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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】光伝送システム及び伝送モード選択方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/07 20130101AFI20221005BHJP
   H04B 10/516 20130101ALI20221005BHJP
   H04B 10/60 20130101ALI20221005BHJP
【FI】
H04B10/07
H04B10/516
H04B10/60
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020536365
(86)(22)【出願日】2019-06-18
(86)【国際出願番号】 JP2019024152
(87)【国際公開番号】W WO2020031514
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2018148920
(32)【優先日】2018-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】乾 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】西沢 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】岡本 聖司
(72)【発明者】
【氏名】平野 章
(72)【発明者】
【氏名】小林 正啓
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 史一
(72)【発明者】
【氏名】桑原 世輝
(72)【発明者】
【氏名】田中 貴章
(72)【発明者】
【氏名】北村 圭
(72)【発明者】
【氏名】小田 拓哉
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-191452(JP,A)
【文献】特開2011-250291(JP,A)
【文献】特開2016-072834(JP,A)
【文献】特開2015-188165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/07
H04B 10/516
H04B 10/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムであって、
少なくとも変調方式、ボーレート及び誤り訂正符号種別を含む 伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置のそれぞれが適用可能な伝送モード情報を通知しあうことによって得られる前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する伝送モード選択部と、
選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信する信号送信部と、
前記信号を受信し、受信した前記信号を前記伝送モード選択部が選択する前記伝送モード情報に基づいて復調する信号受信部と、
を備える光伝送システム。
【請求項2】
受信された前記信号の信号品質を検出する信号品質検出部と、
前記信号品質検出部が検出した前記信号品質を示す情報に基づいて、前記信号の信号品質が許容されるか否かを判定する信号品質判定部と、
をさらに備え、
前記伝送モード選択部は、前記信号品質判定部によって前記信号の信号品質が許容されないと判定した場合に、次に優先度の高い前記伝送モード情報を選択する、請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項3】
光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムであって、
伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する伝送モード選択部と、
選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信する信号送信部と、
前記信号を受信し、受信した前記信号を前記伝送モード選択部が選択する前記伝送モード情報に基づいて復調する信号受信部と、
を備え、
前記光送信装置は、自装置の前記伝送モード情報を含む送信側伝送モード候補情報を前記光受信装置に送信する伝送モード候補送信部と、
前記光受信装置から、前記光受信装置の前記伝送モード情報を含む受信側伝送モード候補情報を受信する伝送モード候補受信部と、
前記伝送モード選択部と、を備え、
前記光受信装置は、前記光送信装置から、前記送信側伝送モード候補情報を受信する伝送モード候補受信部と、
前記伝送モード候補受信部が前記送信側伝送モード候補情報を受信した際、前記受信側伝送モード候補情報を前記光送信装置に送信する伝送モード候補送信部と、
前記伝送モード選択部を備える光伝送システム。
【請求項4】
前記光送信装置の前記伝送モード候補送信部は、前記送信側伝送モード候補情報を1つ以上の特定周波数に電力が集中する信号系列であるパイロットトーン信号に重畳して前記信号送信部に送信させ、
前記光受信装置の前記伝送モード候補受信部は、前記信号受信部が受信する前記パイロットトーン信号に重畳されている前記送信側伝送モード候補情報を受信する、請求項3に記載の光伝送システム。
【請求項5】
前記光送信装置の前記伝送モード候補送信部は、前記送信側伝送モード候補情報を前記信号に含まれる主信号の信号フレームの予約フィールドに書き込んで前記信号送信部に送信させ、
前記光受信装置の前記伝送モード候補受信部は、前記主信号の前記信号フレームの前記予約フィールドに含まれる前記送信側伝送モード候補情報を読み出す、請求項3に記載の光伝送システム。
【請求項6】
制御装置を更に備え、
前記制御装置は、前記伝送モード選択部を備え、
前記伝送モード選択部は、前記伝送モード情報を選択する場合、選択した前記伝送モード情報を指定する伝送モード指定信号を生成し、生成した前記伝送モード指定信号を前記光送信装置及び前記光受信装置に送信し、
前記光送信装置及び前記光受信装置は、前記伝送モード選択部から送信された前記伝送モード指定信号に応じた伝送モードで動作する、請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項7】
光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムであって、
伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する伝送モード選択部と、
選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信する信号送信部と、
前記信号を受信し、受信した前記信号を前記伝送モード選択部が選択する前記伝送モード情報に基づいて復調する信号受信部と、
を備え、
制御装置を更に備え、
前記制御装置は、前記伝送モード選択部を備え、
前記伝送モード選択部は、前記伝送モード情報を選択する場合、選択した前記伝送モード情報を指定する伝送モード指定信号を生成し、生成した前記伝送モード指定信号を前記光送信装置及び前記光受信装置に送信し、
前記光送信装置及び前記光受信装置は、前記伝送モード選択部から送信された前記伝送モード指定信号に応じた伝送モードで動作し、
管理装置を更に備え、
前記管理装置は、前記光伝送路に備えられる各種モジュール、前記光送信装置及び前記光受信装置の物理特性パラメータの情報と、前記光送信装置及び前記光受信装置の前記伝送モード情報とを記憶する伝送設計情報記憶部と、
前記伝送モード情報ごとに、前記物理特性パラメータに基づいて伝送品質を算出し、算出した伝送品質に基づいて選択する複数の伝送モード情報を含む伝送モード候補リストを生成し、生成した前記伝送モード候補リストを前記制御装置に送信する伝送設計処理部と、を備え、
前記制御装置の前記伝送モード選択部は、受信した前記伝送モード候補リストの中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する光伝送システム。
【請求項8】
光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムにおける伝送モード選択方法であって、
少なくとも変調方式、ボーレート及び誤り訂正符号種別を含む 伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置のそれぞれが適用可能な伝送モード情報を通知しあうことによって得られる前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択し、
選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信し、
前記信号を受信し、受信した前記信号を、選した前記伝送モード情報に基づいて復調する伝送モード選択方法。
【請求項9】
光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムであって、
伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する伝送モード選択部と、
選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信する信号送信部と、
前記信号を受信し、受信した前記信号を前記伝送モード選択部が選択する前記伝送モード情報に基づいて復調する信号受信部と、
を備え、
制御装置を更に備え、
前記制御装置は、前記伝送モード選択部を備え、
前記伝送モード選択部は、前記伝送モード情報を選択する場合、選択した前記伝送モード情報を指定する伝送モード指定信号を生成し、生成した前記伝送モード指定信号を前記光送信装置及び前記光受信装置に送信し、
前記光送信装置及び前記光受信装置は、前記伝送モード選択部から送信された前記伝送モード指定信号に応じた伝送モードで動作し、
管理装置を更に備え、
前記管理装置は、前記光伝送路に備えられる各種モジュール、前記光送信装置及び前記光受信装置の物理特性パラメータの情報と、前記光送信装置及び前記光受信装置の前記伝送モード情報とを記憶する伝送設計情報記憶部と、
前記伝送モード情報ごとに、前記物理特性パラメータに基づいて伝送品質を算出し、算出した伝送品質に基づいて選択する複数の伝送モード情報を含む伝送モード候補リストを生成する伝送設計処理部と、
前記光伝送路のトポロジー情報、ノード情報、パス情報のいずれか又は全てを含むネットワーク情報を収集し、収集した前記ネットワーク情報を記憶するネットワーク設計情報記憶部と、
前記伝送モード情報ごとに、前記ネットワーク情報を用いて、ネットワーク利用効率を向上させる光パスを求める収容設計処理を行うことによって前記伝送モード情報毎に優先度を示す情報を付加した前記伝送モード候補リストを前記制御装置に送信するネットワーク設計処理部と、
を備え、
前記制御装置の前記伝送モード選択部は、受信した前記伝送モード候補リストの中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する光伝送システム。
【請求項10】
光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムであって、
伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する伝送モード選択部と、
選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信する信号送信部と、
前記信号を受信し、受信した前記信号を前記伝送モード選択部が選択する前記伝送モード情報に基づいて復調する信号受信部と、
を備え、
制御装置を更に備え、
前記制御装置は、前記伝送モード選択部を備え、
前記伝送モード選択部は、前記伝送モード情報を選択する場合、選択した前記伝送モード情報を指定する伝送モード指定信号を生成し、生成した前記伝送モード指定信号を前記光送信装置及び前記光受信装置に送信し、
前記光送信装置及び前記光受信装置は、前記伝送モード選択部から送信された前記伝送モード指定信号に応じた伝送モードで動作し、
前記制御装置は、
前記光伝送路に備えられる各種モジュール、前記光送信装置及び前記光受信装置の物理特性パラメータの情報と、前記光送信装置及び前記光受信装置の前記伝送モード情報とを記憶する伝送設計情報記憶部と、
前記伝送モード情報ごとに、前記物理特性パラメータに基づいて伝送品質を算出し、算出した伝送品質に基づいて選択する複数の伝送モード情報を含む伝送モード候補リストを生成し、生成した前記伝送モード候補リストを前記伝送モード選択部に出力する伝送設計処理部と、
をさらに備え、
前記伝送モード選択部は、出力された前記伝送モード候補リストの中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する光伝送システム。
【請求項11】
前記制御装置は、
受信された前記信号の信号品質を検出する信号品質検出部と、前記信号品質検出部が検出した前記信号品質を示す情報に基づいて、前記信号の信号品質が許容されるか否かを判定する信号品質判定部と、
を備え、
前記伝送モード選択部は、前記信号品質判定部によって前記信号の信号品質が許容されないと判定した場合に、次に優先度の高い前記伝送モード情報を選択する、請求項10に記載の光伝送システム。
【請求項12】
光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムにおける伝送モード選択方法であって、
伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択し、
選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信し、
前記信号を受信し、受信した前記信号を、選択した前記伝送モード情報に基づいて復調し、
前記光送信装置が、自装置の前記伝送モード情報を含む送信側伝送モード候補情報を前記光受信装置に送信し、
前記光送信装置が、前記光受信装置から、前記光受信装置の前記伝送モード情報を含む受信側伝送モード候補情報を受信し、
前記光受信装置が、前記光送信装置から、前記送信側伝送モード候補情報を受信し、
前記光受信装置が、前記送信側伝送モード候補情報を受信した際、前記受信側伝送モード候補情報を前記光送信装置に送信する伝送モード選択方法。
【請求項13】
光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムにおける伝送モード選択方法であって、
伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択し、
選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信し、
前記信号を受信し、受信した前記信号を、選択した前記伝送モード情報に基づいて復調し、
制御装置が、前記伝送モード情報を選択する場合、選択した前記伝送モード情報を指定する伝送モード指定信号を生成し、生成した前記伝送モード指定信号を前記光送信装置及び前記光受信装置に送信し、
前記光送信装置及び前記光受信装置が、前記制御装置から送信された前記伝送モード指定信号に応じた伝送モードで動作し、
管理装置が、前記光伝送路に備えられる各種モジュール、前記光送信装置及び前記光受信装置の物理特性パラメータの情報と、前記光送信装置及び前記光受信装置の前記伝送モード情報とを記憶し、
管理装置が、前記伝送モード情報ごとに、前記物理特性パラメータに基づいて伝送品質を算出し、算出した伝送品質に基づいて選択する複数の伝送モード情報を含む伝送モード候補リストを生成し、生成した前記伝送モード候補リストを前記制御装置に送信し、
前記制御装置が、受信した前記伝送モード候補リストの中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する伝送モード選択方法。
【請求項14】
光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムにおける伝送モード選択方法であって、
伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択し、
選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信し、
前記信号を受信し、受信した前記信号を、選択した前記伝送モード情報に基づいて復調し、
制御装置が、前記伝送モード情報を選択する場合、選択した前記伝送モード情報を指定する伝送モード指定信号を生成し、生成した前記伝送モード指定信号を前記光送信装置及び前記光受信装置に送信し、
前記光送信装置及び前記光受信装置が、前記制御装置から送信された前記伝送モード指定信号に応じた伝送モードで動作し、
管理装置が、前記光伝送路に備えられる各種モジュール、前記光送信装置及び前記光受信装置の物理特性パラメータの情報と、前記光送信装置及び前記光受信装置の前記伝送モード情報とを記憶し、
管理装置が、前記伝送モード情報ごとに、前記物理特性パラメータに基づいて伝送品質を算出し、算出した伝送品質に基づいて選択する複数の伝送モード情報を含む伝送モード候補リストを生成し、
管理装置が、前記光伝送路のトポロジー情報、ノード情報、パス情報のいずれか又は全てを含むネットワーク情報を収集し、収集した前記ネットワーク情報を記憶し、
管理装置が、前記伝送モード情報ごとに、前記ネットワーク情報を用いて、ネットワーク利用効率を向上させる光パスを求める収容設計処理を行うことによって前記伝送モード情報毎に優先度を示す情報を付加した前記伝送モード候補リストを前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、受信した前記伝送モード候補リストの中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する伝送モード選択方法。
【請求項15】
光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムにおける伝送モード選択方法であって、
伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択し、
選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信し、
前記信号を受信し、受信した前記信号を、選択した前記伝送モード情報に基づいて復調し、
制御装置が、前記伝送モード情報を選択する場合、選択した前記伝送モード情報を指定する伝送モード指定信号を生成し、生成した前記伝送モード指定信号を前記光送信装置及び前記光受信装置に送信し、
前記光送信装置及び前記光受信装置が、前記制御装置から送信された前記伝送モード指定信号に応じた伝送モードで動作し、
前記制御装置が、前記光伝送路に備えられる各種モジュール、前記光送信装置及び前記光受信装置の物理特性パラメータの情報と、前記光送信装置及び前記光受信装置の前記伝送モード情報とを記憶し、
前記制御装置が、前記伝送モード情報ごとに、前記物理特性パラメータに基づいて伝送品質を算出し、算出した伝送品質に基づいて選択する複数の伝送モード情報を含む伝送モード候補リストを生成し、生成した前記伝送モード候補リストの中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する伝送モード選択方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送システム及び伝送モード選択方法に関する。
本願は、2018年8月7日に、日本に出願された特願2018-148920号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
光伝送用のデジタル信号処理(以下「DSP」(Digital Signal Processing)という。)の高機能化に伴い、変調方式だけでなく、ボーレート、例えば、FEC(Forward Error Correction)などの誤り訂正符号の種別、キャリア数などの伝送性能に関する各種パラメータが増加し、伝送モードが多様化してきている。例えば、特許文献1には、トレーニング信号に基づいて最適な変調方式を選択する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5753604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、変調方式以外のボーレート、誤り訂正符号の種別、キャリア数などの伝送性能に関する各種パラメータに対応して最適な伝送モードを選択することができないという問題がある。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせにより定められる伝送モードの中から最適な伝送モードを選択することができる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムであって、少なくとも変調方式、ボーレート及び誤り訂正符号種別を含む伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置のそれぞれが適用可能な伝送モード情報を通知しあうことによって得られる前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する伝送モード選択部と、選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信する信号送信部と、前記信号を受信し、受信した前記信号を前記伝送モード選択部が選択する前記伝送モード情報に基づいて復調する信号受信部と、を備える光伝送システムである。
【0007】
本発明の一態様は、上記の光伝送システムであって、受信された前記信号の信号品質を検出する信号品質検出部と、前記信号品質検出部が検出した前記信号品質を示す情報に基づいて、前記信号の信号品質が許容されるか否かを判定する信号品質判定部と、をさらに備え、前記伝送モード選択部は、前記信号品質判定部によって前記信号の信号品質が許容されないと判定した場合に、次に優先度の高い前記伝送モード情報を選択する。
【0008】
発明の一態様は、光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムであって、伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する伝送モード選択部と、選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信する信号送信部と、前記信号を受信し、受信した前記信号を前記伝送モード選択部が選択する前記伝送モード情報に基づいて復調する信号受信部と、を備え、前記光送信装置は、自装置の前記伝送モード情報を含む送信側伝送モード候補情報を前記光受信装置に送信する伝送モード候補送信部と、前記光受信装置から、前記光受信装置の前記伝送モード情報を含む受信側伝送モード候補情報を受信する伝送モード候補受信部と、前記伝送モード選択部と、を備え、前記光受信装置は、前記光送信装置から、前記送信側伝送モード候補情報を受信する伝送モード候補受信部と、前記伝送モード候補受信部が前記送信側伝送モード候補情報を受信した際、前記受信側伝送モード候補情報を前記光送信装置に送信する伝送モード候補送信部と、前記伝送モード選択部を備える光伝送システムである
【0009】
本発明の一態様は、上記の光伝送システムであって、前記光送信装置の前記伝送モード候補送信部は、前記送信側伝送モード候補情報を1つ以上の特定周波数に電力が集中する信号系列であるパイロットトーン信号に重畳して前記信号送信部に送信させ、前記光受信装置の前記伝送モード候補受信部は、前記信号受信部が受信する前記パイロットトーン信号に重畳されている前記送信側伝送モード候補情報を受信する。
【0010】
本発明の一態様は、上記の光伝送システムであって、前記光送信装置の前記伝送モード候補送信部は、前記送信側伝送モード候補情報を前記信号に含まれる主信号の信号フレームの予約フィールドに書き込んで前記信号送信部に送信させ、前記光受信装置の前記伝送モード候補受信部は、前記主信号の前記信号フレームの前記予約フィールドに含まれる前記送信側伝送モード候補情報を読み出す。
【0011】
本発明の一態様は、上記の光伝送システムであって、制御装置を更に備え、前記制御装置は、前記伝送モード選択部を備え、前記伝送モード選択部は、前記伝送モード情報を選択する場合、選択した前記伝送モード情報を指定する伝送モード指定信号を生成し、生成した前記伝送モード指定信号を前記光送信装置及び前記光受信装置に送信し、前記光送信装置及び前記光受信装置は、前記伝送モード選択部から送信された前記伝送モード指定信号に応じた伝送モードで動作する。
【0012】
本発明の一態様は、光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムであって、伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する伝送モード選択部と、選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信する信号送信部と、前記信号を受信し、受信した前記信号を前記伝送モード選択部が選択する前記伝送モード情報に基づいて復調する信号受信部と、を備え、制御装置を更に備え、前記制御装置は、前記伝送モード選択部を備え、前記伝送モード選択部は、前記伝送モード情報を選択する場合、選択した前記伝送モード情報を指定する伝送モード指定信号を生成し、生成した前記伝送モード指定信号を前記光送信装置及び前記光受信装置に送信し、前記光送信装置及び前記光受信装置は、前記伝送モード選択部から送信された前記伝送モード指定信号に応じた伝送モードで動作し、管理装置を更に備え、前記管理装置は、前記光伝送路に備えられる各種モジュール、前記光送信装置及び前記光受信装置の物理特性パラメータの情報と、前記光送信装置及び前記光受信装置の前記伝送モード情報とを記憶する伝送設計情報記憶部と、前記伝送モード情報ごとに、前記物理特性パラメータに基づいて伝送品質を算出し、算出した伝送品質に基づいて選択する複数の伝送モード情報を含む伝送モード候補リストを生成し、生成した前記伝送モード候補リストを前記制御装置に送信する伝送設計処理部と、を備え、前記制御装置の前記伝送モード選択部は、受信した前記伝送モード候補リストの中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する光伝送システムである
【0013】
本発明の一態様は、光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムにおける伝送モード選択方法であって、少なくとも変調方式、ボーレート及び誤り訂正符号種別を含む伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置のそれぞれが適用可能な伝送モード情報を通知しあうことによって得られる前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択し、選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信し、前記信号を受信し、受信した前記信号を、選した前記伝送モード情報に基づいて復調する伝送モード選択方法である。
【0014】
本発明の一態様は、光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムであって、伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する伝送モード選択部と、選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信する信号送信部と、前記信号を受信し、受信した前記信号を前記伝送モード選択部が選択する前記伝送モード情報に基づいて復調する信号受信部と、を備え、制御装置を更に備え、前記制御装置は、前記伝送モード選択部を備え、前記伝送モード選択部は、前記伝送モード情報を選択する場合、選択した前記伝送モード情報を指定する伝送モード指定信号を生成し、生成した前記伝送モード指定信号を前記光送信装置及び前記光受信装置に送信し、前記光送信装置及び前記光受信装置は、前記伝送モード選択部から送信された前記伝送モード指定信号に応じた伝送モードで動作し、管理装置を更に備え、前記管理装置は、前記光伝送路に備えられる各種モジュール、前記光送信装置及び前記光受信装置の物理特性パラメータの情報と、前記光送信装置及び前記光受信装置の前記伝送モード情報とを記憶する伝送設計情報記憶部と、前記伝送モード情報ごとに、前記物理特性パラメータに基づいて伝送品質を算出し、算出した伝送品質に基づいて選択する複数の伝送モード情報を含む伝送モード候補リストを生成する伝送設計処理部と、前記光伝送路のトポロジー情報、ノード情報、パス情報のいずれか又は全てを含むネットワーク情報を収集し、収集した前記ネットワーク情報を記憶するネットワーク設計情報記憶部と、前記伝送モード情報ごとに、前記ネットワーク情報を用いて、ネットワーク利用効率を向上させる光パスを求める収容設計処理を行うことによって前記伝送モード情報毎に優先度を示す情報を付加した前記伝送モード候補リストを前記制御装置に送信するネットワーク設計処理部と、を備え、前記制御装置の前記伝送モード選択部は、受信した前記伝送モード候補リストの中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する光伝送システムである。
【0015】
本発明の一態様は、光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムであって、伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する伝送モード選択部と、選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信する信号送信部と、前記信号を受信し、受信した前記信号を前記伝送モード選択部が選択する前記伝送モード情報に基づいて復調する信号受信部と、を備え、制御装置を更に備え、前記制御装置は、前記伝送モード選択部を備え、前記伝送モード選択部は、前記伝送モード情報を選択する場合、選択した前記伝送モード情報を指定する伝送モード指定信号を生成し、生成した前記伝送モード指定信号を前記光送信装置及び前記光受信装置に送信し、前記光送信装置及び前記光受信装置は、前記伝送モード選択部から送信された前記伝送モード指定信号に応じた伝送モードで動作し、前記制御装置は、前記光伝送路に備えられる各種モジュール、前記光送信装置及び前記光受信装置の物理特性パラメータの情報と、前記光送信装置及び前記光受信装置の前記伝送モード情報とを記憶する伝送設計情報記憶部と、前記伝送モード情報ごとに、前記物理特性パラメータに基づいて伝送品質を算出し、算出した伝送品質に基づいて選択する複数の伝送モード情報を含む伝送モード候補リストを生成し、生成した前記伝送モード候補リストを前記伝送モード選択部に出力する伝送設計処理部と、をさらに備え、前記伝送モード選択部は、出力された前記伝送モード候補リストの中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する光伝送システムである
【0016】
本発明の一態様は、上記の光伝送システムであって、前記制御装置は、受信された前記信号の信号品質を検出する信号品質検出部と、前記信号品質検出部が検出した前記信号品質を示す情報に基づいて、前記信号の信号品質が許容されるか否かを判定する信号品質判定部と、を備え、前記伝送モード選択部は、前記信号品質判定部によって前記信号の信号品質が許容されないと判定した場合に、次に優先度の高い前記伝送モード情報を選択する。
本発明の一態様は、光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムにおける伝送モード選択方法であって、伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択し、選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信し、前記信号を受信し、受信した前記信号を、選択した前記伝送モード情報に基づいて復調し、前記光送信装置が、自装置の前記伝送モード情報を含む送信側伝送モード候補情報を前記光受信装置に送信し、前記光送信装置が、前記光受信装置から、前記光受信装置の前記伝送モード情報を含む受信側伝送モード候補情報を受信し、前記光受信装置が、前記光送信装置から、前記送信側伝送モード候補情報を受信し、前記光受信装置が、前記送信側伝送モード候補情報を受信した際、前記受信側伝送モード候補情報を前記光送信装置に送信する伝送モード選択方法である。
本発明の一態様は、光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムにおける伝送モード選択方法であって、伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択し、選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信し、前記信号を受信し、受信した前記信号を、選択した前記伝送モード情報に基づいて復調し、制御装置が、前記伝送モード情報を選択する場合、選択した前記伝送モード情報を指定する伝送モード指定信号を生成し、生成した前記伝送モード指定信号を前記光送信装置及び前記光受信装置に送信し、前記光送信装置及び前記光受信装置が、前記制御装置から送信された前記伝送モード指定信号に応じた伝送モードで動作し、管理装置が、前記光伝送路に備えられる各種モジュール、前記光送信装置及び前記光受信装置の物理特性パラメータの情報と、前記光送信装置及び前記光受信装置の前記伝送モード情報とを記憶し、管理装置が、前記伝送モード情報ごとに、前記物理特性パラメータに基づいて伝送品質を算出し、算出した伝送品質に基づいて選択する複数の伝送モード情報を含む伝送モード候補リストを生成し、生成した前記伝送モード候補リストを前記制御装置に送信し、前記制御装置が、受信した前記伝送モード候補リストの中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する伝送モード選択方法である。
本発明の一態様は、光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムにおける伝送モード選択方法であって、伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択し、選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信し、前記信号を受信し、受信した前記信号を、選択した前記伝送モード情報に基づいて復調し、制御装置が、前記伝送モード情報を選択する場合、選択した前記伝送モード情報を指定する伝送モード指定信号を生成し、生成した前記伝送モード指定信号を前記光送信装置及び前記光受信装置に送信し、前記光送信装置及び前記光受信装置が、前記制御装置から送信された前記伝送モード指定信号に応じた伝送モードで動作し、管理装置が、前記光伝送路に備えられる各種モジュール、前記光送信装置及び前記光受信装置の物理特性パラメータの情報と、前記光送信装置及び前記光受信装置の前記伝送モード情報とを記憶し、管理装置が、前記伝送モード情報ごとに、前記物理特性パラメータに基づいて伝送品質を算出し、算出した伝送品質に基づいて選択する複数の伝送モード情報を含む伝送モード候補リストを生成し、管理装置が、前記光伝送路のトポロジー情報、ノード情報、パス情報のいずれか又は全てを含むネットワーク情報を収集し、収集した前記ネットワーク情報を記憶し、管理装置が、前記伝送モード情報ごとに、前記ネットワーク情報を用いて、ネットワーク利用効率を向上させる光パスを求める収容設計処理を行うことによって前記伝送モード情報毎に優先度を示す情報を付加した前記伝送モード候補リストを前記制御装置に送信し、前記制御装置は、受信した前記伝送モード候補リストの中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する伝送モード選択方法である。
本発明の一態様は、光送信装置と、前記光送信装置から送信された信号を、光伝送路を介して受信する光受信装置とを備える光伝送システムにおける伝送モード選択方法であって、伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって、前記光送信装置と前記光受信装置の前記伝送性能に共通する複数の前記伝送モード情報の中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択し、選択された前記伝送モード情報に基づいて変調した信号を前記光受信装置に送信し、前記信号を受信し、受信した前記信号を、選択した前記伝送モード情報に基づいて復調し、制御装置が、前記伝送モード情報を選択する場合、選択した前記伝送モード情報を指定する伝送モード指定信号を生成し、生成した前記伝送モード指定信号を前記光送信装置及び前記光受信装置に送信し、前記光送信装置及び前記光受信装置が、前記制御装置から送信された前記伝送モード指定信号に応じた伝送モードで動作し、前記制御装置が、前記光伝送路に備えられる各種モジュール、前記光送信装置及び前記光受信装置の物理特性パラメータの情報と、前記光送信装置及び前記光受信装置の前記伝送モード情報とを記憶し、前記制御装置が、前記伝送モード情報ごとに、前記物理特性パラメータに基づいて伝送品質を算出し、算出した伝送品質に基づいて選択する複数の伝送モード情報を含む伝送モード候補リストを生成し、生成した前記伝送モード候補リストの中から、優先度の高い順に前記伝送モード情報を選択する伝送モード選択方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせにより定められる伝送モードの中から最適な伝送モードを選択することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態の光伝送システムの構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態の光送信装置の内部構成及び他の装置との接続関係を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態のOTNフレームの構成を示す図(その1)である。
図4】第1の実施形態の誤り訂正符号化部の内部構成及び他の機能部との接続関係を示すブロック図である。
図5】第1の実施形態のOTNフレームの構成を示す図(その2)である。
図6】第1の実施形態の送信信号フォーマットの構成を示す図である。
図7】第1の実施形態の伝送モード情報テーブルのデータ構成を示す図である。
図8】第1の実施形態の送信側伝送モード情報テーブルのデータ構成を示す図である。
図9】第1の実施形態の光受信装置の内部構成及び他の装置との接続関係を示すブロック図である。
図10】第1の実施形態の誤り訂正復号化部の内部構成及び他の機能部との接続関係を示すブロック図である。
図11】第1の実施形態の受信側伝送モード情報テーブルのデータ構成を示す図である。
図12】第1の実施形態の受信側システムにおける光受信装置と光送信装置の接続関係を示す図(その1)である。
図13】第1の実施形態の送信側システムにおける光送信装置と光受信装置の接続関係を示す図(その1)である。
図14】第1の実施形態の伝送モード選択処理の流れを示すフローチャートである。
図15】第1の実施形態の送信側システムにおける光送信装置と光受信装置の接続関係を示す図(その2)である。
図16】第1の実施形態の受信側システムにおける光受信装置と光送信装置の接続関係を示す図(その2)である。
図17】第1の実施形態の他の構成例の光送信装置の内部構成及び他の装置との接続関係を示すブロック図である。
図18】第1の実施形態の他の構成例の光受信装置の内部構成及び他の装置との接続関係を示すブロック図である。
図19】第2の実施形態の光伝送システムの構成を示すブロック図である。
図20】第2の実施形態の伝送モード選択処理の流れを示すフローチャートである。
図21】第3の実施形態の光伝送システムの構成を示すブロック図である。
図22】第3の実施形態の管理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図23】第3の実施形態の伝送モード選択処理の流れを示すフローチャートである。
図24】第4の実施形態の光伝送システムの構成を示すブロック図である。
図25】第4の実施形態の管理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図26】第5の実施形態の光伝送システムの構成を示すブロック図である。
図27】第6の実施形態の光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態による光伝送システムSの構成を示すブロック図である。光伝送システムSは、送信側システムT、受信側システムR及び光伝送路3を備える。送信側システムTは、光送信装置1t、光受信装置2t及び多重部4Tを備える。受信側システムRは、光受信装置2r、及び光送信装置1r及び多重部4Rを備える。
【0020】
光伝送路3は、送信側システムTと受信側システムRとを物理的に接続する。光伝送路3は、送信側システムTと、受信側システムRとの間で信号光の伝送を行う。光伝送路3は、例えば光ファイバ300である。多重部4T,4Rは、光ファイバ300の両端に接続される。
多重部4Tは、送信側システムTの光送信装置1t及び光受信装置2tに接続する。多重部4Rは、受信側システムRの光受信装置2r及び光送信装置1rに接続する。光伝送路3によって、送信側システムTの光送信装置1tが送信する信号光が、受信側システムRの光受信装置2rに伝送される。また、光伝送路3によって、受信側システムRの光送信装置1rが送信する信号光が、送信側システムTの光受信装置2tに伝送される。多重部4T,4Rは、波長多重を行う機能部であってもよいし、波長多重を行わない機能部であってもよい。例えば、本発明の適用としては、波長多重を行なわない1波長のみの送信側システムTと受信側システムRの対向の構成も含まれる。つまり、多重部4T,4Rは波長多重ではなく、光送信装置1tと光受信装置2rを多重する部分(多重部)として送信側システムT及び受信側システムRに含む構成も含まれる。
【0021】
光伝送システムSでは、光送信装置1tと光受信装置2rとが対向関係、すなわち伝送モードを一致させて、光送信装置1tから光受信装置2rに信号光を送信する関係になっている。同様に、光送信装置1rと光受信装置2tとが対向関係になっている。
【0022】
図1において、送信側システムTと受信側システムRとの間における伝送モードを決定するが、通常は上記の対向関係において双方向同じ伝送モードとなるため、主に説明する送信側システムTの光送信装置1tと受信側システムRの光受信装置2rとの間を実線で示し、光受信装置2tと光送信装置1rは破線で示している。なお、送信側システムを下流側、受信側システムを上流側と見て、送信側から受信側へのアップリンクと受信側から送信側へのダウンリンクの伝送モードが異なる場合には、ダウンリンクの光受信装置2tと光送信装置1rとの間ではすでに最適な伝送モードが決定して、通常の運用状態になっていてもよいし、光送信装置t1と光受信装置2rの間と同様の処理を行なって伝送モードを決定しても良い。
【0023】
送信側システムTの「送信側」及び受信側システムRの「受信側」とは、説明のための便宜的な名称である。その意味は、光送信装置1tが、光送信装置1tと光受信装置2rとの間の伝送モードを選択する処理を行う際にパイロットトーン信号を送信する側であり、光受信装置2rが当該パイロットトーン信号を受信する側であることを示す。したがって、逆に、破線で示す光送信装置1rと光受信装置2tとの間の伝送モードを選択する処理を行う場合には、受信側システムRが、送信側システムとなり、送信側システムTが受信側システムとなる。
【0024】
(第1の実施形態の光送信装置の構成)
送信側システムTの光送信装置1tと、受信側システムRの光送信装置1rは、同一の構成を備えている。以下、送信側システムTの光送信装置1tを例に、図2を参照しつつ説明する。
【0025】
光送信装置1tは、送信対象の情報である主信号を変調して信号光を生成し、生成した信号光を光伝送路3に送出する。図2に示すように、光送信装置1tは、2つの直交する偏波、すなわちX偏波とY偏波を利用して主信号を並列に伝送する構成を有している。
【0026】
光送信装置1tは、フレーミング部11t、誤り訂正符号化部12t、主信号変調部13t-1,13t-2、多重化部14t-1,14t-2、電気光変換部15t-1,15t-2、偏波多重部16t、クロック制御部17t、制御情報変調部18t及び制御部10tを備える。なお、図2において、フレーミング部11t、誤り訂正符号化部12t、主信号変調部13t-1,13t-2、多重化部14t-1,14t-2、電気光変換部15t-1,15t-2、偏波多重部16t及びクロック制御部17tを含む構成を信号送信部110tという。
【0027】
フレーミング部11tは、光送信装置1tに接続するIP(Internet Protocol)ルータやEthernet(登録商標)スイッチなどのIP系装置が送信するクライアント信号を受信し、受信したクライアント信号を含む信号フレームを形成する。信号フレームとして、例えば、図3に示すような、ITU-T G.709勧告のOTN(Optical Transport Network)フレーム40が適用される。フレーミング部11tは、OTNフレーム40の信号フレームにおいて、オーバーヘッド部41に監視のために用いられる情報などを書き込み、ペイロード部42に受信したクライアント信号を書き込む。
【0028】
誤り訂正符号化部12tは、制御部10tからの誤り訂正符号指定信号を受けて、フレーミング部11tが出力する信号フレームに対して誤り訂正符号指定信号が示す誤り訂正符号化方式の符号化を行って誤り訂正符号を生成する。また、誤り訂正符号化部12tは、生成した誤り訂正符号をOTNフレーム40の誤り訂正符号部43に書き込む。誤り訂正符号化部12tは、例えば、図4に示すように、外符号誤り訂正符号化部121t、内符号誤り訂正符号化部122t及び主信号分離部123tを備える。
【0029】
内符号誤り訂正符号化部122tは、例えば、軟判定誤り訂正技術に基づく符号化を行う。ここで、軟判定誤り訂正技術とは、信号を複数の閾値で識別し、「0に近い1」や「1に近い1」など、「確からしさ」を表す尤度情報を併せ持つ判定を行う技術であり、理想的なシャノン限界に近い誤り訂正能力を実現することが可能である。
【0030】
外符号誤り訂正符号化部121tは、例えば、硬判定誤り訂正技術に基づく符号化を行う。ここで、硬判定技術とは、信号を1つの閾値で識別し、0か1のいずれかの値として判定を行う技術である。内符号誤り訂正符号化部122tによる軟判定誤り訂正技術は、理想的なシャノン限界に近い誤り訂正能力を実現する代償として、訂正後のビット誤り率が裾を引くエラーフロアを発生しやすい。そのため、このエラーフロアを外符号誤り訂正符号化部121tによる硬判定誤り訂正技術によって除去することにより、非常に高い誤り訂正能力を実現することができる。このように、内符号に軟判定誤り訂正技術に基づく符号化を用い、外符号に硬判定誤り訂正技術による符号化を連接させて使用する方式は、連接符号化方式と呼ばれている。
【0031】
軟判定誤り訂正技術としては、例えば、低密度パリティ検査符号(以下「LDPC」(Low-Density Parity Check)という)が適用される。硬判定誤り訂正技術としては、例えば、ブロック符号化技術であるリードソロモン(以下「RS」(Reed-Solomon)という。)符号、BCH(Bose-Chaudhuri-Hocquenghem)符号などが適用される。内符号誤り訂正符号化部122t、外符号誤り訂正符号化部121tの各々において、ビットの並び替え、すなわちインターリーブを行い、バーストエラー耐力の向上を行うようにしてもよい。例として、BPSK信号に対するビット誤り率(以下「BER」(Bit Error Rate)という。)「10-12」におけるNCG(Net Coding Gain)が「8.35dB」で、FECオーバーヘッドが「6.7%」のRS-FEC誤り訂正技術による符号化を適用してもよい。
【0032】
なお、図4では、高い誤り訂正能力が要求される場合を前提として、外符号誤り訂正符号化部121tと、内符号誤り訂正符号化部122tとを備える連接符号化方式を適用する場合を示している。この場合、図3に示したOTNフレーム40の誤り訂正符号部43には、図5に示すように外符号誤り訂正符号化部121tによって符号化された外符号誤り訂正符号43-1と、内符号誤り訂正符号化部122tによって符号化された内符号誤り訂正符号43-2が書き込まれることになる。
【0033】
これに対して、要求される誤り訂正能力がそれ程高くない場合、いずれか一方、例えば、硬判定誤り訂正技術による符号化を行う外符号誤り訂正符号化部121tのみを備えるようにしてもよく、その場合、誤り訂正符号部43には、外符号誤り訂正符号化部121tによって符号化された外符号誤り訂正符号43-1のみが書き込まれることになる。
【0034】
誤り訂正符号化部12tにおいて、主信号分離部123tは、内符号誤り訂正符号化部122tが出力するシリアル信号をパラレル信号に変換して2つのバイナリ系列の情報であるX偏波用及びY偏波用の主信号を生成する。また、主信号分離部123tは、生成したX偏波用の主信号を主信号変調部13t-1に出力し、生成したY偏波用の主信号を主信号変調部13t-2に出力する。
【0035】
主信号変調部13t-1,13t-2の各々は、制御部10tから変調方式信号を受けて、変調方式信号の示す変調方式、すなわちマッピング則に基づいて、誤り訂正符号化部12tが出力する主信号であって各々に対応するX偏波用の主信号とY偏波用の主信号を変調する。また、主信号変調部13t-1,13t-2は、変調によって送信シンボル系列を生成し、生成した送信シンボル系列を各々に接続する多重化部14t-1,14t-2に出力する。変調方式としては、例えば、BPSK(Binary Phase Shift Keying)変調やQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)変調などが適用される。なお、適用する変調方式は、これら以外の変調方式であってもよい。
【0036】
X偏波用の多重化部14t-1は、主信号変調部13t-1が出力するX偏波用の送信シンボル系列を取り込み、制御情報変調部18tが出力する既定信号を取り込む。また、多重化部14t-1は、取り込んだX偏波用の送信シンボル系列ごとに、取り込んだ既定信号を挿入することにより時分割多重を行ってX偏波用の信号系列を生成する。
【0037】
Y偏波用の多重化部14t-2は、主信号変調部13t-2が出力するY偏波用の送信シンボル系列を取り込み、制御情報変調部18tが出力する制御信号を取り込む。また、多重化部14t-2は、取り込んだY偏波用の送信シンボル系列ごとに、取り込んだ制御信号を挿入することにより時分割多重を行ってY偏波用の信号系列を生成する。
【0038】
電気光変換部15t-1は、多重化部14t-1が出力するX偏波用の信号系列の電気光変換を行い、X偏波用の光信号を偏波多重部16tに出力する。電気光変換部15t-2は、多重化部14t-2が出力するY偏波用の信号系列の電気光変換を行い、Y偏波用の光信号を偏波多重部16に出力する。
【0039】
偏波多重部16tは、光伝送路3の多重部4Tに接続されており、電気光変換部15t-1,15t-2の各々が出力するX偏波用の光信号とY偏波用の光信号を偏波多重することにより、偏波多重された時分割多重の信号光を生成する。偏波多重部16tは、生成した信号光を光伝送路3に送出する。偏波多重部16tが送出する信号光50の送信信号フォーマットは、図6に示すように、Ns個(Ns≧1、Nsは正の整数)の送信シンボル系列である主信号情報40-1~40-Nsの間に、Nt個(Nt≧1、Ntは正の整数)の制御情報45-1~45-Ntが時分割多重されて形成される。なお、制御情報45-1~45-Ntは、信号光50のX偏波においては、既定信号であり、信号光50のY偏波においては、制御信号である。
【0040】
クロック制御部17tは、制御部10tからボーレート制御信号を受けて、主信号のボーレートが、ボーレート制御信号によって指定されるボーレートとなるように光送信装置1tが内部に備えるクロックのクロック周波数を設定する。例えば、クロック制御部17tは、制御部10tから主信号のボーレートを32GBaudとするボーレート制御信号を受けると、当該ボーレートとなるようにクロック周波数を設定する。また、クロック制御部17tは、主信号のボーレートを32GBaudの状態から64GBaudに変更するボーレート制御信号を受けると、クロックアップ、すなわちクロック周波数を増加させて、主信号のボーレートを64GBaudとする。また、クロック制御部17tは、逆に主信号のボーレートを64GBaudの状態から32GBaudに変更するボーレート制御信号を受けると、クロックダウン、すなわちクロック周波数を減少させて、主信号のボーレートを32GBaudとする。
【0041】
制御部10tは、伝送モード情報記憶部100t、伝送モード候補送信部101t、伝送モード候補受信部102t及び伝送モード選択部103tを備える。ここで、伝送モード情報について、図7を参照しつつ説明する。伝送モード情報は、伝送性能に関する各種パラメータ、例えば、変調方式、ボーレート、誤り訂正符号種別のパラメータを組み合わせた情報である。図7に示す伝送モード情報テーブル1000には、例えば、6種類の変調方式と、2種類のボーレートと、2種類の誤り訂正符号種別のパラメータを組み合わせた24通りの伝送モード情報が示されている。また、この例において、伝送モード情報には、24通りの組み合わせそれぞれにおける伝送容量についても記載している。伝送モード情報の各々には、「伝送モード」の項目に示されるように、「モード1」、「モード2」などの伝送モード番号が付与される。
【0042】
図7に示すように、6種類の変調方式は、「変調方式」の項目に示される通り、BPSK、QPSK、8QAM、16QAM,32QAM、64QAMである。2種類のボーレートは、「ボーレート」の項目に示される通り、32GBaud、64GBaudである。2種類の誤り訂正符号種別は、「誤り訂正符号種別」の項目に示される通り、一方は、外符号にリードソロモン(RS)符号、内符号に低密度パリティ検査符号(LDPC)を組み合わせたRS-LDPCの連接符号FECである。他方は、外符号にBCH符号、内符号に低密度パリティ検査符号(LDPC)を組み合わせたBCH-LDPCの連接符号FECである。
【0043】
光送信装置1tと光受信装置2rの各々が、図7に示した伝送モード情報テーブル1000のようなデータ構成のテーブルを記憶しておくことで、光送信装置1tと光受信装置2rとの間で伝送モード番号のみを送受信すれば、各々の装置が当該テーブルと照合して、変調方式、ボーレート、誤り訂正符号種別を特定することができる。例えば、「モード5」の場合、変調方式がQPSK、ボーレートが32GBaud、誤り訂正符号種別がRS+LDPCと特定できる。「モード16」の場合、変調方式が16QAM、ボーレートが64GBaud、誤り訂正符号種別がBCH+LDPCと特定することができる。また、伝送モード情報テーブル1000に記憶される情報は図7のように24通りに限られたものでなく、技術の進展又は新たな機能の追加に伴い、適宜変更されてもよい。例えば、伝送モード情報テーブル1000には、変調方式、ボーレート、誤り訂正符号種別の3種類の組み合わせで24通り以上のモードが設定されてもよいし、変調方式、ボーレート、誤り訂正符号種別の3種類以外の情報が新たに追加されてもよい。
【0044】
制御部10tにおいて、伝送モード情報記憶部100tは、例えば、図8に示すデータ構成の送信側伝送モード情報テーブル1001tを予め記憶する。送信側伝送モード情報テーブル1001tは、光送信装置1tにおいて伝送可能な伝送モード情報を記憶する。図8は、図7に示す伝送モード情報テーブル1000において、送信側が有する機能として誤り訂正符号種別がRS+LDPCの伝送モード情報を記憶する送信側伝送モード情報テーブル1001tの一例を示している。
【0045】
伝送モード候補送信部101tは、伝送モード情報記憶部100tが記憶する送信側伝送モード情報テーブル1001tの「伝送モード」の項目が記憶する全ての伝送モード番号を含む送信側伝送モード候補情報を送信情報として生成する。また、伝送モード候補送信部101tは、外部より情報が与えられると、与えられた情報を送信情報として取り込む。
【0046】
また、伝送モード候補送信部101tは、送信情報を信号系列とし、信号系列を1ビットごとに差動符号化して差動符号化信号を制御情報変調部18tに出力する。また、伝送モード候補送信部101tは、1つ以上の特定周波数に電力が集中する信号系列を生成し、生成した信号系列を既定信号として制御情報変調部18tに出力する。
【0047】
伝送モード候補受信部102tは、受信側システムRの光受信装置2rにおいて伝送可能な伝送モード情報を示す伝送モード番号を含んだ受信側伝送モード候補情報を、送信側システムTの光受信装置2tから受信する。この受信側システムRの光受信装置2rの受信側伝送モード候補情報は、受信側システムRの光受信装置2rが光送信装置1rに対して送信し、光送信装置1rが送信側システムTの光受信装置2tに光伝送路3を介して送信した情報である。また、伝送モード候補受信部102tは、受信した受信側伝送モード候補情報を伝送モード選択部103tに出力する。
【0048】
伝送モード選択部103tは、伝送モード情報記憶部100tが記憶する送信側伝送モード情報テーブル1001tの「伝送モード」の項目が記憶する全ての伝送モード番号と、伝送モード候補受信部102tが出力する受信側伝送モード候補情報とにおいて共通の伝送モード番号を抽出する。
【0049】
また、伝送モード選択部103tは、抽出した共通の伝送モード番号のうち最も優先度の高い伝送モード番号を選択する。ここで、優先度は、予め定められる優先度合いを示す情報であり、例えば、より多値度の高い変調方式、より高いボーレートを含む伝送モード情報がより高い優先度の伝送モード情報となる。例えば、図7に示す伝送モード情報テーブル1000に示す伝送モード情報において、伝送容量が大きい(多値度が高く、ボーレートが高い)伝送モード番号の優先度が高いことになる。
【0050】
また、伝送モード選択部103tは、内部に記憶領域を有しており、選択した伝送モード番号を内部の記憶領域に書き込んで記憶させる。また、伝送モード選択部103tは、以下の処理を行う。例えば、通知信号に含まれる通知が信号品質非許容通知である場合、伝送モード選択部103tは、内部の記憶領域を参照し、その時点で選択している伝送モード情報の次に優先度の高い伝送モード情報の伝送モード番号を選択する。通知信号は、受信側システムRの光送信装置1rから送信側システムTの光受信装置2tに外部回線を介さず、インラインで送信される。
【0051】
また、伝送モード選択部103tは、選択した伝送モード番号に対応する伝送モード情報の「変調方式」の項目の変調方式を示す情報、「ボーレート」の項目のボーレートの値、「誤り訂正符号種別」の項目の誤り訂正符号化方式を示す情報を読み出す。また、伝送モード選択部103tは、読み出した変調方式を示す情報を含む変調方式信号を生成して主信号変調部13t-1,13t-2に出力する。また、伝送モード選択部103tは、読み出したボーレートの値を含むボーレート制御信号を生成してクロック制御部17tに出力する。また、伝送モード選択部103tは、読み出した誤り訂正符号化方式を示す情報を含む誤り訂正符号指定信号を誤り訂正符号化部12tに出力する。
【0052】
制御情報変調部18tは、伝送モード候補送信部101tが出力する既定信号及び差動符号化信号を受けて、既定信号を差動符号化信号で変調して制御信号を生成する。また、制御情報変調部18tは、既定信号をX偏波用の多重化部14t-1に出力し、制御信号をY偏波用の多重化部14t-2に出力する。
【0053】
既定信号と制御信号は、多重化部14t-1,14t-2によって主信号と時分割多重された後、電気光変換部15t-1,15t-2によって光信号に変換される。既定信号と制御信号の光信号が偏波多重部16tによって偏波多重されることにより生成される信号が、1つ以上の特定周波数に電力が集中する信号系列であるパイロットトーン信号となる。
【0054】
なお、制御情報変調部18tは、上述した構成とは逆に、制御信号をX偏波用の多重化部14t-1に出力し、既定信号をY偏波用の多重化部14t-2に出力するようにしてもよい。その場合、制御情報45-1~45-Ntは、信号光50のX偏波において、制御信号となり、信号光50のY偏波において、既定信号となる。
【0055】
(第1の実施形態の光受信装置の構成)
受信側システムRの光受信装置2rと、送信側システムTの光受信装置2tは、同一の構成を備えている。以下、受信側システムRの光受信装置2rを例に、図9を参照しつつ説明する。
【0056】
光受信装置2rは、光送信装置1tが送出して光伝送路3が伝送する信号光を受信する。また、光受信装置2rは、受信した信号光に対して内部に備える局部発振用レーザを用いてコヒーレント受信を行い、信号光から元の信号を復調する。
【0057】
光受信装置2rは、図9に示す内部構成を有しており、偏波分離部21r、光電気変換部22r-1,22r-2、AD(Analog-to-Ditigal)変換部23r-1,23r-2、主信号復調部24r-1,24r-2、誤り訂正復号化部25r、デフレーミング部26r、クロック制御部27r、制御情報復調部210r及び制御部20rを備える。なお、図9において、偏波分離部21r、光電気変換部22r-1,22r-2、AD変換部23r-1,23r-2、主信号復調部24r-1,24r-2、誤り訂正復号化部25r、デフレーミング部26r及びクロック制御部27rを含む構成を信号受信部220rという。
【0058】
偏波分離部21rは、光伝送路3の多重部4Rに接続されており、光送信装置1tが送出して光伝送路3が伝送する信号光を受信する。当該信号光は、上述したように時分割多重されている信号が偏波多重された信号光である。また、偏波分離部21rは、受信した信号光に対して光領域で偏波分離を行って、2つの直交するX偏波とY偏波に分離し、分離したX偏波とY偏波のそれぞれを光電気変換部22r-1,22r-2に出力する。
【0059】
具体的には、偏波分離部21rは、例えば、内部に偏波ダイバシティ90度ハイブリッドカプラ及び局部発振用レーザを備えており、これらを用いて偏波分離を行う。偏波分離部21rは、分離したX偏波を光電気変換部22r-1に出力し、分離したY偏波を光電気変換部22r-2に出力する。
【0060】
X偏波側の光電気変換部22r-1は、偏波分離部21rが出力するX偏波の信号光を取り込み、電気のアナログ信号に変換し、変換した電気のアナログ信号をAD変換部23r-1に出力する。Y偏波側の光電気変換部22r-2は、偏波分離部21rが出力するY偏波の信号光を取り込み、電気のアナログ信号に変換し、変換した電気のアナログ信号をAD変換部23r-2に出力する。
【0061】
AD変換部23r-1,23r-2の各々は、各々に接続する光電気変換部22r-1,22r-2が出力する電気のアナログ信号をデジタル信号に変換することによりデジタル受信信号を生成する。また、AD変換部23r-1,23r-2の各々は、生成したデジタル受信信号を、各々に接続する主信号復調部24r-1,24r-2に出力する。また、AD変換部23r-1,23r-2は、生成したデジタル受信信号を制御情報復調部210rと制御部20rに出力する。
【0062】
主信号復調部24r-1,24r-2は、制御部20rから変調方式信号を受けて、各々に接続するAD変換部23r-1,23r-2が出力するデジタル受信信号に含まれる主信号を、変調方式信号の示す変調方式に対応する復調方式、すなわちデマッピング則にしたがって復調する。主信号復調部24r-1が復調する主信号が、X偏波の信号光に対応する主信号となり、主信号復調部24r-2が復調する主信号が、Y偏波の信号光に対応する主信号となる。
【0063】
誤り訂正復号化部25rは、制御部20rから誤り訂正符号指定信号を受けて、主信号復調部24r-1,24r-2が復調した主信号に対して、誤り訂正符号指定信号が示す誤り訂正符号化方式に対応する復号の処理を行う。誤り訂正復号化部25rが復号の処理を行う際に用いる誤り訂正符号は、主信号のOTNフレーム40の誤り訂正符号部43に含まれている誤り訂正符号の情報が用いられても良い。
【0064】
誤り訂正復号化部25rは、光送信装置1tの誤り訂正符号化部12tが備える外符号誤り訂正符号化部121tと内符号誤り訂正符号化部122tに対応して、例えば、図10に示すように、内符号誤り訂正復号化部251rと外符号誤り訂正復号化部252rを備える。内符号誤り訂正復号化部251rが、例えば、LDPCによる軟判定誤り訂正技術による復号を行い、外符号誤り訂正復号化部252rが、例えば、RS-FEC、またはBCH-FECなどの硬判定誤り訂正技術による復号を行う。なお、光送信装置1tの誤り訂正符号化部12tが、外符号誤り訂正符号化部121tのみを備える場合、誤り訂正復号化部25rも外符号誤り訂正復号化部252rのみを備えることになる。
【0065】
誤り訂正復号化部25rにおいて、主信号合成部253rは、主信号復調部24r-1が出力するX偏波の信号光に対応する主信号と、主信号復調部24r-2が出力するY偏波の信号光に対応する主信号とからなるパラレル信号をシリアル信号に変換して内符号誤り訂正復号化部251rに出力する。
【0066】
デフレーミング部26rは、図3に示すOTNフレーム40のペイロード部42からクライアント信号を読み出し、読み出したクライアント信号を、光受信装置2rに接続するIPルータやEthernet(登録商標)スイッチなどのIP系装置に出力する。
【0067】
クロック制御部27rは、制御部20rからボーレート制御信号を受けて、主信号を受信する際のボーレートが、ボーレート制御信号によって指定されるボーレートとなるように光受信装置2rのクロックのクロック周波数を設定する。例えば、クロック制御部27rは、制御部20rからボーレートを32GBaudとするボーレート制御信号を受けると、当該ボーレートとなるようにクロック周波数を設定する。また、クロック制御部27rは、ボーレートを32GBaudの状態から64GBaudに変更するボーレート制御信号を受けると、クロックアップ、すなわちクロック周波数を増加させて、ボーレートを64GBaudとする。また、クロック制御部27rは、逆にボーレートを64GBaudの状態から32GBaudに変更するボーレート制御信号を受けると、クロックダウン、すなわちクロック周波数を減少させて、ボーレートを32GBaudとする。
【0068】
制御情報復調部210rは、制御情報検出部211r、制御情報抽出部212r-1,212r-2及び差動復号部213rを備える。制御情報復調部210rにおいて、制御情報検出部211rは、AD変換部23r-1,23r-2の各々が出力する、主信号情報と制御情報とが時分割多重されているデジタル受信信号を取り込み、取り込んだデジタル受信信号の中からパイロットトーン信号の特定周波数に基づいて、図6に示す信号光50に含まれる制御情報45-1,45-2,・・,45-Ntの位置を検出する。なお、光送信装置1tが送信するパイロットトーン信号の特定周波数は、事前に光受信装置2rに与えられている。また、制御情報検出部211rは、検出した制御情報45-1,45-2,・・,45-Ntの位置をタイミング情報として制御情報抽出部212r-1,212r-2に出力する。
【0069】
なお、上述したように、制御情報45-1~45-Ntは、X偏波においては、既定信号であり、Y偏波においては、制御信号であるため、AD変換部23r-1が出力するデジタル受信信号の制御情報には、既定信号が含まれており、AD変換部23r-2が出力するデジタル受信信号の制御情報には、制御信号が含まれている。
【0070】
制御情報抽出部212r-1,212r-2の各々は、制御情報検出部211rが出力するタイミング情報に基づいて、各々に接続するAD変換部23r-1,23r-2が出力するデジタル受信信号の中から、制御情報45-1,45-2,・・,45-Ntが含まれる区間を検出し、検出した区間の信号を差動復号部213rに出力する。差動復号部213rは、制御情報抽出部212r-1,212r-2が出力する信号を用いて、差動復号処理を行うことにより差動復号信号を生成し、生成した差動復号信号を制御部20rに出力する。
【0071】
制御部20rは、伝送モード情報記憶部200r、伝送モード候補受信部201r、伝送モード候補送信部202r、伝送モード選択部203r、信号品質検出部204r及び信号品質判定部205rを備える。
【0072】
制御部20rにおいて、伝送モード情報記憶部200rは、図11に示すデータ構成の受信側伝送モード情報テーブル2001rを予め記憶する。受信側伝送モード情報テーブル2001rは、光受信装置2rにおいて伝送可能な伝送モード情報を記憶する。図11は、図7に示す伝送モード情報テーブル1000において、伝送モード番号が「モード1」、「モード5」、「モード9」、「モード13」の伝送モード情報を記憶する受信側伝送モード情報テーブル2001rの一例を示している。
【0073】
伝送モード候補受信部201rは、差動復号部213rが出力する差動復号信号を復調して差動復号信号から光送信装置1tの送信側伝送モード候補情報を取得する。また、伝送モード候補受信部201rは、取得した送信側伝送モード候補情報を伝送モード選択部203rに出力する。また、伝送モード候補受信部201rは、送信側伝送モード候補情報を取得すると受信側伝送モード候補情報を送信する受信側伝送モード候補情報送信指示信号を伝送モード候補送信部202rに出力する。
【0074】
伝送モード候補送信部202rは、伝送モード候補受信部201rから受信側伝送モード候補情報送信指示信号を受けると、伝送モード情報記憶部200rが記憶する受信側伝送モード情報テーブル2001rの「伝送モード」の項目が記憶する全ての伝送モード番号を含む受信側伝送モード候補情報を生成する。
【0075】
また、伝送モード候補送信部202rは、受信側システムRの光送信装置1rの伝送モード候補送信部101rに接続しており、生成した受信側伝送モード候補情報を光送信装置1rの伝送モード候補送信部101rに送信する。また、伝送モード候補送信部202rは、生成した受信側伝送モード候補情報を光送信装置1rの伝送モード候補送信部101rに送信した後、信号品質を検出する信号品質検出指示信号を信号品質検出部204rに出力する。
【0076】
伝送モード選択部203rは、伝送モード情報記憶部200rが記憶する受信側伝送モード情報テーブル2001rの「伝送モード」の項目が記憶する全ての伝送モード番号と、伝送モード候補受信部201rが出力する光送信装置1tの送信側伝送モード候補情報とにおいて共通の伝送モード番号を抽出する。
【0077】
また、伝送モード選択部203rは、抽出した共通の伝送モード番号のうち最も優先度の高い伝送モード番号を選択する。なお、伝送モード選択部203rが選択する際の基準となる優先度は、光送信装置1tの伝送モード選択部103tの優先度と同一である。そのため、伝送モード選択部203rが優先度にしたがって選択する伝送モード番号と、光送信装置1tの伝送モード選択部103tが優先度にしたがって選択する伝送モード番号とは同一の伝送モード番号となる。
【0078】
また、伝送モード選択部203rは、内部に記憶領域を有しており、選択した伝送モード番号を内部の記憶領域に書き込んで記憶させる。また、伝送モード選択部203rは、信号品質判定部205rから通知信号を受けた場合、通知信号に含まれる通知が、信号品質非許容通知である場合、内部の記憶領域を参照し、その時点で選択している伝送モード情報の次に優先度の高い伝送モード情報の伝送モード番号を選択する。
【0079】
また、伝送モード選択部203rは、選択した伝送モード番号に対応する伝送モード情報の「変調方式」の項目の変調方式を示す情報、「ボーレート」の項目のボーレートの値、「誤り訂正符号種別」の項目の誤り訂正符号化方式を示す情報を読み出す。また、伝送モード選択部203rは、読み出した変調方式を示す情報を含む変調方式信号を生成して主信号復調部24r-1,24r-2に出力する。また、伝送モード選択部203rは、読み出したボーレートの値を含むボーレート制御信号を生成してクロック制御部27rに出力する。また、伝送モード選択部203rは、読み出した誤り訂正符号化方式を示す情報を含む誤り訂正符号指定信号を誤り訂正復号化部25rに出力する。
【0080】
信号品質検出部204rは、光送信装置1tにおいて新たに伝送モード情報が選択された際、新たに選択された伝送モードにしたがって光送信装置1tが送信する信号光の信号品質の検出を行う。
【0081】
信号品質検出部204rは、内部にフラグの領域を有しており、当該フラグの初期値は、「OFF」である。また、信号品質検出部204rは、伝送モード候補送信部202rから信号品質検出指示信号を受けると、フラグを「ON」にセットする。また、信号品質検出部204rは、フラグが「ON」の状態で信号品質の検出を行う。なお、信号品質検出部204rは、フラグを用いなくてもよい。この場合、信号品質検出部204rは、信号品質検出指示信号を受けると、パイロットトーン信号を用いて、制御情報検出部211rが検出したタイミング情報に基づいて制御情報からOSNR検出する。
【0082】
信号品質検出部204rは、例えば、パイロットトーン信号の特定周波数の強度から信号対雑音比(以下「SN」(Signal-to-Noise)比という。)を検出し、検出した信号対雑音比を、信号品質を示す情報とする。なお、信号品質を示す情報は、SN比に限られず、特定周波数の強度そのものを信号品質を示す情報としてもよい。また、ビット誤り率(BER)を信号品質を示す情報としてもよい。また、信号品質検出部204rを偏波分離部21rの2個の出力端に接続し、当該出力端から得られる光信号に基づいて、光信号対雑音比(以下「OSNR」(Optical Signal-to-Noise Ratio)という。)を検出し、検出したOSNRを信号品質を示す情報としてもよい。
また、信号品質検出部204rは、信号品質検出方法として、OTDR(Optical Time Domain Reflectometers)、光スペクトラムアナライザ、パワーメータ等の測定器から得られる情報を用いても良い。測定器から得られる情報により、信号劣化位置の特定や、信号品質検出の高精度化が可能となり、従来の光伝送システムのみでは得られない情報を得ることが可能となる。この場合、測定器を光伝送システムSとは別に用意しても良いし、光伝送システムSに測定機能を具備する構成としても良い。
【0083】
また、信号品質検出部204rは、検出した信号品質を示す情報を信号品質判定部205rに出力してフラグを「OFF」にセットする。また、信号品質検出部204rは、フラグが「OFF」の状態で、制御情報検出部211rからの出力が得られた場合、信号品質の検出を行わない。これは、光送信装置1tにおいて新たに伝送モードが選択された場合のデジタル受信信号ではないためである。
【0084】
信号品質判定部205rは、信号品質検出部204rが検出した信号品質を示す情報と、検出する信号品質に応じて予め定められる閾値とに基づいて、信号品質が許容される品質か否かを判定する。
【0085】
また、信号品質判定部205rは、信号品質は許容される品質であると判定した場合、受信側システムRの光送信装置1rを介して信号品質許容通知の通知信号をインラインで送信側システムTの光受信装置2tに送信する。また、信号品質判定部205rは、当該信号品質許容通知の通知信号を伝送モード選択部203rに出力する。
【0086】
また、信号品質判定部205rは、信号品質は許容されない品質であると判定した場合、受信側システムRの光送信装置1rを介して信号品質非許容通知の通知信号をインラインで送信側システムTの光受信装置2t送信する。また、信号品質判定部205rは、当該信号品質非許容通知の通知信号を伝送モード選択部203rに出力する。
【0087】
(受信側システムRの光送信装置1rについて)
受信側システムRの光送信装置1rは、上述した通り、送信側システムTの光送信装置1tと同一の構成である。そのため、以下の説明において、光送信装置1rの各機能部を示す場合、符号の「t」の英字を「r」に置き換えて示す。例えば、光送信装置1rの伝送モード選択部を示す場合、「伝送モード選択部103r」として示す。
【0088】
また、受信側システムRの光送信装置1rは、上述したように、光受信装置2rが送信する受信側伝送モード候補情報を受信する。そして、光送信装置1rは、受信した光受信装置2rの受信側伝送モード候補情報を、光伝送路3を介して送信側システムTの光受信装置2tに送信する。そのため、受信側システムRの光送信装置1rの伝送モード候補送信部101rは、図12に示すように、光受信装置2rの伝送モード候補送信部202rに接続されている。そして、伝送モード候補送信部101rは、光受信装置2rの伝送モード候補送信部202rが送信する光受信装置2rの受信側伝送モード候補情報を受信する。
【0089】
光送信装置1rの伝送モード候補送信部101rは、受信した光受信装置2rの受信側伝送モード候補情報を送信情報として取り込む。光送信装置1rの伝送モード候補送信部101rは、送信情報を信号系列とし、信号系列を1ビットごとに差動符号化して差動符号化信号を制御情報変調部18rに出力する。また、伝送モード候補送信部101rは、1つ以上の特定周波数に電力が集中する信号系列を生成し、生成した信号系列を既定信号として制御情報変調部18rに出力する。これにより、光受信装置2rの受信側伝送モード候補情報がパイロットトーン信号に重畳され、光伝送路3によって送信側システムTの光受信装置2tまで伝送されることになる。
【0090】
(送信側システムTの光受信装置2tについて)
送信側システムTの光受信装置2tは、上述した通り、受信側システムRの光受信装置2rと同一の構成である。そのため、以下の説明において、光受信装置2tの各機能部を示す場合、符号の「r」の英字を「t」に置き換えて示す。例えば、光受信装置2tの伝送モード選択部を示す場合、「伝送モード選択部203t」として示す。
【0091】
また、送信側システムTの光受信装置2tは、上述したように、受信側システムRの光送信装置1rが送信する光受信装置2rの受信側伝送モード候補情報を受信する。そして、光受信装置2tは、受信した光受信装置2rの受信側伝送モード候補情報を送信側システムTの光送信装置1tに送信する。そのため、送信側システムTの光受信装置2tの伝送モード候補受信部201tは、図13に示すように、光送信装置1tの伝送モード候補受信部102tに接続されている。
【0092】
光受信装置2tの伝送モード候補受信部201tは、差動復号部213tが出力する差動復号信号を復調して差動復号信号から光受信装置2rの受信側伝送モード候補情報を取得する。そして、伝送モード候補受信部201tは、取得した光受信装置2rの受信側伝送モード候補情報を光送信装置1tの伝送モード候補受信部102tに送信する。これにより、送信側システムTの光送信装置1tの伝送モード候補受信部102tは、受信側システムRの光受信装置2rの受信側伝送モード候補情報を取得することができる。
【0093】
(第1の実施形態における伝送モード選択処理)
図14は、第1の実施形態の光伝送システムSによる伝送モード選択処理の流れを示すフローチャートであり、破線の矢印は、光送信装置1tと光受信装置2rの間における情報の送受信を示している。
【0094】
(光送信装置1tのステップST1の処理)
光送信装置1tの制御部10tの伝送モード候補送信部101tは、利用者による操作を受けて、または、光送信装置1tの起動のタイミングにより処理を開始する。伝送モード候補送信部101tは、伝送モード情報記憶部100tが記憶する送信側伝送モード情報テーブル1001tの「伝送モード」の項目が記憶する全ての伝送モード番号を含む送信側伝送モード候補情報を生成する。
【0095】
伝送モード候補送信部101tは、生成した送信側伝送モード候補情報を信号系列とし、信号系列を1ビットごとに差動符号化して差動符号化信号を制御情報変調部18tに出力する。伝送モード候補送信部101tは、1つ以上の特定周波数に電力が集中する信号系列を生成し、生成した信号系列を既定信号として制御情報変調部18tに出力する。
【0096】
ここで、伝送モード候補送信部101tが行う差動符号化について説明する。差動符号化では、n番目(n≧0、nは整数)の設定情報をC(n)(C(n)は1か0かの2値)としたとき、n番目の出力(差動符号化信号)D(n)は、次式(1)に示すように、C(n)とD(n-1)との排他的論理和で表せる。ただし、式(1)において、D(-1)=1である。
【0097】
【数1】
【0098】
次に、既定信号、すなわち特定周波数に電力が集中する信号系列について説明する。特定周波数に電力が集中する信号系列としては、例えば、IQ平面上で原点に対して点対称となる関係の交番信号を用いることができる。一例として、BPSK信号を生成する場合には、-S,S,-S,S,…,-S,Sのように、2つの信号点を交互に繰り返した交番信号を用いればよい。
【0099】
また、QPSK信号を生成する場合には、信号点を(実部,虚部)として表すと、(S,S),(-S,-S),(S,S),(-S,-S),…,(S,S),(-S,-S)または(S,-S),(-S,S),(S,-S),(-S,S),…,(S,-S),(-S,S)のように、2つの信号点を交互に繰り返した交番信号を用いればよい。ここで、Sは任意の実数を表す。また、(実部α,虚部β)は、複素数としてα+jβと表すことができる。ただし、jは虚数単位である。この交番信号は、2箇所の特定周波数に集中した電力を発生させることができる。
【0100】
また、-S,-S,S,S,-S,-S,S,S,…,-S,-S,S,Sのように1つの信号を2回ずつ繰り返した交番信号を用いたり、M回ずつ(M>0の正数)繰り返した交番信号を用いたりしてもよい。このように、複数の繰り返し回数の交番信号を乗算したり、畳み込んだりすることによって、4箇所以上の特定周波数に電力を集中させることができる。また、周期の異なる複数の正弦波を重畳することによって2つ以上の特定周波数に電力が集中する信号を生成することもできる。また、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を用いて特定のサブキャリアにのみ信号を重畳することで特定周波数を有する信号を生成することもできる。さらに、特定周波数帯域信号系列と他の信号系列とを用いて拡散することで、電力が集中する周波数帯域を広げることもできる。
【0101】
制御情報変調部18tは、伝送モード候補送信部101tが出力する既定信号及び差動符号化信号を受けて、既定信号を差動符号化信号で変調して制御信号を生成する。具体的には、伝送モード候補送信部101tが出力する既定信号が-S,S,-S,S,…,-S,Sである場合、制御情報変調部18tは、差動符号化信号がD(n)=1であるとき、制御信号として-S,S,-S,S,…,-S,Sを出力する。また、制御情報変調部18tは、差動符号化信号がD(n)=0であったとき、符号を反転させて、制御信号としてS,-S,S,-S,…,S,-Sを出力する。なお、D(n)=1とD(n)=0とで符号の反転が逆、すなわちD(n)=1の場合に、S,-S,S,-S,…,S,-Sを出力し、D(n)=0の場合に、-S,S,-S,S,…,-S,Sを出力するようにしてもよい。
【0102】
制御情報変調部18tは、既定信号をX偏波用の多重化部14t-1に出力し、制御信号をY偏波用の多重化部14t-2に出力する。X偏波用の多重化部14t-1は、主信号変調部13t-1が出力するX偏波用の送信シンボル系列ごとに、制御情報変調部18tが出力する既定信号を挿入することにより時分割多重を行いX偏波用の信号系列を生成する。Y偏波用の多重化部14t-2は、主信号変調部13t-2が出力するY偏波用の送信シンボル系列ごとに、制御情報変調部18tが出力する制御信号を挿入することにより時分割多重を行いY偏波用の信号系列を生成する。
【0103】
電気光変換部15t-1,15t-2の各々は、多重化部14t-1,14t-2が出力するX偏波用及びY偏波用の信号系列の電気光変換を行い、X偏波用及びY偏波用の光信号を偏波多重部16tに出力する。
【0104】
偏波多重部16tは、電気光変換部15t-1,15t-2の各々が出力するX偏波用の光信号とY偏波用の光信号を偏波多重することにより、偏波多重された時分割多重の信号光を生成する。このとき、上記の差動符号化信号がD(n)=0である場合には、一方の偏波から出力された信号内の制御情報は、もう一方の偏波の制御情報の位相を反転させた信号になる。
【0105】
偏波多重部16tは、生成した信号光を光伝送路3に送出する。これにより、光送信装置1tの送信側伝送モード候補情報が重畳されたパイロットトーン信号を含む信号光が光伝送路3により光受信装置2rまで伝送される。
【0106】
(光受信装置2rのステップSR1の処理)
光受信装置2rの偏波分離部21rは、光伝送路3によって伝送されたパイロットトーン信号を含む信号光を受信する。偏波分離部21rは、受信した信号光に対して光領域で偏波分離を行って、2つの直交するX偏波とY偏波に分離し、分離したX偏波とY偏波のそれぞれを光電気変換部22r-1,22r-2に出力する。光電気変換部22r-1,22r-2の各々は、偏波分離部21rが出力するX偏波及びY偏波の信号光を取り込み、電気のアナログ信号に変換し、変換した電気のアナログ信号を、各々に対応するAD変換部23r-1,23r-2に出力する。
【0107】
AD変換部23r-1,23r-2は、各々に接続する光電気変換部22r-1,22r-2が出力する電気のアナログ信号をデジタル信号に変換することによりデジタル受信信号を生成し、生成したデジタル受信信号を、各々に接続する主信号復調部24r-1,24r-2に出力する。AD変換部23r-1,23r-2は、生成したデジタル受信信号を制御情報復調部210rの制御情報検出部211r及び制御情報抽出部212r-1,212r-2に出力する。
【0108】
制御情報検出部211rは、AD変換部23r-1,23r-2が出力する時分割多重されたデジタル受信信号を受信し、受信したデジタル受信信号の中から、既知であるパイロットトーン信号の特定周波数に基づいて、図6に示す信号光50に含まれる制御情報45-1,45-2,・・,45-Ntの位置を検出する。
【0109】
制御情報45-1,45-2,・・,45-Ntの位置を検出する手法としては、例えば、制御情報検出部211rがデジタル受信信号の中で特定周波数に電力が集中する位置を制御情報45-1,45-2,・・,45-Ntの挿入位置として検出する手法がある。電力が集中する位置とは、例えば、デジタル受信信号の特定周波数の信号電力を算出し、算出した信号電力が所定の閾値を超えたときの位置、または、所定の閾値を超えた信号電力の中で最大の位置である。制御情報検出部211rは、検出した位置をタイミング情報として制御情報抽出部212r-1,212r-2に出力する。
【0110】
制御情報抽出部212r-1,212r-2の各々は、制御情報検出部211rが出力するタイミング情報に基づいて、各々に接続するAD変換部23r-1,23r-2が出力するデジタル受信信号の中から、制御情報45-1,45-2,・・,45-Ntが含まれる区間を検出し、検出した区間の信号を差動復号部213rに出力する。
【0111】
差動復号部213rは、制御情報抽出部212r-1,212r-2が出力する信号を用いて、差動復号処理を行い、差動復号信号を生成し、生成した差動復号信号を伝送モード候補受信部201rに出力する。例えば、n番目のフレームにおける制御情報抽出部212r-1,212r-2の各々の出力信号をRx(n,k)、Ry(n,k)とすると、差動復号信号Z(n)は次式(2)で表される。
【0112】
【数2】
【0113】
ただし、式(2)において、「」は複素共役を示す。また、「K」は制御情報抽出部212r-1,212r-2の各々のバッファ部に記憶されたデジタル受信信号の長さを表しており、K>k≧0である。
【0114】
伝送モード候補受信部201rは、差動復号部213rが出力する差動復号信号を取り込み、取り込んだ差動復号信号を復調して差動復号信号から光送信装置1tの送信側伝送モード候補情報を取得する。ここで、n番目のフレームにおける差動復号信号をZ(n)とすると、判定結果P(n)は、次式(3)で表される。ただし、式(3)において、Pth(>0)は判定閾値である。
【0115】
【数3】
【0116】
上記の制御情報変調部18t、制御情報復調部210r及び伝送モード候補受信部201rによる変復調手法は変調方式に依存しない。そのため、伝送モードが決定していないために、光送信装置1tが送信する信号光の主信号の変調方式が光受信装置2rにおいて識別できていないような通信環境下においても、光送信装置1tの送信側伝送モード候補情報の送信が可能となる。
【0117】
伝送モード候補受信部201rは、取得した光送信装置1tの送信側伝送モード候補情報を伝送モード選択部203rに出力する。伝送モード候補受信部201rは、光送信装置1tの送信側伝送モード候補情報を取得すると受信側伝送モード候補情報を送信する受信側伝送モード候補情報送信指示信号を伝送モード候補送信部202rに出力する。
【0118】
(光受信装置2rのステップSR2の処理)
伝送モード候補送信部202rは、伝送モード候補受信部201rから受信側伝送モード候補情報送信指示信号を受けると、伝送モード情報記憶部200rが記憶する受信側伝送モード情報テーブル2001rの「伝送モード」の項目が記憶する全ての伝送モード番号を含む受信側伝送モード候補情報を生成する。伝送モード候補送信部202rは、生成した受信側伝送モード候補情報を受信側システムRの光送信装置1rの伝送モード候補送信部101rに送信する。
【0119】
伝送モード候補送信部202rは、生成した受信側伝送モード候補情報を光送信装置1rの伝送モード候補送信部101rに送信した後、信号品質を検出する信号品質検出指示信号を信号品質検出部204rに出力する。信号品質検出部204rは、信号品質検出指示信号を受けてフラグを「ON」にセットする。
【0120】
光送信装置1rの伝送モード候補送信部101rは、上述した送信側システムTの光送信装置1tの伝送モード候補送信部101tが、ステップST1において送信側伝送モード候補情報をパイロットトーン信号に重畳させて送信した際の処理と同様の処理を行う。すなわち、光送信装置1rの伝送モード候補送信部101rは、光受信装置2rの受信側伝送モード候補情報をパイロットトーン信号に重畳させて光伝送路3を介して光受信装置2tに送信する。
【0121】
(光受信装置2rのステップSR3の処理)
受信側システムRの光受信装置2rの伝送モード選択部203rは、伝送モード情報記憶部200rが記憶する受信側伝送モード情報テーブル2001rの「伝送モード」の項目が記憶する全ての伝送モード番号と、伝送モード候補受信部201rから受けた光送信装置1tの送信側伝送モード候補情報とにおいて共通の伝送モード番号を抽出する。伝送モード選択部203rは、抽出した共通の伝送モード番号のうち最も優先度の高い伝送モード番号を選択する。
【0122】
図8に示した送信側伝送モード情報テーブル1001tと、図11に示した受信側伝送モード情報テーブル2001rとにおいて、共通する伝送モード情報は、「モード1」、「モード5」、「モード9」、「モード13」である。ここでは、優先度が、変調方式の多値度の高さを第1優先とし、ボーレートの高さを第2優先にしているとすると、伝送モード選択部203rは、「モード1」、「モード5」、「モード9」、「モード13」の中から最も多値度の高い16QAMの変調方式を含む「モード13」を選択する。
【0123】
伝送モード選択部203rは、選択した伝送モード番号である「モード13」を内部の記憶領域に書き込んで記憶させる。伝送モード選択部203rは、選択した伝送モード番号「モード13」に対応する伝送モード情報を伝送モード情報記憶部200rの受信側伝送モード情報テーブル2001rから読み出す。伝送モード選択部203rは、読み出した伝送モード情報の「変調方式」の項目の変調方式を示す情報である「16QAM」、「ボーレート」の項目のボーレートの値「32GBaud」、「誤り訂正符号種別」の項目の誤り訂正符号化方式を示す情報「RS+LDPC」を読み出す。
【0124】
伝送モード選択部203rは、読み出した変調方式を示す情報「16QAM」を含む変調方式信号を生成して主信号復調部24r-1,24r-2に出力する。伝送モード選択部203rは、読み出したボーレートの値「32GBaud」を含むボーレート制御信号を生成してクロック制御部27rに出力する。伝送モード選択部203rは、読み出した誤り訂正符号化方式を示す情報「RS+LDPC」を含む誤り訂正符号指定信号を誤り訂正復号化部25rに出力する。
【0125】
これにより、伝送モード選択部203rが選択した伝送モード、すなわち主信号復調部24r-1,24r-2は、16QAMの変調方式で復調を行い、クロック制御部27rにより設定された光受信装置2rのクロックは、ボーレートを「32GBaud」にするクロック周波数で動作し、誤り訂正復号化部25rは、「RS+LDPC」の方式で誤り訂正復号を行うことになる。
【0126】
(光送信装置1tのステップST2の処理)
送信側システムTの光受信装置2tの伝送モード候補受信部201tは、上述した受信側システムRの光受信装置2rの伝送モード候補受信部201rが、ステップSR1において送信側伝送モード候補情報が重畳したパイロットトーン信号を受信して送信側伝送モード候補情報を取得する際の処理と同様の処理を行う。すなわち、送信側システムTの光受信装置2tの伝送モード候補受信部201tは、光送信装置1rが送信するパイロットトーン信号を受信して、パイロットトーン信号に重畳する光受信装置2rの受信側伝送モード候補情報を取得する。
【0127】
送信側システムTの光受信装置2tの伝送モード候補受信部201tは、取得した光受信装置2rの受信側伝送モード候補情報を、光送信装置1tの伝送モード候補受信部102tに送信する。光送信装置1tの伝送モード候補受信部102tは、光受信装置2rの受信側伝送モード候補情報を受信する。光送信装置1tの伝送モード候補受信部102tは、受信した受信側システムRの光受信装置2rの受信側伝送モード候補情報を伝送モード選択部103tに出力する。
【0128】
(光送信装置1tのステップST3の処理)
伝送モード選択部103tは、伝送モード情報記憶部100tが記憶する送信側伝送モード情報テーブル1001tの「伝送モード」の項目が記憶する全ての伝送モード番号と、伝送モード候補受信部102tから受けた光受信装置2rの受信側伝送モード候補情報とにおいて共通の伝送モード番号を抽出する。
【0129】
伝送モード選択部103tは、抽出した共通の伝送モード番号のうち最も優先度の高い伝送モード番号を選択する。上述したように、なお、伝送モード選択部103tが選択する際の基準となる優先度は、光受信装置2rの伝送モード選択部203rの優先度と同一である。したがって、伝送モード選択部103tは、ステップSR3において、光受信装置2rの伝送モード選択部203rが選択した伝送モード番号と同一の「モード13」の伝送モード番号を選択する。伝送モード選択部103tは、選択した伝送モード番号である「モード13」を内部の記憶領域に書き込んで記憶させる。
【0130】
伝送モード選択部103tは、選択した伝送モード番号「モード13」に対応する伝送モード情報を伝送モード情報記憶部100tの送信側伝送モード情報テーブル1001tから読み出す。伝送モード選択部103tは、読み出した伝送モード情報の「変調方式」の項目の変調方式を示す情報「16QAM」、「ボーレート」の項目のボーレートの値「32GBaud」、「誤り訂正符号種別」の項目の誤り訂正符号化方式を示す情報「RS+LDPC」を読み出す。伝送モード選択部103tは、読み出した変調方式を示す情報「16QAM」を含む変調方式信号を生成して主信号変調部13t-1,13t-2に出力する。伝送モード選択部103tは、読み出したボーレートの値「32GBaud」を含むボーレート制御信号を生成してクロック制御部17tに出力する。伝送モード選択部103tは、読み出した誤り訂正符号化方式を示す情報「RS+LDPC」を含む誤り訂正符号指定信号を誤り訂正符号化部12tに出力する。
【0131】
これにより、伝送モード選択部103tが選択した伝送モード、すなわち主信号変調部13t-1,13t-2は、16QAMの変調方式で変調を行い、クロック制御部17tにより設定された光送信装置1tのクロックは、ボーレートを「32GBaud」にするクロック周波数で動作し、誤り訂正符号化部12tは、「RS+LDPC」の方式で誤り訂正符号化を行うことになる。
【0132】
(光送信装置1tのステップST4の処理)
送信側システムTの光送信装置1tの信号送信部110tは、主信号の生成を行う。すなわち、信号送信部110tにおいて、フレーミング部11tは、クライアント信号を取り込み、取り込んだクライアント信号をOTNフレーム40のペイロード部42に書き込み、オーバーヘッド部41に監視のために用いられる情報などを書き込んで誤り訂正符号化部12tに出力する。誤り訂正符号化部12tは、フレーミング部11tが出力する信号フレームに対して、伝送モード選択部103tから受けた誤り訂正符号指定信号が示す「RS+LDPC」の誤り訂正符号化方式の符号化を行って誤り訂正符号を生成する。誤り訂正符号化部12tは、生成した誤り訂正符号をOTNフレーム40の誤り訂正符号部43に書き込んで、OTNフレーム40を主信号変調部13t-1,13t-2に出力する。
【0133】
主信号変調部13t-1,13t-2の各々は、伝送モード選択部103tから受けた変調方式信号の示す変調方式「16QAM」により、誤り訂正符号化部12tが出力する主信号であって各々に対応するX偏波用の主信号とY偏波用の主信号を変調する。主信号変調部13t-1,13t-2は、変調によって送信シンボル系列を生成し、生成した送信シンボル系列を各々に接続する多重化部14t-1,14t-2に出力する。多重化部14t-1,14t-2は、主信号の送信シンボル系列と、制御情報と時分割多重する。電気光変換部15t-1,15t-2が、多重化部14t-1,14t-2が出力する電気信号を光信号に変換し、偏波多重部16tが、光信号を偏波多重して光伝送路3に送出する。
【0134】
(光受信装置2rのステップSR4の処理)
受信側システムRの光受信装置2rの偏波分離部21rは、光伝送路3によって伝送された主信号を含む信号光を受信する。偏波分離部21rは、受信した信号光に対して光領域で偏波分離を行って、2つの直交するX偏波とY偏波に分離し、分離したX偏波とY偏波のそれぞれを光電気変換部22r-1,22r-2に出力する。光電気変換部22r-1,22r-2の各々は、偏波分離部21rが出力するX偏波及びY偏波の信号光を取り込み、電気のアナログ信号に変換し、変換した電気のアナログ信号を、各々に対応するAD変換部23r-1,23r-2に出力する。
【0135】
AD変換部23r-1,23r-2は、各々に接続する光電気変換部22r-1,22r-2が出力する電気のアナログ信号をデジタル信号に変換してデジタル受信信号を生成する。AD変換部23r-1,23r-2は、生成したデジタル受信信号を、各々に接続する主信号復調部24r-1,24r-2に出力する。また、AD変換部23r-1,23r-2は、生成したデジタル受信信号を制御情報復調部210rの制御情報検出部211r及び制御情報抽出部212r-1,212-r-2に出力する。
【0136】
ここでは、信号品質検出部204rは、フラグが「ON」になっているため、パイロットトーン信号を用いて信号品質、例えば、デジタル受信信号の特定周波数の強度から得られるSN比を検出する。信号品質検出部204rは、検出した信号品質を示す情報、すなわち検出したSN比の値を信号品質判定部205rに出力してフラグを「OFF」にセットする。
【0137】
(光受信装置2rのステップSR5、SR6、SR7の処理)
光受信装置2rの信号品質判定部205rは、信号品質検出部204rが検出した信号品質を示す情報と、予め定められる閾値とに基づいて、信号品質が許容される品質か否かを判定する(ステップSR5)。信号品質判定部205rは、例えば、信号品質を示す情報が、SN比である場合、SN比の値が、閾値以上の場合、信号品質は許容される品質であるとして判定する(ステップSR5、Yes)。信号品質判定部205rは、信号品質は許容される品質であると判定した場合、信号品質許容通知の通知信号を光送信装置1rに送信し、信号品質許容通知の通知信号を伝送モード選択部203rに出力する(ステップSR6)。
【0138】
一方、信号品質判定部205rは、SN比の値が、閾値未満の場合、信号品質は許容されない品質であるとして判定する(ステップSR5、No)。信号品質判定部205rは、信号品質は許容されない品質であると判定した場合、信号品質非許容通知の通知信号を光送信装置1rに送信し、信号品質非許容通知の通知信号を伝送モード選択部203rに出力する(ステップSR7)。
【0139】
光受信装置2rの伝送モード選択部203rは、信号品質判定部205rから信号品質許容通知の通知信号を受けた場合、その時点で選択している伝送モード情報を運用で用いる伝送モード情報として確定し、処理を終了する。
【0140】
一方、光受信装置2rの伝送モード選択部203rは、信号品質判定部205rから信号品質非許容通知の通知信号を受けた場合、ステップSR3以降の処理を行う。ステップSR3において、伝送モード選択部203rは、その時点で選択している伝送モード情報の次に優先度の高い伝送モード情報の伝送モード番号である「モード9」を、共通の伝送モード情報の中から選択する。
【0141】
(光送信装置1tのステップST5、ST6の処理)
光送信装置1tの伝送モード選択部103tは、光受信装置2rの信号品質判定部205rから通知信号を受信する(ステップST5)。具体的には、光送信装置1tの伝送モード選択部103tは、光受信装置2rの信号品質判定部205rから出力され、受信側システムRの光送信装置1rからインラインで光受信装置2tに送信された通知信号を受信する。伝送モード選択部103tは、受信した通知信号が信号品質許容通知であるか否かを判定する(ステップST6)。伝送モード選択部103tは、受信した通知信号が信号品質許容通知であると判定した場合(ステップST6、Yes)、その時点で選択している伝送モード情報を運用で用いる伝送モード情報として確定し、処理を終了する。
【0142】
一方、光送信装置1tの伝送モード選択部103tは、受信した通信信号が信号品質許容通知でない、すなわち信号品質非許容通知である場合(ステップST6、No)、ステップST3以降の処理を行い、ステップST3において、その時点で選択している伝送モード情報の次に優先度の高い伝送モード情報の伝送モード番号である「モード9」を、共通の伝送モード情報の中から選択する。
【0143】
上記の第1の実施形態の構成により、光伝送システムSにおいて、伝送モード選択部103t,203rは、伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって光送信装置1tと光受信装置2rの伝送性能に共通する複数の伝送モード情報の中から、優先度の高い順に伝送モード情報を選択する。光送信装置1tの信号送信部110tは、伝送モード選択部103tが選択する伝送モード情報に基づいて変調した信号を光伝送路3を介して送信する。光受信装置2rの信号受信部220rは、光伝送路3が伝送する信号を受信し、受信した信号を伝送モード選択部203rが選択する伝送モード情報に基づいて復調する。光受信装置2rの信号品質検出部204rは、信号受信部220rが受信する信号の信号品質を検出する。光受信装置2rの信号品質判定部205rは、信号品質検出部204rが検出した信号品質を示す情報に基づいて、信号の信号品質が許容されるか否かを判定する。伝送モード選択部103t,203rは、信号品質判定部205rが、信号の信号品質が許容されないと判定した場合、次に優先度の高い伝送モード情報を選択する。
【0144】
これにより、送信側システムTの光送信装置1tと、受信側システムRの光受信装置2rは、互いが共通して有する複数の伝送モード情報の中から優先度が高く、かつ信号品質の良い伝送モード情報を選択し、選択した伝送モード情報が示す伝送モードによる運用を開始することができる。上述したように、光伝送用のデジタル信号処理(DSP)の高機能化に伴い、変調方式が増え、ボーレートも可変になることで、伝送モードによって占有する周波数帯域が様々に異なる。更に、誤り訂正符号種別といったパラメータが加わることで、伝送モードが多様化してきている。このように多様な伝送モードの中から、光伝送システムSは、最適な伝送モードを選択することを可能としている。
【0145】
換言すると、第1の実施形態の構成では、光送信装置1tは、利用者の操作を受けて、または、起動のタイミングで、自装置が有する伝送モード情報を示す伝送モード番号のリストを光受信装置2rに送信する。光受信装置2rは、光送信装置1tから伝送モード番号のリストを受信すると、自装置が有する伝送モード情報を示す伝送モード番号のリストを光送信装置1tに送信して、互いの伝送モード情報を示す伝送モード番号のリストを交換する。光送信装置1tと光受信装置2rは、交換が終了すると共通する伝送モードの中から、信号品質を満たすことを条件に、より多値度の高い変調方式、より高いボーレートの伝送モードであって送受信間で整合する誤り訂正符号種別の伝送モードを選択する。この処理の流れは、いわゆるAutoNegotiation(自動折衝)の処理手順であり、第1の実施形態では、当該手順により、最適な伝送モードでのリンク確立を行うことを可能としている。
【0146】
また、上記の第1の実施形態の構成では、送信側システムTの光送信装置1tから受信側システムRの光受信装置2rに対して光送信装置1tの送信側伝送モード候補情報を送信する際、また、受信側システムRの光送信装置1rから送信側システムTの光受信装置2tに対して光受信装置2rの受信側伝送モード候補情報を送信する際に、変調方式が識別できていない状態でも送受信を行うことができるパイロットトーン信号を用いる構成としている。そのため、予め送信側と受信側で変調方式を決めておく等の前処理を行わなくても、例えば、光送信装置1t以外の装置が起動している状態において、光送信装置1tの起動と共に、上記の図14に示した処理を開始することが可能である。
【0147】
なお、上記の図14に示した処理の前提として、他方の対向関係にある光受信装置2tと光送信装置1rとの間においても同一の伝送モードを選択することとしたが、この前提は、必須の前提条件ではない。アップリンクとダウンリンクの伝送モードが異なる場合にも本発明が適用できるように、光送信装置1tと光受信装置2rが図14の処理を行うのと並列に、光送信装置1rと光受信装置2tが図14の処理を行う。それにより、光送信装置1tと光受信装置2rが最適な伝送モードの選択を行う処理と並行して、光送信装置1rと光受信装置2tの間でも最適な伝送モードを選択する処理を行うことができる。
【0148】
この場合、送信側システムTの光送信装置1tと光受信装置2tとの接続関係は、図15に示す関係となる。光受信装置2tと光送信装置1rとの間において既に伝送モードの選択が完了している場合の構成である図13では、光受信装置2tの差動復号部213tは、「光受信装置2rの受信側伝送モード候補情報」が含まれている差動復号信号のみを出力する。これに対して、並列に光送信装置1rと光受信装置2tの図14に示す処理が行われる場合、光受信装置2tの差動復号部213tは、更に、「光送信装置1rの送信側伝送モード候補情報」が含まれている差動復号信号を出力する。そのため、光受信装置2tにおける制御部20tの伝送モード候補受信部201tは、差動復号部213tが出力する差動復号信号に含まれている情報の内容に基づいて処理を分岐する必要がある。
【0149】
伝送モード候補受信部201tは、差動復号部213tが出力する差動復号信号を復調して「光送信装置1rの送信側伝送モード候補情報」を取得した場合、取得した情報を伝送モード選択部203tに出力する。一方、伝送モード候補受信部201tは、差動復号部213tが出力する差動復号信号を復調して「光受信装置2rの受信側伝送モード候補情報」を取得した場合、取得した情報を光送信装置1tの伝送モード候補受信部102tに出力する。
【0150】
また、光受信装置2tの伝送モード候補送信部202tは、「光受信装置2tの受信側伝送モード候補情報」を、受信側システムRの光送信装置1rに送信するため、図15に示すように、光送信装置1tの伝送モード候補送信部101tに送信する。
【0151】
また、受信側システムRの光受信装置2rと、光送信装置1rとの接続関係は、図16に示す関係となる。光受信装置2tと光送信装置1rとの間において既に伝送モードの選択が完了している場合の構成である図12では、光受信装置2rの差動復号部213rは、「光送信装置1tの送信側伝送モード候補情報」が含まれている差動復号信号のみを出力する。これに対して、並列に光送信装置1rと光受信装置2tの図14に示す処理が行われる場合、光受信装置2rの差動復号部213rは、更に、「光受信装置2tの受信側伝送モード候補情報」が含まれている差動復号信号を出力する。そのため、制御部20rの伝送モード候補受信部201rは、差動復号部213rが出力する差動復号信号に含まれている情報の内容に基づいて処理を分岐する必要がある。
【0152】
伝送モード候補受信部201rは、差動復号部213rが出力する差動復号信号を復調して「光送信装置1tの送信側伝送モード候補情報」を取得した場合、取得した情報を伝送モード選択部203rに出力する。一方、伝送モード候補受信部201rは、差動復号部213rが出力する差動復号信号を復調して「光受信装置2tの受信側伝送モード候補情報」を取得した場合、取得した情報を光送信装置1rの伝送モード候補受信部102rに出力する。
【0153】
このように、図14の処理を、光送信装置1tと光受信装置2rの間と、光送信装置1rと光受信装置2tの間で並列に行う必要がある場合とは、各々が有する伝送モードが異なっている場合である。これに対して、例えば、送信側システムTの光送信装置1tと光受信装置2tとが一体に構成されて伝送可能な伝送モードの種類が一致しており、また、受信側システムRの光受信装置2rと光送信装置1rとが一体に構成されて伝送可能な伝送モードの種類が一致している場合、図14の処理を並列に行う必要がない。送信側システムTの光送信装置1tと、受信側システムRの光受信装置2rとによる図14に示す処理のみにより、光送信装置1tと光受信装置2rの間と、光送信装置1rと光受信装置2tの間における最適な伝送モードを同時に選択することが可能となるからである。ただし、光伝送路3の送信側システムTから受信側システムRへの経路の伝送品質と、受信側システムRから送信側システムTへの経路の伝送品質に大きな違いがないことが前提である。受信側システムRから送信側システムTへの経路の伝送品質が、送信側システムTから受信側システムRへの経路の伝送品質よりも大きく劣っている場合、光送信装置1tと光受信装置2rが選択した伝送モードでは、光送信装置1rから光受信装置2tへの伝送が正常に行えない可能性があるためである。なお、図14に示す受信側システムRの光受信装置2rのステップSR6の処理の後に、受信側システムRの光送信装置1rが、最終的に選択した伝送モードで伝送モード選択処理が完了したことを示す応答信号を送信し、当該応答信号を送信側システムTの光受信装置2tが正常に受信できた場合に、通常の運用状態に移行するようにしてもよい。ここで、「伝送品質」とは、受信側システムRが信号を受信する際のOSNRを指す。
【0154】
(第1の実施形態の他の構成例)
第1の実施形態の光伝送システムSにおいて、送信側システムTの光送信装置1tを、図17に示す光送信装置1taに置き換え、受信側システムRの光受信装置2rを、図18に示す光受信装置2raに置き換えるようにしてもよい。
【0155】
図17に示す光送信装置1taにおいて、光送信装置1tと同一の構成については同一の符号を付しており、以下、異なる構成について説明する。光送信装置1taは、光送信装置1tが備える制御情報変調部18t及び多重化部14t-1,14t-2を備えていない。光送信装置1taは、フレーミング部11tに替えてフレーミング部11taを備えており、制御部10tに替えて制御部10taを備える。制御部10taは、伝送モード候補送信部101tに替えて、伝送モード候補送信部101taを備える。
【0156】
なお、図17において、フレーミング部11ta、誤り訂正符号化部12t、主信号変調部13t-1,13t-2、電気光変換部15t-1,15t-2、偏波多重部16t及びクロック制御部17tを含む構成を信号送信部110taという。
【0157】
図3に示したOTNフレーム40のオーバーヘッド部41には、符号410,411によって示される2箇所のRES(Reserved)のフィールドがある。RES410,411は、将来の標準化のために利用される予約フィールドである。伝送モード候補送信部101taは、光受信装置2raに送信する光送信装置1taの送信側伝送モード候補情報をフレーミング部11taに出力し、フレーミング部11taは、OTNフレーム40を形成して、オーバーヘッド部41に監視のために用いられる情報などを書き込む際、伝送モード候補送信部101taが出力する光送信装置1taの送信側伝送モード候補情報をRES410,411のフィールドに書き込む。これにより、光送信装置1taの送信側伝送モード候補情報が、主信号の一部として、光伝送路3を介して光受信装置2raに伝送される。
【0158】
図18に示す光受信装置2raにおいて、光受信装置2rと同一の構成については同一の符号を付しており、以下、異なる構成について説明する。光受信装置2raは、光受信装置2rが備える制御情報復調部210rを備えていない。光受信装置2raは、デフレーミング部26rに替えてデフレーミング部26raを備えており、制御部20rに替えて制御部20raを備える。制御部20raは、伝送モード候補受信部201rに替えて、伝送モード候補受信部201raを備える。
【0159】
なお、図18において、偏波分離部21r、光電気変換部22r-1,22r-2、AD変換部23r-1,23r-2、主信号復調部24r-1,24r-2、誤り訂正復号化部25r、デフレーミング部26ra及びクロック制御部27rを含む構成を信号受信部220raという。
【0160】
デフレーミング部26raは、誤り訂正復号化部25rが出力する誤り訂正済みのOTNフレーム40を取り込むと、OTNフレーム40のペイロード部42からクライアント信号を読み出し、読み出したクライアント信号を光受信装置2rに接続するIP系装置に出力する。また、デフレーミング部26raは、OTNフレーム40のオーバーヘッド部41のRES410,411のフィールドに書き込まれている光送信装置1taの送信側伝送モード候補情報を読み出す。
【0161】
デフレーミング部26raは、読み出した光送信装置1taの送信側伝送モード候補情報を伝送モード候補受信部201raに出力する。これにより、光受信装置2raの伝送モード候補受信部201raは、光送信装置1taが送信した光送信装置1taの送信側伝送モード候補情報を取得することができる。
【0162】
また、伝送モード候補受信部201raは、取得した送信側伝送モード候補情報を伝送モード選択部203rに出力する。また、伝送モード候補受信部201raは、送信側伝送モード候補情報を取得すると受信側伝送モード候補情報を送信する受信側伝送モード候補情報送信指示信号を伝送モード候補送信部202rに出力する。
【0163】
上記のように、OTNフレーム40のRES410,411のフィールドを用いて情報を送信する場合、パイロットトーン信号を用いる場合と異なり、受信側において送信側の変調方式が認識できない状態では、受信側で復調して情報を取得することができない。そのため、光送信装置1taと光受信装置2raとにおいて、例えば、起動時に自動的に設定される伝送モードの初期値を予め定めておく必要がある。例えば、多値度及びボーレートが最も低い伝送モード番号が「モード1」の伝送モードを初期値として予め定めておく。光送信装置1taが、初期値の伝送モード「モード1」に基づいて変調した主信号を光受信装置2raに送信することで、光受信装置2raは、初期値の伝送モード「モード1」に基づいて受信した主信号を復調して情報を取得することができる。
【0164】
また、OTNフレーム40のRES410,411のフィールドを用いて情報を送信する場合、パイロットトーン信号を用いる場合のように特定周波数に電力が集中しない。そのため、信号品質検出部204rは、特定周波数の信号の強度から得られるSN比や、当該強度そのものを信号品質として検出対象にすることができない。したがって、当該他の構成例では、信号品質検出部204rは、例えば、誤り訂正復号化部25rにおいて得られるビットエラーレート(BER)を信号品質を示す情報として検出する。また、パイロットトーン信号を用いる図2に示す光送信装置1tや図9に示す光受信装置2rと同様の構成としておき、パイロットトーン信号から得られるOSNRを信号品質を示す情報として検出し、伝送モード情報の送信にはOTNフレーム40のRES410,411のフィールドを用いることも可能である。
【0165】
図1の光伝送システムSにおいて、送信側システムTの光送信装置1tを、図17に示す光送信装置1taに置き換え、受信側システムRの光受信装置2rを、図18に示す光受信装置2raに置き換えた場合、他方の対向関係にある光送信装置1rから光受信装置2tへの送信は、パイロットトーン信号により情報が送信される。そのため、OTNフレーム40のRES410,411のフィールドを用いる送受信と、パイロットトーン信号による送受信が併用される構成となる。また、逆に、図1の構成において、光送信装置1tと光受信装置2rは、パイロットトーン信号を用いる構成のままとし、他方の対向関係にある光送信装置1rと光受信装置2tとを、OTNフレーム40のRES410,411のフィールドを用いる構成に置き換えてもよい。
【0166】
また、図1の光伝送システムSにおいて、送信側システムTの光受信装置2t及び受信側システムRの光送信装置1rを、上記したOTNフレーム40を用いて送信側及び受信側の伝送モード候補情報を送受信する光受信装置2raや光送信装置1taの構成の装置に置き換えてもよい。このように構成することで、光送信装置1taと光受信装置2ra及び光送信装置1raと光受信装置2taの間の送信側及び受信側の伝送モード候補情報の送受信が、全てOTNフレーム40のRES410,411のフィールドを用いて行われることになる。
【0167】
また、光送信装置1tの構成と、光送信装置1taの構成を兼ね備えた光送信装置及び光受信装置2rの構成と、光受信装置2raの構成を兼ね備えた光受信装置を適用してもよい。このようにすることで、パイロットトーン信号と、OTNフレーム40のRES410,411のフィールドの2系統を用いて送信側伝送モード候補情報や受信側伝送モード候補情報を送信することができるため信頼性を高めることができる。信頼性を高めるだけでなく、信号品質を示す情報としてOSNRを検出するためにパイロットトーン信号を用い、伝送モード情報の送信にはOTNフレーム40のRES410,411のフィールドの方を用いるといった柔軟な実施形態も可能となる。
【0168】
なお、上記の第1の実施形態の構成では、光受信装置2rの信号品質判定部205rは、インラインで光送信装置1tの伝送モード選択部103tに通知信号を送信するようにしているが、本発明の構成は、当該実施の形態に限られない、通知信号についても、受信側システムRの光送信装置1rと、送信側システムTの光受信装置2tを用いて光受信装置2rから光送信装置1tに送信するようにしてもよい。
【0169】
(第2の実施形態)
図19は、第2の実施形態の光伝送システムSbの構成を示すブロック図である。第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。光伝送システムSbは、光送信装置1b、光受信装置2b、光伝送路3b及び制御装置6を備える。光伝送路3bは、光ファイバ300を有しており光送信装置1bが出力する信号光を光受信装置2bに伝送する。制御装置6と光送信装置1b及び制御装置6と光受信装置2bは、例えば、専用回線やインターネット網などの通信回線により接続されている。
【0170】
制御装置6は、例えば、SDN(Software Defined Networking)コントローラや、従来型のオペレーティングシステムを備えた装置であり、伝送モード選択部60、伝送モード情報記憶部61及び信号品質判定部205rを備える。伝送モード情報記憶部61は、例えば、図8に示した送信側伝送モード情報テーブル1001tと、図11に示した受信側伝送モード情報テーブル2001rとを予め記憶していても良いし、光送信装置1b及び光受信装置2bのいずれかから情報収集しても良い。
【0171】
伝送モード選択部60は、伝送モード情報記憶部61が記憶する送信側伝送モード情報テーブル1001tと、受信側伝送モード情報テーブル2001rとにおいて共通の伝送モード番号を抽出する。また、伝送モード選択部60は、抽出した共通の伝送モード番号のうち最も優先度の高い伝送モード番号を選択する。第1の実施形態と同様に、優先度は予め定められており、例えば、より多値度の高い変調方式、より高いボーレートを含む伝送モード情報に対応する伝送モード番号がより高い優先度となる。
【0172】
また、伝送モード選択部60は、内部に記憶領域を有しており、選択した伝送モード番号を内部の記憶領域に書き込んで記憶させる。また、伝送モード選択部60は、選択した伝送モード番号を含む伝送モード指定信号を生成し、生成した伝送モード指定信号を光送信装置1bと光受信装置2bに送信する。また、伝送モード選択部60は、信号品質判定部205rから通知信号を受信した場合、通知信号に含まれる通知が、信号品質非許容通知である場合、内部の記憶領域を参照し、その時点で選択している伝送モード情報の次に優先度の高い伝送モード情報の伝送モード番号を選択する。なお、第2の実施形態では、信号品質判定部205rの通知信号の出力先は、伝送モード選択部60である。
【0173】
光送信装置1bは、信号送信部110bと制御部10bを備える。信号送信部110bは、光伝送路3bに接続されており、例えば、図17に示した信号送信部110taの構成において、フレーミング部11taを図2のフレーミング部11tに置き換えた構成を有する。
【0174】
制御部10bは、伝送モード受信部120と伝送モード情報記憶部100bを備える。伝送モード情報記憶部100bは、図8に示した送信側伝送モード情報テーブル1001tを予め記憶する。伝送モード受信部120は、制御装置6の伝送モード選択部60が送信する伝送モード指定信号を受けて、伝送モード指定信号に含まれる伝送モード番号の伝送モード情報を伝送モード情報記憶部100bの送信側伝送モード情報テーブル1001tから読み出す。また、伝送モード受信部120は、読み出した伝送モード情報に基づいて、信号送信部110bの主信号変調部13t-1,13t-2に変調方式信号を出力し、誤り訂正符号化部12tに誤り訂正符号指定信号を出力し、クロック制御部17tにボーレート制御信号を出力する。
【0175】
光受信装置2bは、信号受信部220bと制御部20bを備える。信号受信部220bは、光伝送路3bに接続されており、例えば、図9に示した光受信装置2rの信号受信部220rの構成を有する。
【0176】
制御部20bは、伝送モード受信部230、伝送モード情報記憶部200b及び信号品質検出部204bを備える。伝送モード情報記憶部200bは、図11に示した受信側伝送モード情報テーブル2001rを予め記憶する。伝送モード受信部230は、制御装置6の伝送モード選択部60が送信する伝送モード指定信号を受けて、伝送モード指定信号に含まれる伝送モード番号の伝送モード情報を伝送モード情報記憶部200bの受信側伝送モード情報テーブル2001rから読み出す。また、伝送モード受信部230は、読み出した伝送モード情報に基づいて、信号受信部220bの主信号復調部24r-1,24r-2に変調方式信号を出力し、誤り訂正復号化部25rに誤り訂正符号指定信号を出力し、クロック制御部27rにボーレート制御信号を出力する。
【0177】
信号品質検出部204bは、信号品質の検出を行う。また、信号品質検出部204bは、検出した信号品質を示す情報を信号品質判定部205rに出力する。
【0178】
信号品質検出部204bは、例えば、パイロットトーン信号を用いて制御情報から検出したOSNRを、信号品質を示す情報として検出する。なお、誤り訂正復号化部25rにおいて得られるビットエラーレート(BER)を信号品質を示す情報としてもよい。
信号品質検出部204bは、信号品質検出部204rと同様に、信号品質検出方法として、OTDR、光スペクトラムアナライザ、パワーメータ等の測定器から得られる情報を用いても良い。
【0179】
(第2の実施形態における伝送モード選択処理)
図20は、第2の実施形態の光伝送システムSbによる伝送モード選択処理の流れを示すフローチャートであり、破線の矢印は、光送信装置1bと制御装置6と光受信装置2bの間における情報の送受信を示している。
【0180】
制御装置6の伝送モード選択部60は、利用者による操作を受けて、または、制御装置6の起動のタイミングや光送信装置と光受信装置の接続のタイミングにより処理を開始する。伝送モード選択部60は、伝送モード情報記憶部61から送信側伝送モード情報テーブル1001tと、受信側伝送モード情報テーブル2001rとを読み出す(ステップSCb1)。
【0181】
伝送モード選択部60は、読み出した送信側伝送モード情報テーブル1001tと、受信側伝送モード情報テーブル2001rとにおいて共通の伝送モード番号を抽出する。伝送モード選択部60は、抽出した共通の伝送モード番号のうち最も優先度の高い伝送モード番号を選択し、選択した伝送モード番号を内部の記憶領域に書き込んで記憶させる(ステップSCb2)。
【0182】
伝送モード選択部60は、選択した伝送モード番号を含む伝送モード指定信号を生成し、生成した伝送モード指定信号を光送信装置1bと光受信装置2bとに出力する(ステップSCb3)。光送信装置1bの伝送モード受信部120は、制御装置6の伝送モード選択部60が送信する伝送モード指定信号を受信する(ステップSTb1)。
【0183】
光送信装置1bの伝送モード受信部120は、受信した伝送モード指定信号に含まれる伝送モード番号に対応する伝送モード情報を伝送モード情報記憶部100bの送信側伝送モード情報テーブル1001tから読み出す。伝送モード受信部230は、読み出した伝送モード情報に基づいて、信号送信部110bの主信号変調部13t-1,13t-2に変調方式信号を出力し、誤り訂正符号化部12tに誤り訂正符号指定信号を出力し、クロック制御部17tにボーレート制御信号を出力して伝送モードの設定を行う(ステップSTb2)。光送信装置1bの信号送信部110bは、主信号を送信する(ステップSTb3)。
【0184】
光受信装置2bの伝送モード受信部230は、制御装置6の伝送モード選択部60が送信する伝送モード指定信号を受信する(ステップSRb1)。光送信装置1bによるステップSTb1における伝送モード指定信号の受信のタイミングと、ステップSRb1の伝送モード指定信号の受信のタイミングは、制御装置6と光送信装置1bの間の距離と、制御装置6と光受信装置2bの間の距離との違いにより若干の時間差が存在しても良い。
【0185】
光受信装置2bの伝送モード受信部230も同様に、受信した伝送モード指定信号に含まれる伝送モード番号に対応する伝送モード情報を伝送モード情報記憶部200bの受信側伝送モード情報テーブル2001rから読み出す。伝送モード受信部230は、読み出した伝送モード情報に基づいて、信号受信部220bの主信号復調部24r-1,24r-2に変調方式信号を出力し、誤り訂正復号化部25rに誤り訂正符号指定信号を出力し、クロック制御部27rにボーレート制御信号を出力して伝送モードの設定を行う(ステップSRb2)。
【0186】
光受信装置2bの信号受信部220bは、光伝送路3によって伝送された主信号を受信する。光受信装置2bの信号品質検出部204bは、主信号の信号品質を検出する(ステップSRb3)。ここでは、信号品質検出部204bは、信号品質を示す情報としてBERを検出したとする。信号品質検出部204bは、検出した信号品質を示す情報を制御装置6の信号品質判定部205rに送信する(ステップSRb4)。
【0187】
制御装置6の信号品質判定部205rは、信号品質検出部204bから信号品質を示す情報を受信する(ステップSCb4)。信号品質判定部205rは、信号品質を示す情報と、予め定められる閾値とに基づいて、信号品質が許容される品質か否かを判定する(ステップSCb5)。
【0188】
信号品質判定部205rは、信号品質検出部204bが検出したBERの値が、閾値未満の場合、信号品質は許容される品質であるとして判定する(ステップSCb5、Yes)。信号品質判定部205rは、信号品質は許容される品質であると判定した場合、信号品質許容通知の通知信号を伝送モード選択部60に出力する。伝送モード選択部60は、その時点で選択している伝送モード情報を運用で用いる伝送モード情報として確定し、処理を終了する。
【0189】
一方、信号品質判定部205rは、信号品質検出部204bが検出したBERの値が、閾値以上の場合、信号品質は許容されない品質であるとして判定する(ステップSCb5、No)。信号品質判定部205rは、信号品質は許容されない品質であると判定した場合、信号品質非許容通知の通知信号を伝送モード選択部60に出力する。伝送モード選択部60は、信号品質判定部205rから信号品質非許容通知の通知信号を受けた場合、ステップSCb2以降の処理を行う。ステップSCb2において、伝送モード選択部60その時点で選択している伝送モード情報の次に優先度の高い伝送モード情報の伝送モード番号を共通の伝送モード情報の中から選択し、ステップSCb3において選択した伝送モード番号を含む伝送モード指定信号を生成して光送信装置1bと光受信装置2bに送信する。
【0190】
上記の第2の実施形態の構成により、光伝送システムSbの制御装置6の伝送モード選択部60cは、伝送性能に関する複数のパラメータの組み合わせである伝送モード情報であって光送信装置1bと光受信装置2bの伝送性能に共通する複数の伝送モード情報の中から、優先度の高い順に伝送モード情報を選択する。光送信装置1bの信号送信部110bは、伝送モード選択部60が選択する伝送モード情報に基づいて変調した信号を光伝送路3bを介して送信する。光受信装置2bの信号受信部220bは、光伝送路3bが伝送する信号を受信し、受信した信号を伝送モード選択部60が選択する伝送モード情報に基づいて復調する。光受信装置2bの信号品質検出部204bは、信号受信部220bが受信する信号の信号品質を検出する。制御装置6の信号品質判定部205rは、信号品質検出部204bが検出した信号品質を示す情報に基づいて、信号の信号品質が許容されるか否かを判定する。伝送モード選択部60は、信号品質判定部205rが、信号の信号品質が許容されないと判定した場合、次に優先度の高い伝送モード情報を選択する。
【0191】
これにより、制御装置6は、光送信装置1bと光受信装置2bとが共通して有する複数の伝送モード情報の中から優先度が高く、かつ信号品質の良い伝送モード情報を選択することができる。そして、制御装置6は、選択した伝送モード情報が示す伝送モードによる運用を光送信装置1bと光受信装置2bに行わせることができる。すなわち、光伝送システムSbは、複数の伝送性能に関する各種パラメータの組み合わせにより定められる伝送モードの中から最適な伝送モードを選択することを可能としている。
【0192】
換言すると、第2の実施形態の構成では、制御装置6が、光送信装置1bと光受信装置2bとが共に有する複数の伝送モードの中から、より多値度の高い変調方式、より高いボーレートの伝送モードであって送受信間で整合する誤り訂正符号種別の伝送モードを選択することにより、最適な伝送モードでのリンク確立を行うことを可能としている。
【0193】
また、第2の実施形態の構成では、制御装置6が、伝送モード情報を選択し、選択した伝送モード情報の伝送モード番号を含む伝送モード指定信号を光送信装置1bと光受信装置2に送信する。そのため、光受信装置2b側において光送信装置1b側の変調方式が認識できない状態であっても、予め送信側と受信側で変調方式を決めておく等の前処理を行うことなく図20に示した処理を行うことが可能である。
【0194】
(第3の実施形態)
図21は、第3の実施形態の光伝送システムScの構成を示すブロック図である。第3の実施形態において、第1及び第2の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。光伝送システムScは、光送信装置1c、光受信装置2c、光伝送路3c、制御装置6c及び管理装置7を備える。管理装置7と制御装置6c、制御装置6cと光送信装置1c及び制御装置6cと光受信装置2cは、例えば、専用回線やインターネット網などの通信回線により接続されている。
【0195】
光送信装置1cは、信号送信部110bと制御部10cを備える。制御部10cは、伝送モード受信部120、伝送モード情報記憶部100b及び情報蓄積部150を備える。情報蓄積部150は、内部に不揮発性の記憶領域を有しており、光送信装置1cに関する情報、例えば、光送信装置1cの光インタフェースで送受信する光信号の送信光レベル、受信光レベル、中心周波数、波長ずれなどの時系列に得られる物理特性パラメータの情報を逐次内部の記憶領域に書き込んで蓄積しても良いし、物理特性パラメータの情報が必要な際にモニタしても良い。
【0196】
光受信装置2cは、信号受信部220bと制御部20cを備える。制御部20cは、伝送モード受信部230、伝送モード情報記憶部200b、信号品質検出部204c及び情報蓄積部250を備える。情報蓄積部250は、内部に不揮発性の記憶領域を有しており、光受信装置2cに関する情報、例えば、光受信装置2cの光インタフェースで送受信する光信号の送信光レベル、受信光レベル、中心周波数、波長ずれなどの時系列に得られる物理特性パラメータの履歴の情報を逐次内部の記憶領域に書き込んで蓄積する。
【0197】
信号品質検出部204cは、パイロットトーン信号を用いて制御情報から検出したOSNRを、信号品質を示す情報として検出する。また、信号品質検出部204cは、検出した信号品質を示す情報を制御装置6cの信号品質判定部205cに出力する。
信号品質検出部204cは、信号品質検出部204rと同様に、信号品質検出方法として、OTDR、光スペクトラムアナライザ、パワーメータ等の測定器から得られる情報を用いても良い。
【0198】
光伝送路3cは、光ファイバ300-T,300-R、WSS(Wavelength Selective Switch)301-T,301-R、光アンプ302-T,302-C,302-Rを有しており、光送信装置1cが送出する信号光を光受信装置2cに伝送する。
【0199】
WSS301-T,301-Rは、波長選択スイッチであり、波長選択を行っている信号光の中心周波数、フィルタ帯域幅、フィルタ次数、挿入損失、偏波依存損失(以下、PDL(Polarization Dependent Loss)ともいう)などの時系列に得られる物理特性パラメータの情報を逐次内部の不揮発性の記憶領域に書き込んで蓄積しても良いし、物理特性パラメータの情報が必要な際にモニタしても良い。
【0200】
光アンプ302-T,302-C,302-Rは、信号光を増幅する増幅器であり、増幅を行っている信号光の入力パワーレベル、出力パワーレベル、ゲイン、雑音指数(以下「NF」(Noise Figure)という。)などの時系列に得られる物理特性パラメータの情報を逐次内部の不揮発性の記憶領域に書き込んで蓄積しても良いし、物理特性パラメータの情報が必要な際にモニタしても良い。
【0201】
制御装置6cは、制御装置6と同様にSDNコントローラや、従来型のオペレーティングシステムを備えた装置であり、情報収集部62、伝送モード選択部60c及び信号品質判定部205cを備える。情報収集部62は、通信回線を介して光送信装置1cの伝送モード情報記憶部100b、情報蓄積部150、WSS301-T,301-R、光アンプ302-T,302-C,302-R、光受信装置2cの伝送モード情報記憶部200b、情報蓄積部250に接続する。
【0202】
また、情報収集部62は、光送信装置1cの情報蓄積部150の内部の記憶領域、光受信装置2cの情報蓄積部250の内部の記憶領域、WSS301-T,301-Rの内部の記憶領域及び光アンプ302-T,302-C,302-Rの内部の記憶領域から物理特性パラメータの情報を読み出し、読み出した物理特性パラメータを管理装置7の伝送設計情報記憶部71に書き込んで記憶させる。
また、情報収集部62は、デジタル信号処理で得られる光伝送路に関する物理特性パラメータの情報も読み出し、管理装置7の伝送設計情報記憶部71に書き込んで記憶させることが可能である。デジタル信号処理で得られる光伝送路に関する物理特性パラメータには、波長分散、偏波モード分散、偏波依存損失、非線形係数などがある。これらの物理特性パラメータも用いて、ある拠点間を結ぶ光伝送路に設定する光パスの伝送設計が可能となる。
【0203】
また、情報収集部62は、光送信装置1cの伝送モード情報記憶部100b及び光受信装置2cの伝送モード情報記憶部200bから、各々が記憶する送信側伝送モード情報テーブル1001tの情報と、受信側伝送モード情報テーブル2001rの情報とを読み出す。また、情報収集部62は、読み出した送信側伝送モード情報テーブル1001tの情報と、受信側伝送モード情報テーブル2001rの情報とを管理装置7の伝送設計情報記憶部71に書き込んで記憶させる。
【0204】
伝送モード選択部60cは、管理装置7から与えられる複数の伝送モード情報が含まれる伝送モード候補リストの中から最も優先度の高い伝送モード番号を選択する。第1及び第2の実施形態と同様に、優先度は予め定められており、例えば、より多値度の高い変調方式、より高いボーレートを含む伝送モード情報に対応する伝送モード番号がより高い優先度となる。
【0205】
また、伝送モード選択部60cは、内部に記憶領域を有しており、選択した伝送モード番号を内部の記憶領域に書き込んで記憶させる。また、伝送モード選択部60cは、選択した伝送モード番号を含む伝送モード指定信号を生成し、生成した伝送モード指定信号を光送信装置1cと光受信装置2cに送信する。また、伝送モード選択部60cは、信号品質判定部205cから通知信号を受信した場合、通知信号に含まれる通知が、信号品質非許容通知である場合、内部の記憶領域を参照し、その時点で選択している伝送モード情報の次に優先度の高い伝送モード情報の伝送モード番号を伝送モード候補リストの中から選択する。
【0206】
信号品質判定部205cは、管理装置7が送信するOSNRの値を受信し、受信したOSNRの値を閾値とする。また、信号品質判定部205c、当該閾値と、信号品質検出部204cから受信した信号品質を示す情報とに基づいて、信号品質が許容される品質か否かを判定する。
【0207】
また、信号品質判定部205cは、信号品質は許容される品質であると判定した場合、信号品質許容通知の通知信号を伝送モード選択部60cに出力する。また、信号品質判定部205cは、信号品質は許容されない品質であると判定した場合、信号品質非許容通知の通知信号を伝送モード選択部60cに出力する。
【0208】
管理装置7は、伝送設計情報記憶部71と伝送設計処理部72を備える。伝送設計情報記憶部71は、上述したように、情報収集部62によって書き込まれる光送信装置1c、光受信装置2c、WSS301-T,301-R、光アンプ302-T,302-C,302-Rの物理特性パラメータ、送信側伝送モード情報テーブル1001tの情報及び受信側伝送モード情報テーブル2001rの情報を記憶する。
【0209】
伝送設計処理部72は、伝送設計情報記憶部71が記憶する物理特性パラメータ、送信側伝送モード情報テーブル1001tの情報及び受信側伝送モード情報テーブル2001rの情報に基づいて、光送信装置1cと光受信装置2cの間のレベルダイアに基づくネットワーク全体の伝送設計処理を行う。
【0210】
また、伝送設計処理部72は、伝送設計処理の結果として、光送信装置1cと光受信装置2cの間の伝送品質を算出し、算出した伝送品質に基づいて、複数の伝送モード情報を候補として選択する。また、伝送設計処理部72は、選択した複数の伝送モード情報を含む伝送モード候補リストを生成し、生成した伝送モード候補リストを制御装置6cの伝送モード選択部60cに出力する。また、伝送設計処理部72は、伝送設計処理の結果として、光受信装置2cにおいて、光送信装置1cが送信した信号光を受信する際に、信号品質として許容可能なOSNRを算出する。また、伝送設計処理部72は、算出したOSNRの値を信号品質判定部205cに送信する。
【0211】
(第3の実施形態における管理装置の処理)
図22は、第3の実施形態の管理装置7による処理の流れを示すフローチャートである。図22に示すフローチャートが行われる前に、伝送設計情報記憶部71には、既に、制御装置6cの情報収集部62によって、WSS301-T,301-R、光アンプ302-T,302-C,302-R、光送信装置1c及び光受信装置2cの物理特性パラメータの情報が書き込まれているものとする。また、伝送設計情報記憶部71には、制御装置6cの情報収集部62によって、送信側伝送モード情報テーブル1001tの情報と、受信側伝送モード情報テーブル2001rの情報とが書き込まれているものとする。
【0212】
管理装置7の伝送設計処理部72は、伝送設計情報記憶部71が記憶する送信側伝送モード情報テーブル1001tの情報と、受信側伝送モード情報テーブル2001rの情報とから共通する伝送モード情報を抽出する。伝送設計処理部72は、抽出した伝送モード情報ごとに、伝送設計情報記憶部71が記憶する物理特性パラメータに基づいて伝送設計処理を行って、伝送モード情報ごとの伝送品質を算出する(ステップSMc1)。
【0213】
伝送設計処理部72は、伝送設計情報記憶部71が記憶する物理特性パラメータに基づいて伝送設計処理を行う際に、光受信装置2cにおいて光送信装置1cが送信した信号光を受信する際のOSNRを算出する(ステップSMc2)。
【0214】
伝送設計処理部72は、算出した伝送品質に基づいて、例えば、伝送品質が高い方から順に予め定められた数の複数の伝送モード情報を候補として選択し、選択した伝送モード情報を含む伝送モード候補リストを生成する(ステップSMc3)。
【0215】
伝送設計処理部72は、生成した伝送モード候補リストを制御装置6cの伝送モード選択部60cに送信し、算出したOSNRの値を信号品質判定部205cに送信する(ステップSMc4)。
【0216】
(第3の実施形態における伝送モード選択処理)
図23は、第3の実施形態の光伝送システムScによる伝送モード選択処理の流れを示すフローチャートであり、破線の矢印は、光送信装置1cと制御装置6cと光受信装置2cの間における情報の送受信を示している。
【0217】
図22のステップSMc4の処理において、管理装置7の伝送設計処理部72は、生成した伝送モード候補リストを制御装置6cの伝送モード選択部60cに送信し、算出したOSNRの値を信号品質判定部205cに送信する。制御装置6cの伝送モード選択部60cは、伝送モード候補リストを受信する。制御装置6cの信号品質判定部205cは、OSNRの値を受信する(ステップSCc1)。
【0218】
伝送モード選択部60cは、伝送モード候補リストの中から最も優先度の高い伝送モード情報の伝送モード番号を選択し、選択した伝送モード番号を内部の記憶領域に書き込んで記憶させる(ステップSCc2)。
【0219】
伝送モード選択部60cは、選択した伝送モード番号を含む伝送モード指定信号を生成し、生成した伝送モード指定信号を光送信装置1cと光受信装置2cとに出力する(ステップSCc3)。
【0220】
光送信装置1cにおけるステップSTc1~STc3において、図20に示した第2の実施形態の光送信装置1bにおけるステップSTb1~STb3と同一の処理が行われる。また、光受信装置2cにおけるステップSRc1~SRc2において、図20に示した第2の実施形態の光受信装置2bにおけるステップSRb1~SRb2と同一の処理が行われる。
【0221】
光受信装置2cの信号受信部220bは、光伝送路3cによって伝送された主信号を受信する。光受信装置2cの信号品質検出部204cは、主信号のOSNRを検出する(ステップSRb3)。信号品質検出部204cは、検出したOSNRの値を制御装置6cの信号品質判定部205cに送信する(ステップSRc4)。
【0222】
制御装置6cの信号品質判定部205cは、信号品質検出部204cからOSNRの値を受信する(ステップSCc4)。信号品質判定部205cは、ステップSCc1において管理装置7の伝送設計処理部72から受信したOSNRの値を閾値とし、当該閾値と、信号品質検出部204cから受信したOSNRの値とに基づいて、信号品質が許容される品質か否かを判定する(ステップSCb5)。
【0223】
信号品質判定部205cは、例えば、信号品質検出部204cが検出したOSNRの値が、閾値以上の場合、信号品質は許容される品質であるとして判定する(ステップSCc5、Yes)。信号品質判定部205cは、信号品質は許容される品質であると判定した場合、信号品質許容通知の通知信号を伝送モード選択部60cに出力する。伝送モード選択部60cは、その時点で選択している伝送モード情報を運用で用いる伝送モード情報として確定し、処理を終了する。
【0224】
一方、信号品質判定部205cは、OSNRの値が、閾値未満の場合、信号品質は許容されない品質であるとして判定する(ステップSCc5、No)。信号品質判定部205cは、信号品質は許容されない品質であると判定した場合、信号品質非許容通知の通知信号を伝送モード選択部60cに出力する。伝送モード選択部60cは、信号品質判定部205cから信号品質非許容通知の通知信号を受けた場合、ステップSCc2以降の処理を行う。ステップSCc2において、伝送モード選択部60cその時点で選択している伝送モード情報の次に優先度の高い伝送モード情報の伝送モード番号を伝送モード候補リストの中から選択し、ステップSCc3において選択した伝送モード番号を含む伝送モード指定信号を生成して光送信装置1cと光受信装置2cに送信する。
【0225】
上記の第3の実施形態の構成により、光伝送システムScの管理装置7において、伝送設計処理部72は、光送信装置1cと光受信装置2cの伝送性能に共通する複数の伝送モード情報ごとに、伝送設計情報記憶部71が記憶する物理特性パラメータに基づいて伝送品質を算出する。伝送設計処理部72は、算出した伝送品質に基づいて選択する複数の伝送モード情報を含む伝送モード候補リストを生成し、生成した伝送モード候補リストを制御装置6cの伝送モード選択部60cに送信する。これにより、第3の実施形態の伝送モード選択部60cは、光伝送路3cに備えられる各種モジュール、光送信装置1c及び光受信装置2cの物理特性パラメータに基づく伝送設計により求められる伝送品質が高い伝送モードであって優先度が高く、かつOSNRの値が大きい最適な伝送モードを選択することが可能となる。
【0226】
(第4の実施形態)
図24は、第4の実施形態の光伝送システムSdの構成を示すブロック図である。第4の実施形態において、第1から第3の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。光伝送システムSdは、光送信装置1c、光受信装置2c、光伝送路3c、制御装置6c及び管理装置7dを備える。管理装置7dと制御装置6c、制御装置6cと光送信装置1c及び制御装置6cと光受信装置2cは、例えば、専用回線やインターネット網などの通信回線により接続されている。
【0227】
管理装置7dは、伝送設計情報記憶部71、伝送設計処理部72d、ネットワーク設計処理部74及びネットワーク設計情報記憶部73を備える。
【0228】
伝送設計処理部72dは、伝送設計処理部72と同様に伝送設計処理を行って伝送モード候補リストを生成する。伝送設計処理部72dは、生成した伝送モード候補リストをネットワーク設計処理部74に出力する。また、伝送設計処理部72dは、伝送設計処理部72と同様に光送信装置1cが送信した信号光を受信する際に、信号品質として許容可能なOSNRを算出する。伝送設計処理部72dは、算出したOSNRの値をネットワーク設計処理部74に送信する。ネットワーク設計情報記憶部73は、光伝送路3のトポロジー情報、ノード情報、パス情報などを予め記憶する。制御装置6cの情報収集部62bを用いて光伝送路3のネットワークのトポロジー情報、ノード情報、パス情報などの情報を収集しても良い。これにより、いつでもその時点での光周波数利用効率を含めたネットワーク情報を収集可能となる。
【0229】
ネットワーク設計処理部74は、伝送設計処理部72が出力する伝送モード候補リスト及びOSNRの値を取り込む。また、ネットワーク設計処理部74は、伝送モード候補リストに含まれる伝送モード情報ごとに、ネットワーク設計情報記憶部73が記憶する情報を用いて、光周波数利用効率を向上させる光パスを求める収容設計処理を行う。光周波数利用効率とは、限られた光周波数資源を効率よく利用することであり、例えばある信号に割り当てる周波数の比率を表す。また、ネットワーク設計処理部74は、例えば、収容設計処理の結果として得られる伝送モード情報ごとの光周波数利用効率に基づいて、伝送モード候補リストに含まれる伝送モード情報ごとに優先度を示す情報を付加する。また、ネットワーク設計処理部74は、優先度を示す情報を付加した伝送モード候補リストを伝送モード選択部60cに出力する。
【0230】
また、ネットワーク設計処理部74は、伝送設計処理部72が出力したOSNRの値を信号品質判定部205cに出力する。
【0231】
(第4の実施形態における管理装置の処理)
図25は、第4の実施形態の管理装置7dによる処理の流れを示すフローチャートである。図25に示すフローチャートが行われる前に、伝送設計情報記憶部71には、既に、制御装置6cの情報収集部62によって、WSS301-T,301-R、光アンプ302-T,302-C,302-R、光送信装置1c及び光受信装置2cの物理特性パラメータの情報が書き込まれている。また、伝送設計情報記憶部71には、制御装置6cの情報収集部62によって、送信側伝送モード情報テーブル1001tの情報と、受信側伝送モード情報テーブル2001rの情報とが書き込まれている。
【0232】
管理装置7dの伝送設計処理部72dは、送信側伝送モード情報テーブル1001tの情報と、受信側伝送モード情報テーブル2001rの情報とから共通する伝送モード情報を抽出する。伝送設計処理部72dは、伝送設計情報記憶部71が記憶する物理特性パラメータに基づいて伝送設計処理を行って、抽出した伝送モード情報ごとの伝送品質を算出する(ステップSMd1)。
【0233】
伝送設計処理部72dは、算出した伝送品質に基づいて、例えば、伝送品質が高い方から順に予め定められた数の複数の伝送モード情報を候補として選択し、選択した伝送モード情報を含む伝送モード候補リストを生成し、生成した伝送モード候補リストをネットワーク設計処理部74に出力する(ステップSMd2)。
【0234】
伝送設計処理部72dは、伝送設計情報記憶部71が記憶する物理特性パラメータに基づいて伝送設計処理を行う際に、光受信装置2cにおいて光送信装置1cが送信した信号光を受信する際のOSNRを算出する(ステップSMd3)。伝送設計処理部72dは、算出したOSNRの値をネットワーク設計処理部74に出力する。
【0235】
ネットワーク設計処理部74は、伝送設計処理部72dが出力する伝送モード候補リスト及びOSNRの値を取り込む。ネットワーク設計処理部74は、取り込んだ伝送モード候補リストに含まれる伝送モード情報ごとに、ネットワーク設計情報記憶部73が記憶する情報を用いて、光周波数利用効率を向上させる光パスを求める収容設計処理を行う。ネットワーク設計処理部74は、収容設計処理の結果として得られる伝送モード情報ごとの光周波数利用効率に基づいて、光周波数利用効率が高い順に、高い優先度となるように、伝送モード情報に対して優先度を示す情報を付加する(ステップSMd4)。
【0236】
ネットワーク設計処理部74は、生成した伝送モード候補リストを伝送モード選択部60cに出力する。ネットワーク設計処理部74は、伝送設計処理部72が算出したOSNRを信号品質判定部205cに出力する(ステップSMd5)。
【0237】
第4の実施形態における伝送モード選択処理は、図23に示した第3の実施形態の伝送モード選択処理において、制御装置6cのステップSCc2の処理が、以下に示す処理に置き換えられる他は、図23に示した処理と同一の処理が行われる。すなわち、第4の実施形態では、伝送モード候補リストに含まれる伝送モード情報には、優先度を示す情報が付加されている。そのため、最初のステップSCc2の処理では、伝送モード選択部60cは、伝送モード候補リストに含まれる伝送モード情報に付加されている優先度を示す情報にしたがって、最も優先度が高い伝送モード情報に対応する伝送モード番号を選択する。伝送モード選択部60cは、選択した伝送モード番号を内部の記憶領域に書き込んで記憶させる。2回目以降のステップSCc2の処理では、伝送モード選択部60cは、伝送モード候補リストにおいて、内部の記憶領域が記憶する伝送モード番号の次に優先度の高い伝送モード番号を選択し、選択した伝送モード番号を内部の記憶領域に書き込んで記憶させる。
【0238】
上記の第4の実施形態の構成により、光伝送システムSdの管理装置7dにおいて、ネットワーク設計処理部74は、伝送設計処理部72dが生成した伝送モード候補リストに含まれる伝送モード情報ごとに、ネットワーク設計情報記憶部73が記憶する情報に基づいて優先度を示す情報を算出する。制御装置6cの伝送モード選択部60cは、ネットワーク設計処理部74が算出した優先度を示す情報にしたがって、優先度の高い順に伝送モード情報を選択する。
【0239】
(第5の実施形態)
図26は、第5の実施形態の光伝送システムSeの構成を示すブロック図である。第5の実施形態において、第1から第4の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。光伝送システムSeは、光送信装置1c、光受信装置2c、光伝送路3c及び制御装置6eを備える。制御装置6eと光送信装置1c及び制御装置6eと光受信装置2cは、例えば、専用回線やインターネット網などの通信回線により接続されている。
【0240】
第5の実施形態において、第3の実施形態と異なる点は、制御装置6eが、情報収集部62に代えて情報収集部62eを備え、伝送設計情報記憶部71eと伝送設計処理部72eとをさらに備える点と、光伝送システムSeが管理装置7を備えない点である。
【0241】
情報収集部62eは、通信回線を介して光送信装置1cの伝送モード情報記憶部100b、情報蓄積部150、WSS301-T,301-R、光アンプ302-T,302-C,302-R、光受信装置2cの伝送モード情報記憶部200b、情報蓄積部250に接続する。
【0242】
また、情報収集部62eは、光送信装置1cの情報蓄積部150の内部の記憶領域、光受信装置2cの情報蓄積部250の内部の記憶領域、WSS301-T,301-Rの内部の記憶領域及び光アンプ302-T,302-C,302-Rの内部の記憶領域から物理特性パラメータの情報を読み出し、読み出した物理特性パラメータを伝送設計情報記憶部71eに書き込んで記憶させる。
また、情報収集部62eは、デジタル信号処理で得られる光伝送路に関する物理特性パラメータの情報も読み出し、伝送設計情報記憶部71eに書き込んで記憶させることが可能である。デジタル信号処理で得られる光伝送路に関する物理特性パラメータには、波長分散、偏波モード分散、偏波依存損失、非線形係数などがある。これらの物理特性パラメータも用いて、ある拠点間を結ぶ光伝送路に設定する光パスの伝送設計が可能となる。
【0243】
また、情報収集部62eは、光送信装置1cの伝送モード情報記憶部100b及び光受信装置2cの伝送モード情報記憶部200bから、各々が記憶する送信側伝送モード情報テーブル1001tの情報と、受信側伝送モード情報テーブル2001rの情報とを読み出す。また、情報収集部62eは、読み出した送信側伝送モード情報テーブル1001tの情報と、受信側伝送モード情報テーブル2001rの情報とを伝送設計情報記憶部71eに書き込んで記憶させる。
【0244】
伝送設計情報記憶部71eは、情報収集部62eによって書き込まれる光送信装置1c、光受信装置2c、WSS301-T,301-R、光アンプ302-T,302-C,302-Rの物理特性パラメータ、送信側伝送モード情報テーブル1001tの情報及び受信側伝送モード情報テーブル2001rの情報を記憶する。
【0245】
伝送設計処理部72eは、伝送設計情報記憶部71eが記憶する物理特性パラメータ、送信側伝送モード情報テーブル1001tの情報及び受信側伝送モード情報テーブル2001rの情報に基づいて、光送信装置1cと光受信装置2cの間のレベルダイアに基づくネットワーク全体の伝送設計処理を行う。
【0246】
また、伝送設計処理部72eは、伝送設計処理の結果として、光送信装置1cと光受信装置2cの間の伝送品質を算出し、算出した伝送品質に基づいて、複数の伝送モード情報を候補として選択する。また、伝送設計処理部72eは、選択した複数の伝送モード情報を含む伝送モード候補リストを生成し、生成した伝送モード候補リストを伝送モード選択部60cに出力する。また、伝送設計処理部72eは、伝送設計処理の結果として、光受信装置2cにおいて、光送信装置1cが送信した信号光を受信する際に、信号品質として許容可能なOSNRを算出する。また、伝送設計処理部72eは、算出したOSNRの値を信号品質判定部205cに出力する。
【0247】
上記のように、第5の実施形態における制御装置6eは、伝送設計情報記憶部71e及び伝送設計処理部72eを備えることによって、図22に示した処理を実行する。
【0248】
上記の第5の実施形態の構成により、管理装置を用いずとも伝送設計が可能となる。その結果、データセンター間をポイントトゥポイントで結ぶデータセンター・インターコネクトへの適用が容易になるなど運用性を向上させることができる。
【0249】
(第6の実施形態)
図27は、第6の実施形態の光伝送システムSfの構成を示すブロック図である。第6の実施形態において、第1から第5の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。光伝送システムSfは、光送信装置1c、光受信装置2f、光伝送路3c及び制御装置6fを備える。制御装置6fと光送信装置1c及び制御装置6fと光受信装置2fは、例えば、専用回線やインターネット網などの通信回線により接続されている。
【0250】
第6の実施形態において、第5の実施形態と異なる点は、制御装置6eが、信号品質検出部204fをさらに備える点と、光受信装置2fが、信号受信部220bに代えて信号受信部220fを備え、信号品質検出部204cを備えない点である。
【0251】
信号受信部220fは、光伝送路3cによって伝送された主信号を受信する。信号受信部220fは、受信した主信号を伝送モード選択部60cが選択する伝送モード情報に基づいて復調する。信号受信部220fは、復調した主信号を制御装置6fの信号品質検出部204fに出力する。
【0252】
信号品質検出部204fは、パイロットトーン信号を用いて、信号受信部220fから出力された主信号からOSNRを、信号品質を示す情報として検出する。信号品質検出部204fは、検出した信号品質を示す情報を信号品質判定部205cに出力する。
信号品質検出部204fは、信号品質検出部204rと同様に、信号品質検出方法として、OTDR、光スペクトラムアナライザ、パワーメータ等の測定器から得られる情報を用いても良い。
【0253】
上記の第6の実施形態の構成により、光受信装置2f毎に多数の信号品質検出部を用意する必要がなくなり、制御装置6fにおいて1つの信号品質検出部を用意すればよい。そのため、光受信装置2fの台数が増えた場合のシステム全体でのコストを削減することができる。また、信号受信部220fにおいて受信したそのままの生データを制御装置6fに転送して、ディープニューラルネットワークを用いた機械学習によって高度に解析するなど機能性の向上も図ることができる。
【0254】
上述したように、光伝送用のDSPの高機能化により変調方式が増え、ボーレートも可変になることで、伝送モードによって占有する周波数帯域が様々に異なる。また、光技術の進展により電気的な中継を削減した光トランスペアレント領域が拡大する中で、ネットワークのトポロジーもPoint-to-Pointからリング、メッシュと複雑化してきている。第4の実施形態の伝送モード選択部60cは、伝送設計の観点に加えて、光周波数利用効率を向上させてネットワーク全体での周波数リソースの効率化を図る収容設計処理を行った上で、伝送モード情報に優先度を付与し、高い優先度の伝送モード情報から順に選択する。そのため、伝送品質が高い伝送モードであって、かつ光周波数利用効率が高く、かつOSNRの値が大きい最適な伝送モードを選択することが可能となる。
【0255】
なお、上記の第1から第6の実施形態では、伝送モード情報として、変調方式、ボーレート、誤り訂正符号種別を組み合わせた情報としているが、伝送性能に関するパラメータであれば、どのようなパラメータであってもよく、例えば、キャリア数などのパラメータが含まれていてもよい。
【0256】
また、新規に誤り訂正技術が開発された場合、伝送モード情報の誤り訂正符号種別に、当該新規の誤り訂正技術をパラメータとして追加して選択可能としてもよい。
【0257】
また、上記の第1の実施形態の構成では、送信側伝送モード候補情報及び受信側伝送モード候補情報に伝送モード番号のみを含めて送信するようにしているが、本発明の構成は、当該実施の形態に限られない。送信側伝送モード候補情報及び受信側伝送モード候補情報に伝送モード情報自体を含めるようにしてもよい。
【0258】
また、上記の第2から第6の実施形態では、伝送モード選択部60,60cは、伝送モード指定信号に伝送モード番号を含めて送信するようにしているが、伝送モード情報を伝送モード指定信号に含めて送信するようにしてもよい。このようにすることで、光送信装置1b,1cは、伝送モード情報記憶部100bを備える必要がなく、同様に、光受信装置2b,2c,2fは、伝送モード情報記憶部200bを備える必要がなくなる。その代わりに、第3から第6の実施形態では、伝送モード情報記憶部100bが記憶する送信側伝送モード情報テーブル1001tの情報と、伝送モード情報記憶部200bが記憶する受信側伝送モード情報テーブル2001rの情報とを、伝送設計情報記憶部71に予め記憶させておく構成になる。
【0259】
また、上記の第1の実施形態では、伝送モード情報記憶部100tは、送信側伝送モード情報テーブル1001tを予め記憶する構成としているが、本発明の構成は、当該実施の形態に限られない。例えば、制御部10tに、利用者の操作を受けて情報を伝送モード情報記憶部100tに書き込む書き込み処理部を備え、当該書き込み処理部が、利用者の操作を受けて送信側伝送モード情報テーブル1001tを伝送モード情報記憶部100tに書き込むようにしてもよい。更に、当該書き込み処理部が、送信側伝送モード情報テーブル1001tの書き込みを終了すると、伝送モード候補送信部101tに対して、図14に示すステップST1の処理を開始させる開始指示信号を送信して、図14の処理を開始させるようにしてもよい。
【0260】
また、上記の第1から第6の実施形態では、図3に示すITU-T G.709勧告のOTNフレーム40が用いられる例を示したが、予約フィールドを有するような他のフレームを適用するようにしてもよい。
【0261】
また、上記の第1から第4の実施形態では、信号品質検出部204rは、光受信装置2r,2raの内部に備えられ、信号品質検出部204t,204b,204cは、光受信装置2t,2b,2cの内部に備えられているが、測定器などの外部の装置に備えられる構成であってもよい。
【0262】
また、上記の第3及び第6の実施形態では、信号品質の判定にOSNRを用いていたが、BERを用いるようにしてもよい。
【0263】
また、上記の第3及び第4の実施形態では、伝送設計処理部72、またはネットワーク設計処理部74が、閾値となるOSNRを算出しているが、OSNRを算出せず、信号品質判定部205cに予め定められる閾値を与えておくようにしてもよい。
【0264】
また、上記の第3及び第4の実施形態において、管理装置7、7dと制御装置6cとの間のインタフェース、制御装置6cと光送信装置1cとの間のインタフェース、制御装置6cと光受信装置2cのインタフェース、制御装置6cと光伝送路3cの各種モジュール、すなわちWSS301-T,301-R、光アンプ302-T,302-C,302-Rとの間のインタフェースは、API(Application Programming Interface)が適用されることを前提としているが、TL-1(Transaction Language 1)などの従来型のインタフェースであってもよい。
【0265】
また、上記の第1から第6の実施形態の構成では、信号品質判定部205r,205cは、閾値を用いた判定する処理を行っている。また、制御情報検出部211r,伝送モード候補受信部201rも閾値を用いた判定処理を行っている。これらの判定処理において、「閾値を超過するか否か」、「閾値未満であるか否か」、「閾値以上であるか否か」、「閾値以下であるか否か」という判定処理は一例に過ぎず、判定対象となる信号品質を示す情報の種類や閾値の定め方に応じて、ぞれぞれ「閾値以上であるか否か」、「閾値以下であるか否か」、「閾値を超過するか否か」、「閾値未満であるか否か」という判定処理に置き換えられてもよい。
【0266】
上記の第1から第4の実施形態において、信号品質検出部204r、信号品質検出部204b、信号品質検出部204cは、誤り訂正復号化部25r、220bから得られるビットエラー情報を信号品質として検出してもよい。
また、上記の第1から第2の実施形態において、伝送モード候補情報が制御情報に含まれてもよい。
【0267】
上記の第1から第6の実施形態において、伝送モード選択部103t、伝送モード選択部203t、伝送モード選択部60、伝送モード選択部60cは、共通の伝送モード番号のうち最も優先度の高い伝送モード番号を選択する際、伝送容量が最大となるように候補を選択しているが、低消費電力となる伝送モードの番号や光周波数利用効率が良くなる伝送モードの番号を優先度の高い伝送モード番号として選択してもよい。このように構成される場合、まず伝送モード選択部103t、伝送モード選択部203t、伝送モード選択部60、伝送モード選択部60cは、共通の伝送モード番号のうち、送受信間に求められる伝送容量の候補の伝送モード番号を選択する。送受信間に求められる伝送容量は、予め設定されていてもよい。例えば、送受信間に求められる伝送容量が200Gであるとすると、伝送容量200Gの伝送モード番号は「モード7」、「モード8」、「モード13」及び「モード14」の4つである。伝送モード選択部103t、伝送モード選択部203t、伝送モード選択部60、伝送モード選択部60cは、選択した送受信間に求められる伝送容量の候補の中で消費電力が低くなる伝送モードの選択や光周波数利用効率が良くなる伝送モードを選択する。消費電力が低くなる伝送モードや光周波数利用効率が良くなる伝送モードは、変調方式、ボーレート及び誤り訂正符号種別のいずれかの組み合わせにより予め設定されていてもよい。
【0268】
上記の第1から第6の実施形態において、「記憶部」の名称を含む機能部、すなわち伝送モード情報記憶部100t,100r,200r,200t,100b,200b,61、伝送設計情報記憶部71及びネットワーク設計情報記憶部73は、不揮発性の記憶領域である。また、第1の実施形態の制御情報変調部18t、制御情報復調部210r及び第1から第4の実施形態における制御部10t,10r,20r,20t,10ta,20ra,10b,20b,10c,20cに含まれる各機能部の中で、上記の「記憶部」の名称を含む機能部以外の機能部は、例えば、プログラムがCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサに実行されることにより構成される機能部であってもよい。
【0269】
したがって、上述した実施形態における制御情報変調部18t、制御情報復調部210r及び第1から第4の実施形態における「制御部」の名称の機能部、すなわち制御部10t,10r,20r,20t,10ta,20ra,10b,20b,10c,20cをコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0270】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0271】
高機能化に伴い多様な伝送モードを有するDSPにおいて、変調方式だけでなく、ボーレート、誤り訂正符号種別、キャリア数などの各種パラメータを含めて最適な伝送モードの選択を可能とする。
【符号の説明】
【0272】
1t,1r…光送信装置,2r,2t…光受信装置,3…光伝送路,4T,4R…多重部,9…通信回線,T…送信側システム,R…受信側システム,S…光伝送システム,300…光ファイバ
図1
図2
図3
図4
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