(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】ウレタン樹脂組成物、及び、皮革シート
(51)【国際特許分類】
C08L 75/12 20060101AFI20221004BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20221004BHJP
C08G 18/08 20060101ALI20221004BHJP
C08G 18/44 20060101ALI20221004BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20221004BHJP
D06N 3/14 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
C08L75/12
C08G18/00 C
C08G18/08 019
C08G18/44
C08G18/48 037
D06N3/14 101
(21)【出願番号】P 2021531397
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 JP2020034210
(87)【国際公開番号】W WO2021084922
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2019195229
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】前田 亮
【審査官】前田 孝泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-081826(JP,A)
【文献】国際公開第2011/102442(WO,A1)
【文献】特開平02-187477(JP,A)
【文献】特開2000-290879(JP,A)
【文献】特開平11-335975(JP,A)
【文献】国際公開第2013/035461(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/140025(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/033732(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/111944(WO,A1)
【文献】特開2020-105445(JP,A)
【文献】特開2016-084463(JP,A)
【文献】国際公開第2021/084921(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00- 18/87
C08L 1/00-101/16
C09D 1/00-201/10
C09J 1/00-201/10
D06N 3/00- 3/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温で液状のポリカーボネートポリオール(a1)
、及び、アミノ基を有する鎖伸長剤を原料とし、水酸基を3つ以上有する化合物(x2)を原料としない、アニオン性基とノニオン性基とを有するウレタン樹脂(A)、ノニオン性乳化剤(B)、及び、水(C)を含有し、前記ポリカーボネートポリオール(a1)が
、ペンタンジオールとヘキサンジオールとを併用したものを原料とするものであり、前記ウレタン樹脂(A)中のノニオン性基が、オキシエチレン基、及び、オキシプロピレン基を含むものであり、前記ウレタン樹脂(A)中における前記オキシエチレン基(EO)、及び、前記オキシプロピレン基(PO)のモル比[EO/PO]が、20/80~90/10の範囲であることを特徴とするウレタン樹脂組成物。
【請求項2】
前記オキシエチレン基、及び、前記オキシプロピレン基が、オキシエチレン基、及び、オキシプロピレン基を有するポリオール由来のものである請求項1記載のウレタン樹脂組成物。
【請求項3】
前記ノニオン性乳化剤(B)が、オキシエチレン基、及び、オキシプロピレン基を有するものである請求項1又は2記載のウレタン樹脂組成物。
【請求項4】
繊維基材中に、請求項1~3のいずれか1項記載のウレタン樹脂組成物の凝固物が存在することを特徴とする皮革シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン樹脂組成物、及び、皮革シートに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン樹脂は、その機械的強度や風合いの良さから、合成皮革(人工皮革含む。)の製造に広く利用されている。この用途においては、これまでN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を含有する溶剤系ウレタン樹脂が主流であった。しかしながら、欧州でのDMF規制、中国や台湾でのVOC排出規制の強化、大手アパレルメーカーでのDMF規制などを背景に、合成皮革を構成する各層用のウレタン樹脂の脱DMF化が求められている。
【0003】
このような環境対応化のため、ウレタン樹脂が水に分散したウレタン樹脂組成物が広く検討されている(例えば、特許文献1を参照。)。しかしながら、係る特許文献1記載の発明を含む現行品では、優れた風合いと配合液安定性とを両立することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、水を含有するウレタン樹脂組成物において、優れた風合い、及び、配合液安定性を有するウレタン樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、常温で液状のポリカーボネートポリオール(a1)を原料とし、水酸基を3つ以上有する化合物(x2)を原料としない、アニオン性基とノニオン性基とを有するウレタン樹脂(A)、ノニオン性乳化剤(B)、及び、水(C)を含有することを特徴とするウレタン樹脂組成物を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、繊維基材中に、前記ウレタン樹脂組成物の凝固物が存在することを特徴とする皮革シートを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のウレタン樹脂組成物は、水を含有するものであり、環境対応型のものである。また、前記ウレタン樹脂組成物は、風合い、及び、配合液安定性に優れるものである。よって、前記ウレタン樹脂組成物は、繊維基材の含浸用樹脂として特に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のウレタン樹脂組成物は、常温で液状のポリカーボネートポリオール(a1)を原料とし、水酸基を3つ以上有する化合物(x2)を原料としない、アニオン性基とノニオン性基とを有するウレタン樹脂(A)、ノニオン性乳化剤(B)、及び、水(C)を含有するものである。
【0010】
本発明で用いるウレタン樹脂(A)は、優れた風合いを得るため、常温で液状のポリカーボネートポリオール(a1)を用いることが必須である。なお、本発明において、前記「常温で液状である」とは、前記ポリカーボネートポリオール(a1)が、23℃にて流動性を示す、液状または粘稠状のものを示す。前記ポリカーボネートポリオール(a1)としては、例えば、2個以上の水酸基を有する化合物と炭酸エステル及び/又はホスゲンとの反応物を用いることができる。
【0011】
前記2個以上の水酸基を有する化合物としては、例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、カプロラクトン、シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、イソソルビド等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた風合い、耐熱性、及び、耐加水分解性が得られる点から、ブタンジオールとヘキサンジオールとの併用、及び/又は、ペンタンジオールとヘキサンジオールとの併用等、常温液状タイプの使用が好ましい。
【0012】
前記炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0013】
前記ポリカーボネートジオール(a1)の数平均分子量としては、より一層優れた風合い、耐熱性、及び、耐加水分解性が得られる点から、500~10,000の範囲であることが好ましく、700~4,000の範囲がより好ましい。なお、前記ポリカーボネートポリオール(a1)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0014】
本発明で用いるウレタン樹脂(A)は、水酸基を3つ以上有する化合物(x2)を原料としないものである。前記化合物(x2)を用いた場合には、ウレタン樹脂が架橋構造をとるため風合いが損なわれる。
【0015】
前記化合物(x2)としては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0016】
前記ウレタン樹脂(A)は、優れた風合いと配合液安定性とを両立するうえで、アニオン性基とノニオン性基とを有することが必須である。前記アニオン性基とノニオン性基は、それぞれアニオン性基を有する化合物(a2)、及び、ノニオン性基を有する化合物(a3)から供給される。
【0017】
前記アニオン性基を有する化合物(a2)としては、例えば、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-吉草酸等のカルボキシル基を有する化合物;3,4-ジアミノブタンスルホン酸、3,6-ジアミノ-2-トルエンスルホン酸、2,6-ジアミノベンゼンスルホン酸、N-(2-アミノエチル)-2-アミノスルホン酸、N-(2-アミノエチル)-2-アミノエチルスルホン酸、N-2-アミノエタン-2-アミノスルホン酸、N-(2-アミノエチル)-β-アラニン;これらの塩等のスルホニル基を有する化合物などを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記ノニオン性基を有する化合物(a3)としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル等のオキシエチレン構造、及び/又は、オキシプロレン基を有する化合物を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0019】
本発明で用いるウレタン樹脂(A)が有する前記ノニオン性基としては、より一層優れた風合い、及び、配合液安定性が得られる点から、オキシエチレン基、及び、オキシプロピレン基を含むことが好ましく、これらの低結晶成分をウレタン樹脂(A)の主鎖に取り込むことで、より一層優れた風合い、及び、配合液安定性が得られる点から、オキシエチレン基、及び、オキシプロピレン基を含むポリオールにより導入されることが好ましく、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールがより好ましい。
【0020】
前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの数平均分子量としては、より一層優れた風合い、及び、配合液安定性が得られる点から、500~10,000の範囲が好ましく、1,000~4,000の範囲がより好ましい。なお、前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0021】
前記ウレタン樹脂(A)中におけるオキシエチレン基(EO)、及び、オキシプロピレン基(PO)のモル比(EO/PO)としては、より一層優れた風合い、及び、配合液安定性が得られる点から、20/80~90/10の範囲が好ましく、40/60~85/15の範囲がより好ましい。
【0022】
前記ノニオン性基を有する化合物(a3)の使用量としては、より一層優れた耐加水分解性、風合い、及び、配合液安定性が得られる点から、ウレタン樹脂(A)を構成する原料中0.1~20質量%の範囲が好ましく、0.5~15質量%の範囲がより好ましい。
【0023】
前記ウレタン樹脂(A)は、具体的には、例えば、前記ポリオーカーボネートポリオール(a1)を含むポリオール、前記アニオン性基を有する化合物(a2)、前記ノニオン性基を有する化合物(a3)、ポリイソシアネート(a4)の反応物を用いることができる。
【0024】
前記ポリオールとしては、前記ポリカーボネートポリオール(a1)以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、その他のポリオールを併用してもよい。前記その他のポリオールとしては、常温で固体のポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアクリルポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのポリオールの数平均分子量としては、例えば、500~100,000の範囲が挙げられる。前記ポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0025】
前記ポリオールには、必要に応じて、数平均分子量が好ましくは50~450の範囲の鎖伸長剤を併用してもよい。なお、前記鎖伸長剤の数平均分子量は化学構造式から算出される値を示す。
【0026】
前記鎖伸長剤としては、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ビスフェノールA、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル等の水酸基を有する鎖伸長剤;エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、ヒドラジン等のアミノ基を有する鎖伸長剤などを用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた耐加水分解性、耐光性が得られる点から、前記アミノ基を有する鎖伸長剤が好ましい。
【0027】
前記ポリイソシアネート(a4)としては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた耐光性が得られる点から、脂肪族ポリイソシアネート、及び/又は、脂環式ポリイソシアネートが好ましく、脂環式ポリイソシアネートがより好ましい。
【0028】
前記ウレタン樹脂(A)の製造方法としては、例えば、前記原料を一括に仕込み反応させる方法等が挙げられる。これらの反応は、例えば、50~100℃の温度で3~10時間行う方法が挙げられる。
【0029】
前記ウレタン樹脂(A)を製造する際には、前記ウレタン樹脂(A)に残存するイソシアネート基を失活させることが好ましい。前記イソシアネート基を失活させる場合には、メタノール等の水酸基を有するアルコールを用いることが好ましい。前記アルコールを用いる場合の使用量としては、前記ウレタン樹脂(A)100質量部に対し、0.001~10質量部の範囲であることが好ましい。
【0030】
また、前記ウレタン樹脂(A)を製造する際には、有機溶剤を用いてもよい。前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド化合物などを用いることができる。これらの有機溶媒は単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、前記有機溶剤は、最終的には蒸留法等によって除去されることが好ましい。
【0031】
前記ウレタン樹脂(A)の酸価としては、より一層優れた耐加水分解性、柔軟性、及び、風合いが得らえる点から、0.1~15mgKOH/gの範囲の範囲が好ましく、1~8mgKOH/gの範囲の範囲がより好ましい。なお、前記ウレタン樹脂(A)の酸価は、前記アニオン性基を有する化合物(a2)の量により調整することができ、その測定方法は、後述する実施例にて記載する。
【0032】
前記ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量としては、より一層優れた耐加水分解性、耐光性、耐熱性が得られる点から、50,000~700,000の範囲であることが好ましく、100,000~500,000の範囲がより好ましい。なお、前記ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・カラムクロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定し得られた値を示す。
【0033】
前記ノニオン性乳化剤(B)は、優れた風合い、及び、配合液安定性を得るうえで必須の成分である。
【0034】
前記ノニオン性乳化剤(B)としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート等のオキシエチレン基を有する乳化剤;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等のオキシエチレン基、及び、オキシプロピレン基を有する乳化剤などを用いることができる。これらのノニオン性乳化剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0035】
これらの中でも、より一層優れた風合い、及び、配合液安定性が得られる点から、オキシエチレン基、及び、オキシプロピレン基を有する乳化剤を用いることが好ましい。前記オキシエチレン基の平均付加モル数としては、5~100の範囲が好ましく、10~50の範囲がより好ましい。前記オキシプロピレン基の平均付加モル数としては、5~50の範囲が好ましく、10~40の範囲がより好ましい。
【0036】
前記ノニオン性乳化剤(B)の曇点としては、優れた配合液安定性を維持したまま、加熱した際にシャープに凝固してよりソフトな風合いが得られる点から、40~80℃の範囲が好ましく、50~80℃の範囲がより好ましい。なお、前記ノニオン性乳化剤(B)の曇点は、成書(新・界面活性剤入門、藤本武彦著、三洋化成工業、1992)に倣い、次の方法に従って行った。すなわち、ノニオン性乳化剤の5質量%水溶液を一定の温度で30分間保持し、溶液からノニオン乳化剤が不溶化するかを観察する。温度を上昇させていったときに、ノニオン性乳化剤が不溶化しはじめた温度を曇点とした。
【0037】
前記ノニオン性乳化剤(B)の配合量としては、より一層優れた風合い、及び、配合液安定性が得られる点から、前記ウレタン樹脂(A)(固形分)100質量部に対して、0.1~10質量%の範囲が好ましく、1~6質量%の範囲がより好ましい。
【0038】
前記水(C)としては、例えば、イオン交換水、蒸留水等を用いることができる。これらの水は単独で用いても2種以上を併用してもよい。前記水(C)の含有量としては、例えば、ウレタン樹脂組成物中30~90質量%の範囲が挙げられる。
【0039】
本発明のウレタン樹脂組成物は、前記ウレタン樹脂(A)、ノニオン性乳化剤(B)、及び、前記水(C)を必須成分として含有するが、必要に応じてその他の添加剤を用いいてもよい。
【0040】
前記その他の添加剤としては、例えば、凝固剤、ウレタン化触媒、中和剤、シランカップリング剤、増粘剤、充填剤、チキソ付与剤、粘着付与剤、ワックス、熱安定剤、耐光安定剤、蛍光増白剤、発泡剤、顔料、染料、導電性付与剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、中空発泡体、難燃剤、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、整泡剤、ブロッキング防止剤、加水分解防止剤等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0041】
以上、本発明のウレタン樹脂組成物は、水を含有するものであり、環境対応型のものである。また、前記ウレタン樹脂組成物は、風合い、及び、配合液安定性に優れるものである。よって、前記ウレタン樹脂組成物は、繊維基材の含浸用樹脂として特に好適に使用することができる。
【0042】
次に、本発明の皮革シートについて説明する。
【0043】
前記皮革シートは、繊維基材中に、前記ウレタン樹脂組成物の凝固物が存在するものである。
【0044】
前記繊維基材としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、アセテート繊維、レーヨン繊維、ポリ乳酸繊維、綿、麻、絹、羊毛、グラスファイバー、炭素繊維、それらの混紡繊維等による不織布、織布、編み物等の繊維基材などを用いることができる。
【0045】
前記皮革シートの製造方法としては、例えば、前記ウレタン樹脂組成物を前記繊維基材に含浸させ、次いで、ウレタン樹脂を凝固させる方法が挙げられる。
【0046】
前記ウレタン樹脂水分散体を前記繊維基材に含浸する方法としては、例えば、前記繊維基材を、前記ウレタン樹脂水分散体を貯留した槽に直接浸漬し、マングル等を使用して絞る方法が挙げられる。
【0047】
次いで、ウレタン樹脂(A)を凝固させる方法としては、例えば、前記ウレタン樹脂を含浸した繊維基材を、50℃~130℃に加熱する感熱凝固法;100℃以上の飽和蒸気(0~0.6MPa)、又は、160~190℃の過熱蒸気処理を行う方法などが挙げられる。その後には、必要に応じて、80~180℃の乾燥を行ってもよい。
【0048】
前記皮革様シートは、例えば、靴、鞄、衣料、椅子、ソファ等の家具の部材、車両シート、ハンドル等の自動車用内装材、透湿防水素材、人工皮革、研磨材、フェルトペンの芯材等に使用することができる。
【0049】
前記皮革シートの上には、必要に応じて、中間層、接着層、表皮層、表面処理層等が積層されていてもよい。
【実施例】
【0050】
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【0051】
[実施例1]
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4ツ口フラスコに、窒素気流下、常温液状のポリカーボネートポリオール(旭化成株式会社製「デュラノールT5652」、1,6-ヘキサンジオール及び1,5-ペンタンジオールをジオール成分とするポリカーボネートポリオール、数平均分子量;2,000、以下「液状PC(1)」と略記する。)400質量部、ジメチロールプロピオン酸(以下「DMPA」と略記する。)6.6質量部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量;1,750、EO/PO=50/50、以下「EOPO(1)」と略記する。)32質量部、メチルエチルケトン543質量部を加え、均一に混合した後、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下「H12MDI」と略記する。)105質量部を加え、次いでオクチル酸ビスマス0.1質量部を加え、70℃で約1時間反応させ、ウレタンポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。次いで、前記方法で得られたウレタンポリマーのメチルエチルケトン溶液にトリエチルアミン5.3質量部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの乳化剤(オキシエチレン基の平均付加モル数;25、オキシプロピレン基の平均付加モル数;30、曇点;58℃、以下「EOPO乳化剤(1)」と略記する。)16質量部を加え混合した後、イオン交換水846質量部を加えて、イソホロンジアミンを20質量部加えた後、メチルエチルケトンを減圧下留去することによって、ウレタン樹脂(A-1)を含むウレタン樹脂組成物(X-1)(ウレタン樹脂(A-1)の酸価;5mgKOH/g、重量平均分子量;240,000)を得た。
【0053】
[実施例2]
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4ツ口フラスコに、窒素気流下、液状PC(1)400質量部、DMPA6.6質量部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量;1,400、EO/PO=75/25、以下「EOPO(2)」と略記する。)32質量部、メチルエチルケトン544質量部を加え、均一に混合した後、H12MDI107質量部を加え、次いでオクチル酸ビスマス0.1質量部を加え、70℃で約1時間反応させ、ウレタンポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。次いで、前記方法で得られたウレタンポリマーのメチルエチルケトン溶液にトリエチルアミン5.4質量部、EOPO乳化剤(1)16質量部を加え混合した後、イオン交換水850質量部を加えて、イソホロンジアミンを21質量部加えた後、メチルエチルケトンを減圧下留去することによって、ウレタン樹脂(A-2)を含むウレタン樹脂組成物(X-2)(ウレタン樹脂(A-2)の酸価;5mgKOH/g、重量平均分子量;260,000)を得た。
【0054】
[実施例3]
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4ツ口フラスコに、窒素気流下、液状PC(1)400質量部、DMPA6.4質量部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量;3,000、EO/PO=75/25、以下「EOPO(3)」と略記する。)32質量部、メチルエチルケトン540質量部を加え、均一に混合した後、H12MDI102質量部を加え、次いでオクチル酸ビスマス0.1質量部を加え、70℃で約1時間反応させ、ウレタンポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。次いで、前記方法で得られたウレタンポリマーのメチルエチルケトン溶液にトリエチルアミン5.2質量部、EOPO乳化剤(1)16質量部を加え混合した後、イオン交換水850質量部を加えて、イソホロンジアミンを20質量部加えた後、メチルエチルケトンを減圧下留去することによって、ウレタン樹脂(A-3)を含むウレタン樹脂組成物(X-3)(ウレタン樹脂(A-3)の酸価;5mgKOH/g、重量平均分子量;300,000)を得た。
【0055】
[実施例4]
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4ツ口フラスコに、窒素気流下、液状PC(1)400質量部、DMPA6.6質量部、EOPO(1)32質量部、メチルエチルケトン544質量部を加え、均一に混合した後、H12MDI105質量部を加え、次いでオクチル酸ビスマス0.1質量部を加え、70℃で約1時間反応させ、ウレタンポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。次いで、前記方法で得られたウレタンポリマーのメチルエチルケトン溶液にトリエチルアミン5.3質量部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの乳化剤(オキシエチレン基の平均付加モル数;20、オキシプロピレン基の平均付加モル数;20、曇点;70℃、以下「EOPO乳化剤(2)」と略記する。)16質量部を加え混合した後、イオン交換水846質量部を加えて、イソホロンジアミンを20質量部加えた後、メチルエチルケトンを減圧下留去することによって、ウレタン樹脂(A-4)を含むウレタン樹脂組成物(X-4)(ウレタン樹脂(A-4)の酸価;5mgKOH/g、重量平均分子量;250,000)を得た。
【0056】
[実施例5]
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4ツ口フラスコに、窒素気流下、液状PC(1)400質量部、DMPA6.4質量部、EOPO(1)32質量部、メチルエチルケトン535質量部を加え、均一に混合した後、H12MDI52質量部、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」と略記する。)44質量部を加え、次いでオクチル酸ビスマス0.1質量部を加え、70℃で約1時間反応させ、ウレタンポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。次いで、前記方法で得られたウレタンポリマーのメチルエチルケトン溶液にトリエチルアミン5.2質量部、EOPO乳化剤(1)16質量部を加え混合した後、イオン交換水833質量部を加えて、イソホロンジアミンを20質量部加えた後、メチルエチルケトンを減圧下留去することによって、ウレタン樹脂(A-5)を含むウレタン樹脂組成物(X-5)(ウレタン樹脂(A-5)の酸価;5mgKOH/g、重量平均分子量;180,000)を得た。
【0057】
[比較例1]
実施例1において、液状PC(1)に代え、常温固体のポリカーボネートポリオール(宇部興産株式会社製「エタナコールUH-200」、数平均分子量;2,000、以下「固体PC」と略記する。)を用いた以外は、実施例1と同様にしてウレタン樹脂(AR-1)を含むウレタン樹脂組成物(XR-1)を得た。
【0058】
[比較例2]
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4ツ口フラスコに、窒素気流下、液状PC(1)400質量部、DMPA6.6質量部、EOPO(1)32質量部、トリメチロールプロパン(以下「TMP」と略記する。)4質量部、メチルエチルケトン565質量部を加え、均一に混合した後、H12MDI122質量部を加え、次いでオクチル酸ビスマス0.1質量部を加え、70℃で約1時間反応させ、ウレタンポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。次いで、前記方法で得られたウレタンポリマーのメチルエチルケトン溶液にトリエチルアミン5.3質量部、EOPO乳化剤(1)16質量部を加え混合した後、イオン交換水883質量部を加えて、イソホロンジアミンを24質量部加えた後、メチルエチルケトンを減圧下留去することによって、ウレタン樹脂(AR-2)を含むウレタン樹脂組成物(XR-2)(ウレタン樹脂(AR-2)の酸価;5mgKOH/g、重量平均分子量;290,000)を得た。
【0059】
[比較例3]
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4ツ口フラスコに、窒素気流下、液状PC(1)400質量部、EOPO(1)32質量部、メチルエチルケトン518質量部を加え、均一に混合した後、H12MDI86質量部を加え、次いでオクチル酸ビスマス0.1質量部を加え、70℃で約1時間反応させ、ウレタンポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。次いで、前記方法で得られたウレタンポリマーのメチルエチルケトン溶液にEOPO乳化剤(1)16質量部を加え混合した後、イオン交換水802質量部を加えて、イソホロンジアミンを17質量部加えた後、メチルエチルケトンを減圧下留去することによって、ウレタン樹脂(AR-3)を含むウレタン樹脂組成物(XR-3)(ウレタン樹脂(AR-3)の酸価;0mgKOH/g、重量平均分子量;280,000)を得た。
【0060】
[比較例4]
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4ツ口フラスコに、窒素気流下、液状PC(1)400質量部、DMPA6.6質量部、メチルエチルケトン504質量部を加え、均一に混合した後、H12MDI98質量部を加え、次いでオクチル酸ビスマス0.1質量部を加え、70℃で約1時間反応させ、ウレタンポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。次いで、前記方法で得られたウレタンポリマーのメチルエチルケトン溶液にトリエチルアミン6質量部、EOPO乳化剤(1)16質量部を加え混合した後、イオン交換水785質量部を加えて、イソホロンジアミンを19質量部加えた後、メチルエチルケトンを減圧下留去することによって、ウレタン樹脂(AR-4)を含むウレタン樹脂組成物(XR-4)(ウレタン樹脂(AR-4)の酸価;5mgKOH/g、重量平均分子量;310,000)を得た。
【0061】
[比較例5]
実施例1において、前記EOPO乳化剤(1)を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、ウレタン樹脂(AR-5)を含むウレタン樹脂組成物(XR-5)を得た。
【0062】
[数平均分子量・重量平均分子量の測定方法]
実施例および比較例で用いたポリオールの数平均分子量、ウレタン樹脂の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・カラムクロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定し得られた値を示す。
【0063】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0064】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
【0065】
[ウレタン樹脂(A)の酸価の測定方法]
実施例及び比較例で用いたウレタン樹脂組成物を乾燥し、乾燥固化した樹脂粒子の0.05g~0.5gを、300mL三角フラスコに秤量し、次いで、テトラヒドロフランとイオン交換水との質量割合[テトラヒドロフラン/イオン交換水]が80/20の混合溶媒約80mLを加えそれらの混合液を得た。
次いで、前記混合液にフェノールフタレイン指示薬を混合した後、あらかじめ標定された0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液で滴定し、滴定に用いた水酸化カリウム水溶液の量から下記計算式(1)に従い、アニオン性ウレタン樹脂(X)の酸価(mgKOH/g)を求めた。
計算式 A=(B×f×5.611)/S (1)式中、Aは樹脂の固形分酸価(mgKOH/g)、Bは滴定に用いた0.1mol/L水酸化カリウム水溶液の量(mL)、fは0.1mol/L水酸化カリウム水溶液のファクター、Sは樹脂粒子の質量(g)、5.611は水酸化カリウムの式量(56.11/10)である。
【0066】
[配合液安定性の評価方法]
実施例、及び、比較例で得られたウレタン樹脂組成物に対し、固形分が20質量%となるように水で希釈し、この配合液100質量部に対して、塩化ナトリウムを1質量部を加え、配合液を得た。得られた配合液を40℃の雰囲気下で1週間静置し、以下のように評価した。
「A」;外観に変化なし。
「B」;若干の沈殿物が確認される。
「C」;多くの沈殿物が確認される。
【0067】
[含浸不織布の作製方法]
実施例、及び、比較例で得られたウレタン樹脂組成物に対し、固形分が20質量%となるように水で希釈し、この配合液100質量部に対して、塩化ナトリウムを1質量部を加え、配合液を得た。得られた配合液をポリエステル繊維200g/m2からなる不織布に含浸し、マングルでピックアップ100%となるように絞った。次いで、100℃の飽和水蒸気中に2分静置し、100℃の乾燥機で20分間乾燥し、含浸不織布(皮革様シート)を作製した。
【0068】
[風合いの評価方法]
得られた含浸不織布を触感により、以下のように評価した。
「A」;ソフトで柔軟性に富む。
「B」;若干の柔軟性を有する。
「C」;柔軟性に劣る。
【0069】
[耐光性の評価方法]
得られた含浸不織布を、キセノンフェードメーター(スガ試験機株式会社製「SX75P」)を使用して、89℃、湿度50%の条件下、110MJの光を照射し、目視により以下のように評価した。
「A」;外観に変化なし。
「B」;若干の黄変が生じた。
「C」;強い黄変が生じた。
【0070】
[耐加水分解性の評価方法]
得られた含浸不織布を、70℃、湿度95%の湿熱条件下で5週間養生し、目視により以下のように評価した。
「A」;外観に変化なし。
「B」;外観に艶変化が生じた。
「C」;外観に艶変化、及び、ベタツキが生じた。
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
本発明のウレタン樹脂組成物である実施例1~5は、配合液安定性、風合い、耐光性、及び、耐加水分解性に優れることが分かった。
【0075】
一方、比較例1は、ポリカーボネートポリオール(a1)の代わりに、常温固体のポリカーボネートポリオールを用いた態様であるが、風合いが不良であった。
【0076】
比較例2は、3つの水酸基を有するトリメチロールプロンを原料とした態様であるが、風合いが不良であった。
【0077】
比較例3は、アニオン性基を有しないウレタン樹脂を用いた態様であるが、配合液安定性が不良であった。
【0078】
比較例4は、ノニオン性基を有しないウレタン樹脂を用いた態様であるが、風合い、及び、配合液安定性が不良であった。
【0079】
比較例5は、ノニオン性乳化剤(B)を用いない態様であるが、風合い、及び、配合液安定性が不良であった。