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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
H01L21/304 644G
H01L21/304 644C
H01L21/304 622Q
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018188817
(22)【出願日】2018-10-04
(65)【公開番号】P2019091886
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2017219031
(32)【優先日】2017-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】小寺 健治
(72)【発明者】
【氏名】中西 正行
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-223460(JP,A)
【文献】特開2003-007666(JP,A)
【文献】特開2015-233091(JP,A)
【文献】特開2015-002261(JP,A)
【文献】特開2008-177541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の周縁部を保持する基板保持面を有する回転可能な複数のローラーと、
基板の下面にスクラブ具を押し付けるスクラブヘッドと、
前記複数のローラーの軸心と平行に延びる回転軸と、
前記スクラブヘッドを前記回転軸に連結する連結部材と、
前記回転軸を回転させるヘッド回転機構と、
前記スクラブヘッドに設けられた処理液ノズルと、
前記処理液ノズルに連通する処理液供給ラインを備え、
前記スクラブヘッドおよび前記処理液ノズルは前記回転軸の軸心から偏心しており、
前記スクラブヘッドおよび前記処理液ノズルは、前記スクラブ具が前記基板の下面に押し付けられているときに、前記回転軸の周りを一体に円運動するように構成されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記スクラブヘッドの上方に配置された基板支持部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記基板支持部材は、前記基板の上面をクリーニングするためのロールスポンジ、または前記基板の上面を流体で支持する静圧プレートであることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記スクラブヘッドは、前記スクラブ具を支持するための上面を有しており、
前記処理液ノズルは、前記スクラブヘッド内に配置されており、前記処理液ノズルの液体出口は、前記スクラブヘッドの前記上面内に位置していることを特徴とする請求項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記回転軸を回転可能に支持する支持アームと、
前記支持アームに連結された平行移動機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記処理液供給ラインは、前記連結部材および前記回転軸内を延びており、ロータリージョイントを経由して処理液供給源に接続されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
基板の周縁部を複数のローラーで保持しながら前記複数のローラーをそれぞれの軸心を中心に回転させることで前記基板を回転させ、
スクラブヘッドおよび処理液ノズルを一体に回転軸の周りに円運動させながら、かつ前記回転軸を支持する支持アームを前記基板の下面と平行に移動させながら、前記スクラブヘッドでスクラブ具を前記基板の下面に押し付け、かつ前記処理液ノズルから前記基板の下面に処理液を供給することを特徴とする基板処理方法。
【請求項8】
前記スクラブヘッドで前記スクラブ具を前記基板の下面に押し付けているときに、基板支持部材で前記基板の上面を支持することを特徴とする請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
基板の下面の第1領域を保持する基板保持面を有する第1保持ステージと、
前記第1保持ステージを回転させる第1ステージ回転装置と、
基板の下面の第2領域を保持する基板保持面を有する第2保持ステージと、
前記第2保持ステージを回転させる第2ステージ回転装置と、
基板の下面にスクラブ具を押し付けるスクラブヘッドと、
前記第1保持部および前記第2保持部の前記基板保持面と垂直に延びる回転軸と、
前記スクラブヘッドを前記回転軸に連結する連結部材と、
前記回転軸を回転させるヘッド回転機構を備え、
前記第1領域は、前記基板の下面の中心点を含み、前記第2領域は、前記第1領域の外側に位置しており、
前記スクラブヘッドは前記回転軸の軸心から偏心していることを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
前記スクラブヘッドの上方に配置された基板支持部材をさらに備えたことを特徴とする請求項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記基板支持部材は、前記基板の上面をクリーニングするためのロールスポンジ、または前記基板の上面を流体で支持する静圧プレートであることを特徴とする請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記スクラブヘッドに設けられた処理液ノズルと、
前記処理液ノズルに連通する処理液供給ラインをさらに備えたことを特徴とする請求項乃至11のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記スクラブヘッドは、前記スクラブ具を支持するための上面を有しており、
前記処理液ノズルは、前記スクラブヘッド内に配置されており、前記処理液ノズルの液体出口は、前記スクラブヘッドの前記上面内に位置していることを特徴とする請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記回転軸を回転可能に支持する支持アームと、
前記支持アームに連結された平行移動機構をさらに備えたことを特徴とする請求項乃至13のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記処理液ノズルは前記回転軸の軸心から偏心しており、
前記スクラブヘッドおよび前記処理液ノズルは、前記スクラブ具が前記基板の下面に押し付けられているときに、前記回転軸の周りを一体に円運動するように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記処理液供給ラインは、前記連結部材および前記回転軸内を延びており、ロータリージョイントを経由して処理液供給源に接続されていることを特徴とする請求項15に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記第2領域は、前記基板の下面の最外縁を含む環状の領域であることを特徴とする請求項9乃至16のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハなどの基板の表面を処理する装置および方法に関し、特に基板の裏面にスクラブ具を摺接させることで、基板の裏面を構成する材料とともに、基板に付着した異物を除去する基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリー回路、ロジック回路、イメージセンサ(例えばCMOSセンサー)などのデバイスは、より高集積化されつつある。これらのデバイスを形成する工程においては、微粒子や塵埃などの異物がデバイスに付着することがある。デバイスに付着した異物は、配線間の短絡や回路の不具合を引き起こしてしまう。したがって、デバイスの信頼性を向上させるために、デバイスが形成されたウェーハを洗浄して、ウェーハ上の異物を除去することが必要とされる。
【0003】
ウェーハの裏面(非デバイス面)にも、上述したような微粒子や粉塵などの異物が付着することがある。このような異物がウェーハの裏面に付着すると、ウェーハが露光装置のステージ基準面から離間したりウェーハ表面がステージ基準面に対して傾き、結果として、パターニングのずれや焦点距離のずれが生じることとなる。このような問題を防止するために、ウェーハの裏面に付着した異物を除去することが必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-233091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の研磨ユニットは、基板回転機構によってウェーハを回転させながらウェーハ表面の研磨を行う(例えば、特許文献1参照)。基板回転機構は、ウェーハの周縁部を把持する複数のチャックと、これらチャックを介してウェーハを回転させる環状の中空モータとを備えている。ウェーハは、チャックによって被研磨面を上向きにして水平に保持され、中空モータによってウェーハの軸心を中心にチャックと共に回転される。研磨具を備えた研磨ヘッドは、ウェーハの上側に配置され、回転するチャックと接触しないようにするために、チャックによって把持されたウェーハの周縁部よりも内側に配置される。そのため、ウェーハの表面の最外部は研磨されず、ウェーハの表面の最外部は別途、エッジ研磨用のユニットで研磨する必要があった。
【0006】
上記研磨ユニットは、例えばウェーハの表面を研磨し、洗浄し、乾燥させる一連の工程を行うことができる基板処理システムに設けられる。このような基板処理システムでは、複数のウェーハは、その裏面が下を向いた状態で、ウェーハカセット内に収容されている。そのため、研磨ユニットでウェーハの裏面を研磨しようとする場合、ウェーハをウェーハカセットから研磨ユニットに搬送する過程でウェーハを反転させる必要があった。また、研磨されたウェーハをウェーハカセットに戻す前に、ウェーハを再度反転させる必要があった。しかしながら、このようにウェーハを反転させるときに、空気中の不純物がウェーハに付着しやすい。さらに、研磨処理が行われたウェーハはウエット状態であるため、ウェーハを反転させるときに、ウェーハ裏面の研磨処理で発生した研磨屑や、ウェーハ裏面から除去された汚染物質が、清浄度を保ちたいウェーハ表面側に回り込むことがある。また、ウェーハを反転させる工程が繰り返されるので全体の処理時間が増え、かつウェーハを反転させる反転機が必要となるため、基板処理システムの構成も複雑になるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、基板の裏面が下を向いた状態で、最外部を含む基板の裏面全体を効率的に処理することができる基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、基板の周縁部を保持する基板保持面を有する回転可能な複数のローラーと、基板の下面にスクラブ具を押し付けるスクラブヘッドと、前記複数のローラーの軸心と平行に延びる回転軸と、前記スクラブヘッドを前記回転軸に連結する連結部材と、前記回転軸を回転させるヘッド回転機構と、前記スクラブヘッドに設けられた処理液ノズルと、前記処理液ノズルに連通する処理液供給ラインを備え、前記スクラブヘッドおよび前記処理液ノズルは前記回転軸の軸心から偏心しており、前記スクラブヘッドおよび前記処理液ノズルは、前記スクラブ具が前記基板の下面に押し付けられているときに、前記回転軸の周りを一体に円運動するように構成されていることを特徴とする基板処理装置が提供される。
【0009】
一態様では、前記基板処理装置は、前記スクラブヘッドの上方に配置された基板支持部材をさらに備える。
一態様では、前記基板支持部材は、前記基板の上面をクリーニングするためのロールスポンジ、または前記基板の上面を流体で支持する静圧プレートである
態様では、前記スクラブヘッドは、前記スクラブ具を支持するための上面を有しており、前記処理液ノズルは、前記スクラブヘッド内に配置されており、前記処理液ノズルの液体出口は、前記スクラブヘッドの前記上面内に位置している。
一態様では、前記基板処理装置は、前記回転軸を回転可能に支持する支持アームと、前記支持アームに連結された平行移動機構をさらに備える。
【0010】
一態様では、基板の周縁部を複数のローラーで保持しながら前記複数のローラーをそれぞれの軸心を中心に回転させることで前記基板を回転させ、スクラブヘッドおよび処理液ノズルを一体に回転軸の周りに円運動させながら、かつ前記回転軸を支持する支持アームを前記基板の下面と平行に移動させながら、前記スクラブヘッドでスクラブ具を前記基板の下面に押し付け、かつ前記処理液ノズルから前記基板の下面に処理液を供給することを特徴とする基板処理方法が提供される。
【0011】
一態様では、前記スクラブヘッドで前記スクラブ具を前記基板の下面に押し付けているときに、基板支持部材で前記基板の上面を支持する
【0012】
一態様では、基板の下面の第1領域を保持する基板保持面を有する第1保持ステージと、前記第1保持ステージを回転させる第1ステージ回転装置と、基板の下面の第2領域を保持する基板保持面を有する第2保持ステージと、前記第2保持ステージを回転させる第2ステージ回転装置と、基板の下面にスクラブ具を押し付けるスクラブヘッドと、前記第1保持部および前記第2保持部の前記基板保持面と垂直に延びる回転軸と、前記スクラブヘッドを前記回転軸に連結する連結部材と、前記回転軸を回転させるヘッド回転機構を備え、前記第1領域は、前記基板の下面の中心点を含み、前記第2領域は、前記第1領域の外側に位置しており、前記スクラブヘッドは前記回転軸の軸心から偏心していることを特徴とする基板処理装置が提供される。
【0013】
一態様では、前記基板処理装置は、前記スクラブヘッドの上方に配置された基板支持部材をさらに備える。
一態様では、前記基板支持部材は、前記基板の上面をクリーニングするためのロールスポンジ、または前記基板の上面を流体で支持する静圧プレートである。
一態様では、前記基板処理装置は、前記スクラブヘッドに設けられた処理液ノズルと、前記処理液ノズルに連通する処理液供給ラインをさらに備える。
一態様では、前記スクラブヘッドは、前記スクラブ具を支持するための上面を有しており、前記処理液ノズルは、前記スクラブヘッド内に配置されており、前記処理液ノズルの液体出口は、前記スクラブヘッドの前記上面内に位置している。
一態様では、前記回転軸を回転可能に支持する支持アームと、前記支持アームに連結された平行移動機構をさらに備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ローラーの位置は固定であるので、基板の処理中にローラーはスクラブヘッドに接触しない。したがって、スクラブヘッドは、最外部を含む基板の下面全体にスクラブ具を接触させて、基板の下面全体を処理することができる。また、基板を反転させる必要がなくなるため、基板への空気中の不純物の付着や、裏面からの研磨屑や汚染物質の回り込みを防止し、かつ全体の処理時間を減らすことができる。さらに、基板を反転させる反転機が不要となるため、基板処理システムの構成を単純化し、費用を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】基板処理装置の一実施形態を示す模式図である。
図2】基板処理装置の上面図である。
図3】支持アームが最も外側に位置している状態を示す上面図である。
図4】ローラー回転機構を示す上面図である。
図5図4のA-A線断面図である。
図6】基板処理装置の他の実施形態を示す模式図である。
図7図6に示す基板処理装置の上面図である。
図8】基板処理装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。
図9図8に示す基板処理装置の上面図である。
図10】基板処理装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。
図11図10に示す基板処理装置の上面図である。
図12】第1保持ステージが下降し、第2保持ステージが上昇した状態を示す図である。
図13】基板処理装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。
図14図14に示す基板処理装置の上面図である。
図15】第1保持ステージが下降し、第2保持ステージが上昇した状態を示す図である。
図16】基板処理装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。
図17図16に示す基板処理装置の上面図である。
図18】第1保持ステージが下降し、第2保持ステージが上昇した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、基板処理装置の一実施形態を示す模式図である。図1に示す基板処理装置は、基板の一例であるウェーハWを保持し、その軸心を中心として回転させる基板保持部10と、スクラブ具31をこの基板保持部10に保持されたウェーハWの下面1に押し付けてウェーハWの下面1を処理するスクラブヘッド50を備えている。
【0017】
基板保持部10は、ウェーハWの周縁部に接触可能な複数のローラー11と、これらローラー11をそれぞれの軸心RCを中心に回転させるローラー回転機構12とを備えている。これらのローラー11は、ウェーハWの周縁部に接触してウェーハWを保持するウェーハ保持面(基板保持面)11aをそれぞれ有している。スクラブヘッド50の少なくとも一部は、ウェーハ保持面11aよりも下方に位置している。より具体的には、スクラブヘッド50は、基板保持部10に保持されているウェーハWの下側に配置されている。スクラブ具31は、ウェーハWの下面1を構成する材料とともに、ウェーハWに付着した異物を除去するための処理具である。スクラブ具31の例としては、砥粒を有する研磨テープ、不織布、スポンジ、研磨布、固定砥粒などが挙げられる。
【0018】
本実施形態では、ウェーハWの下面1は、デバイスが形成されていない、またはデバイスが形成される予定がないウェーハWの裏面、すなわち非デバイス面である。ウェーハWの裏面の例としては、シリコン面が挙げられる。ウェーハWの裏面に酸化膜が形成されている場合もある。ウェーハWの上面2は、デバイスが形成されている、またはデバイスが形成される予定である面、すなわちデバイス面である。本実施形態では、ウェーハWは、その裏面が下向きの状態で、基板保持部10に水平に保持される。
【0019】
基板処理装置は、各ローラー11の軸心RCと平行に延びる回転軸55と、スクラブヘッド50を回転軸55に連結する連結部材57をさらに備えている。回転軸55および連結部材57は、基板保持部10に保持されているウェーハWの下側に配置されている。各ローラー11の軸心RCおよび回転軸55の軸心は、基板保持部10に保持されているウェーハWの下面1に対して垂直である。スクラブヘッド50は、スクラブ具31を支持するための上面50aを有している。連結部材57は、回転軸55から半径方向外側に延びている。連結部材57の一端は回転軸55に固定され、スクラブヘッド50は連結部材57の他端に固定されている。したがって、スクラブヘッド50の中心は、回転軸55の軸心SCから離れている。すなわち、スクラブヘッド50は回転軸55の軸心SCから偏心している。
【0020】
回転軸55は、水平に延びる支持アーム60に回転可能に支持されている。より具体的には、回転軸55は支持アーム60の一端に回転可能に支持されており、支持アーム60の他端は旋回軸62に固定されている。旋回軸62は旋回モータ65に連結されており、旋回モータ65は支持アーム昇降装置67に連結されている。旋回軸62は、ローラー11の軸心RCおよび回転軸55と平行に延びている。旋回モータ65が旋回軸62を時計回りおよび反時計回りにある角度だけ回転させると、支持アーム60は旋回軸62を中心にスイングする。すなわち、支持アーム60は、ウェーハWの下面1(すなわちウェーハWの裏面)と平行な方向にスイングする。
【0021】
本実施形態では、旋回軸62および旋回モータ65は、支持アーム60をウェーハWの下面1(すなわちウェーハWの裏面)と平行に移動させる平行移動機構を構成する。平行移動機構が支持アーム60を移動させると、支持アーム60に連結されたスクラブヘッド50は円運動しながら、ウェーハWの下面1と平行に移動する。一実施形態では、平行移動機構は、支持アーム60に連結された直動ガイドおよびアクチュエータ(リニアモータ、またはボールねじ機構など)であってもよい。
【0022】
支持アーム昇降装置67は、旋回軸62および支持アーム60を一体に上昇および下降させるように構成されている。支持アーム昇降装置67は、エアシリンダ、またはモータとボールねじ機構との組み合わせなどから構成することができる。支持アーム60の上昇および下降に伴い、回転軸55、スクラブヘッド50、およびスクラブ具31も上昇および下降される。ウェーハWを基板保持部10に搬入するときは、支持アーム昇降装置67は、旋回軸62、支持アーム60、回転軸55、スクラブヘッド50、およびスクラブ具31を下降させる。ウェーハWの下面1をスクラブ具31で処理するときは、支持アーム昇降装置67は、旋回軸62、支持アーム60、回転軸55、スクラブヘッド50、およびスクラブ具31を上昇させ、スクラブヘッド50でスクラブ具31をウェーハWの下面1に押し付ける。
【0023】
支持アーム60内には、スクラブヘッド50および回転軸55を回転させるためのヘッド回転機構70が配置されている。ヘッド回転機構70は、ヘッド回転モータ71と、ヘッド回転モータ71の回転を回転軸55に伝達するためのトルク伝達装置72を備えている。トルク伝達装置72の構成は特に限定されないが、例えば、プーリーおよびベルトの組み合わせから構成することができる。ヘッド回転モータ71を駆動すると、回転軸55がその軸心SCを中心に回転し、これにより連結部材57およびスクラブヘッド50は回転軸55の周りを回転する。このスクラブヘッド50の回転は、回転軸55を中心とした円軌道上をスクラブヘッド50が移動する円運動である。スクラブヘッド50がその軸心を中心として回転する場合に比べて、円運動するスクラブヘッド50は、スクラブ具31の全体のウェーハWに対する相対速度を高めることができ、処理効率を高めることができる。
【0024】
スクラブヘッド50内には、ウェーハWの下面1に処理液を供給するための処理液ノズル80が設けられている。処理液ノズル80の形状および構成は特に限定されない。処理液ノズル80はスクラブヘッド50とは別部材であってもよいし、またはスクラブヘッド50と一体であってもよい。例えば、処理液ノズル80はスクラブヘッド50に固定されてもよいし、あるいは処理液ノズル80はスクラブヘッド50に形成された孔から構成されてもよい。一実施形態では、処理液ノズル80がスクラブヘッド50と一体に円運動する限りにおいて、処理液ノズル80はスクラブヘッド50の外側に位置してもよい。例えば、処理液ノズル80は、スクラブヘッド50の半径方向内側に位置してもよい。さらに、複数の処理液ノズル80をスクラブヘッド50に設けてもよい。
【0025】
基板処理装置は、処理液ノズル80に連通する処理液供給ライン82を備えている。処理液供給ライン82の先端は処理液ノズル80に接続されている。処理液供給ライン82は、連結部材57および回転軸55内を延びており、支持アーム60に固定されたロータリージョイント90を経由して処理液供給源(図示せず)に接続されている。処理液ノズル80に供給される処理液の例としては、純水、薬液(例えば、エッチング液や洗浄液)、スラリーなどが挙げられる。処理液ノズル80は、上方を向いており、かつスクラブヘッド50と一体に円運動する。本実施形態では、処理液ノズル80の液体出口はスクラブヘッド50の上面50a内に位置している。
【0026】
純水などの処理液は、処理液供給ライン82を通じて処理液ノズル80に供給され、処理液ノズル80からウェーハWの下面1に向かって吐出される。スクラブ具31が研磨テープなどの、液体を通さない構造を有する場合は、図1に示すように、処理液ノズル80に接続される通孔がスクラブ具31に形成される。この場合、処理液ノズル80は処理液をスクラブ具31の通孔を通じてウェーハWの下面1に供給する。スクラブ具31がスポンジなどの、液体を通す構造を有する場合は、処理液ノズル80は処理液をスクラブ具31を通じてウェーハWの下面1に供給することができる。
【0027】
処理液ノズル80はスクラブヘッド50とともに円運動しながら、処理液をウェーハWの下面1に供給することができる。すなわち、スクラブヘッド50および処理液ノズル80は一体に円運動しながら、処理液ノズル80は処理液をウェーハWの下面1に供給し、スクラブヘッド50は処理液の存在下でスクラブ具31をウェーハWの下面1に摺接させる。本実施形態によれば、スクラブ具31とウェーハWとの接触箇所に処理液が直接供給されるので、ウェーハWの処理に使用される処理液の量を少なくすることができる。さらに、ウェーハWの上面2に回り込む処理液の量を少なくすることができる。
【0028】
図2は、基板処理装置の上面図である。旋回軸62から基板保持部10の軸心CPまでの距離は、旋回軸62から回転軸55の軸心SCまでの距離に等しい。連結部材57の長さは、ウェーハWの半径よりも小さい。また、基板保持部10の軸心CPから回転軸55の軸心SCまでの距離は、基板保持部10の軸心CPから各ローラー11までの距離よりも短い。
【0029】
旋回モータ65を駆動させると、回転軸55、スクラブヘッド50、スクラブ具31、および処理液ノズル80は、一体にウェーハWの下面1(裏面)と平行に移動する。より具体的には、スクラブ具31がウェーハWの下面1に接触した状態で、スクラブヘッド50、スクラブ具31、および処理液ノズル80は、回転軸55の軸心SCの周りを円運動し、かつウェーハWの下面1(裏面)と平行にウェーハWの半径方向に移動する。処理液ノズル80は、円運動しながら、かつウェーハWの半径方向に移動しながら、処理液をウェーハWの下面1に供給する。処理液はスクラブ具31に接触し、スクラブ具31は処理液の存在下でウェーハWの下面1をこすり洗いする。
【0030】
スクラブヘッド50の円運動は、支持アーム60のスイング動作(すなわち平行移動)とは独立に行われる。スクラブヘッド50は、回転軸55の軸心SCから偏心しているので、図3から分かるように、支持アーム60の先端が最も外側に位置したとき、スクラブヘッド50は支持アーム60の先端よりも外側に位置することができる。したがって、スクラブヘッド50は、スクラブ具31をウェーハWの下面1の最外部に接触させることができる。すなわち、スクラブヘッド50の円運動と支持アーム60のスイング動作(平行移動)との組み合わせにより、スクラブヘッド50はスクラブ具31をウェーハWの下面1の中心のみならず、下面1の最外部にも接触させることができる。ウェーハWのスクラブ具31での処理中は、ウェーハWはローラー11によって回転されるので、スクラブ具31はウェーハWの下面1の全体に接触し、下面1の全体を処理することができる。
【0031】
ローラー11の位置は固定であるので、ウェーハWの処理中にローラー11はスクラブヘッド50に接触しない。したがって、スクラブヘッド50は、最外部を含むウェーハWの下面1(裏面)全体にスクラブ具31を接触させて、下面1の全体を処理することができる。結果として、ウェーハWの下面1の最外部をエッジ研磨用のユニットで研磨する必要がなくなり、処理工程を減らすことができる。また、ウェーハWを反転させる必要がなくなるため、ウェーハWへの空気中の不純物の付着や、裏面からの研磨屑や汚染物質の回り込みを防止し、かつ全体の処理時間を減らすことができる。さらに、エッジ研磨用のユニットやウェーハWを反転させる反転機が不要となるため、基板処理システムの構成を単純化し、費用を削減することができる。
【0032】
以下、基板処理装置の動作について説明する。ウェーハWの周縁部は、ローラー11のウェーハ保持面11aに保持される。ローラー回転機構12は、各ローラー11をそれぞれの軸心RCを中心に回転させることによって、ウェーハWをその軸心を中心に回転させる。スクラブ具31を支持しているスクラブヘッド50は、ヘッド回転機構70によって回転軸55の周りを円運動する。さらに、処理液供給ライン82を通じて処理液が処理液ノズル80に供給され、処理液はスクラブ具31の中心からウェーハWの下面1に供給される。
【0033】
支持アーム昇降装置67は、支持アーム60とともにスクラブヘッド50および処理液ノズル80を上昇させ、スクラブ具31をウェーハWの下面1に接触させる。さらに、旋回モータ65は支持アーム60をウェーハWの下面1と平行にスイングさせる。支持アーム60はスクラブヘッド50および処理液ノズル80をウェーハWの半径方向に移動させながら、円運動するスクラブヘッド50はスクラブ具31をウェーハWの下面1に摺接させる。結果として、ウェーハWの下面1の全体が、処理液の存在下でスクラブ具31によってこすり洗いされる。
【0034】
次に、基板保持部10の詳細について説明する。図1に示すように、基板保持部10は、上述した複数のローラー11と、これらローラー11をそれぞれの軸心RCを中心に回転させるローラー回転機構12を備えている。本実施形態では、4つのローラー11が設けられている。5つ以上のローラー11を設けてもよい。ウェーハWの周縁部に接触しているときの(すなわちウェーハWを保持しているときの)上記複数のローラー11は、基板保持部10の軸心CPから同じ距離にある。
【0035】
図4は、ローラー回転機構12を示す上面図である。ローラー回転機構12は、4つのローラー11のうちの2つを連結する第1ベルト14Aと、第1ベルト14Aで連結された2つのローラー11のうちの一方に連結された第1モータ15Aと、第1ベルト14Aで連結された2つのローラー11を回転可能に支持する第1ローラー台16Aと、4つのローラー11のうちの他の2つを連結する第2ベルト14Bと、第2ベルト14Bで連結された2つのローラー11のうちの一方に連結された第2モータ15Bと、第2ベルト14Bで連結された2つのローラー11を軸受24B(図1参照)を介して回転可能に支持する第2ローラー台16Bとを備える。
【0036】
図1に示すように、第1ローラー台16Aは、上側第1ローラー台17Aと、下側第1ローラー台17Bとを備えている。第1モータ15Aおよび第1ベルト14Aは第1ローラー台16Aの下方に配置されている。第2モータ15Bおよび第2ベルト14Bは第2ローラー台16Bの下方に配置されている。第1モータ15Aは、第1モータ支持体25Aを介して第1ローラー台16Aに固定されている。第2モータ15Bは、第2モータ支持体25Bを介して第2ローラー台16Bの下面に固定されている。
【0037】
図5は、図4のA-A線断面図である。図5に示すように、第1ローラー台16Aは、第1ベルト14Aで連結された2つのローラー11を回転可能に支持する軸受24A(図1参照)を有する下側第1ローラー台17Bと、下側第1ローラー台17Bに固定されたピボット軸17Cと、ピボット軸17Cを回転可能に支持する軸受24Cを有する上側第1ローラー台17Aとを備えている。上側第1ローラー台17Aと下側第1ローラー台17Bは、ピボット軸17Cを介して互いに連結されている。図4に示すように、ピボット軸17Cは、第1ベルト14Aで連結された2つのローラー11の間に位置している。
【0038】
図1に示すように、第1モータ15Aは、第1モータ支持体25Aを介して下側第1ローラー台17Bの下面に固定されている。したがって、第1ベルト14A、第1ベルト14Aで連結された2つのローラー11、下側第1ローラー台17B、第1モータ15A、および第1モータ支持体25Aは一体に、ピボット軸17Cを中心に回転可能である。
【0039】
ローラー回転機構12は、4つのローラー11を同じ方向に同じ速度で回転させるように構成されている。ウェーハWの下面1の処理中、ウェーハWの周縁部は、ローラー11によって把持される。ウェーハWは水平に保持され、ローラー11の回転によってウェーハWはその軸心を中心に回転される。ウェーハWの下面1の処理中、4つのローラー11はそれぞれの軸心を中心に回転するが、ローラー11自体の位置は静止している。
【0040】
4つのローラー11の下部にはプーリー22がそれぞれ固定されている。第1ベルト14Aは、4つのローラー11のうちの2つに固定されたプーリー22に掛けられ、第2ベルト14Bは他の2つのローラー11に固定されたプーリー22に掛けられている。第1モータ15Aおよび第2モータ15Bは同じ速度で同じ方向に回転するように構成されている。したがって、4つのローラー11は、同じ速度で同じ方向に回転することができる。
【0041】
図4に示すように、ローラー回転機構12は、第1ローラー台16Aの上側第1ローラー台17A(図1参照)に連結された第1アクチュエータ18Aと、第2ローラー台16Bに連結された第2アクチュエータ18Bをさらに備えている。第1アクチュエータ18Aは、第1ローラー台16Aに支持されている2つのローラー11を矢印で示すように水平方向に移動させる。同様に、第2アクチュエータ18Bは、第2ローラー台16Bに支持されている他の2つのローラー11を矢印で示すように水平方向に移動させる。すなわち、第1アクチュエータ18Aおよび第2アクチュエータ18Bは、2組のローラー11(本実施形態では各組は2つのローラー11からなる)を互いに近づく方向および離間する方向に移動させるように構成されている。第1アクチュエータ18Aおよび第2アクチュエータ18Bは、エアシリンダまたはモータ駆動型アクチュエータなどから構成することができる。本実施形態では、第1アクチュエータ18Aおよび第2アクチュエータ18Bはエアシリンダから構成されている。
【0042】
図1に示すように、第1アクチュエータ18Aおよび第2アクチュエータ18Bは、ベースプレート23の下面に固定されている。ローラー11は、ベースプレート23を貫通して上方に延びている。ベースプレート23の下面には第1直動ガイド26Aおよび第2直動ガイド26Bが固定されている。第1直動ガイド26Aの可動部は上側第1ローラー台17Aに連結されており、第2直動ガイド26Bの可動部は第2ローラー台16Bに連結されている。2つの直動ガイド26A,26Bは、ローラー11の動きを水平方向への直線運動に制限する。
【0043】
2組のローラー11が互いに近づく方向に移動すると、ウェーハWは4つのローラー11によって保持される。4つのローラー11のうちの2つはピボット軸17Cの周りを回転可能であるので、4つのローラー11がウェーハWを保持しているとき、上記2つのローラー11の位置が自動的に調整される。2組のローラー11が互いに離れる方向に移動すると、ウェーハWは4つのローラー11から解放される。本実施形態では、基板保持部10の軸心CPの周りに配列された4つのローラー11が設けられているが、ローラー11の数は4つに限定されない。例えば、3つのローラー11を120度の角度で等間隔で軸心CPの周りに配列し、それぞれのローラー11に対して、アクチュエータを1つずつ設けるようにしてもよい。一実施形態では、3つのローラー11を120度の角度で等間隔で軸心CPの周りに配列し、3つのローラー11のうちの2つを第1ベルト14Aで連結し、第1ベルト14Aで連結された2つのローラー11と、第1ベルト14Aで連結されていないローラー11に対して、アクチュエータを1つずつ設けてもよい。
【0044】
図1に示すように、基板保持部10に保持されたウェーハWの上方には、ウェーハWの上面2に保護液(例えば純水)を供給する保護液供給ノズル28が配置されている。保護液供給ノズル28は、図示しない保護液供給源に接続されている。保護液供給ノズル28はウェーハWの上面2の中心を向いて配置されている。保護液は、保護液供給ノズル28からウェーハWの上面2の中心に供給され、遠心力により保護液はウェーハWの上面2上を広がる。保護液は、ウェーハWの処理で生じた材料屑や異物を含む処理液がウェーハWの上面2に回り込んでウェーハWの第2の面に付着することを防止する。その結果、ウェーハWの上面2を清浄に保つことができる。
【0045】
図6は、基板処理装置の他の実施形態を示す模式図であり、図7図6に示す基板処理装置の上面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図1乃至図5を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。図6および図7に示すように、本実施形態の基板処理装置は、ウェーハWの裏面、すなわち下面1の処理中に、ウェーハWの上面2を支持するウェーハ支持部材(基板支持部材)としてのロールスポンジ95を備えている。ロールスポンジ95は、スクラブヘッド50の上方に配置されている。ロールスポンジ95は、ロールスポンジ回転装置97に連結されており、ロールスポンジ回転装置97によってロールスポンジ95はその軸心を中心に回転されるようになっている。
【0046】
ロールスポンジ回転装置97はロールスポンジ昇降装置98に接続されており、ロールスポンジ95およびロールスポンジ回転装置97はロールスポンジ昇降機構98によって上昇および下降されるようになっている。より具体的には、ウェーハWを基板保持部10に搬入するときは、ロールスポンジ昇降機構98はロールスポンジ95を上昇させる。ウェーハWの下面1をスクラブ具31で処理するときは、ロールスポンジ昇降機構98はロールスポンジ95を下降させて、ウェーハWの上面2(上面)に接触させる。
【0047】
ウェーハWの下面1のスクラブ具31での処理中、保護液供給ノズル28から保護液(例えば純水)をウェーハWの上面2に供給しながら、ロールスポンジ95はロールスポンジ回転装置97によって回転される。ロールスポンジ95は、保護液の存在下でウェーハWの上面2をクリーニングする。
【0048】
図7に示すように、ロールスポンジ95を上から見たときに、ロールスポンジ95の長手方向は、基板保持部10の軸心CPと旋回軸62とを結んだ直線に垂直である。また、ロールスポンジ95の軸方向長さは、ウェーハWの直径よりも大きい。スクラブヘッド50とロールスポンジ95はウェーハWを挟むように配置されており、スクラブヘッド50からウェーハWに加えられる上向きの力は、スクラブヘッド50の真上からロールスポンジ95によって支持される。結果として、ウェーハWの下面1の処理中のウェーハWの撓みが防止される。
【0049】
図8は、基板処理装置のさらに他の実施形態を示す模式図であり、図9図8に示す基板処理装置の上面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図6および図7を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。図8および図9に示すように、本実施形態の基板処理装置は、ウェーハWの裏面、すなわち下面1の処理中に、ウェーハWの上面2を支持するウェーハ支持部材(基板支持部材)としての静圧プレート100を備えている。静圧プレート100は、スクラブヘッド50の上方に配置されている。
【0050】
静圧プレート100は、ローラー11に保持されたウェーハWの上面2に流体を接触させてウェーハWを流体で支持するように構成されている。静圧プレート100は、ローラー11に保持されたウェーハWの上面2に近接した基板支持面101を有している。さらに、静圧プレート100は、基板支持面101に形成された複数の流体噴射口104と、流体噴射口104に接続された流体供給路102を備えている。静圧プレート100は、基板保持部10に保持されているウェーハWの上方に配置され、基板支持面101はウェーハWの上面2から僅かに離れている。流体供給路102は、図示しない流体供給源に接続されている。本実施形態の基板支持面101は四角形であるが、円形または他の形状を有していてもよい。
【0051】
静圧プレート100は、流体(例えば、純水などの液体)を流体供給路102を通じて複数の流体噴射口104に供給し、基板支持面101とウェーハWの上面2との間の空間を流体で満たす。ウェーハWは、基板支持面101とウェーハWの上面2との間に存在する流体によって支持される。スクラブヘッド50と静圧プレート100の基板支持面101はウェーハWを挟むように配置されており、スクラブヘッド50からウェーハWに加えられる上向きの力は、スクラブヘッド50の真上から静圧プレート100によって支持される。結果として、ウェーハWの下面1の処理中のウェーハWの撓みが防止される。流体として純水が使用される場合は、保護液供給ノズル28は省略してもよい。
【0052】
静圧プレート100は静圧プレート移動機構110に接続されており、静圧プレート100は静圧プレート移動機構110によってウェーハWの直上の支持位置と、この支持位置よりも高い退避位置との間で移動されるようになっている。より具体的には、ウェーハWを基板保持部10に搬入するときは、静圧プレート移動機構110は静圧プレート100を退避位置に移動させ、ウェーハWの下面1をスクラブ具31で処理するときは、静圧プレート移動機構110は静圧プレート100を支持位置に移動させる。
【0053】
図10は、基板処理装置のさらに他の実施形態を示す模式図であり、図11は、図10に示す基板処理装置の上面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図1乃至図5を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、基板保持部10は、ウェーハWの下面1の第1領域R1を保持する第1保持部10Aと、ウェーハWの下面1の第2領域R2を保持する第2保持部10Bを備えている。
【0054】
ウェーハWの下面1の第1領域R1は、ウェーハWの下面1の中心点Oを含む領域である。ウェーハWの下面1の第2領域R2は、第1領域R1の外側に位置する領域であって、下面1の最外縁を含む領域である。第1領域R1は、下面1の最外縁を含まず、第2領域R2は、下面1の中心点Oを含まない。本実施形態では、第1領域R1は円形であり、第2領域R2は環状である。ウェーハWの下面1は、第1保持部10Aと第2保持部10Bに交互に保持される。上述した各実施形態と同様に、スクラブヘッド50、回転軸55、および連結部材57は、基板保持部10に保持されているウェーハWの下側に配置されている。
【0055】
第1保持部10Aは、ウェーハWの下面1の第1領域R1を保持する第1保持ステージ111と、第1保持ステージ111に連結されたステージ軸112と、ステージ軸112に連結された第1ステージ回転装置115と、第1保持ステージ111を上昇および下降させる第1ステージ昇降機構117を備えている。本実施形態では、第1ステージ回転装置115は、少なくとも電動機を備えている。
【0056】
第1保持ステージ111は、ウェーハWの直径よりも小さな直径を持つ円形の基板保持面(上面)111aを有している。第1保持ステージ111は、第1バキュームライン118に接続されている。第1保持ステージ111の基板保持面111aには、第1バキュームライン118に連通する複数のバキューム開口111bが形成されている。バキューム開口111b内に真空圧が形成されると、ウェーハWの下面1の第1領域R1は真空吸引により第1保持ステージ111の基板保持面111a上に保持される。本実施形態では複数のバキューム開口111bが設けられているが、1つのバキューム開口111bが設けられてもよい。また、バキューム開口111bの形状は、特に限定されず、例えば円形や、溝状であってもよい。
【0057】
第1ステージ昇降機構117は、第1ステージ回転装置115に連結されており、第1ステージ回転装置115、ステージ軸112、および第1保持ステージ111を一体に上昇および下降させることが可能に配置されている。第1ステージ昇降機構117としては、エアシリンダ、またはサーボモータとボールねじ機構との組み合わせなどから構成することができる。
【0058】
第2保持部10Bは、ウェーハWの下面1の第2領域R2を保持する第2保持ステージ122と、第2保持ステージ122を上昇および下降させる第2ステージ昇降機構124を備えている。第2保持ステージ122を回転させるための回転装置は設けられていない。第2保持ステージ122は、ウェーハWの下面1の第2領域R2のみに接触し、ウェーハWの下面1の第1領域R1には接触しない形状を有している。本実施形態では、図11に示すように、第2保持ステージ122は、ウェーハWの下面1の第2領域R2のみに接触可能な環状のステージであり、環状の基板保持面(上面)122aを有している。第1ステージ回転装置115、ステージ軸112、および第1保持ステージ111は、環状の第2保持ステージ122の内側に位置している。回転軸55は、第1保持部10Aの基板保持面111aおよび第2保持部10Bの基板保持面122aと垂直に延びる。
【0059】
第2保持ステージ122は、第2バキュームライン126に接続されている。第2保持ステージ122の基板保持面122aには、第2バキュームライン126に連通する複数のバキューム開口123が形成されている。バキューム開口123内に真空圧が形成されると、ウェーハWの下面1の第2領域R2は真空吸引により第2保持ステージ122の基板保持面122a上に保持される。本実施形態では複数のバキューム開口123が設けられているが、1つのバキューム開口123が設けられてもよい。また、バキューム開口123の形状は、特に限定されず、例えば円形や、溝状であってもよい。第2保持ステージ122は、保持ブロック128を介して第2ステージ昇降機構124に連結されている。保持ブロック128は、第2保持ステージ122および第2ステージ昇降機構124に固定されている。
【0060】
次に、図10および図11に示す基板処理装置の動作について説明する。まず、図10に示すように、第2ステージ昇降機構124は、第2保持ステージ122を下降させ、第1ステージ昇降機構117は、第1保持ステージ111を、第2保持ステージ122よりも高い位置に上昇させる。ウェーハWの下面1の第1領域R1は、第1保持ステージ111の円形の基板保持面111a上に保持され、さらに、第1ステージ回転装置115により第1保持ステージ111およびウェーハWが一体に回転される。保護液供給ノズル28は、保護液をウェーハWの上面2の中心に供給する。保護液は、遠心力によりウェーハWの上面2上を広がる。
【0061】
スクラブ具31を支持しているスクラブヘッド50は、ヘッド回転機構70によって回転軸55の周りを円運動する。さらに、処理液が処理液供給ライン82を通じて処理液ノズル80に供給され、処理液はスクラブ具31の中心からウェーハWの下面1に供給される。支持アーム昇降装置67は、支持アーム60とともにスクラブヘッド50および処理液ノズル80を上昇させ、円運動するスクラブ具31をウェーハWの下面1の第2領域R2に接触させる。ウェーハWの下面1の第2領域R2は、処理液の存在下でスクラブ具31によってこすり洗いされる。円運動するスクラブヘッド50が第1保持ステージ111に接触しない範囲内で、旋回モータ65はスクラブヘッド50および処理液ノズル80をウェーハWの半径方向に移動させてもよい。
【0062】
次に、ウェーハWの下面1の第1領域R1が以下のように処理される。まず、旋回モータ65は、支持アーム60を旋回させて、スクラブヘッド50をウェーハWの外側に移動させる。その後、図12に示すように、第2ステージ昇降機構124は、第2保持ステージ122を上昇させ、ウェーハWの下面1の第2領域R2を第2保持ステージ122の環状の基板保持面122aで保持する。第1保持ステージ111は、ウェーハWをリリースし、第1ステージ昇降機構117は、第1保持ステージ111を、第2保持ステージ122および支持アーム60よりも低い位置に下降させる。次いで、旋回モータ65は、支持アーム60を旋回させて、スクラブヘッド50をウェーハWの下面1の第1領域R1の下方に移動させる。保護液供給ノズル28は、保護液をウェーハWの上面2の中心に供給する。
【0063】
スクラブ具31を支持しているスクラブヘッド50は、ヘッド回転機構70によって回転軸55の周りを円運動する。さらに、処理液が処理液供給ライン82を通じて処理液ノズル80に供給され、処理液はスクラブ具31の中心からウェーハWの下面1に供給される。支持アーム昇降装置67は、支持アーム60とともにスクラブヘッド50および処理液ノズル80を上昇させ、円運動するスクラブ具31をウェーハWの下面1の第1領域R1に接触させる。さらに、旋回モータ65は支持アーム60をウェーハWの下面1と平行にスイングさせる。ウェーハWおよび第2保持ステージ122は、回転しない。スクラブヘッド50が第2保持ステージ122に接触しない範囲内で、旋回モータ65はスクラブヘッド50および処理液ノズル80をウェーハWの半径方向に移動させながら、円運動するスクラブヘッド50はスクラブ具31をウェーハWの下面1の第1領域R1に摺接させる。ウェーハWの下面1の第1領域R1は、処理液の存在下でスクラブ具31によってこすり洗いされる。
【0064】
以上の説明では、ウェーハWの下面1の第2領域R2が先にスクラブ具31によって処理され、その後、ウェーハWの下面1の第1領域R1がスクラブ具31によって処理される。一実施形態では、ウェーハWの下面1の第1領域R1が先にスクラブ具31によって処理され、その後、ウェーハWの下面1の第2領域R2がスクラブ具31によって処理されてもよい。
【0065】
図13は、基板処理装置のさらに他の実施形態を示す模式図であり、図14は、図13に示す基板処理装置の上面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図10乃至図12を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0066】
第1保持部10Aは、図10乃至図12に示す実施形態と同じ構成である。第2保持部10Bは、ウェーハWの下面1の第2領域R2を保持する第2保持ステージ122と、第2保持ステージ122を支持するステージ支持部材130と、第2保持ステージ122をその軸心を中心に回転させる第2ステージ回転装置131と、第2保持ステージ122およびステージ支持部材130を上昇および下降させる第2ステージ昇降機構124を備えている。第2保持ステージ122は、ウェーハWの下面1の第2領域R2のみに接触可能な環状のステージであり、環状の基板保持面(上面)122aを有している。第1ステージ回転装置115、ステージ軸112、および第1保持ステージ111は、環状の第2保持ステージ122の内側に位置している。
【0067】
第2保持ステージ122の下面は、環状のロータリージョイント135に固定されており、ロータリージョイント135はステージ支持部材130に固定されている。第2保持ステージ122はロータリージョイント135によって回転可能に支持されている。ロータリージョイント135には第2バキュームライン126が接続されている。第2保持ステージ122の基板保持面(上面)122aには、ロータリージョイント13を通じて第2バキュームライン126に連通する複数のバキューム開口123が形成されている。バキューム開口123に真空圧が形成されると、ウェーハWの下面1の第2領域R2は真空吸引により第2保持ステージ122の基板保持面122a上に保持される。本実施形態では複数のバキューム開口123が設けられているが、1つのバキューム開口123が設けられてもよい。また、バキューム開口123の形状は、特に限定されず、例えば円形や、溝状であってもよい。ロータリージョイント135は、第2バキュームライン126に対する第2保持ステージ122の相対的な回転を許容しつつ、第2保持ステージ122と第2バキュームライン126との流体的連通を確立することができる装置である。
【0068】
第2ステージ回転装置131は、ステージ支持部材130に固定された第2ステージ回転モータ137と、第2ステージ回転モータ137の駆動軸137aに固定されたプーリー140と、プーリー140および第2保持ステージ122の外周面に掛けられたベルト141を備えている。第2ステージ回転モータ137が作動すると、第2ステージ回転モータ137の駆動軸137aの回転は、プーリー140およびベルト141を通じて第2保持ステージ122に伝達され、第2保持ステージ122がその軸心を中心に回転する。第2ステージ昇降機構124はステージ支持部材130に連結されている。ステージ支持部材130、第2ステージ回転装置131、および第2保持ステージ122は、第2ステージ昇降機構124によって一体に上昇および下降される。
【0069】
次に、図13および図14に示す基板処理装置の動作について説明する。まず、図13に示すように、第2ステージ昇降機構124は、第2保持ステージ122を下降させ、第1ステージ昇降機構117は、第1保持ステージ111を、第2保持ステージ122よりも高い位置に上昇させる。ウェーハWの下面1の第1領域R1は、第1保持ステージ111により保持され、さらに、第1ステージ回転装置115により第1保持ステージ111およびウェーハWが一体に回転される。保護液供給ノズル28は、保護液をウェーハWの上面2の中心に供給する。保護液は、遠心力によりウェーハWの上面2上を広がる。
【0070】
スクラブ具31を支持しているスクラブヘッド50は、ヘッド回転機構70によって回転軸55の周りを円運動する。さらに、処理液が処理液供給ライン82を通じて処理液ノズル80に供給され、処理液はスクラブ具31の中心からウェーハWの下面1に供給される。支持アーム昇降装置67は、支持アーム60とともにスクラブヘッド50および処理液ノズル80を上昇させ、円運動するスクラブ具31をウェーハWの下面1の第2領域R2に接触させる。ウェーハWの下面1の第2領域R2は、処理液の存在下でスクラブ具31によってこすり洗いされる。円運動するスクラブヘッド50が第1保持ステージ111に接触しない範囲内で、旋回モータ65はスクラブヘッド50および処理液ノズル80をウェーハWの半径方向に移動させてもよい。
【0071】
次に、ウェーハWの下面1の第1領域R1が以下のように処理される。まず、旋回モータ65は、支持アーム60を旋回させて、スクラブヘッド50をウェーハWの外側に移動させる。その後、図15に示すように、第2ステージ昇降機構124は、第2保持ステージ122を上昇させ、ウェーハWの下面1の第2領域R2を第2保持ステージ122の環状の基板保持面122aで保持する。第1保持ステージ111は、ウェーハWをリリースし、第1ステージ昇降機構117は、第1保持ステージ111を、第2保持ステージ122および支持アーム60よりも低い位置に下降させる。次いで、第2ステージ回転装置131は、第2保持ステージ122およびウェーハWを一体に回転させる。旋回モータ65は、支持アーム60を回転させて、スクラブヘッド50をウェーハWの下面1の第1領域R1の下方に移動させる。保護液供給ノズル28は、保護液をウェーハWの上面2の中心に供給する。保護液は、遠心力によりウェーハWの上面2上を広がる。
【0072】
スクラブ具31を支持しているスクラブヘッド50は、ヘッド回転機構70によって回転軸55の周りを円運動する。さらに、処理液が処理液供給ライン82を通じて処理液ノズル80に供給され、処理液はスクラブ具31の中心からウェーハWの下面1に供給される。支持アーム昇降装置67は、支持アーム60とともにスクラブヘッド50および処理液ノズル80を上昇させ、円運動するスクラブ具31をウェーハWの下面1の第1領域R1に接触させる。さらに、旋回モータ65は支持アーム60をウェーハWの下面1と平行にスイングさせる。スクラブヘッド50が第2保持ステージ122に接触しない範囲内で、旋回モータ65はスクラブヘッド50および処理液ノズル80をウェーハWの半径方向に移動させながら、円運動するスクラブヘッド50はスクラブ具31をウェーハWの下面1の第1領域R1に摺接させる。ウェーハWはその軸心を中心に回転されながら、ウェーハWの下面1の第1領域R1は、処理液の存在下でスクラブ具31によってこすり洗いされる。
【0073】
以上の説明では、ウェーハWの下面1の第2領域R2が先にスクラブ具31によって処理され、その後、ウェーハWの下面1の第1領域R1がスクラブ具31によって処理される。一実施形態では、ウェーハWの下面1の第1領域R1が先にスクラブ具31によって処理され、その後、ウェーハWの下面1の第2領域R2がスクラブ具31によって処理されてもよい。
【0074】
図16は、基板処理装置のさらに他の実施形態を示す模式図であり、図17は、図16に示す基板処理装置の上面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図10乃至図12を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0075】
第1保持部10Aは、図10乃至図12に示す実施形態と同じ構成である。第2保持部10Bは、ウェーハWの下面1の第2領域R2を保持する一対の第2保持ステージ122A,122Bと、第2保持ステージ122A,122Bを支持するステージ支持部材130と、第2保持ステージ122A,122Bおよびステージ支持部材130を上昇および下降させる第2ステージ昇降機構124を備えている。
【0076】
第2保持ステージ122A,122Bは、ウェーハWの下面1の第2領域R2のみに接触可能な形状を有する。本実施形態では、第2保持ステージ122A,122Bは、第1保持ステージ111の基板保持面111aと平行であって、かつ互いに平行な棒状の部材から構成されている。第2保持ステージ122A,122Bは、互いに離れており、同じ高さにある基板保持面122a,122bをそれぞれ有している。上から見たときの第1ステージ回転装置115、ステージ軸112、および第1保持ステージ111は、第2保持ステージ122A,122Bの間に位置している。したがって、第2保持ステージ122A,122Bは、ウェーハWの下面1の第1領域R1には接触しない。
【0077】
第2保持ステージ122A,122Bには第2バキュームライン126がそれぞれ接続されている。第2保持ステージ122A,122Bの基板保持面(上面)122a,122bには、第2バキュームライン126に連通する複数のバキューム開口123が形成されている。このバキューム開口123に真空圧が形成されると、ウェーハWの下面1の第2領域R2は真空吸引により第2保持ステージ122A,122Bの基板保持面122a,122b上に保持される。
【0078】
本実施形態では複数のバキューム開口123が設けられているが、1つのバキューム開口123が設けられてもよい。また、バキューム開口123の形状は、特に限定されず、例えば円形や、溝状であってもよい。バキューム開口123の位置の例としては、ウェーハWの下面1の最外縁、最外縁と第1領域R1との間の位置などが挙げられる。本実施形態では、第2保持ステージ122A,122Bの基板保持面122a,122bは、ウェーハWの下面1の最外縁を含む細長い領域を保持する。一実施形態では、第2保持ステージ122A,122Bの基板保持面122a,122bは、ウェーハWの下面1の最外縁のみを保持してもよい。
【0079】
次に、図16および図17に示す基板処理装置の動作について説明する。まず、図16に示すように、第2ステージ昇降機構124は、第2保持ステージ122A,122Bを下降させ、第1ステージ昇降機構117は、第1保持ステージ111を、第2保持ステージ122A,122Bよりも高い位置に上昇させる。ウェーハWの下面1の第1領域R1は、第1保持ステージ111により保持され、さらに、第1ステージ回転装置115により第1保持ステージ111およびウェーハWが一体に回転される。保護液供給ノズル28は、保護液をウェーハWの上面2の中心に供給する。保護液は、遠心力によりウェーハWの上面2上を広がる。
【0080】
スクラブ具31を支持しているスクラブヘッド50は、ヘッド回転機構70によって回転軸55の周りを円運動する。さらに、処理液が処理液供給ライン82を通じて処理液ノズル80に供給され、処理液はスクラブ具31の中心からウェーハWの下面1に供給される。支持アーム昇降装置67は、支持アーム60とともにスクラブヘッド50および処理液ノズル80を上昇させ、円運動するスクラブ具31をウェーハWの下面1の第2領域R2に接触させる。ウェーハWの下面1の第2領域R2は、処理液の存在下でスクラブ具31によってこすり洗いされる。円運動するスクラブヘッド50が第1保持ステージ111に接触しない範囲内で、旋回モータ65はスクラブヘッド50および処理液ノズル80をウェーハWの半径方向に移動させてもよい。
【0081】
次に、ウェーハWの下面1の第1領域R1が以下のように処理される。まず、旋回モータ65は、支持アーム60を旋回させて、スクラブヘッド50をウェーハWの外側に移動させる。その後、図18に示すように、第2ステージ昇降機構124は、第2保持ステージ122A,122Bを上昇させ、ウェーハWの下面1の第2領域R2を第2保持ステージ122A,122Bの基板保持面122a,122bで保持する。第1保持ステージ111は、ウェーハWをリリースし、第1ステージ昇降機構117は、第1保持ステージ111を、第2保持ステージ122A,122Bおよび支持アーム60よりも低い位置に下降させる。旋回モータ65は、支持アーム60を回転させて、スクラブヘッド50をウェーハWの下面1の第1領域R1の下方に移動させる。保護液供給ノズル28は、保護液をウェーハWの上面2の中心に供給する。
【0082】
スクラブ具31を支持しているスクラブヘッド50は、ヘッド回転機構70によって回転軸55の周りを円運動する。さらに、処理液が処理液供給ライン82を通じて処理液ノズル80に供給され、処理液はスクラブ具31の中心からウェーハWの下面1に供給される。支持アーム昇降装置67は、支持アーム60とともにスクラブヘッド50および処理液ノズル80を上昇させ、円運動するスクラブ具31をウェーハWの下面1の第1領域R1に接触させる。さらに、旋回モータ65は支持アーム60をウェーハWの下面1と平行にスイングさせる。スクラブヘッド50が第2保持ステージ122に接触しない範囲内で、旋回モータ65はスクラブヘッド50および処理液ノズル80をウェーハWの半径方向に移動させながら、円運動するスクラブヘッド50はスクラブ具31をウェーハWの下面1の第1領域R1に摺接させる。ウェーハWの下面1の第1領域R1は、処理液の存在下でスクラブ具31によってこすり洗いされる。
【0083】
以上の説明では、ウェーハWの下面1の第2領域R2が先にスクラブ具31によって処理され、その後、ウェーハWの下面1の第1領域R1がスクラブ具31によって処理される。一実施形態では、ウェーハWの下面1の第1領域R1が先にスクラブ具31によって処理され、その後、ウェーハWの下面1の第2領域R2がスクラブ具31によって処理されてもよい。
図6および図7に示すロールスポンジ95、および図8および図9に示す静圧プレート100は、図10乃至図18を参照して説明した実施形態に適用してもよい。
【0084】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0085】
10 基板保持部
10A 第1保持部
10B 第2保持部
11 ローラー
11a 基板保持面
12 ローラー回転機構
14A 第1ベルト
14B 第2ベルト
15A 第1モータ
15B 第2モータ
16A 第1ローラー台
16B 第2ローラー台
17A 上側第1ローラー台
17B 下側第1ローラー台
17C ピボット軸
18A 第1アクチュエータ
18B 第2アクチュエータ
22 プーリー
23 ベースプレート
24A 軸受
24B 軸受
24C 軸受
25A 第1モータ支持体
25B 第2モータ支持体
26A 第1直動ガイド
26B 第2直動ガイド
28 保護液供給ノズル
31 スクラブ具
50 スクラブヘッド
55 回転軸
57 連結部材
60 支持アーム
62 旋回軸
65 旋回モータ
67 支持アーム昇降装置
70 ヘッド回転機構
71 ヘッド回転モータ
72 トルク伝達装置
80 処理液ノズル
82 処理液供給ライン
90 ロータリージョイント
95 ロールスポンジ
97 ロールスポンジ回転装置
98 ロールスポンジ昇降装置
100 静圧プレート
101 基板支持面
102 流体供給路
104 流体噴射口
110 静圧プレート移動機構
111 第1保持ステージ
112 ステージ軸
115 第1ステージ回転装置
117 第1ステージ昇降機構
118 第1バキュームライン
122 第2保持ステージ
123 バキューム開口
124 第2ステージ昇降機構
126 第2バキュームライン
128 保持ブロック
130 ステージ支持部材
131 第2ステージ回転装置
135 ロータリージョイント
137 第2ステージ回転モータ
140 プーリー
141 ベルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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