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特許7150128均一な流れ分配及び効率的なパージのためのガス流ガイド設計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】均一な流れ分配及び効率的なパージのためのガス流ガイド設計
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20220930BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
H01L21/31 C
C23C16/455
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021500416
(86)(22)【出願日】2019-06-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 US2019038267
(87)【国際公開番号】W WO2020013972
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】16/032,854
(32)【優先日】2018-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カオ, シェン-テー
(72)【発明者】
【氏名】コー, ジェフリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】ルイ, シアンシン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ, チェンホア
(72)【発明者】
【氏名】栗田 真一
(72)【発明者】
【氏名】シャオ, シュウキアン
(72)【発明者】
【氏名】サン, ガンウェイ
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-055842(JP,A)
【文献】特表2016-525800(JP,A)
【文献】特開2007-324285(JP,A)
【文献】特開2010-258169(JP,A)
【文献】特開2010-027868(JP,A)
【文献】特開2015-122503(JP,A)
【文献】特開2004-200603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流注入口ガイドであって、
上部、底部、本体側壁、流れ誘導注入口、及び流れ誘導排気口を有する流れガイド本体と、
前記流れガイド本体内に配置され、直径を有する少なくとも1つの開口を含む流れ調節器と、
前記流れガイド本体に配置され、前記少なくとも1つの開口に連通する少なくとも1つの第1のチャネルを備え、
前記少なくとも1つの第1のチャネルが、
前記流れ調節器を中心とした半径に沿って延びる第1の側壁及び第2の側壁であって、当該流れ調節器から、前記流れ誘導排気口において配置された第1のチャネル排気口まで異なる長さを有し、側壁幅及び側壁高さを有する、第1の側壁及び第2の側壁、
当該流れ調節器、前記第1の側壁、前記第2の側壁、及び前記第1のチャネル排気口によって画定された第1のチャネル領域、
当該流れ調節器、前記第1の側壁、前記第2の側壁、前記第1のチャネル排気口、前記流れガイド本体の前記底部、及び前記流れガイド本体の前記上部によって画定された第1のチャネル空間、
前記第1の側壁から前記第2の側壁への、当該流れ調節器における第1の注入口幅、
前記第1の側壁から前記第2の側壁への、前記第1のチャネル排気口における第1の排気口幅、並びに
前記第1の排気口幅及び前記側壁高さによって画定された第1の断面領域
を含み、
記流れ調節器と前記流れ誘導注入口との間にプレナムが存在している、ガス流注入口ガイド。
【請求項2】
前記ガス流注入口ガイドが、原子層堆積(ALD)チャンバの内部の処理ガス流注入口において配置されるように構成されている、請求項1に記載のガス流注入口ガイド。
【請求項3】
各第1の注入口幅が、実質的に同一である、請求項1又は2に記載のガス流注入口ガイド。
【請求項4】
少なくとも2つの第1のチャネルの前記第1の断面領域が実質的に同一である、請求項1に記載のガス流注入口ガイド。
【請求項5】
各開口の前記直径が、少なくとも2つの第1のチャネルの前記第1のチャネル空間及び前記第1のチャネル領域との差異に対応するように選択される、請求項1に記載のガス流注入口ガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、原子層堆積(ALD)チャンバに関する。より具体的には、本開示の実施形態は、処理ガスを均一に供給し、処理ガスを効果的にパージするALDチャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ALDは、原子層エピタキシー(ALE)に基づいており、化学吸着技術を用いて、連続サイクルで表面上に前駆体分子を供給する。基板は、ALDチャンバの処理領域内に配置される。第1の前駆体が、処理領域内に流入して、基板を横切り、処理領域から排出される。次いで、第2の前駆体が、処理領域内に流入して、基板を横切り、処理領域から排出される。任意選択的に、前駆体の導入と導入の間にパージガスを導入してもよい。第1の前駆体と第2の前駆体が反応し、基板表面上の膜として生成化合物を形成する。このサイクルを繰り返して、層が所望の厚さに形成される。
【0003】
[0003]しかしながら、処理ガスとしても知られている前駆体及びパージガスは、処理領域にわたって均一に分配されない場合があり、したがって、基板にわたって均一に分配されない場合がある。したがって、基板の膜厚の分布は均一でない場合がある。さらに、処理領域内の処理ガスが処理領域から効果的に排出されず、残留ガスが処理領域内に残ることがある。チャンバ内に残った残留処理ガスは、膜の品質に影響を及ぼす。さらに、残留処理ガスが確実に処理領域内に残らないよう処理ガスをパージするのに必要な時間が、スループットを低下させる。
【0004】
[0004]したがって、当該技術分野では、処理ガスを均一に供給するためのガス流注入口ガイドと、処理ガスを効果的にパージし、パージ時間を短縮するためのガス流排気口ガイドとを有するチャンバが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
[0005]一実施形態では、ガス流注入口ガイドが提供される。ガス流注入口ガイドは、上部、底部、本体側壁、流れ誘導注入口、及び流れ誘導排気口を有する流れガイド本体、並びに直径を有する少なくとも1つの開口、及び少なくとも1つの第1のチャネルを含む流れガイド本体内に配置された流れ調節器を含む。少なくとも1つの第1のチャネルは、第1の側壁及び第2の側壁、第1のチャネル領域、第1のチャネル空間、第1の側壁から第2の側壁への、流れ調節器における第1の注入口幅、第1の側壁から第2の側壁への、第1のチャネル排気口における第1の排気口幅、並びに第1の排気口幅及び側壁高さによって画定された第1の断面領域を含む。プレナムが、流れ調節器と流れ誘導注入口との間に存在している。第1の側壁及び第2の側壁は、流れ調節器から、流れ誘導排気口において配置された第1のチャネル排気口まで異なる長さを有する。第1の側壁及び第2の側壁は、側壁幅及び側壁高さを有する。第1のチャネル領域は、流れ調節器、第1の側壁、第2の側壁、及び第1のチャネル排気口によって画定される。第1のチャネル空間は、流れ調節器、第1の側壁、第2の側壁、第1のチャネル排気口、流れガイド本体の底部、及び流れガイド本体の上部によって画定される。第1の断面領域は、第1の排気口幅及び側壁高さによって画定されており、プレナムが、流れ調節器と流れ誘導注入口との間に存在する。
【0006】
[0006]別の実施形態では、ガス流排気口ガイドが提供される。ガス流排気口ガイドは、上部、底部、本体側壁、流れ誘導注入口、及びポンプに連結されるように構成された流れ誘導排気口を含む。少なくとも1つの第1のチャネルは、第1の側壁及び第2の側壁、第1のチャネル領域、第1のチャネル空間、第1の側壁から第2の側壁への、第1のチャネル注入口における第1の注入口幅、第1の側壁から第2の側壁への、第1のチャネル排気口における第1の排気口幅、並びに第1の排気口幅及び側壁高さによって画定された第1の断面領域を含む。第1の側壁及び第2の側壁は、第1のチャネル排気口から第1のチャネル注入口まで異なる長さを有する。第1の側壁及び第2の側壁は、側壁幅及び側壁高さを有する。第1のチャネル領域は、第1のチャネル注入口、第1の側壁、第2の側壁、及び第1のチャネル排気口によって画定される。第1のチャネル空間は、第1のチャネル注入口、第1の側壁、第2の側壁、第1のチャネル排気口、流れガイド本体の底部、及び流れガイド本体の上部によって画定される。第1の断面領域は、第1の注入口幅及び側壁高さによって画定される。
【0007】
[0007]さらに別の実施形態では、原子層堆積(ALD)チャンバが提供される。当該チャンバは、処理ガス注入口及び処理ガス排気口を有するチャンバ本体、チャンバ本体の上端に配置されたリッドアセンブリ、チャンバ内の処理領域と流体連通するように構成された処理ガス流注入口及び処理ガス排気口、処理ガス注入口において配置されたガス流注入口ガイド、並びに処理ガス排気口において配置されたガス流排気口ガイドを含む。ガス流注入口ガイドは、流れ調節器、及び異なる第1の注入口誘導チャネル領域を有する少なくとも2つの第1の注入口誘導チャネルを含む。ガス流排気口ガイドは、異なる第1の排気口誘導チャネル領域を有する少なくとも2つの第1の排気口誘導チャネルを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
[0008]本開示の上述の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって、得ることができる。そのうちの幾つかの実施形態は添付の図面で例示されている。しかし、添付図面は例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容され得ることに留意されたい。
【0009】
図1】一実施形態に係る、原子層堆積チャンバの概略断面図である。
図2A】一実施形態に係るガス流注入口ガイドの概略上面図である。
図2B】一実施形態に係るガス流排気口ガイドの概略上面図である。
図2C】一実施形態に係るガス流注入口ガイドの概略側面図である。
図2D】一実施形態に係るガス流排気口ガイドの概略側面図である。
図2E】一実施形態に係る流れ調節器の概略平面図である。
図3】一実施形態に係る、原子層堆積チャンバの処理領域の概略上面図である。
【0010】
[0016]理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。さらなる記載がなくても、ある実施形態の要素及び特徴を他の実施形態に有利に組み込み可能であることが意図されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0017]本明細書に記載された実施形態は、処理ガスを均一に供給するためのガス流注入口ガイドと、処理ガスを効果的にパージし、パージ時間を短縮するためのガス流排気口ガイドとを有するチャンバを提供する。当該チャンバは、処理ガス注入口及び処理ガス排気口を有するチャンバ本体、リッドアセンブリ、チャンバ内の処理領域と流体連通するように構成された処理ガス流注入口及び処理ガス排気口、並びに処理ガス注入口において配置されたガス流注入口ガイド、並びに処理ガス排気口において配置されたガス流排気口ガイドを含む。ガス流注入口ガイドは、流れ調節器、及び異なる第1の注入口誘導チャネル領域を有する少なくとも2つの第1の注入口誘導チャネルを含む。ガス流排気口ガイドは、異なる第1の排気口誘導チャネル領域を有する少なくとも2つの第1の排気口誘導チャネルを含む。
【0012】
[0018]図1は、一実施形態に係るALDチャンバ100の概略断面図である。適切なALDチャンバは、カリフォルニア州サンタクララ所在のApplied Materials, Inc.から入手可能である。以下に説明されるシステムは、例示的なチャンバであり、他のチャンバ(他の製造業者からのチャンバを含む)を、本開示の態様を達成するために使用又は改変してもよいことを理解されたい。ALDチャンバ100は、チャンバ本体102、リッドアセンブリ104、処理キット106、基板支持アセンブリ108、処理ガス注入口110、及び処理ガス排気口112を含む。
【0013】
[0019]リッドアセンブリ104は、チャンバ本体102の上端に配置され、基板支持アセンブリ108は、チャンバ本体102の内部に少なくとも部分的に配置される。処理キット106が、リッドアセンブリ104に連結される。基板支持アセンブリ108は、ステム118によってチャンバ本体102内で移動可能に配置されたペデスタル116を含む。ペデスタル116は、基板101を支持するように構成された基板支持面132を含む。ステム118は、チャンバ本体102を通って延びており、チャンバ本体102でリフトシステム(図示せず)に接続されている。リフトシステムは、ペデスタル116を処理位置(図示)と移送位置との間で移動させる。移送位置は、チャンバ本体102の側壁に形成されたスリットバルブ開口114を通した基板101の移送を助け、ALDチャンバ100の内部へのアクセスを提供する。
【0014】
[0020]処理位置では、基板支持アセンブリ108が、処理キット106を収縮させて、基板支持面132、処理キット106、及びリッドアセンブリ104の下面によって画定される処理領域120を形成する。処理位置にある基板支持アセンブリ108が処理キット106に接触して処理領域120を形成すると、処理キット106のガス注入口122及びガス排気口124がそれぞれ処理ガス注入口110及び処理ガス排気口112に連結され、これらは処理領域120と流体連通するように位置付けされる。このようにして、処理ガスは、処理ガス注入口110へ供給され、それからガス注入口122を通して処理領域120へと供給される。処理ガス排気口112は、ポンプ126に接続される。処理ガスは、基板101を横切って処理領域120内を流れ、ポンプ126によってガス排気口124及び処理ガス排気口112を通して排気される。RF(高周波)源128が、リッドアセンブリ104の電極130に連結されている。RF源128は、電極130に電力供給し、処理領域120内の処理ガスからプラズマを発生させることを促進させる。ペデスタル116が接地されてもよく、又はRF源128に接続されているときにペデスタル116がカソードとして機能してもよい。それにより、リッドアセンブリ104の下面とペデスタル116との間に容量性電界が発生し、プラズマ種が基板101に向かって加速する。
【0015】
[0021]ALDに使用される特定の1つ又は複数のガスは、実施される1つ又は複数のプロセスに依存する。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、ガスは、トリメチルアルミニウム((CH)3Al)(TMA)、テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム(Zr[N(CH)(C)])(TEMAZ)、窒素(N)、及び酸素(O)を含み得るが、ガスはこれに限定されず、1つ又は複数の前駆体、還元剤、触媒、キャリア、パージガス、洗浄ガス、又はこれらの任意の混合物若しくは組合せを含み得る。ガスが片側からALDチャンバ100内に導入され、基板101にわたって流れる。例えば、ガスは、処理ガス注入口110とガス注入口122を通り、処理領域120にわたって流れ、ガス排気口124と処理ガス排気口112を通して排気される。例示的な酸化アルミニウム(Al)膜形成プロセスでは、TMAの流れが処理領域120に供給される。処理領域120にわたって流れるTMAは、基板101にわたって流れ、基板101上にTMAの層を形成する。酸素含有ガスの流れが、処理領域120に供給される。処理領域120にわたって流れる酸素含有ガスは、基板101にわたって流れ、プラズマへと活性化され、TMAの層との反応のための酸素ラジカルをもたらす。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、酸素含有ガスは、O又はオゾン(O)である。酸素ラジカルは、基板101上のTMAの層と反応し、Alの層を形成する。基板101上に追加の層を形成するために、TMAの流動、酸素含有ガスの流動、及び酸素含有ガスのプラズマへの活性化を繰り返すことは、所望の厚さのAl膜が形成されるまで継続される。
【0016】
[0022]例示的な二酸化ジルコニウム(ZrO)膜形成プロセスでは、TEMAZの流れが処理領域120に供給される。処理領域120にわたって流れるTEMAZは、基板101にわたって流れ、基板101上にTEMAZの層を形成する。酸素含有ガスの流れが、処理領域120に供給される。処理領域120にわたって流れる酸素含有ガスは、基板101にわたって流れ、プラズマへと活性化され、TEMAZの層との反応のための酸素ラジカルをもたらす。酸素ラジカルは、基板101上のTEMAZの層と反応し、基板101上にZrOの層を形成する。TEMAZの流動、Oの流動、及び酸素含有ガスのプラズマへの活性化を繰り返すことは、所望の厚さのZrO膜が形成されるまで継続される。
【0017】
[0023]しかしながら、例示的なAl膜形成プロセス及び例示的な二酸化ジルコニウムZrO膜形成プロセスでは、処理ガスの流れは、処理領域120にわたって均一に分散されない場合があり、したがって、基板101にわたって均一に分布されない場合がある。そのため、基板101の膜厚の分布が均一にならないことがあり、これを防止することが好ましい。さらに、処理領域120、処理ガス注入口110、及びガス注入口122内の処理ガスが、処理領域120から効果的に排気されない場合があり、残留ガスが、処理領域120、処理ガス注入口110、及びガス注入口122内に残る。チャンバ内に残った残留処理ガスは、膜の品質に影響を及ぼす。例えば、例示的なZrO膜形成プロセスでは、Oをプラズマへ活性化している間の処理領域120内の残留TEMAZが、結果的にZrO層上に残留粒子を堆積させ得る。残留粒子は、ZrO膜の品質及び均一性に影響を及ぼす。さらに、処理ガスを排気するために、残留処理ガス(本明細書ではパージ処理ガスであると説明される)が、処理領域120、処理ガス注入口110、及びガス注入口122の中に確実に残らないようにするための必要な時間が、膜処理のスループットを低下させる。したがって、処理ガス流を均一に供給するためにガス流注入口ガイド202が設けられ、処理ガスを効果的にパージし、パージ時間を短縮するためにガス流排出口ガイド203が設けられる。
【0018】
[0024]図2Aは、概略的な上面図であり、図2Cは、ガス流注入口ガイド202の概略的な側面図である。図2Eは、流れ調節器220の概略平面図である。ガス流注入口ガイド202は、処理ガス流注入口110(図1に図示)内に配置される。ガス流注入口ガイド202は、流れ誘導注入口208及び流れ誘導排気口210を有する流れガイド本体206を含む。流れガイド本体206は、上部212、底部214、及び本体側壁216を含む。流れガイド本体206には、少なくとも1つの第1のチャネル218、及び少なくとも1つの開口222を含む流れ調節器220が配置されている。プレナム224が、流れ調節器220と流れ誘導注入口208との間に存在している。流れ誘導排気口210は、少なくとも1つの第1のチャネル排気口226を含む。
【0019】
[0025]第1のチャネル218は、第1の側壁228及び第2の側壁230によって画定される。第1の側壁228及び第2の側壁230は、流れ調整器220から第1のチャネル排気口226まで異なる長さ232を有する。第1の側壁228及び第2の側壁230は、側壁幅234及び側壁高さ236を有する。少なくとも1つの第2のチャネル238が、流れガイド本体206内に配置される。第2のチャネル238は、第1の側壁228及び本体側壁216のうちの1つによって画定される。本体側壁216は、流れ調節器220から第1のチャネル排気口226まで、長さ232と異なる長さ240を有する。本体側壁216は、本体側壁高さ242及び本体側壁幅244を有する。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、中央チャネル246が、流れガイド本体206内に配置される。中央チャネルは、第1の側壁228及び第2の側壁230を有する。第1の側壁228及び第2の側壁230は、流れ調整器220から第1のチャネル排気口226まで同一の長さ248を有する。
【0020】
[0026]少なくとも1つの第1のチャネル218及び中央チャネル246は、流れ調整器220、第1の側壁228、第2の側壁230、及び第1のチャネル排出口226によって画定された第1のチャネル領域250を有する。少なくとも2つの第1のチャネル218の第1のチャネル領域250は異なる。少なくとも1つの第1のチャネル218及び中央チャネル246は、流れ調整器220、第1の側壁228、第2の側壁230、第1のチャネル排出口226、流れガイド本体206の底部214、及び流れガイド本体206の上部212によって画定された第1のチャネル空間252を有する。少なくとも2つの第1のチャネル218の第1のチャネル空間252は異なる。少なくとも1つの第2のチャネル238は、流れ調整器220、第1の側壁228、本体側壁216のうちの1つ、及び第2のチャネル排出口256によって画定された第2のチャネル領域254を有する。少なくとも1つの第2のチャネル238は、流れ調整器220、第1の側壁228、本体側壁216のうちの1つ、第2のチャネル排出口256、流れガイド本体206の底部214、及び流れガイド本体206の上部212によって画定された第2のチャネル空間258を有する。
【0021】
[0027]少なくとも1つの第1のチャネル218及び中央チャネル246は、第1の側壁228から第2の側壁230への、流れ調整器220における第1の注入口幅260を有する。少なくとも1つの第1のチャネル218及び中央チャネル246は、第1の側壁228から第2の側壁230への、流れ調整器226における第1の排出口幅262を有する。少なくとも1つの第2のチャネルは、第1の側壁228から本体側壁216のうちの1つへの、流れ調整器220における第2の注入口幅264を有する。少なくとも1つの第2のチャネルは、第1の側壁228から本体側壁216のうちの1つへの、第2のチャネル排出口256における第2の排出口幅266を有する。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、各第1の注入口幅260と各第2の注入口幅264は、実質的に同一である。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、少なくとも2つの第1のチャネル218の第1の注入口幅260は異なる。少なくとも1つの第1のチャネル排出口226は、第1の排出口幅262及び側壁高さ236によって画定された第1の断面領域268を有する。少なくとも1つの第2のチャネル排出口256は、第2の排出口幅266及び本体側壁高さ242によって画定された第2の断面領域270を有する。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、各第1の断面領域268と各第2の断面領域270は、実質的に同一である。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、少なくとも2つの第1のチャネル排出口226の第1の断面領域268は異なる。
【0022】
[0028]ガス流注入口ガイド202は、処理ガスをプレナム224内に分配し、少なくとも1つの第1のチャネル218において複数の個々の流れに分離することを可能にする。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、ガス流注入口ガイド202は、処理ガスをプレナム224内で分配し、少なくとも1つの第1のチャネル218、中央チャネル246、及び少なくとも1つの第2のチャネル238において複数の個々の流れに分離することを可能にする。ガス流れ調節器220の少なくとも1つの開口222は、直径272を有する。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、各開口222の直径272は、少なくとも2つの第1のチャネル218のための第1のチャネル空間252と第1のチャネル領域250との差異、並びに少なくとも2つの第1のチャネル排出口226の第1の断面領域268の差異に対応するように選択され、それにより、個々の流れは、処理領域120にわたって実質的に均一に分布するように、処理ガスに対して実質的に同じ速度及び容積を有する。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、各開口222の直径272は、第1のチャネル空間252と第2のチャネル空間258との差異、及び第1のチャネル領域250と第2のチャネル領域254との差異にさらに対応するように選択され、それにより、個々の流れは、処理領域120にわたって実質的に均一に分布するように、処理ガスに対して実質的に同じ速度及び容積を有する。処理領域120の概略上面図の図3に示されるように、ガス流注入口ガイド202のガス流れ調整器220は、処理領域120にわたって、プロセスプロファイル300としても知られる実質的に均一な圧力変化をもたらす。
【0023】
[0029]図2Bは、概略上面図であり、図2Dは、ガス流排出口ガイド203の概略側面図である。ガス流排気口ガイド203は、処理ガス排出口112(図1に示す)又はガス排出口124に配置される。ガス流排出口ガイド203は、流れ誘導注入口207及び流れ誘導排気口209を有する流れガイド本体205を含む。流れガイド本体205は、上部211、底部213、及び本体側壁215を含む。流れ誘導注入口207は、少なくとも1つの第1のチャネル注入口217を含む。
【0024】
[0030]流れガイド本体205の内部には、少なくとも1つの第1のチャネル217が配置されている。第1のチャネル217は、第1の側壁227及び第2の側壁229によって画定される。第1の側壁227及び第2の側壁229は、第1のチャネル注入口225から第1のチャネル排出口219まで異なる長さ231を有する。第1の側壁227及び第2の側壁229は、側壁幅233及び側壁高さ235を有する。少なくとも1つの第2のチャネル237が、流れガイド本体206内に配置される。第2のチャネル237は、第1の側壁227及び本体側壁215のうちの1つによって画定される。本体側壁215は、第2のチャネル注入口255から第2のチャネル排出口221まで、長さ231と異なる長さ239を有する。本体側壁215は、本体側壁高さ241及び本体側壁幅243を有する。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、中央チャネル245が、流れガイド本体205内に配置される。中央チャネルは、第1の側壁227及び第2の側壁229を有する。第1の側壁227及び第2の側壁229は、第1のチャネル注入口225から第1のチャネル排出口219まで同一の長さ247を有する。
【0025】
[0031]少なくとも1つの第1のチャネル217及び中央チャネル245は、第1のチャネル排出口219、第1の側壁227、第2の側壁229、及び第1のチャネル注入口225によって画定された第1のチャネル領域249を有する。少なくとも2つの第1のチャネル217の第1のチャネル領域249は異なる。少なくとも1つの第1のチャネル217及び中央チャネルは、第1のチャネル排出口219、第1の側壁227、第2の側壁229、第1のチャネル注入口225、流れガイド本体205の底部213、及び流れガイド本体205の上部211によって画定された第1のチャネル空間251を有する。少なくとも2つの第1のチャネル217の第1のチャネル空間251は異なる。少なくとも1つの第2のチャネル237は、第2のチャネル排出口221、第1の側壁227、本体側壁215のうちの1つ、及び第2のチャネル注入口255によって画定された第2のチャネル領域253を有する。少なくとも1つの第2のチャネル237は、第2のチャネル排出口221、第1の側壁227、本体側壁215のうちの1つ、第2のチャネル注入口255、流れガイド本体205の底部213、及び流れガイド本体205の上部211によって画定された第2のチャネル空間257を有する。
【0026】
[0032]少なくとも1つの第1のチャネル217及び中央チャネル245は、第1の側壁227から第2の側壁229への、第1のチャネル排出口219における第1の排出口幅259を有する。少なくとも1つの第1のチャネル217及び中央チャネル245は、第1の側壁227から第2の側壁229への、第1のチャネル注入口225における第1の注入口幅261を有する。少なくとも1つの第2のチャネルは、第1の側壁227から本体側壁215のうちの1つへの、第2のチャネル注入口255における第2の注入口幅265を有する。少なくとも1つの第2のチャネル237は、第1の側壁227から本体側壁215のうちの1つへの、第2のチャネル排出口221における第2の排出口幅263を有する。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、各第1の注入口幅261と各第2の注入口幅265は、実質的に同一である。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、少なくとも2つの第1のチャネル217の第1の注入口幅261は異なる。少なくとも1つの第1のチャネル注入口225は、第1の注入口幅261及び側壁高さ235によって画定された第1の断面領域267を有する。少なくとも第2のチャネル注入口255は、第2の注入口幅265及び本体側壁高さ241によって画定された第2の断面領域269を有する。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、各第1の断面領域267と各第2の断面領域269は、実質的に同一である。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、少なくとも2つの第1のチャネル注入口225の第1の断面領域267は異なる。
【0027】
[0033]ガス流排出口ガイド203は、処理ガスの効果的なパージ、及びパージ時間の短縮を可能にする。処理領域120及びポンプ126内に分散された処理ガスは、ガス排出口124及び処理ガス排出口112を通してガスを排気し、その結果、処理空間内の圧力の中心から端への変化が生じる。少なくとも1つの第1のチャネル217及び中央チャネルは、処理領域120内に分散した処理ガスを少なくとも1つの第1のチャネル217において複数の個々の流れに分けることを可能にし、それにより、処理領域120からの処理ガスを実質的に均一にパージするために、処理領域120内の圧力の中心から縁への変化を制御する。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、少なくとも1つの第1のチャネル217、中央チャネル245、及び少なくとも1つの第2のチャネル237は、処理領域120内に分配された処理ガスが、少なくとも1つの第1のチャネル217及び中央チャネル245において複数の個々の流れに分かれることを可能にし、それにより、処理領域120からの処理ガスを実質的に均一にパージするために、圧力の中心から縁への変化を制御する。
【0028】
[0034]要約すると、本明細書に記載された実施形態は、原子層堆積(ALD)チャンバの処理領域への処理ガス流の均一な供給をもたらすためのガス流注入口ガイドと、効果的な処理ガスのパージをもたらし、パージ時間を短縮するガス流排出口ガイドとを提供する。ガス流注入口ガイドに関しては、少なくとも1つの第1のチャネルを利用することにより、処理ガスを複数の個々の流れに分離することが可能になる。ガス流れ調節器の少なくとも1つの開口は、少なくとも2つの第1のチャネル排出口の差異に対応するように選択される直径を有し、それにより、各個々の流れは、処理領域にわたって実質的に均一に分散するように、処理ガスに対して実質的に同じ速度及び容積を有する。ガス流排出口ガイドに関しては、少なくとも1つの第1のチャネルは、処理空間内に分散された処理ガスを複数の個々の流れに分離し、それにより、処理領域からの処理ガスを実質的に均一にパージするために、処理領域内の圧力の中心から縁への変化を制御する。処理ガスの実質的に均一なパージは、処理ガスの効果的な排気を可能にし、その結果、残留処理ガスが処理領域に残らない。効率的な排気は、パージ時間を短縮する。なぜなら、残留処理ガスが確実に処理領域内に残らないようにするために必要とされる時間がより短くなるからである。
【0029】
[0035]以上の記述は、本開示の実施例を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施例及びさらなる実施例が考案されてよく、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3