(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】容器用レチクル支持体
(51)【国際特許分類】
G03F 1/66 20120101AFI20220927BHJP
H01L 21/673 20060101ALI20220927BHJP
B65D 85/38 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
G03F1/66
H01L21/68 T
B65D85/38 310
(21)【出願番号】P 2021517677
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(86)【国際出願番号】 US2019057274
(87)【国際公開番号】W WO2020096759
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2021-03-29
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ティーベン、アンソニー マティアス
(72)【発明者】
【氏名】エッグム、ショーン ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ラシュケ、ラス ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】ワイズマン、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ホアピン
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-0858634(KR,B1)
【文献】特開2012-186391(JP,A)
【文献】特開2005-321529(JP,A)
【文献】特開2000-049209(JP,A)
【文献】特開2009-054917(JP,A)
【文献】国際公開第2015/098153(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/66
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースを支持するための容器であって、
水平面を有するドアと、
前記容器内に隔絶された環境を画定するために前記ドアと結合することができるシェルと、
前記ドアに取り付けられたワークピース支持体と、を備え、
前記ワークピース支持体は支持柱を含み、前記支持柱はワークピースを支持するように構成され、前記支持柱は、
一対の第1傾斜壁
であって、各傾斜壁が垂直に対して第1角度をなす、一対の第1傾斜壁と、
前記一対の第1傾斜壁の底部の一対の第2傾斜壁と、からなる傾斜壁を含み、
前記一対の第2傾斜壁は、ワークピースを支持する唯一の接触点であるように構成され、
前記一対の第1傾斜壁及び前記一対の第2傾斜壁は、異なるゼロでない傾斜で配置され
、
前記第2傾斜壁は、水平軸に対して第2角度で方向付けられており、
前記第1角度が前記第2角度よりも大きく、
前記一対の第1傾斜壁は互いに接触しており、
前記一対の第2傾斜壁が互いに接触している、
容器。
【請求項2】
前記一対の第1傾斜壁が、垂直軸に対して
、45°以下の角度で配向される、
請求項
1に記載の容器。
【請求項3】
前記一対の第2傾斜壁が、水平軸に対して、
0°より大きく、15°以下の角度で配向される、
請求項
1に記載の容器。
【請求項4】
着座状態において、前記一対の第2傾斜壁が、ワークピースの下縁の周りの面取りの下縁で前記ワークピースと係合するように構成される、
請求項
1に記載の容器。
【請求項5】
着座していない状態で、ワークピースとの偶発的な接触が前記ワークピースの下縁の周りの面取りの上縁で生じるように、前記一対の第1傾斜壁が配向される、
請求項
1に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、半導体製造工場内でレチクルなどのワークピースを移送するための容器に関する。より具体的には、本開示は、レチクルの重要な表面に接触することなくレチクルを支持する、レチクルなどのワークピース用の支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造中、半導体上の様々な層のパターンが、レチクルと呼ばれるマスク上に含まれる。レチクルは、フォトリソグラフィ等によりパターンが形成された光学的に透明な石英基板である。特に、フォトレジストの層が、コーティングされたレチクルブランクに塗布される。その後、半導体ウェーハ上に形成される選択層のパターンが、例えば、レーザーパターン発生器又は電子ビームによって、レチクル上に転写される。フォトレジスト上にパターンが形成された後、フォトレジストの露光部分が除去されて、コーティング層の不要な部分が露出されたまま残される。次に、これらの不要な部分がエッチングで除去される。次に、残りのフォトレジストが、レチクルの表面に清浄なパターンを残すプロセスで除去される。レチクルの表面を清浄な状態に維持することは不可欠であり、したがって粒子の発生を回避することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、概して、半導体製造工場内でレチクルなどのワークピースを移送するための容器に関する。より具体的には、本開示は、レチクルの重要な表面に接触することなくレチクルを支持する、レチクルなどのワークピース用の支持体に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ワークピースを支持するための容器であって、ワークピースはワークピースの上縁及び下縁の周りに面取りを含んでいる容器が開示される。容器はドア及びドアと結合して容器内に隔絶された環境を画定することができるシェルを含む。容器は、ドアに取り付けられたワークピース支持体を含む。ワークピース支持体は支持柱を含む。支持柱は、ワークピースの角でワークピースを支持するように構成される。支持柱は一対の第1傾斜壁を含む。一対の第2傾斜壁が一対の第1傾斜壁の底部にある。一対の第2傾斜側壁は、角でワークピースの隣接する側面を支持するように構成される。一対の第1傾斜壁及び一対の第2傾斜壁は、異なるゼロでない傾斜で配向される。
【0005】
ワークピースを支持するための容器が同じく開示される。ワークピースはワークピースの上縁及び下縁の周りに面取りを含む。容器はドア及びシェルを含む。シェルは隔絶された環境を画定するためにドアと結合することができる。ワークピース支持体がドアに固定される。ワークピース支持体は支持柱を含む。支持柱はワークピースを支持するように構成される。支持柱は互いに角度を付けられた一対の第1傾斜壁を含む。一対の第2傾斜壁が、一対の第1傾斜壁の底部で互いに角度を付けられる。一対の第2傾斜壁は、ワークピースの隣接する側面を支持するように構成される。一対の第1傾斜壁及び一対の第2傾斜壁は、異なるゼロでない傾斜で配向される。
【0006】
ワークピースを支持するための容器が同じく開示される。ワークピースはワークピースの上縁及び下縁の周りに面取りを含む。容器はドア及び容器内に隔絶された環境を画定するためにドアと結合することができるシェルを含む。容器は、ドアに取り付けられたワークピース支持体を含む。ワークピース支持体は支持柱を含む。支持柱はワークピースを支持するように構成される。支持柱は、一対の第1傾斜壁と、一対の第1傾斜壁の底部の一対の第2傾斜壁とからなる。一対の第2傾斜壁は、ワークピースの隣接する側面を支持する唯一の接触点であるように構成される。一対の第1傾斜壁及び一対の第2傾斜壁は、異なるゼロでない傾斜で配置される。
本開示の一部を形成し、本明細書に記載のシステム及び方法を実施することができる実施形態を示す添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本開示の一実施形態による、容器、及び容器の支持構造に着座する前のワークピースの斜視図である。
【
図1B】本開示の一実施形態による、容器、及び容器の支持構造に着座したときの
図1Aのワークピースの斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態による、
図1A及び
図1Bに示される容器の平面図である。
【
図6】本開示の一実施形態による、容器の平面図である。
【
図7】本開示の一実施形態による、支持構造及びその中のワークピースの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は様々な修正及び代替形態を受け入れ、その詳細は例として図面に示され、詳細に記載される。しかしながら、その意図は、本開示の態様を、記載された特定の例示的な実施形態に限定することではないことを理解されたい。反対に、その意図は、本開示の趣旨及び範囲に含まれるすべての修正、均等物、及び代替形態を網羅することである。
【0009】
以下の詳細な記載は図面を参照して読むべきである。図面中、異なる図面内の同様の要素に、同じ番号が付けられている。詳細な記載、及び必ずしも一定の縮尺ではない図面は、例示的な実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。示されている例示的な実施形態は、例示として意図されているに過ぎない。任意の例示的な実施形態の選択された特徴は、明確に反対に述べられていない限り、追加の実施形態に組み込むことができる。
【0010】
本開示は、概して、半導体製造工場内でレチクルなどのワークピースを移動するための容器に関する。より具体的には、本開示は、レチクルの重要な表面に接触することなくレチクルを支持する、レチクルなどのワークピースの支持体に関する。ワークピースの容器は、標準化された機械的インターフェース(SMIF:Standardized Mechanical Interface)容器又はポッド、レチクルSMIFポッド、又はレチクルポッドと呼ばれる場合がある。容器は、本明細書の様々な実施形態に従って記載されるように、半導体又はレチクル製造工場内で使用するためのレチクルを固定するために使用することができる。本明細書で使用される際、「重要な表面」という用語は、レチクルの上面及び/又は下面を含む。
【0011】
レチクルなどであるがこれに限定されないワークピースの製造中、パターンが形成されているレチクルの表面への粒子フラックスを最小限に抑えることが重要である。このような任意の粒子はパターンを破壊する可能性がある。パターンを形成し、より大きな又はマクロのペリクルを貼り付けた後でも、汚染物質がレチクルに付着し、半導体ウェーハへのパターンの転写を妨げる可能性がある。
【0012】
粒子形成の1つの原因は、ワークピースが容器にロードされるときである。ロード工程の間に、より硬いワークピースは、ワークピースの支持構造に使用される比較的より柔らかい材料のへこみ又は変形を引き起こす可能性がある。へこみ又は変形が発生すると、発生した粒子がワークピースの重要な表面に接触し、それによりワークピースのパターンが破損する可能性がある。本開示の実施形態は、支持構造のへこみ又は変形の可能性を低減し、それによって支持構造の清浄度を高め、ワークピースを破損する可能性のある粒子形成の可能性を低減し得る支持構造に向けられる。具体的には、本開示の実施形態は、第1傾斜壁及び第1傾斜壁の底部の第2傾斜壁を有する支柱を含む。ワークピースが着座状態にあるとき、支持柱上に形成された表面は、以前の支持構造に対してワークピースとの角度及び接触点が変更されている。一実施形態では、ワークピースが着座状態にあるとき、第2傾斜壁に形成された接触面をへこませたり又は変形させたりするためにより大きな力が必要とされる。その結果、これにより粒子の発生を減らすことができ、それによってワークピース上での粒子の形成を減らす。ロードの際、ワークピースの接触は第2傾斜壁のより大きな接触面積を伴い、それによってさらなるへこみ又は変形が発生する前に必要な力が増加する。
【0013】
以下でより詳細に記載するように、一実施形態では、ワークピースを支持構造にロードする工程の間に、ワークピースが中心に置かれると、水平軸に対するより大きな角度を有する第1傾斜壁からワークピースに加えられる横方向の力は、水平軸に対してより小さな角度を有する反対側の支持上に形成された第2傾斜壁からのより小さな横方向の反力によって対抗される。これにより、ワークピースと傾斜面との間の摩擦の減少が促され、それによりワークピースをより簡単に中心に置くことが可能になる。
【0014】
図1A及び
図1Bは、一実施形態による、容器10及びワークピース15の斜視図である。
図1Aは、一実施形態による、容器10、及び、容器の1つ又は複数の支持構造20に着座する前(例えば、着座していない状態)の、ワークピース15の斜視図である。
図1Bは、一実施形態による、容器10、及び、容器10の1つ又は複数の支持構造20に着座したとき(例えば、着座状態)の
図1Aのワークピース15の斜視図である。容器10は、シェル30と結合することができるドア25を含む。ドア25及びシェル30が固定されると、密封された静的環境が、ワークピース15のための容器10内に形成される。図示の実施形態では、ワークピース15はレチクルである。
【0015】
容器10のドア25は、炭素繊維が充填されたポリカーボネートなどであるがこれに限定されない、静電気散逸性で耐久性のあるポリマーから形成することができる。容器10のシェル30は、ワークピース20の観察を可能にするために透明である耐久性のあるポリマーから形成することができる。シェル30はまた、静電気散逸性であり得る。シェル30を形成することができる透明な静電気散逸性材料の適切な例は、ポリメチルメタクリレートである。一実施形態では、シェル30は、代わりに、不透明な静電気散逸性の炭素繊維充填ポリカーボネートから形成され、ワークピースを見ることができる透明な窓を含むことができる。別の実施形態では、シェル30は、透明なポリカーボネート、難燃性ポリエーテルイミド等から形成することができる。ドア25及びシェル30のためのこれらの材料は例である。一実施形態では、ドア25及びシェル30は、他の適切な材料から形成することができる。一実施形態では、ドア25及びシェル30は、射出成形等によって形成することができる。一実施形態では、ドア25及びシェル30は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含むことができる。
【0016】
容器10は、ワークピース15を支持するための1つ又は複数の支持構造20を含む。支持構造20は、ドア25上に形成するか、又はドア25に取り付けることができる。一実施形態では、支持構造20は、ドア25とワンピースの一体構造であり得る。別の実施形態では、支持構造20は、ドア25の最初の形成からの後続の成形手順でドア25に成形することができる。さらに別の実施形態では、支持構造20は、例えば、締結具(例えば、ねじなど)等によってドア25に取り付けることができる。したがって、ドア25に関して上で考察された材料は、支持構造20にも適用可能である。
【0017】
支持構造20は、低粒子発生性の静電気散逸性材料から形成することができる。一実施形態では、支持構造20は、熱可塑性材料を含むことができる。別の実施形態では、支持構造20は、溶融加工可能なポリマーを含むことができる。さらに別の実施形態では、支持構造は、例えば、ワークピース15を容器10にロードする際にワークピース15によって力が加えられたときにへこみに抵抗するのに適した剛性を有するポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含むことができる。PEEK材料は、例えば、炭素が充填されたPEEKであり得ることを理解されたい。
【0018】
図示の実施形態では、4つの支持構造20が示されている。支持構造20は、例えば、ワークピース15の角15Aと一致するように配置される。支持構造20の数は、ワークピース15の形状に応じて変化し得ることを理解されたい。
【0019】
支持構造20は、ワークピース15の重要な表面が接触しないように、ワークピース15を受け入れることができるように構成される。先に定義したように、重要な表面は、ワークピース15の上面35又は底面40であり得る。ワークピース15は、上部面取り45及び下部面取り50を含む。上部面取り45及び下部面取り50は、45°の面取りである。換言すれば、面取りは、上面35又は底面40に対して45°の角度で形成される。この明細書に記載されている原理は、45°以外の面取りにも適用可能であることを理解されたい。上部面取り45及び下部面取り50は、以下で
図4に従ってさらに詳細に示され、記載されている。図示の実施形態では、下部面取り50は、上縁80及び下縁75を含む。
【0020】
各支持構造20は、基部25の表面25Aから延びる支柱55を含む。支柱55は、表面25Aから距離d1延びる。距離d1は、ワークピース15が着座状態にあるとき(
図1B)、ワークピース15の底面40と表面25Aとの間に空間を提供する。ワークピース15の底面40と表面25Aとの間の空間を維持することにより、例えば、ワークピース15が清浄な状態に維持されることを確実にすることができる。いくつかの実施形態では、ワークピース15の底面40とドア25の底面との間に、39.3mm又は約39.3mmの業界標準距離を維持することができる。支柱55は、支柱55の端部に支持特徴部60を含む。
図4及び
図5を参照すると、支持特徴部60は、複数の第1傾斜壁65と、複数の第1傾斜壁65の底部にある複数の第2傾斜壁70とを含む。第1傾斜壁65は、第2傾斜壁70に隣接しているか、又はそれと別個であり得る。支持特徴部60は、以下で
図4及び
図5に従って、さらに詳細に示され、記載される。
【0021】
図2は、一実施形態による、
図1A及び
図1Bの容器10の平面図である。
図2では、ワークピース15は着座状態にある。したがって、ワークピース15は、ワークピース15の各角15Aにおいて支持特徴部20と接触して配置される。
【0022】
図3は、一実施形態による、
図2の線3-3に沿う、
図1A及び
図1Bの容器10の断面図である。
図4は、一実施形態による、
図2の線3-3に沿う、
図1A及び
図1Bの容器10の支持構造20の一部の断面図である。
図5は、一実施形態による、
図1A及び
図1Bの容器10の支持構造20の一部の斜視図である。
具体的に別段に記載されない限り、
図3~
図5について大まかに考察する。
【0023】
図3及び
図5に関連して以下でより詳細に記載するように、ワークピース15を支持構造20に(例えば、
図1Aの非着座状態から
図1Bの着座状態へ)ロードする工程の間、ワークピース15は、例えば、ワークピース15の自動ハンドリングに起因する位置ずれによって、複数の第1傾斜壁65と接触する可能性がある。そのような接触は、下部面取り50の上縁80に沿って起こり得る。結果として、粒子の発生は、もしあれば、ワークピース15の面40から離れて生じる。これは、容器10内の清浄な環境を維持する能力の向上をもたらすことができる。ワークピース15が適所に(例えば、着座状態に)移動されると、支持構造20との接触は、下部面取り50の下縁に沿った接触点に限定される。
【0024】
着座状態にあるとき、ワークピース15は、複数の第1傾斜壁65から離れている。このように離間させることが可能になるのは、複数の第1傾斜壁65は垂直軸yに対して角度Θで配向されているためである。垂直軸yは、ドア25(
図1A、1B)の表面25A(
図1A、1B)に対して垂直である。
【0025】
一実施形態では、角度Θは、約45°未満になるように選択される。
一実施形態では、角度Θは、約42°未満になるように選択される。
一実施形態では、角度Θは、39°又は約39°になるように選択される。
【0026】
角度Θは以下のように選択することができる。すなわち、ワークピース15が支持構造20に取り付けられようとするときに、ワークピース15の位置ずれが発生し、ワークピース15と複数の第1傾斜壁65との間に接触が生じた場合に、接触は、下部面取り50の下縁75から離れた、下部面取り50の上縁80の方で生じるように選択することができる。有利には、複数の第1傾斜壁65のへこみ又は変形がワークピース15との接触から生じる場合、粒子は、ワークピース15の底面40から離れた所で発生する。したがって、複数の第1傾斜壁65の配置は、ワークピース15を清浄な状態に維持するのに役立つことができる。さらに、複数の第1傾斜壁65の急な角度は、ワークピース15の下部面取り50に接触する可能性を低減するのに役立つことができる。
【0027】
一実施形態では、複数の第1傾斜壁65は、曲率を含むことができる。すなわち、一実施形態では、複数の第1傾斜壁65は、ワークピース15の位置ずれが発生した場合に、第1傾斜壁65とワークピース15との間の接触が下部面取り50の上縁80に沿っている限り、凹面などの平坦でない面形状を含むことができる。
【0028】
ワークピース15は、着座状態にあるとき、下部面取り50の下縁75で複数の第2傾斜壁70に接触する。下部面取り50の上縁80は、支持特徴部60から離間している。一実施形態では、ワークピース15が着座状態にあるとき、下部面取り50は、支持特徴部60との唯一の接触点として機能する。したがって、ワークピース15は、着座状態にあるとき、複数の第1傾斜壁65と接触しない。
【0029】
この構成は、粒子の発生を低減することを可能にし、それにより、ワークピース上での粒子形成を低減する。これは、従来の支持構造が使用されている場合、ワークピースは支持構造の底壁によって支持されず、代わりに、
図3及び
図4の複数の第1傾斜壁65に対応する上部傾斜壁によって支持されるためである。接触面が上部傾斜壁に形成される従来の支持構造と比較して、
図3及び
図4に示される実施形態は、複数の第2傾斜壁70に形成される接触面をへこませたり又は変形させたりするためにより大きな力を必要とする。その結果、これは粒子の発生を低減させ、それによりワークピース上の粒子形成を低減する。
【0030】
複数の第2傾斜壁70は、水平軸xに対して角度aで角度が付けられている。水平軸xは、ドア25の表面25Aに平行である。
一実施形態では、角度aは、0°より大きくなるように選択される。
【0031】
一実施形態では、角度aは、0°より大きく、約15°未満になるように選択される。
一実施形態では、角度aは、0°より大きく、約10°未満になるように選択される。
一実施形態では、角度aは、6°又は約6°より大きく、15°又は約15°未満になるように選択される。
【0032】
一実施形態では、角度aは、8°又は約8°になるように選択される。
角度aは、ワークピース15の底面40が複数の第2傾斜壁70に物理的に接触するのを防ぐように選択することができる。したがって、複数の第2傾斜壁70の傾斜はゼロに等しくない。すなわち、複数の第2傾斜壁70は、ゼロでない傾斜を有する。
【0033】
一実施形態では、複数の第2傾斜壁70は、曲率を含むことができる。すなわち、一実施形態では、複数の第2傾斜壁70は、ワークピース15が着座状態にあるときに、ワークピース15の底面40と複数の第2傾斜壁70との間に物理的接触が生じない限り、凹面などの平坦でない面形状を含むことができる。
【0034】
一実施形態では、支持構造20とワークピース15の接触点が複数の第2傾斜壁70上にあることにより、ワークピース15を安全な位置に維持して、ワークピース15が例えばドア25の表面25Aに平行な方向に移動するのを抑制することができる。
【0035】
アンシス(ANSYS)(登録商標)から市販されているソフトウェアを利用する有限要素解析を使用して、複数の第2傾斜壁70のへこみ又は変形が生じる臨界力を特定するためのシミュレーションを行った。シミュレーションには、アンシス(ANSYS)(登録商標)メカニカルバージョン19.1を利用した。入力パラメータとして、シミュレーションでは、複数の第2傾斜壁70の形状、複数の第2傾斜壁70を形成する材料の材料特性、ワークピース15の寸法、及び、ワークピース15の硬度特性を利用した。ワークピース15に加えられる力をシミュレートした。シミュレーションでは、変形をもたらす臨界力は1.63キログラム(3.60ポンド)又は約1.63キログラム(3.60ポンド)であると推定された。逆に、同じシミュレーション、及び、接触が複数の第1傾斜壁に沿って存在する現行の支持構造の形状を利用すると、結果として生じる臨界力は0.98キログラム(2.17ポンド)だった。つまり、本明細書に従ってシミュレートされた設計では、臨界力が65%増加した。
【0036】
角度Θ又は角度aは、上述のように制御できることを理解されたい。すなわち、一実施形態では、角度aが0°より大きい場合、角度Θは45°近くに維持することができる。一実施形態では、角度Θを45°未満に減少させることにより、ワークピース15上での粒子形成を防止する際の支持構造20の有効性を高めることができる。
【0037】
支持特徴部60は角として配置されるので、特徴部は、支持特徴部60の対称線である線85に沿って対称であり得る。一実施形態では、支持特徴部60は対称ではない。
【0038】
図6を参照すると、代替の実施形態では、支持構造120は、8つの支持柱155を含み、支持柱155のそれぞれは、第1傾斜壁165及び第2傾斜壁170を有する。支持構造の支持柱の数は変化する可能性があり、各支持柱は、1つ又は複数の第1傾斜壁及び1つ又は複数の第2傾斜壁を含むことができることを理解されたい。支持柱が2つ以上の第1傾斜壁を含む場合、第1傾斜壁は、必要に応じて隣接又は分離できることも理解されたい。
【0039】
図7を参照すると、一実施形態では、支持構造は、第1支持柱255と、第1支持柱255の反対側に位置する第2支持柱257とを含む。第1支持柱255は、第1傾斜壁265及び第2傾斜壁270を含む。第2支持柱257は、第1傾斜壁267及び第2傾斜壁272を含む。ワークピース215を支持構造にロードする工程の間に、ワークピース215が中心に置かれると、水平軸に対してより大きな角度を有する第1支持柱255の第1傾斜壁265からワークピースに加えられる横方向の力f1は、水平軸に対してより小さい角度を有する第2支持柱272の第2傾斜壁272からのより小さな横方向反力f2によって対抗される。これにより、ワークピース215と傾斜面265、270との間の摩擦を低減することができ、それにより、ワークピース215をより容易に中心に置くことができる。
【0040】
態様:
態様1~8のいずれか1つは、態様9~14、15~24、又は25のいずれか1つと組み合わせることができることを理解されたい。態様9~14のいずれか1つは、態様15~24又は25のいずれか1つと組み合わせることができる。態様15~24のいずれか1つは態様25と組み合わせることができる。
【0041】
態様1.ワークピースを支持するための容器であって、ワークピースはワークピースの上縁及び下縁の周りに面取りを含み、容器はドア及びドアと結合して容器内に隔絶された環境を画定することができるシェルを含み、容器は、ドアに取り付けられたワークピース支持体を含み、ワークピース支持体は支持柱を含み、支持柱は、ワークピースの角でワークピースを支持するように構成され、支持柱は第1傾斜壁と、第1傾斜壁の底部の第2傾斜壁とを含み、第2傾斜側壁は、角でワークピースの隣接する側面を支持するように構成され、第1傾斜壁及び第2傾斜壁は、異なるゼロでない傾斜で配向される、容器。
【0042】
態様2.第1傾斜壁が、垂直軸に対して、45°又は約45°以下の角度で配向されている、態様1に記載の容器。
態様3.第2傾斜壁が、水平軸に対して、0°又は約0°より大きく、15°又は約15°以下の角度で配向されている、態様1又は2のいずれか1つに記載の容器。
【0043】
態様4.着座状態において、第2傾斜壁が、ワークピースの下縁の周りの面取りの下縁でワークピースと係合するように構成される、態様1~3のいずれか1つに記載の容器。
態様5.ワークピースがレチクルである、態様1~4のいずれか1つに記載の容器。
【0044】
態様6.支持柱が熱可塑性材料を含む、態様1~5のいずれか1つに記載の容器。
態様7.ワークピース支持体が4つの支持柱を含む、態様1~6のいずれか1つに記載の容器。
態様8.第1傾斜壁及び第2傾斜壁のうちの1つ又は複数が湾曲した平坦でない面を含む、態様1~7のいずれか1つに記載の容器。
【0045】
態様9.ワークピースを支持するための容器であって、ワークピースはワークピースの上縁及び下縁の周りに面取りを含み、容器はドア及びシェルを含み、シェルは隔絶された環境を画定するためにドアと結合することができ、容器は、ドアに取り付けられたワークピース支持体を含み、ワークピース支持体は支持柱を含み、支持柱はワークピースを支持するように構成され、支持柱は互いに角度を付けられた第1傾斜壁と、第1傾斜壁の底部の互いに角度を付けられた第2傾斜壁とを含み、第2傾斜壁は、ワークピースの隣接する側面を支持するように構成され、第1傾斜壁及び第2傾斜壁は、異なるゼロでない傾斜で配向される、容器。
【0046】
態様10.ワークピースがレチクルである、態様9に記載の容器。
態様11.シェルがドアに結合されているときに、レチクルはワークピース支持体とシェルとの間に挟まれている、態様9又は10のいずれか1つに記載の容器。
【0047】
態様12.第1傾斜壁が、垂直軸に対して、45°又は約45°以下の角度で配向されている、態様9~11のいずれか1つに記載の容器。
態様13.第2傾斜壁が、水平軸に対して、0°又は約0°より大きく、15°又は約15°以下の角度で配向されている、態様9~12のいずれか1つに記載の容器。
【0048】
態様14.第1傾斜壁及び第2傾斜壁のうちの1つ又は複数が湾曲した平坦でない面を含む、態様9~13のいずれか1つに記載の容器。
態様15.ワークピースを支持するための容器であって、ワークピースはワークピースの上縁及び下縁の周りに面取りを含み、容器はドア及び容器内に隔絶された環境を画定するためにドアと結合することができるシェルを含み、容器は、ドアに取り付けられたワークピース支持体を含み、ワークピース支持体は支持柱を含み、支持柱はワークピースを支持するように構成され、支持柱は、一対の第1傾斜壁と、一対の第1傾斜壁の底部の一対の第2傾斜壁とからなり、一対の第2傾斜壁は、ワークピースの隣接する側面を支持する唯一の接触点であるように構成され、一対の第1傾斜壁及び一対の第2傾斜壁は、異なるゼロでない傾斜で配置される、容器。
【0049】
態様16.一対の第1傾斜壁が、垂直軸に対して、45°又は約45°以下の角度で配向されている、態様15の容器。
態様17.一対の第2傾斜壁が、水平軸に対して、0°又は約0°より大きく、15°又は約15°以下の角度で配向されている、態様15又は16のいずれか1つに記載の容器。
【0050】
態様18.着座状態において、一対の第2傾斜壁が、ワークピースの下縁の周りの面取りの下縁でワークピースと係合するように構成される、態様15~17のいずれか1つに記載の容器。
態様19.ワークピースがレチクルである、態様15~18のいずれか1つに記載の容器。
【0051】
態様20.支持柱が熱可塑性材料を含む、態様15~19のいずれか1つに記載の容器。
態様21.ワークピース支持体が4つの支持柱を含む、態様15~20のいずれか1つに記載の容器。
【0052】
態様22.着座していない状態で、ワークピースとの偶発的な接触がワークピースの下縁の周りの面取りの上縁で生じるように、一対の第1傾斜壁が配向される、態様15~21のいずれか1つに記載の容器。
【0053】
態様23.一対の第1傾斜壁及び一対の第2傾斜壁のうちの1つ又は複数が、湾曲した平坦でない面を含む、態様15~22のいずれか1つに記載の容器。
態様24.一対の第1傾斜壁が、一対の第2傾斜壁に隣接しているか、又は一対の第2傾斜壁から離れている、態様15~23のいずれか1つに記載の容器。
態様25.容器アセンブリであって、ワークピースを備え、ワークピースはワークピースの上縁及び下縁の周りに面取りを含み、容器はドア及び容器内に隔絶された環境を画定するためにドアと結合することができるシェルを含み、容器は、ドアに取り付けられたワークピース支持体を含み、ワークピース支持体は支持柱を含み、支持柱はワークピースを支持するように構成され、支持柱は第1傾斜壁と、第1傾斜壁の底部の第2傾斜壁とを含み、第2傾斜壁は、ワークピースの隣接する側面を支持する唯一の接触点であるように構成され、第1傾斜壁及び第2傾斜壁は、異なるゼロでない傾斜で配置される、容器アセンブリ。
【0054】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載することを意図しており、限定することを意図するものではない。「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という用語は、特に明記されていない限り、複数形も含む。「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在又は追加を排除するものではない。
前述の記載に関して、本開示の範囲から逸脱することなく、特に使用される構築材料並びに部品の形状、サイズ、及び配置に関して、詳細に変更を加えることができることを理解されたい。本明細書及び記載された実施形態は例示に過ぎず、本開示の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示されている。