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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/018 20060101AFI20220930BHJP
【FI】
A61B1/018 514
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019175712
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021049269
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】原田 高志
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/230135(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/211851(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/067974(WO,A1)
【文献】特開2000-116598(JP,A)
【文献】特開平08-126648(JP,A)
【文献】特開2006-158668(JP,A)
【文献】特開昭59-144434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
A61B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端と基端とを有する挿入部と、
前記挿入部の基端側に接続された操作部と、
前記操作部に設けられた操作部材と、
前記挿入部の先端側に回転自在に設けられた起立台と、
前記操作部から前記挿入部にかけて配置され、前記操作部材の操作を前記起立台に伝達する起立操作ワイヤと、
前記操作部の内部に配置され、前記操作部材の操作に応じて前記起立操作ワイヤの軸方向に進退自在に移動可能なスライダと、
前記起立操作ワイヤの前記操作部側に配置される接続部を外嵌するスリーブと、
を備え、
前記スライダは、前記スリーブに対応した円筒状のスリーブ収納空間を区画形成する収納部を有し、
前記スリーブが前記収納部に配置された状態で前記スライダと前記スリーブとを連結する連結部を備え、
前記スリーブは、前記スリーブの一部の塑性変形により前記起立操作ワイヤに圧着固定された圧着部を有し、前記圧着部は前記収納部に配置される、
内視鏡。
【請求項2】
前記連結部は、前記スライダと前記スリーブとを着脱自在にした連結部材を備える、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記圧着部の全体が前記収納部に配置される、
請求項1又は2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記圧着部は、凹凸形状の圧着面を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記スリーブは、前記軸方向に前記圧着部と異なる位置に非圧着部を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記非圧着部は、前記圧着部よりも大きな外径を有し、前記収納部の内面と係止して前記スリーブの前記軸方向の基端側の移動が規制される係止面を有する、
請求項5に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記圧着部は、前記非圧着部よりも前記軸方向の先端側に配置される、
請求項5又は6に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記圧着部は、前記非圧着部よりも前記軸方向の基端側に配置される、
請求項5又は6に記載の内視鏡。
【請求項9】
前記スライダは、前記スリーブ収納空間が前記軸方向の先端側に開口した開口部と、前記スリーブの前記軸方向の基端側への移動を規制するストッパ面と、を有する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記連結部は、前記スリーブが前記収納部に配置された状態で前記開口部に取り付けられた抜け止めネジを備える、
請求項9に記載の内視鏡。
【請求項11】
前記抜け止めネジは、前記軸方向にワイヤ挿通路を有し、前記ワイヤ挿通路には前記起立操作ワイヤが挿通される、
請求項10に記載の内視鏡。
【請求項12】
前記圧着部の一部は前記ワイヤ挿通路の内部に配置される、
請求項11に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内視鏡に係り、特に、挿入部の先端側に回転自在に設けられた起立台を、操作部の操作部材によって操作可能に構成された内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡では、操作部に設けられた処置具導入口から各種の処置具を導入し、この処置具を、挿入部の先端部に開口した処置具導出口から外部に導出して処置に用いている。例えば、十二指腸鏡ではガイドワイヤ又は造影チューブ等の処置具が使用され、超音波内視鏡では穿刺針等の処置具が使用される。また、その他の直視鏡及び斜視鏡においては、鉗子又はスネア等の処置具が使用される。このような処置具は、被検体内の所望の位置を処置するために先端部において導出方向を変更する必要がある。このため、挿入部の先端部には、処置具の導出方向を変更する起立台が設けられている。このような起立台は、例えば、特許文献1に開示された内視鏡のように、挿入部の先端から操作部にかけて配置された起立操作ワイヤの先端部に直接的又は間接的に接続されている。
【0003】
また、特許文献1に開示された内視鏡の操作部には、起立操作レバー(操作部材)と、起立操作レバーに連結されたリンク機構とが設けられている。リンク機構は、起立操作レバーの操作に応じて起立操作ワイヤのワイヤ軸方向にスライド移動するスライダを有している。このスライダには、起立操作ワイヤの基端部が連結されている。これにより、起立操作レバーを操作した場合、リンク機構のスライダを介して起立操作ワイヤが挿入部内で押し引きされて、起立台の姿勢が倒伏位置と起立位置との間で変更される。
【0004】
ここで、特許文献1には、操作ワイヤ(起立操作ワイヤ)の端部を、ワイヤ軸方向にスライド移動自在なピストンに半田により固定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-213061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の内視鏡は、半田固定時に使用するフラックスのつけ方、及び、半田の温度のバラつきに起因して起立操作ワイヤとスライダとの固定強度が安定しないという問題があった。また、半田による作業は時間もかかり、更に、フラックスが周囲の他の部品に付着した場合、他の部品を腐食させる虞もあった。
【0007】
なお、半田による固定に代えて、例えばロウ付け又は溶接による固定方法を採用した場合、大型の設備が必要となり、また、これらの固定方法は、起立操作ワイヤを内視鏡に組込んだ後の作業としては不向きであった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、起立操作ワイヤとスライダとを容易に且つ確実に連結することができる内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的を達成するために、本発明に係る内視鏡は、先端と基端とを有する挿入部と、挿入部の基端側に接続された操作部と、操作部に設けられた操作部材と、挿入部の先端側に回転自在に設けられた起立台と、操作部から挿入部にかけて配置され、操作部材の操作を起立台に伝達する起立操作ワイヤと、操作部の内部に配置され、操作部材の操作に応じて起立操作ワイヤの軸方向に進退自在に移動可能なスライダと、起立操作ワイヤの操作部側に配置される接続部を外嵌するスリーブと、を備え、スライダは、スリーブに対応した円筒状のスリーブ収納空間を区画形成する収納部を有し、スリーブが収納部に配置された状態でスライダとスリーブとを連結する連結部を備え、スリーブは、起立操作ワイヤに圧着固定された圧着部を有し、圧着部は収納部に配置される。
【0010】
本発明の別の態様においては、連結部は、スライダとスリーブとを着脱自在にした連結部材を備えることが好ましい。
【0011】
本発明の別の態様においては、圧着部の全体が収納部に配置されることが好ましい。
【0012】
本発明の別の態様においては、圧着部は、凹凸形状の圧着面を有することが好ましい。
【0013】
スリーブは、軸方向に圧着部と異なる位置に非圧着部を有することが好ましい。
【0014】
本発明の別の態様においては、非圧着部は、圧着部よりも大きな外径を有し、収納部の内面と係止してスリーブの軸方向の基端側の移動が規制される係止面を有することが好ましい。
【0015】
本発明の別の態様においては、圧着部は、非圧着部よりも軸方向の先端側に配置されることが好ましい。
【0016】
本発明の別の態様においては、圧着部は、非圧着部よりも軸方向の基端側に配置されることが好ましい。
【0017】
本発明の別の態様においては、スライダは、スリーブ収納空間が軸方向の先端側に開口した開口部と、スリーブの軸方向の基端側への移動を規制するストッパ面と、を有することが好ましい。
【0018】
本発明の別の態様においては、連結部は、スリーブが収納部に配置された状態で開口部に取り付けられた抜け止めネジを備えることが好ましい。
【0019】
本発明の別の態様においては、抜け止めネジは、軸方向にワイヤ挿通路を有し、ワイヤ挿通路には起立操作ワイヤが挿通されることが好ましい。
【0020】
本発明の別の態様においては、圧着部の一部はワイヤ挿通路の内部に配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、起立操作ワイヤとスライダとを容易に且つ確実に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】内視鏡を備えた内視鏡システムの構成図である。
図2】内視鏡の先端部を拡大して示す斜視図である。
図3図2に示す先端部本体の斜視図である。
図4図2に示す先端部の分解斜視図である。
図5】操作部内の起立台駆動機構の構成を簡易的に示した概略図である。
図6図5に示す接続部の断面図である。
図7】圧着部の圧着方法を説明する図である。
図8】第2実施形態の接続部の断面図である。
図9】第3実施形態の接続部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に従って本発明に係る内視鏡について説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る内視鏡10を備えた内視鏡システム12の構成図である。内視鏡システム12は、内視鏡10、プロセッサ装置14、光源装置16及びディスプレイ18を備えている。
【0025】
内視鏡10は、操作部材である起立操作レバー20が設けられた操作部22と、操作部22の先端側に設けられ、被検体内に挿入される挿入部24と、を備える。
【0026】
挿入部24は、基端から先端に向かう長手軸Axを有し、基端から先端に向って順に軟性部26と、湾曲部28と、先端部30とを備えている。先端部30の詳細な構成については後述するが、まず、先端部30の概略構成について説明する。
【0027】
図2は、キャップ34を装着した状態での先端部30を拡大して示した斜視図である。ここで、実施形態の内視鏡10(図1参照)は、例えば十二指腸鏡として用いられる側視内視鏡であり、図2の先端部30は側視内視鏡における構成を有している。
【0028】
また、図3は、先端部30を構成する先端部本体32の斜視図である。図4は、先端部30の分解斜視図である。
【0029】
図2に示すように、先端部30は、先端部本体32とキャップ34とを有する。キャップ34は先端部本体32に着脱自在に装着される。先端部本体32は、挿入部24(図1参照)の先端側に設けられている。この先端部本体32には後述する処置具誘導面36Aを有する起立台36が設けられる。なお、図2及び図3では、起立台36が倒伏位置に位置された状態が示されている。
【0030】
図2には、挿入部24(図1参照)の内部に配設される各種の内容物が示されている。具体的には、起立台36を回転操作するための起立操作ワイヤ40と、液体又はエアを供給するための送気送水チューブ42とが設けられる。また、図2では図示していないが、処置具を先端部本体32に導くための処置具チャンネルと、湾曲部28(図1参照)の湾曲方向を変更する操作を行うためのアングルワイヤと、画像信号を送信するための信号ケーブルと、照明用光を伝送するためのライトガイド等の内容物も設けられる。
【0031】
なお、本明細書では、3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の三次元直交座標系を用いて説明する。すなわち、操作部22から先端部30を見て、起立台36によって処置具(不図示)が導出される方向を上方向とした場合に、上方向をZ(+)方向とし、その反対方向である下方向をZ(-)方向とする。また、そのときにおける右方向をX(+)方向とし、左方向をX(-)方向とする。また、そのときにおける前方向(挿入部24の長手軸Ax方向の先端側の方向)をY(+)方向とし、後方向(挿入部24の長手軸Ax方向の基端側の方向)をY(-)方向とする。なお、Y(+)方向とY(-)方向を包含するY軸方向は、挿入部24の長手軸Axの方向と平行である。また、Z軸方向は長手軸Axの方向と直交する方向である。X軸方向はZ軸方向に直交する方向である。
【0032】
図1に戻り、操作部22は、全体として略円筒状に構成されている。この操作部22は、起立操作レバー20が回転自在に設けられた操作部本体46と、操作部本体46に連接された把持部48とを有し、把持部48の先端側に挿入部24の基端部が折れ止め管50を介して設けられる。この把持部48は、内視鏡10の操作時に術者によって把持される部分である。
【0033】
また、操作部本体46には、ユニバーサルケーブル52が備えられる。このユニバーサルケーブル52の先端側には、光源コネクタ54が設けられる。光源コネクタ54には、電気コネクタ56が分岐して設けられる。そして、電気コネクタ56はプロセッサ装置14に接続され、光源コネクタ54は光源装置16に接続される。
【0034】
また、操作部本体46には、送気送水ボタン57と吸引ボタン59とが並設されている。送気送水ボタン57を操作すると、図2の送気送水チューブ42にエア又は液体が供給されて、先端部本体32に設けられた送気送水ノズル58からエア又は水を噴出することができる。なお、図1の送気送水ボタン57は、2段階の押下操作が可能となっており、1段階の押下操作によってエアが送気送水チューブ42に供給され、2段階の押下操作によって液体が送気送水チューブ42に供給される。
【0035】
また、図1の吸引ボタン59を操作すると、図2の先端部本体32に設けられた処置具導出口60から血液等の体液を、処置具チャンネル(不図示)を介して内視鏡10の外部に吸引することができる。
【0036】
図1に示すように、操作部本体46には、湾曲部28を湾曲操作する一対のアングルノブ62、62が配置される。一対のアングルノブ62、62は、互いに同軸上で回動自在に設けられる。
【0037】
起立操作レバー20は、アングルノブ62、62と同軸上で回転自在に設けられる。起立操作レバー20は、把持部48を把持する術者の手によって回転操作される。起立操作レバー20が回転操作されると、起立操作レバー20の動作に応じて図2の起立操作ワイヤ40が押し引き操作される。このような起立操作ワイヤ40の操作によって、起立操作ワイヤ40の先端側に連結された起立台36の姿勢が、図2に示される倒伏位置と、不図示の起立位置との間で変更される。
【0038】
図1に示すように、操作部22の把持部48は、処置具を導入する処置具導入口64を備える。処置具導入口64から先端部を先頭にして導入された処置具(不図示)は、不図示の処置具チャンネルに挿通されて、先端部本体32に設けられた処置具導出口60から外部に導出される。
【0039】
挿入部24の軟性部26は、弾性を有する薄い金属製の帯状板を螺旋状に巻回してなる螺旋管(不図示)を有する。軟性部26は、この螺旋管の外部に、金属線で編んだ筒状の網体を被覆し、この網体の外周面に樹脂からなる外皮を被覆することによって構成される。
【0040】
挿入部24の湾曲部28は、複数のアングルリング(不図示)が相互に回動可能に連結されてなる構造体を有する。湾曲部28は、この構造体の外周に金属線で編んだ筒状の網体を被覆し、この網体の外周面にゴム製の筒状の外皮を被覆することによって構成される。このように構成された湾曲部28からアングルノブ62、62にかけて、例えば4本のアングルワイヤ(不図示)が配設されており、アングルノブ62、62の回動操作によって、これらのアングルワイヤが押し引き操作されることにより湾曲部28が上下左右に湾曲される。
【0041】
実施形態の内視鏡10は、例えば十二指腸鏡として用いられる側視内視鏡であり、挿入部24が口腔を介して被検体内に挿入される。挿入部24は、食道から胃を経て十二指腸まで挿入されて、所定の検査又は治療等の処置が行われる。
【0042】
なお、実施形態の内視鏡10で使用される処置具としては、先端部に生体組織を採取可能なカップを有する生検鉗子、EST(Endoscopic Sphincterotomy:内視鏡的乳頭切開術)用ナイフ又は造影チューブ等の処置具を例示することができる。
【0043】
次に、先端部30の構造について、図2図3及び図4を参照して説明する。
【0044】
図2示すように、先端部30は、先端部本体32と、先端部本体32に着脱自在に装着されるキャップ34と、を備えている。キャップ34の基端側には、凸状の係合部(不図示)が備えられ、この係合部を、先端部本体32に形成された溝状の被係合部31(図4参照)に係合することにより先端部本体32にキャップ34が着脱自在に装着される。
【0045】
キャップ34は、先端側が封止され、基端側が開口された略筒状体で構成されており、その外周面の一部には、略矩形状の開口窓34Aが備えられている。図2に示すように、開口窓34Aは、キャップ34が先端部本体32に装着された際に、長手軸Ax方向に直交する方向であるZ(+)方向に向けて配置される。これにより、処置具導出口60が、先端部本体32に設けられた起立台収容空間66を介して開口窓34Aに連通される。
【0046】
なお、キャップ34は、弾性力のある材質、例えばフッ素ゴム又はシリコンゴム等のゴム材料、ポリサルフォン、又はポリカーボネート等の樹脂材料によって構成される。このキャップ34は、内視鏡10の処置が終了すると、先端部本体32から取り外されて洗浄消毒されるか、もしくはディスポーザブルとして廃棄される。
【0047】
図3に示すように、先端部本体32は、Y(+)側に向けて突設された一対の隔壁68、70を有し、これらの隔壁68、70は、X軸方向において互いに対向して配置されている。また、隔壁68と隔壁70との間には、起立台36を収容する上記の起立台収容空間66が備えられる。起立台収容空間66は、処置具導出口60に面しており、隔壁68、70によって画定される。この起立台収容空間66は、長手軸Ax方向に直交するZ(+)方向及びZ(-)方向に開口されている。先端部本体32は、耐食性を有する金属材料で構成される。
【0048】
隔壁68のZ(+)側の上面68Aには、照明窓を有する照明光学系74と、観察窓を有する観察光学系76とがY軸方向に隣接して配設されている。この観察光学系76によって、観察方向の被写体を観察することができる。なお、観察方向とは、挿入部24(図1参照)の長手軸Ax方向に直交する方向のうち、起立台収容空間66が開口するZ(+)方向を指す。また、前述した送気送水ノズル58は、観察光学系76に向けて先端部本体32に設けられており、観察光学系76は、送気送水ノズル58から噴射されるエア及び液体によって洗浄及び乾燥される。
【0049】
隔壁68の内部には、収容室72が備えられる。収容室72には、照明部(不図示)が収容されている。照明部は、照明光学系74の収容室72側に配置されたライトガイド(不図示)を備えている。ライトガイドは、内視鏡10(図1参照)の挿入部24から操作部22を介してユニバーサルケーブル52に配設され、その基端が光源コネクタ54に接続されている。したがって、光源コネクタ54が光源装置16に接続されると、光源装置16からの照射光がライトガイドを介して照明光学系74に伝送されて、照明光学系74から上記の観察方向に向けて照射される。
【0050】
また、収容室72には、撮影部(不図示)が収容されている。撮影部は、観察光学系76の収容室72側に配置されたCMOS(complementary metal oxide semiconductor)型又はCCD(charge coupled device)型の撮像素子(不図示)を備えている。撮像素子の結像面には観察光学系76を構成する結像レンズ(不図示)によって被写体像が結像される。この撮像素子には信号ケーブル(不図示)の先端が接続され、信号ケーブルは、内視鏡10(図1参照)の挿入部24から操作部22を介してユニバーサルケーブル52に配設され、その基端が電気コネクタ56に接続される。したがって、電気コネクタ56がプロセッサ装置14に接続されると、撮影部によって得られた被写体像の撮像信号が、信号ケーブルを介してプロセッサ装置14に送信される。そして、撮像信号はプロセッサ装置14によって画像処理された後、ディスプレイ18に被写体像として表示される。
【0051】
次に、起立台36の構成について説明する。隔壁70のX(+)側の側面には、起立レバー収容室78が備えられ、起立レバー収容室78には、起立レバー80が収容される。起立レバー収容室78は、扇型の凹状形状に構成されており、不図示の保護板によって覆われて密閉される。また、起立レバー収容室78のY(-)側の側面78Aには、起立操作ワイヤ40を貫通して配置するための貫通孔82がY軸方向に沿って備えられている。起立操作ワイヤ40の先端部は、連結具(不図示)を介して起立レバー80のレバー部80Aと連結される。
【0052】
また、図4に示すように、隔壁70には、起立レバー収容室78と起立台収容空間66とを連通する貫通孔84がX軸方向に沿って備えられている。この貫通孔84に起立レバー80の回転軸86が貫通して配置され、かつ回転軸86が貫通孔84に回転自在に軸支される。回転軸86と貫通孔84との間にはシール部材(不図示)が配置され、起立台収容空間66と起立レバー収容室78とは相互に気体及び液体の侵入が防止されている。回転軸86の起立台収容空間66に突出する軸部88は、起立台36の連結部38に形成された嵌合孔39に嵌合されることにより起立台36と連結する。
【0053】
上記の如く構成された起立台36によれば、起立操作ワイヤ40が起立操作レバー20(図1参照)によって押し引き操作されると、起立レバー80と共に回転軸86が回転されることで、起立台36が回転軸86を中心に倒伏位置(図1参照)と起立位置(不図示)との間で回転される。このような起立台36の回転動作によって、処置具導出口60から起立台収容空間66に導出された処置具の導出方向が変更される。
【0054】
次に、図5に示す起立台駆動機構100の構成図を用いて、起立台駆動機構100の構成について説明する。この起立台駆動機構100は、起立操作レバー20の回転操作に連動して動作して起立操作ワイヤ40を押し引きすることにより、起立台36を起立又は倒伏させる機構である。
【0055】
図5に示すように、起立台駆動機構100は、操作部22(図1参照)の内部に配置されたベース板102上に設けられ、リンク機構104とワイヤ連結部105とを有している。
【0056】
リンク機構104は、回転ドラム107と、クランク部材108と、接続部材109と、を有している。回転ドラム107は、ベース板102にX軸方向に沿って突設された回転軸107aに回転自在に支持されている。この回転ドラム107には、起立操作レバー20が取り付けられている。よって、回転ドラム107は起立操作レバー20の回動操作により所定の角度範囲の範囲内で回動操作される。
【0057】
回転ドラム107の外周部には、クランク部材108の基端部が不図示の軸支機構により軸支されている。クランク部材108は、回転ドラム107からY軸(+)方向に延びるL字状の部材として構成されており、クランク部材108の先端部に、接続部材109の基端側がネジ109Aによって連結されている。また、接続部材109の先端部には、ワイヤ連結部105を構成するスライダ110が接続されている。
【0058】
スライダ110は、長手軸を有する棒状に構成されており、起立操作ワイヤ40のワイヤ軸方向(Y軸方向)に沿って配置されたガイド管111の内部に挿通されている。これにより、スライダ110は、ガイド管111によってY軸方向にスライド移動可能(進退自在)に支持されている。なお、ガイド管111は、ブラケット130を介してベース板102に固定されている。また、詳しくは後述するが、スライダ110は、ガイド管111の内部において、起立操作ワイヤ40に接続されている。よって、起立操作レバー20が回動操作されると、回転ドラム107が回転され、その回転動作がクランク部材108によってY軸方向に沿う直進動作に変更される。そして、その直進動作が接続部材109を介してスライダ110に伝達される。これにより、スライダ110がY軸方向にスライド移動され、起立操作ワイヤ40がY軸方向に押し引き操作される。
【0059】
以下、ワイヤ連結部105の構成について説明する。
【0060】
[第1実施形態]
図6は、図5に示したガイド管111の内部に配置されたワイヤ連結部105の構成を示す断面図である。
【0061】
図6に示すように、ワイヤ連結部105は、上記のスライダ110と、スリーブ112と、抜け止めネジ126とを備えている。ここで、抜け止めネジ126は、スライダ110とスリーブ112とを連結する連結部の一例であって、スライダ110とスリーブ112とを着脱自在に連結する連結部材の一例である。
【0062】
スライダ110は、円筒状に構成されており、その内部の貫通孔122に起立操作ワイヤ40の操作部22側(起立操作ワイヤ40の基端部側)が挿通されている。また、スライダ110は、貫通孔122の先端側に、収納部118を有している。この収納部118によって、スリーブ112に対応した円筒状のスリーブ収納空間116が区画形成されている。
【0063】
スリーブ112は、起立操作ワイヤ40の基端部側が挿通された状態で、上記の収納部118に収納されている。また、スリーブ112は、起立操作ワイヤ40の基端部側に配置される接続部41を外嵌して配置される。更に、スリーブ112は、スリーブ112の軸方向において、起立操作ワイヤ40の接続部41に圧着固定された圧着部114と、圧着部114と異なる位置に配置された非圧着部115とを備えている。圧着部114は、非圧着部115に対して先端側に設けられ、収納部118に配置されている。また、非圧着部115は、圧着よりも大きな外径を有している。
【0064】
圧着部114は、圧着工具(不図示)によってスリーブ112の一部分を縮径方向に塑性変形させることで形成されたものであり、これによって圧着部114は接続部41に圧着固定される。圧着工具を用いた圧着固定作業は、スリーブ112を収納部118に収納する前に行われ、この圧着固定作業の終了後に、起立操作ワイヤ40の接続部41に圧着固定されたスリーブ112は、スライダ110の先端側に開口した開口部124から収納部118に収納される。
【0065】
一方、収納部118は、収納部118の基端側に円環状のストッパ面120を有している。このストッパ面120に、非圧着部115の基端面である係止面128が当接することにより、スリーブ112の軸方向の基端側への位置ずれが防止されている。これにより、スライダ110に対するスリーブ112の位置が位置決めされる。
【0066】
位置決めされたスリーブ112は、抜け止めネジ126によってスライダ110に連結される。具体的に説明すると、抜け止めネジ126は円管状に構成されて、軸方向にワイヤ挿通路132を有し、このワイヤ挿通路132に起立操作ワイヤ40の基端部側が挿通されている。抜け止めネジ126の雄ネジ部126Aを、収納部118の内面の雌ネジ部118Aに螺合していくと、抜け止めネジ126の先頭端127が圧着部114と非圧着部115との段差部113に当接する。これにより、スリーブ112は、ストッパ面120と先頭端127とに挟まれてスライダ110に連結される。そして、スリーブ112の圧着部114が起立操作ワイヤ40の接続部41に圧着固定されていることから、ワイヤ連結部105において、起立操作ワイヤ40の基端部側がスライダ110に連結される。このような構成により、起立操作レバー20の操作が起立操作ワイヤ40を介して起立台36(図2参照)に伝達される。
【0067】
次に、起立操作ワイヤ40の基端部側とスライダ110とを固定する固定作業の一例について説明する。
【0068】
まず、起立操作ワイヤ40の基端部側を抜け止めネジ126のワイヤ挿通路132に通してからスリーブ112に通す。
【0069】
次に、圧着工具(不図示)を用いてスリーブ112の先端側の一部部分(圧着部114となる部分)を縮径方向に塑性変形させて圧着部114を形成し、この圧着部114を起立操作ワイヤ40の接続部41に圧着固定する。これにより、起立操作ワイヤ40の基端部側とスリーブ112とが固定される。
【0070】
次に、スリーブ112の基端から延出されている起立操作ワイヤ40の基端部側をスライダ110の開口部124から収納部118に挿入し、収納部118を介して貫通孔122に配設する。
【0071】
次に、スリーブ112を開口部124から収納部118に収納した後、上記の如く抜け止めネジ126によってスリーブ112をスライダ110に連結する。以上の作業で起立操作ワイヤ40の基端部側とスライダ110とを固定することができる。
【0072】
次に、ガイド管111の先端側開口部からスライダ110をガイド管111に挿入し、この後、図5に示したように、スライダ110の基端部を接続部材109に接続する。これにより、図5に示したワイヤ連結部105が構成される。
【0073】
上記の固定作業の如く、実施形態の内視鏡10は、起立操作ワイヤ40とスライダ110との固定を、スリーブ112の圧着部114による圧着固定にて実現したので、半田を用いて両者を固定する従来の内視鏡と比較して、起立操作ワイヤ40とスライダ110との固定強度が安定する。また、実施形態の圧着固定作業は、フラックスを用いない作業なのでフラックスの付着に起因する腐食の虞もなく、更に、圧着工具を用いるだけの簡単な作業なので、起立操作ワイヤ40を内視鏡10に組込んだ後であっても、上記の固定作業を行うことができる。
【0074】
したがって、実施形態の内視鏡10によれば、収納部118を有するスライダ110と、起立操作ワイヤ40の接続部41を外嵌するスリーブ112と、スリーブ112が収納部118に配置された状態でスライダ110とスリーブ112とを連結する抜け止めネジ126と、を備え、スリーブ112は、起立操作ワイヤ40に圧着固定された圧着部114を有しているので、起立操作ワイヤ40とスライダ110とを容易に且つ確実に連結することができる。また、圧着部114はスライダ110の内部に、すなわち、スリーブ収納空間116を区画形成する収納部118の内部に配置されているので、スライダ110のスライド移動時に、スリーブ112の圧着部114(起立操作ワイヤ40に圧着固定された部分)がガイド管111の内面に摺動することなくスライダ110がスライド移動する。これにより、スライダ110の円滑なスライド移動動作を実現することができる。なお、実施形態では、圧着部114の先端側が収納部118から突出し、ワイヤ挿通路132に配置されているが、収納部118に圧着部114の全てが配置されていてもよい、圧着部114を収納部118に配置することで、ガイド管111との接触が防止されている。
【0075】
図7は、圧着部の圧着方法を説明する図である。本実施形態においては、圧着部114は、凹凸形状の圧着面114Aを有することが好ましい。凹凸形状の圧着面114Aとすることで、変形量が大きくなるが、固定強度を強くすることができる。また、凹凸形状の圧着面114Aとするには、図7に示すように、凹凸形状の圧着器具134を、上下方向(あるいは横方向)から圧着することで、形成することができる。一度の圧着で固定することで、小型の設備で行うことができ、作業工数も少なくて行うことができる。本実施形態によれば、スリーブ112の圧着部114をスライダ110の内部に配置し、スライダ110の内部でのスリーブ112の軸方向の移動を規制している。圧着部114は、非圧着部115より外径が小さいため、収納部118及び抜け止めネジ126のワイヤ挿通路132の内面と、圧着部114との間に十分なスペースを確保することができる。圧着部114の形状を変形量の大きい凹凸形状の圧着面114Aとした場合でも、本実施形態によれば、収納部118及び抜け止めネジ126のワイヤ挿通路132の内面との接触を防止できるので効果的である。
【0076】
なお、圧着部114の形状は、特に限定されない。平坦な押圧面を有する圧着器具を用いて、上下方向(あるいは横方向)から圧着することで、平坦な圧着面を有する圧着部とすることができる。平坦な圧着面とすることで、スリーブ112の圧着面の変形量を少なくすることができる。また、上下方向あるいは横方向から一度の押圧ではなく、複数方向から圧着してもよい。複数方向から圧着することで、起立操作ワイヤ40とスリーブ112を強固に圧着させることができる。
【0077】
起立操作ワイヤ40とスリーブ112とを圧着固定し、スリーブ112とスライダ110とは、径方向に固定せず、抜け止めネジ126を用いて軸方向のみ固定することで、スリーブ112の移動を規制するとともに、起立操作ワイヤ40の回転トルクが抜け止めネジ126に掛かることを防止することができる。内視鏡10の挿入部24を体腔内に挿入させる際に、挿入部24を回転させながら挿入する場合がある。起立操作ワイヤ40に掛かった回転トルクは、起立操作ワイヤ40に圧着固定されているスリーブ112に掛かる。スリーブ112は、スライダ110と径方向で固定されていない(すなわち、スライダ110とスリーブ112は軸回りに相対回転可能である)ため、スライダ110には回転トルクが掛からない。したがって、抜け止めネジ126に、回転トルクが掛かることを防止できるので、抜け止めネジ126がスライダ110から緩むことを防止することができる。
【0078】
また、上記の実施形態では、連結部の連結部材として、図5に示した抜け止めネジ126を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、スライダ110の外周面からスライダ110の内周面に向けてネジを螺入し、このネジの先端をスリーブ112に圧接することでスライダ110とスリーブ112とを連結することもできる。この場合、上記のネジが連結部材を構成する。このような連結部材を用いることにより、スライダ110とスリーブ112とを着脱自在に連結可能となるので、起立操作ワイヤ40の取り外しを容易に行うことができる。なお、スライダ110とスリーブ112との連結形態は、上記着脱可能な形態に限定されず、例えばスリーブ112の外周面とスライダ110の内周面との間の隙間に接着剤を充填してスライダ110とスリーブ112とを固定することもできる。この場合、上記の接着剤が連結部を構成する。
【0079】
本実施形態の内視鏡10によれば、起立操作ワイヤ40と、スリーブ112と、を圧着固定し、この圧着固定した圧着部114を、スライダ110の収納部118内に配置している。そして、このスリーブ112をスライダ110に対して、収納部118のストッパ面120と抜け止めネジ126の先頭端127とで、軸方向の移動を規制することで、スリーブ112とスライダ110を一体で移動させることができ、スリーブ112の移動による圧着部114の変形を防止することができる。したがって、起立操作ワイヤ40の押し引きによるスライダ110のスライド移動時に、スリーブ112の圧着部114がガイド管111の内面に摺動することなくスライダ110がスライド移動する。これにより、スライダ110の円滑なスライド移動動作を実現することができる。
【0080】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態の内視鏡10を構成するワイヤ連結部205の構成を示す断面図である。
【0081】
図8に示すように、ワイヤ連結部205は、スライダ210と、スリーブ212と、抜け止めネジ126とを備えている。第2実施形態の内視鏡のワイヤ連結部205は、圧着部214と非圧着部215の位置が、スリーブ212の軸方向において、反対側に位置する点が、第1実施形態の内視鏡のワイヤ連結部105と異なっている。すなわち、第2実施形態のワイヤ連結部205は、スリーブ212の圧着部214がスリーブ212の軸方向基端側に、非圧着部215がスリーブ212の軸方向先端側に配置される。
【0082】
スライダ210は、円筒状に構成されており、その内部の貫通孔222に起立操作ワイヤ40の操作部22側(起立操作ワイヤ40の基端部側)が挿通されている。また、スライダ210は、貫通孔222の先端側に、収納部218を有している。この収納部218によって、スリーブ212に対応した円筒状のスリーブ収納空間216が区画形成されている。
【0083】
スリーブ212は、起立操作ワイヤ40の基端側が挿通された状態で、上記の収納部218に収納されている。また、スリーブ212は、起立操作ワイヤ40基端部側に配置される接続部41を外嵌して配置される。更に、スリーブ212は、スリーブ212の軸方向において、起立操作ワイヤ40の接続部41に圧着固定された圧着部214と、圧着部214と異なる位置に非圧着部215とを備えている。圧着部214は、非圧着部215に対して基端側に設けられ、収納部218に配置されている。また、非圧着部215は、圧着よりも大きな外径を有している。
【0084】
圧着部214は、圧着工具(不図示)によってスリーブ212の一部を縮径方向に塑性変形させることで形成されたものであり、これによって圧着部214は接続部41に圧着固定される。圧着工具を用いた圧着固定作業は、スリーブ212を収納部218に収納する前に行われ、この圧着固定作業の終了後に、起立操作ワイヤ40の接続部41に圧着固定されたスリーブ212は、スライダ210の先端側に開口した開口部124から収納部218に収納される。
【0085】
収納部218は、スリーブ212の非圧着部215の基端面に対応するスリーブ収納空間216の位置に円環状のストッパ面220を有している。このストッパ面220に、非圧着部215の基端面である係止面228が当接することにより、スリーブ212の軸方向の基端側への位置ずれが防止されている。これにより、スライダ210に対するスリーブ212の位置が位置決めされる。
【0086】
位置決めされたスリーブ212は、抜け止めネジ126によってスライダ210に連結される。抜け止めネジ126の雄ネジ部126Aを、収納部218の内面の雌ネジ部218Aに螺合していくと、抜け止めネジ126の先頭端127が圧着部114と非圧着部215との段差部213に当接する。これにより、スリーブ212は、ストッパ面220と先頭端127とに挟まれてスライダ210に連結される。そして、スリーブ212の圧着部214が起立操作ワイヤ40の接続部41に圧着固定されていることから、ワイヤ連結部205において、起立操作ワイヤ40の基端部側がスライダ210に連結される。このような構成により、起立操作レバー20の操作が起立操作ワイヤ40を介して起立台36(図2参照)に伝達される。
【0087】
上記のワイヤ連結部205においても、第1実施形態のワイヤ連結部105と同様に、起立操作ワイヤ40とスライダ210との固定を、スリーブ212の圧着部214による圧着固定にて実現したので、半田を用いて両者を固定する従来の内視鏡と比較して、起立操作ワイヤ40とスライダ210との固定強度が安定する。また、圧着固定作業は、フラックスを用いない作業なのでフラックスの付着に起因する腐食の虞もなく、更に、圧着工具を用いるだけの簡単な作業なので、起立操作ワイヤ40を内視鏡10に組込んだ後であっても、上記の固定作業を行うことができる。
【0088】
また、第2実施形態のワイヤ連結部205によれば、圧着部214がスライダ210の収納部218の基端側に配置されるため、圧着部214の全部を収納部218内に収納させることができる。したがって、起立操作ワイヤ40の押し引きによるスライダ210のスライド移動時に、スリーブ212の圧着部214がガイド管111の内面に摺動することなくスライダ210がスライド移動する。これにより、スライダ210の円滑なスライド移動動作を実現することができる。
【0089】
[第3実施形態]
図9は、第3実施形態の内視鏡10を構成するワイヤ連結部305の構成を示す断面図である。
【0090】
図9に示すように、ワイヤ連結部305は、スライダ310と、スリーブ312と、抜け止めネジ126とを備えている。第3実施形態の内視鏡のワイヤ連結部305は、起立操作ワイヤ40に外嵌されたスリーブ312の全てが、起立操作ワイヤ40に圧着固定された圧着部314となっている点が、第1実施形態及び第2実施形態のワイヤ連結部と異なっている。
【0091】
スライダ310は、円筒状に構成されており、その内部の貫通孔322に起立操作ワイヤ40の操作部22側(起立操作ワイヤ40の基端部側)が挿通されている。また、スライダ310は、貫通孔322の先端側に、収納部318を有している。この収納部318によって、スリーブ212に対応した円筒状のスリーブ収納空間316が区画形成されている。
【0092】
スリーブ312は、起立操作ワイヤ40の基端側が挿通された状態で、上記の収納部318に収納されている。また、スリーブ312は、起立操作ワイヤ40の基端部側に配置される接続部41を外嵌して配置される。更に、スリーブ312は、起立操作ワイヤ40の接続部41に圧着固定された圧着部314を備えており、この圧着部314は、収納部318に配置されている。
【0093】
圧着部314は、圧着工具(不図示)によってスリーブ312を縮径方向に塑性変形させることで形成されたものであり、これによって圧着部314は接続部41に圧着固定される。圧着工具を用いた圧着固定作業は、スリーブ312を収納部318に収納する前に行われ、この圧着固定作業の終了後に、起立操作ワイヤ40の接続部41に圧着固定されたスリーブ312は、スライダ310の先端側に開口した開口部124から収納部318に収納される。
【0094】
収納部318は、収納部318の基端側に円環状のストッパ面320を有している。このストッパ面320に、スリーブ312の圧着部314の基端面である係止面328が当接することにより、スリーブ312の軸方向の基端側への位置ずれが防止されている。これにより、スライダ310に対するスリーブ312の位置が位置決めされる。
【0095】
位置決めされたスリーブ312は、抜け止めネジ126によってスライダ310に連結される。抜け止めネジ126の雄ネジ部126Aを、収納部318の内面の雌ネジ部318Aに螺合していくと、抜け止めネジ126の先頭端127がスリーブ312の先端面313に当接する。本実施形態においては、スリーブ312の全てを圧着部314としているため、スリーブ312の軸方向先端側の端部は圧着せず、抜け止めネジ126が当接する先端面313を設けることが好ましい。これにより、スリーブ312は、ストッパ面320と先頭端127とに挟まれてスライダ310に連結される。そして、スリーブ312の圧着部314が起立操作ワイヤ40の接続部41に圧着固定されていることから、ワイヤ連結部305において、起立操作ワイヤ40の基端部側がスライダ310に連結される。このような構成により、起立操作レバー20の操作が起立操作ワイヤ40を介して起立台36(図2参照)に伝達される。
【0096】
上記のワイヤ連結部305においても、第1実施形態及び第2実施形態のワイヤ連結部と同様に、起立操作ワイヤ40とスライダ310との固定を、スリーブ312の圧着部314による圧着固定にて実現したので、起立操作ワイヤ40とスライダ310との固定強度が安定する。また、圧着固定作業は、フラックスを用いない作業なのでフラックスの付着に起因する腐食の虞もなく、更に、圧着工具を用いるだけの簡単な作業なので、起立操作ワイヤ40を内視鏡10に組込んだ後であっても、上記の固定作業を行うことができる。
【0097】
第3実施形態のワイヤ連結部305によれば、スリーブ312の全体を圧着部314としているため、高い固定強度で起立操作ワイヤ40とスリーブ312を固定することができる。また、スリーブ312を収納部318に収納し、スリーブ212の軸方向の移動を規制しているため、圧着部314の全部を収納部318内に収納させることができる。したがって、起立操作ワイヤ40の押し引きによるスライダ310のスライド移動時に、スリーブ312の圧着部314がガイド管111の内面に摺動することなくスライダ310がスライド移動する。これにより、スライダ310の円滑なスライド移動動作を実現することができる。
【0098】
なお、上述した各実施形態では、起立操作ワイヤ40と起立台36とを、起立レバー80を介して連結する形態で説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、起立台36に起立操作ワイヤ40を直接取り付け、起立操作ワイヤ40の押し引き操作により、直接起立台36の倒伏位置と起立位置の回転を行ってもよい。この場合、起立台36は先端部本体32に取り付けてもよく、キャップ34に取り付けてもよい。
【0099】
以上、本発明について説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0100】
10 内視鏡
12 内視鏡システム
14 プロセッサ装置
16 光源装置
18 ディスプレイ
20 起立操作レバー
22 操作部
24 挿入部
26 軟性部
30 先端部
31 被係合部
32 先端部本体
34 キャップ
34A 開口窓
36 起立台
36A 処置具誘導面
38 連結部
39 嵌合孔
40 起立操作ワイヤ
41 接続部
42 送気送水チューブ
46 操作部本体
48 把持部
50 折れ止め管
52 ユニバーサルケーブル
54 光源コネクタ
56 電気コネクタ
57 送気送水ボタン
58 送気送水ノズル
59 吸引ボタン
60 処置具導出口
62 アングルノブ
64 処置具導入口
66 起立台収容空間
68、70 隔壁
68A 上面
72 収容室
74 照明光学系
76 観察光学系
78 起立レバー収容室
78A 側面
80 起立レバー
80 レバー部
82 貫通孔
84 貫通孔
86 回転軸
88 軸部
100 起立台駆動機構
102 ベース板
104 リンク機構
105、205、305 ワイヤ連結部
107 回転ドラム
107a 回転軸
108 クランク部材
109 接続部材
109A ネジ
110、210、310 スライダ
111 ガイド管
112、212、312 スリーブ
113、213 段差部
114、214、314 圧着部
114A 凹凸形状の圧着面
115、215 非圧着部
116、216、316 スリーブ収納空間
118、218、318 収納部
118A、218A、318A 雌ネジ部
120、220、320 ストッパ面
122、222、322 貫通孔
124 開口部
126 抜け止めネジ
126A 雄ネジ部
127 先頭端
128、228、328 係止面
130 ブラケット
132 ワイヤ挿通路
134 圧着器具
313 先端面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9