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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】積層体、及び、合成皮革
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/40 20060101AFI20220928BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20220928BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20220928BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20220928BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20220928BHJP
   C08G 18/65 20060101ALI20220928BHJP
   C08G 18/73 20060101ALI20220928BHJP
   C08G 18/75 20060101ALI20220928BHJP
   D06N 3/14 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
B32B27/40
C08G18/48 054
C08G18/44
C08G18/40 009
C08G18/32 025
C08G18/65 023
C08G18/73
C08G18/75
D06N3/14 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022519725
(86)(22)【出願日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 JP2021028039
【審査請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2020184986
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】小松崎 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】前田 亮
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-179759(JP,A)
【文献】特開2004-307784(JP,A)
【文献】特表2014-534354(JP,A)
【文献】特開2020-076027(JP,A)
【文献】国際公開第2020/116304(WO,A1)
【文献】特開2012-127010(JP,A)
【文献】国際公開第2012/108492(WO,A1)
【文献】特開2019-081883(JP,A)
【文献】国際公開第2019/058693(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0105976(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C08G 18/00-18/87
D06N 1/00- 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂層、及び、ウレタン樹脂組成物により形成された皮膜を有する積層体であって、
前記熱可塑性樹脂層が、ポリ塩化ビニルにより形成されたものであり、
前記ウレタン樹脂組成物が、ウレタン樹脂を含有するものであり、
前記ウレタン樹脂が、炭素原子数4~7の範囲のグリコールを原料とするポリカーボネートポリオール、及びポリテトラメチレングリコールを含むポリオールを必須原料とし、前記ポリカーボネートポリオール及びポリテトラメチレングリコール由来の構造を有するものであり、
前記ポリカーボネートポリオール及び前記ポリエーテルポリオールの合計使用量が、前記ポリオール中に30質量%以上であり、
前記ポリカーボネートポリオールと前記ポリテトラメチレングリコールとの質量比が、40/60~60/40の範囲であることを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記ウレタン樹脂が、アミノ基を有する鎖伸長剤を原料とするものである、請求項1記載の積層体。
【請求項3】
前記ウレタン樹脂が、脂肪族ポリイソシアネートを原料とするものである、請求項1又は2記載の積層体。
【請求項4】
請求項1記載の 皮膜の、熱可塑性樹脂層とは反対側に、表面処理層を有することを特徴とする合成皮革。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体、及び、合成皮革に関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物は、合成皮革、人口皮革、フィルム、シート、接着剤、シート状物の表面処理などに広く利用されている。この中でも、車輛用内装材用の合成皮革などの長期間使用される部材に利用される場合には、より高い耐久性が要求される。
【0003】
一方、コスト面からポリ塩化ビニル(PVC)を基材にコーティング又は貼り合わせたPVC合皮の需要が伸長するも、低温屈曲性等の課題があり、これを解決するため、ウレタン樹脂をPVC層上にコーティングした、いわゆるセミ合皮が台頭しつつある状況にある。しかしながら、係るセミ合皮では、ウレタン樹脂層とPVC層との良好な密着性に加え、PVC層に含有される可塑剤のブリードを抑制する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-293220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、熱可塑性樹脂層とウレタン樹脂組成物により形成された皮膜との密着性、及び、可塑剤のブリード抑制に優れたウレタン樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、熱可塑性樹脂層、並びに、炭素原子数4~7の範囲のグリコールを原料とするポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオール由来の構造を有するウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物により形成された皮膜を有することを特徴とする積層体を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、更に表面処理層を有することを特徴とする合成皮革を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の積層体は、熱可塑性樹脂層とウレタン樹脂組成物により形成された皮膜との密着性(以下、「密着性」と略記する。)に優れるものであり、可塑剤のブリード抑制(以下、「耐ブリード性」と略記する。)に優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の積層体は、熱可塑性樹脂層、及び、特定の原料を用いたウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物により形成された皮膜を有するものである。
【0010】
前記熱可塑性樹脂層としては、例えば、公知のポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等により形成されたものを用いることができる。本発明に於いては、前記熱可塑性樹脂として、ポリ塩化ビニルを用いた場合であっても優れた耐ブリード性を有する。
【0011】
前記皮膜は、炭素原子数4~7の範囲のグリコールを原料とするポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオール由来の構造を有するウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物により形成されたものである。
【0012】
前記ウレタン樹脂は、優れた密着性、及び、耐ブリード性を得る上で、炭素原子数4~7の範囲のグリコールを原料とするポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオール由来の構造を有することが必須である。
【0013】
前記ウレタン樹脂としては、例えば、有機溶剤を含む溶剤系ウレタン樹脂組成物;水を含む水系ウレタン樹脂組成物等を用いることができる。この中でも、環境負荷低減の点から、水系ウレタン樹脂組成物が好ましい。
【0014】
前記溶剤系ウレタン樹脂組成物としては、例えば、ウレタン樹脂、及び、有機溶剤を含むものが挙げられる。
【0015】
前記ウレタン樹脂としては、例えば、炭素原子数4~7の範囲のグリコールを原料とするポリカーボネートポリオールとポリエーテルポリオールとを含むポリオール(a1-1)、及び、ポリイソシアネート(a2-1)の反応物を用いることができる。
【0016】
前記ポリカーボネートポリオールの原料である炭素原子数が4~7のグリコールとしては、例えば、1,4-ブタンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール等を用いることができる。これらのグリコールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0017】
前記ポリカーボネートポリオールの原料としては、前記した中でも、より一層優れた密着性、耐ブリード性、低温屈曲性、及び機械的強度が得られる点から、1,4-ブタンジオール及び/又は1,6-ヘキサンジオールが好ましく、1,6-ヘキサンジオールがより好ましい。
【0018】
前記ポリカーボネートジオールは、具体的には、前記グリコールと、炭酸エステル及び/又はホスゲンとを公知の方法により反応させたものを用いることができる。
【0019】
前記炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0020】
前記ポリカーボネートジオールの数平均分子量としては、より一層優れた機械的強度、耐ブリード性、密着性、及び低温屈曲性が得られる点から、1,500~3,500の範囲であることが好ましい。なお、前記ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0021】
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレンポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレングリコール、ポリプロピレンポリテトラメチレングリコール等を用いることができる。これらのポリエーテルポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた機械的強度、耐ブリード性、密着性、及び低温屈曲性が得られる点から、ポリテトラメチレングリコールが好ましい。
【0022】
前記ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量としては、より一層優れた機械的強度、耐ブリード性、密着性、及び低温屈曲性が得られる点から、1,500~3,500の範囲であることが好ましい。なお、前記ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0023】
前記ポリカーボネートポリオール(PC)と前記ポリエーテルポリオール(PEt)との質量比[PC/PEt]としては、より一層優れた機械的強度、耐ブリード性、密着性、及び低温屈曲性が得られる点から、20/80~80/20の範囲が好ましく、40/60~60/40の範囲がより好ましい。
【0024】
前記ポリカーボネートポリオール及び前記ポリエーテルポリオールの合計量としては、より一層優れた機械的強度、耐ブリード性、密着性、及び低温屈曲性が得られる点から、前記ポリオール(a1-1)中30質量%以上が好ましく、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
【0025】
前記ポリオール(a1-1)としては、その他のポリオールを用いることができる。前記その他のポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、前記ポリカーボネートポリオール以外のポリカーボネートポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記その他のポリオールの数平均分子量としては、フィルムの機械的特性、及び、耐ブリード性の点から、500~10,000の範囲であることが好ましく、700~8,000の範囲がより好ましい。なお、前記その他のポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0027】
前記ポリオール(a1-1)には、必要に応じて、分子量が500未満(好ましくは50~450の範囲)の鎖伸長剤(a’1-1)を併用してもよい。前記鎖伸長剤(a’1-1)としては、例えば、水酸基を有する鎖伸長剤、アミノ基を有する鎖伸長剤等を用いることができる。これらの鎖伸長剤(a’1-1)は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0028】
前記水酸基を有する鎖伸長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の脂肪族ポリオール化合物;ビスフェノールA、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等の芳香族ポリオール化合物;水などを用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0029】
前記アミノ基を有する鎖伸長剤としては、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2-メチルピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、4,4’-ジフェニルメタンジアミン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジフェニルメタンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等を用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0030】
前記鎖伸長剤(a’1-1)としては、より一層優れた密着性、及び、耐ブリード性が得られる点から、アミノ基を有する鎖伸長剤が好ましく、ピペラジン、ヒドラジン、イソホロンジアミン、及び、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミンからなる群より選ばれる1種以上の化合物を用いることがより好ましい。
【0031】
前記鎖伸長剤(a’1-1)を用いる場合の使用量としては、より一層優れた密着性、及び、耐ブリード性が得られる点から、ポリオール(a1-1)中0.1~80質量%の範囲が好ましく、1~60質量%の範囲がより好ましい。
【0032】
前記ポリイソシアネート(a2-1)としては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた密着性、及び、耐ブリード性が得られる点から、脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジアミン、及び、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のポリイソシアネートが好ましい。
【0033】
前記ポリイソシアネート(a2-1)中の前記脂肪族ポリイソシアネートの含有量としては、より一層優れた密着性、及び、耐ブリード性が得られる点から、30質量%以上が好ましく、50質量%がより好ましい。
【0034】
前記ウレタン樹脂の製造方法としては、例えば、前記ポリオール(a1-1)と前記ポリイソシアネート(a2-1)と必要に応じて前記鎖伸長剤(a’1-1)とを仕込み、反応させることによって製造する方法が挙げられる。これらの反応は、50~100℃の温度で概ね3~10時間行うことが好ましい。また、前記反応は、後述する有機溶剤中で行ってもよい。
【0035】
前記ポリオール(a1-1)が有する水酸基並びに前記鎖伸長剤(a’1-1)が有する水酸基及びアミノ基の合計と、前記ポリイソシアネート(a2-1)が有するイソシアネート基とのモル比[(イソシアネート基)/(水酸基及びアミノ基)]としては、0.8~1.2の範囲であることが好ましく、0.9~1.1の範囲であることがより好ましい。
【0036】
前記ウレタン樹脂の重量平均分子量としては、フィルムの機械的特性、密着性、及び、耐ブリード性の点から、5,000~1,000,000の範囲であることが好ましく、10,000~500,000の範囲がより好ましい。なお、前記ウレタン樹脂の重量平均分子量は、前記ポリオール(a1-1)の数平均分子量と同様に測定して得られた値を示す。
【0037】
前記ウレタン樹脂の含有量としては、例えば、溶剤系ウレタン樹脂組成物中10~90質量部の範囲が挙げられる。
【0038】
前記有機溶剤としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N,N,2-トリメチルプロピオンアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルプロピオンアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-エチルピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド等を用いることができる。これらの有機溶媒は単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、必要に応じて、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール、sec-ブタノール、ターシャリーブタノール等の有機溶剤を併用してもよい。
【0039】
前記有機溶剤の含有量としては、例えば、溶剤系ウレタン樹脂組成物中10~90質量%の範囲が挙げられる。
【0040】
前記水系ウレタン樹脂組成物としては、例えば、ウレタン樹脂、及び、水を含むものが挙げられる。
【0041】
前記ウレタン樹脂は、水に分散し得るものであり、例えば、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基等の親水性基を有するウレタン樹脂;乳化剤で強制的に水中に分散したウレタン樹脂などを用いることができる。これらのウレタン樹脂は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0042】
前記アニオン性基を有するウレタン樹脂を得る方法としては、例えば、カルボキシル基を有する化合物及びスルホニル基を有する化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を原料として用いる方法が挙げられる。
【0043】
前記カルボキシル基を有する化合物としては、例えば、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-吉草酸等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0044】
前記スルホニル基を有する化合物としては、例えば、3,4-ジアミノブタンスルホン酸、3,6-ジアミノ-2-トルエンスルホン酸、2,6-ジアミノベンゼンスルホン酸、N-(2-アミノエチル)-2-アミノスルホン酸、N-(2-アミノエチル)-2-アミノエチルスルホン酸等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0045】
前記カルボキシル基及びスルホニル基は、ウレタン樹脂組成物中で、一部又は全部が塩基性化合物に中和されていてもよい。前記塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミン;モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等のアルカノールアミン;ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム等を含む金属塩基化合物などを用いることができる。
【0046】
前記カチオン性基を有するウレタン樹脂を得る方法としては、例えば、アミノ基を有する化合物の1種又は2種以上を原料として用いる方法が挙げられる。
【0047】
前記アミノ基を有する化合物としては、例えば、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン等の1級及び2級アミノ基を有する化合物;N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン等のN-アルキルジアルカノールアミン、N-メチルジアミノエチルアミン、N-エチルジアミノエチルアミン等のN-アルキルジアミノアルキルアミンなどの3級アミノ基を有する化合物などを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0048】
前記ノニオン性基を有するウレタン樹脂を得る方法としては、例えば、オキシエチレン構造を有する化合物の1種又は2種以上を原料として用いる方法が挙げられる。
【0049】
前記オキシエチレン構造を有する化合物としては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレングリコール等のオキシエチレン構造を有するポリエーテルポリオールを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0050】
前記強制的に水中に分散するウレタン樹脂を得る際に用いることができる乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等のノニオン性乳化剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルカンスルフォネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等のアニオン性乳化剤;アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等のカチオン性乳化剤などを用いることができる。これらの乳化剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0051】
前記ウレタン樹脂としては、より一層優れた水分散安定性、耐加水分解性、剥離強度、即剥離性、耐ブリード性、及び、耐光性が得られる点から、アニオン性基を有するウレタン樹脂、及び/又は、ノニオン性基を有するウレタン樹脂が好ましい。
【0052】
前記親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料の使用量としては、ウレタン樹脂の親水性基の濃度を調整して、より一層優れた水分散安定性、耐加水分解性、剥離強度、即剥離性、耐ブリード性、及び、耐光性が得られる点から、前記ウレタン樹脂を構成する原料中0.01~10質量%の範囲が好ましく、0.1~5質量%の範囲がより好ましい。
【0053】
前記ウレタン樹脂としては、具体的には、例えば、炭素原子数8~12の範囲のグリコールを原料とするポリカーボネートポリオールを含むポリオール(a1-2)、ポリイソシアネート(a2-2)、及び、前記親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料の反応物が挙げられる。
【0054】
前記ポリカーボネートポリオールを含むポリオール(a1-2)としては、前記ポリオール(a1-1)と同様のものを用いることができる。
【0055】
前記ポリオール(a1-2)には、必要に応じて、分子量が500未満(好ましくは50~450の範囲)の鎖伸長剤(a’1-2)を併用してもよい。前記鎖伸長剤(a’1-2)としては、前記鎖伸長剤(a’1-1)と同様のものを用いることができ、より一層優れた密着性、及び、耐ブリード性が得られる点から、アミノ基を有する鎖伸長剤が好ましく、ピペラジン、ヒドラジン、イソホロンジアミン、及び、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミンからなる群より選ばれる1種以上の化合物を用いることがより好ましい。
【0056】
前記鎖伸長剤(a’1-2)を用いる場合の使用量としては、より一層優れた密着性、及び、耐ブリード性が得られる点から、ポリオール(a1-2)中0.1~80質量%の範囲が好ましく、1~60質量%の範囲がより好ましい。
【0057】
前記ポリイソシアネート(a2-2)としては、前記ポリイソシアネート(a2-1)と同様のものを用いることができ、より一層優れた密着性、及び、耐ブリード性が得られる点から、脂環式ポリイソシアネートが好ましく、イソホロンジアミン、及び/又は、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが好ましい。
【0058】
前記ポリイソシアネート(a2-2)中の前記脂環式ポリイソシアネートの含有量としては、より一層優れた耐ブリード性が得られる点から、30質量%以上が好ましく、50質量%がより好ましい。
【0059】
前記ウレタン樹脂の製造方法としては、例えば、前記親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料、前記ポリイソシアネート(a2-2)、ポリオール(a1-2)、及び、必要に応じて前記鎖伸長剤(a’1-2)を一括に仕込み反応させる方法等が挙げられる。これらの反応は、例えば、50~100℃の温度で3~10時間行う方法が挙げられる。
【0060】
前記ポリオール(a2-1)と前記親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料、並びに、前記鎖伸長剤(a’1-2)を用いる場合にはそれが有する水酸基及びアミノ基の合計と、前記芳香族ポリイソシアネート(a2-2)が有するイソシアネート基とのモル比[(イソシアネート基)/(水酸基及びアミノ基の合計)]としては、0.8~1.2の範囲であることが好ましく、0.9~1.1の範囲がより好ましい。
【0061】
前記前記ウレタン樹脂を製造する際には、前記ウレタン樹脂に残存するイソシアネート基を失活させることが好ましい。前記イソシアネート基を失活させる場合には、メタノール等の水酸基を有するアルコールを用いることが好ましい。前記アルコールを用いる場合の使用量としては、ウレタン樹脂100質量部に対し、0.001~10質量部の範囲であることが好ましい。
【0062】
また、前記ウレタン樹脂を製造する際には、有機溶剤を用いてもよい。前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド化合物などを用いることができる。これらの有機溶媒は単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、前記有機溶剤は、ウレタン樹脂組成物を得る際には蒸留法等によって除去されることが好ましい。
【0063】
前記水としては、例えば、例えば、イオン交換水、蒸留水、水道水等を用いることができる。これらの中でも、不純物の少ないイオン交換水を用いることが好ましい。前記水(B)の含有量としては、作業性、塗工性、及び保存安定性の点から、水系ウレタン樹脂組成物中20~90質量%の範囲が好ましく、40~80質量%の範囲がより好ましい。
【0064】
本発明のウレタン樹脂組成物は、溶剤系ウレタン樹脂組成物、水系ウレタン樹脂組成物のいずれの場合においても、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよい。
【0065】
前記その他の添加剤としては、例えば、ウレタン化触媒、中和剤、架橋剤、シランカップリング剤、増粘剤、充填剤、チキソ付与剤、粘着付与剤、ワックス、熱安定剤、耐光安定剤、蛍光増白剤、発泡剤、顔料、染料、導電性付与剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、中空発泡体、難燃剤、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、整泡剤、ブロッキング防止剤、加水分解防止剤等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0066】
前記皮膜について、厚さ30μm、縦3cm、及び、横3cmに裁断した皮膜を、可塑剤に24時間浸漬させた後のフィルムの膨潤率(以下、「フィルムの膨潤率」と略記する。)としては、より一層優れた耐ブリード性を得るうえで、10%以上であることが好ましく、10~40%の範囲がより好ましく、10~25%の範囲が更に好ましい。前記フィルムの膨潤率が、係る条件を満たす場合には、皮膜中のウレタン樹脂が可塑剤を内包しやすくなるため、優れた耐ブリード性が得られるものと推察される。
【0067】
前記可塑剤としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル;アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステル;トリメルット酸トリオクチル等のトリメリット酸エステル;リン酸トリクレシル等のリン酸エステル;アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ化植物油;セバシン酸エステル;アゼライン酸エステル;マレイン酸エステル;安息香酸エステル;その他ポリエステルなどを用いることができる。これらの可塑剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。本発明においては、ポリ塩化ビニルによく使用されるフタル酸エステルに対しても優れた耐ブリード性を有する。
【0068】
以上、本発明の積層体は、密着性、及び、耐ブリード性に優れるものである。
【0069】
次に、本発明の合成皮革について説明する。
【0070】
前記合成皮革は、例えば、基材、熱可塑性樹脂層、前記皮膜、及び、表面処理層を順次有するものが挙げられる。
【0071】
前記基材としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、アセテート繊維、レーヨン繊維、ポリ乳酸繊維、綿、麻、絹、羊毛、グラスファイバー、炭素繊維、それらの混紡繊維等による不織布、織布、編み物などを用いることができる。
【0072】
前記表面処理層としては、例えば、公知の溶剤系ウレタン樹脂、水系ウレタン樹脂、溶剤系アクリル樹脂、水系アクリル樹脂等により形成されたものを用いることができる。
【実施例
【0073】
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【0074】
[実施例1]
<水系ウレタン樹脂組成物(1)の調製>
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4ツ口フラスコに、窒素気流下、ポリカーボネートポリオール(1,6-ヘキサンジオールを原料とするもの、数平均分子量:2,000)170質量部、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量;2,000)170質量部、メチルエチルケトン300質量部、ジメチロールプロピオン酸11質量部を加え、均一に混合した後、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート100質量部を加え、次いでカルボン酸ビスマス0.15質量部を加え、75℃で約4時間反応させ、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。次いで、トリエチルアミン10質量部を加え、前記ウレタンプレポリマー中のカルボキシ基を中和した後、イオン交換水900質量部を加え、次いでピペラジン6.8質量部を加え反応させた。反応終了後、メチルエチルケトンを減圧下留去することによって、水系ウレタン樹脂組成物(1)を得た。
【0075】
<積層体の作製>
PVC基材(エンジニアリングテストサービス株式会社製)上に、前記水系ウレタン樹脂組成物(1)を乾燥後の厚さが10μmとなるように塗工し、120℃で2分間乾燥して積層体を得た。
【0076】
[実施例2]
<水系ウレタン樹脂組成物(2)の調製>
ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート100質量部をイソホロンジイソシアネート85質量部に変更した以外は実施例1と同様にして水系ウレタン樹脂組成物(2)、及び、積層体を得た。
【0077】
[実施例3]
<水系ウレタン樹脂組成物(3)の調製>
ピペラジン6.8質量部をヒドラジン4.9質量部に変更した以外は実施例1と同様にして水系ウレタン樹脂組成物(3)、及び、積層体を得た。
【0078】
[実施例4]
<水系ウレタン樹脂組成物(4)の調製>
ピペラジン6.8質量部をイソホロンジアミン13.4質量部に変更した以外は実施例1と同様にして水系ウレタン樹脂組成物(4)、及び、積層体を得た。
【0079】
[実施例5]
<水系ウレタン樹脂組成物(5)の調製>
ポリカーボネートポリオールの使用量を170質量部から210質量部へ、ポリテトラメチレングリコールの使用量を170質量部から130質量部へ変更した以外は実施例1と同様にして水系ウレタン樹脂組成物(5)、及び、積層体を得た。
なお、実施例5は参考例である。
【0080】
[比較例1]
<水系ウレタン樹脂組成物(R1)の調製>
ポリカーボネートポリオールの使用量を170質量部から340質量部へ、ポリテトラメチレングリコールの使用量を170質量部から0質量部へ変更した以外は実施例1と同様にして水系ウレタン樹脂組成物(R1)、及び、積層体を得た。
【0081】
[比較例2]
<水系ウレタン樹脂組成物(R2)の調製>
ポリカーボネートポリオールの使用量を170質量部から0質量部へ、ポリテトラメチレングリコールの使用量を170質量部から340質量部へ変更した以外は実施例1と同様にして水系ウレタン樹脂組成物(R2)、及び、積層体を得た。
【0082】
[数平均分子量、重量平均分子量の測定方法]
実施例および比較例で用いたポリオールの数平均分子量、ウレタン樹脂の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・カラムクロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定し得られた値を示す。
【0083】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0084】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
【0085】
[密着性の評価方法]
実施例及び比較例で得られた積層体に、1cmの幅となるように切り込みをいれ、碁盤目試験(5×5)を実施し、剥離後の皮膜残存数により以下の様に評価した。
「〇」;残存数が20以上25以下
「△」;残存数が10以上20未満
「×」;残存数が10未満
【0086】
<フィルムの作製>
実施例及び比較例で得られた水系ウレタン樹脂組成物をそれぞれ100質量部、DIC株式会社製会合型増粘剤「ハイドラン アシスターT10」1質量部、架橋剤(日清紡ケミカル株式会社製「カルボジライトV-02-L2」)4質量部を配合した配合液をフラット離型紙(リンテック株式会社製「EK-100D」)上に固形分厚膜が30μmとなるように塗布し、70℃で2分間、更に120℃で2分間乾燥させ、フィルムを得た。
【0087】
[耐ブリード性の評価方法]
得られたフィルムを縦3cm、横3cmに裁断し、これを3種の可塑剤(フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP))にそれぞれ浸漬させ、24時間後のフィルムの長さを計測し、膨潤率(%)を下記式(1)に従って算出した。
膨潤率(%)=(24時間試験後のフィルムの長さ-試験前のフィルムの長さ)/試験前のフィルムの長さ×100 (1)
【0088】
得られた膨潤率により、耐ブリード性を以下のように評価した。
「〇」;10%以上である。
「×」;10%未満である。
【0089】
【表1】

【0090】
本発明の積層体である実施例1~5は、密着性、及び、耐ブリード性に優れることが分かった。
【0091】
一方、比較例1は、ポリエーテルポリオールを用いない態様であるが、耐ブリード性が不良であった。
【0092】
一方、比較例2は、ポリカーボネートポリオールを用いない態様であるが、密着性が不十分であった。
【要約】
本発明が解決しようとする課題は、熱可塑性樹脂層とウレタン樹脂組成物により形成された皮膜との密着性、及び、可塑剤のブリード抑制に優れたウレタン樹脂組成物を提供することである。本発明は、熱可塑性樹脂層、並びに、炭素原子数4~7の範囲のグリコールを原料とするポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオール由来の構造を有するウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物により形成された皮膜を有することを特徴とする積層体を提供するものである。また、本発明は、前記皮膜の、熱可塑性樹脂層とは反対側に、表面処理層を有することを特徴とする合成皮革を提供するものである。前記熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニルを用いることが好ましい。前記ウレタン樹脂は、アミノ基を有する鎖伸長剤および脂肪族ポリイソシアネートを原料とするものが好ましい。