(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】オレフィン系樹脂組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 23/00 20060101AFI20220922BHJP
C08K 5/527 20060101ALI20220922BHJP
C08K 5/09 20060101ALI20220922BHJP
C08F 10/00 20060101ALI20220922BHJP
C08F 2/02 20060101ALI20220922BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
C08L23/00
C08K5/527
C08K5/09
C08F10/00 510
C08F2/02
C08F2/44 B
(21)【出願番号】P 2019552359
(86)(22)【出願日】2018-11-07
(86)【国際出願番号】 JP2018041405
(87)【国際公開番号】W WO2019093393
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-10-22
(31)【優先権主張番号】P 2017218256
(32)【優先日】2017-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】孫 昌洙
(72)【発明者】
【氏名】手塚 大允
(72)【発明者】
【氏名】野村 和清
【審査官】堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-219519(JP,A)
【文献】特開2017-190440(JP,A)
【文献】特開2017-125111(JP,A)
【文献】特開2003-313444(JP,A)
【文献】特開2012-152933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/00
C08K 5/527
C08K 5/09
C08F 10/00
C08F 2/02
C08F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)、
(一般式(1)中、R
1~R
4は各々独立して、水素原子または炭素原子数1~9のアルキル基を表し、R
5は、水素原子またはメチルを表し、mは1または2を表し、M
1は、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、遷移金属原子、卑金属原子、多価金属無機基、アンモニウム基、スルホニウム基、または、ランタノイドを表す。)で表される化合物(A)の1種以上と、有機アルミニウム化合物(C)と、をモル比で有機アルミニウム化合物(C)のアルミニウム分/化合物(A)=0.40~1.30の範囲内でブレンドしたものを、オレフィンモノマーの重合前または重合中に添加する第一工程と、
一般式(2)、
(一般式(2)中、R
6は、炭素原子数10~30の脂肪族有機酸から導入される基を表し、M
2はアルカリ金属原子、または、多価金属無機基を表す。)で表される脂肪酸金属塩(B)で表される脂肪酸金属塩(B)を、オレフィンモノマーを重合して得られた重合体100質量部に対して、0.001~10質量部添加して、押出機を用いて溶融混練する第二工程とを含み、得られたオレフィン重合体に含まれるアルミニウム分が、オレフィン重合体1kg当たり、0.01mol以下であることを特徴とするオレフィン系樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
前記オレフィンモノマーの重合方法が、バルク重合である請求項
1記載のオレフィン系樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
有機アルミニウム化合物(C)が、トリアルキルアルミニウムである請求項
1または2記載のオレフィン系樹脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン系樹脂組成物の製造方法に関し、詳しくは、着色が抑制され、透明性に優れた成形品が得られるオレフィン系樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブテン-1等のオレフィン樹脂は、その成形加工性、耐熱性、力学的特性および低比重等に優れている利点があり、フィルム、シートおよび各種成形品(構造部品等)に広く利用されている。しかし、オレフィン樹脂は、加熱成形後の結晶化速度が遅いため、成形サイクルが長く、加熱成形後の結晶化の進行によっては、大きな結晶が生成し、成形品の透明性や強度が不足する欠点があった。
【0003】
これらの欠点は、全て、オレフィン樹脂の結晶性に由来するものであり、オレフィン系樹脂の結晶化温度を高め、微細な結晶を急速に生成させることができれば解消されることが知られている。
【0004】
この目的のために、核剤を添加することが知られており、従来から、安息香酸ナトリウム、4-tert-ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウムおよび2-ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボキシレート等のカルボン酸金属塩、ナトリウムビス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートおよびリチウム-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート等のリン酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトールおよびビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトール等のアセタール骨格を有する化合物等が用いられてきた。
【0005】
これら核剤をオレフィン樹脂に添加する方法は広く知られており、ヘンシェルミキサー、ミルロール、Vブレンダー、リボンブレンダー、ニーダーブレンダー、バンバリーミキサー、スーパーミキサー等を用いて、オレフィン樹脂と核剤を含む添加剤を混合して、押出機に投入して造粒することが行われている。
【0006】
これ以外にも、特許文献1において、プロピレンの重合時に、核剤として、アルミニウム-ビス(p-tert-ブチル安息香酸)ヒドロキシや安息香酸ナトリウム塩を添加する方法が提案されている。また、特許文献2において、ヒドロキシ[2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート]を、有機アルミニウム化合物を用いて溶解されたものを添加して重合する第一工程と、第一工程で得られる重合体に対して、脂肪族カルボン酸金属塩またはアルカリ金属含有ハイドロタルサイトを配合して溶融混練する第二工程と、を有するオレフィン系樹脂組成物の製造方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許3044259号
【文献】特開2013-256628
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、重合体の造粒時に核剤を配合する方法は、核剤の分散不良に起因する製品物性のバラツキが生じる場合がある。また、核剤の大半が粉末であるため、作業中に粉塵が発生して作業環境に悪影響があったり、コンタミネーションが発生したりする場合がある。
【0009】
特許文献1記載の方法は、核剤の均一分散と、それによる重合体の改善を目的とするが、プロピレンの一段階重合後に、核剤を添加して二段階重合を行う製造方法である。しかしながら、核剤を重合触媒に接触させる一段階重合方法においては、効果が得られない。また、特許文献2記載の方法は、核剤を有機アルミニウム化合物でマスキングすることで、核剤と重合触媒の接触による重合阻害を回避することができるが、得られたオレフィン重合体に、触媒残渣が多量に残り、成形品の透明性については改善の余地が残されていた。
【0010】
そこで、本発明の目的は、着色が抑制され、透明性に優れた成形品が得られるオレフィン系樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、重合後に得られる重合体に残留する有機アルミニウム化合物を特定の範囲に調整することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
本発明のオレフィン系樹脂組成物の製造方法は、一般式(1)、
(一般式(1)中、R
1~R
4は各々独立して、水素原子または炭素原子数1~9のアルキル基を表し、R
5は、水素原子またはメチルを表し、mは1または2を表し、M
1は、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、遷移金属原子、卑金属原子、多価金属無機基、アンモニウム基、スルホニウム基、または、ランタノイドを表す。)で表される化合物(A)の1種以上と、有機アルミニウム化合物(C)と、をモル比で有機アルミニウム化合物(C)のアルミニウム分/化合物(A)=0.40~1.30の範囲内でブレンドしたものを、オレフィンモノマーの重合前または重合中に添加する第一工程と、
一般式(2)、
(一般式(2)中、R
6は、炭素原子数10~30の脂肪族有機酸から導入される基を表し、M
2はアルカリ金属原子、または、多価金属無機基を表す。)で表される脂肪酸金属塩(B)で表される脂肪酸金属塩(B)を、オレフィンモノマーを重合して得られた重合体100質量部に対して、0.001~10質量部添加して、押出機を用いて溶融混練する第二工程とを含み、得られたオレフィン重合体に含まれるアルミニウム分が、オレフィン重合体1kg当たり、0.01mol以下であることを特徴とするものである。
【0015】
本発明のオレフィン系樹脂組成物の製造方法においては、前記オレフィンモノマーの重合方法は、バルク重合であることが好ましい。また、本発明のオレフィン系樹脂組成物の製造方法においては、有機アルミニウム化合物(C)は、トリアルキルアルミニウムであることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、着色が抑制され、透明性に優れた成形品が得られるオレフィン系樹脂組成物、その製造方法およびその成形品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のオレフィン系樹脂組成物、その製造方法およびその成形品について、詳細に説明する。本発明のオレフィン系樹脂組成物は、オレフィン重合体100質量部に対し、一般式(1)、
で表される化合物(A)(以下、「(A)成分」とも称する)の1種以上を0.01~10質量部と、一般式(2)、
で表される脂肪酸金属塩(B)(以下、「(B)成分」とも称する)を0.001~10質量部と、を含有する。また、オレフィン重合体に含まれるアルミニウム分が、オレフィン重合体1kgあたり、0.01mol以下である。
【0019】
まず、本発明のオレフィン系樹脂組成物で用いられるオレフィン重合体について説明する。本発明のオレフィン系樹脂組成物において、オレフィン重合体とは、オレフィンモノマーの単独重合、またはオレフィンモノマーを含む共重合によって得られるものである。
【0020】
本発明のオレフィン系樹脂組成物に用いられるオレフィンモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、ビニルシクロアルカン、スチレンあるいはこれらの誘導体等が挙げられる。
【0021】
オレフィン重合体の具体例としては、例えば、プロピレン単独重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体等のプロピレンとプロピレン以外のα-オレフィンとの共重合体等のポリプロピレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン、シクロオレフィン等が挙げられる。
【0022】
次に、(A)成分について説明する。(A)成分において、R1~R4は各々独立して、水素原子または炭素原子数1~9のアルキル基を表し、R5は、水素原子またはメチルを表し、mは1または2を表し、M1は、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、遷移金属原子、卑金属原子、多価金属無機基、アンモニウム基、スルホニウム基、または、ランタノイドを表す。
【0023】
一般式(1)中の、R1、R2、R3およびR4で表される、炭素原子数1~9のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、tert-アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、tert-ヘプチル等が挙げられるが、これらの中でも、tert-ブチルがより好ましい。
【0024】
一般式(1)中のM1で表されるアルカリ金属原子は、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられる。本発明のオレフィン系樹脂組成物においては、リチウムおよびナトリウムがより好ましい。
【0025】
一般式(1)中のM1で表されるアルカリ土類金属原子は、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、または、ラジウムが挙げられる。本発明のオレフィン系樹脂組成物においては、カルシウム、バリウムが好ましく用いることができる。
【0026】
一般式(1)中のM1で表される遷移金属原子は、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブテン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金が挙げられる。本発明のオレフィン系樹脂組成物においては、銅、ジルコニウムが、発明効果が顕著であるので好ましい。
【0027】
一般式(1)中のM1で表される卑金属原子は、鉄、銅、アルミニウム、鉛、亜鉛、すず、タングステン、インジウム、モリブデン、クロム、ゲルマニウム、タンタル、マグネシウム、コバルト、カドミウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ガリウム、アンチモン、マンガン、ニッケル、ベリリウム、ハフニウム、ニオブ、ビスマス、レニウム、タリウムが挙げられる。本発明のオレフィン系樹脂組成物においては、銅、アルミニウム、亜鉛、マグネシウムが、安価で製造できるので好ましく用いられる。
【0028】
一般式(1)中のM1で表される多価金属無機基の金属は、2価~4価の多価金属を表し、無機基は、酸化物、水酸基または炭酸塩を表す。多価金属の具体例としては、カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、クロム、ガリウム、ケイ素、ジルコニウム等が挙げられる。本発明のオレフィン系樹脂組成物においては、アルミニウム、ジルコニウムが好ましく用いられる。
【0029】
一般式(1)中のM1で表されるアンモニウム基としては、例えば、アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム等のトリアルキルアンモニウム;N,N-ジメチルアニリニウム、N,N-ジエチルアニリニウム、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウム等のN,N-ジアルキルアニリニウム;ジ(イソプロピル)アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム等のジアルキルアンモニウム等が挙げられる。
【0030】
一般式(1)中のM1で表されるスルホニウム基としては、例えば、トリフェニルスルホニウム、(4-tert-ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4-tert-ブチルフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4-tert-ブチルフェニル)スルホニウム、(3-tert-ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3-tert-ブチルフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3-tert-ブチルフェニル)スルホニウム、(3,4-ジtert-ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4-ジtert-ブチルフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4-ジtert-ブチルフェニル)スルホニウム、(4-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4-tert-ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)スルホニウム、(3-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3-tert-ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3-tert-ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4-ジtert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4-ジtert-ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4-ジtert-ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4-チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4-tert-ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4-tert-ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4-tert-ブトキシフェニル)ビス(4-ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4-ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2-ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル(2-ナフチル)スルホニウム、(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウム、(4-メトキシフェニル)ジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、(2-オキソシクロヘキシル)シクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム、ジフェニルメチルスルホニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、2-オキソ-2-フェニルエチルチアシクロペンタニウム、ジフェニル 2-チエニルスルホニウム、4-n-ブトキシナフチル-1-チアシクロペンタニウム、2-n-ブトキシナフチル-1-チアシクロペンタニウム、4-メトキシナフチル-1-チアシクロペンタニウム、2-メトキシナフチル-1-チアシクロペンタニウム等が挙げられる。より好ましくはトリフェニルスルホニウム、(4-tert-ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4-tert-ブチルフェニル)スルホニウム、(4-tert-ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4-メチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4-エチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4-シクロヘキシルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4-n-ヘキシルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4-n-オクチル)フェニルジフェニルスルホニウム、(4-メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4-エトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4-シクロヘキシルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4-トリフルオロメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4-トリフルオロメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4-tert-ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム等が挙げられる。
【0031】
一般式(1)中のM1で表されるランタノイドは、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムまたはルテチウムから選択される元素を表す。
【0032】
本発明のオレフィン系樹脂組成物において、一般式(1)中のM1は、水素原子である化合物が、本発明の効果が顕著となるので好ましい。
【0033】
本発明のオレフィン系樹脂組成物で用いられる(A)成分の具体例としては、下記に示す化合物が挙げられる。ただし、本発明のオレフィン系樹脂組成物は下記の化合物により制限されるものではない。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
本発明のオレフィン系樹脂組成物においては、(A)成分は、ヒドロキシ[2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート]を用いると、ポリオレフィン系樹脂に対して最も良好な透明性を付与できるので好ましい。
【0039】
本発明のオレフィン系樹脂組成物において、(A)成分は、粒径や粒度分布等の粒子状態によって限定されるものではないが、粒子径が微細であれば樹脂中への分散性が良化することが知られており、体積平均粒子径が100μm以下であることが好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。なお、本発明のオレフィン系樹脂組成物における体積平均粒子径とは、レーザー回折・散乱式粒度分布計(日機装(株)製 商品名マイクロトラックMT30000II)による体積平均が50%となる数値を表す。
【0040】
本発明のオレフィン系樹脂組成物において、オレフィン重合体100質量部に対する(A)成分の配合量は、0.001~10質量部であり、0.005~0.5質量部の範囲が好ましく、0.01~0.3質量部の範囲がより好ましい。0.001質量部より少ない場合、核剤効果が得られない場合があり、10質量部以上の配合、オレフィン重合体を用いて成形して得られる成形品からブリードアウトする場合がある。
【0041】
次に、(B)成分について説明する。(B)成分において、一般式(2)中のR6で表される炭素原子数10~30の脂肪族有機酸から導入される基とは、炭素原子数10~30のアルキル基、アルケニル基、2つ以上の不飽和結合が導入されたアルキル基等の炭化水素基が挙げられる。これらのアルキル基、アルケニル基は、分岐を有していてもよく、炭化水素基の一部の水素原子が、水酸基で置換されていてもよい。具体的には、カプリン酸、2-エチルヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルチミン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の飽和脂肪酸、4-デセン酸、4-ドデセン酸、パルミトレイン酸、α-リノレン酸、リノール酸、γ-リノレン酸、ステアリドン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等の直鎖不飽和脂肪酸等が挙げられる。
【0042】
本発明のオレフィン系樹脂組成物においては、炭素原子数10~21である脂肪酸が好ましく、炭素原子数12~18がより好ましい。特に、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸が、本発明の効果が顕著なものとなるのでとくに好ましい。
【0043】
一般式(2)中、M2で表されるアルカリ原子は、ナトリウム、リチウムおよびカリウムが挙げられるが、本発明のオレフィン系樹脂組成物においては、ナトリウム、リチウムが、本発明の効果が顕著となるのでより好ましい。
【0044】
一般式(2)中、M2で表される多価金属無機基は、上記と同じものが挙げられる。
【0045】
本発明のオレフィン系樹脂組成物において、(B)成分の配合量は、オレフィン重合体100質量部に対する配合量は、0.001質量部~10質量部であり、0.005質量部~1質量部の範囲が好ましく、0.01~0.5質量部の範囲がより好ましい。0.001質量部未満では、本発明の効果が得られない場合があり、10質量部以上の場合、組成物を成形して得られる成形品が着色する場合がある。
【0046】
本発明のオレフィン系樹脂組成物は、残留するアルミニウム分が、オレフィン重合体1kgに対し、0.01mol以下である。0.01molを超えると得られるオレフィン重合体が着色して成形品の外観を損ねる場合がある。一方、0.001mol未満とするには、得られる重合体の洗浄を繰り返す必要があり、製造コストが過大になって不経済である。好適には、オレフィン重合体1kgに対し、0.001~0.009mol以下である。
【0047】
次に、本発明のオレフィン系樹脂組成物の製造方法について、説明する。本発明のオレフィン系樹脂組成物の製造方法は、(A)成分の一種以上と有機アルミニウム化合物(C)(以下、「(C)成分」とも称す)とを、特定のモル比でブレンドしたものをオレフィンモノマーの重合前または重合中に添加して、オレフィンモノマーを重合する第一の工程と、得られたオレフィン重合体に対して、(B)成分を配合して、押出機で溶融混練する第二の工程を有することに特徴を有する。ここで、第一工程には、(A)成分の一種以上と(C)成分および有機溶剤との混合溶媒との比率を、特定のモル比でブレンドしたものをオレフィンモノマーの重合前または重合中に添加して、オレフィンモノマーを重合する場合も含む。
【0048】
本発明のオレフィン系樹脂組成物の製造方法において、(C)成分は、(A)成分をマスキングして重合触媒に対する悪影響を排除することを目的として使用される。(C)成分としては、水、アルコール、酸等の水素供与性化合物で処理することにより、マスキングされた(A)成分が、再生可能となる有機アルミニウム化合物を用いることが好ましい。
【0049】
このような有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムハイドライド等が使用できるが、アルキルアルミニウムが好ましく、特に好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-へキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム等が挙げられる。
【0050】
上記有機アルミニウム化合物はいずれも混合物として使用することができる。また、アルキルアルミニウムまたはアルキルアルミニウムハイドライドと水との反応によって得られるアルミノキサンも同様に使用することができる。
【0051】
本発明のオレフィン系樹脂組成物の製造方法において、(A)成分と(C)成分とのモル比が、(C)成分のアルミニウム分/(A)成分=0.40~1.30の範囲であり、0.6~1.1の範囲が好ましい。モル比が、0.40未満の場合、過剰の(A)成分によって重合が阻害される場合があり、モル比が、1.30を超える場合、得られる重合体にアルミニウム分が残留し、これを用いた成形品の透明性が悪化する場合がある。
【0052】
本発明のオレフィン系樹脂組成物においては、本発明の効果を損なわない範囲で(A)成分を、有機溶剤と混合してから(C)成分とブレンドするか、あらかじめ(C)成分と有機溶剤とをブレンドしたものに、(A)成分を添加してブレンドしてもよい。かかる有機溶剤としては、脂肪族および芳香族炭化水素化合物が挙げられる。脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、イソオクタンおよび精製ケロシン等の飽和炭化水素化合物、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の環状飽和炭化水素化合物等が挙げられ、芳香族炭化水素化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびキシレン等の化合物が挙げられる。これら有機溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
溶媒中の(C)成分の濃度は、0.001~0.5mol/Lの範囲が好ましく、特に好ましくは、0.01~0.1mol/Lである。
【0054】
本発明のオレフィン系樹脂組成物の製造方法は、上記オレフィンモノマーの重合前または重合中に、(A)成分を(C)成分または(C)成分と有機溶剤とブレンドしたものを配合して、オレフィンモノマーを重合する工程を有する。オレフィンモノマーと(A)成分の比率は、オレフィンモノマーを重合して得られるオレフィン重合体100質量部に対して、(A)成分が0.001~10質量部となるように調整すればよい。
【0055】
オレフィン重合体に対して、(A)成分を上記の配合量に調整する方法としては、(A)成分を加えずに重合した場合の重合活性を求め、得られる重合体に対して、所望の配合量の(A)成分になるように、(A)成分を(C)成分または(C)成分と有機溶媒に溶解させたものを加えて、(A)成分を加えなかった場合と同一条件で重合する方法を採用することができる。また、各成分の添加量を調整する機器を重合設備に導入して、(A)成分が上記配合量になるように調整して重合するものであってもよい。
【0056】
(A)成分をオレフィンモノマーの重合前または重合中に添加する場合は、(A)成分および(C)成分を混合したものであってもよく、有機溶媒中に(A)成分を分散させてから(C)成分を加えて、(A)成分を溶解させたものであってもよい。これにより(A)成分が、(C)成分によりマスキングされると考えられる。
【0057】
(A)成分を添加する箇所は、特に限定されず、例えば、重合系、触媒系、配合管のいずれにも添加することができる。
【0058】
オレフィンモノマーの重合は、重合触媒の存在下で、窒素等の不活性ガス雰囲気中にて行うことができるが、上記の有機溶剤中で行ってもよい。また、重合を阻害しない範囲で、活性水素化合物、微粒子状担体、有機アルミニウム化合物、イオン交換性層状化合物、無機珪酸塩を添加してもよい。
【0059】
本発明のオレフィン系樹脂組成物の製造方法においては、上記重合触媒は、特に限定されるものではなく、公知の重合触媒を利用可能であり、例えば、周期表第3~11族の遷移金属(例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、鉄、ニッケル、鉛、白金、イットリウム、サマリウム等)の化合物が挙げられ、代表的なものとしては、チーグラー触媒、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分からなるチーグラー・ナッタ触媒、少なくとも一個のシクロペンタジエニル骨格を有する周期表第4族~第6族の遷移金属化合物と助触媒成分からなるメタロセン触媒、クロム系触媒等を用いることができる。
【0060】
本発明のオレフィン系樹脂組成物の製造方法においては、オレフィンモノマーの重合方法は、特に制限がなく公知の方法を採用することができ、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ガソリン留分、水素化ジーゼル留分等の不活性溶媒中での重合であるスラリー重合法、重合を気相中で実施する気相重合法、オレフィンモノマー自体を溶媒として使用するバルク重合法、ポリマーを液状で生成させる溶液重合法、若しくはこれらを組み合わせた重合法、一段重合法または多段重合法によって、オレフィンモノマーを重合して、オレフィン単独重合体を製造する方法や、プロピレンと、炭素原子数2~12のオレフィン単位からなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィン(プロピレンを除く)単位を共重合して共重合体を製造する方法の重合方法が挙げられ、また、バッチ式、連続式の生産方式を区別なく採用することができる。
【0061】
上記重合法で用いられる重合槽としては、既存の重合設備における連続反応槽をそのまま使用すればよく、サイズ、形状、材質等は、従来の重合設備に対して特に限定することなく用いることができる。
【0062】
本発明のオレフィン系樹脂組成物は、発明の効果を著しく損なわない範囲で、任意で公知の添加剤(例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン化合物、核剤、難燃剤、充填剤、ハイドロタルサイト、帯電防止剤、蛍光増白剤、顔料、染料等)を含有することができる。
【0063】
また、本発明のオレフィン系樹脂組成物の製造方法において重合に悪影響を与えない範囲において、必要に応じて、公知の添加剤をオレフィンモノマーの重合時に添加することができる。オレフィンモノマーの重合時に添加する場合において、(C)成分と混合・撹拌したものを用いてもよい。この方法による反応において、副生した化合物が重合物へ影響しない場合はそのまま用いることができるが、副生した化合物が重合物へ悪影響を与える場合は、これらの化合物を減圧留去等により取り除いてから用いることが好ましい。また、オレフィンの重合後に公知の添加剤を配合するものであってもよい。
【0064】
また、その他の添加剤が、直接添加すると重合に悪影響があるものであっても、有機アルミニウム化合物でマスキングすることによって、重合に対する影響を抑制できる場合は、本発明のオレフィン樹脂組成物の製造方法に用いることができる。
【0065】
その他の添加剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン化合物、核剤、難燃剤、充填剤、ハイドロタルサイト、帯電防止剤、蛍光増白剤、顔料、染料等が挙げられる。
【0066】
フェノール系酸化防止剤は、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2-tert-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、スチレン化フェノール、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-チオビス-(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2-メチル-4,6-ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノール、2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール)、イソオクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド、2,2’-オキサミド-ビス[エチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2-エチルヘキシル-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-エチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼンプロパン酸およびC13-15アルキルのエステル、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、ヒンダードフェノールの重合物(ADEKA POLYMER ADDITIVES EUROPE SAS社製 商品名AO.OH.98)、2,2’-メチレンビス[6-(1-メチルシクロヘキシル)-p-クレゾール]、2-tert-ブチル-6-(3-tertブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート、6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルベンズ[d,f][1,3,2]-ジオキサホスフォビン、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス[モノエチル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネートカルシウム塩、5,7-ビス(1,1-ジメチルエチル)-3-ヒドロキシ-2(3H)-ベンゾフラノン、とo-キシレンとの反応生成物、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール、DL-a-トコフェノール(ビタミンE)、2,6-ビス(α-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、ビス[3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-フェニル)ブタン酸]グリコールエステル、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジフェニル-4-オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、2-オクチルチオ-4,6-ジ(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-s-トリアジン、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ビス[3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’-ブチリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、ビス[2-tert-ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-tert-ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリス[(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2-tert-ブチル-4-メチル-6-(2-アクリロイルオキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェノール、3,9-ビス[2-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルヒドロシンナモイルオキシ)-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、ステアリル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、パルミチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ミリスチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ラウリル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド等の3-(3,5-ジアルキル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸誘導体等が挙げられる。フェノール系酸化防止剤を配合する場合の配合量は、オレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001~5質量部であることが好ましく、0.03~3質量部がより好ましい。
【0067】
リン系酸化防止剤は、例えば、トリフェニルホスファイト、ジイソオクチルホスファイト、ヘプタキス(ジプロピレングリコール)トリホスファイト、トリイソデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジフェニルホスファイト、トリス(ジプロピレングリコール)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジオレイルヒドロゲンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(トリデシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジノニルフェニルビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト、テトラフェニルジプロピルグリコールジホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチル-5-メチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2-tert-ブチル-4-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニルチオ)-5-メチルフェニル〕ホスファイト、トリ(デシル)ホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールとステアリン酸カルシウム塩との混合物、アルキル(C10)ビスフェノールAホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニル-テトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4’-n-ブチリデンビス(2―tert-ブチル-5-メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10-ジハイドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、(1-メチル-1―プロペニル-3-イリデン)トリス(1,1-ジメチルエチル)-5-メチル-4,1-フェニレン)ヘキサトリデシルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-オクタデシルホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)フルオロホスファイト、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、トリス(2-〔(2,4,8,10-テトラキス-tert-ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ〕エチル)アミン、3,9-ビス(4-ノニルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスフェススピロ[5,5]ウンデカン、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル-2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールホスファイト、ポリ4,4’-イソプロピリデンジフェノールC12-15アルコールホスファイト等が挙げられる。リン系酸化防止剤を配合する場合の配合量は、オレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001~10質量部であることが好ましく、0.01~0.5質量部がより好ましい。
【0068】
チオエーテル系酸化防止剤は、例えば、テトラキス[メチレン-3-(ラウリルチオ)プロピオネート]メタン、ビス(メチル-4-[3-n-アルキル(C12/C14)チオプロピオニルオキシ]5-tert-ブチルフェニル)スルファイド、ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオネート、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ラウリル/ステアリルチオジプロピオネート、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、2,2’-チオビス(6-tert-ブチル-p-クレゾール)、ジステアリル-ジサルファイドが挙げられる。チオエーテル系酸化防止剤を配合する場合の配合量は、オレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001~10質量部であることが好ましく、0.01~0.5質量部がより好ましい。
【0069】
紫外線吸収剤は、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、5,5’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)等の2-ヒドロキシベンゾフェノン類;2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス(4-tert-オクチル-6-ベンゾトリアゾリルフェノール)、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-アクリロイルオキシエチル)-5-メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-ブチルフェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-tert-アミル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(2-メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2-エチル-2’-エトキシオキザニリド、2-エトキシ-4’-ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル-α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、メチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;各種の金属塩、または金属キレート、特にニッケル、クロムの塩、またはキレート類等が挙げられる。紫外線吸収剤を配合する場合の配合量は、オレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001~10質量部であることが好ましく、0.01~0.5質量部がより好ましい。
【0070】
ヒンダードアミン化合物は、例えば、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルステアレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)・ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-ブチル-2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノ-ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-モルホリノ-s-トリアジン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-tert-オクチルアミノ-s-トリアジン重縮合物、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8-12-テトラアザドデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕アミノウンデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕アミノウンデカン、ビス{4-(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル)ピペリジル}デカンジオナート、ビス{4-(2,2,6,6-テトラメチル-1-ウンデシルオキシ)ピペリジル)カーボナート、BASF社製TINUVIN NOR 371等が挙げられる。ヒンダードアミン化合物を配合する場合の配合量は、オレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001~10質量部であることが好ましく、0.01~0.5質量部がより好ましい。
【0071】
核剤は、例えば、安息香酸ナトリウム、4-tert-ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウムおよび2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボキシレート等のカルボン酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p-エチルベンジリデン)ソルビトール、およびビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,2,3-トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-O-((4-プロピルフェニル)メチレン)ノニトール等のポリオール誘導体、N,N’,N”-トリス[2-メチルシクロヘキシル]-1,2,3-プロパントリカルボキサミド、N,N’,N”-トリシクロヘキシル-1,3,5-ベンゼントリカルボキサミド、N,N’-ジシクロヘキシルナフタレンジカルボキサミド、1,3,5-トリ(ジメチルイソプロポイルアミノ)ベンゼン等のアミド化合物等を挙げることができる。核剤を配合する場合の配合量は、オレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001~10質量部であることが好ましく、0.01~5質量部がより好ましい。
【0072】
難燃剤は、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル-2,6-ジキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、(1-メチルエチリデン)-4,1-フェニレンテトラフェニルジホスフェート、1,3-フェニレンテトラキス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフェート、株式会社ADEKA製商品名アデカスタブFP-500、株式会社ADEKA製商品名アデカスタブFP-600、株式会社ADEKA製商品名アデカスタブFP-800等の芳香族リン酸エステル、フェニルホスホン酸ジビニル、フェニルホスホン酸ジアリル、フェニルホスホン酸(1-ブテニル)等のホスホン酸エステル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド誘導体等のホスフィン酸エステル、ビス(2-アリルフェノキシ)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン等のホスファゼン化合物、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン、ポリリン酸ピペラジン、リン含有ビニルベンジル化合物および赤リン等のリン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、1,2-ジブロモ-4-(1,2-ジブロモエチル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレンおよび2,4,6-トリス(トリブロモフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、トリブロモフェニルマレイミド、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、テトラブロモビスフェノールA型ジメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、および、臭素化スチレン等の臭素系難燃剤等を挙げることができる。これら難燃剤はフッ素樹脂等のドリップ防止剤や多価アルコール、ハイドロタルサイト等の難燃助剤と併用することが好ましい。難燃剤を配合する場合の配合量は、オレフィン系樹脂100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、10~70質量部がより好ましい。
【0073】
充填剤は、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ガラス粉末、ガラス繊維、クレー、ドロマイト、マイカ、シリカ、アルミナ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラステナイト、繊維状マグネシウムオキシサルフェート等を挙げることができ、粒子径(繊維状においては繊維径や繊維長およびアスペクト比)を適宜選択して用いることができる。また、充填剤は、必要に応じて表面処理したものを用いることができる。充填剤を配合する場合の配合量は、オレフィン系樹脂100質量部に対して、0.01~80質量部であることが好ましく、1~50質量部がより好ましい。
【0074】
ハイドロタルサイト類としては、天然物や合成物として知られるマグネシウム、アルミニウム、水酸基、炭酸基および任意の結晶水からなる複合塩化合物であり、マグネシウムまたはアルミニウムの一部をアルカリ金属や亜鉛等他の金属で置換したものや水酸基、炭酸基を他のアニオン基で置換したものが挙げられ、具体的には、例えば、下記一般式(3)で表されるハイドロタルサイトの金属をアルカリ金属に置換したものが挙げられる。また、Al―Li系のハイドロタルサイト類としては、下記一般式(4)で表される化合物も用いることができる。
【0075】
【0076】
ここで、一般式(3)中、x1およびx2はそれぞれ下記式、
0≦x2/x1<10,2≦x1+x2≦20
で表される条件を満たす数を表し、pは0または正の数を表す。
【0077】
【0078】
ここで、一般式(4)中、Aq-は、q価のアニオンを表し、pは0または正の数を表す。また、ハイドロタルサイト類における炭酸アニオンは、一部を他のアニオンで置換したものでもよい。
【0079】
ハイドロタルサイト類は、結晶水を脱水したものであってもよく、ステアリン酸等の高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩等の高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩等の有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルまたはワックス等で被覆されたものであってもよい。
【0080】
ハイドロタルサイト類は、天然物であってもよく、また合成品であってもよい。これらの合成方法としては、特公昭46-2280号公報、特公昭50-30039号公報、特公昭51-29129号公報、特公平3-36839号公報、特開昭61-174270号公報、特開平5-179052号公報等に記載されている公知の方法が挙げられる。また、前記ハイドロタルサイト類は、その結晶構造、結晶粒子等に制限されることなく使用することができる。ハイドロタルサイト類を配合する場合の配合量は、オレフィン系樹脂100質量部に対し、0.001~5質量部であることが好ましく、0.05~3質量部がより好ましい。
【0081】
滑剤は、成形体表面に滑性を付与し傷つき防止効果を高める目的で加えられる。滑剤としては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;ベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド、ブチルステアレート、ステアリルアルコール、ステアリン酸モノグリセライド、ソルビタンモノパルミチテート、ソルビタンモノステアレート、マンニトール、ステアリン酸、硬化ヒマシ油、ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。滑剤を配合する場合の配合量は、オレフィン系樹脂100質量部に対して、0.01~2質量部であることが好ましく、0.03~0.5質量部がより好ましい。
【0082】
帯電防止剤は、例えば、脂肪酸第四級アンモニウムイオン塩、ポリアミン四級塩等のカチオン系帯電防止剤;高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールEO付加物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アニオン型のアルキルスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物リン酸エステル塩等のアニオン系帯電防止剤;多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリコールリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル等のノニオン系帯電防止剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性型アルキルベタイン、イミダゾリン型両性活性剤等の両性帯電防止剤が挙げられる。帯電防止剤は単独で用いてもよく、また、2種類以上の帯電防止剤を組み合わせて用いてもよい。帯電防止剤を配合する場合の配合量は、オレフィン系樹脂100質量部に対して、0.01~20質量部であることが好ましく、3~10質量部がより好ましい。
【0083】
蛍光増白剤とは、太陽光や人工光の紫外線を吸収し、これを紫~青色の可視光線に変えて輻射する蛍光作用によって、成形体の白色度や青味を助長させる化合物である。蛍光増白剤としては、ベンゾオキサゾール系化合物 C.I.Fluorescent Brightner184;クマリン系化合物 C.I.Fluorescent Brightner52;ジアミノスチルベンジルスルフォン系化合物 C.I.Fluorescent Brightner24、85、71等が挙げられる。蛍光増白剤を用いる場合の配合量は、オレフィン系樹脂100質量部に対して、0.00001~0.1質量部であることが好ましく、0.00005~0.05質量部がより好ましい。
【0084】
顔料は、市販の顔料を用いることもでき、例えば、ピグメントレッド1、2、3、9、10、17、22、23、31、38、41、48、49、88、90、97、112、119、122、123、144、149、166、168、169、170、171、177、179、180、184、185、192、200、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254;ピグメントオレンジ13、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、65、71;ピグメントイエロー1、3、12、13、14、16、17、20、24、55、60、73、81、83、86、93、95、97、98、100、109、110、113、114、117、120、125、126、127、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、166、168、175、180、185;ピグメントグリーン7、10、36;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、22、24、29、56、60、61、62、64;ピグメントバイオレット1、15、19、23、27、29、30、32、37、40、50等が挙げられる。
【0085】
染料としては、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料、スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等の染料等が挙げられ、これらは複数を混合して用いてもよい。
【0086】
その他の添加剤を、オレフィン重合体に対する配合方法は、オレフィン重合体とブレンドしてから、ニーダー、ロールミル、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機等を用いて溶融混練することができるが、操作性の面で単軸押出機、二軸押出機を用いることが好ましい。二軸押出機を用いる場合、スクリュー回転方向が同方向、異方向の区別無く用いることができる。また、品質や作業環境の改善のために不活性ガスによる置換や一段および多段ベントで脱気することが好ましい。
【0087】
本発明の成形品は、本発明のオレフィン系樹脂組成物が成形されてなるものである。そして、本発明のオレフィン系樹脂の製造方法で得られたオレフィン系樹脂組成物は、オレフィン系樹脂の公知の成形方法を用いて成形品を得ることができる。公知の成形方法としては、押出成形、射出成形、中空成形、ブロー成形、圧縮成形等の公知の成形方法で成形することができ、食品用容器、化粧品・医療品容器、食品用ボトル、飲料用ボトル、食用油ボトル、調味料ボトル等のボトル、食品用包装材、ラッピング材、輸送用包装材等の包装材料、シート・フィルム、繊維、日用雑貨、玩具、自動車材料、家電材料等の成形品を容易に得ることができる。また、ガラス繊維、カーボン繊維等を配合して繊維強化プラスチックとしてもよい。
【実施例】
【0088】
以下、製造例、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例等によって何ら制限されるものではない。
【0089】
((A)成分溶液の調製)
窒素雰囲気下のグローブボックス内のフラスコに、化合物1(ヒドロキシ-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート)6.9g、ヘキサン331.0mLおよびトリエチルアルミニウム1mol/Lヘプタン溶液14.2mLを加え、混合撹拌して化合物1が20mg/mLの(A)成分の均一溶液を調製した。
【0090】
((A)-2成分溶液の調製)
窒素雰囲気下のグローブボックス内のフラスコに、化合物1(ヒドロキシ-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート)6.9g、ヘキサン326.8mLおよびトリエチルアルミニウム1mol/Lヘプタン溶液18.4mLを加え、混合撹拌して化合物1が20mg/mLの(A)-2成分の均一溶液を調製した。
【0091】
(重合)
〔実施例1、実施例2、実施例3、実施例4〕
窒素置換した17L耐圧反応槽に、トリエチルアルミニウム1mol/Lヘプタン溶液10mL、シクロヘキシルジメトキシシラン1mol/Lヘプタン溶液1.0mL、チーグラー触媒5質量%オイルスラリー3.3g、先に調製した(A)成分溶液を重合体100質量部に対して表1に記載の配合量になるように添加した。水素で0.14MPaGの圧力をかけ、さらにプロピレンで3.7MPaGの圧力をかけ、撹拌を開始し、25℃で3分間プレ重合した。その後、70℃まで昇温し、70℃で1時間重合反応を行った。エタノール50mLを加え重合反応を停止させた後、溶媒は窒素雰囲気下でフレアラインに移送し、脱溶媒した。次いで、真空中、40℃でポリマーを乾燥することにより、重合体を得た。得られた重合体の重合活性は、触媒1gあたり、26.0kgであった。
【0092】
〔比較例1、比較例2、比較例3〕
窒素置換した17L耐圧反応槽に、ヘプタン10L、トリエチルアルミニウム1mol/Lヘプタン溶液38mL、シクロヘキシルジメトキシシラン1mol/Lヘプタン溶液3.8mL、チーグラー触媒5質量%オイルスラリー6.8g、先に調製した(A)成分溶液を重合体100質量部に対して表1に記載の配合量になるように添加し、約2分間撹拌した。水素で0.06MPaGの圧力をかけ、さらにプロピレンで0.1MPaGの圧力をかけ、25℃で3分間プレ重合した。その後、70℃まで昇温し、プロピレンで0.6MPaGの圧力をかけ、70℃で1時間重合反応を行った。エタノール50mLを加え重合反応を停止させた後、溶媒は窒素雰囲気下でフレアラインに移送し、脱溶媒した。次いで、真空中、40℃でポリマーを乾燥することにより、重合体を得た。得られた重合体の重合活性は、触媒1gあたり、8.0kgであった。
【0093】
〔比較例4〕
(A)成分溶液を、(A)-2成分溶液に変更したこと以外は、比較例1と同様にして実施し、重合体を得た。得られた重合体の重合活性は、触媒1g当たり、8.0kgであった。
【0094】
【表1】
化合物1:ヒドロキシ-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート
【0095】
(アルミニウム分)
上記の重合反応で得られた重合体パウダーを用いて、ICP発光分光分析装置SPS3500(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)にて、重合体中のアルミニウム分を求めた。この結果について表1に示す。
【0096】
(透明性の評価)
得られた重合体100質量部に対し、表2記載の添加剤を添加・混合し、二軸押出機(装置:株式会社日本製鋼所製TEX28V、押出温度:230℃、スクリュー回転速度:150rpm)で溶融混練してストランドを得て、ペレタイズした。そして、射出成形機(装置:東芝機械株式会社製EC-220)を用いて、射出温度230℃、金型温度40℃の条件で射出成形して、60mm×60mm×1mmの平板状試験片を作製した。得られた平板状試験片は、射出成形後23℃の恒温槽で48時間以上静置してから、ヘイズ・ガードII(株式会社東洋精機製作所製)にて、試験片のHazeを求めた。これらの結果について表1に示す。
【0097】
(色調の評価)
得られた重合体100質量部に対し、表2記載の添加剤を添加・混合し、二軸押出機(装置:株式会社日本製鋼所製TEX28V、押出温度:230℃、スクリュー回転速度:150rpm)で溶融混練してストランドを得て、ペレタイズした。そして、射出成形機(装置:東芝機械株式会社製EC-220)を用いて、射出温度230℃、金型温度40℃の条件で射出成形して、60mm×60mm×1mmの平板状試験片を作製した。得られた平板状試験片は、射出成形後23℃の恒温槽で48時間以上静置してから、積分球分光光度計CE-7000A(X-rite社製)にて、試験片のYIを求めた。これらの結果について、それぞれ表2に示す。
【0098】
【表2】
化合物1:ヒドロキシ-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート
AO-1:テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン
AO-2:トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト
Na-St:ステアリン酸ナトリウム
Li-My:ミリスチン酸リチウム
【0099】
比較例1~4より、オレフィン重合体1kgあたり、0.01molを超えるアルミニウム分が含まれるオレフィン系樹脂組成物を用いて成形した場合、試験片の着色が多く、透明性が満足できるものではなかった。これらに対し、本発明のオレフィン系樹脂組成物を用いた成形品は、着色を抑制することができ、透明性も良好であることを確認できた。