(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】浮遊分子汚染の制御のためのフィルタカートリッジシステム
(51)【国際特許分類】
B01D 46/52 20060101AFI20220927BHJP
B01D 39/14 20060101ALI20220927BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
B01D46/52 A
B01D39/14 M
B01D39/16 A
(21)【出願番号】P 2018556870
(86)(22)【出願日】2017-04-28
(86)【国際出願番号】 US2017030009
(87)【国際公開番号】W WO2017189940
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2018-12-27
【審判番号】
【審判請求日】2021-04-16
(32)【優先日】2016-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ルブラン, トム
(72)【発明者】
【氏名】ワイルドグース, ジョー
(72)【発明者】
【氏名】ベネット, マーク
(72)【発明者】
【氏名】ワーニャーズ, エヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ゴードロー, ジョン
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】関根 崇
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-89982(JP,A)
【文献】特開2000-189736(JP,A)
【文献】特開2008-212780(JP,A)
【文献】特開2006-75805(JP,A)
【文献】特開2000-61232(JP,A)
【文献】特開平9-173748(JP,A)
【文献】特開平10-263348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D39/
B01D46/
B01D53/
B01J20/
F24F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮遊分子汚染の制御のためのフィルタカートリッジシステムであって、
不織繊維と少なくとも1種の吸着剤とを備えるフィルタカートリッジであって、フィルタカートリッジが実質的に可燃性の材料を含む、フィルタカートリッジと、
フィルタカートリッジのための再利用可能なケースであって、フィルタカートリッジが、廃棄のために、再利用可能なケースから容易に分離可能である、再利用可能なケースと、
取り外しが容易なように、再利用可能なケースに組み付けられた金属スクリーンとを備え、
前記フィルタカートリッジが、単一成分ホットメルト材料の凝固によって形成された四方シールを有するフィルタプリーツパックを含み、
前記フィルタカートリッジが、プラスチックプリーツコームセパレータをさらに備えるフィルタカートリッジシステム。
【請求項2】
フィルタカートリッジが、可燃性の材料のみを含む、請求項1に記載のフィルタカートリッジシステム。
【請求項3】
フィルタカートリッジが、不織繊維を含むフィルタプリーツパック媒体を含み、フィルタプリーツパック媒体が縁部シールを有する、請求項1または2に記載のフィルタカートリッジシステム。
【請求項4】
フィルタカートリッジが、混合吸着剤媒体を含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載のフィルタカートリッジシステム。
【請求項5】
フィルタカートリッジが、プラスチックサイドパネルをさらに備える、請求項1から
4のいずれか一項に記載のフィルタカートリッジシステム。
【請求項6】
フィルタカートリッジが、カーボンフィルタ媒体とイオン交換フィルタ媒体とのうちの少なくとも一方をさらに含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載のフィルタカートリッジシステム。
【請求項7】
ケースが金属であり、任意選択的に、陽極酸化アルミニウムケースを備える、請求項1から
6のいずれか一項に記載のフィルタカートリッジシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年4月28日に出願された米国特許仮出願第62/328920号明細書の利益を主張するものであり、この米国仮特許出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
多くの半導体装置およびクリーンルームは、特に台湾など、製造設備の埋め立てスペースおよび廃棄の費用が高額になる場所にある。利用可能な埋め立てスペースが極めて限られているため、台湾行政院環境保護署(EPA)は、埋め立てによって補完される一般廃棄物処理の主要な方法として、焼却を支持する戦略を採用している。したがって、1991年を始まりとして、台湾政府はWTE(廃棄物発電)プラントの建設のための長期計画を立てた。台湾のWTEプラント建設工事プロジェクトによれば、2005年までに21基のWTEプラントを政府が建設する予定であった。
【0003】
プラスチックは非常に高い発熱量を持つため、埋め立て地に埋めるのは非常に不経済である。しかし、一般に、半導体装置およびクリーンルームの用途に使用される浮遊分子汚染(Airborne Molecular Contamination、AMC)フィルタは、典型的には、金属ハウジングに永久的に結合された吸収媒体から構成されているため、このようなフィルタを廃棄、リサイクルまたは再利用することは困難である。従来、このようなフィルタの金属ケースを、接着で組み付けられたフィルタ媒体から分離するのに労力が費やされている。
【0004】
一部のフィルタ設計は、固定されていない粒状吸着剤を使用することによって、再利用の必要性に対処しようとしており、この粒状吸着剤は、再利用される金属ハウジングから粒状吸着剤を注ぎ出し、新たな吸着剤を注ぎ込むことによって再利用される。他の試みは、フィルタ媒体を再生することであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、半導体装置およびクリーンルームの用途のためのAMCフィルタの廃棄に関わる懸念に対処し、コストを削減する必要が継続している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、浮遊分子汚染(AMC)を制御するために、半導体装置およびクリーンルームの用途で使用するのに適したフィルタに関する。フィルタカートリッジシステムは、不織繊維と少なくとも1種の吸着剤とを有するフィルタカートリッジを備える。一部の実施形態では、フィルタカートリッジは、その使用終了時の破壊をサポートするために実質的に可燃性の材料から構成される。
【0007】
実質的に可燃性のフィルタカートリッジを、再利用可能なケース内に配置して、フィルタカートリッジシステムを完成させる。再利用可能なケースを設計する際に考慮される非限定的な要素には、とりわけ、重量、耐久性、形状保持性、取り扱い性、および難燃性が含まれる。一実施形態では、フィルタカートリッジの同様に再利用可能なケースは、金属である。適用および使用において、フィルタカートリッジは、廃棄のために、再利用可能なケースから容易に分離可能である。
【0008】
上記の概要は、本開示に固有の革新的な特徴の一部の理解を容易にするために提供されており、完全な説明であることは意図されていない。本明細書、特許請求の範囲、図面、および要約書の全体を全体として捉えれば、本開示を完全に理解できる。
【0009】
本開示は、添付の図面に関連する様々な例示的実施形態の以下の説明を考慮すれば、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】フィルタカートリッジの一実施形態の分解図である。
【
図4】フィルタカートリッジのポッティングを例証する図である。
【
図7A】サイドフラップ取り付け機構を示す図である。
【
図7B】サイドフラップ取り付け機構を示す図である。
【
図8】本開示のフィルタカートリッジシステムの断面図である。
【
図10】本開示のAMCフィルタの適用を実施する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態を説明する。
【0012】
半導体装置およびクリーンルームの用途で使用される分子状汚染物質のための従来のフィルタは、通常、金属ハウジングに接合された吸着媒体から構成されている。このために、金属およびプラスチック媒体のリサイクルが高価または不可能になる。また、金属ハウジングが再利用されないため、フィルタのコストが高い。
【0013】
本発明の一変形によれば、再利用可能なハウジング、好ましくは金属ハウジングとともに使用される、実質的に可燃性の材料で作られたAMCフィルタが提供される。このようなフィルタシステムは、例えば、金属ハウジングを再利用できると同時に、燃焼によって実質的に可燃性のフィルタを廃棄することを可能にするという利点を提供する。さらなる利点としては、例えば、フィルタシステムが、所有コストを低減し、フィルタアセンブリに必要な部品点数を削減し、廃棄に伴う労力を軽減し、環境への影響を緩和できることを挙げることができる。
【0014】
図1は、本発明の一変形によるフィルタカートリッジシステム100の図であり、本フィルタカートリッジシステム100は、再利用可能な金属フレーム202(
図2に示す)に嵌め込むことができる使い捨てフィルタカートリッジ101を提供する。
【0015】
図2は、本発明の一変形による、使い捨てフィルタカートリッジ101(
図1参照)とともに使用され得る再利用可能な金属フレーム202を示す図である。
図2は、下部金属スクリーン203の配置を示しており、本発明の一変形によれば、下部金属スクリーン203は、金属フレーム202内でフィルタプリーツパックの下で使用され得る。フィルタプリーツパックの上に上部金属スクリーン204を使用することもでき、
図2に示すように、金属フレーム202の上部内へスライドすることができる。
図2の金属スクリーン203、204は、金属スクリーン上にスクリム材の薄層を備えることができ、スクリーンの縁部の周りに独立気泡ポリエチレンフォームを備えることができる。金属フレーム202は、例えば、半導体製造の仕様を満たすことができ、例えば、陽極酸化アルミニウムフレームを含むことができる。本発明による別の変形では、フィルタカートリッジ101は、フィルタカートリッジ101の接着土台の対応する凹部と併せて使用できる、トグルクランプなどのクランプを用いて、金属フレーム202内に固定することができる。
【0016】
図3は、本発明の一変形によるフィルタカートリッジシステムの分解図である。フィルタカートリッジシステムは、フィルタプリーツパック305と、フィルタプリーツコームセパレータ306と、サイドパネル307と、ホットメルト接着剤308と、スクリーン309と、を備える。フィルタプリーツコームセパレータ306は、例えば、レーザカットポリプロピレンなどのプラスチックで作ることができる。
【0017】
図4は、本発明の一変形によるフィルタカートリッジをポッティング(またはキャスティング)するためのプロセスを示す図である。フィルタは、余分な構成要素を持たない型内において、構造について接着土台自体に依拠し、注型封入される。型は、PTFEコーティングされたアルミニウムシート410を基部として使用し、アルミニウムシート410は、硬化後に型からフィルタを取り外すのを助けるために、ヒンジ411を備える。PTFEコーティングは、表面を滑らかにし、型に耐久性を与える。アライメント固定具412も使用され、アライメント固定具412は、フィルタプリーツパックを空間に吊り下げて、最終的な形状に嵌め込まれるようにし、反対側で注型封入されたときにフィルタが正方形となることを確保する。本発明の一変形によれば、ポッティング材料は、窒素ガス発泡ポリエチレンなどのホットメルトポリエチレン(HMGE)であってもよいが、他の種類のホットメルト接着剤を使用してもよい。接着剤は、例えば、テフロン(登録商標)強化ガラス繊維布および棒鋼でライニングされた皿に注がれる。接着剤が冷えて硬化すると、フィルタは型から剥がされる。
【0018】
図5Aおよび
図5Bは、本発明の一変形によるフィルタカートリッジをポッティング(またはキャスティング)する際のアライメント固定具512の使用法を示す図である。第1の側をポッティングするための接着土台513は、フレームの位置決めピン514と位置合わせされる。次いで、フレームは、位置決めピン515を使用してジグと位置合わせされる。
【0019】
本発明の一変形によれば、スクリーン616(
図6参照)などの膜を使用して、フィルタプリーツパックを型の外側から分離する。主な目的は、見た目を良くする目的のために、フィルタプリーツパックの露出したカーボンを隠すこと、ポッティング土台からはみ出したあらゆるカーボンを収容すること、および難燃性要件を満たすのを助けることである。
図6は、本発明の一変形によるこのような膜として使用されるスクリーン616の図である。スクリーン616は、フィルタプリーツパックの露出したカーボンをカートリッジの縁部からずらし、プリーツパックを隠す。例えば、約0.56cmなどの約0.64cm未満のスクリーンメッシュ開口サイズ、および約0.32cm未満のスクリーン厚さを使用できる。フィルタプリーツパックにスクリーン616を固定するために、接着剤が注がれた後、プリーツパックで接着剤を介してスクリーンを押すことを使用でき、
図6に示すような結果が得られる。
【0020】
本発明の一変形によれば、フィルタプリーツパック媒体の縁部をシールすることが使用されてもよく、例えば、プリーツパックのプリーツ縁部上のスクリム材の縁部をシールすることが使用されてもよい。これにより、フィルタプリーツパックに粒子スクリーンバリアが使用されていないフィルタ媒体におけるカーボンの保持が可能になる。プリーツパックは、1層以上の嵩高部を取り囲む、1層以上のスクリム部を備えることができる。スクリム部および嵩高部は共に、ポリエステル繊維などの不織布材料とバインダとを含むことができる。嵩高材は、カーボンまたはイオン交換吸着剤などの吸着剤を含むことができ、混合吸着剤を含むことができる。本明細書で使用される場合、フィルタプリーツパック媒体の「縁部をシールすること」は、不織繊維材料のプリーツ縁部をシールすることを含む。このような「縁部をシールすること」は、本明細書および以下で言及する「四方シール」とは異なり、後者の用語は、例えば単一成分ホットメルト材料を使用して形成されたフィルタプリーツパックの周囲のエアシールを指す。
【0021】
本明細書で使用する場合、「実質的に可燃性の材料」は、例えば、約90重量%を超える可燃性の材料、または約95重量%を超える可燃性の材料、または約98重量%を超える可燃性の材料、約99重量%を超える可燃性の材料、または約99.9重量%を超える可燃性の材料、または約99.99重量%を超える可燃性の材料、または可燃性の材料のみを含み得る。
【0022】
本発明の一変形によれば、フィルタプリーツパックに使用される不織材料は、様々な異なる可能な材料の種類、繊維のサイズおよび結合材料のいずれかであり得る。エチルビニルクロライドをバインダとして使用する、様々なサイズのポリエステル繊維を使用できる。このポリエステル繊維は、例えばカーディングされる(carded)ことによって、ランダムに配向されていても機械的に配向されていてもよい。ポリエチレン鞘とポリエステル芯とを含む二成分繊維など二成分繊維を含む他の種類の繊維を使用することができる。二成分繊維は、バインダなしで使用することができる。
【0023】
本発明の一変形によれば、フィルタプリーツパックに使用される吸着剤は、例えば、単一粒状材料タイプ、または異なるタイプの粒状材料タイプの混合物とすることができる。例えば、イオン交換体と混合した活性炭を用いることができる。活性炭は、それぞれが異なる汚染物質を標的とする、様々な異なる可能な化学物質で処理することができる。使用可能な混合比の例は、粒状活性炭87%対イオン交換樹脂13%であり得る。
使用可能な別の混合比は、塩基処理粒状活性炭60%対イオン交換体40%であり得る。
【0024】
本発明の一変形によれば、フィルタカートリッジの壁は、型内のホットメルト材料を用いて形成することができる。他の接着剤を使用することもできる。ホットメルト接着剤は、例えば、ポリエチレンなどの単一材料の低温溶融接着剤であり得る。使用される他のホットメルト材料は、他の種類のポリオレフィンであってもよい。本発明の一変形によれば、材料は、純粋な空気での用途のために低ガス放出でなければならない。ホットメルト接着剤は、重量およびコストを減らすために、窒素ガスを注入して発泡させることができる。ホットメルト接着剤は、最小限の時間で凝固するという利点を提供することができる。本発明の一変形によれば、ホットメルト材料はテフロン(登録商標)に付着しないので、成形部品は型から容易に取り外すことができる。
【0025】
本発明の一変形によれば、フィルタカートリッジは、Kishkovichらの米国特許第6740147号明細書に教示されている材料のいずれかを含むことができ、ここで、この米国特許の教示のすべてが、参照により本明細書に組み込まれ、例えば、特に、フィルタカートリッジは、この米国特許で教示されている不織材料および吸着剤を含むことができる。
【0026】
本発明の一変形によれば、サイドパネルが、フィルタの全周囲に沿ってガスケット圧を維持するのに十分な剛性を提供するために使用される。約0.32cmの波形ポリプロピレンパネルなどの、強くて軽量で安価な材料をサイドパネルに使用することができる。
【0027】
図7Aは、本発明の一変形によるサイドパネル717を取り付ける技法を示す。サイドパネル717は、ビードフラップを敷設する間に取り付けられる。これは、角部を滑らかにし、接着土台への直接取り付けを使用しない。
図7Bおよび
図7Cは、ビード718にプリーツセパレータ706の端部を埋め込むことによって、持ち上げ力に対応するためにサイドパネルを補強する技法を示す図であり、このことは、フィルタカートリッジに著しい強度を加えることが判明している。
図7Cでは、プリーツセパレータコーム706は、接着剤ビード718を把持する形体を含むことが分かる。
【0028】
図8は、本発明の一変形によるフィルタカートリッジシステムの断面図であり、フィルタのサイドパネルに対するフィルタビードフラップ側コームのポッティングを示す。接着剤818の浸漬充填が、フィルタビードフラップ819の両側で使用される。このことは、大きな接着面領域がフィルタに接続されるようにし、パネルの剛性を高め、ガスケットの圧力分散を改善するのに役立つ。加えて、例えば、フィルタプリーツパックの周りに四方シールを形成するために、ホットメルトの凝固浴中のフィルタプリーツパックの浸漬充填を使用することができる。本発明の一変形によれば、フィルタプリーツパックの周囲に四方シールを形成する他の技法を使用することができ、これは、例えば、単一成分ホットメルト材料で四方シールを形成すること、または四方シールを形成するために多成分接着剤または他の接着剤を使用することを含む。
【0029】
本発明の一変形によれば、フィルタカートリッジを成形および封止する1つ以上のステップは、例えば、異なる順序で、例えばフィルタカートリッジの少なくとも一部分を成形する前に四方シールの少なくとも一部を形成することによって行うことができる。一例では、フィルタカートリッジは、四方シールを形成する前に成形される。
【0030】
図9は、本発明の一変形による、フィルタカートリッジのサイドパネル917のためのハンドル920を示す図である。上部に配置されたブラインドハンドル920は、ダイカットされ、波状のサイドパネル917から打ち抜かれる。このようなハンドルは、量が多い場合に、低コストで簡素な設計を提供し、その際、輪郭の大きいエルゴノミクス設計を有する。サイドパネル917は、接着剤およびフィルタプリーツセパレータコーム906によって補強され、これは、プリーツパック905の長さに沿ってフィルタカートリッジの反対側のサイドパネル(図示せず)まで延び、それによって、サイドパネル917をフィルタプリーツパックに拘束し、カートリッジのための構造部材として作用する。ハンドル920を製造するために、ハンドル920は、例えば、上方に折り畳まれるフラップを形成するように、ダイカットされ得る。サイドパネル917はポッティング固定具上に置かれ、スチールダイがハンドルを正しい形状にする。プリーツセパレータ906は、接着ストリップ上に接着される(
図3参照)。
【0031】
本発明の一変形によれば、フィルタカートリッジは、例えば浮遊分子汚染(AMC)の低減などの用途における使用に関して優れたガス放出および粒子放出結果を達成するフィルタカートリッジである。例えば、フィルタカートリッジシステムは、粒子放出数に関するクラス5、クラス4、クラス3、クラス2またはさらにはクラス1レベルにおける国際標準化機構(ISO)14644-1クリーンルーム規格に合格するものであってもよい。ISO14644-1クリーンルーム規格の教示全体は、クラス1、クラス2、クラス3、クラス4およびクラス5レベルにおける粒子放出基準を特に含み、参照により本明細書に組み込まれる。下記の表(表1)は、フィルタカートリッジシステムによって満たされ得る粒子放出要件を示している。
【0032】
【0033】
表1:ISOクラス14644-1による粒子放出数要件
【0034】
例えば、ISOクラス5の場合、フィルタカートリッジシステムは、約0.1ミクロン以上の粒子サイズで、1立方メートル当たり約100,000個未満の粒子、約0.2ミクロン以上の粒子サイズで、1立方メートル当たり約23,700個未満の粒子、約0.3ミクロン以上の粒子サイズで、1立方メートル当たり約10,200個未満の粒子、約0.5ミクロン以上の粒子サイズで、1立方メートル当たり約3,520個未満の粒子、約1ミクロン以上の粒子サイズで、1立方メートル当たり約832個未満の粒子、および約5ミクロン以上の粒子サイズで、1立方メートル当たり約29個未満の粒子を放出する。ISOクラス4の場合、フィルタカートリッジシステムは、約0.1ミクロン以上の粒子サイズで、1立方メートル当たり約10,000個未満の粒子、約0.2ミクロン以上の粒子サイズで、1立方メートル当たり約2,370個未満の粒子、約0.3ミクロン以上の粒子サイズで、1立方メートル当たり約1,020個未満の粒子、約0.5ミクロン以上の粒子サイズで、1立方メートル当たり約352個未満の粒子、約1ミクロン以上の粒子サイズで、1立方メートル当たり約83個未満の粒子、および約5ミクロン以上の粒子サイズで、1立方メートル当たり約2.9個未満の粒子を放出する。ISOクラス3の場合、フィルタカートリッジシステムは、約0.1ミクロン以上の粒子サイズで、1立方メートル当たり約1,000個未満の粒子、約0.2ミクロン以上の粒子サイズで、1立方メートル当たり約237個未満の粒子、約0.3ミクロン以上の粒子サイズで、1立方メートル当たり約102個未満の粒子、約0.5ミクロン以上の粒子サイズで、1立方メートル当たり約35個未満の粒子、約1ミクロン以上の粒子サイズで、1立方メートル当たり約8.3個未満の粒子、および約5ミクロン以上の粒子サイズで、1立方メートル当たり約0.29個未満の粒子を放出する。表1によれば、各クラスについて表1に示されている、表1の列に示すおよその粒子サイズ以上の粒子サイズで、1立方メートル当たりのおよその粒子数未満のフィルタ放出数を有することによって、他のISOクラスを満たす場合もある。加えて、フィルタカートリッジは、フィルタカートリッジシステムの上流における約10から約50ppbの総浮遊分子状汚染物質濃度を、フィルタカートリッジシステムの下流において約1ppbから約5ppb未満に減少させ得る。さらに、フィルタカートリッジは、指定された汚染物質に関して約99.9%以上などの最大約50ppbの入口汚染物質濃度で少なくとも約90%以上の除去効率を達成し得る。
【0035】
図10は、本発明の一変形によるAMCフィルタシステムが使用され得る状況を示す概略図である。フィルタシステムは、半導体製造およびクリーンルームの状況で使用することができ、プレナム1021においてクリーンルームの天井の化学エアフィルタ1022として、および製造レベルの装置レベルAMCフィルタ1023としての両方で使用することができ、任意の装置(ベーキング装置、エッチング装置など)に使用することができる。
【0036】
本発明の一変形によれば、達成され得る1つの利点は、高価な射出成形金型を製造する必要がないことである。これにより、他のフィルタサイズや用途に汎用の型固定具を使用する可能性が備わる。別の利点は、耐久性のある金属ハウジングを再利用できるため、コストを削減できることである。所望に応じて、それほど厳密さを要求されない用途では、再利用可能な金属ケースを使用せずにカートリッジを使用することができ、このことは、厳密さを要求される装置の用途と一般的なクリーンルームの用途との両方で、同じカートリッジ要素を使用できることを意味する。再利用可能な金属ハウジングにより、防火規則などの難燃性要件を満たすことができる。全体として、フィルタカートリッジシステムは、従来のフィルタよりも環境に与える影響を少なくしながら、ユーザのコストを削減することができる。
【0037】
本発明の一変形によれば、カートリッジフィルタは、実質的に可燃性の材料、例えば可燃性の材料のみから作ることができ、耐久性、粒子放出数、美観、耐火性能の仕様を維持しながら、費用を節約するために再利用可能な金属ハウジングとともに使用される。
【0038】
本発明の一変形によれば、可燃性材料のみであってもよい実質的に可燃性の材料で作られたフィルタ要素が、再利用可能な金属ハウジングとともに使用される。カートリッジ内の材料は、プラスチックおよびカーボンおよび樹脂などの実質的に可燃性の媒体である。このカートリッジ筐体は、低コストのオープンモールドで成形される、低コストのホットメルト接着剤を用いて成形される。構造的完全性を維持するために、プラスチックプリーツセパレータがホットメルトに接合され、波形プラスチックサイドパネルに接合される。媒体の露出を防ぐために、プラスチックスクリーンメッシュが、ホットメルト接着剤の内部に媒体を保持するセパレータとして使用される。美的価値および媒体を被包するために、貼り付け式プラスチック膜を使用することができる。
【0039】
本発明の一変形によれば、フィルタカートリッジは、再利用可能な金属ケースとともに使用されるが、使用されない場合もある。再利用可能な金属ケースは、美観、粒子放出数、コスト、および耐久性の要件に役立つ。コストをさらに低減するために、媒体保護金属スクリーンは、取り外しが容易なように、金属ケースのスロットおよびフランジを介して緩く組み付けることができる。
【0040】
様々な組成物および方法が記載されているが、本発明は、記載された特定の組成物、設計、方法論またはプロトコルに限定されないことを理解されたい。本明細書で使用する用語は、特定の変形または変形のみを説明する目的のためのものであり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0041】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されているように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上が明らかに他の意味に解すべき場合でない限り、複数形による言及を含むことにも留意する必要がある。よって、例えば、「フィルタプリーツパック」への言及は、1つ以上のフィルタプリーツパックおよび当業者に既知であるその等価物などへの言及である。別段の定義のない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または均等の方法および材料を、本発明の変形の実施または試験において使用することができる。本明細書で言及されるすべての刊行物は、その全体が参照により組み込まれる。本明細書中のいかなるものも、先行発明によって、本発明がそのような開示に先行する資格がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。「任意の」または「場合により」は、その後に記載される事象または状況が起こっても起こらなくてもよいことと、その記載は、事象が起こる例および起こらない例を含むことと、を意味する。本明細書中のすべての数値は、明示的に示されているか否かに関わらず、用語「約」によって修飾され得る。用語「約」は、一般に、当業者が列挙された値と均等である(すなわち、同じ機能または結果を有する)と考える数の範囲を指す。一部の変形では、用語「約」は記載された値の±10%を指し、他の変形では、用語「約」は記載された値の±2%を指す。組成物および方法は、様々な成分またはステップを「含む(comprising)」(「含むがこれに限定されない(including,but not limited to)」を意味すると解釈される)という観点から記載されているが、組成物および方法は、様々な成分およびステップ「から本質的に構成される(consist essentially of)」または「から構成される(consist of)」こともでき、そのような用語は、本質的に排他的な構成要素群を定義するものとして解釈されるべきである。
【0042】
本発明を1つ以上の実施形態に関連して図示および説明してきたが、本明細書および添付の図面の読解および理解に基づけば、当業者には均等の変更および修正が想到されるはずである。本発明は、そのような修正および変更のすべてを含み、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。加えて、本発明の特定の特徴または実施態様は、いくつかの実施形態のうちの1つのみに関して開示されているかもしれないが、そのような特徴または実施態様は、任意の所与または特定の用途のために望ましいおよび有利であり得るような他の実施形態の1つ以上の他の特徴または実施態様と組み合わされてもよい。さらに、用語「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」、またはこれらの変形が、詳細な説明または特許請求の範囲において使用される限り、このような用語は、用語「含む(comprising)」と同様に包括的であると意図されている。また、「例示的」という用語は、最良ではなく一例を意味することを意図されているに過ぎない。本明細書に示される特徴および/または要素は、簡潔のため、および理解を容易にするために、特定の寸法および/または互いに対する向きで示されていることと、実際の寸法および/または向きは、本明細書に示されているものとは実質的に異なり得ることも理解されたい。
【0043】
本発明を、その特定の変形に関連してかなり詳細に記載してきたが、他の変形も可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲は、本明細書に含まれる説明および変形に限定されるべきではない。
【0044】
本明細書で引用したすべての特許、公開された出願および参考文献の教示は、その全体が参照により組み込まれる。