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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】密閉型パッケージ装置
(51)【国際特許分類】
   G08C 17/06 20060101AFI20220929BHJP
   G08C 17/02 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G08C17/06
G08C17/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018055505
(22)【出願日】2018-03-23
(65)【公開番号】P2019168878
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-02-01
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト/インフラ状態モニタリング用センサシステム開発/道路インフラ状態モニタリング用センサシステムの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】魯 健
(72)【発明者】
【氏名】柏屋 俊克
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-133849(JP,A)
【文献】特開2002-124806(JP,A)
【文献】特開2017-097511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 13/00-25/04
H05K 5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が絶縁体からなり、密閉空間を内側に有し、前記密閉空間を外部空間から隔てるケースと、
前記ケースに取り付けられ、前記密閉空間から電気的に接続可能である第1および第2電極と、
前記ケースに取り付けられ、前記外部空間から電気的に接続可能であり、前記ケースの前記絶縁体からなる部分を介して前記第1および第2電極のそれぞれに対向する第3および第4電極と、
前記密閉空間に配置され前記第1および第2電極に平衡接続でつながれた内側バラン、および、前記外部空間に配置され前記第3および第4電極に平衡接続でつながれた外側バラン、の少なくともいずれかと、
を備え、
前記ケースは、前記ケースの内部に埋め込まれかつ前記第1から第4電極のいずれかに接続された配線を有する、密閉型パッケージ装置。
【請求項2】
前記密閉型パッケージ装置は前記内側バランおよび前記外側バランの両方を備え、
前記密閉空間に配置され、前記内側バランに不平衡接続でつながれた変調器と、
前記外部空間に配置され、前記外側バランに不平衡接続でつながれた復調器と、
をさらに備える、請求項1に記載の密閉型パッケージ装置。
【請求項3】
少なくとも一部が絶縁体からなり、密閉空間を内側に有し、前記密閉空間を外部空間から隔てるケースと、
前記ケースに取り付けられ、前記密閉空間から電気的に接続可能である第1および第2電極と、
前記ケースに取り付けられ、前記外部空間から電気的に接続可能であり、前記ケースの前記絶縁体からなる部分を介して前記第1および第2電極のそれぞれに対向する第3および第4電極と、
前記密閉空間に配置され前記第1および第2電極に平衡接続でつながれた内側バラン、および、前記外部空間に配置され前記第3および第4電極に平衡接続でつながれた外側バラン、の両方と、
前記密閉空間に配置され、前記内側バランに不平衡接続でつながれた変調器と、
前記外部空間に配置され、前記外側バランに不平衡接続でつながれた復調器と、
を備える、密閉型パッケージ装置。
【請求項4】
前記変調器は振幅変調方式の変調器である、請求項2または3に記載の密閉型パッケージ装置。
【請求項5】
前記変調器は周波数変調方式の変調器である、請求項2または3に記載の密閉型パッケージ装置。
【請求項6】
前記密閉空間に配置され前記変調器につながれた信号源をさらに備え、前記信号源はアナログセンサを有する、請求項2から5のいずれか1項に記載の密閉型パッケージ装置。
【請求項7】
前記ケースは、前記ケースの内部に埋め込まれかつ前記第1から第4電極のいずれかに接続された配線を有する、請求項3から6のいずれか1項に記載の密閉型パッケージ装置。
【請求項8】
前記ケースは低温同時焼成セラミックスからなる、請求項1から7のいずれか1項に記載の密閉型パッケージ装置。
【請求項9】
前記ケースは、前記密閉空間および前記外部空間のそれぞれに面する内面および外面を有しており、前記第1および第2電極は前記ケースの内面上に配置されており、前記第3および第4電極は前記ケースの外面上に配置されている、請求項3に記載の密閉型パッケージ装置。
【請求項10】
前記ケースの前記絶縁体はセラミック絶縁体である、請求項1から9のいずれか1項に記載の密閉型パッケージ装置。
【請求項11】
前記ケースに取り付けられることによって前記密閉空間を封止する透光性の蓋体と、
前記蓋体を介して入射された光を用いて電力を発生するエネルギー変換素子と、
をさらに備える、請求項1から10のいずれか1項に記載の密閉型パッケージ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型パッケージ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高温、多湿および塩害などの過酷な環境下で長期間にわたって高い信頼性で動作することが求められる電気機器のために、密閉型パッケージ装置が用いられることがある。密閉型パッケージは、その内部空間と外部空間とを物理的に遮りつつ、内部空間と外部空間との間での信号の伝送を可能とする。例えば、橋梁、トンネルおよび道路付帯物などのように過酷な環境下にさらされる道路関連設備の状態を監視するためのセンサを収容するために、密閉型パッケージが用いられる。センサによって検出された情報は、密閉型パッケージの外部へ送られる必要がある。特開2017-97511号公報(特許文献1)によれば、センサで検出された情報を密閉型パッケージの外部へ送るために、密閉型パッケージ装置に、無線用の送受信回路およびアンテナが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-97511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報に記載の技術のように、情報信号の伝送に無線伝送を用いる場合、必要な回路の規模が大きくなってしまう。このため、装置のコストがかなり高くなってしまう。これを避けるために、無線伝送以外の伝送方法を用いることが考えられる。簡素な方法として、密閉型パッケージ装置のケースを貫通するビア配線を伝送経路として用いる方法が考えられる。しかしながらこの方法では、配線に沿ってケースの外部からケースの内部へ水分または塩分などの物質が侵入しやすい。侵入した物質がケースの内部構造へ悪影響を及ぼすことで、密閉型パッケージ装置の耐久性が低下する。
【0005】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、パッケージの内部空間と外部空間との間での情報信号の伝送を簡素な構成によって可能としつつ、高い耐久性を確保することができる密閉型パッケージ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に従う密閉型パッケージ装置は、ケースと、第1から第4電極と、内側バランおよび外側バランの少なくともいずれかと、を有している。ケースは、少なくとも一部が絶縁体からなり、密閉空間を内側に有しており、密閉空間を外部空間から隔てている。第1および第2電極は、ケースに取り付けられており、密閉空間から電気的に接続可能である。第3および第4電極は、ケースに取り付けられており、外部空間から電気的に接続可能であり、ケースの絶縁体からなる部分を介して第1および第2電極のそれぞれに対向している。内側バランは、密閉空間に配置されており、第1および第2電極に平衡接続でつながれている。外側バランは、外部空間に配置されており、第3および第4電極に平衡接続でつながれている。ケースは、ケースの内部に埋め込まれかつ第1から第4電極のいずれかに接続された配線を有している。
本発明の他の局面に従う密閉型パッケージ装置は、ケースと、第1から第4電極と、内側バランおよび外側バランの両方と、変調器と、復調器と、を有している。ケースは、少なくとも一部が絶縁体からなり、密閉空間を内側に有しており、密閉空間を外部空間から隔てている。第1および第2電極は、ケースに取り付けられており、密閉空間から電気的に接続可能である。第3および第4電極は、ケースに取り付けられており、外部空間から電気的に接続可能であり、ケースの絶縁体からなる部分を介して第1および第2電極のそれぞれに対向している。内側バランは、密閉空間に配置されており、第1および第2電極に平衡接続でつながれている。外側バランは、外部空間に配置されており、第3および第4電極に平衡接続でつながれている。変調器は、密閉空間に配置されており、内側バランに不平衡接続でつながれている。復調器は、外部空間に配置されており、外側バランに不平衡接続でつながれている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1および第2電極の対と第3および第4電極の対との間での平衡接続を用いた信号経路が設けられる。これにより、密閉空間である内部空間と、外部空間との間での信号伝送が、簡素な構成によって可能となる。さらに、第3および第4電極のそれぞれは、ケースの絶縁体からなる部分によって第1および第2電極から隔てられている。これにより、第3電極から第1電極へおよび第4電極から第2電極への物質の浸透を遮断することができる。よって、外部空間から密閉空間中への物質の侵入に起因しての、内部空間に配置された構成への悪影響を避けることができる。よって、密閉型パッケージ装置の耐久性を高めることができる。以上のように、本発明によれば、パッケージの内部空間と外部空間との間での情報信号の伝送を簡素な構成によって可能としつつ、高い耐久性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1における密閉型パッケージ装置の構成を、図2の線I-Iに沿って模式的に示す断面図である。
図2図1の密閉型パッケージ装置のパッケージ部分を概略的に示す側面図である。
図3】振幅変調および周波数変調の周波数スペクトルの例を模式的に示すグラフ図である。
図4】本発明の実施の形態2における密閉型パッケージ装置の構成を模式的に示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0010】
<実施の形態1>
(構成)
図1および図2を参照して、密閉型パッケージ装置91は、ケース11と、蓋体17と、第1電極51と、第2電極52と、第3電極61と、第4電極62と、信号源2と、変調器3と、バラン4(内側バラン)と、バラン7(外側バラン)と、復調器8と、信号出力端子9と、太陽電池19(エネルギー変換素子)とを有している。なおバランは、不平衡電圧を平衡電圧に、またはその逆に変換する電気回路であり、言い換えれば、平衡-不平衡変換器である。
【0011】
ケース11は、少なくとも一部が絶縁体からなり、その全部が絶縁体からなってもよい。絶縁体はセラミック絶縁体であることが好ましい。ケース11は内側に内部空間を有している。蓋体17がケース11に取り付けられることによって、この内部空間は、密封空間として封止されている。よってケース11は密閉空間を内側に有している。ケース11は、密閉空間および外部空間のそれぞれに面する内面および外面を有しており、密閉空間を外部空間から隔てている。
【0012】
蓋体17は、本実施の形態においては透光性である。蓋体17は、セラミックスからなることが好ましく、例えば酸化アルミニウムからなる。太陽電池19は、蓋体17を介して入射された光を用いて電力を発生する。発生された電力は、密閉空間内の電気回路、例えば変調器3、を動作させるために用いることができる。
【0013】
信号源2はケース11の密閉空間に配置されている。信号源2は、変調器3につながれており、変調器3へ変調信号を送る。信号源2はアナログセンサを有していてよい。その場合、センサからのアナログ信号が変調信号として用いられる。信号源2からのアナログ出力の大きさは、ピーク間の電位差(いわゆるVp-p)として、例えば200mV程度である。この場合、当該アナログ出力が伝送経路において受けるノイズの大きさは1mV以下に抑えられることが望まれる。後述する理由で、本実施の形態によれば、そのようなノイズ抑制が可能である。
【0014】
変調器3はケース11の密閉空間に配置されている。変調器3はバラン4に不平衡接続でつながれている。変調器3は、振幅変調(AM)方式または周波数変調(FM)方式の変調器であってよい。変調器3の搬送波の周波数は、超短波(VHF:Very High Frequency)帯のものであることが好ましい。具体的には、変調器3の搬送波の周波数は30MHz以上300MHz以下であることが好ましい。変調器3へ信号源2から供給される変調信号の周波数は、搬送波の周波数よりも低く、例えば2Hz以上1MHz以下である。
【0015】
バラン4はケース11内の密閉空間に配置されている。バラン4は、第1電極51および第2電極52に平衡接続でつながれている。
【0016】
第1電極51および第2電極52はケース11に取り付けられており、本実施の形態においてはケース11の内面上に配置されている。第1電極51および第2電極52は、密閉空間から電気的に接続可能であり、本実施の形態においては、内面上において露出されることによって直接的に接続可能である。第3電極61および第4電極62はケース11に取り付けられており、本実施の形態においてはケース11の外面上に配置されている。第3電極61および第4電極62は、外部空間から電気的に接続可能であり、本実施の形態においては、外面上において露出されることによって直接的に接続可能である。
【0017】
第3電極61および第4電極62は、ケース11の絶縁体からなる部分を介して第1電極51および第2電極52のそれぞれに対向している。これにより、第1電極51と第3電極61との間、および、第2電極52と第4電極62の間で、信号の電界伝送が可能である。この信号伝送は、平衡信号の伝送として行われる。その目的で、第1電極51と第3電極61とによって構成される容量と、第2電極52と第4電極62とによって構成される容量とは、同じであることが好ましい。ここで、平衡接続による信号伝送に実質的に支障がない程度のわずかな容量差は無視するものとする。
【0018】
上記のように容量を等しくするために、例えば、第1電極51の面積と第2電極52の面積とが同じであり、かつ第3電極61の面積と第4電極62の面積とが同じであり、かつ第1電極51と第3電極61との間の距離と、第2電極52と第4電極62との間の距離とが同じであり、かつ第1電極51と第3電極61との間の領域の誘電率と、第2電極52と第4電極62との間の領域の誘電率とが同じである。なお、ここでいう「面積」は、ケース11を介して1対の電極が対向する方向に垂直な面内(例えば図2に示された面)における大きさのことである。第1電極51、第2電極52、第3電極61および第4電極62の各々の面積は、例えば、数平方センチメートル程度である。本実施の形態においては、これらの電極はケース11上に、例えば、印刷または貼り付けによって形成することができる。
【0019】
バラン7はケース11外の外部空間に配置されている。バラン7は、第3電極61および第4電極62に平衡接続でつながれている。これにより、バラン4とバラン7との間に平衡型の信号経路が設けられる。この信号経路によりケース11を貫通しての平衡型の信号伝送が可能とされる。
【0020】
復調器8はケース11の外部空間に配置されている。復調器8はバラン7に不平衡接続でつながれている。復調器8により、元の変調信号、言い換えれば信号源2の信号、とおおよそ相似形の信号が得られる。復調器8としては、例えばダイオード検波回路を用い得る。なお、バラン7と復調器8との間に増幅器が設けられてもよい。
【0021】
信号出力端子9は、密閉型パッケージ装置91からの出力信号を外部へ供するために、ケース11外の外部空間に配置されている。信号出力端子9に接続することによって、信号源2の信号とおおよそ同様の信号を得ることができる。
【0022】
(効果)
本実施の形態1によれば、第1電極51および第2電極52の対と第3電極61および第4電極62の対との間での平衡接続を用いた信号経路が設けられる。これにより、密閉空間である内部空間と、外部空間との間での信号伝送が、簡素な構成によって可能となる。さらに、第3電極61および第4電極62のそれぞれは、ケース11の絶縁体からなる部分によって第1電極51および第2電極52から隔てられている。これにより、第3電極61から第1電極51へおよび第4電極62から第2電極52への物質の浸透を遮断することができる。よって、外部空間から密閉空間中への物質の侵入に起因しての、内部空間に配置された構成への悪影響を避けることができる。よって、密閉型パッケージ装置91の耐久性を高めることができる。以上のように、本実施の形態によれば、パッケージの内部空間と外部空間との間での情報信号の伝送を簡素な構成によって可能としつつ、高い耐久性を確保することができる。
【0023】
第1電極51と第2電極52と第3電極61と第4電極62とによって構成される信号経路が平衡型であることにより、当該信号経路へ外部から混入した同相ノイズは、バラン7の通過時に減衰される。これにより、密閉型パッケージ装置91から出力される信号のノイズを抑制することができる。また当該信号経路が平衡型であることにより、当該信号経路からのノイズ放射が抑制される。
【0024】
第1電極51および第2電極52はケース11の内面上に配置されており、第3電極61および第4電極62はケース11の外面上に配置されている。これにより、第1電極51、第2電極52、第3電極61および第4電極62を、これらがケースの内部に形成される場合に比して、より容易に形成することができる。
【0025】
ケース11の絶縁体はセラミック絶縁体であることが好ましい。これにより、密閉型パッケージ装置91の耐久性をより高めることができる。特に、過酷な環境下での耐久性を高めることができる。
【0026】
変調器3および復調器8が用いられることにより、密閉空間と外部空間との間での信号伝送の周波数を、信号源2の周波数よりも高めることができる。これにより、第1電極51と第3電極61とによって構成される容量と、第2電極52と第4電極62とによって構成される容量との各々のリアクタンスが過大となることが避けられる。よって、ケース12を貫通する信号経路における信号の伝送効率を向上させることができる。
【0027】
変調器3はAM方式の変調器であってよい。この場合は、FM方式の場合に比して、簡素な回路を用いることができる。これにより、変調器3のサイズを抑制することができる。
【0028】
変調器3はFM方式の変調器であってよい。この場合は、AM方式の場合に比して、周波数スペクトルが拡散される。具体的には、図3を参照して、AMの周波数スペクトル81は鋭いピーク(キャリアおよびサイドバンドのピーク)を有するが、FMの周波数スペクトル83はそのようなピークを有しない。よって、上記ピークに起因したノイズ放射が防止される。これにより特に、ケース11内の構成への、ノイズによる悪影響を抑制することができ、例えば信号源2への悪影響を抑制することができる。
【0029】
密閉型パッケージ装置91は、透光性の蓋体17を介して入射された光を用いて電力を発生する太陽電池19を有していてよい。これにより、ケース11を貫通するビア配線を介しての給電と、ワイヤレス給電との、いずれもが必須ではなくなる。よって、導体ワイヤに沿っての物質の侵入に起因しての耐久性の低下を避けることができる。また、ワイヤレス給電に起因してのノイズの発生を避けることができる。
【0030】
信号源2はアナログセンサを有していてよい。センサからのアナログ出力は、信号レベルが低いことなどの理由で、多くの場合、ノイズの影響を受けやすい。本実施の形態によれば、前述した理由により、当該影響を抑制することができる。よって、当該影響の抑制のためにアナログ-デジタル変換回路を用いる必要性が抑えられる。当該回路を省略することにより、密閉型パッケージ装置91の回路を簡素化することができる。
【0031】
<実施の形態2>
図4は、本実施の形態2における密閉型パッケージ装置92の構成を模式的に示す部分断面図である。密閉型パッケージ装置92は、ケース11(図1:実施の形態1)に代わり、ケース12を有している。ケース12は低温同時焼成セラミックス(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)からなる。LTCCは、一般に、900℃程度で焼結可能なセラミックス材料からなり、かつ、絶縁体部分と導体部分とを有しており、当該導体部分は当該絶縁体部分の内部に配置され得る。その製造においては、絶縁体部分と導体部分とが900℃程度で同時に焼成される。導体部分の材料には、例えば、銀または銅が用いられる。
【0032】
本実施の形態においては、第1電極51、第2電極52、第3電極61および第4電極62は、ケース12の中に埋め込まれている。このような構成は、第1電極51、第2電極52、第3電極61および第4電極62をLTCCの一部として形成することによって、容易に得られる。
【0033】
ケース12は、ケース12の内部に埋め込まれた第1配線56、第2配線57、第3配線76および第4配線77を有している。第1配線56、第2配線57、第3配線76および第4配線77のそれぞれは、第1電極51、第2電極52、第3電極61および第4電極62に接続されている。このような構成は、第1配線56、第2配線57、第3配線76および第4配線77をLTCCの一部として形成することによって容易に得られる。
【0034】
第1端子41および第2端子42はケース12の内面上に配置されている。第1端子41は第1配線56を介して第1電極51に接続されている。第2端子42は第2配線57を介して第2電極52に接続されている。よって第1電極51および第2電極52のそれぞれは、第1端子41および第2端子42を介して密閉空間から電気的に接続可能である。
【0035】
第3端子71および第4端子72はケース12の外面上に配置されている。第3端子71は第3配線76を介して第3電極61に接続されている。第4端子72は第4配線77を介して第4電極62に接続されている。よって第3電極61および第4電極62のそれぞれは、第3端子71および第4端子72を介して外部空間から電気的に接続可能である。
【0036】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0037】
本実施の形態2によれば、第1電極51と第3電極61との間の距離、および、第2電極52と第4電極62との間の距離を、ケース12の厚みよりも小さくすることができる。これにより、ケース12を貫通する信号経路における信号の伝送効率を向上させることができる。
【0038】
なお、上記本実施の形態2においては、第1電極51、第2電極52、第3電極61および第4電極62のすべてがケース12の中に埋め込まれているが、これらのうち一部のみがケースの中に埋め込まれていてもよい。具体的には、第1電極51および第2電極52の対と、第3電極61および第4電極62の対とのうち、一方の対が本実施の形態2のようにケースの中に埋め込まれ、他方の対が実施の形態1のようにケース上に配置されてもよい。この場合も本実施の形態2とほぼ同様の効果が得られる。
【0039】
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0040】
2 信号源
3 変調器
4 バラン(内側バラン)
7 バラン(外側バラン)
8 復調器
9 信号出力端子
11,12 ケース
17 蓋体
19 太陽電池(エネルギー変換素子)
41 第1端子
42 第2端子
51 第1電極
52 第2電極
56 第1配線
57 第2配線
61 第3電極
62 第4電極
71 第3端子
72 第4端子
76 第3配線
77 第4配線
91,92 密閉型パッケージ装置
図1
図2
図3
図4