(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20220930BHJP
G01N 35/00 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
G01N35/10 F
G01N35/00 B
(21)【出願番号】P 2018208844
(22)【出願日】2018-11-06
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】堀江 陽介
(72)【発明者】
【氏名】越智 学
(72)【発明者】
【氏名】川原 鉄士
(72)【発明者】
【氏名】野中 昂平
(72)【発明者】
【氏名】高山 洋行
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-048892(JP,A)
【文献】特開2003-207433(JP,A)
【文献】特開2017-146182(JP,A)
【文献】特開2010-147758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/10
G01N 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルまたは試薬の分注を行うノズルを有する分注機構と、
前記ノズルを洗浄する超音波洗浄器と、
制御部とを有し、
前記超音波洗浄器は、洗浄槽と、超音波振動子と、前記超音波振動子から前記洗浄槽に向けて延伸され、その先端部が前記洗浄槽に挿入される振動ヘッドとを備えており、
前記制御部は、前記ノズルを前記洗浄槽に挿入し、前記超音波振動子を駆動して前記ノズルを洗浄する洗浄動作とは異なる駆動条件により、前記超音波振動子を駆動して前記超音波振動子を加熱する加熱動作を行う自動分析装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、前記加熱動作における前記超音波振動子の駆動電圧を、前記洗浄動作における前記超音波振動子の駆動電圧よりも低く設定する自動分析装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記超音波振動子を駆動する駆動回路は、前記超音波振動子のインピーダンスが極小値となる共振周波数を追尾する機能を備えており、
前記制御部は、前記洗浄動作においては、前記超音波振動子を、前記超音波振動子のインピーダンスが極小値となる共振周波数で駆動し、前記加熱動作においては、前記超音波振動子を、前記超音波振動子のインピーダンスが極小値となる共振周波数とは異なる周波数で駆動する自動分析装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記超音波振動子を駆動する駆動回路は、前記超音波振動子に所定の電流値以上の電流が流れるのを遮断する機能を備えており、
前記制御部は、前記洗浄動作においては、前記超音波振動子に前記所定の電流値以上の電流が流れるのを許容し、前記加熱動作を行う場合には、前記超音波振動子に前記所定の電流値以上の電流が流れるのを遮断する自動分析装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記超音波振動子を駆動する駆動回路は、前記超音波振動子への駆動電圧の印加のOn/Offを繰り返すことにより、前記超音波振動子に前記所定の電流値以上の電流が流れるのを遮断する自動分析装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記制御部は、前記加熱動作を行う場合には、前記洗浄槽に液のない状態または水を貯めた状態で、前記超音波振動子を駆動する自動分析装置。
【請求項7】
請求項1において、
自動分析装置は、分析を行うオペレーション状態と分析を行わない待機状態とを有し、
前記制御部は、前記待機状態から前記オペレーション状態への移行を受けて、前記加熱動作を開始する自動分析装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記制御部は、前記ノズルの洗浄要求を受けて前記ノズルの洗浄動作を実行するに先立って、前記加熱動作を行う自動分析装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8において、
環境温度を計測する温度センサを有し、
前記制御部は、前記温度センサにより計測された前記環境温度に応じて、前記加熱動作の要否を判断する自動分析装置。
【請求項10】
請求項7または請求項8において、
前記制御部は、前記超音波洗浄器の洗浄動作履歴を記憶し、前記洗浄動作履歴に応じて、前記加熱動作の要否を判断する自動分析装置。
【請求項11】
請求項1において、
自動分析装置は、分析を行うオペレーション状態と分析を行わない待機状態とを有し、
前記制御部は、前記待機状態から前記オペレーション状態に移行するためのリセット動作において、前記加熱動作を行う自動分析装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記リセット動作における前記加熱動作を前記洗浄槽に水を貯めた状態で行う自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血清や尿などのサンプルまたは試薬を分注するノズルを洗浄する超音波洗浄器を備える自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置では、同一ノズルを繰り返し使用してサンプルを分注するため、別のサンプルを吸引する前にはノズル先端の洗浄を行う。ノズル先端の洗浄が不十分であると、前のサンプル成分を次のサンプルに持ち込み(キャリーオーバ)してしまい、測定精度が悪化する。しかしながら、高スループット性能の自動分析装置では高速に分注処理を行うため、ノズル洗浄に十分な時間を使えない。より効果的にノズルを洗浄するため、特許文献1には、圧電素子を金属ブロックで挟んだボルト締めランジュバン振動子(BLT:Bolt-clamped Langevin Type Transducer)を用いた超音波洗浄器により、ノズルに付着した汚れ(前サンプルの残留物)を除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動分析装置で用いる超音波洗浄器は、前述の通り十分な洗浄時間が使えないため、1~数秒程度の短時間で洗浄効果を得る必要がある。特許文献1は、BLTの先端に振動ヘッドを設け、洗浄液中で振動ヘッドを共振振動させることにより、大きな変位を発生させることで、短時間にキャビテーションの効果をノズル周囲に得る。しかしながら、BLTに用いる圧電素子は、環境温度の影響を受け、圧電素子の温度が変化すると、圧電素子の特性も変化するため、後述するように、振動振幅が一定しない現象が見いだされた。十分な振動が得られない場合もあれば、急な振動変化により洗浄液が周囲に飛散する場合もある。使用する洗浄液がアルカリ性洗浄液などの場合、飛散した液が析出してしまい装置を汚すことになる。
【0005】
このような異常な振動は、低温時に発生しやすい傾向があることが見いだされた。自動分析装置は、温度調整された部屋で使用されることが多いが、季節や使用場所、使用時間帯によっては温度が低くなることがある。このため、使用温度環境に依存することなく、安定した洗浄効果が得られることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施の態様である自動分析装置は、サンプルまたは試薬の分注を行うノズルを有する分注機構と、ノズルを洗浄する超音波洗浄器と、制御部とを有し、超音波洗浄器は、洗浄槽と、超音波振動子と、超音波振動子から洗浄槽に向けて延伸され、その先端部が洗浄槽に挿入される振動ヘッドとを備えており、制御部は、ノズルを洗浄槽に挿入し、超音波振動子を駆動してノズルを洗浄する洗浄動作とは異なる駆動条件により、超音波振動子を駆動して超音波振動子を加熱する加熱動作を行う。
【発明の効果】
【0007】
使用温度環境に依存することなく、安定した洗浄効果が得られる超音波洗浄器を備える自動分析装置を提供する。
【0008】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3A】超音波洗浄器の駆動電流の測定結果の例である。
【
図3B】超音波洗浄器のインピーダンス波形の測定結果の例である。
【
図5】実施例1における超音波振動子の加熱制御のタイムチャートである。
【
図6】超音波洗浄器の洗浄動作、加熱動作を行うための制御ブロックの構成例である。
【
図8】実施例2における超音波振動子の加熱制御のタイムチャートである。
【
図10】実施例3における超音波振動子の加熱制御のタイムチャートである。
【
図11】実施例4における超音波振動子の加熱制御のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は自動分析装置の構成を示す図である。自動分析装置10は、その主要な機構として、試薬容器11を複数搭載する試薬ディスク12と、セル25が周状に配置され、セル25にて試薬とサンプルとを混ぜ合わせてその反応を測定する反応ディスク13と、試薬の吸引や吐出を行う試薬分注機構14と、サンプルの吸引や吐出を行うサンプル分注機構15を有する。試薬分注機構14は試薬を分注するための試薬用ノズル(図示せず)を備え、サンプル分注機構15はサンプルを分注するためのサンプル用ノズル(図示せず)を備える。自動分析装置に投入されるサンプルは、サンプル容器(試験管)23に収容された状態で、ラック24に搭載されて搬送される。ラック24には複数のサンプル容器23が搭載される。なお、サンプルは血清や全血などの血液由来のサンプル又は尿などである。自動分析装置全体の制御は制御部28により行われる。
【0011】
サンプル分注機構15は、サンプル容器23からサンプル吸引を行う吸引位置、セル25に吐出を行う吐出位置、超音波洗浄器26でノズルの先端を洗浄する第1の洗浄位置、および、ノズルの先端を水で洗い流す洗浄槽27がある第2の洗浄位置へ、そのノズルを回転動作によって移動させる。さらに、サンプル分注機構15は、吸引位置、吐出位置、および洗浄位置ではサンプル容器23、セル25、超音波洗浄器26、洗浄槽27の夫々の高さに合わせてノズルを下降させる。自動分析装置10は、セル25内に収容されたサンプルと試薬との混合液を測光することで、サンプル内の所定成分の濃度などを分析する。
【0012】
ここで、自動分析装置10が濃度分析を行える動作状態をオペレーション状態と呼び、分析を行わない休止状態を待機状態と呼ぶ。自動分析装置10は、待機状態からオペレーション状態に復帰するときにはリセット動作を実施し、オペレーション状態から待機状態に移行するときには終了動作を実施する。リセット動作には、試薬ディスク12や試薬分注機構14などの各機構の初期位置への位置決めやウォームアップなどが含まれる。例えば、超音波洗浄器26は、待機状態では水をその洗浄槽に貯めておき、リセット動作において洗浄槽内の水を洗浄液に置き換える動作を実行する。超音波洗浄器にアルカリ洗浄液を用いる場合は、洗浄槽に洗浄液を長時間貯めておくと前述の析出が生じやすくなるため、待機状態では洗浄槽には水を貯めておくことが望ましいためである。このため、終了動作において、洗浄槽内の洗浄液を水に置き換える動作を実行する。また、終了動作においてサンプル分注機構15のノズルを洗浄するときには、高速に処理を行うオペレーション状態とは違い、より時間の余裕があるため、オペレーション状態での超音波洗浄より長い時間、超音波洗浄を行う。
【0013】
本実施例ではサンプル分注機構15のノズルを超音波洗浄器26で洗浄することを例として、以下説明する。なお、自動分析装置には、制御部28に接続され、装置を操作するための操作部、および検査技師がラック24の投入や回収するためのユニットを備える装置があるが、
図1では省略する。
【0014】
図2A~Dに本実施例の超音波洗浄器26の構成の一例を示す。
図2Aが超音波洗浄器26の斜視図、
図2Bが上面図、
図2Cが断面図、
図2Dが超音波洗浄器26の超音波振動子及び振動ヘッドの側面図である。超音波洗浄器26は、フロントマス201とバックマス202との間に1つ以上の圧電素子203を挟み、フロントマス201とバックマス202とをボルト204で締結することで構成される超音波振動子(BLT:Bolt-clamped Langevin Type Transducer)205と、超音波振動子205を固定し、洗浄液を貯水するための洗浄槽206を有するベース部207とを有する。超音波振動子205はフランジ部208を備え、ベース部207に固定される。また、超音波振動子205の先端には、洗浄槽206に延びる振動ヘッド209が設けられる。振動ヘッド209の先端部210は円筒形状を有し、洗浄槽206の洗浄液(または水)に浸漬されている。振動ヘッド209の先端部210は洗浄槽206とは接しない。振動ヘッド209の先端部210には、洗浄対象であるサンプル分注機構のノズルの先端外径よりも大きい径を有する円筒孔211が設けられている。また、洗浄槽206には洗浄液を供給する配管212があり、一定量の洗浄液を供給することで洗浄槽206内にある洗浄液をオーバーフローで置換することができる。供給された液は、洗浄槽206の縁の高さを超えたときに洗浄槽206からあふれて、洗浄槽206の外周にある液受け213に流れ、排水路214から排出される。これにより、洗浄槽206内の液の高さ(液位)は、液を供給するたびに一定となる。
【0015】
なお、図ではフランジ部208の下側のみをベース部207に固定する様子を示したが、フランジ部208の上側をベース部207と接続できる部材などで上から押さえて、フランジ部208の全周を均等に固定することが望ましい。
【0016】
また、金属ブロック201,202と圧電素子203の間、及び複数の圧電素子203の間には、電極板(例えば銅板)が挟まれており、電極に対して任意の周波数の正弦波電圧を印加することにより、ボルト204の軸方向に超音波振動子205を駆動する。ホーン形状のフロントマス201の先端に洗浄槽206に延びる細長い振動ヘッド209を有しており、振動ヘッド209の先端部210はホーン先端の振動をさらに拡大し、大変位を発生することができる。
【0017】
このような構成を有する超音波洗浄器26を、20~100kHzの周波数の中でも、超音波振動子205のインピーダンスが最も低くなる周波数で駆動(超音波振動を発生)させる。これにより、洗浄槽206内の振動ヘッド209の先端部210が大変位の振動(周波数は駆動周波数と同じ)を発生し、洗浄液に浸かる振動ヘッド209の先端部210の周囲を中心にキャビテーションが発生する。特に、先端部210の内側の円筒孔211内にキャビテーションが発生することにより、ノズル先端を集中的に洗浄することができる。
【0018】
すなわち、超音波洗浄器26でノズルを洗浄するときは、圧電素子203を20~100kHzの周波数で駆動させておき、振動ヘッド209の先端部210の円筒孔211にノズルの洗浄範囲(ノズル先端から5ミリ程度の範囲)が浸かるように挿入し、一定時間洗浄液に浸漬しておくことでノズル外周部に着いた汚れをキャビテーションによって除去する。本実施例の超音波洗浄器26は振動ヘッド209の変位拡大効果によって、強力なキャビテーションを発生できる。洗浄後はノズルを引き抜き、洗浄液をオーバーフローで自動交換することで、次にノズルを洗浄するときには新しい洗浄液で洗浄することができ、キャリーオーバを抑えることができる。
【0019】
図3Aに超音波洗浄器26を駆動するときに流れる駆動電流波形の例を示す。超音波洗浄器26では、ステップ状に駆動電圧(目標電圧)を印加すると駆動開始直後に振動ヘッド209が急激に大変位の振動を開始することにより、洗浄槽206内の洗浄液が飛散しやすい。そのため、超音波洗浄器26を駆動させるときは、0Vから徐々に目標電圧まで駆動電圧を増やしていく印加方法が望ましい。しかしながら、発明者らの検討において、同じ駆動電圧の印加を行っても、実際の振動ヘッド209の振動状態にばらつきが生じることが見いだされた。
図3Aは、0Vから目標の印加電圧まで駆動電圧を増加させる、同じ駆動方法を用いたときに流れる駆動電流波形の例である。ここで、前述のように、超音波振動子205を駆動する駆動周波数は超音波振動子205の動作効率が高い共振周波数を利用することが望ましいため、駆動電圧を印加する駆動アンプには、既定の周波数範囲においてインピーダンスが最も低くなる共振周波数を追尾する機能を有している。
【0020】
超音波洗浄器26の振動ヘッドが正常な振動を行うときの駆動電流波形が波形301(点線)である。この場合、駆動電圧の増加に応じて駆動電流が増加し、目標電圧に達した後に所定の駆動電流(定常電流)に落ち着くが、過渡期間においても定常電流からの乖離はそれほど大きなものではない。一方、駆動電流波形が波形302(実線)をとる場合があり、超音波洗浄器26の振動ヘッドは正常な振動状態とは異なる振動状態を示す。この場合、目標電圧に達しても正常時の駆動電流波形301に比べて高い駆動電流(過電流)が流れ続け、電流ピークに達した後に、過電流状態が解消され、最終的には波形301と同等の定常電流に落ち着く。駆動電圧は同じであるため、過電流となるとその期間の振動ヘッド209の振動振幅は設計仕様よりも増幅される。このため、このような駆動電流波形を示すときには、振動ヘッド209の振動が洗浄槽206内の洗浄液を飛散させる可能性が高い。実際、駆動電流が一度オーバーシュートして最大電流値となってから定常電流に戻る間が、洗浄槽206内の洗浄液が飛散しやすいタイミングになっている。なお、駆動電流波形のバリエーションは
図3Aに示したものに限られず、例えば過電流状態が長く継続するような波形を生じることもある。オペレーション状態における超音波洗浄器26のノズル洗浄時間は、自動分析装置10のスループットを高めるために極めて短い時間しか与えられていない。このため、超音波洗浄器26の振動ヘッドが、極短時間(望ましくは1秒未満)のノズル洗浄期間内に、過渡期間も含めて安定して設計仕様通りに振動させられることは重要な課題である。
【0021】
発明者らは、超音波洗浄器26の振動状態のばらつきの発生と環境温度との間に関連があることを見出した。
図3Bに、低温(15℃)時と常温(25℃)時の超音波洗浄器26のインピーダンスの測定結果の例を示す。インピーダンスの測定には、超音波振動子205への駆動周波数を変えながら、各周波数におけるインピーダンス値を記録するインピーダンスアナライザを用いた。常温時のインピーダンス波形が波形303(実線)であり、低温時のインピーダンス波形が波形305(点線)である。低温時のインピーダンス波形305は、インピーダンスが低くなる共振点が2つ(306,307)あり、常温時の共振点304のインピーダンスに比べて低いインピーダンスとなっている。インピーダンスが低下すると、同じ駆動電圧である場合、駆動電流は大きくなる。
【0022】
前述のように、超音波振動子205を駆動する駆動アンプは超音波振動子のインピーダンスが極小値となる共振周波数を追尾する機能を備え、例えば、設計仕様では共振点304で超音波振動子205を駆動することが想定されているとする。ところが、
図3Bに示されるように、環境温度によって超音波振動子205のインピーダンス特性が異なるため、例えば、共振点306や共振点307で駆動されることにより、振動ヘッドが所望の振動とは異なる振動状態を示す。または、追尾する共振周波数が何らかの理由で複数の共振点(例えば、共振点306と共振点307)間を移動する、あるいは温度変化により共振点306または共振点307から共振点304に移動することで、振動ヘッドの振動状態が不連続に変化する。このように、環境温度に起因する圧電素子のインピーダンス特性のばらつきが、超音波洗浄器26の振動状態のばらつきの発生の大きな要因となっていることが認められた。
【0023】
環境温度、したがって圧電素子の温度が変化すると圧電素子のインピーダンス特性は変化する。具体的には、圧電素子が冷却されるとインピーダンス値は低下し、駆動電流を増加させる方向に作用し、
図3Aに示したような過電流状態を生じやすい。そこで、超音波振動子205(特に、圧電素子203)の発熱を促すことで、低温環境下においても、駆動電流波形に過電流状態が発生することを抑制する。これにより、環境温度にかかわらず、所望の振動状態を安定的に得ることができる。圧電素子203を加熱するため、本実施例においては、圧電素子203をノズルの洗浄とは別に駆動させる。ただし、この駆動により洗浄液の飛散といった副作用が生じないようにする必要がある。例えば、以下のような方法が可能である。
【0024】
(1)オペレーション状態における洗浄時の目標電圧よりも低い電圧、あるいはインピーダンス特性の極値(共振点)からずらした駆動周波数に切り替える機能を有し、加熱動作時には、超音波振動子205を低い駆動電圧または、共振周波数とは異なる駆動周波数で駆動させる。または、低い駆動電圧かつ共振周波数とは異なる駆動周波数で駆動させてもよい。この結果、振動ヘッド209の振動振幅を低下させることができ、液飛散を抑制した状態で圧電素子203を駆動させて加熱することができる。
【0025】
(2)駆動電流が過電流状態となった場合、制御回路で駆動電流を遮断し、一定電流値以下しか出力しない駆動制御を行う。なお、超音波洗浄器26では駆動電流で超音波振動子205の状態監視を行うため、加熱動作時のみ、過電流遮断を行う制御に切り替える。このほかに、
図4のように駆動電流が正常時の定常電流値以下となるように、On/Offの切り替えを繰り返すよう制御してもよい。この方法では、
図3Aに示した駆動電流波形から、過電流状態が発生するタイミングを事前に把握しておき、正常時の定常電流値401を超える前の時間帯で、電圧印加をOffするように制御する。
【0026】
(3)洗浄槽206内の液を一度引き込み、洗浄槽206内の液がない状態で超音波振動子205を駆動する。超音波振動子205は、洗浄槽206内に液がない状態では通常動作時よりも負荷が少ないため、振動ヘッド209の振動振幅は増加する。振動ヘッド209が想定よりも大きな振動振幅を発生することにより、超音波振動子205の故障につながるおそれがある。このため、本方法を適用する場合には、液がないときのための駆動電圧(通常駆動時の駆動電圧よりも低い駆動電圧)に切り替えて駆動する、あるいは、共振点からずらした駆動周波数で駆動する、または低い駆動電圧かつ、共振周波数とは異なる駆動周波数で駆動させることが望ましい。
【0027】
(4)洗浄槽206内の洗浄液を一度水に置換してから超音波振動子205を駆動する。水であれば、飛散した場合であっても超音波洗浄器26の周囲を汚すことはない。
【0028】
以上のいずれかの駆動方法によれば、洗浄槽206内の洗浄液を飛散することによる悪影響なく、超音波振動子205を加熱するための駆動を行うことができる。
【実施例1】
【0029】
図5は、実施例1における超音波振動子の温度低下を防ぐための加熱制御のタイムチャートである。前述した通り、自動分析装置の状態には、待機状態とオペレーション状態があり、それぞれの状態遷移においては、リセット動作と終了動作がある。オペレーション状態では、洗浄槽206内に洗浄液が満たされており、待機状態では、洗浄液にアルカリ洗浄液を用いた場合に発生する析出を抑えるために、洗浄槽206内の洗浄液を水に置換して待機する。本実施例では、洗浄液にアルカリ洗浄液を用いた場合の例を示すが、洗浄液の種類によらず実施可能である。
【0030】
図5に示す例では、オペレーション状態での超音波振動子の圧電素子の温度低下を抑制するため、待機状態からオペレーション状態への移行を受けて加熱動作を開始し、その後、オペレーション状態においてノズル洗浄動作を実施する以外の時間帯においては、加熱動作を継続する。例えば、洗浄時の駆動電圧より低い電圧で連続駆動することにより、超音波振動子を加熱する。低い電圧で駆動することで、振動ヘッド209の振動振幅は洗浄時の駆動電圧を印加するときよりも小さくなり、洗浄槽206内に貯められた洗浄液を飛散させることなく、超音波振動子205の温度低下を抑制する。また、低い電圧で駆動されていることで洗浄槽206内のキャビテーション発生量が低下し、超音波洗浄器26の寿命への影響も小さくできる。
【0031】
図6は加熱制御機能を有する超音波洗浄器を備える自動分析装置10の分注機構および超音波洗浄器の制御部28の構成例である。なお、制御部28の各機能ブロックは、制御部28を実現するコンピュータや制御基板上で動作するプログラムとして実装される。
【0032】
自動分析装置10にはGUI600があり、検査を実行するための分析実行操作部601、自動分析装置のメンテナンスや設定を変更するためのメンテナンス操作部602、超音波洗浄器26の状態を表示するための洗浄器状態表示部603を有する。自動分析装置10が複数の加熱制御方法が適用可能となっている場合、メンテナンス操作部602から、制御部28に登録されている洗浄器加熱制御方法614のいずれかを選択することにより切り替え可能とされている。なお、自動分析装置10は1種類の加熱制御方法のみが搭載されていてもよく、この場合は切り替え不要となる。この他にも、サービスマンが後述する加熱動作を開始する設定温度をメンテナンス操作部602から設定可能であり、あるいは加熱動作における詳細な動作内容を加熱動作テーブル619に登録可能である。加熱動作テーブル619は、例えば、環境温度ごとに、超音波振動子205の駆動時間及び駆動回数が登録可能とされている。
【0033】
装置の制御を行う制御部28は、GUI600からの指令を上位通信処理部610から受け、自動分析装置制御部611は分注機構15や超音波洗浄器26等の制御を実行する。超音波洗浄器制御部613は、超音波洗浄器26の制御を実行する。後述するように、超音波洗浄器26の加熱制御を超音波振動子の圧電素子の温度に基づいて実行する場合には、超音波洗浄器制御部613は、環境温度計測器(温度センサ)640から取得した環境温度をもとに加熱動作が必要か判断を行うことができる。また、過去(例えば、数時間前から現時点まで)の洗浄動作履歴615から超音波振動子205の温度を推定して、加熱動作が必要か判断を行うことも可能である。
【0034】
検査実行時には、自動分析装置制御部611が分注機構制御部612に指令を出すことで、分注機構15の分注ノズル22を洗浄槽206内に挿入し、超音波洗浄器制御部613からの駆動指令によって超音波洗浄器26により分注ノズル22を洗浄する。洗浄後の洗浄液の入れ替えや、装置待機時に行われる洗浄液と水との置き換え動作は液入替制御部630が洗浄槽206に洗浄液または水を供給する供給機構631を制御することによって行う。
【0035】
超音波洗浄器制御部613から駆動制御切替部616への指令によって、ノズル洗浄制御部617と加熱制御部618とを切り替えて制御する。前述したように、超音波洗浄器26の動作がノズル洗浄動作と加熱動作とでは制御動作、制御パラメータが異なるため、駆動制御切替部616は、制御回路、あるいは制御パラメータの切り替えの設定を行う。具体的には、駆動電圧や駆動周波数の切り替えや、
図4に示したような駆動電流制御を行う場合には、過電流遮断を行う制御を実行する制御回路の切り替えなどである。
【0036】
ノズル洗浄制御部617は、分注ノズル22の汚れを取るため、振動ヘッド209の振動によって洗浄槽206内の液にキャビテーションを発生させる洗浄動作を実行する。
【0037】
加熱制御部618は、圧電素子を加熱するための超音波振動子205の駆動動作を実行する。このとき、加熱制御部618は、駆動制御切替部616の設定にしたがって、低電圧での駆動や過電流を遮断する。過電流を遮断していない場合には、超音波洗浄器26の駆動電流波形が正常値より高値か否かを駆動電流異常検出部620が確認できる。超音波洗浄器制御部613は、駆動電流の異常情報をもとに追加の加熱制御を行うことができる。また、分注ノズル22の洗浄時には、駆動電流の異常情報をもとにノズル洗浄制御部617により、超音波洗浄器26の洗浄動作を停止させることも可能である。
【0038】
図5のタイムチャートにおいて、加熱動作を洗浄時の駆動電圧よりも低い電圧で連続駆動することで行う例を示したが、共振周波数とは異なる駆動周波数で駆動させる、または、低い駆動電圧かつ共振周波数とは異なる駆動周波数で駆動させてもよい。この場合も、洗浄槽206内に貯められた洗浄液を飛散させることなく、超音波振動子205の温度低下を抑制することができる。
【0039】
また、オペレーション状態において常に加熱制御を行うのではなく、超音波振動子の温度によって加熱制御の実行を制御してもよい。使用環境によっては、加熱動作によって超音波振動子205が必要以上に高温になる可能性があり、この場合は無駄な発熱になるためである。
図7に超音波洗浄器制御部613における加熱動作実行の判定処理の例を示す。本判定処理においては、オペレーション中の環境温度によって加熱動作の実行/停止を切り替える。加熱動作としては、前述した(1)低電圧駆動及び/または非共振周波数駆動、(2)過電流カット、あるいは(1)(2)の組み合わせの使用が適切である。加熱動作を実行するか否かを判定する閾値温度はあらかじめ設定しておく。環境温度計測器640で計測された温度が設定された閾値温度以上かの判断を行い(S701)、閾値温度未満の場合に加熱動作(S702)を行い、閾値温度以上の場合には加熱動作(S702)を行なわず、洗浄要求の判断(S703)によって、洗浄要求ありの場合には、加熱動作なしで洗浄動作(S704)を行う。以上のフローを、オペレーション状態である限り(S705)繰り返す。前述のように、加熱動作要否判断は洗浄動作履歴に基づいて行うことも可能である。
【0040】
なお、このとき、加熱動作(S702)では、環境温度によって加熱時間や回数を切り替えることが望ましい。例えば、環境温度が18℃のときと環境温度が22℃のときでは、常温状態にするために必要なエネルギーが異なり、環境温度が18℃の方が22℃のときよりも合計駆動時間(1回の駆動時間と駆動回数の積)が必要である。そのため、環境温度の測定タイミング(S701)で、加熱動作テーブル619により、使用する加熱動作パラメータ(時間と回数)を決定することが望ましい。また、超音波振動子205の発熱量には個体差があるため、装置出荷のタイミングやリセット動作などで超音波振動子205の発熱量を測定して加熱動作テーブル619を更新してもよい。発熱量は、駆動電流波形が変化する駆動時間から判断可能である。
【実施例2】
【0041】
本実施例の装置構成は実施例1と同様であるが、圧電素子203を加熱するための制御方法が異なる。
【0042】
図8は、実施例2における超音波振動子の温度低下を防ぐための加熱制御のタイムチャートである。
図8に示す例では、オペレーション状態において、洗浄動作の直前に加熱動作を実施している。超音波洗浄器26が洗浄待機している間に冷やされた超音波振動子205を洗浄動作の直前に加熱動作により温める。洗浄液が入った状態で温度の低下した超音波振動子205を駆動すると、そのタイミングで洗浄液が飛散する可能性が高くなるため、加熱動作においては、(1)~(4)として例示したような加熱動作方法のいずれか、あるいはそれらの組み合わせを適用する。洗浄動作直前に超音波振動子205を温めることで、低温時においてもノズル洗浄時における洗浄液の飛散を抑制できる。
【0043】
なお、超音波振動子205や環境温度を測定して、その温度に応じて加熱動作の時間を制御することにより、超音波振動子205の特性を所望の(常温時の)状態に信頼性よく戻すことができる。そのため、本実施例の制御においても加熱動作テーブル619に、環境温度ごとの加熱時間を登録して、測定された環境温度により加熱時間を切り替える制御をおこなったり、駆動電流異常検出部620により超音波振動子205の駆動電流から状態が常温時と同程度に戻ったことを確認したりすることが望ましい。また、環境温度の測定により加熱時間を切り替える制御を行う場合には、液飛散が発生しにくい高温時には加熱動作を行わないよう、加熱動作テーブル619に登録する。
【0044】
実施例2における超音波洗浄器制御部613の加熱動作実行の判定処理の例を
図9に示す。洗浄要求の確認(S901)で洗浄動作を行うことを確認し、その後、環境温度の確認(S902)で、環境温度計測器640で計測された温度が設定された閾値温度未満の温度の時は加熱動作(S903)を行い、閾値温度以上のときは加熱動作を行わず、洗浄動作(S904)を行う。
【0045】
加熱制御の要否判断においては、前述のものに限られず、超音波振動子205や圧電素子203の温度を直接測り、高温となった時に加熱制御を切り、低温となったときのみ加熱制御を加えても良い。また、駆動電流波形から加熱が不足しているかの判断も可能である。さらに、過去に洗浄動作を行ったかの履歴や環境温度から超音波振動子205の温度低下を推定することも可能である。
【0046】
また、実施例1と同様に、加熱動作では、環境温度によって加熱時間や回数を切り替えることが望ましい。環境温度の測定タイミング(S902)で、より詳細な加熱動作パラメータ(時間と回数)を決定するようにしても良い。
【実施例3】
【0047】
本実施例の装置構成は、実施例1および実施例2と同様であるが、圧電素子203を加熱するための制御方法が異なる。
【0048】
図10は、実施例3における超音波振動子の温度低下を防ぐための加熱制御のタイムチャートである。
図10に示す例では、リセット動作中に超音波振動子205の加熱動作を行い、自動分析装置10の待機状態において温度の低下した超音波振動子205を温める。リセット動作では洗浄槽206内の液を水から洗浄液に置き換えるため、加熱動作の実行タイミングは、その置換前、すなわち洗浄槽206内の液が水のときに行う。洗浄槽206内が水のときに液飛散が発生したとしても、洗浄液が飛散して析出する問題が生じないためである。
【0049】
実施例3は、自動分析装置10が長時間待機状態になる夜間に超音波洗浄器26が冷却されることを想定した方法であり、装置を使用する前のリセット動作において十分な時間超音波振動子205を加熱することで、加熱なしの場合に比べ、オペレーション状態において安定した洗浄効果を得ることができる。この場合、超音波振動子205の周囲に断熱材を設けることで、リセット動作時に超音波振動子205を加熱した効果を持続させることができる。本実施例は、オペレーション時間が短い運用の場合や、環境温度が過度に低温とならない環境下において有効である。加熱動作では、実施例1や実施例2と同様に環境温度により加熱時間等の加熱動作パラメータを切り替えても良い。また、超音波振動子205の駆動電流から常温時と同程度に戻ったことを確認するようにしてもよい。
【実施例4】
【0050】
本実施例の装置構成は、実施例1乃至実施例3とは流路構成と加熱方法が異なる。
図11は、実施例4における超音波振動子の温度低下を防ぐための加熱制御のタイムチャートである。
図11に示す例では、自動分析装置10が待機状態の間、洗浄槽206に温水を供給することで、超音波振動子205の温度低下を抑制する。本実施例は、使用頻度が低い夜間など長時間待機状態となる場合に有効である。自動分析装置10には、24時間水温を一定に保つ反応ディスク13があり、前述の温水を流すための流路は、例えば、反応ディスク13の水温制御機能を利用することで部品点数を減らすことができる。超音波洗浄器26には前述の通り、洗浄槽206に洗浄液や水を供給する流路があり、反応ディスク13の温水の一部を洗浄槽206につながる流路に接続し、定期的に温水供給することが可能である。反応ディスクの13の温水を直接供給しない方法として、洗浄槽206に供給する流路を反応ディスクが温調する部分を通過させることで、間接的に洗浄槽206に接続する流路を温め、洗浄槽206に供給する水を温めることも可能である。ただし、オペレーション中は反応ディスク13の温度変化を抑えるため、洗浄槽206への供給は停止することが望ましい。そのため、装置状態の変化をトリガに流路の切り替えを制御する。
【0051】
以上、超音波振動子205内に備える圧電素子203の温度低下により発生する洗浄液の飛散を抑え、安定に動作できる超音波洗浄器26を備えた自動分析装置の制御方法として、実施例1から実施例4を示して説明した。これらの実施例は単独に用いるのみならず、組み合わせて使用することで、圧電素子203の温度低下の抑制効果を向上させることができる。例えば、実施例3と実施例1あるいは実施例2とを組み合わせて使用する場合、低い駆動電圧では超音波振動子205の加熱に時間がかかる問題点があるのに対し、リセット動作時に加熱動作を加えることで(実施例3)、リセット動作直後から超音波洗浄を安定に利用することが可能となる。特に、実施例1と実施例3との組み合わせは、実施例1は常に駆動電圧を印加して超音波振動子205を駆動するため、断熱材がなくても圧電素子203の温度が低下しにくく部品点数を減らせる可能性があり、有効である。さらに、例えば、夜間には実施例4のように温水を供給し、リセット時に実施例3のように加熱動作を行い、オペレーション中は実施例1あるいは実施例2を行うことで効果的に超音波振動子205の温度低下を抑制できる。
【0052】
以上の実施例では、生化学自動分析装置のサンプル分注を例に説明したが、開示した超音波洗浄器は試薬分注ノズルや免疫自動分析装置の分注ノズルなど、他の臨床検査装置の分注ノズルにおいても同様に適用可能なものである。
【符号の説明】
【0053】
10:自動分析装置、11:試薬容器、12:試薬ディスク、13:反応ディスク、14:試薬分注機構、15:サンプル分注機構、22:ノズル、23:サンプル容器、24:ラック、25:セル、26:超音波洗浄器、27:洗浄槽、28:制御部、201:フロントマス、202:バックマス、203:圧電素子、204:ボルト、205:超音波振動子(BLT)、206:洗浄槽、207:ベース部、208:フランジ部、209:振動ヘッド、210:振動ヘッドの先端部、211:円筒孔、212:配管、213:液受け、214:排水路、301,302:駆動電流波形、303,305:インピーダンス波形、304,306,307:共振点、401:定常電流値、600:GUI、601:分析実行操作部、602:メンテナンス操作部、603:洗浄器状態表示部、610:上位通信処理部、611:自動分析装置制御部、612:分注機構制御部、613:超音波洗浄器制御部、614:洗浄器加熱制御方法、615:洗浄動作履歴、616:駆動制御切替部、617:ノズル洗浄制御部、618:加熱制御部、619:加熱動作テーブル、620:駆動電流異常検出部、630:液入替制御部、631:供給機構、640:環境温度計測器。