IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 古河電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-医療器具および医療装置 図1
  • 特許-医療器具および医療装置 図2
  • 特許-医療器具および医療装置 図3
  • 特許-医療器具および医療装置 図4
  • 特許-医療器具および医療装置 図5
  • 特許-医療器具および医療装置 図6
  • 特許-医療器具および医療装置 図7
  • 特許-医療器具および医療装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】医療器具および医療装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20220926BHJP
   A61M 39/02 20060101ALI20220926BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20220926BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20220926BHJP
【FI】
A61M37/00 560
A61M39/02 102
H02J50/10
H02J50/90
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021167504
(22)【出願日】2021-10-12
【審査請求日】2022-06-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】八木 健
(72)【発明者】
【氏名】横山 浩一
(72)【発明者】
【氏名】玉岡 弘行
(72)【発明者】
【氏名】賀屋 秀介
(72)【発明者】
【氏名】後藤 聡敏
(72)【発明者】
【氏名】末松 克輝
(72)【発明者】
【氏名】樋村 敦司
(72)【発明者】
【氏名】奈良 一孝
(72)【発明者】
【氏名】荒井 恒憲
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-29935(JP,A)
【文献】特開2016-59801(JP,A)
【文献】特開2021-45499(JP,A)
【文献】特開2022-108001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
A61M 39/02
H02J 50/10
H02J 50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内に埋め込まれる医療器具であって、
上面が開口されて厚さ方向に延びる凹部を有し、前記凹部に液体を貯留可能な本体部と、
前記本体部の前記凹部の開口を閉鎖する蓋部と、
送電コイルから送られる電力を受ける受電コイルを有する受電リングと、
前記本体部における前記凹部の外周側に沿って配置され、前記受電コイルで受けた電力によって発光する複数の発光部と、を備え、
前記本体部には、前記凹部の底部側から前記凹部の外周側に向かって延びる液体流通路が形成され、
前記受電コイルおよび前記受電リングは、前記本体部における前記凹部の外周側を囲むとともに、周方向における前記液体流通路が位置する部分が、前記本体部における前記液体流通路よりも上側に位置し、周方向における前記液体流通路が位置する部分と対向する部分が、前記本体部における前記凹部の底部側に位置するように、前記本体部に対して傾斜した姿勢で前記本体部に配置される
医療器具。
【請求項2】
複数の前記発光部は、前記受電リングと一体に形成されている
請求項1に記載の医療器具。
【請求項3】
複数の前記発光部は、光を発する方向である照射方向が前記本体部の厚さ方向と平行をなすように前記受電リングに取り付けられる
請求項2に記載の医療器具。
【請求項4】
前記受電リングは、前記発光部の照射方向を規制する照射方向規制部を有している
請求項2に記載の医療器具。
【請求項5】
複数の前記発光部は、それぞれ、前記本体部の厚さ方向における上面からの距離に応じて輝度が設定される
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項6】
前記受電リングは、楕円環状に形成されている
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項7】
複数の前記発光部は、前記本体部における前記蓋部の外周側に沿って配置され、導線を介して前記受電リングに接続されている
請求項1に記載の医療器具。
【請求項8】
電力を送る送電コイルを有する生体外ユニットと、前記生体外ユニットから送られる電力を受ける受電コイルを有する受電リングを有し、生体内に埋め込まれる医療器具と、を備えた医療装置であって、
前記医療器具は、
上面が開口されて厚さ方向に延びる凹部を有し、前記凹部に液体を貯留可能な本体部と、
前記本体部の前記凹部の開口を閉鎖する蓋部と、
前記本体部における前記凹部の外周側に沿って配置され、前記受電コイルで受けた電力によって発光する複数の発光部と、を具備し、
前記本体部には、前記凹部の底部側から前記凹部の外周側に向かって延びる液体流通路が形成され、
前記受電コイルおよび前記受電リングは、前記本体部における前記凹部の外周側を囲むとともに、周方向における前記液体流通路が位置する部分が、前記本体部における前記液体流通路よりも上側に位置し、周方向における前記液体流通路が位置する部分と対向する部分が、前記本体部における前記凹部の底部側に位置するように、前記本体部に対して傾斜した姿勢で前記本体部に配置される
医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内に埋め込まれる医療器具および医療装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生体内に埋め込まれる医療器具としては、液体を貯留可能な凹部を有する本体部と、本体部の凹部の開口を閉鎖する蓋部と、生体外ユニットから送られる電力を受ける受電コイルを有する受電リングと、前記本体部における凹部の外周側に沿って配置され、受電リングで受けた電力によって発光する複数の発光部と、を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-182679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生体内に埋め込まれる医療器具は、生体に対する侵襲性の低減を図る観点から、より小型であることが要求される。一方、生体内に埋め込まれる医療器具は、生体外ユニットの送電コイルから送電された電力を医療器具の内部に配置されている受電コイルで非接触に受電するものであるため、電力の伝送効率の観点から、受電コイルの外径を大きく形成することが要求される。即ち、受電コイルの外径を大きく形成すると、医療器具が大型化してしまい、医療器具の大きさを維持または小型化の要請に応えられなくなる。
【0005】
そこで、本発明の目的とするところは、受電コイルの大きさを維持しつつ、電力の伝送効率を低下させることなく、器具全体の大きさの維持を図り、または、さらなる小型化を図ることのできる医療器具および医療装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る医療器具は、生体内に埋め込まれる医療器具であって、上面が開口されて厚さ方向に延びる凹部を有し、前記凹部に液体を貯留可能な本体部と、前記本体部の前記凹部の開口を閉鎖する蓋部と、送電コイルから送られる電力を受ける受電コイルを有する受電リングと、前記本体部における前記凹部の外周側に沿って配置され、前記受電コイルで受けた電力によって発光する複数の発光部と、を備え、前記本体部には、前記凹部の底部側から前記凹部の外周側に向かって延びる液体流通路が形成され、前記受電コイルおよび前記受電リングは、前記本体部における前記凹部の外周側を囲むとともに、周方向における前記液体流通路が位置する部分が、前記本体部における前記液体流通路よりも上側に位置し、周方向における前記液体流通路が位置する部分と対向する部分が、前記本体部における前記凹部の底部側に位置するように、本体部に対して傾斜した姿勢で前記本体部に配置される。
【0007】
また、本発明に係る医療器具は、複数の前記発光部が、前記受電リングと一体に形成されている。
【0008】
また、本発明に係る医療器具は、複数の前記発光部が、光を発する方向である照射方向が前記本体部の厚さ方向と平行をなすように前記受電リングに取り付けられる。
【0009】
また、本発明に係る医療器具は、前記受電リングが、前記発光部の照射方向を規制する照射方向規制部を有している。
【0010】
また、本発明に係る医療器具は、複数の前記発光部が、それぞれ、本体部の厚さ方向における上面からの距離に応じて輝度が設定される。
【0011】
また、本発明に係る医療器具は、前記受電リングが、楕円環状に形成されている。
【0012】
また、本発明に係る医療器具は、複数の前記発光部が、前記本体部における前記蓋部の外周側に沿って配置され、導線を介して前記受電リングに接続されている。
【0013】
また、本発明に係る医療装置は、電力を送る送電コイルを有する生体外ユニットと、前記生体外ユニットから送られる電力を受ける受電コイルを有する受電リングを有し、生体内に埋め込まれる医療器具と、を備えた医療装置であって、前記医療器具は、上面が開口されて厚さ方向に延びる凹部を有し、前記凹部に液体を貯留可能な本体部と、前記本体部の前記凹部の開口を閉鎖する蓋部と、前記本体部における前記凹部の外周側に沿って配置され、前記受電コイルで受けた電力によって発光する複数の発光部と、を具備し、前記本体部には、前記凹部の底部側から前記凹部の外周側に向かって延びる液体流通路が形成され、前記受電コイルおよび前記受電リングは、前記本体部における前記凹部の外周側を囲むとともに、周方向における前記液体流通路が位置する部分が、前記本体部における前記液体流通路よりも上側に位置し、周方向における前記粒体流通路が位置する部分と対向する部分が、前記本体部における前記凹部の底部側に位置するように、本体部に対して傾斜した姿勢で前記本体部に配置される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、本体部の径方向の大きさよりも大きい外径寸法の受電コイルを、本体部の内側に配置することが可能となり、受電コイルを小径化しないので、生体外ユニットの送電コイルから受電コイルへの電力の伝送効率の低下を抑制しつつ、本体部を外径方向および厚さ方向に現状の大きさを変更せずに維持を図ることができ、さらに、小型化を図ることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る医療装置の側面断面図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係る医療器具の斜視図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態に係る医療器具の分解斜視図である。
図4図4は、本発明の第2実施形態に係る照射方向規制部を説明する図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態に係る照射方向規制部を説明する図である。
図6図6は、本発明の第3実施形態に係る第1乃至第3発光部の輝度の調整方法を説明するブロック図である。
図7図7は、本発明の第4実施形態に係る受電リングの平面図である。
図8図8は、本発明の第5実施形態に係る医療器具の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
図1乃至図3は、本発明の第1実施形態を示すものである。図1は医療装置の側面断面図であり、図2は医療器具の斜視図であり、図3は医療器具の分解斜視図である。
【0017】
本実施形態の医療装置1は、図1に示すように、人または動物等の生体内に埋め込まれた状態で用いられる医療器具10と、医療器具10に対して電力を供給するための生体外ユニット20と、を有している。医療装置1は、生体外ユニット20から医療器具10に対して、非接触で電力を供給する。
【0018】
医療器具10は、生体の心臓の近傍に位置する中心静脈に薬液を注入する中心静脈カテーテルの一種である皮下埋込型ポート(CVポート)である。医療器具10は、図1乃至図3に示すように、薬液等の液体を貯留可能な凹部11aを有する本体部11と、本体部11の凹部11aの開口を閉鎖する蓋部12と、生体外ユニット20から送られる電力を受ける受電リング13と、受電リング13で受けた電力によって発光する複数の発光部14と、一端が本体部11の凹部11aに連通し、他端側が生体の中心静脈に挿入される図示しないカテーテルと、を備えている。
【0019】
本体部11は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の樹脂材料からなり、略円錐台状に形成されている。本体部11は、上面が開口されて底面側に向かって直線状に延びる凹部11aが形成され、凹部11aに液体が貯留される。本体部11は、上部側部材11bと下部側部材11cとからなり、上部側部材11bと下部側部材11cとの間に形成される空間11dに受電リング13および複数の発光部14が収容され、上部側部材11bと下部側部材11cとの間に蓋部12の外周部が挟持される。空間11dは、凹部11aの外周側を囲むように環状に形成されている。下部側部材11cには、凹部11aの底部側から外周側に向かって延びるように設けられ、凹部11aに貯留された液体が流通する液体流通路11c1が形成されている。液体流通路11c1には、カテーテルの一端が接続される。尚、凹部11aは、薬液タンク等と称されることもある。
【0020】
蓋部12は、注射針を繰り返し刺し通すことが可能な、例えばシリコーンゴム等の軟質部材からなる。蓋部12は、円柱形状の蓋本体12aと、蓋本体12aの外周部の周方向にわたって外側に延出するフランジ部12bと、を有している。蓋本体12aは、生体の外側から注射針が繰り返し刺し通される部分である。また、フランジ部12bは、本体部11の上部側部材11bと下部側部材11cとの間に挟持される部分である。
【0021】
受電リング13は、例えば銅製の導線あるいは箔を繰り返し巻き回すことによって環状に形成した受電コイルと、受電コイルが接続された図示しない共振回路と、を有し、全体が樹脂によって覆われた環状の部材である。受電リング13は、外径寸法が、本体部11の上部側の外径寸法よりも大きく形成されている。受電リング13は、本体部11の空間11dに収容された状態で、凹部11aの外周側を囲むとともに、周方向における液体流通路11c1が位置する部分が、本体部11における液体流通路11c1よりも上側に位置し、周方向における液体流通路11c1と対向する部分が、本体部11における凹部11aの底部側に位置するように、本体部11に対して傾斜した姿勢で本体部11に配置される。具体的には、受電リング13の径方向の中心を通ると共に径方向に対して直交する直線C1が、本体部11の厚さ方向に延びる軸C2に対して傾斜角度αを成している。受電リング13の傾斜角度αは、例えば、3度以上12度以下の範囲内に設定される。受電リング13の傾斜角度αは、90度未満であれば、受電リング13と生体外ユニット20との間における電力の伝送が可能である。
【0022】
複数の発光部14は、それぞれ、例えば、電圧を印加することによって発光するLED(Light Emitting Diode)であり、受電リング13と一体に形成されている。具体的には、複数の発光部14は、図3に示すように、第1発光部14a、第2発光部14bおよび第3発光部14cとからなり、それぞれ、受電リング13の上面において、周方向に間隔をおいて配置され、受電リング13と共に本体部11の空間11dに収容されている。空間11dに収容された第1発光部14a、第2発光部14bおよび第3発光部14cは、平面視において、蓋部12の外周側に沿って配置されている。また、第1発光部14a、第2発光部14bおよび第3発光部14cは、それぞれ、光を発する方向である照射方向が、本体部11の厚さ方向に延びる軸C2と平行を成して本体部11の上方に向くように、受電リング13に取り付けられる。
【0023】
生体外ユニット20は、図1に示すように、人が手で把持可能な大きさの筐体21と、筐体21の内部に設けられた送電部22と、を備えている。送電部22は、例えば銅製の導線を繰り返し巻き回すことによって環状に形成した送電コイル22aと、送電コイル22aが接続された図示しない共振回路と、を有している。生体外ユニット20は、医療器具10に近づけることによって、送電部22の送電コイル22aと医療器具10の受電リング13の受電コイルとの間で共鳴を生じさせ、送電コイル22aから受電コイルに電力を伝送する。
【0024】
以上のように構成された医療装置1において、医療器具10は、生体内に埋め込まれた状態で使用される。本体部11の凹部11aには、生体の外側から蓋部12を刺し通した状態のヒューバー針等の注射針を介して、生体に投与される薬液等の液体が注入される。本体部11の凹部11aに注入された液体は、液体流通路11c1を通ってカテーテルを流通し、生体の中心静脈内に投与される。
【0025】
また、生体に埋め込まれた医療器具10は、蓋部12に注射針を刺し通す際に、生体における蓋部12の位置を特定する必要がある。このため、生体に埋め込まれた医療器具10の蓋部12に注射針を刺し通す場合には、生体外ユニット20を生体の外側から医療器具10が埋め込まれている部分に近づけ、送電コイル22aに電気を流す。これにより、生体外ユニット20の送電コイル22aが、医療器具10の受電リング13に近づくことによって、送電コイル22aから受電リング13の受電コイルに電力が伝送され、受電コイルで受けた電力によって複数の発光部14が発光する。複数の発光部14は、それぞれ、本体部11の上方に向かって光を照射することによって、蓋部12の外周側から上方に向かって光を照射するため、生体の表面の蓋部12の外周部に光が到達することになり、蓋部12の位置を特定することが可能となる。この状態で、複数の発光部14に囲まれる部分を狙って注射針を刺し通すことにより、確実に注射針を蓋部12に刺し通すことが可能となる。
【0026】
このように、本実施形態の医療器具10によれば、生体内に埋め込まれる医療器具10であって、上面が開口されて厚さ方向に延びる凹部11aを有し、凹部11aに液体を貯留可能な本体部11と、本体部11の凹部11aの開口を閉鎖する蓋部12と、送電コイル22aから送られる電力を受ける受電コイルを有する受電リング13と、本体部11における凹部11aの外周側に沿って配置され、受電リング13で受けた電力によって発光する複数の発光部14と、を備え、本体部11には、凹部11aの底部側から凹部11aの外周側に向かって延びる液体流通路11c1が形成され、受電コイルおよび受電リング13は、本体部11における凹部11aの外周側を囲むとともに、周方向における液体流通路11c1が位置する部分が、本体部11における液体流通路11c1よりも上側に位置し、周方向における液体流通路11c1が位置する部分と対向する部分が、本体部11における凹部11aの底部側に位置するように、本体部11に対して傾斜した姿勢で本体部11に配置される。
【0027】
また、本実施形態の医療装置1は、電力を送る送電コイル22aを有する生体外ユニット20と、生体外ユニット20から送られる電力を受ける受電コイルを有する受電リング13を有し、生体内に埋め込まれる医療器具10と、を備える。医療器具10は、上面が開口されて厚さ方向に延びる凹部11aを有し、凹部11aに液体を貯留可能な本体部11と、本体部11の凹部11aの開口を閉鎖する蓋部12と、本体部11における凹部11aの外周側に沿って配置され、受電コイルで受けた電力によって発光する複数の発光部14と、を具備する。本体部11には、凹部11aの底部側から凹部11aの外周側に向かって延びる液体流通路11c1が形成される。受電コイルおよび受電リング13は、本体部11における凹部11aの外周側を囲むとともに、周方向における液体流通路11c1が位置する部分が、本体部11における液体流通路11c1よりも上側に位置し、周方向における液体流通路11c1が位置する部分と対向する部分が、本体部11における凹部11aの底部側に位置するように、本体部11に対して傾斜した姿勢で本体部11に配置される。
【0028】
これにより、本体部11の径方向の大きさよりも大きい外径寸法の受電コイルを、本体部11の内側に配置することが可能となるので、受電コイルを小径化しないので、生体外ユニット20の送電コイル22aから受電コイルへの電力の伝送効率の低下を抑制しつつ、本体部11を外径方向および厚さ方向に現状の大きさを変更せずに維持を図ることができ、さらに、小型化を図ることも可能となる。
【0029】
また、複数の発光部14は、受電リング13と一体に形成されている、ことが好ましい。
【0030】
これにより、受電リング13および複数の発光部14を一部品として取り扱うことが可能となり、医療器具10の組付け工数の低減を図ることが可能となる。
【0031】
また、複数の発光部14は、光を発する方向である照射方向が本体部11の厚さ方向と平行をなすように受電リング13に取り付けられる、ことが好ましい。
【0032】
これにより、複数の発光部14が取り付けられた受電リング13が本体部11の厚さ方向に対して傾斜した姿勢で取り付けられている状態において、複数の発光部14のそれぞれから発せられる光を、蓋部12の外周側を透過させて生体の表面に到達させることが可能となるので、生体の外側から生体内の蓋部12の位置を確実に特定することが可能となる。
【0033】
<第2実施形態>
図4および図5は本発明の第2実施形態を示すものであり、照射方向規制部を説明する図である。尚、前記実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0034】
本実施形態の医療器具10の複数の発光部14は、受電リング13の上面において、照射方向が受電リング13の上面に対して直交する方向に向けて取り付けられている。
【0035】
また、受電リング13の上面には、複数の発光部14から発せられる光の照射方向を、本体部11の厚さ方向と平行を成して本体部11の上方に向けるための照射方向規制部14d1,14d2,14d3が設けられている。
【0036】
図4および図5(a)に示す照射方向規制部14d1は、傾斜した姿勢の受電リング13の上面における発光部14の下側に配置され、本体部11の厚さ方向と平行を成すように上方に延びる平板状の部材である。照射方向規制部14d1は、金属、樹脂、ガラス等からなり、本体部11の厚さ方向と平行を成す方向以外の方向に照射される光を遮る。
【0037】
また、図5(b)に示す照射方向規制部14d2は、受電リング13の上面において発光部14の外側を周方向にわたって囲むとともに、本体部11の厚さ方向と平行を成すように上方に延びる筒状の部材である。尚、図5(b)に示す照射方向規制部14d2は、角筒状に形成されているが、これに限られるものではなく、円筒状に形成されていてもよい。
【0038】
さらに、図5(c)に示す照射方向規制部14d3は、傾斜している受電リング13の上面における発光部14の下側を囲むように配置され、本体部11の厚さ方向と平行を成すように上方に延びる湾曲した板状の部材である。
【0039】
以上のように構成された医療器具10において、複数の発光部14のそれぞれから発せられる光は、受電リング13の上面に対して直交する方向に照射されるが、照射方向規制部14d1,14d2,14d3によって本体部11の厚さ方向以外の方向に照射される光が遮蔽または反射されて本体部11の厚さ方向の上方に向かってのみ照射される。
【0040】
このように、本実施形態の医療器具10および医療装置1によれば、第1実施形態と同様に、本体部11の径方向の大きさよりも大きい外径寸法の受電コイルを、本体部11の内側に配置することが可能となるので、受電コイルを小径化しないので、生体外ユニット20の送電コイル22aから受電コイルへの電力の伝送効率の低下を抑制しつつ、本体部11を外径方向および厚さ方向に現状の大きさを変更せずに維持を図ることができ、さらに、小型化を図ることも可能となる。
【0041】
また、受電リング13は、発光部14の照射方向を規制する照射方向規制部14d1,14d2,14d3を有している。
【0042】
これにより、本体部11に対して傾斜した姿勢の受電リング13の上面に取り付けられた発光部14から発せられる光を本体部11の厚さ方向と平行を成すように上方に向けることが可能となるので、発光部14のそれぞれから発せられる光を、蓋部12の外周側を透過させて生体の表面に到達させることが可能となるので、生体の外側から生体内の蓋部12の位置を確実に特定することが可能となる。
【0043】
<第3実施形態>
図6は、本発明の第3実施形態を示すものであり、第1乃至第3発光部の輝度の調整方法を説明するブロック図である。尚、前記実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0044】
本実施形態の医療器具10の複数の発光部14は、それぞれ、本体部11の厚さ方向における上面からの距離に応じて輝度が設定される。具体的に説明すると、本体部11の厚さ方向における上面からの距離が大きい発光部14は、距離が小さい発光部14よりも輝度を大きく設定する。
【0045】
第1発光部14a、第2発光部14bおよび第3発光部14cそれぞれの輝度を設定する方法としては、図6に示すように、受電リング13の受電コイルと第1発光部14a、第2発光部14bおよび第3発光部14cとの間のそれぞれの回路に電流調整部15を接続する。
【0046】
電流調整部15は、例えば、抵抗であり、受電コイルから第1発光部14a、第2発光部14bおよび第3発光部14cのそれぞれに流れる駆動電流を調整することによって、第1発光部14a、第2発光部14bおよび第3発光部14cのそれぞれの輝度を設定する。
【0047】
以上のように構成された医療器具10において、第1発光部14a、第2発光部14bおよび第3発光部14cは、それぞれ、本体部11の厚さ方向における上面からの距離が異なる。そこで、第1発光部14a、第2発光部14bおよび第3発光部14cのそれぞれについて、本体部11の上面からの距離が大きくなるに従い輝度が大きくなるように、各電流調整部15の設定を行う。これにより、本体部11の上面に到達する第1発光部14a、第2発光部14bおよび第3発光部14cのそれぞれの光は、均等な明るさに調整される。
【0048】
このように、本実施形態の医療器具10および医療装置1によれば、第1実施形態と同様に、本体部11の径方向の大きさよりも大きい外径寸法の受電コイルを、本体部11の内側に配置することが可能となるので、受電コイルを小径化しないので、生体外ユニット20の送電コイル22aから受電コイルへの電力の伝送効率の低下を抑制しつつ、本体部11を外径方向および厚さ方向に現状の大きさを変更せずに維持を図ることができ、さらに、小型化を図ることも可能となる。
【0049】
また、複数の発光部14は、それぞれ、本体部11の厚さ方向における上面からの距離に応じて輝度が設定される。
【0050】
これにより、本体部11の上面に到達する複数の発光部14のそれぞれの光の明るさを均等な明るさとすることが可能となり、生体の外側から生体内の蓋部12の位置をより確実に特定することが可能となる。
【0051】
尚、第3実施形態では、電流調整部15によって、第1発光部14a、第2発光部14bおよび第3発光部14cのそれぞれの輝度を設定するものを示したが、これに限られるものではない。第1発光部14a、第2発光部14bおよび第3発光部14cとして、本体部11の厚さ方向における上面からの距離に応じた輝度のLEDを用い、第1発光部14a、第2発光部14bおよび第3発光部14cを直接的に受電コイルに接続してもよい。
【0052】
<第4実施形態>
図7は、本発明の第4実施形態を示すものであり、受電リングの平面図である。尚、前記実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0053】
本実施形態の医療器具10の受電リング13´は、本体部11に対して傾斜した状態において、本体部11の平面視において、蓋部12の外周側に沿って延びる円環状である。即ち、受電リング13´は、受電リング13´の径方向の中心を通ると共に径方向に対して直交する直線C1上から見て、図7に示すように、楕円環状となる。受電リング13´は、本体部11に対する傾斜角度が大きくなるに従い、楕円環状の長軸方向の大きさが大きくなる。
【0054】
このように、本実施形態の医療器具10および医療装置1によれば、第1実施形態と同様に、本体部11の径方向の大きさよりも大きい外径寸法の受電コイルを、本体部11の内側に配置することが可能となるので、受電コイルを小径化しないので、生体外ユニット20の送電コイル22aから受電コイルへの電力の伝送効率の低下を抑制しつつ、本体部11を外径方向および厚さ方向に現状の大きさを変更せずに維持を図ることができ、さらに、小型化を図ることも可能となる。
【0055】
また、受電リング13´は、楕円環状に形成されている。
【0056】
これにより、本体部11に対して受電リング13´を傾斜させた姿勢とする際に、受電リング13´の楕円環状の短軸方向の本体部11の大型化を抑制することが可能となる。
【0057】
<第5実施形態>
図8は、本発明の第5実施形態を示すものであり、医療器具の側面断面図である。尚、前記実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0058】
本実施形態の医療器具10の複数の発光部14は、本体部11における蓋部12の外周側に沿って間隔をおいて配置され、銅線等からなる導線16を介して受電リング13に接続されている。
【0059】
複数の発光部14は、それぞれ、本体部11の厚さ方向における同一の位置に配置される。
【0060】
このように、本実施形態の医療器具10および医療装置1によれば、第1実施形態と同様に、本体部11の径方向の大きさよりも大きい外径寸法の受電コイルを、本体部11の内側に配置することが可能となるので、受電コイルを小径化しないので、生体外ユニット20の送電コイル22aから受電コイルへの電力の伝送効率の低下を抑制しつつ、本体部11を外径方向および厚さ方向に現状の大きさを変更せずに維持を図ることができ、さらに、小型化を図ることも可能となる。
【0061】
また、複数の発光部14は、本体部11における蓋部12の外周側に沿って間隔をおいて配置され、導線16を介して受電リング13に接続されている。
【0062】
これにより、本体部11に対して受電リング13を傾斜させた姿勢とした場合においても、複数の発光部14のそれぞれの照射方向、および、本体部11における厚さ方向の位置を同一とすることが可能となるので、複数の発光部14のそれぞれの輝度の設定、および、照射方向の規制を必要としないため、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0063】
1 医療装置
10 医療器具
11 本体部
11a 凹部
12 蓋部
13 受電リング
13´ 受電リング
14 発光部
15 電流調整部
16 導線
20 生体外ユニット
22a 送電コイル
【要約】
【課題】受電コイルの大きさを維持しつつ、電力の伝送効率を低下させることなく、器具全体の大きさの維持を図り、または、さらなる小型化を図ることのできる医療器具および医療装置を提供する。
【解決手段】本体部11には、凹部11aの底部側から凹部11aの外周側に向かって延びる液体流通路11c1が形成され、受電コイルおよび受電リング13は、本体部11における凹部11aの外周側を囲むとともに、周方向における液体流通路11c1が位置する部分が、本体部11における液体流通路11c1よりも上側に位置し、周方向における液体流通路11c1が位置する部分と対向する部分が、本体部11における凹部11aの底部側に位置するように、本体部11に対して傾斜した姿勢で本体部11の内側に配置される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8