(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】石炭灰の配送システム及び石炭灰の配送方法、並びに、コンクリートの混練方法
(51)【国際特許分類】
B65G 61/00 20060101AFI20220927BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20220927BHJP
G06Q 10/08 20120101ALI20220927BHJP
【FI】
B65G61/00 500
G06Q50/06
G06Q10/08
(21)【出願番号】P 2018121476
(22)【出願日】2018-06-27
【審査請求日】2021-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100087468
【氏名又は名称】村瀬 一美
(72)【発明者】
【氏名】安池 慎治
(72)【発明者】
【氏名】正木 浩幸
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-199324(JP,A)
【文献】特開2001-080743(JP,A)
【文献】特開2005-313165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
G06Q 50/06
G06Q 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一箇所若しくは複数箇所の石炭灰発生サイト
と、前記石炭灰発生サイトで発生した複数種類の石炭灰を出荷状態のまま保管する石炭灰保管サイトと、石炭灰使用サイトと、前記石炭灰発生サイトで発生した複数種類の石炭灰を未調整のまま前記石炭灰発生サイトから前記石炭灰保管サイトまで輸送し、移し替えること無くそのまま保管し、さらに前記石炭灰保管サイトから前記石炭灰使用サイトまで輸送する石炭灰コンテナと、前記石炭灰コンテナによる前記石炭灰の流通を管理する管理サーバとを含み、
前記管理サーバは、前記石炭灰保管サイト毎に付与された保管サイト番号と該保管サイト番号に対応する前記石炭灰保管サイトの所在地との組合せデータの集合である保管サイト所在地データベースと、前記石炭灰コンテナ毎に付与されたコンテナID番号,前記石炭灰コンテナが保管されている石炭灰保管サイトの保管サイト番号,前記石炭灰コンテナに混合されること無く収容されている複数種類の石炭灰の性状データ及び前記石炭灰コンテナに収容されている石炭灰の量の組合せデータの集合である石炭灰在庫データベースと、前記石炭灰保管サイトで保管されている石炭灰の在庫を確認する在庫照会部と、前記石炭灰使用サイトで使用する石炭灰についての注文を受け付ける注文受付部と、前記注文に係る前記石炭灰を調製するため
に必要な石炭灰の混合仕様
を前記石炭灰保管サイトに保管されている石炭灰の在庫に基づいて計算する混合仕様計算部と、
前記混合仕様それぞれについての実行可能性を検証すると共に前記石炭灰保管サイトから前記石炭灰使用サイトまでの輸送費用が最も低廉な混合仕様を抽出して当該混合仕様を採用混合仕様として選定する評価判定部と、前記
採用混合仕様に基づいて
該当する前記石炭灰保管サイト
の前記石炭灰コンテナの出荷を指示する出荷指示部とを
備え、
前記石炭灰使用サイトから石炭灰についての注文を受け付けた前記管理サーバは、選定した前記採用混合仕様に基づいて該当する前記石炭灰コンテナの出荷の指示と前記採用混合仕様の前記石炭灰使用サイトへの配送を行い、
前記石炭灰使用サイトで使用する石炭灰を調製するために必要な複数の石炭灰のそれぞれが事前に混合・性状調整されること無く前記石炭灰使用サイトまで石炭灰コンテナを単位として複数種類の石炭灰が輸送され、前記石炭灰使用サイトの設備において前記採用混合仕様に則して混合されて必要とされる石炭灰性状に調整される
ことを特徴とする石炭灰の配送システム。
【請求項2】
前記石炭灰コンテナの出荷が完了した際に、出荷が完了した石炭灰コンテナのコンテナID番号を有するデータが前記石炭灰在庫データベースから削除されて在庫に関する情報が更新されることを特徴とする請求項
1記載の石炭灰の配送システム。
【請求項3】
採用混合仕様に選定された石炭灰コンテナのコンテナID番号を有するデータは、使用予定であることを表す使用予定フラグを付与して利用可能な石炭灰から除外するように石炭灰在庫データベースを更新することを特徴とする請求項1記載の石炭灰の配送システム。
【請求項4】
前記石炭灰コンテナが、着脱自在の螺旋状のスクリューが挿入されてスクリューコンベヤとして機能する搬送導管を備えることを特徴とする請求項1記載の石炭灰の配送システム。
【請求項5】
一箇所若しくは複数箇所の石炭灰発生サイトで発生した複数種類の石炭灰を
前記石炭灰発生サイトで事前に混合すること無くそれぞれ個別に石炭灰コンテナに収容して石炭灰保管サイトへ搬入し、前記コンテナに収容されたまま石炭灰保管サイトで保管
し、
前記石炭灰の事前の混合・性状調整が行われること無く、前記石炭灰コンテナを単位として複数種類の前記石炭灰を石炭灰使用サイトへ輸送して前記石炭灰使用サイトで混合して性状調整を行うために、管理サーバで前記石炭灰コンテナを単位としてどのような性状の石炭灰がどの石炭灰保管サイトにどの程度存在するかを前記石炭灰保管サイト毎に付与された保管サイト番号と該保管サイト番号に対応する前記石炭灰保管サイトの所在地との組合せデータの集合である保管サイト所在地データベース、及び前記石炭灰コンテナ毎に付与されたコンテナID番号,前記石炭灰コンテナが保管されている石炭灰保管サイトの保管サイト番号,前記石炭灰コンテナに混合されること無く収容されている複数種類の石炭灰の性状データ及び前記石炭灰コンテナに収容されている石炭灰の量の組合せデータの集合である石炭灰在庫データベースとを用いて管理し、前記管理サーバが前記石炭灰使用サイトで使用する石炭灰についての注文を
受け付けると、前記注文に係る石炭灰を調製するため
に必要な石炭灰の混合仕様
を前記石炭灰在庫データベースに記録されている前記石炭灰保管サイト
に前記石炭灰コンテナを単位として保管されている石炭灰の在庫
に基づいて計算
し、前記混合仕様それぞれについての実行可能性を検証すると共に前記保管サイト所在地データベースに基づいて前記石炭灰保管サイトから前記石炭灰使用サイトまでの輸送費用が最も低廉な混合仕様を抽出して当該混合仕様を採用混合仕様として選定し、前記
採用混合仕様に基づいて
該当する前記石炭灰保管サイトの前記石炭灰コンテナの前記石炭灰使用サイトへの出荷
を指示する
ことを特徴とする石炭灰の配送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭灰の配送システム及び石炭灰の配送方法並びにコンクリートの混練方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、複数の例えば火力発電所に於いて発生した複数種類の石炭灰を混合して使用する際に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート材料を配合する方法として、セメントと、骨材と、石炭の燃焼によって発生する石炭灰から得られる微粉末とを含むコンクリート材料を配合する方法がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば特許文献1のコンクリート材料の配合方法のように石炭灰を含む各コンクリート材料の配合量を算出して配合・混練を行ってコンクリート組成物を製造する場合に、所与の条件や所望の性状を実現するためには品質が異なる複数種類の石炭灰を混合して使用する場合があるところ、複数の火力発電所等に於いて発生した種々の石炭灰の中から必要な石炭灰を効率的に集めて混合して使用するための仕組みが存在しないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、複数種類の石炭灰についての性状等の管理及び搬出を適切に行うことができる石炭灰の配送システム及び石炭灰の配送方法並びにコンクリートの混練方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するため、本発明の石炭灰の配送システムは、一箇所若しくは複数箇所の石炭灰発生サイトと、石炭灰発生サイトで発生した複数種類の石炭灰を出荷状態のまま保管する石炭灰保管サイトと、石炭灰使用サイトと、石炭灰発生サイトで発生した複数種類の石炭灰を未調整のまま石炭灰発生サイトから石炭灰保管サイトまで輸送し、移し替えること無くそのまま保管し、さらに石炭灰保管サイトから石炭灰使用サイトまで輸送する石炭灰コンテナと、石炭灰コンテナによる石炭灰の流通を管理する管理サーバとを含み、管理サーバは、石炭灰保管サイト毎に付与された保管サイト番号と該保管サイト番号に対応する石炭灰保管サイトの所在地との組合せデータの集合である保管サイト所在地データベースと、石炭灰コンテナ毎に付与されたコンテナID番号,石炭灰コンテナが保管されている石炭灰保管サイトの保管サイト番号,石炭灰コンテナに混合されること無く収容されている複数種類の石炭灰の性状データ及び石炭灰コンテナに収容されている石炭灰の量の組合せデータの集合である石炭灰在庫データベースと、石炭灰保管サイトで保管されている石炭灰の在庫を確認する在庫照会部と、石炭灰使用サイトで使用する石炭灰についての注文を受け付ける注文受付部と、注文に係る前記石炭灰を調製するために必要な石炭灰の混合仕様を石炭灰保管サイトに保管されている石炭灰の在庫に基づいて計算する混合仕様計算部と、混合仕様それぞれについての実行可能性を検証すると共に石炭灰保管サイトから石炭灰使用サイトまでの輸送費用が最も低廉な混合仕様を抽出して当該混合仕様を採用混合仕様として選定する評価判定部と、採用混合仕様に基づいて該当する石炭灰保管サイトの石炭灰コンテナの出荷を指示する出荷指示部とを備え、石炭灰使用サイトから石炭灰についての注文を受け付けた管理サーバは、選定した採用混合仕様に基づいて該当する石炭灰コンテナの出荷の指示と採用混合仕様の前記石炭灰使用サイトへの配送を行い、石炭灰使用サイトで使用する石炭灰を調製するために必要な複数の石炭灰のそれぞれが事前に混合・性状調整されること無く石炭灰使用サイトまで石炭灰コンテナを単位として複数種類の石炭灰が輸送され、石炭灰使用サイトの設備において採用混合仕様に則して混合されて必要とされる石炭灰性状に調整されるようにしている。
【0007】
したがって、この石炭灰の配送システムによると、石炭灰発生サイトで発生した複数種類の石炭灰が混合されること無く個別に輸送されて搬出が行われるので、同じ(若しくは、ほぼ同じ)条件下で発生した同一の(若しくは、実質上同一の)性状を備える石炭灰の供給が行われ、また、少量での供給や必要とされる量にきめ細かく対応した供給が行われる。
【0008】
この石炭灰の配送システムによると、また、石炭灰発生サイトで発生した複数種類の石炭灰の荷受け及び納品が石炭灰同士が混合されること無く個別に行われるので、複数種類の石炭灰のそれぞれに関連付けられた石炭灰各々の性状等の情報が荷受けから納品まで一貫して不変のものとして対応付けられて利用される。
【0009】
なお、本発明における石炭灰は、具体的には例えば、日本工業規格 JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」においてフライアッシュの種類として規定されているフライアッシュI種,II種,III種,及びIV種に相当するようなフライアッシュである。
【0010】
本発明の石炭灰の配送システムは、石炭灰コンテナの出荷が完了した際に、出荷が完了した石炭灰コンテナのコンテナID番号を有するデータが石炭灰在庫データベースから削除されて在庫に関する情報が更新されるようにしている。
【0011】
本発明の石炭灰の配送システムは、採用混合仕様に選定された石炭灰コンテナのコンテナID番号を有するデータは、使用予定であることを表す使用予定フラグを付与して利用可能な石炭灰から除外するように石炭灰在庫データベースを更新するようにしている。
【0013】
また、本発明の石炭灰の配送方法は、一箇所若しくは複数箇所の石炭灰発生サイトで発生した複数種類の石炭灰を石炭灰発生サイトで事前に混合すること無くそれぞれ個別に石炭灰コンテナに収容して石炭灰保管サイトへ搬入し、コンテナに収容されたまま石炭灰保管サイトで保管し、石炭灰の事前の混合・性状調整が行われること無く、石炭灰コンテナを単位として複数種類の石炭灰を石炭灰使用サイトへ輸送して石炭灰使用サイトで混合して性状調整を行うために、管理サーバで石炭灰コンテナを単位としてどのような性状の石炭灰がどの石炭灰保管サイトにどの程度存在するかを石炭灰保管サイト毎に付与された保管サイト番号と該保管サイト番号に対応する石炭灰保管サイトの所在地との組合せデータの集合である保管サイト所在地データベース、及び石炭灰コンテナ毎に付与されたコンテナID番号,石炭灰コンテナが保管されている石炭灰保管サイトの保管サイト番号,石炭灰コンテナに混合されること無く収容されている複数種類の石炭灰の性状データ及び石炭灰コンテナに収容されている石炭灰の量の組合せデータの集合である石炭灰在庫データベースとを用いて管理し、管理サーバが石炭灰使用サイトで使用する石炭灰についての注文を受け付けると、注文に係る石炭灰を調製するために必要な石炭灰の混合仕様を石炭灰在庫データベースに記録されている石炭灰保管サイトに石炭灰コンテナを単位として保管されている石炭灰の在庫に基づいて計算し、混合仕様それぞれについての実行可能性を検証すると共に保管サイト所在地データベースに基づいて石炭灰保管サイトから石炭灰使用サイトまでの輸送費用が最も低廉な混合仕様を抽出して当該混合仕様を採用混合仕様として選定し、採用混合仕様に基づいて該当する石炭灰保管サイトの石炭灰コンテナの石炭灰使用サイトへの出荷を指示するようにしている。
【0014】
したがって、これらの石炭灰の配送システムや石炭灰の配送方法によると、石炭灰発生サイトで発生した複数種類の石炭灰が混合されること無く個別に輸送されて搬入,保管,及び搬出が行われるので、同じ(若しくは、ほぼ同じ)条件下で発生した同一の(若しくは、実質上同一の)性状を備える石炭灰の供給が行われ、また、少量での供給や必要とされる量にきめ細かく対応した供給が行われる。
【0015】
これらの石炭灰の配送システムや石炭灰の配送方法によると、また、石炭灰発生サイトで発生した複数種類の石炭灰の荷受け,保管,及び納品が石炭灰同士が混合されること無く個別に行われるので、複数種類の石炭灰のそれぞれに関連付けられた石炭灰各々の性状等の情報が荷受けから納品まで一貫して不変のものとして対応付けられて利用される。
【0016】
本発明の石炭灰の配送システムや石炭灰の配送方法は、複数種類の石炭灰が、石炭灰発生サイトでそれぞれ個別にコンテナに収容されて輸送されて石炭灰保管サイトへと搬入され、コンテナに収容されたまま石炭灰保管サイトで保管されると共に石炭灰保管サイトから搬出されて石炭灰使用サイトまで輸送されるようにしても良い。この場合には、石炭灰が発生する場所に於いて石炭灰がコンテナに収容されて密封された状態で石炭灰を使用する場所へと石炭灰が運搬される。
【0017】
本発明の石炭灰の配送システムや石炭灰の配送方法は、コンテナが、着脱自在の螺旋状のスクリューが挿入されてスクリューコンベヤとして機能する搬送導管を備えるようにしても良い。この場合には、石炭灰の輸送や保管に使用するコンテナが石炭灰使用サイトに於ける一時貯留サイロとしても使用される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の石炭灰の配送システムや石炭灰の配送方法によれば、同じ(若しくは、ほぼ同じ)条件下で発生した同一の(若しくは、実質上同一の)性状を備える石炭灰の供給を行うことができるので、ロット管理(別言すると、品質管理)が徹底されて炭種や性状が確定的で安定した石炭灰を供給することが可能になり、また、少量での供給や必要とされる量にきめ細かく対応した供給を行うことができるので、種々多様な状況における石炭灰の利活用を推し進めることが可能になる。
【0022】
本発明の石炭灰の配送システムや石炭灰の配送方法によれば、また、複数種類の石炭灰のそれぞれに関連付けられた石炭灰各々の性状等の情報を荷受けから納品まで一貫して不変のものとして対応付けて利用することができるので、ロット管理(別言すると、品質管理)が徹底されて炭種や性状が明確な石炭灰を供給することが可能になる。
【0023】
本発明の石炭灰の配送システムや石炭灰の配送方法は、石炭灰がコンテナに収容されて輸送されて搬入や保管や搬出が行われるようにした場合には、石炭灰が発生する場所から石炭灰を使用する場所まで石炭灰がコンテナに封入された状態を維持することができるので、例えば異物の混入や品質の劣化を防いで石炭灰の品質を良好な状態に保持することが可能になる。
【0024】
本発明の石炭灰の配送システムや石炭灰の配送方法は、スクリューコンベヤとして機能する搬送導管をコンテナが備えるようにした場合には、石炭灰の輸送や保管に使用するコンテナを石炭灰使用サイトに於ける一時貯留サイロとしても使用することができるので、石炭灰使用サイトに於いて石炭灰を混合する際に使用される貯留サイロを別に設置する必要が無く、余計な設備投資を省くことが可能になる。
【0025】
また、本発明のコンクリートの混練方法によれば、同じ(若しくは、ほぼ同じ)条件下で発生した同一の(若しくは、実質上同一の)性状を備える石炭灰のコンクリート材料としての供給を行うことができるので、ロット管理(別言すると、品質管理)が徹底されて炭種や性状が確定的で安定した石炭灰を供給しコンクリート材料として使用してコンクリートを配合することが可能になり、また、コンクリート材料としての少量での供給やコンクリート材料として必要とされる量にきめ細かく対応した供給を行うことができるので、種々多様な状況下でのコンクリートの配合における石炭灰の利活用を推し進めることが可能になる。
【0026】
本発明のコンクリートの混練方法によれば、また、複数種類の石炭灰のそれぞれに関連付けられた石炭灰各々の性状等の情報を荷受けから納品まで一貫して不変のものとして対応付けて利用することができるので、ロット管理(別言すると、品質管理)が徹底されて炭種や性状が明確な石炭灰を供給しコンクリート材料として使用してコンクリートを配合することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る石炭灰の配送システムの実施形態の一例を示す機能ブロック図である。
【
図2】本発明に係る石炭灰の配送システムにおいて利用され得る石炭灰コンテナの実施形態の一例を示す側面図である。
【
図3】本発明に係る石炭灰の配送システムにおいて利用され得る石炭灰コンテナの実施形態の一例を示す正面図である。
【
図4】本発明に係る石炭灰の配送方法の実施形態の一例を説明するフローチャートである。
【
図5】本発明に係る石炭灰の配送システムを実施する際の態様の他の構成の例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0029】
図1乃至
図4に、本発明に係る石炭灰の配送システム及び石炭灰の配送方法並びにコンクリートの混練方法の実施形態の一例を示す。
【0030】
本実施形態の石炭灰の配送システムは、一箇所若しくは複数箇所の石炭灰発生サイト1で発生した複数種類の石炭灰を保管する石炭灰保管サイト2を備え、石炭灰発生サイト1で発生した複数種類の石炭灰のそれぞれが個別に輸送されて石炭灰保管サイト2へと搬入され、石炭灰保管サイト2へと搬入された複数種類の石炭灰が混合されること無く石炭灰保管サイト2で保管され、石炭灰使用サイト3で使用する石炭灰を調製するために必要な石炭灰が事前に混合されること無く個別に石炭灰保管サイト2から搬出されて石炭灰使用サイト3まで輸送されるようにしている。
【0031】
本実施形態の石炭灰の配送システムは、特に、一箇所若しくは複数箇所の石炭灰発生サイト1で発生した複数種類の石炭灰を保管する石炭灰保管サイト2を備え、石炭灰発生サイト1で発生した複数種類の石炭灰が石炭灰発生サイト1でそれぞれ個別に石炭灰コンテナ30に収容されて輸送されて石炭灰保管サイト2へと搬入され、石炭灰コンテナ30に収容されて石炭灰保管サイト2へと搬入された複数種類の石炭灰が混合されること無く石炭灰コンテナ30に収容されたまま石炭灰保管サイト2で保管され、石炭灰使用サイト3で使用する石炭灰を調製するために必要な石炭灰が事前に混合されること無く個別に石炭灰コンテナ30に収容されたまま石炭灰保管サイト2から搬出されて石炭灰使用サイト3まで輸送されるようにしている。
【0032】
また、本実施形態の石炭灰の配送システムは、一箇所若しくは複数箇所の石炭灰発生サイト1で発生した複数種類の石炭灰を保管する石炭灰保管サイト2で保管されている石炭灰の在庫を確認する在庫照会部21bと、石炭灰使用サイト3で使用する石炭灰についての注文を受け付ける注文受付部21aと、注文に係る石炭灰を調製するための石炭灰の混合仕様であって在庫として確認された石炭灰を使用する混合仕様を計算する混合仕様計算部21cと、混合仕様に基づいて石炭灰保管サイト2へと石炭灰の出荷を指示する出荷指示部21eとを備えるようにしている。
【0033】
さらに、本実施形態の石炭灰の配送方法は、一箇所若しくは複数箇所の石炭灰発生サイト1で発生した複数種類の石炭灰を保管する石炭灰保管サイト2で保管されている石炭灰の在庫を確認する在庫照会部21bと、石炭灰についての注文を受け付ける注文受付部21aと、石炭灰の混合仕様を計算する混合仕様計算部21cと、石炭灰の出荷を指示する出荷指示部21eとを備える石炭灰の配送システムを用い、石炭灰使用サイト3で使用する石炭灰についての注文を注文受付部21aが受け付け、石炭灰保管サイト2で保管されている石炭灰の在庫を在庫照会部21bが確認し、注文に係る石炭灰を調製するための石炭灰の混合仕様であって在庫として確認された石炭灰を使用する混合仕様を混合仕様計算部21cが計算し、混合仕様に基づいて石炭灰保管サイト2へと石炭灰の出荷を出荷指示部21eが指示するようにしている。
【0034】
また、本実施形態のコンクリートの混練方法は、一箇所若しくは複数箇所の石炭灰発生サイト1で発生した複数種類の石炭灰のそれぞれが事前に混合されること無く個別に石炭灰使用サイト3まで輸送されて当該石炭灰使用サイト3に於いてコンクリートが混練される際に複数種類の石炭灰が投入されて石炭灰の調製が行われるようにしている。
【0035】
(1)システムの全体構成
本実施形態では、インターネット等の通信ネットワーク10を介して接続される使用サイト端末13,保管サイト端末12,及び管理サーバ20が用いられる。なお、一つの管理サーバ20に対して通信ネットワーク10を介して相互に通信を行うように接続される使用サイト端末13や保管サイト端末12の個数/台数は、特定の数に限定されるものではなく、単数でも良く、或いは、複数でも良い。
【0036】
使用サイト端末13は、石炭灰が使用される(別言すると、消費される)場所に設置され、例えば本システムを利用して石炭灰を注文して石炭灰の提供・供給を受ける側の担当者によって操作される機器である。
【0037】
石炭灰が使用/消費される場所としては、具体的には例えば、生コンクリート工場,セメント製造工場,工事現場,或いはコンクリート製品製造工場などが挙げられる。
【0038】
本発明に係る石炭灰の配送システムにおいて取扱いの対象になり得る石炭灰が使用/消費される場所のことを「石炭灰使用サイト3」と呼ぶ。石炭灰使用サイト3は、一箇所でも良く(そして、使用サイト端末13が単数)、或いは、複数箇所でも良い(そして、使用サイト端末13が複数)。
【0039】
使用サイト端末13は、例えば、当該使用サイト端末13全体の制御及び種々の処理や演算を実行するCPU(即ち、中央演算処理装置)等によって構成され得る制御部と、データやプログラムなどを記憶して格納するハードディスクやROM(Read Only Memory の略)等によって構成され得る記憶部と、制御部が種々の演算や制御を実行する際の作業領域になるRAM(Random Access Memory の略)等によって構成され得るメモリと、担当者の命令や種々の情報を制御部へと与えるためのインターフェース(即ち、情報入力の仕組み)であるキーボード等によって構成され得る入力部と、制御部の制御によって文字や図形或いは画像等の描画・表示を行うディスプレイ等によって構成され得る表示部と、通信網・通信線へと接続して通信ネットワーク10を介して管理サーバ20との間でデータの送受信を行うための通信インターフェースである無線通信を行う無線モジュールや有線通信を行う有線モジュールなどによって構成され得る通信処理部とを有するものとして構成される。
【0040】
使用サイト端末13を構成する上記の制御部,記憶部,メモリ,入力部,表示部,及び通信処理部は、各種の電気的な信号の転送が可能であるように相互にバス等の信号回線によって接続される。
【0041】
使用サイト端末13は、具体的には例えば、汎用コンピュータに所定のソフトウェア群がインストールされることによって実現されるようにしても良い。
【0042】
保管サイト端末12は、石炭灰が一時的に保管される場所に設置され、例えば本システムを利用して石炭灰の注文を受け付けて石炭灰を提供・供給する側の担当者によって操作される機器である。
【0043】
石炭灰が保管される場所は、例えば火力発電所のような石炭灰が発生する場所と同じ(別言すると、隣接する場所)でも良く、或いは、石炭灰が発生する場所とは離れた場所でも良い。
【0044】
本発明に係る石炭灰の配送システムにおいて取扱いの対象になり得る石炭灰が発生する場所のことを「石炭灰発生サイト1」と呼ぶ。石炭灰発生サイト1は、一箇所でも良く、或いは、複数箇所でも良い。石炭灰発生サイト1が一箇所の場合は、当該一箇所の石炭灰発生サイト1に於いて複数種類の石炭灰が発生することを前提とする。
【0045】
また、本発明に係る石炭灰の配送システムにおいて取扱いの対象になり得る石炭灰が保管される場所のことを「石炭灰保管サイト2」と呼ぶ。石炭灰保管サイト2は、一箇所でも良く(そして、保管サイト端末12が単数)、或いは、複数箇所でも良い(そして、保管サイト端末12が複数)。なお、上述の通り、石炭灰保管サイト2は、石炭灰発生サイト1と同じ場所(別言すると、隣接する場所)でも良く、或いは、石炭灰発生サイト1とは離れた場所でも良い。
【0046】
石炭灰保管サイト2のそれぞれに保管サイト番号が付与される。保管サイト番号は、石炭灰保管サイト2を相互に区別して個別に識別し特定し得るように、石炭灰保管サイト2のそれぞれに対してユニークで唯一のものとして付与される。なお、上述したように、石炭灰発生サイト1と石炭灰保管サイト2とが同じ場所であったり相互に隣接していたりしても良い。
【0047】
保管サイト端末12は、例えば、当該保管サイト端末12全体の制御及び種々の処理や演算を実行するCPU(即ち、中央演算処理装置)等によって構成され得る制御部と、データやプログラムなどを記憶して格納するハードディスクやROM(Read Only Memory の略)等によって構成され得る記憶部と、制御部が種々の演算や制御を実行する際の作業領域になるRAM(Random Access Memory の略)等によって構成され得るメモリと、担当者の命令や種々の情報を制御部へと与えるためのインターフェース(即ち、情報入力の仕組み)であるキーボード等によって構成され得る入力部と、制御部の制御によって文字や図形或いは画像等の描画・表示を行うディスプレイ等によって構成され得る表示部と、通信網・通信線へと接続して通信ネットワーク10を介して管理サーバ20との間でデータの送受信を行うための通信インターフェースである無線通信を行う無線モジュールや有線通信を行う有線モジュールなどによって構成され得る通信処理部とを有するものとして構成される。
【0048】
保管サイト端末12を構成する上記の制御部,記憶部,メモリ,入力部,表示部,及び通信処理部は、各種の電気的な信号の転送が可能であるように相互にバス等の信号回線によって接続される。
【0049】
保管サイト端末12は、具体的には例えば、汎用コンピュータに所定のソフトウェア群がインストールされることによって実現されるようにしても良い。
【0050】
管理サーバ20は、本システムによって実行される処理の進行を司るものであって処理ステップを管理するものであり、システムの稼働管理の担当者によって必要に応じて操作される機器である。管理サーバ20は、石炭灰保管サイト2(尚、石炭灰保管サイト2が複数ある場合にはそれらのうちのいずれか)に設置されるようにしても良く、或いは、その他の適当な場所に設置されるようにしても良い。
【0051】
管理サーバ20は、例えば、当該管理サーバ20全体の制御及び種々の処理や演算を実行するCPU(即ち、中央演算処理装置)等によって構成され得る制御部21と、データやプログラムなどを記憶して格納するハードディスクやROM(Read Only Memory の略)等によって構成され得る記憶部22と、制御部21が種々の演算や制御を実行する際の作業領域になるRAM(Random Access Memory の略)等によって構成され得るメモリ23と、通信網・通信線へと接続して通信ネットワーク10を介して使用サイト端末13や保管サイト端末12との間でデータの送受信を行うための通信インターフェースである無線通信を行う無線モジュールや有線通信を行う有線モジュールなどによって構成され得る通信処理部24とを有し、必要に応じ、作業者の命令や種々の情報を制御部21へと与えるためのインターフェース(即ち、情報入力の仕組み)であるキーボード等によって構成され得る入力部25や、制御部21の制御によって文字や図形或いは画像等の描画・表示を行うディスプレイ等によって構成され得る表示部26を更に有するものとして構成される。
【0052】
管理サーバ20を構成する上記の制御部21,記憶部22,メモリ23,及び通信処理部24、並びに、入力部25や表示部26は、各種の電気的な信号の転送が可能であるように相互にバス等の信号回線によって接続される。
【0053】
管理サーバ20は、具体的には例えば、汎用コンピュータ或いはサーバコンピュータに所定のソフトウェア群がインストールされると共に本システムの実行に際して行われる種々の演算処理を行うためのプログラム(「配送管理プログラム22a」と呼ぶ)が実行されることによって実現されるようにしても良い。
【0054】
(2)石炭灰コンテナ
石炭灰コンテナ30は、石炭灰発生サイト1で発生した石炭灰を収容し、当該石炭灰を石炭灰発生サイト1から石炭灰保管サイト2まで輸送し、前記石炭灰を石炭灰保管サイト2に於いて保管し、さらに、前記石炭灰を石炭灰保管サイト2から石炭灰使用サイト3まで輸送するための容器である。
【0055】
すなわち、石炭灰コンテナ30は、輸送容器として機能すると共に、石炭灰保管サイト2に於いて貯蔵サイロとして機能し、さらに、石炭灰使用サイト3に於いて貯留サイロとして機能するものとして構成される。
【0056】
石炭灰コンテナ30のそれぞれにコンテナID番号が付与される。コンテナID番号は、石炭灰コンテナ30を相互に区別して個別に識別し特定し得るように、石炭灰コンテナ30のそれぞれに対してユニークで唯一のものとして付与される。
【0057】
コンテナID番号は、例えば、石炭灰発生サイト1で発生した石炭灰を石炭灰コンテナ30に収容して前記石炭灰発生サイト1から搬出(別言すると、出荷)する際に前記石炭灰コンテナ30に対して付与される。なお、コンテナID番号は、石炭灰コンテナ30のそれぞれに対し、石炭灰発生サイト1が同じであるか異なるかに関わりなく、或る管理サーバ20によって管理される全ての石炭灰コンテナ30に関してユニークで唯一のものとして付与される。
【0058】
石炭灰コンテナ30として、石炭灰の輸送及び保管の際の容器として使用され得ると共に、石炭灰使用サイト3に於ける複数種類の石炭灰の混合の際に混合の仕組みと組み合わされて石炭灰を供給する容器として使用される得るものが用いられる。
【0059】
石炭灰の輸送,保管,及び供給において共通の容器として使用され得るコンテナとして、例えば、ホッパ型コンテナが挙げられる(基本的な構造の参考として、例えば、US 2014/0286716 A1,US 2015/0368039 A1 が挙げられる)。なお、
図2及び
図3は、本発明で用いられ得る石炭灰を収容する容器としてのコンテナの構成の概要を説明するためのあくまでも概念図・模式図であり、具体詳細な形態・構造や各部相互・部材相互の寸法関係などを厳密に表したり規定したりするものではない。
【0060】
石炭灰コンテナ30として用いられ得るホッパ型コンテナは、例えば、石炭灰を収容する収容容器31(別言すると、タンク)と当該収容容器31を保持する保持フレーム(具体的には、前後方向フレーム32A,上下方向フレーム32B,及び左右方向フレーム32C)とを有するものとして構成される。
【0061】
収容容器31は、上側部分の収容部31aと、当該収容部31aと連接する下側部分のシュート部31bとを有し、本実施形態では収容部31aの長手方向(具体的には、前後方向)に沿って並ぶ三つのシュート部31bを有するものとして構成される。なお、シュート部31bは、一つや二つでも良く、或いは、四つ以上でも良い。
【0062】
収容部31aは平面視において長方形に一廻りする側壁と当該一廻りの側壁の上端開口を覆う天板とによって構成され、各シュート部31bは上下逆さの四角錐体状に形成される。
【0063】
収容部31aの天板に、当該収容部31aの長手方向(具体的には、前後方向)に沿って並ぶ三つの投入口が設けられ、また、各投入口には開閉自在のハッチ33が備えられる。石炭灰発生サイト1に於いて、収容部31aの天板に備えられた前記ハッチ33が開けられて投入口が開放されて石炭灰が入れられ、所定量の石炭灰が収容部31aに収容された状態でハッチ33が閉じられて投入口が密閉される。
【0064】
シュート部31bそれぞれの下端部(即ち、上下逆さの四角錐体の頂部)に、シュート部31bの内部(別言すると、収容容器31の内部)と連通する吐出口が設けられ、また、これら吐出口のそれぞれには開閉操作可能なバルブなどの開閉機構34が備え付けられる。
【0065】
石炭灰使用サイト3に於いて、収容容器31のシュート部31bに備え付けられた開閉機構34が開けられて吐出口が開放されて石炭灰が排出され、所定量の石炭灰が収容容器31から排出された時に開閉機構34が閉じられて吐出口が封止される。
【0066】
石炭灰コンテナ30として用いられ得るホッパ型コンテナは、収容容器31を保持するように組み立てられた状態の各保持フレーム(具体的には、前後方向フレーム32A,上下方向フレーム32B,及び左右方向フレーム32C)の外法寸法がコンテナ輸送において一般的に用いられるコンテナ(具体的には例えば、鉄道コンテナ,自動車輸送用コンテナ,海上コンテナ)の外法寸法として規格化・標準化されている寸法となるように調整されることが好ましい。この場合には、規格化・標準化されたコンテナを搭載して運搬するように設計された鉄道,トラック,船舶などによって石炭灰コンテナ30を運搬することが可能になる。
【0067】
図に示す石炭灰コンテナ30の例では、収容容器31内に収容された石炭灰がシュート部31bを降り更に吐出口から開閉機構34を通過して降下し得るように(言い換えると、収容容器31内へと例えば圧縮空気などを供給して強制的に排出させることなく、重力によって自然に落下するように)、シュート部31bのそれぞれに対して振動を与えるためのバイブレータ35が備え付けられる。
【0068】
収容容器31の各シュート部31bの下方に、水平方向に配設されると共に各シュート部31b下端の吐出口のそれぞれが接続される搬送導管36が設けられる。なお、搬送導管36は、コンテナとしての外法寸法を変えないようにするため、また、石炭灰コンテナ30の輸送中における破損を防ぐため、組み立てられた状態の各保持フレーム32A,32B,32Cによって区画される空間の外側へと突出しないように寸法や位置などが調節されて配設される。
【0069】
各シュート部31b下端の吐出口と搬送導管36とは開閉機構34を介在させて相互に接続し、当該開閉機構34によってシュート部31bの内部空間(別言すると、収容容器31の内部空間)と搬送導管36の内部空間との連通状態と閉塞状態とが切り替えられる。
【0070】
搬送導管36は、管内部に螺旋状のスクリュー38を組み付け可能であるように構成されると共に前記スクリュー38を軸回転させるための駆動機構を組み付け可能であるように構成され、スクリュー38と駆動機構とが組み付けられることによってスクリューコンベヤとして機能するように構成される。
【0071】
そして、石炭灰コンテナ30は石炭灰使用サイト3へと運ばれ、石炭灰使用サイト3に於いて、石炭灰コンテナ30にもとより設けられている搬送導管36へとスクリュー38が挿入されると共に駆動機構(例えば、スクリュー駆動用モータを含む)が組み付けられてスクリューコンベヤが構成され、当該スクリューコンベヤによって石炭灰コンテナ30の外部へと石炭灰が搬送される。なお、図に示す例のように、搬送導管36の吐出口(言い換えると、下流側の開口端部)に、当該吐出口と連通するL字継手37が取り付けられるようにしても良い。
【0072】
石炭灰コンテナ30は、着脱自在のスクリュー38及び駆動機構と組み合わされることにより、石炭灰使用サイト3に於ける石炭灰混合時の貯留サイロとしても機能する。
【0073】
図に示す例のような搬送導管36が設けられている石炭灰コンテナ30が用いられる場合には、石炭灰使用サイト3に、石炭灰使用サイト3側の設備として、コンクリートを混練するためのコンクリートミキサやバッチャープラント等の混練装置・混練設備や当該混練装置・混練設備へと石炭灰を含むコンクリート材料を投入するための材料投入コンベヤなどが準備される。なお、これら混練装置・混練設備や材料投入コンベヤなどは、石炭灰使用サイト3(具体的には例えば、工場等)に固定的に設置されているものでも良く、或いは、石炭灰使用サイト3(具体的には例えば、工事現場等)に仮設的に設置される可搬型や組み立て式のものでも良い。
【0074】
また、石炭灰使用サイト3に於いて、石炭灰コンテナ30が例えばロードセルなどの重量計測機器を備える台座に対して設置され、これにより、石炭灰コンテナ30から供給されてコンクリートミキサやバッチャープラント等の混練装置・混練設備へと投入される石炭灰が計量されるようにしても良い。あるいは、搬送導管36の下流端に計測機器が取り付けられて石炭灰が計量されるようにしても良い。
【0075】
なお、石炭灰コンテナ30に設けられる搬送導管36へと挿入されるスクリュー38は、例えば収容容器31に収容されている材料に合わせて形状が選択できるように交換可能な構成部品として準備されることが好ましい。
【0076】
また、石炭灰コンテナ30に設けられる搬送導管36は、スクリュー38が挿入されない状態では、空気圧送用の導管として機能するように構成されても良い。すなわち、搬送導管36により、スクリュー38が挿入された状態でスクリューコンベヤによって石炭灰が搬送できることに加え、スクリュー38が挿入されない状態で例えば最大で0.4気圧の低圧の空気圧送によって石炭灰が搬送できるように構成されても良い。
【0077】
なお、搬送導管36が空気圧送のパイプとして用いられる場合には、石炭灰使用サイト3に於いて、搬送導管36へと接続されるコンプレッサ付きヘッドや外部空気源などの空気圧送のための設備が組み付けられる。
【0078】
(3)管理サーバ20の構成
管理サーバ20の制御部21には、配送管理プログラム22aが実行されることにより、注文受付部21a,在庫照会部21b,混合仕様計算部21c,評価判定部21d,及び出荷指示部21eが構成される。
【0079】
注文受付部21aは、使用サイト端末13から出力された受注内容の入力を受け付け、当該受注内容に基づいて各種情報を登録する処理を実行する。
【0080】
在庫照会部21bは、石炭灰保管サイト2に保管されている石炭灰の在庫量を照会し、利用可能な石炭灰の情報を登録する処理を実行する。
【0081】
混合仕様計算部21cは、受注内容における要求品質を満たす組合せを探索し(言い換えると、要求品質を満たす品質規格パラメータが実現される混合仕様を計算し)、混合仕様に関する情報を登録する処理を実行する。
【0082】
評価判定部21dは、混合仕様それぞれについての実行可能性を検証すると共に輸送費用を算定して採用混合仕様を選定し、選定された採用混合仕様に関する情報を登録する処理を実行する。
【0083】
出荷指示部21eは、採用混合仕様の内容に基づいてコンテナの出荷を管理する処理を実行する。
【0084】
管理サーバ20の記憶部22には、石炭灰保管サイト2に関する情報として、保管サイト番号と当該の保管サイト番号に対応する石炭灰保管サイト2の所在地との組合せデータの集合が、保管サイト所在地データベース22bとして格納される。
【0085】
管理サーバ20の記憶部22には、さらに、(石炭灰保管サイト2が複数箇所ある場合には全ての)石炭灰保管サイト2に保管されている全ての石炭灰に関する情報(尚、ロット情報とも言い得る)として、石炭灰が収容されている石炭灰コンテナ30のコンテナID番号,前記石炭灰コンテナ30が保管されている石炭灰保管サイト2の保管サイト番号,前記石炭灰コンテナ30に収容されている石炭灰の性状項目(例えば、粉末度や化学成分)のデータ(具体的には、数値),及び前記石炭灰コンテナ30に収容されている石炭灰の量の組合せデータの集合が、石炭灰在庫データベース22cとして格納される。
【0086】
(4)石炭灰保管サイトにおける処理
石炭灰保管サイト2では、当該の石炭灰保管サイト2に於いて保管される石炭灰の荷受けや納品に纏わる管理が行われる。石炭灰の管理は、当該の石炭灰を収容する石炭灰コンテナ30を単位として行われる。
【0087】
具体的には、石炭灰発生サイト1に於いて発生した石炭灰が収容された石炭灰コンテナ30が石炭灰保管サイト2へと搬入(別言すると、入荷)された場合に、当該の石炭灰コンテナ30に収容されている石炭灰の性状項目と量とが、当該の石炭灰保管サイト2の保管サイト番号及び当該の石炭灰コンテナ30のコンテナID番号と対応付けられて管理される。
【0088】
つまり、本発明では、石炭灰コンテナ30のそれぞれに対し、当該の石炭灰コンテナ30に収容されている石炭灰の性状等の情報が関連付けられる。
【0089】
石炭灰の性状は、例えば、石炭灰発生サイト1に於いて(言い換えると、石炭灰が石炭灰コンテナ30へと充填される際に)測定されて石炭灰コンテナ30の各々に対して割り当てられる。なお、石炭灰の性状は各石炭灰コンテナ30への石炭灰の充填毎に測定される必要は無く、石炭灰の発生に関する条件が同じであって発生している石炭灰の性状は変化していないと考えられる間は一の測定結果が複数の石炭灰コンテナ30に対して割り当てられるようにしても良い。
【0090】
また、石炭灰保管サイト2に於いて保管されている石炭灰コンテナ30が石炭灰保管サイト2から搬出(別言すると、出荷)された場合に、当該の石炭灰コンテナ30(延いては、当該の石炭灰コンテナ30に収容されている石炭灰)は搬出されたことが管理される。
【0091】
石炭灰の管理は、保管サイト端末12が利用されて通信ネットワーク10を介して管理サーバ20の記憶部22に格納されている石炭灰在庫データベース22cへとアクセスが為され、石炭灰保管サイト2へと搬入/入荷された石炭灰コンテナ30や石炭灰保管サイト2から搬出/出荷された石炭灰コンテナ30に関する情報が更新されることによって行われる。
【0092】
具体的には、石炭灰保管サイト2へと石炭灰コンテナ30が新たに搬入/入荷された場合に、保管サイト端末12及び通信ネットワーク10が利用されて、当該の石炭灰保管サイト2の保管サイト番号及び当該の石炭灰コンテナ30のコンテナID番号と当該の石炭灰コンテナ30に収容されている石炭灰の性状項目のデータ及び量との組合せデータが生成されて管理サーバ20の記憶部22に格納されている石炭灰在庫データベース22cに新たに記録され登録される。
【0093】
一方、石炭灰保管サイト2から石炭灰コンテナ30が搬出/出荷された場合に、保管サイト端末12及び通信ネットワーク10が利用されて、当該の石炭灰コンテナ30のコンテナID番号に対応する組合せデータが石炭灰在庫データベース22cから削除される。
【0094】
(5)石炭灰の配送方法に係る処理
次に、上述した石炭灰の配送システムが用いられて実施される石炭灰の配送方法について説明する。
【0095】
本実施形態の石炭灰の配送方法の実施にあたっては、まず、石炭灰使用サイト3に於いて必要とされる石炭灰についての注文が使用サイト端末13及び通信ネットワーク10が利用されて行われる(S1)。
【0096】
具体的には、石炭灰使用サイト3に居る担当者により、通信ネットワーク10へと接続している使用サイト端末13が利用されて管理サーバ20へのアクセスのリクエストが行われる。
【0097】
使用サイト端末13からアクセスされた管理サーバ20の制御部21の注文受付部21aは、前記使用サイト端末13の表示部に注文入力画面を出力する。なお、使用サイト端末13から管理サーバ20へとアクセスがリクエストされた際に、ログイン処理が実行されてログインIDとパスワードとの組合せなどによってユーザ認証が行われるようにしても良い。
【0098】
注文入力画面の表示や入力欄に従い、石炭灰使用サイト3に於いて必要になった石炭灰に関する情報(「注文内容」と呼ぶ)が、使用サイト端末13の入力部を介して入力される。
【0099】
注文内容には、必要とされる石炭灰の要求品質の指定が少なくとも含まれ、また、必要な量,納品場所(具体的には、石炭灰使用サイト3の所在地),及び納品期日などの情報が含まれる。
【0100】
石炭灰の要求品質は、例えば、日本工業規格 JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」においてフライアッシュの種類として規定されているフライアッシュI種,II種,III種,及びIV種を区分する際に用いられる各項目の水準を特定することなどによって指定され、具体的には、二酸化けい素含有量[%],湿分[%],強熱減量[%],密度[g/cm],粉末度・網ふるい方法(45μmふるい残分)[%],粉末度・ブレーン方法(比表面積)[cm2/g],フロー値比[%],及び活性度指数[%]のそれぞれについての数値によって指定される。石炭灰の要求品質を特定するための項目のことを「性状項目」と呼ぶ。
【0101】
石炭灰の要求品質は、また、単に「フライアッシュII種」などと指定されることによって行われることもあり得る。この場合には、上記日本工業規格 JIS A 6201において定められているフライアッシュの種類それぞれに対応する各項目の水準が指定されたものとして取り扱われる。
【0102】
納品場所は、使用サイト端末13の入力部を介して直接入力されるようにしても良く、或いは、ログイン処理が実行される場合にはログインIDに基づいて選択されたり自動的に設定されたりするようにしても良い。
【0103】
管理サーバ20の制御部21の注文受付部21aは、注文入力画面に従って使用サイト端末13によって入力された注文内容を通信ネットワーク10を介して取得する。
【0104】
そして、注文受付部21aは、取得した注文内容をメモリ23に記憶させる。
【0105】
次に、石炭灰保管サイト2に保管されている石炭灰の在庫の確認が行われる(S2)。
【0106】
具体的には、管理サーバ20の制御部21の在庫照会部21bが、記憶部22に格納されている石炭灰在庫データベース22cを参照してコンテナID番号,保管サイト番号,石炭灰の性状項目のデータ,及び石炭灰の量の組合せデータを読み込み、当該の時点において利用可能な全ての石炭灰の情報として認識する。
【0107】
このように、本発明では、石炭灰コンテナ30を単位として、どのような性状の石炭灰がどの石炭灰保管サイト2にどの程度存在するかが把握され管理される。
【0108】
そして、在庫照会部21bは、利用可能な石炭灰の情報をメモリ23に記憶させる。
【0109】
次に、S1の処理において注文内容として指定された要求品質を満たす性状の石炭灰を混合によって実現する(言い換えると、調製する)ための、品質が異なる複数種類の石炭灰の混合仕様の計算が行われる(S3)。
【0110】
具体的には、管理サーバ20の制御部21の混合仕様計算部21cが、S1の処理においてメモリ23に記憶された注文内容を読み込むと共にS2の処理においてメモリ23に記憶された利用可能な石炭灰の情報を読み込み、前記注文内容において指定されている要求品質を満たす石炭灰を前記注文内容において指定されている量だけ調製するために混合すべき複数種類の石炭灰の組合せ(別言すると、コンテナID番号の組合せ)及び各石炭灰の混合率を探索すると共に各石炭灰の混合量を計算する。
【0111】
石炭灰の混合率の探索の際には、石炭灰保管サイト2に保管されている石炭灰コンテナ30の各々に収容されている石炭灰の量が参照されつつ、注文内容において指定されている(別言すると、混合によって調製されるべき)石炭灰の必要な量が確保されることも考慮される。
【0112】
所望の性状の石炭灰を調製するために混合すべき複数種類の石炭灰の選定及び各石炭灰の混合率の算定は、特定の方法に限定されるものではなく、例えばコンクリート材料の配合の際に石炭灰の混合調製において用いられてきた従来の方法が用いられるようにしても良く、或いは、所与の制約条件下において充足解/最適解を特定する適当な手法が適宜選択されるようにしても良い。
【0113】
品質が異なる複数種類の石炭灰を混合した結果の性状項目の値は、例えば、比例計算によって算定(別言すると、推定)されることが考えられる。具体的には例えば、或る性状項目について、石炭灰Aの値がXaであって石炭灰Bの値がXbであるとき、石炭灰Aと石炭灰Bとを混合して調製される石炭灰Mの値Xmは以下の数式1によって算定/推定される。
【0114】
(数1) Xm = α×Xa + β×Xb
ただし、α+β=1、且つ、0<α<1 及び 0<β<1
ここに、 Xm:石炭灰Aと石炭灰Bとを混合した石炭灰Mの性状項目の値,
Xa:石炭灰Aの性状項目の値,
Xb:石炭灰Bの性状項目の値,
α:石炭灰Aの混合率,
β:石炭灰Bの混合率 をそれぞれ表す。
【0115】
したがって、注文内容における要求品質として或る性状項目について、例えばその値がY以上(若しくは、Y以下。又は、Y以上且つZ以下)であることが指定されている場合は、数式1によって算定されるXmの値がY以上(若しくは、Y以下。又は、Y以上且つZ以下)になるように、保管されている石炭灰それぞれの性状項目の値をXaやXbとして用いつつ混合率α及びβの値の範囲が特定される。そして、注文内容における要求品質としての性状項目のそれぞれに対応する混合率α及びβの値の範囲が特定された上で、全ての性状項目の条件を満たすものとして、性状項目のそれぞれに対応する混合率α及びβの値の範囲の全てを満たす範囲(別言すると、混合率α及びβの値の範囲の全てが重複する範囲)が抽出される。
【0116】
注文内容における要求品質として性状項目の値がY以上であることやY以下であること或いはY以上且つZ以下であることが指定されている場合には混合率α,βの値は所定の範囲として特定されることが考えられるところ、S3の処理の結果としては前記所定の範囲のうちの適当な値が適宜選定される。
【0117】
なお、数式1は混合される石炭灰の種類が二つであるようにしているが、混合される石炭灰の種類は三つ以上でも良い。また、上記の説明における「以上」が「より大きい」であったり「以下」が「より小さい」や「未満」であったりしても考え方は同様である。
【0118】
S3の処理の結果として、注文内容における要求品質の全てを満たす、石炭灰の識別子(具体的には、当該の石炭灰が収容されている石炭灰コンテナ30のコンテナID番号が用いられる)と当該石炭灰の混合量Mid[g,kg]との組合せ(ID,Mid)の取合せ/集合として混合仕様が特定される。すなわち、混合仕様は、例えば{(ID1,Mid1),(ID2,Mid2),・・・}のようになる。
【0119】
なお、混合仕様を実現するために、選定された石炭灰コンテナ30に収容されている石炭灰の一部のみが使用される場合も有り得るため、当該の石炭灰コンテナ30に収容されている石炭灰のうちの使用量として混合量Midが情報として付与される。
【0120】
ここで、注文内容における要求品質の全てを満たす混合仕様は、一つ若しくは複数特定される。S3の処理の結果として特定される混合仕様の各々を「混合仕様N」と表記する(但し、Nは、本実施形態では自然数であり、混合仕様を相互に区別して個別に識別し特定し得るように、混合仕様のそれぞれに対してユニークで唯一のものとして付与される)。
【0121】
そして、混合仕様計算部21cは、特定された一つ若しくは複数の混合仕様N(具体的には、コンテナID番号と混合量との組合せの取合せ/集合)を採用候補グループとしてメモリ23に記憶させる。
【0122】
なお、注文内容における要求品質の全てを満たすような混合仕様が存在しない場合は、混合仕様計算部21cは混合仕様が存在しない状況に対応する電気的な信号を管理サーバ20の制御部21へと出力する。そして、制御部21は、注文内容における要求品質を満たす混合仕様が存在しないことを伝えるメッセージを使用サイト端末13の表示部に出力し、当該の注文内容に関する処理を終了する。
【0123】
S3の処理において混合仕様が少なくとも一つ特定された場合は、続いて、S3の処理において特定された混合仕様のそれぞれについて実行可能性の判断や費用の評価が行われる(S4)。
【0124】
具体的には、管理サーバ20の制御部21の評価判定部21dが、S1の処理においてメモリ23に記憶された注文内容を読み込むと共にS3の処理において採用候補グループとしてメモリ23に記憶された混合仕様Nを読み込む。
【0125】
続いて、評価判定部21dは、注文内容における納品場所及び納品期日を確認する。
【0126】
評価判定部21dは、また、混合仕様N毎に、当該の混合仕様Nを構成する複数種類の石炭灰(具体的には、コンテナID番号によって特定される)のそれぞれについて、石炭灰在庫データベース22cを参照してコンテナID番号に対応付けられている保管サイト番号を取得すると共に保管サイト所在地データベース22bを参照して保管サイト番号に対応付けられている石炭灰保管サイト2の所在地を取得して当該の石炭灰(具体的には、石炭灰コンテナ30)が保管されている石炭灰保管サイト2の場所を特定する。
【0127】
そして、評価判定部21dは、混合仕様N毎に、石炭灰保管サイト2から納品場所までの輸送距離(具体的には、線路距離,道路距離,航路距離など)を特定する。
【0128】
このとき、或る混合仕様Nを構成する複数種類の石炭灰についてこれら石炭灰(石炭灰コンテナ30)が保管されている石炭灰保管サイト2の場所が全て同じ場合には、石炭灰保管サイト2から納品場所までの輸送距離が特定され、また、当該特定された輸送距離が当該の混合仕様Nについての最大輸送距離として特定される。
【0129】
一方、或る混合仕様Nを構成する複数種類の石炭灰についてこれら石炭灰(石炭灰コンテナ30)が保管されている石炭灰保管サイト2の場所が異なる場合には、各石炭灰保管サイト2から納品場所までのそれぞれの輸送距離が特定された上で、これら特定された輸送距離のうちで最長のものが当該の混合仕様Nについての最大輸送距離として特定される。
【0130】
評価判定部21dは、混合仕様N毎に特定された最大輸送距離に基づいて輸送に必要な日数を算定し、算定された日数では注文内容における納品期日を超過してしまう場合には、当該の混合仕様Nを、S3の処理において分類された採用候補グループから除外する。
【0131】
この段階で採用候補グループに分類された混合仕様が無くなってしまった場合は、評価判定部21dは納品期日を満たす混合仕様が存在しない状況に対応する電気的な信号を管理サーバ20の制御部21へと出力する。そして、制御部21は、注文内容における納品期日を満たす混合仕様が存在しないことを伝えるメッセージを使用サイト端末13の表示部に出力し、当該の注文内容に関する処理を終了する。
【0132】
続いて、評価判定部21dは、混合仕様N毎に、当該の混合仕様Nを構成する複数種類の石炭灰(別言すると、複数の石炭灰コンテナ30)のそれぞれが保管されている石炭灰保管サイト2から納品場所までの輸送距離に基づいて、混合仕様Nを実現するための輸送費用を算定する。
【0133】
そして、評価判定部21dは、輸送費用が最も低廉な混合仕様Nを抽出して当該の混合仕様Nを採用混合仕様とし、当該採用混合仕様の内容及び当該採用混合仕様の原拠である注文内容をメモリ23に記憶させる。なお、採用混合仕様の内容は、混合仕様Nの内容と同じであり、石炭灰の識別子(具体的には、当該の石炭灰が収容されている石炭灰コンテナ30のコンテナID番号)と当該石炭灰の混合量Mid[g,kg]との組合せ(ID,Mid)の取合せ/集合であり、例えば{(ID1,Mid1),(ID2,Mid2),・・・}のようになる。
【0134】
なお、採用混合仕様を実行するためには、注文内容において指定されている納品場所(即ち、石炭灰使用サイト3)へと、複数の石炭灰保管サイト2から石炭灰コンテナ30を出荷して石炭灰を納品することもあり得る。
【0135】
評価判定部21dは、また、石炭灰在庫データベース22cに保存されているデータのうち、採用混合仕様において選定された石炭灰コンテナ30のコンテナID番号を有するデータ(別言すると、前記コンテナID番号と対応付けられているデータ)について、使用予定の石炭灰であるために今後の別の新たな混合率の計算(即ち、S3の処理)のための石炭灰の在庫の確認(即ち、S2の処理)において在庫として認識されないようにするため、使用予定であることを表すフラグ(「使用予定フラグ」と呼ぶ)を付与/付加して石炭灰在庫データベース22cを更新する。そして、以後の石炭灰の在庫の確認(即ち、S2の処理)では、使用予定フラグが付与されているデータは石炭灰の在庫として認識されず、利用可能な石炭灰から除外される。
【0136】
次に、S4の処理において特定された採用混合仕様に基づいて石炭灰コンテナ30の出荷の指示が行われる(S5)。
【0137】
具体的には、管理サーバ20の制御部21の出荷指示部21eが、S4の処理においてメモリ23に記憶された採用混合仕様の内容及び注文内容を読み込む。
【0138】
続いて、出荷指示部21eは、採用混合仕様を構成する複数の石炭灰の識別子(具体的には、石炭灰コンテナ30のコンテナID番号)と石炭灰の混合量Midとの組合せ毎に、当該のコンテナID番号の石炭灰コンテナ30が保管されている石炭灰保管サイト2に設置されている保管サイト端末12に対して石炭灰コンテナ30のコンテナID番号と石炭灰の混合量Midとの組合せの情報(別言すると、データ)及び注文内容を出荷指示として通信ネットワーク10を介して送信する。
【0139】
出荷指示としての石炭灰コンテナ30のコンテナID番号と石炭灰の混合量Midとの組合せの情報(別言すると、データ)及び注文内容を受信した保管サイト端末12が設置されている石炭灰保管サイト2の担当者は、注文内容に含まれている納品場所(具体的には、石炭灰使用サイト3の所在地に関する情報)及び納品期日を確認すると共に、前記納品期日に前記納品場所へと納品するように前記コンテナID番号の石炭灰コンテナ30を出荷する手配を行う。
【0140】
出荷指示(延いては、注文内容)に従った出荷が完了した際に、保管サイト端末12が利用され、出荷が完了した石炭灰コンテナ30のコンテナID番号を有するデータ(別言すると、前記コンテナID番号と対応付けられているデータ;尚、使用予定フラグが付与/付加されているはずのデータである)が石炭灰在庫データベース22cから削除されて石炭灰在庫データベース22cが更新される。
【0141】
なお、石炭灰保管サイト2から出荷された石炭灰コンテナ30のうち、石炭灰コンテナ30に収容されている石炭灰の一部のみが石炭灰使用サイト3に於いて使用されて石炭灰が内部に未だ残っている石炭灰コンテナ30が石炭灰保管サイト2へと戻ってきた場合には、石炭灰保管サイト2への石炭灰の搬入(別言すると、入荷)の場合と同じに取り扱われ、当該の石炭灰コンテナ30に収容されている(別言すると、残っている)石炭灰の性状項目と量(別言すると、残っている量)とが、当該の石炭灰保管サイト2の保管サイト番号及び当該の石炭灰コンテナ30のコンテナID番号と対応付けられて管理される。
【0142】
また、出荷指示部21eは、採用混合仕様を構成する複数の石炭灰の識別子(具体的には、石炭灰コンテナ30のコンテナID番号)と石炭灰の混合量Midとの組合せの情報(別言すると、データ)を、当該の採用混合仕様に係る注文を行った石炭灰使用サイト3に設置されている使用サイト端末13に対して通信ネットワーク10を介して納品情報として送信する。
【0143】
納品情報としての石炭灰コンテナ30のコンテナID番号と石炭灰の混合量Midとの組合せの情報(別言すると、データ)を受信した使用サイト端末13が設置されている石炭灰使用サイト3の担当者は、納品情報に含まれている石炭灰コンテナ30のコンテナID番号及び石炭灰の混合量Midを確認する。そして、石炭灰使用サイト3に於いて、納品情報に従った(別言すると、採用混合仕様に則った)石炭灰の投入が行われてコンクリートの混練が行われる。
【0144】
上述のように、利用可能な全ての石炭灰の情報(具体的には、石炭灰コンテナ30を単位として、どのような性状の石炭灰がどの石炭灰保管サイト2にどの程度存在するか)が把握され管理され、石炭灰発生サイト1で発生した品質が異なる複数種類の石炭灰が石炭灰使用サイト3へと輸送され、コンクリートミキサやバッチャープラント等の混練装置・混練設備へと所定量(別言すると、所定の混合率に従う配合量)が個別に直接投入されることにより、混練装置・混練設備によって複数種類の石炭灰のブレンディングが行われるので、複数種類の石炭灰(例えば、フライアッシュ)がプレミキシングされた石炭灰(即ち、例えばコンクリート材料として使用される前に複数種類の石炭灰が予め混合されて性状調整された石炭灰)を投入する場合と同等の作用効果が得られる。
【0145】
ここで、プレミキシングをする場合には通常はブレンディングサイロ(「ミキシングサイロ」とも呼ばれる)による混合・性状調整が必要であるところ、ブレンディングサイロ/ミキシングサイロは、非常に大掛かりで大規模な設備であり、膨大な設備投資が必要であったり、石炭灰が使用される場所に応じて手軽に移転させることができなかったりするという問題がある。つまり、石炭灰を事前に混合して性状調整を行うことは容易ではない。これに対して本発明によれば、石炭灰の事前の混合・性状調整が行われる必要が無く、石炭灰が使用される場所へと石炭灰コンテナ30を単位として複数種類の石炭灰を輸送して石炭灰の使用と同時にコンクリートミキサやバッチャープラント等の混練装置・混練設備内で混合・性状調整が行われるので、大掛かりで大規模な設備を設営したり事前の手間を掛けたりすることなく石炭灰の利活用を推し進めることが可能になる。
【0146】
ブレンディングサイロ/ミキシングサイロは非常に大掛かりで大規模な設備であることから、少量の石炭灰同士の混合を繰り返して小まめに行うことに適しているとは言えず、特に、性状調整では予定されていない石炭灰の混入/汚染を防いで厳格な品質管理下で性状調整のための少量の石炭灰同士の混合を行うことに適しているとは言えず、このため小ロットでの注文に対応することができないという問題がある。このような問題は、石炭灰コンテナ30を納品,保管や出荷の単位とする本発明によれば解消され得る。
【0147】
また、複数の石炭灰発生サイト1に於いて発生した品質が異なる複数種類の石炭灰を貯蔵サイロへと投入して集積貯蔵する場合には、石炭灰それぞれの性状等のデータを含む石炭灰に関する情報は失われてしまい、詳細な(別言すると、厳格な)ロット管理/品質管理ができないという問題がある。このような問題も、石炭灰コンテナ30を納品,保管や出荷の単位とする本発明によれば解消され得る。
【0148】
また、本発明では、石炭灰を特定の場所に集積するという制約が無く、石炭灰保管サイト2は必要に応じてどこにでも適宜配置するようにすれば良いので、特定の場所に大規模な貯蔵サイロを設置する必要が無く、適当な場所に石炭灰保管サイト2を分散させて配置するようにしても良い。石炭灰保管サイト2を分散して配置することにより、石炭灰の供給エリアの拡大に繋がり、延いては石炭灰の利活用を推し進めることが可能になる。
【0149】
以上のように構成された石炭灰の配送システムや石炭灰の配送方法によれば、石炭灰発生サイト1で発生した複数種類の石炭灰が混合されること無く個別に輸送されて搬入,保管,及び搬出が行われるので、同じ(若しくは、ほぼ同じ)条件下で発生した同一の(若しくは、実質上同一の)性状を備える石炭灰の供給を行うことができ、また、少量での供給や必要とされる量にきめ細かく対応した供給を行うことができる。このため、ロット管理(別言すると、品質管理)が徹底されて炭種や性状が確定的で安定した石炭灰を供給することが可能になり、また、種々多様な状況における石炭灰の利活用を推し進めることが可能になる。
【0150】
以上のように構成された石炭灰の配送システムや石炭灰の配送方法によれば、また、石炭灰発生サイト1で発生した複数種類の石炭灰の荷受け,保管,及び納品が石炭灰同士が混合されること無く個別に行われるので、複数種類の石炭灰のそれぞれに関連付けられた石炭灰各々の性状等の情報を荷受けから納品まで一貫して不変のものとして対応付けて利用することができる。このため、ロット管理(別言すると、品質管理)が徹底されて炭種や性状が明確な石炭灰を供給することが可能になる。
【0151】
また、以上のように構成されたコンクリートの混練方法によれば、石炭灰発生サイト1で発生した複数種類の石炭灰が混合されること無く個別に輸送されてコンクリートの混練に用いられるので、同じ(若しくは、ほぼ同じ)条件下で発生した同一の(若しくは、実質上同一の)性状を備える石炭灰のコンクリート材料としての供給を行うことができ、また、コンクリート材料としての少量での供給やコンクリート材料として必要とされる量にきめ細かく対応した供給を行うことができる。このため、ロット管理(別言すると、品質管理)が徹底されて炭種や性状が確定的で安定した石炭灰を供給しコンクリート材料として使用してコンクリートを配合することが可能になり、また、種々多様な状況下でのコンクリートの配合における石炭灰の利活用を推し進めることが可能になる。
【0152】
以上のように構成されたコンクリートの混練方法によれば、また、石炭灰発生サイト1で発生した複数種類の石炭灰の荷受け及び納品が石炭灰同士が混合されること無く個別に行われるので、複数種類の石炭灰のそれぞれに関連付けられた石炭灰各々の性状等の情報を荷受けから納品まで一貫して不変のものとして対応付けて利用することができる。このため、ロット管理(別言すると、品質管理)が徹底されて炭種や性状が明確な石炭灰を供給しコンクリート材料として使用してコンクリートを配合することが可能になる。
【0153】
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
【0154】
例えば、本発明を実施する際の態様の具体的な構成は、
図1に例として示す構成に限定されるものではなく、
図5に示すような態様の構成も考えられる。
図5に示す例では、石炭灰の提供・供給を受ける側の担当者(別言すると、石炭灰の注文者)により、
図1に示す例における使用サイト端末13に相当する機器が操作されたり、或いは電話が使用されたりして、受注センター(
図1に示す例における管理サーバ20に相当する機能を備える)に対して所望の石炭灰の注文が行われる。注文を受け付けた受注センターにより、専用ネットワーク(具体的には、通信ネットワーク)を介して発生地側担当支店に対して石炭灰の在庫転送指示が伝えられる。在庫転送指示を受け付けた発生地側担当支店は、発電所(
図1に示す例における石炭灰発生サイト1に相当する)に対して石炭灰の確保・転送を依頼すると共に、発電所から発生地側の最寄鉄道コンテナ駅までのトラック輸送を手配し(この際、発生地側の保管基地(
図1に示す例における石炭灰保管サイト2に相当する)を利用しての石炭灰コンテナ30の一時保管も考慮される)、さらに、発生地側の最寄鉄道コンテナ駅から納入地側の最寄鉄道コンテナ駅までの鉄道輸送を手配する。発生地側担当支店は、また、専用ネットワーク(具体的には、通信ネットワーク)を介して納入地側担当支店に対して納入指示を伝える。納入指示を受け付けた納入地側担当支店は納入地側の最寄り鉄道コンテナ駅から納入場所(
図1に示す例における石炭灰使用サイト3に相当する)までのトラック輸送を手配する(この際、納入地側の保管基地(
図1に示す例における石炭灰保管サイト2に相当する)を利用しての石炭灰コンテナ30の一時保管も考慮される)。なお、
図5に示す例において、注文に係る石炭灰の内容や発生地と納入地とに纏わる種々の条件などが総合的に勘案された最適な輸送計画が人工知能システム(尚、例えば受注センターに設置される)によって判断・立案されるようにしても良い。
【0155】
また、上述の実施形態では使用サイト端末13は石炭灰使用サイト3に設置されるようにしているが、使用サイト端末13が設置される場所は、石炭灰使用サイト3に限定されるものではなく、石炭灰使用サイト3以外の場所であっても構わない。例えば、使用サイト端末13は、石炭灰を注文する際に操作される機器であるので、石炭灰使用サイト3以外の場所で、石炭灰を注文して石炭灰の提供・供給を受ける側の担当者(別言すると、石炭灰の注文者)が居る場所に設置されるようにしても良い。
【0156】
また、上述の実施形態ではホッパ型であって且つ収容容器31のシュート部31bの下方に搬送導管36を有する石炭灰コンテナ30が用いられるようにしているが、本発明において用いられるコンテナはホッパ型のコンテナに限られるものではなく、一般的なタンクコンテナやバルクコンテナなどが用いられると共に石炭灰使用サイト3に設置された例えば貯留サイロへと入れられた上で石炭灰が使用されるようにしても良い。さらに言えば、本発明において石炭灰を収容する容器は、コンテナの類いに限定されるものではなく、石炭灰を充填して輸送や保管に用いられ得る(言い換えると、輸送や保管に際して必要とされる程度の耐久性を備える)ものであればどのような容器であっても良い。
【0157】
また、上述の実施形態では石炭灰保管サイト2に保管サイト端末12が設置されると共に当該保管サイト端末12及び通信ネットワーク10が利用されて管理サーバ20に格納されている石炭灰在庫データベース22cが更新されるようにしているが、管理サーバ20が入力部25や表示部26を有するものとして構成されると共にこれら入力部25や表示部26が利用されて管理サーバ20に格納されている石炭灰在庫データベース22cが直接更新されるようにしても良い。
【0158】
また、上述の実施形態では石炭灰使用サイト3に使用サイト端末13が設置されると共に当該使用サイト端末13及び通信ネットワーク10が利用されて注文内容が管理サーバ20へと送信されるようにしているが、管理サーバ20が入力部25や表示部26を有するものとして構成されると共にこれら入力部25や表示部26が利用されて注文内容が管理サーバ20へと直接入力されるようにしても良い。
【符号の説明】
【0161】
1 石炭灰発生サイト
2 石炭灰保管サイト
3 石炭灰使用サイト
10 通信ネットワーク
12 保管サイト端末
13 使用サイト端末
20 管理サーバ
21 制御部
21a 注文受付部
21b 在庫照会部
21c 混合仕様計算部
21d 評価判定部
21e 出荷指示部
22 記憶部
22a 配送管理プログラム
22b 保管サイト所在地データベース
22c 石炭灰在庫データベース
23 メモリ
24 通信処理部
25 入力部
26 表示部
30 石炭灰コンテナ
31 収容容器
31a 収容部
31b シュート部
32A 前後方向フレーム
32B 上下方向フレーム
32C 左右方向フレーム
33 ハッチ
34 開閉機構
35 バイブレータ
36 搬送導管
37 L字継手
38 スクリュー