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特許7147163仮固定用樹脂フィルム、仮固定用樹脂フィルムシート、及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】仮固定用樹脂フィルム、仮固定用樹脂フィルムシート、及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220928BHJP
   C09J 7/00 20180101ALI20220928BHJP
【FI】
H01L21/304 622J
C09J7/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2017245091
(22)【出願日】2017-12-21
(65)【公開番号】P2019114599
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】昭和電工マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】祖父江 省吾
(72)【発明者】
【氏名】池谷 卓二
(72)【発明者】
【氏名】山口 雄志
(72)【発明者】
【氏名】大山 恭之
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-054827(JP,A)
【文献】国際公開第2017/191815(WO,A1)
【文献】特開2011-023396(JP,A)
【文献】特開2009-206435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
C09J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の主面に接続端子が設けられている半導体ウェハ若しくは素子を加工して半導体装置を製造する方法であって、
熱可塑性樹脂として架橋性官能基を有するポリマーを含む第一の層と、該第一の層上に設けられた、熱可塑性樹脂及び硬化性成分を含む第二の層とを備える仮固定用樹脂フィルムを用意する第1ステップと、
前記半導体ウェハ若しくは素子の前記接続端子が設けられている面に前記仮固定用樹脂フィルムを前記第一の層側から貼り合わせる第2ステップと、
前記第2ステップの後、前記第一の層及び前記第二の層を硬化させる第3ステップと、
前記第3ステップの後、前記半導体ウェハ若しくは前記素子を加工する第4ステップと、
を備え、
第1ステップで用意する前記仮固定用樹脂フィルムにおける前記第一の層の厚さXが、前記接続端子の高さTよりも小さく、かつ、第2ステップで前記半導体ウェハ若しくは素子と貼り合わせた前記仮固定用樹脂フィルムにおいて、前記第二の層と前記接続端子との間に前記第一の層が介在する、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記厚さXが、0.3T以上である、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
第2ステップで前記半導体ウェハ若しくは素子と貼り合わせた前記仮固定用樹脂フィルムにおいて、前記半導体ウェハ若しくは素子の前記接続端子が設けられている主面と、前記第二の層との最短距離が0.1T以上1.0T未満である、請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第一の層は、硬化後における25℃での貯蔵弾性率が0.01~1000MPaであり、
前記第二の層は、硬化後における25℃での貯蔵弾性率が1~10000MPaである、
請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第二の層の硬化後における25℃での貯蔵弾性率が、前記第一の層の硬化後における25℃での貯蔵弾性率よりも大きい、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第二の層は、硬化後における25℃での貯蔵弾性率が450~10000MPaである、請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第二の層がシリコーン化合物を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第二の層が前記硬化性成分として熱硬化性樹脂を含み、
前記第二の層における前記熱硬化性樹脂の配合量が、前記第二の層に含まれる前記熱可塑性樹脂100質量部に対して5~500質量部である、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
熱可塑性樹脂として架橋性官能基を有するポリマーを含む第一の層と、該第一の層上に設けられた、熱可塑性樹脂及び硬化性成分を含む第二の層と、を備え、
前記第一の層は、硬化後における25℃での貯蔵弾性率が0.01~1000MPaであり、
前記第二の層は、硬化後における25℃での貯蔵弾性率が450~10000MPaであり、
一方の主面に接続端子が設けられている半導体ウェハ若しくは素子を仮固定するための、仮固定用樹脂フィルム。
【請求項10】
前記第一の層の厚さXが、前記接続端子の高さTよりも小さい、請求項9に記載の仮固定用樹脂フィルム。
【請求項11】
前記厚さXが、0.3T以上である、請求項10に記載の仮固定用樹脂フィルム。
【請求項12】
前記第二の層の硬化後における25℃での貯蔵弾性率が、前記第一の層の硬化後における25℃での貯蔵弾性率よりも大きい、請求項9~11のいずれか一項に記載の仮固定用樹脂フィルム。
【請求項13】
前記第二の層がシリコーン化合物を更に含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の仮固定用樹脂フィルム。
【請求項14】
前記第二の層が前記硬化性成分として熱硬化性樹脂を含み、
前記第二の層における前記熱硬化性樹脂の配合量が、前記第二の層に含まれる前記熱可塑性樹脂100質量部に対して5~500質量部である、請求項9~13のいずれか一項に記載の仮固定用樹脂フィルム。
【請求項15】
離型性を有する支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた請求項9~14のいずれか一項に記載の仮固定用樹脂フィルムと、を備える、仮固定用樹脂フィルムシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮固定用樹脂フィルム、仮固定用樹脂フィルムシート、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン、タブレットPC等の電子機器の多機能化に伴い、半導体素子を多段に積層し、高容量化したスタックドMCP(Multi Chip Package)が普及している。半導体素子の実装には、実装工程において有利なフィルム状接着剤がダイボンディング用の接着剤として広く用いられている。しかし、このように多機能化の傾向があるにも関わらず、現行のワイヤボンドを使用した半導体素子の接続方式では、データの処理速度に限界があることから、電子機器の動作が遅くなる傾向にある。また、消費電力を低く抑え、充電せずにより長時間使用したいとのニーズが高まっていることから、省電力化も求められつつある。このような観点から、近年、更なる高速化及び省電力化を目的として、ワイヤボンドではなく貫通電極により半導体素子同士を接続する新しい構造の電子機器装置も開発されてきている。
【0003】
このように新しい構造の電子機器装置が開発されてきているものの、依然として高容量化も求められており、パッケージ構造に関わらず、半導体素子をより多段に積層できる技術の開発が進められている。しかし、限られたスペースにより多くの半導体素子を積層するためには、半導体素子の安定した薄型化が必要不可欠である。
【0004】
半導体ウェハを薄型化する研削工程では、いわゆるBGテープと呼ばれる支持テープを半導体ウェハに貼り付け、サポートした状態で研削することが主流となっている。しかし、薄型化した半導体ウェハは表面に施された回路の影響により反りやすい。そのため、変形しやすいテープ素材であるBGテープでは、薄型化した半導体ウェハを充分にサポートできなくなりつつある。
【0005】
このような背景から、BGテープよりも硬い素材であるシリコンウェハ又はガラスを支持体とする半導体ウェハの薄型化プロセスが提案されており、半導体ウェハとシリコンウェハ又はガラスの支持体とを粘着させる材料(粘着剤)が提案されてきている。このような粘着剤では、研削後の半導体ウェハを損傷させることなく、支持体から剥離できることが重要な特性として要求される。そのため、これらの特性を満足するための剥離方法が鋭意検討されている。剥離方法としては、例えば、溶剤による粘着剤の溶解を利用する方法、加熱により粘着性を落とすことで剥離性を向上させる方法、レーザー照射により粘着剤を改質又は消失させる方法等が知られている(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4565804号明細書
【文献】特許第4936667号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、溶剤での粘着剤の溶解には時間がかかるため、生産性が低下しやすい。また、加熱により粘着性を落とす方法では、加熱による半導体素子への影響が懸念されるとともに、耐熱性に劣ることから、貫通電極等を形成するプロセス用途では使用できない。一方、レーザー照射により粘着剤を改質又は消失させる方法では、高価なレーザー設備の導入が必要不可欠であり、このようなプロセスの適用には、かなりの投資が必要不可欠となる。
【0008】
また、粘着剤は液状のものがほとんどであり、半導体ウェハ等の電子部品又は支持体にスピンコート等で塗布し、加熱、UV照射等により成膜して使用されている。しかし、このような場合、塗布時の粘着剤の塗布厚のバラツキにより、個々の電子部品で、加工後の電子部品の厚さにバラツキが生じ易く、またスピンコートでは塗布時の回転で飛散した材料を廃棄する必要がある等の課題がある。
【0009】
さらに、加工する半導体ウェハ等の電子部品は、平滑性が高いものに限らず、回路面にハンダボールを備え、高さが100μmを超える接続端子のあるウェハを加工することも増加傾向にある。このような接続端子が設けられた半導体ウェハ等を加工する場合、大きな凹凸(段差)を埋め込み、かつ、凹凸を有する表面から粘着剤を剥離することは比較的難しい。すなわち、凹凸の埋め込み性を重視するあまり仮固定材を低弾性化しすぎると、バックグラインド工程等の外部応力の加わる工程で仮固定材の変形、及び剥離が発生し、工程を通すことができなくなる。一方、仮固定材を高弾性化しすぎると、ハンダボールの接着強度が不充分な場合には、粘着剤の剥離時にハンダボールが欠落する等の懸念が生じる。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、接続端子が設けられた半導体ウェハ若しくは素子等の凹凸を有する電子部品の加工を良好に行うことができるとともに、加工後の電子部品及び支持体から容易に剥離が可能な仮固定用樹脂フィルム及び仮固定用樹脂フィルムシート、並びに、仮固定用樹脂フィルムを用いる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明は、一方の主面に接続端子が設けられている半導体ウェハ若しくは素子を加工して半導体装置を製造する方法であって、熱可塑性樹脂を含む第一の層と、該第一の層上に設けられた、熱可塑性樹脂及び硬化性成分を含む第二の層とを備える仮固定用樹脂フィルムを用意する第1ステップと、半導体ウェハ若しくは素子の接続端子が設けられている面に仮固定用樹脂フィルムを第一の層側から貼り合わせる第2ステップとを備え、第1ステップで用意する仮固定用樹脂フィルムにおける第一の層の厚さXが、接続端子の高さTよりも小さく、かつ、第2ステップで半導体ウェハ若しくは素子と貼り合わせた仮固定用樹脂フィルムにおいて、第二の層と接続端子との間に第一の層が介在する、半導体装置の製造方法を提供する。
【0012】
本発明の方法によれば、接続端子が設けられている半導体ウェハ若しくは素子に、上記特定の構成を有する仮固定用樹脂フィルムを上記特定の構造となるように貼り合わせて仮固定することにより、半導体ウェハ若しくは素子の加工を良好に行うことができるとともに、加工後の半導体ウェハ若しくは素子及び支持体から仮固定材を容易に剥離することが可能となる。このような効果が得られる理由としては以下のことが考えられる。第一の層及び第二の層を有する樹脂フィルムを用いて第一の層によって接続端子を充分に埋め込みつつ、第二の層と接続端子との間に第一の層を介在させる、すなわち接続端子と第二の層とを接触させないことにより、第一の層を剥離特性に優れる組成とすることで加工後の半導体ウェハ若しくは素子及び支持体から仮固定材を容易に剥離することができる。また、接続端子の高さTよりも厚さが小さい第一の層と硬化性成分を含み高弾性化が可能な第二の層とを上記のように半導体ウェハ若しくは素子に貼り合わせることで、加工時に必要な物性(例えば、ずり粘度)を発現できる第二の層が接続端子間に食い込んだ構造を設けることができ、半導体ウェハ若しくは素子と支持体とを充分に固定できるとともに、バックグラインド工程等の外部応力の加わる工程での仮固定材の変形及び剥離を充分抑制することができる。さらに、第一の層及び第二の層がともに熱可塑性樹脂を含有し、かつ両層の界面が接続端子の凹凸に対応して波状に成形されることにより、アンカー効果が増加して界面剥離等の発生が充分抑制され、剥離時に仮固定材の破断残りの発生を充分に防止することもできる。
【0013】
段差埋め込み性及び剥離特性をさらに向上させる観点から、上記厚さXが、0.3T以上であることが好ましい。
【0014】
また、加工をさらに容易にできる観点から、第2ステップで半導体ウェハ若しくは素子と貼り合わせた仮固定用樹脂フィルムにおいて、半導体ウェハ若しくは素子の接続端子が設けられている主面と、第二の層との最短距離が0.1T以上1.0T未満であることが好ましい。
【0015】
さらに、加工特性と剥離特性とを高水準で両立する観点から、上記第一の層は、硬化後における25℃での貯蔵弾性率が0.01~1000MPaであり、上記第二の層は、硬化後における25℃での貯蔵弾性率が1~10000MPaであることが好ましい。
【0016】
本発明はまた、熱可塑性樹脂を含む第一の層と、該第一の層上に設けられた、熱可塑性樹脂及び硬化性成分を含む第二の層と、を備え、一方の主面に接続端子が設けられている半導体ウェハ若しくは素子を仮固定するための仮固定用樹脂フィルムを提供する。
【0017】
本発明の仮固定用樹脂フィルムによれば、一方の主面に接続端子が設けられている半導体ウェハ若しくは素子のように仮固定する面に凹凸を有する場合であっても、半導体ウェハ若しくは素子の加工を良好に行うことができるとともに、加工後の半導体ウェハ若しくは素子及び支持体から容易に剥離することができる。また、本発明の仮固定用樹脂フィルムは、フィルム状であることにより、接続端子の高さに応じて第一の層の層厚を容易に制御することができ、厚さのバラツキによる埋め込み不良及び剥離不良を軽減することができる。また、本発明に係る仮固定用樹脂フィルムは、ラミネート等の簡便な方法により半導体ウェハ若しくは素子又は支持体上に貼り合わせることができ、作業性にも優れている。
【0018】
本発明の仮固定用樹脂フィルムにおいて、加工をさらに容易にできる観点から、第一の層の厚さXを接続端子の高さTよりも小さくすることが好ましい。
【0019】
また、段差埋め込み性及び剥離特性をさらに向上させる観点から、厚さXが0.3T以上であることが好ましい。
【0020】
さらに、加工特性と剥離特性とを高水準で両立する観点から、第一の層は、硬化後における25℃での貯蔵弾性率が0.01~1000MPaであり、第二の層は、硬化後における25℃での貯蔵弾性率が1.0~10000MPaであることが好ましい。
【0021】
本発明はまた、離型性を有する支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた上記本発明に係る仮固定用樹脂フィルムとを備える仮固定用樹脂フィルムシートを提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、接続端子が設けられた半導体ウェハ若しくは素子等の凹凸を有する電子部品の加工を良好に行うことができるとともに、加工後の電子部品及び支持体から容易に剥離が可能な仮固定用樹脂フィルム及び仮固定用樹脂フィルムシート、並びに、仮固定用樹脂フィルムを用いる半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】(A)は、本発明に係る仮固定用樹脂フィルムシートの一実施形態を示す上面図であり、(B)は、(A)のI-I線に沿った模式断面図である。
図2】(A)は、本発明に係る仮固定用樹脂フィルムシートを作製するための第一の樹脂シートの一実施形態を示す上面図であり、(B)は、(A)のII-II線に沿った模式断面図である。
図3】(A)は、本発明に係る仮固定用樹脂フィルムシートを作製するための第二の樹脂シートの一実施形態を示す上面図であり、(B)は、(A)のIII-III線に沿った模式断面図である。
図4】(A)は、本発明に係る仮固定用樹脂フィルムシートの他の実施形態を示す上面図であり、(B)は、(A)のIV-IV線に沿った模式断面図である。
図5】(A)、(B)及び(C)は、電子部品(半導体ウェハ)の加工方法の一実施形態を説明するための模式断面図であり、(D)は、加工後、例えば研削後の電子部品を示す上面図である。
図6】加工された電子部品(半導体ウェハ)を支持体及び仮固定用樹脂フィルムから分離する分離工程の一実施形態を説明するための模式断面図である。
図7】電子機器装置(半導体装置)の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。
図8】仮固定用樹脂フィルムが電子部品(半導体ウェハ)の凹凸(接続端子)を埋め込んだ際の断面図であり、(A)は本実施形態の条件を満足する状態、(B)は本実施形態の条件を満足しない状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限られるものではない。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0025】
[仮固定用樹脂フィルム]
本実施形態に係る仮固定用樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂を含む第一の層と、該第一の層上に設けられた、熱可塑性樹脂及び硬化性成分を含む第二の層と、を備える。
【0026】
本実施形態に係る仮固定用樹脂フィルムは、被加工体として、接続端子が設けられた半導体ウェハ若しくは素子等の凹凸を有する電子部品を、支持体に仮固定する仮固定材として用いることができる。支持体に仮固定された被加工体は、所定の加工が施された後、仮固定材と分離され、電子機器装置等の製造に供することができる。
【0027】
本実施形態に係る仮固定用樹脂フィルムは、組成の異なる2つの層を有することで、凹凸を有する電子部品と接する層の剥離強度と、支持体と接する層の剥離強度とを調整することができ、仮固定用樹脂フィルムを介して固定されている電子部品及び支持体の双方から容易に剥離することができる。また、フィルム状の粘着剤であるため、膜厚の制御がより容易であり、個々の電子部品間での厚さのバラツキを軽減することができる。また、本実施形態に係る仮固定用樹脂フィルムは、ラミネート等の簡便な方法により電子部品又は支持体上に貼り合わせることができ、作業性にも優れている。
【0028】
図1(A)は、本実施形態に係る仮固定用樹脂フィルムシートの一実施形態を示す上面図であり、図1(B)は図1(A)のI-I線に沿った模式断面図である。
【0029】
図1に示す仮固定用樹脂フィルムシート1は、支持フィルム10、第一の層21、第二の層22、及び支持フィルム10をこの順に備え、第一の層21及び第二の層22からなる仮固定用樹脂フィルム20を有する。仮固定用樹脂フィルムシート1は、第一の層21を、凹凸を有する電子部品の凹凸面に貼り合わせて凹凸を埋め込むように用いることができる。
【0030】
(支持フィルム)
支持フィルム10としては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミドが挙げられる。支持フィルム10は、柔軟性及び強靭性に優れるという観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド又はポリイミドであることが好ましい。また、樹脂フィルム(樹脂層)との剥離性向上の観点から、シリコーン系化合物、フッ素系化合物などにより離型処理が施されたフィルムを支持フィルムとして用いることが好ましい。
【0031】
支持フィルム10の厚さは、目的とする柔軟性により適宜変えてよいが、3~350μmであることが好ましい。厚さが、3μm以上であればフィルム強度が充分であり、350μm以下であれば充分な柔軟性が得られる傾向にある。このような観点から、支持フィルム10の厚さは、5~200μmであることがより好ましく、7~150μmであることが更に好ましい。
【0032】
(第一の層)
第一の層は、第一の熱可塑性樹脂(以下、(a1)熱可塑性樹脂という場合もある。)を含むことができる。(a1)熱可塑性樹脂としては、少なくともフィルムが電子部品又は支持体にラミネートされる前において熱可塑性を有している樹脂であれば特に制限なく用いることができる。熱可塑性樹脂は、加熱等により架橋構造を形成する樹脂であってもよい。
【0033】
(a1)熱可塑性樹脂としては、架橋性官能基を有するポリマーを用いることができる。架橋性官能基を有するポリマーとしては、熱可塑性ポリイミド樹脂、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル共重合体、ウレタン樹脂ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル共重合体が好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかの意味で用いられる。熱可塑性樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
架橋性官能基を有する(メタ)アクリル共重合体は、パール重合、溶液重合等の重合方法によって得られるものを用いてもよく、或いは、市販品を用いてもよい。
【0035】
架橋性官能基を有するポリマーは、架橋性官能基をポリマー鎖中に有していても、ポリマー鎖末端に有していてもよい。架橋性官能基としては、エポキシ基、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基等が挙げられる。架橋性官能基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
(a1)熱可塑性樹脂のガラス転移温度(以下、「Tg」と表記する場合もある。)は、-50℃~50℃であることが好ましく、-30℃~20℃であることがより好ましい。Tgがこのような範囲であれば、第一の層のタック力が上がりすぎて取り扱い性が悪化することを抑制しつつ、より充分な流動性を得ることができ、さらには硬化後のシートの弾性率をより低くすることができるため、剥離強度が高くなりすぎることを抑制できる。また、Tgが上記の範囲であれば、第一の層の柔軟性が高くなりすぎることによる取扱性及び剥離性の低下を抑制できるとともに、低温貼付性を向上させることができ、特には電子部品の凹凸に対して150℃以下での埋め込みが更に容易になる。
【0037】
Tgは、示差走査熱量測定(DSC、例えば(株)リガク製「Thermo Plus 2」)を用いて熱可塑性樹脂を測定したときの中間点ガラス転移温度値である。具体的には、上記Tgは、昇温速度10℃/分、測定温度:-80~80℃の条件で熱量変化を測定し、JIS K 7121:1987に準拠した方法によって算出した中間点ガラス転移温度である。
【0038】
(a1)熱可塑性樹脂の重量平均分子量は特に限定されず、好ましくは10万~120万であり、より好ましくは20万~100万である。熱可塑性樹脂の重量平均分子量がこのような範囲であれば、成膜性と流動性とを確保することがより容易となる。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
【0039】
第一の層は、(a1)熱可塑性樹脂に加え、必要に応じて、シリコーン化合物(以下、(a2)シリコーン化合物という場合もある。)、硬化促進剤(以下、(a3)硬化促進剤という場合もある。)及びその他の成分を含んでいてもよい。
【0040】
(a2)シリコーン化合物としては、ポリシロキサン構造を有するものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、シリコーン変性樹脂、ストレートシリコーンオイル、非反応性の変性シリコーンオイル、反応性の変性シリコーンオイル等が挙げられる。シリコーン化合物は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
第一の層がシリコーン化合物を含有することで、本実施形態の仮固定用樹脂フィルムを電子部品から剥離する際、溶剤を用いることなく一層容易に剥離することが可能となる。
【0042】
シリコーン変性樹脂としては、シリコーンで変性された樹脂であれば特に制限なく用いることができるが、シリコーン変性アルキド樹脂が好ましい。第一の層がシリコーン変性アルキド樹脂を含有することで、加工後の優れた剥離性を確保できる。
【0043】
シリコーン変性アルキド樹脂を得る方法としては、例えば、(i)アルキド樹脂を得る通常の合成反応、即ち多価アコールと、脂肪酸、多塩基酸等とを反応させる際に、オルガノポリシロキサンをアルコール成分として同時に反応させる方法、(ii)あらかじめ合成された一般のアルキド樹脂に、オルガノポリシロキサンを反応させる方法が挙げられる。
【0044】
アルキド樹脂の原料として用いられる多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の二価アルコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の三価アルコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、マンニット、ソルビット等の四価以上の多価アルコールが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
アルキド樹脂の原料として用いられる多塩基酸としては、例えば、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水トリメット酸等の芳香族多塩基酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族飽和多塩基酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水シトラコン酸等の脂肪族不飽和多塩基酸、シクロペンタジエン-無水マレイン酸付加物、テルペン-無水マレイン酸付加物、ロジン-無水マレイン酸付加物等のディールズ・アルダー反応による多塩基酸などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
アルキド樹脂は、変性剤又は架橋剤を更に含有していてもよい。
【0047】
変性剤は、オクチル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エレオステアリン酸、リシノレイン酸、脱水リシノレイン酸、ヤシ油、アマニ油、キリ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、大豆油、サフラワー油及びこれらの脂肪酸等を用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂等のアミノ樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アミノ樹脂は、アミノ樹脂により架橋されたアミノアルキド樹脂が得られるため好ましい。架橋剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
シリコーン変性アルキド樹脂は、硬化触媒として酸性触媒と併用することができる。酸性触媒としては特に制限はなく、アルキド樹脂の架橋反応触媒として公知の酸性触媒の中から適宜選択して用いることができる。このような酸性触媒としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機系の酸性触媒が好適である。酸性触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
上述のようなシリコーン変性アルキド樹脂としては、例えば、テスファインTA31-209E(日立化成ポリマー(株)製、商品名)等の市販品を用いることができる。
【0051】
変性シリコーンオイルとしては、(a1)熱可塑性樹脂と相溶するものであれば、特に限定なく用いることができ、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーンが好ましい。このような変性シリコーンオイルとしては、東レ・ダウコーニング(株)製のSH3773M、L-7001、SH-550、SH-710、信越シリコーン(株)製のX-22-163、KF-105、X-22-163B、X-22-163C等が挙げられる。
【0052】
第一の層における(a2)シリコーン化合物の配合量は、(a1)熱可塑性樹脂100質量部に対して、0~100質量部が好ましく、1~80質量部がより好ましい。(a2)シリコーン化合物の配合量が上記範囲内であれば、電子部品加工時の接着性と加工後の剥離性とをより高水準で両立させることが可能となる。
【0053】
(a3)硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾール-テトラフェニルボレート、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7-テトラフェニルボレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
第一の層において、(a1)熱可塑性樹脂がエポキシ基を有する(メタ)アクリル共重合体を含む場合、係るアクリル共重合体に含まれるエポキシ基の硬化を促進する硬化促進剤を含有させることが好ましい。
【0055】
第一の層における(a3)硬化促進剤の配合量は、(a1)熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01~2.0質量部が好ましい。(a3)硬化促進剤の配合量が(a1)熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01質量部以上であれば、半導体素子の製造工程内の熱履歴において第一の層を充分に硬化させることできるため、電子部品と支持体とをより確実に固定できる。(a3)硬化促進剤の配合量が(a1)熱可塑性樹脂100質量部に対して2.0質量部以下であれば、製造工程中の加熱により仮固定用樹脂フィルムの溶融粘度が上昇しにくくなり、フィルムの保存安定性が更に良好になる傾向がある。
【0056】
その他の成分としては、酸化防止剤、無機フィラー、有機フィラー、シランカップリング剤、硬化性成分等が挙げられる。
【0057】
酸化防止剤としては、例えば、ラジカル連鎖防止剤のフェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤、過酸化物分解剤のリン系酸化防止剤及びイオウ系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、仮固定用樹脂フィルムの耐熱性を向上させる目的で添加することができる。酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
第一の層における酸化防止剤の配合量は、Bステージ状態における仮固定用樹脂フィルムの取り扱い性の観点から、(a1)熱可塑性樹脂100質量部に対し、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましく、5質量部以下が更に好ましい。酸化防止剤の含有量の下限は特に制限はなく、(a1)熱可塑性樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上であることが好ましい。酸化防止剤の含有量を上記範囲とすることにより、Cステージ状態における仮固定用樹脂フィルムの耐熱性を向上させることができる。
【0059】
無機フィラーとしては、例えば、銀粉、金粉、銅粉等の金属フィラー;シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、セラミック等の非金属無機フィラー等が挙げられる。無機フィラーは所望する機能に応じて選択することができる。金属フィラーは、フィルムにチキソ性を付与する目的で添加することができる。非金属無機フィラーは、フィルムに低熱膨張性及び低吸湿性を付与する目的で添加することができる。無機フィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
無機フィラーは表面に有機基を有するものが好ましい。無機フィラーの表面が有機基によって修飾されていることにより、フィルムを形成するための樹脂組成物を調製するときの有機溶剤への分散性、並びにフィルムの密着性及び耐熱性を向上させることが容易となる。
【0061】
表面に有機基を有する無機フィラーは、例えば、下記一般式(B-1)で表されるシランカップリング剤と無機フィラーとを混合し、30℃以上の温度で攪拌することにより得ることができる。無機フィラーの表面が有機基によって修飾されたことは、UV(紫外線)測定、IR(赤外線)測定、XPS(X線光電子分光)測定等で確認することが可能である。
【0062】
【化1】
【0063】
式(B-1)中、Xは、フェニル基、グリシドキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、ビニル基、イソシアネート基及びメタクリロキシ基からなる群より選択される有機基を示し、sは0又は1~10の整数を示し、R11、R12及びR13は各々独立に、炭素数1~10のアルキル基を示す。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基が挙げられる。炭素数1~10のアルキル基は、入手が容易であるという観点から、メチル基、エチル基及びペンチル基が好ましい。Xは、耐熱性の観点から、アミノ基、グリシドキシ基、メルカプト基及びイソシアネート基が好ましく、グリシドキシ基及びメルカプト基がより好ましい。式(B-1)中のsは、高熱時のフィルム流動性を抑制し、耐熱性を向上させる観点から、0~5が好ましく、0~4がより好ましい。
【0064】
好ましいシランカップリング剤は、例えば、トリメトキシフェニルシラン、ジメチルジメトキシフェニルシラン、トリエトキシフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N-(1,3―ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N,N’―ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、ポリオキシエチレンプロピルトリアルコキシシラン、ポリエトキシジメチルシロキサンが挙げられる。これらの中でも、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましく、トリメトキシフェニルシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランがより好ましい。シランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0065】
上記カップリング剤の使用量は、耐熱性を向上させる効果と保存安定性とのバランスを図る観点から、無機フィラー100質量部に対して、0.01~50質量部が好ましく、0.05質量部~20質量部がより好ましく、耐熱性向上の観点から、0.5~10質量部が更に好ましい。
【0066】
第一の層における無機フィラーの配合量は、Bステージ状態における仮固定用樹脂フィルムの取扱い性の向上、及び低熱膨張性の向上の観点から、(a1)熱可塑性樹脂100質量部に対し、300質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましく、100質量部以下が更に好ましい。無機フィラーの含有量の下限は特に制限はなく、熱可塑性樹脂100質量部に対し、5質量部以上であることが好ましい。無機フィラーの含有量を上記範囲とすることにより、第一の層の接着性を充分に確保しつつ、所望の機能を付与することができる傾向にある。
【0067】
有機フィラーとしては、例えば、カーボン、ゴム系フィラー、シリコーン系微粒子、ポリアミド微粒子、ポリイミド微粒子等が挙げられる。
【0068】
第一の層における有機フィラーの配合量は、(a1)熱可塑性樹脂100質量部に対し、300質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましく、100質量部以下が更に好ましい。有機フィラーの含有量の下限は特に制限はなく、熱可塑性樹脂100質量部に対し、5質量部以上であることが好ましい。
【0069】
また、第一の層は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂等の硬化性成分を含有することができる。
【0070】
(第二の層)
第二の層は、第二の熱可塑性樹脂(以下、(b1)熱可塑性樹脂という場合もある。)及び硬化性成分(以下、(b2)硬化性成分という場合もある。)を含むことができる。
【0071】
(b1)熱可塑性樹脂としては、少なくともフィルムが電子部品又は支持体にラミネートされる前において熱可塑性を有している樹脂であれば特に制限なく用いることができる。熱可塑性樹脂は、加熱等により架橋構造を形成する樹脂であってもよい。
【0072】
本実施形態で用いる(b1)熱可塑性樹脂は、上述した(a1)熱可塑性樹脂として挙げたものを用いることができる。第二の層における(b1)熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
(b1)熱可塑性樹脂は、架橋性官能基を有するポリマーを用いることができる。架橋性官能基を有するポリマーとしては、熱可塑性ポリイミド樹脂、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル共重合体、ウレタン樹脂ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。これらのなかでも、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル共重合体が好ましい。
【0074】
架橋性官能基を有するポリマーは、架橋性官能基をポリマー鎖中に有していても、ポリマー鎖末端に有していてもよい。架橋性官能基の具体例としては、エポキシ基、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基等が挙げられ。架橋性官能基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
(b1)熱可塑性樹脂のTgは、-50℃~50℃であることが好ましく、-30℃~20℃であることがより好ましい。Tgがこのような範囲であれば、第二の層のタック力が上がりすぎて取り扱い性が悪化することを抑制しつつ、より充分な流動性を得ることができ、更に硬化後の第二の層の弾性率を適度な範囲に調整しやすくなるため、剥離強度が高くなりすぎることをより抑制できる。
【0076】
(b1)熱可塑性樹脂の重量平均分子量は特に限定されず、好ましくは10万~120万であり、より好ましくは20万~100万である。熱可塑性樹脂の重量平均分子量がこのような範囲であれば、成膜性と流動性とを確保することが容易となる。
【0077】
(b2)硬化性成分としては、特に制限はなく、熱硬化性樹脂が好ましい。
【0078】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。熱硬化性樹脂は、耐熱性、作業性及び信頼性に優れる第二の層が得られる観点から、エポキシ樹脂が好ましい。
【0079】
エポキシ樹脂は、硬化して耐熱作用を有するものであれば特に限定されない。エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ等の二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂などを使用することができる。また、エポキシ樹脂は、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等、一般に知られているものを適用することができる。
【0080】
エポキシ樹脂は、市販品を用いることができる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、三菱化学株式会社製のjERシリーズ(jER807、jER815、jER825、jER827、jER828、jER834、jER1001、jER1004、jER1007、jER1009、「jER」は登録商標)、ダウケミカル社製のDER-330、DER-301、DER-361、株式会社ADEKA製のEP-4000S、EP-4000L、EP-4003S、EP-4010S、及び新日鉄住金化学株式会社製のYD8125、YDF8170等が挙げられる。フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、三菱化学株式会社製のjER152、jER154、日本化薬株式会社製のEPPN-201、ダウケミカル社製のDEN-438等が挙げられる。o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製のEOCN-102S、EOCN-103S、EOCN-104S、EOCN-1012、EOCN-1025、EOCN-1027、新日鉄住金化学株式会社製のYDCN700-3、YDCN700-7、YDCN700-10、YDCN704等が挙げられる。多官能エポキシ樹脂としては、三菱化学株式会社製のjER1031S、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイト0163、ナガセケムテックス株式会社製のデナコールEX-611、EX-614、EX-614B、EX-622、EX-512、EX-521、EX-421、EX-411、EX-321等が挙げられる(「アラルダイト」、「デナコール」は登録商標)。アミン型エポキシ樹脂としては、三菱化学株式会社製のjER604、新日鉄住金化学株式会社製のYH-434、三菱ガス化学株式会社製のTETRAD-X及びTETRAD-C、住友化学株式会社製のELM-120等が挙げられる。複素環含有エポキシ樹脂としては、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイトPT810、ダウケミカル社製のERL4234、ERL4299、ERL4221、ERL4206等が挙げられる。変性エポキシ樹脂としては、三菱化学株式会社製のjERYX7105、jERYX7110、jERYX7400、株式会社ADEKA製のEPR-4030、EPU-73B、EP-49-23等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0081】
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂硬化剤を合わせて使用することが好ましい。
【0082】
エポキシ樹脂硬化剤は、通常用いられている公知の硬化剤を使用することができる。エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、アミン類、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂等が挙げられる。特に、硬化物性、及び保存安定性に優れるという観点から、エポキシ樹脂硬化剤は、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂が好ましい。
【0083】
上記フェノール樹脂硬化剤の中で好ましいものとしては、例えば、DIC株式会社製のフェノライトLF2882、フェノライトLF2822、フェノライトTD-2090、フェノライトTD-2149、フェノライトVH-4150、フェノライトVH4170、明和化成株式会社製のH-1、三井化学株式会社製のミレックスXLシリーズ、ミレックスXLCシリーズ、ミレックスRNシリーズ、ミレックスRSシリーズ、ミレックスVRシリーズ、及びエア・ウォーター株式会社製のHC100シリーズ、HC200シリーズ、HC500シリーズ、HC600シリーズ、HC900シリーズ等が挙げられる(「フェノライト」、「ミレックス」は登録商標)。
【0084】
第二の層における(b2)硬化性成分の配合量は、(b1)熱可塑性樹脂100質量部に対して5~500質量部であり、10~300質量部がより好ましい。硬化性成分の配合量が上記範囲内であれば、仮固定用樹脂フィルムは充分な低温貼り付け性、耐熱性、硬化性及び剥離性を兼ね備えることができる。配合量が5質量部以上であれば支持体への貼付性及び耐熱性が向上するとともに、バックグラインド時の保持性も向上し、ウェハが割れにくい傾向がある。一方、配合量が500質量部以下であれば、硬化前の粘度が過度に低くなりにくく、比較的短時間で硬化できると共に、電子部品の支持体への保持性と支持体からの剥離性を両立できる傾向にある。
【0085】
第二の層は、(b1)熱可塑性樹脂及び(b2)硬化性成分に加え、必要に応じて、シリコーン化合物(以下、(b3)シリコーン化合物という場合もある。)、硬化促進剤(以下、(b4)硬化促進剤という場合もある。)及びその他の成分を含んでいてもよい。
【0086】
(b3)シリコーン化合物は、上述した(a2)シリコーン化合物として挙げたものを用いることができる。第二の層における(b3)シリコーン化合物の配合量は、(b1)熱可塑性樹脂100質量部に対して、0~100質量部が好ましく、0.1~80質量部がより好ましい。(b3)シリコーン化合物の配合量が上記範囲内であれば、電子部品加工時の接着性と加工後の剥離性とを両立させることが可能となる。
【0087】
(b4)硬化促進剤は、上述した(a3)硬化促進剤として挙げたものを用いることができる。第二の層において、(b1)熱可塑性樹脂がエポキシ基を有する(メタ)アクリル共重合体を含む場合、係るアクリル共重合体に含まれるエポキシ基の硬化を促進する硬化促進剤を含有することが好ましい。
【0088】
第二の層における(b4)硬化促進剤の配合量は、(b1)熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01~2.0質量部が好ましい。(b4)硬化促進剤の配合量が(b1)熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01質量部以上であれば、半導体素子の製造工程内の熱履歴において第二の層を充分に硬化させることできるため、電子部品と支持体とをより確実に固定できる。(b4)硬化促進剤の配合量が(b1)熱可塑性樹脂100質量部に対して2.0質量部以下であれば、製造工程中の加熱により仮固定用樹脂フィルムの溶融粘度が上昇しにくくなり、フィルムの保存安定性が更に良好になる傾向がある。
【0089】
その他の成分としては、酸化防止剤、無機フィラー、有機フィラー、シランカップリング剤等が挙げられる。
【0090】
酸化防止剤としては、例えば、ラジカル連鎖防止剤のフェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤、過酸化物分解剤のリン系酸化防止剤及びイオウ系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、仮固定用樹脂フィルムの耐熱性を向上させる目的で添加することができる。酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
第二の層における酸化防止剤の配合量は、Bステージ状態における仮固定用樹脂フィルムの取り扱い性の観点から、(a1)熱可塑性樹脂100質量部に対し、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましく、5質量部以下が更に好ましい。酸化防止剤の含有量の下限は特に制限はなく、(a1)熱可塑性樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上であることが好ましい。酸化防止剤の含有量を上記範囲とすることにより、Cステージ状態における仮固定用樹脂フィルムの耐熱性を向上させることができる。
【0092】
無機フィラーは上述したものを用いることができる。第二の層における無機フィラーの配合量は、Bステージ状態における仮固定用樹脂フィルムの取扱い性の向上、低熱膨張性の向上の観点から、(b1)熱可塑性樹脂100質量部に対し、300質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましく、100質量部以下が更に好ましい。無機フィラーの含有量の下限は特に制限はなく、(b1)熱可塑性樹脂100質量部に対し、5質量部以上であることが好ましい。無機フィラーの含有量を上記範囲とすることにより、第二の層の接着性を充分に確保しつつ、所望の機能を付与することができる。
【0093】
有機フィラーは上述したものを用いることができる。第二の層における有機フィラーの配合量は、(b1)熱可塑性樹脂100質量部に対し、300質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましく、100質量部以下が更に好ましい。有機フィラーの含有量の下限は特に制限はなく、熱可塑性樹脂100質量部に対し、5質量部以上であることが好ましい。
【0094】
(第一の層及び第二の層の特性)
第一の層21の厚さXは、特に限定されず、半導体素子等の電子部品の表面の凹凸を充分に埋め込むとともに充分な剥離性を確保するという観点から、乾燥後の厚さで、半導体素子等の電子部品の表面の凹凸の高さ、例えば、接続端子が設けられた半導体ウェハ若しくは素子の接続端子の高さTよりも小さいことが好ましい。また、第一の層21の厚さXは、5~350μmであることが好ましい。厚さが5μm以上であれば、製膜時の厚さのバラツキが少なくなり、また、厚さが充分であるため製膜フィルム又はフィルムの硬化物の強度が良好になり、半導体素子等の電子部品の表面の凹凸をより充分に埋め込むことができる。厚さが350μm以下であれば、第二の層22と貼り合わせる際につぶれにくくいため、第一の層の厚さのバラツキが生じにくく、また、充分な乾燥により第一の層中の残留溶剤量を低減することが容易となり、第一の層の硬化物を加熱したときの発泡を更に少なくできる。
【0095】
第二の層22の厚さYは、特に限定されず、電子部品と搬送用の支持体とを充分に固定するという観点から、10~350μmであることが好ましい。厚さが10μm以上であれば、塗工時の厚さのバラツキが少なくなり、また、厚さが充分であるためフィルム又はフィルムの硬化物の強度が良好になり、電子部品と搬送用の支持体とをより充分に固定することができる。厚さが350μm以下であれば、第一の層21と貼り合わせる際につぶれにくいため、第二の層の厚さのバラツキが生じにくく、また、充分な乾燥により第二の層中の残留溶剤量を低減することが容易となり、第二の層の硬化物を加熱したときの発泡を更に少なくできる。
【0096】
本実施形態において、第一の層21と第二の層22との厚さの比率は、式(1)の関係を満たすことが好ましい。
(1/10)X≦Y≦10X・・・(1)
式中、Xは第一の層21の厚さを示し、Yは第二の層22の厚さを示す。
【0097】
第一の層21及び第二の層22の厚さの比率が上記範囲内であれば、仮固定用樹脂フィルムに半導体素子等の電子部品の表面の凹凸を充分に埋め込むことができ、電子部品と搬送用の支持体とを充分に固定することができる傾向にある。
【0098】
第一の層21は、硬化前のずり粘度が120℃において10000Pa・s以下であることが好ましく、8000Pa・s以下であることがより好ましい。120℃におけるずり粘度が10000Pa・s以下であれば、例えば、70~150℃、5~15mbarの条件下で、0.02~0.5MPaの圧力を1~5分加圧した際に、充分な流動性を得ることができるため、凹凸を有する電子部品(例えば、接続端子を有する半導体ウェハ若しくは素子)の埋め込み性に一層優れ、空隙を生じさせることなく電子部品へ圧着することがより容易となる。120℃におけるずり粘度は、100Pa・s以上であってもよい。
【0099】
第二の層22は、フィルムの取扱い性又は支持体への貼り付け性の観点から、硬化前のずり粘度が120℃において200~30000Pa・sであることが好ましく、400~27000Pa・sであることがより好ましい。ずり粘度が200Pa・s以上であればフィルムの取り扱い性がより向上し、30000Pa・s以下であれば充分な貼付性が得られやすい。
【0100】
上記ずり粘度は、ARES(レオメトリック・サイエンティフィック社製)を用い、仮固定用樹脂フィルムに5%の歪みを与えながら20℃/分の昇温速度で昇温させながら測定した場合の測定値を意味する。
【0101】
第一の層21は、硬化した後の貯蔵弾性率が25℃において0.01~1000MPaが好ましく、0.1~500MPaがより好ましい。25℃における貯蔵弾性率が0.01MPa以上であれば剥離工程時に電子部品に糊残りが発生しにくく、25℃における貯蔵弾性率が1000MPa以下であれば剥離工程時にバンプ等の凹凸を有する電子部品(例えば、接続端子を有する半導体ウェハ若しくは素子)からバンプ等の凹凸を破壊しにくい。
【0102】
第二の層22は、硬化した後の貯蔵弾性率が25℃において1MPa以上が好ましく、10MPa以上がより好ましい。25℃における貯蔵弾性率が1MPa以上であれば、電子部品を薄化する際に電子部品と支持体とを充分に固定することができる傾向にある。硬化した後の貯蔵弾性率は、25℃において10000MPa以下であってもよく、5000MPa以下であってもよい。
【0103】
第一の層21の硬化した後の貯蔵弾性率と第二の層22の硬化した後の貯蔵弾性率との関係は、第一の層21の硬化した後の貯蔵弾性率よりも第二の層22の硬化した後の貯蔵弾性率の方が大きいことが好ましい。硬化した後の貯蔵弾性率がこのような関係であれば、剥離工程時に電子部品に糊残りが発生する可能性を更に低減し、電子部品上のバンプ等の凹凸の破壊を一層防止することができ、更に電子部品を薄化する際に電子部品と支持体とをより強固に固定することができる。
【0104】
貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置((株)UBM社製)を用い、3℃/分の昇温速度で昇温させながら測定した場合の測定値を意味する。
【0105】
第一の層21は、シリコンウェハ等の電子部品に対する30°剥離強度が25℃において500N/m以下であることが好ましく、450N/m以下であることがより好ましい。30°剥離強度が500N/m以下であれば、更に糊残りなく、第一の層と電子部品とを剥離することができ、剥離時に電子部品が割れる可能性を低減できる傾向にある。30°剥離強度は、10N/m以上であってもよい。
【0106】
30°剥離強度は以下のように測定できる。厚さ625μmシリコンミラーウェハ(6インチ)表面に、ブレードダイシングにより幅40μm、深さ40μmの溝を100μm間隔で作製する。このようにして作製した段差付きシリコンミラーウェハの段差が上面となるように真空ラミネーター((株)エヌ・ピー・シー製、LM-50X50-S)のステージ上に置き、本実施形態に係る仮固定用樹脂フィルムを、第一の層が段差付きシリコンミラーウェハ側に貼り付くように設置する。これを15mbarの条件下で、120℃の温度、0.1MPaの圧力で2分間加熱加圧し、真空ラミネートして測定用サンプルとする。得られた測定用サンプルを硬化させ、10mm幅に切り出す。これを、剥離角度が30°となるように設定した剥離試験機により、300mm/分の速度で剥離試験を実施し、そのときの剥離強度を30°剥離強度とする。
【0107】
第二の層22は、支持体、例えばシリコンミラーウェハに対する90°剥離強度が25℃において5~300N/mであることが好ましく、6~250N/mであることがより好ましい。90°剥離強度が上記範囲内であれば、更に糊残りなく、第二の層と支持体とを剥離することができる。90°剥離強度が5N/m以上であれば研削加工工程で電子部品と支持体とをより強固に固定することができ、300N/m以下であれば、支持体から仮固定用樹脂フィルムを剥離する際に第二の層と支持体との間で糊残り無く剥離することができ、支持体上にフィルムが残る可能性を更に低減できる。
【0108】
90°剥離強度は以下のように測定できる。厚さ625μmシリコンミラーウェハ(6インチ)を真空ラミネーター((株)エヌ・ピー・シー製、LM-50X50-S)のステージ上に置き、本実施形態に係る仮固定用樹脂フィルムを第二の層がシリコンミラーウェハ側に貼り付くように設置する。これを15mbarの条件下で、120℃の温度、0.1MPaの圧力で2分間加熱加圧し、真空ラミネートして測定用サンプルとする。得られた測定用サンプルを硬化させ、10mm幅に切り出す。これを、剥離角度が90°となるように設定した剥離試験機により、300mm/分の速度で剥離試験を実施し、そのときの剥離強度を90°剥離強度とする。
【0109】
以上説明したような構成の仮固定用樹脂フィルムを用いると、電子部品の加工を高温において良好に行うことができるとともに、加工後の電子部品及び支持体から室温であっても容易に剥離が可能となり、電子部品及び支持体への糊残りを防止することができる。
【0110】
[仮固定用樹脂フィルムの製造方法]
本実施形態に係る仮固定用樹脂フィルムシート1は、例えば、図2に示す第一の樹脂シート2と図3に示す第二の樹脂シート3とから製造することができる。
【0111】
図2(A)は、第一の樹脂シートの一実施形態を示す上面図であり、図2(B)は図2(A)のII-II線に沿った模式断面図である。
【0112】
図2に示す第一の樹脂シート2は、離型性を有する支持フィルム10と、支持フィルム10上に設けられた第一の層21と、第一の層21の支持フィルム10とは反対側に設けられた保護フィルム30とを備える。
【0113】
図3(A)は、第二の樹脂シートの一実施形態を示す上面図であり、図3(B)は図3(A)のIII-III線に沿った模式断面図である。
【0114】
図3に示す第二の樹脂シート3は、離型性を有する支持フィルム10と、支持フィルム10上に設けられた第二の層22と、第二の層22の支持フィルム10とは反対側に設けられた保護フィルム30とを備える。
【0115】
仮固定用樹脂フィルムシート1は、例えば、第一の樹脂シート2及び第二の樹脂シート3から保護フィルム30を剥離し、第一の層21面と第二の層22面同士を、60~120℃でロールラミネート等により貼り合わせることで製造することができる。
【0116】
本実施形態に係る第一の層21及び第二の層22はそれぞれ、上述した成分を有機溶媒中で混合及び混練してワニスを調製し、作製したワニスを支持フィルム10上に塗布して乾燥する方法により形成することができる。こうして、支持フィルム10上に第一の層21又は第二の層22を備えた樹脂シート2、3がそれぞれ製造される。
【0117】
有機溶剤は特に限定されず、製膜時の揮発性等を沸点から考慮して決めることができる。具体的には、製膜時にフィルムの硬化を進みにくくする観点から、メタノール、エタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン等の比較的低沸点の溶剤が好ましい。また、製膜性を向上させる等の目的では、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、シクロヘキサノンの比較的高沸点の溶剤を使用することが好ましい。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ワニスにおける固形分濃度は、10~80質量%であることが好ましい。
【0118】
上記の混合及び混練は、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を用い、これらを適宜組み合わせて行うことができる。上記の加熱乾燥は、使用した溶媒が充分に揮散する条件であれば特に制限はなく、通常60℃~200℃で、0.1~90分間加熱して行うことができる。
【0119】
支持フィルム10上に設けられた第一の層21又は第二の層22は、必要に応じて保護フィルム30を貼り付けることができる。この場合、上述した、支持フィルム10と、第一の層21又は第二の層22と、保護フィルム30とからなる3層構造を有する第一の樹脂シート2又は第二の樹脂シート3を得ることができる。
【0120】
保護フィルム30としては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられる。保護フィルム30は、柔軟性及び強靭性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン又はポリプロピレンが好ましい。また、仮固定用樹脂フィルム(第一の層及び第二の層)との剥離性向上の観点から、シリコーン系化合物、フッ素系化合物等により離型処理が施されたフィルムを保護フィルム30として用いることが好ましい。
【0121】
保護フィルム30の厚さは、目的とする柔軟性により適宜設定することができ、例えば、10~350μmであることが好ましい。厚さが10μm以上であればフィルム強度がより良好になり、350μm以下であれば更なる柔軟性が得られる。このような観点から、保護フィルム30の厚さは、15~200μmであることがより好ましく、20~150μmであることが更に好ましい。
【0122】
このようにして得られた第一の樹脂シート2又は第二の樹脂シート3は、例えばロール状に巻き取ることによって容易に保存することができる。また、ロール状のフィルムを好適なサイズに切り出して、シート状にして保存することもできる。また、これらのフィルムを貼り合わせて得られる本実施形態の仮固定用樹脂フィルムシート1も、同様にロール状に巻き取ることによって容易に保存することができる。
【0123】
本発明に係る仮固定用樹脂フィルムシートの他の実施形態としては、図4に示すものがある。図4に示す仮固定用樹脂フィルムシート4は、仮固定する部材の形状に合わせて仮固定用樹脂フィルム20及び第二の層22側の支持フィルム10が予め裁断されていること以外は、仮固定用樹脂フィルムシート1と同様の構成を有する。なお、図4では、裁断された仮固定用樹脂フィルム20及び支持フィルム10の外縁部が除去されているが、仮固定する部材の形状に合わせて仮固定用樹脂フィルム及び支持フィルムに切れ込みが設けられ、外縁部が残されていてもよい。
【0124】
また、その他の実施形態としては、第一の樹脂シート2と第二の樹脂シート3とを備えた樹脂フィルムセットが挙げられる。本実施形態の樹脂フィルムセットによれば、使用時(電子部品を加工する際)に、これらの樹脂シートの第一の層及び第二の層を貼り合わせて仮固定用樹脂フィルムとして用いることができる。
【0125】
[電子部品の加工方法]
本実施形態に係る仮固定用樹脂フィルムを用いた電子部品の加工方法は、大きく分けて以下の4工程を備える。(a)電子部品と支持体とを仮固定用樹脂フィルムを介して仮固定する工程と、(b)支持体に仮固定された電子部品を加工する加工工程と、(c)加工された電子部品を支持体及び仮固定用樹脂フィルムから分離する分離工程と、(d)電子部品に残渣がある場合に洗浄する洗浄工程とを備える。
【0126】
図5(A)、図5(B)及び図5(C)は、電子部品の加工方法の一実施形態を説明するための模式断面図であり、図5(D)は、加工後の電子部品を示す上面図である。本実施形態では、電子部品として、一方の主面に接続端子62が設けられている半導体ウェハ60が被加工体である場合を示す。接続端子としては、特に制限はないが、銅、金、種々のハンダ等が挙げられる。なお、他の電子部品としては、一方の主面に接続端子が設けられている半導体素子、半導体パッケージ、小型モーター等が挙げられる。電子部品の材質は特に制限されず、シリコンウェハ、ガラスウェハ、石英ウェハ、半導体ウェハ、有機基板、封止体等の基板が使用可能である。
【0127】
加工する半導体ウェハ60の厚さは、特に制限はないが、100~800μmとすることができる。接続端子の高さは、3~300μmとすることができる。
【0128】
<(a)仮固定工程>
図5の(A)は、支持体50及び半導体ウェハ60の間に、第一の層41及び第二の層42の2層構成を有する本実施形態の仮固定用樹脂フィルム40を介在させ、支持体50に半導体ウェハ60を仮固定する工程を示す。この際、半導体ウェハ60の接続端子62が設けられている側に第一の層41が、支持体50側に第二の層42が接触するように、仮固定用樹脂フィルム40を配置する。
【0129】
(a-1)支持体50上への仮固定用樹脂フィルム40の形成
ロールラミネーター、真空ラミネーターなどを用いて、支持体50上に仮固定用樹脂フィルム20の第二の層22側をラミネートすることにより仮固定用樹脂フィルム40を設けることができる。
【0130】
本実施形態の支持体の材質は特に制限されず、シリコンウェハ、ガラスウェハ、石英ウェハ、SUS板、有機基板等の基板が使用可能である。
【0131】
支持体には剥離処理を行ってもよく、図5(A)のように支持体50表面の全部、又は一部を剥離処理することで、剥離層52を形成することができる。剥離処理に使用される剥離剤は特に限定されず、例えば、フッ素元素を有する表面改質剤、ポリオレフィン系ワックス及びシリコーンオイル、反応性基を含有するシリコーンオイル、シリコーン変性アルキド樹脂が剥離性に優れるため好ましい。
【0132】
(a-2)半導体ウェハ60の貼り付け
次に、ウェハ接合装置又は真空ラミネーター上に、仮固定用樹脂フィルム40を形成した支持体50をセットし、第一の層41側に半導体ウェハ60をプレスで押圧して貼り付ける。
【0133】
ウェハ接合装置を用いる場合は、例えばEVG社製真空プレス機EVG520IS(商品名)を用いて、気圧1hPa以下、圧着圧力1MPa、圧着温度60℃~200℃、保持時間100秒~300秒で、半導体ウェハ60と支持体50とを仮固定用樹脂フィルム40を介して仮固定することができる。
【0134】
真空ラミネーターを用いる場合は、例えば株式会社エヌ・ピー・シー製真空ラミネーターLM-50×50-S(商品名)、ニチゴーモートン株式会社製真空ラミネーターV130(商品名)を用いることができる。押圧条件は、気圧1hPa以下、圧着温度40℃~180℃、好ましくは60℃~150℃、ラミネート圧力0.01~0.5MPa、好ましくは0.1~0.5MPa、保持時間1秒~600秒、好ましくは30秒~300秒で、半導体ウェハ60と支持体50とを仮固定用樹脂フィルム40を介して仮固定することができる。
【0135】
本実施形態の仮固定工程においては、第一の層の厚さXが接続端子62の高さTよりも小さい本実施形態の仮固定用樹脂フィルムを用意し、半導体ウェハと貼り合わせた仮固定用樹脂フィルム40において、第二の層42と接続端子62との間に第一の層41を介在させる。
【0136】
図8は、仮固定用樹脂フィルム40が半導体ウェハ60の接続端子62を埋め込んだ際の断面図であり、(A)は本実施形態の条件を満足する状態を示す。図8(A)に示されるように、接続端子62と第二の層42との間に厚さaの第一の層41が介在している。
【0137】
接続端子62と第二の層42とを接触させないことにより、第一の層41を剥離特性に優れる組成とすることで加工後の半導体ウェハ及び支持体から仮固定材を容易に剥離することができる。また、接続端子の高さTよりも厚さが小さい第一の層41と硬化性成分を含み高弾性化が可能な第二の層42とを図8(A)に示されるように半導体ウェハに貼り合わせることで、加工時に必要な物性(例えば、弾性率)を発現できる第二の層42が接続端子間に食い込んだ構造を設けることができ、半導体ウェハ60と支持体50とを充分に固定できるとともに、バックグラインド工程等の外部応力の加わる工程での仮固定材の変形及び剥離を充分抑制することができる。さらに、第一の層及び第二の層の界面が接続端子62の凹凸に対応して波状に成形されることにより、アンカー効果が増加して界面剥離等の発生が充分抑制され、剥離時に仮固定材の破断残りの発生を充分に防止することもできる。
【0138】
本実施形態において、段差埋め込み性及び剥離特性をさらに向上させる観点から、用意する仮固定用樹脂フィルムの第一の層の厚さXが、0.3T以上であることが好ましく、0.4T以上であることがより好ましく、0.5T以上であることがさらに好ましい。また、接続端子間に食い込む第二の層によるアンカー効果を増加させ、加工をさらに容易にできる観点から、用意する仮固定用樹脂フィルムの第一の層の厚さXが、1.0T未満であることが好ましく、0.9T以下であることがより好ましい。
【0139】
接続端子間に食い込む第二の層によるアンカー効果を増加させ、加工をさらに容易にできる観点から、半導体ウェハの接続端子62が設けられている主面S1と、第二の層との最短距離(図8の(A)におけるb)が0.1T以上1.0T未満であることが好ましく、0.2T以上0.9T以下であることがより好ましい。
【0140】
また、段差からの剥離特性をさらに向上させる観点から、接続端子62と第二の層42との間に介在する第一の層41の厚さa、即ち、接続端子62と第二の層42との最短距離が、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましい。
【0141】
(a-3)仮固定用樹脂フィルムの硬化
半導体ウェハ60と支持体50とを仮固定用樹脂フィルム40を介して仮固定した後、仮固定用樹脂フィルム40の硬化を行う。硬化方法はフィルムが硬化されれば特に制限されなく、熱又は放射線照射による方法がある。硬化方法としては、中でも、熱による硬化が好ましい。熱による硬化をする場合、硬化条件は、100~200℃で10~300分の硬化が好ましく、20~210分の硬化がより好ましい。温度が100℃以上であればフィルムが充分に硬化して加工工程で問題が起きにくく、200℃以下であればフィルムの硬化中にアウトガスが発生しにくく、フィルムの剥離を更に抑制できる。また、硬化時間が10分以上であれば加工工程で問題が起きにくく、300分以下であれば作業効率が悪化しにくい。仮固定用樹脂フィルム40は硬化することで、硬化した第一の層71と硬化した第二の層72を備える仮固定材70になる。
【0142】
<(b)加工工程>
加工工程には、ウェハレベルで用いられる研削、電極形成、金属配線形成、保護膜形成等が含まれる。研削方式には特に制限はなく、公知の研削方式が利用できる。研削は電子部品と砥石(ダイヤモンド等)とに水をかけて冷却しながら行うことが好ましい。
【0143】
例えば、図5(B)に示すように、グラインダー85によって半導体ウェハ80の裏面、即ち半導体ウェハ80の仮固定材70と接する側とは反対側の面を研削し、例えば700μm程度の厚さを100μm以下にまで薄化する。
【0144】
研削加工する装置としては、例えばDISCO株式会社製DGP-8761(商品名)等が挙げられ、この場合の切削条件は所望の電子部品の厚さ及び研削状態に応じて任意に選ぶことができる。
【0145】
その他の工程は具体的には、電極等の形成のための金属スパッタリング、金属スパッタリング層をエッチングするウェットエッチング、金属配線形成のマスクするためのレジストの塗布、露光・現像によるパターンの形成、レジストの剥離、ドライエッチング、金属めっきの形成、TSV形成のためのシリコンエッチング、シリコン表面の酸化膜形成等、公知のプロセスが挙げられる。
【0146】
図5(C)は、薄化した半導体ウェハ80の裏面側にドライイオンエッチング又はボッシュプロセス等の加工を行い、貫通孔を形成した後、銅めっき等の処理を行い、貫通電極82を形成した例を示している。
【0147】
こうして半導体ウェハ80に所定の加工が施される。図5(D)は、加工後の半導体ウェハ80の上面図である。加工された半導体ウェハ80は、更にダイシングライン84に沿ったダイシングによって半導体素子に個片化される。
【0148】
<(c)分離工程>
図6は、加工された半導体ウェハを支持体及び仮固定材から分離する分離工程の一実施形態を説明するための模式断面図である。本実施形態に係る分離工程は、支持体から半導体ウェハ及び仮固定材を剥離する第一の剥離工程と、半導体ウェハからフィルム状の仮固定材を剥離する第二の剥離工程と、を含むことができる。第一の剥離工程は、加工工程で加工を施した半導体ウェハを支持体から剥離する工程、即ち、薄型化した半導体ウェハに様々な加工を施した後、ダイシングする前に支持体から剥離する工程である。剥離方法としては、半導体ウェハ又は支持体の一方を水平に固定しておき、他方を水平方向から一定の角度を付けて持ち上げる方法、及び、半導体ウェハの研削面に保護フィルムを貼り、半導体ウェハと保護フィルムとをピール方式で支持体から剥離する方法等が挙げられ、特に制限なく採用することができる。
【0149】
本実施形態には、これらの剥離方法がすべて適用可能である。剥離方法としては、中でも、図6(A)に示されるように、半導体ウェハ80又は支持体50の一方を水平に固定しておき、他方を水平方向から一定の角度を付けて持ち上げる方法等がより適しており、支持体を回収することができる。第二の剥離工程では、例えば、図6(B)に示されるように、剥離された半導体ウェハ及び仮固定材をダイシングテープ90上に移して半導体ウェハ80を水平に固定しておき、フィルム状の仮固定材70の端を水平方向から一定の角度をつけて持ち上げることで、仮固定材が剥離された半導体ウェハ80を得ることができる(図6(C)を参照)。本実施形態においては、本実施形態に係る仮固定用樹脂フィルムを用いてフィルム状の仮固定材が形成されていることにより、糊残りなどの残渣が充分低減された加工済み半導体ウェハを容易に得ることができる。これらの剥離方法は、通常、室温で実施されるが、40~100℃程度の電子部品にダメージのない温度下で実施してもよい。機械的に分解する際は、例えばデボンダー(SUSS株式会社製、DB12T)、De-Bonding装置(EVG社製、EVG805EZD)等を用いる。
【0150】
<(d)洗浄工程>
電子部品の回路形成面は仮固定材の一部が残存しやすい。剥離した電子部品の回路形成面に仮固定材が一部残存した場合、これを除去するための洗浄工程を設けることができる。仮固定材の除去は、例えば、電子部品を洗浄することにより行うことができる。
【0151】
洗浄液は、一部残存した仮固定用樹脂フィルムを除去できるような洗浄液であれば、特に制限はない。このような洗浄液としては、例えば、仮固定用樹脂フィルム組成物の希釈に用いることができる上記有機溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0152】
また、残存した仮固定用樹脂フィルムが除去しにくい場合は、有機溶剤に塩基類、酸類を添加してもよい。塩基類の例としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、アンモニア等のアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアンモニウム塩類が使用可能である。酸類は、酢酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の有機酸が使用可能である。添加量は、洗浄液中濃度で0.01~10質量%が好ましい。また、洗浄液には、残存物の除去性を向上させるため既存の界面活性剤を添加してもよい。
【0153】
洗浄方法に特に制限はなく、例えば、上記洗浄液を用いてパドルでの洗浄を行う方法、スプレー噴霧での洗浄方法、洗浄液槽に浸漬する方法が挙げられる。温度は10~80℃、好ましくは15~65℃が好適であり、最終的に水洗又はアルコール洗浄を行い、乾燥処理させて、薄型の半導体ウェハ80が得られる。
【0154】
なお、上述したように、本実施形態に係る仮固定用樹脂フィルム組成物によれば、糊残り等の残渣を充分に低減することができるため、洗浄工程を省略することが可能となる。
【0155】
貫通電極82が形成された半導体ウェハ80は、更にダイシングライン84に沿ったダイシングによって半導体素子に個片化される(図6(D)参照)。
【0156】
[半導体装置の製造方法]
本実施形態においては、上記の本実施形態に係る加工方法で得られた半導体素子を他の半導体素子又は半導体素子搭載用基板に接続することにより半導体装置を製造することができる。
【0157】
図7は、本実施形態の半導体装置の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。まず、上述した方法により、貫通電極86が形成され、個片化された半導体素子100を用意する(図7(A))。そして、半導体素子100を配線基板110上に複数積層することにより電子機器装置120を得ることができる(図7(B))。
【0158】
以上、本発明に係る仮固定用樹脂フィルム、仮固定用樹脂フィルムを用いる半導体ウェハの加工方法、当該加工方法を備える半導体装置の製造方法の好適な実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を行ってもよい。すなわち、本発明に係る仮固定用樹脂フィルム、それを用いる加工方法及び半導体装置の製造方法は、種々の電子部品の加工に適用して電子機器装置の製造方法に利用することができる。
【実施例
【0159】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0160】
[熱可塑性樹脂の合成]
(Resin A)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えた500ccのセパラブルフラスコ内に、脱イオン水200g、アクリル酸ブチル70g、メタクリル酸メチル10g、2-ヒドロキシエチルメタクリレート10g、グリシジルメタクリレート10g、1.8%ポリビニルアルコール水溶液1.94g、ラウリルパーオキサイド0.2g、及びn-オクチルメルカプタン0.06gを配合した。続いて、フラスコに60分間Nガスを吹き込んで系内の空気を除去した後、系内温度を65℃に昇温して5時間重合を行った。更に、系内温度を90℃に昇温して2時間攪拌を続け重合を完結させた。重合反応により得られた透明のビーズをろ過により分離し、脱イオン水で洗浄した後、真空乾燥機で50℃6時間乾燥させ、熱可塑性樹脂としてResin Aを得た。
【0161】
Resin AをGPCで測定したところ、Resin Aの重量平均分子量はポリスチレン換算で40万であった。また、Resin AのTgは-28℃であった。
【0162】
GPCの測定は、GPC(東ソー株式会社製、SD-8022/DP-8020/RI-8020)を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、カラムとして日立化成株式会社製Gelpack GL-A150-S/GL-A160-Sを使用し、溶離液流量1.0mL/分、カラム温度40℃の条件で行った。
【0163】
(Resin B)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えた500ccのセパラブルフラスコ内に、脱イオン水200g、アクリル酸ブチル60g、メタクリル酸メチル10g、2-ヒドロキシエチルメタクリレート10g、グリシジルメタクリレート20g、1.8%ポリビニルアルコール水溶液1.94g、ラウリルパーオキサイド0.2g、及びn-オクチルメルカプタン0.06gを配合した。続いて、フラスコに60分間Nガスを吹き込んで系内の空気を除去した後、系内温度を65℃に昇温して5時間重合を行った。更に、系内温度を90℃に昇温して2時間攪拌を続け重合を完結させた。重合反応により得られた透明のビーズをろ過により分離し、脱イオン水で洗浄した後、真空乾燥機で50℃6時間乾燥させ、熱可塑性樹脂としてResin Bを得た。
【0164】
Resin BをGPCで測定したところ、Resin Bの重量平均分子量はポリスチレン換算で40万であった。また、Resin BのTgは-20℃であった。
【0165】
[樹脂組成物の調製]
(P1及びP2、L1及びL2)
表1及び2に示す組成で、第一の層を形成するための第一の層形成用樹脂組成物P1及びP2、並びに、第二の層を形成するための第二の層形成用樹脂組成物L1及びL2をそれぞれ調製した。
【0166】
【表1】
【0167】
【表2】
【0168】
表1及び2中の各成分の詳細は以下のとおりである。
HTR-860P-3CSP:GPCによる重量平均分子量80万、Tg12℃のアクリルゴム(ナガセケムテックス株式会社製)
HTR-280-CHN:GPCによる重量平均分子量90万、Tg-28℃のアクリルゴム(ナガセケムテックス株式会社製)
Resin A:上記で調製したGPCによる重量平均分子量40万、Tg-28℃のアクリルゴム
Resin B:上記で調製したGPCによる重量平均分子量40万、Tg-20℃のアクリルゴム
YDCN-700-10:クレゾールノボラック型多官能エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製)
EXA-830CRP:ビスフェノールF型2官能エポキシ樹脂(DIC株式会社製)
HE100C-30:フェノールアラルキル樹脂(エアー・ウォーター株式会社製)
SH3773M:ポリエーテル変性シリコーン化合物(東レ・ダウケミカル株式会社製)
TA31-209E:シリコーン変性アルキド樹脂(日立化成ポリマー株式会社製)
2PZ-CN:イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製)
【0169】
[仮固定用樹脂フィルムの調製]
(実施例1~9、比較例1~4)
上記で得られた第一の層形成用樹脂組成物及び第二の層形成用樹脂組成物を、表3又は表4に示される組み合わせで用い、以下の手順で第一の樹脂シート及び第二の樹脂シートを作製した。
【0170】
支持フィルムとして離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、A31、厚さ38μm)の離型処理面上に、第一の層形成用樹脂組成物又は第二の層形成用樹脂組成物を、乾燥後の厚さが表3又は表4に示される厚さとなるように塗布し、90℃で5分間、130℃で5分間加熱乾燥した。その後、形成された樹脂層上に上記と同じフィルムを保護フィルムとして更に貼り合わせ、支持フィルム/第一の層/保護フィルムの構成を有する第一の樹脂シート、及び、支持フィルム/第二の層/保護フィルムの構成を有する第二の樹脂シートをそれぞれ得た。
【0171】
次に、それぞれの樹脂シートから保護フィルムを剥離し、第一の層及び第二の層を60℃でロールラミネートにより貼り合せ、仮固定用樹脂フィルムをそれぞれ得た。
【0172】
【表3】
【0173】
【表4】
【0174】
実施例及び比較例の仮固定用樹脂フィルムについて、段差埋込後の断面形状、硬化後の200℃耐熱性、貯蔵弾性率、第一の層の30°剥離強度、及び第二の層の90°剥離強度、並びに、プロセス適合性の評価として、段差埋込性、バックグラインド性、200℃耐熱性、及び剥離性を、以下に示す方法にしたがって評価した。その評価結果を表5及び6に示す。
【0175】
[段差埋込後の断面形状]
仮固定用樹脂フィルムの段差埋込後の断面形状を下記の方法により評価した。50mm×50mmにカットした厚さ650μmシリコンミラーウェハ表面に、仮固定用樹脂フィルムの第二の層側を80℃でロールラミネートにて貼り合せ、仮固定用樹脂フィルム付きウェハを得た。
【0176】
次に、表3又は表4に示される高さ及びピッチを有する接続端子が設けられた10mm×10mmのシリコンウェハのチップを用意した。この接続端子付きシリコンウェハの接続端子が設けられている面が上面となるように真空ラミネーター((株)エヌ・ピー・シー製、LM-50X50-S)のステージ上に置き、上記で作製した仮固定用樹脂フィルム付きウェハの仮固定用樹脂フィルム面を下にして、仮固定用樹脂フィルムの第一の層が接続端子付きシリコンウェハ側に貼り付くように設置した。これを、15mbarの条件下で、120℃の温度、0.1MPaの圧力で2分間加熱加圧し、真空ラミネートした。
【0177】
真空ラミネートしたサンプルを130℃で30分間加熱し、続いて170℃で2時間加熱し硬化した。硬化サンプルをエポキシ樹脂注型し、注型樹脂を硬化させた後に研磨によって断面を露出させ、デジタルマイクロスコープ((株)エーエンス製、VHX-5000)にて仮固定材断面を観察した。仮固定材断面から、凸部と第二の層との距離(図8の(A)におけるa)及び半導体ウェハの凹部が設けられている主面と第二の層との最短距離(図8の(A)におけるb)を測定した。
【0178】
[200℃耐熱性]
仮固定用樹脂フィルムの200℃での耐熱性を下記の方法により評価した。厚さ650μmシリコンミラーウェハ(8インチ)をブレードダイシングにより25mm角に小片化した。小片化したシリコンミラーウェハ表面に、仮固定用樹脂フィルムの第二の層側が貼り付くように80℃でロールラミネートした。次に、厚さが0.1~0.2mmで大きさが約18mm角のスライドガラスを、仮固定用樹脂フィルムの第一の層側に80℃でロールラミネートし、仮固定用樹脂フィルムがシリコンウェハ及びスライドガラスで挟まれた積層体サンプルを作製した。得られたサンプルを130℃で30分間加熱し、続いて170℃で1時間加熱して仮固定用樹脂フィルムを硬化させ、その後、200℃で30分間加熱した。このようにして得られたサンプルをスライドガラス面から観察し、画像をPhotoshop(登録商標)等のソフトウェアで解析し、仮固定用樹脂フィルム全体の面積に占めるボイドの割合から200℃での耐熱性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:ボイドの割合が5%未満。
×:ボイドの割合が5%以上。
【0179】
[貯蔵弾性率]
仮固定用樹脂フィルムにおける第一の層及び第二の層について、硬化後の貯蔵弾性率を下記の方法により評価した。第一の層又は第二の層を厚さ150~300μmとなるように80℃でラミネートした。これを130℃で30分間加熱し、続いて170℃で2時間加熱して仮固定用樹脂フィルムを硬化させた。このようにして得られたサンプルを厚さ方向に4mm幅、長さ33mmに切り出した。切り出した測定用単層フィルムを動的粘弾性装置(製品名:Rheogel-E4000、(株)UMB製)にセットし、引張り荷重をかけて、周波数10Hz、昇温速度3℃/分で測定し、25℃での貯蔵弾性率を測定した。
【0180】
[30°剥離強度]
シリコンウェハ及び仮固定用樹脂フィルム(第一の層)の間の30°剥離強度を下記の方法により評価した。厚さ650μmシリコンミラーウェハ(6インチ)表面に、ブレードダイシングにより幅40μm、深さ40μmの溝を100μm間隔で作製した。このようにして作製した段差付きシリコンミラーウェハの段差が上面となるように真空ラミネーター((株)エヌ・ピー・シー製、LM-50X50-S)のステージ上に置き、仮固定用樹脂フィルムを第一の層が段差付きシリコンミラーウェハ側に貼り付くように設置し、15mbarの条件下で、120℃の温度、0.1MPaの圧力で2分間加熱加圧し、真空ラミネートした。得られたサンプルを130℃で30分間加熱し、続いて170℃で2時間加熱して硬化させた。これを更に200℃で30分間加熱した後、10mm幅に切り出し、測定用フィルムとした。測定用フィルムを、剥離角度が30°となるように設定した剥離試験機で300mm/分の速度で剥離試験を実施し、そのときの剥離強度を30°剥離強度とした。
【0181】
[90°剥離強度]
シリコンミラーウェハ及び仮固定用樹脂フィルム(第二の層)の間の90°剥離強度を下記の方法により評価した。厚さ650μmシリコンミラーウェハ(8インチ)を真空ラミネーター((株)エヌ・ピー・シー製、LM-50X50-S)のステージ上に置き、仮固定用樹脂フィルムを第二の層がシリコンミラーウェハ側に貼り付くように設置し、15mbarの条件下で、120℃の温度、0.1MPaの圧力で2分間加熱加圧し、真空ラミネートした。得られたサンプルを130℃で30分間加熱し、続いて170℃で2時間加熱して硬化させた。これを更に200℃で30分間加熱した後、10mm幅に切り出し、測定用フィルムとした。測定用フィルムを、剥離角度が90°となるように設定した剥離試験機で300mm/分の速度で剥離試験を実施し、そのときの剥離強度を90°剥離強度とした。
【0182】
<プロセス適合性の評価>
[段差埋込性]
仮固定用樹脂フィルムの段差埋込性を下記の方法により評価した。厚さ650μmシリコンミラーウェハ(8インチ)表面に、仮固定用樹脂フィルムの第二の層側を80℃でロールラミネートにて貼り合せ、仮固定用樹脂フィルム付きウェハを得た。
【0183】
次に、表3又は表4に示される高さ及びピッチを有する接続端子が設けられたシリコンウェハ(8インチ)を用意した。この接続端子付きシリコンウェハの接続端子が設けられている面が上面となるように真空ラミネーター((株)エヌ・ピー・シー製、LM-50X50-S)のステージ上に置き、上記で作製した仮固定用樹脂フィルム付きウェハの仮固定用樹脂フィルム面を下にして、仮固定用樹脂フィルムの第一の層が接続端子付きシリコンウェハ側に貼り付くように設置した。これを、15mbarの条件下で、120℃の温度、0.1MPaの圧力で2分間加熱加圧し、真空ラミネートした。
【0184】
その後、超音波顕微鏡(SAM、インサイト株式会社製、Insight-300)を用いて仮固定用樹脂フィルムの状態を確認した。埋込性の評価基準は以下のとおりである。
○:ボイドの割合が5%未満。
×:ボイドの割合が5%以上。
【0185】
[バックグラインド性]
段差埋込性評価後のサンプルを130℃で30分間加熱し、続いて170℃で2時間加熱し硬化した。硬化後のサンプルを、フルオートグラインダポリッシャ(DISCO株式会社製、DGP-8761)を用いて、積層サンプルにおける半導体ウェハの表面を研削した。ホイールには、1軸:GF01-SDC320-BT300-50、2軸:IF-01-1-4/6-B・K09、3軸:DPEG-GA0001をそれぞれ用いた。チャックテーブル回転数を300rpm、ホイール回転数を1軸:3,200rpm、2軸:3,400rpm、3軸:1,400rpmとし、クロスフィード方式で研削を行った。半導体ウェハを、1軸で142μm厚になるまで研削後、2軸で102μm厚になるまで、3軸で100μm厚になるまで研削した。研削終了時点で割れ等が発生しなかったサンプルを「○」、割れ等が発生したサンプルを「×」として評価した。
【0186】
[200℃耐熱性]
バックグラインド性評価後のサンプルを、200℃で30分間加熱処理した。このようにして得られたサンプルを、超音波顕微鏡(SAM、インサイト株式会社製、Insight-300)を用いて仮固定用樹脂フィルムの状態を確認した。埋込性の評価基準は以下のとおりである。
○:ボイドの割合が5%未満。
×:ボイドの割合が5%以上。
【0187】
[剥離性]
200℃耐熱性評価後のサンプルを、デボンダー(SUSS株式会社製、DB12T)を用いて、ブレードフォース50N、デボンドフォース200N、デボンドスピード0.1m/分の条件で剥離評価した。割れ、欠け等の発生なく剥離できたサンプルを「○」、割れ、欠け等の発生、又は剥離できなかったサンプルを「×」として評価した。
【0188】
【表5】
【0189】
【表6】

(比較例1及び3は、第二の層と接続端子とが接触)
【0190】
表5及び6に示されるように、第一の層の厚さが接続端子の高さよりも小さく、かつ、接続端子付きシリコンウェハと貼り合わせたときに、第二の層と接続端子との間に第一の層が介在する実施例の仮固定用樹脂フィルムによれば、シリコンウェハの段差(接続端子)埋込性に優れているとともに、充分なバックグラインド性が得られ、なおかつ剥離性が良好であることが確認された。また、実施例の仮固定用樹脂フィルムは耐熱性にも優れていることが確認された。
【符号の説明】
【0191】
1、4…仮固定用樹脂フィルムシート、2…第一の樹脂シート、3…第二の樹脂シート、10…支持フィルム、20…仮固定用樹脂フィルム、21…第一の層、22…第二の層、30…保護フィルム、40…仮固定用樹脂フィルム、41…第一の層、42…第二の層、50…支持体、52…剥離層、60…半導体ウェハ、62…接続端子、70…仮固定材、71…硬化した第一の層、72…硬化した第二の層、80…半導体ウェハ、82…貫通電極、84…ダイシングライン、85…グラインダー、86…貫通電極、100…半導体素子、110…配線基板、120…半導体装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8