IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユニ・チャーム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-積層不織布、及び吸収性物品 図1
  • 特許-積層不織布、及び吸収性物品 図2
  • 特許-積層不織布、及び吸収性物品 図3
  • 特許-積層不織布、及び吸収性物品 図4
  • 特許-積層不織布、及び吸収性物品 図5
  • 特許-積層不織布、及び吸収性物品 図6
  • 特許-積層不織布、及び吸収性物品 図7
  • 特許-積層不織布、及び吸収性物品 図8
  • 特許-積層不織布、及び吸収性物品 図9
  • 特許-積層不織布、及び吸収性物品 図10
  • 特許-積層不織布、及び吸収性物品 図11
  • 特許-積層不織布、及び吸収性物品 図12
  • 特許-積層不織布、及び吸収性物品 図13
  • 特許-積層不織布、及び吸収性物品 図14
  • 特許-積層不織布、及び吸収性物品 図15
  • 特許-積層不織布、及び吸収性物品 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】積層不織布、及び吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/49 20060101AFI20220930BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20220930BHJP
   B32B 7/03 20190101ALI20220930BHJP
   D04H 3/14 20120101ALI20220930BHJP
   D04H 3/12 20060101ALI20220930BHJP
   D04H 3/04 20120101ALI20220930BHJP
【FI】
A61F13/49 319
B32B5/26
B32B7/03
D04H3/14
D04H3/12
D04H3/04
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020093598
(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公開番号】P2021186213
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】光野 聡
(72)【発明者】
【氏名】三好 貴之
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-30182(JP,A)
【文献】特開2002-291795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
B32B1/00-43/00
D04H1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
お互いに直交する第1方向、第2方向及び厚さ方向を有するとともに、第1方向に伸縮可能である、吸収性物品用の積層不織布であって、
前記積層不織布が、前記厚さ方向において、第1不織布と、第2不織布と、第1不織布及び第2不織布の間に配置されている弾性部材とを備えており、
第1不織布及び第2不織布の少なくとも一方が、第1方向において、高坪量部と、当該高坪量部よりも坪量の低い低坪量部とを交互に有する交互構造を有する不均一坪量不織布であり、
前記弾性部材が、第1不織布及び第2不織布に接着剤で接着されている、
ことを特徴とする、前記積層不織布。
【請求項2】
前記高坪量部が、第2方向に沿う方向に延びている、請求項1に記載の積層不織布。
【請求項3】
前記低坪量部が、第2方向に沿う方向に延びている、請求項1又は2に記載の積層不織布。
【請求項4】
前記積層不織布が、前記高坪量部と、前記低坪量部とを、それぞれ、第2方向に沿う方向に延びている、複数の線状高坪量部分と、複数の線状低坪量部分として備えており、
前記複数の線状高坪量部分のそれぞれと、前記複数の線状低坪量部分のそれぞれとが、第2方向に沿う方向と直交する直交方向に交互に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層不織布。
【請求項5】
前記複数の線状高坪量部分が、2.0~10.0mmの線状高坪量部分ピッチを有する、請求項4に記載の積層不織布。
【請求項6】
第2方向に沿う方向が、第2方向と平行な方向である、請求項2~5のいずれか一項に記載の積層不織布。
【請求項7】
前記接着剤が、ドット状又は線状で、第1方向及び/又は第2方向に間欠的に塗工されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層不織布。
【請求項8】
前記不均一坪量不織布が、熱融着性繊維を含む熱融着性不織布である、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層不織布。
【請求項9】
前記熱融着性不織布が、スパンボンド不織布である、請求項8に記載の積層不織布。
【請求項10】
前記不均一坪量不織布が、貫通孔を有していない、請求項1~9のいずれか一項に記載の積層不織布。
【請求項11】
第1不織布及び第2不織布の両方が、前記不均一坪量不織布である、請求項1~10のいずれか一項に記載の積層不織布。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の積層不織布から構成される部材を備えている、吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層不織布、及び上記積層不織布を含む吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
2枚の不織布の間に、複数の弾性部材を伸長した状態で配置し、伸縮性を持たせた積層不織布が知られている。上記積層不織布は、例えば、使い捨ておむつのギャザー部材等に用いられることができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、以下の着用物品が開示されている。
シャシーとサイドパネルとファスナーとを有し、前記シャシーが互いに直交する前後方向と横方向とを有するとともに、前記前後方向に前胴回り域と後胴回り域と前記両胴回り域の間に介在する股下域とを有し、前記シャシーの前記前後胴回り域のうちの一方における両側縁部からは前記横方向に向かって前記サイドパネルが延出し、前記サイドパネルからは前記横方向に向かって非伸長性である前記ファスナーが延出しており、前記ファスナーを使用することによって前記サイドパネルを介しての前記両胴回り域の連結を繰り返すことのできる使い捨ての着用物品であって、
前記サイドパネルには、前記シャシーと前記ファスナーとの間に前記横方向への弾性的な伸長と収縮とを反復可能な弾性域が形成されていて、前記弾性域の前記着用物品における内面側と外面側とが不織布によって形成されており、
前記弾性域では、ホットメルト接着剤が前記内面側の前記不織布に対して1-5mmの幅で塗布されて前記前後方向へ延びる複数条の帯状塗布部が互いに1-5mmの間隔をあけて前記横方向へ並ぶことによって、前記ホットメルト接着剤の塗布域が形成され、前記横方向へ互いに並行して延びる複数条の弾性部材が前記塗布域において前記ホットメルト接着剤を介して前記不織布に伸長状態で接合していて、前記弾性部材が収縮することによって前記内面側の前記不織布に前記前後方向へ延びる複数条のギャザーが形成されていることを特徴とする前記着用物品。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-4334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の着用物品では、弾性域において、不織布に対して1-5mmの幅で塗布されて前後方向へ延びる複数条の帯状塗布部が互いに1-5mmの間隔をあけて横方向へ並んでいるホットメルト接着剤の塗布域を有することから、弾性部材と、不織布との接着性に優れるものの、ホットメルト接着剤の塗布域に起因して、通気性に改良の余地があった。
従って、本開示は、接着性と、通気性とに優れる積層不織布を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示者らは、お互いに直交する第1方向、第2方向及び厚さ方向を有するとともに、第1方向に伸縮可能である、吸収性物品用の積層不織布であって、上記積層不織布が、上記厚さ方向において、第1不織布と、第2不織布と、第1不織布及び第2不織布の間に配置されている弾性部材とを備えており、第1不織布及び第2不織布の少なくとも一方が、第1方向において、高坪量部と、当該高坪量部よりも坪量の低い低坪量部とを交互に有する交互構造を有する不均一坪量不織布であり、上記弾性部材が、第1不織布及び第2不織布に接着剤で接着されていることを特徴とする積層不織布を見出した。
【発明の効果】
【0007】
本開示の積層不織布は、接着性と、通気性とに優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に従う積層不織布1を説明するための図である。
図2図2は、第1実施形態に従う積層不織布1を説明するための図である。
図3図3は、第1実施形態に従う積層不織布1を説明するための図である。
図4図4は、第1実施形態に従う積層不織布1を説明するための図である。
図5図5は、第2実施形態に従う積層不織布1を説明するための図である。
図6図6は、第2実施形態に従う積層不織布1を説明するための図である。
図7図7は、第3実施形態に従う積層不織布1を説明するための図である。
図8図8は、第4実施形態に従う積層不織布1を説明するための図である。
図9図9は、不均一坪量不織布を製造する方法の一例を説明するための図である。
図10図10は、線状高坪量部分及び線状低坪量部分の例を説明するための図である。
図11図11は、従来の積層不織布101を説明するための図である。
図12図12は、従来の積層不織布101を説明するための図である。
図13図13は、実施例1を説明するための図である。
図14図14は、実施例2を説明するための図である。
図15図15は、比較例1を説明するための図である。
図16図16は、比較例2を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[定義]
・対象物に関する「所定の方向に沿う」
本明細書では、対象物に関する「所定の方向に沿う」とは、対象物が、所定の方向(例えば、第1方向、第2方向等)と±90°未満の交差角を有するように延びていることを意味する。また、対象物が所定方向に沿う方向に延びている場合に、対象物は、所定の方向と、好ましくは60°以下、より好ましくは45°以下、さらに好ましくは30°以下、そしてさらにいっそう好ましくは20°以下、そしてさらにいっそう好ましくは5°以下の交差角を有する。
なお、本明細書では、交差角が5°以下である場合に、「所定の方向と平行」と称する場合がある。
【0010】
具体的には、本開示は以下の態様に関する。
[態様1]
お互いに直交する第1方向、第2方向及び厚さ方向を有するとともに、第1方向に伸縮可能である、吸収性物品用の積層不織布であって、
上記積層不織布が、上記厚さ方向において、第1不織布と、第2不織布と、第1不織布及び第2不織布の間に配置されている弾性部材とを備えており、
第1不織布及び第2不織布の少なくとも一方が、第1方向において、高坪量部と、当該高坪量部よりも坪量の低い低坪量部とを交互に有する交互構造を有する不均一坪量不織布であり、
上記弾性部材が、第1不織布及び第2不織布に接着剤で接着されている、
ことを特徴とする、上記積層不織布。
【0011】
上記積層不織布では、第1不織布及び第2不織布の少なくとも一方が、第1方向において、高坪量部と、低坪量部とを交互に有する交互構造を有する不均一坪量不織布である。上記高坪量部は、上記低坪量部よりも、上記不均一坪量不織布を構成する繊維の量が多いため、高坪量部が、接着剤を介した弾性部材との接着性に優れる。従って、上記弾性部材が、上記不均一坪量不織布との接着性に優れ、弾性部材と、上記不均一坪量不織布との間の剥離が生じにくくなる。その結果、上記積層不織布が、接着性に優れる。
なお、本明細書では、「接着剤を介した、所定の部分と、弾性部材との接着性」を、単に、「接着性」と称する。
【0012】
また、上記積層不織布では、上記不均一坪量不織布が、低坪量部を有することから、上記積層不織布が、通気性に優れる。上記通気性は、上記積層不織布において、弾性部材が伸長した状態(以下、単に「伸長状態」と称する場合がある)において特に優れる。
【0013】
さらに、上記積層不織布では、上記不均一坪量不織布が、第1方向において、所定の交互構造を有する。従って、上記積層不織布において、弾性部材が収縮した状態(以下、単に「収縮状態」と称する場合がある)において、低坪量部が襞部を形成することができる。その結果、上記積層不織布が、美観に優れる。
【0014】
さらに、上記積層不織布では、上記高坪量部に起因して、使用者が、上記積層不織布の不均一坪量不織布側の面において、接着剤に触れにくくなる。
【0015】
[態様2]
上記高坪量部が、第2方向に沿う方向に延びている、態様1に記載の積層不織布。
上記積層不織布では、高坪量部が、第2方向に沿う方向に延びている。従って、積層不織布が第1方向に伸縮する際に、第2方向に沿う方向に延びている高坪量部が、接着剤を介した弾性部材への接着性に優れる。その結果、積層不織布が、接着性に優れる。
【0016】
[態様3]
上記低坪量部が、第2方向に沿う方向に延びている、態様1又は2に記載の積層不織布。
【0017】
上記積層不織布では、低坪量部が、第2方向に沿う方向に延びている。従って、積層不織布が伸長した状態(以下、単に「伸長状態」と称する場合がある)から収縮状態に変形した際に、第2方向に沿う方向に延びている低坪量部が、第2方向に沿う方向に延びる緻密な襞部を形成しやすくなる。その結果、上記積層不織布が、美観に優れる。
また、第2方向に沿う方向に延びている緻密な襞部は、低坪量部に起因して、通気性に優れる。その結果、積層不織布が、通気性に優れる。
【0018】
[態様4]
上記積層不織布が、上記高坪量部と、上記低坪量部とを、それぞれ、第2方向に沿う方向に延びている、複数の線状高坪量部分と、複数の線状低坪量部分として備えており、
上記複数の線状高坪量部分のそれぞれと、上記複数の線状低坪量部分のそれぞれとが、第2方向に沿う方向と直交する直交方向に交互に配置されている、態様1~3のいずれか一項に記載の積層不織布。
【0019】
上記積層不織布は、所定の、複数の線状高坪量部分と、所定の、複数の線状低坪量部分とを備えている。従って、上記積層不織布が、美観と、通気性とに優れる。
【0020】
[態様5]
上記複数の線状高坪量部分が、2.0~10.0mmの線状高坪量部分ピッチを有する、態様4に記載の積層不織布。
【0021】
上記積層不織布では、複数の線状高坪量部分が、所定の線状高坪量部分ピッチを有する。従って、上記積層不織布が、より緻密な襞部を形成しやすく、上記積層不織布が、美観に優れる。
【0022】
[態様6]
第2方向に沿う方向が、第2方向と平行な方向である、態様2~5のいずれか一項に記載の積層不織布。
上記積層不織布では、第2方向に沿う方向が、第2方向と平行な方向である。従って、上記積層不織布が、美観に優れる。
【0023】
[態様7]
上記接着剤が、ドット状又は線状で、第1方向及び/又は第2方向に間欠的に塗工されている、態様1~6のいずれか一項に記載の積層不織布。
上記積層不織布では、接着剤が所定の様式で塗工されている。従って、上記積層不織布は、通気性と、柔らかさとに優れる。
【0024】
[態様8]
上記不均一坪量不織布が、熱融着性繊維を含む熱融着性不織布である、態様1~7のいずれか一項に記載の積層不織布。
【0025】
上記積層不織布では、不均一坪量不織布が、熱融着性繊維を含む熱融着性不織布である。従って、低坪量部が所定の強度を有しやすく、上記積層不織布が、第1方向及び第2方向の強度に優れる。
【0026】
[態様9]
上記熱融着性不織布が、スパンボンド不織布である、態様8に記載の積層不織布。
上記積層不織布では、熱融着性不織布がスパンボンド不織布であることから、上記積層不織布が、第1方向及び第2方向の強度に優れる。
【0027】
[態様10]
上記不均一坪量不織布が、貫通孔を有していない、態様1~9のいずれか一項に記載の積層不織布。
上記積層不織布では、不均一坪量不織布が貫通孔を有していないことから、積層不織布の使用者が、貫通孔を介して接着剤に触れにくい。
【0028】
[態様11]
第1不織布及び第2不織布の両方が、上記不均一坪量不織布である、態様1~10のいずれか一項に記載の積層不織布。
【0029】
上記積層不織布では、第1不織布及び第2不織布の両方が、不均一坪量不織布である。従って、上記積層不織布は、第1不織布及び第2不織布の一方が、不均一坪量不織布である場合と比較して、接着性と、通気性とにより優れる。
【0030】
[態様12]
態様1~11のいずれか一項に記載の積層不織布から構成される部材を備えている、吸収性物品。
上記吸収性物品は、所定の部材を備えており、当該部材が、接着性と、通気性とにより優れる。
【0031】
本開示の積層不織布について、以下、詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1図4は、本開示の実施形態の1つ(以下、「第1実施形態」と称する)に従う積層不織布1を説明するための図である。具体的には、図1及び図2は、それぞれ、積層不織布1の正面図及び背面図である。図3は、第1不織布3の平面図である。図4は、図1のIV-IV端面における端面図である。
【0032】
なお、図1及び図2では、第1不織布3における、複数の線状高坪量部分9(高坪量部7)をドットで示している。また、図3及び図4では、第1不織布3としてのエアスルー不織布の坪量の大小を、繊維の粗密で表現しているが、図3に示される繊維の長さ及び径は、第1不織布3としてのエアスルー不織布の繊維の長さ及び径を意味するものではない。
【0033】
積層不織布1は、お互いに直交する第1方向D1、第2方向D2及び厚さ方向Tを有するとともに、第1方向D1に伸縮可能なように構成されている。厚さ方向Tは、後述の第1不織布3側の第1厚さ方向T1と、第2不織布5側の第2厚さ方向T2とに区画される。
【0034】
積層不織布1は、厚さ方向Tにおいて、第1不織布3と、第2不織布5と、第1不織布3及び第2不織布5の間に配置された、複数の線状弾性部材15とを備えている。
第1不織布3は、熱融着性繊維を含むエアスルー不織布から構成される不均一坪量不織布であり、貫通孔を有していない。第2不織布5は、スパンボンド不織布から構成される、均一な坪量を有する均一坪量不織布である。
【0035】
複数の線状弾性部材15は、第1方向D1に延びているとともに、第2方向D2に離間した状態で配置されている。具体的には、図1に示されるように、複数の線状弾性部材15は、第2方向D2と平行な方向に所定の弾性部材ピッチP1で配置されている。
複数の線状弾性部材15のそれぞれは、第1方向D1に2.0倍に延伸した状態(延伸倍率:2.0倍)で、第1不織布3及び第2不織布5の両方に、接着剤(図示せず)で接着されている。
【0036】
なお、積層不織布1は、理解のしやすさのため、第1不織布3と、第2不織布5とが、第1方向D1にずらした状態で接合されている構成を有しており、具体的には、第1方向D1の一方の端部に配置された、第1不織布3のみから構成される領域と、第1方向D1の他方の端部に配置された、第2不織布5のみから構成される領域と、それらの間に配置された、第1不織布3、複数の線状弾性部材15及び第2不織布5から構成される領域とを有している。なお、3領域からなる上記構成は、発明の理解のためのものであって、本開示の積層不織布の構造を何ら限定するものではない。
【0037】
第1不織布3は、第1方向D1において、高坪量部7と、高坪量部7よりも坪量の低い低坪量部11とを交互に有する交互構造を有する不均一坪量不織布である。具体的には、第1不織布3において、高坪量部7は、第2方向D2と平行な方向に延びている、複数の線状高坪量部分9から構成されており、低坪量部11は、第2方向D2と平行な方向に延びている、複数の線状低坪量部分13から構成されている。積層不織布1は、複数の線状高坪量部分9のそれぞれと、複数の線状低坪量部分13のそれぞれとを、第1方向D1と平行な方向に交互に有する交互構造を有している。
複数の線状高坪量部分9は、第1方向D1において、所定の線状高坪量部分ピッチP2で配置されている。
【0038】
積層不織布1において、複数の線状高坪量部分9のそれぞれは、複数の線状低坪量部分13よりも、上記不均一坪量不織布を構成する繊維の量が多いため、複数の線状高坪量部分9のそれぞれが、接着剤を介した、複数の線状弾性部材15のそれぞれとの接着に優れる。従って、複数の線状弾性部材15が、第1不織布3との接着性に優れ、複数の線状弾性部材15と、第1不織布3との間の剥離が生じにくくなる。その結果、積層不織布1が、接着性に優れる。
【0039】
また、積層不織布1では、第1不織布3が、複数の線状低坪量部分13を有することから、積層不織布1が、通気性、特に伸長状態における通気性に優れる。
【0040】
図4に示されるように、積層不織布1を、第1方向D1に収縮させ、収縮状態にすると、積層不織布1のうち、複数の線状低坪量部分13のそれぞれと、厚さ方向Tに重複する部分が、第1方向D1に収縮し且つ第2厚さ方向T2に突出する第2不織布側襞部23を形成する。
【0041】
第2不織布5側では、第2厚さ方向T2に突出する第2不織布側襞部23は、複数の線状低坪量部分13のそれぞれと同様、第2方向D2と平行な方向に間欠的に延びている。なお、第2不織布側襞部23は、複数の線状弾性部材15と厚さ方向Tに重複する部分を除いて第2方向D2と平行な方向に間欠的に延びている。
従って、積層不織布1が、収縮状態において、第2不織布5側の美観に優れる。
【0042】
また、第1不織布3側では、積層不織布1のうち、複数の線状高坪量部分9のそれぞれと、厚さ方向Tに重複する部分が、第1厚さ方向T1に突出するとともに、第2方向D2と平行な方向に間欠的に延びている第1不織布側襞部21を形成する。なお、第1不織布側襞部21は、複数の線状弾性部材15と厚さ方向Tに重複する部分を除いて第2方向D2と平行な方向に間欠的に延びている。
従って、積層不織布1が、収縮状態において、第1不織布3側の美観に優れる。
【0043】
図11は、従来の積層不織布101を説明するための図である。従来の積層不織布101は、第1不織布3が、スパンボンド不織布から構成される均一坪量不織布である点を除き、第1実施形態における積層不織布1と同様の構成を有する。
換言すると、従来の積層不織布101では、第1不織布3及び第2不織布5が、それぞれ、スパンボンド不織布から構成される均一坪量不織布及びスパンボンド不織布から構成される均一坪量不織布である。
【0044】
従来の積層不織布101では、第1不織布3及び第2不織布5のそれぞれが、均一坪量不織布であることから、収縮状態において、第1不織布側襞部21及び第2不織布側襞部23が、ランダム且つ大きなものとなり、美観に劣る。
【0045】
<第2実施形態>
図5及び図6は、本開示の別の実施形態(以下、「第2実施形態」と称する)に従う積層不織布1を説明するための図である。具体的には、図5及び図6は、それぞれ、積層不織布1の正面図及び背面図である。
【0046】
積層不織布1は、お互いに直交する第1方向D1、第2方向D2及び厚さ方向Tを有するとともに、第1方向D1に伸縮可能なように構成されている。
積層不織布1は、厚さ方向Tにおいて、第1不織布3と、第2不織布5と、第1不織布3及び第2不織布5の間に配置された、複数の線状弾性部材15とを備えている。
【0047】
第1不織布3は、熱融着性繊維を含むスパンボンド不織布から構成される不均一坪量不織布であり、貫通孔を有していない。第2不織布5は、熱融着性繊維を含むスパンボンド不織布から構成される不均一坪量不織布であり、貫通孔を有していない。
第2実施形態における複数の線状弾性部材15は、第1実施形態における複数の線状弾性部材15と同様であるため、説明を省略する。
【0048】
なお、第1実施形態と同様に、第2実施形態に従う積層不織布1は、理解のため、第1不織布3と、第2不織布5とを、第1方向D1にずらした状態で接合されており、第1方向D1の一方の端部に配置された、第1不織布3のみから構成される領域と、第1方向D1の他方の端部に配置された、第2不織布5のみから構成される領域と、それらの間に配置された、第1不織布3、複数の線状弾性部材15及び第2不織布5から構成される領域とを有している。なお、3領域からなる上記構成は、発明の理解のためのものであって、本開示の積層不織布の構造を何ら限定するものではない。
【0049】
第1不織布3は、第1実施形態における第1不織布3と同様、第2方向D2と平行な方向に延びている、複数の線状高坪量部分9(高坪量部7)と、第2方向D2と平行な方向に延びている、複数の線状低坪量部分13(低坪量部11)とを備えている。複数の線状高坪量部分9のそれぞれと、複数の線状低坪量部分13のそれぞれとは、第1方向D1と平行な方向に交互に有する交互構造を有している。
第1不織布3において、複数の線状高坪量部分9は、第1方向D1において、所定の線状高坪量部分ピッチP2で配置されている。
【0050】
第2不織布5は、第1不織布3と同一の不織布から構成されている。具体的には、第2不織布5は、第1実施形態における第1不織布3と同様、第2方向D2と平行な方向に延びている、複数の線状高坪量部分9(高坪量部7)と、第2方向D2と平行な方向に延びている、複数の線状低坪量部分13(低坪量部11)とを備えている。複数の線状高坪量部分9のそれぞれと、複数の線状低坪量部分13のそれぞれとは、第1方向D1と平行な方向に交互に有する交互構造を有している。
第2不織布5において、複数の線状高坪量部分9は、第1方向D1において、所定の線状高坪量部分ピッチP2で配置されている。
【0051】
第2実施形態に従う積層不織布1は、第1実施形態に従う積層不織布1と同様の理由により、接着性及び通気性に優れる。また、第2実施形態に従う積層不織布1は、第1不織布3及び第2不織布5のそれぞれが、不均一坪量不織布であることから、積層不織布1が、美観に優れ、そして第1不織布3側及び第2不織布5側の両面において、接着剤に触れにくい。
【0052】
<第3実施形態>
図7は、本開示のさらに別の実施形態(以下、「第3実施形態」と称する)に従う積層不織布1を説明するための図である。具体的には、図7は、積層不織布1の正面図である。なお、積層不織布1の背面図は、正面図と同様であることから省略する。
【0053】
第3実施形態に従う積層不織布1は、複数の線状弾性部材15を、面状弾性部材31に変更した以外は、第1実施形態に従う積層不織布1と同様である。
なお、面状弾性部材31は、第1方向D1に2.5倍に延伸した状態(延伸倍率:2.5倍)で、第1不織布3及び第2不織布5の両方に、線状、具体的には、Ω状に塗工された接着剤(図示せず)で接着されている。
【0054】
収縮状態における積層不織布1は、積層不織布1のうち、複数の線状高坪量部分9のそれぞれと、厚さ方向(図示せず)に重複する部分が、第1厚さ方向(図示せず)に突出するとともに、第2方向D2と平行な方向に連続して延びている第1不織布側襞部21を形成する。
また、収縮状態における積層不織布1は、積層不織布1のうち、複数の線状低坪量部分13のそれぞれと、厚さ方向(図示せず)に重複する部分が、第2厚さ方向(図示せず)に突出するとともに、第2方向D2と平行な方向に連続して延びている第2不織布側襞部23を形成する。
【0055】
第3実施形態に従う積層不織布1は、第1実施形態に従う積層不織布1と同様の理由により、接着性及び通気性に優れ、第1不織布3側の面において接着剤に触れにくい。
また、第3実施形態に従う積層不織布1は、美観に優れる。
【0056】
図12は、従来の積層不織布101を説明するための図である。従来の積層不織布101は、第1不織布3が、スパンボンド不織布から構成される均一坪量不織布である点を除き、第3実施形態における積層不織布1と同様の構成を有する。
換言すると、従来の積層不織布101では、第1不織布3及び第2不織布5が、それぞれ、スパンボンド不織布から構成される均一坪量不織布及びスパンボンド不織布から構成される均一坪量不織布である。
【0057】
従来の積層不織布101では、第1不織布3及び第2不織布5のそれぞれが、均一坪量不織布であることから、収縮状態において、第1不織布側襞部21及び第2不織布側襞部23が、第2方向D2からずれた方向に延びており美観に劣る。
【0058】
<第4実施形態>
図8は、本開示のさらに別の実施形態(以下、「第4実施形態」と称する)に従う積層不織布1を説明するための図である。具体的には、図8は、積層不織布1の正面図である。なお、積層不織布1の背面図は、正面図と同様であることから省略する。
第4実施形態に従う積層不織布1は、複数の線状弾性部材15を、面状弾性部材31に変更した以外は、第2実施形態に従う積層不織布1と同様である。
なお、面状弾性部材31は、第1方向D1に2.5倍に延伸した状態(延伸倍率:2.5倍)で、第1不織布3及び第2不織布5の両方に、接着剤(図示せず)で接着されている。
【0059】
第4実施形態に従う積層不織布1は、第3実施形態に従う積層不織布1と同様の理由により、接着性及び通気性に優れ、第1不織布3側及び第2不織布5側の両面において接着剤に触れにくい。
また、第4実施形態に従う積層不織布1は、美観に優れる。
【0060】
本開示の積層不織布は、お互いに直交する第1方向、第2方向及び厚さ方向を有するとともに、第1方向に伸縮可能である、吸収性物品用の積層不織布である。
また、本開示の積層不織布は、上記厚さ方向において、第1不織布と、第2不織布と、第1不織布及び第2不織布の間に配置されている弾性部材とを備えている。
【0061】
第1不織布及び第2不織布の少なくとも一方は、第1方向において、高坪量部と、当該高坪量部よりも坪量の低い低坪量部とを交互に有する交互構造を有する不均一坪量不織布である。
なお、本明細書では、「不均一坪量不織布」と区別するために、高坪量部と、当該高坪量部よりも坪量の低い低坪量部とを有しない不織布を、「均一坪量不織布」と称する場合がある。なお、不織布のムラは、上記高坪量部及び低坪量部に該当しない。
【0062】
第1不織布及び第2不織布のそれぞれは、不均一坪量不織布及び均一坪量不織布のいずれに該当する場合であっても、吸収性物品の技術分野で用いられている不織布であることができる。上記不織布としては、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、SMS不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布(湿式、乾式)等が挙げられる。
【0063】
第1不織布及び/又は第2不織布が不均一坪量不織布である場合には、当該不均一坪量不織布としての第1不織布及び/又は第2不織布は、熱融着性繊維を含む熱融着性不織布であることが好ましい。それにより、低坪量部も所定の強度を有しやすく、上記積層不織布が、第1方向及び第2方向の強度に優れる傾向にある。上記熱融着性不織布としては、例えば、エアスルー不織布及びスパンボンド不織布が挙げられ、スパンボンド不織布が好ましい。それにより、上記積層不織布が、第1方向及び第2方向の強度に優れる傾向にある。
【0064】
第1不織布及び/又は第2不織布が不均一坪量不織布である場合には、当該不均一坪量不織布としての第1不織布及び/又は第2不織布は、以下の通り製造することができる。
不均一坪量不織布としてのエアスルー不織布は、例えば、特開2008-002034号、特開2008-025078号等に記載の方法により製造することができる。
【0065】
不均一坪量不織布としてのスパンボンド不織布は、例えば、特開2017-206803号に記載の方法に従って製造することができる。具体的には、第1実施形態における第1不織布3は、図9に示されるような、搬送方向MDに延びているとともに、搬送方向MDと直交する交差方向CDに離間して配置されている、複数の閉鎖部203を備えているフィルタベルト201を用いて製造することができる。
【0066】
本開示の積層不織布では、不均一坪量不織布及び均一坪量不織布のそれぞれは、貫通孔を有していても、そして貫通孔を有していなくともよいが、貫通孔を有していないことが好ましい。積層不織布が貫通孔を有する場合には、使用者が、貫通孔を介して接着剤に触れる可能性があるからである。
【0067】
第1不織布及び第2不織布のそれぞれは、不均一坪量不織布及び均一坪量不織布のいずれに該当する場合でも、好ましくは5~50g/m2、より好ましくは7~40g/m2、そしてさらに好ましくは10~30g/m2の坪量を有することができる。本開示の効果の観点からである。
なお、第1不織布及び第2不織布のそれぞれが不均一坪量不織布である場合には、上記坪量は、平均坪量を意味する。
【0068】
上記弾性部材は、吸収性物品の技術分野で用いられているものをそのまま採用することができ、例えば、面状弾性部材、線状弾性部材等が挙げられる。
上記面状弾性部材としては、例えば、特表2006-521223号公報に記載の延伸可能なウェブ、特開2004-244791号公報に記載の伸縮性不織布等が挙げられる。
【0069】
一般的に、弾性部材が、面状弾性部材である場合には、線状弾性部材である場合と比較して、積層不織布が、伸縮状態において、緻密で、美観に優れる襞部を有しにくい傾向がある。
本開示の積層不織布では、弾性部材が面状弾性部材である場合においても、収縮状態において、緻密で、美観に優れる襞部を有しやすくなる。
【0070】
上記弾性部材を、第1不織布及び第2不織布に接着する際の延伸倍率は、特に制限されず、吸収性物品の分野で通常用いられている延伸倍率を採用することができる。上記延伸倍率は、本開示の積層不織布が用いられる吸収性物品の部位によっても異なるが、好ましくは1.3倍~5.0倍、より好ましくは1.5倍~4.0倍、そしてさらに好ましくは1.8倍~3.5倍の範囲にある。
【0071】
上記弾性部材が、複数の線状弾性部材である場合には、上記複数の線状弾性部材の、第2方向における間隔は、吸収性物品の技術分野において用いられる間隔と同様であり、好ましくは1~15mm、そしてより好ましくは2~10mmの弾性部材ピッチで配置されることができる。
【0072】
本開示の積層不織布が、例えば、使い捨ておむつのウエストギャザーを形成するためのウエストギャザー形成部材として用いられる場合には、上記弾性部材ピッチは、例えば、5~15mmであることができる。また、本開示の積層不織布が、例えば、使い捨ておむつのフィットギャザーを形成するためのフィットギャザー形成部材として用いられる場合には、上記弾性部材ピッチは、例えば、3~10mmであることができる。
【0073】
本開示の積層不織布では、上記弾性部材は、第1不織布及び第2不織布に接着剤で接着されている。
上記弾性部材が、面状弾性部材である場合には、面状弾性部材は、カーテンスプレー等により接着剤を全面に塗工し、第1不織布及び第2不織布に接着剤で接着されていてもよい。また、上記弾性部材が、面状弾性部材である場合には、接着剤を、ドット状又は線状(例えば、スパイラル状、Ω状、Z状、パターン状等)で、第1方向及び/又は第2方向に間欠的に、面状弾性部材又は第1不織布及び第2不織布に塗工し、面状弾性部材を、第1不織布及び第2不織布に接着することができる。それにより、積層不織布が、通気性と、柔らかさとに優れる。
【0074】
上記弾性部材が、線状弾性部材である場合には、接着剤を、線状弾性部材の全面に塗工し、線状弾性部材を、第1不織布及び第2不織布に接着することができ、そして接着剤を、ドット状又は線状(例えば、スパイラル状、Ω状、Z状、パターン状等)で、第1方向及び/又は第2方向に間欠的に、第1不織布及び/又は第2不織布に塗工し、線状弾性部材を、第1不織布及び第2不織布に接着することができる。
本開示の積層不織布では、第1不織布及び第2不織布が接合されていなくともよく、そして接合されている、例えば、接着剤で接着されていてもよい。
【0075】
本開示の積層不織布では、上記不均一坪量不織布は、上述の交互構造(第1方向において、高坪量部と、当該高坪量部よりも坪量の低い低坪量部とを交互に有する交互構造)を、第2方向における特定の領域において有していてもよく、そして第2方向における任意の領域(すなわち、全ての領域)において有していてもよい。
上記不均一坪量不織布が、上述の交互構造を第2方向における任意の領域に有することにより、本開示の効果をより発揮しやすくなる。
【0076】
本開示の積層不織布では、不均一坪量不織布における、上記高坪量部は、第2方向に沿う方向に延びていることが好ましい。それにより、積層不織布が、接着性に優れる。
また、上記低坪量部は、第2方向に沿う方向に延びていることが好ましい。それにより、上記積層不織布が、美観に優れる。
【0077】
本開示の積層不織布では、不均一坪量不織布における、上記高坪量部と、上記低坪量部とを、それぞれ、第2方向に沿う方向(好ましくは、第2方向と平行な方向)に延びている、複数の線状高坪量部分と、複数の線状低坪量部分として備えていることができる。なお、上記複数の線状高坪量部分のそれぞれと、上記複数の線状低坪量部分のそれぞれとは、第2方向に沿う方向と直交する方向(好ましくは、第1方向と平行な方向)に交互に配置されていることが好ましい。それにより、上記積層不織布が、美観と、通気性とに優れる。
【0078】
上記複数の線状高坪量部分のそれぞれと、複数の線状低坪量部分のそれぞれとしては、所定の方向に延びている、例えば、第2方向に沿う方向に延びている軸線を有するもの、例えば、直線状、曲線状、ジグザグ状のものが挙げられる。
【0079】
図10(a)は、直線状の、複数の線状高坪量部分303と、直線状の、複数の線状低坪量部分305を有する不均一坪量不織布301を説明するための図である。直線状の、複数の線状高坪量部分303のそれぞれと、直線状の、複数の線状低坪量部分305のそれぞれとは、直線状の軸線Aを有しており、軸線Aと直交する方向に交互に配置されている。また、複数の線状高坪量部分303は、所定の線状高坪量部分ピッチP2で、軸線Aと直交する方向に配置されている。なお、複数の線状高坪量部分303が占める領域は、ドット模様で表されている。
【0080】
図10(b)は、曲線状の、複数の線状高坪量部分303と、曲線状の、複数の線状低坪量部分305を有する不均一坪量不織布301を説明するための図である。曲線状の、複数の線状高坪量部分303のそれぞれと、曲線状の、複数の線状低坪量部分305のそれぞれとは、直線状の軸線Aを有しており、軸線Aと直交する方向に交互に配置されている。なお、複数の線状高坪量部分303が占める領域は、ドット模様で表されている。
【0081】
図10(c)は、ジグザグ状の、複数の線状高坪量部分303と、ジグザグ状の、複数の線状低坪量部分305を有する不均一坪量不織布301を説明するための図である。ジグザグ状の、複数の線状高坪量部分303のそれぞれと、ジグザグ状の、複数の線状低坪量部分305のそれぞれとは、直線状の軸線Aを有しており、軸線Aと直交する方向に交互に配置されている。なお、複数の線状高坪量部分303が占める領域は、ドット模様で表されている。
【0082】
本開示の積層不織布において、上述の軸線Aは、第2方向に沿う方向に延びることができ、そして好ましくは、第2方向と平行な方向に延びることができる。また、軸線Aと直交する方向は、第2方向に沿う方向と直交する方向に延びることができ、そして好ましくは、第1方向と平行な方向に延びることができる。
【0083】
上記複数の線状高坪量部分は、軸線と直交する方向(第1方向に沿う方向と直交する方向)に、所定の線状高坪量部分ピッチで配置されていることが好ましい。
上記線状高坪量部分ピッチは、好ましくは2.0~10.0mm、より好ましくは3.0~8.0mm、そしてさらに好ましくは4.0~6.0mmである。それにより、上記積層不織布が、美観に優れやすくなる。
【0084】
上記弾性部材が複数の線状弾性部材である場合には、上記線状高坪量部分ピッチは、例えば、複数の線状弾性部材の弾性部材ピッチの、好ましくは0.2~4.0倍、より好ましくは0.4~3.0倍、そしてさらに好ましくは0.6~2.5倍の範囲にある。それにより、上記積層不織布が、美観に優れやすくなる。
【0085】
本開示の積層不織布では、第1不織布及び第2不織布の少なくとも一方が、上述の不均一坪量不織布であり、そして第1不織布及び第2不織布の両方が、上述の不均一坪量不織布であってもよい。本開示の効果の観点からである。
【0086】
また、第1不織布及び第2不織布の両方が、上述の不均一坪量不織布である場合には、第1不織布が有する高坪量部及び低坪量部と、第2不織布が有する高坪量部及び低坪量部とが、同一の形状を有していても、異なる形状を有していてもよい。
さらに、第1不織布が有する高坪量部及び低坪量部と、第2不織布が有する高坪量部及び低坪量部とが、同一の形状を有する場合には、第1不織布が有する高坪量部と、第2不織布が有する高坪量部とが、厚さ方向に重複するように配置されていても、配置されていなくともよい。
【0087】
本開示の積層不織布は、吸収性物品用であり、上記吸収性物品としては、例えば、使い捨ておむつ、生理用ショーツ型ナプキン、使い捨てショーツ等が挙げられる。
上記吸収性物品が使い捨ておむつである場合には、上記積層不織布は、ウエストギャザーを形成するためのウエストギャザー形成部材、フィットギャザーを形成するためのフィットギャザー形成部材等として用いられる。
【0088】
本開示の積層不織布は、当技術分野で公知の方法で製造することができる。例えば、第1不織布及び第2不織布を、接着剤を塗工するとともに所定の延伸倍率で延伸した弾性部材を間に挟んで接合することにより、本開示の積層不織布を製造することができる。
【実施例
【0089】
以下、例を挙げて本開示を説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
[実施例1]
以下の条件で、積層不織布No.1を製造した。積層不織布No.1の第1不織布側の画像を図13に示す。なお、積層不織布No.1は、第1実施形態に従う積層不織布1に相当するが、不織布の種類が異なる。
[第1不織布]
・種類:スパンボンド不織布(不均一坪量不織布,平均坪量:15g/m2
・線状高坪量部分ピッチ:4.9mm
[第2不織布]
・種類:スパンボンド不織布(均一坪量不織布,坪量:15g/m2
[弾性部材]
・種類:線状弾性部材,Spandex 470 Dtex
・弾性部材ピッチ:5.0mm
・延伸倍率:2.0倍
【0090】
[実施例2]
以下の条件で、積層不織布No.2を製造した。積層不織布No.2の第1不織布側の画像を図14に示す。なお、積層不織布No.2は、第3実施形態に従う積層不織布1に相当するが、不織布の種類が異なる。
[第1不織布]
・種類:スパンボンド不織布(不均一坪量不織布,平均坪量:15g/m2
・線状高坪量部分ピッチ:4.9mm
[第2不織布]
・種類:スパンボンド不織布(均一坪量不織布,坪量:15g/m2
[弾性部材]
・種類:面状弾性部材(TPU/PO複合伸縮不織布,坪量:60g/m2
*TPU:熱可塑性ポリウレタン樹脂
*PO:ポリオレフィン樹脂
・延伸倍率:2.5倍
【0091】
[比較例1]
以下の条件で、積層不織布No.3を製造した。積層不織布No.3の第1不織布側の画像を図15に示す。なお、積層不織布No.3は、図11に示される積層不織布101に相当する。
[第1不織布]
・種類:スパンボンド不織布(均一坪量不織布,坪量:15g/m2
[第2不織布]
・種類:スパンボンド不織布(均一坪量不織布,坪量:15g/m2
[弾性部材]
・種類:線状弾性部材,Spandex 470 Dtex
・弾性部材ピッチ:5.0mm
・延伸倍率:2.0倍
【0092】
[比較例2]
以下の条件で、積層不織布No.4を製造した。積層不織布No.4の第1不織布側の画像を図16に示す。なお、積層不織布No.3は、図12に示される積層不織布101に相当する。
[第1不織布]
・種類:スパンボンド不織布(均一坪量不織布,坪量:15g/m2
[第2不織布]
・種類:スパンボンド不織布(均一坪量不織布,坪量:15g/m2
[弾性部材]
・種類:面状弾性部材(TPU/PO複合伸縮不織布,坪量:60g/m2
・延伸倍率:2.5倍
【符号の説明】
【0093】
1 積層不織布
3 第1不織布
5 第2不織布
7 高坪量部
9 線状高坪量部分
11 低坪量部
13 線状低坪量部分
15 線状弾性部材
21 第1不織布側襞部
23 第2不織布側襞部
31 面状弾性部材
1 第1方向
2 第2方向
T 厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16