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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】排熱回収型バーナ
(51)【国際特許分類】
   F23L 15/00 20060101AFI20220927BHJP
   F23D 14/66 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
F23L15/00 A
F23D14/66 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019059907
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020159634
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592187796
【氏名又は名称】株式会社ナリタテクノ
(73)【特許権者】
【識別番号】000006644
【氏名又は名称】日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋元 直人
(72)【発明者】
【氏名】矢川 憲利
(72)【発明者】
【氏名】高田 秀伸
(72)【発明者】
【氏名】篠田 岳史
(72)【発明者】
【氏名】紺谷 省吾
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-528248(JP,A)
【文献】特開2006-162141(JP,A)
【文献】特開平11-037426(JP,A)
【文献】特開2016-003843(JP,A)
【文献】特開2011-047542(JP,A)
【文献】特開2010-112702(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0061167(KR,A)
【文献】特開2005-55083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23L 15/00
F23D 14/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼用空気が流通する空気流通管と、
前記空気流通管の外側に位置し、少なくとも波板を含む板材を積層することで第1連通孔が複数形成され、排ガスを前記第1連通孔に流通させる第1積層体と、
前記空気流通管内に位置し、少なくとも波板を含む板材を積層することで第2連通孔が複数形成され、前記燃焼用空気を前記第2連通孔に流通させる第2積層体と、
を備え、
前記空気流通管と前記第1積層体とがロウ付け接合されており、
前記空気流通管と前記第2積層体とがロウ付け接合されており、
前記第1積層体が、前記空気流通管の長手方向に複数設けられ、
前記空気流通管の長手方向に互いに隣り合う前記第1積層体の間に、空隙が形成され、
前記第2積層体が、前記空気流通管の長手方向に複数設けられ、
前記空気流通管の長手方向に互いに隣り合う前記第2積層体の間に、空隙が形成される排熱回収型バーナ。
【請求項2】
前記空気流通管は、前記第1積層体よりも熱膨張率が大きな材質で構成される請求項1に記載の排熱回収型バーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排熱回収型バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、扁平した複数の熱交換パイプが波状金属薄板要素によって支持された排熱回収型バーナが開示されている。熱交換パイプには、燃焼用空気が流通し、波状金属薄板要素の隙間には、燃料ガスの燃焼によって生じた排ガスが流通する。かかる技術では、波状金属薄板要素の隙間を流通する排ガスの熱によって、熱交換パイプを流通する燃焼用空気が予熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2010-528248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、波状金属薄板要素に伝わった排ガスの熱が熱交換パイプに十分に伝達されず、燃焼用空気を十分に予熱することができなかった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、燃焼用空気を十分に予熱することが可能な排熱回収型バーナを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の排熱回収型バーナは、燃焼用空気が流通する空気流通管と、空気流通管の外側に位置し、少なくとも波板を含む板材を積層することで第1連通孔が複数形成され、排ガスを第1連通孔に流通させる第1積層体と、空気流通管内に位置し、少なくとも波板を含む板材を積層することで第2連通孔が複数形成され、燃焼用空気を第2連通孔に流通させる第2積層体と、を備え、空気流通管と第1積層体とがロウ付け接合されており、空気流通管と第2積層体とがロウ付け接合されており、第1積層体が、空気流通管の長手方向に複数設けられ、空気流通管の長手方向に互いに隣り合う第1積層体の間に、空隙が形成され、第2積層体が、空気流通管の長手方向に複数設けられ、空気流通管の長手方向に互いに隣り合う第2積層体の間に、空隙が形成される
【0007】
また、空気流通管は、第1積層体よりも熱膨張率が大きな材質で構成されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、燃焼用空気を十分に予熱することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態による排熱回収型バーナの構成を示す斜視図である。
図2】排熱回収型バーナの縦断面図である。
図3】第1積層体の構成を示す部分拡大図である。
図4】空気流通管の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態の態様について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
図1は、本実施形態による排熱回収型バーナ1の構成を示す斜視図であり、図2は、排熱回収型バーナ1の縦断面図である。図2では、燃料ガスの流れの方向を実線の矢印で示し、燃料ガスの燃焼に用いられる空気(以下、燃焼用空気という)の流れの方向を一点鎖線の矢印で示し、燃料ガスの燃焼により生じた排ガスの流れの方向を破線の矢印で示している。
【0013】
排熱回収型バーナ1は、燃料ガスを燃焼用空気とともに燃焼させて炉内を加熱する。また、排熱回収型バーナ1では、燃料ガスの燃焼により生じた排ガスの熱を利用して、燃焼用空気の予熱が行われる。排熱回収型バーナ1は、筐体10、内管12、空気流通管14、第1積層体16、第2積層体18、ガス管20、パイロット保炎器22、パイロットガス管24を含む。
【0014】
筐体10は、円筒状に形成されている。筐体10は、例えば、炉の側壁を貫通する貫通孔に挿入される。筐体10の先端30(炉内側端)は、炉内に向かって開口している。なお、筐体10は、中空であり、炉内に向かって開口していればよく、円筒状に限らない。
【0015】
内管12は、円筒状に形成されている。内管12の外径は、筐体10の内径よりも小さい。内管12は、筐体10内に挿入されている。内管12の中心軸は、筐体10の中心軸と重なる。内管12の先端32(炉内側端)は、炉内に向かって開口しており、筐体10の先端30よりも突出している。
【0016】
空気流通管14は、円筒状に形成されている。具体的には、空気流通管14は、中心軸に垂直な断面の形状が真円となっている。空気流通管14は、例えば、金属で構成される。空気流通管14の外径は、内管12の外径よりも小さい。空気流通管14は、筐体10と内管12との間に挿入されている。空気流通管14は、筐体10および内管12の長手方向に延在する。
【0017】
空気流通管14の先端34(炉内側端)は、炉内に向かって開口している。空気流通管14の先端34は、内管12の先端32と大凡面一に位置するように、筐体10の先端30よりも突出している。空気流通管14における筐体10内に位置する部分は、内管12に並行している。空気流通管14における筐体10外に位置する部分は、筐体10側に比べ先端34側が内管12に近くなるように、内管12側に傾斜している。
【0018】
空気流通管14は、内管12の周囲に分散して複数配置される。例えば、複数の空気流通管14は、筐体10の内面付近から内管12の外面付近に向かって、内管12の中心軸周りに変位するように配置される。つまり、複数の空気流通管14は、図1の破線で示すように、内管12を中心とした渦状(径方向に連れて周方向に流れる形状)に配置される。なお、空気流通管14の配置は、例示した渦状に限らない。
【0019】
空気流通管14には、炉内とは反対側端から燃焼用空気が供給される。空気流通管14に供給された燃焼用空気は、空気流通管14内を流通し、空気流通管14の先端34から炉内に送入される。
【0020】
筐体10の内面、内管12の外面および空気流通管14の外面で形成される空間には、第1積層体16が設けられる。第1積層体16は、空気流通管14の外面に接する。なお、図2では、第1積層体16をクロスハッチングで示している。
【0021】
図3は、第1積層体16の構成を示す部分拡大図である。第1積層体16は、波板40および平板42を含む。波板40および平板42は、例えば、金属で構成される。波板40は、例えば、平板42に略三角波状の波付き加工を施したものである。なお、波板40は、略三角波状の波付き加工を施したものに限らず、例えば、正弦波状や台形波状の波付き加工を施したものであってもよい。
【0022】
第1積層体16は、波板40と平板42とが交互に積層されて構成される。具体的には、第1積層体16は、積層された波板40および平板42が、内管12の周りに、一体的に渦状に巻回されて形成される。この際、積層された波板40および平板42は、積層方向が筐体10の径方向となるように巻回される。
【0023】
このように、波板40および平板42が積層されることで、第1積層体16には、筒状の第1連通孔44が複数形成される。第1連通孔44は、波板40および平板42の積層方向、および、波板40および平板42の巻回方向(筐体10の周方向)にそれぞれ交差する方向(空気流通管14の長手方向)に連通する。第1連通孔44の開口形状は、略三角形となっている。そして、第1積層体16の端面は、略三角形の開口が集合されたメッシュ状に形成される。第1連通孔44は、炉内で生じた排ガスを炉外側に流通させる。
【0024】
なお、第1積層体16は、波板40と平板42とが交互に積層された構成に限らず、波板40のみが積層されて構成されてもよい。例えば、第1積層体16は、台形波状の波板を積層することで、端面がハニカム構造(略正六角形を隙間なく並べた構造)となるように構成されてもよい。つまり、第1積層体16は、少なくとも波板40を含む板材を積層することで筒状の第1連通孔44が複数形成されていればよい。
【0025】
図1および図2に示すように、第1積層体16は、内管12の外面と筐体10の内面との間において径方向の全域に開展される。第1積層体16は、空気流通管14が設けられる部分が切り欠かれている。そして、空気流通管14は、第1積層体16が切り欠かれた部分に挿入される。
【0026】
排熱回収型バーナ1では、波板40と平板42とが互いにロウ付け接合されている。また、排熱回収型バーナ1では、第1積層体16と空気流通管14とが互いにロウ付け接合されている。具体的には、波板40と空気流通管14の外面とがロウ付け接合されており、平板42と空気流通管14の外面とがロウ付け接合されている。
【0027】
第1積層体16の第1連通孔44に排ガスが流通すると、排ガスの熱が波板40および平板42に伝わる。排熱回収型バーナ1では、波板40と平板42とがロウ付け接合されているため、波板40および平板42間で、排ガスの熱が相互に伝わり易い。
【0028】
排熱回収型バーナ1では、波板40と空気流通管14とがロウ付け接合されているため、波板40に伝わった排熱ガスの熱が空気流通管14に伝わり易い。また、排熱回収型バーナ1では、平板42と空気流通管14とがロウ付け接合されているため、平板42に伝わった排熱ガスの熱が空気流通管14に伝わり易い。空気流通管14に伝わった熱は、空気流通管14内を流通する燃焼用空気に伝わる。これにより、排熱回収型バーナ1では、燃焼用空気が十分に予熱される。
【0029】
また、空気流通管14は、第1積層体16の波板40および平板42よりも熱膨張率(具体的には、線膨張係数)が大きな材質で構成される。例えば、波板40および平板42は、線膨張係数が10×10-6/K程度のフェライト系ステンレス鋼で構成される。一方、空気流通管14は、線膨張係数が17×10-6/K程度のオーステナイト系ステンレス鋼で構成される。
【0030】
空気流通管14および第1積層体16のロウ付け接合時には、ロウに加え、空気流通管14および第1積層体16が加熱される。上述のように、空気流通管14の熱膨張率が第1積層体16の熱膨張率よりも大きいため、空気流通管14の外面および第1積層体16は、ロウ付け接合で加熱された際に互いに密着する。つまり、排熱回収型バーナ1では、空気流通管14と第1積層体16とが十分に密着した状態でロウ付け接合される。その結果、排熱回収型バーナ1では、第1積層体16に伝わった排ガスの熱を空気流通管14に十分に伝えることができる。
【0031】
また、第1積層体16は、空気流通管14の長手方向に複数設けられる。空気流通管14の長手方向に互いに隣り合う第1積層体16の間には、空隙46が形成される。なお、図2では、空気流通管14の長手方向に第1積層体16が2個設けられているが、空気流通管14の長手方向に設けられる第1積層体16の数は、2個に限らず、3個以上であってもよい。また、図2では、空気流通管14の長手方向に空隙46が1個設けられているが、空気流通管14の長手方向に設けられる空隙46の数は、1個に限らず、2個以上であってもよい。
【0032】
空隙46部分における排ガスの流通断面積は、第1積層体16部分における排ガスの流通断面積より、波板40および平板42の断面積分だけ大きい。このため、排熱回収型バーナ1では、空隙46において排ガスの流れに乱流成分が発生する。排ガスの流れに乱流成分が発生するため、排熱回収型バーナ1では、排ガスの熱が空気流通管14に伝わり易い。
【0033】
また、第1積層体16を構成する波板40および平板42の肉厚、および、第1積層体16の端面のメッシュサイズは、排ガスと接触する波板40および平板42の表面積が大きく、かつ、第1連通孔44を流通する排ガスの圧損が大きくなり過ぎないように設定される。例えば、波板40および平板42の肉厚は、100μm以上200μm以下に設定される。また、第1積層体16の端面のメッシュサイズは、100cpsi以上150cpsi以下に設定される。なお、cpsiは、1平方インチ当たりのセル数であり、メッシュ(開口)の細かさを表す単位である。
【0034】
空気流通管14内には、第2積層体18が設けられる。第2積層体18は、空気流通管14の内面に接する。なお、図2では、第2積層体18をクロスハッチングで示している。
【0035】
図4は、空気流通管14の断面図である。第2積層体18は、波板50および平板52を含む。波板50および平板52は、例えば、金属で構成される。波板50は、例えば、平板52に略三角波状の波付き加工を施したものである。なお、波板50は、略三角波状の波付き加工を施したものに限らず、例えば、正弦波状や台形波状の波付き加工を施したものであってもよい。
【0036】
第2積層体18は、波板50と平板52とが交互に積層されて構成される。具体的には、第2積層体18は、積層された波板50および平板52が、空気流通管14の中心軸付近から中心軸周りに、一体的に渦状に巻回されて形成される。この際、積層された波板50および平板52は、積層方向が空気流通管14の径方向となるように巻回される。
【0037】
このように、波板50および平板52が積層されることで、第2積層体18には、筒状の第2連通孔54が複数形成される。第2連通孔54は、波板50および平板52の積層方向、および、波板50および平板52の巻回方向(空気流通管14の周方向)にそれぞれ交差する方向(空気流通管14の長手方向)に連通する。第2連通孔54の開口形状は、略三角形となっている。そして、第2積層体18の端面は、略三角形の開口が集合されたメッシュ状に形成される。第2連通孔54は、空気流通管14内において燃焼用空気を流通させる。
【0038】
なお、第2積層体18は、少なくとも波板50を含む板材を積層することで筒状の第2連通孔54が複数形成されていればよい。
【0039】
排熱回収型バーナ1では、波板50と平板52とが互いにロウ付け接合されている。また、排熱回収型バーナ1では、第2積層体18と空気流通管14とが互いにロウ付け接合されている。具体的には、第2積層体18の最外層が波板の場合、波板50と空気流通管14の内面とがロウ付け接合されており、第2積層体18の最外層が平板52の場合、平板52と空気流通管14の内面とがロウ付け接合されている。
【0040】
排熱回収型バーナ1では、第2積層体18と空気流通管14とがロウ付け接合されているため、空気流通管14に伝わった排ガスの熱が第2積層体18の波板50および平板52に伝わり易い。また、排熱回収型バーナ1では、波板50と平板52とがロウ付け接合されているため、波板50および平板52間で、排ガスの熱が相互に伝わり易い。波板50および平板52に伝わった熱は、第2連通孔54を流通する燃焼用空気に伝わる。これにより、排熱回収型バーナ1では、燃焼用空気が十分に予熱される。
【0041】
図1および図2に示すように、第2積層体18は、空気流通管14の長手方向に複数設けられる。空気流通管14の長手方向に互いに隣り合う第2積層体18の間には、空隙56が形成される。なお、図2では、空気流通管14の長手方向に第2積層体18が2個設けられているが、空気流通管14の長手方向に設けられる第2積層体18の数は、2個に限らず、3個以上であってもよい。また、図2では、空気流通管14の長手方向に空隙56が1個設けられているが、空気流通管14の長手方向に設けられる空隙56の数は、1個に限らず、2個以上であってもよい。
【0042】
空隙56部分における燃焼用空気の流通断面積は、第2積層体18部分における燃焼用空気の流通断面積より、波板50および平板52の断面積部分だけ大きい。このため、排熱回収型バーナ1では、空隙56において燃焼用空気の流れに乱流成分が発生する。燃焼用空気の流れに乱流成分が発生するため、排熱回収型バーナ1では、空気流通管14に伝わった熱が燃焼用空気に伝わり易い。
【0043】
また、第2積層体18を構成する波板50および平板52の肉厚、および、第2積層体18の端面のメッシュサイズは、燃焼用空気と接触する波板50および平板52の表面積が大きく、かつ、第2連通孔54を流通する燃焼用空気の圧損が大きくなり過ぎないように設定される。波板50および平板52の肉厚は、第1積層体16を構成する波板40および平板42の肉厚と等しくてもよいし異なっていてもよい。また、第2積層体18の端面のメッシュサイズは、第1積層体16の端面のメッシュサイズと等しくてもよいし異なっていてもよい。
【0044】
ガス管20は、第1ガス管60、第2ガス管62、連結部64および終端部66を含む。第1ガス管60および第2ガス管62は、円筒状に形成される。第1ガス管60および第2ガス管62の外径は、内管12の内径よりも小さい。第2ガス管62の内径は、第1ガス管60の内径に等しい。
【0045】
第1ガス管60は、内管12内に挿入されている。第1ガス管60の中心軸は、内管12の中心軸に重なる。第1ガス管60の先端(炉内側端)は、内管12の先端32よりも突出している。
【0046】
第2ガス管62は、内管12外において第1ガス管60の延長方向に延在している。第2ガス管62の中心軸は、第1ガス管60の中心軸の延長線と重なる。第1ガス管60と第2ガス管62との間には、第1ガス管60と第2ガス管62とを連結する連結部64が設けられる。第1ガス管60および第2ガス管62は、連結部64を通じて連通している。
【0047】
第2ガス管62における連結部64とは反対側の先端には、終端部66が設けられる。終端部66は、第2ガス管62の先端を閉塞させる。終端部66には、側面を貫通する主ガスノズル70が設けられている。
【0048】
第1ガス管60には、炉内とは反対側端から燃料ガスが供給される。燃料ガスは、例えば、都市ガスなどである。第1ガス管60に供給された燃料ガスは、ガス管20内(第1ガス管60内および第2ガス管62内)を流通し、終端部66の主ガスノズル70から、図2中の実線の矢印で示す方向に噴出される。
【0049】
上述のように空気流通管14の先端34側が内管12側に傾斜しているため、空気流通管14から送出された燃焼用空気は、主ガスノズル70付近に移動する。そして、主ガスノズル70から噴出された燃料ガスは、空気流通管14から送出された燃焼用空気と混合されて燃焼する。これにより、主ガスノズル70付近から広がる火炎が形成される。
【0050】
また、空気流通管14から送出される燃焼用空気の流速は、比較的早い。このため、空気流通管14から送出された燃焼用空気の周囲の圧力が低下する。そうすると、空気流通管14から送出された燃焼用空気(図2中の一点鎖線の矢印)の周囲に存在する排ガスが、図2中の破線の矢印で示すように、燃焼用空気に巻き込まれ、燃焼用空気と排ガスとが混合される。その結果、燃料ガスは、燃焼用空気と共に排ガスとも混合されて燃焼する。排熱回収型バーナ1では、このような自己排ガス再循環が行われるため、低NOx化することができる。
【0051】
主ガスノズル70は、内管12の先端32から主ガスノズル70までの距離D1が内管12の内径D2の2倍以上となるように設けられる。このように主ガスノズル70の位置を第1積層体16から離隔することで、主ガスノズル70付近で形成される火炎が第1連通孔44に進入することを防止できる。
【0052】
主ガスノズル70は、終端部66においてガス管20の中心軸周りに複数設けられる。これにより、終端部66において火炎が分割して形成される(火炎が複数形成される)。炉内に供給する熱量を複数の火炎で発生させる場合の火炎の表面積の合計は、炉内に供給する熱量を1個の火炎で発生させる場合の火炎の表面積よりも大きい。火炎の表面積の合計が大きいと、火炎の表面から炉内への伝熱が効率よく行われる。その結果、排熱回収型バーナ1では、火炎に高温のホットスポットが形成されることが抑制され、低NOx化することができる。
【0053】
主ガスノズル70の開口方向は、ガス管20の中心軸に対して所定の角度θ1となっている。つまり、角度θ1方向に燃料ガスが噴出されて火炎が延びる。所定の角度θ1は、ガス管20の中心軸方向の炉長を考慮して設定される。具体的には、所定の角度θ1は、30度以上90度以下に設定される。例えば、炉長が長い場合には角度θ1が小さく設定され、炉長が短い場合には角度θ1が大きく設定される。このように主ガスノズル70の開口方向を設定することで、炉内を均一に加熱することができる。
【0054】
連結部64には、側面を貫通する補助ガスノズル72が設けられている。補助ガスノズル72は、内管12の先端32と主ガスノズル70との間に位置する。ガス管20内を流通する燃料ガスの一部は、補助ガスノズル72から、図2中の実線の矢印で示す方向に噴出される。
【0055】
補助ガスノズル72から噴出された燃料ガスは、空気流通管14から送出された燃焼用空気および燃焼用空気に巻き込まれた排ガスと混合されて燃焼する。これにより、補助ガスノズル72付近から広がる火炎が形成される。
【0056】
排熱回収型バーナ1では、補助ガスノズル72が設けられているため、補助ガスノズル72がない態様に比べ、火炎をより分割することができる。また、補助ガスノズル72は、連結部64においてガス管20の中心軸周りに複数設けられる。このため、排熱回収型バーナ1では、補助ガスノズル72が1個の態様に比べ、火炎をより分割することができる。つまり、排熱回収型バーナ1では、炉内に供給する熱量に対する火炎の表面積の合計がより大きくなり、より低NOx化することができる。
【0057】
補助ガスノズル72の開口方向は、ガス管20の中心軸に対して所定の角度θ2となっている。つまり、角度θ2方向に燃料ガスが噴出されて火炎が延びる。所定の角度θ2は、主ガスノズル70における角度θ1と等しく設定されてもよいし、異なるように設定されてもよい。
【0058】
補助ガスノズル72の開口径は、主ガスノズル70の開口径と等しくてもよいし、異なっていてもよい。また、補助ガスノズル72の数は、主ガスノズル70の数と等しくてもよいし、異なっていてもよい。例えば、補助ガスノズル72による火炎は、主ガスノズル70による火炎より小さくてもよい。
【0059】
内管12の内面と第1ガス管60の外面との間には、パイロット保炎器22およびパイロットガス管24が設けられている。パイロット保炎器22は、第1ガス管60を中心とする円形のカップ状に形成される。
【0060】
パイロット保炎器22の炉内側端80は、内管12の先端32よりも内管12内に後退している。具体的には、パイロット保炎器22の炉内側端80は、内管12の中心軸方向における内管12の先端32と筐体10の先端30との間に位置する。パイロット保炎器22の炉内側端80は、炉内に向かって開口している。一方、パイロット保炎器22の炉外側端82には、パイロット保炎器22内と内管12内とを仕切る底部84が形成される。
【0061】
パイロットガス管24は、パイロット保炎器22よりも炉外側において、内管12の長手方向に延在する。パイロットガス管24は、パイロット保炎器22の底部84を貫通してパイロット保炎器22内に連通している。
【0062】
パイロットガス管24には、パイロット保炎器22とは反対側からパイロット火炎用の燃料ガスが供給される。パイロットガス管24に供給された燃料ガスは、パイロットガス管24内を流通し、パイロット保炎器22内に供給される。
【0063】
パイロット保炎器22の底部84には、底部84を貫通する貫通孔86が形成される。内管12には、炉外側から燃焼用空気が供給される。内管12に供給された燃焼用空気は、内管12内を流通する。内管12内を流通する燃焼用空気の一部は、底部84の貫通孔86を通ってパイロット保炎器22内に供給される。
【0064】
パイロット保炎器22内に供給された燃料ガスは、パイロット保炎器22内に供給された燃焼用空気と混合されて燃焼する。これにより、パイロット保炎器22の炉内側端80付近から炉内側に向かって広がるパイロット火炎が形成される。パイロット保炎器22は、パイロット火炎を保炎する。パイロット火炎は、主ガスノズル70および補助ガスノズル72から噴出される燃料ガスを着火させる火種として機能する。
【0065】
パイロットガス管24には、ガス管20とは独立して、炉の稼働中において常時、燃料ガスが供給される。また、内管12には、空気流通管14とは独立して、炉の稼働中において常時、燃焼用空気が供給される。つまり、主ガスノズル70および補助ガスノズル72における燃料ガスの流量に依らず、炉の稼働中において常時、パイロット火炎が形成される。
【0066】
パイロットガス管24には、排熱回収型バーナ1に供給される燃料ガス全量の5%以上15%以下の燃料ガスが供給される。また、内管12には、排熱回収型バーナ1に供給される燃焼用空気全量の5%以上25%以下の燃焼用空気が供給される。これらにより、パイロット火炎は、主ガスノズル70および補助ガスノズル72から噴出される燃料ガスを、確実に着火させることができる。
【0067】
また、パイロット火炎は、主ガスノズル70から噴出される燃料ガスを、直接的に着火させる態様に限らない。パイロット火炎は、補助ガスノズル72から噴出される燃料ガスを着火させ、補助ガスノズル72で形成された火炎によって間接的に、主ガスノズル70から噴出される燃料ガスを着火させてもよい。つまり、排熱回収型バーナ1では、補助ガスノズル72を設けることで、パイロット保炎器22から主ガスノズル70への火炎の移りを滑らかにすることができる。
【0068】
以上のように、本実施形態の排熱回収型バーナ1では、燃焼用空気が流通する空気流通管14と、排ガスが流通する第1連通孔44が形成される第1積層体16とがロウ付け接合されている。このため、本実施形態の排熱回収型バーナ1では、排ガスの熱が第1積層体16から空気流通管14に十分に伝達される。
【0069】
したがって、本実施形態の排熱回収型バーナ1によれば、燃焼用空気を十分に予熱することが可能となる。
【0070】
また、本実施形態の排熱回収型バーナ1では、空気流通管14と、空気流通管14内に設けられた第2積層体18とがロウ付け接合されている。これにより、本実施形態の排熱回収型バーナ1では、空気流通管14に伝わった熱が第2積層体18に十分に伝達される。このため、本実施形態の排熱回収型バーナ1では、第2積層体18を通じて、燃焼用空気を十分に予熱することが可能となる。
【0071】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、排熱回収型バーナに利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 排熱回収型バーナ
14 空気流通管
16 第1積層体
18 第2積層体
40、50 波板
44 第1連通孔
54 第2連通孔
図1
図2
図3
図4