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特許7151767変倍光学系、光学機器、および変倍光学系の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】変倍光学系、光学機器、および変倍光学系の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/20 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
G02B15/20
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020529947
(86)(22)【出願日】2018-07-13
(86)【国際出願番号】 JP2018026486
(87)【国際公開番号】W WO2020012638
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2020-11-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】特許業務法人井上国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松原 陽子
(72)【発明者】
【氏名】梅田 武
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-133229(JP,A)
【文献】特開2010-181787(JP,A)
【文献】国際公開第2012/086153(WO,A1)
【文献】特開2011-59496(JP,A)
【文献】特開2012-22106(JP,A)
【文献】特開2006-119193(JP,A)
【文献】特開平10-333034(JP,A)
【文献】特開平8-29685(JP,A)
【文献】特開2013-218256(JP,A)
【文献】特開昭63-32513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群とからなり、
変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が変化し、
前記第1レンズ群は、物体側から順に、負レンズと正レンズとからなり、
前記第2レンズ群は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2aレンズ群と、正の屈折力を有する第2bレンズ群と、負の屈折力を有する第2cレンズ群とからなり、
前記第2bレンズ群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより像ブレを補正し、
前記第3レンズ群は1つのレンズ成分からなり、
以下の条件式を満足する変倍光学系。
0.180<G2/TLt<0.500
-20.00<R2f3/R1f3<-1.00
ただし、
G2:前記第2レンズ群の光軸上の長さ
TLt:望遠端状態における前記変倍光学系全系の光軸上の長さ
R1f3:前記レンズ成分の最も物体側のレンズ面の曲率半径
R2f3:前記レンズ成分の最も像側のレンズ面の曲率半径
【請求項2】
物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群とからなり、
変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が変化し、
前記第1レンズ群は、物体側から順に、負レンズと正レンズとからなり、
前記第2レンズ群は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2aレンズ群と、正の屈折力を有する第2bレンズ群と、負の屈折力を有する第2cレンズ群とからなり、
前記第2bレンズ群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより像ブレを補正し、
前記第2aレンズ群は、接合レンズからなる変倍光学系。
【請求項3】
前記第2aレンズ群は、接合レンズからなる請求項1に記載の変倍光学系。
【請求項4】
以下の条件式を満足する請求項2に記載の変倍光学系。
0.100<G2/TLt<0.500
ただし、
G2:前記第2レンズ群の光軸上の長さ
TLt:望遠端状態における前記変倍光学系全系の光軸上の長さ
【請求項5】
合焦の際、前記第3レンズ群が光軸方向に移動する請求項1から4の何れか一項に記載の変倍光学系。
【請求項6】
以下の条件式を満足する請求項1から5の何れか一項に記載の変倍光学系。
0.10<f11/f1<1.20
ただし、
f11:前記負レンズの焦点距離
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
【請求項7】
以下の条件式を満足する請求項1から6の何れか一項に記載の変倍光学系。
0.50<f12/(-f1)<4.00
ただし、
f12:前記正レンズの焦点距離
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
【請求項8】
以下の条件式を満足する請求項1から7の何れか一項に記載の変倍光学系。
0.200<f22/ft<1.700
ただし、
f22:前記第2bレンズ群の焦点距離
ft:望遠端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離
【請求項9】
以下の条件式を満足する請求項1から8の何れか一項に記載の変倍光学系。
0.150<f21/ft<2.000
ただし、
f21:前記第2aレンズ群の焦点距離
ft:望遠端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離
【請求項10】
前記第2bレンズ群は、接合レンズからなる請求項1から9の何れか一項に記載の変倍光学系。
【請求項11】
合焦の際、前記第3レンズ群が光軸方向に移動し、
以下の条件式を満足する請求項1から10の何れか一項に記載の変倍光学系。
1.00<(-fγw)<2.00
ただし、
fγw:広角端状態での前記第3レンズ群の移動量に対する像面の移動量の比率
【請求項12】
以下の条件式を満足する請求項1から11の何れか一項に記載の変倍光学系。
0.05<f21/f22<3.00
ただし、
f21:前記第2aレンズ群の焦点距離
f22:前記第2bレンズ群の焦点距離
【請求項13】
以下の条件式を満足する請求項1から12の何れか一項に記載の変倍光学系。
0.50<(-f3)/fw<3.00
ただし、
f3:前記第3レンズ群の焦点距離
fw:広角端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離
【請求項14】
以下の条件式を満足する請求項1から13の何れか一項に記載の変倍光学系。
0.020<G4/TLt<0.200
ただし、
G4:前記第4レンズ群の光軸上の長さ
TLt:望遠端状態における前記変倍光学系全系の光軸上の長さ
【請求項15】
前記第3レンズ群は、少なくとも1つの非球面を有する請求項1から14の何れか一項に記載の変倍光学系。
【請求項16】
以下の条件式を満足する請求項1から15の何れか一項に記載の変倍光学系。
-16.00<(-f23)/ft<5.00
ただし、
f23:前記第2cレンズ群の焦点距離
ft:望遠端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離
【請求項17】
以下の条件式を満足する請求項1から16の何れか一項に記載の変倍光学系。
50.0°<2ω<120.0°
ただし、
2ω:広角端状態における前記変倍光学系の全画角
【請求項18】
以下の条件式を満足する請求項1から17の何れか一項に記載の変倍光学系。
0.20<Bfa/fw<0.90
ただし、
Bfa:広角端状態における前記変倍光学系全系の空気換算バックフォーカス
fw:広角端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離
【請求項19】
請求項1から18の何れか一項に記載の変倍光学系を備えた光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変倍光学系、光学機器、および変倍光学系の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズ交換式カメラ等に用いられる変倍光学系において、小型化および光学性能の向上が図られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、さらなる小型化および光学性能の向上が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5781244号
【発明の概要】
【0004】
本発明は、
物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群とを有し、
変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が変化し、
前記第1レンズ群は、物体側から順に、負レンズと正レンズとからなり、
前記第2レンズ群は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2aレンズ群と、正の屈折力を有する第2bレンズ群と、負の屈折力を有する第2cレンズ群とからなる変倍光学系である。
【0005】
また、本発明は、
物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群とを有する変倍光学系の製造方法であって、
変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が変化するように構成し、
前記第1レンズ群が、物体側から順に、負レンズと正レンズとからなるように構成し、
前記第2レンズ群が、物体側から順に、正の屈折力を有する第2aレンズ群と、正の屈折力を有する第2bレンズ群と、負の屈折力を有する第2cレンズ群とからなるように構成する変倍光学系の製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態における断面図である。
図2図2Aおよび図2Bはそれぞれ、第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態および望遠端状態における諸収差図である。
図3図3は、第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態における断面図である。
図4図4Aおよび図4Bはそれぞれ、第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態および望遠端状態における諸収差図である。
図5図5は、第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態における断面図である。
図6図6Aおよび図6Bはそれぞれ、第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態および望遠端状態における諸収差図である。
図7図7は、第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態における断面図である。
図8図8Aおよび図8Bはそれぞれ、第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態および望遠端状態における諸収差図である。
図9図9は、第5実施例に係る変倍光学系の広角端状態における断面図である。
図10図10Aおよび図10Bはそれぞれ、第5実施例に係る変倍光学系の広角端状態および望遠端状態における諸収差図である。
図11図11は、第6実施例に係る変倍光学系の広角端状態における断面図である。
図12図12Aおよび図12Bはそれぞれ、第6実施例に係る変倍光学系の広角端状態および望遠端状態における諸収差図である。
図13図13は、第7実施例に係る変倍光学系の広角端状態における断面図である。
図14図14Aおよび図14Bはそれぞれ、第7実施例に係る変倍光学系の広角端状態および望遠端状態における諸収差図である。
図15図15は、第8実施例に係る変倍光学系の広角端状態における断面図である。
図16図16Aおよび図16Bはそれぞれ、第8実施例に係る変倍光学系の広角端状態および望遠端状態における諸収差図である。
図17図17は、変倍光学系を備えたカメラの構成を示す図である。
図18図18は、変倍光学系の製造方法の概略を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態に係る変倍光学系、光学機器および変倍光学系の製造方法について説明する。
本実施形態の変倍光学系は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群とを有し、変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が変化し、前記第1レンズ群は、物体側から順に、負レンズと正レンズとからなり、前記第2レンズ群は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2aレンズ群と、正の屈折力を有する第2bレンズ群と、負の屈折力を有する第2cレンズ群とからなる。
【0008】
本実施形態の変倍光学系は、このような構成により変倍を実現し、諸収差を良好に補正することができる高い光学性能および小型化を実現することができる。
【0009】
また、本実施形態の変倍光学系は、前記第2bレンズ群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより像ブレを補正することが望ましい。これにより、手振れによる像ブレを最低限に抑えることができる。また、像ブレを補正する際に発生する偏心コマをはじめとする周辺像面への影響を、前記第2bレンズ群の前側に配置された第2aレンズ群および後側に配置された第2cレンズ群で良好に補正することができる。
【0010】
また、本実施形態の変倍光学系は、合焦の際、前記第3レンズ群が光軸方向に移動することが望ましい。これにより合焦レンズ群である第3レンズ群の駆動機構を小型化すると共に、無限遠物体合焦状態から近距離物体合焦状態に至るまで良好な光学性能を得ることができる。
【0011】
また、本実施形態の変倍光学系は、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
(1)0.10<f11/f1<1.20
ただし、
f11:前記負レンズの焦点距離
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
【0012】
条件式(1)は、第1レンズ群内の物体側レンズ成分である負レンズの焦点距離と前記第1レンズ群の焦点距離との適切な比率を規定するための条件式である。本実施形態の変倍光学系は、条件式(1)を満足することにより、小型化を図り、且つ像面湾曲および歪曲収差を良好に補正することができる。
【0013】
本実施形態の変倍光学系の条件式(1)の対応値が上限値を上回ると、前記第1レンズ群内の物体側レンズ成分である負レンズの屈折力が弱くなり、変倍光学系が大型化してしまうと共に像面湾曲が補正不足となってしまう。なお、条件式(1)の上限値を1.10に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(1)の上限値を1.05、1.00、0.95、0.90、0.85、0.80、0.75、0.70、さらに0.68にすることが好ましい。
【0014】
一方、本実施形態の変倍光学系の条件式(1)の対応値が下限値を下回ると、前記第1レンズ群内の物体側レンズ成分である負レンズの屈折力が強くなり、歪曲収差と像面湾曲の補正が困難となってしまう。なお、条件式(1)の下限値を0.20に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(1)の下限値を0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.53、0.55、さらに0.56にすることが好ましい。
【0015】
また、本実施形態の変倍光学系は、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
(2)0.50<f12/(-f1)<4.00
ただし、
f12:前記正レンズの焦点距離
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
【0016】
条件式(2)は、前記第1レンズ群内の像側レンズ成分である正レンズの焦点距離と前記第1レンズ群の焦点距離との適切な比率を規定するための条件式である。本実施形態の変倍光学系は、条件式(2)を満足することにより、小型化を図り、且つ像面湾曲および歪曲収差を良好に補正することができる。
【0017】
本実施形態の変倍光学系の条件式(2)の対応値が上限値を上回ると、前記第1レンズ群内の像側レンズ成分である正レンズの屈折力が弱くなり、変倍光学系が大型化してしまうと共に歪曲収差が補正不足となってしまう。なお、条件式(2)の上限値を3.80に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(2)の上限値を3.60、3.40、3.20、3.00、2.80、2.70、2.50、さらに2.40にすることが好ましい。
【0018】
一方、本実施形態の変倍光学系の条件式(2)の対応値が下限値を下回ると、前記第1レンズ群内の像側レンズ成分である正レンズの屈折力が強くなり、像面湾曲と歪曲収差の補正が困難となってしまう。なお、条件式(2)の下限値を0.80に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(2)の下限値を1.00、1.10、1.20、1.30、1.40、1.50、1.60、1.70、さらに1.75にすることが好ましい。
【0019】
また、本実施形態の変倍光学系は、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3)0.200<f22/ft<1.700
ただし、
f22:前記第2bレンズ群の焦点距離
ft:望遠端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離
【0020】
条件式(3)は、防振レンズ群である第2bレンズ群の焦点距離と、望遠端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離との比について適切な範囲を規定するための条件式である。本実施形態の変倍光学系は、条件式(3)を満足することにより、小型化を図り、コマ収差を良好に補正することができる。
【0021】
本実施形態の変倍光学系の条件式(3)の対応値が上限値を上回ると、第2bレンズ群の屈折力が弱くなり、防振時のシフト量が増大してしまうので小型化の面で好ましくない。また、コマ収差や像面湾曲が補正不足となってしまう。なお、条件式(3)の上限値を1.680に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(3)の上限値を1.650、1.630、1.600、1.580、1.550、1.530、1.500、1.480、さらに1.450にすることが好ましい。
【0022】
一方、本実施形態の変倍光学系の条件式(3)の対応値が下限値を下回ると、第2bレンズ群の屈折力が強くなり、防振時の位置制御が難しくなるため好ましくない。また、偏芯コマやコマ収差の補正が難しくなってしまう。なお、条件式(3)の下限値を0.220に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(3)の下限値を0.240、0.260、0.280、0.300、0.320、0.340、0.360、0.380、さらに0.400にすることが好ましい。
【0023】
また、本実施形態の変倍光学系は、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
(4)0.150<f21/ft<2.000
ただし、
f21:前記第2aレンズ群の焦点距離
ft:望遠端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離
【0024】
条件式(4)は、前記第2aレンズ群の焦点距離と、望遠端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離との適切な比を規定する条件式である。本実施形態の変倍光学系は、条件式(4)を満足することにより、球面収差およびコマ収差を良好に補正することができる。
【0025】
本実施形態の変倍光学系の条件式(4)の対応値が上限値を上回ると、第2aレンズ群の屈折力が弱くなり、球面収差やコマ収差の補正が困難となってしまう。なお、条件式(4)の上限値を1.800に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(4)の上限値を1.500、1.300、1.000、0.980、0.950、0.930、0.900、0.880、さらに0.850にすることが好ましい。
【0026】
一方、本実施形態の変倍光学系の条件式(4)の対応値が下限値を下回ると、第2aレンズ群の屈折力が強くなり、球面収差やコマ収差を良好に補正することができなくなってしまう。なお、条件式(4)の下限値を0.200に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(4)の下限値を0.220、0.240、0.260、0.280、0.300、0.320、0.340、0.350、さらに0.360にすることが好ましい。
【0027】
また、本実施形態の変倍光学系は、前記第2aレンズ群が接合レンズからなることが望ましい。これにより、本実施形態の変倍光学系は色収差を良好に補正することができる。特に、第2aレンズ群を絞り付近の前記第2レンズ群に配置することで、軸上色収差の補正に有効である。
【0028】
また、本実施形態の変倍光学系は、前記第2bレンズ群が接合レンズからなることが望ましい。これにより、本実施形態の変倍光学系は色収差を良好に補正することができる。特に、第2bレンズ群を絞り付近の前記第2レンズ群に配置することで、軸上色収差の補正に有効である。
【0029】
また、本実施形態の変倍光学系は、合焦の際、前記第3レンズ群が光軸方向に移動し、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
(5)1.00<(-fγw)<2.00
ただし、
fγw:広角端状態での前記第3レンズ群の移動量に対する像面の移動量の比率
【0030】
条件式(5)は、合焦レンズ群である前記第3レンズ群の、広角端状態での移動量に対する像面の移動量の比率を規定する条件式である。本実施形態の変倍光学系は、条件式(5)を満足することにより、必要なフォーカスストロークを確保したうえで小型化を図り、さらに無限遠物体合焦時から近距離物体合焦時までの像面湾曲変動を良好に補正することができる。
【0031】
本実施形態の変倍光学系の条件式(5)の対応値が上限値を上回ると、合焦レンズ群である前記第3レンズ群の屈折力が強くなり、フォーカシングの位置制御が難しくなるため好ましくない。また、像面湾曲の変動が大きくなり、補正が困難となってしまう。なお、条件式(5)の上限値を1.90に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(5)の上限値を1.80、1.75、1.70、1.68、1.65、1.62、1.60、1.58、さらに1.55にすることが好ましい。
【0032】
一方、本実施形態の変倍光学系の条件式(5)の対応値が下限値を下回ると、合焦レンズ群である前記第3レンズ群の屈折力が弱くなり、前記第3レンズ群の移動量が増大してしまうので小型化の面で好ましくない。また、像面湾曲を良好に補正することができなくなってしまう。なお、条件式(5)の下限値を1.05に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(5)の下限値を1.10、1.15、1.18、1.20、1.21、さらに1.22にすることが好ましい。
【0033】
また、本実施形態の変倍光学系は、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
(6)0.05<f21/f22<3.00
ただし、
f21:前記第2aレンズ群の焦点距離
f22:前記第2bレンズ群の焦点距離
【0034】
条件式(6)は、第2aレンズ群の焦点距離と第2bレンズ群の焦点距離との適切な比率を規定するための条件式である。本実施形態の変倍光学系は、条件式(6)を満足することにより、第2aレンズ群の接合レンズと第2bレンズ群の接合レンズとのパワー配置が適切になり、ズーム全域に亘って色収差を良好に補正することができる。特に、第2aレンズ群の接合レンズと第2bレンズ群の接合レンズとを絞り付近の前記第2レンズ群に配置することで、軸上色収差の補正に有効である。
【0035】
本実施形態の変倍光学系の条件式(6)の対応値が上限値を上回ると、第2aレンズ群の屈折力が弱くなり、第2bレンズ群の屈折力が強くなるため、ズーム変動時の色収差補正のバランスが崩れてしまうため好ましくない。特に、望遠側の軸上色収差を良好に補正することができなくなってしまう。なお、条件式(6)の上限値を2.70に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(6)の上限値を2.50、2.20、2.00、1.95、1.90、1.85、1.82、1.80、さらに1.78にすることが好ましい。
【0036】
一方、本実施形態の変倍光学系の条件式(6)の対応値が下限値を下回ると、第2aレンズ群の屈折力が強くなり、第2bレンズ群の屈折力が弱くなるため、ズーム変動時の色収差補正のバランスが崩れてしまうため好ましくない。特に、広角側の軸上色収差を良好に補正することができなくなってしまう。なお、条件式(6)の下限値を0.08に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(6)の下限値を0.10、0.13、0.15、0.18、0.20、0.23、0.24、0.25、さらに0.26にすることが好ましい。
【0037】
また、本実施形態の変倍光学系は、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
(7)0.50<(-f3)/fw<3.00
ただし、
f3:前記第3レンズ群の焦点距離
fw:広角端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離
【0038】
条件式(7)は、合焦レンズ群である第3レンズ群の焦点距離と、広角端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離との比を規定する条件式である。本実施形態の変倍光学系は、条件式(7)を満足することにより、必要なフォーカスストロークを確保したうえで合焦レンズ群の駆動機構や構造の小型化を図り、さらに無限遠物体合焦状態から近距離物体合焦状態までの、特に広角側の焦点距離域で、像面湾曲の変動を良好に補正することができる。
【0039】
本実施形態の変倍光学系の条件式(7)の対応値が上限値を上回ると、合焦レンズ群である第3レンズ群の屈折力が弱くなり、第3レンズ群の移動量が増大してしまうので小型化の面で好ましくない。また、広角側の焦点距離域における像面湾曲の補正が困難となってしまう。なお、条件式(7)の上限値を2.80に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(7)の上限値を2.50、2.40、2.30、2.20、2.10、2.00、1.95、1.90、さらに1.85にすることが好ましい。
【0040】
一方、本実施形態の変倍光学系の条件式(7)の対応値が下限値を下回ると、合焦レンズ群である第3レンズ群の屈折力が強くなり、合焦レンズ群の位置制御が難しくなるため好ましくない。また、像面湾曲の変動が大きくなり、補正が困難となってしまう。なお、条件式(7)の下限値を0.60に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(7)の下限値を0.70、0.80、0.90、0.95、1.00、1.05、1.10、1.15、さらに1.20にすることが好ましい。
【0041】
また、本実施形態の変倍光学系は、以下の条件式(8)を満足することが望ましい。
(8)0.100<G2/TLt<0.500
ただし、
G2:前記第2レンズ群の光軸上の長さ
TLt:望遠端状態における前記変倍光学系全系の光軸上の長さ
【0042】
条件式(8)は、第2レンズ群の適切な光軸上の長さを規定するための条件式である。本実施形態の変倍光学系は、条件式(8)を満足することにより、小型化を図り、かつ球面収差およびコマ収差を良好に補正することができる。
【0043】
本実施形態の変倍光学系の条件式(8)の対応値が上限値を上回ると、第2レンズ群が厚くなる。この場合第2レンズ群の屈折力が弱くなるか、または第2レンズ群を構成するレンズの数が増えるか、または第2レンズ群を構成するレンズの厚さが厚くなってしまい、大型化してしまうため好ましくない。なお、条件式(8)の上限値を0.450に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(8)の上限値を0.400、0.380、0.350、0.330、0.300、0.280、0.260、0.250、さらに0.230にすることが好ましい。
【0044】
一方、本実施形態の変倍光学系の条件式(8)の対応値が下限値を下回ると、第2レンズ群が薄くなる。この場合第2レンズ群の屈折力が強くなるか、または第2レンズ群を構成するレンズの数が減っていくことになる。その結果、球面収差やコマ収差を良好に補正することができなくなってしまう。なお、条件式(8)の下限値を0.130に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(8)の下限値を0.140、0.150、0.160、0.165、0.170、0.175、0.180、0.185、さらに0.190にすることが好ましい。
【0045】
また、本実施形態の変倍光学系は、以下の条件式(9)を満足することが望ましい。
(9)0.020<G4/TLt<0.200
ただし、
G4:前記第4レンズ群の光軸上の長さ
TLt:望遠端状態における前記変倍光学系全系の光軸上の長さ
【0046】
条件式(9)は、第4レンズ群の適切な光軸上の長さを規定するための条件式である。本実施形態の変倍光学系は、条件式(9)を満足することにより、小型化を図り、かつズーム変動時の像面湾曲の変動を良好に補正することができる。
【0047】
本実施形態の変倍光学系の条件式(9)の対応値が上限値を上回ると、第4レンズ群が厚くなる。この場合第4レンズ群の屈折力が弱くなるか、または第4レンズ群を構成するレンズの数が増えるか、または第4レンズ群を構成するレンズの厚さが厚くなってしまい、大型化してしまうため好ましくない。なお、条件式(9)の上限値を0.180に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(9)の上限値を0.150、0.130、0.110、0.100、0.095、0.092、0.090、0.088、さらに0.085にすることが好ましい。
【0048】
一方、本実施形態の変倍光学系の条件式(9)の対応値が下限値を下回ると、第4レンズ群が薄くなる。この場合第4レンズ群の屈折力が強くなるか、または第4レンズ群を構成するレンズの数が減っていくことになる。その結果、像面湾曲を良好に補正することができなくなってしまう。なお、条件式(9)の下限値を0.025に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(9)の下限値を0.030、0.035、0.040、0.043、0.045、0.048、0.050、0.053、さらに0.055にすることが好ましい。
【0049】
また、本実施形態の変倍光学系は、前記第3レンズ群は1つのレンズ成分からなり、以下の条件式(10)を満足することが望ましい。
(10)-20.00<R2f3/R1f3<-1.00
ただし、
R1f3:前記レンズ成分の最も物体側のレンズ面の曲率半径
R2f3:前記レンズ成分の最も像側のレンズ面の曲率半径
【0050】
条件式(10)は、第3レンズ群を構成している1つのレンズ成分の形状を規定する条件式である。本実施形態の変倍光学系は、条件式(10)を満足することにより、レンズ面の反射によるゴースト、フレアを抑制し、さらに像面湾曲を良好に補正することができる。なお、レンズ成分とは、2枚以上のレンズを結合してなる接合レンズ、或いは単レンズをいう。
【0051】
本実施形態の変倍光学系の条件式(10)の対応値が上限値を上回ると、レンズ成分の形状が、像面側に凹の曲率がきつくなり、像面上にフレアが発生しやすくなってしまう。なお、条件式(10)の上限値を-1.05に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(10)の上限値を-1.10、-1.15、-1.20、-1.30、-1.40、-1.50、-1.60、-1.70、-1.80にすることが好ましい。
【0052】
一方、本実施形態の変倍光学系の条件式(10)の対応値が下限値を下回ると、像面湾曲の補正効果が減少してしまう。なお、条件式(10)の下限値を-19.00に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(10)の下限値を-18.00、-17.00、-16.00、-15.00、-14.00、-13.00、-12.00、-11.00、-10.00にすることが好ましい。
【0053】
また、本実施形態の変倍光学系は、前記第3レンズ群が、少なくとも1つの非球面を有することが望ましい。これにより、合焦レンズ群である第3レンズ群の駆動機構や構造の小型化を図り、さらに無限遠物体合焦状態から近距離物体合焦状態までの像面湾曲の変動を有効に補正することができる。
【0054】
また、本実施形態の変倍光学系は、以下の条件式(11)を満足することが望ましい。
(11)-16.00<(-f23)/ft<5.00
ただし、
f23:前記第2cレンズ群の焦点距離
ft:望遠端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離
【0055】
上記条件式(11)は、第2cレンズ群の焦点距離と、望遠端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離との比を規定する条件式である。本実施形態の変倍光学系は、条件式(11)を満足することにより、小型化を図り、コマ収差や球面収差を良好に補正することができる。
【0056】
本実施形態の変倍光学系の条件式(11)の対応値が上限値を上回ると、第2cレンズ群の屈折力が弱くなり、コマ収差や球面収差が補正不足となってしまう。なお、条件式(11)の上限値を4.60に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式 (11)の上限値を4.30、4.00、3.50、3.00、2.80、2.30、2.00、1.80、さらに1.50にすることが好ましい。
【0057】
一方、本実施形態の変倍光学系の条件式(11)の対応値が下限値を下回ると、第2cレンズ群の屈折力が強くなり、コマ収差や球面収差が補正過剰となってしまう。なお、条件式(11)の下限値を0.10に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式 (11)の下限値を0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.48、0.50、さらに0.53にすることが好ましい。
【0058】
また、本実施形態の変倍光学系は、以下の条件式(12)を満足することが望ましい。
(12)50.0°<2ω<120.0°
ただし、
2ω:広角端状態における前記変倍光学系の全画角
【0059】
条件式(12)は、画角の最適な値を規定する条件である。本実施形態の変倍光学系は、条件式(12)を満足することにより、小型化を図り、諸収差を良好に補正することができる。
【0060】
本実施形態の効果を確実なものとするために、条件式(12)の上限値を115.0°にすることが好ましい。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式 (12)の上限値を110.0°、105.0°、100.0°、95.0°、92.0°、91.0°、90.0°、89.0°、さらに88.5°にすることが好ましい。
本実施形態の効果を確実なものとするために、条件式(12)の下限値を55.0°にすることが好ましい。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式 (12)の下限値を60.0°、65.0°、70.0°、75.0°、78.0°、80.0°、82.0°、84.0°、さらに84.5°にすることが好ましい。
【0061】
また、本実施形態の変倍光学系は、以下の条件式(13)を満足することが望ましい。
(13)0.20<Bfa/fw<0.90
ただし、
Bfa:広角端状態における前記変倍光学系全系の空気換算バックフォーカス
fw:広角端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離
【0062】
上記条件式(13)は、広角端状態における前記変倍光学系全系の空気換算バックフォーカスと、広角端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離との比を規定する条件式である。本実施形態の変倍光学系は、条件式(13)を満足することにより、小型化を図り、諸収差を良好に補正することができる。
【0063】
本実施形態の変倍光学系の条件式(13)の対応値が上限値を上回ると、バックフォーカスが長くなり、小型化において好ましくない。なお、条件式(13)の上限値を0.85に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式 (13)の上限値を0.80、0.78、0.75、0.73、0.70、0.68、0.67、0.66、さらに0.65にすることが好ましい。
【0064】
一方、本実施形態の変倍光学系の条件式(13)の対応値が下限値を下回ると、バックフォーカスが短くなり、カメラ機構との干渉の懸念がある。なお、条件式(13)の下限値を0.25に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式 (13)の上限値を0.30、0.35、0.40、0.42、0.45、0.48、0.50、0.52、さらに0.55にすることが好ましい。
【0065】
本実施形態の光学機器は、上述した構成の変倍光学系を有する。これにより、諸収差を良好に補正することができる高い光学性能を有し、小型化が図られた光学機器を実現することができる。
【0066】
本実施形態の変倍光学系の製造方法は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群とを有する変倍光学系の製造方法であって、変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が変化するように構成し、前記第1レンズ群が、物体側から順に、負レンズと正レンズとからなるように構成し、前記第2レンズ群が、物体側から順に、正の屈折力を有する第2aレンズ群と、正の屈折力を有する第2bレンズ群と、負の屈折力を有する第2cレンズ群とからなるように構成する変倍光学系の製造方法である。
【0067】
これにより、諸収差を良好に補正することができる高い光学性能を有し、小型化が図られた変倍光学系を製造することができる。
【0068】
以下、本実施形態の数値実施例に係る変倍光学系を添付図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
図1は第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態における断面図である。なお、図1および後述する図3図5図7図9図11図13中の矢印は、広角端状態(W)から望遠端状態(T)への変倍時の各レンズ群の移動軌跡を示している。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
【0069】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とからなる。負メニスカスレンズL11は、像側のガラスレンズ面に設けた樹脂層を非球面形状に形成した非球面レンズである。
【0070】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2aレンズ群G2aと、開口絞りSと、正の屈折力を有する第2bレンズ群G2bと、負の屈折力を有する第2cレンズ群G2cとから構成されている。
【0071】
第2aレンズ群G2aは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合正レンズからなる。負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第2bレンズ群G2bは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL23と両凸形状の正レンズL24との接合正レンズからなる。
第2cレンズ群G2cは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL25からなる。負メニスカスレンズL25は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
【0072】
第3レンズ群G3は、両凹形状の負レンズL31からなる。負レンズL31は、物体側のレンズ面および像側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL41からなる。
【0073】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。
【0074】
以上の構成のもと、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が減少し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増大し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が増大するように、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とが光軸に沿って移動する。詳細には、第1レンズ群G1は一旦像側へ移動した後、物体側へ移動し、第2レンズ群G2は物体側へ移動し、第3レンズ群G3は物体側へ移動する。なお、変倍の際、第4レンズ群G4は像面Iに対して位置が固定である。
【0075】
本実施例に係る変倍光学系は、第3レンズ群G3を光軸に沿って像側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。
【0076】
本実施例に係る変倍光学系は、防振レンズ群として第2bレンズ群G2bを光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を行う。
【0077】
以下の表1に、本実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
表1において、fは焦点距離、BFはバックフォーカスすなわち最も像側のレンズ面から像面Iまでの光軸上の距離を示す。
[面データ]において、mは物体側から数えた光学面の順番、rは曲率半径、dは面間隔(第n面(nは整数)と第n+1面との間隔)、νdはd線(波長587.6nm)に対するアッベ数、ndはd線(波長587.6nm)に対する屈折率、ngはg線(波長435.8nm)に対する屈折率をそれぞれ示している。また、OPは物体面、dn(nは整数)は可変の面間隔、Sは開口絞り、Iは像面をそれぞれ示している。なお、曲率半径r=∞は平面を示している。空気の屈折率nd=1.00000の記載は省略している。また、レンズ面が非球面である場合には面番号に「*」を付して曲率半径rの欄には近軸曲率半径を示している。
【0078】
[非球面データ]には、[面データ]に示した非球面について、その形状を次式で表した場合の非球面係数及び円錐定数を示す。
S(y)=(y/R)/[1+{1-κ(y/R)1/2
+C4y+C6y+C8y+C10y10
ここで、yを光軸に垂直な方向の高さ、S(y)を高さyにおける非球面の頂点の接平面から当該非球面までの光軸方向に沿った距離であるサグ量、κを円錐定数、C4、C6、C8、C10、C12、C14を非球面係数、Rを基準球面の曲率半径である近軸曲率半径とする。なお、「E-n」(n:整数)は「×10-n」を示し、例えば「1.234E-05」は「1.234×10-5」を示す。2次の非球面係数C2は0であり、記載を省略している。
【0079】
[各種データ]において、fは光学系全系の焦点距離、FNoはFナンバー、2ωは画角(単位は「°」)、Ymaxは最大像高、TLは本実施例に係る変倍光学系の全長すなわち第1面から像面Iまでの光軸上の距離、BFはバックフォーカスすなわち最も像側のレンズ面から像面Iまでの光軸上の距離をそれぞれ示す。なお、Wは広角端状態、Mは中間焦点距離状態、Tは望遠端状態をそれぞれ示す。
【0080】
[可変間隔データ]において、fは光学系全系の焦点距離、dn(nは整数)は第n面と第n+1面との可変の間隔をそれぞれ示す。なお、Wは広角端状態、Mは中間焦点距離状態、Tは望遠端状態をそれぞれ示す。
[レンズ群データ]には、各レンズ群の始面番号STと焦点距離fを示す。
[条件式対応値]には、各条件式の対応値をそれぞれ示す。
【0081】
ここで、表1に掲載されている焦点距離f、曲率半径r及びその他の長さの単位は一般に「mm」が使われる。しかしながら光学系は、比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるため、これに限られるものではない。
なお、以上に述べた表1の符号は、後述する各実施例の表においても同様に用いるものとする。
【0082】
(表1)第1実施例
[面データ]
m r d νd nd ng
OP ∞
1) 125.7973 1.20 42.73 1.834810 1.859557
2) 13.4148 0.10 36.64 1.560930 1.580890
*3) 12.2663 4.97
4) 17.5162 2.47 20.88 1.922860 1.982814
5) 25.3582 (d5)

*6) 19.6694 1.00 37.28 1.834410 1.863105
7) 14.6517 3.30 52.33 1.755000 1.772953
8) 162.3331 1.50
9)(S) ∞ 1.90
10) 9.4378 0.70 32.32 1.953747 1.992060
11) 6.7335 4.00 81.61 1.496997 1.504509
12) -32.9446 1.40
*13) 18.1461 0.90 45.45 1.801387 1.823574
14) 9.6929 (d14)

*15) -34.3749 1.00 45.45 1.801387 1.823574
*16) 40.0000 (d16)

17) -176.2842 4.50 32.32 1.953747 1.992060
18) -28.4688 (BF)
I ∞

[非球面データ]
m K C 4 C 6 C 8 C10
3 0.0000 5.57659E-05 1.55222E-07 -1.40739E-10 6.89982E-13
6 1.0000 -1.51464E-05 -2.85919E-08 -4.84293E-10 -8.67521E-12
13 1.0000 -7.39652E-05 -1.64020E-06 1.08994E-07 -1.80154E-09
15 1.0000 -2.45378E-04 2.50287E-06 -2.00932E-08 1.64201E-10
16 1.0000 -2.07691E-04 2.92258E-06 -2.50531E-08 1.04781E-10

[各種データ]
変倍比 2.94
W M T
f 16.48 35.00 48.50
FNo 3.61 5.25 6.36
2ω 88.11 42.86 32.15
Ymax 14.20 14.20 14.20
TL 71.96 65.66 69.91
BF 9.90 9.90 9.90

[可変間隔データ]
W M T
f 16.48 35.00 48.50
d5 24.17 6.25 2.00
d14 5.33 10.82 13.69
d16 3.62 9.75 14.82

[レンズ群データ]
ST f
G1 1 -26.45
G2 6 17.88
G3 15 -22.93
G4 17 35.08
G2a 6 30.39
G2b 10 20.50
G2c 13 -27.26

[条件式対応値]
(1)f11/f1=0.638
(2)f12/(-f1)=2.016
(3)f22/ft=0.423
(4)f21/ft=0.627
(5)(-fγw)=1.300
(6)f21/f22=1.482
(7)(-f3)/fw=1.392
(8)G2/TLt=0.210
(9)G4/TLt=0.064
(10)R2f3/R1f3=-1.164
(11)(-f23)/ft=0.562
(12)2ω=88.110
(13)Bfa/fw=0.601
【0083】
図2Aおよび図2Bはそれぞれ、第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態および望遠端状態における諸収差図である。
【0084】
各収差図において、FNOはFナンバー、Aは光線入射角即ち半画角(単位は「°」)をそれぞれ示す。なお、球面収差図では最大口径に対するFナンバーFNOの値を示し、非点収差図および歪曲収差図では半画角Aの最大値をそれぞれ示し、コマ収差図では各半画角の値を示す。また、各収差図において、dはd線(波長587.6nm)、gはg線(波長435.8nm)における収差をそれぞれ示し、d、gの記載のないものはd線における収差を示す。非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面をそれぞれ示す。コマ収差図は、各半画角Aにおけるコマ収差を示す。なお、後述する各実施例の収差図においても、本実施例と同様の符号を用いる。
【0085】
各諸収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有していることがわかる。
【0086】
(第2実施例)
図3は第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態における断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
【0087】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とからなる。負メニスカスレンズL11は、像側のガラスレンズ面に設けた樹脂層を非球面形状に形成した非球面レンズである。
【0088】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2aレンズ群G2aと、開口絞りSと、正の屈折力を有する第2bレンズ群G2bと、負の屈折力を有する第2cレンズ群G2cとから構成されている。
【0089】
第2aレンズ群G2aは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合正レンズからなる。負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第2bレンズ群G2bは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL23と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL24との接合正レンズからなる。
第2cレンズ群G2cは、両凹形状の負レンズL25からなる。負レンズL25は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
【0090】
第3レンズ群G3は、両凹形状の負レンズL31からなる。負レンズL31は、物体側のレンズ面および像側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL41からなる。
【0091】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。
【0092】
以上の構成のもと、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が減少し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増大し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が増大するように、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とが光軸に沿って移動する。詳細には、第1レンズ群G1は一旦像側へ移動した後、物体側へ移動し、第2レンズ群G2は物体側へ移動し、第3レンズ群G3は物体側へ移動する。なお、変倍の際、第4レンズ群G4は像面Iに対して位置が固定である。
【0093】
本実施例に係る変倍光学系は、第3レンズ群G3を光軸に沿って像側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。
【0094】
本実施例に係る変倍光学系は、防振レンズ群として第2bレンズ群G2bを光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を行う。
【0095】
以下の表2に、本実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
【0096】
(表2)第2実施例
[面データ]
m r d νd nd ng
OP ∞
1) 234.3978 1.20 42.73 1.834810 1.859557
2) 13.5837 0.20 36.64 1.560930 1.580890
*3) 12.5840 4.97
4) 19.3856 2.47 20.88 1.922860 1.982814
5) 30.2795 (d5)

*6) 12.2620 1.00 37.28 1.834410 1.863105
7) 7.4723 3.30 52.33 1.755000 1.772953
8) 37.8448 1.50
9)(S) ∞ 2.10
10) 10.8585 0.70 32.32 1.953747 1.992060
11) 7.4800 4.00 81.61 1.496997 1.504509
12) 48.7880 1.40
*13) -222.1192 0.90 45.45 1.801387 1.823574
14) 322.4924 (d14)

*15) -22.1912 1.00 45.45 1.801387 1.823574
*16) 150.0000 (d16)

17) -140.0701 4.15 32.32 1.953747 1.992060
18) -28.8384 (BF)
I ∞

[非球面データ]
m K C 4 C 6 C 8 C10
3 0.0000 4.03793E-05 7.56897E-08 -3.47835E-10 4.74887E-13
6 1.0000 -5.40717E-06 -1.52719E-07 3.78212E-09 -3.33602E-11
13 1.0000 -1.53164E-04 4.41893E-07 -9.85968E-08 2.04214E-09
15 1.0000 2.96657E-05 -2.21789E-07 1.10487E-08 -4.19378E-11
16 1.0000 6.42683E-05 -2.63833E-07 5.05296E-09 -2.24350E-11

[各種データ]
変倍比 2.94
W M T
f 16.48 35.00 48.50
FNo 3.52 5.08 6.31
2ω 88.00 42.70 31.75
Ymax 14.20 14.20 14.20
TL 72.25 65.75 69.84
BF 9.90 9.90 9.90

[可変間隔データ]
W M T
f 16.48 35.00 48.50
d5 24.58 6.37 2.00
d14 5.33 11.53 14.97
d16 3.55 9.06 13.53

[レンズ群データ]
ST f
G1 1 -25.80
G2 6 18.42
G3 15 -24.06
G4 17 37.40
G2a 6 24.53
G2b 10 51.00
G2c 13 -164.01

[条件式対応値]
(1)f11/f1=0.634
(2)f12/(-f1)=2.041
(3)f22/ft=1.052
(4)f21/ft=0.506
(5)(-fγw)=1.250
(6)f21/f22=0.481
(7)(-f3)/fw=1.460
(8)G2/TLt=0.213
(9)G4/TLt=0.059
(10)R2f3/R1f3=-6.759
(11)(-f23)/ft=3.382
(12)2ω=88.000
(13)Bfa/fw=0.601
【0097】
図4Aおよび図4Bはそれぞれ、第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態および望遠端状態における諸収差図である。
各諸収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有していることがわかる。
【0098】
(第3実施例)
図5は第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態における断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
【0099】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とからなる。負メニスカスレンズL11は、像側のガラスレンズ面に設けた樹脂層を非球面形状に形成した非球面レンズである。
【0100】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2aレンズ群G2aと、開口絞りSと、正の屈折力を有する第2bレンズ群G2bと、負の屈折力を有する第2cレンズ群G2cとから構成されている。
【0101】
第2aレンズ群G2aは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合正レンズからなる。負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第2bレンズ群G2bは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL23と両凸形状の正レンズL24との接合正レンズからなる。
第2cレンズ群G2cは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL25からなる。負メニスカスレンズL25は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
【0102】
第3レンズ群G3は、両凹形状の負レンズL31からなる。負レンズL31は、物体側のレンズ面および像側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL41と、両凸形状の正レンズL42とからなる。
【0103】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。
【0104】
以上の構成のもと、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が減少し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増大し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が増大するように、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とが光軸に沿って移動する。詳細には、第1レンズ群G1は一旦像側へ移動した後、物体側へ移動し、第2レンズ群G2は物体側へ移動し、第3レンズ群G3は物体側へ移動する。なお、変倍の際、第4レンズ群G4は像面Iに対して位置が固定である。
【0105】
本実施例に係る変倍光学系は、第3レンズ群G3を光軸に沿って像側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。
【0106】
本実施例に係る変倍光学系は、防振レンズ群として第2bレンズ群G2bを光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を行う。
【0107】
以下の表3に、本実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
【0108】
(表3)第3実施例
[面データ]
m r d νd nd ng
OP ∞
1) 415.8197 1.20 42.73 1.834810 1.859557
2) 13.9397 0.20 36.64 1.560930 1.580890
*3) 12.2524 5.76
4) 23.3129 2.50 20.88 1.922860 1.982814
5) 45.3700 (d5)

*6) 14.1993 1.00 37.28 1.834410 1.863105
7) 8.4743 3.30 52.33 1.755000 1.772953
8) 69.9056 1.50
9)(S) ∞ 2.30
10) 12.4272 0.70 32.32 1.953747 1.992060
11) 8.3425 4.10 81.61 1.496997 1.504509
12) -66.3702 1.20
*13) 25.4896 0.90 45.45 1.801387 1.823574
14) 13.6978 (d14)

*15) -29.0995 1.00 45.45 1.801387 1.823574
*16) 117.1841 (d16)

17) -116.7933 3.27 32.32 1.953747 1.992060
18) -36.3587 0.50
19) 971.6152 2.00 32.32 1.953747 1.992060
20) -167.5953 (BF)
I ∞

[非球面データ]
m K C 4 C 6 C 8 C10
3 0.0000 2.01514E-05 7.60272E-08 -8.33546E-10 1.57294E-12
6 1.0000 -1.19935E-05 -7.39414E-08 1.06814E-09 -8.74368E-12
13 1.0000 -9.48763E-05 -1.20944E-07 -3.50716E-08 7.10609E-10
15 1.0000 -1.33067E-04 2.79113E-06 -1.66578E-08 -3.03507E-11
16 1.0000 -9.59859E-05 2.68605E-06 -2.60631E-08 8.24910E-11

[各種データ]
変倍比 2.94
W M T
f 16.48 35.00 48.50
FNo 3.62 5.37 6.60
2ω 85.97 42.77 31.70
Ymax 14.20 14.20 14.20
TL 74.46 70.08 74.92
BF 9.55 9.55 9.55

[可変間隔データ]
W M T
f 16.48 35.00 48.50
d5 24.44 6.57 2.05
d14 5.30 10.52 13.64
d16 3.74 12.01 17.71

[レンズ群データ]
ST f
G1 1 -26.74
G2 6 19.27
G3 15 -29.00
G4 17 39.98
G2a 6 24.85
G2b 10 33.00
G2c 13 -38.25

[条件式対応値]
(1)f11/f1=0.589
(2)f12/(-f1)=1.843
(3)f22/ft=0.680
(4)f21/ft=0.512
(5)(-fγw)=1.250
(6)f21/f22=0.753
(7)(-f3)/fw=1.760
(8)G2/TLt=0.200
(9)G4/TLt=0.077
(10)R2f3/R1f3=-4.027
(11)(-f23)/ft=0.789
(12)2ω=85.970
(13)Bfa/fw=0.579
【0109】
図6Aおよび図6Bはそれぞれ、第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態および望遠端状態における諸収差図である。
各諸収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有していることがわかる。
【0110】
(第4実施例)
図7は第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態における断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
【0111】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とからなる。負メニスカスレンズL11は、像側のガラスレンズ面に設けた樹脂層を非球面形状に形成した非球面レンズである。
【0112】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2aレンズ群G2aと、開口絞りSと、正の屈折力を有する第2bレンズ群G2bと、正の屈折力を有する第2cレンズ群G2cとから構成されている。
【0113】
第2aレンズ群G2aは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合正レンズからなる。負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第2bレンズ群G2bは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL23と両凸形状の正レンズL24との接合正レンズからなる。
第2cレンズ群G2cは、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL25からなる。正メニスカスレンズL25は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
【0114】
第3レンズ群G3は、両凹形状の負レンズL31からなる。負レンズL31は、物体側のレンズ面および像側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL41からなる。
【0115】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。
【0116】
以上の構成のもと、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が減少し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増大し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が増大するように、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4とが光軸に沿って移動する。詳細には、第1レンズ群G1は一旦像側へ移動した後、物体側へ移動し、第2レンズ群G2は物体側へ移動し、第3レンズ群G3は物体側へ移動し、第4レンズ群G4は一旦物体側へ移動した後、像側へ移動する。
【0117】
本実施例に係る変倍光学系は、第3レンズ群G3を光軸に沿って像側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。
【0118】
本実施例に係る変倍光学系は、防振レンズ群として第2bレンズ群G2bを光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を行う。
【0119】
以下の表4に、本実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
【0120】
(表4)第4実施例
[面データ]
m r d νd nd ng
OP ∞
1) 169.1820 1.20 42.73 1.834810 1.859557
2) 13.8308 0.10 36.64 1.560930 1.580890
*3) 12.7005 4.70
4) 18.7978 2.47 20.88 1.922860 1.982814
5) 28.2383 (d5)

*6) 15.6168 1.10 37.28 1.834410 1.863105
7) 10.3108 3.00 52.33 1.755000 1.772953
8) 202.8228 1.50
9)(S) ∞ 2.30
10) 57.1584 1.10 32.32 1.953747 1.992060
11) 15.9047 3.50 81.61 1.496997 1.504509
12) -19.4256 1.40
*13) 9.6189 1.10 45.45 1.801387 1.823574
14) 9.2769 (d14)

*15) -22.2675 1.10 45.45 1.801387 1.823574
*16) 150.0000 (d16)

17) -114.9236 4.0000 32.32 1.953747 1.992060
18) -30.5298 (BF)
I ∞

[非球面データ]
m K C 4 C 6 C 8 C10
3 0.0000 4.01896E-05 8.69299E-08 -1.62310E-10 -1.75455E-13
6 1.0000 -2.32045E-05 -3.43812E-07 7.11770E-09 -8.59494E-11
13 1.0000 -4.01902E-05 4.96254E-07 -5.88669E-08 1.11602E-09
15 1.0000 5.77251E-05 -2.91771E-06 5.88232E-08 -3.04864E-10
16 1.0000 1.05257E-04 -2.44529E-06 4.19957E-08 -2.44101E-10

[各種データ]
変倍比 2.95
W M T
f 16.48 34.95 48.56
FNo 3.49 5.18 6.72
2ω 87.61 43.00 32.11
Ymax 14.20 14.20 14.20
TL 72.45 67.01 71.17
BF 9.55 9.89 8.71

[可変間隔データ]
W M T
f 16.48 34.95 48.56
d5 23.92 5.99 2.00
d14 7.15 11.38 13.40
d16 3.26 11.18 18.49

[レンズ群データ]
ST f
G1 1 -26.46
G2 6 18.55
G3 15 -24.13
G4 17 42.61
G2a 6 23.44
G2b 10 70.00
G2c 13 755.63

[条件式対応値]
(1)f11/f1=0.642
(2)f12/(-f1)=2.046
(3)f22/ft=1.442
(4)f21/ft=0.483
(5)(-fγw)=1.260
(6)f21/f22=0.335
(7)(-f3)/fw=1.464
(8)G2/TLt=0.211
(9)G4/TLt=0.056
(10)R2f3/R1f3=-6.736
(11)(-f23)/ft=-15.561
(12)2ω=87.610
(13)Bfa/fw=0.580
【0121】
図8Aおよび図8Bはそれぞれ、第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態および望遠端状態における諸収差図である。
各諸収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有していることがわかる。
【0122】
(第5実施例)
図9は第5実施例に係る変倍光学系の広角端状態における断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
【0123】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とからなる。負メニスカスレンズL11は、像側のガラスレンズ面に設けた樹脂層を非球面形状に形成した非球面レンズである。
【0124】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2aレンズ群G2aと、開口絞りSと、正の屈折力を有する第2bレンズ群G2bと、負の屈折力を有する第2cレンズ群G2cとから構成されている。
【0125】
第2aレンズ群G2aは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合正レンズからなる。負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第2bレンズ群G2bは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL23と両凸形状の正レンズL24との接合正レンズからなる。
第2cレンズ群G2cは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL25からなる。負メニスカスレンズL25は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
【0126】
第3レンズ群G3は、両凹形状の負レンズL31からなる。負レンズL31は、物体側のレンズ面および像側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第4レンズ群G4は、両凸形状の正レンズL41からなる。
【0127】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。
【0128】
以上の構成のもと、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が減少し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増大し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が増大するように、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とが光軸に沿って移動する。詳細には、第1レンズ群G1は一旦像側へ移動した後、物体側へ移動し、第2レンズ群G2は物体側へ移動し、第3レンズ群G3は物体側へ移動する。なお、変倍の際、第4レンズ群G4は像面Iに対して位置が固定である。
【0129】
本実施例に係る変倍光学系は、第3レンズ群G3を光軸に沿って像側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。
【0130】
本実施例に係る変倍光学系は、防振レンズ群として第2bレンズ群G2bを光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を行う。
【0131】
以下の表5に、本実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
【0132】
(表5)第5実施例
[面データ]
m r d νd nd ng
OP ∞
1) 149.5188 1.20 42.73 1.834810 1.859557
2) 13.5237 0.10 36.64 1.560930 1.580890
*3) 12.2879 4.97
4) 18.9482 2.47 20.88 1.922860 1.982814
5) 28.9505 (d5)

*6) 13.5032 1.00 37.28 1.834410 1.863105
7) 11.0874 3.30 54.61 1.729160 1.745716
8) 22.3650 1.50
9)(S) ∞ 1.92
10) 8.9895 0.70 32.32 1.953747 1.992060
11) 6.4452 4.40 81.61 1.496997 1.504509
12) -92.6886 1.50
*13) 12.5893 0.90 45.45 1.801387 1.823574
14) 10.8067 (d14)

*15) -25.9570 1.00 45.45 1.801387 1.823574
*16) 50.0000 (d16)

17) 9009.6763 4.17 32.32 1.953747 1.992060
18) -37.5109 (BF)
I ∞

[非球面データ]
m K C 4 C 6 C 8 C10
3 0.0000 4.47610E-05 3.37093E-08 2.20559E-10 -1.76168E-12
6 1.0000 -6.44422E-06 -3.63219E-07 1.03860E-08 -1.25875E-10
13 1.0000 -1.14297E-04 6.12084E-07 -7.62496E-08 2.35513E-09
15 1.0000 -1.32259E-04 3.59497E-06 -3.34480E-08 6.16335E-11
16 1.0000 -8.78501E-05 3.61823E-06 -5.19557E-08 2.89309E-10

[各種データ]
変倍比 2.94
W M T
f 16.48 35.00 48.50
FNo 3.55 5.17 6.40
2ω 87.39 42.95 31.90
Ymax 14.20 14.20 14.20
TL 72.45 67.65 72.40
BF 10.45 10.45 10.45

[可変間隔データ]
W M T
f 16.48 35.00 48.50
d5 23.92 6.34 2.00
d14 5.33 9.36 11.50
d16 3.62 12.37 18.77

[レンズ群データ]
ST f
G1 1 -26.19
G2 6 17.89
G3 15 -21.20
G4 17 39.18
G2a 6 41.00
G2b 10 23.54
G2c 13 -122.82

[条件式対応値]
(1)f11/f1=0.635
(2)f12/(-f1)=2.029
(3)f22/ft=0.485
(4)f21/ft=0.845
(5)(-fγw)=1.530
(6)f21/f22=1.742
(7)(-f3)/fw=1.286
(8)G2/TLt=0.210
(9)G4/TLt=0.058
(10)R2f3/R1f3=-1.926
(11)(-f23)/ft=2.532
(12)2ω=87.390
(13)Bfa/fw=0.634
【0133】
図10Aおよび図10Bはそれぞれ、第5実施例に係る変倍光学系の広角端状態および望遠端状態における諸収差図である。
各諸収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有していることがわかる。
【0134】
(第6実施例)
図11は第6実施例に係る変倍光学系の広角端状態における断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
【0135】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とからなる。負メニスカスレンズL11は、像側のガラスレンズ面に設けた樹脂層を非球面形状に形成した非球面レンズである。
【0136】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2aレンズ群G2aと、開口絞りSと、正の屈折力を有する第2bレンズ群G2bと、負の屈折力を有する第2cレンズ群G2cとから構成されている。
【0137】
第2aレンズ群G2aは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と両凸形状の正レンズL22との接合正レンズからなる。負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第2bレンズ群G2bは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL23と両凸形状の正レンズL24との接合正レンズからなる。
第2cレンズ群G2cは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL25からなる。負メニスカスレンズL25は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
【0138】
第3レンズ群G3は、両凹形状の負レンズL31からなる。負レンズL31は、物体側のレンズ面および像側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL41と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL42とからなる。
【0139】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。
【0140】
以上の構成のもと、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が減少し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増大し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が増大するように、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とが光軸に沿って移動する。詳細には、第1レンズ群G1は一旦像側へ移動した後、物体側へ移動し、第2レンズ群G2は物体側へ移動し、第3レンズ群G3は物体側へ移動する。なお、変倍の際、第4レンズ群G4は像面Iに対して位置が固定である。
【0141】
本実施例に係る変倍光学系は、第3レンズ群G3を光軸に沿って像側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。
【0142】
本実施例に係る変倍光学系は、防振レンズ群として第2bレンズ群G2bを光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を行う。
【0143】
以下の表6に、本実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
【0144】
(表6)第6実施例
[面データ]
m r d νd nd ng
OP ∞
1) 100.8418 1.20 42.73 1.834810 1.859557
2) 12.6574 0.20 36.64 1.560930 1.580890
*3) 10.9951 7.05
4) 21.4532 2.40 20.88 1.922860 1.982814
5) 34.1160 (d18)

*6) 14.6028 1.00 40.10 1.851348 1.878369
7) 9.8130 3.50 52.33 1.755000 1.772953
8) -124.9828 1.50
9)(S) ∞ 1.80
10) 31.6130 0.70 32.32 1.953747 1.992060
11) 11.2300 4.50 81.61 1.496997 1.504509
12) -20.4731 1.20
*13) 34.6235 0.90 45.45 1.801387 1.823574
14) 18.4344 (d14)

*15) -25.6503 1.00 45.45 1.801387 1.823574
*16) 390.0000 (d16)

17) -25.2964 1.50 32.32 1.953747 1.992060
18) -32.1124 0.64
19)-1068.6691 4.20 35.25 1.910822 1.944117
20) -34.4895 (BF)
I ∞

[非球面データ]
m K C 4 C 6 C 8 C10
3 0.0000 3.08194E-05 2.92185E-07 -3.02179E-09 9.34877E-12
6 1.0000 -3.64228E-05 -1.27201E-07 2.00483E-09 -3.50116E-11
13 1.0000 -6.42989E-05 -9.13900E-07 2.69556E-08 -7.03374E-10
15 1.0000 2.23810E-04 -8.52167E-06 1.38799E-07 -7.68675E-10
16 1.0000 2.33871E-04 -7.26776E-06 1.11301E-07 -6.25541E-10

[各種データ]
変倍比 2.94
W M T
f 16.48 35.00 48.50
FNo 3.70 5.59 6.81
2ω 85.43 43.27 32.13
Ymax 14.20 14.20 14.20
TL 76.46 71.98 77.00
BF 9.56 9.56 9.56

[可変間隔データ]
W M T
f 16.48 35.00 48.50
d5 23.90 6.32 2.00
d14 5.30 9.97 12.52
d16 4.41 12.84 19.09

[レンズ群データ]
ST f
G1 1 -24.38
G2 6 18.89
G3 15 -30.00
G4 17 50.67
G2a 6 18.50
G2b 10 68.10
G2c 13 -50.44

[条件式対応値]
(1)f11/f1=0.640
(2)f12/(-f1)=2.354
(3)f22/ft=1.404
(4)f21/ft=0.381
(5)(-fγw)=1.230
(6)f21/f22=0.272
(7)(-f3)/fw=1.821
(8)G2/TLt=0.196
(9)G4/TLt=0.082
(10)R2f3/R1f3=-15.205
(11)(-f23)/ft=1.040
(12)2ω=85.430
(13)Bfa/fw=0.580
【0145】
図12Aおよび図12Bはそれぞれ、第6実施例に係る変倍光学系の広角端状態および望遠端状態における諸収差図である。
各諸収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有していることがわかる。
【0146】
(第7実施例)
図13は第7実施例に係る変倍光学系の広角端状態における断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
【0147】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とからなる。負メニスカスレンズL11は、像側のガラスレンズ面に設けた樹脂層を非球面形状に形成した非球面レンズである。
【0148】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2aレンズ群G2aと、開口絞りSと、正の屈折力を有する第2bレンズ群G2bと、負の屈折力を有する第2cレンズ群G2cとから構成されている。
【0149】
第2aレンズ群G2aは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合正レンズからなる。負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第2bレンズ群G2bは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL23と両凸形状の正レンズL24との接合正レンズからなる。
第2cレンズ群G2cは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL25と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL26とからなる。負メニスカスレンズL25は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
【0150】
第3レンズ群G3は、両凹形状の負レンズL31からなる。負レンズL31は、物体側のレンズ面および像側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL41からなる。
【0151】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。
【0152】
以上の構成のもと、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が減少し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増大し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が増大するように、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とが光軸に沿って移動する。詳細には、第1レンズ群G1は一旦像側へ移動した後、物体側へ移動し、第2レンズ群G2は物体側へ移動し、第3レンズ群G3は物体側へ移動する。なお、変倍の際、第4レンズ群G4は像面Iに対して位置が固定である。
【0153】
本実施例に係る変倍光学系は、第3レンズ群G3を光軸に沿って像側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。
【0154】
本実施例に係る変倍光学系は、防振レンズ群として第2bレンズ群G2bを光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を行う。
【0155】
以下の表7に、本実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
【0156】
(表7)第7実施例
[面データ]
m r d νd nd ng
OP ∞
1) 318.1940 1.2000 42.73 1.834810 1.859557
2) 13.3339 0.1146 36.64 1.560930 1.580890
*3) 11.8585 4.9800
4) 20.3293 2.5326 20.88 1.922860 1.982814
5) 36.1595 (d5)

*6) 16.0234 1.0000 37.28 1.834410 1.863105
7) 11.8242 3.3000 52.33 1.755000 1.772953
8) 46.9472 1.5000
9)(S) ∞ 2.1000
10) 10.4476 0.7000 32.32 1.953747 1.992060
11) 7.2259 4.0000 81.61 1.496997 1.504509
12) -29.7417 1.4000
*13) 15.1738 0.8000 45.45 1.801387 1.823574
14) 10.8696 0.6000
15) 151.5835 0.8000 47.35 1.788000 1.808889
16) 48.2029 (d16)

*17) -21.9436 1.0000 45.45 1.801387 1.823574
*18) 250.0319 (d18)

19) -412.1948 4.5000 32.32 1.953747 1.992060
20) -31.6185 (BF)
I ∞

[非球面データ]
m K C 4 C 6 C 8 C10
3 0.0000 3.36194E-05 6.64302E-08 -5.94762E-10 7.09446E-13
6 1.0000 -1.51373E-05 -1.50803E-07 2.94929E-09 -4.78160E-11
13 1.0000 -8.76066E-05 2.15101E-07 -3.75172E-08 1.39218E-09
17 1.0000 4.14606E-05 2.35903E-07 -2.11292E-08 3.33497E-10
18 1.0000 7.60623E-05 -2.20545E-07 -8.35741E-09 1.26712E-10

[各種データ]
変倍比 2.95
W M T
f 16.45 35.00 48.50
FNo 3.67 5.42 6.52
2ω 86.08 42.51 31.54
Ymax 14.20 14.20 14.20
TL 73.45 69.38 73.24
BF 10.05 10.05 10.05

[可変間隔データ]
W M T
f 16.45 35.00 48.50
d5 23.92 6.72 2.05
d16 5.33 10.92 14.92
d18 3.62 11.16 15.15

[レンズ群データ]
ST f
G1 1 -25.63
G2 6 18.70
G3 1 7 -25.13
G4 19 35.70
G2a 6 31.95
G2b 10 22.24
G2c 13 -33.00

[条件式対応値]
(1)f11/f1=0.599
(2)f12/(-f1)=1.823
(3)f22/ft=0.459
(4)f21/ft=0.659
(5)(-fγw)=1.180
(6)f21/f22=1.437
(7)(-f3)/fw=1.528
(8)G2/TLt=0.221
(9)G4/TLt=0.061
(10)R2f3/R1f3=-11.394
(11)(-f23)/ft=0.687
(12)2ω=86.080
(13)Bfa/fw=0.611
【0157】
図14Aおよび図14Bはそれぞれ、第7実施例に係る変倍光学系の広角端状態および望遠端状態における諸収差図である。
各諸収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有していることがわかる。
【0158】
(第8実施例)
図15は第8実施例に係る変倍光学系の広角端状態における断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
【0159】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とからなる。負メニスカスレンズL11は、像側のガラスレンズ面に設けた樹脂層を非球面形状に形成した非球面レンズである。
【0160】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2aレンズ群G2aと、開口絞りSと、正の屈折力を有する第2bレンズ群G2bと、負の屈折力を有する第2cレンズ群G2cとから構成されている。
【0161】
第2aレンズ群G2aは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合正レンズからなる。負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第2bレンズ群G2bは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL23と両凸形状の正レンズL24との接合正レンズからなる。
第2cレンズ群G2cは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL25からなる。負メニスカスレンズL25は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
【0162】
第3レンズ群G3は、両凹形状の負レンズL31からなる。負レンズL31は、物体側のレンズ面および像側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL41からなる。
【0163】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。
【0164】
以上の構成のもと、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が減少し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増大し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が増大するように、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とが光軸に沿って移動する。詳細には、第1レンズ群G1は一旦像側へ移動した後、物体側へ移動し、第2レンズ群G2は物体側へ移動し、第3レンズ群G3は物体側へ移動する。なお、変倍の際、第4レンズ群G4は像面Iに対して位置が固定である。
【0165】
本実施例に係る変倍光学系は、第3レンズ群G3を光軸に沿って像側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。
【0166】
本実施例に係る変倍光学系は、防振レンズ群として第2bレンズ群G2bを光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を行う。
【0167】
以下の表8に、本実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
【0168】
(表8)第8実施例
[面データ]
m r d νd nd ng
OP ∞
1) 164.2409 1.20 42.73 1.834810 1.859557
2) 13.2012 0.12 36.64 1.560930 1.580890
*3) 11.5762 4.97
4) 19.9548 2.43 20.88 1.922860 1.982810
5) 34.9021 (d5)

*6) 14.5813 0.90 37.28 1.834410 1.863100
7) 9.2500 3.36 52.34 1.755000 1.772953
8) 52.3705 1.60
9)(S) ∞ 2.00
10) 11.1735 0.70 32.33 1.953750 1.992059
11) 7.6414 4.00 81.61 1.497000 1.504510
12) -45.2316 1.40
*13) 19.2894 0.90 45.25 1.795256 1.817388
14) 11.9890 (d14)

*15) -29.6878 1.00 45.46 1.801390 1.823570
*16) 56.3004 (d16)

17) -345.3773 4.20 32.33 1.953750 1.992059
18) -32.7802 (BF)
I ∞

[非球面データ]
m K C 4 C 6 C 8 C10
3 0.0000 3.80785E-05 3.24996E-08 -7.75872E-11 -1.57872E-12
6 1.0000 -1.40463E-05 -4.76006E-08 2.18077E-10 -1.70904E-11
13 1.0000 -8.28392E-05 -8.50079E-07 1.22452E-08 -3.42932E-11
15 1.0000 -1.28382E-04 4.23515E-06 -9.86336E-08 1.12907E-09
16 1.0000 -8.33049E-05 3.48272E-06 -6.94588E-08 6.14665E-10

[各種データ]
変倍比 2.95
W M T
f 16.46 35.04 48.50
FNo 3.56 5.35 6.36
2ω 84.69 42.54 31.81
Ymax 14.20 14.20 14.20
TL 71.75 66.94 71.27
BF 10.05 10.05 10.05

[可変間隔データ]
W M T
f 16.46 35.04 48.50
d5 23.92 6.40 2.00
d14 5.34 10.17 13.02
d16 3.66 11.54 16.92

[レンズ群データ]
ST f
G1 1 -26.32
G2 6 18.31
G3 15 -24.13
G4 17 37.73
G2a 6 27.61
G2b 10 26.84
G2c 13 -42.13

[条件式対応値]
(1)f11/f1=0.594
(2)f12/(-f1)=1.779
(3)f22/ft=0.553
(4)f21/ft=0.569
(5)(-fγw)=1.250
(6)f21/f22=1.029
(7)(-f3)/fw=1.466
(8)G2/TLt=0.208
(9)G4/TLt=0.059
(10)R2f3/R1f3=-1.896
(11)(-f23)/ft=0.869
(12)2ω=84.690
(13)Bfa/fw=0.638
【0169】
図16Aおよび図16Bはそれぞれ、第8実施例に係る変倍光学系の広角端状態および望遠端状態における諸収差図である。
各諸収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有していることがわかる。
【0170】
上記各実施例によれば、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正することができる高い光学性能を有し、小型化が図られた変倍光学系を実現することができる。
【0171】
なお、上記各実施例は本願発明の一具体例を示しているものであり、本願発明はこれらに限定されるものではない。以下の内容は、本実施形態の変倍光学系の光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
【0172】
本実施形態の変倍光学系の数値実施例として4群構成のものを示したが、本実施形態はこれに限られず、その他の群構成(例えば、5群等)の変倍光学系を構成することもできる。具体的には、上記各実施例の変倍光学系の最も物体側や最も像側にレンズ又はレンズ群を追加した構成でも構わない。或いは、隣り合うレンズ群とレンズ群との間にレンズ又はレンズ群を追加しても良い。
【0173】
また、上記各実施例では、第3レンズを合焦レンズ群としている。斯かる合焦レンズ群は、オートフォーカスに適用することも可能であり、オートフォーカス用のモータ、例えば超音波モータ、ステッピングモータ、VCMモータ等による駆動にも適している。
【0174】
また、上記各実施例では、第2bレンズ群を防振レンズ群としているが、これに限らず、いずれかのレンズ群全体又はその一部を、防振レンズ群として光軸に対して垂直な方向の成分を含むように移動させ、又は光軸を含む面内方向へ回転移動(揺動)させることにより、防振を行う構成とすることもできる。
【0175】
また、上記各実施例の変倍光学系の開口絞りは、開口絞りとして部材を設けずにレンズ枠でその役割を代用する構成としてもよい。
【0176】
また、上記各実施例の変倍光学系を構成するレンズのレンズ面は、球面又は平面としてもよく、或いは非球面としてもよい。レンズ面が球面又は平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、レンズ加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を防ぐことができるため好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないため好ましい。レンズ面が非球面の場合、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に成型したガラスモールド非球面、又はガラス表面に設けた樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれでもよい。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)或いはプラスチックレンズとしてもよい。
【0177】
また、上記各実施例の変倍光学系を構成するレンズのレンズ面に、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施してもよい。これにより、フレアやゴーストを軽減し、高コントラストの高い光学性能を達成することができる。
【0178】
次に、本実施形態の変倍光学系を備えたカメラを図17に基づいて説明する。
図17は本実施形態の変倍光学系を備えたカメラの構成を示す図である。
図17に示すようにカメラ1は、撮影レンズ2として上記第1実施例に係る変倍光学系を備えたレンズ交換式のミラーレスカメラである。
【0179】
本カメラ1において、不図示の物体(被写体)からの光は、撮影レンズ2で集光されて、不図示のOLPF(Optical low pass filter:光学ローパスフィルタ)を介して撮像部3の撮像面上に被写体像を形成する。そして、撮像部3に設けられた光電変換素子によって被写体像が光電変換されて被写体の画像が生成される。この画像は、カメラ1に設けられたEVF(Electronic view finder:電子ビューファインダ)4に表示される。これにより撮影者は、EVF4を介して被写体を観察することができる。
また、撮影者によって不図示のレリーズボタンが押されると、撮像部3で生成された被写体の画像が不図示のメモリに記憶される。このようにして、撮影者は本カメラ1による被写体の撮影を行うことができる。
【0180】
ここで、本カメラ1に撮影レンズ2として搭載した上記第1実施例に係る変倍光学系は、上述のように広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正することができる高い光学性能を有し、小型化が図られている。すなわち本カメラ1は、諸収差を良好に補正することができる高い光学性能を有し、小型化を実現することができる。なお、上記第2~第8実施例に係る変倍光学系を撮影レンズ2として搭載したカメラを構成しても、上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。また、クイックリターンミラーを有し、ファインダ光学系によって被写体を観察する一眼レフタイプのカメラに上記各実施例に係る変倍光学系を搭載した場合でも、上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。
【0181】
次に、本実施形態の変倍光学系の製造方法の概略を図18に基づいて説明する。
図18は本実施形態の光学系の製造方法の概略を示すフロー図である。
図18に示す本実施形態の光学系の製造方法は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群とを有する変倍光学系の製造方法であって、以下のステップS1~S3を含むものである。
【0182】
ステップS1:変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が変化するように構成する。
ステップS2:前記第1レンズ群が、物体側から順に、負レンズと正レンズとからなるように構成する。
ステップS3:前記第2レンズ群が、物体側から順に、正の屈折力を有する第2aレンズ群と、正の屈折力を有する第2bレンズ群と、負の屈折力を有する第2cレンズ群とからなるように構成する。
【0183】
斯かる本実施形態の変倍光学系の製造方法によれば、諸収差を良好に補正することができる高い光学性能を有し、小型化が図られた変倍光学系を製造することができる。
【符号の説明】
【0184】
G1 第1レンズ群 G2 第2レンズ群 G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群 G2a 第2aレンズ群
G2b 第2bレンズ群 G2c 第2cレンズ群 S 開口絞り
I 像面 1 カメラ 2 撮影レンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18