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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】パン生地
(51)【国際特許分類】
   A21D 2/26 20060101AFI20220930BHJP
   A21D 2/14 20060101ALI20220930BHJP
   A21D 8/04 20060101ALI20220930BHJP
   A21D 13/00 20170101ALI20220930BHJP
【FI】
A21D2/26
A21D2/14
A21D8/04
A21D13/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2015246333
(22)【出願日】2015-12-17
(65)【公開番号】P2017108690
(43)【公開日】2017-06-22
【審査請求日】2018-10-05
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 佳奈子
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 秀将
(72)【発明者】
【氏名】廣川 敏幸
【合議体】
【審判長】加藤 友也
【審判官】平塚 政宏
【審判官】▲吉▼澤 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-65130(JP,A)
【文献】特開2013-102745(JP,A)
【文献】特開平7-284366(JP,A)
【文献】特開2009-201469(JP,A)
【文献】特開2015-181434(JP,A)
【文献】特開2015-144592(JP,A)
【文献】特開2006-204130(JP,A)
【文献】新規製パン用酵素に関する研究(I)、製パン技術資料、社団法人日本パン技術研究所、1997年6月、No.348、pp.1-22
【文献】製品案内、DSM Japan、2014年5月、p.20
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D 2/00 - 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯種生地、乳由来のリン脂質を含有し且つpHが3~6である食品素材、及び、ヘミセルラーゼ含有油中水型乳化物を含有し、
ヘミセルラーゼが、アラビノキシランを主基質とし、且つ、不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性との比(分解活性比:不溶性アラビノキシラン/水溶性アラビノキシラン)が10以上である、パン生地。
【請求項2】
パン生地に含まれる澱粉類中の10~70質量%が湯種生地由来であることを特徴とする請求項1記載のパン生地。
【請求項3】
パン生地に含まれる穀粉類100質量部に対し、デキストリンを0.001~2質量部含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のパン生地。
【請求項4】
デキストリン含有水溶液を含有する、請求項に記載のパン生地。
【請求項5】
パン生地に含まれる穀粉類100質量部に対し、リン脂質を0.001~1質量部含有することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のパン生地。
【請求項6】
湯種生地、乳由来のリン脂質を含有し且つpHが3~6である食品素材、及び、ヘミセルラーゼ含有油中水型乳化物を含有させるパン生地の製造方法であって、
ヘミセルラーゼが、アラビノキシランを主基質とし、且つ、不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性との比(分解活性比:不溶性アラビノキシラン/水溶性アラビノキシラン)が10以上である、パン生地の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は湯種生地を含有するパン生地で問題となる分割・成形時の生地伸展性低下が改良されたパン生地に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、もっちりとした食感のパンや洋菓子等のベーカリー製品を得る方法の1種として、湯種法が多く用いられるようになってきている。湯種法とは、ベーカリー製品の製造にあたり、その一部の穀粉材料を高温の水の存在下で混捏して湯種生地とし、これに更に残りの穀粉材料、イースト、常温の水、その他の副原料を加えて混捏してベーカリー生地とし、或いは、湯種生地とは別に、一部の穀粉材料、イースト、常温の水、その他の副原料を加えて混捏した生地を発酵させた中種生地を製造し、湯種生地、残りの穀粉原料、イースト、常温の水、その他の副原料を加えて混捏してベーカリー生地とし、常法によりベーカリー製品を得る方法である。
【0003】
ところで、湯種法で得られたベーカリー生地はグルテンの変性により生地の伸展性が低下して、成形しづらい問題があり、また、同じ理由でホイロ伸びが悪く、またオーブンキックも少ないため、体積が小さくなってしまうという問題もある。
【0004】
上記の問題を解決するため、乳化剤を添加する方法(例えば特許文献1参照)や、酸性水中油型乳化脂を添加する方法(例えば特許文献2参照)、水分を増加させ、且つ増粘安定剤を添加する方法(例えば特許文献3参照)などが提案されている。
【0005】
しかし、特許文献1の方法では生地がねちゃついた食感になってしまうという問題、特許文献2の方法では分割・成形時の生地伸展性の問題が十分には解決されていないという問題、特許文献3の方法では生地がべとついてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-023955号公報
【文献】特開2009-201468号公報
【文献】特開2011-087515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の目的は、湯種法により得られたパン生地でありながら、生地伸展性が良好で且つべたつきがなく扱いやすく、体積の大きなパンを得ることができるパン生地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は上記課題を解決すべく種々検討した結果、湯種法製パンの際に、本捏工程で、ヘミセルラーゼを含有する油脂組成物を練り込むことで、上記目的を達成し得ることを知見した。
本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は湯種生地、及び、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物を含有するパン生地を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパン生地は湯種生地を使用したパン生地でありながら、生地伸展性が良好で且つべたつきがないため扱いやすい。また本発明のパン生地を使用して得られたパンは、湯種法を使用したもっちりした食感のパンでありながら、ホイロ伸び、オーブンキックが良好で、体積が大きなパンである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のパン生地について詳述する。
まず最初に、本発明で使用する湯種生地について述べる。
湯種生地とは、パン生地に使用する澱粉類の一部を高温の水の存在下で混捏して得られる生地のことである。
なお、上記湯種生地に使用される澱粉類としては、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、フランス粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉などの小麦粉をはじめ、小麦ふすま、小麦胚芽、大麦粉、米粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、大豆粉、ハトムギ粉等の小麦粉以外の穀粉類が挙げられ、また、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、モチ米澱粉等の澱粉や、それらの化工澱粉等が挙げられる。本発明では、上記湯種生地に使用される澱粉類の80質量%以上、好ましくは100質量%が小麦粉であることが好ましい。なお、小麦粉を使用する場合は強力粉を使用することが好ましい。
なお、上記湯種生地における水の含有量は、下記のその他の原料に含まれる水の含量も含め、澱粉類100質量部に対して好ましくは50~300質量部、より好ましくは50~200質量部、さらに好ましくは70~150質量部である。
【0011】
また、上記湯種生地は、従来ベーカリー製品用湯種生地に用いられているその他の原料を使用することができる。
該その他の原料としては、イースト、イーストフード、増粘安定剤、食用油脂、乳化剤、金属イオン封鎖剤、糖類、甘味料、乳や乳製品、卵製品、無機塩、有機酸塩、酵素、ジグリセライド、植物ステロール、植物ステロールエステル、果汁、濃縮果汁、果汁パウダー、乾燥果実、果肉、野菜、野菜汁、香辛料、香辛料抽出物、ハーブ、直鎖デキストリン・分枝デキストリン・環状デキストリン等のデキストリン類、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、その他各種食品素材、着香料、苦味料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤、強化剤等が挙げられる。本発明に使用される湯種生地におけるこれら他の原料の含有量に関しては特に制限はなく、一般的な湯種生地と同様とすればよい。
【0012】
上記湯種生地の製造方法はとくに限定されず、一般的な湯種生地の製造方法と同様の製造方法でよく、特に限定されるものではないが、例えば、種生地材料に熱湯を加えて混捏する方法、あるいは種生地材料に常温の水又は温湯を加え、加熱しながら混捏する方法等が挙げられ、混捏後の生地温度(捏上温度)が50~80℃、好ましくは55~70℃となるようにすれば良い。混捏時間は何ら限定されるものではなく、従来の湯種法において通常用いられている範囲であればよく、例えば、2~20分である。
なお、食用油脂や糖類などの糊化を阻害する原材料は含有しない方が好ましいが、もし使用する場合は、80~100℃の水と接触させる前ではなく、混捏の後段で添加することが好ましい。
【0013】
本発明のパン生地における上記湯種生地の使用量は、パン生地に含まれる澱粉類中の5~50質量%が湯種生地由来となる量であることが好ましく、5~25質量%であることがより好ましい。5質量%未満であると湯種法のパン特有のもっちりした食感がでない。また、50質量%超であると、本発明によってもパン生地の伸展性の改良が難しくなってしまう。
【0014】
次に、本発明のパン生地で使用するヘミセルラーゼ含有油脂組成物について述べる。
本発明で使用するヘミセルラーゼとはへミセルロースを基質として加水分解する酵素の総称である。
本発明のパン生地においては、上記ヘミセルラーゼを含有する油脂組成物を使用することにより、生地のべたつきを抑制しながら、湯種生地を使用したパン生地の伸展性を高めることができる。
なお、へミセルロースとは、陸上植物細胞の細胞壁を構成する多糖類のうち、セルロースとペクチン以外のものであり、水溶性のものと不溶性のものがあるが、具体的には例えばキシラン、アラビノキシラン、アラビナン、マンナン、ガラクタン、キシログルカン、グルコマンナン等が挙げられる。
そのため、ヘミセルラーゼは具体的に、キシランを分解するキシラナーゼ、アラビノキシランを分解するアラビノキシラナーゼなどに分類することができるが、実態としてはこれらの活性の混合物であることが多く、実際に市販されている酵素製品もこれらの活性の混合物である場合が多い。
【0015】
ここで本発明では、上記ヘミセルラーゼの中でも、よりべたつきが少ないパン生地が得られる点で、上記ヘミセルラーゼが、アラビノキシランを主基質とし、且つ、不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性との比(分解活性比:不溶性アラビノキシラン/水溶性アラビノキシラン)が10以上であるヘミセルラーゼを使用することが好ましい。
なお、アラビノキシランを主基質とする、とは、アラビノキシランを分解する活性が、好ましくは1000単位/g以上、より好ましくは2000単位/g以上、さらに好ましくは3000単位/g以上であることを指すこととする。
なお、1単位とは、1分につき1μmolのキシロース当量を生じる酵素の量として定義されるものとする。
また、不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性との比(分解活性比:不溶性アラビノキシラン/水溶性アラビノキシラン)は10以上であればよいが、好ましくは15以上、さらに好ましくは20以上である。
ここで上記分解活性比が10未満であると、食パン生地や菓子パン生地などの水分含量の高いパン生地の場合など、生地のべたつきが強くなってしまうことがある。
なお、不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性との比を算出する方法は、例えば下記の方法が挙げられる。
【0016】
(1)不溶性アラビノキシランに対する酵素活性の測定
不溶性アラビノキシラン製剤(XylazymeAX:メガザイム社製)の懸濁液(40mgの試料を8mlの脱イオン水に懸濁)300μlを、マイクロプレートに分注し、凍結乾燥したものを測定に用いる。このマイクロプレートの各ウェルに酵素液(ウシ血清アルブミン(0.5mg/ml)を含む、pH4.6、0.1Mの酢酸ナトリウム緩衝液に酵素を0~40ユニット懸濁したもの)25μlと該緩衝液25μlを分注して酵素反応を開始し、37℃で1時間酵素反応させた後、1%(w/v)トリス緩衝液200μlを添加して酵素反応を停止する。10分間室温でおいた後、遠心分離(3000g、15分)して得た上清を分光光度計を用いて、吸光度を600nmで読み取る。
なお、酵素液の代わりに緩衝液を添加したものをブランクとして使用する。
(2)水溶性アラビノキシランに対する酵素活性の測定
水溶性アラビノキシラン溶液(AZOWAX:メガザイム社製)33μlと酵素液(ウシ血清アルブミン(0.5mg/ml)を含む、pH4.6、0.1Mの酢酸ナトリウム緩衝液に酵素を0~40ユニット懸濁したもの)33μlをマイクロプレートの各ウェルに分注して酵素反応を開始する。37℃で1時間酵素反応させた後、エタノール140μlを添加して酵素反応を停止する。10分間室温でおいた後、遠心分離(3000g、15分)して得た上清を分光光度計を用いて、吸光度を600nmで読み取る。なお、酵素液の代わりに緩衝液を添加したものをブランクとして使用する。
(3)不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比の算出
1つの酵素につき、上記(1)と(2)の両方の酵素活性の測定方法に基づき、不溶性アラビノキシランに対する酵素活性及び水溶性アラビノキシランに対する酵素活性を算出する。
それぞれの吸光度と酵素含量について非線形回帰曲線Y=Ymax×(1-e-K*X)(Yは吸光度、Xは酵素量)をプロットし、その直線性のある部分、好ましくはYの最大値の1/10以下の範囲でその傾き(S)を下記の式により算出する。
傾き(S)=(Ymax×K)/1.0536
ここで、この傾きの比、S(不溶性アラビノキシラン)/S(水溶性アラビノキシラン)の値を「不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比」とする。
【0017】
なお、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物中のヘミセルラーゼの含有量は、アラビノキシランを基質とした場合の活性が、好ましくは25~10000単位/油脂組成物100g、より好ましくは50~5000単位/油脂組成物100g、さらに好ましくは250~2500単位/油脂組成物100gとなる量である。上記ヘミセルラーゼの含有量が油脂組成物100gあたり25単位未満では、パン生地の種類によっては湯種生地を使用したパン生地の伸展性を高めるという本発明の効果が得られないおそれがある。一方、10000単位超では、パン生地の種類によっては生地のべたつきが感じられ、さらにはねちゃついた食感のパンとなってしまうおそれがある。
【0018】
ヘミセルラーゼ含有油脂組成物に使用する食用油脂は、とくに制限されず、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、これらの各種動植物油脂に必要に応じてエステル交換、水素添加、異性化水添、分別等の処理をして得られる加工油脂、脂肪酸及び/又は脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油が挙げられ、これらのうちの一種又は2種以上を使用することができる。
【0019】
上記ヘミセルラーゼ含有油脂組成物は、上記ヘミセルラーゼ及び食用油脂以外にその他の原材料を含むことができる。
該その他の原料としては、例えば、水、糖類、乳化剤、酵素、澱粉類、デキストリン、食物繊維、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、脱脂粉乳・カゼイン・ホエーパウダー・脱脂濃縮乳等の乳や乳製品、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β-カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白等の植物蛋白、全卵・卵黄・酵素処理卵黄・卵白・卵蛋白質等の卵及び各種卵加工品、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
上記その他の原料は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、上記ヘミセルラーゼ含有油脂組成物中、合計で好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下となる範囲で使用することが好ましい。
【0020】
上記ヘミセルラーゼ含有油脂組成物の形態としては、油脂を含有する食品、たとえばマーガリン・ファットスプレッド・ショートニング・バターなどの可塑性油脂組成物や、流動ショートニング、液状油脂組成物、粉末油脂、純生クリーム、ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)、植物性ホイップ用クリーム、クリームチーズ、チョコペースト等をあげることができる。本発明では可塑性油脂組成物の形態であることが好ましい。
上記ヘミセルラーゼ含有油脂組成物が乳化物である場合、その乳化形態は、油中水型、水中油型、及び二重乳化型のいずれでも構わないが、油中水型乳化物の形態であることが好ましい。
なお、油脂組成物中の油脂の含有量は、好ましくは10~99質量%、より好ましくは50~95質量%、さらに好ましくは60~90質量%である。
【0021】
上記油脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば可塑性油脂組成物の形態の場合は、可塑性油脂の製造時の急冷可塑化後にヘミセルラーゼ又はヘミセルラーゼ含有水溶液を添加、混合する方法であることが、高いヘミセルラーゼ活性を有し、且つ、保存時のヘミセルラーゼ活性の低下が防止される点で好ましい。
【0022】
上記ヘミセルラーゼ含有油脂組成物をパン生地に含有させる際の使用方法はとくに限定されず、練りこみ使用でも折込使用でもよいが、パン生地に含まれる澱粉類、とくに小麦粉に均質に酵素が接触可能な点で練りこみ使用が好ましい。
練り込み使用の場合、上記ヘミセルラーゼ含有油脂組成物のパン生地への添加時期は湯種生地製造時や本捏時のどちらか一方、又は両方で添加してもよいが、好ましくは本ごね時に添加する。
また、本捏時に添加する場合は、ミキシングの初期から添加してもよく、また、通常の製パン練り込み油脂同様に本捏時のグルテンがでてから添加・練り込む方法でもよいが、より体積が大きなパンが得られる点で、好ましくは、本捏時のグルテンがでてから添加・練り込む方法がよい。
【0023】
本発明のパン生地における上記ヘミセルラーゼ含有油脂組成物の含有量は、パン生地に使用する澱粉類100質量部に対し、含まれるヘミセルラーゼの活性、すなわちアラビノキシランを基質とした場合の活性が、好ましくは25~1000単位、より好ましくは40~400単位、さらに好ましくは40~150単位となる量である。活性が25単位未満となる量では、湯種生地を使用したパン生地の伸展性を高めるという本発明の効果が得られないおそれがある。一方、活性が1000単位超となる量では、生地のべたつきが激しくなり、さらにはねちゃついた食感のパンとなってしまうおそれがある。
【0024】
本発明のパン生地はデキストリンを含有することが好ましい。
デキストリンを使用することにより、湯種法で得られたパンのもっちりした食感を維持しながらソフト性と歯切れ感を向上させることができる。
本発明で使用することのできるデキストリンとしては、澱粉を酵素処理、熱処理、アルカリ処理、酸処理等の方法で低分子化したものであって、水溶性であれば特に制限なく使用することができ、その重量平均分子量が3600~1000000のものを使用することが好ましく、より好ましくは重量平均分子量5000~50000のデキストリンを使用する。また、上記デキストリンは、DEが2~10のものであることが好ましく、4~8のものであることがより好ましい。なお、上記DEはウィルシュテッター・シューデル法による数値を使用する。
ここで、重量平均分子量が1000000を超えるか、又はDEが2より小さいデキストリンであると、上記の湯種法で得られたパンのもっちりした食感を維持しながらソフト性と歯切れ感を向上させる効果が得られにくい。一方、重量平均分子量が3600未満であるか、又はDEが10より大きいと、ソフト性と歯切れ感を向上させる効果が得られにくい。
【0025】
本発明のパン生地における上記デキストリンの含有量は、固形分として、パン生地に含まれる澱粉類100質量部に対し、好ましくは0.01~2質量部、より好ましくは0.01~1質量部、さらに好ましくは0.01~1質量部である。上記デキストリンの含有量が0.01質量部未満では、得られるパンのソフト性が不足するおそれがある。一方、2質量部超では、もっちりした食感が弱められてしまったり、得られるパンの種類によっては老化しやすいパンになってしまうおそれがある。
【0026】
上記デキストリンをパン生地に含有させる際の使用方法はとくに限定されず、パン生地製造時に直接添加してもよく、また、デキストリン含有水溶液の形態や油脂組成物の形態で添加してもよいが、パン生地への分散性が高い点で、水溶液の形態で添加することが好ましい。
なお、パン生地への添加時期は湯種生地製造時や本捏時のどちらか一方、又は両方で添加してもよいが、好ましくは本捏時に添加する。
また、本捏時に添加する場合は、ミキシングの初期から添加してもよく、また、本捏時のグルテンがでてから添加・練り込む方法でもよいが、好ましくは、ミキシングの初期から添加する方法がよい。
【0027】
本発明のパン生地はリン脂質を含有することが好ましい。
リン脂質を使用することにより、湯種法で得られたパンのもっちりした食感を維持しながらソフト性と歯切れ感をより向上させることができる。
本発明で使用するリン脂質は、特に限定されるものではなく、食品に使用できるリン脂質であればどのようなリン脂質でも構わない。上記リン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸等のジアシルグリセロリン脂質を使用することができ、さらに上記リン脂質に対し、ホスホリパーゼ等により酵素処理を行い、乳化力を向上させたリゾリン脂質、上記リン脂質や上記リゾリン脂質を含有する食品素材を使用することができる。本発明ではリン脂質としてこれらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
【0028】
本発明では、上記のリン脂質そのものよりも、上記のリン脂質を含有する食品素材を用いる方が好ましい。このリン脂質を含有する食品素材としては、卵黄、大豆、牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳等の乳があげられるが、風味と食感の面から乳由来のリン脂質を含有する食品素材を用いるのが好ましく、牛乳由来のリン脂質を含有する食品素材を用いるのがさらに好ましい。
上記乳由来のリン脂質を含有する食品素材(以下「乳原料」という場合がある)を使用することにより、パンの歯切れ感を維持しながらさらにソフト性と風味を向上することができる。なお乳原料の乳固形分中のリン脂質の含有量は、好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上、最も好ましくは5~40質量%である。
【0029】
上記の乳原料としては、乳固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料であればどのようなものでも構わないが、具体的な例としてクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分があげられる。
【0030】
上記のクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30~40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70~95質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
上記のバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、バターを溶解機で溶解し熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。
本発明では、上記の乳原料をさらに濃縮したものや乾燥したもの、冷凍処理をしたものなどを用いることも可能である。溶剤を用いて濃縮したものは風味上の問題から用いないことが好ましい。
【0031】
本発明で用いる上記の乳原料における乳固形分中のリン脂質の定量方法は、例えば以下のような方法にて測定することができる。但し、抽出方法などについては、乳原料の形態などによって適正な方法が異なるため、以下の定量方法に限定されるものではない。
まず、乳原料の脂質をFolch法を用いて抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から以下の計算式を用いて乳原料の乳固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳原料-乳原料の水分(g))×25.4×(0.1/1000)
【0032】
また、本発明では、上記の乳原料中のリン脂質の一部または全部がリゾ化されたリゾ化物を使用することもできる。該リゾ化物は、乳原料をそのままリゾ化したものであっても良く、また乳原料を濃縮した後にリゾ化したものであっても良い。また、得られたリゾ化物に、さらに濃縮あるいは噴霧乾燥処理などを施しても良い。これらのリゾ化物は本発明におけるリン脂質の含有量に含めるものとする。
【0033】
上記の乳原料中のリン脂質をリゾ化するには、ホスホリパーゼAで処理すれば良い。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置換する作用を有する酵素である。ホスホリパーゼAは、作用する部位の違いによってホスホリパーゼA1とホスホリパーゼA2とに分かれるが、ホスホリパーゼA2が好ましい。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される。
【0034】
また、本発明では、上記の乳原料は、パンのソフト性をさらに向上させることができる点で、好ましくはpHが3~6、より好ましくはpH4~6、さらに好ましくは4.7~5.8となるように酸処理を行ったものであることが好ましい。
上記酸処理を行うには、酸を添加する方法であっても、また、乳酸醗酵などの醗酵処理を行う方法であってもよいが、好ましくは酸を添加する。該酸としては、無機酸であっても有機酸であってもよいが、有機酸であることが好ましい。該有機酸としては、酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、フィチン酸、ソルビン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が挙げられ、果汁、濃縮果汁、発酵乳、ヨーグルトなどの有機酸を含有する飲食品も用いることができるが、本発明においてはより酸味が少なく、風味に影響しない点でフィチン酸及び/又はグルコン酸を使用することが好ましい。
なお、上記酸の添加によるpHの調整は、上記酸を上記乳原料自体に添加することにより行ってもよいし、上記乳原料と、デキストリン等の製パン改良材の材料とを混合する際に、又は混合後に上記酸を添加することにより行ってもよい。
【0035】
また、本発明では、上記の乳原料に、パンのソフト性をさらに向上させることができる点で、リン脂質含有量1質量部あたり、好ましくは0.01~1質量部、より好ましくは0.02~0.5質量部、さらに好ましくは0.05~0.3質量部のカルシウム塩を添加しても良い。
上記カルシウム塩としては塩化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム等が例示され、このうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、本発明においては得られる製パン改良材の風味が良好である点で塩化カルシウム及び/又は乳酸カルシウムを使用することが好ましい。
【0036】
また、本発明で用いる上記の乳原料は、パン生地への分散性を高めることが可能である点及び得られるパンのソフト性向上効果をより高めることができる点で、均質化処理を行なったものであることが好ましい。とくに上記リゾ化処理、酸処理、カルシウム塩添加を行なう場合は、その効果を高めるために均質化処理を行なうことが特に好ましい。均質化処理は1回でも良く、2回以上行っても良い。また、粘性が高いなどの場合は、加水により粘度を調整してから均質化処理を行なってもよい。該均質化処理に用いられる均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、バブル式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、ディスパーミルなどがあげられる。均質化圧力は特に制限はないが、好ましくは0~100MPaである。2段式ホモゲナイザーを用いて均質化処理をする場合は、例えば、1段目3~100MPa、2段目0~5MPaの均質化圧力にて行っても良い。
さらに本発明で用いる上記の乳原料は、UHT加熱処理を行っても良い。UHT加熱処理の条件としては特に制限はないが、処理温度は好ましくは120~150℃であり、処理時間は好ましくは1~6秒である。
【0037】
このようにして得られる本発明で用いる上記の乳原料や乳原料加工品は、液状、ペースト状、粉末状、固形状などの状態のものとすることができ、本発明ではいずれの状態のものでも使用できる。
【0038】
本発明のパン生地における上記リン脂質の配合割合は、パン生地に含まれる澱粉類100質量部に対し、好ましくは0.001~1質量部、より好ましくは0.001~0.1質量部、さらに好ましくは0.005~0.05質量部である。上記リン脂質の含有量が0.001質量部未満では、得られるパンのソフト性が不足するおそれがある。一方、1質量部超では、もっちりした食感が弱められてしまったり、得られるパンの種類によっては老化しやすいパンになってしまうおそれがある。
また、本発明においてリン脂質として上記乳原料を使用する場合の配合量は、パン生地に含まれる澱粉類100質量部に対し、固形分として0.01質量部~10質量部の範囲から適宜選択可能であるが、好ましくは0.01~1質量部、より好ましくは0.05~0.5質量部である。
【0039】
上記リン脂質をパン生地に含有させる際の使用方法はとくに限定されず、パン生地製造時に直接添加してもよく、また、リン脂質含有水溶液の形態や油脂組成物の形態で添加してもよいが、パン生地への分散性が高い点で、水溶液の形態で添加することが好ましい。
なお、リン脂質として上記乳原料を使用する場合は上記乳原料自体がリン脂質を含有する水溶液またはそれを乾燥させた水分散性の粉末であるため、パン生地製造時に直接添加するか、水溶液の形態で添加することが好ましい。
なお、上記リン脂質のパン生地への添加時期は湯種生地製造時や本捏時のどちらか一方、又は両方で添加してもよいが、リン脂質の効果を安定して得るためには湯種生地製造時と本捏時の両方に添加することが好ましい。
【0040】
本発明のパン生地には、上記湯種生地、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物、デキストリン、リン脂質以外に、一般的なパン生地原料である、澱粉類、オリゴ糖、グルテンタンパク質、イースト、イーストフード、増粘安定剤、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物以外の食用油脂、リン脂質以外の乳化剤、金属イオン封鎖剤、糖類、甘味料、乳や乳製品、卵製品、無機塩、有機酸塩、酵素、ジグリセライド、植物ステロール、植物ステロールエステル、果汁、濃縮果汁、果汁パウダー、乾燥果実、果肉、野菜、野菜汁、香辛料、香辛料抽出物、ハーブ、デキストラン、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、その他各種食品素材、着香料、苦味料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤、強化剤等が挙げられる。
なお、上記パン生地に使用される澱粉類としては、湯種生地と同様の澱粉類を使用することができ、該湯種生地に使用する澱粉類も含めた総澱粉類の80%以上、好ましくは100%に小麦粉を使用することが好ましい。なお、小麦粉を使用する場合は強力粉を使用することが好ましい。
また、本発明のパン生地におけるこれら他の原料の含有量に関しては特に制限はなく、一般的なパン生地と同様とすればよい。
【0041】
次に本発明のパン生地の製造方法について述べる。
本発明のパン生地の製造方法は、湯種生地、及び、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物を含有させることを特徴とする。
湯種生地、及び、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物の添加量は上述のとおりである。
なお、本発明のパン生地は、中種法でも、直捏法でも、液種法でも製造することができる。
また、得られた本発明のパン生地は、冷蔵、冷凍保存することが可能である。
【0042】
次に本発明のパンについて述べる。
本発明のパンは、本発明のパン生地を加熱処理することにより得られる。該加熱処理としては、パン生地を焼成したり、フライしたり、蒸したり、電子レンジ処理したりすることがあげられる。また、得られた本発明のパンを、冷蔵、冷凍保存したり、該保存後に電子レンジ加熱することも可能である。
本発明のパンの種類としては、特に制限はないが、例えば食パン、菓子パン、バラエティーブレッド、バターロール、ソフトロール、ハードロール、スイートロール、デニッシュ、ペストリー、フランスパンなどがあげられる。
【0043】
次に本発明のパン生地の物性改良方法について述べる。
本発明の製パン改良方法は、湯種生地を使用したパン生地の製造時にヘミセルラーゼ含有油脂組成物を使用するものである。湯種生地、及び、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物の使用量は上述のとおりである。
なお、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物の使用方法は上述のとおりである。
【実施例
【0044】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0045】
<ヘミセルラーゼ含有油脂組成物の製造>
〔製造例1〕
ヨウ素価60のパームスーパーオレインのランダムエステル交換油脂95質量部、パーム油5質量部を60℃に加熱し溶解・混合して得られた油脂配合物99.7質量部を、常法に従って加熱殺菌および冷却・可塑化を行った。続いて、ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名ベイクザイムBXP5001BG)0.3質量部を添加・混合し、本発明で使用するヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aを得た。
なお、上記ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名ベイクザイムBXP5001BG)は、アラビノキシランを分解する活性が5000単位/gであり、アラビノキシランを主基質とするものであった。また不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比(分解活性比:不溶性アラビノキシラン/水溶性アラビノキシラン)=23であった。
なお、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物A100gに含まれるヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1500単位となる量であった。
【0046】
〔製造例2〕
ヨウ素価60のパームスーパーオレインのランダムエステル交換油脂95質量部、パーム油5質量部を60℃に加熱し溶解・混合して得られた油脂配合物83.8質量部に大豆レシチン0.2質量部を混合し油相を調製した。この中へ水からなる水相16質量部を混合し、常法に従って加熱殺菌および冷却・可塑化を行った。続いて、ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名ベイクザイムBXP5001BG)0.3質量部を添加・混合し、本発明で使用するヘミセルラーゼ含有油脂組成物Bを得た。
なお、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物Bの100gに含まれるヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1500単位となる量であった。
【0047】
〔製造例3〕
ヘミセルラーゼの添加量を0.3質量部から1.5質量部に変更し、水の配合量を16質量部から14.5質量部に変更した以外は製造例2の配合・製法と同様にして、本発明で使用するヘミセルラーゼ含有油脂組成物Cを得た。
ヘミセルラーゼ含有油脂組成物Cの100gに含まれるヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が7500単位となる量であった。
【0048】
〔製造例4〕
ヘミセルラーゼの添加量を0.3質量部から0.04質量部に変更し、水の配合量を16質量部から16.26質量部に変更した以外は製造例2の配合・製法と同様にして、本発明で使用するヘミセルラーゼ含有油脂組成物Dを得た。
ヘミセルラーゼ含有油脂組成物Dの100gに含まれるヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が200単位となる量であった。
【0049】
〔製造例5〕
ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名ベイクザイムBXP5001BG)0.3質量部に代えて、ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名リアル-X)0.05質量部を使用し、水の配合量を16質量部から16.25質量部に変更した以外は製造例2の配合及び製法で本発明で使用するヘミセルラーゼ含有油脂組成物Eを得た。
なお、上記ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名リアル-X)は、アラビノキシランを分解する活性が、22000単位/gであり、アラビノキシランを主基質とするものであった。また不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比(分解活性比:不溶性アラビノキシラン/水溶性アラビノキシラン)=2.5であった。
ヘミセルラーゼ含有油脂組成物E100gに含まれるヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1100単位となる量であった。
【0050】
〔製造例6〕
ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名ベイクザイムBXP5001BG)0.3質量部に代えて、ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名ベイクザイム2000SG)0.4質量部を使用し、水の配合量を16質量部から15.9質量部に変更した以外は製造例2の配合及び製法で本発明で使用するヘミセルラーゼ含有油脂組成物Fを得た。
なお、上記ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名ベイクザイム2000SG)は、アラビノキシランを分解する活性が、2000単位/gであり、アラビノキシランを主基質とするものであった。また不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比(分解活性比:不溶性アラビノキシラン/水溶性アラビノキシラン)=8であった。
ヘミセルラーゼ含有油脂組成物F100gに含まれるヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が800単位となる量であった。
【0051】
〔製造例7〕
ヘミセルラーゼを無添加とし、水の配合量を16質量部から16.3質量部に変更した以外は製造例2の配合及び製法で比較例の油脂組成物Gを得た。
【0052】
<デキストリン含有水溶液の製造>
〔製造例8〕
DE4のデキストリン3質量部を水道水97質量部に溶解し、これを本発明で使用するデキストリン含有水溶液Aを得た。
【0053】
〔製造例9〕
DE8のデキストリン3質量部を水道水97質量部に溶解し、これを本発明で使用するデキストリン含有水溶液Bを得た。
【0054】
<リン脂質含有水溶液の製造>
〔製造例10〕
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)80質量部に水20質量部を添加し、さらにこれをホモゲナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、4秒)を行った。そして、再度、ホモゲナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5~10℃に冷却し本発明で使用するリン脂質含有水溶液Aを得た。
〔製造例11〕
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)80質量部に水20質量部及びフィチン酸0.35質量部を添加し、これをホモゲナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、4秒)を行った。そして、再度、ホモゲナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5~10℃に冷却し本発明で使用するpH5.2のリン脂質含有水溶液Bを得た。
【0055】
<パン生地及びパンの製造>
〔実施例1〕
小麦粉(強力粉)100質量部に、リン脂質含有水溶液A1質量部、及び熱水(95℃)100質量部を加えて混捏(90rpm×2分)し、湯種生地(a)を得た。捏上温度は65℃であった。
一方、小麦粉(強力粉)70質量部、イースト2質量部、イーストフード0.1質量部、及び水(常温)35質量部を加えて混捏(90rpm×2分+180rpm×2分)し、中種生地を得た。この中種生地を温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行なった。
中種発酵終了後の上記中種生地に、5℃で18時間保存後の上記湯種生地(a)30質量部、上記デキストリン含有水溶液A2質量部、小麦粉(強力粉)15質量部、砂糖5質量部、食塩2質量部、及び水(常温)25質量部を加えて混捏(90rpm×3分+180rpm×4分)し、ここで上記ヘミセルラーゼ含有油脂組成物A5質量部を加え、更に混捏(90rpm×3分+180rpm×5分)して本発明のパン生地(a)(本捏生地)を得た。得られたパン生地(a)を、フロアタイム30分とった後、220gに分割・丸めをおこない、ベンチタイム15分とった後、モルダーを使用して成形を行い、4個を2斤パン型に入れてホイロ45分として発酵させ、200℃で40分焼成してパン(a)を得た。上記パン生地(a)におけるヘミセルラーゼ含有油脂組成物の含有量は、澱粉類100質量部に対し、含まれるヘミセルラーゼの活性(アラビノキシランを基質とした場合の活性)が、75単位となる量であった。
【0056】
〔実施例2〕
実施例1で使用したヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aに代えてヘミセルラーゼ含有油脂組成物Bを使用した以外は実施例1の配合及び製法に従って本発明のパン生地(b)及びパン(b)を得た。上記パン生地(b)におけるヘミセルラーゼ含有油脂組成物の含有量は、澱粉類100質量部に対し、含まれるヘミセルラーゼの活性(アラビノキシランを基質とした場合の活性)が、75単位となる量であった。
【0057】
〔実施例3〕
実施例1で使用したデキストリン含有水溶液Aに代えてデキストリン含有水溶液Bを使用し、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aに代えてヘミセルラーゼ含有油脂組成物Bを使用した以外は実施例1の配合及び製法に従って本発明のパン生地(c)及びパン(c)を得た。上記パン生地(c)におけるヘミセルラーゼ含有油脂組成物の含有量は、澱粉類100質量部に対し、含まれるヘミセルラーゼの活性(アラビノキシランを基質とした場合の活性)が、75単位となる量であった。
【0058】
〔実施例4〕
実施例1で使用したデキストリン含有水溶液Aに代えてデキストリン含有水溶液Bを使用し、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aに代えてヘミセルラーゼ含有油脂組成物Bを使用し、さらに上記DE8のデキストリンを1.75質量部を追加添加した以外は実施例1の配合及び製法に従って本発明のパン生地(d)及びパン(d)を得た。上記パン生地(d)におけるヘミセルラーゼ含有油脂組成物の含有量は、澱粉類100質量部に対し、含まれるヘミセルラーゼの活性(アラビノキシランを基質とした場合の活性)が、75単位となる量であった。
【0059】
〔実施例5〕
実施例1の湯種生地で、大豆レシチン(リン脂質含量90質量%)0.2質量部を追加添加し、本捏生地でデキストリン含有水溶液Aに代えてデキストリン含有水溶液Bを使用し、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aに代えてヘミセルラーゼ含有油脂組成物Bを使用した以外は実施例1の配合及び製法に従って本発明のパン生地(e)及びパン(e)を得た。上記パン生地(e)におけるヘミセルラーゼ含有油脂組成物の含有量は、澱粉類100質量部に対し、含まれるヘミセルラーゼの活性(アラビノキシランを基質とした場合の活性)が、75単位となる量であった。
【0060】
〔実施例6〕
実施例1の湯種生地で、リン脂質含有水溶液Aに代えてリン脂質含有水溶液Bを使用し、本捏生地でデキストリン含有水溶液Aに代えてデキストリン含有水溶液Bを使用し、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aに代えてヘミセルラーゼ含有油脂組成物Bを使用した以外は実施例1の配合及び製法に従って本発明のパン生地(f)及びパン(f)を得た。上記パン生地(f)におけるヘミセルラーゼ含有油脂組成物の含有量は、澱粉類100質量部に対し、含まれるヘミセルラーゼの活性(アラビノキシランを基質とした場合の活性)が、75単位となる量であった。
【0061】
〔実施例7〕
実施例1の湯種生地で、リン脂質含有水溶液Aに代えてリン脂質含有水溶液Bを使用し、本捏生地で、リン脂質含有水溶液A0.3質量部を追加添加し、デキストリン含有水溶液Aに代えてデキストリン含有水溶液Bを使用し、さらにヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aに代えてヘミセルラーゼ含有油脂組成物Bを使用した以外は実施例1の配合及び製法に従って本発明のパン生地(g)及びパン(g)を得た。上記パン生地(g)におけるヘミセルラーゼ含有油脂組成物の含有量は、澱粉類100質量部に対し、含まれるヘミセルラーゼの活性(アラビノキシランを基質とした場合の活性)が、75単位となる量であった。
【0062】
〔実施例8〕
実施例1の本捏生地で、リン脂質含有水溶液A0.3質量部を追加添加し、デキストリン含有水溶液Aに代えてデキストリン含有水溶液Bを使用し、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aに代えてヘミセルラーゼ含有油脂組成物Cを使用した以外は実施例1の配合及び製法に従って本発明のパン生地(h)及びパン(h)を得た。上記パン生地(h)におけるヘミセルラーゼ含有油脂組成物の含有量は、澱粉類100質量部に対し、含まれるヘミセルラーゼの活性(アラビノキシランを基質とした場合の活性)が、37.5単位となる量であった。
【0063】
〔実施例9〕
実施例1の本捏生地で、リン脂質含有水溶液A0.3質量部を追加添加し、デキストリン含有水溶液Aに代えてデキストリン含有水溶液Bを使用し、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aに代えてヘミセルラーゼ含有油脂組成物Dを使用した以外は実施例1の配合及び製法に従って本発明のパン生地(i)及びパン(i)を得た。上記パン生地(i)におけるヘミセルラーゼ含有油脂組成物の含有量は、澱粉類100質量部に対し、含まれるヘミセルラーゼの活性(アラビノキシランを基質とした場合の活性)が、10単位となる量であった。
【0064】
〔実施例10〕
実施例1の本捏生地で、リン脂質含有水溶液A0.3質量部を追加添加し、デキストリン含有水溶液A2質量部に代えてデキストリン含有水溶液B7.5質量部を使用し、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aに代えてヘミセルラーゼ含有油脂組成物Bを使用した以外は実施例1の配合及び製法に従って本発明のパン生地(j)及びパン(j)を得た。上記パン生地(j)におけるヘミセルラーゼ含有油脂組成物の含有量は、澱粉類100質量部に対し、含まれるヘミセルラーゼの活性(アラビノキシランを基質とした場合の活性)が、75単位となる量であった。
【0065】
〔実施例11〕
実施例1の本捏生地で、リン脂質含有水溶液A0.3質量部を追加添加し、デキストリン含有水溶液A2質量部に代えてデキストリン含有水溶液B12質量部を使用し、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aに代えてヘミセルラーゼ含有油脂組成物Bを使用した以外は実施例1の配合及び製法に従って本発明のパン生地(k)及びパン(k)を得た。上記パン生地(k)におけるヘミセルラーゼ含有油脂組成物の含有量は、澱粉類100質量部に対し、含まれるヘミセルラーゼの活性(アラビノキシランを基質とした場合の活性)が、75単位となる量であった。
【0066】
〔実施例12〕
実施例1の本捏生地で、リン脂質含有水溶液A0.3質量部を追加添加し、デキストリン含有水溶液A2質量部に代えてデキストリン含有水溶液B15質量部を使用し、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aに代えてヘミセルラーゼ含有油脂組成物Bを使用した以外は実施例1の配合及び製法に従って本発明のパン生地(l)及びパン(l)を得た。上記パン生地(l)におけるヘミセルラーゼ含有油脂組成物の含有量は、澱粉類100質量部に対し、含まれるヘミセルラーゼの活性(アラビノキシランを基質とした場合の活性)が、75単位となる量であった。
【0067】
〔実施例13〕
実施例1の湯種生地で、リン脂質含有水溶液Aに代えてリン脂質含有水溶液Bを使用し、本捏生地で、リン脂質含有水溶液B0.3質量部を追加添加し、デキストリン含有水溶液Aに代えてデキストリン含有水溶液Bを使用し、さらにヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aに代えてヘミセルラーゼ含有油脂組成物Bを使用した以外は実施例1の配合及び製法に従って本発明のパン生地(m)及びパン(m)を得た。上記パン生地(m)におけるヘミセルラーゼ含有油脂組成物の含有量は、澱粉類100質量部に対し、含まれるヘミセルラーゼの活性(アラビノキシランを基質とした場合の活性)が、75単位となる量であった。
【0068】
〔実施例14〕
実施例1で使用したデキストリン含有水溶液Aに代えてデキストリン含有水溶液Bを使用し、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aに代えてヘミセルラーゼ含有油脂組成物Eを使用した以外は実施例1の配合及び製法に従って本発明のパン生地(n)及びパン(n)を得た。上記パン生地(n)におけるヘミセルラーゼ含有油脂組成物の含有量は、澱粉類100質量部に対し、含まれるヘミセルラーゼの活性(アラビノキシランを基質とした場合の活性)が、55単位となる量であった。
【0069】
〔実施例15〕
実施例1で使用したデキストリン含有水溶液Aに代えてデキストリン含有水溶液Bを使用し、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aに代えてヘミセルラーゼ含有油脂組成物Fを使用した以外は実施例1の配合及び製法に従って本発明のパン生地(o)及びパン(o)を得た。上記パン生地(o)におけるヘミセルラーゼ含有油脂組成物の含有量は、澱粉類100質量部に対し、含まれるヘミセルラーゼの活性(アラビノキシランを基質とした場合の活性)が、40単位となる量であった。
【0070】
〔実施例16〕
実施例1の湯種生地で、リン脂質含有水溶液Aを無添加とし、本捏生地で、デキストリン含有水溶液Aに代えてデキストリン含有水溶液Bを使用し、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aに代えてヘミセルラーゼ含有油脂組成物Bを使用した以外は実施例1の配合及び製法に従って本発明のパン生地(p)及びパン(p)を得た。上記パン生地(p)におけるヘミセルラーゼ含有油脂組成物の含有量は、澱粉類100質量部に対し、含まれるヘミセルラーゼの活性(アラビノキシランを基質とした場合の活性)が、75単位となる量であった。
【0071】
〔実施例17〕
実施例1で使用したデキストリン含有水溶液Aを無添加とし、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aに代えてヘミセルラーゼ含有油脂組成物Bを使用した以外は実施例1の配合及び製法に従って本発明のパン生地(q)及びパン(q)を得た。上記パン生地(q)におけるヘミセルラーゼ含有油脂組成物の含有量は、澱粉類100質量部に対し、含まれるヘミセルラーゼの活性(アラビノキシランを基質とした場合の活性)が、75単位となる量であった。
【0072】
〔実施例18〕
実施例1の湯種生地で、リン脂質含有水溶液Aを無添加とし、本捏生地で、デキストリン含有水溶液Aを無添加とし、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aに代えてヘミセルラーゼ含有油脂組成物Bを使用した以外は実施例1の配合及び製法に従って本発明のパン生地(r)及びパン(r)を得た。上記パン生地(r)におけるヘミセルラーゼ含有油脂組成物の含有量は、澱粉類100質量部に対し、含まれるヘミセルラーゼの活性(アラビノキシランを基質とした場合の活性)が、75単位となる量であった。
【0073】
〔比較例1〕
実施例1で使用したデキストリン含有水溶液Aに代えてデキストリン含有水溶液Bを使用し、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aに代えて油脂組成物Gを使用した以外は実施例1の配合及び製法に従って比較例のパン生地(s)及びパン(s)を得た。
【0074】
〔比較例2〕
実施例1の湯種生地で、リン脂質含有水溶液Aを無添加とし、本捏生地で、デキストリン含有水溶液Aを無添加とし、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物Aに代えて油脂組成物Gを使用した以外は実施例1の配合及び製法に従って比較例のパン生地(t)及びパン(t)を得た。
【0075】
上記実施例1~18及び比較例1~2で得られたパン生地(a)~(t)の、デキストリン含量及びリン脂質含量を表1に記載した。
また、得られたパン生地(a)~(t)の生地作業性(分割・丸め時の生地の伸展性及びべたつき)、及び、得られたパン(食パン)(a)~(t)の食感(ソフト性、口溶け、もっちり感)について、下記の評価基準に従って評価を行い、その結果を表2に記載した。
【0076】
<パン生地の生地作業性(伸展性)の評価基準>
◎:極めて良好。
○:良好。
△:やや悪い。
×:丸め時に切れやすい。
【0077】
<パン生地の生地作業性(べたつき)の評価基準>
◎:乾いた感じで極めて良好。
○:良好。
△:ややべたつきを感じる。
×:べたつきが激しい。
【0078】
<パンの食感(ソフト性)の評価基準>
◎++:極めてソフトであり、ふんわり感も優れている。
◎+:ソフトであり、ふんわり感が優れている。
◎:ソフトであり、ふんわり感が良好である。
○+:ソフトであり、ふんわり感が感じられる。
○:ソフトである。
△:ややぱさつきを感じる。
×:ぱさついた感じで不良である。
【0079】
<パンの食感(口溶け)の評価基準>
◎:歯切れが良好であり極めて優れている。
○:良好。
△:ややねちゃつきを感じる。
×:強いねちゃつきを感じる。
【0080】
<パンの食感(もっちり感)の評価基準>
◎:もっちり感が優れている。
○:もっちり感を感じる。
△:湯種法にしてはややもっちり感が不足している。
×:もっちり感に乏しい。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】