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特許7150952診療支援装置、診療支援装置の作動方法、診療支援装置の作動プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】診療支援装置、診療支援装置の作動方法、診療支援装置の作動プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20221003BHJP
【FI】
G16H10/60
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021134191
(22)【出願日】2021-08-19
(62)【分割の表示】P 2018164351の分割
【原出願日】2018-09-03
(65)【公開番号】P2021184305
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001988
【氏名又は名称】特許業務法人小林国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中津川 晴康
(72)【発明者】
【氏名】平川 毅
(72)【発明者】
【氏名】平松 浩
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-075927(JP,A)
【文献】特開2009-238039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用レポートを取得する医用レポート取得部と、
前記医用レポートの重要度を判定する重要度判定部と、
前記重要度を用いて、前記医用レポートに係るアラートの配信先を決定する配信先決定部と、
前記配信先決定部が決定した配信先に前記アラートを配信する配信部と、
を備え、
前記重要度判定部は、前記判定に用いた情報を、前記医用レポートに対応付けて保存する、診療支援装置。
【請求項2】
前記情報は、前記判定に用いた前記医用レポートの解析または解析結果の内容を含む、請求項1に記載の診療支援装置。
【請求項3】
前記情報は、前記判定に用いたキーワードの一覧、画像の部分、キーワードをテキストマイニングで重み付けした結果、の少なくともいずれかを含む、請求項1または2に記載の診療支援装置。
【請求項4】
前記医用レポートがテキストを含む場合に、
前記重要度判定部は、前記医用レポートの前記テキストを解析することにより、前記医用レポートの重要度を判定する請求項1~3のいずれか1項に記載の診療支援装置。
【請求項5】
前記重要度判定部は、前記テキストが含むキーワードを抽出し、抽出した前記キーワードを用いて前記医用レポートの重要度を判定する請求項4に記載の診療支援装置。
【請求項6】
前記医用レポートが画像を含む場合に、
前記重要度判定部は、前記画像を解析し、かつ、前記画像の解析結果を用いて前記医用レポートの重要度を判定する請求項1~5のいずれか1項に記載の診療支援装置。
【請求項7】
前記重要度判定部は、前記画像を用いて病状を特定し、かつ、特定した病状を用いて前記医用レポートの重要度を判定する請求項6に記載の診療支援装置。
【請求項8】
前記配信先決定部は、前記重要度によって複数の配信先を決定する場合、少なくとも前記医用レポートを依頼した者を配信先に決定する請求項1~7のいずれか1項に記載の診療支援装置。
【請求項9】
前記配信先決定部は、前記重要度によって複数の配信先を決定する場合、前記医用レポートを依頼した者が属するグループを配信先に決定する請求項8に記載の診療支援装置。
【請求項10】
前記配信部は、前記医用レポートの存在、前記医用レポートの前記重要度、及び/または、前記医用レポートに関する期限、に係る前記アラートを配信する請求項1~9のいずれか1項に記載の診療支援装置。
【請求項11】
前記配信部は、前記医用レポートへのリンクを含む前記アラートを配信する請求項1~10のいずれか1項に記載の診療支援装置。
【請求項12】
前記重要度の判定及び/または前記配信先の決定に係るフィードバック情報の入力を受けて、前記重要度の判定仕様及び/または前記配信先の決定仕様を変更するフィードバック部を備える請求項1~11のいずれか1項に記載の診療支援装置。
【請求項13】
医用レポートを取得するステップと、
前記医用レポートの重要度を判定し、前記判定に用いた情報を前記医用レポートに対応付けて保存するするステップと、
前記重要度を用いて、前記医用レポートに係るアラートの配信先を決定するステップと、
前記配信先を決定するステップで決定した配信先に前記アラートを配信するステップと、
を備える、診療支援装置の作動方法。
【請求項14】
医用レポートを取得するステップと、
前記医用レポートの重要度を判定し、前記判定に用いた情報を前記医用レポートに対応付けて保存するするステップと、
前記重要度を用いて、前記医用レポートに係るアラートの配信先を決定するステップと、
前記配信先を決定するステップで決定した配信先に前記アラートを配信するステップと、
をコンピュータに実行させる、診療支援装置の作動プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診療支援装置、診療支援装置の作動方法、診療支援装置の作動プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野では、医師や検査技師等の医療スタッフが円滑に診察及び検査等を進めるために、検査の結果等を、医療スタッフ間または診療科間等で共有する統合的な診療支援装置が使用されている。内視鏡装置、X線撮影装置、超音波診断装置、コンピュータ断層撮影装置(Computed tomography:CT)、磁気共鳴診断装置(Magnetic Resonance Imaging:MRI)等の、画像による医療検査装置(モダリティ)も普及しており、画像診断の結果も診療支援装置により共有される。
【0003】
画像診断では、主治医等の依頼医が検査部門に検査を依頼し、放射線専門医等の読影医が、検査により得られた医用画像を読影した所見について画像診断報告書にまとめて、医用レポートとする。作成された医用レポートは、診療支援装置により、検査を依頼した主治医に送られる。
【0004】
近年、医用レポートが共有できる状況であっても、主治医が医用レポートの確認をしなかったという医用レポートの見落としが発生し、患者への診断、治療等の対応が遅れ、病状を悪化させてしまうという問題が指摘されている。そこで、医用レポートに重要度を設定すると、この重要度を基に緊急な対応が必要であるかを判定し、緊急な対応が必要であると判定された際に、依頼医にメッセージを送信する、医用レポート作成システムが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-75927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のようなメッセージ(アラート)は、重要度に応じて最適な配信先が異なる場合がある。しかしながら、特許文献1は、アラートの配信先が設定できず依頼医宛にのみしかアラートを配信できないといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、重要度に応じた最適な配信先にアラートを配信可能な診療支援装置、診療支援装置の作動方法、診療支援装置の作動プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の診療支援装置は、医用レポートを取得する医用レポート取得部と、医用レポートの重要度を判定する重要度判定部と、重要度を用いて、医用レポートに係るアラートの配信先を決定する配信先決定部と、配信先決定部が決定した配信先にアラートを配信する配信部と、を備える。
【0009】
医用レポートがテキストを含む場合に、重要度判定部は、医用レポートのテキストを解析することにより、医用レポートの重要度を判定することが好ましい。
【0010】
重要度判定部は、テキストが含むキーワードを抽出し、抽出したキーワードを用いて医用レポートの重要度を判定することが好ましい。
【0011】
重要度判定部は、テキストから緊急性を表すキーワードを抽出することにより、緊急性を表す重要度を判定することが好ましい。
【0012】
重要度判定部は、テキストから病状を表すキーワードを抽出することにより、病状を表す重要度を判定することが好ましい。
【0013】
医用レポートが画像を含む場合に、重要度判定部は、画像を解析し、かつ、画像の解析結果を用いて医用レポートの重要度を判定することが好ましい。
【0014】
重要度判定部は、画像を用いて病状を特定し、かつ、特定した病状を用いて医用レポートの重要度を判定することが好ましい。
【0015】
配信先決定部は、重要度によって、1または複数の配信先を決定することが好ましい。
【0016】
配信先決定部は重要度によって複数の配信先を決定する場合、少なくとも医用レポートを依頼した者を配信先に決定することが好ましい。
【0017】
配信先決定部は、重要度によって複数の配信先を決定する場合、医用レポートを依頼した者が属するグループを配信先に決定することが好ましい。
【0018】
配信部は、医用レポートの存在、医用レポートの重要度、及び/または、医用レポートに関する期限、に係るアラートを配信することが好ましい。
【0019】
配信部は、医用レポートへのリンクを含むアラートを配信することが好ましい。
【0020】
重要度の判定及び/または配信先の決定に係るフィードバック情報の入力を受けて、重要度の判定仕様及び/または配信先の決定仕様を変更するフィードバック部を備えることが好ましい。
【0021】
フィードバック情報は、重要度の判定の妥当性、及び/または、配信先の妥当性を示す情報であることが好ましい。
【0022】
フィードバック部は、配信部が配信するアラートへの返信により、フィードバック情報の入力を受けることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の診療支援装置、診療支援装置の作動方法、診療支援装置の作動プログラムは、重要度に応じた最適な配信先にアラートを配信できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】診療支援システムの構成を示す説明図である。
図2】診療支援システムが有するクライアント端末を示す説明図である。
図3】クライアント端末の構成を示すブロック図である。
図4】診療支援装置の構成を示すブロック図である。
図5】診療支援装置の構成を示すブロック図である。
図6】通知一覧画面である。
図7】通知一覧画面である。
図8】ログイン時通知一覧画面である。
図9】ログイン時通知一覧画面である。
図10】未読リスト画面である。
図11】診療支援装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示すように、診療支援システム10は、病院等の医療施設において診療支援を行うコンピュータシステムであり、クライアント端末11と、検査装置12と、診療支援装置13と、サーバ群14と、を備える。これらの診療支援システム10を構成する各要素は、医療施設内に施設されたLAN(Local Area Network)等のネットワーク15を用いて相互に通信可能に接続している。
【0026】
クライアント端末11は、診療支援装置13からサービスの提供(診療支援装置13の機能の提供)を受けるための端末であり、医師、検査技師、または看護師等の医療スタッフが直接的に操作するコンピュータ(タブレット端末等である場合を含む)等である。クライアント端末11は、内科もしくは外科等の診療科、放射線検査科もしくは臨床検査科等の各種検査科、ナースセンター、または、その他の必要箇所に設置する。また、クライアント端末11は、医療スタッフごとに設けることができ、また、複数の医療スタッフの共用とすることができる。したがって、図2に示すように、診療支援システム10は、複数のクライアント端末11を含む。例えば、グループG1は医師A1及び医師A2が属する「内科」であり、医師A1と医師A2はそれぞれにクライアント端末11を保有する。同様に、例えば、グループG2は医師B1が属する「外科」であり、グループG2には少なくとも1台のクライアント端末11がある。また、例えば、グループG19は放射線専門医N1が属する「放射線科」であり、グループG19には少なくとも1台のクライアント端末11がある。
【0027】
検査装置12は、検査に用いる医療検査装置(モダリティ)である。検査装置12による検査条件等のテキストデータ、取得した医用画像等の画像データ等の各種データは、画像サーバ22等のサーバに保存され、診療支援装置13またはクライアント端末11が必要な場合に、診療支援装置13がサーバから取得する。検査装置12は、具体的には、CT、MRI、X線検査、超音波検査、または内視鏡検査等の医用画像を取得する装置を含む。
【0028】
診療支援装置13は、クライアント端末11に診療データ(例えば画像等自体)等を含む表示画面を提供する。診療データとは、診察、検査もしくは手術等において取得もしくは作成した画像、レポート、検査結果、その他診療の過程で、もしくは診療の結果として得たデータ、またはこれらの所在を示す情報(いわゆるリンク(エイリアス)等)である。
【0029】
診療支援装置13がクライアント端末11に提供する表示画面とは、クライアント端末11が、クライアント端末11の表示部36(図3参照)の画面を形成するために使用するデータをいう。また、診療支援装置13がクライアント端末11に提供する表示画面には、クライアント端末11が画面全体の表示を構成する全画面表示用のデータだけでなく、画面の一部に係る表示を構成するデータを含む。例えば、本実施形態においては、診療支援装置13は、表示部36の画面の一部において一般的なウィンドウ形式で表示可能な表示画面をクライアント端末11に提供する。
【0030】
診療支援装置13がクライアント端末11に提供する表示画面は、具体的には、通知一覧画面62、63(図6図7参照)、ログイン時通知一覧画面64、65(図8図9参照)、及び、未読リスト画面71(図10参照)等である。通知一覧画面62、63は、医療スタッフに対する各種内容の配信、注意事項の発生等、対応が要求される内容を通知する表示画面である。ログイン時通知一覧画面64、65は、診療支援システム10に医療スタッフがログインした際に、内容を確認していない各種内容の配信等を表示する表示画面である。未読リスト画面71は、配信したレポート、画像等の未読/既読状況を、患者の識別情報と対応付けて表示する表示画面である。患者の識別情報とは、例えば、患者の氏名、生年月日、年齢、もしくは性別等、または、患者に付与した固有の番号及び/または記号等のID(Identification Data)である(以下、患者IDという)。
【0031】
診療支援装置13は、例えば、XML(Extensible Markup Language)データ等のマークアップ言語を用いた記述形式で、表示画面をクライアント端末11に提供する。クライアント端末11は、XML形式の表示画面を、ウェブブラウザを用いて表示する。なお、診療支援装置13は、XMLの代わりに、JSON(JavaScript(登録商標) Object Notation)等の他の形式で表示画面をクライアント端末11に提供できる。
【0032】
サーバ群14は、診療支援装置13からの要求に応じた診療データを検索し、要求に該当する診療データを診療支援装置13に提供する。サーバ群14は、電子カルテサーバ21、画像サーバ22、レポートサーバ23、等を含む。
【0033】
電子カルテサーバ21は、電子カルテを格納するカルテデータベース21Aを有する。電子カルテは、1または複数の診療データの集合体である。具体的には、電子カルテは、例えば、診察記録、検体検査の結果、患者のバイタルサイン、検査等のオーダ、治療記録、または、会計データ等の診療データを含む。電子カルテは、クライアント端末11を用いて入力及び閲覧できる。
【0034】
画像サーバ22は、いわゆるPACS(Picture Archiving and Communication System)サーバであり、医用画像が格納される画像データベース22Aを有する。医用画像とは、CT検査、MRI検査、X線検査、超音波検査、または内視鏡検査等の各種画像検査で得られる画像である。これらの医用画像は、例えばDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に準拠したフォーマットで記録する。医用画像は、クライアント端末11を用いて閲覧できる。
【0035】
レポートサーバ23は、読影レポート等の医用レポートを格納するレポートデータベース23Aを有する。医用レポートとは、読影レポート、精密検査レポートを含み、画像検査、検体検査等の検査で得た画像や数値及び所見をまとめた報告書である。医用画像の読影及び読影レポートの作成は読影医が行う。医用レポートは、クライアント端末11を用いて、作成及び/または閲覧できる。
【0036】
上記の電子カルテ、医用画像、及び、レポートには、それぞれ、患者IDが付帯する。また、電子カルテには、患者IDの他、診療データ毎に、診療データを入力等した医療従事者を識別する情報が付帯する。医用画像には、患者IDの他、検査を実施した医療従事者(具体的には検査技師)を識別する情報が付帯する。レポートには、作成した医療従事者(具体的には読影医)を識別する情報が付帯する。医療従事者を識別する情報とは、医療従事者の氏名等、または、各医療従事者に付与した固有の番号及び/または記号等のIDである(以下、医療従事者IDという)。
【0037】
クライアント端末11、診療支援装置13、及び、サーバ群14を構成する各サーバ21~23は、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ、またはワークステーションといったコンピュータをベースに、オペレーティングシステムプログラムと、サーバプログラムまたはクライアントプログラム等のアプリケーションプログラムをインストールして構成する。すなわち、クライアント端末11、診療支援装置13、及び、サーバ群14を構成する各サーバ21~23の基本的な構成は同じであり、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、ストレージ、通信部等、及び、これらを接続する接続回路を備える。通信部は、ネットワーク15と接続するための通信用のインターフェース(LANボード等)である。接続回路は、例えば、システムバス及び/またはデータバス等を提供するマザーボードである。
【0038】
図3に示すように、クライアント端末11は、CPU31、メモリ32、ストレージ33、通信部34、及び、接続回路35の他に、表示部36及び操作部37を備える。表示部36は、例えば液晶等を用いたディスプレイであり、少なくとも診療支援装置13が提供する表示画面を表示する画面を有する。操作部37は、例えば、マウス等のポインティングデバイス、及び/または、キーボード等の入力デバイスである。表示部36及び操作部37は、いわゆるタッチパネルを構成することができる。
【0039】
クライアント端末11は、ストレージ33に、オペレーティングシステムプログラム等の他、作動プログラム39を記憶する。作動プログラム39は、クライアント端末11を用いて診療支援装置13の機能の提供を受けるためのアプリケーションプログラムである。本実施形態においては、作動プログラム39は、ウェブブラウザのプログラムである。但し、作動プログラム39は、診療支援装置13の機能の提供を受けるための専用のアプリケーションプログラムとすることができる。なお、作動プログラム39には、診療支援装置13が提供する表示画面の一部または全部を制御するための1または複数のガジェットエンジンを含む場合がある。ガジェットエンジンとは、ウェブブラウザ等に付随して動作することにより、各種機能を発揮するサブプログラムである。
【0040】
図4に示すように、診療支援装置13は、CPU41、メモリ42、ストレージ43、通信部44、及び、接続回路45を備える。診療支援装置13は、必要に応じてクライアント端末11と同様に表示部及び/または操作部を備えることができ、また、必要に応じて表示部及び/または操作部を取り付けることができるが、本実施形態においては、診療支援装置13は表示部及び操作部を有しない。
【0041】
診療支援装置13は、ストレージ43に、オペレーティングシステム等の他、作動プログラム49を記憶する。作動プログラム49は、診療支援装置13を構成するコンピュータを、診療支援装置13として機能させるためのアプリケーションプログラムである。作動プログラム49が起動すると、図5に示すように、診療支援装置13のCPU41はメモリ42と協働して、医用レポート取得部51、重要度判定部52、配信先決定部53、及び配信部54として機能する。
【0042】
医用レポート取得部51は、医用レポートを取得する。医用レポートは、レポートサーバ23に格納されているため、医用レポート取得部51は、レポートサーバ23から医用レポートを取得する。取得は、診療支援装置13が医用レポートに対する処理を行う場合に、必要に応じて行われる。例えば、新規な医用レポートが作成されてレポートサーバ23に格納された場合、作成された医用レポートが改訂された場合、医用レポートが含む期限が近い場合等に、医用レポート取得部51が、医用レポートを取得する。
【0043】
重要度判定部52は、医用レポートの重要度を判定する。医用レポートの重要度とは、読影医の読影による所見において重篤な異常が指摘されている等、医用レポートの対応に緊急を要する度合いを意味する。医用レポートは、医用画像を読影した所見の報告書であるため、検査の結果、検査を依頼した部分に緊急に対応を要する異常が認められた場合、依頼した主治医は、医用レポートをできるだけ早いうちに確認することにより、患者に対する診断または処置を早く行うことができる。また、医用画像の読影により、検査を依頼した部分以外の部分に重篤な異常が認められる場合もある。したがって、重要度判定部52は、このような医用レポートを重要度が高いものであると自動的に判定することにより、医用レポートの重要度の判定が早く行われ、主治医は、他の医用レポートに優先して、重要度が高い医用レポートを確認することができる。したがって、主治医が重要な医用レポートを見のがすことによる事故を防ぐことができる。
【0044】
医用レポートの重要度は、緊急性を表す重要度及び/または病状を表す重要度であることが好ましい。緊急性とは、医用レポートを早く確認する必要があるという時間的な度合いであり、病状とは、医用レポートに記載された病状がより深刻であるものをできるだけ早くまたはより慎重に確認する必要があるという内容的な度合いである。重要度は、例えば、レベル1とレベル2との少なくとも2つに分けられる。なお、重要度は2つ以上の任意の数に分けることができる。
【0045】
重要度を判定するとは、医用レポートが有する情報を用いて、重要度を決定することである。医用レポートは、文字等のテキストの情報及び/または医用画像等の画像の情報を含む。医用レポートの重要度の判定は、医用レポートが有する情報であるテキスト及び/または画像を用いて行う。
【0046】
重要度判定部52は、医用レポートがテキストを含む場合は、テキストを解析することにより、医用レポートの重要度を判定する。医用レポートが含むテキストは、患者ID、患者氏名等の検査の対象である患者を特定する患者情報、依頼者、臨床情報、検査目的、部位、モダリティ等の書誌事項、読影担当医名、読影所見、読影診断等の、読影医の所見等を含む。また、医用レポートが含むテキストは、例えば、記載欄の項目名、日付等も含む。
【0047】
テキストを解析するとは、テキストが含む語句(以下、キーワードという)を用いて重要度を判定するための一定の情報を得ることを意味する。したがって、テキストを解析することは、キーワードの抽出及び抽出したキーワードを用いることを含む。重要度判定部52は、テキストが含むキーワードを抽出し、抽出したキーワードを用いて医用レポートの重要度を判定する。キーワードの抽出は、テキスト処理において用いられる方法を採用でき、例えば、テキストの機械処理であるキーワード検索、形態素解析等による。
【0048】
抽出したキーワードを用いて重要度を判定するとは、例えば、キーワード自体、キーワードの発現位置、キーワードの発現頻度、キーワードとその他のキーワードとの近さ等を調査し、その調査結果により、医用レポートの重要度を、例えばレベル1であると決定することである。具体的には、調査方法としては、言語処理において行われる方法を採用することができ、例えば、検索したキーワードの分類、統計等の方法、機械学習またはテキストマイニング等の方法等を用いることができる。なお、医用レポートが含むテキストは、例えば、記載欄の項目名も含むため、抽出したキーワードが、項目名とその内容とである場合、両者のキーワードの近さを調査した調査結果により、より精密に内容を把握することができるため、重要度をより正確に判定することもできる。
【0049】
重要度が医用レポートを確認する緊急度である場合、重要度判定部52は、テキストから緊急性を表すキーワードを抽出することにより、緊急性を表す重要度を判定する。キーワードの抽出については、上記したとおりである。緊急性を表すキーワードとは、例えば、「緊急」、「早急」、「いち早く」等の語句である。したがって、重要度をレベル1とレベル2との2つに分けた場合、医用レポートからキーワードを抽出した後、抽出したキーワードを調べて、緊急性を表すキーワードを含む場合に、その医用レポートを重要度レベル1と判定し、緊急性を表すキーワードが含まれない場合に、その医用レポートを重要度レベル2と判定する。なお、レベルは任意に分けられ、キーワードの種類、キーワードの出現頻度等により、どのレベルであると判定するかを任意に決めることができる。
【0050】
重要度が病状である場合、重要度判定部52は、テキストから病状を表すキーワードを抽出することにより、病状を表す重要度を判定する。キーワードの抽出については、上記したとおりである。病状とは、病変の有無、病変の数量、位置、大きさ、範囲(面積)等、病変の種類、または、病変の進行度等である。具体的には、病状を表すキーワードは、例えば、病変の有無の場合は、「病変」、「異常」等、病変の数量等の場合は、「多数」等、病変の位置の場合は、「肺」、「胃」、「大腸」等の部位および各部位毎の位置名等、病変の大きさの場合は、「経」、「mm」、「隆起」等、病変の範囲の場合は、「一部」、「広範」等、病変の種類の場合は、「癌」、「腫瘍」、「動脈瘤」、「狭窄」、「悪性」等、病変の進行度の場合は、「進行」、「転移」等である。したがって、重要度をレベル1とレベル2との2つに分けた場合、キーワードを抽出した後、抽出したキーワードを調べて、例えば、病状を表す複数のキーワードを含む場合に、その医用レポートを重要度が最高レベルのレベル1と判定し、病状を表すキーワードが含まれない場合に、その医用レポートを重要度が低いレベルのレベル2と判定する。なお、キーワードの組み合わせ、近接度、どの項目に記載されているか等のキーワードの操作により、レベルを判定することもできる。また、重要度を分ける数は任意に決定することができ、キーワードの種類、キーワードの出現頻度等により、医用レポートがどのレベルのものであると判定するかを任意に決めることができる。
【0051】
重要度判定部52は、医用レポートが画像を含む場合は、画像を解析し、かつ、画像の解析結果を用いて医用レポートの重要度を判定する。医用レポートが含む画像は、検査装置12により得られた医用画像であり、例えば、CT、MRI、X線検査、超音波検査、または内視鏡検査等により得られる画像である。
【0052】
画像を解析するとは、画像が有するデータを調査することにより、重要度を判定するための一定の情報を解析結果として得ることである。画像解析の方法としては、医用画像の画像解析に用いられる方法を採用することができ、例えば、画像の特徴部分を抽出して、色及び/またはパターンを取得し、病変との比較により病変の疑いがあるとの解析結果を得ることができる。また、これらを機械学習によるパターンマッチング、データマイニング等により行い、画像がどんなものであるかの解析結果を得ることができる。なお、画像解析に供する医用画像は、1画像とは限らず、2画像以上の画像解析を行っても良い。例えば、同じ部位において取得された2つの異なる照明による画像を用いて画像解析することにより、病変に関して特定するためのより多くの情報を得ることができ、重要度を判定するためのより有用な情報を解析結果として得ることができる。解析結果を用いるとは、解析結果として得られた情報を利用するということであり、これにより、医用レポートの重要度を判定する。
【0053】
重要度判定部52は、画像を用いて病状を特定し、かつ、特定した病状を用いて医用レポートの重要度を判定することができる。上記のように、解析による解析結果が、病状を特定するものである場合がある。病状とは、上記したのと同様である。この場合は、特定された病状を用いて、上記したのと同様に、重要度を判定することができる。例えば、依頼医により胃のCTが依頼され、CTの医用画像が作成され、読影医が読影したところ、胃には異常が見つからなかったが、画像解析により、肺の病変が発見される場合がある。そして、この病変は肺がんが疑われるとの解析結果が得られたため、医用レポートは画像の解析結果として、「肺がん疑い」を含むものとさる。この医用レポートの重要度は、解析結果が重篤な内容を含み、早急に担当医の確認が必要であるため、重要度が最高レベルであると判定される。したがって、もし、読影医が医用画像において肺の異常部分を見落としたとしても、この医用レポートの重要度が高く判定されることにより、依頼医が確認を優先するようにできる。
【0054】
なお、重要度判定部52が判定または決定に至った解析及び解析結果の内容は、履歴として医用レポートに残される。例えば、重要度の判定及び/または配信先の決定に使用したキーワードの一覧、画像の部分、使用したキーワードをテキストマイニングにて重み付けした結果等を履歴とする。この履歴を定期的に確認し、判定仕様または決定仕様を変更することにより、より精度良く判定または決定を行うことができる。また、事情により判定仕様または決定仕様を変更したい場合に、適切に対応するように変更することができる。
【0055】
また、テキスト解析と画像解析との解析結果は、同じ重み付けで総合して判定または決定を行ってもよいし、どちらかの解析結果に重み付けをした上で総合して判定してもよい。医用レポートの見落としを防止するためには、両者の解析結果のうち、どちらか一方にでも重要度が高い解析結果が出た場合は、その重要度を採用する仕様とすることが好ましい。
【0056】
配信先決定部53は、重要度を用いて、医用レポートに係るアラートの配信先を決定する。重要度を用いることには、ある一定の重要度である場合にアラートを配信することを含む。例えば、重要度が最高レベルの医用レポートに係るアラートを配信し、その他の重要度のレベルの医用レポートについては、アラートを配信しないようにすることができる。医用レポートに係るアラートとは、医用レポートに関する通知であり、配信先が通知を即座に確認するようにした緊急性を有する通知である。通知の方法は、配信先が通知をすぐに確認できる方法とすることができ、診療支援装置13のクライアント端末11、配信先が有する携帯端末(図示せず)等の、診療支援装置13に関わる機器を使用することができる。例えば、診療支援装置13のクライアント端末11において、配信先がログインしているクライアント端末11の画面の一部に、アラート画面を表示することにより通知する方法、診療支援装置13と配信先が有する携帯端末にアラート音とともにアラート画面を表示して通知する方法等とすることができる。配信先とは、医用レポートを確認する必要がある医療従事者のことである。診療支援装置13では、上記したとおり、医療従事者は医療従事者IDにより識別される。したがって、配信先とは、具体的には医療従事者IDとすることができる。
【0057】
配信先決定部53は、重要度によって、1または複数の配信先を決定する。重要度によって複数の配信先を決定するとは、例えば、重要度が最高レベルの医用レポートは、見逃しを必ず防ぐために、複数の配信先を決定し、重要度が低い医用レポートは、依頼医のみを配信先として決定することを含む。複数の配信先を決定する場合は、同じ診療科の別の医師を含む複数を配信先として決定する、関連する医療従事者チーム、例えば、主治医、同一診療科医、関連する他科医師、医療安全管理室及び看護師からなるチーム全員を配信先として決定する等とすることができる。これにより、検査を依頼した依頼医が、例えば、患者の診療が一通り完了した後に医用レポートが作成されて、診察においては確認する機会がない場合であっても、他の配信先がこの医用レポートを目にすることにより、医用レポートの見逃しを防ぐことができる。
【0058】
配信先決定部53は、重要度によって複数の配信先を決定する場合、少なくとも医用レポートを依頼した者を配信先に決定する。複数の配信先には、医用レポートを依頼した者である依頼医が配信先に決定され、配信先が複数となった場合でも、一般に、確認を担当する依頼医の責任の所在が曖昧になることがないため、依頼医による医用レポートの見逃しを防ぐことができる。
【0059】
配信先決定部53は、重要度によって複数の配信先を決定する場合、医用レポートを依頼した者が属するグループを配信先に決定する。医用レポートを依頼したものが属するグループとは、上記したとおり、診療科ごとのグループ等である。グループを配信先に決定することにより、医師の他に、診療支援装置13を使用することができる同一診療科に属する看護師等の医療従事者が、アラートの配信を知ることができる。これにより、依頼医が診療支援装置13の画面を見る前であっても、看護師が直接医師に知らせる等によって、重要な医用レポートの見逃しを防ぐことができる。また、配信先決定部53は、重要度によって複数の配信先を決定する場合、医用レポートを依頼した者が属するグループ、または、グループに属する者であって医用レポートを依頼した者以外の者、を配信先に決定する。グループに属する者であって医用レポートを依頼した者以外の者とは、グループが診療科ごとである場合は、同一診療科の医師である。例えば、患者ごとに担当医が決まっていない場合であっても、患者の医用レポートの見逃しを防ぐことができる。
【0060】
配信部54は、配信先決定部53が決定した配信先にアラートを配信する。配信の方法としては、上記したとおり、配信先にアラートが配信される方法を採用することができる。診療支援装置13によるクライアント端末11への配信の他、診療支援装置13が設置される病院では、医療従事者がそれぞれ携帯端末を有する場合が多いため、携帯端末(図示せず)に配信することができる。また、携帯端末等にGPSが備えられる場合、または、名札等にRFID(radio frequency identifier)等のIDタグ(図示せず)が備えられる場合は、これらを利用して、配信先の医療従事者の所在を確認し、所在場所の掲示板の画面(図示せず)等に通知をすることができる。
【0061】
配信部は、医用レポートの存在、医用レポートの重要度、及び/または、医用レポートに関する期限、に係るアラートを配信する。「医用レポートの存在に係るアラート」とは、医用レポートが作成されたこと、医用レポートが改訂されたこと、または、医用レポートが取下げられた(削除された)こと、を表す通知である。「医用レポートの重要度に係るアラート」とは、医用レポートの重要度を表す数値、メッセージ、または、記号等の通知または表示である。「医用レポートに関する期限に係るアラート」とは、医用レポートを閲覧すべき時期の指定を含む通知等であり、例えば、緊急に閲覧を求める旨のメッセージの送信等である。「医用レポートの存在に係るアラート」により、医用レポート自体に関する詳細な情報が通知される。また、「医用レポートの重要度に係るアラート」により、医用レポートの重要度に関する詳細な情報が通知される。「医用レポートに関する期限に係るアラート」により、作成れた医用レポートが閲覧されていない場合に、閲覧を促す通知をすることができる。これらのアラートにより、配信先の者が、医用レポートを適切な時期に閲覧することができる。
【0062】
配信部54は、医用レポートへのリンクを含むアラートを配信する。医用レポートへのリンクとは、医用レポートの所在を示す情報であり、例えば、URL(Uniform Resource Locator)の情報である。これにより、アラートが表示画面である場合、医用レポートのURLを実行することにより、この医用レポートにアクセスし、閲覧することができる。
【0063】
上記のように構成する診療支援装置13は、次のように動作する。まず、医療スタッフである放射線科グループG19の放射線専門医N1がクライアント端末11を用いて診療支援システム10にログインし、例えば内科グループG1の検査を依頼した医師(以下、依頼医という)A1から依頼された頭部のMRIの医用画像に対する医用レポートを作成する。医用レポートが完成すると、レポートサーバに保存される。新規な医用レポートがレポートサーバに保存された場合、診療支援装置13は、以下の工程を自動で行う。まず、医用レポート取得部により、レポートサーバに保存された医用レポートを複製して取得する。そして、重要度判定部52が、医用レポートを用いて重要度を判定する。具体的には、例えば、この医用レポートに、頭部のMRI画像と読影医の読影所見とが含まれており、テキスト解析により、「動脈瘤」、「左硬膜下血腫」及び「緊急」とのキーワードが抽出され、キーワードの位置等に緊急度を判定するために問題がないことが確認される。また、画像解析により、MRI画像に注目画像が検出され、動脈瘤の疑いがあるとの解析結果が得られる。これらを含むテキスト及び画像の解析により、緊急度である重要度は、レベル1の最高レベルと判定される。
【0064】
次に、配信先決定部53が、レベル1の最高レベルの重要度を用いて、この医用レポートにかかるアラートの配信先として、依頼医A1と、グループG1とを配信先として、アラートを配信する。アラートは、図6に示すように、依頼医A1が使用するクライアント端末11の画面61の一部に、通知一覧画面62が表示されることにより行われる。通知一覧画面62には、重要度が高いと判定され、依頼医A1に配信先が決定した医用レポート(以下、重要レポートという)が配信されたこと、重要レポートの対象者である患者の氏名、重要レポート発行の日付、モダリティの種類、重要レポートであること記載される。また、通知一覧画面62は、重要レポートのURL等のリンクを含むため、この通知一覧画面62の患者の氏名をクリックなどにより操作することにより、この重要レポートが画面61に表示される。例えば、依頼医A1がクライアント端末11を使用し、診療支援システム10にログインはしていたが、この重要レポートが対象とする患者とは関連がない画面を閲覧している場合であっても、クライアント端末11の画面の右下に、図6に示す通知一覧画面62が表示されることによりアラートが行われる。
【0065】
なお、クライアント端末11を使用しているときはいつでも、重要レポートが配信された場合に通知一覧画面62が表示される。したがって、例えば、外来対応中等、別の患者等に通知一覧画面62を見られる可能性がある場合には、図7に示すように、通知一覧画面63において、患者情報が表示されないように設定することができる。通知一覧画面63においても、患者の氏名等が表示されていない箇所をクリックしている間は、患者の氏名等を表示することができる。また、通知一覧画面62と同様に、重要レポートを表示することもできる。このように構成することにより、いつでも配信先にアラートを配信することができるため、医師が、医用レポートに対して迅速な対応を取ることができる。
【0066】
アラートは、図8に示すように、依頼医A1がクライアント端末11により診療支援システム10にログインした時点に、ログイン時通知一覧画面64が表示されることによっても行われる。ログイン時通知一覧画面64は、前回ログアウトしてから今回ログインするまでに通知された内容がまとめて表示される画面である。ログイン時通知一覧画面64では、重要レポートを受信したこと、既読した後に改訂された医用レポートがあること、7日間未読のままの医用レポートがあることが表示されている。患者情報部分をクリックすることにより、対象の重要レポートまたは医用レポートが表示されること、患者情報部分を隠した上で表示できることは、通知一覧画面62と同様である。
【0067】
なお、ログイン時通知一覧画面64において、通知された重要レポートまたは医用レポートを確認した後は、この重要レポートまたは医用レポートは既読であると記録される。したがって、例えば、既読した後に改訂されたレポートが通知されている通知個別画面66をクリックして、この医用レポートを確認した後に、再度ログインした場合は、図9に示すように、ログイン時通知一覧画面65において、既読した医用レポートの通知はされない。なお、既読した医用レポートを表示したい場合には、ログイン時通知一覧画面64または66にある、「既読ワークリスト」の表示画面部分をクリックすることにより、既読した医用レポートのリストが表示される。
【0068】
また、診療支援装置13において、重要レポートまたは医用レポートを確認して既読にする者を予め承認者として設定することができる。したがって、この場合は、承認者として設定されていない者が重要レポートまたは医用レポートを確認しても、この重要レポートまたは医用レポートは既読であると記録されない。これにより、例えば研修医等を承認者として設定しなかった場合は、研修医が重要レポートまたは医用レポートを確認しても、この重要レポートまたは医用レポートは既読であると記録されない。また、例えば、重要レポートについては、承認者が2名確認した場合に既読であると記録することができる。したがって、この場合は、重要レポートを1名の承認者が確認した場合は未読のままであり、その後もう1名の承認者が確認した時点で、既読であると記録される。このように、診療支援装置13は、承認者を設定して重要レポートまたは医用レポートを既読であると記録する既読処理を行うことができる。既読処理の内容は、医用レポートの重要度に応じて設定することができる。したがって、診療支援装置13は、重要度に応じた最適な配信先にアラートを配信することができる。
【0069】
アラートは、図10に示すように、依頼医A1がクライアント端末11を用いて診療支援システム10を使用している場合に、医用レポートが重要レポートであることを表示することによっても行われる。図10に示すように、未読リスト画面71において、依頼医Aに配信されたレポート及び医療データのうち、重要レポートであるものは、重要フラグが付される。また、重要レポートであって、未読であるものについては、上記通知において「緊急」に類するキーワードがある場合は、このキーワードが表示される。したがって、より重要度が高い医用レポートであることを一覧で認識することができるため、この重要レポートを特に優先して確認をすることができる。
【0070】
さらに、本実施形態では、重要度の判定及び/または配信先の決定に係るフィードバック情報の入力を受けて、重要度の判定仕様及び/または配信先の決定仕様を変更するフィードバック部を備えることができる。図11に示すように、フィードバック部81は、フィードバック情報の入力を受ける。
【0071】
フィードバック情報とは、医用レポートの配信先とされた者が、重要度の判定及び/または配信先の決定について、これらの妥当性を評価したコメントの情報をいう。例えば、配信先が適切ではなかった場合等に、「自動判定と自動配信とにつき医師コメントあり」と医用レポートに表示し、その内容として、「判断は妥当、依頼医Aへの配信は担当変更のため不適切、より適切には依頼医B」等のフィードバック情報の入力を行う。
【0072】
フィードバック部81は、フィードバック情報の入力を受けて、重要度の判定仕様及び/または配信先の決定仕様を変更する。上記したとおり、重要度の判定及び/または配信先の決定の履歴が、医用レポートに残されている。したがって、変更は、この履歴に上記コメントを追加することにより行われる。重要度判定部52は、コメントがある医用レポートは必ずテキスト解析及び/または画像解析の学習対象とする。これにより、判定及び/または決定の精度を、より一層高めていくことができる。
【0073】
フィードバック部81は、配信部が配信するアラートへの返信により、フィードバック情報の入力を受けることが好ましい。上記したように、アラートはURL等のリンク情報を含むため、例えば、URLからのメールの送信を利用してアラートへの返信とし、フィードバック情報の入力を受けるようにすることができる。これにより、ワンクリックでフィードバック情報の入力を受けることができるため、フィードバック情報を集めやすい。
【0074】
以上のように、診療支援装置13を構成することにより、重要度に応じた最適な配信先にアラートが配信される。したがって、それぞれの医用レポートの確認に最適な一者または複数の者にアラートが配信されるため、重要レポートが見逃されるのを防ぐことができる。また、配信の漏れ、配信の遅れ、または配信先が多すぎる等の問題を防ぐため、重要レポートが見逃されるのを防ぐことができる。例えば、医用レポートが作成されると、すぐに重要度及び配信先を自動的に判定するため、医用レポートが作成されてから、依頼医等の配信先に通知されるタイムラグが少なく、迅速な対応をすることができる。また、医用レポートが重要度により精査された上で通知されるため、医用レポートの閲覧の優先度が決められ、多数の医用レポートを確認する必要がなく、より重要な医用レポートを見落としなく閲覧することができる。また、重要度及び配信先を、個人の恣意的な判断によらず、自動的に判定するため、依頼医が、検査を依頼した時点で軽症であったとの認識を持っていたとしても、別の箇所に重篤な異常があったことが医用レポートで指摘された場合等、医用レポートを軽視して見逃すことがなく、より適切な対応をとることができる。また、重要度の判定及び配信先の決定に関して、フィードバックを行うことができるため、判定及び決定の精度を向上させることができる。
【0075】
上記の診療支援システム10は、医用レポートを取得する医用レポート取得部51と、医用レポートの重要度を判定する重要度判定部52と、重要度を用いて、医用レポートに係るアラートの配信先を決定する配信先決定部53と、配信先決定部が決定した配信先にアラートを配信する配信部54とを備える診療支援装置13を有する。
【0076】
また、上記の診療支援装置13の作動プログラム49は、CPU41を、またはCPU41及びメモリ42を、医用レポートを取得する医用レポート取得部51と、医用レポートの重要度を判定する重要度判定部52と、重要度を用いて、医用レポートに係るアラートの配信先を決定する配信先決定部53と、配信先決定部が決定した配信先にアラートを配信する配信部54として機能させるプログラムである。
【0077】
上記の診療支援装置13の作動方法は、医用レポート取得部51が、医用レポートを取得する医用レポート取得ステップと、重要度判定部52が、医用レポートの重要度を判定する重要度判定ステップと、配信先決定部53が、重要度を用いて、医用レポートに係るアラートの配信先を決定する配信先決定ステップと、配信部54が、配信先決定部が決定した配信先にアラートを配信する配信ステップと、を備える。
【0078】
上記の診療支援システム10の作動方法は、医用レポート取得部51が、医用レポートを取得する医用レポート取得ステップと、重要度判定部52が、医用レポートの重要度を判定する重要度判定ステップと、配信先決定部53が、重要度を用いて、医用レポートに係るアラートの配信先を決定する配信先決定ステップと、配信部54が、配信先決定部が決定した配信先にアラートを配信する配信ステップと、を備える。
【0079】
上記において、医用レポート取得部51、重要度判定部52、配信先決定部53、配信部54、フィードバック部81等といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウエア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA (Field Programmable Gate Array) などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、各種の処理を実行するために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0080】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合せ(例えば、複数のFPGAや、CPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウエアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0081】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた形態の電気回路(circuitry)である。
【符号の説明】
【0082】
10 診療支援システム
11 クライアント端末
12 検査装置
13 診療支援装置
14 サーバ群
15 ネットワーク
21 電子カルテサーバ
21A カルテデータベース
22 画像サーバ
22A 画像データベース
23 レポートサーバ
23A レポートデータベース
31 CPU
32 メモリ
33 ストレージ
34 通信部
35 接続回路
36 表示部
37 操作部
39 作動プログラム
41 CPU
42 メモリ
43 ストレージ
44 通信部
45 接続回路
49 作動プログラム
51 医用レポート取得部
52 重要度判定部
53 配信先決定部
54 配信部
61 画面
62 通知一覧画面
63 通知一覧画面
64 ログイン時通知一覧画面
65 ログイン時通知一覧画面
66 通知個別画面
71 未読リスト画面
81 フィードバック部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11