(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】表面処理剤およびこれを用いた表面処理方法
(51)【国際特許分類】
C09D 201/10 20060101AFI20221004BHJP
C09K 3/18 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
C09D201/10
C09K3/18 104
(21)【出願番号】P 2019204026
(22)【出願日】2019-11-11
【審査請求日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2018226982
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】入學 武
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-001152(JP,A)
【文献】特開2015-160811(JP,A)
【文献】国際公開第2015/146127(WO,A1)
【文献】特開2011-122137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物を含むことを特徴とする表面処理剤。
【化1】
(式中、R
1は、非置換の炭素数6~20の直鎖状アルキル基を表し、R
2は、置換または非置換の、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3~6のアルキレン基を表し、R
3およびR
4は、それぞれ独立して置換または非置換の炭素数1~10の1価炭化水素基を表し、nは、0または1の整数を表す。)
【請求項2】
前記R
1が、非置換の炭素数8~14の直鎖状アルキル基である請求項1記載の表面処理剤。
【請求項3】
さらに、溶媒を含む請求項1または2記載の表面処理剤。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項記載の表面処理剤を、基材に塗布、接触または混合する表面処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理剤およびこれを用いた表面処理方法に関し、さらに詳述すると、環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物を含む表面処理剤およびこれを用いた表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無機材料や有機材料等の基材の表面を化学的修飾による表面処理を行うことで、基材の表面に様々な特性を付与することができる表面処理剤が開発されている。
上記表面処理剤の中でも、加水分解性シリル基と有機基を有する有機ケイ素化合物は、加水分解性シリル基の加水分解によって生成するシラノール基が基材表面の水酸基と共有結合を形成し、さらに有機基が有機材料と反応することで、通常では結びつきにくい有機材料と無機材料を結びつけることを可能にする。これにより、有機無機複合材料に耐熱性、耐水性、耐候性、機械的強度の向上、密着性、分散性、疎水性、防錆性等の特性を付与することができるため、表面処理剤として特に有用な化合物として知られている。
【0003】
上記有機ケイ素化合物としては、例えば、3-(n-ブチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するアルコキシシラン化合物(特許文献1)や、2,2-ジメトキシ-1-ブチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン等の環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物(特許文献2)等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許第10140563号明細書
【文献】国際公開第2003/091186号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1記載のアミノ基を有するアルコキシシラン化合物は、表面処理剤として用いた場合、アルコキシシリル基の加水分解によって相当量のアルコールが発生する。近年、地球温暖化や健康問題等に関係の深い環境問題において、揮発性有機化合物の削減が大きなテーマとして挙げられており、上記アルコキシシラン化合物は、アルコールの発生量が多く、環境への負荷が懸念される。
また、加水分解によって生成するシラノール基同士が縮合してシロキサンを生成するため、基材表面の水酸基との反応性が低下するおそれがある。基材表面の水酸基と十分に反応させるためには、反応温度を高くするか、反応時間を長くする必要があるが、この場合は生産性が低下する。しかも、未反応のシラノール基が存在する場合、表面処理後の基材表面は、シラノール基とアミノ基が混在した状態になるため、アミノ基に由来する所望の効果が十分に発揮されない可能性がある。
【0006】
アミノ基を有するアルコキシシラン化合物のアルコールの発生量を削減する方法の一つとして、アミノ基とアルコキシシリル基を分子内で環化反応させ、環状シラザン構造に誘導する方法(特許文献2)が知られている。この環状シラザン構造は、加水分解することなく基材表面の水酸基と反応して共有結合を形成するため、表面処理剤として用いた場合、前述のアミノ基を有するアルコキシシラン化合物における加水分解の問題点を有しないという利点もある。
【0007】
しかし、特許文献2記載の環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物は、アミノ基の置換基の立体障害によっては、基材表面の水酸基との反応性が大きく異なる。また、環状シラザン構造が基材表面の水酸基と反応して共有結合を形成した後、さらにアルコキシシリル基が基材表面の別の水酸基と反応して共有結合を形成するためには、湿気雰囲気に曝す等の後処理を行ってアルコキシシリル基を加水分解する必要がある。
すなわち、アミノ基の置換基がt-ブチル基やフェニル基等の立体障害の大きい環状シラザン構造の場合、基材表面の水酸基との反応性が低いため、表面処理が完了しづらい。基材表面の水酸基と十分に反応させるためには、反応温度を高くするか、反応時間を長くする必要があるが、この場合は生産性が低下する。また、アミノ基の置換基がn-ブチル基等の立体障害の小さい環状シラザン構造の場合、環状シラザン構造が基材表面の水酸基と容易に反応して共有結合を形成するが、後処理の加水分解の際、アルコキシシリル基の他に基材との共有結合部分も加水分解するため、表面処理後の基材の耐久性・安定性が低くなる等の問題点があった。
【0008】
したがって、環状シラザン構造が基材表面の水酸基と容易に反応して共有結合を形成し、かつ、後処理の加水分解の際、基材との共有結合部分が加水分解しない環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物を含む表面処理剤の開発が望まれていた。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、環状シラザン構造が基材表面の水酸基と容易に反応して共有結合を形成し、かつ、後処理の加水分解の際、基材との共有結合部分が加水分解しない、環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物を含む表面処理剤およびこれを用いた表面処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、アミノ基の置換基が所定の炭素数の直鎖状アルキル基である環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物を含む表面処理剤を用いて基材の表面処理を行うことにより、環状シラザン構造が基材表面の水酸基と容易に反応して共有結合を形成することを見出すとともに、後処理の加水分解の際、基材との共有結合部分が加水分解しないことを見出し、発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、
1. 下記一般式(1)で示される環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物を含むことを特徴とする表面処理剤、
【化1】
(式中、R
1は、非置換の炭素数6~20の直鎖状アルキル基を表し、R
2は、置換または非置換の、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3~6のアルキレン基を表し、R
3およびR
4は、それぞれ独立して置換または非置換の炭素数1~10の1価炭化水素基を表し、nは、0または1の整数を表す。)
2. 前記R
1が、非置換の炭素数8~14の直鎖状アルキル基である1の表面処理剤、
3. さらに、溶媒を含む1または2の表面処理剤、
4. 1~3のいずれかの表面処理剤を、基材に塗布、接触または混合する表面処理方法
を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の表面処理剤およびこれを用いた表面処理方法によれば、環状シラザン構造が基材表面の水酸基と容易に反応して共有結合を形成することにより、短い反応時間でも表面処理を完結することができる。さらに、後処理の加水分解の際、基材との共有結合部分が加水分解しないため、表面処理後の基材の耐久性・安定性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】合成例1で得られた化合物の
1H-NMRスペクトル図である。
【
図2】合成例1で得られた化合物のIRスペクトル図である。
【
図3】合成例2で得られた化合物の
1H-NMRスペクトル図である。
【
図4】合成例2で得られた化合物のIRスペクトル図である。
【
図5】合成例3で得られた化合物の
1H-NMRスペクトル図である。
【
図6】合成例3で得られた化合物のIRスペクトル図である。
【
図7】合成例4で得られた化合物の
1H-NMRスペクトル図である。
【
図8】合成例4で得られた化合物のIRスペクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係る表面処理剤は、下記一般式(1)で示される環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物を含む。
【化2】
【0015】
上記一般式(1)において、R1は、非置換の炭素数6~20、好ましくは炭素数8~16、より好ましくは炭素数8~14の直鎖状アルキル基を表す。
炭素数20より長鎖の直鎖状アルキル基の場合、すなわち、アミノ基の置換基が立体障害の大きい環状シラザン構造の場合、基材表面の水酸基との反応性が低いため、表面処理が完了しづらい。また、炭素数6より短鎖の直鎖状アルキル基の場合、すなわち、アミノ基の置換基が立体障害の小さい環状シラザン構造の場合、環状シラザン構造が基材表面の水酸基と容易に反応して共有結合を形成する。しかし、後処理の加水分解の際、アルコキシシリル基の他に基材との共有結合部分も加水分解するため、表面処理後の基材の耐久性・安定性が低くなる。
一方、炭素数6~20の直鎖状アルキル基は、環状シラザン構造が基材表面の水酸基と容易に反応して共有結合を形成し、かつ、後処理の加水分解の際、基材との共有結合部分が加水分解しないため、上記一般式(1)で示されるアルコキシシラン化合物を含む表面処理剤にて表面処理後の基材の耐久性・安定性を向上することができる。特に、炭素数8~14の直鎖状アルキル基は、基材表面の水酸基との反応性に特に優れ、表面処理後の基材の耐久性・安定性を著しく向上することができる。
【0016】
R1の非置換の炭素数6~20の直鎖状アルキル基の具体例としては、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、n-イコシル基が挙げられる。
これらの中でも、R1としては、特に前駆原料の入手容易性の観点から、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、n-オクタデシル基、n-イコシル基がより好ましく、基材表面の水酸基との反応性、表面処理後の基材の耐久性・安定性の観点から、非置換の炭素数8~14の直鎖状アルキル基である、n-オクチル基、n-デシル基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基がより一層好ましい。
【0017】
また、上記一般式(1)において、R2は、置換または非置換の、ヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数3~6、好ましくは炭素数3~5、より好ましくは炭素数3または4のアルキレン基を表す。
上記炭素数3~6のアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれでもよく、その具体例としては、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、イソブチレン基等が挙げられる。
なお、これらのアルキレン基はヘテロ原子を含んでいてもよく、その分子鎖中に、エーテル基、エステル基、カルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基等の1種または2種以上が介在していてもよい。
また、これらのアルキレン基の水素原子の一部または全部は、その他の置換基で置換されていてもよく、この置換基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、(イソ)プロポキシ基等の炭素数1~3のアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;フェニル基等の芳香族炭化水素基;シアノ基、アミノ基、エステル基、エーテル基、カルボニル基、アシル基、スルフィド基等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの置換基の置換位置は特に限定されず、置換基数も限定されない。
これらの中でも、R2としては、非置換の、炭素数3または4の直鎖状アルキレン基が好ましく、特に前駆原料の入手容易性の観点から、トリメチレン基がより好ましい。
【0018】
上記一般式(1)において、R3およびR4は、それぞれ独立して、置換または非置換の、炭素数1~10、好ましくは炭素数1~8、より好ましくは炭素数1~6の1価炭化水素基を表す。
上記炭素数1~10の1価炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、イソヘキシル、イソヘプチル、イソオクチル、tert-オクチル、イソノニル、イソデシル基等の分岐鎖状のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基;ビニル、アリル、ブテニル、メタリル基等のアルケニル基;フェニル、トリル、キシリル基等のアリール基;ベンジル、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらの中でも、R3およびR4としては、非置換の炭素数1~6の直鎖状アルキル基が好ましく、特に前駆原料の入手容易性の観点から、非置換の炭素数1~3の直鎖状アルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基がより一層好ましい。
なお、これらの1価炭化水素基の水素原子の一部または全部は、その他の置換基で置換されていてもよく、この置換基としては、R2で例示した基と同様のものが挙げられる。
【0019】
上記一般式(1)において、nは、0または1の整数であるが、特に表面処理剤として用いた場合、基材表面の複数の水酸基と反応して密着性を高める観点から、0が好ましい。
【0020】
一般式(1)の環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物の具体例としては、2,2-ジメトキシ-1-n-ヘキシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-n-オクチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-n-デシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-n-ドデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-n-テトラデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-n-ヘキサデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-n-オクタデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-n-イコシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-n-ヘキシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-n-オクチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-n-デシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-n-ドデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-n-テトラデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-n-ヘキサデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-n-オクタデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-n-イコシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-n-ヘキシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-n-オクチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-n-デシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-n-ドデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-n-テトラデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-n-ヘキサデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-n-オクタデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-n-イコシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-n-ヘキシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-n-オクチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-n-デシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-n-ドデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-n-テトラデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-n-ヘキサデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-n-オクタデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-n-イコシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メトキシ-1-n-ヘキシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メトキシ-1-n-オクチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メトキシ-1-n-デシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メトキシ-1-n-ドデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メトキシ-1-n-テトラデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メトキシ-1-n-ヘキサデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メトキシ-1-n-オクタデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メトキシ-1-n-イコシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン等が挙げられる。
【0021】
これらの中でも、特に表面処理剤として用いた場合における基材表面の水酸基との反応性、表面処理後の基材の耐久性・安定性の観点から、R1が非置換の炭素数8~14の直鎖状アルキル基であり、R2がトリメチレン基であり、R3およびR4がそれぞれ独立してメチル基またはエチル基であり、nが0の整数である、2,2-ジメトキシ-1-n-オクチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-n-デシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-n-ドデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-n-テトラデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-n-オクチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-n-デシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-n-ドデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-n-テトラデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタンが好ましい。
【0022】
本発明の環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物を含む表面処理剤(以下、単に表面処理剤という。)を用いて基材の表面処理を行う場合、環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物をそのまま使用しても問題ないが、溶媒に希釈して用いてもよい。
溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が挙げられ、これらの溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を混合してもよい。これらの中でも、環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物との相溶性の観点から、特に炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒が好ましい。
【0023】
環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物を用いる場合の濃度は特に限定されないが、反応性・生産性の観点から、環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物が、0.001~50質量%、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは0.1~10質量%の範囲となるように上記溶媒に希釈して用いるとよい。環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物の濃度が0.001質量%未満だと表面処理が十分に行えない可能性があり、50質量%を超えると表面処理による特性付与効果が頭打ちとなり、環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物の使用量が増えるばかりで経済的ではない。
【0024】
以上説明した本発明の表面処理剤を用いて基材の表面処理を行うことにより、表面処理後の基材の耐久性・安定性を向上することができる。
【0025】
次に、本発明の表面処理剤を用いた表面処理方法について説明する。
本発明の表面処理剤を用いて基材の表面処理を行う方法としては、特に制限はなく、基材に表面処理剤を塗布する方法、不活性ガスにて表面処理剤を同伴させ、この同伴ガスに基材を接触させる方法、基材と共に表面処理剤を直接ミキサーやミルで混合する方法等が挙げられる。
表面処理剤を塗布する方法としては、例えば、刷毛塗り法、スプレーコーティング法、ワイヤーバー法、ブレード法、ロールコーティング法、ディッピング法等が挙げられる。
本発明の表面処理剤を、基材に塗布、接触または混合する時間(反応時間)は特に限定されないが、反応性・生産性の観点から、好ましくは1秒~10分、より好ましくは1秒~5分、より一層好ましくは1秒~1分の範囲である。
また、本発明の表面処理剤を、基材に塗布、接触または混合する際の温度(反応温度)も特に限定されないが、反応性・生産性の観点から、好ましくは0~100℃、より好ましくは10~50℃、より一層好ましくは20~30℃の範囲であるが、反応温度は上記反応時間との関係において、適宜設定すればよい。
【0026】
表面処理が施される基材は、無機材料と有機材料のどちらでもよい。
無機材料としては、ガラス板、ガラス繊維、珪藻土、珪酸カルシウム、シリカ、シリコン、タルク、マイカ等のケイ素化合物;酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられ、環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物との反応性の観点から、特にケイ素化合物、金属酸化物が好ましい。
有機材料としては、ゴム、紙、セルロース等の天然高分子;アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の合成高分子;油脂、界面活性剤、液晶等が挙げられ、環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物との反応性の観点から、特に天然高分子、合成高分子が好ましい。
【0027】
本発明の表面処理剤を用いて基材の表面処理を行った後は、洗浄、乾燥等により余剰の表面処理剤を除去する。なお、洗浄と乾燥による後処理は、単独で行っても、組み合わせて行ってもよい。
洗浄溶媒としては、特に制限はないが、前述の環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物を希釈する溶媒で例示した溶媒と同じものを使用することができる。
洗浄方法としては、特に制限はないが、表面処理後の基材に対して、洗浄溶媒中に浸漬する方法、洗浄溶媒をスプレーする方法等を採用することができる。
洗浄時間は、表面処理後の基材に悪影響を与えない限り特に限定されないが、生産性の観点から、好ましくは1~240分、より好ましくは1~180分、より一層好ましくは1~120分の範囲である。
洗浄温度は、表面処理後の基材に悪影響を与えない限り特に限定されないが、生産性の観点から、好ましくは0~200℃、より好ましくは0~150℃、より一層好ましくは0~100℃の範囲であるが、洗浄温度は上記洗浄時間との関係において、適宜設定すればよい。
乾燥時間は、表面処理後の基材に悪影響を与えない限り特に限定されないが、生産性の観点から、好ましくは1~240分、より好ましくは1~180分、より一層好ましくは1~120分の範囲である。
乾燥温度は、表面処理後の基材に悪影響を与えない限り特に限定されないが、生産性の観点から、好ましくは0~200℃、より好ましくは0~150℃、より一層好ましくは0~100℃の範囲であるが、乾燥温度は上記乾燥時間との関係において、適宜設定すればよい。
【0028】
余剰の表面処理剤を除去した後の基材は、湿気雰囲気に曝してアルコキシシリル基を加水分解する。
湿気雰囲気に曝す方法としては、特に制限はないが、イオン交換水や蒸留水等の純水中に浸漬する方法、恒温恒湿装置を使用して所定の湿度で処理する方法等を採用することができる。
湿気雰囲気に曝す時間(暴露時間)は、表面処理後の基材に悪影響を与えない限り特に限定されないが、生産性の観点から、好ましくは1~240分、より好ましくは1~180分、より一層好ましくは1~120分の範囲である。
湿気雰囲気に曝す温度(暴露温度)は、表面処理後の基材に悪影響を与えない限り特に限定されないが、生産性の観点から、好ましくは0~100℃、より好ましくは10~80℃、より一層好ましくは20~60℃の範囲であるが、暴露温度は上記暴露時間との関係において、適宜設定すればよい。
【0029】
なお、本発明の表面処理剤は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、顔料、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、pH調節剤、フィルム形成剤、帯電防止剤、抗菌剤、界面活性剤、染料等から選択されるその他の添加剤の1種以上を含む組成物として用いることもできる。
【実施例】
【0030】
以下、合成例、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0031】
[1]環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物の合成
[合成例1]2,2-ジメトキシ-1-n-ブチル-1-アザ-2-シラシクロペンタンの合成
撹拌機、還流器、滴下ロートおよび温度計を備えたフラスコに、n-ブチルアミン292.6g(4.000モル)を仕込み、78℃に加熱した。内温が安定した後、クロロプロピルトリメトキシシラン198.7g(1.000モル)を10時間かけて滴下し、その温度で50時間撹拌した。室温に冷却した後、反応で生じたn-ブチルアミン塩酸塩を濾過により除去し、前駆体反応液362.6gを得た。
次いで、撹拌機、還流器、分留頭および温度計を備えたフラスコに、上記前駆体反応液362.6g、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(28質量%ナトリウムメトキシド)3.8g(0.020モル)を仕込み、発生するメタノールを留去しながら蒸留することで、沸点47~48℃/0.2kPaの無色透明留分を136.3g得た。
得られた留分について、
1H-NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)およびIRスペクトルを測定した。それらの結果を
図1,2にそれぞれ示す。
以上の結果より、得られた留分は2,2-ジメトキシ-1-n-ブチル-1-アザ-2-シラシクロペンタンであることが確認された。
【0032】
[合成例2]2,2-ジメトキシ-1-n-オクチル-1-アザ-2-シラシクロペンタンの合成
撹拌機、還流器、滴下ロートおよび温度計を備えたフラスコに、n-オクチルアミン517.2g(4.000モル)を仕込み、150℃に加熱した。内温が安定した後、クロロプロピルトリメトキシシラン198.7g(1.000モル)を10時間かけて滴下し、その温度で10時間撹拌した。室温に冷却した後、反応で生じたn-オクチルアミン塩酸塩を濾過により除去し、前駆体反応液522.6gを得た。
次いで、撹拌機、還流器、分留頭および温度計を備えたフラスコに、上記前駆体反応液522.6g、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(28質量%ナトリウムメトキシド)3.8g(0.020モル)を仕込み、発生するメタノールを留去しながら蒸留することで、沸点104~105℃/0.2kPaの無色透明留分を233.6g得た。
得られた留分について、
1H-NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)およびIRスペクトルを測定した。それらの結果を
図3,4にそれぞれ示す。
以上の結果より、得られた留分は2,2-ジメトキシ-1-n-オクチル-1-アザ-2-シラシクロペンタンであることが確認された。
【0033】
[合成例3]2,2-ジメトキシ-1-n-テトラデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタンの合成
撹拌機、還流器、滴下ロートおよび温度計を備えたフラスコに、n-テトラデシルアミン853.6g(4.000モル)を仕込み、150℃に加熱した。内温が安定した後、クロロプロピルトリメトキシシラン198.7g(1.000モル)を10時間かけて滴下し、その温度で10時間撹拌した。室温に冷却した後、反応で生じたn-テトラデシルアミン塩酸塩を濾過により除去し、前駆体反応液763.2gを得た。
次いで、撹拌機、還流器、分留頭および温度計を備えたフラスコに、上記前駆体反応液763.2g、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(28質量%ナトリウムメトキシド)3.8g(0.020モル)を仕込み、発生するメタノールを留去しながら蒸留することで、沸点167~168℃/0.2kPaの無色透明留分を307.5g得た。
得られた留分について、
1H-NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)およびIRスペクトルを測定した。それらの結果を
図5,6にそれぞれ示す。
以上の結果より、得られた留分は2,2-ジメトキシ-1-n-テトラデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタンであることが確認された。
【0034】
[合成例4]2,2-ジメトキシ-1-フェニル-1-アザ-2-シラシクロペンタンの合成
撹拌機、還流器、滴下ロートおよび温度計を備えたフラスコに、アニリン372.4g(4.000モル)を仕込み、150℃に加熱した。内温が安定した後、クロロプロピルトリメトキシシラン198.7g(1.000モル)を10時間かけて滴下し、その温度で10時間撹拌した。室温に冷却した後、反応で生じたアニリン塩酸塩を濾過により除去し、前駆体反応液419.4gを得た。
次いで、撹拌機、還流器、分留頭および温度計を備えたフラスコに、上記前駆体反応液419.4g、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(28質量%ナトリウムメトキシド)3.8g(0.020モル)を仕込み、発生するメタノールを留去しながら蒸留することで、沸点125~126℃/0.3kPaの無色透明留分を162.0g得た。
得られた留分について、
1H-NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)およびIRスペクトルを測定した。それらの結果を
図7,8にそれぞれ示す。
以上の結果より、得られた留分は2,2-ジメトキシ-1-フェニル-1-アザ-2-シラシクロペンタンであることが確認された。
【0035】
[合成例5]2,2-ジエトキシ-1-n-デシル-1-アザ-2-シラシクロペンタンの合成
原料化合物をn-デシルアミンとクロロプロピルトリエトキシシランに変更した以外は、合成例1と同様にして2,2-ジエトキシ-1-n-デシル-1-アザ-2-シラシクロペンタンを合成した。
【0036】
[合成例6]2,2-ジエトキシ-1-n-ドデシル-1-アザー2-シラシクロペンタンの合成
原料化合物をn-ドデシルアミンとクロロプロピルトリエトキシシランに変更した以外は、合成例1と同様にして2,2-ジエトキシ-1-n-ドデシル-1-アザー2-シラシクロペンタンを合成した。
【0037】
[2]表面処理剤の調製および表面処理
[実施例1]
合成例2で得られた2,2-ジメトキシ-1-n-オクチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン1.3g(0.005モル)をトルエン100mLに添加した溶液(表面処理剤)に、予めUVオゾン洗浄したガラス板(松浪硝子工業(株)製;スライドグラス、白緑磨フロストNo.1、サイズ76mm*26mm、厚み0.8~1.0mm、フロスト巾15mm*26mm)を25℃で30秒浸漬して表面処理を行った。
ガラス板を溶液から引き揚げ、新たにトルエン100mLに浸漬して超音波洗浄機(本多電子(株)製;W-221)にて25℃で60分超音波洗浄した後、50℃で60分乾燥した。その後、ガラス板を恒温恒湿機(ヤマト科学(株)製;IW243)にて相対湿度90%の条件に25℃で60分暴露して後処理を行った。
【0038】
[実施例2]
ガラス板の表面処理剤への浸漬時間を60分に変更した以外は、実施例1と同様にして表面処理および後処理を行った。
【0039】
[実施例3]
相対湿度90%の条件での暴露時間を24時間に変更した以外は、実施例1と同様にして表面処理および後処理を行った。
【0040】
[実施例4~6]
環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物として、合成例3で得られた2,2-ジメトキシ-1-n-テトラデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン1.7g(0.005モル)を用いた以外は、実施例1~3とそれぞれ同様にして表面処理および後処理を行った。
【0041】
[実施例7~9]
環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物として、合成例5で得られた2,2-ジエトキシ-1-n-デシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン1.6g(0.005モル)を用いた以外は、実施例1~3とそれぞれ同様にして表面処理および後処理を行った。
【0042】
[実施例10~12]
環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物として、合成例6で得られた2,2-ジエトキシ-1-n-ドデシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン1.7g(0.005モル)を用いた以外は、実施例1~3とそれぞれ同様にして表面処理および後処理を行った。
【0043】
[比較例1~3]
環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物として、合成例1で得られた2,2-ジメトキシ-1-n-ブチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン1.0g(0.005モル)を用いた以外は、実施例1~3とそれぞれ同様にして表面処理および後処理を行った。
【0044】
[比較例4~6]
環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物として、合成例4で得られた2,2-ジメトキシ-1-フェニル-1-アザ-2-シラシクロペンタン1.1g(0.005モル)を用いた以外は、実施例1~3とそれぞれ同様にして表面処理および後処理を行った。
【0045】
[性能評価]
上記実施例1~12および比較例1~6で表面処理したガラス板を接触角計(協和界面科学(株)製;DMs-401、解析ソフトウェアFAMAS)にて純水1μLを垂らし、その接触角を測定した。結果を表1に示す。
【0046】
【0047】
表1に示されるように、環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物において、アミノ基の置換基によって基材との反応性、表面処理後の基材の耐久性・安定性が異なることがわかる。
非置換の炭素数8~14の直鎖状アルキル基を有する環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物を含む表面処理剤を用いた場合、短い反応時間(実施例1、4、7および10)での接触角と長い反応時間(実施例2、5、8および11)での接触角が同じである。すなわち、環状シラザン構造が基材表面の水酸基と容易に反応して共有結合を形成することにより、短い反応時間で接触角が最大値になっており、短い反応時間でも表面処理が完結していることがわかる。さらに、長い暴露時間(実施例3、6、9および12)でも接触角が変化していない。すなわち、後処理の加水分解の際、基材との共有結合部分が加水分解しないことにより、表面処理後の基材の耐久性・安定性が向上していることがわかる。
【0048】
これに対して、立体障害の小さいn-ブチル基を有する環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物を含む表面処理剤を用いた場合は、暴露時間の違いにより接触角が変化しており、表面処理後の基材の耐久性・安定性が低いことがわかる(比較例1および3)。また、立体障害の大きいフェニル基を有する環状シラザン構造を有するアルコキシシラン化合物を含む表面処理剤を用いた場合は、反応時間の違いで接触角が変化しており、基材との反応性が低いことがわかる(比較例4および5)。