(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】研磨装置
(51)【国際特許分類】
B24B 57/02 20060101AFI20221004BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20221004BHJP
B24B 53/017 20120101ALI20221004BHJP
B24B 37/30 20120101ALI20221004BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B24B57/02
B24B37/00 K
B24B53/017 Z
B24B37/30 Z
H01L21/304 622E
(21)【出願番号】P 2018225355
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】山崎 孝史
(72)【発明者】
【氏名】小畠 厳貴
(72)【発明者】
【氏名】小菅 隆一
(72)【発明者】
【氏名】曽根 忠一
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-70464(JP,A)
【文献】特表2005-508741(JP,A)
【文献】特開2003-220554(JP,A)
【文献】特開2001-269868(JP,A)
【文献】特表2011-530422(JP,A)
【文献】特開2014-151381(JP,A)
【文献】特開2016-97465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 57/02、53/017
B24B 37/00、37/30
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨パッドを支持する研磨テーブルと、
基板を前記研磨パッドに押し付けるトップリングと、
液体を前記研磨パッドに供給する液体供給機構と、を備え、
前記液体供給機構は、
前記研磨テーブルの半径方向に移動可能なノズルアームと、
前記ノズルアームに取り付けられたスラリーノズルと、
前記ノズルアームに取り付けられた液体噴射ノズルと、
前記研磨パッドの外側に配置されたノズル洗浄装置と、を備えており、
前記液体噴射ノズルは、その内面に形成され、かつテーパー形状を有する液体絞り面を有する扇形ノズルであ
り、
前記スラリーノズルは、前記ノズルアームが処理位置にあるとき、前記研磨パッドの中心の上方に配置され、
前記液体噴射ノズルは、前記ノズルアームが処理位置にあるとき、前記研磨パッドの中心と前記研磨パッドの外周部との間の領域に配置され、
前記ノズル洗浄装置は、
前記スラリーノズルを洗浄する第1洗浄ノズルと、
前記液体噴射ノズルを洗浄する第2洗浄ノズルと、を備えている、研磨装置。
【請求項2】
前記液体供給機構は、
前記液体噴射ノズルに連結され、かつ研磨液が流れるスラリーラインと、
前記液体噴射ノズルに連結され、かつ前記液体噴射ノズルを洗浄するためのフラッシング液体が流れるフラッシングラインと、を備えている、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記研磨装置は、洗浄流体を前記研磨パッドに噴射するアトマイザを備えており、
前記液体供給機構は、前記アトマイザに取り付けられたドレッシング液供給装置を備えている、請求項1に記載の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハなどの基板を研磨する研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、デバイス表面の平坦化技術がますます重要になっている。この平坦化技術のうち、最も重要な技術は、化学的機械研磨(Chemical Mechanical PolishingまたはCMP)である。この化学的機械的研磨(以下、CMPと呼ぶ)は、研磨装置を用いて、シリカ(SiO2)やセリア(CeO2)などの砥粒を含んだ研磨液(スラリー)を研磨パッドに供給しつつ、ウェハなどの基板を研磨面に摺接させて研磨を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-71720号公報
【文献】特開2007-118130号公報
【文献】特開2009-2901号公報
【文献】特開2009-34809号公報
【文献】特開2006-147773号公報
【文献】特表2011-530422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板の研磨プロセスの安定化を図り、研磨装置の付加価値を高めることは重要である。特に、研磨パッド上の的確な領域に、研磨液を的確に供給し続け、さらには、研磨液の供給量を管理し続けることにより、基板の研磨プロセスの安定化を図ることができ、研磨装置の付加価値を向上することができる。
【0005】
研磨装置の付加価値を高めるため、消耗品の削減が求められている。特に、研磨液は、比較的高価な消耗品であるため、研磨液の使用量の削減が求められている。その一方で、研磨液の噴出位置と噴出範囲、および供給量は、基板の除去レート(研磨レート)に多大な影響を及ぼす。したがって、基板の除去レートの低下を回避するために、研磨液の噴出位置と噴出範囲、および供給量を適切に管理することは必要である。
【0006】
そこで、本発明は、付加価値を高めることができる研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様は、研磨パッドを支持する研磨テーブルと、基板を前記研磨パッドに押し付けるトップリングと、液体を前記研磨パッドに供給する液体供給機構と、を備え、前記液体供給機構は、前記研磨テーブルの半径方向に移動可能なノズルアームと、前記ノズルアームに取り付けられた液体噴射ノズルと、を備えており、前記液体噴射ノズルは、その内面に形成され、かつテーパー形状を有する液体絞り面を有する扇形ノズルである、研磨装置である。
【0008】
一態様は、前記液体供給機構は、前記ノズルアームに取り付けられたスラリーノズルを備えており、前記スラリーノズルは、前記ノズルアームが処理位置にあるとき、前記研磨パッドの中心の上方に配置され、前記液体噴射ノズルは、前記ノズルアームが処理位置にあるとき、前記研磨パッドの中心と前記研磨パッドの外周部との間の領域に配置される。
一態様は、前記液体供給機構は、前記研磨パッドの外側に配置されたノズル洗浄装置を備えており、前記ノズル洗浄装置は、前記スラリーノズルを洗浄する第1洗浄ノズルと、前記液体噴射ノズルを洗浄する第2洗浄ノズルと、を備えている。
一態様は、前記液体供給機構は、前記液体噴射ノズルに連結され、かつ研磨液が流れるスラリーラインと、前記液体噴射ノズルに連結され、かつ前記液体噴射ノズルを洗浄するためのフラッシング液体が流れるフラッシングラインと、を備えている。
【0009】
一態様は、前記研磨装置は、洗浄流体を前記研磨パッドに噴射するアトマイザを備えており、前記液体供給機構は、前記アトマイザに取り付けられたドレッシング液供給装置を備えている。
一態様は、前記液体供給機構は、前記ノズルアームに取り付けられたスラリーノズルを備えており、前記スラリーノズルおよび前記液体噴射ノズルは、前記ノズルアームが処理位置にあるとき、前記研磨パッドの中心の上方に配置される。
【0010】
一態様は、研磨パッドを支持する研磨テーブルと、基板を前記研磨パッドに押し付けるトップリングと、液体を前記研磨パッドに供給する液体供給機構と、を備え、前記液体供給機構は、前記研磨テーブルの半径方向に移動可能なノズルアームに取り付けられた液体噴射ノズルの異常を検出するノズル異常検出装置を備えており、前記ノズル異常検出装置は、前記液体噴射ノズルに連結された液体供給ラインの流路の大きさを調整する流量調整バルブの開度に基づいて、前記液体噴射ノズルの異常を判定する、研磨装置である。
【0011】
一態様は、前記ノズル異常検出装置は、前記流量調整バルブの開度が所定の上限側しきい値に達すると、前記液体噴射ノズルの異常な詰まりを決定し、前記流量調整バルブの開度が所定の下限側しきい値に達すると、前記液体噴射ノズルの異常な摩耗を決定する。
一態様は、前記上限側しきい値は、第1上限側しきい値と、前記第1上限側しきい値よりも大きな第2上限側しきい値とを有しており、前記ノズル異常検出装置は、前記第1上限側しきい値および前記第2上限側しきい値に基づいて、前記液体噴射ノズルの交換を推奨する軽故障アラームおよび前記研磨装置の運転を停止する重故障アラームのうちのいずれか1つを発報する。
一態様は、前記下限側しきい値は、第1下限側しきい値と、前記第1下限側しきい値よりも小さな第2下限側しきい値とを有しており、前記ノズル異常検出装置は、前記第1下限側しきい値および前記第2下限側しきい値に基づいて、前記液体噴射ノズルの交換を推奨する軽故障アラームおよび前記研磨装置の運転を停止する重故障アラームのうちのいずれか1つを発報する。
【発明の効果】
【0012】
扇形ノズルである液体噴射ノズルは、少量の研磨液を広範囲に亘って噴射することができる。したがって、研磨装置は、研磨液の使用量を削減することができ、かつ基板の除去レート(研磨レート)を向上させることができる。結果として、研磨装置は、その付加価値を向上させることができる。
【0013】
ノズル異常検出装置は、液体噴射ノズルの異常を判定することができる。したがって、研磨装置は、研磨液の噴出位置と噴出範囲、および供給量を適切に管理することができる。結果として、研磨装置は、その付加価値を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】
図2(a)は、
図1のA線方向から見た図であり、
図2(b)は、
図2(a)の汚れ防止カバーを取り外した状態を示す図である。
【
図3】
図3(a)は
図2(a)のB線方向から見た図であり、
図3(b)は
図2(a)のC線方向から見た図である。
【
図4】液体噴射ノズルに連結された第3スラリーラインおよびフラッシングラインを示す図である。
【
図8】
図8(a)はノズル洗浄装置の第1洗浄ノズルを示す図であり、
図8(b)はノズル洗浄装置の第2洗浄ノズルを示す図である。
【
図9】アトマイザに固定されたドレッシング液供給装置を示す図である。
【
図10】基板の処理工程を示すフローチャートである。
【
図14】判定部が液体噴射ノズルの異常を検出する様子を示す図である。
【
図15】液体噴射ノズルの異常を検出するフローチャートを示す図である。
【
図16】液体噴射ノズルの異常を検出するフローチャートを示す図である。
【
図17】液体供給機構の他の実施形態を示す図である。
【
図18】
図17に示す実施形態における第3スラリーラインを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下で説明する図面において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0016】
図1は、研磨装置PAの一実施形態の平面図である。
図1に示すように、研磨装置PAは、研磨パッド1を支持する研磨テーブル2と、ウェハなどの基板Wを研磨パッド1に押し付けるトップリング3と、研磨パッド1に液体を供給するための液体供給機構4とを備えている。液体供給機構4から研磨パッド1上に供給される液体は、研磨液(スラリー)または純水(DIW)である。
【0017】
研磨テーブル2は、研磨テーブル2を支持するテーブル軸(図示しない)を介して、研磨テーブル2を回転させるテーブルモータ(図示しない)に連結されている。研磨パッド1は研磨テーブル2の上面に貼付されており、研磨パッド1の上面が基板Wを研磨する研磨面1aを構成している。
【0018】
トップリング3はトップリングシャフト(図示しない)の下端に固定されている。トップリング3は、その下面に真空吸着により基板Wを保持できるように構成されている。トップリングシャフトは、トップリングアーム8内に設置された回転機構(図示しない)に連結されている。トップリング3は、この回転機構によりトップリングシャフトを介して回転される。
【0019】
トップリングアーム8は、トップリングアーム8を旋回させるトップリング旋回軸9に連結されている。トップリング旋回軸9は、研磨パッド1の外側に配置されている。トップリング3、トップリングアーム8、トップリング旋回軸9は、トップリング装置5を構成している。
【0020】
研磨装置PAは、研磨パッド1をドレッシングするためのドレッシング装置10をさらに備えている。ドレッシング装置10は、研磨パッド1の研磨面1aに摺接されるドレッサ15と、ドレッサ15を支持するドレッサアーム11と、ドレッサアーム11を旋回させるドレッサ旋回軸12とを備えている。ドレッサ旋回軸12は、研磨パッド1の外側に配置されている。
【0021】
ドレッサアーム11の旋回に伴って、ドレッサ15は研磨面1a上を揺動する。ドレッサ15の下面は、ダイヤモンド粒子などの多数の砥粒からなるドレッシング面を構成する。ドレッサ15は、研磨面1a上を揺動しながら回転し、研磨パッド1を僅かに削り取ることにより研磨面1aをドレッシングする。研磨パッド1のドレッシング中、液体供給機構4(より具体的には、ドレッシング液供給装置60)は、純水を研磨パッド1の研磨面1a上に供給する。液体供給機構4の構成の詳細については、後述する。
【0022】
研磨装置PAは、霧状の洗浄流体を研磨パッド1の研磨面1aに噴射して研磨面1aを洗浄するアトマイザ20をさらに備えている。洗浄流体は、液体(通常は純水)と気体(例えば、窒素ガスなどの不活性ガス)との混合流体から構成される。アトマイザ20は、研磨パッド1(または研磨テーブル2)の半径方向に沿って延びており、研磨パッド1の研磨面1aの上方に位置している。アトマイザ20は、高圧の洗浄流体を研磨面1aに噴射することにより、研磨パッド1の研磨面1aから研磨屑および研磨液に含まれる砥粒を除去する。
【0023】
以下、液体供給機構4の構成について、図面を参照して説明する。
図2(a)は、
図1のA線方向から見た図であり、
図2(b)は、
図2(a)の汚れ防止カバーを取り外した状態を示す図である。
【0024】
液体供給機構4は、研磨テーブル2の半径方向に移動可能なノズルアーム30と、ノズルアーム30の先端部分30aに配置された第1スラリーノズル31および第2スラリーノズル32と、ノズルアーム30のアーム部分30bに配置された液体噴射ノズル33とを備えている。
【0025】
ノズルアーム30は、ノズルアーム30を旋回させるノズル旋回軸35に連結されている(
図1参照)。ノズル旋回軸35は、研磨パッド1の外側に配置されている。ノズルアーム30は、ノズル旋回軸35の駆動(より具体的には、ノズル旋回軸35に連結されたモータ)によって、研磨パッド1の外側にある退避位置と研磨パッド1の上方にある処理位置との間を移動可能に構成されている。
【0026】
図2(a)に示すように、ノズルアーム30が処理位置にあるとき、ノズルアーム30の先端部分30aは、研磨パッド1の中心CLの上方に配置される。したがって、ノズルアーム30の先端部分30aに配置された第1スラリーノズル31および第2スラリーノズル32は、第1スラリーノズル31の噴射口および第2スラリーノズル32の噴射口が研磨パッド1の中心CLに対向するように、研磨パッド1の中心CLの上方に配置される。
【0027】
ノズルアーム30が処理位置にあるとき、液体噴射ノズル33は、その噴射口が研磨パッド1の中心CLと研磨パッド1の外周部1bとの間の領域に対向するように、この領域の上方に配置される。
【0028】
一実施形態では、液体噴射ノズル33は、樹脂から構成されている。液体噴射ノズル33の材質の一例として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはポリプロピレン(PP)を挙げることができる。
【0029】
液体噴射ノズル33はスラリーAを供給し、第1スラリーノズル31はスラリーBを供給し、第2スラリーノズル32はスラリーCを供給する。スラリーA、スラリーB、およびスラリーCは、それぞれ異なる種類の液体である。
【0030】
図3(a)は
図2(a)のB線方向から見た図であり、
図3(b)は
図2(a)のC線方向から見た図である。
図3(a)に示すように、第1スラリーノズル(第1液体ノズル)31および第2スラリーノズル(第2液体ノズル)32は互いに隣接して配置されている。第1スラリーノズル31はスラリーBが流れる流路が形成された第1スラリーライン(第1液体供給ライン)40に接続されており、第2スラリーノズル32はスラリーCが流れる流路が形成された第2スラリーライン(第2液体供給ライン)41に接続されている。これら第1スラリーライン40および第2スラリーライン41は、ノズルアーム30の内部に配置されている。
【0031】
図2(b)に示すように、液体噴射ノズル33は、ノズルアーム30から下方に延びるノズルホルダー45に取り付けられている。ノズルホルダー45はノズルアーム30に固定されている。本実施形態では、
図2(a)に示すように、ノズルホルダー45は、汚れ防止カバー44によって覆われており、異物のノズルホルダー45および連結部材48への付着は防止される。
【0032】
図2(a)に示すように、液体噴射ノズル33は、第1スラリーノズル31および第2スラリーノズル32よりも研磨パッド1の研磨面1aに近接して配置されている。つまり、研磨パッド1の研磨面1aと液体噴射ノズル33との間の距離は、研磨パッド1の研磨面1aと第1スラリーノズル31および第2スラリーノズル32との間の距離よりも小さい。
【0033】
液体噴射ノズル33は、鉛直方向に対して研磨パッド1の外周部1b側(すなわち、研磨パッド1の中心CLから離間する方向)を向いて傾斜している。一実施形態では、液体噴射ノズル33の傾斜角度は13度である。
【0034】
図4は、液体噴射ノズル33に連結された第3スラリーライン(第3液体供給ライン)46およびフラッシングライン47を示す図である。
図4に示すように、液体噴射ノズル33は、スラリーAが流れる流路が形成された第3スラリーライン46に接続されている。第3スラリーライン46の途中部分には、連結部材48が接続されており、連結部材48には、純水が流れる流路が形成されたフラッシングライン47が接続されている。連結部材48は、フラッシングライン47と第3スラリーライン46との合流部分に設けられている。
【0035】
以下、本明細書において、スラリーAの流れる方向において、連結部材48の上流側を第3スラリーライン46の上流流路と呼ぶことがあり、連結部材48の下流側を第3スラリーライン46の下流流路と呼ぶことがある。
【0036】
連結部材48は、液体噴射ノズル33に隣接して配置されている。フラッシングライン47および第3スラリーライン46の先端部分(言い換えれば、第3スラリーライン46の下流流路)を流れる純水は、液体噴射ノズル33から噴射される。第3スラリーライン46およびフラッシングライン47のうちのいずれか一方を流れる液体(スラリーAまたは純水)は、液体噴射ノズル33から噴射される。
【0037】
フラッシングライン47を流れる純水は、第3スラリーライン46の先端部分および液体噴射ノズル33を通過して、外部に噴射される。この純水は、第3スラリーライン46の先端部分および液体噴射ノズル33を洗浄するためのフラッシング液体である。フラッシング液体としての純水は、液体噴射ノズル33の内部を勢いよく流れて、第3スラリーライン46の先端部分および液体噴射ノズル33の内部に滞留するスラリーを瞬時に除去する。結果として、第3スラリーライン46の先端部分および液体噴射ノズル33の内部でのスラリーの固着は防止される。
【0038】
連結部材48は、スラリー噴出位置に近接した位置にある液体噴射ノズル33に隣接して配置されている。このような配置により、研磨装置PAは、スラリーを純水に置換する量(すなわち、スラリー置換量)を最小限にすることができ、研磨装置PAのスループット(基板Wの処理枚数)を維持することができる。
【0039】
図5は、液体噴射ノズル33を示す断面図である。
図5に示すように、液体噴射ノズル33は、液体を扇状に噴射する扇形ノズルである。液体噴射ノズル33は、その内面34に形成された液体通過面34a、液体噴射面34b、および液体絞り面34cを有している。
【0040】
液体絞り面34cは、液体通過面34aと液体噴射面34bとの間に配置されている。液体絞り面34cは、液体通過面34aおよび液体噴射面34bに接続されており、テーパー形状を有している。より具体的には、液体絞り面34cは、液体通過面34aから液体噴射面34bに向かって液体噴射ノズル33の内径が徐々に小さくなる形状を有している。
【0041】
液体噴射ノズル33が扇形ノズルである場合、微小な砥粒を含むスラリーが液体噴射ノズル33の内部に固着するおそれがある。本実施形態では、液体噴射ノズル33は、その内面34に形成されたテーパー形状を有する液体絞り面34cを有している。したがって、液体噴射ノズル33の内部のスラリーは、液体絞り面34c上に留まることなく、液体絞り面34c上をスムーズに流れる。このようにして、液体噴射ノズル33の内部でのスラリーの滞留は防止される。結果として、液体噴射ノズル33の内部でのスラリーの固着は防止される。
【0042】
図6は、スラリーAの噴出範囲を示す図である。
図6に示すように、本実施形態では、液体噴射ノズル33から噴射されるスラリーAは、扇状に研磨パッド1の研磨面1a上に供給される。スラリーAは、研磨パッド1の中心CLを含み、かつ研磨パッド1の外周部1bよりも内側の領域に噴射される。一実施形態では、液体噴射ノズル33の噴射角度(言い換えれば、液体噴射ノズル33から噴射されるスラリーAの角度)は、50度から150度の範囲内である。
【0043】
本実施形態によれば、液体噴射ノズル33は、少量のスラリーを広範囲に亘って噴射することができる。したがって、スラリーの使用量を削減することができ、かつ使用するスラリー量に対する基板の除去レート(研磨レート)を向上させることができる。
【0044】
図7は、ノズル洗浄装置50を示す図である。
図8(a)はノズル洗浄装置50の第1洗浄ノズル51を示す図であり、
図8(b)はノズル洗浄装置50の第2洗浄ノズル52を示す図である。液体供給機構4は、ノズルアーム30に取り付けられたノズル(すなわち、第1スラリーノズル31、第2スラリーノズル32、および液体噴射ノズル33)を洗浄するノズル洗浄装置50を備えている。
【0045】
ノズル洗浄装置50は、ノズルアーム30の先端部分30aに取り付けられた第1スラリーノズル31および第2スラリーノズル32を洗浄する第1洗浄ノズル51と、ノズルアーム30のアーム部分30bに取り付けられた液体噴射ノズル33を洗浄する第2洗浄ノズル52と、第1洗浄ノズル51および第2洗浄ノズル52が連結された洗浄ライン53とを備えている。
【0046】
図7に示すように、ノズル洗浄装置50は、研磨パッド1の外側に配置されている。ノズルアーム30が退避位置に移動すると、ノズルアーム30は、ノズル洗浄装置50に隣接する。より具体的には、ノズルアーム30が退避位置にあるとき、第1洗浄ノズル51は、第1スラリーノズル31および第2スラリーノズル32に対向しており、第2洗浄ノズル52は、液体噴射ノズル33に対向している。
【0047】
第1洗浄ノズル51および第2洗浄ノズル52のそれぞれは、扇形ノズルである。第1洗浄ノズル51から第1スラリーノズル31および第2スラリーノズル32に向かって純水が扇状に噴射される。同様に、第2洗浄ノズル52から液体噴射ノズル33に向かって純水が扇状に噴射される。このようにして、第1スラリーノズル31、第2スラリーノズル32、および液体噴射ノズル33は、洗浄ライン53を流れる純水(洗浄液)によって洗浄される。
【0048】
図8(a)に示すように、第1洗浄ノズル51の噴射口は斜め下方を向いている。第1洗浄ノズル51は、第1スラリーノズル31および第2スラリーノズル32に対して斜め上方向から純水を噴射する。
【0049】
図8(b)に示すように、第2洗浄ノズル52の噴射口は、斜め上方を向いている。第2洗浄ノズル52は、液体噴射ノズル33に対して斜め下方から純水を噴射する。第2洗浄ノズル52は、液体噴射ノズル33の下方に配置されているため、第2洗浄ノズル52は、液体噴射ノズル33、特に、液体噴射ノズル33の液体噴射面34b(
図5参照)を確実に洗浄することができる。結果として、液体噴射面34bでのスラリーの固着は防止される。
【0050】
本実施形態によれば、第1スラリーノズル31、第2スラリーノズル32、および液体噴射ノズル33が研磨パッド1に噴射されたスラリーによって汚れた場合であっても、ノズル洗浄装置50は、これら第1スラリーノズル31、第2スラリーノズル32、および液体噴射ノズル33を洗浄することができる。
【0051】
図9は、アトマイザ20に固定されたドレッシング液供給装置60を示す図である。
図9に示すように、液体供給機構4は、アトマイザ20に固定されたドレッシング液供給装置60を備えている。したがって、アトマイザ20およびドレッシング液供給装置60は、一体的に移動可能である。ドレッシング液供給装置60は、ドレッサ15(
図1参照)による研磨パッド1のドレッシング中、ドレッシング液(例えば、純水)を研磨パッド1の研磨面1a上に供給する。
【0052】
ドレッシング液供給装置60は、アトマイザ20が研磨パッド1の上方の処理位置にあるとき、研磨パッド1の中心CLの上方に位置するドレッシング液供給ノズル61と、ドレッシング液供給ノズル61が接続され、ドレッシング液が流れるドレッシング液供給ライン62とを備えている。ドレッシング液はドレッシング液供給ノズル61から研磨パッド1の中心CL上に供給される。
【0053】
研磨パッド1のドレッシングの実行時において、ノズルアーム30は退避位置にあることがある。本実施形態では、アトマイザ20は、研磨パッド1のドレッシングの実行時において、研磨パッド1の上方の処理位置に配置されている。したがって、アトマイザ20に取り付けられたドレッシング液供給装置60は、研磨パッド1のドレッシングの実行時において、研磨パッド1の上方の処理位置に配置されている。このような構成により、研磨パッド1のドレッシングの実行時において、ノズルアーム30が退避位置に移動していても、ドレッシング装置10は、ドレッシング液供給装置60から供給されたドレッシング液の存在下において、研磨パッド1のドレッシングを行うことができる。
【0054】
図10は、基板の処理工程を示すフローチャートである。研磨装置PAは、搬送された基板Wの研磨を開始する(ステップS101参照)。基板Wの研磨時において、ノズルアーム30は、研磨パッド1の上方の処理位置に配置されている。
【0055】
ノズルアーム30は、基板Wを1枚処理するごとに、研磨パッド1の外側の退避位置に移動し(ステップS102参照)、第1スラリーノズル31、第2スラリーノズル32、および液体噴射ノズル33は、基板Wを1枚処理するごとに、ノズル洗浄装置50によって洗浄される(ステップS103参照)。したがって、ノズル洗浄装置50は、第1スラリーノズル31、第2スラリーノズル32、および液体噴射ノズル33の清浄度を向上させることができる。
【0056】
ノズル洗浄装置50による洗浄処理が終了した後、ノズルアーム30は、処理位置に再び移動し(ステップS104参照)、研磨装置PAは、新たに搬送された基板の研磨を開始する。このように、ステップS101からステップS104の処理が複数回繰り返され、所定単位(1ロット数)の基板が研磨される(ステップS105参照)。
【0057】
その後、ノズルアーム30は、退避位置に移動する(ステップS106参照)。ステップS106の後、ドレッシング装置10は研磨パッド1のドレッシングを実行し、ノズル洗浄装置50は第1スラリーノズル31、第2スラリーノズル32、および液体噴射ノズル33の洗浄を行う(ステップS107参照)。
【0058】
図11は、研磨装置PAの配管系統を示す模式図である。
図11に示すように、研磨装置PAは、純水が流れる流路が形成された純水ライン90およびクリーニング主ライン91を備えている。純水ライン90およびクリーニング主ライン91は、別個のラインである。
【0059】
純水ライン90には、フラッシングライン47(
図4参照)が接続されており、純水ライン90およびフラッシングライン47を流れる純水(フラッシング液体)は、液体噴射ノズル33から噴射される。フラッシングライン47には、洗浄ライン53(
図7参照)が接続されており、純水ライン90、フラッシングライン47、および洗浄ライン53を流れる純水(洗浄液)は、第1洗浄ノズル51および第2洗浄ノズル52から噴射される。
【0060】
図11に示すように、クリーニング主ライン91には、クリーニング主ライン91の途中から分岐するクリーニング分岐ライン92が接続されている。クリーニング主ライン91を流れる純水(洗浄液)は、ノズルアーム30を洗浄し、クリーニング主ライン91およびクリーニング分岐ライン92を流れる純水(洗浄液)は、ドレッサアーム11を洗浄する。
【0061】
図11に示すように、液体供給機構4は、液体噴射ノズル33の異常を検出するノズル異常検出装置70を備えている。スラリーの流量(供給量)および/またはスラリーの噴射範囲(噴出位置および噴出範囲)は基板の除去レートに多大な影響を及ぼすため、スラリーの流量および/またはスラリー噴射範囲の管理は重要である。そこで、ノズル異常検出装置70は、液体噴射ノズル33の異常(より具体的には、液体噴射ノズル33の異常な詰まりおよび異常な摩耗のうちの少なくとも1つ)を判定する。
【0062】
ノズル異常検出装置70は、第3スラリーライン46を流れるスラリーの流量を制御する流量制御部71と、流量制御部71から送られる信号に基づいて、液体噴射ノズル33の異常の判定を行う判定部72とを備えている。
【0063】
図12は、ノズル異常検出装置70を示す図である。
図12に示すように、流量制御部71および判定部72は、互いに電気的に接続されている。流量制御部71は、閉ループ制御(Closed Loop Control)を行う装置である。
【0064】
流量制御部71は、第3スラリーライン46の流路の大きさを調整する流量調整バルブ73と、第3スラリーライン46を流れるスラリーの流量を検出するフローセンサ74と、フローセンサ74によって測定された流量に基づいて、流量調整バルブ73の開度を制御するフローコントローラ75とを備えている。
【0065】
流量調整バルブ73の一例として、ピンチバルブを挙げることができる。フローセンサ74は、第3スラリーライン46を流れるスラリーの流れ方向において、流量調整バルブ73の下流側に配置されている。フローコントローラ75は、流量調整バルブ73およびフローセンサ74に電気的に接続されている。フローコントローラ75は、第3スラリーライン46を流れるスラリーの流量が予め設定された流量になるように、流量調整バルブ73の開度を制御する。
【0066】
流量調整バルブ73の開度(より具体的には、開度を示す信号)は、判定部72に送られる。判定部72は、流量調整バルブ73の開度に基づいて、液体噴射ノズル33の異常を判定する。
【0067】
図13は、判定部72の構成を示す図である。
図13に示すように、判定部72は、専用のコンピュータまたは汎用のコンピュータから構成される。判定部72は、プログラムやデータなどが格納される記憶装置110と、記憶装置110に格納されているプログラムに従って演算を行うCPU(中央処理装置)またはGPU(グラフィックプロセッシングユニット)などの処理装置120と、データ、プログラム、および各種情報を記憶装置110に入力するための入力装置130と、処理結果や処理されたデータを出力するための出力装置140と、インターネットなどのネットワークに接続するための通信装置150を備えている。
【0068】
判定部72は、記憶装置110に電気的に格納されたプログラムに従って動作する。プログラムは、非一時的な有形物であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶され、記録媒体を介して判定部72に提供される。または、プログラムは、インターネットなどの通信ネットワークを介して判定部72に提供されてもよい。
【0069】
図14は、判定部72が液体噴射ノズル33の異常を検出する様子を示す図である。スラリーが液体噴射ノズル33に詰まると、第3スラリーライン46を流れる液体(スラリーまたは純水)の流量が小さくなり、液体の圧力が異常に上昇する。フローコントローラ75は、液体の流量が大きくなるように、流量調整バルブ73の開度を大きくする。流量調整バルブ73の開度が所定の上限側しきい値に達すると、すなわち、開度が上限側しきい値以上になると、判定部72は、液体噴射ノズル33の異常な詰まりを決定し、異常信号を発報する。
【0070】
液体噴射ノズル33がスラリーによって摩耗すると、第3スラリーライン46を流れる液体の流量(スラリーまたは純水)が大きくなり、液体の圧力が異常に低下する。フローコントローラ75は、液体の流量が小さくなるように、流量調整バルブ73の開度を小さくする。流量調整バルブ73の開度が所定の下限側しきい値に達すると、すなわち、開度が下限側しきい値まで小さくなると、判定部72は、液体噴射ノズル33の異常な摩耗を決定し、異常信号を発報する。
【0071】
図14に示す実施形態では、記憶装置110は、単一の上限側しきい値および単一の下限側しきい値を記憶している。一実施形態では、記憶装置110は、複数の上限側しきい値および複数の下限側しきい値を記憶してもよい。例えば、上限側しきい値は、軽故障用の第1上限側しきい値および重故障用の第2上限側しきい値を有してもよい。第2上限側しきい値は、第1上限側しきい値よりも大きい。
【0072】
同様に、下限側しきい値は、軽故障用の第1下限側しきい値および重故障用の第2下限側しきい値を有してもよい。第2下限側しきい値は第1下限側しきい値よりも小さい。
【0073】
図15は、液体噴射ノズル33の異常を検出するフローチャートを示す図である。判定部72は、記憶装置110に電気的に格納された、液体噴射ノズル33の異常検出プログラムに従って、
図15に示すステップを実行する。
図15では、液体噴射ノズル33の異常検出の一例として、液体噴射ノズル33に詰まりが発生した場合について説明する。
【0074】
判定部72は、流量制御部71から送られる流量調整バルブ73の開度を常時監視する。上述したように、スラリーが液体噴射ノズル33に詰まると、流量調整バルブ73の開度が大きくなり、判定部72は、液体噴射ノズル33の詰まりを検出する(ステップS201参照)。
【0075】
ステップS201の後、判定部72は、流量調整バルブ73の開度が上限側しきい値以上か否かを判定する(ステップS202参照)。判定部72が流量調整バルブ73の開度が上限側しきい値未満であると決定した場合(ステップS202の「NO」参照)、判定部72は、液体噴射ノズル33の詰まり具合は異常でないと判断し、液体噴射ノズル33の異常検出プログラムを終了する。この場合、液体噴射ノズル33の交換は不要である。
【0076】
判定部72が流量調整バルブ73の開度が上限側しきい値以上であると決定した場合(ステップS202の「YES」参照)、判定部72は、液体噴射ノズル33の詰まり具合は異常であると判断する。
【0077】
図15に示す実施形態では、記憶装置110は、第1上限側しきい値および第2上限側しきい値を有する上限側しきい値を記憶している。
図15のステップS203に示すように、判定部72は、流量調整バルブ73の開度が第2上限側しきい値に達したか否かを判定する。
【0078】
判定部72が流量調整バルブ73の開度が第2上限側しきい値に達していないと決定した場合(ステップS203の「NO」参照)、判定部72は、液体噴射ノズル33に軽故障が発生したと判断する。言い換えれば、判定部72は、流量調整バルブ73の開度が第1上限側しきい値以上であり、かつ第2上限側しきい値未満であると判断する。
【0079】
この場合、判定部72は、軽故障アラームを発報する(ステップS204参照)。この軽故障アラームは、液体噴射ノズル33の交換を推奨するためのアラームであり、作業者は、この軽故障アラームに基づいて、液体噴射ノズル33を交換してもよい。
【0080】
判定部72が流量調整バルブ73の開度が第2上限側しきい値に達していると決定した場合(ステップS203の「YES」参照)、判定部72は、液体噴射ノズル33に重故障が発生したと判断し、重故障アラームを発報する(ステップS205参照)。この重故障アラームは、基板Wの処理を終了させるためのアラームである(プロセスインターロック)。この場合、判定部72は、研磨装置PAの運転を停止させて(ステップS206)、液体噴射ノズル33の異常検出プログラムを終了する。
【0081】
図15に示す実施形態では、ノズル異常検出装置70が液体噴射ノズル33の詰まりを検出する実施形態について説明したが、ノズル異常検出装置70は、
図15に示すステップと同様のステップを経て、液体噴射ノズル33の摩耗を検出してもよい。
【0082】
図16は、液体噴射ノズル33の異常を検出するフローチャートを示す図である。ノズル異常検出装置70が液体噴射ノズル33の摩耗を検出すると(ステップS301参照)、流量調整バルブ73の開度が下限側しきい値以下か否かを判定する(ステップS302参照)。判定部72が流量調整バルブ73の開度が下限側しきい値よりも大きいと決定した場合(ステップS302の「NO」参照)、判定部72は、液体噴射ノズル33の摩耗具合は異常でないと判断し、液体噴射ノズル33の異常検出プログラムを終了する。
【0083】
判定部72が流量調整バルブ73の開度が下限側しきい値以下であると決定した場合(ステップS302の「YES」参照)、判定部72は、液体噴射ノズル33の摩耗具合は異常であると判断し、流量調整バルブ73の開度が第2下限側しきい値に達したか否かを判定する(ステップS303参照)。
【0084】
判定部72が流量調整バルブ73の開度が第2下限側しきい値に達していないと決定した場合(ステップS303の「NO」参照)、判定部72は、液体噴射ノズル33に軽故障が発生したと判断する。言い換えれば、判定部72は、流量調整バルブ73の開度が第1下限側しきい値以下であり、かつ第2下限側しきい値よりも大きいと判断する。この場合、判定部72は、軽故障アラームを発報する(ステップS304参照)。
【0085】
判定部72が流量調整バルブ73の開度が第2下限側しきい値に達していると決定した場合(ステップS303の「YES」参照)、判定部72は、液体噴射ノズル33に重故障が発生したと判断し、重故障アラームを発報する(ステップS305参照)。その後、判定部72は、研磨装置PAの運転を停止させて(ステップS306)、液体噴射ノズル33の異常検出プログラムを終了する。
【0086】
液体噴射ノズル33に異常が発生すると、液体噴射ノズル33の噴射角度が変わったり、適切な量のスラリーを供給することができなくなるおそれがある。上述したように、研磨液の噴出範囲および供給量は基板Wの除去レートに多大な影響を及ぼす。本実施形態では、ノズル異常検出装置70は、液体噴射ノズル33の異常を判定することができる。したがって、研磨装置PAは、その付加価値を向上させることができる。
【0087】
一実施形態では、ノズル異常検出装置70は、液体噴射ノズル33の異常を判定するのみならず、第1スラリーノズル31および第2スラリーノズル32のうちの少なくとも1つの異常を判定してもよい。
【0088】
図17は、液体供給機構4の他の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0089】
図17では、ノズルアーム30の先端部分30aを下から見たときの、第1スラリーノズル31、第2スラリーノズル32、ドレッシング液供給ノズル61、および液体噴射ノズル33が描かれている。
図17に示すように、液体噴射ノズル33は、ノズルアーム30の先端部分30aに配置されてもよい。
【0090】
図17に示す実施形態では、第1スラリーノズル31および第2スラリーノズル32のみならず、液体噴射ノズル33およびドレッシング液供給ノズル61もノズルアーム30の先端部分30aに配置されている。液体噴射ノズル33は、
図5に示す構造と同一の構造を有している。より具体的には、液体噴射ノズル33は、その内面34に形成され、かつテーパー形状を有する液体絞り面34cを有する扇形ノズルである。
【0091】
ノズルアーム30の先端部分30aは、液体噴射ノズル33の位置決めを行うための位置決め部位80を有している。位置決め部位80は、液体噴射ノズル33の両面33aが嵌まり込む嵌合面80aを有している。したがって、液体噴射ノズル33の両面33aを位置決め部位80の嵌合面80aに嵌め込むことにより、液体噴射ノズル33の位置決めが行われる。
図17に示す実施形態では、液体噴射ノズル33を鉛直方向に対して傾斜させることにより、液体噴射ノズル33の傾斜角度を変更することができる。
【0092】
図18は、
図17に示す実施形態における第3スラリーライン46を示す図である。
図18では、第1スラリーノズル31が接続された第1スラリーライン40、第2スラリーノズル32が接続された第2スラリーライン41、およびドレッシング液供給ノズル61が接続されたドレッシング液供給ライン62の図示は省略されている。
【0093】
図18に示すように、第3スラリーライン46および液体噴射ノズル33は、ジョイント81によって連結されている。ジョイント81は、スラリーの滞留を防止する構造を有している。本実施形態では、ジョイント81は、スラリーの滞留(固着)を防止するために、鉛直方向VLに対して傾斜している。一実施形態では、ジョイント81は、鉛直方向VLに対して45度の角度で傾斜している。
【0094】
このような構造により、ジョイント81を通過して、液体噴射ノズル33から噴射されるスラリーは、ジョイント81の内部に留まることなく、ジョイント81の内面上をスムーズに流れる。
【0095】
図17および
図18に示す実施形態においても、液体噴射ノズル33は、扇形ノズルである。したがって、液体噴射ノズル33は、スラリーを広範囲に亘って噴射することができる。結果として、研磨装置PAは、スラリーの使用量を削減することができ、かつ使用するスラリー量に対する基板Wの除去レートを向上させることができる。
【0096】
一実施形態では、ジョイント81は第1スラリーライン40および第2スラリーライン41のうちの少なくとも1つに接続されてもよい。一実施形態では、ノズル異常検出装置70による液体噴射ノズル33の異常検出プログラムは、
図1乃至
図9に示す実施形態のみならず、
図17および
図18に示す実施形態にも適用可能である。言い換えれば、ノズル異常検出装置70は、上述した実施形態で説明したすべての構成要素と組み合わせてもよい。
【0097】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0098】
1 研磨パッド
1a 研磨面
1b 外周部
2 研磨テーブル
3 トップリング
4 液体供給機構
5 トップリング装置
8 トップリングアーム
9 トップリング旋回軸
10 ドレッシング装置
11 ドレッサアーム
12 ドレッサ旋回軸
15 ドレッサ
20 アトマイザ
30 ノズルアーム
30a 先端部分
30b アーム部分
31 第1スラリーノズル(第1液体ノズル)
32 第2スラリーノズル(第2液体ノズル)
33 液体噴射ノズル
33a 両面
34 内面
34a 液体通過面
34b 液体噴射面
34c 液体絞り面
35 ノズル旋回軸
40 第1スラリーライン(第1液体供給ライン)
41 第2スラリーライン(第2液体供給ライン)
44 汚れ防止カバー
45 ノズルホルダー
46 第3スラリーライン(第3液体供給ライン)
47 フラッシングライン
48 連結部材
50 ノズル洗浄装置
51 第1洗浄ノズル
52 第2洗浄ノズル
53 洗浄ライン
60 ドレッシング液供給装置
61 ドレッシング液供給ノズル
62 ドレッシング液供給ライン
70 ノズル異常検出装置
71 流量制御部
72 判定部
73 流量調整バルブ
74 フローセンサ
75 フローコントローラ
80 位置決め部位
80a 嵌合面
81 ジョイント
90 純水ライン
91 クリーニング主ライン
92 クリーニング分岐ライン
110 記憶装置
120 処理装置
130 入力装置
140 出力装置
150 通信装置
PA 研磨装置