(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
H05K3/46 T
H05K3/46 B
(21)【出願番号】P 2018105370
(22)【出願日】2018-05-31
【審査請求日】2021-01-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】北 義弘
(72)【発明者】
【氏名】近藤 人資
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-032827(JP,A)
【文献】特開2004-356569(JP,A)
【文献】特開2003-204169(JP,A)
【文献】特開2003-037365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1樹脂層と、前記第1樹脂層の一方の面を被覆する第2樹脂層と、を有する絶縁層と、
一方の面及び側面が前記第1樹脂層に被覆され、他方の面が前記第1樹脂層の他方の面から露出する第1導体層と、
前記第2樹脂層の前記第1樹脂層の一方の面と接する面の反対面に形成された配線パターン、及び前記第2樹脂層及び前記第1樹脂層を貫通し前記配線パターンと前記第1導体層の一方の面とを接続するビア配線、を含む第2導体層と、を有し、
前記ビア配線は、前記第2樹脂層及び前記第1樹脂層を貫通し、前記第2樹脂層側に開口されている開口部の径が前記第1導体層の一方の面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状のビアホール内に形成され、
前記第1樹脂層は前記第2樹脂層よりも高弾性率かつ低伸び率の樹脂から構成され
、
前記第1樹脂層の材料は、ビフェニル構造、ビキシレノール構造、ビスフェノールアセトフェノン構造、又はビスフェノールフルオレン構造を含む熱硬化性樹脂組成物であり、
前記第1樹脂層の弾性率は、3GPa以上10GPa以下である配線基板。
【請求項2】
前記第1樹脂層の他方の面及び前記第1導体層の他方の面を被覆する他の絶縁層を有し、
前記他の絶縁層は、前記第2樹脂層と同じ樹脂により構成されている請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第1導体層は、前記他の絶縁層と接する密着層と、前記密着層上に形成された配線層と、を有する請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記他の絶縁層を貫通し、前記密着層を露出する開口部を有する請求項3に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第1樹脂層は前記第1導体層の一方の面及び側面に沿って形成され、前記第2樹脂層は前記第1樹脂層の一方の面及び側面を被覆する請求項1乃至4の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項6】
前記第2樹脂層は、前記第1樹脂層の一方の面全面を被覆する請求項1乃至4の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項7】
支持体上に、第1導体層を形成する工程と、
前記支持体上に、前記第1導体層の一方の面及び側面を被覆する第1樹脂層と、前記第1樹脂層の一方の面を被覆する第2樹脂層と、を有する絶縁層を形成する工程と、
レーザ加工法により、前記第2樹脂層及び前記第1樹脂層を貫通し、前記第1導体層の一方の面を露出するビアホールを形成する工程と、
前記第2樹脂層の前記第1樹脂層の一方の面と接する面の反対面に形成された配線パターン、及び前記ビアホールを充填し前記配線パターンと前記第1導体層の一方の面とを接続するビア配線、を含む第2導体層を形成する工程と、
前記支持体を除去する工程と、を有し、
前記ビアホールを形成する工程では、前記ビアホールは、前記第2樹脂層側に開口されている開口部の径が前記第1導体層の一方の面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状に形成され、
前記絶縁層を形成する工程では、前記第1樹脂層を前記第2樹脂層よりも高弾性率かつ低伸び率の樹脂から構成
し、
前記第1樹脂層の材料は、ビフェニル構造、ビキシレノール構造、ビスフェノールアセトフェノン構造、又はビスフェノールフルオレン構造を含む熱硬化性樹脂組成物であり、
前記第1樹脂層の弾性率は、3GPa以上10GPa以下である配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記第1導体層を形成する工程よりも前に、前記支持体の直上に他の絶縁層を形成する工程を有し、
前記第1導体層を形成する工程では、前記他の絶縁層の直上に第1導体層を形成し、
前記他の絶縁層を形成する工程では、前記他の絶縁層を前記第2樹脂層と同じ樹脂により構成する請求項7に記載の配線基板の製造方法。
【請求項9】
前記他の絶縁層の直上に第1導体層を形成する工程は、
前記他の絶縁層の直上に密着層を形成する工程と、
前記密着層上に配線層を形成する工程と、を有する請求項8に記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記絶縁層を形成する工程では、
予め前記第1樹脂層上に前記第2樹脂層が積層された絶縁性多層フィルムを準備し、
前記支持体上に、前記第1導体層の一方の面及び側面を被覆するように、前記絶縁性多層フィルムをラミネートする請求項7乃至9の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウェアラブル端末等に用いることが可能な可撓性を有する配線基板において、導体層を被覆する絶縁層の材料として、例えば、低弾性率かつ高伸び率の樹脂が用いられている。又、このような配線基板において、絶縁層上には配線パターンが形成され、導体層と配線パターンとは絶縁層に設けられたビアホールを充填するビア配線を介して電気的に接続される。ビアホールは、例えば、レーザにより形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レーザにより絶縁層にビアホールを形成する際には、大きな熱エネルギーが生じる。ビア配線と導体層との接合部分を被覆する絶縁層の材料として低弾性率かつ高伸び率の樹脂を用いた場合、導体層と絶縁層との熱膨張係数の差により生じる応力を十分に緩和できず、導体層と絶縁層との密着力が低下してしまう。又は、低弾性率かつ高伸び率の樹脂が、レーザの熱エネルギーで劣化し、導体層と絶縁層との密着力が低下してしまう。
【0005】
導体層と絶縁層との密着力が低下すると、レーザによるビアホール形成後のデスミア処理においてハローイング(機械的要因で生じる破壊又は剥離)が発生するおそれが高くなる。ハローイングが発生すると、隣接するビア配線間でショート不良が発生するため配線基板の配線間の接続信頼性が低下する。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ハローイングの発生を抑制した配線基板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本配線基板は、第1樹脂層と、前記第1樹脂層の一方の面を被覆する第2樹脂層と、を有する絶縁層と、一方の面及び側面が前記第1樹脂層に被覆され、他方の面が前記第1樹脂層の他方の面から露出する第1導体層と、前記第2樹脂層の前記第1樹脂層の一方の面と接する面の反対面に形成された配線パターン、及び前記第2樹脂層及び前記第1樹脂層を貫通し前記配線パターンと前記第1導体層の一方の面とを接続するビア配線、を含む第2導体層と、を有し、前記ビア配線は、前記第2樹脂層及び前記第1樹脂層を貫通し、前記第2樹脂層側に開口されている開口部の径が前記第1導体層の一方の面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状のビアホール内に形成され、前記第1樹脂層は前記第2樹脂層よりも高弾性率かつ低伸び率の樹脂から構成され、前記第1樹脂層の材料は、ビフェニル構造、ビキシレノール構造、ビスフェノールアセトフェノン構造、又はビスフェノールフルオレン構造を含む熱硬化性樹脂組成物であり、前記第1樹脂層の弾性率は、3GPa以上10GPa以下であることを要件とする。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、ハローイングの発生を抑制した配線基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
【
図3】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
【
図4】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
【
図5】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その4)である。
【
図6】第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板の製造工程を例示する図である。
【
図7】第1の実施の形態の変形例2に係る配線基板を例示する断面図である。
【
図8】第2の実施の形態の変形例2に係る配線基板の製造工程を例示する図である。
【
図9】第1の実施の形態の変形例3に係る配線基板を例示する断面図である。
【
図10】第2の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。
【
図11】第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。
【
図12】第2の実施の形態の変形例1に係る配線基板の製造工程を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る配線基板の構造]
まず、第1の実施の形態に係る配線基板の構造について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。
【0012】
図1を参照するに、第1の実施の形態に係る配線基板1は、絶縁層10と、導体層20と、絶縁層30と、導体層40と、ソルダーレジスト層50とを有するコアレスのビルドアップ配線基板である。
【0013】
なお、本実施の形態では、便宜上、配線基板1のソルダーレジスト層50側を上側又は一方の側、絶縁層30側を下側又は他方の側とする。又、各部位のソルダーレジスト層50側の面を一方の面又は上面、絶縁層30側の面を他方の面又は下面とする。但し、配線基板1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。又、平面視とは対象物をソルダーレジスト層50の一方の面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物をソルダーレジスト層50の一方の面の法線方向から視た形状を指すものとする。
【0014】
絶縁層10は、第1樹脂層11と、第1樹脂層11の上面を被覆する第2樹脂層12とを有する2層構造の層間絶縁層である。
【0015】
第1樹脂層11は、第2樹脂層12よりも高弾性率かつ低伸び率の樹脂により構成されている。第1樹脂層11の材料としては、例えば、ビフェニル構造、ビキシレノール構造、ビスフェノールアセトフェノン構造、及びビスフェノールフルオレン構造を含む熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。第1樹脂層11の熱硬化後の材質はプラスチックに近い。第1樹脂層11は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有することができる。
【0016】
第1樹脂層11の弾性率の範囲は3GPa以上10GPa以下であり、5GPa程度であることが好ましい。又、第1樹脂層11の伸び率の範囲は2%以上10%以下であり、6%程度であることが好ましい。又、第1樹脂層11の耐熱温度は、260℃以上であることが好ましい。
【0017】
第1樹脂層11の厚さは、例えば、5~10μm程度とすることができる。なお、導体層を被覆する樹脂層やソルダーレジスト層の厚さは、導体層の上面から導体層を被覆する樹脂層やソルダーレジスト層の上面までの厚さと定義する。
【0018】
第2樹脂層12は、第1樹脂層11の上面全面を被覆している。第2樹脂層12は、第1樹脂層11よりも低弾性率かつ高伸び率の樹脂により構成されている。第2樹脂層12の材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ブタジエン構造及びフェノール性水酸基を有する化合物、並びにフェノキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。第2樹脂層12の熱硬化後の材質はゴムに近い。第2樹脂層12は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有することができる。
【0019】
第2樹脂層12の弾性率の範囲は0.01GPa以上0.1GPa以下であり、0.04GPa程度であることが好ましい。又、第2樹脂層12の伸び率の範囲は50%以上200%以下であり、100%程度であることが好ましい。又、第2樹脂層12の耐熱温度は、260℃以上であることが好ましい。
【0020】
第2樹脂層12の厚さは、第1樹脂層11よりも厚く、例えば、50~150μm程度とすることができる。
【0021】
導体層20は、密着層21と、密着層21の上面に形成された配線層22とを有しており、第1樹脂層11に埋め込まれている。より詳しくは、導体層20は、上面及び側面(配線層22の上面、配線層22の側面、及び密着層21の側面)が第1樹脂層11に被覆され、下面(密着層21の下面)が第1樹脂層11の下面から露出している。第1樹脂層11の下面と導体層20の下面(密着層21の下面)とは、例えば、面一とすることができる。
【0022】
密着層21の材料としては、例えば、銅(Cu)やニッケル(Ni)等を用いることができる。密着層21の厚さは、例えば、0.01~1μm程度とすることができる。配線層22の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層22の厚さは、例えば、10~20μm程度とすることができる。
【0023】
なお、導体層20は、導体層40のビア配線との接続部以外の絶縁層30上に引き回されていてもよい。
【0024】
絶縁層30は、第1樹脂層11の下面及び導体層20の下面(密着層21の下面)を被覆する最下層の絶縁層である。言い換えれば、絶縁層30の上面に密着層21が形成され、密着層21上に配線層22が形成されている。そして、絶縁層30の上面に、導体層20(配線層22の上面、配線層22の側面、及び密着層21の側面)を被覆するように第1樹脂層11が形成されている。絶縁層30は、第2樹脂層12と同じ樹脂、すなわち、第1樹脂層11よりも低弾性率かつ高伸び率の樹脂により構成されている。絶縁層30の厚さは、例えば、50~150μm程度とすることができる。
【0025】
導体層40は、絶縁層10の上面側に形成されている。導体層40は、絶縁層10(第2樹脂層12及び第1樹脂層11)を貫通し導体層20の上面(配線層22の上面)を露出するビアホール10x内に充填されたビア配線、及び第2樹脂層12の上面に形成された配線パターンを含んで構成されている。導体層40を構成するビア配線は、導体層40を構成する配線パターンと導体層20の上面とを接続している。すなわち、導体層40は、ビアホール10x内に露出した導体層20と電気的に接続されている。
【0026】
ビアホール10xは、ソルダーレジスト層50側に開口されている開口部の径が導体層20の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。
【0027】
導体層40を構成するビア配線及び配線パターンの各々は、密着層41と、密着層41の上面に積層された配線層42とを有している。密着層41の材料や厚さは、例えば、密着層21の材料や厚さと同様とすることができる。配線層42の材料や配線層42の配線パターンの部分の厚さは、例えば、配線層22の材料や厚さと同様とすることができる。
【0028】
ソルダーレジスト層50は、第2樹脂層12の上面に、導体層40を被覆するように形成されている。ソルダーレジスト層50は開口部50xを有し、開口部50xの底部には導体層40の一部が露出している。開口部50xの底部に露出する導体層40は、他の配線基板や半導体パッケージ、半導体チップ等と電気的に接続されるパッドとして機能する。ソルダーレジスト層50の材料としては、例えば、感光性のエポキシ系絶縁性樹脂やアクリル系絶縁性樹脂等を用いることができる。ソルダーレジスト層50の厚さは、例えば5~10μm程度とすることができる。
【0029】
金属層60は、開口部50xから露出する導体層40の上面に形成されている。但し、金属層60は必要に応じて形成される層であり、配線基板1の必須の構成要素ではない。金属層60の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。又、金属層60の形成に代えて、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理を施してもよい。なお、OSP処理により形成される表面処理層は、アゾール化合物やイミダゾール化合物等からなる有機被膜である。
【0030】
[第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明する。
図2~
図5は、第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。本実施の形態では、便宜上支持体上に1個ずつ配線基板を作製し支持体を除去する工程の例を示すが、支持体上に複数の配線基板となる部分を作製し支持体を除去後個片化して各配線基板とする工程とすることができる。
【0031】
まず、
図2(a)に示す工程では、上面が平坦面である支持体300を準備し、支持体300の上面に絶縁層30を形成する。支持体300としては、金属板や金属箔等を用いることができるが、本実施の形態では、支持体300として銅箔を用いる例を示す。支持体300の厚さは、例えば18~100μm程度とすることができる。絶縁層30は、例えば、Bステージ状態(半硬化状態)のフィルム状の樹脂を支持体300の上面にラミネートし、その後硬化させて形成できる。或いは、液状又はペースト状の樹脂をスクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等で支持体300の上面に塗布し、その後硬化させて形成してもよい。絶縁層30の材料や厚さは前述の通りである。
【0032】
次に、
図2(b)に示す工程では、絶縁層30の上面全面に密着層21を形成する。密着層21は、配線層22を形成する際のシード層となる。密着層21は、例えば、無電解めっき法やスパッタ法等により形成することができる。密着層21の材料や厚さは、前述の通りである。
【0033】
次に、
図2(c)に示す工程では、密着層21の上面に、配線層22の形成位置に対応する開口部310xを備えたレジスト層310を形成する。具体的には、例えば、密着層21の上面に、レジスト層310として感光性のドライフィルムレジストをラミネートし、露光及び現像をして開口部310xを形成する。
【0034】
次に、
図2(d)に示す工程では、レジスト層310の開口部310x内に露出する密着層21の上面に配線層22を形成する。配線層22は、例えば、密着層21を給電層に利用した電解めっき法により形成することができる。配線層22の材料や厚さは、前述の通りである。
【0035】
次に、
図3(a)に示す工程では、レジスト層310を除去する。そして、
図3(b)に示す工程では、配線層22をマスクにして、配線層22に覆われていない部分の密着層21をエッチングにより除去する。これにより、絶縁層30の上面に密着層21上に配線層22が積層された導体層20が形成される。
【0036】
次に、
図3(c)に示す工程では、絶縁層30の上面全面に導体層20を被覆するようにBステージ状態(半硬化状態)の第1樹脂層11を形成する。第1樹脂層11は、例えば、Bステージ状態(半硬化状態)のフィルム状の樹脂を絶縁層30の上面全面にラミネートすることで形成できる。或いは、液状又はペースト状の樹脂をスクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等で絶縁層30の上面全面に塗布して形成してもよい。第1樹脂層11の材料や厚さは前述の通りである。なお、この工程では、第1樹脂層11の硬化は行わない。
【0037】
次に、
図3(d)に示す工程では、第1樹脂層11の上面全面にBステージ状態(半硬化状態)の第2樹脂層12を形成する。第2樹脂層12は、例えば、Bステージ状態(半硬化状態)のフィルム状の樹脂を第1樹脂層11の上面全面にラミネートすることで形成できる。或いは、液状又はペースト状の樹脂をスクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等で第1樹脂層11の上面全面に塗布して形成してもよい。第2樹脂層12の材料や厚さは前述の通りである。第1樹脂層11の上面に第2樹脂層12を積層後、第1樹脂層11及び第2樹脂層12を所定温度に加熱して硬化させ、絶縁層10を作製する。必要に応じて、加圧しながら加熱してもよい。
【0038】
次に、
図4(a)に示す工程では、絶縁層10に、絶縁層10(第2樹脂層12及び第1樹脂層11)を貫通し導体層20の上面を露出させるビアホール10xを形成する。ビアホール10xは、例えばCO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。レーザ加工法により形成したビアホール10xは、ソルダーレジスト層50が形成される側に開口されている開口部の径が導体層20の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部となる。ビアホール10xをレーザ加工法により形成した場合には、デスミア処理を行い、ビアホール10xの底部に露出する導体層20の上面に付着した絶縁層10の樹脂残渣を除去する。
【0039】
次に、
図4(b)に示す工程では、絶縁層10の上面全面、ビアホール10xの内壁面、及びビアホール10x内に露出する導体層20の上面を連続的に被覆する密着層41を形成する。密着層41は、配線層42を形成する際のシード層となる。密着層41は、例えば、無電解めっき法やスパッタ法等により形成することができる。密着層41の材料や厚さは、前述の通りである。
【0040】
次に、
図4(c)に示す工程では、密着層41の上面に、配線層42の形成位置に対応する開口部320xを備えたレジスト層320を形成する。具体的には、例えば、密着層41の上面に、レジスト層320として感光性のドライフィルムレジストをラミネートし、露光及び現像をして開口部320xを形成する。
【0041】
次に、
図5(a)に示す工程では、レジスト層320の開口部320x内に露出する密着層41の上面に配線層42を形成する。配線層42は、例えば、密着層41を給電層に利用した電解めっき法により形成することができる。配線層42の材料や配線層42の配線パターンの部分の厚さは、前述の通りである。
【0042】
次に、
図5(b)に示す工程では、レジスト層320を除去した後、配線層42をマスクにして、配線層42に覆われていない部分の密着層41をエッチングにより除去する。これにより、密着層41上に配線層42が積層された導体層40が形成される。導体層40は、ビアホール10x内に充填されたビア配線、及び絶縁層10の上面に形成された配線パターンを含んで構成される。導体層40は、ビアホール10xの底部に露出した導体層20と電気的に接続される。
【0043】
次に、
図5(c)に示す工程では、絶縁層10上に導体層40を被覆するように開口部50xを有するソルダーレジスト層50を形成する。ソルダーレジスト層50は、例えば、液状又はペースト状の感光性のエポキシ系絶縁性樹脂やアクリル系絶縁性樹脂等を、導体層40を被覆するように絶縁層10上にスクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等で塗布することにより形成できる。或いは、例えば、フィルム状の感光性のエポキシ系絶縁性樹脂やアクリル系絶縁性樹脂等を、導体層40を被覆するように絶縁層10上にラミネートすることにより形成してもよい。
【0044】
そして、塗布又はラミネートした絶縁性樹脂を露光及び現像することで開口部50xを形成する(フォトリソグラフィ法)。これにより、開口部50xを有するソルダーレジスト層50が形成される。なお、予め開口部50xを形成したフィルム状の絶縁性樹脂を、導体層40を被覆するように絶縁層10上にラミネートしても構わない。なお、ソルダーレジスト層50の材料として、非感光性の絶縁性樹脂を用いてもよい。この場合には、絶縁層10上にソルダーレジスト層50を形成して硬化させた後、例えば、アルミナ砥粒等の研磨剤を用いたブラスト処理により開口部50xを形成できる。又は、スクリーン印刷により、開口部50xを有するソルダーレジスト層50を形成してもよい。
【0045】
これにより、導体層40の一部が開口部50x内に露出する。開口部50x内に露出する導体層40は、他の配線基板や半導体パッケージ、半導体チップ等と電気的に接続されるパッドとして機能する。必要に応じ、開口部50x内に露出する導体層40の上面に、例えば無電解めっき法等により金属層60を形成する。金属層60の例としては、前述の通りである。又、開口部50x内に露出する導体層40の上面に、OSP処理等の酸化防止処理を施してもよい。
【0046】
図5(c)に示す工程の後、支持体300を除去することにより、配線基板1(
図1参照)が完成する。銅箔である支持体300は、例えば、塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。
【0047】
このように、配線基板1の絶縁層10において、高弾性率かつ低伸び率の樹脂からなる第1樹脂層11の厚さ(例えば、5~10μm)は、低弾性率かつ高伸び率の樹脂からなる第2樹脂層12の厚さ(例えば、50~150μm程度)よりも大幅に薄い。これにより、ウェアラブル端末等に用いることが可能な可撓性を有する配線基板1を実現できる。
【0048】
又、配線基板1では、導体層40を構成するビア配線と、導体層20の上面(配線層22の上面)との接合部分は、高弾性率かつ低伸び率の樹脂からなる第1樹脂層11により被覆されている。これにより、接合部分にかかる応力が緩和され、機械的な応力に対する接合部分の変形が少なくなるため、接合部分の接続信頼性を向上できる。接合部分の接続信頼性向上の具体例を以下に示す。
【0049】
例えば、レーザにより絶縁層10にビアホール10xを形成する際には、大きな熱エネルギーが生じる。この場合、仮に、接合部分を低弾性率かつ高伸び率の樹脂からなる層(樹脂層Xとする)により被覆したとすると、導体層20と樹脂層Xとの熱膨張係数の差により生じる応力を十分に緩和できず、導体層20と樹脂層Xとの密着力が低下してしまう。導体層20と樹脂層Xとの密着力が低下すると、レーザによるビアホール10x形成後のデスミア処理において導体層20と樹脂層Xとの間でハローイング(機械的要因で生じる破壊又は剥離)が発生するおそれが高くなる。ハローイングが発生すると、隣接するビア配線間でショート不良が発生するため配線基板1の配線間の接続信頼性が低下する。
【0050】
これに対して、配線基板1では、接合部分は高弾性率かつ低伸び率の樹脂からなる第1樹脂層11により被覆されている。そのため、レーザにより絶縁層10にビアホール10xを形成する際に導体層20と第1樹脂層11との熱膨張係数の差により生じる応力が十分に緩和されるため、導体層20と第1樹脂層11と密着力を確保できる。その結果、レーザによるビアホール10x形成後のデスミア処理におけるハローイングの発生を抑制できるため、配線基板1の配線間の接続信頼性を向上できる。
【0051】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、絶縁層10の形成方法の他の例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0052】
図6は、第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板の製造工程を例示する図である。まず、第1の実施の形態の
図2(a)から
図3(b)と同様の工程を実行して
図6(a)の構造体を作製する。
【0053】
次に、
図6(b)に示す工程では、予め第1樹脂層11上に第2樹脂層12が積層された絶縁性多層フィルムからなる絶縁層10を準備する。そして、
図6(a)に示す構造体の絶縁層30の上面に導体層20を被覆するように絶縁層10をラミネートする。その後、絶縁層10を所定温度に加熱して硬化させる。必要に応じて、加圧しながら加熱してもよい。以降の工程は、第1の実施の形態の
図4(a)以降と同様である。
【0054】
このように、第1樹脂層11及び第2樹脂層12を絶縁層30の上面に順次積層して絶縁層10を形成してもよいし、予め第1樹脂層11上に第2樹脂層12が積層された絶縁性多層フィルムを絶縁層30の上面にラミネートして絶縁層10を形成してもよい。
【0055】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、導体層を被覆する第1樹脂層の形状が異なる例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0056】
図7は、第1の実施の形態の変形例2に係る配線基板を例示する断面図である。
図7を参照するに、第1の実施の形態の変形例2に係る配線基板1Aは、絶縁層10が絶縁層10Aに置換された点が配線基板1(
図1参照)と相違する。
【0057】
絶縁層10Aは、第1樹脂層11Aと、第2樹脂層12Aとを有する2層構造の層間絶縁層である。
【0058】
第1樹脂層11Aは、導体層20の上面及び側面を被覆している。但し、第1の実地の形態の第1樹脂層11とは異なり、第1樹脂層11Aは導体層20の上面及び側面に沿って形成され、絶縁層30の上面全面には延在していない。第1樹脂層11Aは、第1樹脂層11と同様の樹脂により構成することができる。
導体層20の上面に形成された第1樹脂層11Aの厚さ、及び導体層20の各々の側面に形成された第1樹脂層11Aの厚さは、例えば、5~10μm程度とすることができる。
【0059】
第2樹脂層12Aは、第1樹脂層11Aの上面及び側面を被覆するように、絶縁層30の上面に形成されている。第2樹脂層12Aは、第2樹脂層12と同様の樹脂により構成することができる。第2樹脂層12Aの厚さ(第1樹脂層11Aの上面から第2樹脂層12Aの上面までの厚さ)は、第1樹脂層11Aよりも厚く、例えば、50~150μm程度とすることができる。
【0060】
図8は、第2の実施の形態の変形例2に係る配線基板の製造工程を例示する図である。まず、第1の実施の形態の
図2(a)から
図3(b)と同様の工程を実行して
図8(a)の構造体を作製する。
【0061】
次に、
図8(b)に示す工程では、絶縁層30の上面に導体層20を被覆するように、Bステージ状態(半硬化状態)の第1樹脂層11Aを形成する。但し、第1樹脂層11Aは導体層20の上面及び側面に沿って形成し、絶縁層30の上面全面には延在させない。第1樹脂層11Aは、例えば、液状又はペースト状の樹脂をスクリーン印刷法やインクジェット印刷法等で絶縁層30の上面の所望の位置のみに塗布して形成できる。
【0062】
但し、
図3(c)と同様にBステージ状態(半硬化状態)のフィルム状の樹脂を絶縁層30の上面全面にラミネートし、その後不要部分をフォトリソグラフィ法やレーザ加工法等で除去し、導体層20の上面及び側面に沿った第1樹脂層11Aを形成してもよい。第1樹脂層11Aの材料や厚さは前述の通りである。なお、この工程では、第1樹脂層11Aの硬化は行わない。
【0063】
次に、
図8(c)に示す工程では、絶縁層30の上面に、第1樹脂層11Aの上面及び側面を被覆するようにBステージ状態(半硬化状態)の第2樹脂層12Aを形成する。第2樹脂層12Aは、例えば、絶縁層30の上面に、Bステージ状態(半硬化状態)のフィルム状の樹脂を第1樹脂層11Aの上面及び側面を被覆するようにラミネートすることで形成できる。或いは、絶縁層30の上面に、液状又はペースト状の樹脂をスクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等で第1樹脂層11Aの上面及び側面を被覆するように塗布して形成してもよい。第2樹脂層12Aの材料や厚さは前述の通りである。絶縁層30の上面に第1樹脂層11Aの上面及び側面を被覆する第2樹脂層12Aを積層後、第1樹脂層11A及び第2樹脂層12Aを所定温度に加熱して硬化させ、絶縁層10Aを作製する。必要に応じて、加圧しながら加熱してもよい。
【0064】
次に、
図8(d)に示す工程では、絶縁層10Aに、絶縁層10A(第2樹脂層12A及び第1樹脂層11A)を貫通し導体層20の上面を露出させるビアホール10xを形成する。ビアホール10xは、例えばCO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。レーザ加工法により形成したビアホール10xは、ソルダーレジスト層50が形成される側に開口されている開口部の径が導体層20の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部となる。ビアホール10xをレーザ加工法により形成した場合には、デスミア処理を行い、ビアホール10xの底部に露出する導体層20の上面に付着した絶縁層10Aの樹脂残渣を除去する。以降の工程は、第1の実施の形態の
図4(b)以降と同様である。
【0065】
このように、配線基板1Aの絶縁層10Aにおいて、高弾性率かつ低伸び率の樹脂からなる第1樹脂層11Aの厚さ(例えば、5~10μm)は、低弾性率かつ高伸び率の樹脂からなる第2樹脂層12Aの厚さ(例えば、50~150μm程度)よりも大幅に薄い。そして、配線基板1Aにおいて、第1樹脂層11Aは導体層20の上面及び側面に沿って形成され、絶縁層30の上面全面には延在していない。そのため、配線基板1Aにおいて絶縁層10A中に占める第1樹脂層11Aの割合は、配線基板1において絶縁層10中に占める第1樹脂層11の割合よりも少ない。その結果、配線基板1よりも更に可撓性に優れた配線基板1Aを実現できる。
【0066】
又、配線基板1Aでは、導体層40を構成するビア配線と、導体層20の上面(配線層22の上面)との接合部分は、配線基板1と同様に、高弾性率かつ低伸び率の樹脂からなる第1樹脂層11Aにより被覆されている。これにより、接合部分にかかる応力が緩和され、機械的な応力に対する接合部分の変形が少なくなるため、接合部分の接続信頼性を向上できる。例えば、配線基板1と同様に、レーザによるビアホール10x形成後のデスミア処理におけるハローイングの発生を抑制できるため、配線基板1Aの配線間の接続信頼性を向上できる。
【0067】
〈第1の実施の形態の変形例3〉
第1の実施の形態の変形例3では、絶縁層30に開口部を形成する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例3において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0068】
図9は、第1の実施の形態の変形例3に係る配線基板を例示する断面図である。
図9を参照するに、第1の実施の形態の変形例3に係る配線基板1Bは、絶縁層30に、絶縁層30を貫通し密着層21の下面を露出する開口部30xが形成されている点が配線基板1(
図1参照)と相違する。
【0069】
開口部30x内に露出する導体層20は、他の配線基板や半導体パッケージ、半導体チップ等と電気的に接続されるパッドとして機能する。又、必要に応じ、開口部30x内に露出する導体層20の下面に、例えば無電解めっき法により金属層を形成したり、OSP処理を施してもよい。金属層やOSP処理は、第1の実施の形態の金属層60やOSP処理と同様とすることができる。
【0070】
開口部30xは、例えばCO2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。レーザ加工法により形成した開口部30xは、絶縁層30の下面側に開口されている開口部の径が導体層20の下面(密着層21の下面)によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部となる。開口部30xをレーザ加工法により形成した場合には、デスミア処理を行い、開口部30xの底部に露出する導体層20の下面に付着した絶縁層30の樹脂残渣を除去する。
【0071】
図2(b)を参照して説明したように、密着層21は、例えば、無電解めっき法やスパッタ法等により絶縁層30の上面に形成される。すなわち、密着層21は、絶縁層30の上面に析出した層である。そのため、絶縁層30の上面と密着層21の下面との密着力は強固なものである。従って、レーザにより絶縁層30に開口部30xを形成する際に生じる熱エネルギーにより両者の密着力が大きく低下することはない。その結果、レーザによる開口部30x形成後のデスミア処理におけるハローイングの発生を抑制できるため、配線基板1Bの配線間の接続信頼性を向上できる。
【0072】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、絶縁層10が最下層となる例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0073】
図10は、第2の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。
図10を参照するに、第2の実施の形態に係る配線基板1Cは、絶縁層10の下面側に絶縁層30(
図1参照)に相当する絶縁層を有していなく、かつ、導体層20が導体層20Cに置換された点が配線基板1(
図1参照)と相違する。
【0074】
配線基板1Cでは、絶縁層10が最下層である。絶縁層10の第1樹脂層11は導体層20Cの上面及び側面を被覆し、導体層20Cの下面は第1樹脂層11の下面から露出している。第1樹脂層11の下面と導体層20Cの下面とは、例えば、面一とすることができる。但し、導体層20の下面が第1樹脂層11の下面よりも第1樹脂層11の上面側に窪んだ位置にあってもよい。
【0075】
導体層20Cは、密着層21に相当する層を有していなく、配線層22に相当する単一層からなる。導体層20Cの材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。導体層20Cの厚さは、例えば、10~20μm程度とすることができる。
【0076】
絶縁層10から露出する導体層20Cの下面を、他の配線基板や半導体パッケージ、半導体チップ等と電気的に接続されるパッドとして使用してもよい。又、必要に応じ、絶縁層10から露出する導体層20Cの下面に、例えば無電解めっき法により金属層を形成したり、OSP処理を施してもよい。金属層やOSP処理は、第1の実施の形態の金属層60やOSP処理と同様とすることができる。
【0077】
図11は、第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。まず、
図11(a)に示す工程では、上面が平坦面である金属箔(例えば、銅箔)からなる支持体300を準備し、支持体300の上面に導体層20Cの形成位置に対応する開口部310xを備えたレジスト層310を形成する。具体的には、例えば、支持体300の上面に、レジスト層310として感光性のドライフィルムレジストをラミネートし、露光及び現像をして開口部310xを形成する。
【0078】
次に、
図11(b)に示す工程では、レジスト層310の開口部310x内に露出する支持体300の上面に導体層20Cを形成する。導体層20Cは、例えば、支持体300を給電層に利用した電解めっき法により形成することができる。導体層20Cの材料や厚さは、前述の通りである。
【0079】
次に、
図11(c)に示す工程では、レジスト層310を除去する。そして、
図11(d)に示す工程では、支持体300の上面全面に導体層20Cを被覆するようにBステージ状態(半硬化状態)の第1樹脂層11を形成する。第1樹脂層11は、例えば、Bステージ状態(半硬化状態)のフィルム状の樹脂を支持体300の上面全面にラミネートすることで形成できる。或いは、液状又はペースト状の樹脂をスクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等で支持体300の上面全面に塗布して形成してもよい。第1樹脂層11の材料や厚さは前述の通りである。なお、この工程では、第1樹脂層11の硬化は行わない。以降の工程は、第1の実施の形態の
図3(d)以降と同様である。
【0080】
なお、支持体300と導体層20Cが共に銅からなる場合には、エッチングにより支持体300を除去する際に、導体層20Cの下面側がエッチングされ、導体層20の下面が第1樹脂層11の下面よりも第1樹脂層11の上面側に窪んだ位置に露出する。又、導体層20Cが銅からなり、支持体300がニッケル、クロム、鉄等、銅からなる導体層20とは異なるエッチング液で除去可能な金属箔からなる場合には、導体層20の下面が第1樹脂層11の下面と面一となる。
【0081】
このように、配線基板1Cにおいて、絶縁層10の下面側に絶縁層30(
図1参照)に相当する絶縁層を形成せず、かつ、導体層20を密着層21に相当する層を有しない配線層22に相当する単一層から形成してもよい。この場合にも、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0082】
〈第2の実施の形態の変形例1〉
第2の実施の形態の変形例1では、絶縁層30の形成方法の他の例を示す。なお、第2の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0083】
図12は、第2の実施の形態の変形例1に係る配線基板の製造工程を例示する図である。まず、第2の実施の形態の
図11(a)から
図11(c)と同様の工程を実行して
図12(a)の構造体を作製する。
【0084】
次に、
図12(b)に示す工程では、予め第1樹脂層11上に第2樹脂層12が積層された絶縁性多層フィルムからなる絶縁層10を準備する。そして、
図12(a)に示す構造体の支持体300の上面に導体層20Cを被覆するように絶縁層10をラミネートする。その後、絶縁層10を所定温度に加熱して硬化させる。必要に応じて、加圧しながら加熱してもよい。以降の工程は、第1の実施の形態の
図4(a)以降と同様である。
【0085】
このように、第1樹脂層11及び第2樹脂層12を支持体300の上面に順次積層して絶縁層10を形成してもよいし、予め第1樹脂層11上に第2樹脂層12が積層された絶縁性多層フィルムを支持体300の上面にラミネートして絶縁層10を形成してもよい。
【0086】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0087】
例えば、
図9に示す配線基板1Bや
図10に示す配線基板1Cにおいて、
図7に示す配線基板1Aと同様に、第1樹脂層11を導体層20の上面及び側面に沿って形成してもよい。これにより、配線基板1Bや配線基板1Cよりも更に可撓性に優れた配線基板を実現できる。
【符号の説明】
【0088】
1、1A、1B、1C 配線基板
10、30、30A 絶縁層
10x ビアホール
11、11A 第1樹脂層
12、12A 第2樹脂層
20、20C、40 導体層
21、41 密着層
22、42 配線層
30x、50x、310x、320x 開口部
50 ソルダーレジスト層
300 支持体
310、320 レジスト層