IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-基板搬送方法及び基板搬送モジュール 図1
  • 特許-基板搬送方法及び基板搬送モジュール 図2
  • 特許-基板搬送方法及び基板搬送モジュール 図3
  • 特許-基板搬送方法及び基板搬送モジュール 図4
  • 特許-基板搬送方法及び基板搬送モジュール 図5
  • 特許-基板搬送方法及び基板搬送モジュール 図6
  • 特許-基板搬送方法及び基板搬送モジュール 図7
  • 特許-基板搬送方法及び基板搬送モジュール 図8
  • 特許-基板搬送方法及び基板搬送モジュール 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】基板搬送方法及び基板搬送モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20221004BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20221004BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 F
B65G49/07 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018177798
(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2020053417
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002756
【氏名又は名称】弁理士法人弥生特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 貴史
(72)【発明者】
【氏名】岡野 真也
【審査官】齋藤 正貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-147583(JP,A)
【文献】特開2008-141098(JP,A)
【文献】特開2011-040637(JP,A)
【文献】特開2012-235058(JP,A)
【文献】特開2012-069590(JP,A)
【文献】特開2013-004927(JP,A)
【文献】特開2014-175608(JP,A)
【文献】特開2016-072384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/68
B65G 49/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を上下に段をなすように格納する搬送容器を、当該搬送容器の側方に開口した基板取り出し口が筐体の側壁に開口する基板搬送口に重なるように、当該筐体の外側に設けられる載置部に載置する載置工程と、
前記基板の下面を支持して昇降及び水平方向に移動する基板支持部を備える搬送機構により、前記載置部に載置された前記搬送容器と前記筐体内との間で前記基板を搬送する搬送工程と、
前記載置工程及び搬送工程を行う前に、前記載置部に載置される前記搬送容器内における各基板の基準高さを取得する基準高さ取得工程と、
前記基準高さ取得工程及び前記載置工程の後で前記搬送工程の前に行われ、前記載置部に載置された前記搬送容器内の各基板の高さをセンサ部により検出する高さ検出工程と、
続いて前記搬送容器内の一の基板についての前記高さ検出工程において検出された基板の高さと前記基準高さとの差分に対応する第1の差分値を取得する工程と、
然る後、予め設定された高さ間隔と前記第1の差分値とに基づき、前記一の基板の基準高さに対応する第1の進入高さと、当該第1の進入高さを第1の差分値に応じて補正した第2の進入高さと、のうちのいずれの高さで当該基板支持部を前記搬送容器内に進入させるかを決定する進入高さ決定工程と、
決定した進入高さで前記基板支持部を前記搬送容器内に進入させて前記一の基板を受け取る受け取り工程と、
を備え
前記進入高さ決定工程は、
前記予め設定された高さ間隔と前記第1の差分値との差分に対応する第2の差分値を取得し、当該第2の差分値に基づいて、前記第1の進入高さと、前記第2の進入高さと、のうちのいずれの高さで前記基板支持部を前記搬送容器内に進入させるかを決定する基板搬送方法。
【請求項2】
前記第1の差分値は前記高さ検出工程において検出された前記基板の高さと前記基準高さとの差分であり、
前記進入高さ決定工程は、
第1の差分値-予め設定された高さ間隔≦0であるときは前記第1の進入高さに、
第1の差分値-予め設定された高さ間隔>0であるときは前記第2の進入高さに、夫々
前記基板支持部の進入高さを決定する工程を含む請求項記載の基板搬送方法。
【請求項3】
前記搬送容器内の各基板について、前記第1の差分値を取得する工程、前記進入高さ決定工程、及び前記受け取り工程が行われる請求項1または2記載の基板搬送方法。
【請求項4】
側壁に基板搬送口が設けられた筐体と、
複数の基板を上下に段をなすように格納する搬送容器を、当該搬送容器の側方に開口した基板取り出し口が前記基板搬送口に重なるように前記筐体の外側に載置する載置部と、
前記基板の下面を支持して昇降及び水平方向に移動する基板支持部を備え、前記搬送容器と前記筐体内との間で前記基板を搬送する搬送機構と、
前記載置部に載置された前記搬送容器に格納される各基板を前記基板支持部が受け取るために当該各基板の高さを検出するセンサ部と、
前記載置部に載置された前記搬送容器に格納される前記各基板の基準高さが記憶される記憶部と、
前記載置部に載置された前記搬送容器内の一の基板についての前記センサ部により検出された基板の高さと前記基準高さとの差分に対応する第1の差分値を取得するステップと、然る後、予め設定された高さ間隔と前記第1の差分値とに基づき、前記一の基板の基準高さに対応する第1の進入高さと、当該第1の進入高さを第1の差分値に応じて補正した第2の進入高さと、のうちのいずれの高さで当該基板支持部を前記搬送容器内に進入させるかを決定する進入高さ決定ステップと、を実施し、決定した進入高さで前記基板支持部を前記搬送容器内に進入させて当該一の基板を受け取り、前記筐体内へと搬送するように制御信号を出力する制御部と、
を備え
前記進入高さ決定ステップは、
前記予め設定された高さ間隔と前記第1の差分値との差分に対応する第2の差分値を取得し、当該第2の差分値に基づいて、前記第1の進入高さと、前記第2の進入高さと、のうちのいずれの高さで前記基板支持部を前記搬送容器内に進入させるかを決定するステップを含む基板搬送モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板搬送方法及び基板搬送モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、基板である半導体ウエハ(以下、ウエハと記載する)が搬送容器に段をなすように複数格納され、工場内を搬送される。そして搬送先の処理装置では、搬送機構によって上記の搬送容器から1枚ずつ基板を取り出して処理を行う。特許文献1には、カセット(搬送容器)を挟んで対向して配置される投光素子と受光素子とを備える光センサと、光センサをカセットに対して垂直方向に移動させる垂直駆動手段と、を備える基板検出装置について記載されている。この基板検出装置では、光センサからの出力に基づいてカセット内におけるウエハの垂直方向の位置が検出され、その検出結果に基づいてアーム(搬送機構)がカセット内に進入してウエハを受け取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-148403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、搬送容器内における基板の姿勢の不具合によって当該搬送容器内から基板の搬出ができなくなることを抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の基板搬送方法は、複数の基板を上下に段をなすように格納する搬送容器を、当該搬送容器の側方に開口した基板取り出し口が筐体の側壁に開口する基板搬送口に重なるように、当該筐体の外側に設けられる載置部に載置する載置工程と、
前記基板の下面を支持して昇降及び水平方向に移動する基板支持部を備える搬送機構により、前記載置部に載置された前記搬送容器と前記筐体内との間で前記基板を搬送する搬送工程と、
前記載置工程及び搬送工程を行う前に、前記載置部に載置される前記搬送容器内における各基板の基準高さを取得する基準高さ取得工程と、
前記基準高さ取得工程及び前記載置工程の後で前記搬送工程の前に行われ、前記載置部に載置された前記搬送容器内の各基板の高さをセンサ部により検出する高さ検出工程と、
続いて前記搬送容器内の一の基板についての前記高さ検出工程において検出された基板の高さと前記基準高さとの差分に対応する第1の差分値を取得する工程と、
然る後、予め設定された高さ間隔と前記第1の差分値とに基づき、前記一の基板の基準高さに対応する第1の進入高さと、当該第1の進入高さを第1の差分値に応じて補正した第2の進入高さと、のうちのいずれの高さで当該基板支持部を前記搬送容器内に進入させるかを決定する進入高さ決定工程と、
決定した進入高さで前記基板支持部を前記搬送容器内に進入させて前記一の基板を受け取る受け取り工程と、
を備え
前記進入高さ決定工程は、
前記予め設定された高さ間隔と前記第1の差分値との差分に対応する第2の差分値を取得し、当該第2の差分値に基づいて、前記第1の進入高さと、前記第2の進入高さと、のうちのいずれの高さで前記基板支持部を前記搬送容器内に進入させるかを決定する
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、搬送容器内における基板の姿勢の不具合によって当該搬送容器内から基板の搬出ができなくなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態である真空処理装置の平面図である。
図2】前記真空処理装置に設けられるローダーモジュールの縦断側面図である。
図3】前記ローダーモジュールに設けられる基板支持部の平面図である。
図4】前記基板支持部とウエハとの間に設けられるクリアランスを説明するための説明図である。
図5】比較例における基板支持部の進入高さの決定方法を説明する説明図である。
図6】比較例における基板支持部の進入高さの決定方法を説明する説明図である。
図7】実施例における基板支持部の進入高さの決定方法を説明する説明図である。
図8】実施例における基板支持部の進入高さの決定方法を説明する説明図である。
図9】実施例の基板支持部の進入高さの決定方法を示すフロー図である
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の一実施の形態であるローダーモジュール3を含む真空処理装置1について、図1を参照しながら説明する。ローダーモジュール3は例えば横長に構成されたEFEM(Equipment Front End Module)であり、このローダーモジュール3内は、大気雰囲気且つ常圧雰囲気に形成されている。ローダーモジュール3は、複数のウエハWを格納する密閉容器である搬送容器Bから当該ウエハWを取り出して、真空処理装置1内に取り込む基板搬送モジュールとして構成される。
【0009】
ローダーモジュール3の側方には、ウエハWの向きや偏心の調整を行うアライメントモジュール11が設けられている。ローダーモジュール3の後方側の左右には、ロードロックモジュール12、13が設けられている。ロードロックモジュール12、13は、互いに同様に構成されている。ロードロックモジュール12、13は、ウエハWをローダーモジュール3と後述の真空搬送モジュール14との間で搬送するために、内部をN(窒素)ガス雰囲気の常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切り替え可能に構成される。なお、図中12A、13Aはロードロックモジュール12、13に夫々設けられるウエハWのステージである。また、ロードロックモジュール12、13と、ローダーモジュール3との間にはゲートバルブG1が各々介在する。
【0010】
ロードロックモジュール12、13の後方側には、内部が真空雰囲気とされる真空搬送モジュール14が設けられている。真空搬送モジュール14は、搬送アーム15を備えている。真空搬送モジュール14にはその周に沿って例えば4つの成膜モジュール2が接続されており、真空搬送モジュール14と成膜モジュール2との間にはゲートバルブG2が介在している。
【0011】
例えば成膜モジュール2は、真空容器と、真空容器内にてウエハを載置すると共に加熱するステージと、ガス供給部であるシャワーヘッドと、を備えている。シャワーヘッドからは、原料ガスとして、例えばTiCl(四塩化チタン)ガス、還元ガスとして、例えばNH(アンモニア)ガスが供給される。また、TiClガスが供給される期間と、NHガスが供給される期間との間の期間において、シャワーヘッドからはパージガスとしてNガスが供給される。つまり、この成膜モジュール2ではウエハWにALD(Atomic Layer Deposition)が行われて、TiN(窒化チタン)膜が形成される。
【0012】
搬送容器Bに格納されるウエハWは、ローダーモジュール3→アライメントモジュール11→ローダーモジュール3→ロードロックモジュール12(13)→真空搬送モジュール14→成膜モジュール2の順で搬送されて成膜処理される。成膜処理されたウエハWは、成膜モジュール2→真空搬送モジュール14→ロードロックモジュール12(13)→ローダーモジュール3→搬送容器Bの順に搬送される。ロードロックモジュール12、13と、真空搬送モジュール14と、成膜モジュール2との間におけるウエハWの搬送は、上記の搬送アーム15により行われる。搬送容器Bと、アライメントモジュール11と、ローダーモジュール3と、ロードロックモジュール12、13との間におけるウエハWの搬送は、ローダーモジュール3に設けられる後述の搬送機構4により行われる。
【0013】
続いて図2の縦断側面図も参照しながら、ローダーモジュール3について詳しく説明する。このローダーモジュール3は角型の筐体31を備えており、当該筐体31は平面視左右に横長の矩形状に構成される。筐体31の後方側の側壁の左右に間隔を空けて、上記のゲートバルブG1によって開閉される搬送口32が開口している。筐体31内には、搬送機構4が設けられている。搬送機構4は、左右に移動自在且つ昇降自在な台41と、台41上に設けられる多関節アーム42とにより構成され、多関節アーム42は、水平な第1アーム43、水平な第2アーム44及び基板支持部45により構成されている。第1アーム43の基端部が台41上に垂直軸回りに回動自在に設けられ、第2アーム44の基端部が第1アーム43の先端部上に垂直軸回りに回動自在に設けられている。基板支持部45は水平に伸びる板状に形成され、基板支持部45の基端部は第2アーム44の先端部上に垂直軸回りに回動自在に設けられている。
【0014】
基板支持部45の先端側(前方側)は左右に2又に分かれて前方へ伸び出し、2つの前部46を形成している。一方の前部46の先端、他方の前部46には投光部47A、受光部47Bが夫々設けられている。投光部47A、受光部47Bは互いに対をなし、センサ部47を構成する。センサ部47は後述する搬送容器B内のウエハWの高さ検出(マッピング)を行うために設けられる。また、受光部47Bは、受光した光に応じた検出信号を後述の制御部6に送信する。
【0015】
また、基板支持部45の前部46の先端部は上方へ突出し、側面視L字型をなす当接部48を形成する。この当接部48について、高さが大きい前方側を前方部位48A、高さが低い後方側を後方部位48Bとする。基板支持部45に下方から掬い上げられることでウエハWは、その下面の周縁部が、後方部位48Bと基板支持部45の基端側とに支持されて水平に保たれて搬送される。基板支持部45の基端側には、駆動機構40と、当該駆動機構40により前後に移動自在なローラー49が設けられている。基板支持部45に支持されたウエハWは、ローラー49により当接部48の前方部位48Aへ押圧されて保持される。
【0016】
上記の筐体31の前方側の側壁、つまり上記の搬送口32が設けられる側壁に対向する側壁には、搬送口51が3つ、横方向に間隔を空けて設けられている(図1参照)。そして搬送口51毎に、搬送容器Bから筐体31内にウエハWを搬入出すると共に当該搬送口51を開閉するロードポート5が設けられている。この搬送容器Bは、例えばFOUP(Front Open Unified Pod)であり、容器本体B1と、容器本体B1に対して着脱自在な蓋体B2とにより構成されている。蓋体B2は、容器本体B1に対して着脱されることで容器本体B1の前方側面に形成された基板取り出し口B3を開閉する。また、蓋体B2は図示しないロック機構を備え、当該ロック機構により容器本体B1に固定される。
【0017】
図3は、容器本体B1の横断平面図である。この図3に示すように、容器本体B1の左右の各々の側壁には前後に沿った溝B5が設けられる。この溝B5は上下に多段に形成されている。ウエハWの周縁部は各溝B5内に差し込まれて支持され、容器本体B1内には25枚のウエハWが上下に段をなして格納される。このように容器本体B1内において各溝B5が位置する高さはウエハWが格納されるスペースであり、この格納スペースをスロットと記載する。スロットは例えば25個、等間隔を空けて設けられている。各スロットについて下方のスロットから順番に1~25の番号を付して説明する場合が有る。一のスロットからウエハWを受け取るにあたり、基板支持部45は容器本体B1の外側で当該ウエハWの下方に位置した状態で、容器本体B1内へ向けて水平に前進して進入後、上昇してウエハWを掬い上げて受け取る。この容器本体B1への進入時において当該基板支持部45の上側ウエハW及び下側のウエハWと干渉しないように、後述するように基板支持部45の高さが制御される。なお、このように基板支持部45は水平方向に移動して容器本体B1内に進入するが、この水平方向に移動するとは装置の設計上、水平方向に移動するということである。つまり、例えば装置の製造誤差や調整誤差により水平方向に対して若干傾いた横方向に移動する場合も設計上水平方向に移動するのであれば、水平方向に移動することに含まれる。
【0018】
図2に戻って説明を続ける。上記のロードポート5は、支持台52、移動ステージ53、開閉ドア54及び移動機構55により構成される。搬送口51の筐体31外へ向かう開口方向を手前側とすると、支持台52は、筐体31の外側において搬送口51の下方位置から手前側に突出する。移動ステージ53は、搬送容器Bを載置した状態で支持台52上を前後に移動する搬送容器用の載置台である。この移動ステージ53の移動によって、図2に示すように容器本体B1の基板取り出し口B3の口縁部B4が、筐体31の外側から搬送口51の口縁部56に密着すると共に搬送口51と基板取り出し口B3とが互いに重なり合い、容器本体B1に対してウエハWの受け渡しが行えるようになる。なお、このように口縁部B4が口縁部56に密着するときの容器本体B1の位置を受け渡し位置とする。
【0019】
開閉ドア54は、筐体31の内側から搬送口51を閉じる、図2に実線で示す閉鎖位置に位置することができる。また、開閉ドア54は図示しないロック解除機構を備え、上記のように容器本体B1が受け渡し位置に位置し、且つ当該開閉ドア54が閉鎖位置に位置する状態で、蓋体B2のロック機構に作用し、容器本体B1と蓋体B2との間にロックが形成された状態と、ロックが解除された状態とを切り替えることができる。そのように容器本体B1とのロックが解除された蓋体B2は、当該開閉ドア54に支持される。移動機構55は、蓋体B2を支持する開閉ドア54を、閉鎖位置と、当該閉鎖位置の後方且つ下方の開放位置に移動させることができる。開放位置は、搬送容器Bとロードロックモジュール12、13との間でウエハWを搬送するときのウエハWの搬送路上から開閉ドア54が退避した位置であり、図2では鎖線で当該開放位置における開閉ドア54を示している。
【0020】
また、図1に示すように真空処理装置1はコンピュータからなる制御部6を備えている。制御部6は、真空処理装置1の各部に制御信号を送信してその動作を制御する。制御部6については後に詳しく説明する。
【0021】
続いて、真空処理装置1の運用前に行われるティーチングと呼ばれる作業について説明する。このティーチングは、semi規格に適合するように構成された搬送容器Bにおける各スロットのウエハWの高さと、各ウエハWを受け取るために基板支持部45が搬送容器Bに対して前進する高さ(進入高さとする)と、を制御部6に記憶させる作業である。具体的には例えばそのようにsemi規格に適合したティーチング用の搬送容器Bに格納されるウエハWついて、例えば後述するマッピングを行うことで、各ウエハWの高さを取得し、さらにこのウエハWの高さに基づいて基板支持部45の進入高さを決定する。ロードポート5毎に製造誤差が存在するため、各ロードポート5について、このティーチングが行われる。
【0022】
上記のマッピングについて説明する。このマッピングは受け渡し位置で蓋体B2が取り外された容器本体B1内に基板支持部45の先端部が進入し、基板取り出し口B3付近のウエハWの前端部を平面で見て挟むように、投光部47Aと受光部47Bとが位置する。そしてスロット1、25に対応する各高さで、投光部47Aから受光部47Bへの光照射が行われると共に基板支持部45が昇降する。なお図3の鎖線の矢印は、この光照射により形成される光軸を示している。制御部6は、ウエハWの前端部による光の遮蔽によって変化する受光部47Bからの出力信号に基づき、スロット1及びスロット25の各ウエハWの高さを検出する。さらに制御部6は、スロット2~スロット24のウエハWの高さについて、スロット1のウエハWの高さとスロット25のウエハWの高さとの差分を、スロット1とスロット25との間のスロットの数に対応する値を用いて等分割することで算出する。
【0023】
ところでロードポート5に搬送される搬送容器Bは様々であり、劣化や製造の不具合など各種の理由によって、semi規格に適合していない搬送容器Bが搬送される場合がある。また、搬送容器B内におけるウエハWの格納状態も様々であり、semi規格に適合しないように高さがずれたり、傾いたりして格納された状態となっている場合も有る。そこで装置の運用中(半導体製品の製造中)にロードポート5に搬送容器Bが搬送されると、上記のマッピングが行われ、各スロットのウエハWの高さが検出される。そして制御部6は、このように取得されたウエハWの高さとティーチング時に取得されたウエハWの高さとに基づいて各ウエハWの受け取り可否の判断を行い、ウエハWを受け取る場合にはティーチングにより予め取得されている基板支持部45の進入高さを補正し、実際の進入高さを決定する。上記のように装置の運用中にマッピングによって取得されるウエハWの高さについて、検出高さP1とする。そして、上記のティーチングにおいて取得されるウエハWの高さについて、基準高さP0とする。
【0024】
上記のように基板支持部45は搬送容器Bへの進入時に、上側のウエハW及び下側のウエハWに接触しないことが求められる。そのために検出高さが取得されたウエハWに対して下方に離れるように基板支持部45の進入高さが決定される。ウエハWと基板支持部45の進入高さとの関係について説明するが、その前に図4を用いて基板支持部45についてさらに説明しておく。この図4は、搬送容器B内へ進入する基板支持部45の先端部の側面及び搬送容器Bに格納されるウエハWの側面を示した模式図である。基板支持部45については水平になるように構成されるが、実際には水平に対しての誤差が存在し得る。また、基板支持部45の搬送容器Bへの進入経路についても水平に構成されるが、実際には水平に対しての誤差が存在し得る。その他に、搬送容器Bへの進入時に基板支持部45には上下の振幅が発生する場合が有り、この上下の振幅が大きいと基板支持部45がウエハWに接触してしまうリスクが高くなる。さらに、搬送容器Bが載置されるロードポート5の移動ステージ53についても水平に構成されるが、実際には水平に対しての誤差が存在し得る。
【0025】
これらの要因を考慮し、基板支持部45については実際の上端よりもさらに上方のb1離れた高さに上端が位置し、実際の下端よりもさらに下方b2離れた高さに下端が位置するものとみなす。つまり基板支持部45の実際の厚さがaであるとしても、運用上はこの厚さaに高さb1及び高さb2が加算されるものとして取り扱う。即ちウエハW間に、側面で見て厚さ(高さ)がa+b1+b2であるように矩形で表される基板支持部45が進入するものとみなし、この矩形体について仮想の支持部45Aとする。なお、この図4及び後述の各図において、検出高さP1をウエハWの上下幅の中心の位置として示している。
【0026】
上記のように基板支持部45の上下の高さについて実際の高さよりも大きいものとして当該基板支持部45の進入高さが決められるが、説明の便宜上、実施例の基板支持部45の進入高さの決定方法を説明する前に、比較例における基板支持部45の進入高さの決定方法について説明する。この比較例の進入高さの決定方法を説明するために、当該比較例において、受け取り対象となるウエハWの下方に設けられるクリアランスについて説明する。
【0027】
上記のようにマッピングでは容器本体B1の前方側(基板取り出し口B3側)におけるウエハWの高さを検出しており、後方側におけるウエハWの高さは検出されない。しかし、上記のように搬送容器B内にウエハWは傾いて格納されている場合が有る。そこで基板支持部45の受け取り対象のウエハWが、semi規格の適合範囲内で最も後方側が下るように傾いていても、仮想の支持部45AとウエハWの後端とが接触しないように、マッピングによって取得されるウエハWの前端部の下面の位置と仮想の支持部45Aとの間にクリアランスが設定される。
【0028】
図4では、そのように基板支持部45の受け取り対象のウエハW(基板支持部45が受け取ろうとするウエハW)がsemi規格に適合する範囲内で最も後方側が下るように傾いている例を示しており、このような傾きとなっているウエハWをワーストケースのウエハWとする。また、多数のドットを付すと共に枠で囲って表示した矩形領域は、上記の受け取り対象であるウエハWの下面の存在がsemi規格において許容されている許容領域である。従って、より詳しく述べるとワーストケースのウエハWとは、ウエハWの下面における前端が許容領域L1の上端に、後端が許容領域L1の下端に夫々位置するときと同じ傾きを持つウエハWである。図4では、上記のウエハWの前端部の下面の位置と仮想の支持部45Aとの間のクリアランスの高さをcとして示している。仮想の支持部45Aの容器本体B1内への進入時に下方側のウエハWへの接触を避けるために、クリアランスの高さcについては必要最小限の大きさに設定されており、従って予め設定される高さ間隔であるこの高さcは上記の許容領域L1の高さと同じ大きさである。このように高さcが設定されているので、図4に示す下面が許容領域L1に収まるワーストケースのウエハWを受け取るにあたり、許容領域L1の下面の高さと、当該ウエハWの後端の高さと、仮想の支持部45Aの上端の高さとが互いに揃うことになる。ティーチングにおいては以上に説明したウエハWの受け取りが行えるように、基板支持部45の進入高さ位置が設定される。
【0029】
比較例では、ウエハWの基準高さP0及び検出高さP1によらず、ウエハWの前端部の下面と仮想の支持部45Aとの間に上記のクリアランスの高さcが確保されるように基板支持部45の進入高さが決められる。図4と同様に当該進入高さが決定されて搬送容器B内へ進入する基板支持部45を模式的に示した図5図6を参照して、この比較例における進入高さの決定方法を具体的に説明する。なお、この図5図6及び以降の各図では受け取り対象のウエハWが格納される一のスロットにおいて、ティーチング時に格納されていたウエハWをW0として示している。そして、このウエハW0から取得される基準高さP0については、検出高さP1と同様に、ウエハWの上下幅の中心位置を指すように示している。
【0030】
図5に示す例では、ウエハW0が図4で説明したようにワーストケースでその下面が許容領域L1に収まるように格納されていたものとする。従って、当該一のスロットにおけるウエハWの基準高さP0は、図4中の検出高さP1に等しいので、この図5で説明する例でティーチング時において設定された基板支持部45の進入高さは、図4で示した基板支持部45の進入高さと同じである。そして、図5では受け取り対象である一のスロットのウエハWの検出高さP1が、基準高さP0よりも高さd1下方の位置に検出された例を示す。つまり、ウエハWの前端部の下面についても図4で説明した位置よりもd1下方に位置する。検出高さP1がそのような高さとなったウエハWについてワーストケースとなるように格納されていることが考えられるため、当該ウエハWの下面に対して、上記のクリアランスの高さc+基板支持部45の上側の高さb1離れるように、ティーチング時に設定された基板支持部45の進入高さが補正される。さらに詳しく述べると、既述したように図5の基準高さP0は図4の検出高さP1に等しいことから、この図5に示す例の基板支持部45の進入高さは、図4に示した基板支持部45の進入高さよりもd1下方にずらされ、仮想の支持部45Aの上端は許容領域L1の下面からd1離れることになる。なお、上記のように受け取り対象のウエハWはワーストケースとなることが考えられるが、実際にはウエハWを受け取るにあたりその傾き及び許容領域L1との位置関係は不明である。図5では受け取り対象のウエハWの実際の格納状態が水平であり、許容領域L1の下面と当該受け取り対象のウエハWの下面とが一致しており、クリアランスの高さc=高さd1となっているものとして示している。
【0031】
また、図6では一のスロットのウエハWの検出高さP1が、基準高さP0よりも高さd2下方の位置である例を示している。つまり、ウエハWの前端部の下面についても図4で説明した位置よりも高さd2下方に位置している。なお、この図6の例においてはティーチング時のウエハW0は図5で説明した状態と同じ状態で格納されていたものとし、従ってこの図6の例における基準高さP0については、図5の例と同じく、図4の検出高さP1の高さに等しいものとする。
【0032】
この図6に示す例でも、図5で説明したように当該ウエハWがワーストケースとなるように格納されているものとして、基板支持部45の上方には高さb1+cが確保されるように当該基板支持部45の進入高さが決定される。従って、図6の例では基板支持部45の進入高さは、ティーチング時に設定された進入高さよりも高さd2下方にずれ、それにより仮想の支持部45Aの上端も許容領域L1の下面からd2離れるように補正される。なお、図の煩雑化を避けるために、この図6及び後述の図8では図4などと異なり、許容領域L1を表す枠を表示しておらずドットのみを付して表示している。
【0033】
ところで、例えば真空処理装置1に搬送される前の前工程で搬送容器BにウエハWを戻す際に容器本体B1の後方側の内壁にウエハWが接触し、ウエハWの前方側が奥側に比べて下がってしまう前垂れの姿勢となり、その下面の位置がsemi規格で定められる許容領域L1から外れる場合が有る。図6では、受け取り対象のウエハWがそのように前垂れして許容領域L1から外れた例を示しており、従って上記の高さd2は比較的大きい。この比較例のように基板支持部45の進入高さを決定する場合、図6の例よりもさらに前垂れの程度が大きいとすると、基板支持部45と下方のウエハWの表面との接触を防ぐために高さb2を確保する必要が有るので、ウエハWの受け取りを中止する必要が有る。
【0034】
例えば上記の基板支持部45の上下の振幅が大きいと、仮想の支持部45Aの高さb1、b2についても比較的大きく設定する必要が有る。その一方でウエハWの前垂れが大きく、semi規格を越えるような場合でもウエハWと接触しないように、基板支持部45の進入高さを決定することが求められている。実施例の基板支持部45の進入高さの決定方法は、それらの要請に対応できるものである。この実施例の基板支持部45の進入高さの決定方法について、図7図8を用いて比較例の進入高さの決定方法との差異点を中心に説明する。図7図8では受け取り対象のウエハWの高さ及び傾きが、図5図6の受け取り対象のウエハWの高さ及び傾きと同じとなっているものとして示している。また、ティーチング時のウエハW0の高さ及び傾きについても図5図6のウエハW0の高さ及び傾きと同じとなっているものとして示しており、従って図7図8の基準高さP0は、図5図6の基準高さP0と同じである。
【0035】
この実施例の進入高さの決定方法においては、基準高さP0と検出高さP1との差分値(第1の差分値とする)を算出する。なお、この第1の差分値について基準高さP0より検出高さP1が下方に位置するときを+とする。そして、この第1の差分値を上記のクリアランスの高さc(>0)と比較する。より具体的には例えば第2の差分値=第1の差分値-クリアランスの高さcを算出し、当該第2の差分値>0であるか否かを判定する。
【0036】
図7では上記の高さd1が第1の差分値である。図5で説明したようにここではd1=cであるため、この図7の例では第2の差分値=(第1の差分値-クリアランスの高さc)≦0である。第2の差分値がこのように0以下の場合は、基板支持部45の進入高さの補正が行われず、図4で説明したようにティーチング時に設定された高さ、即ち基準高さP0に対応する高さで基板支持部45が前進するように決定される。上記のようにこの図7の例ではウエハW0はワーストケースで、その下面が許容領域L1に収まるように格納されていたことから、このように基板支持部45の進入高さが決定されたことで、許容領域L1の下面と仮想の支持部45Aの上端とが揃うことになる。
【0037】
図8では上記の高さd2が第1の差分値であり、ここではd2>cであるものとする。従って、第2の差分値=(第1の差分値-クリアランスの高さc)>0である。第2の差分値がこのような場合は基板支持部45の進入高さの補正が行われるが、比較例の補正とは異なり、第1の差分値d2が高さcを越えた分のみ補正する。つまり第2の差分値=d2-cだけ、予め設定された進入高さから下方にずれるように進入高さを補正する。上記のようにこの図8の例ではウエハW0はワーストケースで、その下面が許容領域L1に収まるように格納されていたことから、このように基板支持部45の進入高さが決定されたことで、許容領域L1の下面からd2-c下方に離れるように仮想の支持部45Aの上端が位置することになる。
【0038】
つまり、この実施例でも比較例と同様に受け取り対象のウエハWがワーストケースであることを想定してクリアランスの高さcが設定されている。そのために受け取り対象のウエハWがティーチング時のウエハWに比べて前方側が下方に下がるように傾き、それにより基準高さP0よりも低く検出高さP1が位置していても、これら高さP1、P0の差分値が高さcを越えない範囲であれば仮想の支持部45AとウエハWとは接触しない。従ってそのように差分値が高さcを越えない場合は、図7に示した例のようにティーチング時に設定された基板支持部45の進入高さを補正せずに前進させる。そして、高さP1、P0の差分値が高さcを越えているときは、図8に示した例のように越えている分だけ進入高さを補正することで、進入高さの下方への補正量を最小限にしている。
【0039】
このような実施例の進入高さの決定方法では、比較例の進入高さの決定方法に比べて、基準高さP0に対して検出高さP1が低くなったときに下方側への基板支持部45の進入高さの補正量が増加することを抑制することができる。基板支持部45の進入高さを補正する結果、仮想の基板支持部45Aが受け取り対象の下方のウエハWに接触してしまうことになる場合には、受け取りを中止しなければならない。しかし、上記のように進入高さの補正量を抑えることができるため、基準高さP0と検出高さP1との差がより大きい場合にもウエハWを受け取ることができる。つまり、より大きく前垂れしたウエハWを受け取ることができる。従って、ウエハWの姿勢の不具合によって当該ウエハWの受け取りが中止となることを抑制することができるので、真空処理装置1の生産性を高めることができる。また、そのように基準高さP0と検出高さP1との差を大きくすることができるということは、運用時の基板支持部45の上下の振幅の大きさや基板支持部45の水平度を調整するにあたり、その水平度の許容範囲を大きくすることができるということでもある。従って、装置の調整の手間の軽減を図ることができる。
【0040】
図1に示す制御部6について補足して説明しておく。制御部6は、既述した各モジュール間でのウエハWの搬送、成膜モジュール2でのウエハWの処理、及び実施例の進入高さの決定方法、を実施できるように命令(各ステップ)が組み込まれたプログラム61を備えている。このプログラム61により真空処理装置1の各部に制御信号が出力されて、各部の動作が制御される。このプログラム61は、例えば、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)、DVDなどの記憶媒体に格納された状態で制御部6にインストールされる。また、制御部6は記憶部62を備えている。この記憶部62には既述の実施例の基板支持部45の高さの決定方法を実施できるように、各種のデータが記憶される。具体的にはティーチングによって取得される各スロットのウエハWの基準高さP0、各基準高さP0に対応する基板支持部45の進入高さ、クリアランスの高さcについて記憶される。また、装置の運用時(製品ウエハWの処理時)に各ウエハWの検出高さP1が取得されると、この記憶部62に記憶される。
【0041】
続いて、実施例の基板支持部45の進入高さの決定方法についてまとめたフローチャートである図9を参照しながら、当該高さ決定方法について順を追って説明する。先ず、既述したティーチングを行い、各スロットのウエハWの基準高さP0及び基準高さP0に対応する基板支持部45の進入高さが取得される(ステップS1)。続いて、真空処理装置1の運用が開始され、ロードポート5にウエハWが格納された搬送容器Bが載置される(ステップS2)。搬送容器Bの蓋体B2が外されてマッピングが行われ、各スロットのウエハWの検出高さP1が取得される(ステップS3)。そして、一のスロットのウエハWについて基準高さP0と検出高さP1との差分値である第1の差分値が算出される(ステップS4)。続いて、第2の差分値として第1の差分値-クリアランスの高さcが算出され(ステップS5)、第2の差分値>0であるか否かが判定される(ステップS6)。このステップS6は、制御部6に記憶される進入高さ(第1の進入高さ)で基板支持部45を進入させるか、この第1の進入高さに対して補正された進入高さ(第2の進入高さ)で基板支持部45を進入させるかを決定する進入高さの決定工程に相当する。
【0042】
第2の差分値>0ではない、即ち第2の差分値≦0であると判定された場合は、基板支持部45の進入高さは補正されず、ステップS1で設定された進入高さで基板支持部45が前進して搬送容器B内に進入し、ウエハWの受け取りが行われる(ステップS7)。上記の図7は、このステップS7の基板支持部45の動作を説明したものである。第2の差分値>0であると判定された場合は、この第2の差分値の分基板支持部45の進入高さが下方にずれるように補正され、補正された高さで基板支持部45を前進させて搬送容器B内に基板支持部45が進入し、ウエハWの受け取りが行われる(ステップS8)。上記の図8は、このステップS8の基板支持部45の動作を説明したものである。ステップS7、ステップS8で受け取られたウエハWは、既述したようにローダーモジュール2の筐体31内へ搬送された後、既述の経路で真空処理装置1内を搬送されて、搬送容器Bに戻される。
【0043】
なお、搬送容器Bの一のスロットのウエハWを取り出すことについて説明してきたが、搬送容器B内の各スロットのウエハWについて、上記の第1の差分値及び第2の差分値が算出されて各ウエハWを取り出すための基板支持部45の進入高さが決定される。つまり、上記のステップS1~S8は搬送容器B内の各ウエハWについて実行される。ただし、1枚のウエハWのみをこのステップS1~S8のフローに沿って取り出してもよい。
【0044】
ところで上記の例では基板支持部45はローラー49及び駆動機構40からなるウエハWの押圧機構を備えるが、基板支持部45はこのような押圧機構を備えていなくてもよい。ただしこのような押圧機構を備える場合、押圧機構の重量の影響により基板支持部45に比較的大きな振幅が発生するおそれが有るため、図4で説明した高さb1及び高さb2が比較的大きくなるので、本開示の技術が特に有効である。また、マッピングを行うセンサ部47については、基板支持部45とは独立して昇降機構により搬送口51付近を昇降するように設けてもよい。また、真空処理装置1は成膜モジュール2を備えるものとしているが、エッチングやアニールなどの成膜以外の処理を行うモジュールを備えていてよい。また、ローダーモジュール3は真空雰囲気で基板に処理を行う装置に組み込まれることに限られず、レジストの塗布や現像液の供給など、大気雰囲気で基板に処理を行う基板処理装置に組み込まれていてもよい。
【0045】
また上記の例では、予め制御部6に基準高さP0に基づいた基板支持部45の進入高さが記憶されており、この進入高さを補正するが、制御部6には基準高さP0のみ格納しておいてもよい。つまり、検出高さP1が取得され、既述のように算出される第2の差分値≦0であれば基準高さP0に所定の値A1が加算され、P0よりもA1だけ下方になるように基板支持部45の進入高さが決定される。そして第2の差分値>0であれば基準高さP0に所定の値A1を加算し、さらに第2の差分値A2を加算し、P0よりもA1+A2だけ下方になるように基板支持部45の進入高さを決定する。つまり、予め制御部6に記憶されている基板支持部45の高さを補正することには限られない。さらに、上記の例ではマッピング時において、スロット2~24のウエハWの高さについては、スロット1、25の各ウエハWの高さから算出しているが、センサ部46を昇降させてこれらスロット2~24のウエハWの高さを直接検出してもよい。
【0046】
また、第1の差分値について基準高さP0と検出高さP1との差分値としたが、この高さP0、P1の差分値に例えば所定の補正値を加算するなどして補正したものを第1の差分値としてもよい。つまり、第1の差分値は、基準高さP0と検出高さP1との差分に対応する値であればよい。同様に第2の差分値についても第1の差分値とクリアランスの高さcとの差分値としたが、この差分値に例えば所定の補正値を加算するなどして補正したものを第2の差分値としてもよい。つまり、第2の差分値は第1の差分値とクリアランスの高さcとの差分に対応する値であればよい。なお、差分に対応する値とは、差分そのものも含む意味である。
【0047】
また、図4などで示したクリアランスの高さcは、上記の例ではウエハWがワーストケースとなることを想定して例えば1mmに設定されている。ただし、この高さcについて、ウエハWがワーストケースとならないことを想定して1mmより小さく設定されていてもよいし、ワーストケースよりもさらにウエハWの後端が低くなるように傾くことを想定して1mmより大きく設定されていてもよい。高さcが大きすぎると、基板支持部45が下方のウエハWに接触しやすくなることを考え、当該高さcは例えば0.5mm~1.5mmに設定される。また、図4などで示す基板支持部45の上下の高さaは3mm~6mm、基板支持部45の上側に設定する高さb1は1mm~3mm、基板支持部45の下側に設定する高さb2は1mm~3mmである。
【0048】
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0049】
c クリアランスの高さ
B 搬送容器
B3 基板取り出し口
P0 基準高さ
P1 検出高さ
W ウエハ
3 ローダーモジュール
31 筐体
4 搬送機構
45 基板支持部
46 センサ部
51 搬送口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9