(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】ブロックイソシアネートベースの反応性熱可塑性ポリウレタン
(51)【国際特許分類】
C08G 18/80 20060101AFI20220930BHJP
C08G 18/65 20060101ALI20220930BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20220930BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20220930BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
C08G18/80
C08G18/65 005
C08G18/42 069
C08G18/42
C08G18/48
C08G18/00 A
(21)【出願番号】P 2019542605
(86)(22)【出願日】2018-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2018053910
(87)【国際公開番号】W WO2018149977
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-02-16
(32)【優先日】2017-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ホルマン,ラヤン
(72)【発明者】
【氏名】リヒター,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】フフナゲル,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァグナー,ヘンドリク
【審査官】吉田 早希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0243978(US,A1)
【文献】特開昭51-087599(JP,A)
【文献】特開昭58-037016(JP,A)
【文献】特開昭53-102926(JP,A)
【文献】特表2012-521450(JP,A)
【文献】特表2016-531023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00 - 18/87
C08G 71/00 - 71/04
C08K 3/00 - 13/08
C08L 1/00 - 101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物(Z1)を、成形体の製造のために、使用する方法であって、組成物(Z1)が、少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることによって得ることができる、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を含み、
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)が、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体であり、末端基(EG1)および末端基(EG2)からなる群から選択される末端基を有しており、末端基(EG1)が温度(T1)にて脱離され、末端基(EG2)が温度(T2)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成することができ、
温度(T1)および温度(T2)が、それぞれ60℃以上であり、
及び温度(T1)は、温度(T2)と等しくなく、
成形体が、粉末ベース層構築方法によって製造される、使用する方法。
【請求項2】
末端基(EG1)と(EG2)との総合計の含有量が、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)中のウレタン基の含有量に対して0.01~50モル%の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組成物(Z1)が、成分(iii)として、イソシアネート基に向けて反応性である少なくとも2つの基を有する化合物から選択される少なくとも1種の鎖延長剤を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ポリオール組成物が、イソシアネート基に向けて反応性である少なくとも2つの基を有する化合物から選択される少なくとも1種の鎖延長剤を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
鎖延長剤が、500g/モル以下の分子量を有するジアミンおよびジオールからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)が、GPCで求めて、2000~50,000g/モルの範囲の分子量を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
イソシアネート組成物が、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-および/または4,4’-ジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4-および/または2,6-ジイソシアネート(TDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニル(TODI)、p-フェニレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、ならびにメチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-および/または2,2’-ジイソシアネート(H12MDI)、ならびに1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、またはこれらのイソシアネートの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のイソシアネートを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ポリオール組成物が、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカプロラクトンおよびポリカーボネートからなる群から選択されるポリオールを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
熱可塑性ポリウレタンが、10~500μmの範囲の平均粒径d50を有する粉末の形態で存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
の反応を含む方法によって得ることができる、熱可塑性ポリウレタンを含む組成物を、粉末ベース層構築方法によって製造される成形体の製造のために、使用する方法であって、
ポリイソシアネート組成物が、温度(T1)にて脱離されて反応性基を形成することができる末端基(EG1)を有するイソシアネート(I1)を含み、または、ポリオール組成物が、温度(T2)にて脱離されて反応性基を形成することができる末端基(EG2)を有するポリオールを含み、ポリイソシアネート組成物が、末端基(EG1)を有するイソシアネート(I1)を含み、ポリオール組成物が、末端基(EG2)を有するポリオールを含み、これらの末端基が、それぞれ温度(T1)および(T2)にて脱離されて反応性基を形成することができ、
温度(T1)および温度(T2)が、それぞれ60℃以上であり、
及び温度(T1)は、温度(T2)と等しくなく、
成分(i)および(ii)とが、温度(T1)および温度(T2)よりも低い温度にて反応する、使用する方法。
【請求項11】
熱可塑性ポリウレタンが、10~500μmの範囲のメジアン粒径d50を有する粉末の形態にある、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体であり、末端基(EG1)および末端基(EG2)からなる群から選択される末端基を有する、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を含む組成物(Z1)であって、末端基(EG1)が温度(T1)にて脱離され、末端基(EG2)が温度(T2)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成することができ、温度(T1)および温度(T2)が、それぞれ60℃以上である、組成物(Z1)に関する。本発明はまた、熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(Z1)を製造するための方法、およびこの種の方法によって得ることができるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタンを含む組成物にも関する。本発明はさらに、本発明による組成物を使用する方法、または本発明による熱可塑性ポリウレタンを成形体の製造のために使用する方法、さらには成形体を製造するための方法、および得られた成形体にも関する。
【背景技術】
【0002】
種々の用途のための熱可塑性ポリウレタンは、大体において、従来技術から公知である。供給原料におけるバリエーションにより、性質の異なるプロファイルを得ることが可能である。
【0003】
幾何学的形状がきわめて広範なバラエティーの部品を製造できるようにするために、熱可塑性ポリウレタンは、押出成形または射出成形などの方法によるだけでなく、層構築方法、例えば粉末ベース層構築方法においても加工される。
【0004】
先行技術から公知である方法は、良好な加工性と機械的性質との間の妥協を含んでいる。低分子量を有するTPUの使用は、その、より低い溶融粘度に起因して材料の良好な加工性を可能にするが、これらは機械的性質がより劣るという欠点を有する。対応する高分子量を有する高性能のTPUの使用は、レーザ焼結方法をかなり妨げ、遅らせる。
【0005】
そのため、WO2015/197515 A1は、熱可塑性物品を製造するための、粉末ベース付加物の製造方法において熱可塑性ポリウレタン粉末を使用する方法を開示している。付加物の製造方法は、それにより物品が層に構築されるような方法を指す。
【0006】
米国特許第9,453,142号は、三次元の物体を、ポリウレタン、ポリ尿素またはコポリマーから製造するために利用される重合性液体または樹脂に関する。この事例では、樹脂は、ブロックされたもしくは反応的にブロックされたプレポリマー、ブロックされたもしくは反応的にブロックされたジイソシアネート、またはブロックされたもしくは反応的にブロックされたジイソシアネート鎖延長剤を含む。
【0007】
EP0 089 180 A1は、ポリウレタンエラストマーの製造における使用に好適であり、ならびに有機ポリイソシアネート、平均分子量が500~5000である結晶性長鎖ジオール、ポリヒドロキシ架橋剤および末端ブロッキング剤の反応の、反応生成物からなる、結晶性の、研磨性のおよび末端ブロックのプレポリマーを開示している。
【0008】
米国特許第4,434,126号は、可撓性ポリウレタンフィルムを製造するための方法を開示している。これは、有機ポリイソシアネート、平均分子量が500~5000である結晶性長鎖ジオール、ポリヒドロキシ架橋剤および末端ブロッキング剤の反応生成物を含んだ、ポリウレタンプレポリマーの微細分散粉末を利用することを含む。得られたポリウレタンエラストマーは、100%引張応力が17.58kg/cm2(250psi)未満であり、300%引張応力が14.06~35.15kg/cm2(200~500psi)の範囲にある。
【0009】
先行技術から公知であるこれらの方法はすべて、材料の加工性と、得られた製品の機械的性質との間の妥協を表している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】WO2015/197515 A1
【文献】米国特許第9,453,142号
【文献】EP0 089 180 A1
【文献】米国特許第4,434,126号
【非特許文献】
【0011】
【文献】「Kunststoffhandbuch」[Plastics Handbook]、第7巻、「Polyurethane」[Polyurethanes]、Carl Hanser Verlag、第3版、1993年、3.1.章
【文献】Kunststoffhandbuch、第VII巻、ViewegおよびHoechtlen編、Carl Hanser Verlag、Munich、1966(103~113頁)
【文献】「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley&Sons, Inc.、第3版、1999、第2章
【文献】DIN55672-2
【文献】EN ISO 11909
【文献】ISO規格ISO 13320:2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
先行技術から進んで、本発明の一目的は、しがたって、直ちに加工され得、良好な機械的性質を有する製品の製造を可能にする、改善された材料を提供するというものであった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、この目的は、少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることによって得ることができるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を含む組成物(Z1)であって、
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)が、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体であり、末端基(EG1)および末端基(EG2)からなる群から選択される末端基を有しており、末端基(EG1)が温度(T1)にて脱離され、末端基(EG2)が温度(T2)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成することができ、
温度(T1)および温度(T2)が、それぞれ60℃以上である、組成物(Z1)によって達成される。
【0014】
本発明による組成物は、低い分子量であってしたがって加工の間の低い溶融粘度と、仕上がった部品におけるより高い分子量との、組合せを可能にする。驚くべきことに、熱的に不安定な基(EG1)および/または(EG2)の導入によってさらに粉末形態へと加工可能であり、初期の状態において依然として完全に反応していない、固体の熱可塑性ポリウレタンを得ることが可能であることが見出された。本発明によれば、例えばレーザによって溶融したときに特に直ちに癒合することができる粉末を得ることが可能であること、および粉末の粒の間に存在する空気が、より良好に溶融から脱気することができることが可能であることが見出された。それらは、したがって低い分子量および対応する溶融粘度の結果として、直ちに加工されうる。さらなる加工の間、特に溶融操作の間、熱不安定末端基は脱離され、結果として反応性基、例えばイソシアネート基またはヒドロキシル基が、熱可塑性ポリウレタン上に形成され、次いで、これはさらに反応して、そのため分子量のさらなる増加へと至らせる。本発明により得られた成形体は、したがって、改善された機械的性質を特徴づける。
【0015】
本発明による組成物(Z1)は、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を含んでおり、更なる成分、例えば熱可塑性ポリウレタンの製造において利用された不完全に変換された化合物を含むことがある。本発明によれば、組成物(Z1)は、同様に固体であり、好ましくは少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体である。
【0016】
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)は、少なくとも1種のポリイソシアネート組成物と少なくとも1種のポリオール組成物とを反応させることによって得ることができるまたは得られ、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体である。熱可塑性ポリウレタン(TPU1)は、本発明の関連内では、好ましくは少なくとも60℃未満の温度範囲にて固体であり、より好ましくは少なくとも80℃未満の温度範囲にて固体であり;熱可塑性ポリウレタン(TPU1)は、特に好ましくは少なくとも100℃未満の温度範囲にて固体である。
【0017】
本発明の関連内では、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)は、末端基(EG1)および末端基(EG2)からなる群から選択される末端基を有しており、これらの末端基は、それぞれ温度(T1)および温度(T2)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成することができ、温度(T1)および温度(T2)は、それぞれ60℃以上である。本発明によれば、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)は、このようにして、末端基(EG1)もしくは末端基(EG2)、または末端基(EG1)および末端基(EG2)を有しうる。
【0018】
末端基(EG1)および(EG2)は、それぞれ温度(T1)および(T2)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に反応性基を形成することができ、すなわち、末端基の一部は熱可塑性ポリウレタンから脱離され、反応を始めることができる反応性基は熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に残る。この事例では、反応は、具体的には鎖成長または架橋反応でありうる。反応性基は、本明細書では、詳細にはイソシアネート基またはイソシアネート-反応性基、例えば具体的にはヒドロキシル基またはアミンでありうる。本発明によれば、末端基の脱離後に形成された反応性基は、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)のさらなる官能基と、あるいは組成物(Z1)のさらなる成分の官能基と、例えば熱可塑性ポリウレタンの未反応構造成分と、反応することができる。
【0019】
本発明によれば、熱可塑性ポリウレタンが、好適な温度にて脱離されて反応性基を形成することができるさらなる末端基を有することも可能である。
【0020】
好適な末端基は、本来、当業者に公知である。本発明によれば、末端基は、詳細には、熱不安定保護基として、通例、利用されているものでありうる。
【0021】
末端基(EG1)および/または(EG2)の割合は、広い範囲内で多様でありうる。末端基の割合は、本発明によれば、末端基の脱離後に熱可塑性ポリウレタン(TPU1)のさらなる反応が直ちに可能であるように選ばれる。この事例では、末端基(EG1)と(EG2)との総合計の含有量は、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)中のウレタン基の含有量に対して、例えば0.01~50モル%の範囲内であってよい。
【0022】
さらなる実施形態では、本発明はまた、末端基(EG1)と(EG2)との総合計の含有量が、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)中のウレタン基の含有量に対して0.01~50モル%の範囲内である、上記の組成物にも関する。
【0023】
本発明によれば、利用される末端基(EG1)および末端基(EG2)は、それぞれ温度(T1)および(T2)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に反応性基を形成することができるものであり、温度(T1)および温度(T2)は、それぞれ60℃以上である。本発明によれば、末端基は、したがって、例えば組成物(Z1)の、または熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、さらなる加工の間に、特に熱可塑性ポリウレタンを溶融させているときに、脱離されうる。本発明の関連内では、温度(T1)および温度(T2)は、それぞれ80℃以上、より好ましくはそれぞれ100℃以上である。ここで、本発明の関連内では、温度(T1)は、通常、温度(T2)と等しくない。したがって、本発明の関連内では、末端基が、異なる温度にて脱離されることも可能であり、そのため熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を加工する異なる工程において脱離されることも可能である。
【0024】
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)は、少なくとも1種のポリイソシアネート組成物と、少なくとも1種のポリオール組成物とを反応させることによって得ることができるまたは得られる。本発明によれば、ポリオール組成物は、ポリオールを含む。本発明によれば、ポリオール組成物はまた、鎖延長剤も含んでよい。本発明の関連内では、利用される鎖延長剤は、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する化合物である。そのため、本発明によれば、組成物(Z1)がまた、さらなる成分として未反応鎖延長剤も含むことが可能である。
【0025】
さらなる実施形態では、本発明はまた、ポリオール組成物が、イソシアネート基に向けて反応性である少なくとも2つの基を有する化合物から選択される少なくとも1種の鎖延長剤を含む、上記の組成物にも関する。本発明は加えてまた、さらなる実施形態において、組成物(Z1)が、イソシアネート基に向けて反応性である少なくとも2つの基を有する化合物から選択される少なくとも1種の鎖延長剤を含む、上記の組成物にも関する。
【0026】
本発明の関連内では、利用されるイソシアネートの少なくとも一部は末端基(EG1)を有し、またはポリオール組成物の成分の少なくとも1種は末端基(EG2)を有する。
【0027】
優先的なのは、分子量<500g/モルである少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する化合物からなる群から選択される少なくとも1種の鎖延長剤を利用することである。
【0028】
少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する化合物が、鎖延長剤として利用される。イソシアネート反応性基は、特にNH、OH、あるいはSHの各基であってよい。好適な化合物は、本来、当業者に公知である。例えばジアミン、あるいはジオールが、好適である。したがって、本発明はまた、さらなる実施形態では、鎖延長剤が、500g/モル以下の分子量を有するジアミンおよびジオールからなる群から選択される、上記の組成物にも関する。
【0029】
利用される鎖延長剤は、本発明によれば、2つのイソシアネート反応性基、およびさらなる基、例えば好適な末端基(EG2)を有することができる。しかしながら、本発明の関連内では、2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1種の鎖延長剤と、2つのイソシアネート反応性基および少なくとも1つの末端基(EG2)を有する少なくとも1種の鎖延長剤とを含む鎖延長剤混合物を利用することも可能である。
【0030】
本発明によれば、利用される鎖延長剤が、イソシアネート反応性基、およびさらなる基、例えば好適な末端基(EG2)を有することも可能である。利用される鎖延長剤は、例えばイソシアネート反応性基および好適な末端基(EG2)を有しうる。本発明の関連内では、2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1種の鎖延長剤と、イソシアネート反応性基および少なくとも1つの末端基(EG2)を有する少なくとも1種の鎖延長剤とを含む鎖延長剤混合物を利用することも可能である。
【0031】
本発明の一実施形態では、分子量<350g/モルであるジオールが、さらなる鎖延長剤として利用される。
【0032】
好ましくは利用可能なのは、分子量が50g/モル~220g/モルである、脂肪族の、芳香脂肪族の、芳香族のおよび/または脂環式のジオールである。優先的なのは、アルキレン基中に2~12個の炭素原子を有するアルカンジオール、特にジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、オクタ-、ノナ-および/またはデカアルキレングリコールである。本発明のために、特に優先的なのは、1,2-エチレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオールおよびヘキサン-1,6-ジオールである。
【0033】
鎖延長剤としてさらに好適なのは、本発明の関連内では、分枝状化合物、例えば1,4-シクロヘキサンジメタノール、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、ピナコール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオールまたはN-フェニルジエタノールアミンである。OH基およびNH基を有する化合物が同様に好適であり、例えば4-アミノブタノールである。
【0034】
2種以上の鎖延長剤の混合物も、本発明によれば、利用されてよい。
【0035】
本発明の関連内では、鎖延長剤の、およびポリオール組成物の、利用量は、広い範囲内で多様であってよい。例えば、本発明の関連内では、鎖延長剤は、利用されるポリオールに対して1:40~10:1の範囲の量で利用されうる。
【0036】
本発明によれば、ポリオール組成物は、少なくとも1種のポリオールを含む。ポリオールは、原則的に、当業者に公知であり、例えば「Kunststoffhandbuch」[Plastics Handbook]、第7巻、「Polyurethane」[Polyurethanes]、Carl Hanser Verlag、第3版、1993年、3.1.章に記載されている。ポリオールとして特に好ましくは利用されるのは、ポリエステルオールまたはポリエーテルオールである。ポリカーボネートが同様に利用されてよい。コポリマーも、本発明の関連において使用されてよい。本発明により使用されるポリオールの数平均分子量は、好ましくは0.5×103g/モルから8×103g/モルの間、好ましくは0.6×103g/モルから5×103g/モルの間、特定すると0.8×103g/モルから3×103g/モルの間である。
【0037】
ポリエーテルオール、しかしさらにはポリエステルオール、ブロックコポリマーおよびハイブリッドポリオール、例えばポリ(エステル/アミド)が、本発明によれば好ましい。本発明によれば、好ましいポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアジペート、ポリカーボネート/ポリカーボネートジオールおよびポリカプロラクトンである。
【0038】
別の実施形態では、本発明はまた、ポリオール組成物が、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカプロラクトンおよびポリカーボネートからなる群から選択されるポリオールを含む、上記の組成物にも関する。
【0039】
好適なポリオールは、例えばポリエーテルオール、例えばポリトリメチレンオキシドまたはポリテトラメチレンオキシドである。
【0040】
好適なブロックコポリマーは、例えばエーテルブロックおよびエステルブロックを有するものであり、例えばポリエチレンオキシド末端ブロックまたはポリプロピレンオキシド末端ブロックを有するポリカプロラクトン、あるいはポリカプロラクトン末端ブロックを有するポリエーテルである。本発明によれば、好ましいポリエーテルオールは、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールである。ポリカプロラクトンも好ましい。
【0041】
特に好ましい実施形態では、利用されるポリオールは、500g/モル~4000g/モルの範囲、好ましくは800g/モル~3000g/モルの範囲の数平均分子量Mnを有する。
【0042】
異なるポリオールの混合物も、本発明により利用されてよい。利用されるポリオール/ポリオール組成物は、好ましくは、1.8から2.3の間、好ましくは1.9から2.2の間、特定すると2の平均官能性を有する。本発明により利用されるポリオールは、好ましくは、第一級ヒドロキシル基のみを有する。
【0043】
本発明によれば、利用されるポリオールはまた、さらなる基、例えば好適な末端基(EG2)も有してよい。しかしながら、本発明の範囲内では、末端基(EG1)および(EG2)をもたない少なくとも1種のポリオールと、少なくとも1つの末端基(EG2)を有する少なくとも1種のポリオールとを含むポリオール混合物を利用することも可能である。
【0044】
本発明によれば、ポリオール組成物はまた溶媒も含んでよい。好適な溶媒は、本来、当業者に公知である。
【0045】
ポリイソシアネート組成物は、熱可塑性ポリウレタンを製造するために、本発明により利用される。
【0046】
好ましいポリイソシアネートは、本発明の関連内では、ジイソシアネート、特に脂肪族または芳香族ジイソシアネートである。
【0047】
本発明の関連内では、そこで、先行する反応工程においてOH成分の一部がイソシアネートと反応する予反応製品が、イソシアネート成分として付加的に利用されうる。得られた製品は、続く工程、実際のポリマー反応において、残っているOH成分と反応し、このようにして熱可塑性ポリウレタンを形成する。
【0048】
利用される脂肪族ジイソシアネートは、通例の脂肪族および/または脂環式ジイソシアネート、例えばトリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-および/またはオクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルテトラメチレン1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ブチレン1,4-ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-および/または1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1-メチルシクロヘキサン2,4-および/または2,6-ジイソシアネート、メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-および/または2,2’-ジイソシアネート(H12MDI)である。
【0049】
好ましい脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサンおよびメチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-および/または2,2’-ジイソシアネート(H12MDI)である。
【0050】
好適な芳香族ジイソシアネートは、特にナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4-および/または2,6-ジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-および/または4,4’-ジイソシアネート(MDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニル(TODI)、p-フェニレンジイソシアネート(PDI)、ジフェニルエタン4,4’-ジイソシアネート(EDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルジイソシアネート、ジフェニルエタン1,2-ジイソシアネートおよび/またはフェニレンジイソシアネートである。
【0051】
さらなる実施形態では、本発明はまた、イソシアネート組成物が、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-および/または4,4’-ジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4-および/または2,6-ジイソシアネート(TDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニル(TODI)、p-フェニレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、ならびにメチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-および/または2,2’-ジイソシアネート(H12MDI)、ならびに1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、またはこれらのイソシアネートの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のイソシアネートを含む、上記の組成物にも関する。
【0052】
本発明の関連内では、より高い官能性のイソシアネート、例えば、トリイソシアネート、例えばトリフェニルメタン4,4’,4’’-トリイソシアネート、さらには前述したジイソシアネートのシアヌレート、さらにはジイソシアネートの、水との部分的反応によって得ることができるオリゴマー、例えば前述したジイソシアネートのビウレット、加えてセミブロックジイソシアネートの、平均して2超、好ましくは3つ以上のヒドロキシル基を有するポリオールとの特定の反応によって得ることができるオリゴマーを利用することも可能である。
【0053】
本発明によれば、利用されるイソシアネートはまた、さらなる基、例えば好適な末端基(EG1)も有してよい。しかしながら、本発明の範囲内では、末端基(EG1)および(EG2)をもたない少なくとも1種のイソシアネートと、少なくとも1つの末端基(EG1)を有する少なくとも1種のイソシアネートとを含むイソシアネート混合物を利用することも可能である。
【0054】
本発明によれば、ポリイソシアネート組成物はまた、1種または複数の溶媒も含んでよい。好適な溶媒は、当業者に公知である。好適な例は、酢酸エチル、メチルエチルケトンおよび炭化水素等の非反応性溶媒である。
【0055】
本発明の関連内でさらに利用可能なのは、架橋剤、例えば前述したより高い官能性のポリイソシアネートもしくはポリオール、あるいは他の、複数のイソシアネート反応性官能基を有するより高い官能性の分子である。本発明の関連内では、ヒドロキシル基に対して、利用されるイソシアネート基の過剰量を通して製品の架橋を達成することが同様に可能である。
【0056】
本発明によれば、成分(i)と(ii)とは、鎖延長剤を含んだ利用されるポリオール組成物の官能性の総合計の、利用されるイソシアネート組成物の官能性の総合計に対するモル比が、0.5:1~3:1の範囲、例えば0.8:1~1.3:1の範囲にあるような比で利用される。好ましくは、この比は、0.9:1~1.2:1の範囲、より好ましくは0.965:1~1.05:1の範囲、特に好ましくは0.98:1~1.03:1の範囲にある。官能性の総合計は、本発明の関連内では、反応性基とブロック基との、すなわち末端基(EG1)と(EG2)との総合計であると理解されたい。
【0057】
代替の実施形態では、本発明はまた、成分(i)と(ii)とが、鎖延長剤を含んだ利用されるポリオール組成物の遊離官能性の総合計の、利用されるイソシアネート組成物の遊離官能性の総合計に対するモル比が、0.5:1~3:1の範囲、例えば0.8:1~1.3:1の範囲にあるような比で利用される。好ましくは、この比は、0.9:1~1.2:1の範囲、より好ましくは0.965:1~1.05:1の範囲、特に好ましくは0.98:1~1.03:1の範囲にある。遊離官能性の総合計は、本発明の関連内では、反応性基の総合計であると理解されたい。
【0058】
本発明による熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の分子量は、広範囲内で多様でありうる。熱可塑性ポリウレタン(TPU1)が、GPCで求めて、2000~50,000g/モルの範囲、より好ましくは5000~40,000g/モルの範囲の分子量を有することが特に有利である。さらなる実施形態では、本発明はまた、熱可塑性ポリウレタンが、GPCで求めて、2000~50,000g/モルの範囲の分子量を有する上記の組成物にも関する。
【0059】
本発明によれば、さらなる添加剤、例えば触媒または補助剤および付加物が、成分(i)と(ii)との反応の間に添加されてよい。付加物および補助剤は、本来、当業者に公知である。2種以上の添加剤の組み合わせも、本発明によれば、利用されてよい。
【0060】
本発明の関連において、用語「添加剤」は、詳細には、触媒、補助剤および付加物、具体的には安定剤、核剤、剥離剤、型外し補助剤、充填剤、難燃剤または架橋剤を意味すると理解されるべきである。
【0061】
好適な添加剤または付加物は、例えば安定剤、核剤、充填剤、例えばシリケート、または架橋剤、例えば多官能性アルミノシリケートである。
【0062】
さらなる実施形態では、本発明は、したがって、熱可塑性ポリウレタンが少なくとも1種の添加剤を含む、上記の熱可塑性ポリウレタンに関する。
【0063】
補助剤および付加物の例には、界面活性物質、難燃剤、核剤、酸化安定剤、抗酸化剤、滑剤および型外し補助剤、染料および顔料、例えば加水分解、光、熱または脱色に対する安定化剤、無機および/または有機充填剤、補強剤および可塑剤が挙げられる。好適な補助剤および付加物は、例えばKunststoffhandbuch、第VII巻、ViewegおよびHoechtlen編、Carl Hanser Verlag、Munich、1966(103~113頁)に見出されうる。
【0064】
好適な触媒は、同様に、原則的に、先行技術から公知であり、特に求核試薬の、イソシアネートとの反応に関するが、脱ブロッキング反応にも関する。好適な触媒は、例えばスズオルガニル、チタンオルガニル、ジルコニウムオルガニル、ハフニウムオルガニル、ビスマスオルガニル、亜鉛オルガニル、アルミナムオルガニルおよび鉄オルガニル、例えばスズオルガニル化合物、好ましくはスズジアルキル、例えばジメチルスズもしくはジエチルスズ、または脂肪族カルボン酸のスズオルガニル化合物、好ましくは二酢酸スズ、ジラウリン酸スズ、二酢酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、ビスマス化合物、例えばビスマスアルキル化合物等、または鉄化合物、好ましくは鉄(MI)アセチルアセトネート、またはカルボン酸の金属塩、例えばスズ(II)イソオクトエート、ジオクタン酸スズ、チタン酸エステルまたはビスマス(III)ネオデカノエートからなる群から選択される有機金属化合物である。
【0065】
好ましい実施形態では、触媒は、スズ化合物およびビスマス化合物、より好ましくはスズアルキル化合物またはビスマスアルキル化合物から選択される。スズ(II)イソオクトエートおよびビスマスネオデカノエートが特に好ましい。
【0066】
触媒は、典型的には、0~2000ppm、好ましくは1ppm~1000ppm、より好ましくは2ppm~500ppm、最も好ましくは5ppm~300ppmの量で利用される。
【0067】
さらなる態様では、本発明はまた、少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
の反応を含む、熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(Z1)を製造するための方法であって、
ポリイソシアネート組成物が、温度(T1)にて脱離されて反応性基を形成することができる末端基(EG1)を有するイソシアネート(I1)を含み、
または、
ポリオール組成物が、温度(T2)にて脱離されて反応性基を形成することができる末端基(EG2)を有するポリオールを含み、
または、
ポリイソシアネート組成物が、末端基(EG1)を有するイソシアネート(I1)を含み、ポリオール組成物が、末端基(EG2)を有するポリオールを含み、これらの末端基が、それぞれ温度(T1)および(T2)にて脱離されて反応性基を形成ことができ、
温度(T1)および温度(T2)が、それぞれ60℃以上であり、
成分(i)および(ii)が、温度(T1)および温度(T2)よりも低い温度にて反応する、
方法にも関する。
【0068】
本発明による方法は、複数の実施形態を含む。そのため、第一に、ポリイソシアネート組成物が、温度(T1)にて脱離されて反応性基を形成することができる末端基(EG1)を有するイソシアネート(I1)を含むことが可能である。末端基(EG1)の割合は、ここでの好適な範囲内で多様でありうる。例えば、本発明の関連内では、(I1)中、0.01モル%~40モル%、好ましくは1モル%~25モル%のイソシアネート基が、末端基(EG1)でブロックされる。
【0069】
好適なイソシアネート組成物は、例えば、イソシアネートを、イソシアネート基で末端基(EG)を形成する好適な量の化合物と反応させることによって得ることができる。
【0070】
その上、ポリオール組成物が、温度(T2)にて脱離されて反応性基を形成することができる末端基(EG2)を有するポリオールを含むことが可能である。本発明によれば、鎖延長剤はまた、ここで末端基(EG2)も有してよい。末端基(EG2)の割合は、ここでの好適な範囲内で多様でありうる。例えば、本発明の関連内では、ポリオールの反応性基の、および/または鎖延長剤の、0.01モル%~40モル%、好ましくは1モル%~25モル%は、末端基(EG2)でブロックされる。
【0071】
さらに、本発明の関連内では、ポリイソシアネート組成物は、末端基(EG1)を有するイソシアネート(I1)を含み、ポリオール組成物は、末端基(EG2)を有するポリオールを含むことが可能であり、これらの末端基はそれぞれ温度(T1)および(T2)にて脱離されて反応性基を形成することができる。
【0072】
末端基(EG1)および(EG2)を形成するのに好適な化合物は、本来、当業者に公知である。
【0073】
イソシアネート基をブロックするのに好適な化合物は、例えば、フェノール、第三級アルコール、活性メチレン化合物、アミン、アミド、イミド、ラクタム、オキシム、チオール、アゾール、イミダゾールおよびピラゾールからなる群から選択される。例は、モノフェノール、例えばフェノール、クレゾール、トリメチルフェノールおよびtert-ブチルフェノール;第三級アルコール、例えばtert-ブタノール、tert-アミルアルコールおよびジメチルフェニルカルボニル;エノールを直ちに形成する化合物、例えばアセト酢酸エチル、アセチルアセトンおよびマロン酸誘導体、例えばマロン酸ジエチル;第二級芳香族アミン、例えばN-メチルアニリン、N-メチルトルイジン、N-フェニルトルイジンおよびN-フェニルキシリデン;アミド、例えばメチルアセトアミドおよびアセトアニリド;イミド、例えばコハク酸イミド;ラクタム、例えばε-カプロラクタム、ラウロラクタムおよびσ-バレロラクタム;オキシム、例えばアセトンオキシム、ブタノンオキシム、例えばメチルエチルケトンオキシムおよびシクロヘキサノンオキシム;メルカプタン、例えばメチルメルカプタン、エチルメルカプタン、ブチルメルカプタン、2-メルカプトベンゾチアゾール、α-ナフチルメルカプタンおよびドデシルメルカプタン;トリアゾール、例えば1H-1,2,4-トリアゾール;イミダゾール、例えばエチルイミダゾール、ならびにピラゾール、例えば3,5-ジメチルピラゾールである。
【0074】
ヒドロキシル基のためのブロッキング剤は、原則的に、当業者に公知であり、例えば「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley&Sons,Inc.、第3版、1999、第2章に記載されている。ポリオールの典型的なブロッキング剤は、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、4-メトキシテトラヒドロピラニル、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル、tert-アルキル、特にtert-ブチル、アルキルカルバメートおよびアリールカルバメートである。
【0075】
本発明によれば、利用されるイソシアネートがプレポリマーであることも可能である。さらなる実施形態では、本発明はまた、イソシアネート(I1)がプレポリマーである、上記の方法にも関する。
【0076】
本発明の関連内では、例えば、イソシアネートおよび好適なポリオールから最初にプレポリマーを得て、これを、次いで、好適なブロッキング剤と反応させてプレポリマー中に好適な末端基(EG1)および/または(EG2)を創製することが可能である。このようにして得た、末端基(EG1)および/または(EG2)を有するプレポリマーを、次いで、通例は、ポリオール組成物と反応させうる。
【0077】
同様に、本発明の関連内では、構造成分の1種または複数が、熱可塑性ポリウレタンへの変換に先立って、好適なブロッキング剤と反応され、その結果、それぞれの構造成分の反応性基の一部が反応して末端基(EG1)および/または(EG2)を得ることが可能である。このようにして予処理されて末端基(EG1)および/または(EG2)を有する構造成分は、本発明の関連内で利用されてよく、本発明によれば、好適な末端基を有して末端基(EG1)および(EG2)を一切有していない構造成分の混合物を利用することも可能である。
【0078】
これは、イソシアネート組成物およびポリオール組成物の組成に関する上記の記述に関する。
【0079】
本発明はまた、上記の方法によって得ることができるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタンにも関する。本発明によれば、熱可塑性ポリウレタンは、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体である。このことは、熱可塑性ポリウレタンが、例えば10~500μmの範囲のメジアン粒径d50を有する粉末の形態にある粉末として加工されうることを可能にする。
【0080】
さらなる実施形態では、本発明はまた、熱可塑性ポリウレタンが10~500μmの範囲のメジアン粒径d50を有する粉末の形態にある、熱可塑性ポリウレタンまたは上記の熱可塑性ポリウレタンを含む組成物にも関する。
【0081】
熱可塑性ポリウレタンは、好ましくは、25~400μmの範囲のメジアン粒径d50、より好ましくは40~300μmの範囲のメジアン粒径d50を有する粉末の形態にある。
【0082】
本発明による熱可塑性ポリウレタンの性質は、用途に応じて広い範囲内で多様でありうる。驚くべきことに、本発明による組成物、または本発明による熱可塑性ポリウレタンが、粉末ベースの加工方法において特に直ちに利用されうることが見出されている。
【0083】
加えて、本発明はまた、
(A)自由流れ粒子の形態にある上記の熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(Z1)を提供する工程と、
(B)粒子の少なくとも局所的に範囲を定められた部分を温度(T1)または(T2)へ加熱して、熱可塑性ポリウレタンの、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成する工程と、
(C)組成物/熱可塑性ポリウレタンを冷却する工程と
を含む、成形体を製造するための方法にも関する。
【0084】
本発明によれば、加熱することは、当業者に公知の任意の好適な方法で果たされてよい。好適な方法は、特に、標的とする干渉光ビーム等の局所加熱を可能とするものである。本発明によれば、IR放射がまた使用されてよく、または材料を加熱するための他の好適な方法が使用されてよい。
【0085】
本発明によれば、この方法が、さらなる工程、例えば成分の予処理、または得られた熱可塑性ポリウレタンの後処理、例えば加熱処理を含むことも可能である。したがって、本発明はまた、別の実施形態では、得られた熱可塑性ポリウレタンが反応後に加熱処理される、上記の熱可塑性ポリウレタンを製造するための方法にも関する。
【0086】
本発明によれば、成形体は、例えば、射出成形または押出成形等の従来の方法によって製造されうる。
【0087】
本発明によれば、熱可塑性ポリウレタン、または本発明による熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(Z1)は、自由流れ粒子の形態で、例えば粉末の形態で、特定すると10~500μmの範囲のメジアン粒径d50を有する粉末の形態で利用される。
【0088】
さらなる実施形態では、したがって、本発明はまた、組成物(Z1)または熱可塑性ポリウレタンが10~500μmの範囲のメジアン粒径d50を有する粉末の形態で利用される、上記の成形体を製造するための方法にも関する。
【0089】
粒径を求める方法は、当業者に周知である。粒径に応じて、例えば、電気移動分析、レーザ回析、ふるい分析、光学顕微鏡法または動的光散乱法が、粒径または粒径分布を求めるのに好適である。別段の記述がない限り、粒径は、本発明の関連内では、湿式分散粉末のレーザ回析によって求められる。
【0090】
本発明による方法は、例えば押出成形方法、射出成形方法、あるいは粉末ベース層構築方法であってよい。
【0091】
さらなる態様によれば、本発明はまた、本発明による、および上記の、組成物を使用する方法、または本発明による熱可塑性ポリウレタンを成形体を製造するための使用する方法にも関する。
【0092】
さらなる実施形態では、本発明はまた、成形体が粉末ベース層構築方法によって製造される、上記の、使用する方法にも関する。
【0093】
この事例において、塗布装置として知られるものによって、粉末薄層が典型的には適用され、続いてエネルギー源によって選択的に溶融される。ここでの周囲の粉末は、部品の幾何学的形状を支持する。そのため、複合的な幾何学的形状が、従来の方法におけるよりもより経済的に製造されうる。粉末ベース層構築方法の例は、いわゆるレーザ焼結またはハイスピード焼結(HSS)である。レーザ焼結の事例では、エネルギーは、向けられたレーザビームによって導入される。いわゆるハイスピード焼結(HSS)方法では、エネルギーは、粉末床中へと選択的にプリントされてきた赤外線(IR)アブソーバと組み合わされたIRビームによって導入される。
【0094】
本発明のさらなる実施形態は、特許請求の範囲および実施例から明らかである。上で挙げられたおよび以下に明瞭にされる本発明による主題/方法/使用する方法の特徴が、本発明の範囲から逸脱することなく、各事例において特定される組み合わせにおいて使用可能であるだけなく、他の組み合わせにおいても使用可能であることが認められることになる。そのため、例えば、好ましい特徴と特に好ましい特徴との組み合わせ、またはさらに特徴づけられていない特徴と特に好ましい特徴との組み合わせ等も、この組み合わせが明示的に挙げられていない場合でさえ、暗示的に包含される。
【0095】
本発明の例示的実施形態を以下に列挙するが、本発明を制限することはしない。詳細には、本発明はまた、依存参照物およびそれゆえに以下に特定する組み合わせからもたらされる実施形態も含む。
【0096】
実施形態1.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることによって得ることができるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を含む組成物(Z1)であって、
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)が、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体であり、末端基(EG1)および末端基(EG2)からなる群から選択される末端基を有しており、末端基(EG1)が温度(T1)にて脱離され、末端基(EG2)が温度(T2)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成することができ、
温度(T1)および温度(T2)が、それぞれ60℃以上である、組成物(Z1)。
【0097】
実施形態2.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることによって得ることができるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を含む組成物(Z1)であって、
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)が、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体であり、末端基(EG1)を有しており、末端基(EG1)が温度(T1)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成することができ、
温度(T1)が、60℃以上である、組成物(Z1)。
【0098】
実施形態3.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることによって得ることができるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を含む組成物(Z1)であって、
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)が、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体であり、末端基(EG1)を有しており、末端基(EG1)が温度(T1)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成することができ、
温度(T1)が、60℃以上であり、
末端基(EG1)が、カプロラクタム基である、組成物(Z1)。
【0099】
実施形態4.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることによって得ることができるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を含む組成物(Z1)であって、
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)が、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体であり、末端基(EG1)を有しており、末端基(EG1)が温度(T1)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成することができ、
温度(T1)が、60℃以上であり、
末端基(EG1)が、メチルエチルケトンオキシム基である、組成物(Z1)。
【0100】
実施形態5.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることによって得ることができるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を含む組成物(Z1)であって、
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)が、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体であり、末端基(EG2)を有しており、末端基(EG2)が温度(T2)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成することができ、
温度(T2)が、60℃以上である、組成物(Z1)。
【0101】
実施形態6.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることによって得ることができるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を含む組成物(Z1)であって、
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)が、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体であり、末端基(EG1)および(EG2)を有しており、末端基(EG1)が温度(T1)にて脱離され、末端基(EG2)が温度(T2)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成することができ、
温度(T1)および温度(T2)が、それぞれ60℃以上である、組成物(Z1)。
【0102】
実施形態7.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることによって得ることができるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を含む組成物(Z1)であって、
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)が、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体であり、末端基(EG1)および末端基(EG2)からなる群から選択される末端基を有しており、末端基(EG1)が温度(T1)にて脱離され、末端基(EG2)が温度(T2)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成することができ、
温度(T1)および温度(T2)が、それぞれ60℃以上であり、
ポリオール組成物が、イソシアネート基に向けて反応性である少なくとも2つの基を有する化合物から選択される少なくとも1種の鎖延長剤を含む、組成物(Z1)。
【0103】
実施形態8.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることによって得ることができるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を含む組成物(Z1)であって、
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)が、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体であり、末端基(EG1)を有しており、末端基(EG1)が温度(T1)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成することができ、
温度(T1)が、60℃以上であり、
末端基(EG1)が、カプロラクタム基であり、
ポリオール組成物が、イソシアネート基に向けて反応性である少なくとも2つの基を有する化合物から選択される少なくとも1種の鎖延長剤を含む、組成物(Z1)。
【0104】
実施形態9.
末端基(EG1)と(EG2)との総合計の含有量が、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)中のウレタン基の含有量に対して0.01~50モル%の範囲である、実施形態1から8のいずれか1つに記載の組成物。
【0105】
実施形態10.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることによって得ることができるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を含む組成物(Z1)であって、
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)が、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体であり、末端基(EG1)および末端基(EG2)からなる群から選択される末端基を有しており、末端基(EG1)が温度(T1)にて脱離され、末端基(EG2)が温度(T2)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成することができ、
温度(T1)および温度(T2)が、それぞれ60℃以上であり、
末端基(EG1)と末端基(EG2)との総合計の含有量が、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)中のウレタン基の含有量に対して0.01~50モル%の範囲である、組成物(Z1)。
【0106】
実施形態11.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることによって得ることができるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を含む組成物(Z1)であって、
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)が、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体であり、末端基(EG1)を有しており、末端基(EG1)が温度(T1)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成することができ、
温度(T1)が、60℃以上であり、
末端基(EG1)の総合計の含有量が、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)中のウレタン基の含有量に対して0.01~50モル%の範囲である、組成物(Z1)。
【0107】
実施形態12.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることによって得ることができるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を含む組成物(Z1)であって、
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)が、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体であり、末端基(EG1)を有しており、末端基(EG1)が温度(T1)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成することができ、
温度(T1)が、60℃以上であり、
末端基(EG1)が、カプロラクタム基であり、
末端基(EG1)の総合計の含有量が、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)中のウレタン基の含有量に対して0.01~50モル%の範囲である、組成物(Z1)。
【0108】
実施形態13.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることによって得ることができるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を含む組成物(Z1)であって、
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)が、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体であり、末端基(EG2)を有しており、末端基(EG2)が温度(T2)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成することができ、
温度(T2)が、60℃以上であり、
末端基(EG2)の総合計の含有量が、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)中のウレタン基の含有量に対して0.01~50モル%の範囲である、組成物(Z1)。
【0109】
実施形態14.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることによって得ることができるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を含む組成物(Z1)であって、
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)が、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体であり、末端基(EG1)および末端基(EG2)を有しており、末端基(EG1)が温度(T1)にて脱離され、末端基(EG2)が温度(T2)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成することができ、
温度(T1)および温度(T2)が、それぞれ60℃以上であり、
末端基(EG1)と末端基(EG2)との総合計の含有量が、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)中のウレタン基の含有量に対して0.01~50モル%の範囲である、組成物(Z1)。
【0110】
実施形態15.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることによって得ることができるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を含む組成物(Z1)であって、
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)が、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体であり、末端基(EG1)および末端基(EG2)からなる群から選択される末端基を有しており、末端基(EG1)が温度(T1)にて脱離され、末端基(EG2)が温度(T2)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成することができ、
温度(T1)および温度(T2)が、それぞれ60℃以上であり、
末端基(EG1)と末端基(EG2)との総合計の含有量が、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)中のウレタン基の含有量に対して0.01~50モル%の範囲であり、
ポリオール組成物が、イソシアネート基に向けて反応性である少なくとも2つの基を有する化合物から選択される少なくとも1種の鎖延長剤を含む、組成物(Z1)。
【0111】
実施形態16.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることによって得ることができるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)を含む組成物(Z1)であって、
熱可塑性ポリウレタン(TPU1)が、少なくとも50℃未満の温度範囲にて固体であり、末端基(EG1)を有しており、末端基(EG1)が温度(T1)にて脱離されて、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)上に、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)の、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成することができ、
温度(T1)が、60℃以上であり、
末端基(EG1)が、カプロラクタム基であり、
末端基(EG1)と(EG2)との総合計の含有量が、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)中のウレタン基の含有量に対して0.01~50モル%の範囲であり、
ポリオール組成物が、イソシアネート基に向けて反応性である少なくとも2つの基を有する化合物から選択される少なくとも1種の鎖延長剤を含む、組成物(Z1)。
【0112】
実施形態17.
ポリオール組成物が、イソシアネート基に向けて反応性である少なくとも2つの基を有する化合物から選択される少なくとも1種の鎖延長剤を含む、実施形態1から16のいずれか1つに記載の組成物。
【0113】
実施形態18.
イソシアネート基に向けて反応性である少なくとも2つの基を有する化合物から選択される少なくとも1種の鎖延長剤を含む、実施形態1から16のいずれか1つに記載の組成物。
【0114】
実施形態19.
鎖延長剤が、500g/モル以下の分子量を有するジアミンおよびジオールからなる群から選択される、実施形態1から18のいずれか1つに記載の組成物。
【0115】
実施形態20.
熱可塑性ポリウレタンが、GPCで求められて、2000~50,000g/モルの範囲の分子量を有する、実施形態1から19のいずれか1つに記載の組成物。
【0116】
実施形態21.
イソシアネート組成物が、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-および/または4,4’-ジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4-および/または2,6-ジイソシアネート(TDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニル(TODI)、p-フェニレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、ならびにメチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-および/または2,2’-ジイソシアネート(H12MDI)、ならびに1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、またはこれらのイソシアネートの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のイソシアネートを含む、実施形態1から20のいずれか1つに記載の組成物。
【0117】
実施形態22.
ポリオール組成物が、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカプロラクトンおよびポリカーボネートからなる群から選択されるポリオールを含む、実施形態1から21のいずれか1つに記載の組成物。
【0118】
実施形態23.
末端基(EG1)と(EG2)との総合計の含有量が、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)中のウレタン基の含有量に対して0.01~50モル%の範囲である、実施形態1から22のいずれか1つに記載の組成物。
【0119】
実施形態24.
ポリオール組成物が、イソシアネート基に向けて反応性である少なくとも2つの基を有する化合物から選択される少なくとも1種の鎖延長剤を含む、実施形態1から23のいずれか1つに記載の組成物。
【0120】
実施形態25.
イソシアネート基に向けて反応性である少なくとも2つの基を有する化合物から選択される少なくとも1種の鎖延長剤を含む、実施形態1から24のいずれか1つに記載の組成物。
【0121】
実施形態26.
鎖延長剤が、500g/モル以下の分子量を有するジアミンおよびジオールからなる群から選択される、実施形態1から25のいずれか1つに記載の組成物。
【0122】
実施形態27.
熱可塑性ポリウレタンが、GPCで求めて、2000~50,000g/モルの範囲の分子量を有する、実施形態1から26のいずれか1つに記載の組成物。
【0123】
実施形態28.
イソシアネート組成物が、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-および/または4,4’-ジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4-および/または2,6-ジイソシアネート(TDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニル(TODI)、p-フェニレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、ならびにメチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-および/または2,2’-ジイソシアネート(H12MDI)、ならびに1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、またはこれらのイソシアネートの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のイソシアネートを含む、実施形態1から27のいずれか1つに記載の組成物。
【0124】
実施形態29.
ポリオール組成物が、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカプロラクトンおよびポリカーボネートからなる群から選択されるポリオールを含む、実施形態1から28のいずれか1つに記載の組成物。
【0125】
実施形態30.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
の反応を含む、熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(Z1)を製造するための方法であって、
ポリイソシアネート組成物が、温度(T1)にて脱離されて反応性基を形成することができる末端基(EG1)を有するイソシアネート(I1)を含み、
または、
ポリオール組成物が、温度(T2)にて脱離されて反応性基を形成することができる末端基(EG2)を有するポリオールを含み、
または、
ポリイソシアネート組成物が、末端基(EG1)を有するイソシアネート(I1)を含み、ポリオール組成物が、末端基(EG2)を有するポリオールを含み、これらの末端基が、それぞれ温度(T1)および(T2)にて脱離されて反応性基を形成することができ、
温度(T1)および温度(T2)が、それぞれ60℃以上であり、
成分(i)と(ii)とが、温度(T1)および温度(T2)よりも低い温度にて反応する、方法。
【0126】
実施形態31.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
の反応を含む、熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(Z1)を製造するための方法であって、
ポリイソシアネート組成物が、温度(T1)にて脱離されて反応性基を形成することができる末端基(EG1)を有するイソシアネート(I1)を含み、
温度(T1)が、60℃以上であり、
成分(i)と(ii)とが、温度(T1)よりも低い温度にて反応する、方法。
【0127】
実施形態32.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
の反応を含む、熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(Z1)を製造するための方法であって、
ポリイソシアネート組成物が、温度(T1)にて脱離されて反応性基を形成することができる末端基(EG1)を有するイソシアネート(I1)を含み、
末端基(EG1)が、カプロラクタム基であり、
温度(T1)が、60℃以上であり、
成分(i)と(ii)とが、温度(T1)よりも低い温度にて反応する、方法。
【0128】
実施形態33.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
の反応を含む、熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(Z1)を製造するための方法であって、
ポリイソシアネート組成物が、温度(T1)にて脱離されて反応性基を形成することができる末端基(EG1)を有するイソシアネート(I1)を含み、
末端基(EG1)が、メチルエチルケトンオキシム基であり、
温度(T1)が、60℃以上であり、
成分(i)と(ii)とが、温度(T1)よりも低い温度にて反応する、方法。
【0129】
実施形態34.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
の反応を含む、熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(Z1)を製造するための方法であって、
ポリオール組成物が、温度(T2)にて脱離されて反応性基を形成することができる末端基(EG2)を有するポリオールを含み、
温度(T2)が、60℃以上であり、
成分(i)と(ii)とが、温度(T2)よりも低い温度にて反応する、方法。
【0130】
実施形態35.
少なくとも成分(i)と(ii)と:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物
(ii)少なくとも1種のポリオール組成物
の反応を含む、熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(Z1)を製造するための方法であって、
ポリイソシアネート組成物が、末端基(EG1)を有するイソシアネート(I1)を含み、ポリオール組成物が、末端基(EG2)を有するポリオールを含み、これらの末端基が、それぞれ温度(T1)および(T2)にて脱離されて反応性基を形成することができ、
温度(T1)および温度(T2)が、それぞれ60℃以上であり、
成分(i)と(ii)とが、温度(T1)および温度(T2)よりも低い温度にて反応する、方法。
【0131】
実施形態36.
イソシアネート(I1)が、プレポリマーである、実施形態30から35のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
実施形態37.
ポリオール組成物が、イソシアネート基に向けて反応性である少なくとも2つの基を有する化合物から選択される少なくとも1種の鎖延長剤を含む、実施形態30から34のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
実施形態38.
反応において、成分(iii)として、イソシアネート基に向けて反応性である少なくとも2つの基を有する化合物から選択される少なくとも1種の鎖延長剤が利用される、実施形態30から36のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
実施形態39.
末端基(EG1)と(EG2)との総合計の含有量が、熱可塑性ポリウレタン(TPU1)中のウレタン基の含有量に対して0.01~50モル%の範囲である、実施形態30から37のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
実施形態40.
ポリオール組成物が、イソシアネート基に向けて反応性である少なくとも2つの基を有する化合物から選択される少なくとも1種の鎖延長剤を含む、実施形態30から39のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
実施形態41.
組成物(Z1)が、イソシアネート基に向けて反応性である少なくとも2つの基を有する化合物から選択される少なくとも1種の鎖延長剤を含む、実施形態30から40のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
実施形態42.
鎖延長剤が、500g/モル以下の分子量を有するジアミンおよびジオールからなる群から選択される、実施形態30から41のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
実施形態43.
熱可塑性ポリウレタンが、GPCで求めて、2000~50,000g/モルの範囲の分子量を有する、実施形態30から42のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
実施形態44.
イソシアネート組成物が、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-および/または4,4’-ジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4-および/または2,6-ジイソシアネート(TDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニル(TODI)、p-フェニレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、ならびにメチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-および/または2,2’-ジイソシアネート(H12MDI)、ならびに1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、またはこれらのイソシアネートの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のイソシアネートを含む、実施形態30から43のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
実施形態45.
ポリオール組成物が、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカプロラクトンおよびポリカーボネートからなる群から選択されるポリオールを含む、実施形態30から44のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
実施形態46.
実施形態30から45のいずれか1つに記載の方法によって得ることができるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタンを含む、組成物。
【0142】
実施形態47.
熱可塑性ポリウレタンが、10~500μmの範囲のメジアン粒径d50を有する粉末の形態にある、実施形態46に記載の組成物。
【0143】
実施形態48.
(A)自由流れ粒子の形態にある、実施形態1から29のいずれか1つに記載の熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(Z1)、または実施形態46もしくは47に記載の熱可塑性ポリウレタンを含む組成物を提供する工程と、
(B)粒子の少なくとも局所的に範囲を定められた部分を温度(T1)または(T2)へ加熱して、熱可塑性ポリウレタンの、または組成物(Z1)のさらなる成分の、官能基と反応を始めることができる反応性基を形成する工程と、
(C)組成物/熱可塑性ポリウレタンを冷却する工程と
を含む、成形体を製造するための方法。
【0144】
実施形態49.
組成物(Z1)が、10~500μmの範囲のメジアン粒径d50を有する粉末の形態で利用される、実施形態48に記載の方法。
【0145】
実施形態50.
実施形態1から29のいずれか1つに記載の組成物を、または実施形態46もしくは47に記載の熱可塑性ポリウレタンを含む組成物を、成形体の製造のために、使用する方法。
【0146】
実施形態51.
成形体が、粉末ベース層構築方法によって製造される、実施形態50に記載の使用する方法。
【0147】
実施形態52.
成形体が、押出成形または射出成形によって製造される、実施形態50に記載の使用する方法。
【0148】
実施形態53.
実施形態48または49に記載の方法によって得ることができるまたは得られる、成形体。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【
図1】実施例1aを使用して得られたポリウレタンのGPC曲線を示し、x軸上に分子量をg/モルでプロットし、y軸上に正規化した強度を%でプロットしている。
【
図2】実施例1bを使用して得られたポリウレタンのGPC曲線を示し、x軸上に分子量をg/モルでプロットし、y軸上に正規化した強度を%でプロットしている。
【
図3】実施例2aを使用して得られたポリウレタンのGPC曲線を示し、x軸上に分子量をg/モルでプロットし、y軸上に正規化した強度を%でプロットしている。
【
図4】実施例2bを使用して得られたポリウレタンのGPC曲線を示し、x軸上に分子量をg/モルでプロットし、y軸上に正規化した強度を%でプロットしている。
【
図5】実施例2cを使用して得られたポリウレタンのGPC曲線を示し、x軸上に分子量をg/モルでプロットし、y軸上には正規化した強度を%でプロットしている。
【
図6】実施例2dを使用して得られたポリウレタンのGPC曲線を示し、x軸上に分子量をg/モルでプロットし、y軸上に正規化した強度を%でプロットしている。
【発明を実施するための形態】
【0150】
以下の実施例は、本発明を例示するのに役立つが、本発明の主題において決して制限的なものではない。
【実施例】
【0151】
1.供給原料
イソシアネート1:ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(4,4’-MDI)、モル質量250.26g/モル
イソシアネート2:ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(4,4’-MDI、モル質量250.26g/モル)と、N-[4-[(4-イソシアナトフェニル)メチル]フェニル]-2-オキソアゼパン-1-カルボキサミド(1CL-4,4’-MDI、モル質量363.41g/モル)と、2-オキソ-N-[4-[[4-[(2-オキソアゼパン-1-カルボニル)アミノ]フェニル]メチル]フェニル]アゼパン-1-カルボキサミド(2CL-4,4’-MDI、モル質量476.24g/モル)との、NCO値が18.5%の混合物
イソシアネート3:ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(4,4’-MDI、モル質量250.26g/モル)と、(1-メチルプロピリデンアミノ)-N-[4-[(4-イソシアナトフェニル)メチル]フェニル]カルバメート(1MEKO-4,4’-MDI、モル質量339.39g/モル)と、(1-メチルプロピリデンアミノ)-N-[4-[[4-[1-メチルプロピリデンアミノ]オキシカルボニルアミノ]フェニル]メチル]フェニル]カルバメート(2MEKO-4,4’-MDI、モル質量424.49g/モル)との、NCO値が19.4%の混合物
ポリマーポリオール1:テトラヒドロフランから形成された、約112のOH数を有するポリエーテルジオール(MW:およそ1000)
ポリマーポリオール2:テトラヒドロフランから形成された、約56のOH数を有するポリエーテルジオール(MW:およそ2000)
鎖延長剤1:ブタン-1,4-ジオール、モル質量90.12g/モル
鎖延長剤2:ヘキサン-1,6-ジオール、モル質量118.18g/モル
【0152】
2.本発明の実施例
驚くべきことに、プレポリマー方法におけるブロックイソシアネートの使用によって、または遊離鎖延長剤の存在におけるワンショット方法でのコ-イソシアネートとして、固体ポリウレタンが好ましく、これは、温度>100℃にて、好ましくは温度>150℃にて、分子量を増加させることが見出された。
【0153】
2.1 [実施例1]
【0154】
【0155】
2.1.1 [実施例1a]
プレポリマーの製造
イソシアネート1を、PT100熱電対、窒素供給部、撹拌機および加熱マントルを備えた250mlの四首フラスコ中、60℃にて初期に装入し、ポリマーポリオール1および2をこの温度にて添加する。反応混合物を80℃まで加熱し、80℃にて2時間撹拌した。次に、カプロラクタム少量を一度にこの反応混合物に添加し、混合物をさらに2時間撹拌した。次いで、この得られたプレポリマーを室温まで冷却し、さらなる処理なしで、続く適用のために使用した。
【0156】
プレポリマーベースのポリウレタンの製造
得られたプレポリマーを、ガラスビーカーまたはブリキ容器中、80℃にて撹拌しながら鎖延長剤1と反応させて固体の白色の塊を得た。
【0157】
2.1.2 [実施例1b]
プレポリマーの製造
イソシアネート1を、PT100熱電対、窒素供給部、撹拌機および加熱マントルを備えた250mlの四首フラスコ中、60℃にて初期に装入し、ポリマーポリオール1および2をこの温度にて添加する。反応混合物を80℃まで加熱し、80℃にて2時間撹拌した。次に、カプロラクタム少量を一度にこの反応混合物に添加し、混合物をさらに2時間撹拌した。次いで、この得られたプレポリマーを室温まで冷却し、さらなる処理なしで、続く適用のために使用した。
【0158】
プレポリマーベースのポリウレタンの製造
得られたプレポリマーを、ガラスビーカーまたはブリキ容器中、80℃にて撹拌しながら鎖延長剤2と反応させて固体の白色の塊を得た。
【0159】
2.1.3 実施例1の適用
実施例1aの使用
実施例1aから得た固体の材料を200℃にて5分間処理した。分析は、処理前(1a-1)および処理後(1a-2)にゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって行い、分子量の増加を観察した。
【0160】
さらに、実施例1aから得た材料を、最初に80℃にて15時間、加熱処理し、次いで200℃にて5分間処理し、続いて100℃にてさらに20時間、加熱処理した(1a-3)。
【0161】
【0162】
【0163】
実施例1bの使用
実施例1aから得た固体材料を、200℃にて5分間処理した。分析は、処理前(1b-1)および処理後(1b-2)にゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって行い、分子量の増加を観察した。
【0164】
さらに、実施例1aから得た材料を、最初に80℃にて15時間、加熱処理し、次いで200℃にて5分間処理し、続いて100℃にてさらに20時間、加熱処理した(1b-3)。
【0165】
【0166】
【0167】
2.2 [実施例2]
2.2.1 イソシアネート2の製造
イソシアネート1(78.6g)を、PT100熱電対、窒素供給部、撹拌機および加熱マントルを備えた丸首フラスコ中、60℃にて初期に装入し、カプロラクタム(21.4g)をこの温度にて添加した。反応混合物を80℃まで加熱し、80℃にて45分間撹拌した。次に、ここで得たイソシアネート2を室温まで冷却し、さらなる処理なしで、ポリマーポリオールおよび鎖延長剤との反応のために使用した(算出したNCO:18.5%)。
【0168】
ワンショット方法で固体ポリウレタンを製造するための一般方法
ポリマーポリオール1を、鎖延長剤2、イソシアネート1およびイソシアネート2と一緒に、撹拌しながら反応させる。得られた反応混合物を、加熱可能であり任意にテフロン(登録商標)コーティングしたテーブル上へ注ぎ広げ、120℃にておよそ60分間、完了するまで反応させる。こうして得たポリマーシートを、次いで80℃にて15時間、加熱処理する。
【0169】
【0170】
2.2.2 実施例2の適用
実施例2a~2dの使用
実施例2a~2dのそれぞれから得た固体材料を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって分析した。次いで、実施例2a~2dを200℃にて5分間処理し、続いて100℃にてさらに20時間、加熱処理した。材料を、さらに、100℃にて20時間、貯蔵した。
【0171】
【0172】
実施例2a~2dのGPC測定の結果を、
図3~
図6に示す。
【0173】
2.3 [実施例3]
2.3.1 イソシアネート3の製造
イソシアネート1(1.179kg)を、PT100熱電対、窒素供給部、撹拌機および加熱マントルを備えた丸首フラスコ中、60℃にて初期に装入し、メチルエチルケトンオキシム(0.247kg)をこの温度にて添加した。反応混合物を80℃まで加熱し、80℃にて60分間撹拌した。次に、ここで得たイソシアネート3を室温まで冷却し、さらなる処理なしで、ポリマーポリオールおよび鎖延長剤との反応のために使用した(算出したNCO:19.4%)。
【0174】
ワンショット方法で固体ポリウレタンを製造するための一般方法
ポリマーポリオール1を、鎖延長剤2、イソシアネート1およびイソシアネート3と一緒に、撹拌しながら反応させる。得られた反応混合物を、加熱可能であり任意にテフロン(登録商標)コーティングしたテーブル上へ注ぎ広げ、120℃にておよそ60分間、完了するまで反応させる。こうして得たポリマーシートを、次いで80℃にて15時間、加熱処理する。
【0175】
【0176】
2.3.2 実施例3の適用
実施例3の使用
各事例において、実施例3から得られた固体材料をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により分析した。次いで、実施例3を200℃にて5分間処理し、続いて100℃にてさらに20時間、加熱処理した。材料を、さらに、様々な温度にて20~24時間貯蔵した。
【0177】
【0178】
3.固体ポリウレタンおよび得られた試験見本の性質
得られたポリウレタンの以下の性質を、特定の方法により求めた:
分子量の決定:先行技術に従い、分子量をDIN55672-2に従って確認した。この事例では、較正を、PMMAを用いて実施した。
【0179】
NCO値の決定:NCO含有量の決定を、EN ISO 11909に従って行い、第一級アミンおよび第二級アミンをイソシアネートと反応させて置換尿素を得た。この反応は、アミンの過剰量において定量的に進める。反応の終了時に、過剰なアミンを、塩酸での電位差測定の逆滴定に供する。
【0180】
平均粒径の決定:ISO規格ISO 13320:2009に従った湿式分散粉末のレーザ回析により、平均粒径を求めた。