに接続されるリレー接点等の出力部を設け、該出力部からの信号によって市水流入弁132A,132Bの開閉を制御する
。各水位計は、市水流入弁132A,132Bの開水位以下の検出により該当する市水流入弁132A,132Bを開とする信号をONし、市水流入弁の閉水位以上の検出にて該当する市水流入弁の開とする信号をOFFしてもよい。
【0062】
次に、本実施形態の給水装置10について説明する。給水装置10は、ポンプ20と、このポンプ20を駆動する駆動部としてのモータ21と、モータ21を可変速駆動する周波数変換器としてのインバータ22と、を備えている。また、給水装置10は、ポンプ20の吐出し側(下流側)に、逆止弁23と、フロースイッチ24と、圧力センサ26と、圧力タンク28と、を備える。
【0063】
図1に示す例では、ポンプ20、モータ21、逆止弁23、および、フロースイッチ24が2組設けられ、これらは並列に設けられている。なお、1組、または3組以上のポンプ20、モータ21、逆止弁23、およびフロースイッチ24が設けられてもよい。複数台のポンプ20を設けることにより、一部のポンプ20が運転不可となった場合には、運転可能な他のポンプ20にて給水を継続し極力断水を避けるようになっている。
【0064】
逆止弁23は、ポンプ20の吐出口に接続された吐出管32に設けられており、ポンプ20が停止したときの水の逆流を防止する。逆止弁23の下流側には、フロースイッチ24が設けられている。フロースイッチ24は、吐出管32を流れる水の流量が所定の値にまで低下したこと、すなわち過少水量(小水量)を検出する流量検出器である。吐出管32におけるフロースイッチ24のさらに下流側には、圧力センサ26、及び、圧力タンク28が設けられている。圧力センサ26は、ポンプ20の吐出し圧力(以降、吐出し圧力とは、圧力センサ26にて測定した圧力値を示す。)を測定するための圧力測定器である。圧力タンク28は、ポンプ20が停止している間の吐出し圧力を保持するための圧力保持器である。
【0065】
給水装置10は、ポンプ20を制御して給水動作を制御する制御部40を備えている。図1Aに示すように、制御部40は、記憶部41と、演算部42と、I/O部47と、運転パネル44と、通信部48と、を備えている。
【0066】
記憶部41としては、ROM、HDD、EEPROM、FeRAM、及び、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、RAM等の揮発性メモリが使用される。記憶部41は、給水装置10を制御するための制御プログラムと、装置情報、設定値情報、メンテナンス情報、履歴情報、異常情報、運転情報等の給水装置10に関する各種データを記憶する。なお、これらは、記憶部41が不揮発性記憶領域を有する場合には、その不揮発性記憶領域に記憶されてもよい。
【0067】
なお、本実施形態では、設定変更可能な装置情報または設定値情報として、受水槽が一槽式または二槽式であるか、受水槽選択、電極式レベルスイッチ120A,120Bにおける電極棒の本数、さらには各電極に入力される水位信号並びに現在選択されている受水槽110Aおよび/または110Bが記憶される。
【0068】
演算部42としては、CPUが使用される。演算部42は、記憶部41に格納されている制御プログラム及び各種データ、並びにI/O部47から入力される信号に基づいて、給水装置10を構成する各機器を制御するための演算等を行う。また、演算部42は、通信部48及びI/O部47等における通信制御、並びに、運転パネル44における表示および操作の制御を行う。演算部42における演算結果は、記憶部41に記憶されるとともに、I/O部47、通信部48に出力される。
【0069】
I/O部47としては、ポート等が使用される。I/O部47は、圧力センサ26、フ
ロースイッチ24、受水槽110A,110Bに設けられている電極式レベルスイッチ120A,120B、フロートスイッチ140A,140B、等の各種センサ類の検出信号等を受け入れて演算部42に送る。また、I/O部47は、受水槽110A,110Bへの導入管102に設けられた市水流入弁132A,132Bへ演算部42からの指令信号を送る。また、I/O部47は、インバータ22と互いに接続されている。I/O部47とインバータ22とは、RS422,232C,485等の通信手段により互いに接続されるとよい。
【0070】
運転パネル44は、記憶部41に記憶される各種データを、演算部42を介して表示ならびに変更することができるGUIである。具体的には、運転パネル44は、装置情報、設定値情報、メンテナンス情報の表示および設定変更、メンテナンス情報、履歴情報の表示、入力、履歴のクリア、異常情報の表示およびリセット、並びに、運転情報の表示等を行う。なお、制御部40と運転パネル44は別々の基板としてもよい。この場合、制御部40と運転パネル44とは、シリアル通信もしくは信号線等の有線、または無線にて接続されるとよい。制御部40と運転パネル44とを別々の基板とした場合は、運転パネル44を給水装置10から離れた場所(例えば、管理人室等)に設置してもよい。また、運転パネル44は、CPUを備えて該CPUにて表示操作の制御をしたり、制御部40および外部端末80との通信制御を行ったりしてもよい。
【0071】
運転パネル44の設定部45は、制御部40の情報入力部であって、ユーザの外部操作により給水装置10における自動給水の運転/停止、受水槽110A,110Bの選択、警報リセット、及び、各種データの設定変更等の各種入力操作を行うために使用される。設定部45は、不図示の操作ボタンまたはタッチパネル等を備えるとよい。ここで、本実施形態では、設定部45を通じた入力と、通信部48を通じた入力とを、外部入力という。設定部45を通じて外部操作によって入力された情報は、記憶部41に記憶される。例えば、設定部45は、給水装置10の給水方式、設定圧力PA、最低圧力PB、始動圧力P0、停止圧力P1を設定値情報として設定変更することができる。
【0072】
運転パネル44の表示部46は、ユーザインターフェースとして機能し、記憶部41に格納されている各種データを表示できるように構成されている。給水装置10は、機械室またはポンプ室などの電気的なノイズの多い環境に設置されることがある。こうした場合に備えて、表示部46として、液晶表示およびタッチパネルよりも電気的ノイズに強い7セグメントLEDまたは表示灯、並びに、機械的な押圧ボタンなどにて構成された表示器が使用されてもよい。これにより、電気的なノイズ等によって外部端末80の表示操作部80Aに異常が発生するような外部環境においても、給水装置10の運転に必要な最低限度の表示を表示部46に表示することができる。したがって、給水装置10を電気的ノイズの多い環境下にも設置することができる。ただし、表示部46としては、電気的ノイズに強い表示器に限定されず、ドットマトリクス方式による液晶表示器などが使用されてもよい。
【0073】
図1Bは、本実施形態の運転パネル44の一例を示す図である。本実施形態の運転パネル44は、図示するように、操作ボタンとしての水槽選択ボタン441、および、複数のLED(L1~L4)を有するとよい。水槽選択ボタン441は例えばタクトスイッチであって操作者が押下することで、受水槽選択として「No.1」、「No.2」または「共用」の何れかを選択できる。給水装置10は、受水槽選択が「No.1」であれば、受水槽110Aを用いて給水を行い、受水槽選択が「No.2」であれば、受水槽110Bを用いて給水を行い、受水槽選択が「共用」であれば、受水槽110Aと受水槽110Bの両方を用いて給水を行う。水槽選択ボタン441による受水槽選択の状態は、L3,L4の一方または両方の点灯によって示される。つまり、「No.1」が選択されているときにはL3のみが点灯し、「No.2」が選択されているときにはL4のみが点灯し、「
共用」が選択されているときにはL3、L4の両方が点灯する。また、水位警報が、L1、もしくは、L2の点灯または点滅によって示されるとよい。具体的には、受水槽選択として選択された受水槽の水位が満水状態となっているときに満水警報であるとしてL1が点灯する。また、選択された受水槽水位が減水状態となっているときに減水警報としてL2が点滅し、選択された受水槽水位が渇水状態となっているときにL2が渇水警報として点灯する。なお、受水槽選択は、水槽選択ボタン441によって変更されるものに代えて、または加えて、通信部48またはI/O部47への外部入力によって変更されるものとしてもよい。
【0074】
給水装置10のユーザが受水槽選択にて「共用」を選択し、連通管112の止水弁114を開くと、給水装置10は受水槽110A,110Bに貯水された水を搬送する。このときには、仕切弁118A,118Bの両方が開けられることが好ましいが、一方だけが開けられるものとしてもよい。給水装置10のユーザが受水槽選択にて「No.1」または「No.2」を選択し、連通管112の止水弁114を閉じると、受水槽110A,110Bは互いに独立した受水槽を構成する。給水装置10のユーザが受水槽選択にて「No.1」を選択し、止水弁114を閉じ、仕切弁118Aを開状態、仕切弁118Bを閉状態とするにより、受水槽110Aを用いて給水装置10による給水を継続しながら、受水槽110Bの水を抜いて清掃する等のメンテナンスすることができる。また、受水槽選択にて「No.2」を選択し、止水弁114を閉じた状態で、仕切弁118Bを開け、仕切弁118Aを閉じることにより、受水槽110Bを用いて給水装置10による給水を継続しながら、受水槽110Aの清掃等のメンテナンスすることができる。
【0075】
通信部48は、有線通信または無線通信によって外部端末80と通信可能なように構成されている。具体的には、記憶部41に記憶された給水装置10に関する各種情報を外部端末80へ送信するとともに、制御部40の情報入力部として外部端末80からの設定値情報の設定変更を受信し、演算部42に送る。なお、上記したように、本実施形態では、外部端末80から通信部48への信号の送信は、給水装置10における「外部入力」に含まれる。通信部48における無線通信としては、例えば近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)の技術を利用することができる。また、Bluetooth(登録商標)およびWi-Fiなど、任意の方式の無線通信を利用することができる。ただし、NFCは、制御部40と外部端末80とを近づけるだけで通信を完了させることができる点で有利である。また、有線通信としては、例えば制御部40にUSB(Universal Serial Bus)のような外部接続端子が設けられ、ここに外部端末80が接続されることによって通信がなされてもよいし、RS422,232C,485等のシリアル通信を用いてもよい。
【0076】
外部端末80は、表示操作部80Aを有し、給水装置10の通信部48と通信して給水装置10に関する各種データを表示・変更可能なように構成されている。具体的には、外部端末80は、記憶部41に記憶された各種データを給水装置10の通信部48から受信し表示操作部80Aに表示する。また、外部端末80は、ユーザが表示操作部80Aを操作して入力した各種データの変更要求を給水装置10の通信部48へ送信する。表示操作部80Aは、タッチ入力方式または押圧ボタン方式を用いた液晶画面での高機能表示器を採用することができる。この場合、給水装置10の表示部46には簡易な情報を表示させ、外部端末80には大きな情報量の情報を表示させてもよい。こうした構成により、外部端末80は、記憶部41に記憶された各種データのうち複数の情報(例えば、設定圧力PA、最低圧力PB、始動圧力P0、停止圧力P1、目標圧SV、現在圧PV、ポンプ20の運転・停止、回転速度など)を、表示操作部80Aの同一画面上に表示することができる。これにより、給水装置10に不慣れなユーザも誤解することなく、給水装置10の状態を認識したり、設定入力を行うことができる。
【0077】
さらに、外部端末80として、スマートフォン、携帯電話、パソコン、又は、タブレットなどの汎用端末機器(PDA)を採用した場合には、これらのPDAに、外部端末80として作用するための専用のアプリケーションソフトウエアをインストールさせてもよい。この場合には、専用のアプリケーションソフトウエアをユーザのレベル又は目的に沿って複数用意してもよい。
【0078】
なお、上述した運転パネル44の機能は、外部端末80にて全て実施可能としてもよい。こうすれば、給水装置10が操作しにくい場所(例えば、運転パネル44が操作者の足元あたり)に設置されていても給水装置10の状態確認や設定値情報の変更等の操作が容易となる。
【0079】
次に、制御部40による給水装置10の給水制御の一例について説明する。渇水状態が発生しておらず、且つ、ポンプ20が停止している状態で吐出し圧力が所定の始動圧力P0にまで低下すると、制御部40はポンプ20の少なくとも一方を始動させる。具体的には、制御部40はポンプ20の駆動を開始するようにモータ21(インバータを備える場合にはインバータ)に指令を出す。ポンプ20の運転中は、設定された圧力(設定圧力PA)により推定末端圧力一定制御または目標圧力一定制御などの制御が行われる。具体的には推定末端圧力一定制御の場合は、水供給先の末端の圧力が最低圧力PBにて一定となるように、制御部40は、ポンプ20の回転数と目標圧力制御カーブとを用いてポンプ20の吐出し圧力に対する目標圧SVを設定する。目標圧力一定制御の場合は、制御部40は、ポンプ20の吐出し側の圧力が設定圧力PAとなるように、設定圧力PAを目標圧SVと設定する。また、推定末端圧力一定制御と目標圧力一定制御とのいずれの場合にも、制御部40は、吐出し圧力を現在圧PVと設定する。そして、目標圧SVと現在圧PVの偏差にてPID演算が行われることにより、ポンプ20の指令回転速度が設定される。なお、推定末端圧一定制御において、設定圧力PAは最大流量時の圧力値であり、最低圧力PBは、末端の給水栓における流量ゼロ時の圧力値である。また、制御部40は、本実施形態のようにポンプが複数台ある場合は、同時に起動可能なポンプ台数(ポンプ並列運転台数)にて水量に応じたポンプの台数制御も行う。なお、ポンプ並列運転台数は設定値情報として記憶部41に記憶されるとよい。
【0080】
ポンプ20の運転中に建物での水の使用が少なくなると、ポンプ20からの吐出し流量が過少水量Qmin未満に至ったことをフロースイッチ24が検出し、検出信号がI/O部47を介して制御部40に送られる。制御部40は、この検出信号を受けると、所定時間で吐出し圧力が停止圧力P1に達するようにポンプ20の回転数を制御する蓄圧運転を行う。そして、吐出し圧力が所定の停止圧力P1に達すると、圧力タンク28に蓄圧したと判断して蓄圧運転を終了し、ポンプ20を停止(小水量停止)させる。ポンプ20が小水量停止した後に、再び建物内で水が使用されて吐出し圧力が始動圧力P0以下まで低下すると、ポンプ20の小停再始動が行われる。なお、本実施形態のようにポンプが複数台ある場合には、始動するポンプ20をローテーションさせ、ポンプ20内に水が滞留するのを防ぐことが好ましい。また、小水量を検知する方法としては、フロースイッチ24を用いずに、モータ21の電流値による低負荷や締切揚程等その他の手段を用いてもよい。
【0081】
本実施形態では、電極式レベルスイッチ120A,120Bのそれぞれの信号が制御部40に入力されているが、制御部40は、電極式レベルスイッチ120Aと電極式レベルスイッチ120Bとの2つの入力信号うち、どちらか一方のみの信号に基づいて受水槽110A,110Bの水位を判定し、判定した水位に基づいて受水槽制御を実行する。受水槽制御には、市水流入弁132A,132Bの開閉制御、渇水状態によるポンプ20の強制停止、運転パネル44や外部端末80等への水位警報の表示、及び市水流入弁132A,132Bの開閉信号や水位警報等の外部出力等の少なくともひとつが含まれる。図2は、制御部40により実行される受水槽110A,110Bの水位判定処理の一例を示すフ
ローチャートである。この水位判定処理は、給水装置10が起動されているときに所定時間毎(例えば、数秒毎、または、数分毎)に繰り返し実行される。
【0082】
水位判定処理が実行されると、制御部40は、まず、現在選択されている受水槽(受水槽選択)を判定する(S110)。ここで、外部入力によって選択された受水槽は記憶部41の所定領域に記憶され、S110の判定は、記憶部41の所定領域を参照することにより行われるものとすればよい。
【0083】
受水槽選択が「No.1」又は「No.2」であるときには(S110:第1or第2受水槽)、制御部40は、選択された受水槽の水位計を制御用センサに設定する(S120)。つまり、制御部40は、受水槽選択にて「No.1」が選択されている場合は第1水位計(電極式レベルスイッチ120Aおよび/またはフロートスイッチ140A)を制御用センサに設定し、「No.2」が選択されている場合は第2水位計(電極式レベルスイッチ120Bおよび/またはフロートスイッチ140B)を制御用センサに設定する。制御用センサにて検知する水位を用いて受水槽制御を実行する。制御部40は、制御用センサを設定したときには、記憶部41に設定した制御用センサを記憶する。また、制御部40は、記憶部41に記憶された制御用センサを、操作者による設定部45の操作などに応じて表示部46に表示するものとしてもよい。さらに、制御部40は、外部端末80からの要求信号等に応じて現在設定されている制御用センサを通信により外部端末80へ知らせるものとしてもよい。
【0084】
そして、制御部40は、設定した制御用センサの検出値を用いて受水槽の水位を判定して(S160)、水位判定処理を終了する。いまは、受水槽選択として「No.1」または「No.2」が選択されており、このときには止水弁114が閉じられて受水槽110A,受水槽110Bが独立している状態である。このため、制御部40は、使用される受水槽110A,110Bの電極式レベルスイッチ120A,120Bもしくはフロートスイッチ140A,140Bを用いて受水槽110Aまたは受水槽110Bの水位を判定するとよい。
【0085】
一方、受水槽選択が、「共用」であるときには(S110:共用)、制御部40は、続けて第1水位計に異常がないか否かを判定する(S130)。
【0086】
ここで、第1水位計並びに第2水位計の異常の検出条件の一例として、市水流入弁132Aを開く水位であることが検出されると同時に市水流入弁132Aを閉じる水位であることが検出される、又は、渇水状態と満水状態などの渇水水位以上の水位状態が同時に検出される、など、電極式レベルスイッチ120Aにて検出される水位に矛盾が生じている場合には、第1水位計に異常が生じていると判定され、第2水位計も同様に、電極式レベルスイッチ120Bにて検出される水位に矛盾が生じている場合には、第2水位計に異常が生じていると判定される。
【0087】
また、第1水位計並びに第2水位計の異常の検出の条件におけるその他の例としては、受水槽選択にて「共用」が選択された状態で、第1水位計と第2水位計にて検出される水位に矛盾が生じている場合に、第1水位計、第2水位計の異常とする。具体的には、制御部40は、第1水位計の異常の検出条件として、市水流入弁132A,132Bの少なくとも一方が開かれているときに、開水位の検出の電極棒123まで水が達しないもしくは閉水位の検出の電極棒124まで水が達しない、など第1水位計によって水位の上昇が検出されないとき、または、市水流入弁132A,132Bが共に閉じられているときにポンプ20が運転したにも関わらず、第1水位計によって閉水位以下の水位が検出できないもしくは開水位以下の水位にならない等の水位の下降が検出されないときは、第1水位計の異常を検出するとよい。また、制御部40は、第2水位計の異常の検出条件として、市
水流入弁132A,132Bの少なくとも一方が開かれているときに、第2水位計によって水位の上昇が検出されないとき、また、市水流入弁132A,132Bが共に閉じられているときにポンプ20が運転したにも関わらず、第2水位計によって水位の下降が検出されないとき、として、第2水位計の異常を検出するとよい。これらは、市水流入弁132A,132Bの少なくとも一方が開かれて水道本管から水が受水槽110A,110Bに流入し、受水槽110A,110Bの両方の水位がほぼ同じタイミングで上昇することに基づく。また、市水流入弁132A,132Bが閉じられた状態でポンプ20が運転して給水装置10へ水が移送されると、受水槽110A,110Bの両方の水位がほぼ同じタイミングで下降することに基づく。第1水位計と第2水位計の値を比較して異常を検知することで、誤検知を防止することができる。
【0088】
そして、制御部40は、第1水位計に異常がないと判定したときには(S130:Yes)、第1水位計を制御用センサに設定する(S140)。一方、制御部40は、第1水位計に異常があると判定したときには(S130:No)、第1水位計に代えて第2水位計を制御用センサに設定する(S150)。そして、制御部40は、制御用センサを設定したら、設定した制御用センサの電極棒121~125の信号にて水位信号を判定して(S160)、水位判定処理を終了する。
【0089】
いまは、受水槽選択にて「共用」が選択されており、このときには止水弁114が開かれて受水槽110A,110Bは連通しているため、第1水位計と第2水位計の検出対象である受水槽110Aと受水槽110Bの水位は等しい。しかしながら、例えば、電極式レベルスイッチ120A,120Bを用いた場合には、受水槽110A,110Bの設置現場にて各電極棒121~125の長さが調節されて設置されたり、水面の波打ち等によって、止水弁114が開いていても電極式レベルスイッチ120A,120Bのそれぞれによって検知される信号は同一とならない場合がある。このように第1水位計と第2水位計の検出値の誤差が発生するため、本実施形態では、第1水位計に異常が生じていない時には、制御部40は、第1水位計を制御用センサに設定して、受水槽110A,110Bの水位を判定することで、水位計によって異なる検出信号がなされる場合であっても、制御部40による受水槽制御に不具合が生じることを防止できる。
【0090】
また、受水槽選択にて「共用」が選択されているときに、第1水位計に異常があるときには、制御部40は、第2水位計を制御用センサに設定して水位を判定することで、第1水位計に異常が生じて正しい水位が検出されないときにも、第2水位計の信号を用いて給水装置10による給水を継続できる。
【0091】
なお、本実施形態の給水装置10によれば、第2水位計は、第1受水槽110Aのメンテナンスなどのために受水槽選択で「No.2」が選択され受水槽110Bだけが使用される場合、または、受水槽選択で「共用」が選択され且つ第1水位計に異常が発生した場合にのみ制御用センサとして使用される。よって、第2水位計は第1水位計に比べて使用される頻度が少ない。このため、受水槽110Bの水位を検知するための水位計として、受水槽110Aの水位計よりも安価な水位計を採用してもよい。例えば、電極式レベルスイッチ120Aが有する電極棒の数が、電極式レベルスイッチ120Bが有する電極棒の数よりも多くてもよい。その場合、受水槽ごとの水位計の種別や検出可能な水位等を設定できるとよい。
【0092】
制御部40は、制御用センサが検出した水位に基づいて受水槽制御を実施する。ここで、受水槽制御のうち、市水流入弁132A,132Bの制御としては、制御用センサに対応する市水流入弁132A,132Bの開閉信号が制御部40から出力されればよい。ただし、受水槽選択が「共用」である場合には、予め定めた市水流入弁132A,132Bが制御されてもよく、時間ごとに異なる市水流入弁132A,132Bが制御されたり、
市水流入弁132A,132Bの両方が制御されてもよい。具体的な市水流入弁132A,132Bの開閉の一例として、制御部40は、制御用センサが検出した水位が弁開水位より低くなったとき(例えば、電極棒123が水面より露出した状態)には市水流入弁132A,132Bの少なくとも一方を開き、更に、制御部40は、制御用センサが検出した水位が弁閉水位以上に高くなったとき(例えば、電極棒124の一部が水没した状態)には市水流入弁132A,132Bを閉じる。さらに、具体的な受水槽制御の一例として、制御用センサが検出した水位が渇水水位よりも低くなったとき(例えば、電極棒122が水面より露出した状態)にはポンプ20を強制停止する。また、制御部40は、受水槽制御として、制御用センサが検出した水位が渇水水位よりも低くなったときには渇水状態として渇水警報を発報し、制御用センサが検出した水位が満水水位以上に高くなったとき(例えば、電極棒125の一部が水没した状態)には満水状態として満水警報を発報する。なお、渇水警報および満水警報は、運転パネル44の制御としてブザーまたは表示部46のL1、L2等への表示によって報知してもよいし、通信部48から外部への信号の送信によって報知してもよい。
【0093】
なお、上記した実施形態では、図2の水位判定処理が制御部40によって所定時間ごとに繰り返し実行されるものとしたが、こうした例には限定されない。例えば外部入力によって受水槽110A,110Bの選択が変更された場合、もしくは、電極式レベルスイッチ120A,120Bの少なくとも一方に異常が生じた場合、または、異常が解消した場合に、制御部40が制御用センサを設定するものとしてもよい。そして、制御部40は、設定された制御用センサを用いて受水槽110A,110Bの水位を判定してもよい。
【0094】
上記した実施形態では、受水槽選択にて「共用」が選択されているときには、第1水位計の異常の有無に基づいて設定された制御用センサを用いて受水槽110A,110Bの水位を判定するものとした。しかし、上記した実施形態において第1水位計に異常が生じたため、又は異常が解消したために制御用センサを変更するときには、一定の条件が満たされることを確認して制御用センサを変更してもよい。図3は、制御部40により実行されるセンサ変更判定処理の一例を示すフローチャートである。このセンサ変更判定処理は、受水槽選択にて「共用」が選択されているときに、図2の水位判定処理によって制御用センサが変更されるときに実行される。つまり、第1水位計に異常が生じたとき、または、第1水位計の異常が解消したときに実行されるとよい。
【0095】
センサ変更判定処理が実行されると、制御部40は、まず、制御用センサとして変更後に使用する予定の水位計(変更センサ)に異常がないか否かを判定する(S210)。つまり、第1水位計に異常が生じたため、図2の水位判定処理において制御用センサが第1水位計から第2水位計に変更されたときには、S210の処理として第2水位計に異常がないか否かが判定される。このS210の処理としては、図2の水位判定処理における第1水位計の異常の有無の判定と同様に、任意の手法が採用されればよい。なお、第1水位計の異常が解消されたことにより図2の水位判定処理において制御用センサが第2水位計から第1水位計に変更される場合、S210の処理では、変更センサとして第1水位計の異常の有無が判定される。ただし、いまは、第1水位計の異常が解消されたときを考えており、この場合にはS210の処理が省略されてもよい。そして、制御部40は、変更センサに異常があるときには(S210:No)、制御用センサの変更を保留して(S250)、センサ変更判定処理を終了する。こうした制御により、異常が生じている水位計へ制御用センサが変更されることを防止することができ、制御部40による制御に不具合が生じることを防止できる。
【0096】
変更センサに異常がないときには(S210:Yes)、制御部40は、続けて変更センサによって検出されている水位が渇水状態を示していないか否かを判定する(S220)。そして、制御部40は、変更センサによって検出されている水位が渇水状態を示して
いるときには(S220:No)、制御用センサの変更を保留して(S250)、センサ変更判定処理を終了する。これは、変更後に使用する水位計によって受水槽110A,110Bが渇水状態であると判定されると、制御部40によってポンプ20が緊急停止されることに基づく。また、変更後に使用する水位計に、渇水水位を検出する電極棒122が落下するなど渇水以上の水位検知ができない不具合が発生している場合は、渇水状態となる。こうした制御により、制御に用いる水位計の変更後にポンプ20が強制停止されてしまうことを防止できる。
【0097】
変更センサによって検出されている水位が渇水状態を示していないときには(S220:Yes)、制御部40は、止水弁114が開いていると判断されるか否かを判定する(S230)。ここで、S230の処理は、いまは受水槽選択にて「共用」が選択されているときを考えているが、止水弁114の不具合、または、止水弁114の開け忘れ等によって、止水弁114が閉じていないかを判定するものである。一例として、制御部40は、市水流入弁132A,132Bの少なくとも一方が開かれているときに、変更センサによって水位の上昇が検出されないときに、止水弁114が閉じていると判定する。また、制御部40は、市水流入弁132A,132Bが共に閉じられているときにポンプ20が運転したにも関わらず、変更センサによって水位の下降が検出されないときに、止水弁114が閉じていると判定する。これらは、通常、止水弁114が開いていれば、市水流入弁132A,132Bの少なくとも一方が開かれて水道本管から水が受水槽110A,110Bに流入すると、受水槽110A,110Bの両方の水位がほぼ同じタイミングで上昇することに基づく。また、止水弁114が開いていれば、市水流入弁132A,132Bが閉じられた状態でポンプ20が運転して給水装置10へ水が移送されると、受水槽110A,110Bの両方の水位がほぼ同じタイミングで下降することに基づく。そして、制御部40は、止水弁114が開いていないと判断したときには(S230:No)、制御用センサの変更を保留して(S250)、センサ変更判定処理を終了する。こうした制御により、受水槽選択にて「共用」が選択されているにもかかわらず止水弁114が閉じられている場合に、制御用センサが変更されることを防止することができ、制御部40による受水槽制御に不具合が生じることを防止できる。
【0098】
そして、制御部40は、変更センサに異常がなく(S210:Yes)、変更センサによって検出されている水位が渇水状態を示しておらず(S220:Yes)、止水弁114が開いているときには(S230:Yes)、制御用センサを変更して(S240)、センサ変更判定処理を終了する。
【0099】
つまり、異常により変更された第1水位計を受水槽制御に用いる水位計として復帰させるための復帰条件には、第1受水槽の水位が渇水状態の水位より高いこと(S220:Yes)が含まれ、異常により変更された第2水位計を受水槽制御に用いる水位計として復帰させるための復帰条件には、前記第2受水槽の水位が渇水状態の水位より高いこと(S220:Yes)が含まれる。これにより、異常により変更された水位計を再び受水槽制御に用いる水位計として復帰させたときにポンプ20が渇水状態で停止することを防止できる。
【0100】
なお、S250において制御用センサの変更を保留したときには、ブザー、表示部46への表示、又は、通信部48から外部への信号の送信によって、保留したことを報知するとよい。また、制御用センサの変更を保留したときには、所定時間後(例えば数分後など)に再度センサ変更判定処理を実行するものとしてもよい。
【0101】
また、制御部40は、受水槽選択にて「共用」を選択しているときには、受水槽110Aの水位と受水槽110Bとの水位とに所定量以上の差があると判断したときに、止水弁114が閉じられていると判定してもよい。一例として、制御部40は、電極式レベルス
イッチ120Aによる検出と電極式レベルスイッチ120Bによる検出とで、複数の電極棒のうちの2本分以上の差が生じているときに、止水弁114が閉じられていると判定してもよい。そして、制御部40は、受水槽選択にて「共用」が選択されているにもかかわらず止水弁114が閉じられていると判定したときには、ブザー、表示部46への表示、又は、通信部48から外部への信号の送信によって、警報を発報し報知するとよい。
【0102】
決定した制御用センサを用いた受水槽110A,110B内の水位とポンプ20の動作について説明する。まず、給水装置10を設置したとき等で、受水槽選択で選択された受水槽内に水がない場合の水位は制御用センサの電極棒122以下の水位であり、渇水状態となってポンプ20は停止の状態である。このような渇水状態の場合、電極棒123以下の水位でもあるので、市水流入弁132A,132Bの少なくとも一方を開放して受水槽110A,110B内に水道本管から水を流入し、水位を上昇させる。ここで、渇水状態は渇水水位以下で検出し、その後、渇水水位よりも高く満水水位よりも低い任意の水位以上に水位が上昇したことで解除されるとよい。ここでは、渇水状態を解除する水位として電極棒123を用い、電極棒123の少なくとも一部が水に没すると渇水状態を解除してポンプ20の強制停止を解除する。更に水位が上昇して、制御用センサの電極棒124の少なくとも一部が水に没し、閉水位以上に水位が上昇すると、制御部40は、市水流入弁132A,132Bの両方を閉止状態とし、受水槽110A,110B内への水の流入を止める。渇水状態が解除されている状態で、ポンプ20の吐出し圧が低下すると、ポンプ20が始動して、受水槽110A,110B内の水が供給先へ搬送される。ポンプ20の始動によって、制御用センサの電極棒123以下の水位まで下降すると、制御部40は、市水流入弁132A,132Bの少なくとも一方を開放し、受水槽110A,110B内に水が流入する。
【0103】
上記した実施形態では、電極式レベルスイッチ120A,120Bのそれぞれからの信号が制御部40に入力され、制御部40は、電極式レベルスイッチ120A,120Bの一方を制御用センサに設定して受水槽制御を行うものとした。しかし、こうした例に限定されず、図4に示すように、電極式レベルスイッチ120A,120Bが切替スイッチ150を介して制御部40に接続され、切替スイッチ150によって選択された一方だけの信号が制御部40に入力されるものとしてもよい。具体的には、制御部40は、選択した制御用センサのみがI/O部47に接続されるように、切替スイッチ150へ信号を出力する。一例として、切替スイッチ150は、I/O部47に接続され、制御部40からの信号に応じて、I/O部47に接続される水位計を切り替える。また、市水流入弁132A,132Bについても、切替スイッチ160を介して制御部40に接続され、切替スイッチ160によって選択された一方に対して制御部40から開閉信号が送信されるものとしてもよい。一例として、切替スイッチ160は、I/O部47に接続され、制御部40からの指令に応じて、I/O部47に接続される市水流入弁を切り替える。なお、切替スイッチ150,160の切替は、互いに連動するようになっていてもよい。こうした構成では、電極式レベルスイッチ120A,120Bが接続されるI/O部の入力ポート、及び、市水流入弁132A,132Bが接続されるI/O部の出力ポートが共用されるため、制御部40のポートの数が少ない場合に特に有効である。
【0104】
上述した実施形態では、受水槽選択にて「共用」を選択しているときには、常に受水槽110Aの水位および受水槽110Bの水位のどちらか一方を選択して受水槽制御を行った。しかしながら、第1水位計と第2水位計の両方に水位計の異常が発生していない場合には、第1水位計と第2水位計の両方の検出値を用いて受水槽制御を行ってもよい。具体的には、第1水位計と第2水位計の両方の検出値を平均することで図2における制御用センサの値とするとよい。この場合も、どちらか一方の水位計に水位計の異常が発生したら、他方の水位計の信号のみで受水槽制御を行うとよい。また、第1水位計と第2水位計には、アナログ式の水位計(例えば投げ込み式水位センサ)を用いてもよい。
【0105】
止水弁114が設けられた連通管112によって連通する受水槽110Aおよび受水槽110Bに貯められた水をポンプ20にて加圧して供給する給水装置10であって、受水槽110Aの水位を検知する第1水位計の水位信号および受水槽110Bの水位を検知する第2水位計の水位信号の少なくとも一方の水位信号に基づいて受水槽制御を行う制御部40を備え、制御部40は、第1水位計または第2水位計のどちらか一方に水位計の異常が発生した場合に、他方の水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行う。これにより、一方の水位計に水位計の異常が生じたときにも他方の水位計の水位信号に基づいて給水を継続することで、断水を回避することができる。例えば、経年劣化によって、制御用センサの電極棒122の受電部が錆びたり又は水槽内に落下したりすると、制御部40は、渇水状態でポンプ20を強制停止し断水する。しかしながら、実際の受水槽110A,110B内の水位が正常にポンプを起動できる水位であれば、制御部40は、渇水状態とそれ以上の水位を同時に検出するので、水位計の異常を判断できる。更に、異常となった制御用センサを切り替えることで、給水を継続することができる。
【0106】
なお、上述した本実施形態では、水槽選択ボタン441にて受水槽選択として「No.1」、「No.2」または「共用」の何れかを選択したが、これに限らず、水槽選択ボタン441にて「No.1」、「No.2」を選択し、市水流入弁132A、132Bのどちらを用いるかを選択可能な流入弁選択ボタン(不図示)を設けてもよい。流入弁選択ボタンでは、市水流入弁132A、132Bどちらか一方のみを用いる「単独」と、市水流入弁132A、132Bを交互に開閉する「交互」と、市水流入弁132A、132Bの両方を開閉する「並列」と選択可能とし、「交互」もしくは「並列」を選択されている場合に受水槽選択は「共用」となる。また、受水槽選択に依らず、もしくは、受水槽選択を行わない場合でも、制御部40は、第1水位計または第2水位計のどちらか一方に水位計の異常が発生した場合に、他方の水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行うとよい。この場合、第1水位計または第2水位計のどちらか一方に水位計の異常が発生した場合に、他方の水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行うか否かが選択できるとよい。受水槽選択を行わない場合、仕切弁118Bが解放された状態にて受水槽共用モードとする。
【0107】
なお、異常を検出するまで受水槽制御に用いる水位計を常用水位計、当該常用水位計における異常を検出した後に受水槽制御に用いる水位計を予備用水位計と定義すると、上述した実施形態において、常用水位計は第1水位計であり、予備用水位計は第2水位計である。よって、制御部40は、常用水位計である第1水位計で異常を検出するまでは常用水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行い、常用水位計に異常を検出した後は、予備用水位計である第2水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行う。
【0108】
上述したように、給水装置10は、止水弁114が設けられた連通管112によって連通する複数の受水槽110A,110Bが接続されている。そして、給水装置10は、受水槽110Aと受水槽110Bとが連通された状態で給水を行う受水槽共用モードを有する。ここで、当該受水槽共用モードのとき、受水槽110A、110Bは連通しているため、受水槽110A、110Bの何れも市水流入弁132Aが設けられた流入管並びに市水流入弁132Bが設けられた流入管の下流となる。
【0109】
そして、一例として図2に示すように、制御部40は、受水槽共用モード時(ステップS110:Yes)に、制御用センサである第1水位計で異常(ステップS130:No)を検出したら、当該異常を検出した第1水位計と異なる変更センサ(本実施形態では第2水位計)を用いて受水槽制御を行う。つまり、受水槽制御を行う制御用センサを、異常が検出された第1水位計から第2水位計に切り替える。これにより、制御用センサとした水位計に異常が生じたら、他の水位計の水位信号に基づいて給水を継続できる。ここで、ステップS130における異常とは、第1水位計による水位検出が下記(1)~(3)に
記す何れかの状態である。(1)ポンプ20を停止する所定の水位以下である渇水状態。これにより、制御用センサの渇水検知による断水を減らすことができる。(2)検出水位にて、渇水状態(例えば、電極棒122が水面より露出した状態)と満水状態(例えば、電極棒122よりも高い水位を検出する電極棒125の一部が水没した状態)が同時に検出される等、検出される水位において矛盾が生じている状態。これにより、給水装置10は、電極式レベルスイッチの異常を正確に検出できるとともに水位計の信号線の配線ミス等の検知ができる。(3)水位変化の矛盾状態。一例として、ポンプ20の運転中に受水槽110A、110Bの水位の下降が検出されない状態であって、制御部40は、ポンプ20の運転前の水位を記憶部41に記憶し、ポンプ20の運転中に、該記憶したポンプ20の運転前の水位以上の水位が所定時間以上検出される状態である。このように、ポンプ20の運転状態と水位変化の矛盾状態である水位計から他の水位計に切り替えることで、正常な受水槽制御を継続できる。(3)の状態は、特に、市水流入弁132A,132Bが共に閉じられているとき、つまり電極棒124の水面下である水位が検出された状態でポンプ20が運転したにも関わらず、所定の時間が経過しても閉水位以下の水位(電極棒124が水面より露出)が検出できない等の状態が挙げられる。このように、受水槽制御に用いる水位計を、給水設備の状態(ポンプ20の運転状態や市水流入弁132A,132Bの開閉状態など)と矛盾した水位を検出する水位計から他の水位計に切り替えることで、正常な受水槽制御を継続できる。また、この場合、止水弁114が閉じられている等で連通管112が閉塞している場合が想定される。(3)により、連通管112が閉塞していて使用できない受水槽の水位計が、受水槽制御に用いられることを防ぐことができる。
【0110】
更に、制御部40は、常用水位計である第1水位計が(1)~(3)に記す状態の何れかであっても、予備用水位計である第2水位計が(1)~(3)の何れかの状態であれば、図3のステップS250に記すように制御用センサを常用水位計のまま保留する。これにより、異常が生じている水位計へ制御用センサが変更されることを防止し、更に、受水槽制御を行う水位計の変更で発生するインチングを防ぐことができ、給水装置10は安定した受水槽制御を実行できる。
【0111】
また、制御用センサを常用水位計から予備用水位計に切り替えた後に、制御部40は、第1水位計(常用水位計)の(1)~(3)の状態が解消したら、図3のステップS240に記すように第1水位計を制御用センサとする。なお、上述した(1)~(3)は、制御用センサを切り替える異常の一例であって、これに限らない。また、制御部40は、制御用センサの切り替え回数をカウントし、該カウントが所定の時間間隔内で所定の回数を超えたら切り替えを中止してもよい。異常による水位計切り替えの回数を制限することで、水位が不安定な現場等における水位計の切り替えのインチングを防ぐことができ、安定した受水槽制御を実施できる。
【0112】
(変形例)
上記した実施形態における給水設備では、給水装置10は、吸込側に2つの受水槽110A,110Bが接続されるものとした。しかし、給水装置10は、吸込側に3つ以上の受水槽が接続されてもよいし、単一の受水槽が接続されてもよい。
【0113】
図5は、変形例に係る給水設備の一例を示す図である。この変形例の給水設備300は、上述した図1Aの実施形態と同一の構成である給水装置10を備え、給水装置10の上流側に単一の受水槽210が接続されている。受水槽210には、水道本管に連通する導入管202より分岐した流入管230によって、水供給源である水道本管(図示せず)からの水が貯められる。流入管230には、市水流入弁232が設けられている。市水流入弁232は流入管230の流路を遮蔽可能なバルブであって、例えば、電磁弁で構成されており、給水装置10のI/O部47からの出力信号によって制御される。ただし、市水
流入弁232の開閉は制御部40を介さずに行われてもよい。
【0114】
受水槽210には、受水槽210内の水位を検知する水位計として複数の水位計が設けられている。具体的には、それぞれに受水槽210の水位を検知する電極式レベルスイッチ120A(第1水位計),電極式レベルスイッチ120B(第2水位計)の2つの水位計が設けられている。電極式レベルスイッチ120A,120Bのそれぞれの信号は、制御部40に入力される。これらの電極式レベルスイッチ120A,120Bは、実施形態の電極式レベルスイッチ120A,120Bと同一の機能を有するものを使用することができ、一例として、それぞれが5つの電極棒121~125を有する。なお、電極式レベルスイッチ120A,120Bは、3本、4本、または6本以上の電極棒を有してもよく、互いに異なる数の電極棒を有してもよい。また、受水槽210には、第1水位計または第2水位計として、電極式レベルスイッチ120A,120Bに代えて、または加えて、フロートスイッチ(不図示)や投げ込み式の水位計等が設けられてもよい。
【0115】
給水装置10のI/O部47は、電極式レベルスイッチ120A,120Bによる検出信号を入力する。電極式レベルスイッチ120A,120Bのそれぞれは、受水槽110A,110B内に配置される複数の電極棒121~125を備えている。複数の電極棒121~125は、水位検知器であって、コモン電極棒121、及び、低い水位を検出できる順に、渇水の検出のための電極棒122、市水流入弁232を開放する開水位の検出のための電極棒123、市水流入弁232を閉止する閉水位の検出のための電極棒124、満水の検出のための電極棒125となっている。また、市水流入弁232を開放するための水位は、市水流入弁232を閉止するための水位よりも低い水位とするとよい。
【0116】
なお、図1Bでは、水槽選択ボタン441にて受水槽選択として「No.1」、「No.2」または「共用」の何れかを選択したが、表示器44には、水槽選択ボタン441に代えて又は加えて、不図示の水位計選択ボタンを設けてもよい。水位計選択ボタンを押下することで、後述する図6のステップS310における水位計選択を行うとよい。
【0117】
また、給水設備300の給水装置10は、図4に示す給水装置10と同様に、複数の水位計である電極式レベルスイッチ120A,120Bが切替スイッチ150を介して制御部40に接続され、切替スイッチ150によって選択された一方だけの信号が制御部40に入力されるものとしてもよい。
【0118】
こうした変形例の給水装置10は、一例として、第1水位計と第2水位計とによる水位信号のうち、一方のみの信号に基づいて受水槽制御を実行する。図6に、変形例の給水装置10の制御部40における水位計判定処理を示す。また、一例として、常用水位計は第1水位計であり、予備用水位計は第2水位計である。
【0119】
水位計判定処理が実行されると、制御部40は、まず、現在選択されている水位計を判定する(S310)。一例として、例えば、表示器44の水位計選択ボタンの押下等の外部入力によって選択された水位計が記憶部41の所定領域に記憶されるものとし、記憶部41の所定領域を参照することによりS310の判定が行われるものとすればよい。なお、図6に示す例では、外部入力によって、「第1水位計」と「第2水位計」とのうちの一方、または、どちらの水位計も選択されていない「選択無し」の何れかが選択できるものとしている。
【0120】
「第1水位計」または「第2水位計」が選択されているときには(S310:第1or第2水位計)、制御部40は、選択されている水位計を制御用センサに設定する(S320)。つまり、制御部40は、「第1水位計」が選択されている場合は第1水位計(電極式レベルスイッチ120Aおよび/またはフロートスイッチ140A)を制御用センサに設
定し、「第2水位計」が選択されている場合は第2水位計(電極式レベルスイッチ120Bおよび/またはフロートスイッチ140B)を制御用センサに設定する。制御用センサにて検出する水位を用いて受水槽制御を実行する。制御部40は、制御用センサを設定したときには、記憶部41に設定した制御用センサを記憶する。また、制御部40は、記憶部41に記憶された制御用センサを、操作者による設定部45の操作などに応じて表示部46に表示するものとしてもよい。さらに、制御部40は、外部端末80からの要求信号等に応じて現在設定されている制御用センサを通信により外部端末80へ知らせるものとしてもよい。そして、制御部40は、設定した制御用センサの検出値を用いて受水槽210の水位を判定して(S360)、水位計判定処理を終了する。
【0121】
一方、外部入力によって水位計が選択されていない「選択無し」であるときには(S310:選択無し)、制御部40は、水槽選択ボタン441にて受水槽選択として「共用」が選択されたときと同様に、続けて常用水位計(第1水位計)で異常がないか否かを判定する(S330)。
【0122】
ここで、第1水位計および第2水位計の異常の検出条件の一例として、市水流入弁232を開く水位(開水位)であることが検出されると同時に市水流入弁232を閉じる水位(閉水位)であることが検出される、又は、渇水状態と満水状態などの渇水水位以上の水位状態とが同時に検出される、など、電極式レベルスイッチ120Aにて検出される水位に矛盾が生じている場合には、第1水位計に異常が生じていると判定される。第2水位計も同様に、電極式レベルスイッチ120Bにて検出される水位に矛盾が生じている場合には、第2水位計に異常が生じていると判定される。
【0123】
また、第1水位計並びに第2水位計の異常の検出の条件におけるその他の例としては、第1水位計または第2水位計にて検出される水位に矛盾が生じている場合に、第1水位計、第2水位計の異常とする。具体的には、制御部40は、第1水位計、第2水位計の異常の検出条件として、市水流入弁232が開かれているときに、開水位の検出の電極棒123まで水が達しないもしくは閉水位の検出の電極棒124まで水が達しない、など第1水位計、第2水位計によって水位の上昇が検出されないときに、第1水位計、第2水位計の異常を検出するとよい。または、市水流入弁232が閉じられているときにポンプ20が運転したにも関わらず、第1水位計、第2水位計によって閉水位以下の水位が検出できないもしくは開水位以下の水位にならない等の水位の下降が検出されないときに、第1水位計、第2水位計の異常を検出するとよい。第1水位計と第2水位計の値を比較して異常を検知することで、誤検知を防止することができる。
【0124】
さらに、受水槽210の水位が、ポンプ20を停止する水位以下である渇水状態であるときに水位計の異常としてもよい。これにより、制御用センサの渇水検知による断水を減らすことができる。ここで、制御部40は、第1水位計と第2水位計とのうち1つのみが渇水状態を検出しているときに、渇水状態を検出している水位計で異常を検出していると判断してもよい。こうすれば、例えば渇水水位を検出する電極棒122が落下しているときに、水位計に異常が生じていると判定されることなく渇水状態が検出されてポンプ20が緊急停止されてしまうことを抑制できる。
【0125】
そして、制御部40は、常用水位計である第1水位計に異常がないと判定したときには(S330:Yes)、常用水位計を制御用
センサに設定する(S340)。一方、制御部40は、制御用センサに設定した常用水位計に異常があると判定したときには(S330:No)、常用水位計に代えて予備用水位計を制御用センサに設定する(S350)。そして、制御部40は、制御用センサを設定したら、設定した制御用センサの電極棒121~125の信号にて受水槽210の水位を判定して(S360)、水位判定処理を終了する。つまり、給水装置10は、異常を検出
した常用水位計と異なる水位計である予備用水位計(変更センサ)を用いて受水槽制御を行う。これにより、制御用センサとした水位計に異常が生じたときにも他の水位計の水位信号に基づいて給水を継続できる。
【0126】
次に、変形例の給水装置10におけるセンサ変更判定処理について説明する。図7は変形例の制御部40により実行されるセンサ変更判定処理の一例を示すフローチャートである。なお、このセンサ変更判定処理は、ステップS205、ステップS206、並びに、ステップS230Aの処理を除いて、実施形態における図3のセンサ変更判定処理と同一である。変形例のセンサ変更判定処理は、図6の水位計判定処理において、水位計が「選択なし」であり、制御用センサが変更されるときに実行される。つまり、常用水位計(第1水位計)で異常を検出したとき、または、常用水位計で異常が解消したときに実行される。ステップS205、ステップS206の動作は、図3のフローチャートにおいても適用できる。
【0127】
センサ変更判定処理が実行されると、制御部40は、まず、S205にて、制御用センサが変更された回数を変更回数Nとしてカウントする。そして、変更回数Nが所定時間間隔内で所定のしきい値Nrefを超えたら(S206:No)、制御用センサの変更を保留して(S250)、センサ変更判定処理を終了する。これにより、繰り返し制御用センサの切り替えが行われて給水が不安定となることを防止できる。つまり、受水槽制御を行う水位計の変更の過度なインチングを防ぐことができ、給水装置10は安定した受水槽制御を実行できる。なお、変更回数Nは所定の時間間隔にてクリアされるとよい。変更回数Nが所定のしきい値以下であれば(S206:Yes)、制御部40は、次に、制御用センサとして変更後に使用する予定の水位計(変更センサ)に異常がないか否かを判定する(S210)。つまり、常用水位計で異常を検出したため、図6の水位計判定処理において制御用センサが常用水位計から予備用水位計に変更されるとき(S330:No)、S210の処理として予備用水位計に異常がないか否かが判定される。このS210の処理としては、図6の水位判定処理における常用水位計の異常の有無の判定と同様に、任意の手法が採用されればよい。なお、常用水位計の異常が解消されたことにより図6の水位判定処理において制御用センサが予備用水位計から常用水位計に変更される場合、S210の処理では、変更センサとして常用水位計の異常の有無が判定される。ただし、いまは、常用水位計の異常が解消されたときを考えており、この場合にはS210の処理が省略されてもよい。そして、制御部40は、変更センサに何らかの異常があるときには(S210:No)、制御用センサの変更を保留して(S250)、センサ変更判定処理を終了する。こうした制御により、異常が生じている水位計へ制御用センサが変更されることを防止することができ、制御部40による制御に不具合が生じることを防止できる。また、受水槽制御を行う水位計の変更を繰り返すといった水位計の変更で発生するインチングを防ぐことができ、給水装置は安定した受水槽制御を実行できる。
【0128】
変更センサに異常がないときには(S210:Yes)、制御部40は、続けて変更センサによって検出されている水位が渇水状態を示していないか否かを判定する(S220)。そして、制御部40は、変更センサによって検出されている水位が渇水状態を示しているときには(S220:No)、制御用センサの変更を保留して(S250)、センサ変更判定処理を終了する。これは、変更後に使用する水位計によって受水槽210が渇水状態であると判定されると、制御部40によってポンプ20が緊急停止されることに基づく。つまり、給水装置10に接続した全ての水位計における水位が渇水状態のときには水位計の変更を回避し、水位計変更のインチングを防止できる。また、変更後に使用する水位計に、渇水水位を検出する電極棒122が落下するなど渇水以上の水位検知ができない不具合が発生している場合は、渇水状態となる。こうした制御により、制御に用いる水位計の変更後にポンプ20が強制停止されてしまうことを防止できる。
【0129】
変更センサによって検出されている水位が渇水状態を示していないときには(S220:Yes)、制御部40は、変更センサで水位の変化が検出されているか否かを判定する(S230A)。つまり、水位変化の矛盾状態か否か、を判断する。市水流入弁232が開かれているときは、受水槽210の水位は上昇し、ポンプの運転によって、受水槽210の水位は下降する。一例として、水位変化の矛盾状態とは、市水流入弁232が開かれてから所定時間経過したときに、開水位を検出するための電極棒123まで水が達しない、又は閉水位を検出するための電極棒124まで水が達しないなどの状態を示す。つまり、変更センサでの検出水位が市水流入弁232の「開」に応じておらず水位が上昇していないため、水位変化の矛盾状態である(S230A:No)と判定されるとよい。また、水位変化の矛盾状態の他の例としては、市水流入弁232が閉じられているとき、つまり、市水流入弁232が閉となる水位以上でポンプ20が始動したにもかかわらず、閉水位を検出するための電極棒124よりも水位が下がらない、又は開水位を検出するための電極棒123よりも水位が下がらないなどの状態を示す。つまり、制御部40は、ポンプ20の起動前の変更センサによる検出水位を記憶部41に記憶し、ポンプ20が所定時間以上運転したにも関わらず、変更センサによって、該記憶部41に記憶されたポンプ20の運転前の水位よりも低い水位が検出されないと判断したときには、水位変化の矛盾状態である(S230A:No)として、受水槽制御を行う水位計の変更を保留して(S250)、センサ変更判定処理を終了する。これにより、給水装置は電極式レベルスイッチの異常を正確に検出できる。こうした制御により、変更センサでの検出水位が異常であると考えられる場合に、制御用センサが変更されることを防止することができ、制御部40による受水槽制御に不具合が生じることを防止できる。
【0130】
なお、S210における水位計の異常の判定、並びに、S230Aにおける変更センサでの検出水位が市水流入弁232の開閉に応じているか否かの判定は、S210、S230Aのタイミングにて実施されるものに限らず、制御部40の通電中、常時または任意のタイミングで実行された判定結果が記憶部41に記憶され、該記憶された判定結果をS210、S230Aのタイミングで参照してもよい。また、先述した図3のS230も同様に、制御部40は、任意のタイミングにて『仕切弁閉』を検出し、検出された『仕切弁閉』を記憶部41に記憶し、図3のステップS230で、当該記憶された『仕切弁閉』を参照してもよい。
【0131】
そして、制御部40は、変更センサに異常がなく(S210:Yes)、変更センサによって検出されている水位が渇水状態を示しておらず(S220:Yes)、変更センサでの検出水位が市水流入弁232の開閉に応じているときには(S230A:Yes)、制御用センサを変更センサに変更して(S240)、センサ変更判定処理を終了する。
【0132】
変形例の給水装置10によれば、受水槽210に貯められた水をポンプ20にて加圧して供給する給水装置であって、受水槽210の水位を検知する第1水位計および第2水位計の少なくとも一方の水位信号に基づいて受水槽制御を行う制御部40を備え、制御部40は、第1水位計または第2水位計のどちらか一方が異常を検出した場合に、他方の水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行う。つまり、制御部40は、複数の水位計のうちの少なくともひとつの水位計を、受水槽制御に用いる水位を検出するための制御用センサとして設定し、制御用センサで所定の異常を検出したら、当該異常を検出した水位計と異なる水位計である変更センサを用いて受水槽制御を行う。こうした変形例の給水装置10においても、一方の水位計に水位計の異常が生じたときにも他方の水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行うことで、給水を継続し断水を回避することができる。
【0133】
このように、上述した全ての実施形態および変形例において、受水槽210または受水槽110A,110B、に貯められた液をポンプ20にて加圧して給水先に供給する給水装置10であって、給水装置10は、受水槽210または受水槽110A,110Bの水
位を検出する複数の水位計のうち、少なくともひとつの水位計の水位信号に基づいた受水槽制御を行う制御部40を備え、制御部40は、複数の水位計のうち少なくともひとつの水位計を、受水槽制御に用いる水位を検出するための制御用センサとして設定し、制御用センサで所定の異常を検出したら、当該異常を検出した水位計とは異なる水位計である変更センサを用いて受水槽制御を行う。これにより、制御用センサとした水位計に異常が生じたときにも他の水位計の水位信号に基づいて給水を継続できる。なお、異常により変更された受水槽制御を行う水位計は、運転パネル44に設けられた警報解除ボタンの押下等の外部入力によって、受水槽制御を行う制御用センサに復帰してもよい。
【0134】
ここで、受水槽制御を行う水位計を変更センサとする異常の例としては、該当する水位計による水位検出が下記(1)~(3)に記す何れかの状態である。(1)ポンプ20を停止する所定の水位以下である渇水状態、(2)電極棒121~125にて、渇水状態(電極棒122が水面より露出した状態)と満水状態(電極棒125の一部が水没した状態)が同時に検出される等、検出される水位において矛盾が生じている状態、(3)水位変化の矛盾状態である。具体的に、『水位変化の矛盾状態』の例としては、制御部40は、市水流入弁132A,132Bの少なくとも一方が開かれているときに、変更センサによって水位の上昇が検出されないとき、『水位変化の矛盾状態』であり、また、止水弁114が閉じていると判定する。つまり、制御部40は、市水流入弁132A,132Bの少なくとも一方が開かれる直前の水位を記憶部41に記憶し、市水流入弁132A,132Bの少なくとも一方が開かれた後、ポンプ20が停止中にも関わらず、当該記憶した水位以下の水位が所定時間検出されたら『水位変化の矛盾状態』であると、判定する。また、制御部40は、市水流入弁132A,132Bが共に閉じられているときにポンプ20が運転したにも関わらず、変更センサによって水位の下降が検出されないとき、『水位変化の矛盾状態』であり、受水槽二槽式であれば、止水弁114が閉じていると判定する。受水槽二槽式では、通常、止水弁114が開いていれば、市水流入弁132A,132Bの少なくとも一方が開かれて水道本管から水が受水槽110A,110Bに流入すると、受水槽110A,110Bの両方の水位がほぼ同じタイミングで上昇することに基づく。また、止水弁114が開いていれば、市水流入弁132A,132Bが閉じられた状態でポンプ20が運転して給水装置10へ水が移送されると、受水槽110A,110Bの両方の水位がほぼ同じタイミングで下降することに基づく。
市水流入弁132A,132B、または、市水流入弁232が共に閉じられているとき、つまり電極棒124が水面から露出した水位が検出された状態でポンプ20が運転したにも関わらず、閉水位以下の水位(電極棒124の一部が水面下)が検出できないもしくは開水位以下の水位(電極棒123が水面から露出)にならない等の水位の下降が検出されない等である。つまり、ポンプ20の運転中に水位の下降が検出されず、ポンプ20の運転前の水位以上の水位が所定時間以上検出される状態である。
【0135】
また、制御部40は、制御用センサが異常(例えば、(1)から(3)に示す異常)でも、変更センサが異常(例えば、(1)から(3)に示す異常)であれば、前記制御用センサの変更を保留する。そして、制御用センサが異常によって変更された後に、異常にて変更された水位計を、制御用センサとして復帰させるための復帰条件には、当該復帰させる水位計の検出水位が渇水状態の水位より高いことが含まれる。
【0136】
なお、給水装置10は、受水槽210の水位を検出する3つ以上の水位計を備えてもよい。その場合も、制御部複数の水位計のうち、少なくともひとつの水位信号に基づいて受水槽制御を行う。そして、制御部40は、複数の水位計のうち、何れかひとつにて異常を検出した場合に、他の水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行う。例えば、制御部40は、複数の水位計のうち、いずれかひとつで受水槽210の渇水状態を検出した場合に、他の水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行う。
【0137】
ここで、制御部40は、複数の水位計のうちの何れかひとつを常用水位計とし、他の水位計を予備用水位計とし、常用水位計で何らかの異常を検出するまでは、常用水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行う。そして、常用水位計に異常を検出した後は、予備用水位計からの水位信号に基づいて前記受水槽制御を行うとよい。具体的には、第1水位計、第2水位計、および第3水位計の合計3つの水位計が受水槽210に設けられた場合、常用水位計を第1水位計、第1予備用水位計を第2水位計、第2予備水位計を第3水位計とし、当該第1水位計にて異常を検出したら、当該第2水位計の水位信号に基づいて前記受水槽制御を行い、更に、当該第1水位計、及び/又は、当該第2水位計にて異常を検出したら、当該第3水位計の水位信号に基づいて前記受水槽制御を行う。連通管112によって連通する受水槽110Aおよび受水槽110Bに3つ以上の水位計が設けられた場合も同様に、複数の水位計のうちの何れかを常用水位計とし、他の水位計を予備用水位計とし、常用水位計で何らかの異常を検出するまでは、常用水位計の水位信号に基づいて受水槽制御を行うとよい。
【0138】
また、常用水位計および予備水位計は、複数の水位計で構成されてもよい。その場合、複数の水位計によって検出された水位の平均、水位の最大値、又は、水位の最小値等を常用水位計および予備水位計の検出値としてもよい。また、常用水位計は複数の水位を検出可能な水位計(電極式レベルスイッチや投げ込み式水位センサ)とし、予備水位計は単一の水位(例えば渇水のみ)を検出するフロートスイッチ等としてもよい。
【0139】
更に、上述した全ての実施例並びに変形例において、I/O部47における水位計への入出力回路の異常も、該当する水位計の異常に含まれるものとしてもよい。また、水位計の検出信号は、無線および有線における通信によって給水装置10のI/O部47へ入力される場合、制御部40は、水位計と給水装置10の通信異常を、該当する水位計の異常に含まれるものとしてもよい。何れの場合も、異常を検出した水位計が制御用センサであれば、制御用センサを変更センサに変更する。また、I/O部47における水位計の入出力回路の異常や通信異常等が発生した場合には、水位計における検出信号が制御部40に入力されなくなり渇水状態と判定されることが好ましい。
【0140】
また、上述した全ての実施例並びに変形例において、複数の水位計の異常の検出の条件におけるその他の例としては、各水位計にて検出される水位に所定の水位差が生じている場合が含まれてもよい。例えば、水位計が複数の電極棒121~125を備えた電極式レベルスイッチ120A,120Bであれば、電極式レベルスイッチ120Aにて渇水状態、電極式レベルスイッチ120Bで満水状態を検出している等、第1水位計と第2水位計に1つ以上または2つ以上の電極の水位差が検出されたら水位計の異常としてもよい。この場合、複数の水位計のうち、水位の変動が確認できない水位計があれば、当該水位計のみを異常としてもよい。
【0141】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0142】
10…給水装置
20…ポンプ
21…モータ
22…インバータ
23…逆止弁
24…フロースイッチ
26…圧力センサ
28…圧力タンク
40…制御部
41…記憶部
42…演算部
44…運転パネル
45…設定部
46…表示部
47…I/O部
48…通信部
80…外部端末
80A…表示操作部
110A…受水槽(第1受水槽)
110B…受水槽(第2受水槽)
112…連通管
114…止水弁
118A,118B…仕切弁
120A…電極式レベルスイッチ(第1水位計)
120B…電極式レベルスイッチ(第2水位計)
121~125…電極棒
130A…流入管(第1流入管)
130B…流入管(第2流入管)
132A…市水流入弁(第1市水流入弁)
132B…市水流入弁(第2市水流入弁)
140A…フロートスイッチ(第1水位計)
140B…フロートスイッチ(第2水位計)
210…受水槽
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7