(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/075 20060101AFI20221004BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20221004BHJP
G03F 7/038 20060101ALI20221004BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20221004BHJP
C08G 59/20 20060101ALI20221004BHJP
C08G 59/68 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G03F7/075 511
G03F7/004 505
G03F7/004 501
G03F7/004 502
G03F7/038 601
G03F7/20 521
C08G59/20
C08G59/68
(21)【出願番号】P 2019128025
(22)【出願日】2019-07-10
【審査請求日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2018134158
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 仁
(72)【発明者】
【氏名】大和田 保
【審査官】中山 千尋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/008969(WO,A1)
【文献】再公表特許第2009/090867(JP,A1)
【文献】特開2018-002848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)酸架橋性基含有シリコーン樹脂、
(B)光酸発生剤、及び
(C)白色顔料
を含む感光性樹脂組成物
であって、
前記酸架橋性基が、エポキシ基、オキセタン基及びビニルエーテル基から選ばれる基であり、(A)成分が、下記式(A1)~(A6)で表される繰り返し単位を含むシリコーン樹脂を含むものである感光性樹脂組成物。
【化1】
[式中、R
1
~R
4
は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基である。mは、それぞれ独立に、1~600の整数である。mが2以上の整数のとき、各R
3
は、互いに同一であっても異なっていてもよく、各R
4
は、互いに同一であっても異なっていてもよい。a、b、c、d、e及びfは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1、0≦d≦1、0≦e≦1、0≦f≦1、0<c+d+e+f≦1、及びa+b+c+d+e+f=1を満たす数である。X
1
は、下記式(X1)で表される2価の基である。X
2
は、下記式(X2)で表される2価の基である。X
3
は、下記式(X3)で表される2価の基である。
【化2】
(式中、R
11
~R
14
は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基である。pは、1~600の整数である。pが2以上の整数のとき、各R
13
は互いに同一であっても異なっていてもよく、各R
14
は互いに同一であっても異なっていてもよい。R
15
及びR
16
は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。xは、それぞれ独立に、0~7の整数である。)
【化3】
(式中、Y
1
は、単結合、メチレン基、プロパン-2,2-ジイル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル基又はフルオレン-9,9-ジイル基である。R
21
及びR
22
は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基又はアルコキシ基であり、gが2のとき、各R
21
は互いに同一でも異なっていてもよく、hが2のとき、各R
22
は、互いに同一でも異なっていてもよい。R
23
及びR
24
は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。yは、それぞれ独立に、0~7の整数である。g及びhは、それぞれ独立に、0、1又は2である。)
【化4】
(式中、R
31
及びR
32
は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。zは、それぞれ独立に、0~7の整数である。R
33
は、エステル結合又はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1~8の2価炭化水素基である。)]
【請求項2】
0<e+f≦1である請求項
1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
(C)白色顔料の平均粒径が、1μm以下である請求項1
又は2記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
(C)白色顔料が、表面がAl、Si又はZrの含水酸化物、ポリオール、及び有機ケイ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種で処理された二酸化チタンである請求項1~3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
(C)白色顔料を3~60質量%含む請求項1~
4のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
更に、(D)架橋剤を含む請求項1~
5のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
更に、(E)酸化防止剤を含む請求項1~
6のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
更に、(F)溶剤を含む請求項1~
7のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
(i)請求項1~
8のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、前記基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を、現像液を用いて現像する工程
を含むパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物及びパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光性を有する半導体素子保護膜や多層プリント基板用絶縁膜としては、感光性ポリイミド組成物、感光性エポキシ樹脂組成物、感光性シリコーン組成物等が利用されてきた。基板、回路保護用に適用される感光性材料として、可撓性に優れる感光性シリコーン組成物が提案されている(特許文献1)。この感光性シリコーン組成物は、低温で硬化可能であり、かつ耐湿接着性等の信頼性に優れた皮膜を形成するが、N-メチル-2-ピロリドンのような溶解力の強いフォトレジスト剥離液等への薬品耐性に劣るという問題があった。
【0003】
それに対し、シルフェニレン骨格含有シリコーン型高分子化合物を主成分とした感光性シリコーン組成物が提案されている(特許文献2)。前記感光性シリコーン組成物は、フォトレジスト剥離液等への薬品耐性が向上するが、ヒートサイクル試験(-25℃で10分間保持、125℃で10分間保持を1,000サイクル繰り返す)時に基板から硬化物が剥離したり、硬化物にクラックが入る等の問題があり、信頼性の更なる向上が望まれていた。
【0004】
また、近年では各種光学デバイスも微細加工が必要なものが多く、そのような微細加工を行う場合、リフレクター用として白色顔料を配合した熱硬化性のアクリル樹脂等からなる各種レジスト材料が用いられてきたが、該レジスト材料では、解像性が悪く、フィルムとしての可撓性及び密着性が得られないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-88158号公報
【文献】特開2008-184571号公報
【文献】特開2002-283498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、十分な反射率を有したまま、良好な信頼性(密着性、耐クラック性)、解像性、可撓性、耐光性を有する白色の感光性樹脂組成物、及び該感光性樹脂組成物を用いるパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、特定の酸架橋性基含有シリコーン樹脂、光酸発生剤、及び白色顔料を含む感光性樹脂組成物が、容易に皮膜を形成でき、該皮膜は、耐光性に優れ、更に微細加工にも優れた性能を有し、十分な反射率を有したまま、良好な信頼性(密着性、耐クラック性)、解像性、可撓性を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
したがって、本発明は、下記感光性樹脂組成物及びパターン形成方法を提供する。
1.(A)酸架橋性基含有シリコーン樹脂、
(B)光酸発生剤、及び
(C)白色顔料
を含む感光性樹脂組成物。
2.前記酸架橋性基が、エポキシ基、オキセタン基及びビニルエーテル基から選ばれる基である1の感光性樹脂組成物。
3.(A)成分が、下記式(A1)~(A6)で表される繰り返し単位を含むシリコーン樹脂を含む2の感光性樹脂組成物。
【化1】
[式中、R
1~R
4は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基である。mは、それぞれ独立に、1~600の整数である。mが2以上の整数のとき、各R
3は、互いに同一であっても異なっていてもよく、各R
4は、互いに同一であっても異なっていてもよい。a、b、c、d、e及びfは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1、0≦d≦1、0≦e≦1、0≦f≦1、0<c+d+e+f≦1、及びa+b+c+d+e+f=1を満たす数である。X
1は、下記式(X1)で表される2価の基である。X
2は、下記式(X2)で表される2価の基である。X
3は、下記式(X3)で表される2価の基である。
【化2】
(式中、R
11~R
14は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基である。pは、1~600の整数である。pが2以上の整数のとき、各R
13は互いに同一であっても異なっていてもよく、各R
14は互いに同一であっても異なっていてもよい。R
15及びR
16は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。xは、それぞれ独立に、0~7の整数である。)
【化3】
(式中、Y
1は、単結合、メチレン基、プロパン-2,2-ジイル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル基又はフルオレン-9,9-ジイル基である。R
21及びR
22は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基又はアルコキシ基であり、gが2のとき、各R
21は互いに同一でも異なっていてもよく、hが2のとき、各R
22は、互いに同一でも異なっていてもよい。R
23及びR
24は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。yは、それぞれ独立に、0~7の整数である。g及びhは、それぞれ独立に、0、1又は2である。)
【化4】
(式中、R
31及びR
32は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。zは、それぞれ独立に、0~7の整数である。R
33は、エステル結合又はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1~8の2価炭化水素基である。)]
4.0<e+f≦1である3の感光性樹脂組成物。
5.(C)白色顔料の平均粒径が、1μm以下である1~4のいずれかの感光性樹脂組成物。
6.(C)白色顔料が、表面がAl、Si又はZrの含水酸化物、ポリオール、及び有機ケイ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種で処理された二酸化チタンである1~5のいずれかにの感光性樹脂組成物。
7.(C)白色顔料を3~60質量%含む1~6のいずれかの感光性樹脂組成物。
8.更に、(D)架橋剤を含む1~7のいずれかの感光性樹脂組成物。
9.更に、(E)酸化防止剤を含む1~8のいずれかの感光性樹脂組成物。
10.更に、(F)溶剤を含む1~9のいずれかの感光性樹脂組成物。
11.(i)1~10のいずれかの感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、前記基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を、現像液を用いて現像する工程
を含むパターン形成方法。
【発明の効果】
【0009】
特定の酸架橋性基含有シリコーン樹脂、白色顔料及び光酸発生剤を含む感光性樹脂組成物を使用することにより、容易に皮膜を形成でき、該皮膜は、耐光性に優れ、更に微細加工にも優れた性能を有し、良好な信頼性(密着性、耐クラック性)、解像性、可撓性を有する感光性樹脂皮膜の形成材料として用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)酸架橋性基含有シリコーン樹脂、(B)光酸発生剤、及び(C)白色顔料を含むものである。
【0011】
[(A)酸架橋性基含有シリコーン樹脂]
(A)成分の酸架橋性基含有シリコーン樹脂は、シロキサン構造及び酸架橋性基を有する樹脂である。ここで、酸架橋性基とは、酸の作用によって官能基同士が直接又は架橋剤を介して化学的に結合することが可能な基を意味する。本発明において前記酸架橋性基としては、エポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基等が好ましく、特にエポキシ基が好ましい。
【0012】
(A)成分の酸架橋性基含有シリコーン樹脂としては、下記式(A1)~(A6)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位A1~A6ともいう。)を含むエポキシ基含有シリコーン樹脂が好ましい。
【化5】
【0013】
式(A2)、(A4)及び(A6)中、R1~R4は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基である。mは、それぞれ独立に、1~600の整数である。mが2以上の整数のとき、各R3は、互いに同一であっても異なっていてもよく、各R4は、互いに同一であっても異なっていてもよい。繰り返し単位A2、A4及びA6中、シロキサン単位が2以上ある場合、各シロキサン単位は、全て同一であってもよく、2種以上の異なるシロキサン単位を含んでいてもよい。2種以上の異なるシロキサン単位を含む場合(すなわち、mが2以上の整数のとき)、シロキサン単位がランダムに結合したものでも交互に結合したものでもよく、同種のシロキサン単位のブロックを複数含むものであってもよい。
【0014】
前記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基等の1価脂肪族炭化水素基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基等の1価芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0015】
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。前記アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等が挙げられる。
【0016】
また、前記1価脂肪族炭化水素基にはヘテロ原子が含まれていてもよく、具体的には、前記1価脂肪族炭化水素基の水素原子の一部又は全部が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等で置換されていてもよく、その炭素原子間に、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合等が介在していてもよい。このようなヘテロ原子を含む1価脂肪族炭化水素基としては、2-オキソシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0017】
前記アリール基としては、フェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基等が挙げられる。前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0018】
また、前記1価芳香族炭化水素基にはヘテロ原子が含まれていてもよく、具体的には、前記1価芳香族炭化水素基の水素原子の一部又は全部が、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、炭素数6~20のアリールオキシ基、炭素数6~20のアリールチオ基等で置換されていてもよい。
【0019】
前記炭素数1~10のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、シクロブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n-へプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、アダマンチルオキシ基等が挙げられる。
【0020】
前記炭素数1~10のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、シクロプロピルチオ基、n-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、シクロブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、シクロペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、n-へプチルチオ基、n-オクチルチオ基、n-ノニルチオ基、n-デシルチオ基、ノルボルニルチオ基、アダマンチルチオ基等が挙げられる。
【0021】
前記炭素数6~20のアリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、2-メチルフェニルオキシ基、3-メチルフェニルオキシ基、4-メチルフェニルオキシ基、2-エチルフェニルオキシ基、3-エチルフェニルオキシ基、4-エチルフェニルオキシ基、4-tert-ブチルフェニルオキシ基、4-ブチルフェニルオキシ基、ジメチルフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、ビフェニリルオキシ基、ターフェニリルオキシ基等が挙げられる。
【0022】
前記炭素数6~20のアリールチオ基としては、フェニルチオ基、2-メチルフェニルチオ基、3-メチルフェニルチオ基、4-メチルフェニルチオ基、2-エチルフェニルチオ基、3-エチルフェニルチオ基、4-エチルフェニルチオ基、4-tert-ブチルフェニルチオ基、4-ブチルフェニルチオ基、ジメチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基、ビフェニリルチオ基、ターフェニリルチオ基等が挙げられる。
【0023】
例えば、これらの基で置換されたアリール基としては、2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、2-エトキシフェニル基、3-エトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、3-tert-ブトキシフェニル基、4-tert-ブトキシフェニル基、ビフェニリルオキシフェニル基、ビフェニリルチオフェニル基等が挙げられる。
【0024】
前記1価脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~10が好ましく、1~8がより好ましい。また、前記1価芳香族炭化水素基の炭素数は、6~14が好ましく、6~10がより好ましい。
【0025】
これらのうち、R1~R4としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基又はフェニル基が好ましく、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
【0026】
式(A2)、(A4)及び(A6)中、mは、それぞれ独立に、1~600の整数であるが、1~300が好ましく、1~100がより好ましい。
【0027】
式(A1)~(A6)中、a、b、c、d、e及びfは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1、0≦d≦1、0≦e≦1、0≦f≦1、0<c+d+e+f≦1、及びa+b+c+d+e+f=1を満たす数である。好ましくは、0.2≦a+c+e≦0.95、0.05≦b+d+f≦0.8、0≦a+b≦0.9、0≦c+d≦0.7、0<e+f≦1、及びa+b+c+d+e+f=1を満たす数であり、更に好ましくは、0.3≦a+c+e≦0.9、0.1≦b+d+f≦0.7、0≦a+b≦0.6、0≦c+d≦0.4、0.4≦e+f≦1、及びa+b+c+d+e+f=1を満たす数である。
【0028】
式(A1)及び(A2)中、X
1は、下記式(X1)で表される2価の基である。
【化6】
【0029】
式(X1)中、R11~R14は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基である。pは、1~600の整数である。pが2以上の整数のとき、各R13は互いに同一であっても異なっていてもよく、各R14は互いに同一であっても異なっていてもよい。R15及びR16は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。xは、それぞれ独立に、0~7の整数である。式(X1)で表される基において、シロキサン単位が2以上ある場合、各シロキサン単位は、全て同一であってもよく、2種以上の異なるシロキサン単位を含んでいてもよい。2種以上の異なるシロキサン単位を含む場合(すなわち、pが2以上の整数のとき)、シロキサン単位がランダムに結合したものでも交互に結合したものでもよく、同種のシロキサン単位のブロックを複数含むものであってもよい。
【0030】
前記ヘテロ原子を含んでいてもよい1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、R1~R4の説明において前述したものと同様のものが挙げられる。これらのうち、R11~R14としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、フェニル基等が好ましく、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
【0031】
式(A3)及び(A4)中、X
2は、下記式(X2)で表される2価の基である。
【化7】
【0032】
式(X2)中、Y1は、単結合、メチレン基、プロパン-2,2-ジイル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル基又はフルオレン-9,9-ジイル基である。R21及びR22は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基又はアルコキシ基であり、gが2のとき、各R21は互いに同一でも異なっていてもよく、hが2のとき、各R22は、互いに同一でも異なっていてもよい。R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。yは、それぞれ独立に、0~7の整数である。g及びhは、それぞれ独立に、0、1又は2である。
【0033】
式(A5)及び(A6)中、X
3は、下記式(X3)で表される2価の基である。
【化8】
【0034】
式(X3)中、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。zは、それぞれ独立に、0~7の整数である。
【0035】
式(X3)中、R33は、エステル結合若しくはエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1~8の2価炭化水素基である。前記2価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基等のアルカンジイル基等が挙げられる。また、前記2価炭化水素基の炭素原子間に、エステル結合又はエーテル結合が介在していてもよい。これらのうち、R33としては、メチレン基又はエチレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
【0036】
繰り返し単位A1~A6は、ランダムに結合していても、ブロック重合体として結合していてもよい。また、前記酸架橋性基含有シリコーン樹脂において、シリコーン(シロキサン単位)含有率は、30~80質量%であることが好ましい。
【0037】
前記酸架橋性基含有シリコーン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3,000~500,000が好ましく、5,000~200,000がより好ましい。なお、本発明においてMwは、テトラヒドロフランを溶出溶剤として用いるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算測定値である。
【0038】
(A)成分は、例えば、(A)成分中の各部分に対応するビニル基含有化合物とヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物とを必要量混合し、常法に従いヒドロシリル化反応させることにより製造することができる。
【0039】
(A)成分の酸架橋性基含有シリコーン樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
[(B)光酸発生剤]
(B)成分の光酸発生剤としては、光照射によって分解し、酸を発生するものであれば特に限定されないが、波長190~500nmの光を照射することによって酸を発生するものが好ましい。(B)光酸発生剤は、硬化触媒として用いられる。前記光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩、ジアゾメタン誘導体、グリオキシム誘導体、β-ケトスルホン誘導体、ジスルホン誘導体、ニトロベンジルスルホネート誘導体、スルホン酸エステル誘導体、イミド-イル-スルホネート誘導体、オキシムスルホネート誘導体、イミノスルホネート誘導体、トリアジン誘導体等が挙げられる。
【0041】
前記オニウム塩としては、下記式(B1)で表されるスルホニウム塩又は下記式(B2)で表されるヨードニウム塩が挙げられる。
【化9】
【0042】
式(B1)及び(B2)中、R101~R105は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数7~12のアラルキル基である。A-は、非求核性対向イオンである。
【0043】
前記アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等が挙げられる。前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0044】
前記置換基としては、オキソ基、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1~12のアルコキシ基、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~24のアリール基、炭素数7~25のアラルキル基、炭素数6~24のアリールオキシ基、炭素数6~24のアリールチオ基等が挙げられる。
【0045】
R101~R105としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、2-オキソシクロヘキシル基等の置換基を有していてもよいアルキル基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、o-、m-又はp-メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、m-又はp-tert-ブトキシフェニル基、2-、3-又は4-メチルフェニル基、エチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ターフェニリル基、ビフェニリルオキシフェニル基、ビフェニリルチオフェニル基等の置換基を有していてもよいアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の置換基を有していてもよいアラルキル基が好ましい。これらのうち、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基がより好ましい。
【0046】
前記非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン;トリフレートイオン、1,1,1-トリフルオロエタンスルホネートイオン、ノナフルオロブタンスルホネートイオン等のフルオロアルカンスルホネートイオン;トシレートイオン、ベンゼンスルホネートイオン、4-フルオロベンゼンスルホネートイオン、1,2,3,4,5-ペンタフルオロベンゼンスルホネートイオン等のアリールスルホネートイオン;メシレートイオン、ブタンスルホネートイオン等のアルカンスルホネートイオン;トリフルオロメタンスルホンイミドイオン等のフルオロアルカンスルホンイミドイオン;トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン等のフルオロアルカンスルホニルメチドイオン;テトラキスフェニルボレートイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等のボレートイオン等が挙げられる
【0047】
前記ジアゾメタン誘導体としては、下記式(B3)で表される化合物が挙げられる。
【化10】
【0048】
式(B3)中、R111及びR112は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリール基、又は炭素数7~12のアラルキル基である。
【0049】
前記アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、R101~R105の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。前記ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、1,1,1-トリフルオロエチル基、1,1,1-トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。
【0050】
前記置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基;2-、3-又は4-メトキシフェニル基、2-、3-又は4-エトキシフェニル基、3-又は4-tert-ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基;2-、3-又は4-メチルフェニル基、エチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基;フルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5-ペンタフルオロフェニル基等のハロゲン化アリール基等が挙げられる。前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0051】
前記グリオキシム誘導体としては、下記式(B4)で表される化合物が挙げられる。
【化11】
【0052】
式(B4)中、R121~R124は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリール基、又は炭素数7~12のアラルキル基である。また、R123及びR124は、互いに結合してこれらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよく、環を形成する場合、R123及びR124が結合して形成される基は、炭素数1~12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。
【0053】
前記アルキル基、ハロゲン化アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、及びアラルキル基としては、R111及びR112として例示したものと同様のものが挙げられる。前記直鎖状又は分岐状のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
【0054】
前記オニウム塩として具体的には、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p-tert-ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p-トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p-トルエンスルホン酸(p-tert-ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p-tert-ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウム、p-トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸ビス(p-tert-ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2-オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p-トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2-オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル(4-チオフェノキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、[4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル]-4-ビフェニリルフェニルスルホニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、テトラキス(フルオロフェニル)ホウ酸トリフェニルスルホニウム、テトラキス(フルオロフェニル)ホウ酸トリス[4-(4-アセチルフェニル)チオフェニル]スルホニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリフェニルスルホニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリス[4-(4-アセチルフェニル)チオフェニル]スルホニウム等が挙げられる。
【0055】
前記ジアゾメタン誘導体として具体的には、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n-プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n-ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec-ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert-ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、1-シクロへキシルスルホニル-1-(tert-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1-シクロヘキシルスルホニル-1-(tert-ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、1-tert-ペンチルスルホニル-1-(tert-ブチルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
【0056】
前記グリオキシム誘導体として具体的には、ビス-o-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(p-トルエンスルホニル)-α-ジフェニルグリオキシム、ビス-o-(p-トルエンスルホニル)-α-ジシクロへキシルグリオキシム、ビス-o-(p-トルエンスルホニル)-2,3-ペンタンジオングリオキシム、ビス-(p-トルエンスルホニル)-2-メチル-3,4-ペンタンジオングリオキシム、ビス-o-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(n-ブタンスルホニル)-α-ジフェニルグリオキシム、ビス-o-(n-ブタンスルホニル)-α-ジシクロへキシルグリオキシム、ビス-o-(n-ブタンスルホニル)-2,3-ペンタンジオングリオキシム、ビス-o-(n-ブタンスルホニル)-2-メチル-3,4-ペンタンジオングリオキシム、ビス-o-(メタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(トリフルオロメタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(1,1,1-トリフルオロエタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(tert-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(パーフルオロオクタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(シクロヘキサンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(ベンゼンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(p-フルオロベンゼンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(p-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(キシレンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(カンファースルホニル)-α-ジメチルグリオキシム等が挙げられる。
【0057】
前記β-ケトスルホン誘導体として具体的には、2-シクロヘキシルカルボニル-2-(p-トルエンスルホニル)プロパン、2-イソプロピルカルボニル-2-(p-トルエンスルホニル)プロパン等が挙げられる。
【0058】
前記ジスルホン誘導体として具体的には、ジフェニルジスルホン、ジシクロへキシルジスルホン等が挙げられる。
【0059】
前記ニトロベンジルスルホネート誘導体として具体的には、p-トルエンスルホン酸2,6-ジニトロベンジル、p-トルエンスルホン酸2,4-ジニトロベンジル等が挙げられる。
【0060】
前記スルホン酸エステル誘導体として具体的には、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等が挙げられる。
【0061】
前記イミド-イル-スルホネート誘導体として具体的には、フタルイミド-イル-トリフレート、フタルイミド-イル-トシレート、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド-イル-トリフレート、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド-イル-トシレート、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド-イル-n-ブチルスルホネート、n-トリフルオロメチルスルホニルオキシナフチルイミド等が挙げられる。
【0062】
前記オキシムスルホネート誘導体として具体的には、α-(ベンゼンスルホニウムオキシイミノ)-4-メチルフェニルアセトニトリル等が挙げられる。
【0063】
前記イミノスルホネート誘導体として具体的には、(5-(4-メチルフェニル)スルホニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)アセトニトリル、(5-(4-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)フェニルスルホニルオキシイミノ)-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)-アセトニトリル等が挙げられる。
【0064】
また、2-メチル-2-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1-[(4-メチルチオ)フェニル]-1-プロパン等も好適に使用できる。
【0065】
(B)成分の光酸発生剤としては、特に前記オニウム塩が好ましく、前記スルホニウム塩がより好ましい。
【0066】
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.05~20質量部が好ましく、0.2~5質量部がより好ましい。(B)成分の含有量が前記範囲であれば、十分な光硬化性を得やすく、また、酸発生剤自身の光吸収により厚膜での硬化性が悪化することを効果的に防止することができる。なお、本発明の特徴である透明性及び耐光性を得るためには、光吸収性を持つ(B)成分の光酸発生剤の配合量は光硬化性を阻害しない範囲で少ないほうがよい。(B)成分の光酸発生剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0067】
[(C)白色顔料]
(C)成分の白色顔料によって、硬化物の白色度を高めるたけでなく、パターン形成材料として解像性を高め、レジスト膜である硬化物の破壊特性が向上(クラックが生じなく)し、剥離しない膜を形成することができる。
【0068】
前記白色顔料としては、二酸化チタン、酸化イットリウム等の希土類酸化物や、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等が挙げられる。白色顔料の形状は特に限定されず、従来公知の白色顔料を用いることができる。また、微細パターン形成(微細加工)の観点から、白色顔料の平均粒径は1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。白色顔料の平均粒径の下限値としては、10nm以上が好ましい。なお、本発明において平均粒径は、動的光散乱法で測定した体積平均粒径である。
【0069】
白色顔料としては、白色度の観点から二酸化チタンを用いることが好ましい。また、二酸化チタンとしては、硫酸法、塩素法等いずれの方法により製造されたものも使用できるが、白色度の観点から塩素法で得られたものが好ましい。
【0070】
前記二酸化チタンは、酸化チタン粒子自体の凝集を防ぐために表面処理したものが好ましい。特に、二酸化チタンの光触媒能を抑えたり、樹脂や無機充填材との相溶性、分散性を高めたりするため、Al、Si、Zr等の含水酸化物、ポリオール、有機ケイ素化合物等で表面処理したものが好ましい。
【0071】
ここで用いられる有機ケイ素化合物としては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、それらの共重合体等のポリシロキサン類;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン等のシクロシロキサン類;トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン等のクロロシラン類;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するシラン類;3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基又はアクリル基を有するシラン類;ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニル基を有するシラン類;γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプトシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等のアルキル基を有するシラン類;γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン等の各種シラン類で例示されるシランカップリング剤や、これらシラン類からなる群から選択される1種又は2種以上の部分加水分解物、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。中でも、ポリシロキサン類が好ましく、ポリジメチルシロキサンがより好ましい。
【0072】
白色顔料の表面を処理する方法は、特に限定されない。例えば、有機ケイ素化合物による表面処理は、白色顔料と有機ケイ素化合物とを混合する乾式法にて行うことができる。アルミナ、シリカ等による表面処理は、アルミン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムの水溶液中にて硫酸で中和しながら白色顔料の表面に層を形成する湿式法にて行うことができる。
【0073】
(C)成分の配合量は、本発明の組成物中、3~60質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましい。3質量%以上であれば、十分な白色度が得られないというおそれがなく、60質量%以下であれば、組成物の流動性が低下し、成形性に不具合が生じ未充填やボイド等が発生するおそれがないため好ましい。(C)成分の白色顔料は、1種単独でも又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0074】
[(D)架橋剤]
本発明の感光性樹脂組成物は、更に、(D)成分として架橋剤を含んでもよい。前記架橋剤は、(C)成分のエポキシ基と反応を起こし、パターンの形成を容易になし得るための成分であるとともに、光硬化後の樹脂皮膜の強度を更に上げるものである。
【0075】
前記架橋剤としては、1分子中に平均して2個以上のエポキシ基、脂環式エポキシ基又はオキセタン基を有する化合物が好ましい。このような化合物としては、Mwが100~20,000の低分子化合物又は高分子化合物が好ましく、200~10,000のものがより好ましい。Mwが100以上であれば、十分な光硬化性を得ることができ、20,000以下であれば組成物の光硬化後の耐熱性を悪化させるおそれがないために好ましい。
【0076】
(D)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0~100質量部であるが、含有する場合は0.5~100質量部が好ましく、1~50質量部がより好ましい。(D)成分の含有量が、0.5質量部以上であれば光照射時に十分な硬化性が得られ、100質量部以下であれば感光性樹脂組成物中の(C)成分の割合が低下しないため、硬化物に十分な本発明の効果を発現させることができる。(D)成分は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0077】
[(E)酸化防止剤]
本発明の感光性樹脂組成物は、添加剤として酸化防止剤を含んでもよい。酸化防止剤を含むことで、耐熱性を向上させることができる。前記酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。
【0078】
前記ヒンダードフェノール系化合物としては、特に限定されないが、以下に挙げるものが好ましい。例えば、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン(商品名:IRGANOX 1330)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(商品名:Sumilizer BHT)、2,5-ジ-tert-ブチル-ハイドロキノン(商品名:Nocrac NS-7)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール(商品名:Nocrac M-17)、2,5-ジ-tert-ペンチルハイドロキノン(商品名:Nocrac DAH)、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)(商品名:Nocrac NS-6)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルフォスフォネート-ジエチルエステル(商品名:IRGANOX 1222)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)(商品名:Nocrac 300)、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)(商品名:Nocrac NS-5)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)(商品名:アデカスタブAO-40)、2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート(商品名:Sumilizer GM)、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート(商品名:Sumilizer GS)、2,2'-メチレンビス[4-メチル-6-(α-メチル-シクロヘキシル)フェノール]、4,4'-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)(商品名:シーノックス226M)、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(商品名:IRGANOX 1520L)、2,2'-エチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:IRGANOX 1076)、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン(商品名:アデカスタブAO-30)、テトラキス[メチレン-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタン(商品名:アデカスタブAO-60)、トリエチレングリコールビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 245)、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン(商品名:IRGANOX 565)、N,N'-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)(商品名:IRGANOX 1098)、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 259)、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 1035)、3,9-ビス[2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]1,1-ジメチルエチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(商品名:Sumilizer GA-80)、トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(商品名:IRGANOX 3114)、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム/ポリエチレンワックス混合物(50:50)(商品名:IRGANOX 1425WL)、イソオクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:IRGANOX 1135)、4,4'-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)(商品名:Sumilizer WX-R)、6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン(商品名:Sumilizer GP)等が挙げられる。
【0079】
前記ヒンダードアミン系化合物としては、特に限定されないが、以下に挙げるものが好ましい。例えば、p,p'-ジオクチルジフェニルアミン(商品名:IRGANOX 5057)、フェニル-α-ナフチルアミン(商品名:Nocrac PA)、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)(商品名:Nocrac 224、224-S)、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン(商品名:Nocrac AW)、N,N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(商品名:Nocrac DP)、N,N'-ジ-β-ナフチル-p-フェニレンジアミン(商品名:Nocrac White)、N-フェニル-N'-イソプロピル-p-フェニレンジアミン(商品名:Nocrac 810NA)、N,N'-ジアリル-p-フェニレンジアミン(商品名:Nonflex TP)、4,4'-(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名:Nocrac CD)、p,p-トルエンスルフォニルアミノジフェニルアミン(商品名:Nocrac TD)、N-フェニル-N'-(3-メタクロリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン(商品名:Nocrac G1)、N-(1-メチルヘプチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン(商品名:Ozonon 35)、N,N'-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン(商品名:Sumilizer BPA)、N-フェニル-N'-1,3-ジメチルブチル-p-フェニレンジアミン(商品名:Antigene 6C)、アルキル化ジフェニルアミン(商品名:Sumilizer 9A)、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物(商品名:Tinuvin 622LD)、ポリ[[6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]](商品名:CHIMASSORB 944)、N,N'-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン-2,4-ビス[N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ]-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物(商品名:CHIMASSORB 119FL)、ビス(1-オクチロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(商品名:TINUVIN 123)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(商品名:TINUVIN 770)、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)(商品名:TINUVIN 144)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート(商品名:TINUVIN 765)、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート(商品名:LA-57)、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート(商品名:LA-52)、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール及び1-トリデカノールとの混合エステル化物(商品名:LA-62)、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール及び1-トリデカノールとの混合エステル化物(商品名:LA-67)、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール及び3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物(商品名:LA-63P)、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール及び3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物(商品名:LA-68LD)、(2,2,6,6-テトラメチレン-4-ピペリジル)-2-プロピレンカルボキシレート(商品名:アデカスタブLA-82)、(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-プロピレンカルボキシレート(商品名:アデカスタブLA-87)等が挙げられる。
【0080】
(E)成分の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、含有する場合は、本発明の感光性樹脂組成物中、0.01~1質量%が好ましい。(E)成分の酸化防止剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0081】
[(F)溶剤]
本発明の感光性樹脂組成物は、その塗布性を向上させるために、(F)成分として溶剤を含んでもよい。(F)溶剤としては、前述した(A)~(E)成分やその他の各種添加剤を溶解、分散することができるものであれば、特に限定されない。
【0082】
(F)溶剤としては、有機溶剤が好ましく、その具体例としては、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル-2-n-ペンチルケトン等のケトン類;3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、プロピレングリコール-モノ-tert-ブチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン等のエステル類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0083】
(F)溶剤としては、特に光酸発生剤の溶解性が優れている、乳酸エチル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン及びこれらの混合溶剤が好ましい。
【0084】
(F)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の相溶性及び粘度の観点から、(A)及び(C)成分の合計100質量部に対し、50~2,000質量部が好ましく、50~1,000質量部がより好ましく、50~100質量部が更に好ましい。
【0085】
[その他の添加剤]
本発明の感光性樹脂組成物は、前述した各成分以外に、その他の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、塗布性を向上させるために慣用されている界面活性剤が挙げられる。
【0086】
前記界面活性剤としては、非イオン性のものが好ましく、例えば、フッ素系界面活性剤、具体的にはパーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、フッ素化アルキルエステル、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、含フッ素オルガノシロキサン系化合物等が挙げられる。これらは、市販されているものを用いることができ、例えば、Fluorad(登録商標)「FC-430」(スリーエム社製)、サーフロン(登録商標)「S-141」及び「S-145」(AGCセイミケミカル(株)製)、ユニダイン(登録商標)「DS-401」、「DS-4031」及び「DS-451」(ダイキン工業(株)製)、メガファック(登録商標)「F-8151」(DIC(株)製)、「X-70-093」(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。これらの中でも、Fluorad「FC-430」及び「X-70-093」が好ましい。前記界面活性剤の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、含有する場合は、本発明の感光性樹脂組成物中、0.01~1質量%が好ましい。
【0087】
また、添加剤として、シランカップリング剤を使用することもできる。シランカップリング剤を含むことにより、感光性樹脂組成物の被接着体への密着性を更に高めることができる。シランカップリング剤としては、エポキシシランカップリング剤、芳香族含有アミノシランカップリング剤等が挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。前記シランカップリング剤の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、含有する場合は、本発明の感光性樹脂組成物中、0.01~5質量%が好ましい。
【0088】
本発明の感光性樹脂組成物は、その他の添加剤として、フィラーを含んでいてもよい。フィラーとしては平均粒径0.01~20μmの、シリカ又はシリコーンパウダーである。前記フィラーの含有量は、特に限定されないが、含有する場合は、本発明の感光性樹脂組成物中、90質量%以下が好ましい。
【0089】
[感光性樹脂組成物を用いるパターン形成方法]
本発明の感光性樹脂組成物を用いるパターン形成方法は、
(i)前記感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、該基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液にて現像し、非露光部を溶解除去してパターンを形成する工程
を含むものである。
【0090】
工程(i)は、前記感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、該基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程である。前記基板としては、例えば、シリコンウエハー、ガラスウエハー、石英ウエハー、プラスチック製回路基板、セラミック製回路基板等が挙げられる。
【0091】
塗布方法としては、公知の方法でよく、ディップ法、スピンコート法、ロールコート法等が挙げられる。塗布量は、目的に応じて適宜選択することができるが、得られる感光性樹脂皮膜の膜厚が好ましくは0.1~200μm、より好ましくは1~150μmとなるように塗布することが好ましい。
【0092】
基板面における膜厚均一性を向上させる目的で、感光性樹脂組成物を塗布する前に溶剤を基板に滴下してもよい(プリウェット法)。滴下する溶剤は、目的に応じて適宜選択することができる。前記溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール類、シクロヘキサノン等のケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール類等が好ましいが、感光性樹脂組成物に使用される溶剤を用いることも可能である。
【0093】
ここで、光硬化反応を効率的に行うため、必要に応じて予備加熱(プリベーク)により溶剤等を予め揮発させておいてもよい。プリベークは、例えば、40~140℃で1分~1時間程度行うことができる。
【0094】
次いで、(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する。このとき、露光は、波長10~600nmの光で行うことが好ましく、190~500nmの光で行うことがより好ましい。このような波長の光としては、例えば放射線発生装置により発生された種々の波長の光、例えば、g線、h線、i線等の紫外線光、遠紫外線光(248nm、193nm)等が挙げられる。これらのうち、波長248~436nmの光が特に好ましい。露光量は、10~10,000mJ/cm2が好ましい。
【0095】
露光は、フォトマスクを介して行ってもよい。前記フォトマスクは、例えば所望のパターンをくり貫いたものであってもよい。なお、フォトマスクの材質は、特に限定されないが、前記波長の光を遮蔽するものが好ましく、例えば、遮光膜としてクロムを備えるものが好適に用いられるが、これに限定されない。
【0096】
更に、現像感度を高めるために、露光後加熱処理(PEB)を行ってもよい。PEBは、40~150℃で0.5~10分間とすることが好ましい。PEBによって、露光部分が架橋して現像液である有機溶剤に不溶な不溶化パターンが形成される。
【0097】
(iii)露光後又はPEB後、現像液にて現像し、非露光部を溶解除去してパターンを形成する。現像液としては、例えば、IPA等のアルコール類、シクロヘキサノン等のケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール類等の有機溶剤が好ましいが、感光性樹脂組成物に使用される溶剤を用いることも可能である。現像方法としては、通常の方法、例えばパターン形成された基板を前記現像液に浸漬する方法等が挙げられる。その後、必要に応じて、洗浄、リンス、乾燥等を行い、所望のパターンを有する皮膜が得られる。
【0098】
更に、(iv)パターンを形成した皮膜を、オーブンやホットプレートを用いて、好ましくは100~250℃で、より好ましくは150~220℃で後硬化してもよい。本発明の感光性樹脂組成物を用いれば、200℃前後の比較的低温の後硬化であっても、各種フィルム特性に優れた樹脂皮膜を得ることができる。なお、後硬化温度が100~250℃であれば、感光性樹脂組成物の架橋密度を上げ、残存する揮発成分を除去でき、基板に対する密着力、耐熱性、強度、電気特性、接合強度の観点から好ましい。後硬化時間は、好ましくは10分間~10時間、より好ましくは10分間~3時間である。後硬化後の樹脂皮膜の膜厚は、通常1~200μm、好ましくは5~50μmである。これらの工程を経て、最終目的のリフレクター用の硬化膜を得ることができる。
【0099】
[感光性ドライフィルム]
感光性ドライフィルムとは、支持フィルムと、該支持フィルム上に本発明の感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂皮膜とを備えるものである。
【0100】
前記感光性ドライフィルム(支持フィルム及び感光性樹脂皮膜)は固体であり、感光性樹脂皮膜が溶剤を含まないため、その揮発による気泡が前記感光性樹脂皮膜の内部及び凹凸のある基板との間に残留するおそれがない。前記感光性樹脂皮膜の膜厚は、特に限定されないが、1~200μmが好ましく、3~100μmがより好ましい。
【0101】
また、前記感光性樹脂皮膜の粘度と流動性とは密接に関係しており、前記感光性樹脂皮膜は、適切な粘度範囲において適切な流動性を発揮でき、狭い隙間の奥まで入っていったり、樹脂が軟化することにより基板との接着性を強くしたりすることができる。したがって、前記感光性樹脂皮膜の粘度は、前記感光性樹脂皮膜の流動性の観点から、80~120℃において、好ましくは10~5,000Pa・s、より好ましくは30~2,000Pa・s、更に好ましくは50~300Pa・sである。なお、本発明において粘度は、回転粘度計による測定値である。
【0102】
前記感光性ドライフィルムは、凹凸のある基板に密着させる際に、感光性樹脂皮膜が前記凹凸に追随して被覆され、高い平坦性を達成できる。特に、本発明の感光性樹脂組成物は、軟化性能が特徴であるため、より高い平坦性を達成できる。更に、前記感光性樹脂皮膜を真空環境下で前記基板に密着させると、それらの隙間の発生をより効果的に防止できる。
【0103】
前記感光性ドライフィルムは、前記感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、乾燥させて感光性樹脂皮膜を形成することによって製造することができる。前記感光性ドライフィルムの製造装置としては、一般的に粘着剤製品を製造するためのフィルムコーターが使用できる。前記フィルムコーターとしては、例えば、コンマコーター、コンマリバースコーター、マルチコーター、ダイコーター、リップコーター、リップリバースコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、3本ボトムリバースコーター、4本ボトムリバースコーター等が挙げられる。
【0104】
支持フィルムを前記フィルムコーターの巻出軸から巻き出し、前記フィルムコーターのコーターヘッドを通過させるとき、前記支持フィルム上に前記感光性樹脂組成物を所定の厚みで塗布した後、所定の温度及び時間で熱風循環オーブンを通過させ、前記支持フィルム上で乾燥させて感光性樹脂皮膜とすることで、感光性ドライフィルムを製造することができる。また、必要に応じて、感光性ドライフィルムを前記フィルムコーターの別の巻出軸から巻き出された保護フィルムとともに、所定の圧力でラミネートロールを通過させて前記支持フィルム上の前記感光性樹脂皮膜と保護フィルムとを貼り合わせた後、前記フィルムコーターの巻取軸に巻き取ることによって、保護フィルム付き感光性ドライフィルムを製造することができる。この場合、前記温度としては25~150℃が好ましく、前記時間としては1~100分間が好ましく、前記圧力としては0.01~5MPaが好ましい。
【0105】
前記感光性ドライフィルムにおいて使用される支持フィルムは、単一のフィルムからなる単層フィルムであっても、複数のフィルムを積層した多層フィルムであってもよい。前記フィルムの材質としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムが挙げられる。これらのうち、適度の可撓性、機械的強度及び耐熱性を有するポリエチレンテレフタレートが好ましい。これらのフィルムは、コロナ処理や剥離剤塗布等の各種処理が行われたものでもよい。これらは市販品を使用することができ、例えばセラピールWZ(RX)、セラピールBX8(R)(以上、東レフィルム加工(株)製)、E7302、E7304(以上、東洋紡(株)製)、ピューレックスG31、ピューレックスG71T1(以上、帝人デュポンフィルム(株)製)、PET38×1-A3、PET38×1-V8、PET38×1-X08(以上、ニッパ(株)製)等が挙げられる。
【0106】
前記保護フィルムとしては、前述した支持フィルムと同様のものを用いることができるが、適度の可撓性を有するポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンが好ましい。これらは市販品を使用することができ、ポリエチレンテレフタレートとしてはすでに例示したもの、ポリエチレンとしては、例えばGF-8(タマポリ(株)製)、PEフィルム0タイプ(ニッパ(株)製)等が挙げられる。
【0107】
前記支持フィルム及び保護フィルムの厚みは、感光性ドライフィルム製造の安定性、及び巻き芯に対する巻き癖、所謂カール防止の観点から、いずれも好ましくは10~100μm、より好ましくは25~50μmである。
【0108】
[感光性ドライフィルムを用いるパターン形成方法]
前記感光性ドライフィルムを用いるパターン形成方法は、
(i')前記感光性ドライフィルムを用いて、前記基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液にて現像し、非露光部を溶解除去してパターンを形成する工程
を含むものである。
【0109】
まず、(i')感光性ドライフィルムを用いて、基板上に感光性樹脂皮膜を形成する。つまり、感光性ドライフィルムの感光性樹脂皮膜を基板に貼り付けることで基板上に感光性樹脂皮膜を形成する。また、前記感光性ドライフィルムが保護フィルムを有している場合には、感光性ドライフィルムから保護フィルムを剥がした後、感光性ドライフィルムの感光性樹脂皮膜を基板に貼り付ける。貼り付けは、例えばフィルム貼り付け装置を用いて行うことができる。
【0110】
前記フィルム貼り付け装置としては、真空ラミネーターが好ましい。例えば、前記感光性ドライフィルムの保護フィルムを剥離し、露出した前記感光性樹脂皮膜を所定真空度の真空チャンバー内において、所定の圧力の貼り付けロールを用いて、所定の温度のテーブル上で前記基板に密着させる。なお、前記温度としては60~120℃が好ましく、前記圧力としては0~5.0MPaが好ましく、前記真空度としては50~500Paが好ましい。
【0111】
前記感光性樹脂皮膜の光硬化反応を効率的に行うため、及び感光性樹脂皮膜と基板との密着性を向上させるため、必要に応じてプリベークを行ってもよい。プリベークは、例えば、40~140℃で1分間~1時間程度行うことができる。
【0112】
基板に貼り付けた感光性樹脂皮膜は、前記感光性樹脂組成物を用いるパターン形成方法の場合と同様に、(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、(iii)感光性樹脂皮膜を現像液にて現像し、非露光部を溶解除去してパターンを形成する工程、及び必要に応じて(iv)後硬化加熱処理をすることでパターンを形成することができる。なお、感光性ドライフィルムの支持フィルムは、プロセスに応じてプリベーク前又はPEB前に剥がすか、他の方法で除去する。
【0113】
本発明の感光性樹脂組成物や感光性ドライフィルムを用いるパターン形成方法により、厚膜で微細なパターン形成を容易に行うことができる。
【0114】
なお、本発明の感光性樹脂組成物は、半導体装置におけるLEDを搭載する光半導体装置に形成されるリフレクターとしても有効である。
【実施例】
【0115】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、Mwは、カラムとしてTSKgel Super HZM-H(東ソー(株)製)を用い、流量0.6mL/分、溶出溶剤テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするGPCにより測定した。
【0116】
下記実施例及び比較例において使用した化合物(S-1)~(S-5)は、以下のとおりである。
【化12】
【0117】
[1]酸架橋性基含有シリコーン樹脂の合成
[合成例1]樹脂A-1の合成
攪拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、化合物(S-5)265.0g(1.00モル)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃まで加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、化合物(S-1)164.9g(0.85モル)及び化合物(S-2)(y1=40、信越化学工業(株)製)453.0g(0.15モル)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃まで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂A-1を得た。樹脂A-1は、1H-NMR及び29Si-NMR(Bruker社製)並びにGPC測定により、構造を確認した。樹脂A-1のMwは65,000、シリコーン含有率は51.3質量%であった。
【0118】
[合成例2]樹脂A-2の合成
攪拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、化合物(S-3)111.6g(0.60モル)、化合物(S-4)156.8g(0.40モル)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃まで加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、化合物(S-1)135.8g(0.70モル)及び化合物(S-2)(y1=40、信越化学工業(株)製)906.0g(0.30モル)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃まで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂A-2を得た。樹脂A-2は、1H-NMR及び29Si-NMR(Bruker社製)並びにGPC測定により、構造を確認した。樹脂A-2のMwは55,000、シリコーン含有率は77.7質量%であった。
【0119】
[合成例3]樹脂A-3の合成
攪拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、化合物(S-3)111.6g(0.60モル)、化合物(S-5)106.0g(0.40モル)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃まで加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、化合物(S-1)174.6g(0.90モル)及び化合物(S-2)(y1=40、信越化学工業(株)製)302.0g(0.10モル)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃まで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂A-3を得た。樹脂A-3は、1H-NMR及び29Si-NMR(Bruker社製)並びにGPC測定により、構造を確認した。樹脂A-3のMwは50,000、シリコーン含有率は59.6質量%であった。
【0120】
[合成例4]樹脂A-4の合成
攪拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、化合物(S-4)392.0g(1.00モル)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃まで加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、化合物(S-1)155.2g(0.80モル)及び化合物(S-2)(y1=20、信越化学工業(株)製)317.0g(0.20モル)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃まで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂A-4を得た。樹脂A-4は、1H-NMR及び29Si-NMR(Bruker社製)並びにGPC測定により、構造を確認した。樹脂A-4のMwは23,000、シリコーン含有率は36.7質量%であった。
【0121】
[合成例5]樹脂A-5の合成
攪拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、化合物(S-4)274.4g(0.70モル)、化合物(S-5)79.5g(0.30モル)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃まで加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、化合物(S-1)58.2g(0.30モル)及び化合物(S-2)(y1=20、信越化学工業(株)製)1,109.5g(0.70モル)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃まで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂A-5を得た。樹脂A-5は、1H-NMR及び29Si-NMR(Bruker社製)並びにGPC測定により、構造を確認した。樹脂A-5のMwは42,000、シリコーン含有率は72.9質量%であった。
【0122】
[合成例6]樹脂A-6の合成
攪拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、化合物(S-3)55.8g(0.30モル)、化合物(S-4)117.6g(0.30モル)、化合物(S-5)106.0g(0.40モル)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃まで加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、化合物(S-1)135.8g(0.70モル)及び化合物(S-2)(y1=20、信越化学工業(株)製)475.5g(0.30モル)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃まで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂A-6を得た。樹脂A-6は、1H-NMR及び29Si-NMR(Bruker社製)並びにGPC測定により、構造を確認した。樹脂A-6のMwは31,000、シリコーン含有率は59.6質量%であった。
【0123】
[比較合成例1]アクリル樹脂1の合成
攪拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル70g、トルエン70gを仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃に昇温し、反応温度を80℃±2℃に保ちながら、メタクリル酸メチル90g、メタクリル酸10g及び2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)を4時間かけて均一に滴下した。滴下後、80℃±2℃で6時間攪拌を続け、アクリル樹脂1の溶液を得た。アクリル樹脂1のMwは、50,000であった。
【0124】
[2]感光性樹脂組成物の調製、及びその評価
[実施例1~15及び比較例1~9]
表1及び2に記載の配合量に従って配合し、その後常温にて攪拌、混合、溶解し、実施例1~15及び比較例1~9の感光性樹脂組成物を得た。
【0125】
【0126】
【0127】
表1及び2中、二酸化チタンは、Chemours社製の二酸化チタンR-105(表面シロキサン化合物処理、平均粒径300nm、酸化チタン92質量%)である。酸化イットリウムは、信越化学工業(株)製の酸化イットリウムUU-Type(平均粒径300nm)である。また、光酸発生剤PAG-1、架橋剤D-1~D-3、酸化防止剤E-1及びE-2、アクリル樹脂2、並びにIrgacure OXE02は、以下のとおりである。
【0128】
【0129】
・架橋剤D-1(信越化学工業(株)製):
【化14】
【0130】
・架橋剤D-2(四国化成工業(株)製):
【化15】
【0131】
・架橋剤D-3(四国化成工業(株)製):
【化16】
【0132】
・酸化防止剤E-1:CHIMASSORB 119FL(BASF社製)
【化17】
【0133】
・酸化防止剤E-2:IRGANOX 3114(BASF社製)
【化18】
【0134】
・アクリル樹脂2:日本化薬(株)製、商品名「DPCA-20」(ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのアクリル酸エステル。下記式参照。)
【化19】
【0135】
・Irgacure OXE02:BASF社製(エタノン, 1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-, 1-(O-アセチルオキシム))
【0136】
[3]パターン形成評価
(1)パターン形成及びその評価
ガラス基板上に、スピンコーターを使用して、10μmの膜厚で各感光性樹脂組成物をコートした。組成物から溶剤を除去するため、基板をホットプレートにのせ、110℃で3分間、加熱乾燥させた。得られた感光性樹脂皮膜に対してラインアンドスペースパターン及びコンタクトホールパターンを形成するためにマスクを介し、365nmの露光条件でコンタクトアライナ型露光装置を使用して露光した。光照射後、ホットプレートにより120℃で3分間PEBを行った後冷却し、前記基板をPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)にて300秒間スプレー現像を行い、パターンを形成した。
【0137】
前記方法によりパターンを形成した基板上の感光性樹脂皮膜をオーブンを用いて190℃で2時間、窒素パージしながら後硬化した。その後、走査型電子顕微鏡(SEM)により、形成した50μm、30μm、20μm、10μm、5μmのコンタクトホールパターン断面を観察し、フィルム底部までホールが貫通している最小のホールパターンを限界解像性とした。更に得られた断面写真から、50μmのコンタクトホールパターンの垂直性を評価し、垂直なパターンは◎、やや逆テーパー形状は○、逆テーパー形状は△、開口不良は×とした。結果を、表3及び4に示す。
【0138】
(2)信頼性(密着性、耐クラック性)の評価
(1)でパターン形成した硬化後の実施例1~15及び比較例1~9の各感光性樹脂皮膜付き基板をダイシングブレードを備えるダイシングソー(DAD685、DISCO社製、スピンドル回転数は40,000rpm、切断速度は20mm/sec)を使用して10mm×10mm角の試験片を得た。得られた試験片(各10片づつ)をヒートサイクル試験(-25℃で10分間保持、125℃で10分間保持を1,000サイクル繰り返した。)に供し、ヒートサイクル試験後の感光性樹脂皮膜の基板からの剥離状態、及びクラックの有無を確認した。全く剥離・クラックを生じなかったものを良好、1つでも剥離を生じたものを剥離、1つでもクラックが生じたものをクラックとした。結果を、表3及び4に示す。
【0139】
(3)可撓性試験
作製したフィルムを直径5mmの心棒に巻きつけ、10秒間静置後、フィルムを元に戻した。これを10回繰り返し、フィルム上に異常がないか確認を行った。割れ等が発生していた場合は「×」、変化がない場合は「○」とした。結果を、表3及び4に示す。
【0140】
(4)光反射率測定試験
厚さ3mmの感光性被膜を形成し、ズース・マイクロテック社のマスクアライナーMA8を用い、高圧水銀灯(波長360nm)を光源とする光を照射したのち、PEBを行い、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに浸漬した。この操作後に残った皮膜を更に190℃のオーブンで2時間加熱して、硬化皮膜を得た。初期の波長450nmの光反射率を測定後、150℃で300時間置き、300時間後の波長450nmの反射率を測定した。測定には、X-Rite社製X-Rite 8200を使用した。結果を、表3及び4に示す。
【0141】
【0142】
【0143】
以上の結果より、本発明の感光性樹脂組成物は、良好な信頼性(密着性、耐クラック性)、解像性、可撓性を有し、膜厚が薄くても十分な遮光性を有する硬化膜を形成することができることが示された。