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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】物品移載装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/52 20060101AFI20220927BHJP
   B65G 47/84 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
B65G47/52 E
B65G47/84 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019027053
(22)【出願日】2019-02-19
(65)【公開番号】P2020132345
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤村 要
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-005731(JP,U)
【文献】特開2008-280136(JP,A)
【文献】特開2018-111587(JP,A)
【文献】特開2004-057632(JP,A)
【文献】国際公開第2017/169432(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/52
B65G 47/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を隔てて平行に配置される一対の無軸の回転盤と、
当該回転盤を回転可能に支持する支持枠と、
前記回転盤を回転させる駆動部と、
前記回転盤の偏心位置において前記一対の回転盤間に回転可能に架設される第一回転棒と、
前記回転盤の中心に対して前記第一回転棒と対称位置に架設される第二回転棒と、
前記第一及び第二回転棒に装着される物品載置部と、
当該物品載置部の水平方向に対する傾斜角を、前記回転盤の回転位置に対して周期的に変動させる機構と、
を備えた物品の移載装置。
【請求項2】
所定間隔を隔てて平行に配置される一対の無軸の回転盤と、
当該回転盤を回転可能に支持する支持枠と、
当該回転盤を回転する駆動部と、
前記回転盤の外周付近において前記一対の回転盤間に回転可能に架設される第一回転棒と、
前記回転盤の中心に対して前記第一回転棒と対称位置に架設される第二回転棒と、
前記第一及び第二回転棒に装着される物品載置部と、
前記第一回転棒の両端部に回動可能に連結される一対のスライド棒と、
当該一対のスライド棒をスライド可能に軸受けするスライド軸受けと、
当該スライド軸受けをリニア往復移動可能に規制するリニア移動規制枠と、
前記スライド軸受けをスライダとするスライダクランク機構と、
を備えた物品の移載装置。
【請求項3】
所定間隔を隔てて平行に配置される一対の無軸の回転盤と、
当該回転盤を回転可能に支持する支持枠と、
前記回転盤を回転する駆動部と、
前記回転盤の偏心位置において前記一対の回転盤間に回転可能に架設される第一回転棒と、
前記回転盤の中心に対して前記第一回転棒と対称位置に架設される第二回転棒と、
前記第一及び第二回転棒に装着される物品載置部と、
前記第一回転棒の両端部に回動可能に連結されるスライド棒と、
当該スライド棒をスライド可能に軸受けするスライド軸受けと、
当該スライド軸受けをリニア往復移動可能に規制するリニア移動規制枠と、
前記スライド軸受けに回動可能に連結された連結リンクと、
当該連結リンクに回動可能に連結されたクランクと、
当該クランクの端部に連結されたクランク回転軸と、
当該クランク回転軸を回転する駆動部と、
を備えた物品の移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方より順次供給される物品を受け取り、下方の搬送経路に受け渡しする物品の受け渡し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加工食品の製造においては種々の工程を経て製造される当該工程を経て製造される。当該製造される加工食品を上下の位置関係にあるコンベア間や装置間を移載させることが必要な場合が種々ある。
例えば、即席麺の製造工程においては、小麦粉、デンプン等を主原料として、かんすい、食塩等を溶解した練水を加えて混錬した後、麺線に切り出し、当該切り出した麺線群を所定の型枠に収納して油熱や熱風乾燥して麺塊を製造する。そして、当該麺塊は型枠から取り出され、袋やカップ等に収納されるが、通常型枠から麺塊を取り出すのに型枠を反転させて、当該反転させることによって、麺塊を取り出し、取り出した麺塊を下に位置するコンベア装置に移載する場合がある。このような工程において当該麺塊を移載することが必要となる。
そして、このような場合、コンベアの搬送速度が速くなればなるほど、当該移載も迅速に行う必要がある。このような上下方向における物品の移載を実現する装置についての先行技術は例えば、以下の先行技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭59-159630 しかし、上述の先行技術は部材をリンク機構を用いて搬入・排出コンベアの端部間で往復円弧移動をするタイプであり、大掛かりな部材を搬送するための装置であり、迅速性に欠けるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明者はこのような上方より順次供給される物品を受け取り、下方の搬送経路に受け渡しする、新たな物品の受け渡し装置を開発することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者の鋭意研究の結果、物品の受け渡し装置において、所定間隔を隔てて平行に配置される一対の無軸の回転盤とし、当該回転盤の偏心位置において前記一対の回転盤間に対称に回転可能に架設される二本の回転棒を装着し、当該回転棒に物品の載置部を設け、前記回転盤を回転させるとともに、当該回転棒自身を自転させることによって、物品の受け取り、及び受け渡しを短時間で好適に実施することができることを見出して、本発明を完成するに至ったのである。
【0006】
すなわち、本願第一の発明は、
“所定間隔を隔てて平行に配置される一対の無軸の回転盤と、
当該回転盤を回転可能に支持する支持枠と、
前記回転盤を回転させる駆動部と、
前記回転盤の偏心位置において前記一対の回転盤間に回転可能に架設される第一回転棒と、
前記回転盤の中心に対して前記第一回転棒と対称位置に架設される第二回転棒と、
前記第一及び第二回転棒に装着される物品載置部と、
当該物品載置部の水平方向に対する傾斜角を、前記回転盤の回転位置に対して周期的に変動させる機構と、
を備えた物品の移載装置。“、である。
【0007】
次に、請求項1の物品移載装置において、物品載置部の傾斜角を周期的に変動させるための方法として、前記第一回転棒の両端部に回動可能に一対のスライド棒を連結し、当該一対のスライド棒に対して、それぞれをスライド可能に軸受けするスライド軸受けを設け、かつ、当該スライド軸受けをリニア往復移動可能に規制するようなリニア移動規制枠と、前記スライド軸受けをスライダとし、リニア移動規制枠上をスライドさせるスライダクランク機構とする方法が好適であることを見出した。
【0008】
すなわち、本願第二の発明は、
“ 所定間隔を隔てて平行に配置される一対の無軸の回転盤と、
当該回転盤を回転可能に支持する支持枠と、
当該回転盤を回転する駆動部と、
前記回転盤の外周付近において前記一対の回転盤間に回転可能に架設される第一回転棒と、
前記回転盤の中心に対して前記第一回転棒と対称位置に架設される第二回転棒と、
前記第一及び第二回転棒に装着される物品載置部と、
前記第一回転棒の両端部に回動可能に連結される一対のスライド棒と、
当該一対のスライド棒をスライド可能に軸受けするスライド軸受けと、
当該スライド軸受けをリニア往復移動可能に規制するリニア移動規制枠と、
前記スライド軸受けをスライダとするスライダクランク機構と、
を備えた物品の移載装置。“、である。
【0009】
次に、上述のスライダクランク機構については、前記スライド軸受けに回動可能に連結された連結リンクと、当該連結リンクの端部に回動可能に連結されたクランクと、当該クランクの端部に連結されたクランク回転軸と、当該クランク回転軸を回転する駆動部を備える構成が挙げられる。
【0010】
すなわち、本願第三の発明は、
“所定間隔を隔てて平行に配置される一対の無軸の回転盤と、
当該回転盤を回転可能に支持する支持枠と、
前記回転盤を回転する駆動部と、
前記回転盤の偏心位置において前記一対の回転盤間に回転可能に架設される第一回転棒と、
前記回転盤の中心に対して前記第一回転棒と対称位置に架設される第二回転棒と、
前記第一及び第二回転棒に装着される物品載置部と、
前記第一回転棒の両端部に回動可能に連結されるスライド棒と、
当該スライド棒をスライド可能に軸受けするスライド軸受けと、
当該スライド軸受けをリニア往復移動可能に規制するリニア移動規制枠と、
前記スライド軸受けに回動可能に連結された連結リンクと、
当該連結リンクに回動可能に連結されたクランクと、
当該クランクの端部に連結されたクランク回転軸と、
当該クランク回転軸を回転する駆動部と、
を備えた物品の移載装置。“、である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の物品移載装置を利用することによって、上部より供給される物品を受け取り、下方に位置するコンベア等の装置に迅速に受け渡しすることができる。これによって、高速に搬送される即席麺の生産ライン等において麺塊の受け渡しを迅速に実施することができるために、生産ラインの生産効率性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一実施態様の物品移載装置と物品の受け渡し後の丸コンベアベルトを示した斜視模式図である。
図2】本発明の第一実施態様の物品移載装置(図1)の右側面を示した模式図である。
図3】本発明の第一実施態様の物品移載装置(図1)の左側面を示した模式図である。
図4】本発明の第一の実施態様の物品移載装置(図1)の右側面の拡大図であり、各部を示した正面図である。
図5】本発明の第一の実施態様の物品移載装置の動作及び当該動作の場合における物品載置部の角度を示した右側面の正面模式図である。(1)→(6)の向きに装置の動作が進行して行く様子を示したものである。
図6図5における装置の状態での物品載置部の状態を示した斜視模式図である。(1)→(4)の向きに物品載置部の動作が進行し、物品の移載状態を示したものである。
図7】即席麺の麺塊の製造ラインにおける麺塊搬送の状態を示した斜視模式図である。
図8図7の麺塊の製造ラインから本発明の第一の実施態様の物品移載装置が麺塊(物品)を受け取る状態を示した斜視模式図である。
【符号の説明】
【0013】
1 物品移載装置
2 基体
3 第一回転盤
3-2 第二回転盤
5 第一支持枠
5-2 第二支持枠
7 駆動軸
9 第一回転棒
11 第二回転棒
13 第一物品載置部
13-2 第二物品載置部
15 板状体
19 第一スライド棒
19-2 第二スライド棒
21 第一スライド軸受け
21-2 第二スライド軸受け
23 第一リニア移動規制枠
23-2 第二リニア移動規制枠
27 第一クランク
27-2 第二クランク
29 第一連結リンク
29-2 第二連結リンク
31 クランク回転軸
51 型枠(リテーナ)
53 反転コンベア装置
55 反転コンベアライン
57 落下防止ガイド
100 コンベア装置(丸ベルトコンベア)
S 物品
N 麺塊
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明の第一実施態様の物品の移載装置及び当該移載装置によって移載された後に、物品が搬送される丸ベルトコンベアを示した斜視図である。尚、本発明は以下の第一の実施態様に限定されないことは勿論である。
本発明の物品移載装置においては、物品を上部から受け取り、下方部のコンベア等に受け渡しする。また、図1は複数の物品群を同時に上部から受け取り、下方部に受け渡しするように構成されている。
【0015】
図1に示す物品移載装置の下方部には、上部で受け取った物品Sを下方に載置されているコンベア装置(丸ベルトコンベア)100に移載した後、当該丸ベルトコンベア100によって、図1の矢印方向に搬送するように構成されている。尚、当該丸ベルトコンベア100は複数の紐状ベルトが所定間隔で装着されており、同時に複数の物品Sを搬送するタイプを示している。
【0016】
図2は本発明の第一実施態様の物品移載装置1の図1における右側面を(イ方向から)見た場合を示した図面である。本発明の第一の実施態様における物品移載装置1は、図2に示す当該物品移載装置の上部に配置された反転コンベア装置53の反転コンベアラインから、当該反転コンベアラインが反転することによって物品Sが下方に落下することによって供給されることとなる物品Sを受け取り、当該物品を下方の丸ベルトコンベア100に移載するための装置である。さらに、図2の左には物品載置部の水平面に対する傾斜角を模式的に示している。
【0017】
次に、図3は本発明の物品移載装置1の左側面を(図1においてロ方向から)見た場合を示した図面である。第二回転棒11に第二スライド棒19-2が連結されている点等以外は、右側面図と対称の構成を有している。また、駆動軸7は共通している。
次に、図4図2における、本発明の主要な構成部位の名称を記載したものである。
【0018】
図1図4に示すように、本発明の物品移載装置1は、所定間隔を隔てて平行に配置される一対の無軸の回転盤(3及び3-2)を備える。当該第一回転盤3は、当該回転盤3を回転可能に支持する第一支持枠5内に装着されている。図示しないが当該回転盤の周縁部はギア構造を有しており、第一支持枠5の内部で当該ギアに噛み合う形のギア構造を有する駆動軸7が設けられている。尚、前記回転盤3は当該一対の回転盤3の中心同士を貫く回転軸を有さず、無軸の回転盤となっている。さらに、一対の支持枠は基体2の上部に設置されている。
【0019】
また、回転盤3は右側面から見た場合(図1のイの矢印方向から見た場合)右回りに回転するように構成されており、前記駆動軸7はチェーンを介して所定のモータ等の動力部に連結されている。当該モータ等の動力部によって駆動軸7が回転して、ギアを介して当該回転力が回転盤3に伝達され回転するように構成されている。また、回転盤3の回転方向は右回り(図4の矢印方向)に設定されている。
尚、本発明における回転盤3の回転駆動の方法については、上記構成は一例であり、公知技術を含め他の種々の方法が可能である。
【0020】
次に、前記一対の回転盤(3及び3-2)においては、当該回転盤3の偏心位置(外周付近)において当該一対の回転盤間に架設される第一回転棒9を有している。尚、本実施態様においては、図1における右側面図(イ方向から見た場合)において右側の棒を第一回転棒9とする。
【0021】
次に、当該第一回転棒9はそれ自身が回転(自転)が可能となるように構成されており、外部より加わる回転力に応じて回転することが可能である。
当該第一回転棒9とともに、回転盤3の中心を隔てた対称位置に第二回転棒11が装着されている。当該第二回転棒11も一対の回転盤間(3及び3-2)に架設されており、第一回転棒9と同様にそれ自身が回転(自転)が可能となるように構成されており、外部より加わる回転力に応じて回転(自転)することが可能である。
【0022】
先に述べたように回転盤3は図2図4から見た場合において右回りに回転するように設定されており、当該右回りの回転に伴い第一回転棒9及び第二回転棒11とも当然に右回りに回転し、その位置が変化するようになっている。
次に、当該第一回転棒9及び第二回転棒11には、図1及び図5に示すようにそれぞれ、第一物品載置部13及び第二物品載置部13-2が設けられている。当該物品載置部13は、第一回転棒9に対して垂直方向に略三角形状の板状体15が第一及び第二回転棒(9及び11)の長さ方向において所定間隔を隔てて複数装着されており、当該板状体15の一辺が隣接して連続して配置されることで物品載置部13を形成している。
【0023】
次に、前記第一回転棒9に対しては、その端部に図1図4に示すように第一スライド棒19が取り付けられている、当該第一スライド棒19は第一回転棒9の端部に固定されており、当該第一スライド棒19が回転すると、第一回転棒9も回転(自転)する。このため、第一物品載置部13の載置部の水平方向に対する角度が、第一スライド棒19の回転角に応じて前記第一回転棒9の回転(自転)の角度に反映され変化するように構成されている。これによって物品の受け取り及び受け渡し時の第一物品載置部13の水平方向に対する傾斜角度の制御を実現している。
【0024】
次に、当該第一スライド棒19は、第一スライド軸受け21を挿通しており、当該第一スライド軸受け21が第一リニア移動規制枠上23を直線状(リニア)の往復運動するように構成されている。また、当該第一スライド軸受け21をスライダーとするスライドクランク機構が設けられている。
【0025】
すなわち、当該スライドクランク機構においては、図2図4から見た場合において第一クランク27は左回りに回転するように設定されており、当該クランク27の回転に伴い、第一クランク27の端部に連結された第一連結リンク29が往復運動し、当該第一連結リンク29の端部に装着された第一スライダ軸受け21が第一リニア移動規制枠上23を前後に移動できるように構成されている。
【0026】
また、前記第一クランク27の回転のために、第一クランク27の一端が第一クランク回転軸31に連結されており、当該クランク回転軸が回転のための駆動部として、所定の動力部に連結されている。
【0027】
尚、第一スライド軸受け21が第一リニア移動規制枠上に前後に移動すると、第一回転棒9の回転(自転)状態を決めることになり、これによって物品載置部13の傾斜角度が調整される。また、この目的のため、第一スライド軸受け21における第一スライド棒19の挿入部と第一連結リンク29の端部との連結部は回転が可能となるように構成されている。
また、回転盤3の駆動軸7を介した回転状態と、クランク回転軸31の回転状態は同期することが好ましい。このため、回転盤3の駆動部とクランク回転軸の駆動部は同一のモータ等の動力部から動力が伝達されることが好ましい。
【0028】
─物品の移載及び搬送─
次に、図5及び図6を用いて、具体的に本願第一の実施態様の物品移載装置の物品の移載状態を説明する。
図5(1)に示すように、第一回転棒9が最上部にあるとき、第一スライド棒19に連結された第一物品載置部13が水平状態となるようにスライダクランク機構が調整されている。
当該状態において図6(1)に示すように第一スライド棒19の第一物品載置部13に上部から物品Sが供給される。当該物品Sを第一回転棒9の第一物品載置部13において受け取る。一方、第二回転棒11は最下部にあり、図5(1)に示すように第二スライド棒19-2は当該スライド棒に装着された第二物品載置部13-2が下方向(水平方向に対して90°)を向くように回転している。
【0029】
さらに、当該第二スライド棒19-2の物品載置部より下方部の丸ベルトコンベア100に物品が受け渡しされた後の状態となっており、物品Sが丸コンベアベルト100上において搬送されている。
次に、図5(2)に示すように第一回転盤3が右回りに回転すると同時に第一回転棒9も回転する。一方、スライダクランク機構においても第一クランク27が回転し、第一回転棒9に装着された第一物品載置部13が徐々に傾斜し始める。一方、第二回転棒11は上方に移動を開始する。
【0030】
次に、図5(3)に示すように第一回転盤3がさらに右回りに回転すると継続して第一回転棒9もさらに回転する。一方、スライダクランク機構においても第一クランク27が回転し、第一物品載置部13の傾斜角がさらに大きくなる。
当該状態において図6(2)に示すように第一物品載置部13に載置された物品Sは当該載置部13の傾斜角が大きくなると同時に丸ベルトコンベア100の丸ベルトに物品Sが接触して、第一物品載置部13から丸ベルトコンベア100への物品Sの受け渡しが開始される。
【0031】
一方、第二回転棒11もさらに回転し、上方に移動するとともに、クランク機構により自転し第二回転棒11に装着された第二物品載置部13-2は徐々に水平状態に戻っていく。
次に、図5(4)に示すように第一回転盤3がさらに右回りに回転すると同時に第一回転棒9もさらに回転する。一方、スライダクランク機構においても第一クランク27が回転し、第一物品載置部13の傾斜角がさらに大きくなる。
当該状態において図6(3)に示すように第一物品載置部13に載置された物品Sは完全に丸ベルトコンベア100上に載置され、丸ベルトコンベア100における物品Sの搬送が開始される。
【0032】
一方、第二回転棒11もさらに回転し、上方に移動するとともに、第二回転棒11が自転し、第二回転棒11に装着された第二物品載置部13-2はさらに水平状態に戻っていく。
次に、図5(5)に示すように第一回転盤3がさらに右回りに回転すると同時に第一回転棒9もさらに回転し、第一回転棒9が最下部に位置する。一方、スライダクランク機構においても第一クランク27が回転し、第一物品載置部13の傾斜角がさらに大きくなり、物品載置部13が垂下した状態(水平方向に対して90°)となる。これによって、図6(4)に示すような状態となる。一方、丸ベルトコンベア100に載置された物品Sは丸ベルトコンベア100によって順次搬送されている。
【0033】
一方、第二回転棒11もさらに回転し、最上部に移行するとともに、第二回転棒11の第二物品載置部13-2において、上部から物品Sが供給される。そして、当該物品Sを第二回転棒11の第二物品載置部13-2において受け取る。
次に、図5(6)に示すように第一回転盤3がさらに右回りに回転すると同時に第一回転棒9もさらに回転し、第一回転棒9が最下部から上方に移動する。一方、スライダクランク機構において第一クランク27が回転し、第一回転棒9の第一物品載置部13の傾斜角が垂下した状態から徐々に水平状態に戻っていく。
【0034】
一方、第二回転棒11もさらに回転し、第二回転棒11の第二物品載置部13-2に物品Sを載置した状態で第二回転棒11が回転し、物品Sを下方向に運ぶ。また、当該第二物品載置部13-2は水平状態から徐々に傾斜し始める。
上記に示したように本願発明は回転盤の回転位置に応じて物品載置部の水平方向に対する傾斜角を周期的に変動させる機構を有する。
尚、上記の第一の実施態様は一例であり、物品載置部13の傾斜角度は任意に変更することが可能であることは勿論である。
【0035】
このように本発明においては、第一及び第二回転盤(3及び3-2)が半周回転するごとに、第一回転棒9及び第二回転棒11に設けられた物品載置部13が交互に、上部から供給される物品群の物品Sの移載、すなわち受け取り→下方コンベアへの受け渡しが行える。すなわち、回転盤が一回転するごとに2回の物品群の受け取り→下方コンベアへの受け渡しを行え、迅速に物品Sの移載が実現されている。
【0036】
また、回転盤の回転速度については種々設定が可能であり具体的な速度としては特に限定されない。但し、食品の大量生産の迅速な製造ラインであると回転盤の1回転に対して1.0秒~5.0秒程度の時間が好適である。また、好ましくは1.8秒から3.6秒程度である。
さらに、当該一回転に対して、2回分の物品の移載を行うことができるため、物品の受け取りから受け渡しの1回の必要時間は0.5秒~2.5秒程度の時間が好適であり、好ましくは0.9秒~1.8秒程度である。
【0037】
─本発明の利用形態─
本発明の物品移載装置は、種々の物品の移載に適用することができるが、特に即席めんの生産ラインにおける型枠(リテーナ)から取り出した麺塊を下方のラインに搬送する場合等に有効に用いることができる。
【0038】
─物品群の移載の態様─
以下に物品群から移載の態様について、即席麺に利用される麺塊の製造ラインの場合を一例として説明する。本発明の物品移載装置は、種々の目的に使用できるが、特に即席麺の麺塊の製造工程において有効に利用することができる。
すなわち、即席麺の麺塊Nは、フライ処理又は熱風乾燥した麺塊を本発明の物品移載装置1の上部に位置する反転コンベア53に装着された型枠(リテーナ)51から取り出すために、当該型枠51を反転させることによって、麺塊Nを型枠(リテーナ)51から取り出す。そして、当該取り出した麺塊Nを直ちに直下に位置する本発明の物品移載装置1が受け取り、その後、さらに下方に位置するコンベア装置100に移載する場合がある。
【0039】
本発明の物品移載装置は、このような場合に特に好適に利用できる。図7は、即席麺の麺塊の製造ラインにおいて、フライ又は熱風乾燥処理された麺塊Nが反転コンベア装置53の反転コンベアライン55に連結された5列の型枠(リテーナ)51中に保持された状態で搬送され、かつ、当該型枠から麺塊を取り出すために、型枠(リテーナ)が反転して排出される状態を示した模式図である。
図7に示すように、反転コンベアライン55の反転時に直ちに麺塊が落下してしまわないように反転位置の手前には、所定の下方への排出位置までの麺塊の落下を防ぐために落下防止ガイド57が設けられている。そして、当該落下防止ガイド57の端部で麺塊Nが下方に落下するように構成されている。
【0040】
すなわち、上記の反転コンベアライン55が反転するとともに、落下防止ガイド57の端部で下方に排出される麺塊Nを本発明の物品移載装置が受け取る。すなわち、落下防止ガイド57の端部に本発明の物品移載装置の物品載置部13が物品Sの落下のタイミングに合わせて周期的に位置するように構成されている(図8)。
【0041】
さらに、上記のコンベアの進行方向と、回転盤13の回転方向(物品載置部の回転方向)は図7及び図8に示すようにいずれも同じ方向であるため、コンベア側から移載装置の物品載置部への物品の受け取りをスムースに行うことができる。また、回転盤の周速度とコンベアの搬送速度を一致させるとより好ましい。
【0042】
当該載置の状態から図6に示すように麺塊を下方の丸ベルトコンベア100に移載する。このような工程を経て当該丸ベルトコンベア100上を麺塊Nが搬送される。
当該丸ベルトで搬送後の麺塊群は、次工程においてカップや袋等に封入され、所定のスープ類が付加されて包装され、即席カップ麺や袋麺として完成する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8