(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20220922BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20220922BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K3/46 Z
H05K1/02 J
H01L23/12 Q
H01L23/12 Z
(21)【出願番号】P 2018248131
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】水谷 理絵
【審査官】柴垣 宙央
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-51834(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0309574(US,A1)
【文献】特開2012-156498(JP,A)
【文献】特開2009-272486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H05K 1/02
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層に、互いに平行に延びる複数の第1の溝を含む第1のパターンと、凸部を取り囲む第2の溝を含む第2のパターンとを形成する工程と、
前記複数の第1の溝内と前記第2の溝内とに金属層を形成することにより、前記第1のパターン内に互いに平行に延びる複数の配線を形成し、前記第2のパターン内に前記凸部を開口部とするデガスホールを形成する工程と、
を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記複数の
配線を
、ライン幅及びスペース幅が1μm~5μmのラインアンドスペースのパターンで形成することを特徴とする請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記金属層の上面を前記絶縁層の上面よりも下方に位置させることを特徴とする請求項1又は2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記デガスホールの平面形状は円形であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記第1のパターンと前記第2のパターンとを形成する工程において、前記凸部の内側に第3の溝を形成し、
前記複数の配線と前記デガスホールとを形成する工程において、前記第3の溝内にも前記金属層を形成することにより、前記第3の溝内にパッドを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
互いに平行に延びる複数の第1の溝を含む第1のパターンと、凸部を取り囲む第2の溝を含む第2のパターンとを含む絶縁層と、
前記複数の第1の溝内に形成された配線と、前記第2のパターン内に形成され、前記凸部を開口部とするデガスホールとを含む金属層と、
を有することを特徴とする配線基板。
【請求項7】
前記複数の第1の溝
内に形成された配線が
、ライン幅及びスペース幅が1μm~5μmのラインアンドスペースのパターンで形成されていることを特徴とする請求項6に記載の配線基板。
【請求項8】
前記金属層の上面は前記絶縁層の上面よりも下方に位置することを特徴とする請求項6又は7に記載の配線基板。
【請求項9】
前記複数の第1の溝内に形成された配線は、
シード層と、
前記シード層の上に形成された金属めっき層と、
を有し、
前記シード層は、前記複数の第1の溝の底部と接触していることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
隣接する導体パターン間のイオンマイグレーションを抑制するために、これら導体パターンの間に凹部を形成した配線基板が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、導体パターンの間に凹部を形成した配線基板では、接続不良が生じることがある。
【0005】
本発明は、接続不良を低減することができる配線基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態によれば、絶縁層に、互いに平行に延びる複数の第1の溝を含む第1のパターンと、凸部を取り囲む第2の溝を含む第2のパターンとを形成する工程と、前記複数の第1の溝内と前記第2の溝内とに金属層を形成することにより、前記第1のパターン内に互いに平行に延びる複数の配線を形成し、前記第2のパターン内に前記凸部を開口部とするデガスホールを形成する工程と、を有する配線基板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、接続不良を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る配線基板のレイアウトを示す図である。
【
図2】
図1中の微細配線領域及びその近傍を拡大して示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る配線基板の概略を示す断面図である。
【
図4】薄膜層の詳細を示す断面図(その1)である。
【
図5】薄膜層の詳細を示す断面図(その2)である。
【
図6】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図7】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図8】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図9】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図10】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図11】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その6)である。
【
図12】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その7)である。
【
図13】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その8)である。
【
図14】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その9)である。
【
図15】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その10)である。
【
図16】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その11)である。
【
図17】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その12)である。
【
図18】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その13)である。
【
図19】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その14)である。
【
図20】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その15)である。
【
図21】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その16)である。
【
図22】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その17)である。
【
図23】第2の実施形態の変形例を示す断面図(その1)である。
【
図24】第2の実施形態の変形例を示す断面図(その2)である。
【
図25】第2の実施形態の変形例を示す断面図(その3)である。
【
図26】フォトレジスト層の他の例を示す断面図である。
【
図27】フォトレジスト層の更に他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者は、接続不良が生じる原因を究明すべく鋭意検討を行った。この結果、導体パターンの周辺に設けられているデガスホールの近傍にボイドが存在し、このボイドを起因とする剥がれが生じていることが判明した。また、ボイドが発生する原因として、導体パターン間に形成された微細溝が形成されるところ、この微細溝と同時にデガスホールの内側にも溝が形成されており、この溝内に適切に絶縁層が形成されていないことも判明した。
【0010】
以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0011】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は、配線基板に関する。
図1は、第1の実施形態に係る配線基板のレイアウトを示す図である。
図2は、
図1中の微細配線領域及びその近傍を拡大して示す図である。
【0012】
図1に示すように、第1の実施形態に係る配線基板1は、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit:ASIC)等の半導体集積回路チップが搭載される第1の領域2と、高帯域幅メモリ(high bandwidth memory:HBM)等の半導体メモリチップが搭載される第2の領域3A、3B、3C及び3Dとを有する。第1の領域2は矩形状の平面形状を備えており、その一つの辺5に沿って第2の領域3A及び3Bは並んで配置され、辺5に平行な辺6に沿って第2の領域3C及び3Dが並んで配置されている。以下、辺5及び辺6が延びる方向をY方向とし、配線基板1の主面に平行な面内でY方向に直交する方向をX方向とする。
【0013】
第1の領域2と第2の領域3Aとの間に微細配線領域4Aが設けられている。微細配線領域4Aは、第1の領域2に搭載される半導体集積回路チップと第2の領域3Aに搭載される半導体メモリチップとを接続する複数の微細配線を有する。第1の領域2と第2の領域3Bとの間に微細配線領域4Bが設けられている。微細配線領域4Bは、第1の領域2に搭載される半導体集積回路チップと第2の領域3Bに搭載される半導体メモリチップとを接続する複数の微細配線を有する。第1の領域2と第2の領域3Cとの間に微細配線領域4Cが設けられている。微細配線領域4Cは、第1の領域2に搭載される半導体集積回路チップと第2の領域3Cに搭載される半導体メモリチップとを接続する複数の微細配線を有する。第1の領域2と第2の領域3Dとの間に微細配線領域4Dが設けられている。微細配線領域4Dは、第1の領域2に搭載される半導体集積回路チップと第2の領域3Dに搭載される半導体メモリチップとを接続する複数の微細配線を有する。
【0014】
図2には、微細配線領域4A~4Dのうちの一例として微細配線領域4A及びその近傍を示してある。
図2に示すように、微細配線領域4AはX方向に延びる複数の微細配線21を有する。複数の微細配線21は、例えば、ライン幅及びスペース幅が1μm~5μmのラインアンドスペース(L/S)のパターンで形成されている。
【0015】
第1の領域2、第2の領域3A~3D、微細配線領域4A~4Dの周辺には、接地領域7が設けられている。接地領域7には、接地された、複数、ここでは3の金属層が設けられており、一つ金属層に複数のデガスホール31Aが形成され、他の一つの金属層に複数のデガスホール31Bが形成され、他の一つの金属層に複数のデガスホール31Cが形成されている。デガスホール31Aの中心部にアンカービア用パッド32Aが設けられ、デガスホール31Bの中心部にアンカービア用パッド32Bが設けられ、デガスホール31Cの中心部にアンカービア用パッド32Cが設けられている。平面視で、デガスホール31Aとデガスホール31Cとが重なり合い、アンカービア用パッド32Aとアンカービア用パッド32Cとが重なり合う。平面視で、デガスホール31Bがデガスホール31A及び31Cから離間し、アンカービア用パッド32Bがアンカービア用パッド32A及び32Cから離間している。例えば、デガスホール31A~31Cの直径は50μm~150μmであり、アンカービア用パッド32A~32Cの直径は20μm~40μmである。
【0016】
次に、配線基板の断面構造について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る配線基板の概略を示す断面図である。
図4及び
図5は、薄膜層の詳細を示す断面図である。
図4は、
図2中のI-I線に沿った断面図に相当し、
図5は、
図1中のII-II線に沿った断面図に相当する。
【0017】
図3に示すように、配線基板1は、ビルドアップ基板11と、ビルドアップ基板11の一方の面上に形成された薄膜層12とを有する。微細配線21は薄膜層12に形成されている。以下、ビルドアップ基板11の薄膜層12が形成された側を搭載側、その反対側を非搭載側ということがある。
【0018】
図4に示すように、薄膜層12は、ビルドアップ基板11上に形成された第3の絶縁層130と、第3の絶縁層130に形成された第1の微細配線層51とを有する。第1の微細配線層51はシード層121と金属めっき層122とを含む。例えば、シード層121は、チタン膜と、その上の銅膜とを有し、金属めっき層122は銅めっき層である。第1の微細配線層51は微細配線21A、デガスホール31A及びアンカービア用パッド32Aを有する。微細配線21Aは微細配線領域4A~4D内に形成され、デガスホール31A及びアンカービア用パッド32Aは接地領域7内に形成されている。微細配線21Aは微細配線21の一部である。微細配線21Aの上面は第3の絶縁層130の上面よりも下方に位置する。
【0019】
第3の絶縁層130には、複数の微細溝151と、デガスホール31Aの開口部となる凸部33Aを取り囲む溝251と、凸部33Aの内側のアンカービア用パッド32A用の溝351とが形成されている。微細配線21Aは複数の微細溝151内に形成され、アンカービア用パッド32Aは溝351内に形成されている。微細溝151は、微細配線21Aを含むL/Sパターンのライン部に形成されている。例えば、デガスホール31A及びアンカービア用パッド32Aの平面形状は円形である。金属めっき層122は金属層の一例であり、第3の絶縁層130の微細配線領域4A~4D内のパターンが第1のパターンの一例であり、第3の絶縁層130の接地領域7内のパターンが第2のパターンの一例である。微細配線21Aは配線の一例であり、微細溝151は第1の溝の一例であり、溝251は第2の溝の一例であり、溝351は第3の溝の一例である。
【0020】
薄膜層12は、第3の絶縁層130上に形成された第4の絶縁層140と、第4の絶縁層140に形成された第2の微細配線層52とを有する。第2の微細配線層52はシード層131と金属めっき層132とを含む。例えば、シード層131は、チタン膜と、その上の銅膜とを有し、金属めっき層132は銅めっき層である。第2の微細配線層52は微細配線21B、デガスホール31B及びアンカービア用パッド32Bを有する(
図2参照)。微細配線21Bは微細配線領域4A~4D内に形成され、デガスホール31B及びアンカービア用パッド32Bは接地領域7内に形成されている。微細配線21Bは微細配線21の一部である。微細配線21Bの上面は第4の絶縁層140の上面よりも下方に位置する。
【0021】
第4の絶縁層140には、複数の微細溝152と、デガスホール31Aの開口部となる凸部(図示せず)を取り囲む溝252と、凸部の内側のアンカービア用パッド32B用の溝(図示せず)とが形成されている。微細配線21Bは複数の微細溝152内に形成され、アンカービア用パッド32Bは凸部の内側のアンカービア用パッド32B用の溝内に形成されている。微細溝152は、微細配線21Bを含むL/Sパターンのライン部に形成されている。例えば、デガスホール31B及びアンカービア用パッド32Bの平面形状は円形である。金属めっき層132は金属層の一例であり、第4の絶縁層140の微細配線領域4A~4D内のパターンが第1のパターンの一例であり、第4の絶縁層140の接地領域7内のパターンが第2のパターンの一例である。微細配線21Aは配線の一例であり、微細溝151は第1の溝の一例であり、溝252は第2の溝の一例であり、アンカービア用パッド32B用の溝は第3の溝の一例である。
【0022】
薄膜層12は、ビルドアップ基板11上に形成された第5の絶縁層150と、第5の絶縁層150に形成された第3の微細配線層53とを有する。第3の微細配線層53はシード層141と金属めっき層142とを含む。例えば、シード層141は、チタン膜と、その上の銅膜とを有し、金属めっき層142は銅めっき層である。第3の微細配線層53は微細配線21C、デガスホール31C及びアンカービア用パッド32Cを有する。微細配線21Cは微細配線領域4A~4D内に形成され、デガスホール31C及びアンカービア用パッド32Cは接地領域7内に形成されている。微細配線21Cは微細配線21の一部である。微細配線21Cの上面は第5の絶縁層150の上面よりも下方に位置する。
【0023】
第4の絶縁層140には、複数の微細溝153と、デガスホール31Cの開口部となる凸部33Cを取り囲む溝253と、凸部33Cの内側のアンカービア用パッド32C用の溝353とが形成されている。微細配線21Cは複数の微細溝153内に形成され、アンカービア用パッド32Cは溝353内に形成されている。微細溝153は、微細配線21Cを含むL/Sパターンのライン部に形成されている。例えば、デガスホール31C及びアンカービア用パッド32Cの平面形状は円形である。金属めっき層142は金属層の一例であり、第5の絶縁層150の微細配線領域4A~4D内のパターンが第1のパターンの一例であり、第5の絶縁層150の接地領域7内のパターンが第2のパターンの一例である。微細配線21Cは配線の一例であり、微細溝153は第1の溝の一例であり、溝253は第2の溝の一例であり、溝353は第3の溝の一例である。
【0024】
第5の絶縁層150にはマイクロビアホール150Aが形成されており、アンカービア用パッド32Cはマイクロビアホール150Aを通じて第2の微細配線層52に金属接合されている。また、第4の絶縁層140にはマイクロビアホール140Aが形成されており(
図5参照)、アンカービア用パッド32Bは接地領域7内のマイクロビアホール140Aを通じて第1の微細配線層51に金属接合されている。従って、第1の微細配線層51、第2の微細配線層52及び第3の微細配線層53は、接地領域7内で互いに金属接合されている。従って、アンカー効果により強い接合強度が得られる。
【0025】
図5に示すように、薄膜層12は、第3の微細配線層53及び第5の絶縁層150上に、第3の微細配線層53の一部上にマイクロビアホール160Aが設けられた第6の絶縁層160を有する。薄膜層12は、更に、微細配線21の端部に接続され、第5の絶縁層150から突出する接続端子61、62及び63を有する。接続端子61は第1の微細配線層51の微細配線21Aに電気的に接続され、接続端子62は第2の微細配線層52の微細配線21Bに電気的に接続され、接続端子63は第3の微細配線層53の微細配線21Cに電気的に接続されている。接続端子61~63はシード層161と金属めっき層162とを含む。例えば、シード層161は、チタン膜と、その上の銅膜とを有し、金属めっき層162は銅めっき層である。
【0026】
配線基板1によれば、隣り合う微細配線21Aの間に微細溝151を分離する凸部が存在するため、隣り合う微細配線21Aの間でのイオンマイグレーションを抑制することができる。同様に、隣り合う微細配線21Bの間に微細溝152を分離する凸部が存在し、隣り合う微細配線21Cの間に微細溝153を分離する凸部が存在するため、隣り合う微細配線21Bの間でのイオンマイグレーション、隣り合う微細配線21Cの間でのイオンマイグレーションを抑制することができる。
【0027】
また、デガスホール31A~31Cの内側に溝が形成されていないため、第3の絶縁層130、第4の絶縁層140、第5の絶縁層150にはボイドが発生しにくい。従って、薄膜層12内での剥がれを抑制し、剥がれに伴う接続不良を抑制することができる。
【0028】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、配線基板の製造方法に関する。
図6~
図22は、第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図である。第2の実施形態では、まず、ビルドアップ基板11を形成し、その後に、ビルドアップ基板11上に薄膜層12を形成する。
図6~
図8は、ビルドアップ基板の形成方法を示す断面図である。
図9~
図22は、薄膜層の形成方法を示す断面図である。
図9(a)~
図22(a)には、
図2中のI-I線に沿った断面図に相当する部分を示し、
図9(b)~
図22(b)には、
図1中のII-II線に沿った断面図に相当する部分を示す。
【0029】
まず、
図6(a)に示すように、支持体としてコア配線基板101を準備する。コア配線基板101はコア基板102及び第1の配線層104を備えている。コア基板102には厚さ方向に貫通するスルーホール103Aが形成されており、スルーホール103A内に貫通導体103が設けられている。例えば、スルーホール103Aはドリルやレーザを用いた加工等により形成することができ、貫通導体103及び第1の配線層104はめっき法及びフォトリソグラフィ等により形成することができる。なお、コア配線基板101としては、配線基板1が複数個取れる大判の基板が使用される。つまり、コア配線基板101は、配線基板1に対応する構造体が形成される複数の領域を有している。
【0030】
次いで、
図6(b)に示すように、コア基板102の両側に未硬化の樹脂フィルムを貼付し、加熱処理して硬化させることにより、第1の絶縁層105を形成する。第1の絶縁層105は、エポキシ樹脂又はポリイミド樹脂等の絶縁樹脂から形成される。液状樹脂を塗布することにより、第1の絶縁層105を形成してもよい。その後、コア基板102の両側の第1の絶縁層105をレーザで加工することにより、第1の配線層104の接続部に到達するビアホール106を第1の絶縁層105に形成する。
【0031】
続いて、
図7(a)に示すように、コア基板102の両側において、ビアホール106内のビア導体を介して第1の配線層104に接続される第2の配線層107を第1の絶縁層105上に形成する。第2の配線層107はセミアディティブ法によって形成することができる。
【0032】
第2の配線層107の形成後、
図7(b)に示すように、コア基板102の両側において、第1の絶縁層105上に、第2の配線層107の接続部上にビアホール109が設けられた第2の絶縁層108を形成する。第2の絶縁層108は、第1の絶縁層105と同様の方法で形成することができる。
【0033】
更に、同じく
図7(b)に示すように、コア基板102の両側において、ビアホール109内のビア導体を介して第2の配線層107に接続される第3の配線層110を第2の絶縁層108上に形成する。第3の配線層110は、第2の配線層107と同様の方法に、セミアディティブ法によって形成することができる。但し、コア基板102の搭載側では、第2の絶縁層108上で第3の配線層110に配線パターンを形成せずに、第3の配線層110をべた状に形成することができる。
【0034】
次いで、
図8に示すように、コア基板102の非搭載側において、第2の絶縁層108上にソルダレジスト層111を形成する。その後、ソルダレジスト層111に第3の配線層110の接続部に達する開口部112を形成する。
【0035】
ソルダレジスト層111は、感光性のエポキシ樹脂又はアクリル樹脂等の絶縁樹脂から形成される。樹脂フィルムの貼り付け又は液状樹脂の塗布により、ソルダレジスト層111を形成してもよい。開口部112は、露光及び現像により形成することができる。ソルダレジスト層111に非感光性のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂等の絶縁樹脂を用いてもよい。この場合、開口部112は、レーザ加工又はブラスト処理により形成することができる。
【0036】
このようにして、ビルドアップ基板11を形成することができる。
【0037】
次いで、
図9(a)及び(b)に示すように、化学機械的研磨(chemical mechanical polishing)法によりビルドアップ基板11の搭載側の表面を研磨し、第2の絶縁層108を露出させる。
【0038】
その後、
図10(a)及び(b)に示すように、第3の配線層110及び第2の絶縁層108上に第3の絶縁層130を形成する。第3の絶縁層130は、例えば感光性のエポキシ樹脂等の絶縁樹脂から形成される。
【0039】
続いて、
図11(a)及び(b)に示すように、第3の絶縁層130上に第1の微細配線層51を形成する部分に開口部が設けられたフォトレジスト層191を形成する。フォトレジスト層191は第3の絶縁層130との界面近傍に括れ部191Aを有する。例えば、フォトレジスト層191は、微細配線21Aを形成する部分及びアンカービア用パッド32Aを形成する部分に開口部を有し、デガスホール31Aを形成する部分を覆う。
【0040】
次いで、
図12(a)及び(b)に示すように、フォトレジスト層191をマスクにして第3の絶縁層130をエッチングする。この結果、微細配線21Aを形成する領域を含むL/Sパターンのライン部において、第3の絶縁層130に微細溝151が形成される。また、アンカービア用パッド32Aを形成する領域等において、第3の絶縁層130に溝251が形成される。
【0041】
その後、
図13(a)及び(b)に示すように、スパッタ法により微細溝151及び溝251内にシード層121を形成する。シード層121はフォトレジスト層191の上面及び側面にも形成されるが、括れ部191A上には形成されない。シード層121の形成では、例えば、チタン膜及び銅膜を順次形成する。
【0042】
続いて、
図14(a)及び(b)に示すように、フォトレジスト層191を、その上面及び側面に形成されたシード層121と共に除去する。
【0043】
次いで、
図15(a)及び(b)に示すように、無電解めっき法により、シード層121上に銅等からなる金属めっき層122を形成する。第1の微細配線層51に、微細配線21A、デガスホール31A及びアンカービア用パッド32Aが形成される。
【0044】
その後、
図16(a)及び(b)に示すように、第1の微細配線層51及び第3の絶縁層130上に、第1の微細配線層51の一部上にマイクロビアホール140Aが設けられた第4の絶縁層140を形成する。第4の絶縁層140は、例えば感光性のエポキシ樹脂等の絶縁樹脂から形成される。マイクロビアホール140Aは、例えばフォトリソグラフィ技術により形成する。
【0045】
続いて、
図17(a)及び(b)に示すように、第4の絶縁層140上に第2の微細配線層52を形成する部分に開口部が設けられたフォトレジスト層192を形成する。フォトレジスト層192は第4の絶縁層140との界面近傍に括れ部192Aを有する。例えば、フォトレジスト層192は、微細配線21Bを形成する部分及びアンカービア用パッド32Bを形成する部分に開口部を有し、デガスホール31Bを形成する部分を覆う。
【0046】
次いで、フォトレジスト層192をマスクにして第4の絶縁層140をエッチングする。この結果、微細配線21Bを形成する領域を含むL/Sパターンのライン部において、第4の絶縁層140に微細溝152が形成される。また、アンカービア用パッド32Bを形成する領域等において、第4の絶縁層140に溝252が形成される。
【0047】
その後、
図18(a)及び(b)に示すように、スパッタ法により微細溝152及び溝252内にシード層131を形成する。シード層131はフォトレジスト層192の上面及び側面にも形成されるが、括れ部192A上には形成されない。続いて、フォトレジスト層192を、その上面及び側面に形成されたシード層131と共に除去する。次いで、無電解めっき法により、シード層131上に銅等からなる金属めっき層132を形成する。第2の微細配線層52に、微細配線21B、デガスホール31B及びアンカービア用パッド32Bが形成される(
図2参照)。
【0048】
続いて、
図19(a)及び(b)に示すように、第2の微細配線層52及び第4の絶縁層140上に、第2の微細配線層52の一部上にマイクロビアホール150Aが設けられた第5の絶縁層150を形成する。第5の絶縁層150は、例えば感光性のエポキシ樹脂等の絶縁樹脂から形成される。マイクロビアホール150Aは、例えばフォトリソグラフィ技術により形成する。
【0049】
次いで、
図20(a)及び(b)に示すように、第5の絶縁層150上に第3の微細配線層53を形成する部分に開口部が設けられたフォトレジスト層193を形成する。フォトレジスト層193は第5の絶縁層150との界面近傍に括れ部193Aを有する。例えば、フォトレジスト層193は、微細配線21Cを形成する部分及びアンカービア用パッド32Cを形成する部分に開口部を有し、デガスホール31Cを形成する部分を覆う。
【0050】
その後、フォトレジスト層193をマスクにして第5の絶縁層150をエッチングする。この結果、微細配線21Cを形成する領域を含むL/Sパターンのライン部において、第5の絶縁層150に微細溝153が形成される。また、アンカービア用パッド32Cを形成する領域等において、第5の絶縁層150に溝253が形成される。
【0051】
続いて、
図21(a)及び(b)に示すように、スパッタ法により微細溝153及び溝253内にシード層141を形成する。シード層141はフォトレジスト層193の上面及び側面にも形成されるが、括れ部193A上には形成されない。次いで、フォトレジスト層193を、その上面及び側面に形成されたシード層141と共に除去する。その後、無電解めっき法により、シード層141上に銅等からなる金属めっき層142を形成する。第3の微細配線層53に、微細配線21C、デガスホール31C及びアンカービア用パッド32Cが形成される。
【0052】
続いて、
図22(a)及び(b)に示すように、第3の微細配線層53及び第5の絶縁層150上に、第3の微細配線層53の一部上にマイクロビアホール160Aが設けられた第6の絶縁層160を形成する。第6の絶縁層160は、例えば感光性のエポキシ樹脂等の絶縁樹脂から形成される。マイクロビアホール160Aは、例えばフォトリソグラフィ技術により形成する。
【0053】
次いで、マイクロビアホール160A内のビア導体を介して第3の微細配線層53に接続される接続端子61~63を形成する。接続端子61~63は、セミアディティブ法により形成することができ、シード層161と金属めっき層162とを含む。
【0054】
その後、
図22(a)及び(b)に示す構造体を切断線(図示せず)に沿ってスライサー等により切断する。これにより、配線基板1に対応する構造体が個片化され、大判のコア配線基板101から第1の実施形態に係る配線基板1が複数得られる。このようにして、第1の実施形態に係る配線基板1を製造することができる。
【0055】
この製造方法では、溝251内にシード層121及び金属めっき層122を形成することで、デガスホール31A及びアンカービア用パッド32Aを形成するため、ボイドの原因となる溝を形成せずとも第1の微細配線層51におけるイオンマイグレーションを抑制することができる。溝252内にシード層131及び金属めっき層132を形成することで、デガスホール31B及びアンカービア用パッド32Bを形成するため、ボイドの原因となる溝を形成せずとも第2の微細配線層52におけるイオンマイグレーションを抑制することができる。溝253内にシード層141及び金属めっき層142を形成することで、デガスホール31C及びアンカービア用パッド32Cを形成するため、ボイドの原因となる溝を形成せずとも第3の微細配線層53におけるイオンマイグレーションを抑制することができる。従って、ボイドに起因する剥がれ及び接続不良を抑制することができる。
【0056】
なお、
図23(a)及び(b)に示すように、シード層121が微細溝151、溝251、溝351の底面上だけでなく、側面上に形成されることもある。この場合、
図24(a)及び(b)に示すように、金属めっき層122の形成までの処理を行い、その後に、
図25(a)及び(b)に示すように、シード層121のうちで金属めっき層122の上面より上方に位置する部分を除去することが好ましい。つまり、金属めっき層122の上面が第3の絶縁層130の上面よりも下方に位置するように処理することが好ましい。イオンマイグレーションをより確実に抑制するためである。シード層131及び141についても同様である。
【0057】
また、フォトレジスト層191の断面形状は特に限定されない。例えば、
図26に示すように、フォトレジスト層191の断面形状が、第3の絶縁層130に近づくほど寸法が小さくなる逆テーパ形状を有していてもよい。この場合、微細溝151の側面がフォトレジスト層191の上面に隠れるため、微細溝151の側面上にシード層121が形成されにくくすることができる。また、
図27に示すように、フォトレジスト層191の断面形状が、長方形状であってもよい。この場合、微細溝151を形成する際に、微細溝151の側面がフォトレジスト層191の上面に隠れるようなエッチング条件を選択することが好ましい。微細溝151の側面上にシード層121が形成された場合には、上述のように、金属めっき層122の形成後に、金属めっき層122の上面より上方に位置する部分を除去することが好ましい。フォトレジスト層192及び193についても同様である。
【0058】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。例えば、上述の実施形態ではビルドアップ基板が用いられているが、ビルドアップ基板に代えて支持基板が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 配線基板
4A、4B、4C、4D 微細配線領域
7 接地領域
11 ビルドアップ基板
12 薄膜層
21、21A、21B、21C、21D 微細配線
31A、31B、31C デガスホール
32A、32B、32C アンカービア用パッド
33A、33C:凸部
51、52、53 微細配線層
61、62、63 接続端子
151、152、153 微細溝
251、252、253、351、353 溝